JP2003157849A - リチウム二次電池用負極およびそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池用負極およびそれを用いたリチウム二次電池

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JP2003157849A
JP2003157849A JP2001356072A JP2001356072A JP2003157849A JP 2003157849 A JP2003157849 A JP 2003157849A JP 2001356072 A JP2001356072 A JP 2001356072A JP 2001356072 A JP2001356072 A JP 2001356072A JP 2003157849 A JP2003157849 A JP 2003157849A
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secondary battery
lithium secondary
water
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Osamu Hiruta
修 蛭田
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Toyota Central R&D Labs Inc
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶媒に水を使用した負極合材から形成され、
電池特性の良好なリチウム二次電池を構成することので
きる負極を提供する。また、安価で安全性が高いことに
加え、放電容量および出力密度が大きく、サイクル特性
の良好なリチウム二次電池を提供する。 【解決手段】 リチウム二次電池用負極を、比表面積が
2m2/g以下の炭素材料からなる負極活物質と、水系
結着剤とを含む負極合材から形成する。また、その負極
を用いてリチウム二次電池を構成する。比表面積が小さ
い炭素材料を負極活物質として用いることにより、水系
結着剤の量を減らすことができ、放電容量および出力密
度が大きく、サイクル特性に優れたリチウム二次電池を
構成することができる。また、水系結着剤を使用するこ
とで、安価で環境に優しく、安全性の高いリチウム二次
電池となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムの吸蔵・
脱離現象を利用したリチウム二次電池を構成することの
できる負極、およびそれを備えて構成されたリチウム二
次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】パソコン、ビデオカメラ、携帯電話等の
小型化に伴い、情報関連機器、通信機器の分野では、こ
れらの機器に用いる電源として、高エネルギー密度であ
るという理由から、リチウム二次電池が実用化され広く
普及するに至っている。また一方で、自動車の分野にお
いても、環境問題、資源問題から電気自動車の開発が急
がれており、この電気自動車用の電源としても、リチウ
ム二次電池が検討されている。一般に、リチウム二次電
池を構成する負極は、粉末状の炭素材料からなる負極活
物質に結着剤を混合し、適当な溶媒を加えてペースト状
にした負極合材を、金属箔集電体の表面に塗布乾燥する
ことにより形成される。そして、結着剤としては、ポリ
フッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂が主として用いら
れ、結着剤を溶解し負極活物質を分散させる溶媒として
は、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤が主とし
て用いられている。
【0003】しかし、フッ素系樹脂からなる結着剤を使
用した負極合材は、成膜性が悪く、負極活物質である炭
素材料の粒子と粒子、および炭素粒子と金属箔集電体と
の密着性が良好ではなかった。そのため、結晶性の高い
黒鉛質炭素材料を負極活物質として用いた場合であって
も、負極における電気抵抗が大きいため、その負極を用
いて構成したリチウム二次電池の放電容量は充分なもの
とはいえなかった。さらに、そのリチウム二次電池は、
充放電を繰り返すと容量が低下する、いわゆるサイクル
特性が良好ではないという問題も有していた。また、結
着剤に用いられるフッ素系樹脂は、高温下で分解するた
め、過充電時等の高温下では、フッ素と、正極活物質か
ら脱離したリチウムとが激しく反応し、安全面において
も問題があった。一方、フッ素系樹脂からなる結着剤を
溶解することのできる溶媒として、上記有機溶剤が使用
されているが、有機溶剤の使用は、環境保全への配慮や
取扱い上の安全性、およびコストの低減等の観点から好
ましくない。これらの問題を解決するため、フッ素系樹
脂以外の結着剤を用い、溶媒に水を使用した負極合材が
種々検討されている。例えば、特開平2000−294
230号公報には、負極活物質として炭素材料を、結着
剤としてアクリル系共重合体の水性エマルジョンとカル
ボキシメチルセルロースとの混合水和物を用い、これら
を溶媒である水に分散させたペースト状の負極合材が示
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者が追試したところ、上記開示されたペースト状の負極
