JP2003152645A - 誘導ブリリュアン散乱を利用した雑音光除去方法、雑音光除去装置および光伝送システム - Google Patents
誘導ブリリュアン散乱を利用した雑音光除去方法、雑音光除去装置および光伝送システムInfo
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Abstract
じ波長成分をも含めて光の状態のまま除去できる簡易な
雑音光除去技術および光伝送システムを提供する。 【解決手段】本発明にかかる雑音光除去方法が適用され
た光伝送システムは、所要の中継スパンおきに高出力型
の光中継器1および雑音光除去ユニット2を備え、雑音
光除去ユニット2が閾値を超えるパワーの光が入力され
ると誘導ブリリュアン散乱(SBS)による戻り光を発
生するダミー伝送路13を有し、光中継器1で閾値を超
えるパワーに増幅された信号光が光アイソレータ11お
よび光カプラ12を介してダミー伝送路13に入力さ
れ、そのダミー伝送路13で発生するSBSによる戻り
光が光カプラ12を介して取り出されることによって、
信号光に含まれる雑音光成分が除去される。
Description
いて信号光に含まれる雑音光成分を除去する雑音光除去
技術に関し、特に、誘導ブリリュアン散乱(Stimulated
Brillouin Scattering;SBS)を利用して光の状態
のまま雑音光を除去する雑音光除去方法および装置、並
びに、それを用いた光伝送システムに関する。
テムにおいては、例えば、エルビウムドープ光ファイバ
増幅器(EDFA)等を用いて構成される光中継器の数
を増やしたり、あるいは、ラマン増幅器の導入により中
継距離を延ばしたりするなどした、一般にロングホール
システム(Long Haul System)と呼ばれる長距離の光伝
送システムが登場してきている。具体的に、信号光の送
信部から受信部までの最大距離は、従来のシステムでは
500km〜1000km程度であったが、ロングホー
ルシステムでは2000km〜4000kmを超えるよ
うになる。
テムにおいては、EDFAで発生する自然放出光による
ASE(Amplified Spontaneous Emission)雑音光や、
ラマン増幅器で発生する励起光のラマン散乱によるAS
S(Amplified SpontaneousScattering)雑音光が光中
継器ごとに蓄積される。このような雑音光の蓄積は、光
SN比(OSNR)を劣化させ、光受信器における信号
光の識別特性を劣化させることになるため、システムの
中継距離を延ばすことの制約となる。
信号光の波長帯域で数10nmの幅で発生する。このよ
うな雑音光成分に対して現行のシステムは、所要の中継
スパンおきに光を電気信号に変換した後に再度変調を行
った信号光を生成し送信する手法や、WDM信号光を各
チャンネルの光信号に分離してから再度合波して送信す
る手法などを採用することにより、雑音光成分を除去し
て長距離化を図るようにしている。
去を行う従来のWDM光伝送システムの概略構成を示す
ブロック図である。この従来システムでは、光送信装置
100が複数の光送信器(OS1〜OSN)101から出
力される各波長の光信号を合波器(MUX)102で波
長多重して生成したWDM信号光を光伝送路103に送
信し、そのWDM信号光が光伝送路103上に所要の間
隔で配置された複数の光中継器104で増幅されながら
図示しない光受信装置に向けて中継伝送される。このと
き、各光中継器で発生し蓄積された雑音光成分は、n個
の光中継器おきに配置された雑音光除去装置300によ
り光/電気変換に基づいて除去される。具体的に雑音光
除去装置300では、n段目の光中継器104から出力
される雑音光の蓄積したWDM信号光が、分波器(DM
UX)301で各波長の光信号に分波されて各々に対応
した光受信器(OR)302で電気信号に変換される。
そして、各光受信器302から出力される電気信号に従
って変調された各々の波長の光信号が光送信器(OS1
〜OSN)303から出力され、合波器(MUX)30
4で波長多重される。これにより、雑音光成分の除去さ
れたWDM信号光が光伝送路103に出力されるように
なる。
び合波に基づいて雑音光除去を行う従来のWDM光伝送
システムの概略構成を示すブロック図である。この従来
システムでも、各光中継器104で発生し蓄積された雑
音光成分が、n個の光中継器104おきに配置された雑
音光除去装置400により、WDM信号光の分波および
合波に基づいて除去される。具体的に雑音光除去装置4
00では、n段目の光中継器104から出力される雑音
光の蓄積したWDM信号光が、各チャンネルの中心波長
に対応した狭い透過帯域を持つ分波器(DMUX)40
1によって分波され、透過帯域外の雑音光成分が除去さ
れた各チャンネルの光信号が、合波器(MUX)によっ
て合波されて光伝送路103に出力されるようになる。
ような従来のWDM光伝送システムにおける雑音光除去
の手法については次のような問題点がある。まず、図1
8に示したような光/電気変換に基づく雑音光除去の場
合には、雑音光除去装置300から出力されるWDM信
号光の各波長光にパワーのばらつき(チルト)が発生す
る可能性があるため、このチルトを補正するための機能
を雑音光除去装置300に具備させる必要がある。具体
的には、雑音光除去装置300について、各チャンネル
の信号光ごとにパワーを調整する可変光減衰器や、各波
長の光信号パワーをモニタするためのスペクトラム測定
ユニット(Spectrum Analyzer Unit;SAU)、また、
それらに付随する電気回路等を設けることが必要とな
る。このような雑音光除去装置300の使用は、システ
ム全体のコスト上昇を招いてしまうことになる。
中継スパンが長くなると、光/電気変換時に、光受信器
302の入力光に含まれる雑音光成分が多くなりOSN
Rが劣化するため、光受信器302における信号識別処
理でエラーが発生してしまう可能性もあり問題である。
図19に示したようなWDM信号光の分波および合波に
基づく雑音光除去の場合には、光/電気変換に基づく雑
音光除去の場合に比べて、雑音光除去装置400に光受
信器および光送信器を設ける必要がなくなるものの、前
述したような各チャンネルの信号光についてのチルト補
正は同様に必要となるため、可変光減衰器やSAU等を
設けることで装置構成が複雑になり、システム全体のコ
スト上昇を招いてしまうことになる。
することによって、信号波長とは異なる波長の雑音光成
分は除去できるが、信号波長と同じ波長の雑音光成分は
除去することができない。このため、信号波長と同じ波
