JP2003137541A - 高比表面積アルミナの製造方法と得られる高比表面積アルミナ - Google Patents

高比表面積アルミナの製造方法と得られる高比表面積アルミナ

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JP2003137541A JP2002237560A JP2002237560A JP2003137541A JP 2003137541 A JP2003137541 A JP 2003137541A JP 2002237560 A JP2002237560 A JP 2002237560A JP 2002237560 A JP2002237560 A JP 2002237560A JP 2003137541 A JP2003137541 A JP 2003137541A
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barium
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Kenichi Akishika
研一 秋鹿
Barinto Iwan
バリント イワン
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Rikogaku Shinkokai
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来より高い比表面積を有する高温安定なア
ルミナ、特にアルファ型アルミナを提供すること。 【解決手段】 油中水ナノエマルジョンに、アルミニウ
ムアルコキシドとバリウムアルコキシド又はセシウムア
ルコキシドの少なくとも1種とを、バリウムアルコキシ
ド単独の場合アルミニウムとバリウムのモル比で12:1
より大きく12:0より小さいモル比で、セシウムアルコ
キシド単独の場合アルミニウムとセシウムのモル比で
6:1より大きく6:0より小さいモル比で、バリウムアル
コキシド及びセシウムアルコキシドの両方の場合上記モ
ル比の比例配分範囲内のモル比で、添加して得られる加
水分解物を熟成した後、分離し、仮焼して、比表面積が
20m2/g以上のアルファ型アルミナ及び1000℃以上の温
度で100m2/g以上の比表面積を有するアルミナを製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高比表面積アルミナ
の製造方法とその製造方法によって得られる高比表面積
アルミナに係る。
【0002】
【従来の技術】アルミナはアルコールの脱水反応などの
直接触媒として,又,多くは他の活性物質に対する担体
として広く用いられている。触媒の活性は表面との関係
が深く,高表面積のものが求められる。一般的な乾燥法
で作られた水酸化アルミニウムの表面積は100m2/g程
度と高くないが、低温下で注意深く焼成したアルミナは
表面積が大きい。特に大きなもの(数百m2/g)はアルミ
ニウムアルコキシドを前駆体としてエアロゲル法で得た
ものである。この方法は、アルコキシドを加水分解して
得られるゲルの乾燥を超臨界条件下で行う為に、水酸化
アルミニウムゲルを高い表面積に保持できるとされる。
【0003】しかし多くの触媒プロセスで問題となるの
は高温下(800℃以上)でのアルミナのシンタリング
(燃結)である。いかに表面積の大きなガンマ型アルミ
ナであっても、昇温の途中、アルファ型アルミナに転換
する時に表面が潰れる。アルファ型アルミナの表面積は
普通3 m2/g程度に低下する。もし熱安定な高表面積の
アルファ型アルミナが調製できれば、実用の面で非常に
有用である。例えば1000℃でのメタンの触媒燃焼に
用いることができ,これによりNOxの生成も抑制でき
る。またメタンのリフォーミング等の多くの高温反応に
も利用できるであろう。アルミナは最も汎用性の担体で
ある。
【0004】アルミナのシンタリングを防止する一つと
して、アルミナにかさ高イオンであるバリウムやランタ
ンなどの金属イオンを加えるという方法がある(M. Mac
hida, K. Eguchi, and H. Arai, J. Catal., 103, 385
(1987))。バリウムやランタンのヘキサアルミネートは
1300℃以上で生成し、その表面積はおよそ10 m 2/
g であり、単一のアルファ型アルミナの3 m2/g より相
当大きい。バリウムやランタンのヘキサアルミネートが
異方性の層構造を形成することによって、シンタリング
の抑制ができるとされる。しかし、このヘキサアルミネ
ートの表面積では高温触媒としてはまだ十分ではない。
【0005】最近A.J.Zarur, ( A.J.Zarur, J.Y.Ying,
Nature, 403(6), 65(2000)) は高表面積のバリウムヘキ
サアルミネートの調製法を報告した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の
A.J.Zarur文献の追試を行ったが,文献の方法に従って
も,再現性が得られなかったので、その考え方を基にし
て様々な方法を試み,鋭意検討した結果,少量の安定化
剤としてバリウム又はセシウムを加えるだけで、ヘキサ
アルミネートでなく、これまで特許や文献に報告された
こともない非常に高い表面積(例えば75m2/g)のアルファ
型アルミナ及び1000℃以上の高温で非常に高い表面積
(例えば156m2/g)のガンマ型アルミナ合成をすることに
成功した。
【0007】そこで、本発明は、このような新規な高表
