JP2003136539A - 金型の製作方法 - Google Patents
金型の製作方法Info
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Abstract
準面を精度よく導ける金型の製作方法を提供する。 【解決手段】回折輪帯のパターンを金型4’の光学転写
面4a’に形成しているため、かかる金型4’が電鋳4
により形成されたものであっても、その光軸の位置を精
度よく導き出すことができ、それに応じて可動コア10
の摺動部材5の外周面5eなどを、光学転写面4a’の
光軸に対して精度よく形成できる。
Description
などを成形可能な金型の製作方法に関する。
プ装置の分野では、極めて高精度な対物レンズなどの光
学素子が用いられている。プラスチックやガラスなどの
素材を金型を用いて、そのような光学素子を成形する
と、均一な形状の製品を迅速に製造することができるた
め、金型成形は大量生産に適しているといえる。かかる
金型は、一般的には、例えば単結晶ダイヤモンド工具な
どによって、一つ一つ切削されて製作されることが多
い。しかるに、金型は、使用回数に応じて各部が摩耗す
る消耗品であることから、定期的に交換することが必要
である。従って、交換に備えて同一形状の金型を用意し
なくてはならないが、単結晶ダイヤモンド工具などによ
る切削加工で金型を製造した場合、全く同一形状の金型
を切り出すことは困難といえ、それ故金型交換前後で光
学素子製品の形状バラツキが生じる恐れがあり、又コス
トもかかるという問題がある。
の光学面に対応した母光学面を有する母型に対し、電鋳
を成長させることで、金型を作成しようとする試みがあ
る。しかしながら、電鋳の成長により金型を形成する
と、母型の母光学面に対応した光学転写面を精度よく写
し取ることができるものの、例えば金型の基準面をどの
ようにとるか困難という問題がある。すなわち、工具に
よる切削加工の場合には、回転中心を光軸とみなすこと
で、金型の外周の中心を光軸に精度よく一致させること
ができるのに対し、電鋳を成長させた場合、光軸が光学
転写面上のいずれの位置にあるか不明であり、光軸の位
置が定まらないと、かかる金型を用いて精度のよい光学
素子を成形できないという問題がある。
みてなされたものであり、電鋳を用いて金型を製作する
場合において、基準面を精度よく導ける金型の製作方法
を提供することを目的とする。
は、光学面に所定のパターンを有する光学素子を成形す
る金型の製作方法において、前記所定のパターンを母光
学面に形成した母型の周囲に、電鋳を成長させるステッ
プと、前記母型から金型を取り外すステップと、取り外
した前記金型の、前記母光学面に対応する光学転写面に
形成された前記所定のパターンに対応した転写パターン
に基づいて、前記金型又は前記金型の保持部材を加工す
るステップと、を有するものである。光ピックアップ装
置の光学素子の例である対物レンズにおいて、素材であ
るプラスチックにおける温度に対する特性変化を補正す
る等のため、回折輪帯と呼ばれる構造を、対物レンズの
光学面に形成することが一部で行われている。回折輪帯
とは、光軸を中心とした同心円の溝を光学面に形成した
ものである。従って、所定のパターンとして回折輪帯の
パターンが光学転写面に転写されていれば、かかる金型
が電鋳により形成されたものであっても、前記所定のパ
ターンに対応した転写パターンに基づいて、その光軸の
位置を精度よく導き出すことができるのである。光軸が
導き出されれば、それに同心の金型の外周面や光軸直交
面などを任意に形成でき、かかる面を用いて他部品への
取り付けを精度よく行うことができる。
長させる前にニッケル燐層を被覆するステップを有する
と、前記母型より前記金型を分離するときに、そのニッ
ケル燐層が前記母光学面より剥離して前記金型の光学転
写面側に移動し、それにより前記光学転写面の硬度をよ
り高くすることができ、金型摩耗を抑えてその寿命を延
長させることが可能となる。
て変化した成分分布を有すると、前記ニッケル燐層が剥
離しやすいので好ましい。
けられた治具に基準面を設け、前記基準面を基準とし
て、前記母型から分離される前の前記金型を加工(カッ
ト等)すると好ましい。例えば、前記母型もしくは前記
母型に取り付けられた治具の基準面に対して、前記金型
の光軸に直交する面を形成し、前記所定のパターンに基
づいて前記金型の外周面を加工することができる。尚、
前記所定のパターンは、回折輪帯に限らず、又微細パタ
ーンである必要もない。
円形パターンを含むと、光軸の位置を特定しやすいので
好ましい。
と、光学素子の光学性能をより向上させることができ
る。
させながら、前記光学転写面に形成された所定パターン
