JP2003160839A - 食品プラント用ステンレス鋼 - Google Patents

食品プラント用ステンレス鋼

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JP2003160839A JP2001357294A JP2001357294A JP2003160839A JP 2003160839 A JP2003160839 A JP 2003160839A JP 2001357294 A JP2001357294 A JP 2001357294A JP 2001357294 A JP2001357294 A JP 2001357294A JP 2003160839 A JP2003160839 A JP 2003160839A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】食品プラントに適したステンレスを提供する。 【解決手段】C≦0.05wt%、0.01wt%≦S
i≦0.25wt%、Mn≦0.40wt%、P≦0.
040wt%、S≦0.003wt%以下、Ni≦4
0.0wt%、16.0wt%≦Cr≦26.0wt
%、2.0wt%≦Mo≦8.0wt%、0.005w
t%≦Al≦0.100wt%、0.10wt%≦N≦
0.30wt%、Mg≦0.0005wt%以下、Ca
≦0.0010wt%、0.001wt%≦B≦0.0
10wt%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物
からなり、下記を満足し、酸化物系介在物中のCaO+
MgOの比率を20%以下にする。Cr+3.3Mo+
20N≧38 (1)Si+Al−100(Ca+M
g)≧0 (2) 【効果】腐食性の有機酸と高濃度塩分を含有する食品プ
ラント用として優れた耐食性を有するステンレス鋼を得
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、耐すきま腐食性
や耐応力腐食割れ性に優れ、食品製造プラント、特に製
造過程においてアミノ酸やクエン酸、酢酸等の有機酸が
生成し、且つ含有食塩濃度が高い食品プラント、特に醤
油製造プラントに好適なステンレス鋼に関するものであ
る。
【0002】
【従来技術】従来から食品の製造プラントには、取り扱
う食品の含有成分や温度などの操業条件によって、ステ
ンレス鋼や無機または有機被覆鋼、あるいはFRP等が
使い分けられているが、近年メンテナンスのし易さや維
持コストの低減、更には洗浄性の観点からステンレス鋼
の使用が増えつつある。通常、清涼飲料水やビール、あ
るいは牛乳等の食品製造プラントにおいてはSUS30
4やSUS316等の汎用ステンレス鋼が多く使用され
ており、特に腐食による漏れなどの重大な問題は生じて
いない。また塩分を含む食品においても、常温付近の使
用ならば孔食やすきま腐食、あるいは応力腐食割れ等の
局部腐食の懸念は少なく、十分に使用に耐えている。し
かしながら、例えば塩分を多量に含む醤油等の調味料を
製造する場合、常温においてもSUS304やSUS3
16では著しい局部腐食が発生し、耐食性が不充分であ
ることが多い。また上記ステンレス鋼より耐食性の高い
SUS329系ステンレス鋼では、局部腐食の発生する
可能性は少なくなるが、それでも常温より温度が上昇し
た場合、すきま腐食や溶接部の応力腐食割れが生じる懸
念があるので、その使用は制限される。従ってこのよう
な特殊な環境になる醤油製造プラントでは、ステンレス
鋼を用いずに無機または有機被覆鋼、あるいはFRP、
更にはステンレス鋼より高価なニッケル基合金やチタン
等を使用せざるを得ないのが実情である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みてなされたもので、その目的は食品製造プラント、特
に発酵過程において有機酸が生成し、且つ高濃度食塩を
含有する醤油製造プラント又は食酢製造プラントに適す
るステンレス鋼を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、食品製造
プラント、特に塩分を多量に含有する醤油等の調味料な
ど発酵過程を含む食品の製造プラントに適するステンレ
ス鋼について種々検討した結果、発酵過程においてアミ
ノ酸や、クエン酸、乳酸等の有機酸が生成する場合、こ
れがステンレス鋼の腐食、特にすきま腐食や応力腐食割
れを加速させることが判明した。ステンレス鋼の腐食が
有機酸によって加速するメカニズムとして、発酵過程で
生じるアミノ酸は還元剤として作用し、ステンレス鋼に
耐食性を付与している表面不働態皮膜を劣化させる一
方、クエン酸、乳酸等はキレートとしてステンレス鋼表
面に作用し、表面不働態皮膜に覆われていない水溶性の
CaO、MgOといった鋼中酸化物系介在物の溶解を促
進してすきま腐食や応力腐食割れの起点となり、耐食性
を劣化させるとの知見を得た。そこで有機酸が存在する
高濃度食塩含有環境においてステンレス鋼表面の不働態
皮膜及びその下地金属の耐食性を向上させるために下記
(1)に示す式を満足することが第一に必要であること
が判明した。 Cr+3.3Mo+20N≧38 (1) (式中Cr、Mo、Nは各成分の含有量(wt%)を示
す) 更にステンレス鋼の介在物中に含まれるCaO、MgO
を低減させ、その組成をSiO2やAl23主体にする
と有機酸含有高濃度食塩含有環境で耐食性が向上するこ
とが判明した。即ち、実験結果により下記(2)式を満
足し、 Si+Al−100(Ca+Mg)≧0 (2) 且つ、介在物中のCaO+MgO重量比率が20%以下
であることによってステンレス鋼に主要な腐食であるす
きま腐食や応力腐食割れの発生が抑えられることが明ら
かになり、本発明を完成したものである。
【0005】本発明の第1の発明における要旨は、C:
0.05wt%以下、:0.01wt%≦Si≦0.2
5wt%、Mn:0.40wt%以下、P:0.040
wt%以下、S:0.003wt%以下、Ni:40.