面積アルミナの製造方法と、その方法によって得られる
従来にない高表面積の高温安定アルミナを提供すること
を目的するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】こうして、本発明によれ
ば、上記目的を達成するために、下記が提供される。
【0009】(1)油中水ナノエマルジョンに、アルミ
ニウムアルコキシドとバリウムアルコキシド及びセシウ
ムアルコキシドの少なくとも1種とを、バリウムアルコ
キシド単独の場合アルミニウムとバリウムのモル比で1
2:1より大きく12:0より小さいモル比で、セシウムア
ルコキシド単独の場合アルミニウムとセリウムのモル比
で6:1より大きく6:0より小さいモル比で、バリウムア
ルコキシド及びセシウムアルコキシドの両方の場合上記
モル比の比例配分範囲内のモル比で、添加して得られる
加水分解物を熟成した後、分離し、仮焼することを特徴
とする高比表面積アルミナの製造方法。
【0010】(2)バリウムアルコキシドを添加し、ア
ルミニウムアルコキシドとバリウムアルコキシドのモル
比をアルミニウムとバリウムのモル比で12:1より大き
く42:1より小さい値にして、アルミナを得る上記
(1)に記載の高比表面積アルミナの製造方法。
【0011】(3)セシウムアルコキシドを添加し、ア
ルミニウムアルコキシドとセシウムアルコキシドのモル
比をアルミニウムとセシウムのモル比で6:1より大きく
42:1より小さい値にして、アルミナを得る上記(1)
に記載の高比表面積アルミナの製造方法。
【0012】(4)添加するアルミニウムアルコキシド
とバリウムアルコキシド及び/又はセシウムアルコキシ
ドのモル比をアルミニウムとバリウム及び/又はセシウ
ムのモル比で42:1に等しいかそれより大きく96:1より
小さい値にして、アルファ型アルミナを得る上記(1)
に記載の高比表面積アルミナの製造方法。
【0013】(5)アルミニウムアルコキシド及びバリ
ウムアルコキシドをキレートを用いて油相に溶解させる
上記(1)(2)(4)に記載の高比表面積アルミナの
製造方法。
【0014】(6)加水分解物の熟成をオートクレーブ
中で行う上記(1)〜(5)に記載の高比表面積アルミ
ナの製造方法。
【0015】(7)熟成した加水分解物のエマルジョン
からの分離を超臨界乾燥で行う上記(1)〜(6)に記
載の高比表面積アルミナの製造方法。
【0016】(8)キレートが3-オキソブタン酸エチ
ルである(5)〜(7)に記載の高比表面積アルミナの
製造方法。
【0017】(9)比表面積が20m2/g以上のアルファ
型アルミナであることを特徴とする高比表面積アルミ
ナ。
【0018】(10)バリウム又はセシウムを少量成分
として含む上記(9)に記載の高比表面積アルミナ。
【0019】(11)酸化バリウム及び/又はバリウム
ヘキサアルミナートを少量成分として含み、平均組成が
(BaO)x・1/2Al2O3(式中1/96<x≦1/42)で表される上
記(8)(9)に記載の高比表面積アルミナ。
【0020】(12)酸化セシウム及び/又はセシウム
アルミナートCs2O・11Al2O3を少量成分として含み、平
均組成が(Cs2O)x・Al2O3(式中1/96<x≦1/42)で表さ
れる上記(8)(9)に記載の高比表面積アルミナ。
【0021】(13)1000℃で100m2/g以上の比
表面積を有するアルミナであることを特徴とする高比表
面積アルミナ。
【0022】(14)バリウム又はセシウムを少量成分
として含む上記(13)に記載の高比表面積アルミナ。
【0023】(15)酸化バリウム及び/又はバリウム
ヘキサアルミナートを少量成分として含み、平均組成が
(BaO)x・1/2Al2O3(式中1/42<x<1/12)で表される上
記(13)(14)に記載の高比表面積アルミナ。
【0024】(16)酸化セシウム及び/又はセシウム
アルミナートCs2O・11Al2O3を少量成分として含み、平
均組成が(Cs2O)x・Al2O3(式中1/42<x<1/9)で表さ
れるj上記(13)(14)に記載の高比表面積アルミ
ナ。
【0025】
【発明の実施の形態】従来知られている1000℃以上の高
温に耐えるアルミナ(アルファ型アルミナ)の比表面積
は高々3m2/gであるが、本発明によれば1000℃以上の高
温で100m2/g以上の比表面積、さらには150m2/g程度ある
いはそれ以上の比表面積のアルミナ(主としてガンマ型
あるいはガンマ型とアルファ型の混在)を提供すること
が可能とされる。また、本発明によれば、20m2/g以上の
比表面積、さらには30m2/g以上、40m2/g以上の比表面積
のアルファ型アルミナが提供され、50〜100m2/g程度あ
るいはそれ以上の比表面積のアルファ型アルミナを提供
することも可能とされる。従来技術で述べたように、ガ
ンマ型アルミナでも500℃以下では数100m2/gの高比表面
積のものが得られるが、高温安定性が劣り通常800℃で
比表面積が数m2/gのアルファ型アルミナに変化するのに
対して、本発明の如く高温安定な高比表面積アルミナ及
び高比表面積アルファ型アルミナが提供されることの効
果は大なるものがある。
【0026】このような高温安定な高比表面積アルミナ
(高比表面積アルファ型アルミナを含む)を製造する方
法について先に説明する。
【0027】本発明によれば、高温安定な高比表面積の
アルミナは、アルミニウムアルコキシド及び少量のバリ
ウムアルコキシド及び/又はセシウムアルコキシドを油
相から水ナノエマルジョンに移し、2つのアルコキシド
を混合して加水分解し、得られる水酸化物を焼成するこ
とにより製造される。
