JP2003137037A - 高機能車両内装材 - Google Patents
高機能車両内装材Info
- Publication number
- JP2003137037A JP2003137037A JP2001337824A JP2001337824A JP2003137037A JP 2003137037 A JP2003137037 A JP 2003137037A JP 2001337824 A JP2001337824 A JP 2001337824A JP 2001337824 A JP2001337824 A JP 2001337824A JP 2003137037 A JP2003137037 A JP 2003137037A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- vehicle interior
- mesoporous
- moisture absorption
- substance
- resin layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Vehicle Waterproofing, Decoration, And Sanitation Devices (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Vehicle Interior And Exterior Ornaments, Soundproofing, And Insulation (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】本発明は、自律的な調湿機能に優れ、また様々
な機能性物質を担持でき、しかも耐久性が良好である高
機能車両内装材を提供するものである。 【解決手段】少なくとも片面にメソポーラス物質を含む
樹脂層を有しており、該樹脂層を形成するポリマーが架
橋剤により架橋されている部材を少なくとも一部に含む
ことを特徴とする高機能車両内装材。
な機能性物質を担持でき、しかも耐久性が良好である高
機能車両内装材を提供するものである。 【解決手段】少なくとも片面にメソポーラス物質を含む
樹脂層を有しており、該樹脂層を形成するポリマーが架
橋剤により架橋されている部材を少なくとも一部に含む
ことを特徴とする高機能車両内装材。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、調湿、消臭、抗菌
等の機能性を発現する高機能車両内装材に関するもので
ある。
等の機能性を発現する高機能車両内装材に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車や鉄道、船舶、航空機等の
移動手段が著しく普及し、現代生活には欠くことのでき
ないものとなっている。そして、これらの移動手段は窓
を開けることが少なく閉鎖空間となる場合が多く、その
車内環境を制御することが必須となってきている。しか
し、従来の方法では車内環境の制御は不充分であり、多
くの問題があった。例えば、高温多湿期にはエアコンに
よる冷房が用いられているが、強烈な冷房のためかえっ
て体調を崩してしまったり、多大なエネルギーを浪費し
てしまう問題があった。また、寒冷期にはエアコンによ
る暖房が利用されているが、やはり過度の暖房のため体
調を崩すのみならず、乾燥により風邪等のウイルスが増
加したり、静電気が発生し易くなるといった問題もあっ
た。また、特に公共の車両は不特定多数が利用するた
め、雑菌やウイルスが繁殖しやすく感染症の温床になっ
たり、口臭や体臭等の悪臭も問題になっていた。
移動手段が著しく普及し、現代生活には欠くことのでき
ないものとなっている。そして、これらの移動手段は窓
を開けることが少なく閉鎖空間となる場合が多く、その
車内環境を制御することが必須となってきている。しか
し、従来の方法では車内環境の制御は不充分であり、多
くの問題があった。例えば、高温多湿期にはエアコンに
よる冷房が用いられているが、強烈な冷房のためかえっ
て体調を崩してしまったり、多大なエネルギーを浪費し
てしまう問題があった。また、寒冷期にはエアコンによ
る暖房が利用されているが、やはり過度の暖房のため体
調を崩すのみならず、乾燥により風邪等のウイルスが増
加したり、静電気が発生し易くなるといった問題もあっ
た。また、特に公共の車両は不特定多数が利用するた
め、雑菌やウイルスが繁殖しやすく感染症の温床になっ
たり、口臭や体臭等の悪臭も問題になっていた。
【0003】このような問題に対し、いくつかの提案が
なされている。例えば、高温多湿期の不快なムレ感を解
消し、エアコン使用を抑制することを目的として、特定
のメソ多孔体と高分子ラテックスとからなる合成樹脂組
成物を布地に塗布したシート表皮材が特開平9−310
282号公報に記載されている。これによれば、たしか
にシートの快適性が向上するのであるが、シート表皮と
メソ多孔体を含む合成樹脂組成物(コーティング層)と
が剥がれやすく、耐久性に大きな問題があった。一方、
悪臭の問題に対しては、消臭スプレー等を吹きかける程
度の一時的な対処法しか無く、雑菌やウイルス等の問題
も含め抜本的な解決が求められていた。
なされている。例えば、高温多湿期の不快なムレ感を解
消し、エアコン使用を抑制することを目的として、特定
のメソ多孔体と高分子ラテックスとからなる合成樹脂組
成物を布地に塗布したシート表皮材が特開平9−310
282号公報に記載されている。これによれば、たしか
にシートの快適性が向上するのであるが、シート表皮と
メソ多孔体を含む合成樹脂組成物(コーティング層)と
が剥がれやすく、耐久性に大きな問題があった。一方、
悪臭の問題に対しては、消臭スプレー等を吹きかける程
度の一時的な対処法しか無く、雑菌やウイルス等の問題
も含め抜本的な解決が求められていた。
【0004】このように、従来の技術は不充分であり、
快適な車両内空間を提供できる画期的な技術が求められ
ていた。
快適な車両内空間を提供できる画期的な技術が求められ
ていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、快適な車内
空間を実現できる画期的な高機能車両内装材を提供する
ものである。
空間を実現できる画期的な高機能車両内装材を提供する
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、少なく
とも片面にメソポーラス物質を含む樹脂層を有してお
り、該樹脂層を形成するポリマーが架橋剤により架橋さ
れていることを特徴とする高機能車両内装材により達成
される。
とも片面にメソポーラス物質を含む樹脂層を有してお
り、該樹脂層を形成するポリマーが架橋剤により架橋さ
れていることを特徴とする高機能車両内装材により達成
される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明でいう車両内装材とは、乗
用車、商用車、トラック、バス、鉄道、船舶、航空機等
の輸送用車両の内装に用いる部材を指すものであり、ボ
ード等の樹脂成型品でも良いが、特に繊維製品であるこ
とが好ましい。より具体的にはシート表皮材、天井用表
皮材、ドア用表皮材、ヘッドレスト用表皮材、ピラー用
表皮材、トリム、マット等が好ましい。
用車、商用車、トラック、バス、鉄道、船舶、航空機等
の輸送用車両の内装に用いる部材を指すものであり、ボ
ード等の樹脂成型品でも良いが、特に繊維製品であるこ
とが好ましい。より具体的にはシート表皮材、天井用表
皮材、ドア用表皮材、ヘッドレスト用表皮材、ピラー用
表皮材、トリム、マット等が好ましい。
【0008】繊維製品は素材に特に制限は無く、合成繊
維、半合成繊維、再生繊維、天然繊維等幅広く選択可能
である。車両内装材として要求される耐久性を考慮する
と、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリオレ
フィン系繊維等が好ましく、高級感を考慮するとウール
等の天然繊維が好ましい。
維、半合成繊維、再生繊維、天然繊維等幅広く選択可能
である。車両内装材として要求される耐久性を考慮する
と、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリオレ
フィン系繊維等が好ましく、高級感を考慮するとウール
等の天然繊維が好ましい。
【0009】また、繊維には顔料や染料、あるいは艶消
し材、耐候剤、耐熱剤、酸化防止剤等の添加物を含有す
ることができる。さらに、合成繊維の場合には繊維特性
を向上させる目的で共重合や他ポリマーがブレンドされ
ていても良い。
し材、耐候剤、耐熱剤、酸化防止剤等の添加物を含有す
ることができる。さらに、合成繊維の場合には繊維特性
を向上させる目的で共重合や他ポリマーがブレンドされ
ていても良い。
【0010】繊維の形態としては、長繊維、短繊維、紡
績糸等、特に制限は無く、さらにこれらの混繊糸や合撚
糸等も好適に用いることができる。
績糸等、特に制限は無く、さらにこれらの混繊糸や合撚
糸等も好適に用いることができる。
【0011】また、繊維製品の形態としては布帛はもと
より、繊維を充填あるいは融着、圧着した成形体であっ
ても良い。布帛としては、織物、編物、不織布、人工皮
革等、幅広く採用できるが、車両内装材としては特にパ
イル織物のモケット、フラットなジャガード織物、丸編
みジャージ、経編等が好適である。
より、繊維を充填あるいは融着、圧着した成形体であっ
ても良い。布帛としては、織物、編物、不織布、人工皮
革等、幅広く採用できるが、車両内装材としては特にパ