0wt%以下、16.0wt%≦Cr≦26.0wt
%、2.0wt%≦Mo≦8.0wt%、0.005w
t%≦Al≦0.100wt%、0.10wt%≦N≦
0.30wt%、Mg:0.0005wt%以下、C
a:0.0010wt%以下で、残部はFeおよび不可
避的不純物からなり、且つ、下記(1) Cr+3.3Mo+20N≧38 (1) (式中Cr、Mo、Nは各成分の含有量(wt%)を示
す)を満たし、有機酸と塩分を含有する環境下で使用さ
れることを特徴とするステンレス鋼であり、本発明の第
2の発明における要旨は、C:0.05wt%以下、:
0.01wt%≦Si≦0.25wt%、Mn:0.4
0wt%以下、P:0.040wt%以下、S:0.0
03wt%以下、15.0wt%≦Ni≦40.0wt
%、16.0wt%≦Cr≦26.0wt%、2.0w
t%≦Mo≦8.0wt%、0.005wt%≦Al≦
0.100wt%、0.10wt%≦N≦0.30wt
%で、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、且
つ、下記(1)式 Cr+3.3Mo+20N≧38 (1) (式中Cr、Mo、Nは各成分の含有量(wt%)を示
す)を満たし、有機酸と塩分を含有する環境下で使用さ
れることを特徴とするオーステナイトステンレス鋼であ
り、本発明の第3の発明における要旨は、上記有機酸
が、アミノ酸及び、クエン酸、酢酸、乳酸の1種または
2種以上を含むものであることを特徴とする第1の発明
又は第2の発明に記載のステンレス鋼であり、本発明の
第4の発明における要旨は、C:0.05wt%以
下、:0.01wt%≦Si≦0.25wt%、Mn:
0.40wt%以下、P:0.040wt%以下、S:
0.003wt%以下、Ni:40.0wt%以下、1
6.0wt%≦Cr≦26.0wt%、2.0wt%≦
Mo≦8.0wt%、0.005wt%≦Al≦0.1
00wt%、0.10wt%≦N≦0.30wt%、M
g:0.0005wt%以下、Ca:0.0010wt
%以下で、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、
且つ、下記(1)式 Cr+3.3Mo+20N≧38 (1) (式中Cr、Mo、Nは各成分の含有量(wt%)を示
す)を満足することを特徴とする食品プラント用ステン
レス鋼であり、本発明の第5の発明における要旨は、
C:0.05wt%以下、:0.01wt%≦Si≦
0.25wt%、Mn:0.40wt%以下、P:0.
040wt%以下、S:0.003wt%以下、15.
0wt%≦Ni≦40.0wt%、16.0wt%≦C
r≦26.0wt%、2.0wt%≦Mo≦8.0wt
%、0.005wt%≦Al≦0.100wt%、0.
10wt%≦N≦0.30wt%で、残部はFeおよび
不可避的不純物からなり、且つ、下記(1)式 Cr+3.3Mo+20N≧38 (1) (式中Cr、Mo、Nは各成分の含有量(wt%)を示
す)を満足するすることを特徴とする食品プラント用オ
ーステナイトステンレス鋼であり、本発明の第6の発明
における要旨は、上記ステンレス鋼が、下記(2)式 Si+Al−100(Ca+Mg)≧0 (2) (式中Si、Al、Ca、Mgは各成分の含有量(wt
%)を示す)を満たし、かつ、鋼中酸化物系介在物中の
CaO+MgOの重量比率を20%以下にすることを特
徴とする上記第1の発明〜第5の発明に記載のオーステ
ナイトステンレンス鋼であり、本発明の第7の発明にお
ける要旨は、上記ステンレス鋼が醤油製造プラント又は
食酢製造プラントに用いられることを特徴とする上記第
1の発明〜第6の発明に記載のステンレス鋼であり、本
発明の第8の発明における要旨は、0.01wt%≦C
u≦1.0wt%、0.01≦W≦1.0wt%、0.
