JP2003162281A - 電子管楽器 - Google Patents

電子管楽器

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JP2003162281A
JP2003162281A JP2002356944A JP2002356944A JP2003162281A JP 2003162281 A JP2003162281 A JP 2003162281A JP 2002356944 A JP2002356944 A JP 2002356944A JP 2002356944 A JP2002356944 A JP 2002356944A JP 2003162281 A JP2003162281 A JP 2003162281A
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Kana Tanaka
奏 田中
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Yamaha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 演奏性を複雑にすることなく、多彩な音楽表
現を可能とする。 【解決手段】 ディップスイッチ103によって、演奏
用キー2a、2bを楽音制御に使用するか、音高指定に
使用するかを選択する。音高指定用として使用する場
合、演奏用キー2a、2bと、それ以外の演奏用キー2
c〜2pとを含めたキー群によって発生楽音の音高を指
定する一方、楽音制御用として使用する場合、演奏用キ
ー2a、2bは特定キーとなって、当該キーの操作に応
じて、音高指定以外の音色や、音量、音高などの楽音制
御に必要な楽音制御パラメータを発生させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、特定の演奏キー
の機能を切り替え可能とする電子管楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からある電子楽器は、全体形状が、
自然楽器に類似し、音高を決定するキー配列もほぼ自然
楽器に類似して配置され、音高も自然楽器的な音色にし
た楽音を発生する。しかしながら、電子管楽器である以
上、共鳴部分が不要であり、操作子を任意に設定できる
ことから音高操作子も含めて、種々の楽音制御のための
操作子が設けられている。例えば、特公平6−9739
6号公報では、口操作子である疑似リードに連動したレ
バーの変位によって発音中の音高を少し変えるピッチベ
ンダー装置が示され、このレバー変位にて、例えばビブ
ラートをかけるようにしている。また、同公報にて、筒
状楽器本体中央部に別途ピッチベンドレバーが設けら
れ、ここで、上記と同様のピッチベンド制御を可能にす
るととともに、上下に半オクターブ程のピッチ変更も可
能にしている。また、音高を決定するキーそのものに付
加価値を付けて、演奏表現を向上させたものがある。例
えば、キーベロシティの検出に関して、押圧操作される
キーの押鍵速度を検出する電子管楽器(特開平8−30
5362、特開平1−251098、実公平7−344
70)や、キーシステムに圧力センサを用いてキーの押
圧強度を検出する電子管楽器(実開平3−10829
9)が提案されている。また、楽音特性を制御に関し
て、音高の指定を複数のキーのオンとオフの組合せによ
りする電子管楽器が提案されている(実開昭56−26
798、特公平7−52349)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで今日、より多
彩な表現性が電子管楽器に求められてきている。例え
ば、表現できる音高の幅を拡張したり、音色・音量・音
高などを容易に変更することなどがあげられる。そし
て、そのような多彩な表現を可能とするためには、演奏
者にとって操作が容易であるほうが望ましい。本発明
は、このような背景の下になされたものであり、演奏性
を向上させ、多彩な表現が可能とするために、音色や、
音量、音高などの楽音制御を容易とすることが可能な電
子管楽器を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、請求項1記載の発明は、口操作子と、音高を指
定するキー群と、このキー群の押下状態を検出する押下
状態検出手段と、上記口操作子の操作情報及び上記検出
手段で検出された押下情報に対応して音高情報を有する
楽音情報を発生する楽音情報発生手段と、からなる電子
管楽器において、上記キー群のうち特定のキーを音高指
定とは異なる楽音制御用キーとして設定するモード指定
手段と、このモード指定手段にて指定操作があった場合
に、該特定キー操作にて音高指定以外の楽音制御パラメ
ータを発生する楽音制御パラメータ発生手段と、楽音を
制御する楽音制御手段とを備え、該楽音制御手段は、上
記モード指定手段の指定操作がなかった場合であって、
音高を指定するキー操作にて該キーに対応した音高指定
操作がなされ、該音高指定された楽音を上記楽音情報発
生手段から発生するようにし、上記モード指定手段の指
定操作があった場合で、且つ特定キー以外の操作時にも
該キー操作に対応した音高指定操作がなされ、該音高に
指定された楽音を上記楽音情報発生手段から発生するよ
うにするとともに、上記モード指定手段にて指定操作が
あった場合であって、上記特定キー操作をした場合、上
記楽音制御パラメータ発生手段から音高指定以外の楽音
制御パラメータを発生して該パラメータで上記楽音情報
発生手段からの楽音を制御するようにした楽音制御手段
であることを特徴とする。
【0005】この場合、上記特定のキーは、1つの実施
例においては、サックス等の楽器に設けられたハイトリ
ルキーのような口操作部に近いキーに対応づけられて、
楽器本体(ボディー)に備えられ、モード指定手段の指
定によって、楽音制御用キーに変身する。また、他の実
施形態においては、この特定キーは、オクターブ単位の
音高指定を指示する。
【0006】
【発明の実施の形態】1.第1実施形態 1−1.第1実施形態の構成 (1)外観構成 図1は本実施形態における電子管楽器の外観構成を示し
た図である。図1において、(a)は側面図、(b)は
正面図をそれぞれ示している。マウスピース1は、演奏
者が息を吹き込むために口先にあてる部分である。演奏
用キー2a、2b、2c……2o、2pは、主に音高を
指定するために演奏者が押下するキーであり、音高はこ
れらのキーのオン・オフの組合せにより運指表に基づき
指定される。なお、音高の制御については、詳細は後述
する。
【0007】(2)内部構成 全体構成 図2は本実施形態における電子管楽器の電気的構成を示
したブロック図である。図2においてブレスセンサ21
は、口操作子の1種であって、マウスピース1から吹き
込まれる息の圧力を検出するものであり、キーセンサ2
Sa、2Sb……2Spは、各々キー2a、2b……2
pの押圧力を検出するものである。上記口操作子は従来
技術で述べた疑似リード連動レバーによる固定側との変
位検出センサ(噛み合いセンサ)である場合があり、こ
れらのいずれか一方またはその両方を口操作子という。
また、ブレスセンサ21及びキーセンサ2Sa、2S
b、、、、、2Spの各出力信号は、A/D変換器23
によってデジタル信号に変換される。また、CPU24
はROM25内のプログラムに基づいて後述する各種処
理を行う。本実施形態の場合、CPU24は、外部に対
してMIDI規格の各種情報を出力するようになってい
る。このMIDI信号に基づいて、ボディ31とは別体
もしくは一体に設けられた音源部(楽音発生手段)24
1から楽音を発生するようにしている。従って楽音情報
発生手段と言えば、ROM25及びCPU24を示すこ
ともあるし、この両者及び音源部241をさすこともあ
る。
【0008】 演奏用キーの構成 次に、演奏用キーの構成について説明する。図3は、本
実施形態における電子管楽器の演奏用キーの構造を示す
断面図である。なお、本実施形態における16個の演奏
用キー2a、2b、2c……2o、2pは、全て同様の
構成となっており、ここではキー2aを例に説明する。
ボディ31には、キーを指示するキーポスト(図示略)
が突設されており、L字型のキー2aがその屈曲部にお
いてキーシャフト33aによって回動自在に支持されて
いる。また、ボディ31には、リターンスプリング34
が突設されており、キー32の一端部を付勢している。
これにより、キー2aは、押圧されていないときには、
元の位置に戻るようになっている。ロッド35aは、ボ
ディ31に上下動自在に支持されており、上端にはキー
2aの一端部が当接している。キー2aが押下される
と、これに伴いロッド35aが下降してその下端がキー
