JP2003138084A - 高イオン伝導性固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム - Google Patents
高イオン伝導性固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システムInfo
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Abstract
合物を利用した低価格な高イオン伝導性固体電解質と、
該高イオン伝導性固体電解質を用いた電気化学システム
を提供することを目的とする。 【解決手段】 水を内包したタングステン酸化合物又は
モリブデン酸化合物とポリビニルアルコールの複合化合
物からなる高イオン伝導性固体電解質を基本構成として
いる。上記タングステン酸又はモリブデン酸のアルカリ
金属塩とポリビニルアルコールを溶解した水溶液を酸に
よって中和し、溶媒としての水を除去した後、不要塩を
除去して得られるタングステン酸化合物又はモリブデン
酸化合物とポリビニルアルコール及び水からなる複合化
合物でなる高イオン伝導性固体電解質と、この高イオン
伝導性固体電解質を用いた各種の電気化学システムを提
供する。
Description
能なプロトン(水素イオン)高伝導性固体電解質あるい
は水酸化物イオン高伝導性固体電解質と、該高イオン伝
導性固体電解質を使用した燃料電池その他の電気化学シ
ステムに関するものである。
いた電気化学システムとして、燃料電池、除湿器あるい
は電気分解型水素生成装置などの電解装置が実用化され
ているが、例えば固体高分子型燃料電池は、下記の
(1)式に示したように負極に供給される水素の電気化
学的酸化反応、(2)式に示したように正極に供給され
る酸素の電気化学的還元反応及びその間の電解質中のプ
ロトン移動からなる反応によって電流が流れ、電気エネ
ルギーが取り出される。 H2 → 2H++2e− …………………………(1) 1/2O2+ 2H++2e− → H2O ……………(2)
素以外のものを用いる燃料電池もあるが、この場合でも
燃料が負極で電気化学的に酸化されてプロトンを放出す
る反応は同様に行われており、プロトン伝導性固体電解
質を利用して作動させることができる。
成装置が実用化されている。この電気分解型水素生成装
置は燃料電池における前記(1)式と(2)式の反応と
は逆の反応で水素を生成するものであって、水と電力だ
けでオンサイトに純度の高い水素が得られるので、水素
ボンベが不要になるという利点がある。又、固体電解質
の利用によって電解質を含まない真水を導入するだけで
容易に電気分解を行うことができる。製紙業の分野にお
いても同様なシステムによって漂白用の過酸化水素を下
記の(3)式を用いた電解法によりオンサイトに製造す
る試みがなされている(電気化学,69,No3,154
−159(2001)を参照)。 O2+ H2O+2e− → HO2 −+ OH− ……………(3)
プロトン伝導性固体電解質膜を正負両極で挟む構造であ
り、正負両極間に電圧を印加すると、正極では下記の
(4)式の反応によって水が酸素とプロトンに分解さ
れ、固体電解質を通って負極に移動したプロトンが
(5)式の反応によって再び空気中の酸素と結合して水
に戻り、これらの反応の結果として正極側から負極側に
水が移動したことによって正極側で除湿される。 H2O → 1/2O2+2H++2e− …………………(4) 1/2O2+ 2H++2e− → H2O …………………(5)
によって水を分解して除湿することも可能であり、水分
蒸発冷風機と組み合わせた空調機も提案されている(平
成12年電気学会全国大会講演論文集,P3373(2
000)を参照)。
れも固体電解質としてナフィオン膜(Nafion)に代表さ
れるパーフルオロスルホン酸系イオン交換膜が用いられ
ている。また、各種センサ、エレクトロクロミックデバ
イスなども本質的には上記と同様な動作原理に基づくシ
ステムであり、正極,負極の異なる2種の酸化還元対間
の電解質中をプロトンが移動することによって作動する
ので、プロトン伝導性固体電解質を用いることができ
る。現在ではこれらプロトン伝導性固体電解質を用いた
システムの実証研究も行われている。
化を利用するものであり、電解質材料としては例えばポ
リビニルアルコールを主体とした固体電解質などが提案
されている(Sensors and Actuators, 11,377−
386(1987)を参照)。更に電極電位の変化ある
いはイオン伝導度の変化を利用して湿度センサに応用す
ることも可能である。
極にWO3等を用いて電場をかけると下記の(6)式の
反応によって発色することを利用しており、表示デバイ
スや遮光ガラスへの用途が考えられている。このシステ
ムにおいては固体電解質として無機化合物であるSn
(HPO4)・H2Oなどが提案されている(Bull.Chem.So
c.Jpn.,60,747−752(1987)を参照)。 WO3+xH++xe− → HxWO3(発色)………………(6)
解質を利用して作動する電気化学システムとして、一次
電池,二次電池,光スイッチ,電解水製造装置等が挙げ
られる。例えば二次電池としてのニッケル水素電池は、
負極に水素吸蔵合金、正極に水酸化ニッケル、電解液と
してアルカリ電解液を用いており、下記の(7)式,
(8)式に示したように充放電時に負極ではプロトンの
電気化学的酸化還元と水素吸蔵合金への水素の吸蔵が起
こる。 〔充電〕 H2O + e− → H(吸蔵)+ OH− …………(7) 〔放電〕 H(吸蔵)+ OH− → H2O + e− …………(8)
したように水酸化ニッケルの電気化学的酸化還元反応が
起きる。 〔充電〕Ni(OH)2+OH− → NiOOH+H2O+e− ……(9) 〔放電〕NiOOH+H2O+e− →Ni(OH)2+OH− ……(10) この電池の充放電反応は電解質中をプロトンもしくは水
酸化物イオンが移動することによって成立し、原理的に
はプロトン伝導性固体電解質を利用することができる
が、従来は固体電解質ではないアルカリ電解液が用いら
れている。
負極に使用したものが提案されている(J.Electrochem.