【0028】先ずアルコキシドの微細加水分解リアクタ
ーとしての役割を持つ油中水ナノエマルジョンを形成す
る。このナノエマルジョンを用いて生成する加水分解生
成物(水酸化物/金属酸化物)の寸法は油相中の水滴の
寸法に近いものとなる。このような油中水ナノエマルジ
ョンは、界面活性剤の種類、オイル中の水含有量、安定
剤の添加などによって安定に形成することが可能であ
る。
【0029】油中水ナノエマルジョンの油相(オイル
相)としては、基本的に疎水性又は油性物質であって水
相と分離して油相を形成するものであれば制限なく使用
でき、炭化水素系、エステル系、アルコール系、芳香族
系などが広く使用できるが、ナノエマルジョンを安定に
形成する目的、入手容易性などの観点から適宜選択して
使用すればよい。炭化水素媒体と水ナノエマルジョンの
表面張力を適当に保つ観点から適当な分子量の炭化水素
に適当なアルコールを混合したりすることが好ましい。
炭化水素としては特に沸点が96℃(100℃未満)であり、
系から除去し易いイソオクタンがより好ましく、プロパ
ノールは表面張力の制御を適当にするのでより好ましい
媒体として使用できる。
【0030】このように水相と油相の間の表面張力を減
少させ、油中水ナノエマルジョンを安定させるアルコー
ルとしてn−プロパノールの他にもn−ブタノールなど
の直鎖アルコールを用いることができる。安定剤アルコ
ールの量は油相に対し0.1〜10 vol/vol、好ましくは1〜
2 vol/volが適当である。
【0031】オイル中の水の含有量は油相に対し0.01〜
5 vol/vol、より好ましくは、0.1〜0.5 vol/volが適当
である。1 vol/volより多いと相分離し易く、また0.03
vol/volより少ないとナノエマルジョンを作り難い。
【0032】界面活性剤として、ポリエチレングリコー
ル(PEG200, 100000など)、ポリエチレンオクチルフェニ
ルエーテル(POEP), Tween80(C18H32O2)などを使用でき
るが、ポリエチレングリコール、特にPEG200が好適であ
る。界面活性剤の量は油相に対し0.05〜0.5 vol/vol、
好ましくは、0.1〜0.2 vol/volが適当である。少なすぎ
るとエマルジョンが長時間懸濁状態を保てず、多すぎる
と油相に溶解せず不要な部分を生じる。
【0033】本発明のナノサイズの高温安定アルミナ
(アルファ型アルミナを含む)を製造するための油中水
ナノエマルジョンは、油相中の水の寸法をできるだけ小
さくかつ均一にすることが望まれる。油相に界面活性剤
と安定剤を添加し、混合物が透明均一になるまで数分間
攪拌する。次に得られたオイル―界面活性剤―安定剤の
混合物に一滴ずつ水を加えると、油相中にナノサイズの
水滴が形成され、混合物が乳白色になる。水の量が多す
ぎると乳濁液が不安定になり、水相が分離する。油中水
ナノエマルジョンの水滴の寸法は得られる金属水酸化
物、引いてはアルミナの寸法を規定するので、できるだ
け微細であることが望ましいが、一般的には2〜20ナノ
メートル程度以下の直径にすることが望ましい。
【0034】次に油相にアルミニウムアルコキシドとバ
リウムアルコキシド及びセシウムアルコキシドの少なく
とも1種を溶解させれば、油相中からアルミニウムアル
コキシドとバリウムアルコキシド及び/又はセシウムア
ルコキシドが水滴中に移動して水滴中で加水分解され
て、水滴の寸法に近い寸法の金属水酸化物を形成する。
【0035】用いるアルミニウムアルコキシドと、バリ
ウムアルコキシド又はセシウムアルコキシドは入手でき
るものであればよいが、例えば、イソプロピルアルコキ
シド、エチルアルコキシド、ブチルアルコキシドなどの
炭素数2〜5程度の分岐又は直鎖アルコキシドが好適に
使用できる。
【0036】アルミニウムアルコキシドと、バリウムア
ルコキシド及びセシウムアルコキシドの少なくとも1種
との混合割合は、バリウムアルコキシド単独の場合バリ
ウムのアルミニウムに対するモル比で1:12より小さく
0:12より大きいモル比とし、セシウムアルコキシド単独
の場合セシウムのアルミニウムに対するモル比で1:6よ
り小さく0:6より大きいモル比とする。バリウムアルコ
キシド及びセシウムアルコキシドを混合使用する場合、
バリウムアルコキシド及びセシウムアルコキシドそれぞ
れを単独使用する場合の上記モル比を比例配分して計算
されるモル比の範囲内であればよい。バリウム又はセシ
ウムが存在しないと比表面積の低いアルミナ(アルファ
型アルミナ)が生成し、本発明の効果が得られない。一
方、バリウムやセシウムの割合が多すぎるとアルミナを
生成できず、殆どがバリウムヘキサアルミネート(BaO・
6Al2O3)やセシウムアルミネート(Cs2O・11Al2O3)などを
生成するようになる。なお、このアルミニウムアルコキ
シド及びバリウムアルコキシド又はセシウムアルコキシ
ドの混合割合は油相へ実際に添加される溶液の濃度をも
って制御すべきであり、混合前に空気中の湿気を吸収し
て濾過で事前に除去されるものは計算から除外するべき
である。
【0037】特に、バリウム又は/及びセシウムのアル
ミニウムに対するモル比を1:96より大きく1:42と等し
いかまたはそれより小さい値にすることにより、高比表
面積アルファ型アルミナを得ることができる。アルミニ
ウムとバリウム又は/及びセシウムのモル比が、1:60
と1:42の間、特に1:48の付近が高比表面積アルファ型
アルミナを得るために好適である。バリウム又は/及び
セシウムの比が少ない方がアルファ型アルミナを生成し
やすいが比表面積が小さくなり易く、一方、バリウム又