長の雑音光成分は、そのまま信号光と伴に雑音光除去装
置400から光伝送路103に送られることになるの
で、中継数が多くなるとOSNRが劣化して伝送特性の
著しい劣化が生じてしまうようになる。
は、前段の光中継器104から出力されたWDM信号光
が、3〜6dB程度の挿入損失を有する分波器401お
よび合波器402や、数dB程度の挿入損失を有するチ
ルト補正用の可変光減衰器などを通過して光伝送路10
3に送られることになるため、後段の光中継器104に
入力される各波長の光信号パワーが、光中継器104に
用いられる光増幅器の入力ダイナミックレンジを満足し
ないような小さなパワーになってしまう可能性もある。
で、信号光に含まれる雑音光成分を、信号波長と同じ波
長成分をも含めて光の状態のまま除去できる簡易な雑音
光除去方法、雑音光除去装置および光伝送システムを提
供することを目的とする。
め本発明にかかる雑音光除去方法は、信号光に含まれる
雑音光成分を除去する雑音光除去方法であって、閾値を
超えるパワーの光が入力されると誘導ブリリュアン散乱
による戻り光を発生する誘導ブリリュアン散乱発生媒体
に対して、前記閾値を超えるパワーまで増幅した信号光
を与え、その誘導ブリリュアン散乱発生媒体で発生する
戻り光を信号光として取り出すことにより、信号光に含
まれる雑音光成分を除去するようにしたものである。
信号光に含まれる雑音光成分を除去する雑音光除去装置
であって、閾値を超えるパワーの光が入力されると誘導
ブリリュアン散乱による戻り光を発生する誘導ブリリュ
アン散乱発生媒体と、信号光を前記閾値を超えるパワー
まで増幅する光増幅部と、誘導ブリリュアン散乱発生媒
体に対して光増幅部で増幅された信号光を与え、その誘
導ブリリュアン散乱発生媒体で発生する戻り光を信号光
として取り出す光入出力部と、を備えて構成されるもの
である。
よれば、誘導ブリリュアン散乱発生の閾値を超えるパワ
ーまで増幅された信号光は、誘導ブリリュアン散乱発生
媒体で発生する戻り光として取り出される。一方、閾値
に達するまでには増幅されていない、信号波長以外の雑
音光成分および信号波長と同じ波長の雑音光成分は、誘
導ブリリュアン散乱発生媒体に入力されても誘導ブリリ
ュアン散乱を発生しないため戻り光としては取り出され
ない。これにより、入力時の信号光に含まれる雑音光成
分が、従来の雑音光除去方式に比べて簡易な手法により
光の状態まま除去されると共に、スペクトラム幅の狭い
信号光を得ることができるようになる。
ついては、誘導ブリリュアン散乱発生媒体で発生する戻
り光のパワーを調整するようにしてもよい。これによ
り、雑音光除去後の信号光のレベルを所望の値に合わせ
ることができるようになる。本発明にかかる光伝送シス
テムは、光送信装置から光伝送路に送信された信号光
を、光伝送路上に配置された光中継器で増幅して光受信
装置まで中継伝送する光伝送システムであって、前述し
たような本発明にかかる雑音光除去装置を光伝送路上に
少なくとも1つ以上備えて構成されるものである。この
ような光伝送システムとすることにより、システム構成
の小規模化および低コスト化を図ることが可能になる。
に基づいて説明する。図1は、本発明にかかる誘導ブリ
リュアン散乱(以下、SBSと略す)を利用した雑音除
去方法が適用された光伝送システムの基本構成を示すブ
ロック図である。なお、上述した従来の光伝送システム
の構成と同様の部分には同一の符号が付してある。
信装置100から光伝送路103に送信されたWDM信
号光が、光伝送路103上に所要の間隔で配置された複
数の光中継器104で増幅されながら光受信装置105
に向けて中継伝送されるシステムについて、例えば、n
個の中継スパンおきに設置される光中継器として高出力
型の光増幅器を備えた光中継器1を設けると共に、その
光中継器1の出力側に位置する光伝送路103上に雑音
光除去ユニット2を挿入した基本構成を備える。
光伝送路103を介して送られてくるWDM信号光を、
後述する雑音光除去ユニット2内のダミー伝送路13に
おいてSBSによる戻り光が発生可能なパワーレベルに
なるように、高出力型光増幅器で増幅して出力する。こ
の光中継器1に用いられる高出力型の光増幅器としては
周知の光増幅器を使用することが可能であり、具体的に
は、例えば希土類元素ドープ光ファイバ増幅器、ラマン
増幅器、半導体光増幅器およびそれらの組み合わせによ
る光増幅器などを利用することができる。
子10と出力端子16の間に、光アイソレータ11、光
カプラ(CPL)12、SBS発生媒体としてのダミー
伝送路13、無反射終端器(T)14およびレベル調整
部15を備えて構成される。なお、ここでは光アイソレ
ータ11および光カプラ12が光入出力部として機能す
る。また、図1にはn段目の雑音光除去ユニット2につ
いてのみ具体的な構成を示したが、2n段目の雑音光除
去ユニット2の構成についても同様である。
カプラ12の間に配置され、入力端子10から光カプラ
12に進む光を通過し、光カプラ12から入力端子10
に進む光の通過を阻止する一般的な光部品である。光カ
プラ12は、ここでは例えば3つのポートを有し、図1
で左上側に位置する第1ポートに光アイソレータ11が
接続され、図1で右側に位置する第2ポートにダミー伝
送路13が接続され、図1で左下側に位置する第3ポー
トにレベル調整部15が接続される。この光カプラ12
は、光アイソレータ11から第1ポートを介して入力さ
れる光を第2ポートを通ってダミー伝送路13に伝達す
ると共に、ダミー伝送路13からの戻り光を第2ポート
を介して入力して2分岐し、第1および第3ポートから
それぞれ出力する。このような光カプラ12の具体例と
しては、一般的な4つのポートを有する3dBカプラ等
を用いることが可能である。4ポートの3dBカプラを
使用する場合には、ダミー伝送路13が接続されるポー
トと同じ側に位置するポートには無反射終端器などを接
続して未使用ポートとし、上記のような光の伝達経路が
構成されるようにする。
要の閾値を超えると非線形光学現象の一種であるSBS
を発生する光伝送路である。このダミー伝送路13は、
後述するように、カプラ12を介して一方の端部に与え
られるWDM信号光のうちで1チャンネル当たりの光パ
ワーが閾値を超える成分(信号光成分)についてSBS
による戻り光を発生し、その戻り光を一方の端部から光
カプラ12に出力する。また、1チャンネル当たりの光
パワーが閾値よりも小さい成分(一部の信号光成分およ
び雑音光成分)については、SBSによる戻り光を発生
することなく他方の端部に向けて伝搬して無反射終端器
14に出力する。
所要の長さの光ファイバ伝送路を用いるものとする。光