Soc.,Vol.143,No.10,3348−3353(1
996)を参照)。電場をかけることによってイットリ
ウムが下記の(11)式のように水素化されて光を透過
するので、光の透過と不透過を電場により切り替えるこ
とができる。このシステムも原理的にはプロトン伝導性
固体電解質を利用することができるが、従来はアルカリ
電解液が用いられている。 Y+3/2H2O+3e → YH3+3OH ……………(11)
側、酸化側で効能が異なるが、健康に良い作用,殺菌作
用,洗浄作用,農作物の生育を促進する作用があり、飲
料水,食品用水,洗浄水,農業用水などの様々な用途が
ある。電解反応は水が電解質を含むことで促進される
が、水に電解質を溶解させると、使用の際その電解質を
除去する必要が生じる場合がある。固体電解質を用いた
場合には電解質除去の手間が必要なくなる。
ン伝導性固体電解質を用いた電気化学システムとして従
来から実用化されている前記燃料電池、電気分解型水素
生成装置、除湿器などに用いられているパーフルオロス
ルホン酸系の電解質は、主として製造工程の複雑さに起
因して高価格であるという問題がある。これらの電解質
の量産効果によってある程度の低価格化が期待されるも
のの限界があり、安価な代替材の出現が希求されている
のが現状である。
体電解質は、固体内に含有される水の作用によってプロ
トンが高速に運搬されるため、代替材にも十分な吸水性
が要求される。特に多くは湿潤環境によって使用される
ため、耐水性をも兼ね備えなければならない。従来のパ
ーフルオロスルホン酸系の電解質では親水性の高いスル
ホン酸基周辺に吸収された水がイオンを高速に運搬し、
ポリフルオロエチレン骨格部分が耐水性、化学的安定
性、高温耐久性などを維持する役割を果たしている。
料の1例として前記ポリビニルアルコールがあり、リン
酸を混合してプロトン伝導性を持たせた材料が水素セン
サなどの用途として利用可能である。この例ではポリビ
ニルアルコールの高い吸水性によって高速なプロトンの
移動が可能であるが、ポリビニルアルコールは水に溶解
性があるため、湿潤環境での材料安定性が低いという難
点がある。
て無機含水化合物が挙げられる。例えばゾルゲル製法に
よるP2O5−ZrO2−SiO2含水ガラスは、多量
の水を吸収することによって高いプロトン伝導性を示
し、水にも溶解することがないという特徴があり、無機
化合物特有の高温安定性が高いというメリットがある
(J.Electrochem.Soc.Vol.144,No.6,2175−
2178(1997)を参照)。
共通の弱点は脆い点にあり、特に固体電解質の用途にお
いて要求される薄膜加工が困難であるという問題点があ
る。更にゾルゲル製法は高価な金属アルコキシドを原料
としており、アルコール等の有機溶媒を用いて製造され
ることから設備的にも低コスト化が難しいという問題も
ある。エレクトロクロミックデバイスで試されている前
記Sn(HPO4)・H2Oなども粉末を塗布するような加
工は可能であるが、燃料電池その他の用途で必要とする
ガス拡散抑制機能と高い強度を持つ膜に加工することは
困難である。また、H3MoPO40・29H2Oの組
成式で表わされるモリブドリン酸やH3WPO40・2
9H2Oの組成式で表わされるタングストリン酸が高い
伝導性を示すことが報告されているが(Chem.Lett.,1
7(1979)参照)、これらのモリブドリン酸及びタ
ングストリン酸を用いた場合でも加工性に難点がある。
欠点を克服する方法として両者を複合化する手段が考え
られる。例えば特開2000−90946号においては
珪素化合物とポリエチレンオキシドをナノレベルで化学
結合させたプロトン伝導性材料が提案されている。ポリ
エチレンオキシドはポリビニルアルコールと同様に安価
で親水性の高い有機高分子であるが、単独では水に溶解
する。しかしゾルゲル製法によって珪素化合物と複合化
することにより耐水性を持たせることができて高温強度
の良好な材料が得られるものとされている。但し複合材
料をゾルゲル製法以外の方法で得ることが難しく、それ
以外の方法は開示されていない。従って原料あるいは製
造コストの低減化効果が低いという問題がある。また、
特開2001−35509号においても珪素化合物及び
タングストリン酸、モリブドリン酸などプロトン伝導性
付与剤などの無機化合物とポリエチレンオキシドなど有
機化合物を複合化したイオン伝導性材料が提案されてい
るが、製造方法としてはゾルゲル製法による複合化法し
か開示されていない。
り、電極その他のシステム構成材料として使用できる素
材が貴金属など耐酸性のものに限定され、システム全体
としても低コスト化が困難であるという難点がある。固
体電解質が酸性であることは電極、活物質の劣化作用に
よって一次電池,二次電池,光スイッチなど一部の用途
への適用を難しくしているという問題もあり、これら一
次電池及び二次電池等で従来使用されているアルカリ性
液状電解質は液漏れの心配があるという難点を有してい
る。
解質が有している問題点を解決して、吸水性と耐水性を
両立させた有機無機複合化合物を利用した低価格な高イ
オン伝導性固体電解質と、該高イオン伝導性固体電解質
を用いた電気化学システムを提供することを目的とする
ものである。
するために、水を内包したタングステン酸化合物又はモ
リブデン酸化合物とポリビニルアルコールの複合化合物
からなる高イオン伝導性固体電解質、及びタングステン
酸又はモリブデン酸のアルカリ金属塩とポリビニルアル
コールを溶解した水溶液を酸によって中和し、溶媒とし
ての水を除去した後、不要塩を除去して得られるタング
ステン酸化合物又はモリブデン酸化合物とポリビニルア
ルコール及び水からなる複合化合物である高イオン伝導
性固体電解質と、この高イオン伝導性固体電解質を用い
た各種の電気化学システムを提供する。
合物,ポリビニルアルコール及び水からなる複合化合物
は、リン酸化合物,珪酸化合物,ホウ酸化合物の少なく
とも1種類を含んでいる。中和法によって作成される場