は/及びセシウムの比が大きくなると比表面積は大きく
なるがアルファ型アルミナを生成しにくくなる。
【0038】バリウムアルコキシドを単独使用し、バリ
ウムのアルミニウムに対するモル比を1:42より大きく
1:12より小さい値にすることにより、主としてガンマ
型アルミナからなる高温安定な高比表面積アルミナを得
ることができる。アルミニウムとバリウムのモル比が、
1:42より大きい値と1:16の間、特に1:24の付近が高
比表面積ガンマ型アルミナを得るために好適である。バ
リウムの比が大きくなるとアルミナを生成しにくくなり
バリウムヘキサアルミネートが生成するが、バリウムの
比が小さいと比表面積が大きくなりにくい。
【0039】セシウムアルコキシドを単独使用し、セシ
ウムのアルミニウムに対するモル比を1:42より大きく
1:6より小さい値にすることにより、主としてガンマ型
アルミナからなる高温安定な高比表面積アルミナを得る
ことができる。アルミニウムとセシウムのモル比が、
1:24より大きい値と1:9の間、特に1:11の付近が高比
表面積ガンマ型アルミナを得るために好適である。セシ
ウムの比が大きくなるとアルミナを生成しにくくなりセ
シウムアルミネートCs2O・11Al2O3が生成するが、セシ
ウムの比が小さいと比表面積が大きくなりにくい。
【0040】バリウムアルコキシドとセシウムアルコキ
シドを併用する場合には、バリウムアルコキシド及びセ
シウムアルコキシドのそれぞれ単独使用の場合に好まし
い量として上記した使用量を比例配分して得られる範囲
内の量での併用使用はやはり好ましい使用量である。
【0041】アルミニウムアルコキシドとバリウムアル
コキシド又は/及びセシウムアルコキシドの水エマルジ
ョンを基準にした濃度は、加水分解速度に影響するが、
化学量論の1/100〜1/50がよい。理由は水過剰の条件
で、加水分解が迅速に進むことと、高濃度のアルコキシ
ドからの生成物は乾燥の際焼結し易いためである。
【0042】アルミニウムアルコキシド及びバリウムア
ルコキシド又は/及びセシウムアルコキシドは油中水ナ
ノエマルジョンの油相中に溶解させるには、通常、アル
コキシドを油相と同じ物質又はそれと相溶性の物質に溶
解してそれを油中水ナノエマルジョンに添加すればよい
が、アルミニウムアルコキシド及びバリウムアルコキシ
ド又は/及びセシウムアルコキシドの溶解度は必ずしも
高くない場合が多い。このような場合、バリウムアルコ
キシドを用いるときは、キレート剤を用いることにより
所望に溶解した溶液を得ることができることを見出し
た。この良好な溶解性は重要であり、溶解性の悪いまま
アルコキシドを油相に加えると分離沈殿してしまうとい
う問題がある。キレート剤としては限定されないが、3-
オキソブタン酸エチルなどを用いることができる。しか
し、セシウムアルコキシドを用いる場合はキレートを添
加しなくても特に問題はなかった。また、操作中に僅か
なアルコキシドは空気中の湿気を吸収して加水分解して
しまうので、これに対しては油中水ナノエマルジョンに
加える前に濾過して除去する。
【0043】従って、アルコキシドを溶解した溶液を油
中水ナノエマルジョンに加える方法は特に限定されない
が、図1に示す如く、アルコキシド溶液をフィルターを
通して油中水ナノエマルジョン中に加える方法がよい。
【0044】油中水ナノエマルジョン中にアルコキシド
溶液が添加されると、油相からアルミニウムアルコキシ
ド及びバリウムアルコキシド又はセシウムアルコキシド
が水滴中に移動して、そこで加水分解されて、油相中に
分散したナノサイズの金属水酸化物粒子を形成する。
【0045】ナノサイズの金属水酸化物粒子を形成させ
るには、エマルジョンを攪拌しながら24〜48時間置いて
熟成させることが望ましい。熟成が不足すると、乾燥と
焼成過程において金属水酸化物粒子が潰れて小表面積
(例えば、アルファ型アルミナでは25m2/g程度)にな
る。また、室温で熟成を行うと、乾燥過程で金属水酸化
物の安定性を確保できなくなり、高温安定高比表面積ア
ルミナ(アルファ型アルミナを含む)を得るための焼成
後の比表面積が大きくならないことがある(例えば、ア
ルファ型アルミナでは10m2/g程度のものが得られる)。
このような場合には、室温では金属水酸化物の結晶生成
が不十分であるためであるから、限定するわけではない
が、金属水酸化物の結晶生成を促進するためにエマルジ
ョンをオートクレーブ処理すること、一般的には100℃
より高い温度で、例えば、150〜200℃、12〜48時間程度
の処理を行うことが望ましい。本発明では、オートクレ
ープ処理した水酸化物粒子についてはポリマー化が進ん
でいるために、焼成の際に粒子成長が抑制される効果が
あることを確認している。
【0046】こうして得られたナノサイズの金属水酸化
物粒子をエマルジョン(分散体)から一般的な濾過法で
分離することは不可能である。従って、超臨界乾燥法、
フリーズドドライ法、ロータリーエバポレータ法などで
乾燥して溶媒を除去してナノサイズの金属水酸化物粒子
を得る方法を採用するが、この乾燥方法は得られる酸化
物の比表面積と構造に影響する可能性があるので注意が
必要である。この中では、超臨界乾燥法が高比表面積の
微粒子(酸化物など)を得ることができるので、好まし
い。
【0047】特に超臨界乾燥法では界面活性剤を除去す
る作用効果もあるが、界面活性剤が残っている場合に
は、エマルジョンの溶媒を除去した後、必要に応じて、
ナノサイズの金属水酸化物粒子に付着している界面活性
剤を分離除去するために400〜600℃程度で加熱処理する
ことが望ましいことを見出した。
