JP2003160973A - 柱と梁との接合部の構造 - Google Patents

柱と梁との接合部の構造

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JP2003160973A JP2001359243A JP2001359243A JP2003160973A JP 2003160973 A JP2003160973 A JP 2003160973A JP 2001359243 A JP2001359243 A JP 2001359243A JP 2001359243 A JP2001359243 A JP 2001359243A JP 2003160973 A JP2003160973 A JP 2003160973A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンクリート充填鋼管からなる柱と鉄筋コン
クリートからなる梁とを接合する際に、現場における作
業を少なくできるとともに、梁と柱との相互間で力が確
実に伝達され、また、このコンクリート充填鋼管からな
る柱を構芯柱として地下構造物を構築するのに好適な、
柱と梁との接合部の構造を提供する。 【解決手段】 コンクリート充填鋼管からなる柱2と鉄
筋コンクリートからなる梁3,4との接合部1の構造に
おいて、柱2の側面に取り付く梁3,4の端部の上端筋
5A,5Bまたは下端筋6A,6Bが溶接された鉄筋溶
接板9,10を、柱2の外側面に設けられた上ダイヤフ
ラム21と下ダイヤフラム22とにそれぞれ接合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート充填
鋼管からなる柱と鉄筋コンクリートからなる梁との接合
部の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】コンクリート充填鋼管(CFT:Concre
te-Filled Tube)からなる柱と、鉄筋コンクリート(R
C:Reinforced Concrete)からなる梁とを組み合わせ
た構造物では、柱の外郭に、コンクリートに比して剛性
や強度の大きい鋼管が位置するので、柱を強靱にするこ
とができる。またこの鋼管が、その内部に充填されるコ
ンクリートの型枠の役目を兼ねるので、構造物の工期短
縮を図ることができる。
【0003】上記のように、それぞれ異種の構造からな
る柱と梁とを組み合わせた構造物では、梁と柱との相互
間で力を確実に伝達させる必要がある。CFTからなる
柱とRCからなる梁とを接合する場合には、RCからな
る梁の軸筋(上端筋および下端筋)の軸方向力とコンク
リートの圧縮力やせん断力を、CFTからなる柱へ確実
に伝達することのできる接合部の構造が必要とされる。
CFTからなる柱とRCからなる梁との接合部の従来の
例を、図9に示す。RC梁の軸筋の軸方向力をCFT柱
に伝達させる方法としては、CFT柱の外郭を構成する
鋼管102Tのダイヤフラムに溶接するのが一般的であ
る。しかし、現場で施工される溶接の品質は、天候、作
業環境や作業員の手腕などによってバラツキが生じやす
く、品質管理が難しい。そこで、図9に示すように、R
C梁103端部の軸筋105,106をCFT柱の鋼管
102Tの外ダイヤフラム121,122に鉄骨工場な
どで予め溶接しておき、この状態に形成されたCFT柱
102の鋼管102Tを現場に搬送し、すでにCFT柱
102の側面の外ダイヤフラム121,122に溶接さ
れている軸筋105,106に、RC梁中央部の軸筋1
31,132を、スプライススリーブ継手やねじ継手な
どの機械式継手116で接合することが考えられる。R
C梁のコンクリートの圧縮力をCFT柱に伝達させる方
法としては、CFT柱の外郭を構成する鋼管102Tの
側面に取り付けられたスタッドボルト(ジベル)125
を介して、RC梁103のコンクリート103Cから圧
縮力やせん断力をCFT柱220の鋼管102Tに伝達