イル織物のモケット、フラットなジャガード織物、丸編
みジャージ、経編等が好適である。
【0012】本発明でいうメソポーラス物質とは、例え
ばメソポーラスシリカのように中心細孔径がnmオーダ
ーで、かつ均一な細孔径を有するものである。メソポー
ラスシリカは、細孔径が均一であることがシリカゲルの
ような従来のシリカと異なるものである。これは、19
92年にモービル(J.Am.Chem.Soc.,vol.114,10834(199
2).)、1993年に豊田中研(J.Chem.Soc.,Chem.Comm
un.680(1993).)により独立に報告された新規なシリカ
であり、均一なハニカム構造(図1)を有するMCM−
41、FSM−16等が代表的な例である。本発明でい
うメソポーラス物質はメソポーラスシリカのみには限定
されず、アルミニウムやチタン等の異種金属や有機物を
一部に含むメソポーラスシリカ誘導体でも、アルミニウ
ムやチタン等の金属酸化物およびそれらの誘導体、さら
にこれらが複合されているものでも良い。これらの中で
メソポーラスシリカが合成が容易であり、好ましい。
ばメソポーラスシリカのように中心細孔径がnmオーダ
ーで、かつ均一な細孔径を有するものである。メソポー
ラスシリカは、細孔径が均一であることがシリカゲルの
ような従来のシリカと異なるものである。これは、19
92年にモービル(J.Am.Chem.Soc.,vol.114,10834(199
2).)、1993年に豊田中研(J.Chem.Soc.,Chem.Comm
un.680(1993).)により独立に報告された新規なシリカ
であり、均一なハニカム構造(図1)を有するMCM−
41、FSM−16等が代表的な例である。本発明でい
うメソポーラス物質はメソポーラスシリカのみには限定
されず、アルミニウムやチタン等の異種金属や有機物を
一部に含むメソポーラスシリカ誘導体でも、アルミニウ
ムやチタン等の金属酸化物およびそれらの誘導体、さら
にこれらが複合されているものでも良い。これらの中で
メソポーラスシリカが合成が容易であり、好ましい。
【0013】細孔径の均一性は例えば特開平9−310
282号公報記載のように、細孔直径分布曲線におい
て、中心細孔径の±40%の細孔径範囲に含まれる細孔
容積の総和により評価することが可能であり、本発明で
いうメソポーラス物質では、これが全細孔容積の60%
以上を占めるものである。本発明の参考例で作成したメ
ソポーラスシリカは全てにおいて、これが全細孔容積の
70%以上を占めていた。通常のシリカであるシリカゲ
ルではこれが50%未満である。ここで、細孔直径分布
曲線とは、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した
値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットし
た曲線のことであり、チッソガスの等温吸着曲線から作
成することができる。これは、メソポーラス物質に液体
窒素温度(−196℃)でチッソガスを導入し、その吸
着量を定容量法または重量法で求める。導入するチッソ
ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧力に対するチッ
ソガスの吸着量をプロットすることにより、等温吸着曲
線を描く。これからCranston−Inklay
法、Pollimore−Heal法の計算法を用い
て、細孔直径分布曲線を求めることができる。例えば、
「中心細孔径の±40%の細孔径範囲に含まれる細孔容
積の総和が全細孔容積の60%以上を占める」とは、細
孔直径分布曲線におけるメソポーラス物質の最大のピー
ク(中心細孔径)が3.2nmであるとすると、細孔径
が1.9〜4.5nmの範囲にある細孔容積の総和が、
全細孔容積の60%以上を占めていることを意味するも
のである。
282号公報記載のように、細孔直径分布曲線におい
て、中心細孔径の±40%の細孔径範囲に含まれる細孔
容積の総和により評価することが可能であり、本発明で
いうメソポーラス物質では、これが全細孔容積の60%
以上を占めるものである。本発明の参考例で作成したメ
ソポーラスシリカは全てにおいて、これが全細孔容積の
70%以上を占めていた。通常のシリカであるシリカゲ
ルではこれが50%未満である。ここで、細孔直径分布
曲線とは、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した
値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットし
た曲線のことであり、チッソガスの等温吸着曲線から作
成することができる。これは、メソポーラス物質に液体
窒素温度(−196℃)でチッソガスを導入し、その吸
着量を定容量法または重量法で求める。導入するチッソ
ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧力に対するチッ
ソガスの吸着量をプロットすることにより、等温吸着曲
線を描く。これからCranston−Inklay
法、Pollimore−Heal法の計算法を用い
て、細孔直径分布曲線を求めることができる。例えば、
「中心細孔径の±40%の細孔径範囲に含まれる細孔容
積の総和が全細孔容積の60%以上を占める」とは、細
孔直径分布曲線におけるメソポーラス物質の最大のピー
ク(中心細孔径)が3.2nmであるとすると、細孔径
が1.9〜4.5nmの範囲にある細孔容積の総和が、
全細孔容積の60%以上を占めていることを意味するも
のである。
【0014】本発明で用いるメソポーラス物質は自律的
な調湿機能を有するものであるが、これは図2に示すよ
うに、ある相対湿度で急激に吸湿量が増加することに由
来している。ここで、吸湿量はメソポーラスシリカ重量
に対する吸湿重量で計算されるため、吸湿量10%とは
0.1g/gを意味することになる。例えば、図2のM
PS−2において室内の相対湿度を60%から80%と
高湿度化させた場合、速やかに吸湿し相対湿度を快適な
範囲である60〜70%に低下させることができる。し
かし、通常のシリカであるシリカゲルを用いた場合は、
吸湿量が急激に増加する相対湿度が存在せず相対湿度に
対し吸湿量がゆるやかに増加するため、メソポーラスシ
リカのように充分な調湿機能はなく、さらに調湿ポイン
トもデザインすることができない。これは、以下の理由
によるものである。
な調湿機能を有するものであるが、これは図2に示すよ
うに、ある相対湿度で急激に吸湿量が増加することに由
来している。ここで、吸湿量はメソポーラスシリカ重量
に対する吸湿重量で計算されるため、吸湿量10%とは
0.1g/gを意味することになる。例えば、図2のM
PS−2において室内の相対湿度を60%から80%と
高湿度化させた場合、速やかに吸湿し相対湿度を快適な
範囲である60〜70%に低下させることができる。し
かし、通常のシリカであるシリカゲルを用いた場合は、
吸湿量が急激に増加する相対湿度が存在せず相対湿度に
対し吸湿量がゆるやかに増加するため、メソポーラスシ
リカのように充分な調湿機能はなく、さらに調湿ポイン
トもデザインすることができない。これは、以下の理由
によるものである。
【0015】メソポーラスシリカやシリカゲルは毛管凝
縮と呼ばれるメカニズムで吸放湿を行うが、これは下記
ケルビン式(1)にしたがう、細孔内への水蒸気の凝縮
現象である。そして、細孔径、水の接触角により毛管凝
縮の起こる相対湿度の制御ができる。
縮と呼ばれるメカニズムで吸放湿を行うが、これは下記
ケルビン式(1)にしたがう、細孔内への水蒸気の凝縮
現象である。そして、細孔径、水の接触角により毛管凝
縮の起こる相対湿度の制御ができる。
【0016】
ln(P/P0)=−(2γVm/rRT)cosθ ・・・・・ (1)
(P/P0)×100%:相対湿度 γ:水の表面張力
Vm:水のモル体積r:細孔径 R:気体定数 T:
絶対温度 θ:水の接触角 すなわち、メソポーラスシリカでは細孔径rの均一性が
高いため、毛管凝縮の起きる相対湿度(P/P0 )×1
00%の分布が小さく、ある相対湿度で吸湿量がシャー
プに立ち上がる。一方、シリカゲルでは細孔径rの分布
が広いため、様々なP/P0 をとり相対湿度に対し吸湿
量がシャープに立ち上がることはないのである。
Vm:水のモル体積r:細孔径 R:気体定数 T:
絶対温度 θ:水の接触角 すなわち、メソポーラスシリカでは細孔径rの均一性が
高いため、毛管凝縮の起きる相対湿度(P/P0 )×1
00%の分布が小さく、ある相対湿度で吸湿量がシャー
プに立ち上がる。一方、シリカゲルでは細孔径rの分布
が広いため、様々なP/P0 をとり相対湿度に対し吸湿
量がシャープに立ち上がることはないのである。
【0017】上記ケルビン式(1)を用いて説明したよ
うに、吸湿量がシャープに立ち上がる相対湿度は細孔径
rの大きさにより制御可能であり、これよりメソポーラ
ス物質の中心細孔径は1〜30nmとすることが好まし
い。中心細孔径は、より好ましくは3〜10nmであ
る。また、水の接触角θによっても、吸湿量がシャープ
に立ち上がる相対湿度はコントロール可能である。例え
ば、水の接触角θを大きくする、すなわち細孔内を疎水
化すると吸湿量がシャープに立ち上がる相対湿度を高湿
度側にシフトでき、逆に親水化すると低湿度側にシフト
できる。このように、中心細孔径の値によっては細孔内
の環境を調整することが好ましい。例えば、メソポーラ
ス物質の原料として有機基を含むものを使用すれば、あ
る程度疎水化されたメソポーラス物質を得ることができ
る。もちろん、メソポーラス物質を後でヘキサメチルジ
シラザンや有機基を有するシランカップリング剤を用い