01≦Co≦1.0wt%のうち1種または2種以上を
さらに含有することを特徴とする上記第1の発明〜第7
の発明に記載のステンレス鋼であり、本発明の第9の発
明における要旨は、0.001wt%≦B≦0.010
wt%を含有することを特徴とする上記第1の発明〜第
8の発明に記載のステンレス鋼である。
【0006】C:0.05wt%以下、:0.01wt
%≦Si≦0.25wt%、Mn:0.40wt%以
下、P:0.040wt%以下、S:0.003wt%
以下、Ni:40.0wt%以下、16.0wt%≦C
r≦26.0wt%、2.0wt%≦Mo≦8.0wt
%、0.005wt%≦Al≦0.100wt%、0.
10wt%≦N≦0.30wt%で、残部はFeおよび
不可避的不純物からなり、かつ、下記(1)式を満足す
ることを特徴とする腐食性の有機酸と高濃度塩分を含有
する醤油製造プラント用ステンレス鋼である。 Cr+3.3Mo+20N≧38 (1) (式中Cr、Mo、Nは各成分の含有量(wt%)を示
す) 本発明の第2の発明における要旨は、第1の発明のステ
ンレス鋼において、Mg:0.0005wt%以下、C
a:0.0010wt%以下で、且つ、下記(2)式を
満足し、鋼中酸化物系介在物中のCaO+MgOの重量
比率を20%以下にすることを特徴とする腐食性の有機
酸と高濃度塩分を含有する醤油製造プラント用オーステ
ナイトステンレス鋼である。 Si+Al−100(Ca+Mg)≧0 (2) (式中Si、Al、Mgは各成分の含有量(wt%)を
示す)。 第1または第2の発明のステンレス鋼において、0.0
1wt%≦Cu≦1.0wt%、0.01wt%≦W≦
1.0wt%、0.01wt%≦Co≦1.0wt%の
うち1種または2種以上をさらに含有することが好まし
く、更に、0.001wt%≦B≦0.010wt%を
含有することが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のステンレス鋼は、上述の
通り、(i)所定の化学成分とそれらの適正含有量範
囲、(ii)耐食性向上に特に寄与するCr、Mo、Nの
関係、(iii)鋼中介在物組成とこれらを構成するA
l、Si、Ca、Mgの適正含有量範囲から構成される
が、以下、この発明の基礎となった実験結果について説
明する。
【0008】実験1 本発明者らはまず、発酵過程を有し、アミノ酸や乳酸等
の有機酸がその過程にて生成する醤油製造プラントの環
境が、そのような有機酸が存在しない場合に対してどの
ように異なるかを検討した。実験には市販の2mm厚さ
のSUS316Lを供試材として用い、80mm×25
mm×2mmと60mm×20mm×2mmに切断した
2枚の試片を重ね合わせ、スポット抵抗溶接を4点施
し、溶接すきま付き腐食試験片を作製した。通常の醤油
は数多くの有機酸を含有するが、系の単純化を図るた
め、発酵過程で生成する代表的有機酸であるアミノ酸の
一種のグルタミン酸とアスパラギン酸、及びアミノ酸で
はないが乳酸とクエン酸、酢酸を添加した以下に示す4
種類の試験溶液を用意した。 1−:17%食塩水 1−:17%食塩水+1%グルタミン酸 1−:17%食塩水+1%グルタミン酸+1%乳酸 1−:17%食塩水+1%グルタミン酸+1%アスパ
ラギン+1%乳酸+0.2%クエン酸+0.15%酢酸 この4種類の試験溶液を35℃に保持し、それぞれに上
述の試験片を1ヶ月間浸漬した。浸漬終了後、スポット
抵抗溶接により形成された溶接ナゲット部の中心を通る
ように切断機で切断し、その断面を光学顕微鏡により観
察し、すきま腐食深さ及び応力腐食割れ長さを評価し
た。その結果を表1に示すが、食塩を単独で含有する溶
液(1−)で発生する腐食はすきま腐食のみであるの
に対し、アミノ酸であるグルタミン酸が含まれる溶液
(1−)では、すきま腐食の他に応力腐食割れが発生
することが認められた。一方、アミノ酸ではないがキレ
ート構造を有する乳酸がグルタミン酸と共に含まれる溶
液(1−)では、すきま腐食や応力腐食割れの深さや
長さが増大することが認められた。更に、食塩に様々な
有機酸が複合的に含まれる溶液(1−)では、腐食が
