JP2003142090A - リチウムイオン電池の電極用活物質材料 - Google Patents

リチウムイオン電池の電極用活物質材料

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JP2003142090A
JP2003142090A JP2001336514A JP2001336514A JP2003142090A JP 2003142090 A JP2003142090 A JP 2003142090A JP 2001336514 A JP2001336514 A JP 2001336514A JP 2001336514 A JP2001336514 A JP 2001336514A JP 2003142090 A JP2003142090 A JP 2003142090A
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lithium ion
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Haruichiro Ogawa
晴一郎 小川
Shinichi Honma
眞一 本間
Jiro Kondo
二郎 近藤
Tadashi Shoka
忠史 小菓
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MARUHO CHUZAI SEISAKUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた放充電特性を有するリチウムイオン電
池の電極用活物質材料を、比較的容易な方法によって、
安価に得る。 【解決手段】 この活物質材料は、3官能のモノアルキ
ルシランを重合させて、モノアルキルポリシロキサンを
得る重合工程(#1)と、モノアルキルポリシロキサン
に有機化合物を加え、両者を攪拌混合して混練物を得る
攪拌混合工程(#2)と、混練物を不活性雰囲気下で加
熱処理する加熱工程(#3)によって製造される。攪拌
混合工程(#2)において加えられる有機化合物は、常
温で液状体であり、加熱によって硬化、或いは粘度の高
くなる特質を有する脂肪酸油である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムイオン電
池の電極用活物質材料に関する。
【0002】
【従来の技術】リチウムイオンの吸蔵と放出の能力を利
用したリチウムイオン電池は、高エネルギー電池として
有用に供され、近年、小型、軽量で容量の大きい電源と
して発展している。特に、携帯型の電子機器や通信機器
の電源として、また一般に電子機器や通信機器の記憶素
子のバックアップ電源等として重要な役割を果たしてい
る。
【0003】従来、この種のリチウムイオン電池の正極
活物質としては、チタン、ニオブ、モリブデン等とイオ
ウやセレン等とのカルコゲン化合物や、コバルト、ニッ
ケル、マンガン等の酸化物等のごとく、結晶の層間や格
子間隙へのリチウムイオンの挿入・脱離特性を示すもの
が広く知られている。負極活物質としては、リチウム金
属やリチウムとアルミニウム、スズ、シリコン等との合
金を用いるものや、有機高分子を高温炭化した炭素材料
やグラファイト(黒鉛)に代表される結晶性の炭素材料
の層間にリチウムイオンを吸蔵・放出するものが広く知
られている。
【0004】しかし上記正極活物質には、リチウムイオ
ンの電気化学的な過充放電による結晶の不安定さに基づ
く劣化現象を起こし易いという不利がある。また、グラ
ファイトに代表される炭素系の負極活物質は、リチウム
イオンの吸蔵・放出量の限界、及び非水系電解質との反
応性に起因する劣化現象を起こし易いという不利があ
る。
【0005】本発明のごとくケイ素を含有する活物質材
料の例としては、特開平6−96759号公報がある。
そこでは、1官能と2官能の有機シラン、2官能の有機
シラン、2官能と3官能の有機シラン等の重合体、すな
わち実質的にはシリコーンオイルやシリコーンゴム、あ
るいはシリコン樹脂を出発原料にして、熱処理して得ら
れるケイ素、酸素及び炭素の共存しているリチウムイオ
ン電池用の活物質材料が記載されている。
【0006】また、特開平10−74506号公報に
は、加水分解重合性1官能の有機シラン、及び2官能と
3官能の有機シラン、及び4官能のシラン化合物の混合
体を原料として得た有機ポリシロキサン、及び架橋反応
