JP2003144149A - 分離装置及びその使用方法 - Google Patents

分離装置及びその使用方法

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JP2003144149A
JP2003144149A JP09442897A JP9442897A JP2003144149A JP 2003144149 A JP2003144149 A JP 2003144149A JP 09442897 A JP09442897 A JP 09442897A JP 9442897 A JP9442897 A JP 9442897A JP 2003144149 A JP2003144149 A JP 2003144149A
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trap
solution
dna
container
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Jun Tomono
潤 友野
Junichi Mineno
純一 峰野
Ikunoshin Kato
郁之進 加藤
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Takara Holdings Inc
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    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/10Processes for the isolation, preparation or purification of DNA or RNA
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    • C12N15/1017Extracting or separating nucleic acids from biological samples, e.g. pure separation or isolation methods; Conditions, buffers or apparatuses therefor by filtration, e.g. using filters, frits, membranes
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    • C07KPEPTIDES
    • C07K1/00General methods for the preparation of peptides, i.e. processes for the organic chemical preparation of peptides or proteins of any length
    • C07K1/14Extraction; Separation; Purification
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C12M47/00Means for after-treatment of the produced biomass or of the fermentation or metabolic products, e.g. storage of biomass
    • C12M47/06Hydrolysis; Cell lysis; Extraction of intracellular or cell wall material
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    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D2311/00Details relating to membrane separation process operations and control
    • B01D2311/04Specific process operations in the feed stream; Feed pretreatment

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のトラップ装置を改良し、その新たな分
離装置を利用する核酸の分離精製方法、該方法に使用す
るキットを提供する。 【解決手段】 トラップ装置と強制分散設備からなるこ
とを特徴とする分離装置。トラップ装置を使用する核酸
の分離精製方法において、該トラップ装置を用いる処理
の少なくとも一つの処理に前記分離装置を用いる核酸の
分離精製方法。核酸吸着能を有する物質を構成の必須要
件とする核酸の分離精製方法、又は該方法に使用するキ
ット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は分離装置、及びその
核酸の分離、精製へ利用等に関する。
【0002】
【従来の技術】遺伝子工学技術の進歩により、遺伝情報
の担い手である核酸を対象とした研究が進んでいる。核
酸はRNAとDNAとに大別でき、更にその機能によっ
て数種に分類することができる。例えば、プラスミドは
宿主の染色体とは別に細胞内で自己増殖を行う寄生性レ
プリコンであり、組換えDNA 実験において広くベクター
(遺伝子の運び屋)として使用されている。その精製法