て表面疎水化処理することも有効である。
うに、吸湿量がシャープに立ち上がる相対湿度は細孔径
rの大きさにより制御可能であり、これよりメソポーラ
ス物質の中心細孔径は1〜30nmとすることが好まし
い。中心細孔径は、より好ましくは3〜10nmであ
る。また、水の接触角θによっても、吸湿量がシャープ
に立ち上がる相対湿度はコントロール可能である。例え
ば、水の接触角θを大きくする、すなわち細孔内を疎水
化すると吸湿量がシャープに立ち上がる相対湿度を高湿
度側にシフトでき、逆に親水化すると低湿度側にシフト
できる。このように、中心細孔径の値によっては細孔内
の環境を調整することが好ましい。例えば、メソポーラ
ス物質の原料として有機基を含むものを使用すれば、あ
る程度疎水化されたメソポーラス物質を得ることができ
る。もちろん、メソポーラス物質を後でヘキサメチルジ
シラザンや有機基を有するシランカップリング剤を用い
て表面疎水化処理することも有効である。
【0018】また、本発明で用いるメソポーラス物質の
比表面積は800m2 /g以上であると、調湿速度が向
上し、好ましい。
比表面積は800m2 /g以上であると、調湿速度が向
上し、好ましい。
【0019】このようなメソポーラス物質の特性のた
め、本発明の車両内装材は自律的な調湿機能を有する。
具体的には、相対湿度が10%変化した時に吸湿量が
0.5%以上変化する部分を有し、それが発生する相対
湿度が20〜90%の間にあることが好ましい。ここ
で、相対湿度が10%変化した時の吸湿量変化とは、相
対湿度に対する吸湿量の立ち上がりのシャープさを示す
指標である。室内の調湿のためには吸湿量がシャープに
立ち上がる相対湿度は50〜80%とすると、より好ま
しい。
め、本発明の車両内装材は自律的な調湿機能を有する。
具体的には、相対湿度が10%変化した時に吸湿量が
0.5%以上変化する部分を有し、それが発生する相対
湿度が20〜90%の間にあることが好ましい。ここ
で、相対湿度が10%変化した時の吸湿量変化とは、相
対湿度に対する吸湿量の立ち上がりのシャープさを示す
指標である。室内の調湿のためには吸湿量がシャープに
立ち上がる相対湿度は50〜80%とすると、より好ま
しい。
【0020】ところで、メソポーラス物質は水以外にも
様々な分子を吸着することが可能である。このようなも
のとしては、従来ゼオライトや活性炭があったが、ゼオ
ライトは細孔径が1nm未満と小さすぎるため悪臭物質
のような大きな分子を吸着することはできず、活性炭は
細孔径の分布が広いため吸着効率が悪く、支持体に多量
に添加する必要がありそれにより黒ずむ等の問題があっ
た。それらに比べメソポーラス物質は前記したようにn
mオーダーの均一な細孔を有しているため、例えばイソ
吉草酸やフタル酸ジオクチルといった分子サイズの大き
な悪臭物質や有害物質でも効率的に吸着することができ
る。また、吸着剤をメソポーラス物質細孔内に担持して
おくと、さらに吸着効率が向上し好ましい。このよう
に、本発明の車両内装材は、調湿能力以外に悪臭物質や
有害物質を吸着する機能も有しているのである。
様々な分子を吸着することが可能である。このようなも
のとしては、従来ゼオライトや活性炭があったが、ゼオ
ライトは細孔径が1nm未満と小さすぎるため悪臭物質
のような大きな分子を吸着することはできず、活性炭は
細孔径の分布が広いため吸着効率が悪く、支持体に多量
に添加する必要がありそれにより黒ずむ等の問題があっ
た。それらに比べメソポーラス物質は前記したようにn
mオーダーの均一な細孔を有しているため、例えばイソ
吉草酸やフタル酸ジオクチルといった分子サイズの大き
な悪臭物質や有害物質でも効率的に吸着することができ
る。また、吸着剤をメソポーラス物質細孔内に担持して
おくと、さらに吸着効率が向上し好ましい。このよう
に、本発明の車両内装材は、調湿能力以外に悪臭物質や
有害物質を吸着する機能も有しているのである。
【0021】さらに本発明では、メソポーラス物質に機
能性物質を担持させることにより、さらに多様な機能を
車両内装材に付与することができる。具体的には、難燃
性、難溶融性、芳香性、抗菌・制菌・防臭・消臭性、紫
外線遮蔽性、吸放湿性、透湿性、水透過性、防水性、吸
水性、吸油性、調湿性、帯電防止性、撥水性、撥油性、
防汚性、導電性のみならず樹脂膜のタックの解消、染色
による鮮明性の向上等が挙げられるが、その種類、内容
は特に制限されるものではない。
能性物質を担持させることにより、さらに多様な機能を
車両内装材に付与することができる。具体的には、難燃
性、難溶融性、芳香性、抗菌・制菌・防臭・消臭性、紫
外線遮蔽性、吸放湿性、透湿性、水透過性、防水性、吸
水性、吸油性、調湿性、帯電防止性、撥水性、撥油性、
防汚性、導電性のみならず樹脂膜のタックの解消、染色
による鮮明性の向上等が挙げられるが、その種類、内容
は特に制限されるものではない。
【0022】例えば、抗菌、制菌、防臭、消臭性を発現
させるための機能性物質としては、有機シリコン系第4
級アンモニウム塩等の抗菌防臭剤の他、金属ハロゲン化
物、ポリアミン等を用いることができる。
させるための機能性物質としては、有機シリコン系第4
級アンモニウム塩等の抗菌防臭剤の他、金属ハロゲン化
物、ポリアミン等を用いることができる。
【0023】また、芳香性を発現させるためには例え
ば、ローズ、ジャスミン、合成ムスク等の香料、森林浴
効果のあるフィトンチッド類似物質、檜の天然精油等の
芳香剤を用いることができる。
ば、ローズ、ジャスミン、合成ムスク等の香料、森林浴
効果のあるフィトンチッド類似物質、檜の天然精油等の
芳香剤を用いることができる。
【0024】また、紫外線遮蔽を発現させるためには例
えば、ヒドロキシベンゾフェノン系、ヒドロキシナフト
フェン系、フェニルサリチレート系、ベンゾトリアゾー
ル系等の紫外線吸収剤を用いることができる。
えば、ヒドロキシベンゾフェノン系、ヒドロキシナフト
フェン系、フェニルサリチレート系、ベンゾトリアゾー
ル系等の紫外線吸収剤を用いることができる。
【0025】さらに、難燃性を発現させるためには例え
ば、ハロゲン系、リン系、シリコーン系等の難燃剤や水
酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化
物を用いることができる。
ば、ハロゲン系、リン系、シリコーン系等の難燃剤や水
酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化
物を用いることができる。
【0026】これらの機能性物質は単独で用いてもよ
く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】また、メソポーラス物質への機能性物質の
担持方法には、特に制限は無く、昇華を用いる方法や溶
液中で固着させる方法等を採用可能であり、機能性物質
の耐熱性や溶液での安定性に合わせることが好ましい。
担持方法には、特に制限は無く、昇華を用いる方法や溶
液中で固着させる方法等を採用可能であり、機能性物質
の耐熱性や溶液での安定性に合わせることが好ましい。
【0028】ところで、メソポーラス物質に担持される
機能性物質は、耐熱性等の点からメソポーラス物質の細
孔内に存在することが好ましい。この際、中心細孔径は
機能性物質の分子サイズ以上であることが重要である。
また、分子サイズに対し細孔径が大きすぎると吸着し難
くなるため、メソポーラス物質の中心細孔径は、機能性
物質の分子サイズの1〜10倍であることが好ましい。
機能性物質は、耐熱性等の点からメソポーラス物質の細
孔内に存在することが好ましい。この際、中心細孔径は
機能性物質の分子サイズ以上であることが重要である。
また、分子サイズに対し細孔径が大きすぎると吸着し難
くなるため、メソポーラス物質の中心細孔径は、機能性
物質の分子サイズの1〜10倍であることが好ましい。
【0029】さらに、細孔径が分子サイズに比べ小さ過
ぎるものでは機能性物質が細孔に侵入できず、逆に細孔
径が分子サイズに比べ大き過ぎるものでは機能性物質の
吸着が起こり難いため、高い担持効率を得るためには細
孔径が均一であることが重要である。この点、メソポー
ラス物質では前記したように細孔径の均一性が極めて高
いため、ほとんど全ての細孔が機能性物質の担持に有効
に働き、担持効率が非常に高くなるのである。一方、シ
リカゲルのような従来の非晶質シリカでは細孔径の均一
性が低く、小さい過ぎるものから大き過ぎるものまで様
々な細孔が存在するため、機能性物質の担持効率が低い
のである。
ぎるものでは機能性物質が細孔に侵入できず、逆に細孔
径が分子サイズに比べ大き過ぎるものでは機能性物質の
吸着が起こり難いため、高い担持効率を得るためには細
孔径が均一であることが重要である。この点、メソポー
ラス物質では前記したように細孔径の均一性が極めて高
いため、ほとんど全ての細孔が機能性物質の担持に有効
に働き、担持効率が非常に高くなるのである。一方、シ
リカゲルのような従来の非晶質シリカでは細孔径の均一
性が低く、小さい過ぎるものから大き過ぎるものまで様
々な細孔が存在するため、機能性物質の担持効率が低い
のである。
【0030】なお、従来の非晶質シリカは、合成の原理
上細孔径の分布が極めて大きくなってしまうが、メソポ
ーラスシリカ等のメソポーラス物質は鋳型に用いる界面
活性剤のミセルサイズで細孔サイズが決まるため、原理
上、細孔径の分布が狭くなるのである。これは、J.Am.C
hem.Soc.,vol.114,10834(1992).のFig.4に示され
ている。なお、均一な細孔径を有するものとして他にゼ
オライトがあるが、これは細孔径が1nm未満と小さ過
ぎるため、大きな分子の担持には適さないのである。
