JP2003141785A - 光記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

光記録媒体およびその製造方法

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JP2003141785A
JP2003141785A JP2001341418A JP2001341418A JP2003141785A JP 2003141785 A JP2003141785 A JP 2003141785A JP 2001341418 A JP2001341418 A JP 2001341418A JP 2001341418 A JP2001341418 A JP 2001341418A JP 2003141785 A JP2003141785 A JP 2003141785A
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sheet
substrate
outer diameter
recording medium
optical recording
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JP2001341418A
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English (en)
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Yoshio Shirai
良男 白井
Minoru Kikuchi
稔 菊地
Mitsuhiro Abe
光浩 阿部
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板上に、情報信号部を含んだ成膜と、情報
信号の記録および/または再生に用いられるレーザ光を
透過可能に構成された光透過層用のシートとを備えた光
記録媒体において、製造上の様々な外乱の最悪な組み合
わせの下でも、成膜面のエッジがシートエッジからはみ
出すことがないようにする。 【解決手段】 前記シートの打ち抜き工程時の寸法ばら
つきCにより最小値となるシート外径S−Cから貼り合
わせ時の最大ずれ量Bを差し引いた外径寸法が、基板成
形工程時の寸法ばらつきAにより最大値となる基板外径
120.0+A以上となる光透過層用のシートの外径寸
法Sを演算し、該演算により求められた外径寸法Sの光
透過層用のシートと、前記成膜とを貼り合わせて製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、信頼性が高く大
容量化を図ることができる光記録媒体およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報記録の分野において、光学情
報記録方式に関するさまざまな研究、開発が、各所で進
められている。この光学情報記録方式は、非接触で記録
および/または再生を行うことができるとともに、磁気
記録方式に比して一桁以上高い記録密度を達成可能であ
るという利点を有している。
【0003】また、この光学情報記録方式は、再生専用
型、追記型、書換可能型などのそれぞれのメモリ形態に
対応可能であるという、さらなる利点をも有する。その
ため、安価な大容量ファイルの実現を可能とする方式と
して、産業用から民生用まで幅広い用途への適用が考え
られている。
【0004】その中でも特に、再生専用型のメモリ形態
に対応した光ディスクであるディジタルオーディオディ
スク(DAD)や光学式ビデオディスクなどは、現在広
く普及している。
【0005】ディジタルオーディオディスクなどの光デ
ィスクは、情報信号を示すピットやグルーブなどの凹凸
パターンが形成された光透過性を有するディスク基板上
に、アルミニウム(Al)膜などの金属薄膜からなる反
射膜と、さらにこの反射膜を大気中の水分(H2O)や
酸素(O2)から保護するための保護膜とが設けられた
構成を有する。
【0006】そして、この光ディスクにおける情報信号
の再生時には、ディスク基板側から凹凸パターンに向け
てレーザ光などの再生光を照射し、この再生光による入
射光と戻り光との反射率の差によって情報信号を検出す
る。
【0007】そして、このような光ディスクを製造する
際には、まず、射出成形法により凹凸パターンを有する
ディスク基板を形成する。次に、真空蒸着法により、光
ディスク基板上に金属薄膜からなる反射膜を形成する。
次に、この反射膜の上層に紫外線硬化樹脂を塗布するこ
とにより保護膜を形成する。
【0008】近年、このような光学情報記録方式におい
ては、さらなる高記録密度化が要求されている。そし
て、この高記録密度化の要求に対応するために、光学ピ
ックアップの再生光の照射時に用いられる対物レンズの
開口数(NA)を大きくすることによって、再生光のス
ポット径の小径化を図る技術が提案された。
【0009】すなわち、例えば従来のDADの再生時に
用いられる対物レンズのNAが0.45であるのに対
し、この従来のDADの6〜8倍の記録容量を有するD
VD(Digital Versatile Dis
c)といった光学式ビデオディスクでは再生時に用いら
れる対物レンズのNAを0.60程度として、スポット
径の小径化が図られる。
【0010】このような対物レンズにおける高NA化を
進めていくと、照射される再生光を透過させるために、
光ディスクにおけるディスク基板を薄くする必要が生じ
る。これは、光学ピックアップの光軸に対してディスク
面の垂直からずれる角度(チルト角)の許容量が小さく
なるためであり、さらに、このチルト角がディスク基板
の厚さによる収差や複屈折の影響を受け易いためであ
る。
【0011】したがって、ディスク基板を薄くすること
によって、チルト角がなるべく小さくなるようにする。
例えば、上述したDADにおいては、基板の厚さは1.
