JP2003155660A - 繊維製品の処理剤 - Google Patents
繊維製品の処理剤Info
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Abstract
ルで変性した水溶性PVA系重合体を構成成分とする繊
維製品において、繊維製品を構成する該水溶性PVA系
重合体の水への溶解を促進する溶解処理剤並びに溶解処
理方法の提供。 【構成】 繊維製品の少なくとも一部を構成するオレフ
ィン及び/又はアルキルビニルエーテルで変性した水溶
性PVA系重合体の溶解促進剤としてアニオン系界面活
性剤を含有する溶解処理剤、並びにアニオン系界面活性
剤を含有する水性溶解処理液でオレフィン及び/又はア
ルキルビニルエーテルで変性した水溶性PVA系重合体
を構成成分の少なくとも一部とする繊維やその他の繊維
製品を溶解処理する方法。
Description
/またはアルキルビニルエーテルで変性した水溶性ポリ
ビニルアルコール系重合体を構成成分とする繊維製品に
おいて、該繊維製品を構成している前記変性水溶性ポリ
ビニルアルコール系重合体を水性液体に円滑に溶解する
ための処理剤、および該処理剤を用いて前記繊維製品を
構成している前記変性水溶性ポリビニルアルコール系重
合体を水性液体に溶解させる方法に関する。
糸が困難であるため、ポリビニルアルコール繊維の製造
に当たっては、従来から湿式紡糸法または乾式紡糸法が
広く採用されているが、湿式紡糸法や乾式紡糸法は、溶
融紡糸に比べて紡糸工程が複雑であり、生産性が低い。
一方、ポリビニルアルコールの分子鎖中に少量のオレフ
ィンおよび/またはアルキルビニルエーテルを共重合単
位として導入した変性ポリビニルアルコール系重合体は
溶融紡糸が可能であることから、溶融紡糸によって、単
独繊維、複合紡糸繊維、混合紡糸繊維などを生産性よく
製造することができる。
エーテルで変性した水溶性ポリビニルアルコール系重合
体を用いて製造した繊維、糸、布帛などの繊維製品で
は、オレフィンおよび/またはアルキルビニルエーテル
で変性した水溶性ポリビニルアルコール系重合体が基本
的には水溶性であることから、繊維、糸、布帛などの製
造工程、布帛の裁断や縫製工程などで発生した繊維屑、
糸屑、布屑などを水で溶解処理して再利用することが試
みられている。さらに、オレフィンおよび/またはアル
キルビニルエーテルで変性した水溶性ポリビニルアルコ
ール系重合体と他の水不溶性重合体とを複合形態または
混合形態に溶融紡糸して複合紡糸繊維や混合紡糸繊維を
つくり、それらの繊維から変性水溶性ポリビニルアルコ
ール系重合体部分を水に溶解除去することによって、極
細繊維、多孔質繊維、中空繊維、獣毛状繊維などを形成
することができる。また、例えば、オレフィンおよび/
またはアルキルビニルエーテルで変性した水溶性ポリビ
ニルアルコール系重合体を用いてなる繊維と水不溶性繊
維を用いて混紡、交絡加工、仮撚加工、その他の加工を
施して複合糸を製造し、その複合糸を用いて布帛を製造
した後に、該変性した水溶性ポリビニルアルコール系重
合体部分を水で溶解除去することによって、レース模様
やその他の空隙部の多い布帛を得ることができる。
アルキルビニルエーテルで変性したポリビニルアルコー
ル系重合体は、水不溶性または水難溶性のオレフィンお
よび/またはアルキルビニルエーテルによって変性され
ていることにより、未変性のポリビニルアルコールに比
べて、水に対する溶解性が劣っている。そのため、熱水
を用いた場合にも、溶解性が十分であるとはいえず、溶
解に時間がかかり、また均一に溶解しにくいという欠点
がある。特に、オレフィンおよび/またはアルキルビニ
ルエーテルで変性した水溶性ポリビニルアルコール系重
合体と水不溶性重合体との複合紡糸繊維や混合紡糸繊
維、オレフィンおよび/またはアルキルビニルエーテル
で変性した水溶性ポリビニルアルコール系重合体よりな
る繊維と他の繊維からなる複合糸や他の繊維や糸を併用
した布帛、撚止めやヒットセットを施した糸などでは、
繊維、糸、布帛からのオレフィンおよび/またはアルキ
ルビニルエーテルで変性した水溶性ポリビニルアルコー
ル系重合体の溶解除去が円滑に行われにくい。
フィンおよび/またはアルキルビニルエーテルで変性し
た水溶性ポリビニルアルコール系重合体を構成成分の少
なくとも一部とする繊維、糸、布帛などの繊維製品にお
いて、該繊維製品を構成している前記変性した水溶性ポ
リビニルアルコール系重合体を、速やかに且つ均一に水
に溶解させるための処理剤を提供することである。そし
て、本発明の目的は、オレフィンおよび/またはアルキ
ルビニルエーテルで変性した水溶性ポリビニルアルコー
ル系重合体を構成成分の少なくとも一部とする繊維、
糸、布帛などの繊維製品において、該繊維製品を構成し
ている前記変性水溶性ポリビニルアルコール系重合体を
速やかに且つ均一に水に溶解させるための処理方法を提
供することである。
的を達成すべく検討を行ってきた。そして、繊維を構成
しているオレフィンおよび/またはアルキルビニルエー
テルで変性した水溶性ポリビニルアルコール系重合体の
溶解に用いる水などの水性液体中に、界面活性剤または
アルカリを添加すると該変性した水溶性ポリビニルアル
コール系重合体の水溶性、特に熱水溶解性が向上するの
ではないかということに思い至って、アニオン系界面活
性剤、非イオン系界面活性剤またはアルカリを添加した
水を用いて種々の溶解処理を試みた。その結果、非イオ
ン系界面活性剤を添加しても、未添加の水の場合と同程
度の溶解性しか示さないこと、アルカリを添加した水は
アルカリ未添加の水を用いた場合よりも溶解性は向上す