ファイバ伝送路の長さは、SBSによる戻り光を確実に
得ることができるように、使用する光ファイバの特性に
応じて予め設計されており、具体的には、数km〜20
km程度とすることが可能である。ダミー伝送路13と
して用いる光ファイバの具体例としては、通常の光ファ
イバ伝送路として利用されている1.3μm零分散単一
モードファイバ(SMF)や分散シフトファイバ(DS
F)、ノンゼロ分散シフトファイバ(NZ−DSF)、
分散補償ファイバ(DCF)等を使用することが可能で
ある。特に、分散補償ファイバを使用すれば入力光のパ
ワーが小さな値(例えば4dBm/ch程度)でもSB
Sが発生するため、光中継器1の出力レベルを抑えるこ
とが可能である。
要の長さの光ファイバ伝送路を使用するようにしたが、
本発明におけるSBS発生媒体は上記のような光ファイ
バを使用した伝送路に限られるものではなく、所要の長
さに設計された光導波路を用いてもよい。また、SBS
発生媒体の形態は、光ファイバや光導波路等を用いたの
伝送路に限定されるものではなく、入力光のSBSによ
る戻り光を有効に得ることができる任意の形態とするこ
とも可能である。
光カプラ12が接続された一方の端部は異なる他方の端
部に接続され、ダミー伝送路13の通過光を吸収して終
端するものである。レベル調整部15は、光カプラ12
の第3ポートから出力される光、すなわち、ダミー伝送
路13におけるSBSによる戻り光の一部が入力され、
その戻り光を増幅または減衰することにより所要のパワ
ーレベルに調整したWDM信号光を出力端子16に出力
する。
ト2の前段に位置する各光中継器1以外の他の光中継器
104と、光受信装置105とは、従来の光伝送システ
ムで用いられているもの同様である。具体的には、光送
信装置100は、複数の光送信器(OS1〜OSN)10
1および合波器(MUX)102を有し、各光送信器1
01から出力される波長の異なる光信号を合波器(MU
X)102で波長多重して光伝送路103に送信する。
送されるWDM信号光を所要のレベルまで増幅して中継
伝送する。各光中継器104の出力光レベルは、光中継
器1の出力光レベルに比べて十分に低く設定されてい
て、光伝送路103における非線形光学現象の発生が抑
制されるようにしてある。光受信装置105は、分波器
(DMUX)106および複数の光受信器(OR 1〜O
RN)を有し、光伝送路103を伝搬してきたWDM信
号光を分波器106で各チャンネルの信号光ごとに分波
し、各々の信号光を対応する光受信器107で受信処理
する。
送システムの動作について説明する。本光伝送システム
において、光送信装置100から光伝送路103に送信
されたWDM信号光は、所要の中継間隔で配置された光
中継器104で順次増幅されながら中継伝送されて、n
段目の高出力型光増幅器を備えた光中継器1に到達す
る。このn段目の光中継器1に入力されるWDM信号光
は、1〜(n−1)段目の各光中継器104で発生する
ASEやASSなどの雑音光成分が光増幅帯域全体に亘
って蓄積した光となっている。光中継器1では、上記の
ような雑音光を含んだWDM信号光が、雑音光除去ユニ
ット2のダミー伝送路13においてSBSによる戻り光
が発生し得る光パワーレベルに達するまで増幅され、そ
の増幅されたWDM信号光が雑音光除去ユニット2に送
られる。
ト2に入力されるWDM信号光の波長λに対する光パワ
ーPINの一例を示す図である。図2に示すように、光中
継器1では、WDM信号光に含まれる1チャンネル当た
りの信号光パワーが予め設定したレベルP1に達するま
でWDM信号光全体が増幅される。この1チャンネル当
たりの出力光パワーP1は、ダミー伝送路13でSBS
が発生して有効な戻り光が得られるようになるダミー伝
送路13への入力光パワーの閾値PTHと、光中継器1の
出力端およびダミー伝送路13の入力端の間に配置され
る各光部品(ここでは光アイソレータ11および光カプ
ラ12)の挿入損失とに基づいて設定される。なお、図
2中の光パワーP104は、各段の光中継器104で増幅
され出力されるWDM信号光の1チャンネル当たりのパ
ワーを示したものである(P1>P104)。
と、ダミー伝送路13においてSBSが発生可能になっ
て戻り光が得られるようになる入力光パワーの閾値PTH
は、ダミー伝送路13として1.3μm零分散SMFを
使用する場合には約10dBm/ch以上に設定するこ
とが可能であり、DSFを使用する場合には約7dBm
/ch以上に設定することが可能であり、DCFを使用
する場合には約4dBm/ch以上に設定することが可
能である。光アイソレータ11の挿入損失を1dB、光
カプラ12の挿入損失を4dBと見積もるようにすれ
ば、光中継器1の出力光パワーP1は、上記の各ダミー
伝送路13に対応した各々の閾値に5dBを加えたレベ
ル以上に設定することができる。なお、光中継器1の出
力光パワーP 1の設定は上記の一例に限られるものでは
ない。
力端子11に与えらたWDM信号光は、図3の太線矢印
で示すように、光アイソレータ11および光カプラ12
を順に通過してダミー伝送路13の一端に入力される。
ダミー伝送路13では、入力光のうちの上記閾値PTHを
超えるパワーを持った成分について、SBSによる戻り
光が発生し、その戻り光が入力端から出力されて光カプ
ラ12に再入力される。一方、ダミー伝送路13への入
力光のうちの閾値PTHよりも小さいパワーを持った成分
については、ダミー伝送路13内を入力端とは反対側の
端部に向けて伝搬して無反射終端器14によって吸収さ
れる。
るSBSによる戻り光について詳しく説明する。非線形
光学現象の一種であるSBSは、高出力の狭帯域光信号
を伝送路等に入力させた場合に、入力光とは逆方向に進
む散乱光が増幅されて戻ってくる現象であり、その戻り
光のパワーは、例えば図4に示すように、入力光パワー
PINおよび変調ビットレートに応じて変化することが知
られている。具体的には、入力光パワーPINが大きいほ
ど戻り光のパワーも大きくなり、入力光パワーPINがあ
る値以上になると入力光の大半が戻ってくるようにな
る。また、変調ビットレートが高いほど戻り光のパワー
は小さくなる傾向を示す。
を利用して、WDM信号光に蓄積された雑音光を除去す
るための原理は、例えば図5に示すように、ダミー伝送
路13に入力される各チャンネルの信号がすべて「1」
になる発光状態と、すべて「0」になる消光状態とを考
えることで容易に説明できる。図5(A)の左側に示す
ように、ダミー伝送路13への入力光がすべて「1」に
なる場合、各チャンネルの信号光パワーは、SBS発生
の閾値PTHを超えるレベルにまで増幅されているため、
