JP2003147277A - 塗料用、コーティング用、接着剤用および印刷インキ用溶剤組成物 - Google Patents

塗料用、コーティング用、接着剤用および印刷インキ用溶剤組成物

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JP2003147277A JP2002271986A JP2002271986A JP2003147277A JP 2003147277 A JP2003147277 A JP 2003147277A JP 2002271986 A JP2002271986 A JP 2002271986A JP 2002271986 A JP2002271986 A JP 2002271986A JP 2003147277 A JP2003147277 A JP 2003147277A
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賢史 遠藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の酢酸セロソルブ、フロン113、メチ
ルクロロホルム等の代替溶媒の持つ欠点を克服し、低毒
性で安全な溶媒系からなり、溶解能力が高く、環境破壊
性物質の生成がなく、不快臭がなく、しかも沸点も比較
的高く安全で操作性の良い塗料用、コーティング用、接
着剤用および印刷インキ用溶剤組成物の提供。 【構成】 α−アルコキシイソ酪酸アルキルエステル、
β−アルコキシイソ酪酸アルキルエステル、α−ヒドロ
キシイソ酪酸アルキルエステルから選ばれた少なくとも
一種のオキシイソ酪酸エステルを5重量%以上含むこと
を特徴とする塗料用、コーティング用、接着剤用および
印刷インキ用溶剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は塗料用、コーティング
用、接着剤用および印刷インキ用溶剤組成物に関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】溶剤の利用は化学工業の
発展に重要な役割を果たしてきたが、特に近年の高分子
化学工業の著しい発達に伴い塗料、接着剤、印刷インキ
等の分野で使用される溶剤の重要性は益々増大してき
た。一般に、塗料、接着剤、印刷インキなどは基剤であ
る高分子化合物を使用時に操作性良く、処理面へ均一に
密着塗布するために溶剤に溶解して溶液状で用いる。こ
のため使用する溶剤は操作性の良さはもとより、基剤で
ある高分子化合物に対する大きな溶解性や塗布面の均一
性を損なわない適度な溶剤の揮発性が非常に重要とな
る。すなわち、塗料、接着剤、印刷インキなどの性能の
良否は溶剤の選択に大きく依存するとも言える。
【0003】従来、塗料、接着剤、印刷インキ等の分野
で常用されているセルロース樹脂、エポキシ樹脂、アク
リル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂などのビニ
ル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂などの溶剤
としてはグリコールエーテル系のセロソルブ類、特に酢
酸セロソルブ(エチルセロソルブアセテート)がその優
れた性能から賞用されてきた。しかしながら、最近では
公害問題等から化学物質の安全性に対する要求が極めて
大きくなり、この酢酸セロソルブも毒性問題から使用制
限が強化され、労働安全衛生法により作業環境管理濃度
基準が設定されている。
【0004】このため酢酸セロソルブに代わり得る溶解
性を持ち、しかも安全性の懸念のない代替溶剤の開発が
活発に行われている。例えば、乳酸エチル、プロピレン
グリコールモノメチルエーテルアセテート、メトキシプ
ロパノール、β−エトキシプロピオン酸エチルなどが有
力代替溶媒候補として検討されているが、溶解力、安全
性、臭気、操作性など必ずしも満足できる性能でないこ
とがわかった。これらの中でも安全性の観点からは食品
添加物としても認可されている乳酸エチルが最も好まし
いと考えられるが、高分子化合物および各種添加剤に対
する溶解性の点では十分満足できるとは言えない。ま
た、溶解性の観点からはβ−メトキシプロピオン酸メチ
ルやβ−エトキシプロピオン酸エチルなどのβ−アルコ
キシプロピオン酸アルキルエステル類が最も好ましいと
考えられるが、これとても高分子化合物あるいは各種添
加剤に対する溶解性や塗布後の揮発性の点では未だ満足
できるとは言いがたい。このためβ−メトキシプロピオ
ン酸メチルとβ−エトキシプロピオン酸エチルの混合物
として溶剤物性を改善する提案などがなされているが
(特許文献1参照)、調製が煩雑であり工業溶媒として