顕著に増大することも確認された。以上の結果より、発
酵過程によりアミノ酸や乳酸等の有機酸が生成する高濃
度食塩含有醤油製造プラント内の環境は、同じ高濃度食
塩を含有してもこれら有機酸が存在しない環境に比べ、
腐食性は著しく増大することがわかった。
【0009】
【表1】
【0010】実験2 このような有機酸による腐食性増大のメカニズムを探る
ために、本発明者らは有機酸を含有する高濃度食塩水に
長期間浸漬したSUS316Lの表面分析と、その溶液
中での電気化学的測定を実施した。具体的には、 2−:17%食塩水 2−:17%食塩水+1%グルタミン酸 2−:17%食塩水+1%乳酸 の3種類の試験溶液を調製し、これらを35℃に保持し
て、エメリー紙400番で湿式研磨したSUS316L
平板試験片を1週間浸漬し、その表面の不動態皮膜構造
をオージェ電子分光分析装置(以下AESと記す)にて
解析した。また同じ浸漬後の試験片表面を走査電子顕微
鏡(以下SEMと記す)にて観察した。更には1週間の
浸漬期間中における各試験片の自然浸漬電位を、飽和カ
ロメルを参照電極として測定した。なお、この自然浸漬
電位の測定前は、予め各試験溶液に空気を24時間吹き
込み、溶存酸素が飽和状態になるようにした。初めに各
溶液に1週間浸漬した後の試験片表面のAES分析結果
を図1に示す。なお図1はAr加速電圧を1kVとして
深さ方向に表面不動態皮膜構成元素を分析し、不動態皮
膜の強さの指標となる[Cr]/[Cr]+[Fe]と
して整理した数値を示す。ここで[Cr]、[Fe]は
それぞれの原子%を表し、この指標が高いほど不動態皮
膜が強い、即ち耐食性が良好なことを示唆する。図1か
ら明らかなように、17%食塩水(2−)、あるいは
17%食塩水に1%乳酸を添加した溶液(2−)で
は、表面不動態皮膜構造に違いは認められないが、17
%食塩水に1%グルタミン酸を添加した溶液(2−)
では、2−や2−に比べ最表層部における[Cr]
/[Cr]+[Fe]の値が低下していることが認めら
れた。これはグルタミン酸が不動態皮膜を劣化させる働
きをしていることを示唆している。また各溶液中での自
然浸漬電位測定結果を図2に示すが、溶液2−や2−
では測定開始からの自然浸漬電位の変化は僅かである
が、グルタミン酸を含有する溶液2−では開始直後か
ら急激に自然浸漬電位が低下することが認められた。以
上の結果より、有機酸の中でもアミノ酸であるグルタミ
ン酸は還元剤として作用し、その結果、表面不動態皮膜
を不安定にすることが知見された。
【0011】一方、各溶液への1週間浸漬後の試験片表
面をSEMで観察したところ、溶液2−や2−では
浸漬前と変化がないが、乳酸を含有する溶液2−のみ
微小孔が表面に形成されていることが認められた。この
部分は元々介在物が存在していた所であるが、詳細な観
察の結果、同じ介在物でもAl23あるいはSiO2
主体とした介在物は浸漬後も存在しているが、CaOや
MgO含有比率が高い介在物は選択的に溶け落ちている
ことが判明した。このメカニズムとして、乳酸はキレー
ト構造を有しているため、これと親和力の強いCaやM
gと優先的に反応し、結果的にCaOやMgO系介在物
を選択的に溶解させ、すきま腐食や応力腐食割れの起点
となるものと考えている。従って以上の理由により、有
機酸の中でもキレート構造を有する乳酸やクエン酸等が
腐食性を増大させていること、またCaOやMgOが主
体の介在物が存在すると耐食性が劣化することが知見さ
れた。
【0012】実験3 以上、有機酸が存在する高濃度食塩含有醤油製造プラン
ト環境の特異性、及び有機酸が不動態皮膜の劣化、ある
いはCaO、MgOを主体とする介在物を選択的に溶解
させることで腐食性を増大させるメカニズムについて述
べたが、次に本発明者らは、このような環境において良
好な耐食性を示し、適用可能なステンレス鋼の成分組成
を見出すため、以下の実験を実施した。C:0.008
〜0.035wt%、Si:0.02〜0.24wt
%、Mn:0.13〜0.34wt%、P:0.017
〜0.034wt%、S:0.001〜0.003wt
%、Ni:6.44〜34.83wt%、Cr:16.
