JP2003161339A - 摩擦材 - Google Patents

摩擦材

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JP2003161339A
JP2003161339A JP2001359340A JP2001359340A JP2003161339A JP 2003161339 A JP2003161339 A JP 2003161339A JP 2001359340 A JP2001359340 A JP 2001359340A JP 2001359340 A JP2001359340 A JP 2001359340A JP 2003161339 A JP2003161339 A JP 2003161339A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フェード特性が良好でノイズ発生の少なくな
る可能のある摩擦材を提供する。 【解決手段】 繊維基材、摩擦調整材、結合材及び無機
充填材よりなる摩擦材において、無機充填材の一成分と
して隆起風化造礁サンゴを機械的に粉砕して得られる炭
酸カルシウムの粉末を配合したことを特徴とする摩擦
材。前記炭酸カルシウムの粉末が、摩擦材全体の5〜6
5重量%配合されていることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭酸カルシウムの
粉末を使用する摩擦材に関するものであり、特に産業機
械、鉄道車両、荷物車両、乗用車などに用いられるフェ
ード特性が向上した摩擦材に関するものであり、より具
体的には前記の用途に使用されるブレーキパッド、ブレ
ーキライニング、クラッチフェーシング等に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】ディスクブレーキやドラムブレーキなど
のブレーキ、或いはクラッチなどに使用される摩擦材
は、摩擦作用を与え、かつその摩擦性能を調整する摩擦
調整材、補強作用をする繊維基材、これらの成分を一体
化する結合材などの材料からなっている。そのうちの繊
維基材には、金属繊維、無機繊維、有機繊維などの種類
があり、それぞれの特徴があり、1種類ではすべての要
求を満足することができないので、通常2種類以上のも
のが組み合わされて使用されている。
【0003】一方、摩擦材の摩擦特性を調整する材料と
しては摩擦調整材及び固体潤滑材があるが、これらにも
無機系と有機系とがあり、それぞれの特徴があり、1種
類ではすべての要求を満足することができないので、通
常2種類以上のものが組み合わせて使用されている。そ
して、摩擦調整材としては、例えばアルミナやシリカ、
マグネシア、ジルコニア、酸化クロム、石英等の無機摩
擦調整材、合成ゴムやカシュー樹脂等の有機摩擦調整材
を、固体潤滑材としては、例えば黒鉛や二硫化モリブデ
ン等を挙げることができる。
【0004】また、充填材として、硫酸バリウム、炭酸
カルシウム、金属粉、バーミキュライト、マイカなどが
用いられている。ところで、摩擦材のフェード特性は、
摩擦材の気孔率に大きく影響を受けるため、気孔率を高
くできる材料が充填材に対して求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本来制動用の摩擦材に
要求される主要特性は、安定した摩擦特性、耐熱性、耐
摩耗性などである。これら要求特性のうち摩擦特性につ
いては、従来の技術でほぼ満足できるレベルまで改良が
なされ、とりわけ繊維質を基材とする摩擦材は良好な性
能を示す。しかし、最近はフェード特性が良好で相手材
攻撃性が小さく、ノイズ性も向上し、さらに低コストの
摩擦材の供給が強く望まれている。本発明では、上述の
特性を備えた摩擦材を提供するため、無機充填材として
不規則な凸凹を持ち、気孔率が大きく、粒子間空隙が生
じやすい粒子を使用することにより、その大きい気孔率
を利用して、良好なフェード特性が得られる摩擦材を得
ようとするものである。すなわち、本発明は、良好なフ
ェード特性、ノイズ性及び低コスト性を備えた摩擦材を
提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記の課
題により、従来の石灰石由来の炭酸カルシウムよりも高
い気孔率を有し、良好なフェード特性を発揮するカルシ
ウム化合物について種々研究した。そして隆起風化造礁
サンゴを機械的に粉砕して製造した炭酸カルシウムは、
石灰石を機械的に粉砕して製造した炭酸カルシウムに比
べ、気孔率が大きく、粒子間に空隙が容易に形成される
ことに着目して本発明に到達した。
【0007】すなわち、本発明は、下記の手段により、
上記の課題を解決した。 (1)繊維基材、摩擦調整材、結合材及び無機充填材よ
りなる摩擦材において、無機充填材の一成分として隆起
風化造礁サンゴを機械的に粉砕して得られる炭酸カルシ
ウムの粉末を配合したことを特徴とする摩擦材。 (2)前記炭酸カルシウムの粉末が、摩擦材全体の5〜
65重量%配合されていることを特徴とする前記(1)
記載の摩擦材。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。本発明において使用する隆起風化造礁サンゴにつ
いて、従来の石灰石系炭酸カルシウムとの対比も混じえ
て以下に説明する。本発明は、摩擦材の原材料として、
隆起風化造礁サンゴを機械的に粉砕して製造した炭酸カ
ルシウム(以下「サンゴカルシウム」ともいう)を用い
た摩擦材である。サンゴカルシウムは、元の造礁サンゴ
の構造に由来して無数の空孔が開いており、かつ、不規
則な凸凹をもっているため、それを機械的に粉砕して製
造した粉末も、石灰石を機械的に粉砕して製造した炭酸
カルシウム(以下「石灰石炭酸カルシウム」、あるいは
「石灰石カルシウム」ともいう)と比べ、1)気孔率が
大きい(およそ12%)、2)粒と粒の間に空隙ができ
るという特徴がある。
【0009】摩擦材に使用する上記のサンゴカルシウム
の配合割合を5〜65重量%としたのは、5重量%未満
ではフェードに関する合否の判定基準である、フェード
率75%以上という判定基準を満たし難いからである。