センサ2Saを押下する。キーセンサ2Saは、ロッド
35aの他端部に嵌着されたカーボン含有の軟質樹脂
(導電ゴム)からなる可動部Svと、固定接点が印刷配
線された固定部(プリント基板)Sfとからなり、この
両者は、常時接触するか非押圧時のみわずかに離間する
よう極薄ポリエステルフィルムスペーサを介在させて対
向配置されてなる。この構成により、キーセンサ2Sa
は、非押圧時は高抵抗もしくは無限大抵抗を有し、押圧
に応じてその抵抗値を減少させる。該キーセンサの抵抗
変化部は、感圧フィルム等からなる固定部にして、可動
部を伝導体にするようにしてもよい。このようなキーセ
ンサは、図面に表された本実施形態においては、上記に
説明した感圧センサが用いられるが、上記キーセンサが
必ずしも感圧キーセンサである必要がない。この場合の
キーセンサ構造は、固定部は上記と変わりなく、可動部
のみ同構造のままカーボン含有量を多くした構成にする
か、もしくは、同形状の可動部の固定接点対向部にカー
ボン等の導電インクを塗布するというわずかな設計変更
をした構成にするかで実現可能である。
【0009】また、本実施形態では、以下に説明する検
出回路を用いて演奏者が押下したキーの識別およびその
押圧力を検出している。ここで、図4はキーセンサの検
出回路を示す図であって、複数のキーからなるキー群の
押下状態を検出する押下状態検出手段を示したものであ
る。この図において、可変抵抗の記号で示されるのは、
図2に示すキーセンサ2Sa、2Sb……2Spであ
る。この検出回路においては、列を構成するラインL
1、L2……と行を構成するラインC1、C2……によ
るマトリックスが形成されており、所定の交点にキーセ
ンサ2Sa、2Sb……が適宜配置されている。ライン
C1、C2……の一端は、固定抵抗41−1、41−2
……を介して接地されるとともに、A/D変換器23の
入力端に接続されている。ラインL1、L2……には、
アナログスイッチ42から順次電圧が印加されるように
なっており、CPU24は各ラインL1、L2……のオ
ンタイミングとA/D変換器23の出力値から、どのキ
ーセンサがどのくらいの力で押圧されているかを知るこ
とができる。
【0010】例えば、ラインL1がオンになっている場
合は、キーセンサ2Saと固定抵抗41−1に電圧がか
かる。そして、キーセンサ2Saの抵抗値が減少する
と、固定抵抗41−1にかかる電圧が増加し、A/D変
換器23の出力値は大きくなる。逆に、キーセンサS2
aの抵抗値が増加すると、固定抵抗41−1にかかる電
圧が減少し、A/D変換器23の出力値は小さくなる。
なお、各キーセンサ2Sa、2Sb……に対応したA/
D変換後の値を、以下Kpa、KPb……として表す。
【0011】なお、図4に示す回路におけるダイオード
43は、電流がラインCからラインLへ流れることを防
止するものである。この逆流があると、検出タイミング
になっていないキーセンサに電流が流れる経路が形成さ
れ、CPU24がキーを特定できなくなるため、ダイオ
ード43が挿入されている。なお、前述したブレスセン
サ21も、キーセンサと同様にマトリックスの交点に配
置されている。
【0012】1−2.第1実施形態の動作 (1)基本的動作 次に、上記構成を有する電子管楽器の動作について説明
する。始めに、基本的動作の概略を説明する。ここで
は、演奏用キーは全て音高指定に用いる場合について説
明し、演奏用キー2a、2bを楽音制御に用いる場合に
ついては後述する。マウスピース1より息が吹き込まれ
ると、ブレスセンサ21は吹き込まれた息の圧力を検出
する。検出された圧力は、A/D変換器23に供給さ
れ、A/D変換器23によってデジタルデータに変換さ
れ、CPU24に出力される。なお、息の圧力のA/D
値を以下BPと記す。この実施形態において、BP値は
0から10までの値で表される。
【0013】次に、CPU24は、BP値に応じて、次
のようにMIDIメッセージを出力する。まず、BP値
が1から10までの値である場合は、息が吹き込まれて
いる状態を表すものとしてノートオンを出力する。一
方、BP値が0であった場合は、息が吹き込まれなくな
った状態を表すものとして、ノートオフ情報を出力す
る。
【0014】また、BP値は息の強さを表すデータとし
ても使用され、CPU24は、BP値に応じて音量を示
すベロシティ情報や音色を指定するMIDIメッセージ
(コントロールチェンジなど)を出力する。
【0015】ところで、出力されるMIDIメッセージ
がノートオンである場合のノートナンバーは通常押下さ
れている演奏用キー2a、2b、2c……2o、2pの
組合せに応じて決定するが、単一キーにて設定される場
合もある。
【0016】ここで、図5は、本実施形態で使用する運
指表を示しており、この運指表に対応した音高決定がな
されるようになっている。本実施形態においては、演奏
用キー2a、2b、2c……2o、2pのオン・オフの
組合せとノートナンバーとの関係を示すテーブルTBU
が予め作成され、ROM25に記憶されている。ノート
ナンバーの決定においては、KP値(KPa〜KPpの
値)が0である場合をオフ、1から10である場合をオ
ンとして行うものとしている。なお、図5において、演
奏用キー2aおよび2bが示されていないパターンは、
これらがオフ、すなわちキーが押下されていない状態で
あることを示す。ところで自然楽器では、演奏用キー2
a、2b、2i、2jに相当するキーは、トリルキーと
呼ばれ、キーを押下しない状態では穴を塞ぎ、キーが押
下されると穴が開いて出音される音高があがるように構
成されている。よって、本実施形態でも演奏用キー2
a、2b、2i、2jのいずれかがオンである場合は音
高が上がり、オフである場合は音高が下がる。これに対
して、演奏用キー2a、2b、2i、2j以外に相当す
るキーは、キーを押下しない状態では穴が開いており、
キーが押下されると穴が塞がれて出音される音高が下が
るように構成されている。よって、本実施形態でも演奏
用キー2a、2b、2i、2j以外のキーのいずれかが
オンである場合は音高が下がり、オフである場合は音高
が上がる。
【0017】(2)動作の詳細 次に、フローチャートを参照して、CPU24の動作に
ついて説明する。図6は、第1実施形態におけるCPU
24の処理を示すフローチャートである。まず、CPU
24は、BP値を検出する(S1)。そして、BP値が
0か否かを判定し(S2)、BP値が0の場合は、処理
はステップS1に戻る。BP値が0でない場合は、CP
U24はKPa、KPb……KPpの各値を順次検出す
る(S3)。キーセンサのオンオフを検出する方法は、
所定レベル以上もしくは以下になったことをCPU24
で検出することで行われる。該キーセンサ各々のオン・
オフ状態とROM25内のテーブル(運指表図5の内
容)を参照することにより得られたノートナンバーを変
数note numberに収納する(S4)。
【0018】次に、変数note numberの値を
変数last noteに収納した後(S5)、変数l
ast noteの内容を発生すべき楽音信号の音高を
指示するノートナンバーとして、楽音信号の発生開始を
指示するノートオンとともに出力する(S6)。次に、
ステップS7において、CPU24は、再度BP値を検
出し、BP値が0か否かを判定する(S8)。ここで、
BP値が0の場合は、ノートオフを出力し(S9)、ス
テップS1に戻る。すなわち、演奏者が息の吹き込みを
停止すると消音のための楽音信号の消音開始を指示する
ノートオフが出力される(S9)。
【0019】一方、ステップS7で検出されたBP値が
0でない場合は、BP値に応じた内容のコントロールチ
ェンジを出力する(S10)。例えば、吹き込む圧力が
強い(BPが10に近い)ほど音量を上げ、圧力が弱い
(BPが1に近い)ほど音量を下げるコントロールチェ
ンジを出力する。
【0020】次に、再び、KPa、KPb……KPp値
を取り込み(S11)、オン・オフを検出するととも
に、運指表を参照することにより得られたノートナンバ
ーを変数note numberに収納する(S1
2)。なお、キーのオン・オフ検出にあたっては、前述
の通りKPa、KPb……KPpの値が0の場合に当該
キーがオフ、1〜10の場合に当該キーがオンであると
判断する。すなわち、完全に押されていたキー(KP値
が10)の押圧力が弱まって、そのKP値が1〜9の中
間の値になっても、ステップS12においては、キーオ
ンとして判定する。
【0021】次に、変数note numberと変数
last noteの内容を比較し(S13)、変数n
ote number=変数last noteでない
場合は、ステップS14に進み、変数note num
ber=変数last noteである場合は、ステッ
プS17へ進む。
【0022】ステップS14に至る場合は、運指が変更