に光を投射して、その反射光を検出することによって、
前記光学転写面の光軸の位置を求めると、精度よく光軸
の位置が求まるので好ましい。
形成すると、かかる無電解メッキ層に対して加工処理を
行えるので好ましい。
ッキ層に対して機械加工及び熱処理の少なくとも一方を
施すことで、表面硬度を向上させることができるので好
ましい。
動コアを形成したときに、前記金型の外径は、前記保持
部材(例えば摺動部材)の外径より小さいと、可動コア
の摺動時に前記金型が摺動することが抑制される。
き、図面を参照して説明する。図1、3は、電鋳により
金型を製作する状態を示す図である。図2は、図1にお
ける母光学面周辺を拡大して示す図である。図1を参照
して、電鋳を形成する工程について説明する。まず、母
光学面1aを形成した母型1を、円筒状の治具2の先端
に固定する。母光学面1aは、本実施の形態で製作され
た金型により成形される光学素子の光学面の設計形状に
等しく形成されており、従って、非球面形状及び微細パ
ターン(後述)を有している。円筒状の治具2は、周溝
2aを形成している。
被覆する(ニッケル燐層を被覆するステップ)。この処
理としては、スパッタやメッキなどが考えられるが、重
要な点は、被覆されたニッケル燐層3が、厚さ方向に変
化した成分分布を有するということである。より具体的
には、図2において、母型1に近づくにつれて、高硬度
及び低付着性の特性を有し、一方、電鋳4側に近づくに
つれて、電鋳4とのなじみ性に優れた成分を有するもの
である。
後、図1に点線で示す治具2の外周及び把持部(図で左
端側)に絶縁剤5をスプレーする。その後、母型1を治
具2と共に電鋳処理する(電鋳を成長させるステッ
プ)。より具体的には、母型1の母光学面1aを界面活
性剤によって活性処理した後、スルファミン酸ニッケル
浴中に陰極(不図示)と結合することで、ニッケル電鋳
4が成長する。電鋳4は、絶縁剤5がスプレーされた領
域には成長せず、従って、図1で右端側に瘤状に成長す
ることとなる。所定の大きさになったとき(特に光軸方
向厚さが所定値を超えたとき)、スルファミン酸ニッケ
ル浴から取り出し、洗浄する。
して母型1から取り外す工程(ステップ)について説明
する。治具2には周溝2aが形成されているので、その
ままでは、電鋳4を母型1から分離できない。そこで、
まず電鋳4をカットする。より具体的には、図3で
(丸付数字1)に示す位置で、基準面である治具2の端
面2bに平行に、もしくは基準面である治具2の周面2
cに垂直に、電鋳4の端部をカットする。続いて、図3
の(丸付数字2)で示す位置に、ピン孔4a(中央)
及びネジ孔4bを加工する。
位置で電鋳4をカットすると、電鋳4を母型1より分離
できるようになる。分離した後で、(丸付数字5)の
位置でカットすると、光学転写面4a’上のパターンを
損傷することなく、金型4’を形成できる。母型1より
取り外された金型4’の光学転写面4a’には、ニッケ
ル燐層3が固着している。
品と組み合わせて可動コア10を形成する。図4(a)
は、可動コア10の断面図であり、図4(b)は、図4
(a)の矢印IVBで示す部分を拡大して示す図である。
図4(a)において、可動コア10は、先端(図で右
側)に配置した金型4’と、後端(図で左側)に配置し
た押圧部6と、その間に配置された摺動部材5とから構
成される。摺動部材5が金型の保持部材となる。
の摺動部材5の端面中央から突出したピン部5aを係合
させることで、摺動部材5と所定の関係で位置決めさ
れ、更に、摺動部材5を軸線に平行に貫通する2つのボ
ルト孔5bに挿通したボルト7を、ネジ孔4b’に螺合
させることで、金型4’は摺動部材5に取り付けられ
る。
面(図で右端)に対向する端面(図で左端)の中央に突
出して形成されたネジ軸5cを、略円筒状の押圧部6の
端部に形成されたネジ孔6aに螺合させることで、押圧
部6に対して所定の位置関係で取り付けられている。こ
こで、図4(b)に示すように、押圧部6の右端に形成
された段部6eに対し、摺動部材5における対向する端
面から突出した環状部5dが、わずかなスキマΔをもっ
て嵌合している。図4(a)において、摺動部材5の外
周面5eは、金型4’及び押圧部6のフランジ部6b以
外の部分の外周面よりも大径となっている。
しており、ネジ孔6aの設けられた端面(図で右端)に
対向する端面(図で左端)の中央に突出して形成された
ネジ孔6cに、偏心軸8の端部に形成されたネジ軸8a
を螺合させることで、偏心軸8に対して所定の位置関係
で取り付けられている。偏心軸8は、不図示の機構によ
り、その回転中心を任意の位置に設定できるようになっ
ている。
型1の母光学面1aには所定のパターンとしての微細パ
ターン(不図示)が形成されている。ここでは、微細パ