【0048】最終的に、得られたナノサイズの金属水酸
化物粒子を仮燃(焼成)して酸化物に変換する。一般的
には900〜1000℃でガンマ型からアルファ型に変換され
ると言われているので、それより高い温度、例えば、10
50〜1200℃の温度で、3〜72時間程度の熱処理を行えば
よい。雰囲気は特に限定されず、不活性雰囲気でもよい
が、大気中でよく、それが簡便で好ましい。
【0049】こうして得られるナノサイズの金属酸化物
粒子は、X線解析法で分析したところ、平均組成が(BaO)
x・1/2Al2O3(式中1/96<x≦1/42)及び(Cs2O)x・Al2O
3(式中1/96<x≦1/42)で表されるものでは、実質的
にアルファ型アルミナであることが確認された。そのほ
かに前者ではガンマ型アルミナ、BaO・Al2O3,BaO・6A
l2O3など、後者ではガンマ型アルミナなども存在した
が、微量であった。しかも、その比表面積は従来の10m2
/g程度と比べて顕著に高いものであった。また、平均組
成が(BaO)x・1/2Al2O3(式中1/42<x<1/12)又は(Cs2
O)x・Al2O3(式中1/42<x≦1/6)で表されるもので
は、1000℃以上で焼成しているが実質的にガンマ型アル
ミナであり、そのほかに前者ではアルファ型アルミナ、
BaO・Al2O3,BaO・6Al2O3など、後者ではアルファ型ア
ルミナ、Cs2O・11Al2O3も存在したが、微量であること
が確認された。1100℃以上で加熱するとガンマ型の一部
はアルファ型に変化することがあるが、これらは1000℃
以上において従来の10m2/g程度と比べて顕著に高い高比
表面積を有するアルミナであった。従来はBaO・6Al2O 3
を形成してその比表面積を高めることが試みられ、高比
表面積のアルファ型アルミナを得るものではなかった。
また、Cs2Oをアルミナ表面にコートして高温での焼結を
防ぐことが試みられている(K.Okuda, A.Hattori, Y.Kam
eshima, A.Yasumori; J.Am.Ceram.Soc., 83,1233(2000)
など)が、十分な高比表面積のアルミナを得るものでは
なかった。本発明によれば高比表面積のアルファ型アル
ミナあるいは高比表面積の高温安定アルミナを得ること
ができた。
【0050】また、従来はBaO・6Al2O3を形成してその
比表面積を高めることが試みられ、高比表面積のアルミ
ナを得るものではなかったが、本発明によれば高比表面
積のアルファ型アルミナ、高比表面積の高温安定アルミ
ナを得ることができた。
【0051】本発明において高比表面積のアルファ型ア
ルミナあるいは高比表面積のアルミナが得られる理由は
明らかではなく、限定するわけではないが、ナノサイズ
の金属水酸化物粒子中にバリウム又はセシウムが存在す
ると、金属水酸化物粒子を焼成して粒子中でアルミナを
生成されるときバリウム又はセシウムがアルミナ結晶粒
同士の粒子成長を阻害するために、アルファ型アルミナ
を生成する高温で焼成しても生成するアルファ型アルミ
ナ粒子が微細なナノサイズのままであることができ、高
比表面積のアルファ型アルミナが得られるものと考えら
れる。同様に、アルファ型アルミナを生成するような高
温で焼成する際に、ナノサイズの金属水酸化物粒子中に
イオン半径の大きいバリウムやセシウムが存在すると、
金属水酸化物粒子を焼成して粒子中でアルミナを生成さ
れるときバリウムやセシウムがアルミナの相転移と遅ら
せたり結晶粒同士の粒子成長を阻害するために、生成し
たガンマ型アルミナがガンマ型を保ったままで、あるい
は1100℃より高い温度に保った場合には一部のガンマ型
アルミナはアルファ型に変化することが予想されるが、
いずれの場合にも微細なナノサイズのままであることが
でき、高比表面積のアルミナが得られるものと考えられ
る。さらにプロセスを好適に制御することにより、油相
中からアルミニウムアルコキシド及びバリウムアルコキ
シド又はセシウムアルコキシドが水相中に移動すると
き、バリウム又はセシウムの移動速度がアルミニウムよ
り速いことなどが影響して、バリウム又はセシウムとア
ルミニウムが分離して加水分解され、焼成するとき分離
された非晶質バリウム又はセシウムが、アルミナ結晶粒
同士の間に介在し、粒成長を阻害する効果があることが
予想される。本発明の方法で得られるアルファ型アルミ
ナ或いはガンマ型アルミナは、バリウム又はセシウム由
来の結晶性化合物を(XRDによる観測から)含まない
が、同じ試料を6ヶ月空気中に放置後のXRD測定では極く
微量のBaCO3相が生成していることからも、上記の推察
が肯首される。
【0052】即ち、本発明は油中水エマルジョンを利用
し原料アルミニウムアルコキシドを加水分解する際に少
量のバリウムアルコキシド又はセシウムアルコキシドを
安定剤として添加することにより高比表面積のアルミナ
(好ましい1態様ではアルファ型アルミナ)を製造する
ことを可能にすると共に、さらには、エマルジョンの安
定化、エマルジョンサイズを変更させずに除去できる溶
媒の選択、生成金属水酸化物の水熱合成法の採用などプ
ロセスを適切に制御することを付加的な特徴とすること
により、より高い比表面積のアルファ型アルミナあるい
はアルミナを製造することを可能にするものである。
【0053】
【実施例】(実施例1)油相としてのイソオクタン(2,
2,4-トリメチルペンタン)70mlに界面活性剤としてポリ
エチレングリコール200(PEG200)10mlと安定剤としてn-
プロパノール50mlを添加し、混合物が均一になるまで数
分間攪拌した。
【0054】得られた油相―界面活性剤―アルコールの
