JP4931247B2 - 新規時間遺伝子およびその応用 - Google Patents

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Description

本発明は、時間遺伝子Bmal2遺伝子がコードするBMAL2タンパク質と相互作用する新たなタンパク質をコードする新規遺伝子に関し、さらに、前記遺伝子のプライマーならびにプローブ、それを用いた新規遺伝子の検出方法、生体リズム障害診断用マーカー遺伝子および生体リズム障害モデル動物に関する。
生物は時間を感知して活動しており、サーカディアン(1日)、サーカトリジンタン(1月)、サーカアニュアル(1年)などのリズムがあることが知られている。このような生物時計は、一般に、1日(24時間)周期で変動する生命現象であるサーカディアンリズムを指す。ヒトは約25時間、ラットは約24.5時間、マウスは約23.5時間の周期を持っており、生物種に依ってその周期には若干の差はあるが、ほぼ24時間を示し、種を越えて遺伝子として保存されていると考えられる。
このような生物時計の機能に関する遺伝子として、例えば、per(period)遺伝子、tim(timeless)遺伝子、Clk(clock)遺伝子、Bmal(brain and muscle Arnt-like)1遺伝子、哺乳類由来のBmal1遺伝子のホモログであるハエ由来のcyc遺伝子などが知られている。そして、これらの遺伝子がコードするタンパク質については、例えば、CLOCKタンパク質のパートナーがBMAL1タンパク質であり、これらがper遺伝子の転写を活性化することなどが知られている。
これらの遺伝子は、cyc遺伝子がハエとマウスとの間で保存されていたように、異なる種属間で保存されている。さらに、per、tim、cyc (= Bmal1)およびclkの遺伝子において、それぞれ数種のサブタイプが発見され、per、mPer1(mouse Per1)、mPer2、mPer3、tim、mTim、bmal1、Bmal1、Bmal2(特許文献1参照)、clk、Clkなど、4つの遺伝子ファミリーが形成されている。また、dbt (double-time) 遺伝子ファミリー (dbt)、cry (cryptochrome) 遺伝子ファミリー (cry, mCry1, mCry2) なども報告されている。なお、Bmal2遺伝子については、Arntそのものであることも報告されている。
体内時計の在処については、従来、体の様々な部位を破壊するという原始的な方法で検討され、脳の視交叉上核を壊すと、行動のサーカディアンリズムが消失したことから、この部分が生物時計の中枢であると考えられてきた。しかし、近年、Bmal2遺伝子は、脳以外に血管でも発現することが新たに報告されている(非特許文献1参照)。さらに、in vitroで、繊維芽細胞に50%血清刺激を与えることにより、rPer1(rat Peroid1)、rPer2 の日内変動が観察されたとの報告もある(非特許文献2参照)。
特開2002−238567 Circulation 104, 1746-1748, 2001 Cell 93, 929-937, 1998 JBC 275, 36847-36851, 2000
本発明者らは、生体リズム障害などの生体リズムの異常が原因となる問題の解明のため、末梢性の発現を示すBmal2遺伝子に着目した。これは、Bmal2遺伝子がBmal1ファミリーであり、別名Clif(cycle-like factor)遺伝子とも呼ばれるが(非特許文献3)、実は、前述のようにArnt遺伝子そのものであることから、末梢性遺伝子の働きが明確に存在すると考えられたことによる。このようなBmal2遺伝子がコードするBMAL2タンパク質と相互作用を示すタンパク質を明らかにすることによって、生物時計の分子機構をさらに解明することができる。
したがって、本発明は、BMAL2タンパク質と相互作用する新たなタンパク質をコードする新規時間遺伝子の提供を目的とし、さらに、前記遺伝子の検出に使用できるプライマーならびにプローブ、それらを用いた遺伝子の分析方法、生体リズム障害診断用マーカー遺伝子および生体リズム障害モデル動物の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の新規遺伝子は、下記(a)〜(e)のいずれかのDNAからなる新規遺伝子である。
(a) 配列番号1〜4のいずれかの塩基配列からなるDNA
(b) 前記(a)の塩基配列において1個もしくは数個の塩基が欠失、置換または付加された塩基配列からなり、かつ、BMAL2タンパク質と相互作用するタンパク質をコードするDNA
(c) 前記(a)の塩基配列において1個もしくは数個の塩基が欠失、置換または付加された塩基配列からなり、前記(a)のDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA
