JP2003145271A - 異鋼種溶接方法 - Google Patents

異鋼種溶接方法

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JP2003145271A
JP2003145271A JP2001347638A JP2001347638A JP2003145271A JP 2003145271 A JP2003145271 A JP 2003145271A JP 2001347638 A JP2001347638 A JP 2001347638A JP 2001347638 A JP2001347638 A JP 2001347638A JP 2003145271 A JP2003145271 A JP 2003145271A
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different
temperature
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JP2001347638A
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Takashi Shige
重  隆司
Yoshiaki Fukunaga
義昭 福永
Shin Nishimoto
西本  慎
Katsuhide Jo
城  克英
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 焼き戻し温度の低い鋼種の過剰な軟化が起こ
ることを避け、且つ焼き戻し温度の高い鋼種に軟化効果
が得られ、良好な継手性能を有する溶接継手が実現でき
る異鋼種溶接方法を提供する。 【解決手段】 異鋼種溶接方法を、溶接トーチ12によ
るアークに溶接ワイヤ10を添加して焼き戻し温度の異
なる鋼種を溶接接合する異鋼種溶接方法において、焼き
戻し温度の高い側の鋼種に接するビード11を形成する
ときは、溶接ワイヤを添加する溶接パス81,82,8
3を行なって形成されたビード上に溶接ワイヤを添加し
ない溶接パス91,92,93を重ねて行い、他のビー
ドを形成するときは溶接ワイヤを添加する溶接パスのみ
を行なうように構成し、溶接ワイヤを添加しない溶接を
併用することにより、溶接後に鋼の軟化温度を越す熱サ
イクル部分の回数が複数回となり、焼き戻し温度の高い
側の鋼種の母材の溶接熱影響部の軟化効果が顕著とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼き戻し温度の異
なる異鋼種の溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一つの鋼構造体が、部分毎に異なる温度
や負荷の条件に対応しなければならない場合がある。例
えば、図7(a)に示すようなタービンロータ50にお
いては、作動流体aが下流側に行くにしたがって温度は
低下するが、流路が拡大するので、タービンロータ50
の機体の径が大きくなり、より高い強度が求められる。
また、作動流体aの上流側は、より高い耐高温クリープ
性が求められる。
【0003】そのような場合、一つの鋼構造体を分割し
て異なる鋼種で製作し、溶接で一体化する方法が取られ
ることが多い。上記のタービンロータ50の場合を例に
とると、上流の高温側と下流の低温側にそれぞれ適した
高強度調質鋼を選択して組み合わされるが、タービンロ
ータ50に用いられる高強度調質鋼の代表的な鋼種は図
8の表に示すとおりである。
【0004】なお、図8中の用途欄の「低温用」とは使
用温度約380°C以下を目安とする低温用材料を示
し、同様に「中温用」は使用温度約550°C以下の中
温用材料、「高温用」は使用温度約600°C以下の高
温用材料であることを示す。
【0005】タービンロータ50の低温側/高温側の鋼
種の組み合わせとして、図8に示す高強度調質鋼から選
択する場合は、低温用材料/中温用材料、中温用材料/
高温用材料、低温用材料/高温用材料の組み合わせが考
えられる。
【0006】図7の例では、高温側を耐高温クリープ性
の高い2.25CrMoV鋼(以下、単に「2.25C
r鋼」という)51で製作し、低温側を靱性の高い3.
