JP2003160580A - エチレンサルファイト及びその製造方法 - Google Patents

エチレンサルファイト及びその製造方法

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JP2003160580A JP2002238775A JP2002238775A JP2003160580A JP 2003160580 A JP2003160580 A JP 2003160580A JP 2002238775 A JP2002238775 A JP 2002238775A JP 2002238775 A JP2002238775 A JP 2002238775A JP 2003160580 A JP2003160580 A JP 2003160580A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電解液の成分として使用した際の保存性が良
好な精製されたエチレンサルファイトを提供する。 【解決手段】 エチレングリコールと塩化チオニルとの
反応により得られた粗エチレンサルファイトを精密蒸留
を含む精製処理により精製して精製エチレンサルファイ
トを製造する方法において、該精密蒸留の前又は後に塩
基性水洗浄、全還流脱水、精密蒸留及び吸着処理からな
る群から選択された少なくとも1つの精製処理を行う、
精製エチレンサルファイトの製造方法、及びそれによっ
て得られるクロロエタノールの含有量が1000ppm
以下である精製エチレンサルファイト。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエチレンサルファイ
ト及びその製造方法に関する。詳しくは本発明は電解液
溶媒などの用途に有用な精製されたエチレンサルファイ
ト及びその製造方法、該エチレンサルファイトを含有す
るリチウム電池用電解液、該電解液を用いるリチウム電
池に関する。
【0002】
【従来の技術】エチレンサルファイトは、有機合成の分
野における原料として、或いはリチウム二次電池等の電
解液の溶媒又は添加剤として使用されている。従来、エ
チレンサルファイト(以下、ESということもある)の
製造方法としては、エチレングリコールと塩化チオニ
ルとを反応させる方法、エチレングリコールと亜硫酸
ジメチルとを反応させる方法、酸化エチレンと二酸化
硫黄とを反応させる方法、ポリエチレンサルファイト
を解重合する方法、などが知られているが、安全性及び
経済性の両面から見て、エチレングリコールと塩化チオ
ニルとの反応による方法が工業的に有利と考えられる。
【0003】上記のエチレングリコールと塩化チオニル
よりエチレンサルファイトを製造する方法としては、例
えば両原料を無溶媒、無触媒で反応させる方法が報告さ
れている(D.S.Bleslow and H.Skolnic,Chem.Heterocyc
l.Compound.,1966,21-1,1)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来法で得られたエチレンサルファイトは、不純物の含
有量がかなり多いものであった。エチレンサルファイト
は例えばリチウム電池用電解液の溶媒及び添加剤として
有用であるが、上記のエチレンサルファイトの品質は電
池用途に使用されるレベルとして充分ではなく、これを
使用して調製された電解液は保存中に内圧が上昇しやす
い、酸分が増加し易いなど保存性が充分ではなかった。
また、リチウム電池用電解液として用いた場合にも、内
圧の上昇や場合によっては、電池缶材へのタ゛メーシ゛がみら
れることがある。従って電池性能を高めるためにより高
純度のエチレンサルファイトが求められていた。
【0005】本発明の課題は、上記の問題点を解決し、
電池用途に好ましく使用可能な精製されたエチレンサル
ファイト及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、電解液の保存
性に対してエチレンサルファイト中の塩素分が影響を及
ぼしていること、また特にエチレンサルファイト中のク
ロロエタノールが電解液の保存性及び該電解液を用いた
電池の安定性に大きな影響を及ぼしていることを見出し