として一般的なものは、バームボイムH.C.及びドリ
ーJ.のアルカリ溶菌法〔Birmboim,H.C. 、Doly,J. 、
ヌクレイック アシッズ リサーチ( Nucleic Acids R
esearch)、第7巻、第1513〜1523頁(1979)〕やホルムス
D.S.ほかによる煮沸法〔Holmes,D.S.et al.、アナ
リチカル バイオケミストリー( Analytical Biochemi
stry)、第114巻、第193頁(1981)〕等である。一
方、生物本来の機能を調べるために、各生物の本来の遺
伝情報をコードしたいわゆるゲノムDNAを対象とした
研究も盛んである。現在ゲノムDNAの精製方法として
様々な手法が開発されており、例えば、動物などの有核
細胞からのDNA の抽出、精製は、マーマーN.及びスタ
フォードD.W.の方法〔Marmur,N.,Stafford,D.W. 、
ヌクレイック アシッズ リサーチ、第3巻、第230
3頁(1975)〕や、その変法〔1982年、コール
ド スプリング ハーバー ラボラトリー発行、T.マ
ニアスティス(T.Maniastis )ほか著、モレキュラー・
クローニング、ア・ラボラトリー・マニュアル(Molecu
lar Cloning ,A Laboratory Manual)第86〜96頁〕
等が利用されている。上記の方法は、細胞内に混在して
いる他の成分、例えば、タンパクなどを除去するために
フェノール、クロロホルム等の危険な溶剤を使用しなけ
ればならず、現在この問題を解決するために様々な方法
が開発されている。例えば、塩酸グアニジンを溶解した
緩衝液と該緩衝液中で核酸を選択的に吸着する溶媒不溶
性担体を用いることにより、タンパクを変成させ核酸を
担体に吸着させることにより核酸の精製を行う方法が挙
げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】核酸の精製は現在の遺
伝子操作の基本であるが、時間の浪費を伴うものであ
り、加えてこれらの手法により多種の試料の核酸の精製
を手動で行う際には微量であっても熟練が必要とされ、
実験者による回収量や純度の差が見られる。これらの問
題を解決するために公知の方法を自動化した機器も発売
されているが、プラスミドDNA等対象試料が限定され
る、処理試料数が少ない、回収量が安定しない、設置場
所を取る、精製に時間を要する、高価である等の各装置
が採用した核酸精製法及び該装置機構に起因する問題を
有していた。本発明の目的は、従来のトラップ装置を改
良し、その新たな分離装置を利用する核酸の分離精製方
法、該方法に使用するキットを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明の第1の発明はトラップ装置と強制分散設備からな
ることを特徴とする分離装置に関する。本発明の第2の
発明は、トラップ装置を使用する核酸の分離精製方法に
おいて、該トラップ装置を用いる処理の少なくとも一つ
の処理に、上記第1の発明の分離装置を用いることを特
徴とする核酸の分離精製方法に関する。また、本発明の
第3の発明は、細胞膜を有する核酸源自体に核酸吸着能
を有する物質を作用させることを特徴とする核酸の分離
精製方法に関する。更に、本発明の第4の発明は、カオ
トロピックイオン存在下で実施することを特徴とする上
記第3の発明の核酸の分離精製方法に関する。更にま
た、本発明の第5の発明は、上記第3又は第4の発明の
方法により核酸を精製するためのキットであって、核酸
吸着能を有する物質を構成の必須要件とする核酸精製の
ためのキットに関する。
【0005】本発明者らは上記課題を解決するために鋭
意検討した結果、トラップ装置を用いる核酸精製の処理
工程において、該装置によるトラップ物を核酸精製に要
する試薬中に分散する際、強制的に分散エネルギーを与
えることにより核酸の回収率が顕著に改善されることに
着目し、強制分散設備を有する分離装置を開発するに至
った。なお本明細書における分散とは、懸濁、混和など
固体−液体あるいは液体−液体を均一化することを指
す。一方、核酸精製においてカオトロピックイオンを含
有する緩衝液と不溶性の核酸保持体を併用することによ
り細胞の溶解工程及び核酸の分離工程を同時に行えるこ
とを明らかにした。更に本方法を上記装置に応用するこ
とにより、短時間で収率よく核酸を精製できることを明
らかにし、本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。第1の発明は、トラップ装置と強制分散設備か
らなることを特徴とする分離装置に関する。該装置のト
ラップ装置とは混合物より目的物のみを選択的にトラッ
プできる物であればよい。例えば、細胞培養液から細胞
を選択的にトラップする場合、細胞培養液を含む容器に
遠心力をかけることにより細胞を沈殿させ上清を除去す
ることにより細胞をトラップする装置のほか、例えば孔
径0.3〜1.0μmの孔を有するボロシリケートガラ
ス膜繊維等のトラップフィルターを保持した容器に細胞
培養液を入れ、加圧ろ過、吸引ろ過あるいは遠心ろ過に
より細胞をフィルター上にトラップする装置などが挙げ
られる。該装置に用いるトラップ容器は、通常円筒状の
容器にトラップフィルターを保持していればよく、トラ
ップ容器の性質、形状は通常の分離方法、例えば減圧ろ
過、加圧ろ過、遠心ろ過等に使用できる性質、形状であ
れば良く、フィルターの容器とトラップフィルターは組
立て式でも一体式でもよい。
【0007】一方、本発明における分離装置の強制分散
