JP2003156567A - X線フラットパネル検出器の感度補正方法及びその装置並びにx線検出装置 - Google Patents

X線フラットパネル検出器の感度補正方法及びその装置並びにx線検出装置

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JP2003156567A
JP2003156567A JP2001354761A JP2001354761A JP2003156567A JP 2003156567 A JP2003156567 A JP 2003156567A JP 2001354761 A JP2001354761 A JP 2001354761A JP 2001354761 A JP2001354761 A JP 2001354761A JP 2003156567 A JP2003156567 A JP 2003156567A
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ray
sensitivity
flat panel
deterioration
panel detector
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JP2001354761A
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English (en)
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Eiji Yahagi
栄司 矢作
Naoyuki Hori
直行 堀
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Shimadzu Corp
Original Assignee
Shimadzu Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 入射X線に応じて生じる感度劣化を数式モデ
ルにて補正することにより、感度劣化を補償することが
できるX線フラットパネル検出器の感度補正方法を提供
する。 【解決手段】 X線を受けることに伴って生じる感度の
劣化・回復現象を表すための数式モデルにより、ステッ
プS3で出力信号を測定した時点における感度をステッ
プS4で求めることができる。したがって、出力信号を
補正することができ、X線照射による感度劣化を補償す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、検査物や被検体
などの検査対象を透過した透過X線を検出するX線フラ
ットパネル検出器の感度補正方法及びその装置並びにX
線検出装置に係り、特にX線が照射されることによって
X線フラットパネル検出器に生じる不都合を解消する技
術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のX線フラットパネル検出
器は、X線変換層において検査対象の透過X線を電荷に
変換し、検出アレイ層で電荷を検出する機能を備え、前
記X線変換層と前記検出アレイ層とを積層した構造を有
するものである。このようなX線フラットパネル検出器
の検出アレイ層で検出された電荷は、入射X線に応じて
出力信号として出力され、この信号に基づいて透視画像
が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな構成を有する従来例の場合には、次のような問題が
ある。すなわち、従来の装置は、入射X線に応じて感度
の劣化が生じるので、検査対象によって遮蔽された領域
とそうでない領域ではX線の照射によって感度の差異が
生じるという問題がある。そのため同じ線量を受けたと
しても出力信号が異なるという現象が生じ、これに起因
して透視画像に偽像(アーティファクト)が生じ、読影
上で大きな障害となる。換言すると、先の検査対象の痕
跡が次の検査対象の透視画像に残ることになる。
【0004】ところで、X線フラットパネル検出器を備
えたX線検査装置における一般的な透視撮影において
は、透視画像の撮影前に所望の関心部位を撮影視野に位
置させるための透視動画撮影が行われる。そして、この
際にもある程度の劣化が生じるので、その後に撮影され
る透視画像には本来均一な出力信号が出力されるべきと
ころであっても異なる出力信号が出力される。したがっ
て、そのような出力信号に基づき得られた透視画像には