合、原料水溶液はリン酸,珪酸,ホウ酸から選択された
少なくとも1種類のアルカリ金属塩を含み、生成した複
合化合物がリン酸化合物,珪酸化合物,ホウ酸化合物の
少なくとも1種類を含んでいる。そしてWO3に換算し
たタングステン酸化合物重量のポリビニルアルコール重
量に対する比が0.09以上であるか、MoO3に換算
したモリブデン酸化合物重量のポリビニルアルコール重
量に対する比が0.05以上にしてある。
化合物,ホウ酸化合物の少なくとも1種類を含んでいる
場合において、P2O5に換算したリン酸化合物重量の
ポリビニルアルコール重量に対する比が0.003以
上、好ましくは0.035以上であり、SiO2に換算
した珪酸化合物重量のポリビニルアルコールに対する比
が0.032以上、B2O3に換算したホウ酸化合物重
量のポリビニルアルコール重量に対する比が0.001
以上、好ましくは0.017以上である。タングステ
ン,モリブデン,リン,珪素,ホウ素の総原子数に対す
るタングステン又はモリブデンの原子数%が30%以
下、好ましくは15%以下とする。
リ溶液中に浸漬処理する。ポリビニルアルコールのうち
20重量%以上が平均分子量26,000以下であり、
ポリビニルアルコールのうち50重量%以上がケン化度
89%以下である。
ームポンプ,除湿機,空調機器,エレクトロクロミック
デバイス,電解装置,電気分解型水素生成装置,電解過
酸化水素製造装置,電解水製造装置,湿度センサ,水素
センサ,一次電池,二次電池,光スイッチシステムある
いは多価金属を用いた新たな電池システムに適用可能で
ある。
体電解質を使用した電気化学システムによれば、ポリビ
ニルアルコールの共存する水溶液中でタングステン酸塩
又はモリブデン酸塩及びその他のリン酸塩、珪酸塩、ホ
ウ酸塩等の添加塩を中和するという簡単な工程を行うこ
とによって高イオン伝導性固体電解質が作成可能であ
り、上記中和反応及びその後の加熱処理によってタング
ステン酸又はモリブデン酸及びその他の添加塩から生じ
る化合物の縮重合反応が起きてポリビニルアルコールと
の間でミクロレベルの絡み合いが発生して複合化するこ
とが可能となる。ポリビニルアルコール及びタングステ
ン酸化合物又はモリブデン酸化合物及びその他の添加化
合物は親水性であるため、両者の複合化合物は多量の水
を内包する能力を持ち、この内包水がプロトンあるいは
水酸化物イオンの高速拡散の媒体となる。
合物又はモリブデン酸化合物及びその他の添加化合物は
水素結合あるいは脱水縮合によって強固に結びついてお
り、親水性であるにも関わらず熱水中で溶解せず、高温
湿潤環境下でも安定な物性を保つことができる。この複
合材料は強度と柔軟性を有し、薄膜への加工も容易であ
る。タングステン酸化合物又はモリブデン酸化合物のみ
でも高いイオン伝導度を示すが、更にリン酸化合物、珪
酸化合物、ホウ酸化合物を複合化することで高いイオン
伝導性を維持するか更にイオン伝導性を高めることがで
きる。この複合材料はアルカリ型においても高いイオン
伝導性が得られる。
性固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学シス
テムの具体的な実施形態を説明する。本発明は水溶液中
で製造されるポリビニルアルコールとタングステン酸化
合物又はモリブデン酸化合物及びその他のリン酸化合
物、珪酸化合物、ホウ酸化合物のミクロレベルでの複合
化合物を基本としており、安価で高いイオン伝導性を示
し、十分な耐水性を有するプロトンあるいは水酸化物イ
オン伝導性固体電解質と、該固体電解質を使用した電気
化学システムを提供することを基本手段としている。
酸及びリン酸、珪酸、ホウ酸のアルカリ金属塩とポリビ
ニルアルコールを溶解した水溶液を酸によって中和し、
溶媒としての水を除去した後、不要塩を除去することに
より、タングステン酸化合物又はモリブデン酸化合物及
びリン酸化合物、珪酸化合物、ホウ酸化合物とポリビニ
ルアルコール及び水からなる複合化合物、具体的には水
を内包したタングステン酸化合物又はモリブデン酸化合
物及びリン酸化合物、珪酸化合物、ホウ酸化合物とポリ
ビニルアルコールの複合化合物を得て固体電解質を作成
したことが特徴となっている。
する。尚、本願発明はこれら実施形態例の記載内容に限
定されるものではない。
ず平均分子量が120,000〜190,000でケン
化度が87〜89%のポリビニルアルコールと、平均分
子量が18,000〜26,000でケン化度が100
%のポリビニルアルコールを夫々50重量%で混合した
混合物の2重量%水溶液80ccに、所定量のタングス
テン酸ナトリウムあるいはモリブデン酸ナトリウムを溶
解して原料水溶液とし、この原料水溶液を撹拌しながら
1.2M濃度の塩酸を水溶液のpHが1になるまで滴下
して中和した。その後水溶液を直径90mmのシャーレ
2個に注ぎ、50℃で乾燥することによって溶媒の水を
除去した。乾燥後にシャーレ上に残った膜を剥がしてオ
ーブン内に入れて空気中で100℃,3時間の加熱処理
を行い、70〜80℃の熱水中で十分に洗浄した。
No.1〜4及び試料No.20〜22であってタング
ステン酸化合物及びモリブデン酸化合物は表中にそれぞ
れWO3,MoO3重量に換算し、ポリビニルアルコー
ルに対する重量比の形で示した。なお、表中の記号
(W)はタングステン酸化合物、記号(M)はモリブデ
ン酸化合物を示している。
ルに対してWO3換算重量比0.09以上のタングステ
ン酸化合物を複合化している試料及びポリビニルアルコ
ールに対してMoO3換算重量比0.05以上のモリブ
デン酸化合物を複合化している試料は何れも70℃以上
の熱水中で1時間洗浄しても溶解せずに膜形状を維持し
ており、耐水性に優れている。比較のためタングステン
酸化合物あるいはモリブデン酸化合物を含まないポリビ
ニルアルコールのみの試料も同様な方法で成膜してみた
が、熱水中ですぐに溶解してしまう耐水性の低いものし
かできなかった。これらの結果からタングステン酸化合
物又はモリブデン酸化合物との複合化はポリビニルアル