は適当でない。このように酢酸セロソルブと同等の性能
を持った実用性のある溶剤は未だ見当たらない。
【0005】また、溶剤は前述のような用途のほか、切
削油、加工油、プレス油、防錆油、潤滑油、グリースあ
るいはピッチなどとして用いられている油類の洗浄用
に、あるいはハンダフラックス、インキ、液晶などの洗
浄用等に用いられているが、これらの洗浄剤としては、
フロン113(1,1,2−トリクロロ−1,2,2−
トリフルオロエタン)、メチルクロロホルム(1,1,
1−トリクロロエタン)およびトリクロロエチレンなど
ハロゲン系溶剤を主体にしたものが広く用いられてい
る。特にフロン113は不燃性で毒性も低く、安定性も
優れており、しかも金属、プラスチック、エラストマー
等を侵さず、各種の汚れを選択的に溶解する性質がある
ため、幅広く用いられていた。しかし、フロン113お
よびメチルクロロホルムは成層圏のオゾン層を破壊し、
ひいては皮膚ガンの発生を引き起こす原因となることか
ら、その使用が急速に制限されつつある。また、トリク
ロロエチレンは発ガン性の疑いが持たれるなどこれも安
全性の面から使用が制限されつつある。
【0006】このためフロン113等に代わり得る洗浄
性を持ち、しかもオゾン層破壊の懸念のない代替フロン
系洗浄剤の開発が活発に行われている。例えば、1,2
−ジフルオロエタンを主成分とするもの(特許文献2参
照)、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエ
タンとジメトキシメタンの混合物(特許文献3参照)お
よびヘキサフルオロベンゼンを主成分とするもの(特許
文献4参照)など多くの代替フロンが提案されている。
しかし、これらの溶剤も性能的にフロン113に及ばな
いほか、将来的にはこれらのハロゲン系溶媒も環境問題
と安全性の問題から全面的に使用規制される方向に進ん
でいるため本質的な解決にはほど遠い。
【0007】一方、人体への安全性が高く、また環境破
壊のない脱脂用洗浄剤としてノニオン系界面活性剤と乳
酸アルキルエステルを主成分とするもの(特許文献
5)、ノニオン系界面活性剤とアジピン酸エステルを主
成分とするもの(特許文献6)、ノニオン界面活性剤と
ポリアルキレングリコールジアルキルエーテルを主成分
とするもの(特許文献7)、ノニオン界面活性剤とN−
メチルピロリドンなどを主成分とするもの(特許文献
8)、ノニオン系界面活性剤とグリセリンアセタート類
を主成分とするもの(特許文献9)、アルコールと脂肪
酸エステルを主成分とするもの(特許文献10)などの
提案がある。乳酸アルキルエステル、N−メチルピロリ
ドンなどは低毒性であり、環境破壊、環境蓄積などもな
く非常に安全性の高い溶剤ではあるが、上記特許比較例
からも明らかなように溶剤単独では油脂類に対する溶解
力が不十分であり、界面活性剤などの洗浄助剤の併用が
不可欠であるなど脱脂用洗浄剤としては未だ満足できる
ものではない。
【0008】また、人体への安全性が高く、また環境破
壊のないインキ洗浄剤として乳酸アルキルエステルを主
成分とするものが提案されている(特許文献11)。乳
酸アルキルエステルは低毒性であり、環境破壊、環境蓄
積などもなく非常に安全性の高い溶剤ではあるが、ポリ
マー系のインキに対する溶解力が不十分であり、インキ
洗浄剤としては未だ満足できるものではない。
【0009】
【特許文献1】特開平3−284651号公報
【特許文献2】特開平1−132694号公報
【特許文献3】特開平2−178396号公報
【特許文献4】特開平3−167298号公報
【特許文献5】特開平4−68088号公報
【特許文献6】特開平4−59985号公報
【特許文献7】特開平4−59984号公報
【特許文献8】特開平4−68094号公報
【特許文献9】特開平4−68092号公報
【特許文献10】特開平4−68090号公報
【特許文献11】特開平3−41170号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このように当業技術分
野では、人体に対する毒性や安全性上の問題もなく、し
かも塗料、接着剤、印刷インキ等の主成分である高分子
化合物、油脂、ハンダフラックス、液晶、農薬、化粧品
等の有機化合物や各種添加剤に対し高い溶解力を有する
酢酸セロソルブ、フロン113、メチルクロロホルム等
の代替溶剤の開発が重要な課題になっている。
【0011】本発明は、前述したような従来の酢酸セロ
ソルブ、フロン113、メチルクロロホルム等の代替溶
媒の持つ欠点を克服し、低毒性で安全な溶媒系からな
り、溶解能力が高く、環境破壊性物質の生成がなく、不
快臭がなく、しかも沸点も比較的高く安全で操作性の良
い塗料用、コーティング用、接着剤用および印刷インキ