設備とは、例えば、トラップ装置によるトラップ物を液
体中に分散させる場合に用いる、自然分散力に加え外部
よりのエネルギーで強制的に分散させるための設備を指
す。強制分散設備には、例えば、振とう装置、超音波発
生装置、バブリング装置等が挙げられる。
【0008】上記分離装置は、例えば、核酸の分離精製
方法に用いることができる。細胞内核酸を精製する場
合、細胞を溶解し核酸を細胞より抽出する工程と、核酸
と他の細胞内含有物とを分離する工程とに大別できる。
両工程にトラップ装置を使用するが、装置の小型化、軽
量化の面でトラップフィルターを用いた装置が好まし
い。特に構造の簡素化の面で減圧ろ過を利用したトラッ
プ装置が好ましい。
【0009】細胞溶解工程に使用するトラップフィルタ
ーは、核酸を保持する微生物又は細胞や、該微生物又は
細胞の破壊物が適当に分散した状態で保持できる膜が良
く、また該膜上で微生物又は細胞の分離や、分離した微
生物又は細胞の破壊等が行えるものが望ましく、例えば
保留粒子径0.3〜1.0μmの孔を有するボロシリケ
ートガラス繊維膜が使用できるが、微生物又は細胞の保
持能力、核酸を含有する微生物又は細胞内成分の分離時
間等より保留粒子径0.4〜0.8μmの孔径の膜が好
ましく、この範囲の保留粒子径を有する膜より、試料に
合せ選択すれば良い。なお、保留粒子径は均一であって
も良いし、0.4〜0.8μmの範囲で分布していても
良い。また膜面積、膜厚等は試料の性状、処理量、好ま
しい処理時間等に合せ選択すれば良い。
【0010】一方、核酸と他の細胞内含有物とを分離す
る工程において、カオトロピックイオン存在下で核酸が
選択的に吸着する水不溶性の核酸吸着担体を用いること
ができる。該担体としては、シリカゲル、ガラスパウダ
ーが挙げられるが、目的核酸の物理的安定性の面から粒
子径は2μm〜10μmの範囲が好ましい。この場合核
酸吸着担体保持用トラップフィルターとしては目詰まり
防止のため、孔径0.5μm〜1μmの膜が好ましい。
更に該膜は、核酸吸着体より核酸を溶出する際に核酸の
吸着が少ない膜が好ましく、例えば、ポリテトラフルオ
ロエチレン製フィルターが挙げられる。
【0011】上記トラップフィルターを用いた細胞内の
核酸の精製方法の態様として、以下の方法が例示され
る。 (A)細胞を細胞溶解工程用トラップ装置のトラップフ
ィルター上にトラップする工程、(B)細胞溶解工程用
トラップ装置に細胞懸濁用液を注入し、細胞を懸濁する
工程、(C)細胞溶解工程用トラップ装置に細胞溶解用
液を注入し、細胞を溶解し粗核酸溶液を得る工程、
(D)核酸吸着体が注入された核酸分離工程用トラップ
装置に粗核酸溶液を移送する工程、(E)核酸分離工程
用トラップ装置中で粗核酸溶液と核酸吸着体を混合する
工程、(F)核酸吸着体を核酸分離工程用トラップ装置
のトラップフィルター上にトラップする工程、(G)核
酸分離工程用トラップ装置に核酸溶出溶液を注入し、核
酸吸着体より核酸を溶出する工程、
【0012】上記工程において、工程(B)、(C)、
(E)及び(G)において、本発明装置の強制分散設備
によりトラップ装置内容物を均一に分散させることによ
り核酸の精製効率が顕著に向上する。上記トラップ容器
を用いる場合、強制分散設備として、例えば回転型振と
う機構を有する設備を用いた場合、トラップ装置を振幅
2mm〜3mm、720rpmで振とうさせる。
【0013】次に減圧吸引に適したトラップ容器と減圧
吸引を利用したトラップ装置と振とう装置を有する本発
明の分離装置を用いたプラスミドDNAを保持する微生
物よりプラスミドDNAの精製方法を、アルカリSDS
法に準じ更に説明する。
【0014】(A)細胞を細胞溶解工程用トラップ装置
のトラップフィルター上にトラップする工程、プラスミ
ドDNAを含有する微生物、例えばプラスミドpUC1
9を含有する大腸菌JM109株( Escherichia coli
JM109/pUC19)を培養し、例えばOD600
6の培養液を調製した場合、例えば図1に示す容器を用
いることができる。図1において、1は孔径0.45μ
mのセルロース混合エステル製膜(ミリポア社製)、2
はポリプロピレン製容器である。本容器を第1トラップ
容器と命名した。孔径0.45μmのセルロース混合エ
ステル製膜を保持した第1トラップ容器を使用すれば減
圧下で、約2.5mlの培養液を約15分間でろ過で
き、培養菌体がトラップフィルター上に保持される。
【0015】(B)細胞溶解工程用トラップ装置に細胞
懸濁用液を注入し、細胞を懸濁する工程、例えば上記培
養液2.5mlに含有される細胞をトラップした場合、
第1トラップ容器に懸濁用試薬の必要量、例えば10m
M EDTA/50mM トリス塩酸(pH7.5)の
場合300μlを注入し、少なくとも15分間の振とう
動作により懸濁する。この操作により、トラップされた
菌体が細胞懸濁液中に均一に分散化され、(C)工程に
おける菌体溶解の効率が向上する。なおプラスミドDN
Aを精製する場合、本工程における懸濁用試薬には
(C)工程においてRNAを分解するためのRNA分解
酵素、例えばリボヌクレアーゼAを終濃度100μg/
ml添加しておく。
【0016】(C)細胞溶解工程用トラップ装置に細胞
溶解用液を注入し、細胞を溶解し粗核酸溶液を得る工
程、次に細胞溶解液、例えば0.2N水酸化ナトリウム/
1.0%ラウリル硫酸ナトリウム溶液を、その必要量、例
えば上記培養液2.5mlの場合200μlを添加し、
1分間振とうする。続いて中和液、例えば2.5M酢酸