コールの耐水性を顕著に向上させる効果が得られてい
る。
下の方法により行った。先ず試料膜を直径30mmの円
形に切り抜き、直径28mmの2枚の白金円板と、該白
金円板の外側に配置した真ちゅうの円板で挟み、更に絶
縁されたクリップで挟み込んで固定する。真ちゅうの円
板に取り付けたリード線にLCRメータを使って電圧1
0mVの交流電圧を周波数5MHzから50Hzまで変
えながら印加し、電流と位相角の応答を測定した。イオ
ン伝導度は一般的に行われているCole−Coleプ
ロットの半円の直径から求めた。尚、この測定は試料を
高温高湿槽の中に入れて湿度50℃、相対湿度90%に
制御しながら行った。イオン伝導度の測定結果は表1中
に記載している。
のようにポリビニルアルコールに対するタングステン酸
化合物量が0.09以下の場合、イオン伝導度は10
−6S/cmオーダーのあまり高くない値であったが、
試料No.2〜4のようにタングステン酸化合物量が
0.36以上のものはプロトンサイトのより完全なプロ
トン化の操作を特に行っていなくても10−5S/cm
オーダーの比較的高いイオン伝導度を示した。一方、モ
リブデン酸系ではタングステン酸系ほどイオン伝導度は
高くないが、モリブデン酸化合物量が0.05以上の場
合に10−6S/cmオーダーのイオン伝導度を示し
た。
ン酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウムを
添加した結果を試料No.5〜19及び試料No.23
〜27に示した。なお、表1の各添加物のポリビニルア
ルコールに対する重量比を示した欄において、各化合物
量はそれぞれP2O5,SiO2,B2O3重量に換算
し、ポリビニルアルコールに対する重量比の形で示して
いる。これらの結果から試料No.5〜19のようにタ
ングステン酸系の場合には、リン酸化合物,珪酸化合
物,ホウ酸化合物を添加した場合でも10−5〜10
−4S/cmオーダーの高いイオン伝導度を示し、特に
対ポリビニルアルコール比で0.003以上のリン酸化
合物を含む場合と対ポリビニルアルコール比で0.00
1以上のホウ酸化合物を含む場合にはタングステン酸系
のみの場合を上回る高い値を示した。また、対ポリビニ
ルアルコール比のリン酸化合物量が0.035以上であ
るか、あるいはホウ酸化合物が0.017以上である場
合には特に高いイオン伝導度を示した。これら化合物を
添加した場合にはタングステン酸化合物のみの場合とは
異なり、タングステン酸化合物量が0.09以上であれ
ば10−5S/cmオーダーの高いイオン伝導度を維持
することができる。但しこれらの化合物が添加されてい
る場合であってもタングステン酸化合物量が0.009
以下である場合には10−6S/cmオーダーのあまり
高くないイオン伝導度となる。
酸系の場合には、リン酸化合物,珪酸化合物,ホウ酸化
合物の何れを添加した場合でもイオン伝導度が向上し
た。
た電解質膜についてプロトン化を促進する目的で酸浸漬
処理を行った結果と、逆にアルカリ型化を促進する目的
でアルカリ溶液浸漬処理を行った結果を表2に示す。酸
浸漬処理では電解質膜を1.2M濃度の塩酸あるいは
8.5重量%濃度のリン酸に常温で3時間浸漬し、その
後充分に水洗した。アルカリ溶液浸漬処理では0.02
M濃度の水酸化ナトリウムに常温で3時間浸漬する処理
を行い、水洗は行わずに乾燥後試料表面を拭き取った。
表2においてイオン伝導度の前に記号(C)がついてい
るものは塩酸浸漬処理を、記号(P)がついているもの
はリン酸浸漬処理を、記号*がついているものはアルカ
リ溶液浸漬処理を示している。
ようにタングステン酸系の試料は何れも酸浸漬処理によ
ってイオン伝導度が顕著に向上することが確認され、特
にリン酸化合物,珪酸化合物,ホウ酸化合物等を添加し
た試料ではタングステン酸化合物量が0.09以上で1
0−4S/cmオーダーの高いイオン伝導度を示した。
但し酸浸漬処理を行った場合でもタングステン酸化合物
量が0.009以下である場合には10−6S/cmオ
ーダーのあまり高くないイオン伝導度を示す。また、試
料No.44の結果からポリビニルアルコールに複合化
される無機化合物において、タングステン,リン,珪
素,ホウ素のうちタングステン原子数%が15%以上で
あれば充分に高いイオン伝導度を維持できることが判明
した。但し、より高いイオン伝導度を得るためには、試
料No.45のようにタングステン原子数%が30%以
上であることが好ましい。
酸系においても酸浸漬処理によるイオン伝導度の向上が
見られたが、タングステン酸系ほどの効果は見られなか
った。試料No.59のようにモリブデン酸系において
もポリビニルアルコールに複合化される無機化合物のタ
ングステン,リン,珪素,ホウ素のうちモリブデン原子
数%が15%以上であれば充分に高いイオン伝導度を維
持できることが判明した。但し、より高いイオン伝導度
を得るためには、試料No.60のようにモリブデン原
子数%が30%以上であることが好ましい。
テン酸系の試料ではイオン伝導度はむしろ低下し、10
−6S/cmオーダーの値しか示さなかったが、アルカ
リ型電解質膜としても機能することが確認された。モリ
ブデン酸化合物を含む試料では酸系よりもアルカリ溶液
浸漬処理の方がイオン伝導度の向上効果が高く、10
−5S/cmオーダーの高いイオン伝導度を示した。こ
れらの試料ではアルカリ型においても酸型と同レベルの
イオン伝導度を示すことから、アルカリ型においてもア
ルカリ金属イオンの拡散よりも酸型同様水分子を媒介と
したプロトンの高速イオン拡散が行われているものと考
えられる。なお、水酸化カリウム,水酸化リチウムを使
用した場合にも同様な結果が得られた。
処理条件を変えた例を以下に示す。実施例1の製法の加
熱処理条件のみ変えた試料を作成したところ、表1の試
料No.9と同じ組成の珪酸化合物を含まない試料で
は、加熱温度条件を80℃に下げ、6時間加熱した場合
にはその後の熱水での洗浄過程で強度がかなり低下し、
膜形状が維持できなくなった。しかし表1の試料No.