させるのが通例である。
【0004】しかし、この方法では、CFT柱102の
鋼管102Tを鉄骨工場などから現場に搬送する際に、
鋼管102Tの側面から突出するように鉄筋105,1
06が取り付けられているので、取り回しが非常に難し
くなってしまう。また、CFT柱102の鋼管102T
の側面に、多数個のスタッドボルト(ジベル)125を
溶接するので、その作業に多くの手間を要する。
【0005】また、供用中の地上構造物の下に新たに地
下構造物を構築する際や、地下部分と地上部分とを有す
る構造物を、地上部分を構築しながら地下部分を同時に
逆打ち工法で構築する場合などにおいては、まず地盤中
に、地上構造物(構造物の地上部分)を支持する構芯柱
を設置し、この構芯柱を、山止め壁を支える切梁の支持
杭として利用しながら、徐々に地盤を掘り下げて、地下
構造物を構築していく。この構芯柱は、最終的に構築さ
れる地下構造物(構造物の地下部分)の本設柱となる。
このような地下構造物(構造物の地下部分)に、上記の
構造を適用しようとすると、CFTの鋼管の側面から鉄
筋が突出していることによってCFTの鋼管の搬送時の
取り回しが困難になるばかりでなく、構芯柱となるCF
Tの鋼管を地盤中に設置する際に、その表面から突出す
る上記鉄筋の長さだけ、この構芯柱を設置するために掘
削されるボーリング孔の径(図9のW2)を大きくしな
ければならない。このため、建設費用が高くなったり、
工期が長くなってしまう問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、コン
クリート充填鋼管からなる柱と鉄筋コンクリートからな
る梁とを接合する際に、現場における作業を少なくでき
るとともに、梁と柱との相互間で力が確実に伝達され、
また、このコンクリート充填鋼管からなる柱を構芯柱と
して地下構造物を構築するのに好適な、柱と梁との接合
部の構造を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
め、請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図4に示す
ように、コンクリート充填鋼管からなる柱(CFT柱)
2と鉄筋コンクリートからなる梁(RC梁)3,4との
接合部1の構造において、前記柱2の側面に取り付く前
記梁3,4の端部の上端筋5A,5Bまたは下端筋6
A,6Bが溶接された鉄筋溶接板9,10が、前記柱2
の外側面に設けられた上ダイヤフラム21と下ダイヤフ
ラム22とにそれぞれ接合されていることを特徴とす
る。
【0008】請求項1に記載の発明によれば、コンクリ
ート充填鋼管からなる柱2の側面に取り付く鉄筋コンク
リートからなる梁3,4の端部の上端筋5A,5Bまた
は下端筋6A,6Bが鉄筋溶接板9,10にあらかじめ
溶接されているので、この鉄筋溶接板9,10を柱2の
外側面に設けられた上ダイヤフラム21や下ダイヤフラ
ム22にボルトなどで接合すれば、現場において梁3,
4の端部の上端筋5A,5Bや下端筋6A,6Bを柱2
の上ダイヤフラム21と下ダイヤフラム22などに接合
する際の、溶接作業が不要となる。また、柱2の鋼管2
Tを鉄骨工場などから現場に搬送する際に、柱2の側面
に梁3,4の端部の上端筋5A,5Bや下端筋6A,6
Bがすでに取り付けられた状態で搬送する場合に比べ
て、柱2の取り回しを行いやすい。また、この柱と梁と
の接合部1の構造が、柱2(または柱2の鋼管2T)を
構芯柱とした地下構造物の構築に適用される場合には、
柱の側面に梁の端部の上端筋や下端筋がすでに取り付け
られている場合よりも、この構芯柱(柱2(または柱2
の鋼管2T))を設置するために掘削するボーリング孔
の径W1が小さくて済む。
【0009】請求項2に記載の発明は、例えば図1、図
2に示すように、請求項1に記載の柱と梁との接合部1
の構造において、前記柱2の側面には、前記上ダイヤフ