カリウム(pH4.8 )の必要量、例えば上記培養液2.5
mlの場合200μlを添加し、2分間振とうする。本
工程により、RNAが分解される一方、染色体DNA、
不要タンパク質が変性し不溶化される。
【0017】(D)核酸吸着体が注入された核酸分離工
程用トラップ装置に粗核酸溶液を移送する工程、次いで
減圧によって第1トラップ容器よりDNAを含む処理液
体を前もって設置された核酸分離工程用トラップ容器内
に回収する。なおこの核酸分離工程用トラップ容器は、
例えば核酸保持体として粒子径5.0μmのシリカゲル
粒子を用いた場合、例えば図2に示す容器を用いること
ができる。図2において、3は孔径1.0μmのポリテ
トラフルオロエチレン製膜(アドバンテック社製)、4
はポリプロピレン製容器である。本容器を第2トラップ
容器と命名した。孔径1.0μmのポリテトラフルオロ
エチレン製膜を保持した第2トラップ容器を用いる本工
程において、該容器内にはあらかじめゲル溶液、例え
ば、50mg/mlシリカゲル/7M塩酸グアニジン/
2mMEDTA/10mMトリス塩酸(pH7.5)を
適量加えておく。本工程により(C)工程で不溶化され
た物質と粗核酸溶液とを分離することができる。
【0018】(E)核酸分離工程用トラップ装置中で粗
核酸溶液と核酸吸着体を混合する工程、上記第2トラッ
プ容器を約5分間振とうし、内液を十分に混和する。こ
れによりシリカゲル粒子とDNAの吸着作用が促進され
る。
【0019】(F)核酸吸着体を核酸分離工程用トラッ
プ装置のトラップフィルター上にトラップする工程、次
いで、減圧によって核酸を吸着した核酸保持担体をフィ
ルター上にトラップする。この工程により、(D)工程
で得られた粗核酸溶液中の核酸とその他不純物とを分離
することができる。該核酸保持体を洗浄する工程を加え
ると、更に得られる核酸の純度が上がる。例えば、上記
方法で得られた核酸吸着体を適量のエタノールを含んだ
洗浄液、例えば50%エタノール/100mM 塩化ナ
トリウム/2.5mM EDTA/10mM トリス塩
酸(pH7.5 )を添加し、減圧により液体を廃棄すること
によりシリカゲル粒子を洗浄する。この洗浄操作を2回
繰り返すことにより第2トラップ容器内に残存する微量
の不純物を洗い流すことができる。この洗浄の際に振と
う操作を加えることによって、より洗浄作用を高めるこ
とが可能である。
【0020】(G)核酸分離工程用トラップ装置に核酸
溶出溶液を注入し、核酸吸着体より核酸を溶出する工
程、洗浄の終了したシリカゲル粒子を約2分間減圧する
ことによってシリカゲルを乾燥させる。次に適量の溶出
液、例えば滅菌水あるいはTE溶液〔10mMトリス塩酸
(pH8.0 ) / 1mM EDTA〕を添加後、第2トラップ容器よ
り減圧によってプラスミドDNAを含んだ溶出液を容
器、例えばエッペンドルフチューブに回収する。本工程
にも振とう操作を加えることによって核酸の回収率を向
上させることが可能である。
【0021】なお(A)工程における細胞懸濁液にRN
aseを添加することにより操作時間が短縮される。例
えばRNaseの場合細胞懸濁液に終濃度100μg/
mlのRNaseAになるよう添加すればよい。更に該
細胞懸濁液に菌体特有の細胞壁を溶解する酵素を添加す
ることにより核酸の収率が向上する。例えば大腸菌を用
いる場合、リゾチームを細胞懸濁液に終濃度4mg/m
lになるよう添加し用いれば良い。
【0022】また、上記のように溶菌成分を減圧法によ
りろ過する場合は、必要に応じて消泡剤を使用しても良
く、消泡剤としては例えばアデカノール(旭電化工業社
製)、エイノール(バイオット社製)、ニッサンディス
ホームCB442(日本油脂社製)等より選択し、例え
ば、細胞溶解工程における中和液に0.05%のエイノ
ールを添加すれば良い。また減圧度を調整することによ
ってろ液の発泡や飛散を防止することができ、例えばエ
イノール0.05%存在下真空度を−650mmHg付
近に調整することにより、発泡を完全に抑制することが
できる。
【0023】プラスミドDNAを含有する微生物又は細
胞の負荷量が多い場合は、例えば保留粒子径0.8μm
の孔を有するボロシリケートガラス繊維膜を使用すれば
良い。例えば保留粒子径0.8μmの孔を有するボロシ
リケートガラス繊維膜(アドバンテック社製:GA−2
00)を使用することにより、前出Escherichia coliJ
M109/pUC19のOD600 約6の培養液1.5m
lが減圧下で約3分でろ過でき、プラスミドDNAを含
有する分離液も約5分で採取することができる。
【0024】上記プラスミドDNAの調製方法において
は、本発明のトラップ装置に多数サンプル処理用の吸引
ろ過機構を採用することによって、短時間に、多数のサ
ンプル処理を行うことができる。なお、本発明の装置を
用いた核酸精製の場合、必ずしも上記全工程を実施する
必要はない。例えば、酵素反応を行った反応液中から核
酸を精製する場合、工程(A)〜(C)は不要であり、
工程(D)〜(G)を実施すればよい。またRNAを精
製したい場合は、各工程に用いる試薬をRNA精製に適
した試薬に変更すればよい。
【0025】第3の発明は、細胞膜を有する核酸源自体
に核酸吸着能を有する物質を作用させることを特徴とす
る核酸の分離精製方法である。本明細書における細胞膜
を有する核酸源とは、原形質膜のみで覆われた細胞が好
ましく、例えば、血液中に含まれる白血球細胞が挙げら
れる。しかし、植物細胞、微生物細胞であっても細胞壁
が除去された状態であれば何ら問題はない。この場合、