各々の信号光はSBSによる戻り光としてダミー伝送路
13の入力端に戻ってくる。これに対して、信号波長以
外の成分、すなわち、各チャンネルの中心波長の中間に
位置する累積されたASEやASS等の雑音光成分は、
SBSが発生するパワーレベルに達していないため、戻
り光としてダミー伝送路13の入力端に戻ってくること
はなく、入力端とは反対側の端部に向けて伝搬する。こ
れにより、図5(A)右側の戻り光パワーPSBSに示す
ように、各チャンネルの信号光成分(実線部分)だけが
取り出され、雑音光成分(点線部分)が除去されたWD
M信号光を得ることができるようになる。なお、図5
(A)に例示した戻り光パワーPSBSは、前述の図4に
示したように信号光の入力パワーおよび変調ビットレー
トに応じてそのレベルが変化するものである。
ー伝送路13への入力光がすべて「0」になる場合に
は、信号波長以外に存在するASEやASS等の雑音光
成分は、SBSが発生するパワーレベルに達していない
ため、戻り光としてダミー伝送路13の入力端に戻って
くることはない。また、各チャンネルの中心波長付近に
は雑音光成分のみが存在することになるが、この雑音光
成分も上記の場合と同様にSBSが発生するパワーレベ
ルに達していないため、SBSによる戻り光が得られる
ことはない。これにより、図5(B)の右側に示すよう
に、WDM信号光の全波長帯域に存在する雑音光成分
(点線部分)を除去することが可能になる。
雑音光の除去方式によれば、ダミー伝送路13に入力さ
れるWDM信号光について、「1」を示す信号光成分の
みが取り出され、信号波長以外の雑音光成分および信号
光が「0」を示す場合の信号波長の雑音光成分の双方が
確実に除去されるようになる。さらに、SBSによる戻
り光を利用した雑音光の除去方式によれば、戻り光とし
て取り出した信号光のスペクトラムが細くなる(波長成
分が少なくなる)という作用効果も生じる。具体的に
は、例えば図6の左側に示すように、信号光パワーがS
BS発生の閾値PTHを超える波長領域は、信号波長の幅
よりも狭くなるので、図6の右側に示すように、戻り光
として取り出される信号光成分のスペクトラム幅は入力
時よりも細くなる。このような作用効果は、例えば光伝
送路103における波長分散の影響等が軽減されるた
め、WDM信号光の伝送に有利である。
したSBSによる戻り光は、光カプラ12に再び入力さ
れて2分岐され、光アイソレータ11およびレベル調整
部15にそれぞれ接続する各ポートから出力される。光
アイソレータ11側に出力された戻り光は、光アイソレ
ータ11で通過が阻止されることによって、光中継器1
の増幅動作に影響を及ぼすことが回避される。一方、レ
ベル調整部15側に出力された戻り光は、レベル調整部
15において、各チャンネルの信号光がそれぞれ増幅ま
たは減衰されることにより、例えば図7に示すように、
所望のパワーレベルPOUTに調整されたWDM信号光が
出力端子16を介して光伝送路103に出力される。そ
して、光伝送路103に出力されたWDM信号光は、以
降、1〜n段目と同様にして光受信装置に向けて中継伝
送される。
おけるSBS以外の他の非線形光学現象の影響について
簡単に説明しておく。本雑音光除去方式において、ダミ
ー伝送路13内で入力光のパルスとSBSによる戻り光
のパルスとがすれ違うときには、相手のパルスの立ち上
がり部と立下り部により相互位相変調(XPM)が発生
する場合がある。しかし、XPMにより生じる波長シフ
トの方向は入力光および戻り光で逆方向となるため、各
方向の波長シフトはパルスがダミー伝送路13を往復す
ることで結果的にキャンセルされることになる。従っ
て、SBSによる戻り光に対するXPMの影響は殆ど生
じないものと考えられる。
ダミー伝送路13に入射し、SBSにより戻ってくるま
での間では、自己位相変調(SPM)や4光波混合(F
WM)が発生する場合がある。しかし、それらにより発
生した別波長の光はSBSを起こさないため、ダミー伝
送路13の入力端に戻ってくることはない。従って、S
BSによる戻り光に対するSPMおよびFWMの影響は
残らないものと考えられる。
ば、雑音光を除去するノード(中継区間)について、光
中継器に設けられる光増幅器を高出力型のものに変更
し、ダミー伝送路13および数点のパッシブ部品からな
る雑音光除去ユニット2を設けるだけで雑音光を確実に
除去することができるようになるため、従来の光/電気
変換や信号光の分波および合波に基づく雑音光除去方式
に比べてシステム構成の小規模化および低コスト化を図
ることが可能になる。また、SBSによる戻り光を利用
することによって信号波長と同じ波長の雑音光成分を効
果的に除去することができるため、光送信装置100か
ら送信された時の状態に極めて近い状態のWDM信号光
を作り出すことが可能になる。さらに、スペクトラム幅
の狭い信号光が得られるため、光伝送路103における
波長分散等の影響を軽減することもできる。
ダミー伝送路13に対する信号光の入力および戻り光の
取り出しを行う光入出力部として光アイソレータ11お
よび光カプラ12を設けるようにしたが、本発明におけ
る光入出力部の構成はこれに限られるものではない。例
えば図8に示すように、光アイソレータ11および光カ
プラ12に代えて光サーキュレータ17を設けるように
してもよい。この光サーキュレータ17は、第1ポート
に光アイソレータ11が接続され、第2ポートにダミー
伝送路13が接続され、第3ポートにレベル調整部15
が接続されて、第1ポートから第2ポートへの方向およ
び第2ポートから第3ポートへの方向に進む光を伝達す
ることが可能な光デバイスである。このような光サーキ
ュレータ17を使用することによって、雑音光除去ユニ
ット2の構成をより簡略なものにできる。
伝送システムの具体的な実施形態について説明する。図
9は、第1実施形態による光伝送システムの要部構成を
示すブロック図である。なお、上述の図1に示した基本
構成と同様の部分には同一の符号を付してその説明を省
略し、以下、他の実施形態においても同様とする。
テムは、例えば図1の基本構成について、雑音光除去ユ
ニット2のレベル調整部15として、SBSによる戻り
光を光増幅器により所要のレベルまで増幅する具体的な
構成を適用したものである。上記以外の雑音光除去ユニ
ット2の他の部分の構成および光伝送システム全体の構
成は、図1の基本構成の場合と同様である。
は、例えば、光増幅器20、光カプラ(CPL)21、
受光器(PD)22、ADコンバータ23および制御回
路24を含んでなる。光増幅器20は、光カプラ12の
第3ポートと雑音光除去ユニット2の出力端子16との
