JP2003133169A - 積層型電子部品の製法 - Google Patents

積層型電子部品の製法

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JP2003133169A
JP2003133169A JP2001330245A JP2001330245A JP2003133169A JP 2003133169 A JP2003133169 A JP 2003133169A JP 2001330245 A JP2001330245 A JP 2001330245A JP 2001330245 A JP2001330245 A JP 2001330245A JP 2003133169 A JP2003133169 A JP 2003133169A
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conductor pattern
film
green sheet
ceramic green
manufacturing
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Katsuyoshi Yamaguchi
勝義 山口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】薄膜形成法により作製された導体パターンのセ
ラミックグリーンシートに対する転写強度を向上できる
安価な積層型電子部品の製法を提供する。 【解決手段】支持体1の離型層7上に金属膜9を形成す
る工程と、該金属膜9を回転刃、レーザー加工および放
電加工のうちいずれかの切断手段11により切断して導
体パターン13を形成する工程と、該導体パターン13
を支持体1上の前記離型層7から剥離し、セラミックグ
リーンシート17上に転写する工程と、前記導体パター
ン13が形成された前記セラミックグリーンシート17
を積層する工程とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層型電子部品の
製法に関し、特に、積層セラミック部品を構成する導体
パターンが転写法により形成される積層型電子部品の製
法に関する。
【0002】
【従来技術】近年、電子機器の小型化、高性能化に伴い
積層型電子部品の一つである積層セラミックコンデンサ
は小型化、高容量化が求められている。このため積層セ
ラミックコンデンサを構成するセラミックグリーンシー
トおよび導体パターンは薄層化の要求がますます高まっ
ており、このうち、導体パターンを薄層化する方法とし
て、例えば、特開平1−42809号公報に開示される
ようなものが知られている。
【0003】この公報に開示された積層型電子部品の製
法では、シリコンコート等の離型膜を施したフィルム上
に、蒸着またはスパッタリング等の薄膜形成法を用いて
金属膜を形成した後、この金属膜上に、例えば、光硬化
型のレジスト膜を形成し、露光、現像、エッチングおよ
びレジスト除去を行って導体パターンを形成する。
【0004】次に、この導体パターンをセラミックグリ
ーンシート上に転写し、さらに、このように導体パター
ンが転写されたセラミックグリーンシートを複数枚積み
重ねることにより積層型電子部品が形成されることが記
載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平1−42809号公報に開示された積層型電子部品
の製法では、フィルム上に形成した金属膜を加工して導
体パターンに形成する場合、上記のように、光硬化型の
レジスト膜を用いて、露光、現像、エッチングおよびレ
ジスト除去等多くの工程を経て導体パターンを形成して
いるため高コストになるという問題があった。
【0006】また、上記の製法により形成された導体パ
ターンでは、エッチング工程において金属膜の上面側が
過度にエッチングされるため断面からみた場合、セラミ
ックグリーンシートに埋まる側のエッジ部の角度が鈍角
になり、このような導体パターンでは、この支持体上で
断面からみて幅の狭い側の、即ち、導体パターンの表面
側をセラミックグリーンシート面に向けて転写するた
め、導体パターンをセラミックグリーンシート側に加圧
して加熱しても導体パターンが極めて薄いこともあり導
体パターンがセラミックグリーンシートから剥がれやす
いという問題があった。
【0007】また、上記のように金属膜をエッチングし
て導体パターンに加工したものは、レジスト膜を貼った
側の、即ち、セラミックグリーンシートに埋まる表面側
のエッジ部が丸みを帯びているために、導体パターンの