混合物に、脱イオン水を滴下すると、ナノサイズの水滴
が油相中に形成された。添加した水の量は25mlであっ
た。こうして得たエマルジョンは透明であり、水滴の寸
法は3から10nm程度であると推察された。
【0055】アルミニウムプロポキシド(1.0g)および
バリウムプロポキシド(0〜0.1g)は、キレート剤とし
て3-オキソブタン酸エチル(10ml)を添加してイソオク
タン10mlに完全に溶解させた溶液を準備した。これを濾
紙で濾過しながら上記エマルジョンに加えた。アルミニ
ウムプロポキシドおよびバリウムプロポキシドの割合は
アルミニウムとバリウムの原子比を1:0,48:1,24:
1,12:1の4種類を含む数種類とした(実験1〜6)。
なお、このアルミニウムプロポキシドおよびバリウムプ
ロポキシドの割合は加水分解時の組成である。
【0056】エマルジョンにアルミニウムプロポキシド
およびバリウムプロポキシドを添加した後、オートクレ
ーブに入れて150〜200℃で24時間処理して水相中に加水
分解して形成された水酸化物(結晶)を熟成させた。
【0057】その後、オートクレーブ処理したエマルジ
ョンをロータリーエバポレータで溶媒を除去して、ナノ
サイズの水酸化物粒子をエマルジョンから分離した。分
離したナノサイズの水酸化物粒子は500℃で60分間加熱
して界面活性剤を分解させた。その後、試料をマッフル
炉に移して、空気中、1100℃、24〜48時間の焼成を行っ
た。
【0058】得られた焼成後の酸化物粒子のキャラクタ
リゼーションのためX線回折分析および、窒素吸着法
(分析機としてBEL SORB 28SAを用いた)による表面
積、細孔寸法、細孔体積の測定を行った。表1に、得ら
れたナノサイズの酸化物の特性を示し、アルミニウムと
バリウムの原子比を変えた場合の比表面積、平均細孔
径、細孔容積、XRD結晶子径、電子顕微鏡結晶子径、元
素分析値が示されている。実験3〜5は実施例、実験
1,2,6は参考例である。
【0059】
【表1】
【0060】図2〜7は得られた酸化物試料のX線回折
チャートであり、これらの図中、□はアルファ型アルミ
ナ、○はガンマ型アルミナ、▲はBaO・Al2O3、△はBaO
・6Al2O3の結晶ピークを示す。
【0061】図2及び図3は、アルミニウムとバリウム
の原子比を1:0にし、焼成を24時間にした試料(実験
1,2)のX線回折チャートである。バリウムを添加し
ないでもある程度高表面積のアルファ型アルミナを得る
ことができる。
【0062】図4は、本発明の好ましい態様に従い、ア
ルミニウムとバリウムの原子比を48:1とし、焼成を24
時間にした試料(実験3)のX線回折チャートである。
この試料では、アルファ型アルミナが主相であり、ガン
マ型アルミナは微量成分であることが見られる。またBa
O・Al2O3およびBaO・6Al2O3の結晶ピークでは見られな
い。
【0063】また、図5、図6は、本発明のもう1つの
好ましい態様に従う、アルミニウムとバリウムの原子比
を24:1にして得た試料(実験4,5)のX線回折チャー
トである。この試料では実質的にガンマ型アルミナから
なることが確認された。
【0064】これに対して、図7に示すアルミニウムと
バリウムの原子比を12:1にし、焼成を24時間にした試
料(実験6)のX線解析チャートでは、ガンマ型アルミ
ナとバリウムヘキサアルミネートBaO・6Al2O3が観察さ
れ、アルファ型アルミナは観察されなかった。
【0065】実験3で得られたアルファ型アルミナの比
表面積、平均粒径および平均細孔径は、表1に示すよう
に75.20m2/g、42.3nm、6.84nmであった。この試料の粒
子径は9nmから90nmまでの範囲内にあり、その平均粒径
は約40nmであり、平均細孔径より若干大きかった。これ
はアルファ型アルミナがナノサイズ及びそれが焼結した
ものも含むためナノサイズの粒子と相当する細孔径より
大きいことを意味する。又この試料にマクロポアがあま
りないことはアルファ型アルミナ1次粒子が細孔構造を
通常持たないことと一致する。もっとも、エマルジョン
に対するアルコキシド濃度を増加させたり、エマルジョ
ンの安定性が低下するような条件にすると、結晶粒の寸
法が大きくなり、粒径分布および細孔径分布が広がる傾
向が見られた。
【0066】また、実験4で得られたガンマ型アルミナ
の比表面積、平均粒径および平均細孔径は、表1に示す
ように155.9m2/g、6.4nm、9.6nmであった。この試料の
粒子径は5nmから16nmまでの範囲内にあり、その平均粒
径は約10nmであり、平均細孔径とほぼ同じであった。こ
れはガンマ型アルミナの均一粒子が重なると同サイズの
細孔を作ることを意味する。又この試料にマクロポアが
あまりないことはガンマ型アルミナ1次粒子が細孔構造
を通常持たないことと一致する。もっとも、エマルジョ
ンに対するアルコキシド濃度を増加させたり、エマルジ
ョンの安定性が低下するような条件にすると、結晶粒の
寸法が大きくなり、粒径分布および細孔径分布が広がる
傾向が見られた。
【0067】(実施例2)油相としてのイソオクタン
(2,2,4-トリメチルペンタン)70mlに界面活性剤として
ポリエチレングリコール200(PEG200)10mlと安定剤とし
てn-プロパノール50mlを添加し、混合物が均一になるま
で数分間攪拌した。
【0068】得られた油相―界面活性剤―アルコールの
混合物に、脱イオン水を滴下すると、ナノサイズの水滴
が油相中に形成された。添加した水の量は25mlであっ
た。こうして得たエマルジョンは透明であり、水滴の寸