実際には存在しないアーティファクトが生じることにな
り、診断において問題となる。
【0005】この発明は、このような事情に鑑みてなさ
れたものであって、入射X線に応じて生じる感度劣化を
数式モデルにて補正することにより、感度劣化を補償す
ることができるX線フラットパネル検出器の感度補正方
法及びその装置並びにこれを用いたX線検出装置を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、このような
目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわ
ち、請求項1に記載のX線フラットパネル検出器の感度
補正方法は、入射X線をX線変換層で電荷に変換し、変
換された電荷を電荷検出層で検出して入射X線に対する
出力信号として出力するX線フラットパネル検出器の感
度補正方法において、入射X線量に応じて前記X線変換
層内で変換される電荷量が変動することに起因して生じ
る感度の劣化・回復現象を数式モデルで表し、この数式
モデルに基づき任意の時刻における感度を求めて前記出
力信号の感度を補正することを特徴とするものである。
【0007】請求項2に記載のX線フラットパネル検出
器の感度補正装置は、入射X線をX線変換層で電荷に変
換し、変換された電荷を電荷検出層で検出して入射X線
に対する出力信号として出力するX線フラットパネル検
出器の感度補正装置において、入射X線量に応じて前記
X線変換層内で変換される電荷量が変動することに起因
して生じる感度の劣化・回復現象を数式モデルで表し、
この数式モデルに基づき任意の時刻における感度を求め
て前記出力信号の感度を補正することを特徴とするもの
である。
【0008】請求項3に記載のX線検出装置は、請求項
2に記載のX線フラットパネル検出器の感度補正装置を
備えたことを特徴とするものである。
【0009】〔作用〕請求項1に記載の方法発明の作用
は次のとおりである。すなわち、発明者等は、鋭意研究
の結果、X線フラットパネル検出器に対してX線が照射
されると、X線変換層がダメージを受けると推測し、こ
れに伴う感度の劣化・回復現象を表す数式モデルを構築
することを考えた。
【0010】そのために、X線フラットパネル検出器に
ある一定線量を透過する検査対象を置き、ある程度遮蔽
される領域と全く遮蔽されない領域とをつくり、繰り返
し透視画像の撮影を行う。そして、それぞれの領域にお
ける出力信号を収集するという実験を種々行った。
【0011】具体的な上記実験とは、次の二つである。 感度劣化実験:一定時間のX線照射と休止を繰り返し、
X線照射中は線量に相当する信号をX線フラットパネル
検出器付近にて測定し、休止中は感度劣化を生じさせな
い程度のX線照射を行って感度を測定する。 感度回復実験:感度劣化実験の後、感度劣化を生じさせ
ない程度のX線照射を行い定期的に感度を測定する。
【0012】これらの実験結果に基づき次の定性的な事
実を読み取ることができた。 ・大量の線量を受けた場所はそうでない場所に比較して
劣化速度が速い。 ・劣化速度は、劣化が進行するにしたがって遅くなる。 ・回復速度は、感度が元の状態に回復するにしたがって
遅くなる。
【0013】これらの事実をうまく表現するためには、
以下の仮定を満たす数式モデルが考えられる。 ・劣化速度は、受けた線量に比例する。 ・劣化速度は、感度に比例する。 ・回復速度は、劣化した感度に比例する。
【0014】これらの知見に基づいて、発明者等はX線
を受けることに伴って生じる感度の劣化・回復現象を表
すための数式モデルを構築した。この数式モデルに基づ
き任意の時刻における感度を求めることができるので、
出力信号を補正することが可能となる。
【0015】請求項2に記載の方法発明によれば、X線
フラットパネル検出器の感度劣化・回復現象を表した数
式モデルによって、任意の時刻における感度を求めるこ
とができるので、出力信号を補正することが可能とな
る。
【0016】請求項3に記載の装置発明によれば、X線
フラットパネル検出器の感度補正装置を備えているの
で、X線フラットパネル検出器の感度劣化・回復現象を
表した数式モデルにより任意の時刻における感度を求め
ることができ、出力信号を補正して透視画像に反映する
ことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の
一実施例を説明する。 <感度補正方法>図1ないし図3はこの発明の一実施例
に係り、図1はこの発明を適用するX線フラットパネル