細胞壁は完全に除去されていなくともよく、低張液中で
細胞がバーストする程度に除去されていればよい。
【0026】核酸吸着能を有する物質としては、例え
ば、平均分子量70000のポリエチレンイミン(PE
I)等の溶媒可溶性の陰イオン交換体、陰イオン交換基
を溶媒不溶性の担体に結合させた陰イオン交換体、高濃
度カオトロピックイオン存在下核酸を選択的に吸着させ
るガラスパウダーやシリカゲルが挙げられる。本発明に
おいては、高濃度カオトロピックイオン存在下で核酸と
選択的吸着能を有するガラスパウダーやシリカゲルが特
に好適である。何故なら高濃度、例えば6M以上のグア
ニジン塩酸を溶解した溶液中で細胞を懸濁すると細胞が
溶解されるからである。すなわち、細胞膜を有する核酸
源を上記性質を有するガラスパウダーと共に高濃度カオ
トロピックイオンを含む緩衝液中で懸濁することにより
細胞溶解工程と核酸と細胞内不純物との分離を同時に実
施することができる。
【0027】カオトロピックイオンとは、水の構造を破
壊し、疎水性物質と水が接触したときに起こる水のエン
トロピーの減少を抑制する効果を有するイオンである。
イオン種によって水の溶媒構造を破壊する性質は異なっ
ており、例えば、陰イオンではCBr3 COO- (トリ
ブロモ酢酸イオン)>CCl3 COO- (トリクロロ酢
酸イオン)>SCN- (チオシアン酸イオン)、HNC
(NH2 2 (グアニジニウム)>I- (ヨードイオ
ン)、ClO4 - (過塩素酸イオン)>NO3 -(硝酸
イオン)、陽イオンではBa2+(バリウムイオン)>C
2+(カルシウムイオン)>Mg2+(マグネシウムイオ
ン)>Li+ (リチウムイオン)>Cs+(セシウムイ
オン)、Na+ (ナトリウムイオン)、K+ (カリウム
イオン)、Rb+ (ルビジウムイオン)の順でカオトロ
ピシティーは低下する〔堀尾、山下編集、蛋白質・酵素
の基礎実験法:株式会社南江堂、第22〜23頁(19
81)〕。本発明においては、イオン種に限定はない
が、上記した陰イオンの系列のうち、上位に記載したイ
オン種がより好ましい。カオトロピックイオンを生成す
る試薬としては、塩酸グアニジン、チオシアン酸ナトリ
ウム、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸リチウム、塩化リチ
ウム等が挙げられる。
【0028】したがって、用いるイオン種によってガラ
スパウダーなどの核酸吸着体に核酸を吸着させるための
有効濃度も異なり、例えば、シリカゲルを用いた場合、
細胞懸濁液中で、塩酸グアニジンは3M以上、ヨウ化ナ
トリウムは3M以上溶解されていることが好ましい。ま
た、上記細胞溶解液のpHは核酸が安定なpHに調整さ
れていることが好ましい。例えば、ヒトより得られた全
血1容量に対し、ゲル溶液、例えば50mg/mlシリ
カゲル/7M塩酸グアニジン/2mMEDTA/10m
Mトリス塩酸(pH7.5)10容量を添加し振とう混
和することにより、細胞が溶解され、抽出された核酸が
シリカゲルに吸着する。得られたシリカゲルを前記シリ
カゲル洗浄液で洗浄後、前記核酸溶出液で溶出すること
により、タンパクなどの不純物含量の低い核酸を得るこ
とができる。
【0029】臨床分野等では多検体の全血、培養細胞等
からのDNAの抽出が頻繁に行われているが、上記の工
程を利用することにより、より容易に核酸を抽出、精製
することが可能である。該方法に第1の発明の装置を適
用すると、更に容易に核酸の精製を実施することができ
る。
【0030】この場合、細胞溶解工程用トラップ装置は
不要であり、核酸分離工程用トラップ装置のみでよく、
以下に示す態様が例示される。 (A)核酸分離工程用トラップ装置に細胞懸濁液及びゲ
ル溶液を注入し、細胞を溶解及び核酸を核酸吸着体に吸
着させる工程、(B)核酸吸着体を核酸分離工程用トラ
ップ装置のトラップフィルター上にトラップする工程、
(C)核酸分離工程用トラップ装置に核酸溶出液を注入
し、核酸吸着体より核酸を溶出する工程、
【0031】次に、該方法をヒト血液よりDNAを抽出
する場合を例として更に詳細に説明する。 (A)核酸分離工程用トラップ装置に細胞懸濁液及びゲ
ル溶液を注入し、細胞を溶解及び核酸を核酸吸着体に吸
着させる工程、ヒト血液細胞を含む体外摘出試料、例え
ば、公知の抗凝固処理を施したヒト全血100μlを前
記第2トラップ容器に注入し、次にゲル溶液、例えば5
0mg/mlシリカゲル/7M塩酸グアニジン/2mM
EDTA/10mMトリス塩酸(pH7.5)の場合7
00μlを注入する。本工程により、血液細胞が溶解さ
れると共に抽出された核酸がシリカゲルに吸着される。
本工程において振とう操作を行うことにより、細胞の溶
解効率及び核酸のシリカゲルへの吸着効率が向上する。
【0032】(B)核酸吸着体を核酸分離工程用トラッ
プ装置のトラップフィルター上にトラップする工程、次
いで減圧によって第2トラップ容器のフィルター上にシ
リカゲルをトラップする。本工程により核酸とその他細
胞内不純物とを分離することができる。該シリカゲル粒
子を洗浄する工程を加えると、更に得られる核酸の純度
が上がる。例えば、上記方法で得られた核酸吸着体を適
量のエタノールを含んだ洗浄液、例えば50%エタノー
ル/100mM 塩化ナトリウム/2.5mM EDT
A/10mM トリス塩酸(pH7.5 )を添加し、減圧に
より液体を廃棄することによりシリカゲル粒子を洗浄す
る。この洗浄操作を2回繰り返すことにより第2トラッ
プ容器内に残存する微量の不純物を洗い流すことができ