た。さらに本発明者は検討を進めて、これらの不純物の
含有量が少ない精製されたエチレンサルファイトを製造
する方法を見出し、それらの知見に基づいて本発明を完
成するに至った。
【0007】即ち、本発明の要旨は、エチレングリコー
ルと塩化チオニルとの反応により得られるエチレンサル
ファイトであって、クロロエタノールの含有量が100
0ppm以下であるエチレンサルファイト、に存する。
本発明の他の要旨は、エチレングリコールと塩化チオニ
ルとの反応により得られた粗エチレンサルファイトを精
密蒸留(以下、精密蒸留1という)を含む精製処理によ
り精製して精製エチレンサルファイトを製造する方法に
おいて、該精密蒸留1の前又は後に塩基性水洗浄、全還
流脱水、精密蒸留(以下、精密蒸留2という)及び吸着
処理からなる群から選択された少なくとも1つの精製処
理を行うことを特徴とするエチレンサルファイトの製造
方法、に存する。本発明のさらに他の要旨は、クロロエ
タノールの含有量が1000ppm以下であるエチレン
サルファイトを含有するリチウム電池用電解液、に存す
る。本発明のさらに他の要旨は、クロロエタノールの含
有量が1000ppm以下であるエチレンサルファイト
を含有する電解液を用いるリチウム電池、に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態につき詳細に
説明する。本発明のエチレンサルファイトの製造方法は
特に限定されないが、好ましくは、エチレングリコール
と塩化チオニルとを反応させて粗エチレンサルファイト
を製造し、これに精製処理を施すことによって精製され
たエチレンサルファイトを製造する。 [粗エチレンサルファイトの製造]エチレングリコール
及び塩化チオニルからエチレンサルファイトを製造する
反応は、無溶媒で、触媒の不存在下に行うことができる
が、また、溶媒及び/又は触媒の存在下に行うこともで
きる。
【0009】上記溶媒としては、反応に不活性なもので
あれば特に限定されず、例えば、塩化メチレンなどのハ
ロゲン化炭化水素類;酢酸エチルなどのエステル類;ア
セトニトリルなどのニトリル類;テトラヒドロフラン、
ジメトキシエタンなどのエーテル類;トルエンなどの芳
香族炭化水素類などが用いられる。触媒としては、各種
の塩基性化合物を使用することができ、例えば炭酸ナト
リウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、水酸化カルシウムなどの無機塩基、N−メチルピ
ペリジン、N−エチルモルホリンなどの有機塩基が用い
られる。
【0010】反応温度は、通常、−20〜100℃、好
ましくは0〜80℃である。反応時間は、通常、0.5
〜10時間、好ましくは0.5〜5時間である。上記反
応の反応液として、溶媒が含有されている場合には蒸留
により除去することによって、粗エチレンサルファイト
を得ることが出来る。粗エチレンサルファイト中には、
目的生成物のエチレンサルファイトの外に、未反応のエ
チレングリコール(以下、EGということもある)、副
反応生成物のクロロエタノール(以下、Cl−ETOH
ということもある)、その他の不純物などが生成してお
り、また塩基性化合物を触媒とした場合には塩基性化合
物と塩化水素との塩が生成している。塩基性化合物と塩
化水素との塩は、濾過、水洗、抽出などにより除去する
ことができる。
【0011】[精製処理]粗エチレンサルファイトに対
して以下のような精製処理を行う。以下、好適な精製処
理について説明する。本発明の方法では、上述の反応に
よって得られた粗エチレンサルファイトを精密蒸留(以
下、精密蒸留1という)を含む精製処理により精製し、
該精密蒸留1の前又は後に塩基性水洗浄、全還流脱水、
精密蒸留(以下、精密蒸留2という)及び吸着処理から
なる群から選択された少なくとも1つの精製処理を行
う。精密蒸留1、並びに塩基性水洗浄、全還流脱水、精
密蒸留2及び吸着処理からなる群から選択された精製処
理、の何れにも先立って単蒸留を行うのが好ましい。 [単蒸留]エチレングリコールと塩化チオニルとの反応
により得られた粗エチレンサルファイト中には種々の不
純物が含有されているが、これを精密蒸留1、並びに塩
基性水洗浄、全還流脱水、、精密蒸留2及び吸着処理か