検出器の概略構成を示す斜視図であり、図2はその層構
造を示す断面図であり、図3はその周辺回路の構成を示
すブロック図である。
【0018】まず、X線フラットパネル検出器1の構成
について説明する。X線フラットパネル検出器1は、X
線検出素子の配列として、例えば、横1024×縦10
24(x×y)の正方形マトリックス構成が挙げられ
る。また、この平面寸法としては、縦横約30cmが例
示される。外形としては平面形状を呈することから、胸
部や腹部などの大きな部位を撮影するのに適した方形の
検出面を構成させることが可能であること、視野周辺の
歪みがほとんどなく高解像度であること、薄型・軽量で
あることなどの多くの利点を有する。
【0019】このように多くの利点を備えたX線フラッ
トパネル検出器1の具体的な構成は、次のようなもので
ある。すなわち、入射X線を電荷あるいは光に変換する
X線変換層3と、このX線変換層3で生じた電荷あるい
は光を検出する素子が縦横にマトリックス状に配置され
てなる検出アレイ層5との積層構造を有する。なお、検
出アレイ層5が本発明における電荷検出層に相当する。
【0020】このX線フラットパネル検出器1として
は、図2に示す構造を採用した直接変換タイプを例に採
って以下に説明するが、X線変換層3がシンチレータ層
からなり、検出アレイ層5の表面に形成されたフォトダ
イオードなどの光検出素子によって光検出を行い、コン
デンサに電荷を蓄える構成の間接変換タイプであっても
よい。
【0021】X線変換層3は、入射X線を直ちに電荷に
変換するセレン層(アモルファスセレン層)やCdZnT
e層などから構成されている。その下層に位置する検出
アレイ層5の表面には電荷検出素子7が形成されてお
り、表面電極9に対向形成された電荷収集電極により電
荷の検出を行ってコンデンサC1に蓄電する構成となっ
ている。上記各電荷検出素子7と、その上層のX線変換
層3の一部と、上記コンデンサC1とが一つのX線検出
素子XDを構成している。
【0022】各X線検出素子XDは、図3に示すよう
に、それぞれTFT(Thin Film Transistor)11を介し
て縦横に延出された読み出し配線13,15に接続され
ている。これらの読み出し配線13,15は、それぞれ
が横読み出し駆動部17または縦読み出し駆動部19に
接続されており、これらには読み出し用の走査信号与え
られる。X線フラットパネル検出器1に形成されている
複数個のX線検出素子7を特定するには、横方向アドレ
スと縦方向アドレスを指定する縦・横の走査信号を出力
すればよい。
【0023】横読み出し駆動部17及び縦読み出し駆動
部19では、縦・横の走査信号にしたがって各々の読み
出し配線13,15に読み出し用の電圧が印加されるの
に伴って、各検出素子XDから順にX線検出信号が出力
信号として出力される。その際、TFT11及び読み出
し配線15を通り、さらにX線フラットパネル検出器1
の後段に配備された、後述する信号収集部(35)の各
プリアンプ21及びマルチプレクサ23を経て、出力信
号がX線検出データとして収集されることになる。
【0024】なお、この実施例では、信号収集部(3
5)を構成する縦・横読み出し駆動部17,19と、プ
リアンプ21と、マルチプレクサ23とがX線フラット
パネル検出器1の検出アレイ層5の表面周辺に形成され
ている。
【0025】次に、図4を参照して、上述したX線フラ
ットパネル検出器1における感度劣化について説明す
る。なお、図4(a)は感度の変化を模式的に示したグ
ラフであり、図4(b)はX線の照射線量の変化を模式
的に示したグラフである。
【0026】例えば、一般的な撮影においては、図4
(b)に示すようなX線の照射シーケンスが行われる。
すなわち、まず、検査対象の関心部位が撮影視野に位置
するように検査対象を移動させている際に「透視動画撮
影」を時間t1〜t7で実施し、その後、時間t 8〜t9
おいて本撮影である「透視撮影」を行い、時間t10〜t
14においてその後の撮影用の透視動画撮影が行われる。
これらの撮影時におけるX線の照射線量νは、透視動画
撮影時が線量ν=L1であり、透視撮影時が線量ν=L
2であり、線量としてはL1<L2となっている。な
お、図4(b)における線量νは、X線管から照射され
る線量を表す。
【0027】X線フラットパネル検出器1に対してX線
を照射すると、X線変換層3において損傷が生じると考
えられ、例えば、図4(a)に示すように照射線量νに
応じて感度ηが低下する。また、X線の照射が無い状態
では、X線変換層3の損傷が回復すると考えられ、これ