る。この洗浄の際に振とう動作を加えることによって、
より洗浄作用を高めることが可能である。
【0033】(C)核酸分離工程用トラップ装置に核酸
溶出液を注入し、核酸吸着体より核酸を溶出する工程、
洗浄の終了したシリカゲル粒子を約2分間減圧すること
によってシリカゲルを乾燥させる。次に適量の溶出液、
例えば滅菌水、TE溶液〔10mMトリス塩酸(pH8.0 ) / 1m
M EDTA〕を添加後、第2トラップ容器より減圧によって
核酸を含んだ溶出液を容器、例えばエッペンドルフチュ
ーブに回収する。本工程にも振とう操作を加えることに
よって核酸の回収率を向上させることが可能である。
【0034】なお該方法は必ずしも本発明の分離装置で
行わなくとも良く、別途市販の分離容器、例えばSuprec
01(宝酒造社製)などを利用して手動で行うこともでき
る。更に該方法は従来法に比べ用いる試薬数が少なく、
このことは試薬分注回数の減少につながる。したがって
試料数が増えるほど従来法に比べ核酸精製に要する時間
は更に減少する。更に該方法により、微生物細胞より環
状二本鎖プラスミドDNAを調製する場合は、上記工程
(A)の前に細胞壁除去操作、工程(D)の後にゲノム
DNA及びRNA分離操作を行うことにより高純度な環
状二本鎖プラスミドDNAを得ることができる。細胞壁
除去操作は、例えば、大腸菌の場合、大腸菌をリゾチー
ムを含有する50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)
中で懸濁し、室温で5分間放置することにより実施する
ことができる。
【0035】ゲノムDNA及びRNA分離操作は、例え
ば、環状二本鎖プラスミドDNAを含む核酸溶液1容量
に対し、0.2N 水酸化ナトリウム/ 1.0%ラウリル硫酸ナ
トリウム溶液を2容量添加し混和後、氷中5分間放置し
RNAの分解及びゲノムDNAの変性を行う。この後、
2.5M酢酸カリウム(pH4.8 )を1.5容量添加し混和後
氷中で10分間放置することによりゲノムDNAを不溶
化させる。該液を14000g、10分間遠心処理に付
し、変性ゲノムDNAを沈殿させ除去する。得られた上
清にエタノールを添加しプラスミドDNAを沈殿させる
ことにより、高純度な二本鎖プラスミドDNAが得られ
る。
【0036】第5の発明は、該方法による核酸精製用の
キットを提供する。該キットは、上記したような核酸吸
着能を有する物質を構成の必須要素としてなる。要すれ
ば、例えば、細胞より核酸を得る場合は、細胞内より核
酸を抽出するための試薬等を構成要素として含めること
ができる。例えば、核酸吸着能を有する物質としてシリ
カゲルを用いる場合、核酸の分離試薬としての上記グア
ニジン塩酸溶液中にシリカゲルを懸濁させたゲル溶液
が、同時に細胞内より核酸を抽出するための試薬とな
る。
【0037】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるも
のでは無い。
【0038】実施例1 (1)細胞溶解工程用トラップ容器の作製 図1に示す構造を有する細胞溶解工程用トラップ容器を
作製した。該容器は吸引ろ過に適した構造とした。 (2)核酸分離工程用トラップ容器の作製 図2に示す構造を有する核酸分離工程用トラップ容器を
作製した。該容器は吸引ろ過に適した構造とした。 (3)分離装置の作製 第1トラップ容器及び第2トラップ容器を固定できる吸
引装置を、振幅2mm〜3mm、振とう数0〜800r
pmの能力を有する回転型振とう装置上に固定し、吸引
装置全体を振とうできる分離装置を作製した。図3は該
装置の模式図である。図3において、5はトラップ容
器、6はトラップ容器固定器具、7は回転型振とう装
置、8は減圧発生装置、9は廃液受け皿を示す。
【0039】実施例2 プラスミドDNA pUC19 の精製 (1)大腸菌JM109/pUC19 の培養 プラスミドpUC19 で形質転換された大腸菌JM109を
50μg/mlのアンピシリンを含むLB培地(10g ト
リプトン、5g酵母エキス、5g塩化ナトリウム/リット
ル)2.5mlに植菌し、培養温度37℃、振とう速度
160rpmにて16時間培養し、OD600 約6の培養
液を調製した。
【0040】(2)pUC19DNAの調製 第1トラップ容器内に培養液2.5mlを供し、−60
0mmHg、約15分間の減圧によってフィルター膜面
に菌体をトラップした。以後本明細書実施例における減
圧はすべて−600mmHgで行った。次に100μg
/mlのRNaseAを含む細胞懸濁用試薬〔10mM
EDTA/50mM トリス塩酸(pH7.5)〕を
300μl添加し、振幅2〜3mm、720rpm、2
0分間の振とう操作により菌体を懸濁した。以後本明細
書実施例における振とう操作は、すべて振幅2〜3m
m、720rpmで実施した。該細胞懸濁液に200μ
lの溶菌用試薬(0.2N水酸化ナトリウム、1.0%
ラウリル硫酸ナトリウム)を加えて1分間振とう動作を
加えた。更に中和溶液〔2.5M酢酸カリウム(pH
4.8)〕を200μl添加して2分間振とうし、10
分間の減圧によりプラスミドDNAを含む粗核酸溶液を
第1トラップ容器下部よりあらかじめゲル溶液〔50m
g/mlシリカゲル(粒径:5μm、富士シリシア化学
社製)/7M塩酸グアニジン/2mMEDTA/10m
Mトリス塩酸(pH7.5)〕を加えた第2トラップ容
器に採取した。3分間の振とう処理を行い、次に減圧を
4分間行い第2トラップ容器下部より不純物を含む液体
を廃棄してシリカゲルをトラップし、500μl の洗浄