2mm程度とされている。これに対し、DADの6〜8
倍の記録容量を有するDVDなどの光学式ビデオディス
クにおいては、基板の厚さは0.6mm程度とされてい
る。
【0012】そして、今後のさらなる高記録密度化の要
求を考慮すると、基板のさらなる薄形化が必要になる。
そこで、基板の一主面に凹凸を形成して情報信号部と
し、この情報信号部上に、反射膜と、光を透過可能な薄
膜からなる光透過層とを順次積層し、光透過層側から再
生光を照射することにより情報信号の再生を行うように
構成された光ディスクが提案されている。
【0013】このような光透過層側から再生光を照射し
て情報信号の再生を行うようにした光ディスクにおいて
は、光透過層の薄膜化を図ることによって対物レンズの
高NA化に対応することができる。
【0014】ところが、光透過層の薄膜化を行うと、光
ディスクの製造に一般に用いられる、熱可塑性樹脂を用
いた射出成形法により光透過層を形成することが困難に
なる。すなわち、従来の技術を採用して、複屈折を小さ
く保ちつつ、良好な透明性が維持された、0.1mm程
度の光透過層を形成することは、非常に困難である。
【0015】そこで、光透過層を、紫外線硬化樹脂によ
り形成する方法が提案された。ところが、光透過層を紫
外線硬化樹脂により形成する場合、光透過層を基板表面
において均一な膜厚にすることは非常に困難である。そ
のため、情報信号の再生を安定して行うことが困難にな
ってしまう。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】さらに、弾性体からな
るパッドと金属からなる平面ステージとを有して構成さ
れる貼り合わせ装置を用い、円盤状の光透過性シートと
基板とをプレスすることによって、光透過層を貼り合わ
せる方法が提案された。
【0017】しかしながら、この方法では、光透過性シ
ートと基板とが等しい大きさの場合は、精度良く貼り合
わせるのが非常に困難である。そして貼り合わせズレが
生じた場合には、光透過層が覆われていない部分から腐
食が発生し、反対側の光透過層がはみ出た部分では美観
状の問題以外にも、その部分が何者かに接触した場合に
基板から光透過層が剥がれ易くなるという問題がある。
【0018】例えば情報信号部を含む成膜面のエッジが
光透過性シートからはみ出していた場合、以下のような
不具合が考えられる。
【0019】・シートによって被覆されていない膜面が
大気中の水分によって腐食する。
【0020】・シートによって被覆されていない膜面に
異物が付着する。
【0021】・シートによって被覆されていない膜面と
異物との接触による傷が生じる。
【0022】・上述のような不具合が発生する場合、程
度にもよるが最外周部の正確なデータの読み書きが出来
なくなる。
【0023】・このような危険を回避する為に、成膜エ
リアの最外周径をより内周側に設計しなければならなく
なることにより、光記録媒体としての記録容量を減ずる
こととなる。
【0024】また逆に光透過性シートのエッジが基板エ
ッジよりもはみ出していた場合、以下のような不具合が
考えられる。
【0025】・はみ出したシートの接着層部分にダスト
や異物が付着してしまう。
【0026】・はみ出したシートがカートリッジ内壁と
衝突を繰り返すことにより、シートが基板から剥離また
は変形する。
【0027】・はみ出したシートの部分を手で触り、過
剰な圧力が加わることによりシートが基板から剥離また
は変形する。
【0028】・上述の剥離、変形した場合、程度にもよ
るが最外周部分の正確なデータの読み書きは出来なくな
る。
【0029】したがって、この発明の目的は、ディスク
基板とシートとを貼り合わせることにより、ディスク基
板上に光透過層が形成された光ディスクにおいて、ディ
スク基板の外形とシートの外形が完全に等しく形成する
ことによって薄型化され、小複屈折で、透明性良好で厚
さも均一な光透過層を有し、対物レンズの高NA化に十
分対応可能で、高信頼性を有しつつ大容量化可能な光デ
ィスクを製造することができる、光記録媒体およびその
製造方法を提供することにある。
【0030】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の光記録媒体の製造方法は、基板上に、情報信
号を記録可能および/または再生可能に構成された情報
信号部と、前記情報信号の記録および/または再生に用
いられるレーザ光を透過可能に構成された光透過層とを
備えた光記録媒体の製造方法において、前記情報信号部
を含む膜の成膜外径寸法よりも大きい前記光透過層用の
シートの外径寸法を求める演算を行い、該演算により求
められた外径寸法の光透過層用のシートと、基板上に形
成された情報信号部を含む膜とを貼り合わせて製造する
ことを特徴としている。
【0031】また前記光透過層用のシートの外径寸法を
求める演算は、前記シートの打ち抜き工程時の寸法ばら
つきにより最小値となるシート外径から貼り合わせ時の
最大ずれ量を差し引いた外径寸法が、基板成形工程時の
寸法ばらつきにより最大値となる基板外径以上となる外
径寸法を演算するものであることを特徴としている。
【0032】また、基板上に、情報信号を記録可能およ
び/または再生可能に構成された情報信号部と、前記情
報信号の記録および/または再生に用いられるレーザ光
を透過可能に構成された光透過層とを備えた光記録媒体
の製造方法において、前記基板の外径寸法よりも小さい
前記光透過層用のシートの外径寸法を求める演算を行
い、該演算により求められた外径寸法の光透過層用のシ
ートと、基板上に形成された情報信号部を含む膜とを貼
り合わせて製造することを特徴としている。
【0033】また前記光透過層用のシートの外径寸法を
求める演算は、成膜時の寸法ばらつきにより最大値とな
る成膜外径寸法に、前記シートの打ち抜き工程時の最大
寸法ばらつきと、貼り合わせ時の最大ずれ量の2倍の寸
法とを加算した外径寸法よりも大きく、且つ、基板成形
工程時の寸法ばらつきにより最小値となる基板外径か
ら、シートの打ち抜き工程時の最大寸法ばらつきと、貼
り合わせ時の最大ずれ量の2倍の寸法とを減算した外径
寸法よりも小さい外径寸法を演算するものであることを
特徴としている。
【0034】また前記光透過用のシートの、前記基板上
に形成された情報信号部を含む膜側の面に均一な厚みで
形成した接着剤層を介して貼り合わせを行った後、前記
シートの、基板からはみ出た外周部分を除去することを
特徴としている。
【0035】また前記貼り合わせを行った後、前記基板