合材から形成した負極を用いて構成したリチウム二次電
池は、放電容量が小さく、サイクル特性も充分とはいえ
なかった。また、出力密度が小さく、これは高電流密度
での放電が想定されるような用途では特に問題となる。
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、溶媒
に水を使用した負極合材から形成された負極であって、
出力密度が大きい等の電池特性の良好なリチウム二次電
池を構成することのできる負極を提供することを課題と
する。また、そのような負極を用いてリチウム二次電池
を構成することにより、安価で安全性が高いことに加
え、放電容量および出力密度が大きく、サイクル特性の
良好なリチウム二次電池を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のリチウム二次電
池用負極は、比表面積が2m2/g以下の炭素材料から
なる負極活物質と、水系結着剤とを含む負極合材から形
成されたことを特徴とする。すなわち、本発明のリチウ
ム二次電池用負極を形成するための負極合材には、水系
結着剤を用いる。水系結着剤とは、水に溶解し得る結着
剤を意味する。なお、溶解とは乳化している状態をも含
む概念である。つまり、負極活物質材料どうし、および
負極活物質材料と集電体とを結着する役割を果たす結着
剤として、水に不溶な従来のフッ素系樹脂ではなく、水
に溶解し得る材料を用いるものである。フッ素系樹脂を
使用しないため、上述した安全上の問題は解消される。
また、溶媒として有機溶剤を用いる必要がないため、安
価で環境に優しく、取扱い上の安全性の高い負極とな
る。また、本発明者は、溶媒に水を使用した負極合材か
ら形成された負極について鋭意研究を重ねた結果、出力
密度や放電容量等が充分ではないという上記問題は、負
極合材中の結着剤の量が多いことが原因の一つであると
いう知見を得た。一般に、結着剤は導電性の低い材料で
あることが多い。そのため、結着剤の量が多い場合に
は、負極活物質である炭素粒子の表面が結着剤で過剰に
覆われ、リチウムイオンの移動が妨げられるだけではな
く、炭素粒子の電気絶縁性が大きくなるために電気抵抗
が大きくなると考えられる。結着剤は、炭素粒子表面に
吸着し、炭素粒子を負極合材中に分散させる役割を果た
すとともに、炭素粒子間および炭素粒子と集電体とを結
着させる役割を果たすものである。つまり、結着剤は炭
素粒子表面に吸着して作用する。したがって、炭素材料
の比表面積は、負極合材中の結着剤の量を決定する際の
重要な要素となる。本発明のリチウム二次電池用負極
は、負極活物質として比表面積が2m2/g以下の炭素
材料を用いる。比表面積が2m2/g以下と小さいた
め、それを分散、結着させるために必要な結着剤の量を
減らすことができる。すなわち、負極合材中の導電性の
低い材料の含有割合を小さくできるため、電気抵抗が小
さくなり、出力密度および放電容量が大きく、サイクル
特性の良好なリチウム二次電池を構成することのできる
負極となる。このように、本発明のリチウム二次電池用
負極は、安価で取扱いが安全であることに加え、上記電
池特性の優れたリチウム二次電池を構成することのでき
る負極となる。
【0006】本発明のリチウム二次電池は、上記リチウ
ム二次電池用負極を備えて構成されたものである。上記
負極を用いて構成することにより、本発明のリチウム二
次電池は、安価で安全性が高いことに加え、出力密度お
よび放電容量が大きく、サイクル特性の良好なリチウム
二次電池となる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明のリチウム二次電池
用負極について、その構成および形成方法を説明し、さ
らにその負極を用いて構成した本発明のリチウム二次電
池について説明する。
【0008】〈負極の構成および形成方法〉本発明のリ
チウム二次電池用負極は、比表面積が2m2/g以下の
炭素材料からなる負極活物質と、水系結着剤とを含む負
極合材から形成される。負極活物質には、比表面積が2
2/g以下の炭素材料を用いる。炭素材料は特に制限
されるものではなく、例えば、天然黒鉛、球状あるいは
繊維状の人造黒鉛、コークス等の易黒鉛化性炭素、フェ
ノール樹脂焼成体等の難黒鉛化性炭素等を用いることが
できる。なお、これらの1種を単独であるいは2種以上
を混合して用いてもよい。ここで、人造黒鉛は、例え
ば、易黒鉛化性炭素を2800℃以上の高温で熱処理し
て製造することができる。この場合の原料となる易黒鉛
化性炭素には、コークス、ピッチ類を400℃前後で加
熱する過程で得られる光学異方性の小球体(メソカーボ
ンマイクロビーズ:MCMB)等がある。人造黒鉛を使
用する場合、上記メソカーボンマイクロビーズを黒鉛化
した黒鉛化メソカーボンマイクロビーズ(黒鉛化MCM
B)を用いることが望ましい。この黒鉛化MCMBは、
球状形態をしていることが特徴であり、比表面積が小さ
く電解液の分解を最小限に抑え、かつ充填密度の向上に
寄与することができる。したがって、黒鉛化MCMBを
負極活物質として用いれば、保存特性が良好で、エネル
ギー密度のより高い二次電池が構成できる。また、結晶
子がラメラ状に配列し、結晶子端面が粒子表面に露出し
ているため、黒鉛化MCMBを負極活物質に用いれば、