15と同じ組成の珪酸化合物を対ポリビニルアルコール
比で0.032以上含む試料では、50℃で10時間の
加熱でも熱水洗浄にも十分耐え、膜形状を維持すること
ができた。従って加熱処理は100℃以上で行うのが好
ましいが、珪酸化合物の添加は100℃より低い温度で
の加熱処理を可能とする。
重合度(分子量)の影響を調べた結果を以下に示す。試
料No.9と同じ組成で試料作成法は実施例1と同様に
行い、ポリビニルアルコール中の平均分子量18,00
0〜26,000でケン化度100%のポリビニルアル
コールの割合を20重量%、平均分子量12,000〜
19,000でケン化度87〜89%のものの割合を8
0重量%にした試料、同じ組合せで低分子量のポリビニ
ルアルコールが90重量%の試料、又低分子量のポリビ
ニルアルコールを全く含まない試料、更に平均分子量1
2,000〜19,000でケン化度100%のポリビ
ニルアルコールのみを使用した試料を作成した。
ルの配合割合によってイオン伝導度の大きな相違はなか
ったが、低分子量のポリビニルアルコールをまったく含
まない場合には、試料膜中に結晶化により白濁している
部分が見られ、試料膜が均一ではなかった。これに対し
て低分子量のポリビニルアルコールを20%以上配合し
た場合には、そのような試料膜の不均一がほとんど見ら
れなかった。結晶化している部分は不要塩も凝集してお
り、不要塩を洗浄する際にその部分の膜厚が薄くなった
り穴が開いたりする問題が生じる。低分子量のポリビニ
ルアルコールを配合することによってこのような不均一
性の問題を生じることなく、タングステン酸化合物その
他を多量に複合化することができる。但し低分子量のポ
リビニルアルコールが90重量%以上配合された場合に
は、複合化合物の柔軟性が低くなり、脆くなる。また、
平均分子量12,000〜19,000でケン化度10
0%のポリビニルアルコールのみを使用した場合には、
やはり上記不均一性の問題を生じるとともにイオン伝導
度もかなり低下した。従ってイオン伝導度の面からケン
化度89%以下のポリビニルアルコールを半分以上含ん
でいることが好ましいことが判明した。
ある必要がなく、本質的にポリビニルアルコールとして
機能するものであれば使用することができる。例えばヒ
ドロキシル基の一部が他の基で置換されているもの、一
部分に他のポリマーが共重合されているものもポリビニ
ルアルコールとして機能することができる。また、本発
明の反応過程でポリビニルアルコールを経由すれば同様
な効果が得られるので、ポリビニルアルコールの原料と
なるポリ酢酸ビニルなどを出発原料とすることができ
る。
能が十分発現する範囲であれば、他のポリマー、例えば
ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン系ポ
リマー,ポリアクリル酸系ポリマー,ポリエチレンオキ
シド,ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系ポリ
マー,ポリテトラフルオロエチレン,ポリフッ化ビニリ
デン等のフッ素系ポリマー,メチルセルロース等の糖鎖
系ポリマー,ポリ酢酸ビニル系ポリマー,ポリスチレン
系ポリマー,ポリカーボネート系ポリマー,エポキシ樹
脂系ポリマーあるいはその他の有機,無機添加物などを
混合することもできる。
ルカリ金属塩は、水に溶解するものであれば該アルカリ
金属塩の種類とかアルカリ金属イオン,タングステン,
モリブデン,酸素の比率,含水率はどのようなものでも
よい。
媒となっていることを意味しており、水分含有量よりも
小量の他の溶媒成分が存在することもある。材料中にリ
ン酸化合物、珪酸化合物、ホウ酸化合物を加えることに
よってイオン伝導性を高めたり、低温熱処理を可能にす
ることができる。これらの化合物の添加は原料水溶液中
にリン酸、珪酸、ホウ酸のアルカリ金属塩を溶解させる
ことによって行われる。リン酸塩としては第1,第2,
第3リン酸塩の何れをも使用することができるが、珪酸
塩、ホウ酸塩が共存する場合には、第1リン酸塩は原料
水溶液中に入れる時点で既にそれらの塩を中和してしま
うため好ましくない。
イオンの種類とか組成、含水量などはどのようなもので
も使用することができる。例えば珪酸塩の場合には水ガ
ラスなどを使用することもできる。これらの塩は二種以
上混合して添加することもできる。また、予めタングス
テン酸あるいはモリブデン酸とリン酸,珪酸,ホウ酸が
化合したタングストリン酸,モリブドリン酸,シリコタ
ングステン酸,シリコモリブデン酸,タングストホウ
酸,モリブドホウ酸などヘテロポリ酸の塩を原料として
用いることができる。
テン酸塩あるいはモリブデン酸塩の中和が行えるもので
あればどのような酸でもよく、塩酸、硫酸、リン酸等が
使用可能である。また、添加する酸にリン酸、ホウ酸を
含ませることによって材料中にリン酸化合物、ホウ酸化
合物を導入することができる。なお、本発明における酸
による中和工程は、原料水溶液に酸を添加する操作とは
逆に、酸に原料水溶液を添加する操作によっても行なう
ことができる。
乾燥によって溶媒としての水を除去し、薄膜等の所望の
形状に加工する。加工後の複合化合物は100℃以上の
温度で加熱処理することによってタングステン酸化合物
あるいはモリブデン酸化合物自体の縮重合反応やリン
酸、珪酸、ホウ酸化合物及びポリビニルアルコールとの