により感度ηが回復してゆく。つまり、感度の劣化・回
復現象が生じる。なお、図中には、感度の最大値をSa
で示し、X線の照射を継続すれば図中に点線で示すよう
に飽和しながら達する、最大の感度劣化を最小値Sbで
示している。また、後述する最大感度劣化γは感度の最
大値Saと最小値Sbの間隔に相当する。
【0028】この撮影シーケンスにおいては、一例とし
て、線量L1の照射により感度η=S1まで劣化し、そ
の後の無照射期間により感度η=S2まで回復し、線量
L2の照射によって感度η=S3まで劣化し、その後の
無照射期間により感度η=S4まで回復し、線量L2の
照射により感度η=S5まで低下し、その後、感度Sa
に向かって回復してゆくものとする。
【0029】発明者等は種々の実験を経て仮定(既述)
をたて、この仮定に基づき以下のようにして感度の劣化
を表すための数式モデルを構築した。
【0030】既述した仮定に従うと感度の劣化現象と回
復現象は、それぞれ次の(1),(2)式によってモデ
ル化することができる。なお、νは単位時間当たりに受
けた線量(本来照射された線量に相当)であり、μは劣
化係数であり、τは回復係数を表している。
【0031】
【数1】
【0032】
【数2】
【0033】実際には,感度劣化と感度回復とが同時に
生じるので次の(3)式のようになる。
【0034】
【数3】
【0035】ここでt=t0における劣化をQ0とする
と、上記の(3)式は次の(4)式のようになる。
【0036】
【数4】
【0037】上記の(4)式を基本モデルとし、この基
本モデルに劣化実験のデータを当てはめると、時間tの
係数μν+τとt→∞の極限がμν/(μν+τ)が直
接的に求められる。劣化係数τは、このとき劣化実験か
ら間接的に求めることができる。その一方、回復実験か
らは、劣化係数τを直接的に求めることができる。この
とき劣化実験から求められた劣化係数τと回復実験から
求められた劣化係数τとを比較すると、一般に前者の方
が著しく大きくなるという結果が得られた。そこで、こ
のような不具合を最小限の修正で解消するために、さら
に次のような仮定を追加することが必要になった。
【0038】・X線が照射されると回復係数τが増大す
る。 ・劣化には許容限界がある。
【0039】前者は、回復過程に回復係数τの線量依存
部分を付加し、τ→τ+τ´νとするのが最も単純な修
正である。後者は、劣化過程において1−Q→γ−Qと
置換することに相当する。ここでγは回復が起こらない
場合の最大劣化を表している。これにより上述した基本
モデルである(4)式は、次の(5),(6)式のよう
になる。
【0040】
【数5】
【0041】
【数6】
【0042】これらの式において、(5)式でμ+τ´
=μ´、μ/(μ+τ´)=γとすれば、(6)式と同
一の式になることは容易に分かる。したがって、数学的
にはいずれも変わりがないことになる。そこで、この実
施例においては、扱いやすさの点から、現段階における
感度劣化・回復現象の数式モデルとして後者の(6)式
を採用することにする。
【0043】上記の(6)式を一般的に書き換えると感
度劣化(回復を含む)は、次の(7)式となる。
【0044】
【数7】
【0045】また、感度ηは次の(8)式で表される。 感度:η(t)=1−Q(t) ・・・(8)
【0046】上記の(7),(8)式を数式モデルとし
て構築したが、後述する処理においては、ある既知の感
度分布(通常は、感度の劣化がない状態)を初期状態と
して、X線の照射を受けていない時は感度の回復を次の
(9)式で計算し、X線の照射を受けている時は感度の
劣化を次の(10)式で計算する。
【0047】
【数8】
【0048】
【数9】
【0049】上述したように感度劣化・回復を数式モデ
ルとして構築したが、X線フラットパネル検出器1の感
度ηと、単位時間当たりに受けたX線の線量νの関係
は、一般的に次の(11)式で表される。 η(t)=f(ν(t)) ・・・(11)
【0050】なお、X線フラットパネル検出器1によっ
て測定されたX線の線量ν´と、感度劣化を補償した補
正後の線量ν(本来照射された線量に相当)との関係
は、次の(12)式で表される。 ν´=νη ・・・(12)
【0051】次に図5のフローチャートを参照して、補
正方法の具体的な手順について説明する。
【0052】この処理は、概略的には、X線が照射され
ている間は感度ηに劣化が生じるのでどの程度の感度に
劣化しているかを計算してその分だけ補正し、X線が照