一方、サンゴカルシウムの配合割合が65重量%を越え
ると、摩擦材の成形が困難になるからである。
【0010】本発明の摩擦材を製造するには、繊維基
材、摩擦調整材、潤滑材、充填材、結合材からなる摩擦
材用諸原料を配合し、その配合物を通常の製法に従って
予備成形し、熱成形することにより製造することができ
る。上記において、繊維基材としては、例えば芳香族ポ
リアミド繊維、耐炎化アクリル繊維等の有機繊維や銅繊
維、スチール繊維等の金属繊維、チタン酸カリウム繊維
やAl23−SiO2系セラミック繊維等の無機繊維が
挙げられる。無機充填材としては、例えば銅やアルミニ
ウム、亜鉛等の金属粒子、バーミキュライトやマイカ等
の鱗片状無機物、硫酸バリウムや炭酸カルシウム等があ
げられる。
【0011】結合材としては、例えばフェノール樹脂
(ストレートフェノール樹脂、ゴム等による各種変性フ
ェノール樹脂を含む)、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、
ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができ
る。また、摩擦調整材としては、例えばアルミナやシリ
カ、マグネシア、ジルコニア、酸化クロム等の金属酸化
物、合成ゴムやカシュー樹脂等の有機摩擦調整材を、固
体潤滑材としては、例えば黒鉛や二硫化モリブデン等を
挙げることができる。摩擦材の組成としては、種々の組
成割合を採ることができる。すなわち、これらは、製品
に要求される摩擦特性、例えば、摩擦係数、耐摩耗性、
振動特性、鳴き特性等に応じて、単独でまたは2種以上
を組み合わせて配合すればよい。
【0012】ディスクブレーキ用ブレーキパッドの製造
工程は、板金プレスにより所定の形状に形成され、脱脂
処理及びプライマー処理が施され、そして、接着剤が塗
布されたプレッシャープレートと、耐熱性有機繊維や金
属繊維等の補強繊維と、無機・有機充填材、摩擦調整材
及び結合材等の摩擦材の原料を配合し、攪拌により十分
に均質化した原材料を常温にて所定の圧力で成形(予備
成形)して作製した予備成形体とを、熱成形工程におい
て所定の温度及び圧力で熱成形して両部材を一体に固着
し、アフタキュアを行い、最終的に仕上げ処理を施すこ
とからなるが、それまでの工程は従来法と同一である。
【0013】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定される
ものではない。
【0014】実施例1〜3及び比較例1〜3 1)摩擦材の配合 石灰石炭酸カルシウム(平均粒径3μm)をそれぞれ、
5、30、65重量%用いたベース材1〜3に基づい
て、サンゴカルシウム(平均粒径3μm)を用いた摩擦
材の配合を行った。配合割合を第1〜3表に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】2)製造方法 上記の配合材料を、通常の工程である、攪拌、予備成
形、熱成形、アフタキュア、研磨等の工程を経て、摩擦
材完成品を得た。 3)気孔率の測定 実施例及び比較例によって得られた摩擦材に対して、気
孔率の測定(オイル含浸法、JISD4418)を行っ
た。その測定結果を第4表に示す。サンゴカルシウムを
用いた実施例は、石灰石炭酸カルシウムを用いた比較例
に比べて気孔率が大きくなった。なお、サンゴカルシウ
ムの配合量が5重量%未満の場合は、気孔率は、サンゴ
カルシウムを全く含まないものと大きな差はなかったた
め、サンゴカルシウムの配合量は5重量%以上であるこ
とが好ましい。
【0019】
【表4】
【0020】4)フェード特性 テストピース慣性型のスケールテスターを用いて性能試
験(JASO C406に従う)を行い、第1フェード
試験時における、フェード率を測定した。ここで、フェ
ード率は以下のように定義する。 フェード率(%)=〔フェード試験における最低μ/フ
ェード試験の制動1回目のμ(60℃)〕×100 試験結果を第5表に示す。
【0021】
【表5】
【0022】ここで、フェードに関する合否の判定基準
は、フェード率が75%以上である。石灰石炭酸カルシ
ウムを用いた比較例はこの判定基準を満たさないのに対
して、サンゴカルシウムを用いた実施例は、この判定基
準を満たしていた。なお、サンゴカルシウムの配合量が
5重量%に満たないものは、サンゴカルシウムを全く含
まないものと大きな差はないため、サンゴカルシウムの
配合量は5重量%以上であることが好ましい。
【0023】5)サンゴカルシウムの配合割合の上限 サンゴカルシウムの配合割合が、65重量%を越える
と、成形が困難になるため、サンゴカルシウムの配合量
は65重量%以下が好ましい。なお、サンゴカルシウム
はその平均粒径が1〜200μmのものが好ましい。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、得られる摩擦材は、無
機充填材成分の一部として隆起風化造礁サンゴより製造
した炭酸カルシウム(サンゴカルシウム)を配合したも
のであり、それから得られた摩擦材は、気孔率が高いの
で、フェード特性が向上し、優れた特性を有する。
フロントページの続き (72)発明者 佐々木 要助 埼玉県羽生市東5丁目4番71号 株式会社 曙ブレーキ中央技術研究所内 Fターム(参考) 3J058 BA34 FA01 FA11 FA21 FA31 GA35 GA73 GA81 GA88 GA92 GA93

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維基材、摩擦調整材、結合材及び無機
    充填材よりなる摩擦材において、無機充填材の一成分と
    して隆起風化造礁サンゴを機械的に粉砕して得られる炭
    酸カルシウムの粉末を配合したことを特徴とする摩擦
    材。
  2. 【請求項2】 前記炭酸カルシウムの粉末が、摩擦材全
    体の5〜65重量%配合されていることを特徴とする請
    求項1記載の摩擦材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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