法は3から10nm程度であると推察された。
【0069】アルミニウムプロポキシド(1.0g)および
セシウムプロポキシド(0〜0.1g)は、イソオクタン10m
lに完全に溶解させた溶液を準備した。これを濾紙で濾
過しながら上記エマルジョンに加えた。アルミニウムプ
ロポキシドおよびセシウムプロポキシドの割合はアルミ
ニウムとセシウムの原子比を1:0,24:1,11:1,9:
1, 6:1の5種類を含む数種類とした(実験7〜16)。な
お、このアルミニウムプロポキシドおよびセシウムプロ
ポキシドの割合は加水分解時の組成である。
【0070】エマルジョンにアルミニウムプロポキシド
およびセシウムプロポキシドを添加した後、オートクレ
ーブに入れて150〜200℃で24時間処理して水相中に加水
分解して形成された水酸化物(結晶)を熟成させた。
【0071】その後、オートクレーブ処理したエマルジ
ョンをロータリーエバポレータで溶媒を除去して、ナノ
サイズの水酸化物粒子をエマルジョンから分離した。分
離したナノサイズの水酸化物粒子は500℃で60分間加熱
して界面活性剤を分解させた。その後、試料をマッフル
炉に移して、空気中、1100℃、24〜48時間の焼成を行っ
た。
【0072】得られた焼成後の酸化物粒子のキャラクタ
リゼーションのためX線回折分析および、窒素吸着法
(分析機としてBEL SORB 28SAを用いた)による表面
積、細孔寸法、細孔体積の測定を行った。表2に、得ら
れたナノサイズの酸化物の特性を示し、アルミニウムと
セシウムの原子比を変えた場合の比表面積、平均細孔
径、細孔容積、XRD結晶子径、電子顕微鏡結晶子径、元
素分析値などが示されている。実験7〜16は実施例、実
験7,8は参考例である。
【0073】
【表2】
【0074】図8〜10は得られた酸化物試料のX線回折
チャートであり、これらの図中、□はアルファ型アルミ
ナ、○はガンマ型アルミナ、△はCs2O・11Al2O3の結晶
ピークを示す。
【0075】図8はアルミナに対するセシウムの割合を
変えた試料のうち500℃2時間焼成後の試料(実験
7,9,11,13,15)のX線回折チャートである。結晶
化の程度は低い(巾広いピーク)が、γ−アルミナが生
成していることが分る。
【0076】図9はアルミナに対するセシウムの割合を
変えた試料のうち1100℃24時間焼成後の試料(実験8,
10,12,14,16)のX線回折チャートである。セシウム
のないものは焼結が進み、鋭いピークのα−アルミナに
転化しているが、微量セシウムを有する試料はγ−アル
ミナに留まっていることが分る。
【0077】参考資料として上記試料を1330℃、15分間
焼成したもののX線回折チャートを図10に示す。高温処
理によりセシウムを含むものについてもγ−アルミナか
らα−アルミナへの転化が進むが、セシウム/アルミナ
のモル比が1/11のものは依然としてγ−アルミナが主
体であることが分る。なおセシウム比の大きいもの(1
/6及び1/9)は一部分セシウムアルミネート(Cs2
O・11Al2O3 )に転化していることが分る。
【0078】表2のセシウム添加試料の物性を見て分か
るように、500℃焼成(実験7,9,11,13,14)の試
料の比表面積は全て100m2/g以上である。セシウム添加
により比表面積は徐々に低下している。一方1100℃焼成
(実験8,10,12,14,16)の試料の比表面積はセシウ
ムを添加しないと高い値に保てないことが分る。セシウ
ム/アルミニウムモル比が1/11(実験12)において10
2m2/gと最も高い値を与える。バリウム添加系において
はバリウム/アルミニウムモル比1/24(実験4,5)
において最も高い比表面積を与えるが、最適モル比は両
系において異なる。X線回折データよりセシウム添加系
の(平均)結晶子径はいずれも6±1nmであり、図8,
9の結果も併せて、1100℃焼成によりα−アルミナへの
相転位はほとんど起こらないことが分る。セシウム添加
の有効性が分かる。
【0079】(実施例3)実施例1と同様にして、ただ
しバリウムプロポキシドの一部をセシウムプロポキシド
に置換しても、実施例1及び実施例2と同様の結果を得
ることできた。即ち、バリウムアルコキシド及びセシウ
ムアルコキシドの効果は相互置換可能な作用効果である
ことが確認された。またバリウムアルコキシド及びセシ
ウムアルコキシドの添加量は、バリウムアルコキシド及
びセシウムアルコキシドの各単独の場合の比例配分の範
囲内で各単独の場合から期待どおりの結果を得た。
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、アルファ型アルミナで
ありながら従来の10m2/gより顕著に大きい20m2/g
以上の比表面積を有するアルファ型アルミナを製造でき
るので、また、1000℃以上の処理をしても従来の1
0m2/gより顕著に大きい100m2/g以上の比表面積を
有するアルミナも製造できるので、高温でも使用できる
触媒あるいは触媒基材などの用途において極めて有用で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って油中水ナノエマルジョンにアル
コキシドを添加する様子を示す。
【図2】参考例で得られたナノサイズの酸化物のX線回
折チャートである。
【図3】参考例で得られたナノサイズの酸化物のX線回
折チャートである。
【図4】実施例で得られたナノサイズのアルミナのX線
回折チャートである。
【図5】実施例で得られたナノサイズの酸化物のX線回
折チャートである。
【図6】実施例で得られたナノサイズの酸化物のX線回