充放電時のリチウムの吸蔵・脱離がスムーズで、入出力
特性に優れた電池を構成できる。
【0009】また、炭素材料の比表面積は、2m2/g
以下とする。本明細書では、炭素材料の比表面積とし
て、窒素吸着法により測定した値を採用する。これは、
予め脱気した炭素材料の質量を測定し、その脱気した炭
素材料を液体窒素に浸漬して、平衡時における炭素材料
粒子表面に吸着した窒素量を測定し、その吸着量から比
表面積を算出するものである。上述したように、比表面
積を小さくすることで、それを分散、結着させるために
必要な結着剤の量を減らすことができる。例えば、本発
明の負極において、水系結着剤の負極合材中の含有割合
を、負極活物質と水系結着剤との固形分のみの合計重量
を100重量%とした場合の0.5重量%以上1重量%
未満(固形分のみの重量において)とすることが望まし
い。水系結着剤の負極合材中の含有割合が0.5重量%
未満の場合には、負極活物質を分散させ、負極活物質間
および負極活物質と集電体とを結着させるという結着剤
としての役割を充分果たすことが困難となるからであ
る。なお、0.6重量%以上とするのがより好適であ
る。反対に、1重量%以上の場合には、負極活物質であ
る炭素粒子の表面を覆う割合が大きくなり、リチウムイ
オンの移動が妨げられ、電気抵抗も大きくなるからであ
る。
【0010】水系結着剤は、水に溶解し得る結着剤であ
れば、特に限定されるものではない。負極活物質材料ど
うし、および負極活物質材料と集電体との結着を良好な
ものとし、かつ水に容易に溶解し得るという観点から、
例えば、合成ゴム系ラテックス型接着剤と水溶性高分子
とを含んだ複合結着剤の態様を採用することが望まし
い。ここで、合成ゴム系ラテックス型接着剤は、ペース
ト状の負極合材を集電体に塗布、乾燥した後における負
極活物質材料どうし、および負極活物質材料と集電体と
の密着性に寄与するものである。特に、集電体表面に接
着し、被膜を形成することにより負極活物質材料を集電
体に結着させる役割を果たす。この場合、合成ゴム系ラ
テックス型接着剤の負極合材中の含有割合は、特に限定
されるものではない。特に、負極活物質である炭素材料
と集電体との密着性をより向上させるという観点から、
合成ゴム系ラテックス型接着剤の負極合材中の含有割合
は、負極活物質と水系結着剤との合計重量を100重量
%とした場合の0.1重量%以上とすることが望まし
い。0.1重量%未満であると、炭素材料と集電体との
密着性が悪く、負極作製時や使用時に炭素材料が剥離す
る恐れがあるからである。一方、合成ゴム系ラテックス
型接着剤が過剰に含まれる場合には、それが集電体の表
面に接着して過剰な被膜を形成する。その結果、炭素材
料の電気絶縁性が大きくなり、負極を形成した場合に電
気抵抗が大きくなってしまう。このことを考慮した場合
には、合成ゴム系ラテックス型接着剤の負極合材中の含
有割合を0.4重量%以下とすることが望ましい。合成
ゴム系ラテックス型接着剤としては、例えば、スチレン
ブタジエンゴムラテックス、ニトリルブタジエンゴムラ
テックス、メチルメタクリレートブタジエンゴムラテッ
クス、クロロプレンゴムラテックスのいずれか1種以上
を用いることができる。なかでも、集電体との密着性、
および電解液に対する耐性を考慮すると、スチレンブタ
ジエンゴムラテックスを選択することが望ましい。
【0011】また、水溶性高分子は、負極活物質である
粉末状の炭素材料に吸着し、その炭素粒子を負極合材中
に分散させる役割を果たすとともに、炭素粒子間および
炭素粒子と集電体とを結着させる役割を果たすものであ
る。ここで、水溶性高分子の負極合材中の含有割合は、
特に限定されるものではない。しかし、負極活物質材料
に吸着して作用するという観点から、水溶性高分子の含
有割合は、負極活物質材料の含有量や負極活物質材料の
比表面積を考慮して決定されることが望ましい。具体的
には、比表面積が小さい炭素材料を負極活物質とした場
合には、上記役割を果たすために必要となる水溶性高分
子の量は少なくてよい。つまり、負極合材中の水溶性高
分子の含有割合を、負極活物質と水系結着剤との合計重
量を100重量%とした場合の0.8重量%以下とする
ことが望ましい。0.8重量%を超えると、水溶性高分
子が過剰となり、それが炭素粒子の表面に吸着して過剰
な被膜を形成する。その結果、リチウムイオンの移動が
妨げられ、さらには、炭素材料の電気絶縁性が大きくな
るために、負極を構成した場合に電気抵抗が大きくなっ
てしまうからである。一方、炭素粒子の分散状態を良好
なものとし、炭素粒子間の密着性を向上させることを考
慮した場合には、負極合材中の水溶性高分子の含有割合
を、負極活物質と水系結着剤との合計重量を100重量
%とした場合の0.5重量%以上とすることが望まし
い。水溶性高分子としては、例えば、ポリエチレンオキ
サイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、
ポリビニルピロリドン等の合成高分子や、セルロースエ
ーテル系の樹脂を用いることができる。これらの中でも
セルロースエーテル系樹脂は、人体に毒性を示すことは
なく、生体系に対しても無害であるという利点があるこ
とから、これを用いるのが望ましい。セルロースエーテ
ル系樹脂は、エーテル化度、分子量、変性等が異なる種
々のものがある。なかでも、負極活物質である炭素材料
の分散効果が高いという理由から、エーテル化度が1.