の外周エッジ部と前記光透過用のシートの接着部に紫外
線硬化樹脂から成る封入部を形成し、その後前記シート
の、基板からはみ出た外周部分を除去することを特徴と
している。
【0036】また前記接着剤層は透明な感圧性粘着剤が
用いられていることを特徴としている。
【0037】また本発明の光記録媒体は、基板上に、情
報信号を記録可能および/または再生可能に構成された
情報信号部と、前記情報信号の記録および/または再生
に用いられるレーザ光を透過可能に構成された光透過層
とを備えた光記録媒体であって、前記基板の外径寸法よ
りも大きい外径を有した前記光透過層用のシートに、接
着剤層を均一な厚みで形成し、該接着剤層を介して前記
基板上の情報信号部と前記光透過層用のシートとを貼り
合わせた後、前記シートの、基板からはみ出た外周部分
を除去して作成されたことを特徴としている。
【0038】また前記基板上の情報信号部と前記光透過
層用のシートとの貼り合わせ後に、前記基板の外周エッ
ジ部と前記光透過用のシートの接着部に紫外線硬化樹脂
から成る封入部を形成し、その後前記シートの、基板か
らはみ出た外周部分を除去して作成されたことを特徴と
している。
【0039】この発明において、製造される光ディスク
における反りや歪みを最小限にするために、好適には、
光透過層用のシートは、基板に用いられる材料と同種の
材料から構成される。また前記シートの厚さは、典型的
には、基板の厚さより小さくなるように構成され、具体
的には、30μm以上150μm以下から選ばれる。
【0040】また、この発明において、ディスク基板
は、具体的には、ポリカーボネート(PC)やシクロオ
レフィンポリマーなどの低吸水性の樹脂が用いられ、ま
た前記シートは、好適には、ディスク基板と同じ材料か
ら構成される。
【0041】なお、基板に用いられる材料としては、例
えばアルミニウム(Al)などの金属からなる基板や、
ガラス基板、あるいは、ポリオレフィン、ポリイミド、
ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレ
ンテレフタレート(PET)などの樹脂からなる基板を
用いることも可能である。
【0042】また、前記シートは、典型的には、ポリカ
ーボネート樹脂からなるが、その他の樹脂材料から構成
することも可能である。
【0043】この発明において、シート保持手段におけ
る載置面上に異物が存在した場合でも、その異物により
光透過層用のシートに影響が及ぼされるのを防止するた
めに、好適には、シートを、光透過性シートと、接着層
と、光透過性シートの接着層が設けられた側とは反対側
の面に設けられた光透過性シートを保護する保護層とか
ら構成する。
【0044】また、この保護層は、好ましくはポリエチ
レンテレフタレート(PET)シートやポリエチレンナ
フタレート(PEN)シートなどからなる。より具体的
には、このPETシートやPENシートなどの保護フィ
ルムの少なくとも一方の面に第2の粘着剤が被着され、
この第2の粘着剤が被着された面を光透過性シートの一
面に接着させて、ディスク基板に貼り合わせられるシー
トが構成される。
【0045】この発明において、典型的には、前記光透
過性シートは、少なくとも情報信号の記録/再生に用い
られる。GaN系半導体レーザ(発光波長400nm
帯、青色発光)、ZnSe系半導体レーザ(発光波長5
00nm帯、緑色)、またはAlGaInP系半導体レ
ーザ(発光波長635〜680nm程度、赤色)などか
ら照射されるレーザ光を、透過可能な非磁性材料からな
り、具体的には、ポリカーボネートなどの光透過性を有
する熱可塑性樹脂からなる。
【0046】この発明は、好適には、DVR(Digi
tal Video Recording syste
m)などの、薄い光透過層を有する光ディスクに適用す
ることができ、発光波長が650nm程度の半導体レー
ザを用いて情報信号の記録や再生を行うように構成され
た、いわゆるDVRredや、発光波長が400nm程
度の半導体レーザを用いて情報信号の記録や再生を行う
ように構成された、いわゆるDVRblueなどの光デ
ィスクに適用することが可能である。
【0047】このDVRは、好ましくは、2個のレンズ
を直列に組み合わせることによりNAを0.85程度に
まで高めた対物レンズを用いて、情報信号を記録可能に
構成されており、具体的には、片面で22GB程度の記
憶容量を有する。また、このDVRなど、この発明の適
用が好ましい光ディスクは、好適にはカートリッジに納
められているが、この発明の適用は、必ずしもカートリ
ッジに納められているものに限定されるものではない。
【0048】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態例を図面
を参照しながら説明する。まず請求項1、2に記載の発
明の実施形態例を説明する。光記録媒体における光透過
層用シートの張り合わせには下記に示すような様々な外
乱がある。
【0049】・成形基板の外径寸法のばらつき ・貼り合わせ装置による貼り合わせ位置出し精度(貼り
ズレ量) ・シート連続打ち抜き時の寸法ばらつき ・成膜エリア外径寸法ばらつき。
【0050】従来は上述の外乱を出来る限り小さくする
ように設計を行っていたが、各外乱の最悪な組み合わせ
の下では、成膜面のエッジがシートエッジからはみ出し
てしまうことがあった。その為に、高温高湿加速試験な
どで該当箇所の腐食等が発生し、信頼性に課題を抱えて
いた。
【0051】そこで本実施形態例では、以下に述べる製
造方法によって、上述のような様々な外乱の最悪な組み
合わせの下でも、成膜面のエッジがシートエッジからは
み出すことなく、成膜面が全てシートに覆われた信頼性
に優れた光記録媒体を供給できるようにした。
【0052】すなわち本実施形態例では、図1に示すよ
うに、基板11上に情報信号部を含む成膜面12を形成
し、該成膜面12と、成膜外径寸法よりも大きい外径寸
法の光透過層(光透過性シート)13とを貼り合わせる
ように構成した。
【0053】まず始めに光透過層用シートの張り合わせ
時に発生する外乱を整理する。
【0054】ここではφ120の光記録媒体を製造する
事を例にあげて説明する。
【0055】条件1.成形基板の外径寸法のばらつきA
…120.0±Amm(具体例;120.0±0.1m
m) 条件2.貼り合わせ装置による貼りズレ量B…±Bmm
(具体例;±0.07mm) 条件3.シート連続打ち抜き時の寸法ばらつきC…±C
mm(具体例;S±0.03mm) 条件4.成膜エリアの外径寸法D…Dmm(具体例;1