性のある例えばビニルシラン等を加えて調整された有機
ポリシロキサンを、不活性雰囲気中で焼成してなるケイ
素、炭素、酸素を構成元素とする活物質材料が記載され
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記公報に係る電極材
料の問題は、複数種の有機シラン化合物を原料とし、重
合反応により複合体としての有機ポリシロキサンを得て
いるために、それらの重合方式が煩雑で、製造が容易で
ないことにある。複数種の原料を必要とするために、原
料コストが多大に掛かり、その結果製造コストが高く付
く点でも不利がある。
【0008】本発明は、上記問題を解決するためになさ
れたものであり、その目的は、大きな充放電容量や非水
系電解質に対する安定性など、優れた充放電特性を有す
るリチウムイオン電池の電極用活物質材料を、比較的容
易な方法によって、安価に得るにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、リチウムイオ
ン電池の負極用及び/又は正極用の活物質材料を対象と
する。この電極用活物質材料は、図1に示すごとく、3
官能のモノアルキルシランを重合させて、モノアルキル
ポリシロキサンを得る重合工程(#1)と、前記モノア
ルキルポリシロキサンに有機化合物を加え、両者を攪拌
混合して混練物を得る攪拌混合工程(#2)と、前記混
練物を不活性雰囲気下で加熱処理する加熱工程(#3)
の少なくとも3つの工程を経て製造される。そして、攪
拌混合工程(#2)において加えられる有機化合物が、
常温では液状体で、加熱によって硬化或いは粘度の高く
なる特質を有する脂肪酸油であることを特徴とする。
【0010】請求項2記載の本発明のごとく、前記攪拌
混合工程(#2)において、モノアルキルポリシロキサ
ン100重量部に対して、有機化合物を25重量部以
上、150重量部以下添加することが好ましい。
【0011】具体的には請求項3のごとく、脂肪酸油を
アマニ油とすることができる。また、請求項4記載のご
とく、有機化合物をフラン樹脂に代表される熱硬化性樹
脂としてもよい。
【0012】原料である3官能のモノアルキルシランと
は、加水分解能を有する官能基であるハロゲン基、及び
/又はアルコキシ基を3個含むものであり、例えば、モ
ノメチルトリクロロシラン、モノエチルトリクロロシラ
ン、モノメチルトリメトキシシラン、モノエチルトリメ
トキシシラン、モノメチルトリエトキシシラン等が例示
できる。これらモノ低級アルキルシランの官能基は、酸
性溶液中で加水分解され、縮重合反応を起こしてモノア
ルキルポリシロキサンとなる。
【0013】この加水分解反応は常温でも進行するが、
20℃以上60℃以下、さらに好ましくは30℃以上、
50℃以下の反応温度で進行させることが好ましい。な
お、加水分解反応は通常、酸性の水中に攪拌しながら、
前述の好適な反応温度に保持できる速度でモノアルキル
シランを注入することによって円滑に進めることがで
き、かくして、目的物であるモノアルキルポリシロキサ
ンを収率良く得られる。
【0014】反応液を常法によりろ過、水洗、熱風乾燥
した後、解砕・粉砕機で粉砕して、平均粒径20〜40
μmの白色粉体状のモノアルキルポリシロキサンを得
た。かかるモノアルキルポリシロキサンは、シロキサン
結合が網目状に発達した3次元構造を有する撥水性の固
体状粒子である。このモノアルキルポリシロキサンの粒
子径は、前述の縮重合反応条件(反応温度、酸性度等)
を適宜変更することで、大小に調整できる。従って、電
極材料の適切な母材としての粒子径などの形態制御が容
易に行える利点がある。
【0015】前記有機化合物に具備されるべき特性は、
常温においては流動性のある液状であること、固体状の
モノアルキルポリシロキサンに容易になじみ易いこと、
攪拌混合工程で均質に混合できること、および、炭素鎖
構造の少なくとも2個所以上に二重結合を持つこと、比
較的分子量が大きいことにある。これら全ての特性を満
たす有機化合物としては、常温では液状体であり、加熱
することによって硬化若しくは粘度の高くなる特質を有
する乾性油の脂肪酸油や、熱硬化性樹脂などが挙げられ
る。脂肪酸油の具体例としては、アマニ油、桐油、大豆
油等が挙げられ、熱硬化性樹脂の具体例としては、フラ
ン樹脂、変性フェノール樹脂等が挙げられる。特に脂肪
酸油は、ヨウ素価が110以上のものが好ましく、その
理由は、炭素鎖構造に多くの二重結合を持っていると、
加熱によって熱重合が起こり、かなりの高温度(約45