るものの、他の繊維との混用品の場合に他の繊維に溶解
した該変性水溶性ポリビニルアルコールが残留付着し完
全に除去し切れないこと、それに対してアニオン系界面
活性剤を添加した水を用いた場合に、初めて該変性水溶
性ポリビニルアルコール系重合体の溶解性が促進され、
しかも残留することなく均一に溶解除去されることを見
出した。
水を用いる場合について更に検討を重ねた。そして、ア
ニオン系界面活性剤を添加した水を用いて溶解処理を行
った際に、溶解を促進するために撹拌などを施すと、ア
ニオン系界面活性剤の種類によっては起泡が大きく、処
理加工中の作業性が低下する傾向があるため、起泡性の
小さいアニオン系界面活性剤を用いるのが好ましいこ
と、特に芳香族スルホン酸塩ホルマリン縮合物系のアニ
オン系界面活性剤は起泡性が小さく、しかもオレフィン
および/またはアルキルビニルエーテルで変性した水溶
性ポリビニルアルコール系重合体の溶解促進作用が大き
く好適に用い得ることを見出し、それらの種々の知見に
基づいて本発明を完成した。
テルで変性した水溶性ポリビニルアルコール系重合体を
構成成分の少なくとも一部とする繊維製品の処理剤であ
って、繊維製品の少なくとも一部を構成するオレフィン
および/またはアルキルビニルエーテルで変性した水溶
性ポリビニルアルコール系重合体の溶解促進剤として、
アニオン系界面活性剤を含有することを特徴とする処理
剤である。
ホルマリン縮合物である前記(1)の処理剤; (3) エチレン単位および/またはアルキルビニルエ
ーテル単位を0.1〜20モル%の割合で有する水溶性
ポリビニルアルコール系重合体を構成成分の少なくとも
一部とする繊維製品の処理剤である前記(1)または
(2)の処理剤; (4) エチレン単位を5〜15モル%の割合で有する
水溶性ポリビニルアルコール系重合体を構成成分の少な
くとも一部とする繊維製品の処理剤である前記した
(1)〜(3)のいずれかの処理剤;および、 (5) 処理剤が、水性媒体に添加される前のアニオン
系界面活性剤を主成分とするアニオン系界面活性剤組成
物であるか、或いは該アニオン系界面活性剤組成物を水
性媒体に溶解または分散してなる水性溶解処理液である
前記(1)〜(4)のいずれかの処理剤; である。
テルで変性した水溶性ポリビニルアルコール系重合体を
構成成分の少なくとも一部とする繊維製品を、アニオン
系界面活性剤組成物を水性媒体に溶解または分散してな
る水性溶解処理液からなる前記(5)の処理剤を用いて
処理して、繊維製品の少なくとも一部を構成しているオ
レフィンおよび/またはアルキルビニルエーテルで変性
した水溶性ポリビニルアルコール系重合体を溶解するこ
とを特徴とする繊維製品の処理方法である。
キルビニルエーテル単位を0.1〜20モル%の割合で
有する水溶性ポリビニルアルコール系重合体を構成成分
の少なくとも一部とする繊維製品である前記(6)の処
理方法;および、 (8) 繊維製品が、エチレン単位を5〜15モル%の
割合で有するエチレン変性水溶性ポリビニルアルコール
系共重合体を構成成分の少なくとも一部とする繊維製品
である前記(7)の処理方法;である。
する。本発明は、オレフィンおよび/またはアルキルビ
ニルエーテルで変性した水溶性ポリビニルアルコール系
重合体(以下「オレフィン等変性水溶性PVA」という
ことがある)を構成成分の少なくとも一部とする繊維製
品において、繊維製品の少なくとも一部を構成している
オレフィン等変性水溶性PVAを水に溶解させるための
処理剤および処理方法である。
性PVAを構成成分の少なくとも一部とする繊維製品」
とは、オレフィン等変性水溶性PVAを構成成分の少な
くとも一部として用いてなる繊維、該繊維を用いて形成
した糸、布帛(不織布、織布、編布など)、他の繊維構
造物、該糸、布帛、繊維構造物などを用いて製造した衣
類やその他の個々の製品の総称をいう。何ら限定される
ものではないが、「オレフィン等変性水溶性PVAを構
成成分の少なくとも一部とする繊維製品」(以下「オレ
フィン等変性水溶性PVA製繊維製品」ということがあ
る)としては、例えば、オレフィン等変性水溶性PVA
の単独繊維、オレフィン等変性水溶性PVAと他の重合
体よりなる複合紡糸繊維または混合紡糸繊維、オレフィ
ン等変性水溶性PVAを用いてなる繊維(単独繊維、複
合紡糸繊維および/または混合紡糸繊維)のみからなる
糸(フィラメント糸、交絡加工糸、仮撚加工糸などの加
工糸、紡績糸など)、オレフィン等変性水溶性PVAを
用いてなる繊維(単独繊維、複合紡糸繊維および/また
は混合紡糸繊維)と他の繊維とからなる複合糸(混繊
糸、混紡糸、各種加工糸)、オレフィン等変性水溶性P
VAを用いてなる繊維または糸のみからなる布帛、オレ
フィン等変性水溶性PVAを用いてなる繊維または糸と
他の繊維または糸を用いてなる布帛、それらを用いて作
製した衣類やその他の繊維製品などを挙げることができ
る。
フィン等変性水溶性PVAは、その粘度平均重合度
(P)が200〜500であることが好ましく、230
〜470であることがより好ましく、250〜450で
あることが更に好ましい。オレフィン等変性水溶性PV
Aの粘度平均重合度(P)が200未満であると、溶融
紡糸時に十分な曳糸性が得られにくくなって、繊維化
(溶融紡糸)が困難になり易い。一方、オレフィン等変
性水溶性PVAの粘度平均重合度(P)が500を超え
ると、溶融粘度が高くなり過ぎて、紡糸ノズルからポリ
マーが吐出されにくくなり、溶融紡糸が困難になり易
い。なお、本明細書でいうオレフィン等変性水溶性PV
Aの粘度平均重合度(P)とは、JIS−K6726に