されて音高が変化したと判定された場合である。すなわ
ち、1から10であったキーのKP値が0になってい
る、あるいは0であったキーのKP値が1から10にな
っているため、オン・オフ状態が変更されていると判断
される場合である。このステップS14においては、変
数note numberの内容を変数last no
teに収納する。そして、ステップS15に移って、ノ
ートオフを出力する。これにより、それ以前の音高の楽
音が停止される。次に、変数last noteの内容
をノートナンバーとしてノートオンとともに出力する
(S16)。この結果、新たな音高の楽音が発音指示さ
れる。すなわち、ステップS13において、運指の変更
が検出された場合は、変更前のノートを消音指示した後
(S15)、変更後のノートナンバーを出力し(S1
6)、新たな運指に基づくノートナンバーでの発音を指
示する。この場合の発音制御は、スラーのような連続的
な音高制御ではなく、変更前のノートから変更後のノー
トへとステップ状に切り替わる制御となる。以上の制御
を行った後は、ステップS17を介してステップS7に
戻る。この場合のステップS17では、ピッチベンド量
の制御が行われるが、ステップS16からステップS1
7に移行した場合には、ピッチベンドは行われない。
【0023】一方、ステップS13において、「YE
S」と判断された場合は、音高に変化がない場合である
から、本来は音高についての楽音制御は不要である。し
かしながら、この実施形態においては、ステップS17
において、以下のように場合分けをして音高制御を行っ
ている。
【0024】第1は、押されている全てのキーのKP値
が10である場合である。この場合においては、音高の
変更指示は行わない。
【0025】第2は、運指状態の変化によりスラーのよ
うに連続的な音高制御をすべき場合である。たとえば、
押されているキーの一部または全部のキーのKP値が1
から9の中間値になっている場合である。この場合は、
いずれのキーについてもオン状態と判断される。しか
し、KP値が中間値であるキーが存在するということ
は、演奏者がスラー奏法を行うために、演奏用キーを少
しずつ離しているような場合と推定できる。
【0026】そこで、この実施形態においては、このよ
うな場合に、スラー奏法と同様のピッチ変化となるよう
にピッチベンドによる音高制御を行っている。以下にピ
ッチベンド制御について詳述する。
【0027】まず、KP値が中間値(1から9)である
キーは、完全に押下された状態から離され始めたキーと
いうことができる。そこで、スラー奏法によって音高を
変化させた場合の到達音を知るために、CPU24は、
KP値が0および1から9であるキーについてはオフ状
態、KP値が10であるキーについてはオン状態とし
て、ROM25内のテーブルを参照することにより新た
なノートナンバーを決定する。すなわち、押圧力が弱ま
っているキーについては、スラー奏法によって離される
キーであると判断して、スラー奏法後の到達音のノート
ナンバーを求める。そして、このノートナンバーを変数
new note numberに収納する。
【0028】次に、ベンドレンジ(ピッチベンドの範
囲)を求めるために、現時点のノートナンバー(すなわ
ち、スラー奏法の前のノートナンバー)を記憶している
変数last numberと、スラー奏法後の到達音
のノートナンバーを記憶している変数new note
numberとの差を検出する。この差が、スラー奏
法の前と後の音高差であり、ピッチベンドを行う範囲、
すなわち、ベンドレンジになる。そして、検出したベン
ドレンジに対して補間処理を行い、ピッチベンド量を決
定する。
【0029】ピッチベンド量の決定は、この実施形態に
おいては、new note numberとlast
noteの音高の差を、KP値に応じて補間すること
によって行う。例えば、直線補間あるいはKP値を変数
とした関数によってピッチベンド量を定めることができ
る。このような関数はROM25に予め記憶される。本
実施形態においては、直線補間が採用されている。ここ
で、図7はKP値とピッチベンド量(ピッチシフト量)
の関係を表すグラフである。図示するグラフは、KP値
が高いときはlast noteに近い音にピッチベン
ドされ、KP値が低いときはnew note num
berに近い音にピッチベンドされることを表してい
る。なお、図7は、直線補間をする例を示したが、補間
の仕方はこれに限らず、任意の曲線補間や関数を用いた
補間を行ってもよい。
【0030】ここで、理解のために、中間のKP値をと
るキーが一つである場合を例にとって、上述した各ステ
ップの処理をより具体的に説明する。例えば、ある時点
におけるノート検出において、last noteにノ
ートナンバー「60」(ド:図5参照)が書き込まれ
たとする。そして、このときオンされているキーセンサ
のKP値が、全て10であったとする。そして、その後
のステップS11における検出では、一番下の指に対応
する演奏用キー2pのKPpが8となっていた場合は、
CPU24は、演奏用キー2pについては依然オン状態
と判断し、運指表よりノートナンバー「60」を求め、
変数note numberに収納する(S12)。
【0031】ここで、note number=60
(ド:図5参照)であるから、last note=
note numberとなり、ステップS13の判定
が「YES」となって処理はステップS17に進む。ス
テップS17において、演奏用キー2pのKP値は中間
値(KPp=8)であるためオフ状態に判断されて新た
なノートナンバー「62」(レ:図5参照)が求めら
れ、変数new note numberに収納され
る。ここで、ベンドレンジはnew note num
ber−last note=62−60=2(200
セント)となる。また、KPp=8の値に基づいて直線
補間され(図7参照)、補間後の値がピッチベンド量と
して出力される。この結果、楽音の音高が「ド」から4
0セント(200×1/5)高い音にシフトされる。そ
して、処理はステップS7に戻る。
【0032】また、その後、演奏者が演奏用キー2pの
押圧をさらに弱め、KPp=6になったとする。そし
て、ステップS12においては、この場合も、演奏用キ
ー2pのKP値は中間値(KPp=6)であるため、ス
テップS13において検出されるノートナンバーは、
「60」(ド:図5参照)となり、変数note n
umberには再び「60」が書き込まれる。したがっ
て、ステップS13での判定は「YES」となり、ステ
ップS17の処理に至る。ステップS17においては、
演奏用キー2pはそのKP値が中間値であるためオフと
判断され、newnote number=62(レ:
図5)となる。この場合、ベンドレンジは200セン
トのまま変化しないが、KP値が6になっているため、
直線補間の結果は異なり、ピッチベンド量は増え(図7
参照)、「ド」から80セント(200×3/5)高い
音の発音が指示される。
【0033】以上の処理は、演奏者がスラー奏法を行っ
ている間繰り返される。すなわち、図6に示すループl
の処理が繰り返し行われる。この結果、演奏者がキー2
pの押圧を徐々にゆるめ、最終的にはキー2pを離して
「レ」の運指になるまで、楽音は徐々に滑らかに上昇
し、スラー奏法に対応した音高制御が実現される。
【0034】ところで、図8は、上述した例におけるK
P値の変化と音高の変化の相互の関係を例示したグラフ
である。図8に示すように、押圧が下がるほど高い音高
にピッチベンドされ、しかも、その変化の仕方はKP値
の変化に対応したものとなる。従って、演奏者は、離し
ていく指の力加減により、所望のスラー特性を得ること
ができる。
【0035】以上は、中間値をとるキーが一つの場合を
例にとったが、中間のKP値が複数あった場合は、例え
ば、ステップS17において次のような処理を行えばよ
い。まず、1から9であるすべてのKP値をオフ状態と
判断し、運指表よりnote numberを求める。
次に、note numberとlast noteの
差をベンドレンジとする。この点は、上述の場合と同様
である。次に、ピッチベンド情報を出力するが、シフト
量は中間値をとる複数のKP値に応じて決定する。例え
ば、KP値の平均値としてもよく、また、この平均値を
変数とした関数によって定めてもよい。複数のKP値の
うち最大あるいは最小の値を用いてもよい。さらに、複
数のKP値のうち最大あるいは最小のキーの値のみをオ
フ状態と判断することにより、1のキーのみに注目した
スラー制御をしてもよい。上述した第1の実施形態にお
いては、音高を決定するキーの各々について押下状態を
検出する押下状態検出手段(CPU24)と、この押下
状態検出手段の検出値に基づいて前記各キー毎にオン/
オフを決定し、決定したオン/オフ状態に基づいて音高