結合生成を促進し、強度、耐水性、高温安定性を増大す
ることができる。加熱処理を行わない場合には、高温水
中で強度が低下する等の問題が生じる。加熱処理におけ
る加熱雰囲気は、空気中でも不活性ガス雰囲気又は真空
中でもよい。但し珪酸化合物を対ポリビニルアルコール
比で0.032以上含む試料では100℃より低い温度
での加熱処理でも十分な耐熱性を得ることができる。
化合物を水などの溶媒で洗浄することにより、該複合化
合物中の不要塩を除去する。固体電解質を使用した電気
化学システムは何れも電極において酸化還元反応が起き
るが、中和過程で酸によって導入される陰イオンのうち
固体電解質に固定されていない遊離のイオンが酸化還元
反応に悪影響を及ぼすので、遊離のイオンである不要塩
は洗浄により除去する必要がある。
ステン酸化合物重量のポリビニルアルコール重量に対す
る比は0.09以上に限定する。また、MoO3に換算
された複合化合物中のモリブデン酸化合物重量のポリビ
ニルアルコール重量に対する比は0.05以上に限定す
る。重量比がこれらの数値よりも低いと十分なイオン伝
導性が得られないという問題が生じる。
合には、生成した複合化合物を酸に浸漬する処理を施す
ことによって材料中のプロトンサイトを完全にプロトン
化し、プロトン濃度を増やすことによってイオン伝導度
を高めることができる。浸漬する酸はプロトン化が行え
るものならばどのようなものでも使用可能であり、塩
酸、硫酸、リン酸などが使用できる。酸浸漬処理はモリ
ブデン酸化合物を含むものよりもタングステン酸化合物
を含むものの方がより効果的である。
オン伝導性固体電解質を得る場合には、生成した複合化
合物をアルカリ溶液に浸漬する処理を施すことによって
より完全にアルカリ型化され、イオン伝導度を高めるこ
とができる。アルカリ浸漬処理はアルカリ型化が行える
ものであればどのようなものでも使用可能であり、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの
溶液が使用できる。アルカリ浸漬処理はタングステン酸
化合物を含むものよりもモリブデン酸化合物を含むもの
の方がより効果的である。なお、上記酸あるいはアルカ
リ浸漬する処理は必ずしも水溶液である必要はない。
ニルアルコール重量に対する比を0.003以上に、よ
り好ましくは0.035以上にすることによって高いイ
オン伝導性が得られる。B2O3換算のホウ酸化合物重
量のポリビニルアルコール重量に対する比を0.001
以上に、より好ましくは0.017以上にすることによ
って高いイオン伝導性が得られる。また、SiO2換算
の珪酸化合物重量のポリビニルアルコール重量に対する
比を0.032以上にすることによって100℃より低
い温和な加熱条件でも耐熱水性が維持できる。また、リ
ン酸化合物、珪酸化合物、ホウ酸化合物の添加によって
原料が最も高価なタングステン酸化合物あるいはモリブ
デン酸化合物を減らし、材料を低コスト化することがで
きる。即ち、タングステン,モリブデン,リン,珪素,
ホウ素の総原子量に対するタングステン又はモリブデン
の原子数%が30%以下にしても高いイオン伝導性を得
ることができ、更に原子数%が15%以下でも十分なイ
オン伝導度が得られる。
26,000以下の低分子量のものを含む場合には、部
分的な結晶の析出が起こらず均一性を保ちながら多量の
タングステン酸化合物、モリブデン酸化合物その他を複
合化することができる。但し平均分子量が26,000
以下のものを90重量%よりも多く含むと、複合化合物
の柔軟性が低くなり、脆くなってしまうという問題が生
じる。更にポリビニルアルコールのうちケン化度89%
以下のものを50重量%以上含むことによって高いイオ
ン伝導度が得られる。
電解質は、化合物中のプロトンサイトをアルカリ金属イ
オンにすることによって容易にアルカリ型にすることが
できるとともにアルカリ型においても高いプロトンある
いは水酸化物イオン伝導性を示す。特にモリブデン酸化
合物を含む場合には、アルカリ型にすることによって電
極その他のシステム構成材料としてニッケルなど比較的
安価な素材を用いることが可能となり、システム全体の
低コスト化をはかることができる。
池、二次電池への応用が可能であり、従来のアルカリ電
解液を本発明の電解質材料にすることで漏液の惧れをな
くすことができる。このアルカリ型固体電解質を使用す
ることで従来から実用化が困難であった二次電池、例え
ば2価以上の多価金属を負極に用いたような高エネルギ
ー密度電池の実用化をも可能にする。例えば負極に酸化
亜鉛、正極にニッケル水素電池と同じ水酸化物ニッケル
を用いたニッケル亜鉛電池を例に挙げることができる。
ニッケル亜鉛電池は、下記の(12)式,(13)式に
示すように負極では充電時に酸化亜鉛が還元されて金属
亜鉛となり、放電時には逆に亜鉛が電気化学的に酸化さ
れて酸化亜鉛に戻る。 〔充電〕 ZnO + H2O +2e− → Zn+ 2OH− ………(12) 〔放電〕 Zn+2OH− → ZnO + H2O+2e− ………(13)
高い貯蔵エネルギー密度を持つが、酸化亜鉛がアルカリ
電解液に溶解しやすく、電極から亜鉛イオンが溶出した
り、溶出した亜鉛イオンが充電時に還元される際に針状
金属亜鉛(デンドライト)が生成し、これがセパレータ
を貫通して短絡を引き起こすという問題がある。更に亜
鉛の酸化還元電位が水素よりも低いため、充電状態での