セラミックグリーンシートへの食い込みが弱く転写後に
剥がれやすいという問題があった。
【0008】さらに、支持体上に離型膜として形成した
シリコンコート膜が有機物でできていることから導体パ
ターンを転写する際に、加圧加熱によりシリコンコート
膜が熱の影響を受け変質し、離型膜が不均質なものとな
り、支持体と導体パターンとの接着強度が不均一にな
り、転写不良と成り易く、これにより転写後に剥がれや
すいという問題があった。
【0009】従って、本発明は、薄膜形成法により作製
された導体パターンのセラミックグリーンシートに対す
る転写強度を向上できる安価な積層型電子部品の製法を
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の積層型電子部品
の製法は、支持体の離型層上に金属膜を形成する工程
と、該金属膜を回転刃、レーザー加工および放電加工の
うちいずれかの切断手段により切断して導体パターンを
形成する工程と、該導体パターンを支持体上の前記離型
層から剥離し、セラミックグリーンシート上に転写する
工程と、前記導体パターンが形成された前記セラミック
グリーンシートを積層する工程と、を具備することを特
徴とする。
【0011】この製法において、まず、支持体の離型層
上に形成された金属膜を回転刃、レーザー加工および放
電加工のいずれかの切断手段により導体パターンに切断
することから、従来の光硬化型のレジスト膜を用いてエ
ッチングにより形成された導体パターンに比較して、導
体パターンの離型層側の、セラミックグリーンシートに
埋まる側のエッジ部の角度を大きくでき、また、余分な
接着部分となる離型層側の裾引きを抑えることができる
ことから、接着力を軽減でき離型層に対する導体パター
ンの剥離性を改善できる。
【0012】また、切断により形成された導体パターン
は、その埋まる側のエッジを含む端面が丸みを帯びにく
いことから、セラミックグリーンシートへのくい込みが
強くなり、導体パターンの転写強度を容易に高めること
ができる。
【0013】また、本発明の製法は、切断という物理的
な加工により導体パターンの加工を行うことから、エッ
チングのような化学的な方法を用いる場合のように離型
層の腐食に配慮する必要が無いことから、離型層と金属
膜との接着強度を必要以上に高める必要が無く、このた
め離型層と金属膜との間の剥離性を容易に改善できる。
【0014】さらに、本発明の積層型電子部品の製法で
は、上記の工法により形成された導体パターンのうち不
要部分を残したまま必要な導体パターンのみを支持体上
から吸引剥離して転写に用いることができることから、
金属膜をエッチングによりパターン加工する従来の製法
に比較して、レジスト加工やエッチング等の不要な工程
をなくし製造コストを容易に低減できる。
【0015】上記積層型電子部品の製法では、セラミッ
クグリーンシート上に転写された導体パターンのエッジ
部のなす角度θが80〜95°であることが望ましい。
このように金属膜をパターン加工する際の切断の角度を
直角に近い角度とすることにより、転写時のセラミック
グリーンシートへの一部埋設がさらに容易になるととも
に剥がれ難くできる。
【0016】上記積層型電子部品の製法では、金属膜が
導体パターン形状に切断される切断幅が300μm以下
であることが望ましい。このように切断幅を小さくする
ことにより、支持体上に形成される導体パターンの取り
数を増やすことができるとともに、本発明の製法により
形成される導体パターンは、切断手段によりパターン加
工されるため切断幅を金属膜の厚み方向に一定にできる
ことから導体パターン間隔を狭くしても隣接する導体パ
ターン同士のブリッジによるショート不良を無くすこと
ができる。
【0017】上記積層型電子部品の製法では、離型層
が、支持体上に形成された下地金属層と、該下地金属層
上に形成された金属酸化膜により構成されていることが
望ましい。転写に供される金属膜が離型層の表面側に形
成された金属酸化膜の上面に形成されることにより金属
膜の剥離性が高まり転写歩留まりを向上できる。さら
に、この場合、離型層が金属酸化膜であることから、転
写時の加圧加熱において離型層が高温に晒されても有機
物により形成されているシリコンコート層のように変質
することがなく導体パターンとフィルムとの接着強度の
不均一をなくし転写性を安定化できる。
【0018】上記積層型電子部品の製法では、金属膜が
メッキ膜であることが望ましい。このように積層型電子
部品に用いる導体パターンをメッキ法を用いて形成する
ことにより均質で平滑かつ均一厚みの金属膜が容易に得
られる。また、このように均一な膜厚であることから積