上細孔径の分布が極めて大きくなってしまうが、メソポ
ーラスシリカ等のメソポーラス物質は鋳型に用いる界面
活性剤のミセルサイズで細孔サイズが決まるため、原理
上、細孔径の分布が狭くなるのである。これは、J.Am.C
hem.Soc.,vol.114,10834(1992).のFig.4に示され
ている。なお、均一な細孔径を有するものとして他にゼ
オライトがあるが、これは細孔径が1nm未満と小さ過
ぎるため、大きな分子の担持には適さないのである。
【0031】本発明ではメソポーラス物質を含有するこ
とが重要であるが、含有の状態として車両内装材の原糸
にメソポーラス物質が練り混まれている状態と車両内装
材にメソポーラス物質がコーティングされている状態が
あるが、布帛の引き裂き強力を保持する観点から、コー
ティングされている状態が好ましい。また、メソポーラ
ス物質のコーティング層はそれ単独でも良いが、車両内
装材からの剥離を抑制する観点からコーティング樹脂を
用い、該樹脂層にメソポーラス物質が分散されているこ
とが好ましい。
とが重要であるが、含有の状態として車両内装材の原糸
にメソポーラス物質が練り混まれている状態と車両内装
材にメソポーラス物質がコーティングされている状態が
あるが、布帛の引き裂き強力を保持する観点から、コー
ティングされている状態が好ましい。また、メソポーラ
ス物質のコーティング層はそれ単独でも良いが、車両内
装材からの剥離を抑制する観点からコーティング樹脂を
用い、該樹脂層にメソポーラス物質が分散されているこ
とが好ましい。
【0032】該樹脂層を形成する樹脂としては、特に制
限はないが、例えばポリエステル系、ポリアミド系、シ
リコーン系、ビニル系、フッ素系、ポリウレタン系、ア
クリル酸エステル系等を用いることができる。この中で
も特に、吸尽させた薬剤の透過が有利になる点から水膨
潤性高分子が望ましく、具体的には親水性ポリエステ
ル、親水性ポリウレタンが好ましい。
限はないが、例えばポリエステル系、ポリアミド系、シ
リコーン系、ビニル系、フッ素系、ポリウレタン系、ア
クリル酸エステル系等を用いることができる。この中で
も特に、吸尽させた薬剤の透過が有利になる点から水膨
潤性高分子が望ましく、具体的には親水性ポリエステ
ル、親水性ポリウレタンが好ましい。
【0033】該樹脂層は、連続した樹脂層であることが
好ましい。この連続した樹脂層は、樹脂層が二次元的に
連続であり、不連続で途切れた箇所がない無孔層や多孔
層を形成していることが好ましい。また、該樹脂層は車
両内装材上に化学的あるいは物理的に接着されているこ
とが好ましい。
好ましい。この連続した樹脂層は、樹脂層が二次元的に
連続であり、不連続で途切れた箇所がない無孔層や多孔
層を形成していることが好ましい。また、該樹脂層は車
両内装材上に化学的あるいは物理的に接着されているこ
とが好ましい。
【0034】化学的な接着としては、イオン結合、共有
結合などにより樹脂を構成しているポリマーと車両内装
材を構成する単繊維が固定化されているものなどがあ
り、物理的な接着としては、樹脂と単繊維表面の2次元
的な密着、樹脂による単繊維の3次元的な包埋などによ
り固定化されているものなどがある。
結合などにより樹脂を構成しているポリマーと車両内装
材を構成する単繊維が固定化されているものなどがあ
り、物理的な接着としては、樹脂と単繊維表面の2次元
的な密着、樹脂による単繊維の3次元的な包埋などによ
り固定化されているものなどがある。
【0035】本発明では、車両内装材の耐久性を向上さ
せるために、該樹脂層を形成するポリマーが架橋剤によ
り架橋されてなり、さらに車両内装材を構成する単繊維
と架橋していることも好ましい。ここでいう耐久性と
は、繰り返し使用による車両内装材からの該樹脂層の剥
離の程度のことをいう。すなわち、耐久性が高ければ車
両内装材からの該樹脂層の剥離程度は小さく、機能性は
保持されが、耐久性が低ければ該樹脂層が剥離、脱落し
てしまい、機能性が保てなくなってしまうのである。
せるために、該樹脂層を形成するポリマーが架橋剤によ
り架橋されてなり、さらに車両内装材を構成する単繊維
と架橋していることも好ましい。ここでいう耐久性と
は、繰り返し使用による車両内装材からの該樹脂層の剥
離の程度のことをいう。すなわち、耐久性が高ければ車
両内装材からの該樹脂層の剥離程度は小さく、機能性は
保持されが、耐久性が低ければ該樹脂層が剥離、脱落し
てしまい、機能性が保てなくなってしまうのである。
【0036】本発明でいう該樹脂層を形成するポリマー
が架橋剤により架橋されるとは、樹脂自身が有している
カルボキシル基、水酸基等の官能基が架橋剤等を介する
ことによって結合していることをいう。また、該樹脂層
を形成するポリマーが車両内装材を構成する単繊維と架
橋しているとは、樹脂自身が有しているカルボキシル
基、水酸基等の官能基が架橋剤等を介することによって
単繊維と結合している、および/または単繊維を包埋し
ていることをいう。
が架橋剤により架橋されるとは、樹脂自身が有している
カルボキシル基、水酸基等の官能基が架橋剤等を介する
ことによって結合していることをいう。また、該樹脂層
を形成するポリマーが車両内装材を構成する単繊維と架
橋しているとは、樹脂自身が有しているカルボキシル
基、水酸基等の官能基が架橋剤等を介することによって
単繊維と結合している、および/または単繊維を包埋し
ていることをいう。
【0037】ここでいう架橋剤とは架橋反応を行うため
に必要とする試薬のことであり、架橋剤は架橋反応の対
象となる樹脂末端によって使い分ける必要がある。ポリ
アミン、酸無水物、イソシアネート化合物、過酸化物、
エポキシ化合物、ビニル化合物、Zn、Ca、Mg等の
酸化物、シラノール等が例として挙げられるが、これら
に限定されるものではない。
に必要とする試薬のことであり、架橋剤は架橋反応の対
象となる樹脂末端によって使い分ける必要がある。ポリ
アミン、酸無水物、イソシアネート化合物、過酸化物、
エポキシ化合物、ビニル化合物、Zn、Ca、Mg等の
酸化物、シラノール等が例として挙げられるが、これら
に限定されるものではない。
【0038】車両内装材上に該樹脂層を設ける手段に特
に制限は無いが、例えば以下の方法を採用することがで
きる。メソポーラス物質を含有する樹脂をダイコータ
ー、ロールコーター、ロッドコーター、ブレードコータ
ー、エアナイフコーター等の各種公知の方法を用いて塗
布し、乾燥する方法、ラミネート法等を用いることがで
きる。ここで、メソポーラス物質はあらかじめ機能性物
質を担持していてもよく、また機能性物質を担持してい
ないメソポーラス物質を用いて被膜化した後にスプレー
法、機能性物質溶液に浸す等の手法で機能性物質を担持
してもよい。
に制限は無いが、例えば以下の方法を採用することがで
きる。メソポーラス物質を含有する樹脂をダイコータ
ー、ロールコーター、ロッドコーター、ブレードコータ
ー、エアナイフコーター等の各種公知の方法を用いて塗
布し、乾燥する方法、ラミネート法等を用いることがで
きる。ここで、メソポーラス物質はあらかじめ機能性物
質を担持していてもよく、また機能性物質を担持してい
ないメソポーラス物質を用いて被膜化した後にスプレー
法、機能性物質溶液に浸す等の手法で機能性物質を担持
してもよい。
【0039】該樹脂層の厚みは、発現する機能に影響を
与え、薄ければ繊維構造物の柔軟性は向上するが機能性
は低下し、逆に厚ければ柔軟性は低下するが機能性は向
上することから、20μm以上5000μm以下が好ま
しく、より好ましくは30μm以上3000μm以下で
ある。
与え、薄ければ繊維構造物の柔軟性は向上するが機能性
は低下し、逆に厚ければ柔軟性は低下するが機能性は向
上することから、20μm以上5000μm以下が好ま
しく、より好ましくは30μm以上3000μm以下で
ある。
【0040】
【実施例】参考例1(MPS−1の合成)
乾燥重量で50gのカネマイト結晶を0.1Mのn−ヘ
キサデシルトリメチルアンモウニウムクロライド水溶液
1000mlに分散させ、70℃で3時間攪拌した。加
熱初期のpHは12.3であった。その後2Nの塩酸を
加えpHを8.5まで下げた。そして3時間攪拌した
後、室温まで放冷した。これを濾過し、固形生成物を1
000mlのイオン交換水に分散させ、再度濾過を行っ
た。この分散攪拌/濾過を5回行い、固形物を60℃で
乾燥した。これを500℃で6時間焼成することによ
り、メソポーラスシリカを得た。これをMPS−1と呼
ぶ。このMPS−1はX線回折により低角側にピークが
観測され、規則的な周期構造を有しており均一な細孔が
形成されていることが確認された。また、チッソガス吸
着法から求めた中心細孔径は2.9nm、比表面積は1
020m2 /gであった(表1)。
キサデシルトリメチルアンモウニウムクロライド水溶液
1000mlに分散させ、70℃で3時間攪拌した。加
熱初期のpHは12.3であった。その後2Nの塩酸を
加えpHを8.5まで下げた。そして3時間攪拌した
後、室温まで放冷した。これを濾過し、固形生成物を1
000mlのイオン交換水に分散させ、再度濾過を行っ
た。この分散攪拌/濾過を5回行い、固形物を60℃で
乾燥した。これを500℃で6時間焼成することによ
り、メソポーラスシリカを得た。これをMPS−1と呼
ぶ。このMPS−1はX線回折により低角側にピークが
観測され、規則的な周期構造を有しており均一な細孔が
形成されていることが確認された。また、チッソガス吸
着法から求めた中心細孔径は2.9nm、比表面積は1
020m2 /gであった(表1)。
【0041】参考例2(MPS−2の合成)
エタノール中で100gのn−オクタデシルピリジニウ