5NiCrMoV鋼(以下、単に「3.5Ni鋼」とい
う)52で製作して、溶接部3で溶接接合する。
【0007】溶接部3の形状は、図7(a)中B部の拡
大断面図である図7(b)に示すような狭開先溶接継手
3aが一般的であり、1パス毎にアークによる溶融によ
って溶接ワイヤとして供給される溶加材4を積層し、狭
開先溶接継手3a内を溶加材4で満たして、高温側の
2.25Cr鋼51と低温側の3.5Ni鋼52を接合
する。溶加材4は3.5Ni鋼系のものを用いる。以
下、溶接法としてはTIG溶接を例に説明するが、溶接
トーチによるアークに溶加材として溶接ワイヤを供給す
る溶接法一般が適合する。
【0008】上記のような高強度調質鋼の溶接接合にお
いては、母材の溶接熱影響部5aのうち溶接境界の近傍
は硬さが上昇し、その外側の母材側は軟化が生じる。特
に溶接境界近傍の硬さの上昇が著しく、溶接部3(3
a)の継手性能を確保するために溶接後熱処理が必要不
可欠となる。
【0009】溶接後熱処理の温度は通常、焼き戻し温度
以下で行なわれるが、異鋼種の溶接の場合、溶接後熱処
理条件は双方の母材強度を満足できる範囲にしなければ
ならない。
【0010】両者のうちの焼き戻し温度の高い鋼種1に
合わせて焼き戻し処理を行なうと、焼き戻し温度の低い
鋼種2側がへたってしまい、硬度が低下し過ぎる。その
ため両者のうちの焼き戻し温度の低い鋼種2に合わせて
焼き戻し処理を行なうことが必要である。
【0011】しかし、焼き戻し温度の低い鋼種2に合わ
せて焼き戻し処理を行なうと、焼き戻し温度の高い鋼種
1の溶接熱影響部5aの硬さが過大となり、靱性の低
下、SCC(応力腐食割れ)の発生等の問題が生じる。
【0012】また、両者の中間の温度にすることも考え
られるが、この場合においても焼き戻し温度の低い鋼種
2の溶接境界近傍の硬化部に隣接する軟化部の強度が低
下し過ぎることがあり、好ましくない。
【0013】図9は、上記従来法で焼き戻し温度の低い
鋼種2と焼き戻し温度の高い鋼種1とを狭開先溶接継手
3aで溶接接合し、その後、焼き戻し温度の低い鋼種2
の焼き戻し温度で溶接後熱処理を行なった時の硬さの分
布図である。
【0014】焼き戻し温度の低い鋼種2としては3.5
Ni鋼52、焼き戻し温度の高い鋼種1としては2.2
5Cr鋼51を用い、溶接の1パス毎に溶接ワイヤとし
て供給される3.5Ni鋼系の溶加材4を狭開先溶接継
手3a内にビードとして積層したものであり、溶接後処
理条件は3.5Ni鋼に合わせ、620°C×30時間
である。
【0015】図9に図示されるように、従来の溶接方法
によると、焼き戻し温度の低い鋼種2に合わせて溶接後
熱処理が行なわれたため、焼き戻し温度の高い鋼種1で
ある2.25Cr鋼51の溶接熱影響部5aでは、著し
く硬度の上昇が見られ、ミクロビッカース硬さ(荷重5
00g)は概ね370mHVに達している。
【0016】ちなみに、ミクロビッカース硬さは、靱性
の確保のためには330mHV以下、SCC発生防止の
ためには350mHV以下にする必要があり、この例に
おいても330mHV以下とすることが望まれる。
【0017】なお、タービンロータ50の溶接継手以外
では、図7(c)に示したようなV形溶接継手3bも用
いられるが、その場合も上記の図7(b)に示した狭開
先溶接継手3aと同様の問題が生じる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な焼き戻し温度の異なる異鋼種の溶接における問題を解
消し、焼き戻し温度の低い鋼種の過剰な軟化が起こるこ
とを避け、且つ焼き戻し温度の低い鋼種の焼き戻し温度
で溶接後熱処理を行なっても焼き戻し温度の高い鋼種に
軟化効果が得られ、良好な継手性能を有する溶接継手が
実現できる異鋼種溶接方法を提供することを課題とする
ものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】(1)本発明は上記課題