(d) 前記(a)の塩基配列において1個もしくは数個の塩基が欠失、置換または付加された塩基配列からなり、前記(a)のDNAとの相同性が90%以上であるDNA
(e) 前記(a)〜(d)のいずれかのDNAと相補的な塩基配列からなるDNA
本発明のプライマーは、本発明の新規遺伝子またはその部分配列からなるポリヌクレオチドを増幅するためのプライマーであって、本発明の新規遺伝子の部分配列からなるポリヌクレオチドである。また、本発明のプローブは、本発明の新規遺伝子とハイブリダイズするプローブであって、本発明の新規遺伝子またはその部分配列からなるポリヌクレオチドである。
本発明の新規遺伝子の分析方法は、以下に示す2種類の方法である。すなわち、第1の分析方法は、被検試料に対して、本発明のプライマーを用いてPCRを行う工程と、PCR増幅断片の有無によって前記新規遺伝子の有無を判断する工程とを含み、第2の分析方法は、被検試料と本発明のプローブとをインキュベーションする工程と、前記両者のハイブリダイゼーションを検出することによって、前記新規遺伝子の有無を判断する工程とを含む。
本発明の診断用マーカー遺伝子は、生体リズム障害の診断用であって、前記遺伝子が本発明の新規遺伝子であり、本発明のモデル動物は、生体リズム障害のモデル動物であって、本発明の新規遺伝子が不活性化または過剰発現されている。
また、本発明の抗体は、本発明の新規遺伝子でコードされるタンパク質またはその部分配列に対するポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体である。
本発明のsiRNAは、19塩基対と2塩基の3'末端オーバーハングとからなる21塩基の二本鎖siRNAであり、前記19塩基対の配列が配列表の配列番号26〜28のいずれかである。
本発明者らは、後述するように、2ハイブリッド法によって、BMAL2タンパク質と相互作用を示す新たなタンパク質をコードする本発明の新規遺伝子(Erih遺伝子)を同定した。なお、本明細書において、本発明の新規Erih遺伝子によりコードされるタンパク質を「新規ERIHタンパク質」という。
以上のように、本発明の新規Erih遺伝子がコードする新規ERIHタンパク質とBMAL2タンパク質とが親和性に基づいて会合することが明らかとなった。このことから、ERIHタンパク質は、BMAL2タンパク質に相互作用することによって、BMAL2タンパク質の転写活性を制御していると示唆される。したがって、本発明の新規遺伝子を用いれば、例えば、BMAL2タンパク質とERIHタンパク質との会合が関与する生物時計の分子機構をさらに明らかにできる。また、本発明のプライマーやプローブを用いて本発明の新規Erih遺伝子を検出することによって、例えば、遺伝的な生体リズム障害の診断なども可能となる。さらに、生体リズムの異常が身体に障害を及ぼすことから、本発明の診断用マーカー遺伝子やモデルマウスは、その診断や機構の解明に有用である。
図1は、本発明の一実施例であり、ヒトの各種臓器におけるhErih1遺伝子発現量の相対値を示す表およびグラフである。 図2は、本発明の一実施例であり、ヒトの各種臓器におけるhErih2遺伝子発現量の相対値を示す表およびグラフである。 図3は、本発明の一実施例であり、ヒトの各種臓器におけるBmal2遺伝子発現量の相対値を示す表およびグラフである。 図4は、本発明の他の実施例であり、血管内皮細胞(HPAEC)におけるRNAiを用いたhErih1遺伝子の相対変化を示す表およびグラフである。 図5は、本発明の他の実施例であり、血管内皮細胞(HPAEC)におけるRNAiを用いたhErih2遺伝子の相対変化を示す表およびグラフである。 図6は、本発明の他の実施例であり、血管内皮細胞(HPAEC)におけるRNAiを用いたBmal2遺伝子の相対変化を示す表およびグラフである。 図7は、本発明の他の実施例であり、気管支/気管上皮細胞(NHBE)におけるRNAiを用いたhErih2遺伝子の相対変化を示す表およびグラフである。 図8は、本発明の他の実施例であり、気管支/気管上皮細胞(NHBE)におけるRNAiを用いたBmal2遺伝子の相対変化を示す表およびグラフである。 図9は、本発明の他の実施例であり、腎皮質細胞上皮細胞(HRCE)と腎上皮細胞(HRE)におけるRNAiを用いたhErih1遺伝子の相対変化を示す表およびグラフである。 図10は、本発明の他の実施例であり、腎皮質細胞上皮細胞(HRCE)と腎上皮細胞(HRE)におけるRNAiを用いたhErih2遺伝子の相対変化を示す表およびグラフである。 図11は、本発明の他の実施例であり、腎皮質細胞上皮細胞(HRCE)と腎上皮細胞(HRE)におけるRNAiを用いたBmal2遺伝子の相対変化を示す表およびグラフである。 図12は、本発明のさらにその他の実施例であり、抗癌剤感受性卵巣癌細胞株KFと、同細胞株から分離した抗癌剤耐性卵巣癌細胞株KFRとにおける、RNAiを用いたhErih遺伝子の変化を示すグラフである。
本発明の新規遺伝子は、前述のように、下記(a)〜(e)のいずれかのDNAからなる新規遺伝子である。