を決定する音高決定手段(CPU24、ROM25内の
テーブル)と、前記音高決定手段が参照したキーのうち
検出値が予め設定した値より小さいものに対応するキー
については、前記音高決定手段の決定に関わらず当該キ
ーをオフと想定した音高を求める次音高決定手段(CP
U24)と、前記次音高決定手段が決定した音高に向か
って滑らかに音高を変化させるためのピッチベンド情報
を生成するスラー制御手段(CPU24)を具備してい
る。したがって、次音高決定手段とスラー制御手段の連
携により、スラー演奏を行うことができる。また、音高
決定手段の決定による通常の演奏(スラーでない演奏)
も勿論行うことができる。さらに、スラー決定手段が押
下状態検出手段が検出した検出値のうち、所定キーの検
出値(例えば、最大あるいは最小のキーの値)に基づい
て音高変化量を決定するようにすれば、特定のキーに着
目したスラー制御効果が得られる。
【0036】1−3.第1実施形態の変形 演奏者がキー操作する場合に、他の指につられるなど
無意識に圧力が変化することがあり、このような場合ま
でピッチが変化することは妥当ではない。演奏者が意識
的に操作したと想定できるKP値が検出されたときにの
みスラー制御が行われるよう設定してもよい。例えば、
上記実施形態においてステップS17のスラー制御は、
KPa、KPb……KPpが0および1から9である場
合にオフ状態と判断することによってnew note
numberを算出するようにしているが、0および
1〜7である場合にオフ状態と判断し、8〜10である
場合にはオン状態であると判断するようにしてもよい。
また、しきい値に不感帯を設けるようにしてもよい。例
えば、0、1がオフ、6〜10がオンとして、2〜5の
ときは、従前の状態の反転状態(前の状態がオンならオ
フに、前の状態がオフならオンに)なっていると判断し
てもよい。
【0037】また、KP値が1から9であるキーが複
数あった場合は、new notenumberとla
st noteの差が全音(=200セント)あるいは
半音(=100セント)である場合にのみスラー制御を
行うようにしてもよい。そして、ピッチベンド情報を出
力する際のシフト量を決定するKP値は、複数のキーの
うち最大あるいは最小のKP値や、平均値などを用いる
ようにしてもよい。この制御は、あまり大きな音高差が
あるときは、他の指につられて押圧力が下がっている場
合であり、演奏者がスラー奏法を行っていないと判断し
て、一般的なステップ状の音高制御を行う趣旨である。
以上のように、中間値をとるキーの一部を使用してスラ
ー制御を行うようにしてもよい。
【0038】また、KP値が1から9であるキーが一つ
であるときは、new notenumberとlas
t noteの差が全音あるいは半音である場合が多
い。よって、KP値が1から9であるキーが一つである
場合にのみスラー制御を行うようにしてもよい。
【0039】これらの変形により、演奏者が意識せずに
押圧が変化している場合に、不自然な音高の変化が起こ
るような誤動作を防ぐことができる。例えば、演奏者は
押下しているつもりのキーが、他の指につられて押圧が
下がっているときに、意図しない音高が出音されること
が防止される。
【0040】2.第2実施形態 第2実施形態は、演奏用キー2a、2b、2c……2
o、2pの押圧情報を、アフタータッチ情報として出力
する形態である。その構成は第1実施形態と同様である
ため、説明は省略する。
【0041】2−1.第2実施形態の動作 図9は、第2実施形態におけるCPU24の処理を示す
フローチャートである。第2実施形態においても、ノー
トオン・ノートオフの制御とボリュームの制御はBP値
に応じて行い、音高制御は演奏用キー2a、2b、2c
……2o、2pのオン・オフの組み合わせにより行うた
め、基本的動作は第1実施形態と同様である。また、C
PU24の動作についても、ステップS201からステ
ップS213までは、第1実施形態(図6)のステップ
S1からステップS13までと同様であるため説明を省
略する。
【0042】本実施形態において、オン・オフの組み合
わせが変更されている場合は、note number
=last noteではないため、処理はステップS
214へ進む。そして、変数note numberの
内容を変数last noteに収納した後(S21
4)、ノートオフを出力する(S215)。次に、変数
last noteの内容をノートナンバーとしてノー
トオンとともに出力し(S216)、処理はステップS
217に進む。
【0043】一方、オン・オフの組み合わせに変更がな
いため、note number=last note
である場合は、処理は直ちにステップS217に進む。
この場合は音高の変化はない。
【0044】本実施形態においては、音高を変更した場
合も、変更しなかった場合にも、ステップS217、S
218においてアフタータッチ制御が行われる。このア
フタータッチ制御は、MIDI規格のアフタータッチ情
報に含まれるプレッシャー値を変更する制御となり、押
下されている演奏用キーのうち、一番下の位置にあるキ
ーのKP値を検出し、このKP値に基づいてプレッシャ
ー値を決定する。
【0045】すなわち、ステップS217において、C
PU24は、オンと判断された演奏用キーのうち一番下
にあるキーを検出する。キーの位置関係は、予め分かっ
ているので、その関係に応じた検出方法により一番下の
キーを検出する。例えば、キースキャンの順番は予め決
まっており、どのタイミングでどのキーのKP値が出力
されるかは既知であるから、タイミングとキーの位置に
は対応関係がある。これらの情報からオンされているキ
ーのうち最も下のキーを検出することができる。なお、
一番下のキーから一番上のキーに向かって(あるいはそ
の逆に)キースキャンするように構成しておいてもよ
い。そして、一番下にあるキーのKP値を変数PP(図
示略)に収納する(S217)。
【0046】次に、変数PPに応じてプレッシャー値を
決定してアフタータッチ情報を出力し(S218)、ス
テップS207に戻る。以後、BP値が0になるまで、
ステップS208、S210〜S218の処理が繰り返
され、この結果、オンされているキーのうち一番下にあ
るキーの押圧力を加減することにより、楽音に任意のア
フタータッチ(例えば、ビブラートなど)を付けること
ができる。以上のように、本実施形態においては、オン
されているキーのうち一番下のキーをアフタータッチの
操作子として用いたが、これは一番下のキーが通常は最
も操作し易いからである。
【0047】2−2.第2実施形態の変形例 なお、本実施形態では、押下されている演奏用キーのう
ち一番下にあるキーのKP値に応じて、アフタータッチ
情報のプレッシャー値を決定することとしているが、他
のキー(例えば、一番上にあるキー)のKP値に応じて
決定してもかまわない。また、全てのキーの平均値をと
るようにしてもかまわない。
【0048】また、本実施形態で行われる楽音制御は、
いかなる楽音制御であってもかまわない。例えば、音高
や、音色、音量効果などの制御に用いてもよい。
【0049】さらに、第1実施形態のフロー(図6)に
おいて、アフタータッチ制御(S217、S219)を
スラー制御(S17)の前に設けることにより、スラー
制御とアフタータッチ制御を同時に行うことも可能であ
る。
【0050】3.第3実施形態 第3実施形態では、演奏用キー2a、2bの機能を切り
換えることができる場合について説明する。演奏用キー
2a、2bは自然楽器(例えばサックス)ではハイトリ
ルキーと呼ばれる音高指定用のキーであるが、演奏のジ
ャンルによって、多用される場合とほとんど使用されな
い場合がある。例えばジャズ演奏では多用されるがクラ
シック演奏ではほとんど使用されない。そこで、演奏用
キー2a、2bを音高指定に使用しない場合は、例えば
音色変更等の楽音制御に用いることで表現性を向上させ
ることができる。
【0051】3−1.第3実施形態の構成 図10は、第3実施形態における電子管楽器の外観構成
を示した図である。図10において、(a)は側面図、
(b)は正面図、(c)は背面図の一部をそれぞれ示し
ている。マウスピース1と、演奏用キー2c……2o、
2pについては、第1実施形態(図1)と同様のもので
あるので説明は省略する。ディップスイッチ103は各
種設定を行うためのスイッチであり、本実施形態では、
演奏用キー2a、2bを楽音制御に使用するか音高指定
に使用するかの選択に用いる。演奏用キー2a、2b
は、ディップスイッチ103の切換に応じて機能が選択
される。この場合の機能には、音高指定機能(ハイトリ
ルキーとして使用する機能)と楽音制御機能(コントロ
ールキーとして使用する機能)がある。演奏用キー2
a、2bをハイトリルキーとして使用する場合は、それ