折チャートである。
【図7】参考例で得られたナノサイズの酸化物のX線回
折チャートである。
【図8】実施例で得られたナノサイズの酸化物のX線回
折チャートである。
【図9】実施例で得られたナノサイズの酸化物のX線回
折チャートである。
【図10】参考例で得られたナノサイズの酸化物のX線
回折チャートである。
フロントページの続き Fターム(参考) 4G069 AA01 AA08 BA01A BA01B BA21C BB04A BB04B BB06A BB06B BC06A BC06B BC06C BC13A BC13B BC13C BC16C BE06C DA05 EC02X EC02Y EC03X EC03Y EC22Y EC25 EC27 ED06 FA01 FB09 FB30 FB57 FC02 FC04 FC06 FC08 FC10 4G076 AA02 AB13 BA14 BA38 BA43 BA45 BB01 BB08 CA28 FA02 FA04

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油中水ナノエマルジョンに、アルミニウ
    ムアルコキシドとバリウムアルコキシド及びセシウムア
    ルコキシドの少なくとも1種とを、バリウムアルコキシ
    ド単独の場合アルミニウムとバリウムのモル比で12:1
    より大きく12:0より小さいモル比で、セシウムアルコ
    キシド単独の場合アルミニウムとセリウムのモル比で
    6:1より大きく6:0より小さいモル比で、バリウムアル
    コキシド及びセシウムアルコキシドの両方の場合上記モ
    ル比の比例配分範囲内のモル比で、添加して得られる加
    水分解物を熟成した後、分離し、仮焼することを特徴と
    する高比表面積アルミナの製造方法。
  2. 【請求項2】 バリウムアルコキシドを添加し、アルミ
    ニウムアルコキシドとバリウムアルコキシドのモル比を
    アルミニウムとバリウムのモル比で12:1より大きく4
    2:1より小さい値にして、アルミナを得る請求項1に記
    載の高比表面積アルミナの製造方法。
  3. 【請求項3】 セシウムアルコキシドを添加し、アルミ
    ニウムアルコキシドとセシウムアルコキシドのモル比を
    アルミニウムとセシウムのモル比で6:1より大きく42:
    1より小さい値にして、アルミナを得る請求項1に記載
    の高比表面積アルミナの製造方法。
  4. 【請求項4】 添加するアルミニウムアルコキシドとバ
    リウムアルコキシド及び/又はセシウムアルコキシドの
    モル比をアルミニウムとバリウム及び/又はセシウムの
    モル比で42:1に等しいかそれより大きく96:1より小さ
    い値にして、アルファ型アルミナを得る請求項1に記載
    の高比表面積アルミナの製造方法。
  5. 【請求項5】 アルミニウムアルコキシド及びバリウム
    アルコキシドをキレートを用いて油相に溶解させる請求
    項1、2又は4に記載の高比表面積アルミナの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 加水分解物の熟成をオートクレーブ中で
    行う請求項1〜5のいずれか1項に記載の高比表面積ア
    ルミナの製造方法。
  7. 【請求項7】 熟成した加水分解物のエマルジョンから
    の分離を超臨界乾燥で行う請求項1〜6のいずれか1項
    に記載の高比表面積アルミナの製造方法。
  8. 【請求項8】 キレートが3-オキソブタン酸エチルで
    ある請求項5〜7のいずれか1項に記載の高比表面積ア
    ルミナの製造方法。
  9. 【請求項9】 比表面積が20m2/g以上のアルファ型ア
    ルミナであることを特徴とする高比表面積アルミナ。
  10. 【請求項10】 バリウム又はセシウムを少量成分とし
    て含む請求項9に記載の高比表面積アルミナ。
  11. 【請求項11】 酸化バリウム及び/又はバリウムヘキ
    サアルミナートを少量成分として含み、平均組成が(Ba
    O)x・1/2Al2O3(式中1/96<x≦1/42)で表される請求
    項8又は9に記載の高比表面積アルミナ。
  12. 【請求項12】 酸化セシウム及び/又はセシウムアル
    ミナートCs2O・11Al 2O3を少量成分として含み、平均組
    成が(Cs2O)x・Al2O3(式中1/96<x≦1/42)で表される
    請求項8又は9に記載の高比表面積アルミナ。
  13. 【請求項13】 1000℃で100m2/g以上の比表面
    積を有するアルミナであることを特徴とする高比表面積
    アルミナ。
  14. 【請求項14】 バリウム又はセシウムを少量成分とし
    て含む請求項13に記載の高比表面積アルミナ。
  15. 【請求項15】 酸化バリウム及び/又はバリウムヘキ
    サアルミナートを少量成分として含み、平均組成が(Ba
    O)x・1/2Al2O3(式中1/42<x<1/12)で表される請求
    項13又は14に記載の高比表面積アルミナ。
  16. 【請求項16】 酸化セシウム及び/又はセシウムアル
    ミナートCs2O・11Al 2O3を少量成分として含み、平均組
    成が(Cs2O)x・Al2O3(式中1/42<x<1/9)で表される
    請求項13又は14に記載の高比表面積アルミナ。
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