間の光路上に配置され、光カプラ12で取り出されたS
BSによる戻り光を制御回路24からの出力信号に従っ
た利得で増幅して出力する。この光増幅器20として
は、例えば希土類元素ドープ光ファイバ増幅器や半導体
光増幅器などの公知の光増幅器を使用することが可能で
ある。
子16に出力されるWDM信号光の一部を分岐して受光
器22に送るものである。受光器22は、光カプラ21
からの分岐光を受光し、パワーに応じた電気信号を発生
してADコンバータ23に出力する。ADコンバータ2
3は、受光器22からのアナログの電気信号をデジタル
に変換して制御回路24に送る。
の出力信号および光中継器1からの伝送情報に基づい
て、光増幅器20から出力されるWDM信号光のパワー
が目標値になるように、光増幅器20の増幅動作を制御
するための制御信号を生成する。この制御回路24の具
体例としては、FPGA(Field Programmable Gate Ar
ray)等の集積回路を用いることが可能である。
では、ダミー伝送路13において発生したSBSによる
戻り光が光カプラ12によって取り出され、光増幅器2
0で増幅されて出力端子16に出力される。このとき光
増幅器20からの出力光の一部が光カプラ21によって
分岐され、トータルパワーが受光器22によってモニタ
されて、そのモニタ結果がADコンバータ23を介して
制御回路24に伝えられる。制御回路24では、光中継
器1から伝えられるチャンネル数や出力レベル目標値等
の伝送情報に従い、ADコンバータ23から伝えられる
モニタされたトータルパワーをチャンネル数で割り算し
た値を基に、光増幅器20から出力されるWDM信号光
の1チャンネル当たりの光パワーが求められ、その結果
が目標値に一致するように光増幅器20の増幅動作を制
御する制御信号が生成される。そして、この制御信号に
従って光増幅器20の利得が調整されることで、前述の
図7に示したような各チャンネルの信号光パワーが所望
のレベルで揃ったWDM信号光が、出力端子16を介し
て光伝送路103に出力されるようになる。なお、SB
Sによる戻り光を光増幅器20で増幅することによりA
SE等の雑音光が発生することになるが、この光増幅器
20で発生する雑音光は1〜n段目で発生し蓄積した雑
音光に比べて僅かであるため、ダミー伝送路13におけ
る雑音光除去の効果は十分に得られることになる。
によれば、雑音光除去ユニット2のダミー伝送路13で
発生するSBSによる戻り光のレベルが、例えば信号光
の変調ビットレートが高い場合などのように小さくなる
ようなときでも、後段の光増幅器20によって所望のレ
ベルまで増幅したWDM信号光を安定して出力すること
が可能になる。
について説明する。図10は、第2実施形態による光伝
送システムの要部構成を示すブロック図である。図10
において、第2実施形態の光伝送システムは、前述の図
9に示した第1実施形態の変形例であって、SBSによ
る戻り光をラマン増幅によって所要のレベルまで増幅す
るようにしたものである。具体的には、雑音光除去ユニ
ット2のレベル調整部15に相当する構成として、ラマ
ン増幅用の励起光源(LD)30、WDMカプラ31、
ADコンバータ32、制御回路33およびメモリ34を
含んでなる。
るWDM信号光の波長帯域に対応して予め設定された波
長帯の励起光を発生し、その励起光をWDMカプラ31
および出力端子16を介して受信側の光伝送路103に
供給することで、その光伝送路103を伝搬するWDM
信号光のラマン増幅を可能にする。ADコンバータ32
は、励起光源30の駆動状態を示す電気信号をAD変換
して制御回路33に出力する。
の出力信号、光中継器1からの伝送情報およびメモリ3
4の記憶情報に基づいて、光伝送路103を伝搬して次
段(n+1段目)の光中継器104に入力されるWDM
信号光のパワーが所望のレベルとなるように励起光源3
0の駆動状態を制御するための制御信号を生成する。こ
の制御回路24としては、FPGA等の集積回路を用い
ることが可能である。また、メモリ34には、予め調べ
ておいた励起光源の出力光パワーとラマン増幅利得との
関係や、次段の光中継器104までの伝送距離(=減衰
量)などに関する情報が記憶されているものとする。
においては、ダミー伝送路13において発生したSBS
による戻り光が光カプラ12によって取り出され、WD
Mカプラ31を通過して出力端子16に接続された光伝
送路103に出力される。この光伝送路103には、制
御回路33によって駆動状態が制御された励起光源30
から出力される励起光がWDMカプラ31を介して供給
されていて、光伝送路103を伝搬するWDM信号光
(戻り光)がラマン増幅されながら次段の光中継器10
4に送られる。これにより、所望のレベルにラマン増幅
されたWDM信号光が次段の光中継器104に入力され
るようになる。なお、SBSによる戻り光を後段の光伝
送路103でラマン増幅することによりASS雑音光が
発生することになるが、このASS雑音光は1〜n段目
で発生し蓄積した雑音光に比べて僅かであるため、ダミ
ー伝送路13における雑音光除去の効果は十分に得られ
ることになる。
によれば、雑音光除去ユニット2のダミー伝送路13で
発生するSBSによる戻り光のレベルが小さくなるよう
なときでも、後段の光伝送路103をラマン増幅媒体と
して利用することによって、所望のレベルまでラマン増
幅したWDM信号光を次段の光中継器104に安定して
送ることが可能になる。
増幅器20の出力光レベルまたは励起光源30の駆動状
態をモニタしてWDM信号光に対する利得を制御するよ
うにしたが、SBSによる戻り光のパワーが実験結果ま
たはシミュレーションなどによって予め分かっている場
合には利得を固定にするようにしても構わない。次に、
第3実施形態による光伝送システムについて説明する。
テムの要部構成を示すブロック図である。図11におい
て、第3実施形態の光伝送システムは、例えば図1の基
本構成について、雑音光除去ユニット2のレベル調整部
15として、SBSによる戻り光を可変光減衰器により
所要のレベルまで減衰させる具体的な構成を適用したも
のである。上記以外の雑音光除去ユニット2の他の部分
の構成および光伝送システム全体の構成は、図1の基本
構成の場合と同様である。
は、例えば、可変光減衰器(ATT)40、光カプラ
(CPL)41、受光器(PD)42、ADコンバータ
43、制御回路44およびトランジスタ(TR)45を
含んでなる。可変光減衰器40は、光カプラ12の第3
ポートと雑音光除去ユニット2の出力端子16との間の
光路上に配置され、光カプラ12で取り出されたSBS
による戻り光を可変の減衰量に応じて減衰して出力す