ムブロマイドに50gのテトラエトキシシランとアンモ
ニア水を加え50℃で10時間攪拌した。そして、これ
を濾過し、得られた固形生成物を60℃で乾燥した。こ
れをエタノール/塩酸混合溶媒を用いて鋳型に用いたオ
クタデシルトリメチルアンモニウムを除去した後、5回
イオン交換水で水洗し、150℃で減圧乾燥を24時間
行い、メソポーラスシリカを得た。これをMPS−2と
呼ぶ。このMPS−2はX線回折により低角側にピーク
が観測され、規則的な周期構造を有しており均一な細孔
が形成されていることが確認された。また、チッソガス
吸着法から求めた中心細孔径は5.0nm、比表面積は
1200m2 /gであった(表1)。また、これの相対
湿度−吸湿量相関図は図2に示した。
ムブロマイドに50gのテトラエトキシシランとアンモ
ニア水を加え50℃で10時間攪拌した。そして、これ
を濾過し、得られた固形生成物を60℃で乾燥した。こ
れをエタノール/塩酸混合溶媒を用いて鋳型に用いたオ
クタデシルトリメチルアンモニウムを除去した後、5回
イオン交換水で水洗し、150℃で減圧乾燥を24時間
行い、メソポーラスシリカを得た。これをMPS−2と
呼ぶ。このMPS−2はX線回折により低角側にピーク
が観測され、規則的な周期構造を有しており均一な細孔
が形成されていることが確認された。また、チッソガス
吸着法から求めた中心細孔径は5.0nm、比表面積は
1200m2 /gであった(表1)。また、これの相対
湿度−吸湿量相関図は図2に示した。
【0042】参考例3(MPS−3の合成)
非イオン系界面活性剤のポリアルキレンオキサイドトリ
ブロック共重合体であるアルドリッチ社製Pluron
icP123を40gを300gのイオン交換水と12
00gの2N塩酸の混合溶媒に溶解し、35℃で攪拌し
た。そして、85gのテトラエチルオルトシリケートを
加え、100℃で40時間攪拌した。そして、濾過によ
り固形生成物を得、イオン交換水で洗浄し、風乾した。
これを8時間かけて500℃昇温し、さらに500℃で
6時間保持し焼成し、メソポーラスシリカを得た。これ
をMPS−3と呼ぶ。このMPS−3はX線回折により
低角側にピークが観測され、規則的な周期構造を有して
おり均一な細孔が形成されていることが確認された。ま
た、チッソガス吸着法から求めた中心細孔径は9.2n
m、比表面積は900m2 /gであった(表1)。ま
た、これの相対湿度−吸湿量相関図は図2に示した。
ブロック共重合体であるアルドリッチ社製Pluron
icP123を40gを300gのイオン交換水と12
00gの2N塩酸の混合溶媒に溶解し、35℃で攪拌し
た。そして、85gのテトラエチルオルトシリケートを
加え、100℃で40時間攪拌した。そして、濾過によ
り固形生成物を得、イオン交換水で洗浄し、風乾した。
これを8時間かけて500℃昇温し、さらに500℃で
6時間保持し焼成し、メソポーラスシリカを得た。これ
をMPS−3と呼ぶ。このMPS−3はX線回折により
低角側にピークが観測され、規則的な周期構造を有して
おり均一な細孔が形成されていることが確認された。ま
た、チッソガス吸着法から求めた中心細孔径は9.2n
m、比表面積は900m2 /gであった(表1)。ま
た、これの相対湿度−吸湿量相関図は図2に示した。
【0043】参考例4(MPS−4の合成)
n−オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド
3.13gとイオン交換水300g、6NのNaOH水
溶液15gの混合液を0℃で攪拌しながら、1,2−ビ
ス(トリメトキシシリル)エタン20.3g加え、3時
間攪拌した。室温で14時間静置後、さらに13時間攪
拌し、さらに室温で14時間静置後、さらに7時間攪拌
した。そして、固形物を濾過、イオン交換水で洗浄後、
風乾した。これをエタノール/塩酸混合溶媒を用いて鋳
型に用いたn−オクタデシルトリメチルアンモニウムを
除去した後、5回イオン交換水で水洗し、150℃で減
圧乾燥を24時間行い、有機基を含有したメソポーラス
シリカ誘導体を得た。これをMPS−4と呼ぶ。このM
PS−4はX線回折により低角側にピークが観測され、
規則的な周期構造を有しており均一な細孔が形成されて
いることが確認された。また、チッソガス吸着法から求
めた中心細孔径は3.8nm、比表面積は1350m2
/gであった(表1)。また、これの相対湿度−吸湿量
相関図は図2に示した。
3.13gとイオン交換水300g、6NのNaOH水
溶液15gの混合液を0℃で攪拌しながら、1,2−ビ
ス(トリメトキシシリル)エタン20.3g加え、3時
間攪拌した。室温で14時間静置後、さらに13時間攪
拌し、さらに室温で14時間静置後、さらに7時間攪拌
した。そして、固形物を濾過、イオン交換水で洗浄後、
風乾した。これをエタノール/塩酸混合溶媒を用いて鋳
型に用いたn−オクタデシルトリメチルアンモニウムを
除去した後、5回イオン交換水で水洗し、150℃で減
圧乾燥を24時間行い、有機基を含有したメソポーラス
シリカ誘導体を得た。これをMPS−4と呼ぶ。このM
PS−4はX線回折により低角側にピークが観測され、
規則的な周期構造を有しており均一な細孔が形成されて
いることが確認された。また、チッソガス吸着法から求
めた中心細孔径は3.8nm、比表面積は1350m2
/gであった(表1)。また、これの相対湿度−吸湿量
相関図は図2に示した。
【0044】
【表1】
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明する。なお、
実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
【0045】A.極限粘度[η]
オルソクロロフェノール中25℃で測定した。
【0046】B.相対湿度−吸湿量の相関図
常法にしたがい、水蒸気の等温吸着曲線を求めた。吸湿
量は、メソポーラスシリカの乾燥重量に対する吸湿され
た水の重量とした。また、相対湿度−吸湿量の相関図で
吸湿量がシャープに立ち上がる部分において、相対湿度
が10%増加した時の吸湿量変化が最大の部分を吸湿量
変化として表1に記載した。また、それの中点にあたる
相対湿度を吸湿発現湿度とした。
量は、メソポーラスシリカの乾燥重量に対する吸湿され
た水の重量とした。また、相対湿度−吸湿量の相関図で
吸湿量がシャープに立ち上がる部分において、相対湿度
が10%増加した時の吸湿量変化が最大の部分を吸湿量
変化として表1に記載した。また、それの中点にあたる
相対湿度を吸湿発現湿度とした。
【0047】C.メソポーラス物質の中心細孔径
メソポーラス物質に液体窒素温度(-196℃)でチッソガ
スを導入し、その吸着量を定容量法で求める。導入する
チッソガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧力に対す
るチッソガスの吸着量をプロットすることにより、等温
吸着曲線を描く。これからCranston-Inklay法を用い
て、細孔直径分布曲線、中心細孔径を求めた。
スを導入し、その吸着量を定容量法で求める。導入する
チッソガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧力に対す
るチッソガスの吸着量をプロットすることにより、等温
吸着曲線を描く。これからCranston-Inklay法を用い
て、細孔直径分布曲線、中心細孔径を求めた。
【0048】D.メソポーラス物質の比表面積
Cで測定したチッソガスの等温吸着曲線にBET法を適
用し、BET比表面積を求めた。
用し、BET比表面積を求めた。
【0049】E.調湿性評価
あらかじめ所望の相対湿度に調湿された卓上型恒温恒湿
槽(ナガノ科学機器製作所LH−20−11M、容積8
0リットル)の調湿機能スイッチを切ると同時に実施例
で作製した車両内装材の試験片(5g分切り取ったも
の)を入れ、湿度変化をモニターした。繰り返し実験で
は卓上型恒温恒湿槽を複数台準備し、順番に使用した。
この時の測定温度は20℃とした。
槽(ナガノ科学機器製作所LH−20−11M、容積8
0リットル)の調湿機能スイッチを切ると同時に実施例
で作製した車両内装材の試験片(5g分切り取ったも
の)を入れ、湿度変化をモニターした。繰り返し実験で
は卓上型恒温恒湿槽を複数台準備し、順番に使用した。
この時の測定温度は20℃とした。
【0050】F.耐久性
実施例、比較例で作製した車両内装材を実車で6ヶ月間
使用した後での変化を観察した。
使用した後での変化を観察した。
【0051】G.機能性発現の評価
a.難燃性評価(燃焼試験)
限界酸素指数とJISL−1091 A−1法により評
価した。
価した。
【0052】b.芳香性評価
10人の健康な被験者に芳香を感じるかどうかを1時間
毎に判定してもらい、芳香の持続性を評価した。
毎に判定してもらい、芳香の持続性を評価した。
【0053】c.悪臭物質の除去
0.01m3 (10リットル)のテドラーバッグ中央
に、実施例で作製した車両内装材の試験片5gを置き、
これに大気を流入させ、さらにケミカル汚染物質を所望
の濃度となるように注入した。この汚染空気を経時的に
サンプリングし、ガスクロマトグラフィーにてテドラー
バッグ中のケミカル汚染物質濃度をモニタリングした。
に、実施例で作製した車両内装材の試験片5gを置き、
これに大気を流入させ、さらにケミカル汚染物質を所望
の濃度となるように注入した。この汚染空気を経時的に
サンプリングし、ガスクロマトグラフィーにてテドラー
バッグ中のケミカル汚染物質濃度をモニタリングした。
【0054】d.抗菌性
普通寒天培地に培養していた菌を使用し、発生集落を1
/500濃度の普通ブイヨン培地に懸濁しておよそ1.