を解決するためになされたものであり、その第1の手段
として、溶接トーチによるアークに溶接ワイヤを添加し
て焼き戻し温度の異なる鋼種を溶接接合する異鋼種溶接
方法において、焼き戻し温度の高い側の鋼種に接するビ
ードを形成するときは、溶接ワイヤを添加する溶接パス
を行なって形成されたビード上に溶接ワイヤを添加しな
い溶接パスを重ねて行い、他のビードを形成するときは
溶接ワイヤを添加する溶接パスのみを行なうことを特徴
とする異鋼種溶接方法を提供する。
【0020】上記の第1の手段によれば、溶接ワイヤを
添加しない溶接を併用することにより、焼き戻し温度の
高い側の鋼種に接するビードの溶接後に鋼の軟化温度を
越す熱サイクル部分の回数が複数回となり、焼き戻し温
度の高い側の鋼種の母材の溶接熱影響部の軟化効果が顕
著となる。
【0021】(2)第2の手段としては、第1の手段の
異鋼種溶接方法において、焼き戻し温度の異なる鋼種を
溶接接合した後、焼き戻し温度の低い側の鋼種の焼き戻
し温度で溶接後熱処理を行なうことを特徴とする異鋼種
溶接方法を提供する。
【0022】第2の手段によれば、第1の手段の作用に
加え、焼き戻し温度の低い側の鋼種の過剰な軟化が起こ
ることを避け、且つ焼き戻し温度の低い側の鋼種の焼き
戻し温度で溶接後熱処理を行なっても焼き戻し温度の高
い側の鋼種に軟化効果が得られる。
【0023】(3)また、第3の手段として、第1の手
段または第2の手段の異鋼種溶接方法において、一つの
溶接ヘッドに同じ溶接線をトレースする二つの溶接トー
チを備え、先行する前記溶接トーチでは溶接ワイヤを添
加し、後行の前記溶接トーチでは溶接ワイヤを添加しな
い溶接を行なうことにより、前記焼き戻し温度の高い側
の鋼種に接するビードを形成することを特徴とする異鋼
種溶接方法を提供する。
【0024】第3の手段によれば、第1の手段または第
2の手段の作用に加え、溶接ヘッドの1工程で先行の溶
接トーチによる溶接ワイヤを添加する溶接パスと後行の
溶接トーチによる溶接ワイヤを添加しない溶接パスとを
同時に行なうことができる。
【0025】(4)第4の手段として、第1の手段また
は第2の手段の異鋼種溶接方法において、円状の溶接部
を有する前記焼き戻し温度の異なる鋼種の母材を同円の
軸を鉛直に溶接開先面を水平に配し、二つの溶接トーチ
を前記円の半径方向で前記溶接部にアクセスするように
配置し、前記母材を前記円の軸回りに回転させつつ、先
行する前記溶接トーチでは溶接ワイヤを添加し、後行の
前記溶接トーチでは溶接ワイヤを添加しない溶接を行な
うことにより、前記焼き戻し温度の高い側の鋼種に接す
るビードを形成することを特徴とする異鋼種溶接方法を
提供する。
【0026】第4の手段によれば、第1の手段または第
2の手段の作用に加え、母材の溶接部が円状である場合
は、円の軸回りの母材の回転で先行の溶接トーチによる
溶接ワイヤを添加する溶接パスと後行の溶接トーチによ
る溶接ワイヤを添加しない溶接パスとを同時に行なうこ
とができる。
【0027】
【発明の実施の形態】図1から図4に基づき、本発明の
実施の第1形態にかかる異鋼種溶接方法を説明する。図
1は一般的な溶接熱影響部の説明図であり、(a)は溶
接部の断面図、(b)は溶接部の温度変化図である。図
2は本実施の形態の異鋼種溶接方法の説明図であり、
(a)は溶接ワイヤを添加する溶接、(b)は溶接ワイ
ヤを添加しない溶接の態様説明図、(c)は溶接部の断
面図、(d)は溶接熱影響部の温度変化図である。図3
は、本実施の形態における焼き戻し温度の低い鋼種2と
焼き戻し温度の高い鋼種1とを狭開先溶接継手で溶接接
合した時の硬さの分布図であり、図4は従来法との比較
表である。
【0028】前述のような従来の異鋼種溶接方法におい
て、焼き戻し温度の高い鋼種1の側の溶接熱影響部5a
の硬さが過剰に高くなることについて検討の結果、以下