(a) 配列番号1〜4のいずれかの塩基配列からなるDNA
(b) 前記(a)の塩基配列において1個もしくは数個の塩基が欠失、置換または付加された塩基配列からなり、かつ、BMAL2タンパク質と相互作用するタンパク質をコードするDNA
(c) 前記(a)の塩基配列において1個もしくは数個の塩基が欠失、置換または付加された塩基配列からなり、前記(a)のDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA
(d) 前記(a)の塩基配列において1個もしくは数個の塩基が欠失、置換または付加された塩基配列からなり、前記(a)のDNAとの相同性が90%以上であるDNA
(e) 前記(a)〜(d)のいずれかのDNAと相補的な塩基配列からなるDNA
前記(b)〜(d)において、欠失、置換または付加が可能な塩基数は、例えば、50塩基に対して、1〜6個である。
前記(c)において、ハイブリダイズのストリンジェントな条件とは、例えば、当該技術分野における標準の条件があげられるが、例えば、温度条件は、各配列番号で示された塩基配列のTm値の±5℃が好ましく、より好ましくは±2℃、さらに好ましくは±1℃である。条件の具体例として、5×SSC溶液、10×Denhardt溶液、100μg/mlサケ精子DNAおよび1%SDS中、65℃でのハイブリダイゼーション、0.2×SSCおよび1%SDS中、65℃、30分の洗浄(2回)、続いて、0.2×SSCおよび0.1%SDS中、65℃、30分の洗浄(2回)があげられる。
前記(d)における相同性は、例えば、90%以上であり、好ましくは95%以上、より好ましくは97.5%以上である。
また、本発明の新規遺伝子は、配列番号5の塩基配列を有することが好ましい。また、配列番号6のアミノ酸をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチド、または、これに相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドを含むことが好ましい。なお、配列番号6のアミノ酸配列は、例えば、配列番号5の塩基配列によってコードされる。
本発明の新規遺伝子は、例えば、ヒト、マウス、ウサギ、イヌ、ウシ、ブタなどの哺乳類由来の遺伝子であり、前記配列番号1および2の遺伝子はヒト由来、配列番号3および4記載の遺伝子はマウス由来である。
なお、本発明の新規遺伝子によりコードされているタンパク質(ERIHタンパク質)は、例えば、以下の通りである。
マウスERIH1タンパク質: GenBankアセッション番号AY957601
ヒトERIH1タンパク質: GenBankアセッション番号AY946007
マウスERIH2タンパク質: GenBankアセッション番号AY957602
ヒトERIH2タンパク質: GenBankアセッション番号AY946008
つぎに、本発明のプライマーは、本発明の新規Erih遺伝子またはその部分配列からなるポリヌクレオチドを増幅するためのプライマーであって、本発明の新規遺伝子の部分配列からなるポリヌクレオチドである。このようなプライマーを用いたPCRによって、例えば、被検試料における新規hErih遺伝子の有無を検出したり、様々な生物、特に哺乳類動物から、本発明の新規hErih遺伝子に相当する遺伝子を得ることもできる。
前記プライマーの長さは、特に制限されず、一般的なプライマーの長さに設定できるが、例えば、塩基数10〜35の範囲である。
つぎに、本発明のプローブは、本発明の新規Erih遺伝子とハイブリダイズするプローブであって、本発明の新規Erih遺伝子またはその部分配列からなるポリヌクレオチドである。このように本発明の新規Erih遺伝子全体またはその部分配列をプローブとして被検試料とハイブリダイズさせることにより、本発明の新規Erih遺伝子の有無を検出できる。なお、ハイブリダイズの条件は、例えば、前述と同様である。
つぎに、本発明の新規Erih遺伝子を検出する方法としては、本発明のプライマーまたはプローブを使用する方法があげられる。前記プライマーを使用する検出方法は、被検試料に対して、本発明のプライマーを用いてPCRを行う工程と、PCR増幅断片の有無によって新規Erih遺伝子の有無を判断する工程とを含む方法である。一方、前記プローブを使用する検出方法は、被検試料と本発明のプローブとをインキュベーションする工程と、前記両者のハイブリダイゼーションを検出することによって、新規Erih遺伝子の有無を判断する工程とを含む方法である。なお、本発明の分析方法は、本発明のプライマーやプローブを用いることを特徴としており、具体的な操作方法や条件は、従来公知のPCR法や各種ハイブリダイゼーション法に従って行うことができる。
つぎに、本発明の診断用マーカー遺伝子は、生体リズム障害の診断用であり、前記遺伝子が本発明の新規Erih遺伝子であることを特徴とする。