0×106個/mlとなるように菌液を調整した。そし
て、実施例の車両内装材25cm2に菌液を0.5ml
塗布し、35℃で48時間培養後、菌数(個/25cm
2)を測定した。
/500濃度の普通ブイヨン培地に懸濁しておよそ1.
0×106個/mlとなるように菌液を調整した。そし
て、実施例の車両内装材25cm2に菌液を0.5ml
塗布し、35℃で48時間培養後、菌数(個/25cm
2)を測定した。
【0055】実施例1〜3
84dtex、36フィラメントのポリエチレンテレフ
タレート(PET)の仮撚加工糸を地組織とし、84d
tex、36フィラメントのPET糸を立毛パイル部と
するトリコット編物を28ゲージの編機を用いて64コ
ースの編密度で製編し、次いで常法により精練、染色を
行い自動車内装用布帛を得た。
タレート(PET)の仮撚加工糸を地組織とし、84d
tex、36フィラメントのPET糸を立毛パイル部と
するトリコット編物を28ゲージの編機を用いて64コ
ースの編密度で製編し、次いで常法により精練、染色を
行い自動車内装用布帛を得た。
【0056】そして、熱反応型水溶性ウレタン樹脂水溶
液(第一工業製薬社製エラストロンW−11P)94重
量%、触媒(第一工業製薬社製エラストロンCat.6
4)6重量%からなる溶液に表3に示すメソポーラスシ
リカを10重量%添加し、さらに炭酸水素ナトリウムに
よりpH=4.0に調整したものを塗工液とした。
液(第一工業製薬社製エラストロンW−11P)94重
量%、触媒(第一工業製薬社製エラストロンCat.6
4)6重量%からなる溶液に表3に示すメソポーラスシ
リカを10重量%添加し、さらに炭酸水素ナトリウムに
よりpH=4.0に調整したものを塗工液とした。
【0057】フッ素系撥水撥油剤であるAG925(旭
硝子(株)製商品名)4%水分散液で処理した上記布帛
に、ナイフコータを用い、クリアランス200μmで上
記塗工液を塗布し、120℃2分間乾燥、被膜化を行っ
た。そして、このコーティング布帛を用いカーシート表
皮を作製した。
硝子(株)製商品名)4%水分散液で処理した上記布帛
に、ナイフコータを用い、クリアランス200μmで上
記塗工液を塗布し、120℃2分間乾燥、被膜化を行っ
た。そして、このコーティング布帛を用いカーシート表
皮を作製した。
【0058】得られたカーシート表皮を切り取ったもの
の吸湿特性は表2、図3に示した。そして、これの調湿
性評価を吸湿側(初期相対湿度90%)4回繰り返した
後、すぐに放湿側(初期相対湿度30%)4回の繰り返
し実験を行った。測定時間は15分間とした。テストに
用いたカーシート表皮片は最初20℃、相対湿度50%
に調湿しておいたものを使用した。結果は図4〜6に示
すが、いづれも15分以内に調湿が行われ、しかも再現
性も良好であり、優れた調湿性能を示した。
の吸湿特性は表2、図3に示した。そして、これの調湿
性評価を吸湿側(初期相対湿度90%)4回繰り返した
後、すぐに放湿側(初期相対湿度30%)4回の繰り返
し実験を行った。測定時間は15分間とした。テストに
用いたカーシート表皮片は最初20℃、相対湿度50%
に調湿しておいたものを使用した。結果は図4〜6に示
すが、いづれも15分以内に調湿が行われ、しかも再現
性も良好であり、優れた調湿性能を示した。
【0059】また、得られたカーシート表皮を1500
cc乗用車に搭載し、6ヶ月間使用したがコーティング
層の剥がれは認められず、優れた耐久性を示した。
cc乗用車に搭載し、6ヶ月間使用したがコーティング
層の剥がれは認められず、優れた耐久性を示した。
【0060】
【表2】
比較例1
メソポーラスシリカをPET布帛にコーティングしない
こと以外は、実施例1と同様にカーシート表皮を作製し
た。しかし、図7に示すように、得られたカーシート表
皮は調湿性に乏しいものであった。
こと以外は、実施例1と同様にカーシート表皮を作製し
た。しかし、図7に示すように、得られたカーシート表
皮は調湿性に乏しいものであった。
【0061】比較例2
特開平9−310282号公報の実施例1で用いた合成
樹脂組成物をフッ素系撥水撥油剤であるAG925(旭
硝子(株)製商品名)4%水分散液で処理した実施例1
で用いたPET布帛に、ナイフコータを用い、クリアラ
ンス200μmで塗布し、120℃2分間乾燥、被膜化
を行い、実施例1と同様にカーシート表皮を作製した。
これを1500cc乗用車に搭載し、6ヶ月間使用した
が、コーティング樹脂層を形成するポリマーが架橋され
たいないため、コーティング層の剥がれが認められ、外
観が著しく損なわれただけでなく調湿性も大幅に低下し
た。
樹脂組成物をフッ素系撥水撥油剤であるAG925(旭
硝子(株)製商品名)4%水分散液で処理した実施例1
で用いたPET布帛に、ナイフコータを用い、クリアラ
ンス200μmで塗布し、120℃2分間乾燥、被膜化
を行い、実施例1と同様にカーシート表皮を作製した。
これを1500cc乗用車に搭載し、6ヶ月間使用した
が、コーティング樹脂層を形成するポリマーが架橋され
たいないため、コーティング層の剥がれが認められ、外
観が著しく損なわれただけでなく調湿性も大幅に低下し
た。
【0062】実施例4
メソポーラスシリカをMPS−1として、実施例1と同
様にしてカーシート表皮を作製した。これのイソ吉草酸
の除去能力を評価したところ、60分間でイソ吉草酸濃
度が15ppmから1ppmまで濃度が低下し、優れた
除去能力を示した。
様にしてカーシート表皮を作製した。これのイソ吉草酸
の除去能力を評価したところ、60分間でイソ吉草酸濃
度が15ppmから1ppmまで濃度が低下し、優れた
除去能力を示した。
【0063】また、得られたカーシート表皮を1500
cc乗用車に搭載し、6ヶ月間使用したがコーティング
層の剥がれは認められず、優れた耐久性を示した。
cc乗用車に搭載し、6ヶ月間使用したがコーティング
層の剥がれは認められず、優れた耐久性を示した。
【0064】実施例5
ポリウレタン樹脂”サンプレンHMP−17A”(三洋
化成工業(株)製商品名)に、MPS−1を溶液重量に
対し10重量%、架橋剤としてシアヌル骨格を有するへ
キサメチレンジイソシアネートの3量体を溶液重量に対
し1重量%添加し、塗工液とした。
化成工業(株)製商品名)に、MPS−1を溶液重量に
対し10重量%、架橋剤としてシアヌル骨格を有するへ
キサメチレンジイソシアネートの3量体を溶液重量に対
し1重量%添加し、塗工液とした。
【0065】そして、実施例1と同様にメソポーラスシ
リカをコーティングしたカーシート表皮を作製した。
リカをコーティングしたカーシート表皮を作製した。
【0066】これのフタル酸ジオクチルの除去能力を評
価したところ、60分間でフタル酸ジオクチル濃度が2
0ppmから2ppmまで濃度が低下し、優れた除去能
力を示した。
価したところ、60分間でフタル酸ジオクチル濃度が2
0ppmから2ppmまで濃度が低下し、優れた除去能
力を示した。
【0067】また、得られたカーシート表皮を1500
cc乗用車に搭載し、6ヶ月間使用したがコーティング
層の剥がれは認められず、優れた耐久性を示した。
cc乗用車に搭載し、6ヶ月間使用したがコーティング
層の剥がれは認められず、優れた耐久性を示した。
【0068】実施例6
ジエチレントリアミン3%水溶液にMPS−2を50℃
で1分間浸漬することにより、MPS−2にジエチレン
トリアミンを担持させた。そして、これを実施例1と同
様にコーティングし、カーシート表皮を作製した。これ
の硫化水素除去を評価したところ、60分間で硫化水素
濃度が30ppmから1ppmまで濃度が低下し、優れ
た除去能力を示した。
で1分間浸漬することにより、MPS−2にジエチレン
トリアミンを担持させた。そして、これを実施例1と同
様にコーティングし、カーシート表皮を作製した。これ
の硫化水素除去を評価したところ、60分間で硫化水素
濃度が30ppmから1ppmまで濃度が低下し、優れ
た除去能力を示した。
【0069】実施例7
ポリウレタン樹脂”サンプレンHMP−17A”(三洋
化成工業(株)製商品名)に、リン系難燃剤であるレゾ
ルシノールビスジフェニルフォスフェートの1重量%水
分散液に24時間浸漬したMPS−1を溶液重量に対し
10重量%添加し、塗工液とした。
化成工業(株)製商品名)に、リン系難燃剤であるレゾ
ルシノールビスジフェニルフォスフェートの1重量%水
分散液に24時間浸漬したMPS−1を溶液重量に対し
10重量%添加し、塗工液とした。