の点が判明した。
【0029】すなわち、図1(a)に示すように、焼き
戻し温度の高い鋼種1の側の母材の溶接熱影響部5aに
温度検出点6を設け、焼き戻し温度の高い鋼種1の側の
溶接パスを温度検出点6に近い側から順に第1パス7
1、第2パス72、第3パス73とすると、温度検出点
6の温度は、図1(b)に示すように、第1パス71の
溶接後は、第2パス72の溶接時に1回鋼の軟化温度約
550°Cを越えるが、その後の溶接パスの時は距離が
増すため軟化温度約550°Cを越す温度上昇が無いこ
とが分かった。
【0030】一方、溶接後に鋼の軟化温度約550°C
以上に鋼を加熱すると鋼が軟化する効果があることが分
かり、従来は図1(b)に示されるように、溶接熱影響
部5aの軟化に有効な熱サイクル部分が1回しかないこ
とが分かった。
【0031】本発明は、軟化を促進したい焼き戻し温度
の高い鋼種1の側の溶接熱影響部5aのみを550°C
以上に加熱する工程を加える異鋼種溶接方法としたもの
である。
【0032】本実施の形態においては、焼き戻し温度の
高い鋼種1の側では、図2(a)に示す溶接ワイヤ10
を添加する溶接パスの後に、(b)に示す溶接ワイヤ1
0を添加しない溶接パスを続けて行って焼き戻し温度の
高い鋼種1に接するビードを形成し、他の、焼き戻し温
度の高い鋼種1に接しないビードは、図2(a)に示す
溶接ワイヤ10を添加する溶接パスのみでビードの形成
を行なうこととしている。
【0033】溶接ワイヤ10を添加しない溶接パスは、
溶接ワイヤ10を添加する溶接パスでのビード11を再
度加熱し溶融するもので溶加材を加えるものではないの
で、両パスで形成されるビードは、溶接ワイヤ10を添
加する溶接パスのみによる他のビードと同じ量のビード
となって狭開先溶接がなされる。図2(a)、(b)に
おいて、12は溶接トーチ、13は溶融部である。
【0034】図2(c)に示すように、焼き戻し温度の
高い鋼種1の側の母材の溶接熱影響部5aに温度検出点
6を設け、焼き戻し温度の高い鋼種1の側の溶接パスを
温度検出点6に近い側から順に、溶接ワイヤ10を添加
する溶接パスは第1パス81、第2パス82、第3パス
83、……、溶接ワイヤ10を添加しない溶接パスは第
1’パス91、第2’パス92、第3’パス93、……
とすると、第1パス81、第1’パス91、第2パス8
2、第2’パス92、第3パス83、第3’パス93、
……の順に形成され、第1パス81と第1’パス91、
第2パス82と第2’パス92、第3パス83と第3’
パス93、……がそれぞれ通常の溶接ワイヤ10を添加
する溶接パスのビードと同等のビードを形成する。
【0035】したがって、焼き戻し温度の高い鋼種1に
接するビードは、通常の溶接ワイヤ10を添加する1溶
接パスによるビードと同等量のビードを形成するのに。
2回の溶接パスがなされ、2回加熱が行なわれることに
なる。
【0036】図(d)に温度検出点6における温度変化
を示すと、第1パス81の溶接後は、第1’パス91、
第2パス82、第2’パス92の溶接時に鋼の軟化温度
約550°Cを越え、第1パスの溶接後に鋼の軟化温度
を越す熱サイクル部分の回数が3回となり、図1(b)
に示す従来法に比べ3倍の回数となる。その結果、溶接
ワイヤ10を添加しない溶接を併用することにより、母
材の溶接熱影響部5aの軟化効果が顕著となり、焼き戻
し温度の低い鋼種2の焼き戻し温度で溶接後熱処理を行
なっても焼き戻し温度の高い鋼種1に軟化効果が得られ
る。
【0037】図3は、上記本実施の形態の、溶接ワイヤ
を添加しない溶接を併用することにより、焼き戻し温度
の低い鋼種2と焼き戻し温度の高い鋼種1とを狭開先溶
接継手3aで溶接接合し、その後、焼き戻し温度の低い
鋼種2の焼き戻し温度で溶接後熱処理を行なった実施例
の硬さの分布図である。
【0038】焼き戻し温度の低い鋼種2としては3.5