準拠して測定した重合度であり、以下の数式から求めら
れる。
8.23)(1/0.62) {式中、[η]は、オレフィン等変性水溶性PVAを再
ケン化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘
度[η](dl/g)を示す。}
るオレフィン等変性水溶性PVAでは、ビニルアルコー
ル単位のケン化度が90〜99.99モル%であること
が好ましく、93〜99.98モル%であることがより
好ましく、94〜99.97モル%であることが更に好
ましい。オレフィン等変性水溶性PVAのビニルアルコ
ール単位のケン化度が90モル%未満であると、オレフ
ィン等変性水溶性PVAの熱安定性が低下して熱分解や
ゲル化の発生により溶融紡糸を行いにくくなる。一方、
オレフィン等変性水溶性PVAのビニルアルコール単位
のケン化度が99.99モル%を超えると、オレフィン
等変性水溶性PVAを安定して製造することが困難にな
り、しかも溶融紡糸性が不良になり易い。
するオレフィン等変性水溶性PVAでは、融点が160
〜230℃であることが好ましく、170〜227℃で
あることがより好ましく、175〜224℃であること
が更に好ましい。オレフィン等変性水溶性PVAの融点
が160℃未満であると、オレフィン等変性水溶性PV
Aの結晶性が低下して繊維強度が低くなり、しかも熱安
定性が不良になり、溶融紡糸が困難になり易い。一方、
オレフィン等変性水溶性PVAの融点が230℃を超え
ると、オレフィン等変性水溶性PVAの溶融紡糸温度と
分解温度が近くなり、オレフィン等変性水溶性PVAを
構成成分とする繊維を溶融紡糸により安定して製造する
ことが困難になり易い。ここで、本明細書におけるオレ
フィン等変性水溶性PVAの融点とは、DSC(示差走
査熱量計)を用いて、窒素雰囲気中で、昇温速度10℃
/分で室温から250℃まで昇温した後、250℃から
室温まで降温速度10℃/分で冷却し、再度昇温速度1
0℃/分で250℃まで昇温した場合の吸熱ピークのピ
ークトップの温度をいう。
も一部を構成している「オレフィンおよび/またはアル
キルビニルエーテルで変性した水溶性ポリビニルアルコ
ール系重合体」(オレフィン等変性水溶性PVA)とし
ては、オレフィンおよび/またはアルキルビニルエーテ
ルに由来する共重合単位を分子中に有し且つ冷水、温水
および/または熱水に溶解し得るポリビニルアルコール
系重合体が好ましく用いられる。オレフィン等変性水溶
性PVAを製造する際の共重合性、オレフィン等変性水
溶性PVAの溶融紡糸性、オレフィン等変性水溶性PV
Aを用いてなる繊維の水溶性の観点から、オレフィン等
変性水溶性PVAにおけるオレフィンおよび/またはア
ルキルビニルエーテルの共重合割合(オレフィン単位と
アルキルビニルエーテル単位の両方を有する場合は両者
の合計割合)は、0.1〜20モル%であることが好ま
しく、1〜20モル%であることがより好ましく、5〜
15モル%であることが更に好ましい。
レフィン単位を構成するオレフィンの好ましい例として
は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、
1−ヘキセンなどの炭素数2〜6のα−オレフィン類を
挙げることができ、そのうちでも、炭素数2〜4のα−
オレフィン(エチレン、プロピレン、1−ブテンおよび
/またはイソブテン)がより好ましい。また、オレフィ
ン等変性水溶性PVAにおけるアルキルビニルエーテル
単位を構成するアルキルビニルエーテルの好ましい例と
しては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテ
ル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニル
エーテル、n−ブチルビニルエーテルなどを挙げること
ができる。
フィン等変性水溶性PVAは、分子中に1種類のオレフ
ィンに由来する構造単位のみを有していても、2種類以
上のオレフィンに由来する構造単位を有していても、1
種のアルキルビニルエーテルに由来する構造単位のみを
有していても、2種類以上のアルキルビニルエーテルに
由来する構造単位を有していても、または1種類または
2種類以上のオレフィンに由来する構造単位と1種類ま
たは2種類以上のアルキルビニルエーテルに由来する構
造単位を有していてもよい。そのうちでも、オレフィン
等変性水溶性PVAは、エチレンで変性された水溶性ポ
リビニルアルコール系重合体であることが、製造や入手
の容易性、繊維物性などの点から好ましい。特に、本発
明では、繊維製品の少なくとも一部を構成するオレフィ
ン等変性水溶性PVAが、エチレン単位の含有割合が5
〜15モル%、特に6〜13モル%であるエチレン変性
水溶性ポリビニルアルコール系重合体であることが、繊
維物性の点から好ましい。
フィン等変性水溶性PVAは、本発明の目的の妨げにな
らない限りは、ビニルアルコール単位並びにオレフィン
単位および/またはアルキルビニルエーテル単位と共
に、必要に応じて他の共重合単位を少量(好ましくは1
0モル%以下)含有していてもよい。他の共重合単位の
例としては、(メタ)アクリル酸またはその塩;(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸
i−プロピルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリル
アミド、N−エチル(メタ)アクリルアミドなどの(メ
タ)アクリルアミド類;エチレングリコールビニルエー