また、本発明の疾患モデル動物は、生体リズム障害のモデル動物であり、本発明の新規Erih遺伝子を不活性化させた動物(ノックアウト動物)もしくはErih遺伝子を過剰発現させた動物である。動物の種類は、特に制限されないが、例えば、マウスなどの非ヒト動物(例えば、ヒトを除く哺乳動物)があげられる。なお、ノックアウト動物などの調製方法は、特に制限されず、ジーンターゲティングなどの従来公知の方法で行うことができる。
つぎに、本発明の抗体は、本発明の新規Erih遺伝子でコードされるタンパク質(ERIHタンパク質)またはその部分配列に対するポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体である。前記部分配列としては、例えば、配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドやその部分配列があげられる。
抗体の調製方法は、何ら制限されず、例えば、動物への免疫感作を行うことにより抗体を産生する従来公知の方法によって、ポリクローナル抗体ならびにモノクローナル抗体を調製できる。免疫感作させる宿主動物の種類は、特に制限されず、例えば、ヒト、ウサギ、ラット、マウス、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ブタ、モルモット等のヒトを除く哺乳動物、ニワトリ、ハト、アヒル、ウズラ等の鳥類等が使用できる。また、抗原の投与方法も、特に制限されず、皮内投与、皮下投与、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与等が採用でき、好ましくは皮下投与、腹腔内投与、静脈内投与、より好ましくは皮下投与である。
例えば、ポリクローナル抗体を調製する場合には、前述のような宿主動物に抗原(ERIHタンパク質やそのペプチド)を投与して免疫し、回収した血清や腹水液等から抗体を単離、精製すればよい。また、モノクローナル抗体を調製する場合には、例えば、免疫した宿主動物における脾臓細胞やリンパ球様細胞等の抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合してハイブリドーマを調製し、前記ハイブリドーマを増殖させ、特異性を持つ抗体を産生するハイブリドーマ細胞を単離することによって、モノクローナル抗体を得ることができる。
ポリクローナル抗体やモノクローナル抗体の精製方法も何ら制限されず、例えば、塩析、透析、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動等、従来公知の方法によって行うことができる。
なお、目的抗体の産生をスクリーニングする方法は、特に制限されず、従来公知のラジオイムノアッセイ(RIA)法、エンザイムイムノアッセイ(EIA)法等が採用できる。
このようにして得られる抗体は、通常、免疫グロブリンクラスがIgMまたはIgGである。また、得られた抗体分子は、それ自体を抗体として使用することもでき、さらに酵素処理して得られるFab、Fab'、F(ab')2等の抗体の活性フラグメントを本発明の抗体として使用することもできる。
つぎに、本発明のsiRNAは、本発明の新規Erih遺伝子を標的とする二本鎖siRNAである。本発明のsiRNAは、新規Erih遺伝子を標的とするものであればその配列は特に制限されないが、例えば、19塩基対と2塩基の3'末端オーバーハングとからなる21塩基の二本鎖siRNAであり、前記19塩基対の配列が配列表の配列番号26〜28のいずれかである。
本発明において、「siRNA」とは、RNAiを媒介可能な短鎖のRNA分子であって、一般には、21塩基〜27塩基の二本鎖低分子RNAをいう。
本発明の二本鎖siRNAとしては、例えば、Erih1遺伝子およびErih2遺伝子のいずれも標的とする二本鎖siRNA、Erih1遺伝子を標的とする二本鎖siRNA、Erih2遺伝子を標的とする二本鎖siRNAがあげられる。これらのsiRNAは、それぞれ、19塩基対と2塩基の3'末端オーバーハングとからなる二本鎖siRNAである。以下に、Erih1遺伝子およびErih2遺伝子のいずれも標的とする二本鎖siRNAにおけるオーバーハングを除く19塩基対の配列の一例を示す。これらのsiRNAは、いずれか一種類を使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。また、下記配列において「T」は「U」でもよい。
Figure 0004931247
本発明において、前記3'末端のオーバーハングとは、5'末端から19塩基が相補的な配列である2本のRNA鎖が対合して二本鎖を形成した時、19塩基対の両端から突出する3'末端の2merの部分をいう。前記3'末端オーバーハングの2塩基の配列は、特に制限されないが、TT(-チミン・チミン)、AU(-アデニン・ウラシル)、AG(-アデニン・グアニン)等があげられる。また、siRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖におけるオーバーハング部分が、同じ塩基配列でも、異なる塩基配列でもよい。例えば、センス鎖のオーバーハングがAG、アンチセンス鎖のオーバーハングがAUでもよいし、センス鎖のオーバーハングがAU、アンチセンス鎖のオーバーハングがAGでもよい。