Ni鋼52、焼き戻し温度の高い鋼種1としては2.2
5Cr鋼51を用い、焼き戻し温度の高い鋼種1の側は
溶接ワイヤ10を添加する溶接パスと添加しない溶接パ
スを続けて行い、他の溶接パスは溶接ワイヤ10を添加
し、溶接ワイヤ10による溶加材4を狭開先溶接継手3
a内に積層したものであり、溶接後熱処理条件は3.5
Ni鋼52に合わせ、620°C×30時間である。溶
加材4は3.5Ni鋼系のものを用いた。
【0039】図3に示されるように、焼き戻し温度の高
い鋼種1である2.25Cr鋼51の溶接熱影響部で
も、硬度の上昇が抑制され、概ねミクロビッカース硬さ
(荷重500g)は291mHVに止まった。
【0040】上記の実施例のほか、図4に異鋼種の組み
合わせを変えて行なった本実施の形態の異鋼種溶接方法
と従来法との比較結果を示す。何れの異鋼種の組み合わ
せにおいても溶接熱影響部5aの最高硬さの低下の効果
が顕著に得られている。
【0041】以上のように、本実施の形態の異鋼種溶接
方法によれば、焼き戻し温度の高い鋼種1の焼き戻し温
度で溶接後熱処理を行なって焼き戻し温度の低い鋼種2
の過剰な軟化が起こることを避け、且つ焼き戻し温度の
低い鋼種2の焼き戻し温度で溶接後熱処理を行なっても
焼き戻し温度の高い鋼種1に軟化効果が得られ、良好な
継手性能を有する溶接継手が実現できる。
【0042】図5に基づき、本発明の実施の第2形態に
かかる異鋼種溶接方法を説明する。図5は本実施の形態
で用いられる溶接ヘッドの説明図である。
【0043】本実施の形態においては、一つの溶接ヘッ
ド14に同じ溶接線をトレースする2つの溶接トーチ1
2a、12bを備え、先行する溶接トーチ12aでは溶
接ワイヤ10を添加し、後行の溶接トーチ12bでは溶
接ワイヤ10を添加しない溶接を行なうようにして、焼
き戻し温度の高い側の鋼種1に接するビードを形成する
ようにしたものである。
【0044】本実施の形態によれば、実施の第1形態と
同じ作用効果を奏するとともに、溶接ヘッド14の1工
程で先行の溶接トーチ12aによる溶接パスと後行の溶
接トーチ12bによる溶接パスとを行なうことができ、
溶接の効率化が達成できるものとなる。
【0045】図6に基づき、本発明の実施の第3形態に
かかる異鋼種溶接方法を説明する。図6(a)は本実施
の形態の異鋼種溶接方法を示す立面図であり、(b)は
(a)中A−A矢視断面図である。
【0046】本実施の形態においては、焼き戻し温度の
異なる鋼種1、2の母材15a、15bが円状の溶接部
3cを有する場合、円の軸Xを鉛直に、溶接開先面を水
平に配して、溶接トーチ16a、16bを円の半径方向
で溶接部3cにアクセスするように配置し、母材15
a、15bを円の軸X回りに回転させつつ、先行の溶接
トーチ16aでは溶接ワイヤ10を添加し、後行の溶接
トーチ16bでは溶接ワイヤ10を添加しない溶接を行
なうようにして、焼き戻し温度の高い側の鋼種1に接す
るビードを形成する。
【0047】本実施の形態によれば、実施の第1形態と
同じ作用効果を奏するとともに、母材15a、15bの
溶接部3cが円状である場合は、円の軸X回りの母材1
5a、15bの回転で先行の溶接トーチ16aによる溶
接パスと後行の溶接トーチ16bによる溶接パスとを同
時に行なうことができ、溶接の効率化が達成できるもの
となり、全周にわたって均一な条件の溶接を行なうこと
ができ、製品の精度の向上に効果がある。
【0048】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の
範囲でその具体的構成に種々の変更を加えてもよいこと
は言うまでもない。
【0049】また、上記の実施の形態はTIG溶接を例
に説明したが、本発明はTIG溶接に限らず、溶加材を
溶接ワイヤとして供給する溶接法一般に適用できるもの
である。
【0050】
【発明の効果】(1)請求項1の発明によれば、異鋼種