放置中に亜鉛が水によって酸化されて自己放電を起こし
やすく、又充電時に亜鉛極から水素を発生して充電効率
が低下する等の難点があり、特に液性の電解質を用いた
電池の実用化が難しいという問題があるが、本発明の高
イオン伝導性固体電解質を用いると金属イオンの溶解が
抑制され、僅かに溶解しても金属イオンが電極から拡散
していく速度が遅いため、金属のデンドライトが生成す
る可能性は低く、仮にデンドライトが生じても固体電解
質自体が負極から正極へ貫通することを防ぐことができ
る。更に固体電解質中の水は反応性に乏しく、水素より
も酸化還元電位の低い金属に対しても自己放電の問題が
起こりにくくなり、金属の還元反応と競合する水の電気
分解、即ちプロトンの還元反応も起こりにくいため、充
電効率も改善される。上記金属イオンの溶解と拡散の抑
制作用、デンドライトの生成防止作用は一次電池あるい
はニッケル水素電池に対しても同様な作用効果を及ぼす
ことができる。更に正極として空気極を用いた空気亜鉛
電池に上記と同様なメリットがあり、酸素の亜鉛極への
拡散が抑制されて容易に充電可能な電池が得られる。
ト,鉄,マンガン,クロム,バナジウム,錫,モリブデ
ン,ニオブ,タングステン,珪素,ホウ素,アルミニウ
ム等多数存在するので、本発明にかかる電解質の適用に
よって上記金属を用いた二次電池の実用化が可能とな
る。
は、従来多孔性セパレータに染みこませたアルカリ電解
液が使用されているが、本発明にかかる電解質は電解液
とセパレータとの両方の機能を兼ね備えているので、電
解液が不要となるかあるいはその量を軽減することが可
能となり、その分だけ電池のエネルギー密度を向上させ
ることができる。また、多孔性のセパレータとは異なっ
て薄膜にしても短絡を防止することができるので、薄膜
型で表面積が大きい電極を使用することができる。
ており、簡単な水溶液プロセスを基本としているため、
既存のパーフルオロスルホン酸系電解質よりも大幅に安
価である。更に無機固体材料とは異なって柔軟性がある
ため、薄膜加工がし易い。従来試みられているポリエチ
レンオキシドと珪素化合物の複合化を選択した場合に
は、本発明方法を適用しても耐熱水性のある複合化合物
を作製することができず、ゾルゲル製法のようなコスト
の高い方法を用いる必要がある。しかし本発明のように
ポリビニルアルコールを選択することにより、製造が容
易で低コストの水溶液製法が適用可能である。
性であることにより、従来のパーフルオロスルホン酸系
イオン交換膜と同様に燃料電池,スチームポンプ,除湿
機,空調機器,エレクトロクロミックデバイス,電解装
置,電気分解型水素生成装置,電解過酸化水素製造装
置,電解水製造装置,湿度センサ,水素センサに応用す
ることができる。この固体電解質材料はアルカリ型でも
高いイオン伝導性を示すため、一次電池,二次電池,光
スイッチシステム等の電気化学システムあるいは多価金
属を用いた新たな電池システムに適用することができ
る。
ればポリビニルアルコールの共存する水溶液中でタング
ステン酸塩又はモリブデン酸塩及び添加塩の酸による中
和反応を行い、溶媒の水を除去した後、不要塩を除去し
て複合化合物を作成することが大きな特徴となってお
り、吸水性と耐水性を両立させた有機無機複合化合物を
水溶液による製法で容易に作成することができるため、
低価格な高イオン伝導性固体電解質と、該高イオン伝導
性固体電解質を用いた電気化学システムを提供すること
ができる。
水溶液の中和反応だけならば単にタングステン酸又はモ
リブデン酸の縮重合反応が起きるだけであるが、ポリビ
ニルアルコールが共存することによってポリビニルアル
コールとタングステン酸又はモリブデン酸とのミクロレ
ベルでの絡み合いにより複合化され、この縮重合反応が
加熱によって促進されて強固で、かつ、柔軟な複合化合
物が得られる。しかも単独のポリビニルアルコールは熱
水に溶解するにも関わらず複合化合物はタングステン酸
あるいはモリブデン酸化合物との強固な絡み合いにより
熱水に溶解せず、高温湿潤環境下でも安定に物性を保つ
ことが可能であり、かつ、ポリビニルアルコールとタン
グステン酸化合物、モリブデン酸化合物はともに高親水
性であるため、複合化合物は耐水性であるにも関わらず
多量の水分を吸収することができて高いイオン伝導性を
付与することができる。よってタングステン酸化合物、
モリブデン酸化合物とポリビニルアルコールの複合化合
物に内包された水がプロトンあるいは水酸化物イオンの
高速拡散の媒体となる。
塩とポリビニルアルコールでなる原料水溶液にリン酸
塩、珪酸塩、ホウ酸塩などを共存させておくか、あるい
は原料水溶液を中和する酸の成分としてリン酸、珪酸、
ホウ酸を加えておくことにより、リン酸化合物、珪酸化
合物、ホウ酸化合物も容易に複合化させることができ
る。これら第3,第4の成分を複合化させることによっ
て特性を改善することができるとともに第3,第4の成
分の複合化によってタングステン酸塩及びモリブデン酸
塩の使用量が軽減され、低コスト化をはかることができ
る。また、ポリマー成分への低分子量ポリビニルアルコ
ールの添加に伴ってタングステン酸化合物,モリブデン
酸化合物,リン酸化合物,珪酸化合物,ホウ酸化合物の
均一性を保ちつつ多量に複合化することができて特性を
改善することができる。
料電池,スチームポンプ,除湿機,空調機器,エレクト
ロクロミックデバイス,電気分解型水素生成装置,電解