射されていない間は感度ηが回復してゆくのでどの程度
回復してどの程度の感度になっているかを計算する。ま
た、X線の照射がされていない状態であっても初期値が
必要であるので、感度が回復してどの程度の感度になっ
ているかを計算している。
【0053】ステップS1 まずは、劣化係数μと、回復係数τと、最大感度劣化γ
との各パラメータを予め求めておく。具体的には、X線
フラットパネル検出器1の上に予めファントムを載置し
てX線照射実験を行い、以下のような処理を行う。
【0054】X線フラットパネル検出器1に対してある
一定量の線量を照射して劣化を生じさせる。その後、X
線の線量ν=0の状態とし、所定間隔でサンプリングを
行い、各サンプリング時における出力信号を感度回復デ
ータとして収集する。実際には、X線フラットパネル検
出器1の出力信号を得るために、劣化を生じさせない程
度の弱い線量をサンプリングに合わせて又はサンプリン
グの間中にわたって照射している。例えば、図4(b)
中の透視動画撮影のための線量L1の照射が行われた
後、時間t7〜t8の間においてX線フラットパネル検出
器1が劣化しない程度の線量の照射を行ってX線線量を
データとして収集する。
【0055】X線の照射がないときは線量ν=0である
ので、上記の(7)式は2項だけとなる。その式と感度
回復データに基づいて、フィッティングによって回復係
数τを求める。
【0056】次に、μνと、最大感度劣化γとを求め
る。具体的には、図4(b)中の透視撮影のための線量
L1の照射が行われている間、時間t1〜t7の間におい
て所定間隔でサンプリングを行い、各サンプリング時に
おける出力信号を感度劣化データとして収集する。
【0057】このようにして収集した感度劣化データと
(7)式とに基づいて、フィッティングによってμν+
τと、γμν/(μν+τ)とを求める。これらに対
し、先に求めた回復係数τを代入してμνと、γとを求
める。
【0058】そして、X線の線量νを変えて上述した作
業を行い、線量νに対してμνをプロットしたグラフの
傾きから劣化係数μを求める。なお、回復係数τと最大
感度劣化γのパラメータは線量νを変えても不変である
ので、μνだけが変動することになる。
【0059】なお、上記の劣化係数μと、回復係数τ
と、最大感度劣化γとの各パラメータは経時変化がある
ので、ある一定時間が経過した時点で再び測定を行って
各パラメータを更新することが好ましい。例えば、朝一
番に装置を起動した時点で測定し、その後は一定時間が
経過するごとに更新するのが好ましい。
【0060】ステップS2 次のステップS3においてサンプリングを行ってX線フ
ラットパネル検出器1からの出力信号を収集するが、そ
の際に感度が補正できる条件を満たしている必要があ
る。その条件は、現在のサンプリング時点をtnとする
と、t=tn-1における感度の劣化Qn-1が既知であるこ
とである。
【0061】仮にサンプリング時tnをt2とすると、そ
のtn-1はt1であるので、t2における感度劣化を補正
するためにはt1時におけるQ1が分かっている必要があ
る。
【0062】ステップS3 このステップでは、実際にサンプリングを行ってX線フ
ラットパネル検出器1が検出した線量ν´nを収集す
る。なお、この線量ν´nには、当然のことながら感度
劣化に伴う誤差が含まれている。
【0063】ステップS4 ここではサンプリング時点t=tnにおける劣化Qnを求
める。但し、現在のサンプリング時点tn=t2以前にお
けるX線照射の履歴に応じて劣化を求める式を使い分け
る。
【0064】つまり、サンプリング前にX線照射が無
い場合(tn-1<t≦tn)には主として回復過程が支配的
であるので、上記(9)式を用いて劣化Qnを求める。
一方、サンプリング前(tn-1<t≦tn)にX線照射が
あった場合には主として劣化過程が支配的であるので、
上記(12)式の線量方程式からνを求めた後に、上記
(10)式を用いて次のサンプリング時点tn+1のため
に劣化Qnを求める。
【0065】上記ののパターンは、例えば、透視撮影
のためのX線照射タイミングに相当するt8時点であ
る。この時点t8においては、その前にX線照射が行わ
れていないので、(9)式によって劣化Qnを求めるこ
とになる。
【0066】上記のステップS2からステップS4は、
サンプリングが行われる間中繰り返し実行される。
【0067】ステップS5上記のステップS4にて求め
られている各サンプリング時点における線量νを得る。
【0068】このように上述したX線フラットパネル検