層数を増しても積層体の変形を抑制でき、かつ蒸着やス
パッタ等の物理的成膜法に比較して導体パターンの低コ
スト化を図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の積層型電子部品の製法
は、例えば、電子部品の一つである積層セラミックコン
デンサに適用される。図1は本発明の製法を説明するた
めの図である。
【0020】本発明の積層型電子部品の製法では、ま
ず、図1(a)に示すように、支持体1の一方表面に下
地金属層3が形成される。
【0021】ここで用いられる支持体1として、例え
ば、上記の下地金属層3との密着性が良好であるもので
あれば、特に限定されるものではなく、従来公知の有機
フィルムが用いられる。
【0022】このような有機フィルムとしては、例え
ば、適宜、長尺状の有機フィルムをカレンダー処理を用
いて表面処理を行い、所望の表面粗さRafに調整して
支持体が形成される。ここで用いる有機フィルムとして
は、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)
フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィ
ルム、ポリスチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィル
ム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィル
ム、ポリイミドフィルム、ポリサルフォンフィルム、ポ
リエーテルサルフォンフィルム、ポリアミドフィルム、
ポリエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンスルフィ
ドフィルムなどが挙げられる。これらの有機フィルム
は、その厚みtが約10μm〜200μm、とりわけ、
約15μm〜150μmであることが好ましい。
【0023】また、その表面粗さRafは40nm以下
とされ、特に、この支持体1の表面に形成される下地金
属層3との密着性を高めるという理由から、5〜30n
mであることが望ましい。
【0024】下地金属層3は、その上に形成される金属
膜に対する導電層としての役割を果たすもので、上記の
支持体1と良好な密着性を有するものである。この下地
金属層3を形成する金属材料としては、チタン(T
i)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)およびこれら
の合金等が好適に用いられる。
【0025】例えば、Niの金属膜を電解メッキ法で形
成する場合は、下地金属層3は導電性ができるだけ高く
かつ電解メッキの際に腐食されないことが好ましく、こ
の点からも下地金属層3となる金属種はTi、Ni、C
rが望ましい。特に、下地となる下地金属層3として
は、導電性が比較的高く、Niのメッキ液に対して耐腐
食性のあるTiの下地金属層3を設けたものがより好ま
しい。
【0026】また、上記のように、電解メッキ法で金属
膜を形成する場合は、下地金属層3の厚みは、この下地
金属層3の電気抵抗を小さくするという理由から50〜
400nmであることが好ましい。そうすることによ
り、短時間で、導電性が高く、かつ、Niの電解メッキ
に対して耐腐食性のある下地金属層3を得ることができ
る。
【0027】また、この下地金属層3の表面粗さRam
は40nm以下とされ、特に、この表面に形成される金
属酸化膜の厚みばらつきを低減するという理由から、5
〜30nmであることが望ましい。尚、下地金属層3の
厚みは蒸着時間により、また、表面粗さRamは蒸着温
度によって制御される。
【0028】また、下地金属層3は、上記金属材料から
形成される下地金属層3の1層から成るものでもよい
し、同種あるいは異種の下地金属層を複数積層したもの
であってもよい。なお、複数積層する場合、その下地金
属層間が剥離しないように、下地金属層間の界面が酸化
されていないことが必要である。
【0029】また、上記の下地金属層3は、一般的に
は、スパッタ蒸着、抵抗加熱蒸着、電子ビーム加熱蒸着
などの公知の真空蒸着法により形成されるが、この場
合、金属層と支持体1との密着力を向上させる目的で、
支持体1表面をアルゴン、酸素、窒素ガス等の雰囲気中
でプラズマ処理することも可能である。
【0030】次に、図1(b)に示すように、支持体1
上の下地金属層3の表面を酸化処理して、この下地金属
層3の表面に金属酸化膜5を形成し離型層7が形成され
る。この金属酸化膜5は、上記のように蒸着により形成
された下地金属層3の表面を酸素を含む雰囲気中でプラ
ズマ処理したり、単に、下地金属層3表面を大気中に曝