0以上のものを用いることが望ましい。セルロースエー
テル系樹脂は、セルロースが有する水酸基の一部をエー
テル化したものである。セルロース単位には3つの水酸
基が存在する。例えば、セルロースエーテルのすべての
セルロース単位において、水酸基の1つがエーテル化さ
れている場合は、エーテル化度が1.0となる。つま
り、エーテル化度は、セルロースに含まれる水酸基がど
れだけエーテル化されているかを示す指標である。本発
明者は、エーテル化されている水酸基の割合が多いほ
ど、すなわちエーテル化度が高くなるほど炭素材料の分
散効果が高いことを見出した。したがって、エーテル化
度が1.0以上と高い場合には、炭素材料の分散効果が
高いため、より少量で上述した役割を果たすことが可能
となり、結果的に必要な結着剤の量を少なくすることが
できる。
【0012】また、セルロースエーテル系樹脂は、数平
均分子量が10万以下のものであることが望ましい。一
般に、分子量が大きいものが多いほど、その樹脂の粘性
は高くなることが知られている。後に詳しく説明する
が、ペースト状の負極合材を集電体に塗布、乾燥して負
極を形成する場合、塗布する負極合材の固形分濃度が高
いほど、乾燥後の塗膜の収縮を小さくすることができ、
負極合材の塗膜と集電体との密着性が高くなる。したが
って、負極合材の固形分濃度を高くすることが望まし
い。しかし、固形分濃度を高くした場合に、負極合材ペ
ーストの粘度が大きいと、それを集電体に塗布すること
が困難となる。そこで、セルロースエーテル系樹脂の数
平均分子量を10万以下とすることで、ペースト粘度を
小さくすることが可能となり、固形分濃度を高くしても
容易に塗布可能な負極合材ペーストを調製することがで
きる。セルロースエーテル系樹脂の数平均分子量の測定
は、通常の分子量測定方法に従えばよく、例えば、GP
C(Gel Permeation Chromatography)等を用いて測定
すればよい。セルロースエーテル系樹脂は、付加する官
能基によって種々のものを用いることができ、例えば、
セルロースエーテルのナトリウム塩、アンモニウム塩等
が挙げられる。これらの塩のいずれか1種以上を用いれ
ばよい。セルロースエーテルとしては、例えば、メチル
セルロース、エチルセルロース、ベンジルセルロース、
トリエチルセルロース、シアノエチルセルロース、カル
ボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロー
ス、アミノエチルセルロース、およびオキシエチルセル
ロース等のグループから選ばれる1種または2種以上を
用いることができる。特に、溶媒である水との親和性が
高く、かつ負極活物質材料との親和性も良好であるとい
う理由から、カルボキシメチルセルロースを選択するこ
とが望ましい。さらに、水に溶解し易いという理由か
ら、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩を選択す
ることが望ましい。
【0013】本発明のリチウム二次電池用負極負極は、
上述した負極活物質と水系結着剤とを含む負極合材から
形成されるものであり、その形成方法等は、特に限定す
るものではない。負極活物質となる炭素材料に水系結着
剤を混合し、溶媒として水を加えてペースト状にした負
極合材を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布、乾燥し、
必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成するこ
とができる。溶媒として加える水の配合割合は、特に制
限されるものではない。水の配合割合により、ペースト
状の負極合材の粘度を調整することができるため、集電
体表面への塗布方法によってその割合を適宜調整すれば
よい。一般に、ある基材表面にペーストを塗布し塗膜を
形成した場合、その塗膜と基材との密着性は、ペースト
塗布後の乾燥による塗膜の収縮と関係がある。つまり、
塗膜の収縮が大きいほど密着性は低下する。また、塗膜
の収縮は、ペーストの固形分濃度と関係があり、ペース
トの固形分濃度が低くなると塗膜の収縮は大きくなる。
したがって、ペースト状の負極合材を集電体に塗布、乾
燥して負極を形成する場合、塗布する負極合材の固形分
濃度を高くすることで、乾燥後の塗膜の収縮を小さくす
ることができる。すなわち、負極合材の固形分濃度が高
いほど負極合材の塗膜と集電体との密着性が高くなる。
このような観点から、溶媒として加える水の配合割合
は、ペースト状とした負極合材全体の重量を100重量
%とした場合の40重量%以下(固形分濃度60重量%
以上)とすることが望ましい。なお、塗布、乾燥方法
は、特に制限されるものではない。塗布方法には、リバ
ースロール、コンマバー、グラビア、エアナイフ等、種
々のコーターヘッドを用いた方法を用いることができ
る。また、乾燥には、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線
加熱機、遠赤外線加熱機等、種々乾燥機を用いることが
でき、そのまま放置して乾燥してもよい。
【0014】〈リチウム二次電池〉本発明のリチウム二
次電池は、比表面積が2m2/g以下の炭素材料からな
る負極活物質と、水系結着剤とを含む負極合材から形成
された本発明の負極を備えて構成される。負極を除き、
その構成が特に限定されるものではなく、既に公知のリ