液〔50%エタノール/100mM 塩化ナトリウム/
2.5mM EDTA/10mM トリス塩酸(pH7.5
)〕を添加後2分間の減圧により洗浄液を廃棄した。
更に再度洗浄液を500 μl 添加後減圧廃棄を3分間行
い、120 μl の滅菌水をシリカゲルに加えて1分間の振
とうを加えた。最後に2分間の減圧により第2トラップ
容器下部からエッペンドルフチューブにDNAを含む溶
液を約100μlを回収した。その内15μlを電気泳
動して確認したところ、染色体DNAの混在は認められ
ず、確認されたDNAの泳動位置より該DNAはpUC
19DNAであることが確認された。一方、上記精製操
作において各工程の振とう操作を行わず同様のプラスミ
ドDNAの精製を行った。振とう操作を加えない場合、
第2トラップ容器にプラスミドDNAを含む粗核酸溶液
が回収できないなどの症状が発生した。これらの結果を
表1に示す。
【0041】
【表1】 表1 ────────────────────────────────── 工程 1+ 2 + 3 + 1 - 2 + 3 + 1 + 2 - 3 + 1+ 2 + 3 - 収量 10.6μg (約 0.3μg) (約 0.2μg) 3.3 μg ──────────────────────────────────
【0042】なお、表1の工程項において、1、2、3
は以下の工程を示す。 1;第1トラップ容器にトラップされた菌体を懸濁用試
薬で懸濁する工程 2;1工程で懸濁した菌体を溶菌させる工程 3;2工程で得られた粗核酸液とシリカゲル懸濁液とを
混和する工程 また各数字の後ろに付した+は該工程において振とう操
作を実施したことを、−は該工程において振とう操作を
実施しなかったことを示す。一方収量の項におい
て、()は精製途中段階でフィルターが詰ったことを示
す。なお上記値は、フィルターが詰まってもそのまま操
作を実施した場合の値である。
【0043】表1から明らかなように、一部工程に振と
う操作を加えなかった場合のプラスミドDNAの回収量
は全工程に振とう操作を加えた場合の約3分の1から約
50分の1であり、特に菌体懸濁工程及び溶菌工程にお
ける振とう操作により収量が顕著に増加した。
【0044】(3)精製DNAの純度確認 (2)において1+ + + 工程で調製したpUC19
DNA約0.5μgを1箇所切断する制限酵素EcoR
I(宝酒造社製)10単位を含む反応液中で37℃、1
時間で消化し、0.7%アガロース電気泳動で評価し
た。その結果環状のpUC19DNAが一箇所で切断さ
れて直鎖状になっておりその反応を阻害していなかっ
た。更に該プラスミドを蛍光プライマーを用いたジデオ
キシ法によりシークエンスを行ったところ、明りょうな
シグナルが確認された。すなわち制限酵素、シークエン
ス反応を阻害しない純度の高いpUC19DNAの精製
が可能であった。
【0045】実施例3 プラスミドDNA pBR32
2の精製 大腸菌HB101 をpBR322で形質転換したものを実施例2と
同様にして培養を行い、pBR322の精製も実施例2に記載
した方法と同様に行った。
【0046】
【表2】 表2 ───────────────────────────────── 工程 1+ 2 + 3 + 1 - 2 + 3 + 1 + 2 - 3 + 1 + 2 + 3 - 収量 5.5 μg (約 0.4μg) (約 1.1μg) 1.5μg ─────────────────────────────────
【0047】表2における各項の記載は、表1に準じ
る。
【0048】一般にpBR322はpUC19よりもそ
の回収量が少ないことが知られているが、表2に示した
ように精製段階での振とうを与えない場合はpUC19
の場合と同様にその回収量が減少していることが確認さ
れた。更に1+ + + 工程で精製したpBR322の
0.5μg分を10単位分の制限酵素BamHI(宝酒
造社製)で切断したところ良好な切断パターンが電気泳
動の結果から得られた。以上実施例1及び2から強制分
散処理装置を有する本装置によって大腸菌からのプラス
ミド回収率を顕著に改善できることが明らかとなった。
【0049】実施例4 ヒト培養細胞からのDNAの精
製 PBSで洗浄したヒト培養細胞100μl(1x104
〜1×106 個)を第2トラップ容器に注入し、実施例
2の(2)記載のRNaseAを含有する細胞懸濁用試
薬を100μl及び0.2% SDS溶液を200μl
添加し、5分間の振とうを行った。その後実施例2の
(2)記載のゲル溶液500μlを添加し、振とう操作
により5分間混合した。第2トラップ容器を3分30秒
間減圧してシリカゲルをトラップし、実施例2の(2)
記載の洗浄液300μlを添加し4分間の振とうを加え
てゲルの洗浄を行った。2分間減圧してシリカゲルをト
ラップし、再度洗浄処理を施した後、500μlの洗浄
液を添加して2分間の減圧により洗浄を行った。150
μlの滅菌水をシリカゲルに添加して、15分間の振と
うを加えてシリカゲルからDNAを溶出させ、最後に2
分間の減圧により、DNAを含む溶出液をエッペンドル
フチューブに回収した。この結果約4μgのDNAが得
られ、その内の約0.2μgを10単位の制限酵素Ec
oRIで37℃、1時間切断し電気泳動で確認したとこ
ろDNAは消化された。したがって該方法により得られ
たDNAは、制限酵素反応を阻害しないことが明らかと
なった。
【0050】実施例5 ヒト全血からのDNAの精製 1)従来法によるDNAの精製 公知の3種類の抗凝固処理、つまりクエン酸、EDT