テル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,
4−ブタンジオールビニルエーテルなどのヒドロキシ基
含有ビニルエーテル類;アリルアセテート;プロピルア
リルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリル
エーテルなどのアリルエーテル類;オキシアルキレン基
を有する単量体;ビニルトリメトキシシランなどのビニ
ルシリル類;酢酸イソプロペニル;3−ブテン−1−オ
ール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−
オール、7−オクテン−1−オール、3−メチル−3−
ブテン−1−オールなどのヒドロキシ基含有α−オレフ
ィン類;フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マ
レイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水イ
タコン酸などのカルボキシル基またはカルボン酸無水基
を有する単量体;エチレンスルホン酸、アリルスルホン
酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−
メチルプロパンスルホン酸などのスルホン酸基を有する
単量体;ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロ
ライド、ビニロキシブチルトリメチルアンモニウムクロ
ライド、ビニロキシエチルジメチルアミン、ビニロキシ
メチルジエチルアミン、N−アクリルアミドメチルトリ
メチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエ
チルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリル
アミドジメチルアミン、アリルトリメチルアンモニウム
クロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロラ
イド、ジメチルアリルアミン、アリルエチルアミンなど
のカチオン基を有する単量体などを挙げることができ
る。
フィン等変性水溶性PVAの製法は特に制限されず、従
来既知の方法にしたがってビニルエステルとオレフィン
および/またはアルキルビニルエーテルを共重合させた
後、得られた共重合体中のビニルエステル単位をケン化
することにより製造することができる。その場合に、ビ
ニルエステルとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン
酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安
息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビ
ニルなどを挙げることができ、そのうちでも酢酸ビニル
が好ましく用いられる。また、ビニルエステルと、オレ
フィンおよび/またはアルキルビニルエーテルとの共重
合は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの
既知の重合法によって行うことができ、そのうちでも無
溶媒下での塊状重合またはアルコールなどの溶媒中での
溶液重合が好ましく採用される。溶液重合に用いるアル
コール系溶媒としては、メチルアルコール、エチルアル
コール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが好
ましく用いられる。重合開始剤としては、例えば、α,
α’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビ
ス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)などのアゾ系
重合開始剤、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキ
シカーボネートなどの過酸化物系重合開始剤が挙げられ
る。重合温度に特に制限はないが、一般に0〜150℃
の温度が好ましく採用される。
フィン等変性水溶性PVAは、必要に応じて、可塑剤
(例えばソルビトールエチレンオキサイド付加物)など
を含有していてもよい。
ン等変性水溶性PVAを構成成分の少なくとも一部とし
て用いてなる繊維は、上記したオレフィン等変性水溶性
PVAを用いて溶融紡糸、湿式紡糸、乾式紡糸などを行
うことにより製造することができる。そのうちでも、上
記オレフィン等変性水溶性PVAは、溶融紡糸が可能で
あることから、溶融紡糸によりオレフィン等変性水溶性
PVAを構成成分の少なくとも一部とする繊維を簡単に
且つ生産性よく製造することができる。オレフィン等変
性水溶性PVAを用いての溶融紡糸は、オレフィン等変
性水溶性PVAをその融点以上の温度、好ましくは融点
+10℃の以上の温度に加熱して溶融し、通常の溶融紡
糸法と同様にして行うことができる。オレフィン等変性
水溶性PVA中に可塑剤を含有させておくと、溶融時の
流動性が増して曳糸性が向上して溶融紡糸をより円滑に
行うことができる。可塑剤の含有量は、一般に1〜30
質量%程度であることが好ましい。
いて溶融紡糸を行うことによりオレフィン等変性水溶性
PVAの単独繊維を製造することができる。オレフィン
等変性水溶性PVAの単独繊維の横断面形状は特に制限
されず、丸形断面、異形断面(例えば、偏平断面、中空
断面、三角形、四角形以上の多角形、V字形、T字形、