19.0±0.1mm) 条件5.シート設計外径寸法S…Smm 成膜エリアの外径寸法は最大で成形基板の外径寸法と同
じになるので、ここでは成膜エリアが基板最外周まで来
ていると仮定し、計算を簡単にする為にも前記条件4の
Dは無視することとする。
【0056】上述の外乱において、成膜面(基板)のエ
ッジがシートエッジからはみ出す可能性の一番高い組み
合わせは、図2(b)の模式図に示すように、 1.成形基板の外径が最大値を取る時…120.0+A
mm(具体例;120.1mm) 2.貼りズレ量が最大値を取る時…Bmm(具体例;
0.07mm) 3.シート外径が最小値を取る時…S−Cmm(具体
例;S−0.03mm) の時である。この最悪な組み合わせの下でもシートが基
板(成膜)全体をカバーするには、 {(S−C)/2}−B≧(120.0+A)/2…(1) の式が成り立つようにSを決めてやればよいことにな
る。
【0057】すなわち(1)式は、シート打ち抜き時の
寸法ばらつきを考慮した最小シート外径から最大貼りズ
レ量を差し引いた値が最大成形基板外径以上であること
を示している。
【0058】この(1)式を演算すると {(S−C)/2}−B≧(120.0+A)/2 (S−C)−2B≧120.0+A S≧120.0+A+2B+C となる。
【0059】これを具体的な数値を当てはめて計算する
と、 A=0.1mm B=0.07mm C=0.03mm S≧120.0+0.1+(2×0.07)+0.03 S≧120.27mm この場合ではシートの外形寸法を120.27mm以上
に設計しておけば、前述のような最悪の組み合わせの下
でも成膜面(基板エッジ)は常に光透過性シートに覆わ
れることになる。その結果、信頼性や経時変化に強い光
記録媒体を得ることが可能となる。
【0060】本実施形態例では、前記条件(1)〜
(4)の外乱があるものと仮定して光透過性シートの外
径寸法の算出を行ったが、本発明の趣旨はこれにとらわ
れるものでは無い。前記4項目以外にも外乱が考えられ
る場合もあるし、プロセスが異なれば外乱自体も変更す
る可能性がある。だがどの場合でも、上述の様な計算を
行い、最悪な組み合わせの下で光透過性シートが基板全
面を覆うように設計された外径寸法を持つシートを使用
することが本発明の趣旨である。
【0061】前記光透過性シートは、図3(a)に示す
ような4層構造や図3(b)に示すような5層構造のシ
ートを用いる。前記図3(a)の光透過性シートと基板
とを貼り合わせる際の手順は図4のとおりである。
【0062】すなわちまず図4(a)のように、4層構
造からなる光透過性シート原反を用意し、この原反から
ドーナツ状にシートを打ち抜く。この時打ち抜きに使用
した打ち抜き金型の外径寸法を以下のようにする。
【0063】・実施形態例:シート外径寸法…120.
3mm ・比較例:シート外径寸法…120.0mm(基板外径
寸法と同一) ちなみにそれ以外の条件は下記の通りとする。
【0064】・基板外径寸法…120.0mm ・成形基板の外径寸法のばらつき…±0.1mm ・貼り合わせ装置による貼りズレ量…±0.07mm ・シート連続打ち抜き時の寸法ばらつき…±0.03m
m。
【0065】次に図4(b)のように、準備したドーナ
ツ状シートの感圧性接着層側の保護フィルム2(剥離フ
ィルム)を剥離する。そしてむき出しになった感圧性接
着層を上にした状態で、例えば図5に示す貼り合わせ装
置のように、シート21のセンターと固定ステージ22
のセンターピン23の中心が合うようにして固定ステー
ジ22に載せる。
【0066】次に図示省略のバキュームをONにしてシ
ート21を固定ステージ22に吸着固定させる。続いて
シート21の上から基板24のセンターホール24aと
固定ステージ22のセンターピン23の中心が合うよう
にして、記録面を下にした状態で基板24をセットす
る。この時基板24の内周エッジは固定ステージ22に
設けられた外周ピン25の上に載っており、シート21
と基板24が接触しないようになっている。
【0067】ちなみに外周ピン25はパッド26の圧力
により容易に下降するようになっており、プレス完了時
には基板24とシート21が平行に接触するようになっ
ている。基板24が設置されたら、円錐パッド26など
を用いて基板24を記録面とは反対の面からプレスを行
い、図4(c)のようにシート21と基板24の貼り合
わせを行った。最後に図4(d)のようにプロテクター
としての保護フィルム1を除去した。
【0068】上述の方法で実施形態例と比較例でそれぞ
れ10枚ずつ光透過層(カバー層)を形成し、光記録媒
体を得た。このようにして得られた光記録媒体を恒温槽
に投入し、規定時間経過後にディスクを取り出し腐食の
状態を観察した。その結果を次の表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】比較例で腐食が発生しているディスクを観
察すると、腐食は全て外周部の貼りズレによって成膜表
面がシートエッジよりも外側にはみ出しむき出しになっ
ている箇所で発生していた。これにより実施形態例で作
製した光記録媒体の信頼性が向上していることが分か
る。
【0071】次に請求項3、4に記載の発明の実施形態
例を説明する。従来、前述した光透過層用シートと基板
の貼り合わせにおける外乱の最悪な組み合わせの下で
は、シートのエッジが基板エッジからはみ出してしまう
ことがあった。その為に、光記録媒体をカートリッジに
入れた状態で外部から力を加えて強制的に振動させた場
合、シートがはみ出した箇所にタスト、異物が付着した
り、シートが基板から剥離又は変形してしまうといた不
具合が発生していた。
【0072】そこで本実施形態例では、以下に述べる製
造方法によって、上述のような様々な外乱の最悪な組み
合わせの下でも、シートのエッジが基板エッジからはみ
出すことなく、上述の不具合を解消した信頼性の高い光
記録媒体を供給できるようにした。
【0073】すなわち本実施形態例では、図6に示すよ
うに、基板31上に情報信号部を含む成膜面32を形成
し、該成膜面32と、基板31の外径寸法よりも小さい
外径寸法の光透過層(光透過性シート)33とを貼り合
わせるように構成した。
【0074】まず始めに光透過層用シートの張り合わせ
時に発生する外乱を整理する。
【0075】ここではφ120の光記録媒体を製造する
事を例にあげて説明する。
【0076】条件1.成形基板の外径寸法のばらつきA
…120.0±Amm(具体例;120.0±0.1m