溶接方法を、溶接トーチによるアークに溶接ワイヤを添
加して焼き戻し温度の異なる鋼種を溶接接合する異鋼種
溶接方法において、焼き戻し温度の高い側の鋼種に接す
るビードを形成するときは、溶接ワイヤを添加する溶接
パスを行なって形成されたビード上に溶接ワイヤを添加
しない溶接パスを重ねて行い、他のビードを形成すると
きは溶接ワイヤを添加する溶接パスのみを行なうように
構成したので、溶接ワイヤを添加しない溶接を併用する
ことにより、焼き戻し温度の高い側の鋼種に接するビー
ドの溶接後に鋼の軟化温度を越す熱サイクル部分の回数
が複数回となり、焼き戻し温度の高い側の鋼種の母材の
溶接熱影響部の軟化効果が顕著となる。
【0051】(2)請求項2の発明によれば、請求項1
に記載の異鋼種溶接方法において、焼き戻し温度の異な
る鋼種を溶接接合した後、焼き戻し温度の低い側の鋼種
の焼き戻し温度で溶接後熱処理を行なうように構成した
ので、請求項1の効果に加え、焼き戻し温度の低い側の
鋼種の過剰な軟化が起こることを避け、且つ焼き戻し温
度の低い側の鋼種の焼き戻し温度で溶接後熱処理を行な
っても焼き戻し温度の高い側の鋼種に軟化効果が得ら
れ、良好な継手性能を有する溶接継手が実現できる。
【0052】(3)請求項3の発明によれば、請求項1
または請求項2に記載の異鋼種溶接方法において、一つ
の溶接ヘッドに同じ溶接線をトレースする二つの溶接ト
ーチを備え、先行する前記溶接トーチでは溶接ワイヤを
添加し、後行の前記溶接トーチでは溶接ワイヤを添加し
ない溶接を行なうことにより、前記焼き戻し温度の高い
側の鋼種に接するビードを形成するように構成したの
で、請求項1または請求項2の発明の効果に加え、溶接
ヘッドの1工程で先行の溶接トーチによる溶接ワイヤを
添加する溶接パスと後行の溶接トーチによる溶接ワイヤ
を添加しない溶接パスとを同時に行なうことができ、溶
接の効率化が達成できるものとなる。
【0053】(4)請求項4の発明によれば、請求項1
または請求項2に記載の異鋼種溶接方法において、円状
の溶接部を有する前記焼き戻し温度の異なる鋼種の母材
を同円の軸を鉛直に溶接開先面を水平に配し、二つの溶
接トーチを前記円の半径方向で前記溶接部にアクセスす
るように配置し、前記母材を前記円の軸回りに回転させ
つつ、先行する前記溶接トーチでは溶接ワイヤを添加
し、後行の前記溶接トーチでは溶接ワイヤを添加しない
溶接を行なうことにより、前記焼き戻し温度の高い側の
鋼種に接するビードを形成するように構成したので、請
求項1または請求項2の発明の効果に加え、母材の溶接
部が円状である場合は、円の軸回りの母材の回転で先行
の溶接トーチによる溶接ワイヤを添加する溶接パスと後
行の溶接トーチによる溶接ワイヤを添加しない溶接パス
とを同時に行なうことができ、溶接の効率化が達成でき
るものとなり、全周にわたって均一な条件の溶接を行な
うことができ、製品の精度の向上に効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な異鋼種溶接での溶接熱影響部の説明図
であり、(a)は溶接部の断面図、(b)は溶接部の温
度変化図である。
【図2】本発明の実施の第1形態にかかる異鋼種溶接方
法の説明図であり、(a)は溶接ワイヤを添加する溶
接、(b)は溶接ワイヤを添加しない溶接の態様説明
図、(c)は溶接部の断面図、(d)は溶接熱影響部の
温度変化図である。
【図3】実施の第1形態における、焼き戻し温度の低い
鋼種と焼き戻し温度の高い鋼種とを狭開先溶接継手で溶
接接合した時の硬さの分布図である。
【図4】実施の第1形態と従来法との異鋼種溶接継手の
硬さの比較表である。
【図5】本発明の実施の第2形態にかかる異鋼種溶接方
法で用いられる溶接ヘッドの説明図である。
【図6】(a)は、本発明の実施の第3形態にかかる異
鋼種溶接方法を示す立面図であり、(b)は(a)中A
−A矢視断面図である。
【図7】(a)は、タービンロータの縦断面図であり、