以外の演奏用キー2c〜2pも含めて該キー群を音高指
定するキー群と言うことができ、演奏用キー2a、2b
が音高指定以外の楽音制御パラメータを発生する場合
は、特別のキーとなり、特定キーに変身する。そして、
該キー2a、2bを特定キーに変身させるためのディッ
プスイッチの1つは、該キー群のうち特定のキーを音高
指定とは異なる楽音制御用キーとして設定するモード指
定手段と言うことができる。なお、ディップスイッチ1
03にはn個のスイッチ(DS1…DSn)があり、本
実施形態において演奏用キー2a、2bの機能を指定す
るためには1番目のスイッチDS1を使用する。また、
図中U1、U2、D1およびD2はオクターブキーであ
り、該キーを押下することにより出音する音高をオクタ
ーブ単位で変化させることができる。オクターブキーU
1、U2、D1およびD2はオン・オフを検出できれば
どのような構成でもよく、例えば、圧力スイッチでも、
機械的な接点スイッチでもよく、さらに、光学的なスイ
ッチでもよい。
【0052】3−2.第3実施形態の動作 CPU24は、ディップスイッチ103のオン・オフ状
態を検出し、次の2つの処理のいずれかを選択する。以
下各処理について説明する。 (1)音高指定に用いる場合 まず、演奏用キー2aおよび2bの機能を音高指定に用
いる場合について説明する。音高指定は第1実施形態と
同様に各演奏用キーのオン・オフの組合せによって行わ
れる。音高指定はKPa、KPb……KPpのすべての
KP値を参照し行われ、運指表は第1実施形態(図5)
と同様となる。この場合CPU24は、すべてのKP
a、KPb……KPpを参照し、第1実施形態あるいは
第2実施形態と同様の処理を行う。
【0053】(2)楽音制御に用いる場合 次に、演奏用キー2aおよび2bの機能を楽音制御、例
えば音高、音色、音量の制御に用いる場合について説明
する。楽音制御に用いられている場合は、各演奏用キー
のオン・オフの組合せによって音高指定する際にKP
a、KPbは無視されて、演奏用キー2a、2bはオフ
であるものとみなされる。なお、図11は、演奏用キー
2aおよび2bの機能を楽音制御に用いる場合に使用す
る運指表を示している。この場合、CPU24は、Kp
a、KPbのKP値に応じて楽音制御データ、例えば、
コントロールチェンジやプログラムチェンジ情報を出力
する。このように、押圧力を検出しているキーの一部で
楽音制御データを決定し、その他のキーによって音高を
決定している。
【0054】(3)動作の詳細 次に図12および図13に示すフローチャートを参照し
て上記動作の詳細について説明する。まず、ディップス
イッチ103の設定を行う(S301)。ディップスイ
ッチ103の設定とは、1番目のスイッチDS1のオン
/オフの設定であり、スイッチDS1がオン状態のとき
は演奏用キー2aおよび2bは演奏用のハイトリルキー
として使用され、オフ状態のときは楽音制御のコントロ
ールキーとして使用される。
【0055】ここで、図14は、ディップスイッチ設定
処理を示すフローチャートであり、以下ディップスイッ
チ設定処理について説明する。まず、CPU24は、デ
ィップスイッチ103の入力を取り込む(S401)。
そして1番目のスイッチについてオン/オフのイベント
があるか否かを判定する(S402)。イベントがあっ
た場合はその1番目のスイッチがオンであるか否かを判
定し(S403)、オンであればHT=1とする(S4
04)。1番目のスイッチがオフである場合は、HT=
0とする(S405)。HTはフラグであり、演奏用キ
ー2aおよび2bを音高制御に用いる場合はHT=1
(スイッチSD1=オン)、楽音制御に用いる場合はH
T=0(スイッチDS1=オフ)として識別する。
【0056】HTフラグ処理(S404、S405)が
終了した後、あるいはステップS402において1番目
のスイッチDS1にオン/オフのイベントがなかった場
合は、ステップS406へ進み2番目からn番目のスイ
ッチ(DS2…DSn)の設定処理を行う。これらのス
イッチはそれぞれ割り当てられている機能指定等に用い
られる。各スイッチの処理はステップS401〜S40
5と同様であり、それぞれ異なるフラグが用いられる。
【0057】説明を図12のフローチャートに戻す。デ
ィップスイッチの設定が終了した後(S301)、CP
U24は、BP値を検出する(S302)。そして、B
P値が0か否かを判定し(S303)、BP値が0の場
合は、処理はステップS301に戻る。BP値が0でな
い場合は、CPU24はKPa、KPb……KPpの各
値を順次検出し(S304)、それぞれのオン・オフ状
態とROM25内のテーブル(運指表図5の内容)を参
照することにより得られたノートナンバー算出し変数n
ote numberに収納する(S305)。
【0058】次に、演奏用キー2aおよび2bのいずれ
か一方あるいは両方が操作されているか、すなわちKP
a、KPbが0であるか否かを判定する(S306)。
操作がされていない場合は、KPa=0、KPb=0で
あるのでステップS305で算出したノートナンバーに
影響はない。そこで処理はステップS309に進む。一
方操作がされている場合は、演奏用キー2aおよび2b
が音高指定に用いられるか、楽音制御に用いられるかに
よって楽音情報の種類が異なるため、ステップS307
へ進みHTフラグの判定をする(S307)。
【0059】ここでHT=1である場合は、演奏用キー
2aおよび2bは音高指定に用いられているので、ステ
ップS305で算出したノートナンバーに影響はない。
そこで処理はステップS309に進む。ステップS30
7においてHT=0の場合は、演奏用キー2aおよび2
bは楽音制御に用いられるので、KPa、KPbをオン
として算出したノートナンバーで出音すべきではない。
そこで、KPa、KPbの値にかかわらずKPa=0、
KPb=0として新たにノートナンバー(NN)を導出
し変数note numberに収納する(S30
8)。この場合のノートナンバーは、キー2a、2bを
除くキー2c〜2pのオンオフをもとにして図5で定ま
るテーブルTBUをもう一度参照して導出する。このよ
うにして出音されるノートナンバーが決定されると、ス
テップS309に進み、ノートナンバーを変数last
noteに収納し、変数last noteの内容を
ノートナンバーとしてノートオンを出力する(S31
0)。
【0060】次に、図13に示すステップS311に進
み、再度BP値を検出する。そして、BP値が0か否か
を判定する(S312)。ここで、BP値が0の場合
は、ノートオフを出力し(S313)、ステップS30
1に戻る。すなわち、演奏者が息の吹き込みを停止する
と消音のための楽音信号の消音開始を指示するノートオ
フが出力される(S313)。そしてその後、次の状態
検出を行うためステップS301に戻る。BP値が0で
ない場合は、BP値に応じた内容のコントロールチェン
ジを出力する(S314)。例えば、吹き込む圧力が強
い(BPが10に近い)ほど音量を上げ、圧力が弱い
(BPが1に近い)ほど音量を下げるコントロールチェ
ンジ(制御対象の種類である「音量」と、どのくらいに
するかのデータすなわち「レベル」をセットにしたも
の)を出力する。
【0061】次に、再びKPa、KPb……KPp値を
取り込み(S315)、オン・オフを検出するととも
に、運指表を参照することにより得られたノートナンバ
ーを変数note numberに収納する(S31
6)。そしてステップS306と同様に、演奏用キー2
aおよび2bのいずれか一方あるいは両方が操作されて
いるか否かを判定する(S317)。操作がされていな
い場合は、KPa=0、KPb=0であるのでステップ
S316で算出したノートナンバーに影響はないため処
理はステップS322へ進む。操作がされている場合
は、ステップS318に進みHTフラグの判定をする
(S318)。HT=1である場合は演奏用キー2aお
よび2bは音高指定に用いられているので、ステップS
305で算出したノートナンバーに影響はなく処理はス
テップS322に進む。
【0062】しかし、HT=0である場合は演奏用キー
2aおよび2bは楽音制御に用いられているのでステッ
プS319に進む。楽音制御は発音されている音のパラ
メータを変化させることを目的とするため、発音中の音
がないときは楽音制御をする必要がない。そこで、ステ
ップS319では発音中か否かが判定される。ここで
は、ステップS311と同様にBP値を検出して、BP
=0(息の吹き込みがない場合)であれば発音中ではな
いと判断される。発音中ではないと判断された場合は、
消音開始を指示するノートオフが出力され(S31
3)、次の状態検出を行うためステップS301に戻
る。
【0063】発音中である場合は楽音制御が必要とな
り、ここではMIDI規格のコントロールチェンジを出