らなる群から選択された精製処理、に供する前に単蒸留
を行うと、それに引き続く精製処理の負荷を効果的に低
減することが出来て好ましい。
【0012】単蒸留は、常圧または減圧下のいずれで実
施することもできる。好ましくは内温100℃以下で行
うのが好ましい。 [精密蒸留1及び精密蒸留2]精密蒸留においては、常
圧下または減圧下に、通常、理論段数2〜15段程度、
好ましくは理論段数3〜10段程度の精密蒸留塔を使用
し、内温100℃以下、還流比3〜15程度の条件で行
うのが好ましい。
【0013】複数回の精密蒸留を組み合わせて実施する
場合、上記精密蒸留1と精密蒸留2との蒸留条件は同一
でもよいし異なっていてもよい。 [塩基性水洗浄]塩基性水洗浄においては、炭酸水素ナ
トリウム等の塩基性無機塩が溶解した水溶液又は水を使
用し、粗エチレンサルファイトを水層が中性になるまで
洗浄する。この際、洗液量及び洗浄回数は特に限定され
ない。 [全還流脱水]全還流脱水においては、内温100℃以
下、圧力20Torr以下で、粗エチレンサルファイト
を全還流しながら、水を非凝縮ガスとして系外へ除去す
る。処理時間は、通常、1〜5時間程度である。 [吸着処理]吸着処理において使用する吸着剤として
は、例えば4A、5A等のモレキュラーシーブス(以
下、MSと略することがある)等の複合金属酸化物、活
性炭、酸化アルミニウム(Al23)、酸化マグネシウ
ム(MgO)等の金属酸化物等が好ましい。吸着剤の使
用量は特に限定されないが、好ましくはエチレンサルフ
ァイトに対して10%以下とする。処理方式は、バッチ
式、連続式等の何れでもよい。
【0014】[精製処理の組み合わせ]上記のような各
精製処理を、好ましくは単蒸留に引き続く、精密蒸留1
とその前又は後の塩基性水洗浄、全還流脱水、精密蒸留
2及び吸着処理からなる群から選択された精製処理との
組み合わせとして実施し、精製エチレンサルファイトを
製造する。精製処理の好適な組み合わせとしては、例え
ば単蒸留と吸着処理と精密蒸留との組み合わせ、単蒸留
と塩基性水洗浄と全還流脱水と精密蒸留との組み合わ
せ、単蒸留と塩基性水洗浄と全還流脱水と吸着処理と精
密蒸留との組み合わせなどが挙げられる。 [精製エチレンサルファイト]上記精製処理によって、
有害な不純物の含有量が低減された本発明の精製エチレ
ンサルファイトが得られる。
【0015】本発明の精製エチレンサルファイトは、塩
素の含有量が500ppm以下、好ましくは200pp
m以下であり、また、クロロエタノールの含有量が10
00ppm以下、好ましくは400ppm以下である。
また、上記のような精製処理を実施した場合には、通
常、塩素分或いはクロロエタノールと共に未反応のエチ
レングリコール含有量も例えば2000ppm以下に低
減される。なお、塩素、クロロエタノールおよびエチレ
ングリコールの含有量は、例えば、次のような方法で測
定することができる。 [ES中の全塩素分の測定]エチレンサルファイトを秤
量してエチレンサルファイトに対して不活性な溶媒(例
えば、トルエン)で希釈し、該希釈液を酸水素炎燃焼装
置の中で燃焼させ、燃焼生成物を過酸化水素水に吸収す
る。吸収液中の塩素イオンをイオンクロマトグラフにて
測定し、全塩素含有量を算出する。
【0016】[ES、Cl−ETOH及びEGの含有量
の測定]エチレンサルファイトを秤量してエチレンサル
ファイトに対して不活性な溶媒(例えば、トルエン)で
希釈し、該希釈液をガスクロマトグラフィー(カラム:
ジメチルポリシロキサン型カラム、ディテクター:水素
系イオン化検出器(FID))により測定し、クロマト
グラム上のピーク面積の百分率を用いて各成分を表示す
る。本発明のクロロエタノールの含有量1000ppm
以下のエチレンサルファイトは、リチウム電池用電解液
の溶媒及び添加剤として有用であり、特にリチウム二次
電池用電解液の溶媒及び添加剤として有用である。ま
た、別の発明のリチウム電池用電解液は、クロロエタノ
ールの含有量1000ppm以下のエチレンサルファイ
トを含有するリチウム電池用電解液であり、リチウム電
解質、溶媒、エチレンサルファイトからなる。用いるク
ロロエタノールの含有量1000ppm以下のエチレン
サルファイトは上述の方法で製造することができる。本