m) 条件2.貼り合わせ装置による貼りズレ量B…±Bmm
(具体例;±0.07mm) 条件3.シート連続打ち抜き時の寸法ばらつきC…±C
mm(具体例;S±0.03mm) 条件4.成膜エリアの外径寸法及びばらつきD,E…D
±Emm(具体例;118.0±0.3mm) 条件5.シート設計外径寸法S…Smm。
【0077】上述の外乱において、シートのエッジが基
板エッジからはみ出す可能性の一番高い組み合わせは、
図7(b)の模式図に示すように、 1.成形基板の外径が最小値を取る時…120.0−A
mm(具体例;119.9mm) 2.貼りズレ量が最大値を取る時…Bmm(具体例;
0.07mm) 3.シート外径が最大値を取る時…S+Cmm(具体
例;S+0.03mm)の時である。
【0078】また、成膜のエッジがシートエッジからは
み出す可能性の一番高い組み合わせは、図8(b)の模
式図に示すように、 2.貼りズレ量が最大値を取る時…Bmm(具体例;
0.07mm) 3.シート外径が最小値を取る時…S−Cmm(具体
例;S−0.03mm) 4.成膜エリア外径が最大値を取る時…D+Emm(具
体例;118.0+0.3mm) の時である。
【0079】この最悪な組み合わせの下でもシートエッ
ジが基板からはみ出さず、尚且つシートが成膜エリアを
カバーするには、 {(S+C)/2}+B<(120.0−A)/2…(2) (D+E)/2<{(S−C)/2}−B…(3) の2式が成り立つようにSを決めてやればよいことにな
る。
【0080】すなわち前記(2)式は、最大シート外径
に最大貼りズレ量を加えた値が最小成形基板外径よりも
小さいことを示している。また前記(3)式は、最大成
膜エリア外径が、最小シート外径から貼りズレ量を差し
引いた値よりも小さいことを示している。
【0081】この(2),(3)式を計算すると、
(2)式より、 {(S+C)/2}+B<(120.0−A)/2 S+C+2B<120.0−A S<120.0−A−2B−C (3)式より、 (D+E)/2<{(S−C)/2}−B D+E<S−C−2B D+E+2B+C<S となり、以上より下記の式が求められる。
【0082】 D+E+2B+C<S<120.0−A−2B−C…(4) これを具体的な数値を当てはめて計算すると、 A=0.1mm B=0.07mm C=0.03mm D=118.0mm E=0.3mm 118.0+0.3+2×0.07+0.03<S<1
20.0−0.1−2×0.07−0.03 118.47<S<119.73。
【0083】この場合ではシートの外形寸法を118.
47mm〜119.73mmの範囲に設計しておけば、
前述のような最悪の組み合わせの下でも成膜面(基板エ
ッジ)は常に光透過性シートに覆われることになる。そ
の結果、成膜面はカバーで覆われ、且つシートのはみ出
しの無いディスクを得ることが可能となる。
【0084】本実施形態例では、前記条件(1)〜
(4)の外乱があるものと仮定して光透過性シートの外
径寸法の算出を行ったが、本発明の趣旨はこれにとらわ
れるものでは無い。前記4項目以外にも外乱が考えられ
る場合もあるし、プロセスが異なれば外乱自体も変更す
る可能性がある。だがどの場合でも、上述の様な計算を
行い、最悪な組み合わせの下で光透過性シートが基板エ
ッジからはみ出さず、尚且つシートが成膜面を覆うよう
に設計された外径寸法を持つシートを使用することが本
発明の趣旨である。
【0085】本実施形態例における光透過性シートの構
成は前記図3と同様であり、光透過性シートと基板との
貼り合わせ手順および貼り合わせ装置は前記図4、図5
と同様である。
【0086】すなわちまず図4(a)のように、4層構
造からなる光透過性シート原反を用意し、この原反から
ドーナツ状にシートを打ち抜く。この時打ち抜きに使用
した打ち抜き金型の外径寸法を以下のようにする。
【0087】・実施形態例:シート外径寸法…119.
5mm ・比較例1:シート外径寸法…120.0mm(基板外
径寸法と同一) ・比較例2:シート外径寸法…119.0mm ちなみにそれ以外の条件は下記の通りとする。
【0088】・基板外径寸法…120.0mm ・成形基板の外径寸法のばらつき…±0.1mm ・貼り合わせ装置による貼りズレ量…±0.07mm ・シート連続打ち抜き時の寸法ばらつき…±0.03m
m ・成膜エリアの寸法…118.0±0.3mm。
【0089】次に図4(b)のように、準備したドーナ
ツ状シートの感圧性接着層側の保護フィルム2(剥離フ
ィルム)を剥離する。そしてむき出しになった感圧性接
着層を上にした状態で、例えば図5に示す貼り合わせ装
置のように、シート21のセンターと固定ステージ22
のセンターピン23の中心が合うようにして固定ステー
ジ22に載せる。
【0090】次に図示省略のバキュームをONにしてシ
ート21を固定ステージ22に吸着固定させる。続いて
シート21の上から基板24のセンターホール24aと
固定ステージ22のセンターピン23の中心が合うよう
にして、記録面を下にした状態で基板24をセットす
る。この時基板24の内周エッジは固定ステージ22に
設けられた外周ピン25の上に載っており、シート21
と基板24が接触しないようになっている。
【0091】また外周ピン25はパッド26の圧力によ
り容易に下降するようになっており、プレス完了時には
基板24とシート21が平行に接触するようになってい
る。基板24が設置されたら、円錐パッド26などを用
いて基板24を記録面とは反対の面からプレスを行い、
図4(c)のようにシート21と基板24の貼り合わせ
を行った。最後に図4(d)のようにプロテクターとし
ての保護フィルム1を除去した。
【0092】上述の方法で実施形態例と比較例でそれぞ
れ10枚ずつ光透過層(カバー層)を形成し、光記録媒
体を得た。このようにして得られた光記録媒体をカート
リッジに入れ、カートリッジを水平に保った状態で前後
左右に振動試験を行った。振動試験の後、高温高湿加速
試験に投入し、規定時間後にディスクを取り出して外観
検査を実施した。その結果を次の表2に示す。
【0093】
【表2】
【0094】実施形態例では振動試験+加速試験による
シートの剥がれや腐食は発生していなかった。比較例1
ではシート剥がれ及びシート剥がれによる成膜面の露出
に起因する腐食が発生していた。シート剥がれが発生し
たのはいずれも基板エッジよりもシートエッジがはみ出
していた部分であった。また比較例2では、シートのは
み出しは無かったが、成膜面エッジがシートエッジから
はみ出した箇所で腐食が発生していた。