51〜25.12wt%、Mo:2.06〜7.47w
t%、Cu:0.01〜0.86wt%、W:0.01
〜0.73wt%、Co:0.01〜0.75wt%、
Al:0.006〜0.092wt%、N:0.02〜
0.30wt%、Ca:0.0001〜0.0052w
t%、Mg:0.0001〜0.0018wt%、B:
0.0001〜0.0036wt%の組成範囲で、しか
も鋼中酸化物系介在物中のCaO+MgOの重量比が様
々な比率となるステンレス鋼を大気溶解炉によって溶製
し、インゴットを得た。これに1250℃、8時間の鋼
塊熱処理、鍛造、冷間圧延及び1150℃、30分加熱
後水冷する溶体化処理を施して、厚さ2mmの冷延板を
作製した。次いで、2mm冷延板から上述の実験1と同
様に試験片を採取し、スポット抵抗溶接により溶接すき
ま付き試験片を作製した。腐食試験は、約17%の食塩
を含有する発酵調味料である醤油を試験溶液とし、これ
を35℃に保持し、上述の試験片を5ヶ月間浸漬した。
浸漬後、溶接ナゲット部中心を通るように切断し、光学
顕微鏡にて断面観察を行い、すきま腐食、あるいは応力
腐食割れの発生状況を評価した。なお、何れの腐食が生
じても評価は×とし、まったく腐食が生じなかった材料
を○とした。
【0013】図3に鋼中酸化物系介在物中のCaO+M
gOの重量比率が20%以下の材料と、それ以上になる
材料とに分け、それぞれに対する腐食試験結果を示す。
なお図3の横軸には、合金成分の内、耐食性への寄与が
大きいCr、Mo、Nを取り上げ、その寄与の程度から
各元素がほぼ等価となるように重み付けした総量 Cr
+3.3Mo+20N(但しCr、Mo、Nは各成分元
素の含有量(wt%))を示してある。この図3より、
酸化物系介在物中のCaO+MgOの重量比率が20%
以上の場合、Cr+3.3Mo+20Nの値が44を超
えて初めて腐食が発生しなくなるのに対し、CaO+M
gOの重量比率が20%以下になるとCr+3.3Mo
+20Nの値が38以上で腐食が発生しなくなることが
認められた。Cr+3.3Mo+20Nの値が大きいほ
ど耐食性が良好になるのは自明であるが、その分高価な
元素を合金中へ添加しなければならず、コストの上昇に
繋がる。しかしながら酸化物系介在物組成をCaO+M
gOの重量比率で20%以下になるように制御すること
で、耐食性に必要なCr+3.3Mo+20Nの下限値
を下げられることが判明した。但し、このような制御を
行ってもCr+3.3Mo+20Nの指標は少なくとも
38以上なければ高濃度食塩と有機酸を含有する醤油製
造プラントで材料に腐食が発生する可能性があることが
示された。続いて本発明者らは、鋼中酸化物系介在物中
のCaO+MgOの重量比率が20%以下になるように
安定して制御するための研究を重ねた結果、溶解炉のレ
ンガ等から混入するCa、Mgを考慮し、脱酸材成分で
あるSi、Alの含有量をある範囲にすれば上述の比率
が達成できることが判明した。即ち、図4に示す如く、
Si、Alの含有量をそれぞれ0.01〜0.25wt
%、0.005〜0.100wt%の範囲内で、且つC
aとMg含有量との関係がSi+Al−100(Ca+
Mg)≧0を満足すれば、介在物中のCaO+MgOの
重量比率を安定的に20%以下にすることが可能である
ことを見出した。以上のように、Cr、Mo、N、及び
Si、Alの成分範囲と介在物の組成を制御すること
で、高濃度食塩と有機酸を含有する醤油製造プラントで
耐食性の良好なオーステナイトステンレス鋼を提供でき
るとの知見を得た。
【0014】次に各成分の限定理由を以下に説明する。 C:0.05wt%以下 Cは特に溶接時に鋭敏化を誘発し耐食性を低下させる元
素であるので少ない方が望ましいが、極端に低減させる
ことは強度の低下を招くと共に製造コストが増加する。
Cの含有量は0.05wt%までは許容できるのでこの
値を上限値とした。 Si:0.01〜0.25wt% Siは脱酸のために有効な元素であり、特に鋼中酸化物
系介在物中のCaO+MgO比率を下げてAlと共に酸
化物系介在物の主体を構成するために必須な元素である
ので0.01wt%以上の添加が必要である。しかしな
がら過剰の添加はその効果が飽和すると共に、延性の低
下や強度の上昇を招き、更にはσ相やχ相などの金属間
化合物の析出を助長して耐食性を劣化させるため、0.