0℃以上)までモノアルキルポリシロキサンの粒子内に
留まることができることにある。
【0016】有機化合物の添加量は、モノアルキルポリ
シロキサンの100重量部に対して、25重量部以上、
150重量部以下の範囲が好ましく、25重量部以上、
100重量部以下の範囲がより好ましい。さらに25重
量部以上、70重量部以下の範囲が最も好適である。
【0017】有機化合物の添加量が150重量部を超え
ると、充放電特性が低下する(比較例3参照)。有機化
合物の添加量が過大となり、混練物が流動性を示すスラ
リー状となるために、以後の取り扱い、特に焼成操作が
困難となる不利もある。焼成物が団塊状で得られるため
に、別途粉砕工程が必要で、製造コストが高く。さらに
当該粉砕処理によっても、電極材料として適切な粒度及
び粒度分布は得ることは難しく、収率の低下は避けられ
ない。ここで言う「粉砕」とは、粉砕強度の高いアトマ
イザー等の衝撃式粉砕機を用いた処理を意味する。
【0018】これに対して、上記有機化合物の添加量
が、100重量部以下の場合には、モノアルキルポリシ
ロキサンと有機化合物との混練物は、ペースト状あるい
は粉体状となる。従って、以後の取り扱い、特に焼成操
作が容易である。
【0019】25重量部以上としたのは、それ未満であ
ると粉体状のモノアルキルポリシロキサンが飛散して、
以後の取り扱いが困難となることに拠る。充放電特性が
低下する点でも不利がある(比較4参照)。25重量部
以上であると、得られた焼成物はざらめ状となり、比較
的簡単な解砕により電極材料として適切な粒度および粒
度分布を示す粉体が得られる。ここで言う「解砕」と
は、ターボミル等の剪断式粉砕機を用いた処理を意味
し、この種の剪断式粉砕機は、衝撃式よりも緩やかな機
構を持ち、整粒機能を併せ持つ点が、上述の衝撃式粉砕
機と大きく相違する。
【0020】前記混錬物は、特に粉体状態で取り扱うこ
とが好ましく、従って有機化合物の添加量は、モノアル
キルポリシロキサンの吸油量以下とする。一例を挙げる
と、粉体のかさ密度が0.22〜0.34g/cm3 のモノメ
チルポリシロキサンは、吸油量(ml/100g)が5
0から70であるので、モノメチルポリシロキサンの1
00重量部に対するアマニ油の混合量は、70重量部以
下が最も好適である。
【0021】混合操作は、混合組成物を一般的には容器
内で攪拌機によって行うことができる。混合機は例え
ば、リボンブレンダー、スーパーミキサー、スーパーフ
ローターなど、攪拌機構のある混合機が混錬物を得るの
に適している。
【0022】次に、混練物を、不活性雰囲気下に焼成炉
で昇温速度を制御しながら熱処理を行い、解砕して本発
明に係る電極用活物質材料を得る。かかる加熱工程は、
電気炉等のような不活性雰囲気で焼成できる炉で行う。
不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、または
窒素ガス、二酸化炭素ガス、一酸化炭素ガス等よりな
り、酸素の残留率が1.0%以下の燃焼ガス等が好まし
い。
【0023】焼成炉の温度は、室温より1100℃ま
で、約10℃/分の昇温速度で加熱することが好まし
い。この時、上記有機化合物は、450から500℃で
分解を開始して揮散する。なお、焼成を空気の雰囲気で
行うと、モノアルキルポリシロキサンのアルキル基の酸
化分解も400〜450℃で起こり、500℃以上では
二酸化ケイ素(SiO2 )となってしまう。不活性雰囲
気での焼成物は黒色の粉体であり、構成元素はケイ素、
炭素、酸素であった。なお、極微量の水素(0.1%程)
を含むものもある。
【0024】この焼成物(本発明に係る電極用活物質材
料)は、X線回折分析では結晶型は示さず不定型(アモ
ルファス)である。また、この焼成物は、電気化学的に
リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する能力を有し、
その容量は極めて大きく、また吸蔵・放出の繰り返しに
もその物性は安定している。リチウムイオン電池の電解
質の非プロトン性溶媒である、例えば、エチレンカーボ
ネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジ
メトオキシエタン(DME)等ともその物性は安定して
いる。
【0025】
【実施例】(実施例1)モノメチルトリクロロシラン
(bp.66℃)の500gを10リットルの塩酸水
(pH0.5)へ40〜50℃に冷却して攪拌しながら注