力する(S320)。コントロールチェンジはコントロ
ールチェンジナンバー4のフットコントローラーとし、
パラメータとしてKPa、KPbのA/D値を出力す
る。これにより演奏者がキーを押下する圧力に応じた楽
音制御が行われる。これにより受け取る側の音源部24
1で設定された楽音制御の種類とレベルデータ(前記A
/D値)により定まる楽音制御がなされる。つまり音源
側のセッティングによっても、楽音制御対象が変更可能
となっている。
【0064】そして、ステップS308と同様に、KP
a、KPbの値にかかわらずKPa=0、KPb=0と
して発音すべきノートナンバーを算出して変数note
numberに収納し(S321)、ステップS32
2へ進む。次に、変数note numberと変数l
ast noteの内容を比較し(S322)、変数n
ote number=変数last noteでない
場合は、ステップS323に進み、変数note nu
mber=変数lastnoteである場合は、ステッ
プS326へ進む。
【0065】ステップS323に至る場合は、運指が変
更されて音高が変化したと判定された場合である。この
ステップS323においては、変数note numb
erの内容を変数last noteに収納する。そし
て、ステップS324に移って、ノートオフを出力す
る。これにより、それ以前の音高の楽音が停止される。
次に、変数last noteの内容をノートナンバー
としてノートオンとともに出力し(S325)、ステッ
プS326へ進む。
【0066】ステップS326において、CPU24
は、オンと判断された演奏用キーのうち一番下にあるキ
ーを検出し、一番下にあるキーのKP値を変数PP(図
示略)に収納する(S326)。次に、変数PPに応じ
てプレッシャー値を決定してアフタータッチ情報を出力
し(S327)、ステップS311に戻る。以後、BP
値が0となって(S312あるいはS319)ステップ
301に進まない限り、ステップS311〜ステップS
327が繰り返される。なおステップS326およびス
テップS327は、第1実施形態で説明したステップS
17に置換することでスラー制御を行うことも可能であ
る。以上の記載から、モード指定手段にて指定操作があ
った場合に、特定キー(2a、2b)の操作にて音高指
定以外の楽音制御パラメータを発生する楽音制御パラメ
ータ発生手段は、ROM25およびCPU24あるい
は、これらに加えて音源部241が該当する。そしてこ
こでの楽音制御パラメータは、ステップS320で発生
される制御データに当たる。上述した第3の実施形態に
おいては、音高を決定するキーの各々について押下状態
を検出する押下状態検出手段(CPU24)と、この押
下状態検出手段の検出値に基づいて前記各キー毎にオン
/オフを決定し、決定したオン/オフ状態に基づいて音
高を決定する音高決定手段(CPU24、ROM25内
のテーブル)と、前記押下状態検出手段が検出した前記
各キーの検出値のうち、所定のキー(一番下あるいは一
番上のキー)の検出値に基づいて、楽音を制御するため
の楽音制御信号(アフタータッチなど)を生成する楽音
制御信号生成手段(CPU24)とを具備している。し
たがって、所定のキーの押圧力を加減すると、これに対
応した楽音制御信号が楽音制御信号生成手段によって生
成されるので、例えば、ビブラート等の効果を簡単に楽
音に付与することができる。特に、前記楽音制御信号生
成手段が、一番下のキーの検出値に基づいて楽音制御信
号を生成した場合は、極めて演奏操作が極めて行い易い
という効果がある。
【0067】3−3.第3実施形態の変形 前述した第3実施形態では、楽音制御の態様として、上
記モード指定手段(ディップスイッチ)の指定操作がな
かった場合であって、音高を指定するキー(2a〜2
p)操作にて該キーに対応した音高指定操作がなされ、
該音高指定された楽音を楽音情報発生手段から発生する
ようにし、上記モード指定手段の指定操作があった場合
で、且つ特定キー(2a、2b)以外の操作時にも該キ
ー操作に対応した音高操作がなされ、該音高に指定され
た楽音を上記楽音情報発生手段から発生するようにする
とともに、上記モード指定手段にて指定操作があった場
合であって、上記特定キー操作をした場合、上記楽音制
御パラメータ発生手段から音高指定以外の楽音制御パラ
メータを発生して該パラメータで上記楽音情報発生手段
からの楽音を制御するようにしている。そして、この楽
音制御は、アナログ的に変化し得るものであった。即
ち、ある音高を有する楽音を発生中にHT=0もモード
にてハイトリルキーを操作した場合に発音中の楽音に音
色変更を含む各種効果制御を可能とするとともにどのく
らい制御するのかと言うレベル情報もKPa、KPbの
値によって制御可能にした。さらに、音高を決定するの
にアナログキーセンサの所定レベル値以上もしくは以下
を検出して各キーセンサのオンオフの組み合わせにて決
定された。しかしながら、上記楽音制御を行うのに、キ
ーセンサ2Sa〜2Spは、感圧センサである必要がな
く、単なる接点のオンオフスイッチであってもよい。こ
のようにすると、コントロールチェンジ情報としては、
効果のオンオフ(例えば、サステイン、リバーブ、ポル
タメントのオンオフ等)のみになるが、キーのセンシン
グ処理は単純化される。なお、ハイトリルキー2a,2
bを単なるスイッチとして構成した場合、キー2aは、
2bより操作しにくいので、メカ的に自己復帰的であっ
て電気的にプッシュオンプッシュオフスイッチ、キー2
bは、メカ的に自己復帰的であってプッシュオンリリー
スオフのいわゆるノンロックスイッチを配置するとよ
い。また、効果制御はコントロールチェンジ(ナンバー
4のフットコントローラー)としたがこれに限定され
ず、ピッチベンド、音量、音色、音量・音色、トレモロ
深さ、トレモロ速さ、ビブラートピッチ、サックス特有
のざらつき等でもよい。いずれの制御をおこなうかの選
択をディップスイッチによって行ってもよい。
【0068】4.第4実施形態 第4実施形態では、図10に示すオクターブキーU1、
U2、D1およびD2の機能を指定できる場合について
説明する。 4−1.第4実施形態の構成 まず第4実施形態の構成について説明するが、本実施形
態の構成は第3実施形態と同様であるためオクターブキ
ーU1、U2、D1およびD2以外の説明は省略する。
オクターブキーU1、U2、D1およびD2は、それぞ
れ演奏用キー2a…2pと同様の構成をしており、演奏
者がキーを押下した圧力に応じた各キーのA/D値を検
出することができる。以下各キーのA/D値をKPU
1、KPU2、KPD1、KPD2とする。また、オク
ターブキーU1、U2、D1およびD2の機能をディッ
プスイッチ103によって指定することができ、2番目
のスイッチDS2をオンとした場合をモード(M)1、
オフとした場合をモード(M)0とする。各モードにつ
いては後述する動作説明において詳述する。
【0069】4−2.第4実施形態の動作 次に図15、図16に示すフローチャートを用いて第4
実施形態の動作について説明する。まずディップスイッ
チの設定処理を行う(S501)。ディップスイッチ1
03の設定は、2番目のスイッチDS2のオン/オフ状
態からオクターブキーU1、U2、D1およびD2の機
能を指定することであり、スイッチDS2がオン状態の
ときはオクターブ変換およびコントロールチェンジを行
うモード(M1)であり、オフ状態のときはオクターブ
変換のみを行うモード(M0)である。
【0070】ここで、図17は、ディップスイッチ設定
処理を示すフローチャートであり、以下ディップスイッ
チ設定処理について説明する。まず、CPU24は、デ
ィップスイッチ103の入力を取り込む(S601)。
そして2番目のスイッチDS2がオン/オフのイベント
があるか否かを判定する(S602)。イベントがあっ
た場合はその2番目のスイッチDS2がオンであるか否
かを判定し(S603)、オンであればM=1とする
(S604)。2番目のスイッチDS2がオフである場
合は、M=0とする(S405)。Mは、モード1(ス
イッチSD2=オン)、モード2(スイッチDS1=オ
フ)を識別するためのフラグである。
【0071】Mフラグ処理(S604、S605)が終
了した後、あるいはステップS602において2番目の
スイッチDS2にオン/オフのイベントがなかった場合
は、ステップS606へ進み他のスイッチ(DS1、D
S3…DSn)の設定処理を行う。これらのスイッチは
それぞれ割り当てられている機能指定等に用いられる。
各スイッチの処理はステップS601〜S605と同様
であり、それぞれ異なるフラグが用いられる。
【0072】説明を図15のフローチャートに戻す。デ
ィップスイッチの設定が終了した後(S501)、CP
U24は、BP値を検出する(S502)。そして、B