【0095】この結果より、実施形態例で作製した光記
録媒体はカートリッジに梱包された場合の振動にも強
く、シートの剥がれが発生しない為に、信頼性も向上し
ていることが分かる。
【0096】次に請求項5〜14に記載の発明の実施形
態例を説明する。まず図9に示すように、光透過層の形
成が行われるディスク基板41を用意する。このディス
ク基板41は、レプリカ基板41aの中心部にセンター
ホール41bが形成されており、凹凸が形成された一主
面上に情報信号部41cが設けられている。
【0097】レプリカ基板41aは、所定のスタンパを
用いた射出成形法により作成されたものである。このレ
プリカ基板41aの厚さは、例えば0.6〜1.2mm
である。また、レプリカ基板41aの材料としては、例
えばポリカーボネートやシクロオレフィンポリマー(例
えば、ゼオネックス(登録商標))などの低吸水性の樹
脂が用いられる。
【0098】なお、レプリカ基板41aとして、例えば
アルミニウム(Al)などの金属からなる基板や、ガラ
ス基板、あるいは、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリ
アミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテ
レフタレートなどの樹脂からなる基板を用いることも可
能である。
【0099】また、レプリカ基板41aの一主面に形成
された凹凸部上に、記録膜や反射膜などが成膜されてお
り、これにより情報信号部41cが形成されている。こ
の情報信号部41cは、反射膜、光磁気材料からなる
膜、相変化材料からなる膜、または有機色素膜などから
なる。これらのうち、反射膜の材料としては、例えば、
Alなどが用いられる。
【0100】具体的には、最終製品としての光ディスク
が再生専用(ROM(Read Only Memor
y))の光ディスクである場合、情報信号部4lcは、
例えばAlなどからなる反射層を少なくとも有する、単
層膜または積層膜から構成される。他方、最終製品とし
ての光ディスクが書き換え可能型光ディスクである場合
には、情報信号部41cは、光磁気材料からなる膜や相
変化材料からなる膜を少なくとも有する単層膜もしくは
積層膜から構成され、追記型光ディスクの場合には、例
えば有機色素材料からなる膜を少なくとも有する単層膜
もしくは積層膜から構成される。
【0101】ここで、この実施形態例によるディスク基
板41は、具体的には、レプリカ基板41aとして、例
えば、厚さが1.1mmで円盤状のポリカーボネート
(PC)基板が用いられ、このPC基板の直径(外径)
を例えば120mm、センターホール41bの開口径
(内口径)を例えば15mmとしたものである。
【0102】そして、情報信号部41cとして、膜厚が
100nmのAl合金からなる反射層上に、膜厚が18
nmのZnSとSiO2との混合物からなる第1の誘電
体層、膜厚が24nmのGeSbTe合金層からなる相
変化記録層、膜厚が140nmの硫化亜鉛(ZnS)と
酸化シリコン(SiO2)との混合物(ZnS・SiO
2)からなる第2の誘電体層を順次積層した積層膜を用
いる。
【0103】図10はこの実施形態例による光透過層の
形成に用いられる光透過層を示している。図10におい
て光透過層42は、光透過性シート42aと透明な粘着
剤層42bとが予めラミネートされたシートからなり、
ディスク基板41と同様に、平面円環状に打ち抜かれて
形成された構造を有する。
【0104】ここで、この光透過性シート42aと粘着
剤層42bからなるシート(光透過層42)の寸法の一
例を挙げると、直径(外径)を基板の外形と等しい12
0mmと、基板外形よりも大きい122mmを用意す
る。これらのシートの中心には23mmの孔が形成され
ている。
【0105】また、光透過性シート42aは、例えば、
少なくとも紫外線を透光可能な光学特性を満足した、光
透過性を有する熱可塑性樹脂からなる。この熱可塑性樹
脂は、具体的には、例えばポリカーボネート(PC)
や、またはポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル
酸メチル)などのメタクリル樹脂である。ここでは、ポ
リカーボネートを用いた。また、光透過性シート42a
の厚さは、例えば70μmである。この光透過性シート
42aの厚さは、後述する光透過層の膜厚を考慮して決
定される。
【0106】また、粘着剤層42bは、圧力を加えるこ
とで接着力が発生する感圧性接着剤からなり、具体的に
は、アクリル系、ゴム系、ウレタン系、シリコン系など
の粘着剤を用いることが可能であり、ここでは、アクリ
ル系の粘着剤を用いた。厚さは例えば30μmである。
【0107】次に、ディスク基板41と上記シート(光
透過層42)を、図11に示す方法で貼り合わせる。す
なわち、ディスク基板41を情報記録面が上を向くよう
に固定し、その上に光透過層42を粘着剤層42bが基
板側を向くように配置し、光透過層42を弾性体からな
るローラー43で図中央矢印方向に転がしプレスするこ
とで基板に貼り合わせる。
【0108】これによって図12に示すように、ディス
ク基板41と光透過性シート42aとが貼り合わされ、
ディスク基板41の記録面(情報信号部41c)上に光
透過層42が設けられた光ディスクが製造される。
【0109】実施形態例として、直径(外径)がディス
ク基板41の外形より大きい122mmのシートを用い
て貼り合わせた後、ディスク外周からはみ出た部分を高
出力レーザーで焼き切る除去作業を施したディスクを2
0枚作製した。
【0110】一方比較例として、直径(外径)がディス
ク基板41の外形と等しい120mmのシートを用いて
貼り合わせたディスクを20枚作製した。
【0111】以上のようにして製造された光ディスクに
関して、基板の外形に対する光透過シートの貼りズレ量
を実体顕微鏡で測定した。比較例における貼りズレ量
は、基板に対して光透過性シートがはみ出した部分の最
大値である。一方、実施形態例における貼りズレ量は、
レーザーで焼き切られたシートの、基板外周からはみ出
した部分の最大値である。
【0112】それら測定結果を次の表3に示す。
【0113】
【表3】
【0114】表3において、平均貼りズレ量は、ディス
ク20枚あたりの基板に対してシートのはみ出た部分の
最大量の平均値である。また、標準偏差は、ディスク2
0枚の貼りズレ量の標準偏差である。
【0115】表3から、比較例のディスク基板において
は、平均貼りズレ量が0.267mm、標準偏差が0.