ドッグボーン形、多葉形など)のいずれであってもよ
い。また、単繊維繊度などは特に制限されず、繊維の用
途などに応じて適宜調整することができる。
に他の熱可塑性重合体を複合紡糸または混合紡糸するこ
とにより、オレフィン等変性水溶性PVAと他の熱可塑
性重合体とからなる複合紡糸繊維または混合紡糸繊維を
製造することができる。複合紡糸または混合紡糸を行う
際に、他の熱可塑性重合体の種類は特に制限されず、溶
融紡糸が可能な熱可塑性重合体であればいずれでもよ
く、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、その他の熱可塑性ポリエステル、ポ
リアミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化
ビニリデンなどを挙げることができ、これらの1種また
は2種以上を用いることができる。複合紡糸繊維または
混合紡糸繊維における複合形態または混合形態は特に制
限されず、例えば、海島型、芯鞘型、貼合せ型(サイド
バイサイド型)、多層積層型、ランダム混合型などの任
意の形態を採用することができる。複合紡糸繊維または
混合紡糸繊維の横断面形状は特に制限されず、丸形断
面、異形断面(例えば、偏平断面、中空断面、三角形、
四角形以上の多角形、V字形、T字形、ドッグボーン
形、多葉形など)のいずれであってもよい。また、複合
紡糸繊維または混合紡糸繊維の単繊維繊度などは特に制
限されず、繊維の用途などに応じて適宜調整することが
できる。
維、複合紡糸繊維および/または混合紡糸繊維などを用
いて、各種の糸(例えばフィラメント糸、交絡加工糸、
仮撚加工糸、太細斑糸などの各種加工糸、紡績糸など)
を製造することができ、それらの糸を用いて各種布帛
(例えば、不織布、織布、編布)やその他の繊維構造体
を製造することができる。
を、繊維製品の少なくとも一部を構成するオレフィン等
変性水溶性PVAの溶解促進剤として含有する繊維製品
の処理剤であり、本発明は、該処理剤として、 水性媒体に添加される前の、アニオン系界面活性剤を
主成分とするアニオン系界面活性剤組成物;および、 前記のアニオン系界面活性剤組成物を水性媒体に溶
解または分散してなるアニオン系界面活性剤を含有する
水性溶解処理液(水性溶液または水性分散液); の両方を包含する。
活性剤組成物である場合は、アニオン系界面活性剤を主
成分とする限りは、該組成物は必要に応じて他の成分
(例えばプロパノール)を少量(好ましくは該組成物の
質量に基づいて20質量%以下)含有していてもよい。
上記のアニオン系界面活性剤組成物を本発明の処理に
用いる場合は、水または水と親水性液体との混合液から
なる水性液体中に、該組成物をアニオン系界面活性剤の
含有量が溶解処理に適する濃度になるような量で溶解ま
たは分散させて水性溶解処理液を調製し、該水性溶解処
理液を用いてオレフィン等変性水溶性PVAを構成成分
とする繊維製品の溶解処理を行うとよい。また、本発明
の処理剤が上記の水性溶解処理液である場合は、該水
性溶解処理液をそのまま用いるか、或いは必要に応じて
更に希釈して、オレフィン等変性水溶性PVAを構成成
分とする繊維製品の溶解処理を行う。また、上記の本
発明の処理剤も、アニオン系界面活性剤の他に、必要に
応じて、他の成分(例えばアルコール)を含有していて
もよい。
性剤としては、起泡性の低いものが好ましく用いられ、
特に後述する方法(実施例の項に記載の方法)で測定し
たときに、ガラス窓からの起泡の高さが150mm未満
であるアニオン系界面活性剤が好ましく用いられる。そ
のうちでも、アニオン系界面活性剤としては、芳香族ス
ルホン酸塩ホルマリン縮合物が、オレフィン等変性水溶
性PVAの水への溶解を促進する効果が高く且つ起泡性
が低いことからより好ましく用いられる。
なるアニオン系界面活性剤としては、ベンゼン、トルエ
ン、ナフタレン、アルキルナフタレン、ビフェニルなど
の芳香族炭化水素;フェノール、フェニルフェノール、
スチレン化フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノ
ールSなどのようなフェノール誘導体;アニソール、ジ
ベンジルエーテル、ジフェニルエーテル、ジトルイルエ
ーテルなどの芳香族エーテル誘導体;などのような芳香
族化合物の芳香核に、スルホン酸塩基が結合している芳
香族スルホン酸塩化合物のホルマリン縮合物を挙げるこ
とができる。本発明の処理剤は、前記した芳香族スルホ
ン酸塩ホルマリン縮合物の1種または2種以上を含有し
ていることができる。そのうちでも、芳香族スルホン酸
塩ホルマリン縮合物系のアニオン系界面活性剤として、
ジトルイルエーテルジスルホン酸塩ホルマリン縮合物お
よびナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物の一方ま
たは両方からなるアニオン系界面活性剤を含有する処理
剤が、オレフィン等変性水溶性PVAの水への溶解を促
進する作用がより大きく且つ起泡性がより小さいことか
らより好ましく用いられる。
なるアニオン系界面活性剤としては、ホルマリン縮合度
が3以上のものが、オレフィン等変性水溶性PVAの溶
解促進作用が高いので好ましく用いられる。また、芳香
族スルホン酸塩ホルマリン縮合物よりなるアニオン系界
面活性剤として、ホルマリンによる縮合時にスルホン酸
基を有する芳香族化合物と共にスルホン酸基を持たない
芳香族化合物を併用して、芳香族スルホン酸塩ホルマリ
ン縮合物におけるスルホン酸基の割合(スルホン化度)
を調整したものを使用することもできる。
なるアニオン系界面活性剤において、スルホン酸塩を形