P値が0か否かを判定し(S503)、BP値が0の場
合は、処理はステップS501に戻る。BP値が0でな
い場合は、CPU24はKPa、KPb……KPpの各
値を順次検出し(S504)、それぞれのオン・オフ状
態とROM25内のテーブル(運指表図5の内容)を参
照することにより得られたノートナンバー算出し変数n
ote numberに収納する(S505)。
【0073】次に、オクターブキーU1、U2、D1あ
るいはD2のいずれかが操作されているを判定する(S
506)。操作がされていない場合は、オクターブ変換
を行う必要がないのでステップS305で算出したノー
トナンバーに影響はない。そこで処理はステップS30
9に進む。一方オクターブキーU1、U2、D1あるい
はD2のいずれかが操作がされている場合は、オクター
ブを変換すべき指示がされていることになるので、ステ
ップ505において求めたノートナンバーと出音すべき
ノートナンバーは異なる。そこで、ステップS507へ
進みモードの判定を行う。
【0074】ここで、CPU24はモードに応じて異な
る処理を行うことになり、まずMフラグの判定をする
(S507)。M=1ではない、すなわちモード0の場
合はROM25に記憶されたモードM0用テーブルTB
L1を参照する(S508)。ここで図18は各モード
における処理に使用するテーブルを示した図である。テ
ーブルTBL1は、オクターブキーU1、U2、D1、
D2各々のオン(1)、オフ(0)の組み合わせによっ
て出力される数値を示している。例えば1行目の組み合
わせではオクターブキーD1のみがオン状態であり、出
力される値は−2である。出力される値は、オクターブ
変換される量を示し、−1であれば1オクターブ、−2
であれば2オクターブ下がり、+1であれば1オクター
ブ、+2であれば2オクターブ上がる。0はオクターブ
変換は行われない。なお、オクターブキーU1、U2、
D1、D2のオン/オフの決定はKP値が0の場合はオ
フとして1から10である場合をオンとするが、これに
限定されるものではない。
【0075】説明を図15のフローチャートに戻す。ス
テップS508ではテーブルTBL1を参照して得られ
た値は変数BUFに収納され、処理はステップS510
に進む。ステップS507においてM=1すなわちモー
ド1の場合はROM25に記憶されたモードM1用テー
ブルTBL2を参照する(S509)。図18に示すテ
ーブルTBL2は、オクターブキーU1、U2、D1、
D2各々のオン(1)、オフ(0)の組み合わせによっ
て出力される値あるいは楽音制御指示を示している。例
えば1行目の組み合わせではオクターブキーD1のみが
オン状態であり、この場合はオクターブキーD1のKP
値に応じたコントロールチェンジを出力すべきコード
(CNN)が出力されることを示している。コントロー
ルチェンジは例えばフットコントローラー(ナンバー
4)や音量のコントロール(ナンバー7)等である。ま
た、3行目の組み合わせではオクターブキーD2のみが
オン状態であり、この場合は出力される値は−1であ
る。すなわちモードM1では、D1あるいはU2がオン
状態の場合はオクターブキーは楽音制御(コントロール
チェンジ)に用いられ、D2のみあるいはU1のみがオ
ン状態の場合は1オクターブ変換処理を行う。そして、
TBL2を参照して得られた値は変数BUFに収納さ
れ、処理はステップS510に進む。
【0076】ステップS510では、変数BUFに収納
された値がオクターブデータであるか否かが判定され
る。オクターブデータとは、テーブルTBL1またはテ
ーブルTBL2を参照して得られた値が−2、−1、
0、+1、+2の何れかである場合をいう。そして、ス
テップS505で算出されたノートナンバーから変数B
UFの示す数値分だけオクターブ変換を行った出音をす
るためにステップS512へ進む。
【0077】一方、参照して得られた値がコントロール
チェンジを出力すべきコード(CNN)であった場合
は、変数BUFはオクターブデータとは判定されずステ
ップS511へ進み、変数BUF=0とする。この段階
では発音がまだなされていないため、コントロールチェ
ンジすべき出音が存在しない。そこで変数BUFに収納
されているコードは無視され、ステップS505で算出
されたノートナンバーで最初の出音がされるものとす
る。そして、次のステップS512では変数BUFに収
納された値を用いてこれから出音すべきノートナンバー
を算出するため、変数BUFに0を収納する(S51
1)。
【0078】次に、ステップS512におけるノートナ
ンバー算出処理を説明する。ステップS505で算出さ
れたノートナンバーは変数note numberに収
納されている。また、変換されるべきオクターブ量は変
数BUFに収納されている(S508、S509参
照)。そこで、出音すべきノートナンバーは次式によっ
て算出され、変数last noteに収納される。 last note=note number+12*BUF …(数1)
【0079】例えば、note number=60
(ド:C3)、BUF=+1であった場合、last
note=60+12×1=72(ド:C4)となり、
1オクターブ上がったノートナンバーで出音されること
になる。また、note number=60(ド:C
3)、BUF=−2であった場合、last note
=60+12×(−2)=36(ド:C1)となり、2
オクターブ下がったノートナンバーで出音されることに
なる。また、note number=60(ド:C
3)、BUF=0であった場合、last note=
60+12×0=60(ド:C3)となり、オクターブ
変換は行われないことになる。
【0080】次に次回のノートナンバー算出のために変
数BUFに0を収納する(S513)。変数BUFに今
回収納した値がそのままになった場合は、次回の各キー
の状態検出の結果オクターブキーが操作されていない場
合でもオクターブ変換が行われてしまうからである(後
述するステップS519〜S528参照)。そして変数
last noteをノートナンバーとしてノートオン
を出力する(S514)。
【0081】フローチャートは図16に移り、ステップ
S515では、2回目の状態検出が行われる。すなわ
ち、CPU24は再度BP値を検出し(S515)、B
P値が0か否かを判定する(S516)。ここでBP値
が0の場合は、消音を指示するためのノートオフを出力
し(S517)、初期段階(S501)へ戻る。一方ス
テップS516で検出されたBP値が0でない場合は、
BP値に応じたコントロールチェンジを出力し(S51
9)、次に再び各オクターブキーのKP値(KPUI、
KPU2、KPD1、KPD2)を取り込む(S51
9)。次に、ステップS506と同様にオクターブキー
U1、U2、D1あるいはD2のいずれかが操作されて
いるを判定する(S520)。操作がされていない場合
は、オクターブ変換を行う必要がないので次のステップ
S327で算出するノートナンバーを変更する必要はな
い。すなわち、先に説明したステップS513で変数B
UFに0を収納したままでよい。一方オクターブキーU
1、U2、D1あるいはD2のいずれかが操作がされて
いる場合は、オクターブを変換すべき指示がされている
ことになるので、ステップ527において求めるノート
ナンバーと出音すべきノートナンバーは異なる。
【0082】ステップS521ないしS523は上述の
ステップS507ないしS509と同様であるため説明
は省略する。ステップS522あるいはS523におい
て変数BUFに収納された値がオクターブデータである
場合は(S524)、ステップS527に進む。しか
し、ステップS524において変数BUFに収納された
値がコントロールチェンジを出力すべきコードであった
場合は、オン状態を検出したオクターブキーのKP値
(例えばKPU1)に応じたコントロールチェンジを出
力する(525)。この処理により、ステップS514
での出音を変化することができる。そしてオクターブ変
換が行われないように変数BUFに0を収納し(S52
6)。ステップS257へ進む。
【0083】ステップS527では、再度各演奏用キー
のKP値が検出され、その値に応じて運指表からノート
ナンバーが算出され変数note numberに収納
される。そして、前述の数式1を用いて算出されたノー
トナンバーが変数control noteに収納され
る(S528)。変数control noteとは、
現在出音されているノートナンバーと今回の検出によっ
て算出されたノートナンバーを比較するための変数であ
り、control note=last noteで
はない場合は(S529)、出音中の音高が変更されて
いるので消音して新たなノートナンバーで出音をする必
要があるため、ステップS530に進む。ステップS5