チウム二次電池の構成に従えばよい。本発明のリチウム
二次電池では、一般のリチウム二次電池と同様、正極お
よび負極、正極と負極の間に挟装されるセパレータ、非
水電解液等を構成要素とする。なお、本発明のリチウム
二次電池は、負極の構成において、例えば、水系結着剤
の含有割合を所定の割合とする態様や、水系結着剤とし
て合成ゴム系ラテックス型接着剤およびセルロースエー
テル系樹脂を用いた態様等、上述したより望ましい態様
を取り入れて構成することができる。
【0015】上記負極に対向させる正極は、正極活物質
に導電材および結着剤を混合し、必要に応じ適当な溶媒
を加えて、ペースト状の正極合材としたものを、アルミ
ニウム等の金属箔製の集電体表面に塗布、乾燥し、その
後プレスによって活物質密度を高めることによって形成
することができる。正極活物質は、リチウムを吸蔵・脱
離することができる化合物を用いれば、その種類が特に
制限されるものではない。例えば、4V級の二次電池を
構成できるという観点から、Co、Ni等を主構成元素
とするリチウム遷移金属複合酸化物を用いることができ
る。なかでも、NiはCoより低価格であり、容量の大
きな二次電池を構成できることから、基本組成をLiN
iO2とする層状岩塩構造のリチウムニッケル複合酸化
物を用いることが望ましい。正極に用いる導電材は、正
極活物質層の電気伝導性を確保するためのものであり、
カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛等の炭素
物質の1種または2種以上を混合したものを用いること
ができる。結着剤は、活物質粒子を繋ぎ止める役割を果
たすもので、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化
ビニリデン、フッ素ゴム等のフッ素系樹脂、ポリプロピ
レン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いることがで
きる。これら活物質、導電材、結着剤を分散させる溶媒
としては、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を
用いることができる。
【0016】セパレータは、正極と負極とを分離し電解
液を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等の薄い微多孔膜を用いることができる。なお、セパ
レータは、ある程度の電池温度が上昇した場合、軟化し
てその細孔が閉塞し、電池反応を停止させるいわゆるシ
ャットダウン効果を充分に発揮するものであることが望
ましい。また非水電解液は、有機溶媒に電解質であるリ
チウム塩を溶解させたもので、有機溶媒としては、非プ
ロトン性有機溶媒、例えばエチレンカーボネート、プロ
ピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチル
カーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロ
ラクトン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシエタ
ン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン
等の1種またはこれらの2種以上の混合溶媒を用いるこ
とができる。また、溶解させる電解質としては、Li
I、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiP
6、LiN(CF 3SO22等のリチウム塩を用いるこ
とができる。なお、上記セパレータおよび非水電解液と
いう構成に代えて、ポリエチレンオキシド等の高分子量
ポリマーとLiClO4やLiN(CF3SO22等のリ
チウム塩を使用した高分子固体電解質を用いることもで
き、また、上記非水電解液をポリアクリロニトリル等の
固体高分子マトリクスにトラップさせたゲル電解質を用
いることもできる。
【0017】以上のように構成される本発明のリチウム
二次電池であるが、その形状は円筒型、積層型等、種々
のものとすることができる。いずれの形状を採る場合で
あっても、正極および負極にセパレータを挟装させ電極
体とし、正極集電体および負極集電体から外部に通ずる
正極端子および負極端子までの間を集電用リード等を用
いて接続し、この電極体を非水電解液とともに電池ケー
スに挿設し、電池ケースを密閉して電池を完成すること
ができる。
【0018】〈他の実施形態の許容〉以上、本発明のリ
チウム二次電用負極およびそれを用いたリチウム二次電
池の実施形態について説明したが、上述した実施形態は
一実施形態にすぎず、本発明のリチウム二次電池用負極
およびそれを用いたリチウム二次電池は、上記実施形態
を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改
良を施した種々の形態で実施することができる。
【0019】
【実施例】上記実施形態に基づいて、水系結着剤として
合成ゴム系ラテックス型接着剤および水溶性高分子を用
い、(1)負極合材中の水系結着剤の含有割合、(2)
水溶性高分子であるセルロースエーテル系樹脂のエーテ
ル化度、(3)水溶性高分子であるセルロースエーテル
系樹脂の数平均分子量、(4)負極活物質である炭素材
料の比表面積をそれぞれ変えて負極合材を調製し、種々