成するカチオンとしては、ナトリウムイオン、カリウム
イオン、アンモニウムイオンなどの無機カチオン、ジエ
タノールアミンやトリエタノールアミンなどの有機アミ
ンに由来するカチオンを挙げることができる。そのうち
でも、芳香族スルホン酸塩ホルマリン縮合物のスルホン
酸塩を形成するカチオンとしては、ナトリウムイオンが
好ましい。
の少なくとも一部とする繊維、糸、布帛などの繊維製品
の溶解処理に当たっては、上記のように、アニオン系界
面活性剤の水性溶液または水性分散液からなる水性溶解
処理液を調製し、該繊維製品を該水性溶解処理液に接触
させて、繊維製品を構成しているオレフィン等変性水溶
性PVAを溶解させる。繊維製品を構成しているオレフ
ィン等変性水溶性PVAの溶解処理法としては、浴中処
理法、パディング処理法、スプレー処理法、気流処理法
などを挙げることができる。そのうちでも、浴中処理法
が、繊維製品を構成しているオレフィン等変性水溶性P
VAを速やかに且つ均一に溶解できることから好ましく
採用される。
水溶性PVAの溶解処理に用いる水性溶解処理液におけ
るアニオン系界面活性剤の含有量は、オレフィン等変性
水溶性PVAの種類、繊維製品におけるオレフィン等変
性水溶性PVAの存在形態、アニオン系界面活性剤の種
類、溶解処理方法の種類や処理条件などに応じて異なり
得るが、一般的には水性媒体1リットルに対してアニオ
ン系界面活性剤を0.2〜10gの割合で添加した水性
溶解処理液が好ましく用いられる。特に、浴中処理法に
よって繊維製品を構成しているオレフィン等変性水溶性
PVAを溶解する場合は、水1リットルに対して、アニ
オン系界面活性剤を0.25〜2.0gの割合で含有す
る水性溶解処理液を用いることが好ましい。その際の繊
維製品の浴比は、一般に、1:10〜1:100の範囲
であることが好ましい。
は、水単独または水と他の親水性液体(例えばアルコー
ル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドな
ど)との混合液などを使用することができ、繊維製品を
構成しているオレフィン等変性水溶性PVAの内容や他
の繊維成分の種類などに応じて適当な媒体を選択するこ
とができる。そのうちでも、水を単独で用いるか、また
は水とプロパノールとの混合液が、オレフィン等変性水
溶性PVAの膨潤性の点から好ましく用いられる。
維製品を構成するオレフィン等変性水溶性PVAの内容
や存在形態、アニオン系界面活性剤の種類、溶解処理方
法、処理条件などに応じて異なり得るが、オレフィン等
変性水溶性PVAの溶解を速やかに行うことができるこ
とから、一般には90℃以上、特に100〜120℃で
あることが、溶解処理の迅速化、均一化などの点から好
ましい。
とする繊維製品の溶解処理の際に撹拌を行うと、オレフ
ィン等変性水溶性PVAの溶解処理を一層促進すること
ができる。但し、撹拌が激し強すぎると、起泡が大きく
なり、作業性の低下などを生ずるので、注意を要する。
本発明の溶解処理法による場合は、繊維製品を構成して
いるオレフィン等変性水溶性PVAを高率で溶解するこ
とができ、繊維製品を構成しているオレフィン等変性水
溶性PVAの90%以上、特に99%以上を溶解するこ
とも可能である。
用することができる。何ら限定されるものではないが、
例えば、本発明の溶解処理方法を、繊維、糸、布帛の製
造工程、布帛の裁断や縫製工程などで発生する、オレフ
ィン等変性水溶性PVAを構成成分とする繊維屑、糸
屑、布屑などにに対して適用することにより、或いはオ
レフィン等変性水溶性PVAを構成成分とする使用済み
繊維や布帛などに適用することによって、それらの繊維
体を構成するか又は該繊維体に含まれているオレフィン
等変性水溶性PVAをアニオン系界面活性剤を含む水性
溶解処理液中に溶解させることができる。それにより生
成するオレフィン等変性水溶性PVAを含む液は、その
まま所定の用途に再利用することができ、または該液か
らオレフィン等変性水溶性PVAを回収して再利用する
ことができる。
VAを海成分とし水不溶性熱可塑性重合体を島成分とす
る海島型の複合紡糸繊維または混合紡糸繊維では、海成
分をなすオレフィン等変性水溶性PVAをアニオン系界
面活性剤を含む本発明の水性溶解処理液で溶解除去する
ことにより、水不溶性熱可塑性重合体(島成分)よりな
る極細繊維などを得ることができる。また、例えば、オ
レフィン等変性水溶性PVAを芯成分として水不溶性熱
可塑性重合体を鞘成分とする芯鞘型複合紡糸繊維では、
繊維を短繊維状にした状態で芯成分を構成するオレフィ
ン等変性水溶性PVAをアニオン系界面活性剤を含有す
る本発明の水性溶解処理液で溶解除去することにより、
中空繊維を形成させることができる。また、オレフィン
等変性水溶性PVAと水不溶性熱可塑性重合体を用いて
なる貼合せ型の複合紡糸繊維または混合紡糸繊維におい
ても、オレフィン等変性水溶性PVAの部分をアニオン
系界面活性剤を含有する本発明の水性溶解処理液を用い
て溶解除去することにより、水不溶性熱可塑性重合体よ
りなる極細繊維などを得ることができる。さらに、水不
溶性重合体成分中にオレフィン等変性水溶性PVAが微
細に分散している混合紡糸繊維を、アニオン系界面活性
剤を含有する本発明の水性溶解処理液で処理してオレフ
ィン等変性水溶性PVA部分を溶解除去することによ
り、多孔質の繊維を形成することができる。
VAを構成成分とする繊維と水不溶性重合体よりなる繊
維を用いて嵩高加工糸をつくり、その嵩高加工糸を用い
て編布、織布、不織布などの布帛を製造した後、該布帛
をアニオン系界面活性剤を含有する本発明の水性溶解処