用溶剤組成物を提供することを目的としてなされたもの
である。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の好
ましい性質を有する塗料用、コーティング用、接着剤用
および印刷インキ用溶剤組成物を開発すべく鋭意研究を
重ねた結果、α−アルコキシイソ酪酸アルキルエステ
ル、β−アルコキシイソ酪酸アルキルエステル、および
α−ヒドロキシイソ酪酸アルキルエステルなどのオキシ
イソ酪酸エステル類がその目的に適合することを見いだ
し、本発明に到達した。
【0013】すなわち本発明は、下記の一般式[1]で
表されるα−アルコキシイソ酪酸アルキルエステル
【化4】 下記の一般式[2]で表されるβ−アルコキシイソ酪酸
アルキルエステル
【化5】 および下記の一般式[3]で表されるα−ヒドロキシイ
ソ酪酸アルキルエステル
【化6】 (ただし、前記各式中のRおよびRは炭素数1〜4
のアルキル基を表す。)から選ばれた少なくとも一種の
オキシイソ酪酸エステルを5重量%以上含むことを特徴
とする塗料用、コーティング用、接着剤用および印刷イ
ンキ用溶剤組成物に関する。
【0014】本発明の塗料用、コーティング用、接着剤
用および印刷インキ用溶剤組成物は、オキシイソ酪酸ア
ルキルエステルを含有することが重要な点である。オキ
シイソ酪酸エステルとしては、α−メトキシイソ酪酸メ
チル、α−メトキシイソ酪酸エチル、α−エトキシイソ
酪酸メチル、α−エトキシイソ酪酸エチルなどのα−ア
ルコキシイソ酪酸アルキルエステル(一般式[1]に相
当);β−メトキシイソ酪酸メチル、β−メトキシイソ
酪酸エチル、β−エトキシイソ酪酸メチル、β−エトキ
シイソ酪酸エチル、β−イソプロポキシイソ酪酸メチ
ル、β−イソプロポキシイソ酪酸エチル、β−イソプロ
ポキシイソ酪酸ブチル、β−ブトキシイソ酪酸メチル、
β−ブトキシイソ酪酸エチル、β−ブトキシイソ酪酸ブ
チルなどのβ−アルコキシイソ酪酸アルキルエステル
(一般式[2]に相当);およびα−ヒドロキシイソ酪
酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸エチル、α−ヒドロ
キシイソ酪酸イソプロピルまたはα−ヒドロキシイソ酪
酸ブチルなどのα−ヒドロキシイソ酪酸アルキルエステ
ル(一般式[3]に相当)が挙げられ、特にα−メトキ
シイソ酪酸メチル、α−エトキシイソ酪酸エチル、β−
メトキシイソ酪酸メチル、β−メトキシイソ酪酸エチ
ル、β−エトキシイソ酪酸メチル、β−エトキシイソ酪
酸エチル、β−イソプロポキシイソ酪酸メチル、β−ブ
トキシイソ酪酸メチル、β−ブトキシイソ酪酸エチル、
β−ブトキシイソ酪酸ブチル、α−ヒドロキシイソ酪酸
メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸エチル、α−ヒドロキ
シイソ酪酸イソプロピルまたはα−ヒドロキシイソ酪酸
ブチルが溶解力および揮発性などの点から好ましい。本
発明の溶剤組成物は脱脂、インキ、フラックス、液晶セ
ルなどの洗浄剤、レジスト剥離剤として用いることもで
きる。
【0015】これらのα−アルコキシイソ酪酸アルキル
エステル(一般式[1]に相当)、β−アルコキシイソ
酪酸アルキルエステル(一般式[2]に相当)およびα
−ヒドロキシイソ酪酸アルキルエステル(一般式[3]
に相当)は、単独で用いてもよいし、また2種以上を組
み合わせて用いてもよい。
【0016】本発明におけるα−アルコキシイソ酪酸ア
ルキルエステル、β−アルコキシイソ酪酸アルキルエス
テルおよびα−ヒドロキシイソ酪酸アルキルエステル
は、アルコール、エステル、ケトン、アミド、芳香族等
の他の一般有機溶剤とも良く相溶し、通常の炭化水素系
の各種油脂類はもとより、セルロース系樹脂等の天然樹
脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩
化ビニル樹脂などのビニル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ
エステル樹脂、ノボラック樹脂等の合成樹脂など広範囲
の高分子化合物に対して極めて優れた溶解性を有してい
る。このため、これら本発明のオキシイソ酪酸エステル
類は、溶剤として単独で使用することができるが、他の
有機溶媒に対する希釈剤や助溶剤としても優れた性能を
発揮するので、オキシイソ酪酸エステルに有機溶媒を併
用した溶剤組成物として使用することもできる。その割
合は任意であるが、オキシイソ酪酸エステルの安全性、
溶解性などを効果的に発現させるためには、オキシイソ
酪酸エステルを5重量%以上、好ましくは10重量%以
上とするのがよい。
【0017】併用される水または有機溶媒は、特に制限