発明の電解液のリチウム系電解質としては、ホウフッ化
リチウム、六フッ化燐酸リチウム、過塩素酸リチウム、
リチウムトリフロロメタンスルホネート等のリチウム化
合物を用いる。溶媒としては、エチレンカーボネート、
プロピレンカーボネート等の環状カーボネートやジメチ
ルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カ
ーボネート、テトラヒドロフラン、1,2−ジエトキシ
エタン等のエーテル類、γ−ブチロラクトン等のラクト
ン類等、通常、電解液に汎用に用いられる溶媒であれば
よい。クロロエタノールの含有量1000ppm以下の
エチレンサルファイトは、溶媒または添加剤のいずれと
しても用いることが可能である。クロロエタノールの含
有量が低減されたエチレンサルファイトを含有する電解
液は保存安定性が良好で、例えば、電解液を長期保存し
た時の電解液中の酸分の上昇が低減され、リチウム電池
用電解液、特にリチウム二次電池用電解液に有用に用い
られる。一方、クロロエタノールの含有量が1000p
pmを超えるエチレンサルファイトを電解液に用いる
と、電解液の保存安定性が低下しやすい。なお、電解液
中の酸分は、例えば、次の方法で測定することができ
る。
【0017】[電解液の酸分の測定]電解液を精秤し、
冷却した純水に溶解して、アルカリ滴定(指示薬:ブロ
モチモールブルー(BTB)、黄色→青色)して滴定値
をHF換算した値として酸分値を求める。また、別の発
明のリチウム電池は、上述のクロロエタノールの含有量
1000ppm以下のエチレンサルファイトを含有する
電解液を用いたリチウム電池である。クロロエタノール
の含有量が低減されたエチレンサルファイトを含有する
電解液を用いたリチウム電池は安定性が良好で、例え
ば、コイン型電池、アルミラミネート型電池等の電池を
作成し、長期保存した時の電池の内圧上昇や膨れが低減
され、リチウム電池、特にリチウム二次電池として有用
である。一方、クロロエタノールの含有量が1000p
pmを超えるエチレンサルファイトを含有する電解液を
リチウム電池に用いると、電池の内圧上昇、膨れ等の現
象が起きやすい。さらに電池の缶材の材質によっては穴
があいたり、開弁等により、電解液が漏液する恐れもあ
る。
【0018】
【実施例】次に本発明の具体的態様を実施例により更に
詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限
り、以下の実施例によって限定されるものではない。な
お、実施例中の測定は以下の方法に従って実施した。 [ES中の全塩素分の測定]精製して得られたエチレン
サルファイトを秤量してトルエンで希釈し、該希釈液を
酸水素炎燃焼装置の中で燃焼させ、燃焼生成物を過酸化
水素水(3%)中に吸収した。吸収液中の塩素イオンを
イオンクロマトグラフにて測定し、全塩素含有量を算出
した。
【0019】[ES、Cl−ETOH及びEGの含有量
の測定]精製して得られたエチレンサルファイトを秤量
してトルエンで希釈し、該希釈液をガスクロマトグラフ
ィー(島津製作所製、GC14A;100%ジメチルポ
リシロキサン型カラムHR−1;80℃で5分間保持し
た後、8℃/分で220℃まで昇温し10分間保持;イ
ンジェクション、ディテクター(FID)共に250
℃)で測定を実施した。ES、Cl−ETOH及びEG
の含有量はクロマトグラム上のピーク面積の百分率で表
示した(Cl−ETOH及びEG共に検出限界25pp
m)。 [電解液の酸分の測定]電解液10gを精秤後、5℃以
下に冷却した純水(100cm3)に溶解させ、アルカ
リ滴定(指示薬:BTB、黄色→青色)して滴定値をH
F換算した値を酸分値とした。
【0020】[製造例1]2Lフラスコにエチレングリ
コール1kg(三菱化学社製)を仕込み、系内を室温
下、30Torrに減圧脱気し、窒素ガスで置換した
後、フラスコ内を攪拌しながら塩化チオニル2.1kg
(キシダ化学社製、純度95%)を6時間で滴下した。
この時の内部温度は最高45℃まで上昇した。滴下終了
後、内部温度68℃で70分間熟成した後、内部温度6
3℃、圧力35Torrで25分間減圧脱気を実施し
た。得られた反応液は薄褐色の液体で、ES純度97.