入した。塩酸ガスの発生を伴いながら、加水分解物が懸
濁状態、一部は水溶液表面に浮いた状態で析出した。塩
酸ガスの発生がほぼ納まった後、遠心分離機内で母液と
分離した。析出物は水でリバルブして再度母液と分離
し、遠心分離機内でも散水で洗浄した。析出物のケーキ
は熱風乾燥機(200℃)で乾燥して、解砕により白色
粉体の220gを得た。白色粉体は赤外分光光度計でモ
ノメチルポリシロキサンと同定した。なお、この白色粉
体の諸元は、かさ密度0.28g/cm3 、吸油量60ml
/100g、塩素含有率63ppm、平均粒子径22μ
mであった。
【0026】モノメチルポリシロキサン200gに、ア
マニ油(sp.gr0.93g/cm3)80gを加えスー
パーミキサーでよく攪拌し、0.5〜1mm径の粉状体を得
た。これを、るつぼに入れて電気加熱式雰囲気炉の窒素
気流中で昇温速度10℃/分で到達温度1100℃まで
焼成した。冷却後、解砕して平均粒径25μmの黒色粉
末の焼成物185gを得た。焼成物の電子顕微鏡写真を
図2に示す。
【0027】焼成物の真密度は1.95g/cm3 であり、
X線回折分析では結晶型は示さず不定型(アモルファ
ス)であった。化学分析の結果、この焼成物の組成は、
ケイ素38%(重量%、以下同じ)、炭素17%、酸素
45%であることがわかった。なお、これを示性式で表
すとSi11.042.07となる。
【0028】(実施例2)実施例1において、アマニ油
の添加量を100gにした以外は同様の操作を行い、平
均粒径28μmの黒色粉末の焼成物180gを得た。化
学分析の結果、この焼成物の組成は、ケイ素39%、炭
素18%、酸素43%であった。なお、これを示性式で
表すとSi11.081.94となる。
【0029】(実施例3)モノメチルトリメトキシシラ
ン(bp.103℃)の500gを10リットルの塩酸
水(pH0.5)へ50〜60℃に温度調節し攪拌しなが
ら注入した。加水分解反応の進行とともに析出物が懸濁
状態、一部は水溶液表面に浮いた状態で析出した。析出
物は遠心分離機で母液と分離した。さらに、水でリパル
プして母液と分離し、遠心分離機内でも散水で洗浄し
た。析出物のケーキは熱風乾燥機(200℃)で乾燥し
て、解砕により白色粉体の235gを得た。白色粉体は
赤外分光光度計でモノメチルポリシロキサンと同定し
た。なお、この白色粉体の諸元は、かさ密度0.24g/
cm3 、吸油量63ml/100g、塩素含有率10pp
m、平均粒子径20μmであった。
【0030】モノメチルポリシロキサン200gにアマ
ニ油(sp.gr0.93g/cm3 )130gを加えスー
パーミキサーでよく攪拌し0.5〜1mm径の粒状体を得
た。これを、実施例1と同様の焼成操作を行い、平均粒
径25μmの黒色粉末の焼成物183gを得た。化学分
析の結果、この焼成物の組成は、ケイ素38%、炭素1
9%、酸素43%であった。これを示性式で表すとSi
11.161.98となる。
【0031】(実施例4)実施例1において、アマニ油
をフラン樹脂(VF−302、日立化成工業社製)に替
え、添加量を140gとした以外は同様の操作を行い、
平均粒径33μmの黒色粉末の焼成物184gを得た。
化学分析の結果、この焼成物の組成は、ケイ素36%、
炭素20%、酸素44%であった。これを示性式で表す
とSi1 1.292.13となる。
【0032】(実施例5)実施例1において、アマニ油
の添加量を50gにした以外は同様の操作を行い平均粒
径21μmの黒色粉末の焼成物180gを得た。化学分
析の結果、この焼成物の組成は、ケイ素39%、炭素1
7%、酸素44%であった。これを示性式で表すとSi
11.021.98となる。
【0033】(実施例6)モノエチルトリクロロシラン
(bp.97℃)500gを10リットルの塩酸水(p
H0.5)へ50〜60℃に冷却いて攪拌しながら注入し
た。以下は実施例1と同様の操作を行い白色粉体の24
0gを得た。白色粉体は赤外分光光度計でモノエチルポ
リシロキサンと同定した。この白色粉体の緒元は、かさ
密度0.25g/cm3 、吸油量64ml/100g、塩素
含有率69ppm、平均粒子径26μmであった。
【0034】モノエチルポリシロキサン200gにアマ
ニ油(sp.gr0.93g/cm3 )140gを加えてス
ーパーミキサーで攪拌し、ペースト状態の混練物を得
た。これを、るつぼに入れて電気加熱雰囲気炉の窒素気
流中で昇温速度10℃/分で到達温度1100℃まで焼