理液で処理して布帛を構成しているオレフィン等変性水
溶性PVA部分を溶解除去することにより、レース模様
やその他の、空隙部の多い布帛を製造することができ
る。
明するが、本発明は以下の例に何ら限定されるものでは
ない。以下の例において、溶解処理後のエチレン変性ポ
リビニルアルコール繊維の残存状態および残存率並びに
溶解処理液の起泡性の評価は次のようにして行った。
繊維の残存状態の評価: (i) 純水1000mlにヨウ化カリウム20gを溶
解した後、それに純ヨウ素12.69gを完全に溶解し
て、1/10N ヨード溶液を調製した。 (ii) 純水1000mlに硼酸50gを加えて60℃
に加熱して溶解させた。ついで、溶液を室温まで冷却
し、冷却により析出した硼酸を濾過して除いて、飽和硼
酸溶液を調製した。 (iii) 上記(ii)で調製した飽和硼酸水溶液500m
lに、上記(i)で調製した1/10N ヨード溶液1
0mlを加えて撹拌して、1/500N ヨード・硼酸
溶液を調製した。 (iv) 以下の例で得られた溶解処理後の乾燥した試験
片(編地)を上記(iii)で得られた1/500N ヨー
ド・硼酸溶液中に、液温40℃で90秒間浸漬した後、
液から取り出し、上記(ii)で調製した飽和硼酸溶液で
洗浄して過剰のヨード・硼酸溶液を取り除き、次いで生
地の上下から濾紙で軽く押さえて水分を除いた。 (v) 上記(iv)で水分を除去した後の生地の着色の
程度を目視により観察して、エチレン変性ポリビニルア
ルコール繊維の残存状態を以下に示す評価基準にしたが
って評価した。なお、エチレン変性ポリビニルアルコー
ル繊維が残存しているとヨード呈色反応により試験片は
青色に着色する。その際に、エチレン変性ポリビニルア
ルコール繊維の残存量が多いほど濃い青色を呈する。
の残存状態の評価基準] ◎:全く着色しておらず、白色のままである。 ○:ほどんど着色しておらず、ほぼ白色である。 △:薄青色にやや着色している。 ×:かなり濃青色に着色している。
繊維の残存率:溶解処理を行う前の試験片の質量をA0
(mg)、溶解処理を行った後に乾燥した試験片の質量
をA1(mg)、試験片(溶解処理前の試験片および溶
解処理後に絶乾した試験片)に含まれるポリエステル繊
維の質量をB(mg)として、下記の数式からエチレン
変性ポリビニルアルコール繊維(エチレン変性PVA繊
維)の残存率を求めた。
−B)/(A0−B)}×100
ポリビニルアルコール繊維を溶解するための水性溶解処
理液 リットルをジェット式液流染色機(ワーナーマチス社製
「JFL」)に入れて、液温90℃で該染色機中を循環
させて、該染色機のガラス窓から起泡の高さを測定し
て、全く起泡しない場合を[無し]、起泡の高さが15
0mm未満の場合を[小]、起泡の高さが150mm以
上の場合を[大]と評価した。
びエチレン単位の割合が10モル%であるエチレン変性
ポリビニルアルコール(エチレン−ビニルアルコール共
重合体)[粘度平均重合度(P)=330、ビニルアル
コール単位のケン化度=98.4モル%、融点=206
℃]に、該エチレン変性ポリビニルアルコールの質量に
基づいて可塑剤(ソルビトールのエチレンオキサイド2
モル付加物)を5質量%の割合で添加してなるペレット
を用いて、温度240℃、引き取り速度800m/分で
溶融紡糸を行って、常法により延伸し、84dtex/
36fのエチレン変性ポリビニルアルコールよりなるマ
ルチフィラメントを製造した。 (2) 上記(1)で得られたエチレン変性ポリビニル
アルコールマルチフィラメントとポリエステルマルチフ
ィラメント(ポリエステルの極限粘度[η]=0.6
8、84dtex/24f)を1:1の質量比でエアー
交絡装置に供給して交絡糸を製造した。 (3) 上記(2)で得られた交絡糸を用いて、丸編機
を使用してスムース組織を有する編地(目付220g/
m2)を製造した。
試験用の試験片(150mm×150mm)を採取し
て、下記の表1に示す水性溶解処理液中に浴比1:50
で浸漬し、100℃で40分間液中で溶解処理を行った
後、液より取り出して、90℃で湯洗した後、100℃
で乾燥(絶乾)した。 (5) 上記(4)の溶解処理後の乾燥した試験片につ
いて、エチレン変性ポリビニルアルコール繊維の残存状
態および残存率を上記した方法で調べたところ、下記の
表1に示すとおりであった。また、上記(4)で用いた
水性溶解処理液の起泡性を上記した方法で調べたとこ
ろ、下記の表1に示すとおりであった。
界面活性剤を含有する水性溶解処理液を用いた実験番号
2〜8(本発明の実施例)では、アニオン系界面活性剤
を含有しない純水を溶解処理液として用いた実験番号1
(対照例)に比べて、溶解処理後の試験片におけるエチ
レン変性ポリビニルアルコール繊維の残存割合が少ない
か、またはエチレン変性ポリビニルアルコール繊維が殆
ど残存していない。かかる結果から、アニオン系界面活
性剤を含む本発明の処理剤は、オレフィン等変性水溶性
PVAを構成成分とする繊維製品におけるオレフィン等
変性水溶性PVAの溶解促進作用を有するとともに、オ
レフィン等変性水溶性PVAを均一に溶解除去する作用
を有することがわかる。特に、アニオン系界面活性剤の
うちでも、芳香族スルホン酸塩ホルマリン縮合物である
ジトルイルエーテルジスルホン酸ソーダホルマリン縮合
物またはナフタレンスルホン酸ソーダホルマリン縮合物
よりなるアニオン系界面活性剤を含有する水性溶解処理
液を用いた実験番号2および3では、処理後の繊維製品
におけるエチレン変性ポリビニルアルコールの残存が極
めて少なく、エチレン変性ポリビニルアルコール繊維の