04%、Cl−ETOH0.47%、EG1.30%で
あった。
【0021】この反応液につき、圧力20Torr、熱
媒温度85℃一定で単蒸留を実施した。初留を5%カッ
トし、製品留分を得た。収率86%、ES純度97.7
%、Cl−ETOH0.28%、EG1.6%、全塩素
5300ppmであった。これを粗ESとする。得られ
た粗ESを更に、理論段数10段、熱媒温度91℃、還
流比は5%留出するまでは10、それ以降は5として精
密蒸留を実施した。
【0022】得られた精密蒸留ESは、収率71.8
%、ES純度99.30%、Cl−ETOH0.14
%、EG0.38%、全塩素1600ppmであった。 [実施例1]製造例1で得られた粗ESを、室温にて吸
着処理(吸着剤:活性炭、品川化成社製、商品名セカー
ドBW−50、添加量10%、攪拌時間5Hr)を実施
した。更に、製造例1と同様の条件にて精密蒸留を実施
した。
【0023】得られた精製ESは、収率68%、ES純
度99.5%、Cl−ETOH0.09%、EG0.1
8%、全塩素480ppmであった。 [実施例2]製造例1で得られた粗ESを、飽和重曹水
を30重量%添加し、攪拌1時間、静置30分間の後、
水層を廃棄した。更に水20重量%添加し、攪拌1時
間、静置30分間の後、水層を廃棄した。水洗を2回実
施したES層を、内部温度70℃、20Torrで全還
流を5時間実施し、その間、水を非凝縮ガスとして系外
へ除去した。更に製造例1と同様の条件にて精密蒸留を
実施した。
【0024】得られた精製ESは、収率60.1%、C
l−ETOH0.09%、EG0.05%、全塩素11
0ppmであった。 [実施例3]実施例2で得られた精製ESを、吸着処理
(吸着剤:試薬MS5A、添加量3%、攪拌時間5H
r)を実施し、更に製造例1と同様の条件にて精密蒸留
を実施した。
【0025】得られた精製ESは、収率54%、Cl−
ETOH0.01%、EG0.01%以下、全塩素40
ppm以下であった。 [実施例4]1M3の反応器にエチレングリコール44
0kg(三菱化学社製)を仕込み、系内を室温下、30
Torrに減圧脱気し、窒素ガスで置換した後、反応器
内を攪拌しながら塩化チオニル900kg(キシダ化学
社製、純度95%)を12時間で滴下した。この時の内
部温度は最高35℃まで上昇した。滴下終了後、内部温
度68℃で70分間熟成した後、内部温度69℃、圧力
95Torrで3時間減圧脱気を実施した。
【0026】得られた反応液を、圧力20Torr、熱
媒温度85℃一定で単蒸留を実施した。初留を5%カッ
トし、製品留分を得た。得られた粗ESを、飽和重曹水
を30重量%添加し、攪拌1時間、静置30分間の後、
水層を廃棄した。更に水20重量%添加し、攪拌1時
間、静置30分間の後、水層を廃棄した。水洗を2回実
施したES層を、内部温度70℃、20Torrで全還
流を5時間実施し、その間、水を非凝縮ガスとして系外
へ除去した。更に得られた粗ESを理論段数10段、熱
媒温度90℃、還流比は5%留出するまでは10、それ
以降は5として精密蒸留を実施し得られた精製ESを、
吸着処理(吸着剤:試薬MS5A、添加量3%、攪拌時
間5Hr)を実施し、更に理論段数10段、熱媒温度9
0℃、還流比は5%留出するまでは10、それ以降は5
として精密蒸留を実施した。
【0027】得られた精製ESは、収率62%、Cl−
ETOH検出限界以下、EG検出限界以下、全塩素40
ppm以下であった。 [試験例] (電解液の調製)エチレンカーボネート(EC)286
gとエチルメチルカーボネート(EMC)514gとを
混合し、吸着剤MS4A5.1gを添加し、5Hr脱水
した後、1μmフィルターで濾過を実施し、EC−ME
C混合溶媒を作製した。この混合溶媒に市販のLiPF
6114gを少量ずつ添加し、30分攪拌した後、再度
1μmフィルターで濾過を実施して電解液を作製した。
この電解液の酸分は9.5ppm、水分は5.1ppm
であった。
【0028】この電解液に、Cl−ETOH濃度の変化
させたES(下記表に記載)をそれぞれ2重量%添加し
て電解液 i)〜v)を作成し、ステンレス(SUS N