(b)は(a)中B部を拡大した狭開先溶接継手の断面
図、(c)はV形溶接継手の断面図である。
【図8】タービンロータに用いられる高強度調質鋼の代
表的な鋼種の表である。
【図9】従来法で焼き戻し温度の低い鋼種と焼き戻し温
度の高い鋼種とを狭開先溶接継手で溶接接合した時の硬
さの分布図である。
【符号の説明】
1 焼き戻し温度の高い鋼種 2 焼き戻し温度の低い鋼種 3 溶接部 3a 狭開先溶接継手 3b V型溶接継手 3c 溶接部 4 溶加材 5a 溶接熱影響部 6 温度検出点 10 溶接ワイヤ 11 ビード 12、12a、12b 溶接トーチ 13 溶融部 14 溶接ヘッド 15a、15b 母材 16a、16b 溶接トーチ 50 タービンロータ 51 2.25Cr鋼 52 3.5Ni鋼 71 第1パス 72 第2パス 73 第3パス 81 第1パス 82 第2パス 83 第3パス 91 第1’パス 92 第2’パス 93 第3’パス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B23K 103:18 B23K 103:18 (72)発明者 西本 慎 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂製作所内 (72)発明者 城 克英 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂製作所内 Fターム(参考) 4E001 AA03 CA07 DA02 DB01 DG04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接トーチによるアークに溶接ワイヤを
    添加して焼き戻し温度の異なる鋼種を溶接接合する異鋼
    種溶接方法において、焼き戻し温度の高い側の鋼種に接
    するビードを形成するときは、溶接ワイヤを添加する溶
    接パスを行なって形成されたビード上に溶接ワイヤを添
    加しない溶接パスを重ねて行い、他のビードを形成する
    ときは溶接ワイヤを添加する溶接パスのみを行なうこと
    を特徴とする異鋼種溶接方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の異鋼種溶接方法におい
    て、焼き戻し温度の異なる鋼種を溶接接合した後、焼き
    戻し温度の低い側の鋼種の焼き戻し温度で溶接後熱処理
    を行なうことを特徴とする異鋼種溶接方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の異鋼種
    溶接方法において、一つの溶接ヘッドに同じ溶接線をト
    レースする二つの溶接トーチを備え、先行する前記溶接
    トーチでは溶接ワイヤを添加し、後行の前記溶接トーチ
    では溶接ワイヤを添加しない溶接を行なうことにより、
    前記焼き戻し温度の高い側の鋼種に接するビードを形成
    することを特徴とする異鋼種溶接方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2に記載の異鋼種
    溶接方法において、円状の溶接部を有する前記焼き戻し
    温度の異なる鋼種の母材を同円の軸を鉛直に溶接開先面
    を水平に配し、二つの溶接トーチを前記円の半径方向で
    前記溶接部にアクセスするように配置し、前記母材を前
    記円の軸回りに回転させつつ、先行する前記溶接トーチ
    では溶接ワイヤを添加し、後行の前記溶接トーチでは溶
    接ワイヤを添加しない溶接を行なうことにより、前記焼
    き戻し温度の高い側の鋼種に接するビードを形成するこ
    とを特徴とする異鋼種溶接方法。
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