成した。冷却後、解砕して平均粒径35μmの黒色粉末
の焼成物176gを得た。
【0035】焼成物の真密度は1.94g/cm3 であり、
X線回折分析では結晶型は示さず不定型(アモルファ
ス)であった。化学分析の結果、この焼成物の組成は、
ケイ素37%、炭素20%、酸素43%であり、これを
示性式で表すとSi11.27 2.04となる。
【0036】(比較例1)実施例1において、モノメチ
ルポリシロキサン200gに有機化合物を加えず、それ
以外の焼成条件は、実施例1と同様にして焼成を行っ
た。これを解砕して平均粒径18μmの黒色粉末の焼成
物170gを得た。焼成物の真密度は1.97g/cm3
あり、X線回析分析では結晶型は示さず不定型(アモル
ファス)であった。化学分析の結果、この焼成物の組成
は、ケイ素39%、炭素16%、酸素45%の組成物で
あった。これを示性式で表すとSi10.962.02とな
る。
【0037】(比較例2)実施例1のモノメチルポリシ
ロキサンの200gのみを、るつぼに入れて焼成炉の雰
囲気を空気にして昇温速度15℃/分で到達温度950
℃まで焼成した。490℃近傍でモノメチルポリシロキ
サンの燃焼が観察され、灰白色の焼成物が171g得ら
れた。この焼成物を化学分析した結果、ケイ素46%、
酸素54%の組成物であった。これを示性式で表すとS
12.06となる。従って、この焼成物は、二酸化ケイ
素であると考えられる。
【0038】(比較例3)実施例1において、アマニ油
の添加量を320gにした以外は同様にして焼成を行っ
た。得られた焼成物は団塊状であったが、これを粉砕し
て平均粒径25μmの黒色粉末を得た。焼成物の真密度
は2.02g/cm3 であり、X線回析分析では結晶性を示
さず、不定型(アモルファス)であった。化学分析の結
果、この焼成物の組成は、ケイ素37%、炭素21%、
酸素42%であり、これを示性式で表すとSi11.33
1.99となる。
【0039】(比較例4)実施例1において、アマニ油
の添加量を20gにした以外は同様にして焼成を行っ
た。得られた焼成物は団塊状であったが、これを粉砕し
て平均粒径15μmの黒色粉末を得た。焼成物の真密度
は1.95g/cm3 であり、X線回析分析では結晶性を示
さず、不定型(アモルファス)であった。化学分析の結
果、この焼成物の組成はケイ素38%、炭素17%、酸
素45%であり、これを示性式で表すとSi11.04
2.07となる。
【0040】(比較例5)実施例1において、アマニ油
に替えて椿油(ヨウ素価80、凝固点−20℃)を有機
化合物として用いた。この椿油の添加量は100gとし
た。実施例1と同様にして焼成を行った結果、団塊状の
焼成物が得られ、これを粉砕して平均粒径20μmの黒
色粉末を得た。焼成物の真密度は2.02g/cm3 であ
り、X線回析分析では結晶性を示さず、不定型(アモル
ファス)であった。化学分析の結果、この焼成物の組成
はケイ素38%、炭素17%、酸素45%であり、これ
を示性式で表すとSi11.391.94となる。
【0041】以上の実施例1乃至6、及び比較例1乃至
5に係る焼成物について、電気化学的にリチウムイオン
の吸蔵・放出が起こることを確認するために、各焼成物
を用いた実験用のコイン型電池を組み立てて、その放電
容量値を測定した。
【0042】まず、前記焼成物と導電助剤であるカーボ
ンブラックとを、95対5(重量比)で混合し、これに
バインダーを加えて乾燥させてから、粉砕してペレット
成型した。バインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン
(PVDF)が12%になるようにN−メチルピロリド
ン(NMP)に溶解させた溶液を用い、これを上記混合
粉末に対しPVDFが10重量比になるように混合し
た。上記ペレットおよび対極としてのリチウム箔を、ポ
リエチレン製セパレータを介してコイン型電池に組み込
んだ。電解液は、1モル濃度でLiPF6 をエチレンカ
ーボネート(EC),プロピレンカーボネート(P
C),ジメトオキシエタン(DME)の1対1対1(体
積比)とした溶液に溶解させたものを用いた。放充電条
件は、放電を電流密度0.05mA/cm2 、1.5V終止電
圧、充電を電流密度0.2mA/cm2 、低電圧0.01Vと
する定電圧/定電流充電として24時間行った。
【0043】実施例1乃至6、及び比較例1乃至5に係
る焼成組成物のリチウムイオンに対する電気化学的特性
を評価するために、これを活物質とする電池の充放電特