溶解促進作用が極めて高く且つ均一な溶解作用を有し、
その上起泡が小さく、より優れた効果が奏する。
性溶解処理液を用いた実験番号9(比較例)では、オレ
フィン等変性水溶性PVAの溶解状態や溶解残存率が、
純水を用いた実験番号1(対照例)と同等で、不良であ
る。また、アルカリ(Na2CO3)を添加した水性溶解
処理液を用いた実験番号10(比較例)では、実験番号
1と比べて、エチレン変性ポリビニルアルコール繊維の
溶解残存率は小さいが、溶解したオレフィン等変性水溶
性PVAがポリエステル繊維に残留付着しているために
溶解残存状態が不良である。かかる結果から、非イオン
系界面活性剤やアルカリは、オレフィン変性ポリビニル
アルコール系重合体を含む繊維の溶解促進作用を有して
いないか、または均一な溶解作用を有していないことが
わかる。
の溶解促進作用を有するアニオン系界面活性剤を含有す
る本発明の処理剤を用いて、オレフィン等変性水溶性P
VAを構成成分の少なくとも一部とする繊維製品の溶解
処理を行った場合には、該繊維製品を構成しているオレ
フィン等変性水溶性PVAを水などの水性液体中に速や
かに且つ均一に溶解させることができる。特に、芳香族
スルホン酸塩ホルマリン縮合物系のアニオン系界面活性
剤を含有する本発明の処理剤を用いる場合は、溶解処理
液の起泡を低く抑えながら、繊維製品を構成しているオ
レフィン等変性水溶性PVAをより高度に溶解すること
ができる。そのため、本発明は、上記した特性を活かし
て、例えば、オレフィン等変性水溶性PVAを構成成分
の少なくとも一部とする繊維、糸、布帛などの製造工
程、布帛の裁断や縫製工程などで発生した繊維屑、糸
屑、布屑などにおけるオレフィン等変性水溶性PVAの
溶解、回収、再利用;オレフィン等変性水溶性PVAと
他の重合体からなる複合紡糸繊維や混合紡糸繊維を用い
ての極細繊維、中空繊維、多孔質繊維などの製造、オレ
フィン等変性水溶性PVAよりなる繊維を構成成分の一
部としてなる布帛を用いてのレース模様やその他の多空
隙繊維製品の製造などの種々の用途に有効に使用するこ
とができる。
Claims (8)
- 【請求項1】 オレフィンおよび/またはアルキルビニ
ルエーテルで変性した水溶性ポリビニルアルコール系重
合体を構成成分の少なくとも一部とする繊維製品の処理
剤であって、繊維製品の少なくとも一部を構成するオレ
フィンおよび/またはアルキルビニルエーテルで変性し
た水溶性ポリビニルアルコール系重合体の溶解促進剤と
して、アニオン系界面活性剤を含有することを特徴とす
る処理剤。 - 【請求項2】 アニオン系界面活性剤が、芳香族スルホ
ン酸塩ホルマリン縮合物である請求項1に記載の処理
剤。 - 【請求項3】 エチレン単位および/またはアルキルビ
ニルエーテル単位を0.1〜20モル%の割合で有する
水溶性ポリビニルアルコール系重合体を構成成分の少な
くとも一部とする繊維製品の処理剤である請求項1また
は2に記載の処理剤。 - 【請求項4】 エチレン単位を5〜15モル%の割合で
有する水溶性ポリビニルアルコール系重合体を構成成分
の少なくとも一部とする繊維製品の処理剤である請求項
1〜3のいずれか1項に記載の処理剤。 - 【請求項5】 処理剤が、水性媒体に添加される前のア
ニオン系界面活性剤を主成分とするアニオン系界面活性
剤組成物であるか、或いは該アニオン系界面活性剤組成
物を水性媒体に溶解または分散してなる水性溶解処理液
である請求項1〜4のいずれか1項に記載の処理剤。 - 【請求項6】 オレフィンおよび/またはアルキルビニ
ルエーテルで変性した水溶性ポリビニルアルコール系重
合体を構成成分の少なくとも一部とする繊維製品を、ア
ニオン系界面活性剤組成物を水性媒体に溶解または分散
してなる水性溶解処理液からなる請求項5の処理剤を用
いて処理して、繊維製品の少なくとも一部を構成してい
るオレフィンおよび/またはアルキルビニルエーテルで
変性した水溶性ポリビニルアルコール系重合体を溶解す
ることを特徴とする繊維製品の処理方法。 - 【請求項7】 繊維製品が、エチレン単位および/また
はアルキルビニルエーテル単位を0.1〜20モル%の
割合で有する水溶性ポリビニルアルコール系重合体を構
成成分の少なくとも一部とする繊維製品である請求項6
に記載の処理方法。 - 【請求項8】 繊維製品が、エチレン単位を5〜15モ
ル%の割合で有するエチレン変性水溶性ポリビニルアル
コール系共重合体を構成成分の少なくとも一部とする繊
維製品である請求項7に記載の処理方法。
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JP2001353116A JP3743627B2 (ja) | 2001-11-19 | 2001-11-19 | 繊維製品の処理剤 |
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JP2007211375A (ja) * | 2006-02-10 | 2007-08-23 | Kuraray Co Ltd | 官能基を有する極細繊維シート |
-
2001
- 2001-11-19 JP JP2001353116A patent/JP3743627B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2007211375A (ja) * | 2006-02-10 | 2007-08-23 | Kuraray Co Ltd | 官能基を有する極細繊維シート |
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