A、ヘパリン処理を行ったヒト全血80μlを第2トラ
ップ容器に注入し、RNaseを含む実施例2の(2)
記載の懸濁用試薬を100μl及び0.2% SDS溶
液を150μlを添加し、3分間の振とう処理を行っ
た。そこに実施例2の(2)と同様に調製したゲル溶液
を700μlを加えて、5分間の振とうを与えた後、3
分30秒間減圧してフィルター下部より不純物を含む液
体を廃棄してシリカゲルをトラップした。300μlの
洗浄液を添加後、4分間の振とうを行いゲルをよく洗浄
し、2分間の減圧によりシリカゲルをトラップした。同
様の操作を再度繰り返した後、500μlの洗浄液を添
加して2分間の減圧によりシリカゲルをトラップした。
最後に150μlの滅菌水をシリカゲルに添加して振と
うを1分間操作を行い、減圧によりフィルター下部より
DNAを含む溶液をエッペンドルフチューブに回収し
た。全工程に要した時間は約60分であった。その結果
3種類の試料からいずれも約2μgのDNAが得られ、
その一部(約200ng)のDNA溶液を実施例2の
(3)と同様に制限酵素EcoRIで消化した結果、D
NAは消化された。またヒト染色体DNAのβ−globin
領域を増幅させるプライマーを用いてPCRを行ったと
ころ増幅反応の阻害もなくDNA断片の良好な増幅が見
られ、本方法で調製したDNAがPCR法の鋳型として
適切であることが確認された。
【0051】2)短時間処理によるヒト全血からのDN
Aの精製 1)記載の3種類のヒト全血100μlを第2トラップ
容器に注入し、これに実施例2の(2)記載のゲル溶液
1mlを添加後、11分間の振とう処理を行った。その
後4分間の減圧により不純物の廃棄とシリカゲルの回収
を行い、その後は実施例3の場合と同様にして、ゲルの
洗浄を行った後核酸の回収を行った。なお、全工程に要
した時間は約45分であった。その結果3種類の試料か
らいずれも約2.5μgの核酸が回収され、実施例4記
載の方法と同等の核酸回収率が得られた。また、1)で
用いたβ−globin領域を増幅させるプライマーを用いて
PCR反応を行ったところ良好なDNA増幅が確認さ
れ、一方制限酵素による切断反応の阻害も認められず、
純度も1)記載の方法により調製した核酸と同等である
ことが確認された。上記の結果より明らかなように、3
試料を用いた場合従来法1)では約60分要していた核
酸精製工程を約45分に短縮することができた。また従
来法に比べ核酸精製に用いる試薬、すなわち細胞懸濁試
薬、細胞溶解試薬が不要となった。
【0052】実施例6 核酸精製用キットの構築 ヒト全血用核酸精製キット(100回分)として以下の
ものを構築した。 ゲル溶液 100ml 7M 塩酸グアニジン 2mM EDTA 10mM トリス塩酸(pH7.5) 5g シリカゲル 洗浄液 55ml 200mM 塩化ナトリウム 5mM EDTA 20mM トリス塩酸(pH7.5) (ただし、用時100%エタノールを等量混合) 核酸溶出液 15ml 10mM トリス塩酸(pH8.0) 1mM EDTA
【0053】
【発明の効果】本発明のトラップ装置と強制分散設備か
らなることを特徴とする分離装置により、簡便で迅速な
核酸の精製が可能となる。また本発明の核酸精製方法に
より従来のものに比べ格段に迅速、簡便な核酸精製方法
が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】細胞溶解工程用トラップ容器の構造を示す模式
図である。
【図2】核酸分離工程用トラップ容器の構造を示す模式
図である。
【図3】本発明の分離装置の1例の構造を示す模式図で
ある。
【符号の説明】
1:細胞溶解工程用トラップフィルター、2:容器、
3:核酸分離工程用トラップフィルター、4:容器、
5:トラップ容器、6:トラップ容器固定器具、7:回
転型振とう装置、8:減圧発生装置、9:廃液受け皿
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 郁之進 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒造 株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4B024 AA19 AA20 CA01 CA11 CA20 GA30 HA20

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トラップ装置と強制分散設備からなるこ
    とを特徴とする分離装置。
  2. 【請求項2】 トラップ装置を使用する核酸の分離精製
    方法において、該トラップ装置を用いる処理の少なくと
    も一つの処理に請求項1記載の分離装置を用いることを
    特徴とする核酸の分離精製方法。
  3. 【請求項3】 細胞膜を有する核酸源自体に核酸吸着能
    を有する物質を作用させることを特徴とする核酸の分離
    精製方法。
  4. 【請求項4】 カオトロピックイオン存在下で実施する
    ことを特徴とする請求項3記載の核酸の分離精製方法。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4記載の方法により核酸を
    精製するためのキットであって、核酸吸着能を有する物
    質を構成の必須要件とする核酸精製のためのキット。
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