る。この可変光減衰器40の減衰量は、制御回路44か
らの出力信号をトランジスタ45によって電流に変換し
た信号に従って制御される。
力端子16に出力されるWDM信号光の一部を分岐して
受光器42に送るものである。受光器42は、光カプラ
41からの分岐光を受光し、パワーに応じた電気信号を
発生してADコンバータ43に出力する。ADコンバー
タ43は、受光器42からのアナログの電気信号をデジ
タルに変換して制御回路44に送る。
の出力信号および光中継器1からの伝送情報に基づい
て、可変光減衰器40から出力されるWDM信号光のト
ータルパワーが目標値となるように、可変光減衰器40
の可変の減衰量を制御するための制御信号を生成し、そ
の制御信号をトランジスタ45を介して可変光減衰器4
0に伝達する。この制御回路44の具体例としては、F
PGA等の集積回路を用いることが可能である。
では、ダミー伝送路13において発生したSBSによる
戻り光が光カプラ12によって取り出され、可変光減衰
器40で減衰されて出力端子16に出力される。このと
き可変光減衰器40からの出力光の一部が光カプラ41
によって分岐され、トータルパワーが受光器42によっ
てモニタされて、そのモニタ結果がADコンバータ43
を介して制御回路44に伝えられる。制御回路44で
は、ADコンバータ43からのモニタ結果に基づいて、
光中継器1から伝えられるチャンネル数や出力レベル目
標値等の伝送情報に従い、可変光減衰器40から出力さ
れるWDM信号光の1チャンネル当たりの光パワーが求
められ、その結果が目標値に一致するように可変光減衰
器40の光減衰量を制御する制御信号が生成される。そ
して、この制御信号に従って可変光減衰器40の光減衰
量が調整されることで、各チャンネルの信号光パワーが
所望のレベルで揃ったWDM信号光が、出力端子16を
介して光伝送路103に出力されるようになる。
によれば、雑音光除去ユニット2のダミー伝送路13で
発生するSBSによる戻り光のパワーが、例えば後段の
光伝送路103において非線形光学現象を生じてしまう
ような大きなレベルになるときでも、可変光減衰器40
によって非線形光学現象の生じないレベルまで減衰させ
たWDM信号光を安定して出力することが可能になる。
衰器40の出力光レベルをモニタして可変の減衰量を制
御するようにしたが、SBSによる戻り光のパワーが実
験結果またはシミュレーションなどによって予め分かっ
ている場合には減衰量が固定の光減衰器を用いるように
しても構わない。また、上述した第1〜第3実施形態で
は、光入出力部として光アイソレータ11および光カプ
ラ12を使用する構成について適用したが、上述の図8
に示したように光入出力部として光サーキュレータ17
を用いる構成についても同様にして応用することが可能
である。
について説明する。図12は、第4実施形態による光伝
送システムの要部構成を示すブロック図である。図12
において、第4実施形態の光伝送システムは、例えば図
8に示した構成についての応用例であって、高出力型の
光中継器1としての機能と、雑音光除去ユニット2内の
レベル調整部15としての機能とを1つの光増幅器で実
現するようにしたものである。
目の光中継器として、上述した雑音光除去ユニット2と
しての機能を内蔵した光中継器1’を設け、その光中継
器1’は、入力端子10’と出力端子16’の間に、光
サーキュレータ17’、光増幅器50、ダミー伝送路1
3および無反射終端器(T)14を備えて構成される。
ポートに入力端子10’が接続され、第2ポートに光増
幅器50が接続され、第3ポートに出力端子16’が接
続されて、第1ポートから第2ポートへの方向および第
2ポートから第3ポートへの方向に進む光を伝達するこ
とが可能である。光増幅器50は、ここでは例えば、2
段増幅構成のエルビウムドープ光ファイバ増幅器(ED
FA)を用いるものとし、具体的には、第1および第2
のエルビウムドープ光ファイバ(EDF)51A,51
Bと、各EDF51A,51Bへの励起光を発生する励
起光源52A,52Bと、各励起光源52A,52Bか
らの励起光をEDF51A,51Bに供給するWDMカ
プラ53A,53Bと、EDF51A,51Bの段間に
設けられた可変光減衰器54と、を備えて構成される。
また、ここでは図示を省略したが、光増幅器50から出
力されるWDM信号光パワーのモニタ結果に応じて、励
起光源52A,52Bの駆動状態または可変光減衰器5
4の減衰量を制御する制御回路も設けられているものと
する。
に限定されるものではなく、双方向に伝搬する光を高い
利得で増幅可能な任意の構成の光増幅器を用いることが
可能である。ダミー伝送路13は、光増幅器50の光サ
ーキュレータ17とは反対側に位置する入出力端に一端
が接続され、他端には無反射終端器14が接続されてい
る。このダミー伝送路13および無反射終端器14は、
上述の基本構成において用いたものと同様である。
光送信装置100から光伝送路103に送信されたWD
M信号光が、1〜(n−1)段目の光中継器104で順
次増幅されながら中継伝送されてn段目の光中継器1’
に入力される。光中継器1’では、雑音光の蓄積したW
DM信号光が、入力端子10’および光サーキュレータ
17を介して光増幅器50に送られる。この光増幅器5
0では、励起光源52A,52Bからの励起光の供給を
受けて励起状態にされた各EDF51A,51BをWD
M信号光が一方向に伝搬することによって、そのWDM
信号光のパワーが、ダミー伝送路13におけるSBS発
生の閾値PTHを超えるレベルにまで増幅された後に、ダ
ミー伝送路13に出力される。そして、ダミー伝送路1
3では、閾値PTHを超えるパワーを持つ信号波長の信号
光成分のみがSBSによる戻り光として光増幅器50に
再入力され、閾値PTHに達していない信号波長以外の雑
音光成分および信号波長と同じ波長の雑音光成分はダミ
ー伝送路13を通過して無反射終端器14に吸収され
る。
による戻り光は、光増幅器50内を入力側に向けて伝搬
することにより所要のレベルにまで増幅されて光サーキ
ュレータ17に出力される。このとき、光増幅器50か
ら光サーキュレータ17に出力されるWDM信号光(戻
り光)のパワーがモニタされ、そのモニタ結果に従っ
て、励起光源52A,52Bの駆動状態または可変光減
衰器54の減衰量が制御されて、WDM信号光のパワー
が目標値に一致するように調整される。
第2ポートに送られたWDM信号光は、光サーキュレー
タ17の第3ポートから出力されて、出力端子16’を
介して後段の光伝送路103に送出される。このように
第4実施形態による光伝送システムによれば、上述した