出器1の感度補正方法によると、X線を受けることに伴
って生じる感度の劣化・回復現象を表すための数式モデ
ルにより、任意の時刻における感度を求めることがで
き、線量νである出力信号を補正することが可能とな
る。したがって、X線フラットパネル検出器1の感度劣
化を補償することができる。
【0069】<X線検査装置>図6を参照してX線フラ
ットパネル検出器1の感度補正装置を用いたX線検出装
置について説明する。なお、図6は、X線検査装置の全
体構成を示したブロック図である。
【0070】この実施例に係るX線検査装置は、検査対
象である被検体Mを載置するための天板31を備えてい
る。天板31を挟んで対向する位置には、X線管33と
X線フラットパネル検出器1が配備されている。X線管
33とX線フラットパネル検出器1とは、対向支持され
た状態で被検体Mの体軸周りに回転可能に構成されてい
る。
【0071】X線フラットパネル検出器1の後段には、
劣化による誤差を含んだX線検出信号を出力信号として
収集する信号収集部35が備えられている。この信号収
集部35で収集されたX線フラットパネル検出器1の出
力信号は、画像処理部37へと与えられる。
【0072】画像処理部37は、出力信号をX線検出デ
ータとしてデジタル信号に変換するAD変換部39と、
デジタル化されたX線検出データを記憶する検出データ
メモリ41と、検出データメモリの感度劣化を補正する
感度補正処理部43と、感度補正されたX線検出データ
に対してエッジ強調やフィルタリングなどの所要の画像
処理を施してX線透視画像を生成するデータ処理部45
と、このようにして生成されたX線透視画像を記憶する
X線画像メモリ47とを備えている。
【0073】高電圧発生器などを含む照射制御部49は
X線管33を制御し、設定された管電圧・管電流等に応
じてX線を被検体Mに照射する。照射制御部49の制御
は、撮影者によって操作されるキーボード51やマウス
53からの指示に応じて、撮影制御部55から出力され
る指令信号によって行われる。また、天板31の制御は
天板制御部57によって行われるが、この天板制御部5
7の制御も撮影制御部55からの指令信号によって行わ
れる。
【0074】また、画像処理部37は、静止画や動画の
X線透視像が表示されるモニタ59と、モニタ59に表
示されているX線透視像を写真として焼き付け出力する
ためのイメージャー61とを備えている。
【0075】この発明における感度補正装置に相当する
感度補正処理部43には、パラメータメモリ43aが内
蔵されている。このパラメータメモリ43aは、劣化係
数μと、回復係数τと、最大感度劣化γとを記憶するも
のである。これらのパラメータμ、τ、γは、適宜にあ
るいは定期的に感度補正処理部43の制御の下で上述し
た手法によって測定され更新されるようになっている。
【0076】感度補正処理部43は、上述した感度補正
方法を実行して、X線フラットパネル検出器1における
感度劣化を補償する機能を有する。
【0077】すなわち、各パラメータμ、τ、γを予め
測定してパラメータメモリ43aに記憶しておく。そし
て、撮影者の指示に基づき撮影制御部55が、例えば、
図4(b)に示すような撮影シーケンスを実行したとす
る。その場合には、各サンプリングのタイミングt1
14で出力信号が測定され、各出力信号がX線検出デー
タとしてデジタル化されて検出データメモリ41に記憶
される。その際に、感度補正処理部43において上述し
たステップS2〜S4が繰り返し実行され、感度が補正
されたX線検出データがデータ処理部45に出力され
る。
【0078】その際、t8時点とt10時点では上記ステ
ップS4の条件、つまり(9)式により劣化を求める
ことになり、その他の時点では条件、(10)式によ
って劣化を求めることになる。
【0079】このように任意の時刻における感度を求め
ることができ、出力信号を補正することが可能となるの
で、出力信号を補正してモニタ59やイメージャー61
の透視画像に反映することができる。したがって、感度
劣化を補償することができ、アーティファクトを抑制し
た透視画像を撮影可能なX線検出装置を実現することが
できる。
【0080】なお、この発明は上述した実施例に限定さ
れるものではなく、以下のように変形実施が可能であ
る。
【0081】(1)検査対象として被検体Mを検査する
X線検査装置を例に採って説明したが、検査対象として
物体などを検査する非破壊検査装置などのX線検査装置
であっても適用可能である。