の負極を形成した。そして、それらの負極を用いてリチ
ウム二次電池を作製し、初期放電容量、初期出力密度お
よびサイクル特性を評価した。以下、順に説明する。
【0020】〈負極の形成〉 (1)第1シリーズの負極 負極合材中の水系結着剤の含有割合を変えて、種々の負
極合材を調製し、それらの負極合材を用いて種々の負極
を形成した。負極活物質として比表面積1.29m2
gの黒鉛化メソカーボンマイクロビーズ(黒鉛化MCM
B)を用いた。負極活物質となる黒鉛化MCMBと水系
結着剤とを所定の割合で混合し、溶媒として適量の水を
添加し、固形分濃度68重量%のペースト状の負極合材
を調製した。水系結着剤には、合成ゴム系ラテックス型
接着剤としてスチレンブタジエンゴムラテックス(以
下、「SBR」と表す)を、水溶性高分子としてカルボ
キシメチルセルロースナトリウム塩(以下、「CMCN
a」と表す)を用い、両者の含有割合を種々のものとし
た。なお、用いたCMCNaのエーテル化度は1.3、
数平均分子量は76,000である。そして、ペースト
状の負極合材をコンマコーターを用いて厚さ10μmの
銅箔集電体の片面に塗布し、120℃で5分間乾燥し
た。同様に、銅箔集電体のもう一方の面にもペースト状
の負極合材を塗布、乾燥した。その後、ロールプレスに
て圧縮し、負極全体の厚さが100μmのシート状の負
極とした。このシート状の負極は56mm×500mm
の大きさに裁断して、後に作製するリチウム二次電池の
負極として用いた。なお、形成された負極を#11〜1
8と番号付けした。
【0021】(2)第2シリーズの負極 水系結着剤であるCMCNaのエーテル化度を変えて、
2種類の負極合材を調製し、それらの負極合材を用いて
負極を形成した。負極活物質となる黒鉛化MCMBの9
9.2重量部と水系結着剤の0.8重量部とを混合し、
溶媒として適量の水を添加し、固形分濃度68重量%の
ペースト状の負極合材を調製した。水系結着剤には、合
成ゴム系ラテックス型接着剤としてSBRを0.3重量
%、水溶性高分子としてCMCNaを0.5重量部用い
た。CMCNaは、エーテル化度が0.8で数平均分子
量が74,000のものと、エーテル化度が1.0で数
平均分子量が72,000のものとを用いた。これら以
外は、上記第1シリーズの負極と同様に負極を形成し、
形成された負極を#21、#22と番号付けした。 (3)第3シリーズの負極 水系結着剤であるCMCNaの数平均分子量を変えて、
2種類の負極合材を調製し、それらの負極合材を用いて
負極を形成した。CMCNaは、エーテル化度が1.0
で数平均分子量が95,000のものと、エーテル化度
が1.0で数平均分子量が118,000のものとを用
いた。そして、各負極合材を銅箔集電体へ塗布し易いよ
うに、前者を用いた負極合材の固形分濃度を63重量%
と、後者を用いた負極合材の固形分濃度を58重量%と
した。これら以外は、上記第2シリーズの負極と同様に
負極を形成し、形成された負極を#31、#32と番号
付けした。 (4)第4シリーズの負極 炭素材料の比表面積を変えて3種類の負極合材を調製
し、それらの負極合材を用いて負極を形成した。負極活
物質として比表面積が1.60m2/g、1.88m2
g、2.14m2/gである3種類の黒鉛化MCMBを
用いた。また、CMCNaは、エーテル化度1.3、数
平均分子量76,000のものを用いた。それ以外は、
上記第2シリーズの負極と同様に形成し、形成された負
極を#41〜43と番号付けした。
【0022】〈リチウム二次電池の作製〉上記形成した
各負極を用いて、リチウム二次電池を種々作製した。対
向させる正極は、正極活物質としてリチウムニッケル複
合酸化物を用いた。正極活物質であるリチウムニッケル
複合酸化物51重量部に、導電材としてアセチレンブラ
ックを6重量部、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン
を3重量部混合し、溶媒としてN−メチル−2−ピロリ
ドンを40重量部添加して、ペースト状の正極合材を調
製し、次いで、このペースト状の正極合材を厚さ20μ
mのアルミニウム箔集電体の両面に塗布し、乾燥させ、
その後ロールプレスにて圧縮し、全体の厚さが100μ
mのシート状のものを作製した。このシート状の正極は
54mm×450mmの大きさに裁断して用いた。上記
正極および各負極を、それらの間に厚さ20μm、幅5
8mmのポリエチレン製セパレータを挟んで捲回し、ロ
ール状の電極体を形成した。そして、その電極体を18
650型円筒形電池ケース(外径18mmφ、長さ65
mm)に挿設し、非水電解液を注入し、その電池ケース
を密閉して円筒型リチウム二次電池を作製した。なお、
非水電解液は、エチレンカーボネートとジエチルカーボ
ネートとを体積比で1:1に混合した混合溶媒に、Li
PF6を1Mの濃度で溶解したものを用いた。上記各シ
リーズの#11〜18、#21、#22、#31、#3
3、#41〜43の負極を用いたリチウム二次電池を、
それぞれ各シリーズの#11〜18、#21、#22、
#31、#33、#41〜43のリチウム二次電池とし
た。
【0023】〈初期放電容量および初期出力密度の測
定〉作製した#11〜18、#21、#22、#31、
#33、#41〜43のリチウム二次電池を用いて初期
放電容量および初期出力密度を測定した。まず、温度2
0℃下にて、電流密度0.2mA/cm2の定電流で