o.304;American Iron and S
teal Institute)容器中に仕込み、窒素
雰囲気下、25℃で保存し、10日目の酸分を測定し
た。
【0029】
【表1】 電解液 ES中Cl-ETOH濃度 初期酸分 10日目の酸分 i) ES添加無 9.5ppm 13.5ppm ii) 0.01%(実施例3のES使用) 9.4ppm 19.2ppm iii) 0.21%(実施例3のES使用 Cl-ETOHを添加) 13.8ppm 33.2ppm iv) 0.35%(実施例3のES使用 Cl-ETOHを添加) 13.9ppm 38.5ppm v) 検出限界以下 (実施例4のES使用) 9.6ppm 13.6ppm また、これらの電解液 i)〜v)を用いて、外缶としてア
ルミラミネートフィルムを使用した電池(外形5cm×
9cm×6mm)の電池 i)〜v)を作成し、25℃で1
ヶ月間放置した際の、電池の膨れを観察すると、表2の
結果となる。
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】本発明の精製されたエチレンサルファイ
トは、不純物が少なく、これを電解液の成分として使用
した際の保存性が良好であり、電解液などの用途に有用
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古田土 稔 茨城県稲敷郡阿見町中央八丁目3番1号 三菱化学株式会社内 Fターム(参考) 5H029 AJ04 AJ12 AM02 BJ03 BJ04 CJ02 CJ12 HJ01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレングリコールと塩化チオニルとの
    反応により得られるエチレンサルファイトであって、ク
    ロロエタノールの含有量が1000ppm以下であるエ
    チレンサルファイト。
  2. 【請求項2】 エチレングリコールの含有量が2000
    ppm以下である請求項1に記載のエチレンサルファイ
    ト。
  3. 【請求項3】 エチレングリコールと塩化チオニルとの
    反応により得られた粗エチレンサルファイトを精密蒸留
    (以下、精密蒸留1という)を含む精製処理により精製
    してエチレンサルファイトを製造する方法において、該
    精密蒸留1の前又は後に塩基性水洗浄、全還流脱水、精
    密蒸留(以下、精密蒸留2という)及び吸着処理からな
    る群から選択された少なくとも1つの精製処理を行うこ
    とを特徴とするエチレンサルファイトの製造方法。
  4. 【請求項4】 精密蒸留1、並びに塩基性水洗浄、全還
    流脱水、精密蒸留2及び吸着処理からなる群から選択さ
    れた精製処理、の何れにも先立って単蒸留を行う、請求
    項3に記載のエチレンサルファイトの製造方法。
  5. 【請求項5】 吸着処理が、複合金属酸化物、活性炭、
    及び金属酸化物からなる群から選択された少なくとも1
    つの吸着剤を使用するものである、請求項3又は4に記
    載のエチレンサルファイトの製造方法。
  6. 【請求項6】 クロロエタノールの含有量が1000p
    pm以下であるエチレンサルファイトを含有するリチウ
    ム電池用電解液。
  7. 【請求項7】 クロロエタノールの含有量が1000p
    pm以下であるエチレンサルファイトを含有するリチウ
    ム電池用電解液を用いることを特徴とする。リチウム電
    池。
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JP2010120947A (ja) * 2009-12-24 2010-06-03 Ube Ind Ltd 非水電解液およびリチウム電池
CN115806540A (zh) * 2022-11-18 2023-03-17 山东兴文工业技术研究院有限公司 一种亚硫酸乙烯酯的制备方法

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