されるものでなく、アルコール類、エーテル類、エステ
ル類、ケトン類、アミド類、脂族族または芳香族炭化水
素など幅広く使用できるが、好ましいものとしては例え
ば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、
ブタノール、メチルイソブチルカルビノール、ヘプタノ
ール、オクタノール、ノナノール、3−メチルブタノー
ル、プロピレングリコール、3−メトキシブタノール、
3−メチル−3−メトキシブタノール、3,5,5−ト
リメチル−1−ヘキサノール、2−エチル−1−ヘキサ
ノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノン、イソホロン、ピロリドン、N−
メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルア
セトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、酢酸
メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、3−メ
トキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブ
チルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチ
ル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプ
ロピオン酸エチル、2−エチルヘキシルアセテート、シ
クロヘキシルアセテート、ベンジルアセテート、ジベン
ジルエーテル、ニトロメタン、ニトロエタン、アセトニ
トリル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモ
ノメチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、ヘ
キサンおよびシクロヘキサンなどが挙げられ、好ましく
は水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブ
タノール、ヘプタノール、オクタノール、3−メチルブ
タノール、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−
メトキシブタノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘ
キサノール、2−エチル−1−ヘキサノール、シクロヘ
キサノール、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノ
ン、イソホロン、N−メチルピロリドン、ジメチルホル
ムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸
アミル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−
3−メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチ
ル、乳酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3
−エトキシプロピオン酸エチル、2−エチルヘキシルア
セテート、シクロヘキシルアセテート、ベンジルアセテ
ート、ジベンジルエーテル、アセトニトリル、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエ
ン、キシレンなどである。
【0018】これらの有機溶媒及び水は2種類以上を組
み合わせて用いることもできる。これらの有機溶媒や水
の併用により、洗浄性、安全性、操作性などを適宜調節
し、また改善することができる。
【0019】本発明におけるα−アルコキシイソ酪酸ア
ルキルエステル、β−アルコキシイソ酪酸アルキルエス
テルおよびα−ヒドロキシイソ酪酸アルキルエステル
は、沸点が高く、蒸発速度が比較的遅いので、高沸点溶
剤として使用される。混合溶剤に配合すると展延性の改
良、塗面の平滑化、樹脂の融着などに対し作用効果を発
現し、性能と作業性の向上がはかれる。
【0020】本発明の溶剤組成物中におけるα−アルコ
キシイソ酪酸アルキルエステル、β−アルコキシイソ酪
酸アルキルエステルおよびα−ヒドロキシイソ酪酸アル
キルエステルの含有量(合計)は、用途により異なる
が、通常は5重量%程度以上、好ましくは10重量%以
上であることが好ましい。
【0021】本発明のオキシイソ酪酸エステル類は、極
めて低毒性であるため安全性が高いこと、また、高分子
化合物、天然物化合物をはじめとする種々の有機化合物