25%以下にする必要がある。望ましくは0.20%以
下、より望ましくは0.10%以下が良い。 Mn:0.40wt%以下 Mnはσ相やχ相などの金属間化合物の析出を抑制する
上で、また耐食性劣化を抑えるため極力低減させる必要
のある元素であり、そのためには0.40%以下にする
必要がある。望ましくは0.30%以下、より望ましく
は0.20%以下が良い。 P:0.040wt%以下 Pは不純物として不可避的に混入する元素であり、結晶
粒界に偏析し易く耐食性及び熱間加工性の観点からは少
ない方が望ましい。しかしながら、Pの含有量を極端に
低減させることは製造コストの増加を招く。Pの含有量
は0.040wt%までは許容できるのでこの値を上限
値とした。ただし、望ましくは0.030wt%以下が
良い。
【0015】S:0.003wt%以下 SはPと同様に不純物として不可避的に混入する元素で
あり、結晶粒界に偏析し易く耐食性及び熱間加工性の観
点からは少ない方が望ましい。特に、0.003wt%
を超えて含有するとその有害性が顕著に現れるので、含
有量を0.003wt%以下とした。ただし、望ましく
は0.002wt%以下が良い。 Ni:40.0wt%以下 Niはσ相やχ相などの金属間化合物の析出を抑制する
上で有効な元素であり、また組織をオーステナイトにす
る場合には必須な元素である。更には耐応力腐食割れ向
上にも効果のある元素であるが、その含有量が40.0
wt%を上回ると熱間加工性の劣化や熱間変形抵抗の増
大を招く。よって、Niの含有量は40.0wt%以下
とした。なお、Niの含有量は18.0〜30wt%で
あることが好ましく、24.0〜26wt%であればさ
らに好ましい。 Cr:16.0wt%≦Cr≦26.0wt% Crは耐すきま腐食性を向上させるのに有効な元素であ
り、その効果を得るためには16.0wt%以上含有す
る必要がある。しかしながら、26.0wt%を超えて
含有するとσ相やχ相などの金属間化合物の形成を助長
し、かえって耐すきま腐食性を劣化させるので、16.
0wt%〜26.0wt%とした。なお、Crの含有量
は20.0wt%以上であることが好ましく、22.0
wt%以上であればさらに好ましい。
【0016】Mo:2.0wt%≦Mo≦8.0wt% Moも耐すきま腐食性を向上させるのに有効な元素であ
り、その効果を得るためには2.0wt%以上含有する
必要がある。しかしながら、8.0wt%を超えて含有
すると、金属間化合物の析出を助長し、耐食性を逆に劣
化させてしまうので、2.0wt%〜8.0wt%とし
た。なお、Moの含有量は3.0wt%以上であること
が好ましく、5.0wt%以上であればさらに好まし
い。 Al:0.005wt%≦Al≦0.100wt% Alは強力な脱酸剤であり、実験3に示した通り、特に
鋼中酸化物系介在物中のCaO+MgO比率を下げ、S
iと共に酸化物系介在物の主体を構成させるためには積
極的に添加する必要があるが、0.10wt%を超えて
含有させるとその効果が飽和すると共に、金属間化合物
の析出を助長させるので、その含有量を0.10wt%
以下とした。 N:0.10wt%≦N≦0.30wt% NはCr、Moと同様に耐すきま腐食性を向上させると
ともに、金属間化合物の析出を抑制する有効な元素であ
り、その効果を得るためには、0.10wt%以上含有
させる必要がある。しかしながら、0.30wt%を超
えて含有すると、熱間変形抵抗が極めて上昇して熱間加
工性を阻害するので、Nの含有量は0.10wt%〜
0.30wt%とした。なお、Nの含有量は0.15w
t%以上であることが好ましい。 Mg:0.0005wt%以下 Mgは通常鋼中酸化物系介在物中に不可避的に含まれる
ものであるが、実験3の結果から明らかなように、耐食
性の観点から0.0005wt%以下にする必要があ
る。即ち0.0005wt%を超えるとキレート構造を
有する有機酸に可溶な介在物を形成し易くなり、耐食性
劣化を招く。
【0017】Ca:0.0010wt%以下 CaもMgと同様、鋼中酸化物系介在物中に不可避的に
含まれるものであるが、実験3の結果から明らかなよう
に、耐食性の観点から0.0010wt%以下にする必
要がある。即ち0.0010wt%を超えるとキレート
構造を有する有機酸に可溶な介在物を形成し易くなり、
耐食性劣化を招く。 Cu:0.01〜1.0wt% W:0.01〜〜1.0wt% Co:0.01〜1.0wt% 本発明では、上記成分に加えて、0.01wt%≦Cu
≦1.0wt%、0.01wt%≦W≦1.0wt%、
0.01wt%≦Co≦1.0wt%の1種または2種
以上を含有することができる。これら元素は一般的な耐
食性の向上に有効であるが、その効果を得るためには
0.01wt%以上含有させる必要がある。一方、1.
0wt%を超えて含有すると熱間加工性を阻害するの
で、それぞれの含有量を0.01wt%〜1.0wt%
とした。 B:0.001≦B≦0.010wt% 本発明では、上記成分に加えて、0.001≦B≦0.