なお、前記3'オーバーハングの2塩基の配列は、これに制限されず、RNAi効果に実質的に影響を及ぼさない範囲であれば、任意の天然核酸塩基(アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシシル)、並びに、天然及び人工の公知の修飾塩基であってもよい。また、前記3'末端オーバーハング部分のヌクレオチドは、通常、リボヌクレオチドを使用できるがこれに制限されず、RNAi効果に実質的に影響を及ぼさない範囲であれば、デオキシリボヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、その他の公知のヌクレオチド類似体を使用してもよい。さらに、本発明の二本鎖siRNAは、必要に応じて、前記3'末端オーバーハングに代えて、5'末端オーバーハングとしてもよい。
本発明の二本鎖siRNAは、例えば、その他の態様として、前記配列表の配列番号26〜28の配列において、1又は数個の塩基が修飾、置換、付加若しくは欠失し、かつ、新規Erih遺伝子特異的なRNA干渉を誘導する二本鎖siRNAがあげられる。前記数個とは、例えば、2、3、4個である。
本発明の二本鎖siRNAは、インビトロで化学的又は酵素的に合成してもよく、また、インビボで合成してもよく、特に制限されないが、従来公知の方法により化学合成して製造することが好ましい。合成二本鎖siRNAであれば、例えば、濃度調節が容易であり、また、コンタミネーションの防止が容易であるため、安全性においても利点がある。例えば、配列番号26に示すオーバーハング二本鎖siRNAを製造する場合、まず、配列番号26の配列の3'末端に2塩基のオーバーハングを加えたRNA鎖と、前記配列番号26の配列と相補的な配列の3'末端に2塩基のオーバーハングを加えたRNA鎖とをそれぞれ化学合成する。次に、前記2本のRNA鎖が対合する条件で対合させ、オーバーハング二本鎖siRNAを得る。使用に際しては、必要に応じて、従来公知の方法により適宜精製することが好ましい。
本発明の耐性緩和薬剤は、細胞の抗癌剤耐性を緩和する薬剤であって、本発明の二本鎖siRNAを含むことを特徴とする。前述のような本発明のsiRNAによれば、抗癌剤に耐性を示す癌細胞であっても、その耐性を緩和し、感受性に改善することが可能となる。このため、本発明のsiRNAを含む耐性緩和薬剤は、例えば、抗癌剤に耐性を示す細胞の治療に併用することによって、抗癌剤の効果を高めることができる。
適用する細胞としては特に制限されないが、例えば、卵巣癌細胞等があげられる。中でも、抗癌剤に対する耐性を緩和できることから、抗癌剤耐性細胞に対して有用である。また、細胞は、特に制限されず、ヒト細胞でもよいし、ヒトを除く哺乳動物の細胞でもよい。
酵母2ハイブリッド法により、BMAL2タンパク質をおとりタンパク質(bait:ベイト)として、BMAL2タンパク質と相互作用する新規タンパク質(prey:プレイ)のスクリーニングを行い、Bmal2遺伝子のパートナーとなる新規遺伝子の遺伝子配列を決定した。
(1)酵母2ハイブリッドによる新規遺伝子(部分配列)のスクリーニング
2ハイブリッドシステムの使用方法に従って、以下の実験を行った。まず、Invitrogen社から購入したhBmal2のクローン(invitrogen Clone ID 3445178)から、PCRクローニングによりhBmal2クローンを取得した。そして、このhBmal2クローンを用いて、DNA結合ドメイン(BD)とhBMAL2タンパク質との融合タンパク質を発現するBD融合ベクターを調製した。前記ベクターにおけるベイド挿入断片は、3種類とし、hBMAL2タンパク質(配列番号7)のアミノ酸第1-56番目(ベイト1)、第193-283番目(ベイト2)、第125-422(ベイト3)の配列をそれぞれコードする配列とした。なお、各ベイド挿入断片の塩基配列がinvitrogen Clone ID 3445178の配列と一致していること、ならびに、各ベイドが自己活性化能を有しておらず、スクリーニングに有効であることは、それぞれ確認済みである。他方、ヒト血管内皮細胞のcDNAとGAL4転写活性化ドメイン(AD)とが結合したベクターを、選定ライブラリーベクターとした(AD融合ベクター)。そして、前述の3種類のBD融合ベクターを導入した酵母の形質転換体と、前記AD融合ベクターを導入した酵母の形質転換体とを、フィルターメイティング法により接合し、陽性コロニーを選択した(2ハイブリッド一次スクリーニング)。その結果、ベイト3を用いたスクリーニングにより陽性クローンが得られた。