【0070】そして、実施例1と同様にメソポーラスシ
リカをコーティングしたカーシート表皮を作製した。
リカをコーティングしたカーシート表皮を作製した。
【0071】限界酸素指数27で炭化面積45cm2、
残炎時間2.5秒、残じん時間4.5秒、炭化距離19
cmと高い難燃性を有するカーシート表皮であった。
残炎時間2.5秒、残じん時間4.5秒、炭化距離19
cmと高い難燃性を有するカーシート表皮であった。
【0072】実施例8
ポリウレタン樹脂”サンプレンHMP−17A”(三洋
化成工業(株)製商品名)に、架橋剤としてシアヌル骨
格を有するへキサメチレンジイソシアネートの3量体を
溶液重量に対し1重量%、リン系難燃剤としてレゾルシ
ノールビスジフェニルフォスフェート1重量%水分散液
に24時間浸漬したMPS−1を溶液重量に対し10重
量%それそれ添加し、塗工液とした。
化成工業(株)製商品名)に、架橋剤としてシアヌル骨
格を有するへキサメチレンジイソシアネートの3量体を
溶液重量に対し1重量%、リン系難燃剤としてレゾルシ
ノールビスジフェニルフォスフェート1重量%水分散液
に24時間浸漬したMPS−1を溶液重量に対し10重
量%それそれ添加し、塗工液とした。
【0073】そして、実施例7と同様にメソポーラスシ
リカをコーティングしたカーシート表皮を作製した。
リカをコーティングしたカーシート表皮を作製した。
【0074】洗濯評価後の膜の剥離がなく、また洗濯後
においても限界酸素指数28で炭化面積39cm2、残
炎時間2.0秒、残じん時間4.0秒、炭化距離17c
mと高い難燃性を有するカーシート表皮であった。
においても限界酸素指数28で炭化面積39cm2、残
炎時間2.0秒、残じん時間4.0秒、炭化距離17c
mと高い難燃性を有するカーシート表皮であった。
【0075】比較例3
メソポーラスシリカの代わりに多孔性シリカゲル”サイ
ロイド244”(富士デヴィソン化学(株)製商品名、
粒径1〜4μm)を使用し、実施例5と同様の手法でカ
ーシート表皮を作製した。限界酸素指数19で炭化面積
50cm2、残炎時間3.5秒、残じん時間6.0秒、
炭化距離22cmと実施例5よりも低い難燃性を示すカ
ーシート表皮であった。
ロイド244”(富士デヴィソン化学(株)製商品名、
粒径1〜4μm)を使用し、実施例5と同様の手法でカ
ーシート表皮を作製した。限界酸素指数19で炭化面積
50cm2、残炎時間3.5秒、残じん時間6.0秒、
炭化距離22cmと実施例5よりも低い難燃性を示すカ
ーシート表皮であった。
【0076】実施例9
44dtex、18フィラメントのPET糸をフロント
糸に使用し、36dtex、12フィラメントのPET
仮撚加工糸をバック糸に使用し、28ゲージの編機でト
リコットを製編し、次いで常法により精練、染色を行い
自動車内装用布帛を得た。
糸に使用し、36dtex、12フィラメントのPET
仮撚加工糸をバック糸に使用し、28ゲージの編機でト
リコットを製編し、次いで常法により精練、染色を行い
自動車内装用布帛を得た。
【0077】ポリウレタン樹脂”サンプレンHMP−1
7A”(三洋化成工業(株)製商品名)に、別に50%
合成ムスクとアルコール溶媒が1:1の香料を3重量
%、エチレングリコールを97重量%で構成される香料
溶液に24時間浸漬したMPS−1を用意し、溶液重量
に対し10重量%添加して塗工液とした。
7A”(三洋化成工業(株)製商品名)に、別に50%
合成ムスクとアルコール溶媒が1:1の香料を3重量
%、エチレングリコールを97重量%で構成される香料
溶液に24時間浸漬したMPS−1を用意し、溶液重量
に対し10重量%添加して塗工液とした。
【0078】フッ素系撥水撥油剤であるAG925(旭
硝子(株)製商品名)4%水分散液で処理した上記布帛
に、ナイフコータを用い、クリアランス200μmで上
記塗工液を塗布し、120℃2分間乾燥、被膜化を行っ
た。そして、このコーティング布帛を起毛加工し天井用
表皮材を作製した。
硝子(株)製商品名)4%水分散液で処理した上記布帛
に、ナイフコータを用い、クリアランス200μmで上
記塗工液を塗布し、120℃2分間乾燥、被膜化を行っ
た。そして、このコーティング布帛を起毛加工し天井用
表皮材を作製した。
【0079】これは、芳香機能は長時間持続する天井用
表皮材であった。
表皮材であった。
【0080】実施例10
ポリウレタン樹脂”サンプレンHMP−17A”(三洋
化成工業(株)製商品名)に、架橋剤としてシアヌル骨
格を有するへキサメチレンジイソシアネートの3量体を
溶液重量に対し1重量%添加して樹脂溶液とした。ま
た、別に50%合成ムスクとアルコール溶媒が1:1の
香料を3重量%、エチレングリコールを97重量%で構
成される香料溶液に24時間浸漬したMPS−1を用意
し、樹脂溶液に溶液重量に対し10重量%添加して塗工
液とした。
化成工業(株)製商品名)に、架橋剤としてシアヌル骨
格を有するへキサメチレンジイソシアネートの3量体を
溶液重量に対し1重量%添加して樹脂溶液とした。ま
た、別に50%合成ムスクとアルコール溶媒が1:1の
香料を3重量%、エチレングリコールを97重量%で構
成される香料溶液に24時間浸漬したMPS−1を用意
し、樹脂溶液に溶液重量に対し10重量%添加して塗工
液とした。
【0081】そして、実施例9と同様にメソポーラスシ
リカをコーティングした天井用表皮材を作製したとこ
ろ、芳香機能は長時間持続する天井用表皮材であった。
リカをコーティングした天井用表皮材を作製したとこ
ろ、芳香機能は長時間持続する天井用表皮材であった。
【0082】比較例4
ポリウレタン樹脂”サンプレンHMP−17A”(三洋
化成工業(株)製商品名)に、50%合成ムスクとアル
コール溶媒が1:1の香料を3重量%、エチレングリコ
ールを97重量%で構成される香料溶液を溶液重量に対
し10重量%添加して塗工液とした。
化成工業(株)製商品名)に、50%合成ムスクとアル
コール溶媒が1:1の香料を3重量%、エチレングリコ
ールを97重量%で構成される香料溶液を溶液重量に対
し10重量%添加して塗工液とした。
【0083】そして、実施例9と同様に天井用表皮材を
作製したが、メソポーラスシリカを含有していないた
め、芳香機能は短時間でほぼ消失してしまう天井用表皮
材であった。
作製したが、メソポーラスシリカを含有していないた
め、芳香機能は短時間でほぼ消失してしまう天井用表皮
材であった。
【0084】実施例11
塩化ベンザルコニウムをエタノールに対し5重量%とな
るようにエタノールに投入し、室温で攪拌した。次いで
このエタノール液にMPS−2を液に対し10重量%と
なるように投入し、この混合液を2時間超音波分散器に
かけ、MPS−2に塩化ベンザルコニウムを担持させ
た。この塩化ベンザルコニウム担持MPS−2をポリウ
レタン樹脂”サンプレンHMP−17A”(三洋化成工
業(株)製商品名)に対し10重量%添加し、塗工液と
した。
るようにエタノールに投入し、室温で攪拌した。次いで
このエタノール液にMPS−2を液に対し10重量%と
なるように投入し、この混合液を2時間超音波分散器に
かけ、MPS−2に塩化ベンザルコニウムを担持させ
た。この塩化ベンザルコニウム担持MPS−2をポリウ
レタン樹脂”サンプレンHMP−17A”(三洋化成工
業(株)製商品名)に対し10重量%添加し、塗工液と
した。
【0085】そして、実施例1と同様にメソポーラスシ
リカをコーティングしたカーシート表皮を作製した。
リカをコーティングしたカーシート表皮を作製した。
【0086】これの黄色ブドウ球菌、大腸菌に対する抗
菌性を調べたところ、培養後の菌数は黄色ブドウ球菌が
0個/25cm2、大腸菌が3個/25cm2であり、充
分な抗菌性が認められた。
菌性を調べたところ、培養後の菌数は黄色ブドウ球菌が
0個/25cm2、大腸菌が3個/25cm2であり、充
分な抗菌性が認められた。
【0087】実施例12
PET糸を45dtex、18フィラメントのポリ乳酸
糸に、PET仮撚加工糸を36dtex、12フィラメ
ントのポリ乳酸仮撚加工糸に代え、香料担持MPS−1
をMPS−2に代えて、実施例9と同様に天井用表皮材
を作製した。これは吸湿発現湿度65%、吸湿量変化
3.4%であり、図8に示すように優れた調湿機能を示
した。
糸に、PET仮撚加工糸を36dtex、12フィラメ
ントのポリ乳酸仮撚加工糸に代え、香料担持MPS−1
をMPS−2に代えて、実施例9と同様に天井用表皮材
を作製した。これは吸湿発現湿度65%、吸湿量変化