ラム21と下ダイヤフラム22とに接合されたスチフナ
23,24が取り付けられていることを特徴とする。こ
こで、スチフナ23,24の柱2側の側端面、上端面、
下端面は、それぞれ、柱2の鋼管2Tの表面、上ダイヤ
フラム23の下面、下ダイヤフラム24の上面に、工場
などで溶接されることによって接合されている。
【0010】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明と同様の効果が得られるとともに、柱2の
側面には、上ダイヤフラム21と下ダイヤフラム22と
を連結するスチフナ23,24が取り付けられているの
で、柱2と梁3との接合部1にせん断力が入力したとき
に、上ダイヤフラム21の下面または下ダイヤフラム2
2の上面が梁3(または4)のコンクリート3Cの圧縮
力を受け、この力が上ダイヤフラム21や下ダイヤフラ
ム22に接合されたスチフナ23の面内を経て、さらに
スチフナ23の側端面が取り付く柱2の側面に伝達され
る。したがって、梁3(または4のコンクリート3Cの
圧縮力を柱2に伝達させるために、柱の側面にスタッド
ボルト(ジベル)などを格別設ける必要がない。
【0011】請求項3に記載の発明は、例えば図1に示
すように、請求項1または2に記載の柱と梁との接合部
1の構造において、前記各鉄筋溶接板9,10は、前記
上ダイヤフラム21または下ダイヤフラム22に、ボル
ト(高力ボルト)15により接合されていることを特徴
とする。ここで、ボルトによる接合としては、高力ボル
トを利用した摩擦接合や、ボルトのせん断耐力を利用し
た支圧接合などが挙げられる。
【0012】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
または2に記載の発明と同様の効果が得られるととも
に、各鉄筋溶接板9,10は、上ダイヤフラム21また
は下ダイヤフラム22に、ボルト15により接合されて
いるので、現場でこれらを互いに接合する際に、作業を
簡単に行える。また、ボルト15の本数を適宜設定する
ことで、梁3,4の端部の上端筋5A,5Bや下端筋6
A,6Bの軸方向力を、柱2へ確実に伝達することがで
きる。
【0013】請求項4に記載の発明は、例えば図1、図
2に示すように、請求項2に記載の柱と梁との接合部1
の構造において、前記スチフナ23,24は、前記柱2
の側面に取り付く前記梁3,4の軸方向と並行するよう
に配置され、前記各鉄筋溶接板9,10は、前記上ダイ
ヤフラム21または下ダイヤフラム22に突き合わされ
た状態で、添接板11〜14を介してボルト(高力ボル
ト)15により接合され、前記添接板12,14の前記
柱2側の端面の一部には切欠部12c,14cが形成さ
れ、この切欠部12c,14cに前記スチフナ24の側
端部が挿入されていることを特徴とする。ここで、ボル
トによる接合としては、高力ボルトを利用した摩擦接合
や、ボルトのせん断耐力を利用した支圧接合などが挙げ
られる。
【0014】請求項4に記載の発明によれば、請求項2
に記載の発明と同様の効果が得られるとともに、各鉄筋
溶接板9,10は、前記上ダイヤフラム21または下ダ
イヤフラム22に突き合わされた状態で、添接板11〜
14を介してボルト15により接合されているので、現
場でこれらを互いに接合する際に、作業を簡単に行え
る。また、ボルト15の本数や添接板11〜14の面積
を適宜設定することで、梁3,4の端部の上端筋5A,
5Bや下端筋6A,6Bの軸方向力を、柱2へ確実に伝
達することができる。また、スチフナ23,24が、柱
2の側面に取り付く梁3,4の軸方向と並行するように
配置されているとともに、添接板12,14の柱2側の
端面の一部には切欠部12c,14cが形成され、この
切欠部12c,14cにスチフナ24の側端部が挿入さ
れているので、上ダイヤフラム21と下ダイヤフラム2
2との間に幅の大きなスチフナ23,24を設けつつ、
ボルト15による接合を行うために必要となる、上ダイ