基本構成の場合と同様の作用効果を得ることができると
共に、WDM信号光をSBS発生の閾値PTHを超えるレ
ベルまで増幅する機能と、SBSによる戻り光のレベル
を調整する機能とが1つの光増幅器50によって実現さ
れるようになるため、システム構成のさらなる簡略化を
図ることが可能になる。
について説明する。第5実施形態の光伝送システムで
は、SBSによる波長シフトの影響を考慮したシステム
構成について説明する。ここで、SBSによる波長シフ
トとは、入力光の波長に対して、SBSによる戻り光の
波長が11GHz程度(例えば1550nm帯の光では
0.09nm程度)長波長側にシフトする現象である。
このようなSBSによる波長シフトは、例えば、光受信
装置におけるWDM信号光の分波処理に影響を及ぼす可
能性がある。
うに、WDM信号光に含まれる各チャンネルの信号光の
波長間隔が広いシステム(図の例では400GHz間
隔、すなわち、1550nm帯で3.2nm程度の間
隔)の場合、光受信装置105内に設けられる分波器1
06のフィルタ特性(各チャンネルに対応した透過帯域
幅)も広くできるため、伝送されるWDM信号光が雑音
光除去ユニット2を通過する回数が少なければ、上記分
波器をそのまま用いて受信されたWDM信号光から各チ
ャンネルの信号光を取り出すことが可能である。
光の波長間隔が狭いシステム(図の例では50GHz間
隔、すなわち、1550nm帯で0.4nm程度の間
隔)の場合には、分波器106のフィルタ特性も狭くな
るため、WDM信号光が雑音光除去ユニット2を通過す
る回数がたとえ少なくても、SBSによる波長シフトの
影響により分波器106で各チャンネルの信号光を正し
く取り出すことが難しくなる。
は、伝送光がシステム全体で雑音光除去ユニットを何回
通過するかを基にSBSによる波長シフト量を予め計算
し、送信時における各チャンネルの中心波長を上記波長
シフト量だけずらしたフィルタ特性を有する分波器を光
受信装置内に備えるようにした構成を採用する。図14
は、第5実施形態の光伝送システムの具体例を示す概念
図である。ここでは、伝送光が雑音光除去ユニットを2
回通過する場合の一例を具体的に考えることにする。こ
の場合、システム全体でのSBSによる波長シフト量
は、11GHz×2=22GHzと計算され、1550
nm帯のWDM信号光を想定すると約0.18nmとな
る。例えば、WDM信号光の波長間隔が50GHzで、
送信時における各チャンネルの中心波長が1549.6
0nm、1550.00nm、1550.40nmの各
信号光は、受信時には中心波長が1549.78nm、
1550.18nm、1550.58nmにそれぞれシ
フトすることになる。従って、光受信装置105’内の
分波器106’としては、透過中心波長が1549.7
8nm、1550.18nm、1550.58nmに位
置するフィルタ特性を備えたデバイスを用いるようにす
る。光受信装置105’内の各光受信器107について
は、SBSにより波長がシフトした信号光がそれぞれ入
力されることになるが、各々の光受信器107には基本
的に波長依存性がないため、SBSによる波長シフトに
応じた変更の必要は特にない。
ステム全体を伝送されたWDM信号光に含まれる各チャ
ンネルの信号光を分波器106’で確実に取り出すこと
が可能になる。なお、上記の第5実施形態では、光受信
装置105’内の分波器106’として固定のフィルタ
特性を有するデバイスの使用を考えたが、例えば、可変
のフィルタ特性を有するデバイスを用いるようにしても
よい。具体的には、例えば図15に示すような、温度変
化によりフィルタ特性の中心波長が変化するアレイ型導
波路格子(Arrayed Waveguide Grating;AWG)等を
使用することが可能である。ただし、図15には、ある
1つの透過帯に着目した温度変化が示してある。
波長の変動率が0.01nm/℃であると仮定すると、
前述した伝送光が雑音光除去ユニットを2回通過する一
例においては、SBSによる波長シフト量0.18nm
は制御温度差に換算して0.18/0.01=18℃と
なる。従って、AWGの温度を変化させるヒータやペル
チェ等の動作状態を調整して、図16に示すように、A
WGの制御温度を基準温度から18℃変化させて透過帯
の中心波長を0.18nmシフトさせれば、雑音光除去
ユニットを2回通過したことによる波長変動をデバイス
自体を変更することなく光受信装置で吸収することがで
きるようになる。
光伝送システムのn個の中継スパンおきに高出力型の光
中継器および雑音光除去ユニットを配置するようにした
が、システム上でSBSを利用した雑音光除去を実施す
る位置は上記に限られるものではない。例えば図17に
示すように、光受信装置105の直前に高出力型の光中
継器1および雑音光除去ユニット2を配置して、光受信
装置105に入力するWDM信号光に蓄積した雑音光を
一度に除去するようにしてもよい。このようなシステム
構成は、例えば伝送途中のノードにおいて信号光が挿入
または分岐(Add/Drop)されないようなシステムの場
合、基本的に伝送途中での伝送光のOSNRは関係な
く、あくまで光受信装置に入力される際のOSNRが重
要になるため好適である。
上述の図6に示したように、SBSによる戻り光として
取り出した信号光のスペクトラムが細くなる(波長成分
が少なくなる)という作用効果が得られるため、光送信
装置や光中継器から信号光が送出された直後に本方式を
適用して、伝送光の波長広がりを抑圧するという応用例
も可能である。
て以下にまとめる。 (付記1) 信号光に含まれる雑音光成分を除去する雑
音光除去方法であって、閾値を超えるパワーの光が入力
されると誘導ブリリュアン散乱による戻り光を発生する
誘導ブリリュアン散乱発生媒体に対して、前記閾値を超
えるパワーまで増幅した信号光を与え、当該誘導ブリリ
ュアン散乱発生媒体で発生する戻り光を信号光として取
り出すことにより、信号光に含まれる雑音光成分を除去
することを特徴とする雑音光除去方法。
法であって、前記誘導ブリリュアン散乱発生媒体で発生
する戻り光のパワーを調整することを特徴とする雑音光
除去方法。
を除去する雑音光除去装置であって、閾値を超えるパワ
ーの光が入力されると誘導ブリリュアン散乱による戻り
光を発生する誘導ブリリュアン散乱発生媒体と、信号光
を前記閾値を超えるパワーまで増幅する光増幅部と、前
記誘導ブリリュアン散乱発生媒体に対して前記光増幅部
で増幅された信号光を与え、当該誘導ブリリュアン散乱
発生媒体で発生する戻り光を信号光として取り出す光入
出力部と、を備えて構成されたことを特徴とする雑音光
除去装置。