3.4%であり、図8に示すように優れた調湿機能を示
した。
【0088】
【発明の効果】本発明の車両内装材は自律的調湿機能を
有しているため、車内環境を快適にすることができるの
みならず、エアコン使用を抑制でき省エネルギーにも寄
与することができる。さらに、消臭、難燃等の機能によ
り、より快適で安全な車内環境を提供することができる
ものである。
有しているため、車内環境を快適にすることができるの
みならず、エアコン使用を抑制でき省エネルギーにも寄
与することができる。さらに、消臭、難燃等の機能によ
り、より快適で安全な車内環境を提供することができる
ものである。
【図1】メソポーラスシリカの代表的な構造を示す模式
図である。
図である。
【図2】メソポーラスシリカの相対湿度−吸湿量の相間
を示す図である。
を示す図である。
【図3】メソポーラスシリカ含有車両内装材の相対湿度
−吸湿量の相間を示す図である。
−吸湿量の相間を示す図である。
【図4】MPS−2含有PET車両内装材の調湿性能を
示す図である。
示す図である。
【図5】MPS−3含有PET車両内装材の調湿性能を
示す図である。
示す図である。
【図6】MPS−4含有PET車両内装材の調湿性能を
示す図である。
示す図である。
【図7】通常のPET車両内装材の調湿性能を示す図で
ある。
ある。
【図8】MPS−2含有ポリ乳酸車両内装材の調湿性能
を示す図である。
を示す図である。
1:細孔
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
B60R 13/02 B60R 13/02 C
C09K 3/00 C09K 3/00 F
Fターム(参考) 3D023 BA01 BB02 BB07 BB08 BB09
BB12 BD01 BD02 BD03 BD04
BD08
3D024 BA01
4F100 AA20 AK01B AK51 AT00A
BA02 CA12B DG13 EH46
EJ05B EJ86 JB09 JB13
JC00 JD14B
4J002 BD121 BG021 CF041 CK021
CL001 CP031 DE136 DE146
DJ016 FA096 FD206 GN00
Claims (3)
- 【請求項1】少なくとも片面にメソポーラス物質を含む
樹脂層を有しており、該樹脂層を形成するポリマーが架
橋剤により架橋されている部材を少なくとも一部に含む
ことを特徴とする高機能車両内装材。 - 【請求項2】メソポーラス物質を含む樹脂層を有してお
り、該樹脂層を形成するポリマーが架橋剤により架橋さ
れている部材が、相対湿度−吸湿量の相関図において、
相対湿度が10%変化した時に吸湿量が0.5%以上変
化する吸湿発現湿度が20〜90%であることを特徴と
する請求項1に記載の高機能車両内装材。 - 【請求項3】メソポーラス物質が機能性薬剤を担持して
いることを特徴とする請求項1に記載の高機能車両内装
材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001337824A JP2003137037A (ja) | 2001-11-02 | 2001-11-02 | 高機能車両内装材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001337824A JP2003137037A (ja) | 2001-11-02 | 2001-11-02 | 高機能車両内装材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003137037A true JP2003137037A (ja) | 2003-05-14 |
Family
ID=19152411
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001337824A Pending JP2003137037A (ja) | 2001-11-02 | 2001-11-02 | 高機能車両内装材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003137037A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005111300A1 (ja) * | 2004-05-18 | 2005-11-24 | Asahi Kasei Fibers Corporation | 難燃性人工皮革 |
JP2015054688A (ja) * | 2013-09-13 | 2015-03-23 | トヨタ自動車株式会社 | 車室内湿度予測装置 |
JP2016135930A (ja) * | 2015-01-23 | 2016-07-28 | 株式会社川島織物セルコン | 難燃・防汚布帛、花粉キャッチ・防汚布帛、及び、これらの布帛を用いたカーテン |
-
2001
- 2001-11-02 JP JP2001337824A patent/JP2003137037A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005111300A1 (ja) * | 2004-05-18 | 2005-11-24 | Asahi Kasei Fibers Corporation | 難燃性人工皮革 |
KR100808430B1 (ko) * | 2004-05-18 | 2008-02-29 | 아사히 가세이 셍이 가부시키가이샤 | 난연성 인공 피혁 |
US7767602B2 (en) | 2004-05-18 | 2010-08-03 | Asahi Kasei Fibers Corporation | Flameproof artificial leather |
JP2015054688A (ja) * | 2013-09-13 | 2015-03-23 | トヨタ自動車株式会社 | 車室内湿度予測装置 |
JP2016135930A (ja) * | 2015-01-23 | 2016-07-28 | 株式会社川島織物セルコン | 難燃・防汚布帛、花粉キャッチ・防汚布帛、及び、これらの布帛を用いたカーテン |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5222342B2 (ja) | 多孔質シリカを含有する吸着能付与剤 | |
WO2006046611A1 (ja) | 消臭剤 | |
JPWO2006046443A1 (ja) | Voc除去機能を有する繊維布帛 | |
JPWO2007088879A1 (ja) | 消臭剤および消臭加工製品 | |
KR101643001B1 (ko) | 친환경 벽지 조성물 및 그 제조 방법 | |
JP2009521613A (ja) | 光触媒成分及び活性炭成分を有した生地及び製造方法 | |
KR102032331B1 (ko) | 항균 인조가죽 시트 및 이의 제조방법 | |
JP2007204686A (ja) | 消臭性ポリウレタンフォーム | |
JP5411516B2 (ja) | 車両用内装材 | |
JP2003137037A (ja) | 高機能車両内装材 | |
JP2008255507A (ja) | 消臭布帛 | |
JP2002138376A (ja) | 内装材 | |
JP2009221621A (ja) | 消臭布帛及びその製造方法 | |
CN215882816U (zh) | 一种超级纤维多功能高效复合面料 | |
KR102099863B1 (ko) | 과립형 에어로겔 조성물 및 이를 포함하는 기능성 에어로겔 시트 | |
JP5340256B2 (ja) | 吸着剤 | |
JP2010260045A (ja) | 表皮材 | |
JP3885326B2 (ja) | 消臭性繊維 | |
JP6402392B2 (ja) | 臭気吸着メッシュシート及びその臭気吸着性能の回復方法 | |
JP2003082580A (ja) | 機能性繊維構造物 | |
JP2021098340A (ja) | 表皮材及びその製造方法並びに内装材 | |
JP2009153670A (ja) | 消臭シート | |
JP2015034366A (ja) | 消臭性繊維布帛 | |
JP2003135263A (ja) | 高機能カーテン | |
JP3684269B2 (ja) | 消臭性繊維製品 |