129mmであったのに対し、実施形態例のディスク基
板においては、平均貼りズレ量が0.076mm、標準
偏差が0.032mmまで低減できたことが判る。
【0116】これらのディスクを、80℃、85%の恒
温槽に1000時間投入する加速試験を行い、ディスク
外周部の記録膜の腐食を光学顕微鏡で観察した。
【0117】比較例のディスク基板においては、20枚
中8枚に腐食が発生していたのに対し、実施形態例のデ
ィスク基板には20枚中1枚も腐食が発生していなかっ
た。
【0118】比較例のディスク基板において貼りズレ量
が大きいということは、基板の光透過性シートが形成さ
れていない部分が大きいことを表し、貼りズレが大きい
場合は記録膜が露出し、記録膜に腐食が発生したと考え
られる。一方、実施形態例のディスク基板においては、
ディスクが光透過性シートで完全に覆われているため、
記録膜の露出がなく、記録膜の腐食も発生しないと考え
られる。
【0119】以上の結果から、本実施形態例によるディ
スクにおいては、ディスク基板41の外径よりも大きな
光透過性シート42aに予め接着剤層(粘着財層42
b)を均一な厚みで形成し、ディスク基板41の情報信
号部41cと貼り合わせた後、前記シートの基板からは
み出た外周部分を除去して形成することで、前記基板と
シートの貼りズレが少なく、記録膜外周部が腐食しない
ディスクを作成できる。
【0120】さらに、本実施形態例によるディスクにお
いては、ディスク基板41から光透過性シート42aの
はみ出し部分が小さいために、前記シートはみ出し部に
何物かが接触してシートが剥がれるようなことも無く、
信頼性の高い良好な記録再生特性の光ディスクを得るこ
とができる。
【0121】また、前記基板とシートの剥がれ防止効果
や、記録膜の腐食防止効果をさらに向上させるために、
ディスク基板41の外径よりも大きなシート(42)を
基板の情報信号部(41c)と貼り合わせた後、図13
に示すようにディスク基板41の外周エッジ部の基板と
シート(42)の接着部単面に紫外線硬化樹脂からなる
封入部44を形成し、その後シートの前記基板41から
はみ出た外周部分を除去して形成することが有効であ
る。
【0122】以上、この発明の一実施形態例について具
体的に説明したが、この発明は、上述の一実施形態例に
限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づ
く各種の変形が可能である。
【0123】例えば、上述の一実施形態例において挙げ
た数値、材料、光ディスクの構成はあくまでも例に過ぎ
ず、必要に応じてこれと異なる数値、材料、光ディスク
の構成を用いてもよい。
【0124】また、上述の一実施形態例においては、こ
の発明を、光透過層を有する光ディスクに適用するよう
にしているが、光磁気記録再生を採用した光ハードディ
スクや、リムーバブル光ハードディスクに適用すること
も可能である。
【0125】また、上述の一実施形態例においては、こ
の発明を、相変化を利用して情報信号の記録を行うよう
にした相変化型光ディスクに適用するようにしている
が、この発明の技術的思想の範囲内において、この発明
を、その他の書換可能型光ディスク、追記型光ディス
ク、または再生専用型光ディスクに適用することも可能
である。
【0126】また、上述の一実施形態例による光ディス
クの製造後、必要に応じて、ディスク基板41の他主
面、すなわちレプリカ基板41aの光透過性シート42
aが設けられていない側の主面に、前記と同様にして、
粘着剤を介して、光透過性シート42a側をディスク基
板41の他主面に接着させて貼り合わせることにより、
ディスク基板41の他主面上にさらに光透過層を形成す
ることも可能である。
【0127】
【発明の効果】(1)以上のように請求項1、2の発明
によれば、情報信号部を含む膜の成膜は常に光透過層用
のシートで覆われるので、異物の付着、傷の発生および
腐食等が防止され、信頼性の高い光記録媒体を製造する
ことができる。
【0128】また、情報信号部を含む膜の成膜エリアを
基板の最外周部位まで広げることができ、光記録媒体と
しての記録容量が増大する。 (2)また請求項3、4の発明によれば、光透過層用の
シートが基板外周からはみ出すことはないので、はみ出
したシートに異物が付着したり、シートが基板から剥離
又は変形することを防止することができ、信頼性の高い
光記録媒体を製造することができる。 (3)また請求項5〜14の発明によれば、基板の外径
よりも大きなシートに予め接着剤層を均一な厚みで形成
し、基板の情報信号部と貼り合わせた後、シートの基板
からはみ出た外周部分を除去して形成することで、基板
とシートの貼りズレが少なく、記録膜外周部が腐食しな
いディスクを作成できる。
【0129】さらに、本発明によるディスクにおいて
は、基板からシートのはみ出し部分が小さいために、シ
ートはみ出し部に何物かが接触してシートが剥がれるよ
うなことも無く、信頼性の高い良好な記録再生特性の光
ディスクを得ることができる。
【0130】よって、長期使用においても高い信頼性を
確保し、記録および/または再生時に用いられる対物レ
ンズの高NA化に対応可能で、小複屈折、透明性良好で
均一な膜厚の光透過層を有する光記録媒体を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例を適用した光記録媒体の
要部断面図。
【図2】本発明の一実施形態例を説明するための基板
径、シート径および貼りズレ量の関係を示す模式図。
【図3】本発明の実施形態例におけるシートの構造を示
す構成図。
【図4】本発明の実施形態例における基板とシートの貼
り合わせ手順を示す説明図。
【図5】本発明で用いる貼り合わせ装置の一例を示す構
成図。
【図6】本発明の他の実施形態例を適用した光記録媒体
の要部断面図。
【図7】本発明の他の実施形態例を説明するための基板
径、シート径および貼りズレ量の関係を示す模式図。
【図8】本発明の他の実施形態例を説明するためのシー
ト径、成膜径および貼りズレ量の関係を示す模式図。
【図9】本発明の他の実施形態例のディスク基板を示す
断面図。
【図10】本発明の他の実施形態例のシート(光透過
層)を示す断面図。
【図11】本発明の他の実施形態例における製造方法の
一例を示す説明図。
【図12】本発明の他の実施形態例による光ディスクを
示す断面図。
【図13】本発明の他の実施形態例における製造方法の
他の例を示す説明図。
【符号の説明】
11,31…基板、12,32…成膜面、13,33,
42…光透過層、41…ディスク基板、41a…レプリ
カ基板、41b…センターホール、41c…情報信号
部、42a…光透過性シート、42b…粘着剤層、42
c…貫通孔、43…ローラー、44…封入部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 光浩 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 5D029 LB01 LB04 LB05 LB17 5D121 AA04 FF03 FF04 FF20