30では、変数last noteに変数contro
l noteの値を収納する。そしてノートオフを出力
する(S531)。そして、last noteをノー
トナンバーとしてノートオンを出力し(S532)ステ
ップS533へ進む。ステップS529においてcon
trol note=last noteである場合
は、出音中の音高が変更されていないので消音して新た
な出音をする必要がなく、そのままステップS533に
進む。
【0084】ステップS533において、CPU24
は、オンと判断された演奏用キーのうち一番下にあるキ
ーを検出し、一番下にあるキーのKP値を変数PP(図
示略)に収納する。次に、変数PPに応じてプレッシャ
ー値を決定してアフタータッチ情報を出力し(S53
4)、ステップS515に戻る。以後、BP値が0にな
るまで、ステップS515〜ステップS534が繰り返
される。なおステップS533およびステップS534
は、第1実施形態で説明したステップS17に置換する
ことでスラー制御を行うことも可能である。
【0085】4−3.第4実施形態の変形例 コントロールチェンジによって出力されるコントロール
チェンジナンバーは予め定められていても選択できるよ
うにしてもよい。その場合ディップスイッチ103の設
定によって選択できるようにする。また、上述の説明で
はオクターブキーU1、U2、D1、D2は圧力スイッ
チとしたが、単にオン・オフを検出できるだけのスイッ
チでもよい。例えば、機械的な接点スイッチでも光学的
なスイッチでもよい。しかしこの場合は、テーブルTB
L2において指定されるコントロールチェンジのパラメ
ータは2値となる。以上のように、第4実施形態は、第
3実施形態における楽音制御パラメータ発生手段が発生
する楽音制御パラメータを、オクターブ単位の音高変更
を指示するパラメータとしている。この結果、特定キー
(U1、U2、D1、D2)を操作するだけで、音高を
オクターブ単位で一気に変化させることができる。
【0086】5.変形例 なお、本発明は既述した実施形態に限定されるものでは
なく、以下のような各種の変形が可能である。
【0087】上記実施形態においては、演奏用キーの操
作態様に応じた楽音特性の制御がなされるよう構成され
ているが、制御をキャンセルするスイッチを設け、操作
態様を適宜変化させるのが困難な初心者にも操作が容易
であるようにしてもよい。
【0088】また、操作態様の制御は、演奏用キーの押
圧を検出することにより行っているが、これに限らずキ
ーを押下するストロークや速度を検出するようにしても
よい。上記実施形態では、KP値が1から10の場合を
オンと判断し、0の場合にオフと判断しているが、オン
・オフの範囲は適宜設定すればよく、また、その範囲を
演奏者が任意に可変できるようにしてもよい。例えば、
KP値が8以上になった場合にオンと判断し、その後3
以下になったらオフと判断してもよい。この場合に、ス
ラー制御はオンからオフの値の間で補間を行うようにす
ればよい。
【0089】また、KP値は0から10としているが、
これに限られず、例えば、0から100などの値にして
もよい。KP値が細分化されるほど、微細な制御が可能
となる。
【0090】なお、種々の管楽器をシミュレートできる
ように、運指表を複数記憶するとともに運指表を選択可
能にし、これに基づいて音高を決定するようにしてもよ
い。また、その場合には、音高を決定する演奏用キーの
数が、シミュレートする楽器によって異なる場合もある
が、演奏用キーが少ない楽器の場合には、余ったキーを
楽音制御信号生成用のキーとして用いることができる。
【0091】また、上記実施形態では音高指定には運指
表を記憶したものを用いたが、これに限らずダイオード
マトリクス等の論理回路を用いてもよい。
【0092】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
特定キーの機能を切り替えることができるようにするこ
とにより、音色・音量・音高などの制御が容易にでき
る。これにより、演奏性を向上させ、多彩な表現が可能
な電子管楽器を提供することが可能となる。また、本発
明によれば、特定キーの機能が指定できるので、例え
ば、より本物の管楽器に近い運指を使いたい場合には、
特定キーを音高指定用として用いることができる一方、
演奏表現力を高めたい場合には、特定キーを楽音制御用
として用いることができるといったように、特定キーの
機能を、ユーザの好みに応じて設定することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態における電子管楽器の外観構成
を示した図である。
【図2】 第1実施形態における電子管楽器の構成を示
したブロック図である。
【図3】 第1実施形態における電子管楽器の断面図で
ある。
【図4】 キーセンサの検出回路を示す図である。
【図5】 第1実施形態で使用する運指表を示す図であ
る。
【図6】 第1実施形態におけるCPU24の処理を示
すフローチャートである。
【図7】 KP値とシフト量の関係を表すグラフであ
る。
【図8】 KP値の変化と、音高の変化を例示したグラ
フである。
【図9】 第2実施形態におけるCPU24の処理を示
すフローチャートである。
【図10】 第3実施形態における電子管楽器の外観構
成を示した図である。
【図11】 演奏用キー2aおよび2bの機能を楽音制
御に用いる場合に使用する運指表を示す図である。
【図12】 第3実施形態におけるCPU24の処理を
示すフローチャートである。
【図13】 第3実施形態におけるCPU24の処理を
示すフローチャートである。
【図14】 第3実施形態におけるディップスイッチ設
定処理を示すフローチャートである。
【図15】 第4実施形態におけるCPU24の処理を
示すフローチャートである。
【図16】 第4実施形態におけるCPU24の処理を
示すフローチャートである。
【図17】 第4実施形態におけるディップスイッチ設
定処理を示すフローチャートである。
【図18】 各モードにおける処理に使用するテーブル
を示した図である。
【符号の説明】
1・・マウスピース、2a、2b、2c……2o、2p
・・演奏用キー、103・・機能切換えスイッチ、21
・・ブレスセンサ、2Sa、2Sb……2Sp・・キー
センサ、23・・A/D変換器、24・・CPU、25
・・ROM、3・・機能切換えスイッチ、31・・ボデ
ィ、33a・・キーシャフト、34a・・リターンスプ
リング、35a・・ロッド、41・・固定抵抗、42・
・アナログスイッチ、43・・ダイオード。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 口操作子と、音高を指定するキー群と、
    このキー群の押下状態を検出する押下状態検出手段と、
    上記口操作子の操作情報及び上記検出手段で検出された
    押下情報に対応して音高情報を有する楽音情報を発生す
    る楽音情報発生手段と、 からなる電子管楽器において、 上記キー群のうち特定のキーを音高指定とは異なる楽音
    制御用キーとして設定するモード指定手段と、このモー
    ド指定手段にて指定操作があった場合に、該特定キー操
    作にて音高指定以外の楽音制御パラメータを発生する楽
    音制御パラメータ発生手段と、楽音を制御する楽音制御
    手段とを備え、該楽音制御手段は、上記モード指定手段
    の指定操作がなかった場合であって、音高を指定するキ
    ー操作にて該キーに対応した音高指定操作がなされ、該
    音高指定された楽音を上記楽音情報発生手段から発生す
    るようにし、上記モード指定手段の指定操作があった場
    合で、且つ特定キー以外の操作時にも該キー操作に対応
    した音高指定操作がなされ、該音高に指定された楽音を
    上記楽音情報発生手段から発生するようにするととも
    に、上記モード指定手段にて指定操作があった場合であ
    って、上記特定キー操作をした場合、上記楽音制御パラ
    メータ発生手段から音高指定以外の楽音制御パラメータ
    を発生して該パラメータで上記楽音情報発生手段からの
    楽音を制御するようにした楽音制御手段であることを特
    徴とする電子管楽器。
  2. 【請求項2】 前記特定キーは、オクターブ単位の音高
    指定を指示することを特徴とする請求項1に記載の電子
    管楽器。
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JP2016177119A (ja) * 2015-03-20 2016-10-06 カシオ計算機株式会社 電子管楽器、楽音制御方法、およびプログラム
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