010wt%を含有することができる。Bは熱間加工性
の向上に極めて有効であるが、0.001wt%以下で
はその効果が少なく、0.010wt%を上回ると逆に
熱間加工性が劣化する。よって、Bの含有量は0.00
1wt%〜0.010wt%とした。 Cr+3.3Mo+20N≧38
【0018】本発明においてCr、Mo、Nを次の関係
式 Cr+3.3Mo+20N≧38 (但しCr、Mo、Nは各成分元素の含有量(wt
%))に限定した理由は、実験3の結果から明らかなよ
うに、Cr+3.3Mo+20Nが38を下回ると、本
発明の主要な構成要素である鋼中酸化物系介在物中のC
aO+MgOの重量比率をSi、Al、Ca、Mg含有
量の最適化により制御しても、高濃度食塩と有機酸を含
有する醤油製造プラントで十分な耐食性を有さないため
である。なお、Cr+3.3Mo+20Nは40以上で
あることが好ましく、44以上であればさらに好まし
い。鋼中酸化物系介在物中のCaO+MgOの重量比率
を20%以下 Si+Al−100(Ca+Mg)≧0 本発明において、鋼中酸化物系介在物中のCaO+Mg
Oの重量比率を20%以下とし、且つ、Si、Al、C
a、Mgを次の関係式 Si+Al−100(Ca+Mg)≧0 (但しSi、Al、Ca、Mgは各成分元素含有量(w
t%))に限定した理由は、実験3の結果から明らかな
ように、これらを満たさないと高濃度食塩と有機酸を含
有する醤油製造プラントで十分な耐食性を有さないため
である。なお、本発明では、鋼中の全ての酸化物系介在
物がSiO2、Al23、CaO、MgOの単独、ある
いは複合酸化物である必要はなく、どのような介在物で
も単にCaO+MgO比率が20%以下であることを満
たせばよい。当然の如くその他の酸化物が単独、あるい
は上述の酸化物と共に複合酸化物を形成する場合もあ
る。その他の酸化物としてはMnO、FeO、TiO2
等が考えられる。
【0019】
【実施例及び比較例】次に本発明を以下に示す実施例に
基づいて説明する。なおここでは上述の実験3で示した
各種成分鋼も併せて記す。まず、表2及び表3に示す成
分組成を有する本発明鋼、及び比較鋼を、大気溶解炉に
よって溶製しインゴットを得た。これに1250℃、8
時間の鋼塊熱処理、鍛造、冷間圧延、及び1150℃、
30分加熱後水冷する溶体化処理を施して、厚さ2mm
の冷延板を作製した。次いで2mm冷延板から80mm
×25mm×2mm、60mm×20mm×2mmの2
枚の試片を採取して、エメリー紙400番にて湿式研
磨、脱脂後、スポット抵抗溶接により溶接すきま付き試
験片を作製した。腐食試験は、約17%の食塩を含有す
る発酵調味料である醤油を試験溶液とし、これを35℃
に保持して試験片を5ヶ月間浸漬した。浸漬終了後、ス
ポット溶接により形成されたナゲット部の中心を切断
し、そのすきま部の断面を光学顕微鏡により観察して、
すきま腐食あるいは応力腐食割れの発生状況を評価し
た。ここで何れの腐食も発生せず良好な耐食性を示した
材料を○印、また何れか、あるいは両方の腐食が発生し
た材料を×印として耐食性を評価した。その結果を表2
に示す。表2にはCr+3.3Mo+20N、及びSi
+Al−100(Ca+Mg)の指標、更には鋼中酸化
物系介在物中の平均CaO+MgO重量比率(%)も併
せて示すが、Cr+3.3Mo+20N≧38で、且つ
Si+Al−100(Ca+Mg)≧0であり、更には
介在物中のCaO+MgOの重量比率が20%以下であ
る本発明鋼は、このような高濃度食塩と有機酸を含有す
る醤油環境において腐食の発生がなく、比較鋼に比べて
優れた耐食性を有する材料であることがわかる。
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のステンレ
ス鋼では、Cr、Mo、Nの総量に独自の重み付けをし
て所定以上とし、しかもSi、Al、Ca、Mgを所定
範囲内にして鋼中酸化物系介在物の組成を制御している
ので、食品プラント、特に高濃度食塩と発酵過程で生成
する有機酸を含有する醤油に対し優れた耐食性を有する
ステンレス鋼を開発することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 試験溶液中に1週間浸漬した試験片表面のA
ES分析結果を示したグラフである。
【図2】 試験溶液中に試験片を浸漬したときの自然浸
漬電位の経時変化を示したグラフである。
【図3】 関係式Cr+3.3Mo+20N及び介在物
中のCaO+MgO比率と腐食試験における腐食の有無
を示したグラフである。
【図4】 関係式Si+Al−100(Ca+Mg)と
介在物中のCaO+MgO比率の関係を示したグラフで
ある。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.05wt%以下、:0.01w
    t%≦Si≦0.25wt%、Mn:0.40wt%以
    下、P:0.040wt%以下、S:0.003wt%
    以下、Ni:40.0wt%以下、16.0wt%≦C
    r≦26.0wt%、2.0wt%≦Mo≦8.0wt
    %、0.005wt%≦Al≦0.100wt%、0.