に対する溶解性が非常に大きなことから、農薬の希釈用
溶剤等の助剤、化粧品用の溶剤、助剤などとしても非常
に有用である。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例によって
具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定され
るものではない。
【0023】実施例1〜4 本発明のオキシイソ酪酸アルキルエステルについて、他
の溶剤との相溶性を調べるために、オキシイソ酪酸アル
キルエステルと他の代表的溶剤とを容積比1/1の割合
で三角フラスコに採り、混合して室温で静置して相溶性
を観察した。
【0024】比較例1 オキシイソ酪酸アルキルエステルの代わりに従来汎用さ
れていた酢酸セロソルブを用いて、実施例1〜4と同様
の方法で酢酸セロソルブの相溶性を観察した。
【0025】上記の実施例1〜4および比較例1の結果
を表1、2に示す。なお、相溶性の程度は目視により判
定した。 ○ :完全に均一混合 △ :白濁 × :二相分離
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】実施例5 本発明のオキシイソ酪酸アルキルエステルの蒸発速度を
測定した。測定法は、No.4の濾紙(95mmφ)に
試料0.75gを平均的に塗布し、それをフード付き実
験台中、25℃で放置し、一定時間毎に重量測定して蒸
発量を求め、蒸発速度を算出した。この時、酢酸ブチル
をスタンダード(100)とした。
【0029】比較例2 従来から溶剤として用いられている酢酸セロソルブ、乳
酸エチルおよびβ−メトキシプロピオン酸メチルについ
て、実施例5と同様の方法で蒸発速度を測定した。
【0030】上記の実施例5および比較例2の結果を表
3に示す。
【表3】
【0031】実施例6 β−メトキシイソ酪酸メチルの各種樹脂に対する溶解力
を測定した。100mlの三角フラスコに樹脂2.0g
を秤り採り、β−メトキシイソ酪酸メチル20mlを加
え、25℃に保ち撹拌しながら樹脂の溶け具合を見て溶
解時間を測定した。
【0032】比較例3 β−メトキシイソ酪酸メチルの代わりに酢酸セロソルブ
を用いた以外は実施例6と同様の方法で溶解力を測定し
た。
【0033】上記の実施例6および比較例3の結果を表
4に示す。
【表4】
【0034】実施例7〜11 オキシイソ酪酸アルキルエステルのエポキシ樹脂に対す
る溶解力を測定した。100mlの三角フラスコにエポ
キシ樹脂(エピコート1007:油化シェルエポキシ
製)2.0gを秤り採り、オキシイソ酪酸アルキルエス
テル20mlを加えた。25℃に保ち撹拌しながら樹脂
の溶け具合を見て溶解時間を測定した。
【0035】比較例4〜6 オキシイソ酪酸アルキルエステルの代わりに酢酸セロソ
ルブ、乳酸エチルまたはβ−メトキシプロピオン酸メチ
ルを用いた以外は実施例7〜11と同様の方法で実験を
行った。
【0036】上記の実施例7〜11および比較例4〜6
の結果を表5に示す。
【表5】
【0037】
【考察】(1)本発明のオキシイソ酪酸エステルは、従
来からの汎用溶剤ECAなどと同等またはそれ以上の相
溶性を有し、幅広い他の溶剤との混合使用が可能なこと
がわかる(表1、表2)。 (2)エステル基の選択により、所望の蒸発速度が選べ
る。たとえば、本発明のオキシイソ酪酸エステルは、従
来から多用されている酢酸セロソルブや乳酸エチルに比
較して約2〜3倍の蒸発速度をもつことから、揮発性の
良い溶媒系を作ることができる(表3)。 (3)塗料、接着剤等によく用いられる各種樹脂の溶解
時間を比較すると、本発明のオキシイソ酪酸エステル
は、従来の汎用溶剤よりも溶解時間が短く、樹脂溶解性
に優れていることがわかる(表4、表5)。
【0038】
【発明の効果】本発明の塗料用、コーティング用、接着
剤用および印刷インキ用溶剤組成物は、非常に優れた溶
解性を有する上、不快臭がなく、環境保全上の問題もな
く、且つ安全性も高い。また、本発明は次のような利点
を有する。 (1)天然および合成高分子化合物類に対する溶解性が
極めて高い。 (2)多くの有機溶剤と自由に混和する。 (3)生分解性であり、自然界への蓄積がない。 (4)低毒性であり、催奇形性などがなく、安全性が高
い。 (5)沸点及び引火点が比較的高く、操作性や安全性も