【0082】(2)上述した説明においては取り扱いや
すい(6)式を採用して説明したが、僅かに異なる
(5)式を採用してもよい。また、近似する式として上
記の(5)、(6)式を例示しているだけであり、これ
らと全く同一の式でなくても同様の補正を行うことは可
能である。
【0083】(3)撮影シーケンスは上述したシーケン
スだけに限定されるものではなく、種々の撮影シーケン
スに上述した方法及び装置を適用できる。
【0084】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1に記載の方法発明によれば、X線を受けることに伴っ
て生じる感度の劣化・回復現象を表すための数式モデル
により、任意の時刻における感度を求めることができ、
出力信号を補正することが可能となる。したがって、感
度劣化を補償することができる。
【0085】請求項2に記載の装置発明によれば、感度
の劣化・回復現象を表すための数式モデルにより、任意
の時刻における感度を求めることができ、出力信号を補
正することが可能となる。したがって、感度劣化を補償
することが可能なX線フラットパネル検出器の感度補正
装置を提供することができる。
【0086】請求項3に記載の装置発明によれば、任意
の時刻における感度を求めることができ、出力信号を補
正することが可能となるので、出力信号を補正して透視
画像に反映することができる。したがって、感度劣化を
補償することができ、アーティファクトを抑制した透視
画像を撮影可能なX線検出装置を実現することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】X線フラットパネル検出器の概略構成を示す斜
視図である。
【図2】X線フラットパネル検出器の層構造を示す断面
図である。
【図3】X線フラットパネル検出器の周辺回路の構成を
示すブロック図である。
【図4】(a)は感度の変化を模式的に示したグラフで
あり、(b)はX線の照射線量の変化を模式的に示した
グラフである。
【図5】感度補正の一連の流れを示すフローチャートで
ある。
【図6】X線検査装置の全体構成を示したブロック図で
ある。
【符号の説明】
1 … X線フラットパネル検出器 3 … X線変換層 5 … 検出アレイ層(電荷検出層) η … 感度 ν … X線の照射線量 ν´ … 測定されたX線線量 μ … 劣化係数 τ … 回復係数 Q … 劣化 γ … 最大感度劣化 M … 被検体 31 … 天板 33 … X線管 37 … 画像処理部 43 … 感度補正処理部(感度補正装置)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G088 EE01 FF02 GG19 GG21 JJ05 LL15 4C093 AA01 CA13 EB12 EB13 EB17 FA32 FA45 FC16 FC17 FC18 FC19

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入射X線をX線変換層で電荷に変換し、
    変換された電荷を電荷検出層で検出して入射X線に対す
    る出力信号として出力するX線フラットパネル検出器の
    感度補正方法において、入射X線量に応じて前記X線変
    換層内で変換される電荷量が変動することに起因して生
    じる感度の劣化・回復現象を数式モデルで表し、この数
    式モデルに基づき任意の時刻における感度を求めて前記
    出力信号の感度を補正することを特徴とするX線フラッ
    トパネル検出器の感度補正方法。
  2. 【請求項2】 入射X線をX線変換層で電荷に変換し、
    変換された電荷を電荷検出層で検出して入射X線に対す
    る出力信号として出力するX線フラットパネル検出器の
    感度補正装置において、入射X線量に応じて前記X線変
    換層内で変換される電荷量が変動することに起因して生
    じる感度の劣化・回復現象を数式モデルで表し、この数
    式モデルに基づき任意の時刻における感度を求めて前記
    出力信号の感度を補正することを特徴とするX線フラッ
    トパネル検出器の感度補正装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のX線フラットパネル検
    出器の感度補正装置を備えたことを特徴とするX線検査
    装置。
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