    10wt%≦N≦0.30wt%、Mg:0.0005
    wt%以下、Ca:0.0010wt%以下で、残部は
    Feおよび不可避的不純物からなり、且つ、下記(1)
    を満たし、有機酸と塩分を含有する環境下で使用される
    ことを特徴とするステンレス鋼。 Cr+3.3Mo+20N≧38 (1) (式中Cr、Mo、Nは各成分の含有量(wt%)を示
    す)
  2. 【請求項2】 C:0.05wt%以下、:0.01w
    t%≦Si≦0.25wt%、Mn:0.40wt%以
    下、P:0.040wt%以下、S:0.003wt%
    以下、15.0wt%≦Ni≦40.0wt%、16.
    0wt%≦Cr≦26.0wt%、2.0wt%≦Mo
    ≦8.0wt%、0.005wt%≦Al≦0.100
    wt%、0.10wt%≦N≦0.30wt%で、残部
    はFeおよび不可避的不純物からなり、且つ、下記
    (1)式を満たし、有機酸と塩分を含有する環境下で使
    用されることを特徴とするオーステナイトステンレス
    鋼。 Cr+3.3Mo+20N≧38 (1) (式中Cr、Mo、Nは各成分の含有量(wt%)を示
    す)
  3. 【請求項3】 上記有機酸は、アミノ酸及び、クエン
    酸、酢酸、乳酸の1種または2種以上を含むものである
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のステンレス
    鋼。
  4. 【請求項4】 C:0.05wt%以下、:0.01w
    t%≦Si≦0.25wt%、Mn:0.40wt%以
    下、P:0.040wt%以下、S:0.003wt%
    以下、Ni:40.0wt%以下、16.0wt%≦C
    r≦26.0wt%、2.0wt%≦Mo≦8.0wt
    %、0.005wt%≦Al≦0.100wt%、0.
    10wt%≦N≦0.30wt%、Mg:0.0005
    wt%以下、Ca:0.0010wt%以下で、残部は
    Feおよび不可避的不純物からなり、且つ、下記(1)
    式を満足することを特徴とする食品プラント用ステンレ
    ス鋼。 Cr+3.3Mo+20N≧38 (1) (式中Cr、Mo、Nは各成分の含有量(wt%)を示
    す)
  5. 【請求項5】 C:0.05wt%以下、:0.01w
    t%≦Si≦0.25wt%、Mn:0.40wt%以
    下、P:0.040wt%以下、S:0.003wt%
    以下、15.0wt%≦Ni≦40.0wt%、16.
    0wt%≦Cr≦26.0wt%、2.0wt%≦Mo
    ≦8.0wt%、0.005wt%≦Al≦0.100
    wt%、0.10wt%≦N≦0.30wt%で、残部
    はFeおよび不可避的不純物からなり、且つ、下記
    (1)式を満足するすることを特徴とする食品プラント
    用オーステナイトステンレス鋼。 Cr+3.3Mo+20N≧38 (1) (式中Cr、Mo、Nは各成分の含有量(wt%)を示
    す)
  6. 【請求項6】 上記ステンレス鋼は、下記(2)式を満
    たし、かつ、鋼中酸化物系介在物中のCaO+MgOの
    重量比率を20%以下にすることを特徴とする請求項1
    〜5記載のオーステナイトステンレンス鋼。 Si+Al−100(Ca+Mg)≧0 (2) (式中Si、Al、Ca、Mgは各成分の含有量(wt
    %)を示す)
  7. 【請求項7】 上記ステンレス鋼は醤油製造プラント又
    は食酢製造プラントに用いられることを特徴とする請求
    項1〜6に記載のステンレス鋼。
  8. 【請求項8】0.01wt%≦Cu≦1.0wt%、
    0.01≦W≦1.0wt%、0.01≦Co≦1.0
    wt%のうち1種または2種以上をさらに含有すること
    を特徴とする請求項1〜7に記載のステンレス鋼。
  9. 【請求項9】 0.001wt%≦B≦0.010wt
    %を含有することを特徴とする請求項1〜8に記載のス
    テンレス鋼。
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