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、情報信号を記録可能および/
    または再生可能に構成された情報信号部と、前記情報信
    号の記録および/または再生に用いられるレーザ光を透
    過可能に構成された光透過層とを備えた光記録媒体の製
    造方法において、 前記情報信号部を含む膜の成膜外径寸法よりも大きい前
    記光透過層用のシートの外径寸法を求める演算を行い、
    該演算により求められた外径寸法の光透過層用のシート
    と、基板上に形成された情報信号部を含む膜とを貼り合
    わせて製造することを特徴とする光記録媒体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記光透過層用のシートの外径寸法を求
    める演算は、前記シートの打ち抜き工程時の寸法ばらつ
    きにより最小値となるシート外径から貼り合わせ時の最
    大ずれ量を差し引いた外径寸法が、基板成形工程時の寸
    法ばらつきにより最大値となる基板外径以上となる外径
    寸法を演算するものであることを特徴とする請求項1に
    記載の光記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 基板上に、情報信号を記録可能および/
    または再生可能に構成された情報信号部と、前記情報信
    号の記録および/または再生に用いられるレーザ光を透
    過可能に構成された光透過層とを備えた光記録媒体の製
    造方法において、 前記基板の外径寸法よりも小さい前記光透過層用のシー
    トの外径寸法を求める演算を行い、該演算により求めら
    れた外径寸法の光透過層用のシートと、基板上に形成さ
    れた情報信号部を含む膜とを貼り合わせて製造すること
    を特徴とする光記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記光透過層用のシートの外径寸法を求
    める演算は、成膜時の寸法ばらつきにより最大値となる
    成膜外径寸法に、前記シートの打ち抜き工程時の最大寸
    法ばらつきと、貼り合わせ時の最大ずれ量の2倍の寸法
    とを加算した外径寸法よりも大きく、且つ、基板成形工
    程時の寸法ばらつきにより最小値となる基板外径から、
    シートの打ち抜き工程時の最大寸法ばらつきと、貼り合
    わせ時の最大ずれ量の2倍の寸法とを減算した外径寸法
    よりも小さい外径寸法を演算するものであることを特徴
    とする請求項3に記載の光記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記光透過用のシートの、前記基板上に
    形成された情報信号部を含む膜側の面に均一な厚みで形
    成した接着剤層を介して貼り合わせを行った後、前記シ
    ートの、基板からはみ出た外周部分を除去することを特
    徴とする請求項1に記載の光記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記光透過用のシートの、前記基板上に
    形成された情報信号部を含む膜側の面に均一な厚みで形
    成した接着剤層を介して貼り合わせを行った後、前記シ
    ートの、基板からはみ出た外周部分を除去することを特
    徴とする請求項2に記載の光記録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記貼り合わせを行った後、前記基板の
    外周エッジ部と前記光透過用のシートの接着部に紫外線
    硬化樹脂から成る封入部を形成し、その後前記シート
    の、基板からはみ出た外周部分を除去することを特徴と
    する請求項5に記載の光記録媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記貼り合わせを行った後、前記基板の
    外周エッジ部と前記光透過用のシートの接着部に紫外線
    硬化樹脂から成る封入部を形成し、その後前記シート
    の、基板からはみ出た外周部分を除去することを特徴と
    する請求項6に記載の光記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記接着剤層は透明な感圧性粘着剤が用
    いられていることを特徴とする請求項5に記載の光記録
    媒体の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記接着剤層は透明な感圧性粘着剤が
    用いられていることを特徴とする請求項6に記載の光記
    録媒体の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記接着剤層は透明な感圧性粘着剤が
    用いられていることを特徴とする請求項7に記載の光記
    録媒体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記接着剤層は透明な感圧性粘着剤が
    用いられていることを特徴とする請求項8に記載の光記
    録媒体の製造方法。
  13. 【請求項13】 基板上に、情報信号を記録可能および
    /または再生可能に構成された情報信号部と、前記情報
    信号の記録および/または再生に用いられるレーザ光を
    透過可能に構成された光透過層とを備えた光記録媒体で
    あって、 前記基板の外径寸法よりも大きい外径を有した前記光透
    過層用のシートに、接着剤層を均一な厚みで形成し、該
    接着剤層を介して前記基板上の情報信号部と前記光透過
    層用のシートとを貼り合わせた後、前記シートの、基板
    からはみ出た外周部分を除去して作成されたことを特徴
    とする光記録媒体。
  14. 【請求項14】 前記基板上の情報信号部と前記光透過
    層用のシートとの貼り合わせ後に、前記基板の外周エッ
    ジ部と前記光透過用のシートの接着部に紫外線硬化樹脂
    から成る封入部を形成し、その後前記シートの、基板か
    らはみ出た外周部分を除去して作成されたことを特徴と
    する請求項13に記載の光記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006147033A (ja) * 2004-11-18 2006-06-08 Fuji Photo Film Co Ltd 光記録媒体用カバーシート及び光記録媒体

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