得られたコロニーからプラスミドを抽出し、第3のプロモーター・レポーター遺伝子系によるベイトとプレイとの相互作用を、β-galアッセイを用いて確認した結果、相互作用が確認できた。また、特異性テスト用ベイトとプレイとの相互作用を、β-galアッセイにより確認した結果、プレイの特異性が高いことが確認された。
前述の一次スクリーニングで得られたプレイをコードする遺伝子について、5'ワンパスシーケンシングを行った結果、GenBankに登録されていないヒト新規タンパク質の断片をコードすることがわかった。決定された部分塩基配列を配列番号5に、それがコードするアミノ酸配列を配列番号6に示す。なお、hBMAL2タンパク質に特異的に相互作用するタンパク質を、「hERIHタンパク質」といい、これをコードする遺伝子を「hErih遺伝子」という。
(2)hERIHタンパク質をコードするhErih遺伝子の全配列の決定
前記(1)において決定された配列は、hBMAL2タンパク質に特異的に相互作用するhERIHタンパク質のうち、hBMAL2タンパク質との反応部位の配列である。したがって、さらにhErih遺伝子の5'側と3'側の配列を決定し、全塩基配列ならびにこれに基づきhERIHタンパク質の全アミノ酸配列を決定した。塩基配列の決定は、まず、従来公知の5'RACE法および3'RACE法を利用した。さらに、前記(1)における部分塩基配列の情報から、hErih遺伝子との類似遺伝子をコンピュータ検索した結果、マウスhypothetical protein XP#358333/NP#766072 に一部類似していたため、それを元に、PCRとシークエンスとを用いてhErih遺伝子の全長配列決定を行った。この結果、前記配列番号5の配列を含む2種類の塩基配列(配列番号1および配列番号2)が決定された。相対的に短い配列番号1の遺伝子をhErih1(human Erih1)(endo1)、相対的に長い配列番号2の遺伝子をhErih2(human Erih2)(endo2)と名付けた。これらの遺伝子のエクソンイントロン構造を比較した結果、hErih2遺伝子のエクソン11とエクソン12とが、hErih1遺伝子には存在しなかった。
ヒトの各種臓器におけるhErih1遺伝子およびhErih2遺伝子の発現を確認した。
まず、Bmal2遺伝子(ARANT/Bmal2/Clif NM#020183)、hErih1遺伝子およびhErih2遺伝子について、配列番号8〜13に示すリアルタイムPCRに適したプライマーを準備した。そして、クロンテックtotal RNA Master Panel II (クロンテック社)を用いて、臓器ごとの遺伝子発現の程度を比較した。なお、臓器は、副腎(adrenal gland)、骨髄(Bone marrow)、小脳(brain cerebellum)、全脳(Brain:whole)、胎児脳(fetal brain)、胎児肝臓(fetal liver)、心臓(heart)、腎臓(kidney)、肝臓(liver)、全肺(lung:whole)、胎盤(placenta)、前立腺(prostate)、唾液腺(salivary gland)、骨格筋(skeletal muscle)、精巣(testis)、胸腺(thymus)、甲状腺(thyroid gland)、気管(trachea)、子宮(uterus)、脊髄(spinal cord)の計20種類とし、検量線はプラスミドで作成し、テンプレートは、cDNA1μl(Total RNA 50ng当量)とした。
(プライマー)
hErih1遺伝子
配列番号8 Forward primer : 5'- GGGAAGAACCTCAGGAAAAGG?3'
配列番号9 Reverse primer : 5'- CGATCCCACTGTCCAATGTTC?3'
hErih2遺伝子
配列番号10 Forward primer : 5'- CAGCCCTGTTGCATGTTCA?3'
配列番号11 Reverse primer : 5'- GCCCTGAGAACTGCCCTTTA?3'
Bmal2遺伝子
配列番号12 Forward primer : 5'- GTGAGCCTGGAGAAGCATCA?3'
配列番号13 Reverse primer : 5'- CCAGCACCAAGTACTGTTCCA?3'
これらの結果を図1〜図3の表およびグラフにそれぞれ示す。図1は、hErih1遺伝子の結果、図2は、hErih2遺伝子の結果、図3は、Bmal2遺伝子の結果である。なお、相対値は、副腎(adrenal gland)の発現を「1.0」として、これを基準に算出した。これらの表およびグラフに示すように、脳、肝臓、腎臓において、比較的多くの発現が確認された。なお、発現の内部標準遺伝子としてHuman B2M (beta-2-microglobulin)遺伝子を使用し、補正を行った際の発現量の比較を以下に示す。
B2M 補正
Bmal2遺伝子発現:骨髄<胎盤<小脳<精巣<脳(全脳)<胎児脳
Erih1遺伝子発現:腎<脳(全脳)<肺<精巣<胎児肝<胎児脳