性の測定結果を放電容量(mAh/g)として表1に示
す。なお、充放電の繰り返しサイクルを10回行った結
果、各回の測定値は初回を除いていずれも±1.0%以内
であったので、表1では代表値のみを標示している。図
3に、実施例1に係る電池の放電容量と電圧との関係
(放電特性)を示す。
【0044】
【表1】
【0045】表1より、実施例1乃至6に係る焼成物か
らなる電池は、比較例1乃至5の電池に比べて大きな充
放電容量を示しており、従ってこれら焼成物がリチウム
イオン電池の電極用活物質として好適であることがわか
る。また、実施例1乃至6に係る焼成物は、リチウムイ
オン電池の主要な電極材料である黒鉛(グラファイト)
の理論放電容量の372mAh/gと比較しても優れた
値を示しており、この点においても、これら焼成物がリ
チウムイオン電池の電極用活物質として好適であること
がわかる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るリチ
ウムイオン電池の電極用活物質材料は、優れた方充電特
性を有するため、リチウムイオン電池の高エネルギー密
度化に大いに寄与し得る。その上で、1種のモノアルキ
ルシランのみを原料としているので、従来形態のごとく
複数種の有機シランを原料とし、かつ、その使用比率を
限定するものと比べて、製造工程の簡便さと原材料コス
トの安価さによって製造コストを削減して、安価にリチ
ウムイオン電池の活物質材料を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るリチウムイオン電池の電極用活物
質材料の製造方法を示すフローチャートである。
【図2】焼成物の電子顕微鏡写真である。
【図3】放電容量を示す電気量(mAh/g)と電圧
(V)の関係図である。
フロントページの続き (72)発明者 近藤 二郎 兵庫県神戸市垂水区青山台2丁目9番28号 (72)発明者 小菓 忠史 大阪府泉南郡熊取町大久保920番地101 Fターム(参考) 5H029 AJ01 AJ14 AK02 AL02 AL12 AM03 AM04 AM05 AM07 CJ02 CJ08 CJ11 DJ16 DJ18 HJ01 5H050 AA01 AA19 BA17 CA02 CB02 CB12 FA17 FA20 GA02 GA10 GA11 HA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3官能のモノアルキルシランを重合させ
    て、モノアルキルポリシロキサンを得る重合工程と、 前記モノアルキルポリシロキサンに有機化合物を加え、
    両者を攪拌混合して混練物を得る攪拌混合工程と、 前記混練物を不活性雰囲気下で加熱処理する加熱工程と
    によって得られるリチウムイオン電池の電極用活物質材
    料であり、 前記攪拌混合工程において加えられる有機化合物が、常
    温で液状体であり、加熱によって硬化、或いは粘度の高
    くなる特質を有する脂肪酸油であることを特徴とするリ
    チウムイオン電池の電極用活物質材料。
  2. 【請求項2】 前記攪拌混合工程において、モノアルキ
    ルポリシロキサン100重量部に対して、有機化合物を
    25〜150重量部添加するようにしてある請求項1記
    載のリチウムイオン電池の電極用活物質材料。
  3. 【請求項3】 前記脂肪酸油が、アマニ油である請求項
    1又は2記載のリチウムイオン電池の電極用活物質材
    料。
  4. 【請求項4】 前記有機化合物が、熱硬化樹脂である請
    求項1又は2記載のリチウムイオン電池の電極用活物質
    材料。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011013851A1 (ja) * 2009-07-31 2011-02-03 東レ・ダウコーニング株式会社 電極活物質、電極、および蓄電デバイス
JP2015220029A (ja) * 2014-05-15 2015-12-07 Tdk株式会社 リチウムイオン二次電池用負極活物質及びそれを有するリチウムイオン二次電池
CN112467098A (zh) * 2020-10-30 2021-03-09 合肥国轩高科动力能源有限公司 一种高容量稳定性好的硅碳负极材料及其制备方法

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