過酸化水素製造装置,電解水製造装置,湿度センサ,水
素センサ,一次電池,二次電池,光スイッチシステムあ
るいは多価金属を用いた新たな電池システム等の各種の
電気化学システムに応用可能であり、これら電気化学シ
ステムの低価格化に寄与することができる。更に電解質
材料をアルカリ型にすることにより、上記電気化学シス
テムに用いる電極等の周辺部材の素材としても低価格の
ものを使用することができる。
Claims (20)
- 【請求項1】 水を内包したタングステン酸化合物又は
モリブデン酸化合物とポリビニルアルコールの複合化合
物からなることを特徴とする高イオン伝導性固体電解
質。 - 【請求項2】 タングステン酸又はモリブデン酸のアル
カリ金属塩とポリビニルアルコールを溶解した水溶液を
酸によって中和し、溶媒としての水を除去した後、不要
塩を除去して得られるタングステン酸化合物又はモリブ
デン酸化合物とポリビニルアルコール及び水からなる複
合化合物であることを特徴とする高イオン伝導性固体電
解質。 - 【請求項3】 不要塩を除去する前あるいは後に100
℃以上の温度で加熱する処理を施す請求項2に記載の高
イオン伝導性固体電解質。 - 【請求項4】 WO3に換算したタングステン酸化合物
重量のポリビニルアルコール重量に対する比が0.09
以上である請求項1,2又は3に記載の高イオン伝導性
固体電解質。 - 【請求項5】 MoO3に換算したモリブデン酸化合物
重量のポリビニルアルコール重量に対する比が0.05
以上である請求項1,2又は3に記載の高イオン伝導性
固体電解質。 - 【請求項6】 リン酸化合物,珪酸化合物,ホウ酸化合
物のうち少なくとも1種類を含む請求項1,2,3,4
又は5に記載の高イオン伝導性固体電解質。 - 【請求項7】 原料水溶液がリン酸,珪酸,ホウ酸から
選択された少なくとも1種類のアルカリ金属塩を含み、
生成した複合化合物がリン酸化合物,珪酸化合物,ホウ
酸化合物の少なくとも1種類を含む請求項2,3,4又
は5に記載の高イオン伝導性固体電解質。 - 【請求項8】 P2O5に換算したリン酸化合物重量の
ポリビニルアルコール重量に対する比が0.003以上
である請求項6又は7に記載の高イオン伝導性固体電解
質。 - 【請求項9】 P2O5に換算したリン酸化合物重量の
ポリビニルアルコール重量に対する比が0.035以上
である請求項6又は7に記載の高イオン伝導性固体電解
質。 - 【請求項10】 SiO2に換算した珪酸化合物重量の
ポリビニルアルコール重量に対する比が0.032以上
である請求項6又は7に記載の高イオン伝導性固体電解
質。 - 【請求項11】 B2O3に換算したホウ酸化合物重量
のポリビニルアルコール重量に対する比が0.001以
上である請求項6又は7に記載の高イオン伝導性固体電
解質。 - 【請求項12】 B2O3に換算したホウ酸化合物重量
のポリビニルアルコール重量に対する比が0.017以
上である請求項6又は7に記載の高イオン伝導性固体電
解質。 - 【請求項13】 タングステン,モリブデン,リン,珪
素,ホウ素の総原子数に対するタングステン又はモリブ
デンの原子数%が30%以下である請求項6,7,8,
9,10,11又は12に記載の高イオン伝導性固体電
解質。 - 【請求項14】 タングステン,モリブデン,リン,珪
素,ホウ素の総原子数に対するタングステン又はモリブ
デンの原子数%が15%以下である請求項6,7,8,
9,10,11又は12に記載の高イオン伝導性固体電
解質。 - 【請求項15】 複合化合物を酸溶液中に浸漬処理する
請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,1
1,12,13又は14に記載の高イオン伝導性固体電
解質。 - 【請求項16】 複合化合物をアルカリ溶液中に浸漬処
理する請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,1
0,11,12,13又は14に記載の高イオン伝導性
固体電解質。 - 【請求項17】 ポリビニルアルコールのうち20重量
%以上が平均分子量26,000以下である請求項1,
2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,
13,14,15又は16に記載の高イオン伝導性固体
電解質。 - 【請求項18】 ポリビニルアルコールのうち50重量
%以上がケン化度89%以下である請求項1,2,3,
4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,1
4,15,16又は17に記載の高イオン伝導性固体電
解質。 - 【請求項19】 請求項1〜18に記載の高イオン伝導
性固体電解質を用いたことを特徴とする高イオン伝導性
固体電解質を使用した電気化学システム。 - 【請求項20】 上記電気化学システムが、燃料電池,
スチームポンプ,除湿機,空調機器,エレクトロクロミ
ックデバイス,電解装置,電気分解型水素生成装置,電
解過酸化水素製造装置,電解水製造装置,湿度センサ,
水素センサ,一次電池,二次電池,光スイッチシステム
あるいは多価金属を用いた新たな電池システムである請
求項19に記載の高イオン伝導性固体電解質を使用した
電気化学システム。
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