ヤフラム21または下ダイヤフラム22の表面上で添接
板12,14が重なる部分の面積を十分に確保できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の柱と梁との接合
部の構造の実施の形態を、図面に基づいて説明する。図
1は、本実施の形態の柱梁接合部1の構造を示す、縦断
面図であり、図2は、図1におけるA−A断面図(横断
面図)である。
【0016】本実施の形態の柱と梁との接合部1の構造
は、図2に示すように、CFT柱(コンクリート充填鋼
管からなる柱)2の側面4方向に、RC梁(鉄筋コンク
リートからなる梁)3,4が取り付く接合部1の構造で
ある。CFT柱2は、円形の鋼管2Tの内部に、コンク
リート2Cが充填されて構成されており、接合部1の上
方および下方において鋼管2Tの内部に内ダイヤフラム
が設けられることによって、鋼管2Tとコンクリート2
Cとの一体性が確保されている。
【0017】この柱と梁との接合部1の構造では、CF
T柱2の上ダイヤフラム21と下ダイヤフラム22の側
端面に、RC梁3,4の端部の上端筋5A,5Bまたは
下端筋6A,6Bが溶接された鉄筋溶接板9と10(図
3、図4参照)がそれぞれ突き合わされ、この突き合わ
せ部分の上下面に鉄筋溶接板9と10(図5、図6参
照)を添接したうえ、高力ボルト(ボルト)15の締付
力で、上ダイヤフラム21と下ダイヤフラム22に、鉄
筋溶接板9と10が摩擦接合されている。上ダイヤフラ
ム21と下ダイヤフラム22とにはそれぞれ、高力ボル
ト15を挿通させるためのボルト孔が形成されている
(図8に、下ダイヤフラム22のボルト孔22aを示
す)。また、鉄筋溶接板9,10、添接板11〜14に
も、それぞれ、高力ボルト15を挿通させるためのボル
ト孔9a〜14aが形成されている。ここで、RC梁
3,4の端部の上端筋5A,5Bまたは下端筋6A,6
Bは、鉄筋溶接板9と10とに、工場で溶接され、この
状態で現場に搬送される。上端筋5A,5Bおよび下端
筋6A,6Bの長さが、それぞれ2種類であるのは、こ
れら上端筋5A,5Bと下端筋6A,6Bとにそれぞ
れ、後述する機械式継手16で、RC梁3(4)中央部
の上端筋31(41)および下端筋32(42)を接合
する際に、その接合位置を梁3(4)の長さ方向に分散
させることで、梁3(4)部材内における応力の集中を
防ぐためである。
【0018】また、図1、図2に示すように、CFT柱
2は、円形の鋼管2Tの内部にCFT柱2の側面には、
上ダイヤフラム21と下ダイヤフラム22とに接合され
たスチフナ23,24が取り付けられている。各スチフ
ナ23,24は、図2に示すように、RC梁3,4の軸
方向と並行するように配置された状態で、CFT柱2の
鋼管2Tの表面に溶接されている。スチフナ23,24
の上端面と下端面はそれぞれ、上ダイヤフラム21の下
面と下ダイヤフラム22の上面とに、工場で溶接され、
この状態でCFT柱2の鋼管2Tが現場に搬送される。
【0019】図5(b)、図6(b)に示すように、添
接板12,14にはそれぞれ、切欠部12c,14cが
形成されている。これら添接板12,14は、図2に示
すように、2枚の添接板12と12(または14と1
4)の間にスチフナ24が位置するように、また、添接
板12,14の切欠部12c,14cにスチフナ23の
側端部が挿入されるようにして、下ダイヤフラム14の
上面(および上ダイヤフラム23の下面)に配置されて
いる。
【0020】本実施の形態の柱と梁との接合部1の構造
は、例えば図7に示すように、地上構造物50の下に新
たに地下構造物60を構築する際に用いられる。まず、
地盤G中に、ボーリングマシンや人力などにより、CF
T柱2を設置するための、径がW1のボーリング孔Hを
設ける。そして、この中に、地上構造物50を支持可能
な状態に、CFT柱2の鋼管2Tを設置する。そして、
鋼管2Tの内部にコンクリート2Cを充填し、CFT柱