ターンは、同心円で形成された複数の回折輪帯パターン
であるものとする。従って、金型4’の光学転写面4
a’(ここでは、その表面にニッケル燐層3が被覆され
ている)は、かかる微細パターンに応じて同心円状にく
ぼんでいる。これを転写パターンと呼ぶ。その同心円の
中心と光軸とを精度よく一致させないと、かかる金型
4’により成形される光学素子の性能が低下する。かか
る場合、金型4’の外周面は、治具2の基準面から暫定
的に切り出されたものであるため、その外周面の中心が
必ずしも光軸に一致しているとは限らない。従って、金
型4’の外周面を基準として、可動コア10の設定を行
うと、最良の性能を有する光学素子を成形できない恐れ
がある。そこで、本実施の形態では、以下のようにし
て、金型4’の中心を光軸と一致させるようにしてい
る。
4’の光学転写面4a’に対向して、半導体レーザ21
を配置し、光学転写面4a’の同心円のくぼみ(転写パ
ターン)に向かって、レーザ光を照射する。そのレーザ
光は、同心円のくぼみに当たって反射し、撮像素子22
で検出され、信号をCPU23に出力する。かかる状態
で、偏心軸8を回転させたとき、その回転中心が、金型
4’の中心すなわち光軸と一致しないと、同心円のくぼ
みから反射したレーザ光は、回転位相に応じて、撮像素
子22の受光面をふらつくこととなる。そのふれ量を撮
像素子22からの信号に基づくCPU23の処理により
求め、そのふれ量が最も小さくなるように、偏心軸8の
偏心方向及び偏心量を調整すれば、その回転中心を、金
型4’の光学転写面4a’の中心すなわち光軸と精度よ
く一致させることができる。偏心軸8の回転中心と、金
型4’の光軸とを精度よく一致させた後、更に、可動コ
ア10を偏心軸8により回転させつつ、工具Tで摺動部
材5の外周面5eと、押圧部6のフランジ部6bの外周
面6dを切削加工(金型又は金型の保持部材を加工する
ステップ)することで、それら外周面5e、6dの中心
を金型4’の光軸に対して精度よく一致させることがで
きる。尚、偏心軸8を回転させながら、光学転写面4
a’の同心円のくぼみを高倍率の顕微鏡で観測して、そ
のふらつきから、偏心軸8の回転中心を、金型4’の光
学転写面4a’の中心すなわち光軸と精度よく一致させ
るよう調整を行ってもよい。
ア10を用いて光学素子を成形する状態を示す図であ
る。図5において、光学転写面31aを有する金型31
を保持する保持部32は、可動側キャビティ33に固定
されている。可動側キャビティ33は、小開口33a
と、それに同軸な大開口33bとを有している。可動側
キャビティ33内に可動コア10を挿入したときに、摺
動部材5の外周面5eが、小開口33aの内周面と摺動
し、押圧部6のフランジ部6bの外周面6dが、大開口
33bの内周面と摺動する。かかる2つの摺動部によっ
て案内されることで、可動側キャビティ33に対して、
大きく傾くことなく可動コア10は軸線方向に移動可能
となる。金型31、4’の間に溶融した樹脂を射出し、
可動コア10を矢印方向に加圧することで、光学素子O
Eが成形される。本実施の形態によれば、金型4’の外
周面形状に関わらず、光学素子OEの光学面には、金型
4’の光学転写面4a’の同心円状のくぼみに対応した
微細パターンが、光軸に同心的に精度よく形成されるこ
ととなる。尚、光学転写面4a’に被覆されたニッケル
燐層3は、硬度が高いので、長期間にわたって金型4’
を使用した場合でも、その摩耗量は低く抑えることがで
きる。但し、電鋳4の硬度をより高くできれば、ニッケ
ル燐層3は不要となる。
ア40を示す図4と同様な断面図である。図6に示す可
動コア40において、保持部材である摺動部材45と押
圧部46については、図4に示す実施の形態と同様であ
る。異なる点は、把持部材48を用いて金型44’を保
持している点である。より具体的には、把持部材48の
中央開口48a内に形成した縮径部48bに、金型4
4’の先端をつき当てるようにして嵌合させ、2本のボ
ルト47をネジ孔48cに螺合させることで、把持部材
48は金型44’に保持されるようになっている。この
ような構成によれば、電鋳である金型44’には、圧縮
応力しか加わらないので、電鋳が脆性的な素材であって
も、その破損を効果的に抑制できる。本実施の形態にお
いても、摺動部材45の外周面45eと、押圧部46の
フランジ部外周面46dとは、その中心が、電鋳44’
の光学転写面44a’に形成された微細パターンによっ
て、精度よく光軸と一致するように形成される。
ア50を示す図4と同様な断面図である。図7に示す可
動コア50は、摺動部材55の外周面が、可動側キャビ
ティ(不図示)に摺動しないよう縮径した構成となって
いる点で、上述した実施の形態に対して主として異な
る。本実施の形態においては、保持部材である押圧部5