Erih2遺伝子発現:脊髄<肺<精巣<小脳<脳(全脳)<胎児脳
一般に、時間遺伝子は異なる種で保存されていることから、ヒト以外の動物において、hErih1遺伝子およびhErih2遺伝子に相当するホモログが存在するかを確認した。
マウスについては、コロニープラークハイブリダイゼーション法、ならびに、XP#358333/NP#766072 からの類推により設計したプライマーを用いたPCR法で、実験的に確認を行った。また、マウス以外の動物(ラット、ウサギ、イヌ、サル)については、NCBIのホームページ上で類似検索を行った。
その結果、マウスについては、PCRによりhErih1遺伝子およびhErih2遺伝子に相当するmErih1(配列番号3)、mErih2 (配列番号4)が発見された。これらの塩基配列をコンピュータで検索した結果、一部において、NM#172484 との類似が認められた。また、mErih1遺伝子およびmErih2遺伝子と、XP#358333およびNM#172484とを比較した結果、mErih1遺伝子とmErih2遺伝子とは、スプライシングバリアントと考えられた。このことから、hErih1遺伝子とhErih2遺伝子についても、同様にスプライシングバリアントと考えられる。
マウス以外の動物については、コンピュータ上での検索により、両生類、魚類、昆虫類などでは、Erih1遺伝子およびErih2遺伝子に相当する遺伝子ホモログが存在しなかったのに対して、ウサギ、イヌ、ウシ、ブタなどの哺乳類では、Erih1遺伝子およびErih2遺伝子に相当する遺伝子ホモログが確認された。
hERIH1タンパク質、hERIH2タンパク質、mERIHE1タンパク質およびmERIH2タンパク質に対するそれぞれの抗体製造を目的として、免疫原となるペプチドの調製を行った。
各タンパク質を各々区別して特異的に認識する抗体を得るために、それぞれの遺伝子を区別できる一部分をクローニングし、ポリペプチドの合成を行った。具体的には、hErih1遺伝子とhErih2遺伝子との共通部分または相違部分、mErih1遺伝子とmErih2遺伝子との共通部分または相違部分、hErih1遺伝子とmErih1遺伝子との共通部分または相違部分がコードするペプチドである。なお、以下にそれぞれの塩基配列、アミノ酸配列および推定分子量を記載する。
Figure 0004931247
hErih遺伝子群の機能解析として、siRNAを用いた実験を行った。
実施例1における血管内皮細胞および実施例2においてhErih遺伝子の発現が多かった臓器(脳、肺、腎)の培養細胞を使用し、それらの細胞培養液中に、Bmal2遺伝子に対するsiRNAまたはhErih遺伝子に対するsiRNAを加えた。これによって、Bmal2遺伝子またはhErih1遺伝子もしくはhErih2遺伝子をノックダウンし、Bmal2遺伝子、Erih1遺伝子、Erih2遺伝子の発現変化を確認した。また、同時にマイクロアレイによって、他の遺伝子の発現変化も確認した。
具体的には、血管内皮細胞としてHPAEC(肺動脈血管内皮細胞)、脳としてアストロサイト、肺としてNHBE(気管支/気管上皮細胞)とSEAC(小気道上皮細胞)、腎としてHRCE(腎皮質細胞上皮細胞)とHRE(腎上皮細胞)を使用した。検量線はプラスミドで作成し、テンプレートは、cDNA1μl(Total RNA 50ng当量)とした。なお、発現の内部標準遺伝子として、Human B2M (beta-2-microglobulin)遺伝子およびHuman GAPDHを使用し、それぞれで補正を行った際の発現量を求めた。
HPAECの結果を図4〜6、NHBEの結果を図7〜8、HRCEおよびHREの結果を図9〜11にそれぞれ示す。siRNAによるノックダウンしていないものをコントロールとした。図4〜6の相対値は、negative controlの発現を「1.0」として、これを基準に算出し、図7〜11の相対値は、コントロールの発現を「1.0」として、これを基準に算出した。
各図におけるサンプルの番号は、以下の通りである。No.2(116:116 siRNA)、No.3(231:223 siRNA)、No.4(244:236 siRNA)は、全てErih siRNAであり、実施例1において発見された部分配列相当部位の中で、5'側から数えて何番目の塩基をターゲットにしてノックダウンしたかを表す。最初に発見された部分配列相当部位であることから、Bmal2遺伝子と特異的に結合する部分であり、また、Erih1遺伝子およびErih2遺伝子に共通する部位となる。なお、下記表3に示す全てのsiRNAは、その3’末端にオーバーハング(TT)が結合している(かっこ書き)。
Figure 0004931247