2を形成する。図8は、ボーリング孔Hの内部における
CFT柱2の設置状況を示す、横断面図である。この
後、CFT柱2を、山止め壁を支える切梁の支持杭とし
て利用しながら、徐々に地盤を掘り下げて、RC梁3,
4やスラブ(図示せず)などを順次構築して、地下構造
物60を完成させる。この際、CFT柱2の側方にRC
梁3,4を構築する過程で、ダイヤフラム21,22に
鉄筋溶接板9と10を、添接板11〜14を介して高力
ボルトで摩擦接合し、鉄筋溶接版9,10にすでに溶接
されている上端筋5A,5Bと下端筋6A,6Bとにそ
れぞれ、RC梁3,4の中央部の上端筋31と下端筋3
2とを、スプライススリーブ継手やねじ継手などの機械
式継手16で接合する。CFT柱2は、最終的に構築さ
れる地下構造物60の本設柱となる。
【0021】上記実施の形態に記載の柱と梁との接合部
1の構造によれば、CFT柱2の側面に取り付くRC梁
3,4の端部の上端筋5A,5Bまたは下端筋6A,6
Bが鉄筋溶接板9,10にあらかじめ溶接されているの
で、この鉄筋溶接板9,10を柱2の外側面に設けられ
た上ダイヤフラム21や下ダイヤフラム22に高力ボル
トなどで接合すれば、現場において梁3,4の端部の上
端筋5A,5Bや下端筋6A,6Bを柱2の上ダイヤフ
ラム21と下ダイヤフラム22などに接合する際の、溶
接作業が不要となる。また、CFT柱2の鋼管2Tを鉄
骨工場などから現場に搬送する際に、鋼管2Tの側面に
RC梁3,4の端部の上端筋5A,5Bや下端筋6A,
6Bがすでに取り付けられた状態で搬送する場合に比べ
て、鋼管2の取り回しを行いやすい。また、この柱と梁
との接合部1の構造が、CFT柱2(CFT柱2の鋼管
2T)を構芯柱として地下構造物60の構築を行う際、
CFT柱2(CFT柱2の鋼管2T)の側面にRC梁
3,4の端部の上端筋や下端筋がすでに取り付けられて
いる場合よりも、この構芯柱(CFT柱2(CFT柱2
の鋼管2T))を設置するために掘削するボーリング孔
の径W1が小さくて済む。
【0022】また、CFT柱2の側面には、上ダイヤフ
ラム21と下ダイヤフラム22とを連結するスチフナ2
3,24が取り付けられているので、CFT柱2とRC
梁3との接合部1にせん断力が入力したときに、上ダイ
ヤフラム21の下面または下ダイヤフラム22の上面が
梁3(または4)のコンクリート3Cの圧縮力を受け、
この力が、上ダイヤフラム21や下ダイヤフラム22に
接合されたスチフナ23の面内を経て、さらにスチフナ
23の側端面が取り付くCFT柱2の側面に伝達され
る。したがって、RC梁3,4のコンクリートの圧縮力
やせん断力をCFT柱2に伝達させるために、CFT柱
2の側面にスタッドボルト(ジベル)などを格別設ける
必要がない。
【0023】また、各鉄筋溶接板9,10は、前記上ダ
イヤフラム21または下ダイヤフラム22に突き合わさ
れた状態で、添接板11〜14を介して高力ボルト15
により摩擦接合されているので、現場でこれらを互いに
接合する際に、作業を簡単に行える。また、高力ボルト
15の本数や添接板11〜14の面積を適宜設定するこ
とで、梁3,4の端部の上端筋5A,5Bや下端筋6
A,6Bの軸方向力を、CFT柱2へ確実に伝達するこ
とができる。また、スチフナ23,24が、CFT柱2
の側面に取り付くRC梁3,4の軸方向と並行するよう
に配置されているとともに、添接板12,14のCFT
柱2側の端面の一部には切欠部12c,14cが設けら
れ、この切欠部12c,14cにスチフナ24の側端部
が挿入されているので、上ダイヤフラム21と下ダイヤ
フラム22との間に幅の大きなスチフナ23,24を設
けつつ、高力ボルト15による摩擦接合を行うために必
要となる、上ダイヤフラム21または下ダイヤフラム2
2の表面上で添接板12,14が重なる部分の面積を十
分に確保できる。
【0024】なお、本発明の柱と梁との接合部の構造
は、上記の実施の形態に限定されることなく、本発明の
趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計
の変更を行っても良い。例えば、上記の実施の形態で
は、柱と梁との接合部1の構造が、地上構造物50の下
に新たに地下構造物60を構築する場合に適用されてい
るが、本発明の柱と梁との接合部の構造は、例えば逆打
ち工法によって地上階と地下階とを並行して構築される
構造物などにも適用可能である。また、地下構造物に限
らず、地上構造物の柱と梁との接合部に、本発明を適用
しても良い。また、上記の実施の形態では、各鉄筋溶接
板9,10が、上ダイヤフラム21または下ダイヤフラ
ム22に、高力ボルト15により摩擦接合されている
が、ボルトのせん断耐力を利用した支圧接合としてもよ
い。その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更
可能であることは勿論である。
【0025】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、コンク
リート充填鋼管からなる柱の側面に取り付く鉄筋コンク
リートからなる梁の端部の上端筋または下端筋が鉄筋溶
接板にあらかじめ溶接されているので、この鉄筋溶接板
を柱の外側面に設けられた上ダイヤフラムや下ダイヤフ
ラムにボルトなどで接合すれば、現場において梁の端部
の上端筋や下端筋を柱の上ダイヤフラムと下ダイヤフラ
ムなどに接合する際の、溶接作業が不要となる。また、
柱の鋼管を鉄骨工場などから現場に搬送する際に、柱の
側面に梁の端部の上端筋や下端筋がすでに取り付けられ
た状態で搬送する場合に比べて、柱の取り回しを行いや
すい。また、この柱と梁との接合部の構造が、柱(また
は柱の鋼管)を構芯柱とした地下構造物の構築に適用さ
れる場合には、柱の側面に梁の端部の上端筋や下端筋が
すでに取り付けられている場合よりも、この構芯柱(柱
(または柱の鋼管))を設置するために掘削するボーリ
ング孔の径が小さくて済む。
【0026】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明と同様の効果が得られるとともに、柱の側
面には、上ダイヤフラムと下ダイヤフラムとを連結する
スチフナが取り付けられているので、柱と梁との接合部
にせん断力が入力したときに、上ダイヤフラムの下面ま
たは下ダイヤフラムの上面が梁のコンクリートの圧縮力
を受け、この力が上ダイヤフラムや下ダイヤフラムに接
合されたスチフナ23の面内を経て、さらにスチフナの
側端面が取り付く柱の側面に伝達される。したがって、
梁のコンクリートの圧縮力を柱に伝達させるために、柱
の側面にスタッドボルト(ジベル)などを格別設ける必
要がない。
【0027】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
または2に記載の発明と同様の効果が得られるととも
に、各鉄筋溶接板は、上ダイヤフラムまたは下ダイヤフ
ラムに、ボルトにより接合されているので、現場でこれ
らを互いに接合する際に、作業を簡単に行える。また、
ボルトの本数などを適宜設定することで、梁の端部の上
端筋や下端筋の軸方向力を、柱2へ確実に伝達すること
ができる。
【0028】請求項4に記載の発明によれば、請求項2
に記載の発明と同様の効果が得られるとともに、各鉄筋
溶接板は、前記上ダイヤフラムまたは下ダイヤフラムに
突き合わされた状態で、添接板を介してボルトにより接
合されているので、現場でこれらを互いに接合する際
に、作業を簡単に行える。また、ボルトの本数や、添接
板の面積を適宜設定することで、梁の端部の上端筋や下
端筋の軸方向力を、柱へ確実に伝達することができる。
また、スチフナが、柱の側面に取り付く梁の軸方向と並
行するように配置されているとともに、添接板の柱側の
端面の一部には切欠部が形成され、この切欠部にスチフ
ナの側端部が挿入されているので、上ダイヤフラムと下