著しく向上する。 (6)基剤を侵さない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C11D 7/50 C11D 7/50 (31)優先権主張番号 特願平5−346056 (32)優先日 平成5年12月24日(1993.12.24) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 菅間 直樹 千葉県野田市二ツ塚138−1 東栄化成株 式会社野田技術センター内 Fターム(参考) 4H003 DA12 DA15 DB02 ED32 FA01 FA03 FA25 FA45 4J038 JA26 JA56 KA06 4J039 BC20 BE12 4J040 HB14 HB30 KA23

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式[1]で表されるα−アル
    コキシイソ酪酸アルキルエステル 【化1】 下記の一般式[2]で表されるβ−アルコキシイソ酪酸
    アルキルエステル 【化2】 および下記の一般式[3]で表されるα−ヒドロキシイ
    ソ酪酸アルキルエステル 【化3】 (ただし、前記各式中のRおよびRは炭素数1〜4
    のアルキル基を表す。)から選ばれた少なくとも一種の
    オキシイソ酪酸エステルを5重量%以上含むことを特徴
    とする塗料用、コーティング用、接着剤用および印刷イ
    ンキ用溶剤組成物。
  2. 【請求項2】 少なくとも一種のオキシイソ酪酸エステ
    ルに、水、メタノール、エタノール、イソプロパノー
    ル、ブタノール、メチルイソブチルカルビノール、ヘプ
    タノール、オクタノール、ノナノール、3−メチルブタ
    ノール、プロピレングリコール、3−メトキシブタノー
    ル、3−メチル−3−メトキシブタノール、3,5,5
    −トリメチル−1−ヘキサノール、2−エチル−1−ヘ
    キサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコー
    ル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
    ケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、ピロリドン、
    N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチ
    ルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、
    酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、3
    −メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキ
    シブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブ
    チル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシ
    プロピオン酸エチル、2−エチルヘキシルアセテート、
    シクロヘキシルアセテート、ベンジルアセテート、ジベ
    ンジルエーテル、ニトロメタン、ニトロエタン、アセト
    ニトリル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコール
    モノメチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、
    ヘキサンおよびシクロヘキサンよりなる群から選ばれた
    少なくとも一種の化合物を加えてなる請求項1記載の塗
    料用、コーティング用、接着剤用および印刷インキ用溶
    剤組成物。
  3. 【請求項3】 オキシイソ酪酸エステルが、α−メトキ
    シイソ酪酸メチル、α−メトキシイソ酪酸エチル、α−
    エトキシイソ酪酸メチル、α−エトキシイソ酪酸エチ
    ル、β−メトキシイソ酪酸メチル、β−メトキシイソ酪
    酸エチル、β−エトキシイソ酪酸メチル、β−エトキシ
    イソ酪酸エチル、β−イソプロポキシイソ酪酸メチル、
    β−イソプロポキシイソ酪酸エチル、β−イソプロポキ
    シイソ酪酸ブチル、β−ブトキシイソ酪酸メチル、β−
    ブトキシイソ酪酸エチル、β−ブトキシイソ酪酸ブチ
    ル、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル、α−ヒドロキシイ
    ソ酪酸エチル、α−ヒドロキシイソ酪酸イソプロピルま
    たはα−ヒドロキシイソ酪酸ブチルである請求項1また
    は2記載の塗料用、コーティング用、接着剤用および印
    刷インキ用溶剤組成物。
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