これらの図に示すように、Bmal遺伝子の結果は、Bmal2 siRNA(=Arnt siRNA)を加えた場合にのみ発現の低下がみられる傾向にあり、これに対して、hErih1遺伝子およびhErih2遺伝子の結果は、Bmal2 siRNA(=Arnt siRNA)を加えた場合のみならず、3種類のErih siRNAを加えた場合にもそれぞれ発現の低下が見られる傾向にあった。つまり、Bmal2 siRNAによりBmal2遺伝子を抑制した場合、Erih1およびErih2の両方が抑制されるが、Erih siRNAでErih1およびErih2を抑制した場合には、Bmal2は抑制させ難かったという結果である。このことから、Bmal2遺伝子が上流に位置し、Erih遺伝子が下流に位置すると推測される。
抗癌剤感受性卵巣癌細胞株KFと、同細胞株から分離した抗癌剤耐性卵巣癌細胞株KFRとを用いて、Erih遺伝子のsiRNAを加えることによって、抗癌剤感受性への変化が見られるかどうかを検討した。
(抗癌剤液)
抗癌剤としてオキザリプラチン(L-OHP)またはディプラチンを使用し、これを溶媒に混合してL-OHP液およびディプラチン液を調製した。これを抗癌剤液とした。
(方法)
細胞へのsiRNAトランスフェクションは、QIAGEN社のRNAi Starter kitを用いて、そのプロトコールに従って行った。
まず、トランスフェクション前日、細胞を培地に懸濁し、懸濁液0.5mlを24ウェルプレートに撒き、5%CO2雰囲気下で培養した。
トランスフェクション当日、1μgのsiRNAを培地で100μlに希釈し、これに前記キットの試薬RNAiFect Transfection Reagent(6μl)を混合した。この混合液を、トランスフェクションコンプレックス形成のため、室温で10〜15分間インキュベートした。他方、細胞を培養しているプレートのウェルより培地を吸引除去し、新たな培地300μlを添加した。そして、ウェル中の細胞に、インキュベートにより得られたトランスフェクションコンプレックス(1滴)と、抗癌剤液とを添加し、プレートを静かにまわしてトランスフェクションコンプレックスと抗癌剤液の分布を均一にした。そして、5%CO2雰囲気下、細胞をトランスコンプレックスとインキュベートした。そして、以下のようにして、細胞の生存率を確認した。
siRNAとしては、以下のものをそれぞれ単独で、または、2種類もしくは3種類組合せて使用した。siRNAを2種類以上組合せた場合には、合計1μgのsiRNAを培地で100μlに希釈した。
Figure 0004931247
トランスフェクションコンプレックスおよび抗癌剤液を添加しない以外は同様に培養を行ったものをコントロールとした(non-treat)。そして、コントロールの生存細胞を100%とした場合の相対的な割合を生存率(%)とした。これらの結果を図12に示す。なお、図12においてX軸の数字は、前記表4に示すsiRNAの番号である。また、図中の抗癌剤の濃度は、処理時の終濃度である。
図12は、抗癌剤としてL-OHPを使用した際の細胞生存率を示すグラフであり、(A)が感受性株KFの結果であり、(B)が耐性株KFRの結果である。同図に示すように、抗癌剤感受性株KFおよび抗癌剤耐性株KFRは、共に、Bmal2遺伝子のRNAiを加えた場合、有意な抗癌剤耐性低下は認められなかったのに対し、Erih遺伝子のRNAiを加えた場合には、有意な抗癌剤耐性低下が認められた。
以上のように、本発明の新規Erih遺伝子がBMAL2タンパク質に相互作用する新規タンパク質をコードすることが明らかとなった。このため、本発明の遺伝子やその検出方法などを用いることによって、Bmal2が関与する時間時計の機構についてさらなる解明が可能となり、さらに、生体リズム障害の診断や解析なども有効に行うことが可能となる。

Claims (1)

  1. 二本鎖siRNAを含む、細胞の抗癌剤耐性を緩和する薬剤であって、
    前記二本鎖siRNAは、19塩基対と2塩基の3’末端オーバーハングとからなる21塩基の二本鎖siRNAであって、下記(a)〜(e)のいずれかのDNAからなる新規遺伝子を標的とし、前記19塩基対の配列が配列表の配列番号26〜28のいずれかである二本鎖siRNAであり、
    前記細胞が卵巣癌細胞である、耐性緩和薬剤。
    (a) 配列番号1〜4のいずれかの塩基配列からなるDNA
    (b) 前記(a)の塩基配列において1個もしくは数個の塩基が欠失、置換または付加された塩基配列からなり、かつ、BMAL2タンパク質と相互作用するタンパク質をコードするDNA
    (c) 前記(a)の塩基配列において1個もしくは数個の塩基が欠失、置換または付加された塩基配列からなり、前記(a)のDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA
    (d) 前記(a)の塩基配列において1個もしくは数個の塩基が欠失、置換または付加された塩基配列からなり、前記(a)のDNAとの相同性が90%以上であるDNA
    (e) 前記(a)〜(d)のいずれかのDNAと相補的な塩基配列からなるDNA
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