ダイヤフラムとの間に幅の大きなスチフナを設けつつ、
ボルトによる接合を行うために必要となる、上ダイヤフ
ラムまたは下ダイヤフラムの表面上で添接板が重なる部
分の面積を十分に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の柱と梁との接合部の構造の一例を示
す、縦断面図である。
【図2】図1における、A−A断面図(横断面図)であ
る。
【図3】上記例における鉄筋溶接板と、これに溶接され
た梁端部の上端筋(または下端筋)とを示す、上面図で
ある。
【図4】上記例における鉄筋溶接板と、これに溶接され
た梁端部の上端筋(または下端筋)とを示す、上面図で
ある。
【図5】上記例における添接板を示す、上面図である。
【図6】上記例における添接板を示す、上面図である。
【図7】上記例における、柱の設置状況を示す、縦断面
図である。
【図8】上記例における、柱の設置状況を示す、横断面
図である。
【図9】従来のコンクリート充填鋼管からなる柱と鉄筋
コンクリートからなる梁との接合部の構造の一例を示
す、縦断面図である。
【符号の説明】
1 (柱と梁との)接合部 2 (コンクリート充填鋼管/CFT)柱 3,4 (鉄筋コンクリート/RC)梁 5,6 (梁端部の)上端筋 7,8 (梁端部の)下端筋 9,10 鉄筋溶接板 11〜14 添接板 12c,14c (添接板の)切欠部 15 ボルト(高力ボルト) 21 上ダイヤフラム 22 下ダイヤフラム 23,24 スチフナ 31,41 (梁中央部の)上端筋 32,42 (梁中央部の)下端筋
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 正人 東京都渋谷区代々木二丁目二番二号 東日 本旅客鉄道株式会社内 Fターム(参考) 2E125 AA04 AA14 AB12 AB13 AC01 AC16 AG03 AG04 AG32 AG45 AG49 AG57 BA02 BB02 BB16 BD01 BE01 BF03 CA05 CA90 EA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリート充填鋼管からなる柱と鉄筋
    コンクリートからなる梁との接合部の構造において、 前記柱の側面に取り付く前記梁の端部の上端筋または下
    端筋が溶接された鉄筋溶接板が、前記柱の外側面に設け
    られた上ダイヤフラムと下ダイヤフラムとにそれぞれ接
    合されていることを特徴とする柱と梁との接合部の構
    造。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の柱と梁との接合部の構
    造において、 前記柱の側面には、前記上ダイヤフラムと下ダイヤフラ
    ムとに接合されたスチフナが取り付けられていることを
    特徴とする柱と梁との接合部の構造。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の柱と梁との接
    合部の構造において、 前記各鉄筋溶接板は、前記上ダイヤフラムまたは下ダイ
    ヤフラムに、ボルトにより接合されていることを特徴と
    する柱と梁との接合部の構造。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の柱と梁との接合部の構
    造において、 前記スチフナは、前記柱の側面に取り付く前記梁の軸方
    向と並行するように配置され、 前記各鉄筋溶接板は、前記上ダイヤフラムまたは下ダイ
    ヤフラムに突き合わされた状態で、添接板を介してボル
    トにより接合され、 前記添接板の前記柱側の端面の一部には切欠部が形成さ
    れ、この切欠部に前記スチフナの側端部が挿入されてい
    ることを特徴とする柱と梁との接合部の構造。
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