4.1Vまで充電した後、電流密度0.2mA/cm2
の定電流で3.0Vまで放電を行った。この時の放電容
量を、各二次電池の初期放電容量とした。次に、各リチ
ウム二次電池を各々の初期放電容量の50%まで充電し
た状態(SOC50%)から種々の電流で10秒間放電
させ、各放電の10秒目の電圧を測定した。そして、電
流と電圧との関係をグラフにし、その電流−電圧直線と
下限電圧(3.0V)とで囲まれる三角形の面積を各二
次電池の出力(W)とした。それらの値から、各電極体
1kg当たりの出力を算出し、算出した値を各二次電池
の初期出力密度とした。
【0024】〈充放電サイクル試験〉初期放電容量およ
び初期出力密度を測定した各リチウム二次電池につい
て、さらに充放電を繰り返すことにより、充放電サイク
ル試験を行った。充放電サイクル試験は、温度60℃下
で充放電を合計100サイクル繰り返すものとした。そ
して、100サイクル後の各二次電池の放電容量を測定
し、式[100サイクル後の放電容量/初期放電容量×
100]から容量維持率(%)を算出した。
【0025】〈初期放電容量、初期出力密度およびサイ
クル特性の評価〉以下、各リチウム二次電池の初期放電
容量、初期出力密度およびサイクル特性について、各シ
リーズごとに説明する。 (1)第1シリーズのリチウム二次電池 #11〜18のリチウム二次電池の初期放電容量、初期
出力密度および容量維持率を表1に示す。
【表1】 表1において、#11〜18の各二次電池は、初期放電
容量、初期出力密度が大きく、容量維持率が高いことが
わかる。ここで、#11の二次電池は、水系結着剤の1
つであるSBRを含んでいないため、それを含む他の二
次電池と比較して、容量維持率が低い値となっている。
これは、負極活物質である炭素材料と集電体とが充分に
結着されなかったため、電気抵抗が大きくなったり、充
放電を繰り返すにつれ炭素粒子が集電体から剥離したた
めであると考えられる。また、#12の二次電池は、S
BRを0.1重量%含むものの、CMCNaの含有割合
が0.4重量%と小さい。このため、#11の二次電池
と比較すると容量維持率は向上したが、初期放電容量お
よび初期出力密度が低下した。これは、炭素材料と集電
体との密着性は向上したものの、CMCNaの量が少な
いため、炭素粒子の表面に均一に吸着することができ
ず、炭素粒子間の密着性が悪くなり電気抵抗が大きくな
ったためであると考えられる。一方、#15および#1
8の二次電池は、水系結着剤の各材料の含有割合が好適
な範囲である#13、#14、#16、#17の各二次
電池と比較して、初期放電容量および初期出力密度が小
さい。また容量維持率もやや低い値となっている。これ
は、#15の二次電池では、CMCNaの含有割合が
0.9重量%と大きく、また、#18の二次電池では、
SBRの含有割合が0.5重量%と大きい、つまり両電
池とも水系結着剤の含有割合が1重量%と大きいため、
それが集電体の表面に付着して過剰な被膜を形成し、電
気抵抗が大きくなったためであると考えられる。これら
の結果から、本発明の負極を用いた本発明のリチウム二
次電池は、電池特性が良好であり、特に、合成ゴム系ラ
テックス型接着剤の負極合材中の含有割合を0.1重量
%以上0.4重量%以下、水溶性高分子の負極合材中の
含有割合を0.5重量%以上0.8重量%以下とするこ
とが望ましいことが確認できた。さらに、水系結着剤の
負極合材中の含有割合を、0.5重量%以上1重量%未
満とすることが望ましいことが確認できた。
【0026】(2)第2シリーズのリチウム二次電池 #21および#22のリチウム二次電池の初期放電容
量、初期出力密度および容量維持率を表2に示す。
【表2】 表2において、#21、#22の二次電池は、ともに初
期放電容量、初期出力密度が大きく、また容量維持率も
高いことがわかる。特に、#22の二次電池は、水系結
着剤の1つとして用いたCMCNaのエーテル化度が
1.0であり、それが0.8である#21の二次電池と
比較して、初期放電容量、初期出力密度が大きく、容量
維持率も高い。これは、用いたCMCNaのエーテル化
度が高いため、炭素材料の分散性が向上し、CMCNa
が炭素粒子の表面に均一に吸着して炭素粒子間の密着性
をより向上させたためであると考えられる。これより、
水系結着剤として水溶性高分子のセルロースエーテル系
樹脂を用いた場合には、そのエーテル化度を1.0以上
とすることが望ましいことが確認できた。
【0027】(3)第3シリーズのリチウム二次電池 #31、#32のリチウム二次電池の初期放電容量、初
期出力密度および容量維持率を表3に示す。
【表3】 表3において、#31、#32の二次電池は、ともに初
期放電容量、初期出力密度が大きく、また容量維持率も
高いことがわかる。しかし、#32の二次電池は、水系
結着剤の1つとして用いたCMCNaの数平均分子量が
10万を超え、負極合材の固形分濃度が58重量%であ
るため、それが10万以下であり、負極合材の固形分濃
度が63重量%である#31の二次電池と比較して、容
量維持率が低い。#32の二次電池では負極合材の固形
分濃度が低いため、負極合材ペーストを集電体に塗布、
乾燥した後の塗膜の収縮が大きく、炭素材料と集電体と
の結着が充分ではないと考えられる。その結果、充放電
を繰り返すうちに炭素粒子が集電体から剥離する等、電
気抵抗が大きくなったものと考えられる。これより、水
系結着剤として水溶性高分子のセルロースエーテル系樹