6のフランジ部外周面56dは、その中心が、電鋳5
4’の光学転写面54a’に形成された微細パターンに
よって、精度よく光軸と一致するように形成される。
ア60の側面図である。図8に示す可動コア60の機械
的構造自体は、図4に示す実施の形態と同様であるので
説明を省略する。本実施の形態では、可動コア60の円
周方向の外周面全体に、図8で点線で示すように無電解
ニッケル燐層(無電解メッキ層)9を被覆している。こ
のように、可動コア60の外周面全体にニッケル燐層9
を比較的厚く被覆した後、その外周面の中心が、図4に
示すごとく金型4’の光軸と一致するように切削加工
(シングル・ポイント・ダイヤモンド・ターニング加工
が望ましい)を行うことで、精度のよい光学素子を成形
できる可動コア60を形成することができる。
してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈さ
れるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることは
もちろんである。例えば、金型4’の外周面を可動側キ
ャビティの内周面に対して摺動させるような場合には、
所定のパターンに基づいて、金型4’の外周面を精度良
く加工してもよい。更に、電鋳4の状態ではピン孔を加
工せず、金型4’を形成した後に、その外周をチャック
しながら、微細パターンに基づいて光学転写面4a’の
光軸を求め、それに基づいて反対側面にピン孔を加工す
ることも考えられる。このようにして形成されたピン孔
は、光軸に対して精度よく位置決めされているので、摺
動部材5のピン5bをその外周面に対して精度よく形成
すれば、可動コア10を組み立てた後の外周面加工を不
要としながらも、精度のよい光学素子を成形できる可動
コア10を提供することができる。
作する場合において、基準面を精度よく導ける金型の製
作方法を提供することができる。
る。
ある。
る。
図4(b)は、図4(a)の矢印IVBで示す部分を拡大
して示す図である。
を示す図である。
図4と同様な断面図である。
図4と同様な断面図である。
側面図である。
Claims (10)
- 【請求項1】 光学面に所定のパターンを有する光学素
子を成形する金型の製作方法において、 前記所定のパターンを母光学面に形成した母型の周囲
に、電鋳を成長させるステップと、 前記母型から金型を取り外すステップと、 取り外した前記金型の、前記母光学面に対応する光学転
写面に形成された前記所定のパターンに対応した転写パ
ターンに基づいて、前記金型又は前記金型の保持部材を
加工するステップと、を有することを特徴とする金型の
製作方法。 - 【請求項2】 前記母型の母光学面には、電鋳を成長さ
せる前にニッケル燐層を被覆するステップを有すること
を特徴とする請求項1に記載の金型の製作方法。 - 【請求項3】 前記ニッケル燐層は、厚さ方向において
変化した成分分布を有することを特徴とする請求項2に
記載の金型の製作方法。 - 【請求項4】 前記母型もしくは前記母型に取り付けら
れた治具に基準面を設け、前記基準面を基準として、前
記母型から分離される前の前記金型を加工することを特
徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の金型の製作
方法。 - 【請求項5】 前記所定のパターンは、光軸と同心の円
形パターンを含むことを特徴とする請求項1乃至4のい
ずれかに記載の金型の製作方法。 - 【請求項6】 前記光学面は、非球面形状を有すること
を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の金型の
製作方法。 - 【請求項7】 前記母型から分離した前記金型を回転さ
せながら、前記光学転写面に形成された所定パターンに
光を投射して、その反射光を検出することによって、前
記光学転写面の光軸の位置を求めることを特徴とする請
求項1乃至6のいずれかに記載の金型の製作方法。 - 【請求項8】 前記金型の表面に無電解メッキ層を形成
することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載
の金型の製作方法。 - 【請求項9】 前記金型の表面に形成された無電解メッ
キ層に対して機械加工及び熱処理の少なくとも一方を施
すことを特徴とする請求項8に記載の金型の製作方法。 - 【請求項10】 前記金型と前記保持部材を用いて可動
コアを形成したときに、前記金型の外径は、前記保持部
材の外径より小さいことを特徴とする請求項1乃至9の
いずれかに記載の金型の製作方法。
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