置であって、前記誘導ブリリュアン散乱発生媒体で発生
する戻り光のパワーを調整する調整部を備えたことを特
徴とする雑音光除去装置。
置であって、前記調整部は、前記戻り光を増幅する光増
幅器を含むことを特徴とする雑音光除去装置。
置であって、前記調整部は、前記戻り光を減衰させる光
減衰器を含むことを特徴とする雑音光除去装置。
置であって、前記調整部から出力される戻り光のパワー
を検出する検出部と、該検出部の検出結果に基づいて前
記調整部の動作を制御する制御部と、を備えたことを特
徴とする雑音光除去装置。
置であって、前記誘導ブリリュアン散乱発生媒体は、光
伝送路の形態を備えたことを特徴とする雑音光除去装
置。
置であって、前記誘導ブリリュアン散乱発生媒体は、光
ファイバを用いたものであることを特徴とする雑音光除
去装置。
装置であって、前記誘導ブリリュアン散乱発生媒体は、
光導波路を用いたものであることを特徴とする雑音光除
去装置。
装置であって、前記誘導ブリリュアン散乱発生媒体は、
前記光増幅部で増幅された信号光が入力される一端とは
反対側に位置する他端が無反射終端処理されることを特
徴とする雑音光除去装置。
装置であって、前記光入出力部は、少なくとも3つのポ
ートを有する光カプラと、光アイソレータとを備え、前
記光増幅部で増幅された信号光が前記光カプラの第1ポ
ートに入力され第2ポートから前記誘導ブリリュアン散
乱発生媒体に出力され、前記誘導ブリリュアン散乱発生
媒体で発生する戻り光が前記光カプラの第2ポートに入
力され2分岐されて第1ポートおよび第3ポートから出
力され、前記光カプラの第1ポートから出力される戻り
光の前記光増幅部への伝達が前記光アイソレータによっ
て阻止されることを特徴とする雑音光除去装置。
装置であって、前記光入出力部は、前記光増幅部の光出
力端と前記誘導ブリリュアン散乱発生媒体の光入力端と
の間に配置された光サーキュレータを有することを特徴
とする雑音光除去装置。
送信された信号光を、前記光伝送路上に配置された光中
継器で増幅して光受信装置まで中継伝送する光伝送シス
テムであって、付記3に記載の雑音光除去装置を前記光
伝送路上に少なくとも1つ以上備えて構成されたことを
特徴とする光伝送システム。
ステムであって、前記光受信装置は、前記光伝送路を伝
送された信号光を波長に応じて分波する分波器を有し、
該分波器は、前記雑音光除去装置で発生する誘導ブリリ
ュアン散乱による波長シフト量に応じて透過帯の中心波
長が設定されたフィルタ特性を持つことを特徴とする光
伝送システム。
ステムであって、前記分波器は、フィルタ特性が調整可
能なアレイ型導波路格子を含むことを特徴とする光伝送
システム。
BSを利用した雑音光除去技術によれば、SBS発生の
閾値を超えるパワーまで増幅した信号光を誘導ブリリュ
アン散乱発生媒体に与え、SBSによる戻り光を信号光
として取り出すようにしたことで、従来の雑音光除去方
式に比べて簡易な手法により信号光に含まれる雑音光成
分を光の状態のまま除去することができる。このような
雑音光除去技術を光伝送システムに適用すれば、システ
ム構成の小規模化および低コスト化を図ることが可能に
なる。また、SBSによる戻り光を利用することによっ
て信号波長と同じ波長の雑音光成分を効果的に除去する
ことができるため、送信時の状態に極めて近い状態の信
号光を作り出すことが可能になる。さらに、スペクトラ
ム幅の狭い信号光が得られるため、光伝送路における波
長分散等の影響を軽減することも可能になる。加えて、
SBSによる戻り光のパワーを調整するようにすれば、
雑音光除去後の信号光のレベルを所望の値に合わせるこ
とができ、また、実伝送路での非線形光学現象の発生を
低減させることも可能になる。
が適用された光伝送システムの基本構成を示すブロック
図である。
ニットに入力されるWDM信号光の波長に対する光パワ
ーの一例を示す図である。
路を示す図である。
ーの関係を変調ビットレートに応じて示した図である。
説明する図であって、(A)は各チャンネルの信号がす
べて「1」になる発光状態、(B)は各チャンネルの信
号がすべて「0」になる消光状態を示す。
信号光スペクトラムを細くする効果を説明する図であ
る。
ニットから出力されるWDM信号光の波長に対する光パ
ワーの一例を示す図である。
の構成例を示すブロック図である。
要部構成を示すブロック図である。
の要部構成を示すブロック図である。
の要部構成を示すブロック図である。
の要部構成を示すブロック図である。
である。
の具体例を示す概念図である。
なAWGの温度特性を説明する図である。
性の制御例を示す図である。
の直前で雑音光除去を実施するようにした一例を示す図
である。
の光伝送システムの概略構成を示すブロック図である。
去を行う従来の光伝送システムの概略構成を示すブロッ
ク図である。
Claims (5)
- 【請求項1】信号光に含まれる雑音光成分を除去する雑
音光除去方法であって、 閾値を超えるパワーの光が入力されると誘導ブリリュア
ン散乱による戻り光を発生する誘導ブリリュアン散乱発
生媒体に対して、前記閾値を超えるパワーまで増幅した
信号光を与え、当該誘導ブリリュアン散乱発生媒体で発
生する戻り光を信号光として取り出すことにより、信号
光に含まれる雑音光成分を除去することを特徴とする雑
音光除去方法。 - 【請求項2】信号光に含まれる雑音光成分を除去する雑
音光除去装置であって、 閾値を超えるパワーの光が入力されると誘導ブリリュア
ン散乱による戻り光を発生する誘導ブリリュアン散乱発
生媒体と、 信号光を前記閾値を超えるパワーまで増幅する光増幅部
と、 前記誘導ブリリュアン散乱発生媒体に対して前記光増幅
部で増幅された信号光を与え、当該誘導ブリリュアン散
乱発生媒体で発生する戻り光を信号光として取り出す光
入出力部と、 を備えて構成されたことを特徴とする雑音光除去装置。 - 【請求項3】請求項2に記載の雑音光除去装置であっ
て、 前記誘導ブリリュアン散乱発生媒体で発生する戻り光の
パワーを調整する調整部を備えたことを特徴とする雑音
光除去装置。 - 【請求項4】請求項2に記載の雑音光除去装置であっ
て、 前記誘導ブリリュアン散乱発生媒体は、光伝送路の形態
を備えたことを特徴とする雑音光除去装置。 - 【請求項5】光送信装置から光伝送路に送信された信号
光を、前記光伝送路上に配置された光中継器で増幅して
光受信装置まで中継伝送する光伝送システムであって、 請求項2に記載の雑音光除去装置を前記光伝送路上に少
なくとも1つ以上備えて構成されたことを特徴とする光
伝送システム。
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