脂を用いた場合には、その数平均分子量を10万以下
し、負極合材の固形分濃度を60重量%以上とすること
が望ましいことが確認できた。
【0028】(4)第4シリーズのリチウム二次電池 #41〜43のリチウム二次電池の初期放電容量、初期
出力密度および容量維持率を表4に示す。
【表4】 表4において、比表面積が2m2/g以下の炭素材料を
負極活物質として用いた#41および#42の二次電池
は、初期放電容量、初期出力密度が大きく、また容量維
持率も高いことがわかる。一方、比表面積が2m2/g
を超える炭素材料を負極活物質として用いた#43の二
次電池は、#41および#42の二次電池と比較して、
初期放電容量、初期出力密度が小さく、特に容量維持率
が低い値となった。これは、炭素材料の比表面積が大き
いため、それを分散、結着させるための水系結着剤の量
が充分ではなく、炭素材料間および炭素材料と集電体と
の密着性が悪くなり、充放電を繰り返すうちに炭素粒子
が集電体から剥離する等、電気抵抗が大きくなったこと
が原因と考えられる。これより、負極活物質としての炭
素材料の比表面積を2m2/g以下とすることで、水系
結着剤の量を減らすことができ、電池特性の良好な二次
電池を構成し得ることが確認できた。以上、まとめる
と、比表面積が2m2/g以下の炭素材料からなる負極
活物質と水系結着剤とを含む負極合材から負極を形成し
てリチウム二次電池を構成すると、初期放電容量、初期
出力密度がともに大きく、かつ、高温下で充放電を繰り
返しても容量低下の少ないサイクル特性の良好なリチウ
ム二次電池となることが確認できた。特に、負極合材中
の水系結着剤の含有割合を小さくし、また、水系結着剤
として合成ゴム系ラテックス型接着剤と水溶性高分子と
を用い、それらの含有割合等を調整することで、上記電
池特性のより優れた二次電池を構成できることが確認で
きた。
【0029】
【発明の効果】本発明のリチウム二次電池用負極は、比
表面積が2m2/g以下の炭素材料からなる負極活物質
と、水系結着剤とを含む負極合材から形成されたもので
ある。比表面積が小さい炭素材料を負極活物質として用
いることにより、水系結着剤の量を減らすことができ、
放電容量および出力が大きくサイクル特性に優れたリチ
ウム二次電池を構成し得る負極を形成することができ
る。また、水系結着剤を使用することで、安価で環境に
優しく、安全性の高い負極となる。また、本発明のリチ
ウム二次電池は、上記リチウム二次電池用負極を備えて
構成されるものである。上記負極を用いて構成すること
により、本発明のリチウム二次電池は、安価で安全性が
高いことに加え、放電容量および出力が大きく、サイク
ル特性の良好なリチウム二次電池となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H029 AJ03 AJ05 AJ11 AJ12 AJ14 AK03 AL06 AL07 AM03 AM04 AM05 AM07 AM16 CJ08 DJ08 DJ16 EJ04 EJ12 HJ01 HJ07 HJ11 5H050 AA07 AA08 AA14 AA15 AA19 BA17 CA08 CB07 CB08 DA11 EA23 FA17 GA10 HA00 HA01 HA07 HA11

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 比表面積が2m2/g以下の炭素材料か
    らなる負極活物質と、水系結着剤とを含む負極合材から
    形成されたリチウム二次電池用負極。
  2. 【請求項2】 前記水系結着剤の前記負極合材中の含有
    割合は、前記負極活物質と前記水系結着剤との合計重量
    を100重量%とした場合の0.5重量%以上1重量%
    未満である請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
  3. 【請求項3】 前記水系結着剤は、合成ゴム系ラテック
    ス型接着剤と水溶性高分子とを含む請求項1または請求
    項2に記載のリチウム二次電池用負極。
  4. 【請求項4】 前記水溶性高分子はセルロースエーテル
    系樹脂を含む請求項3に記載のリチウム二次電池用負
    極。
  5. 【請求項5】 前記セルロースエーテル系樹脂は、エー
    テル化度が1.0以上のものである請求項4に記載のリ
    チウム二次電池用負極。
  6. 【請求項6】 前記セルロースエーテル系樹脂は、数平
    均分子量が10万以下のものである請求項4または請求
    項5に記載のリチウム二次電池用負極。
  7. 【請求項7】 前記セルロースエーテル系樹脂は、カル
    ボキシメチルセルロースナトリウム塩を含む請求項4な
    いし請求項6のいずれかに記載のリチウム二次電池用負
    極。
  8. 【請求項8】 前記合成ゴム系ラテックス型接着剤は、
    スチレンブタジエンゴムラテックスを含む請求項3ない
    し請求項7のいずれかに記載のリチウム二次電池用負
    極。
  9. 【請求項9】 比表面積が2m2/g以下の炭素材料か
    らなる負極活物質と、水系結着剤とを含む負極合材から
    形成された負極を備えて構成されたリチウム二次電池。
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