露することにより形成される。あるいは、上記のよう
に、下地金属層3を蒸着で形成する際に、その雰囲気に
酸素ガスを導入しておいてもよい。
【0031】本発明において、この下地金属層3の表面
に形成されている金属酸化膜5の厚みが15〜200n
mであることが望ましい。これは、金属酸化膜5の厚み
が15nmよりも薄い場合には、金属酸化膜5の電気抵
抗が低くなり、電解メッキの速度が速く、充分な厚みの
金属膜が形成できるものの、この金属膜の剥離が困難と
なる。一方、金属酸化膜5の厚みが200nmよりも厚
い場合には、この部分の電気抵抗が高くなり、電解メッ
キ法による金属膜の形成が困難となり、所望の厚みのメ
ッキ膜が得難くなる。このような理由から、導電性を高
めメッキ速度を高めかつ離型性を改善するという理由か
ら、50〜100nmであることが望ましい。
【0032】また、この金属酸化膜5の表面粗さRao
は40nm以下であることがのぞましく、特に、金属膜
の離型性を高めるという理由から5〜30nmであるこ
とが望ましい。
【0033】次に、図1(c)に示すように、支持体1
の離型層7上に電解メッキ法により金属膜9が形成され
る。この場合、下地金属層3自体を電解メッキ時の接続
導体とすることにより、電解メッキ法により金属膜9を
容易に形成できる。メッキ浴としては、メッキ膜の緻密
性および均質性が高いという理由から、スルファミン酸
メッキ浴が好適である。
【0034】電解メッキ法により形成される金属膜9と
しては、積層セラミックコンデンサの高積層化に対して
コストメリットを有するNiやCu等の卑金属が好適に
用いられる。
【0035】次に、図1(d)に示すように、支持体1
の離型層7上に形成された金属膜9を切断手段11によ
り切断して導体パターン13を形成する。この切断手段
11としては、回転刃、レーザー加工、あるいは放電加
工が好適に用いられる。このうち、導体パターン13の
セラミックグリーンシート17に埋まる側のエッジ部1
5の角度を直角に近い角度に形成できるという理由か
ら、特に、回転刃が切断手段11として好適である。
【0036】このとき、切断は、支持体1上の下地金属
層3およびその表面に形成された金属酸化膜5とともに
最表面の金属膜9に対して行われるが、転写工程におい
て金属膜9の吸引による金属膜9の剥離性をよくすると
いう理由から、下地金属層3と金属酸化膜5は切断せず
に転写に供される最表面の金属膜9のみ切断することが
望ましい。そして、金属膜9の剥離強度は金属酸化膜5
の厚みや表面粗さにもよるが、切断時の剥離を防止しか
つ吸引法による剥離性を向上するという理由から0.0
2〜0.04MPaであることが望ましい。
【0037】そして、上記のように金属膜9を切断して
形成された導体パターン13のエッジ部15のなす角度
θは、図1(d)に示すように、80〜95°であるこ
とが望ましく、このように離型層7側に対して導体パタ
ーン13の裾引きが抑制されることから支持体1上の剥
離強度を低くできる。
【0038】また、金属膜9を導体パターン13形状に
切断する際の切断幅wは回転刃を用いる場合には回転刃
の幅により、レーザー加工および放電加工の場合には出
力とショット数により設定することができる。そしてこ
の切断幅wは300μm以下であることが望ましく、特
に、支持体上に形成される導体パターン13の取り数を
増やすとともに、導体パターン13間隔を狭くしても隣
接する導体パターン13同士のブリッジによるショート
不良を無くすという理由から、この切断幅は100〜2
00μmであることが望ましい。
【0039】次に、所定のサイズに切断された導体パタ
ーン13をセラミックグリーンシート上に転写する。
【0040】図2(a)に示すように、上記のように切
断手段11によりパターン化された導体パターン13を
裏返して逆向きにしてセラミックグリーンシート17へ
転写した場合、導体パターン13の上方側が拡径せずほ
ぼ矩形状であることから、セラミックグリーンシート1
7へ一部埋設しやすい。また、導体パターン13の埋設
方向のエッジ部15が角張って形成されていることから
転写強度を高めることができる。
【0041】一方、エッチングにより形成された導体パ
ターンでは、図2(b)に示したように、導体パターン
13の上方側が拡径し、埋まる側のエッジ部15の角度
が鈍角であるために上記のように逆向きに転写してもセ
ラミックグリーンシート17への一部埋設が困難となる
とともに、埋設方向のエッジ部15がエッチングにより
丸みを帯びているためセラミックグリーンシート17へ
の転写強度が低く転写不良の原因となる恐れがある。
【0042】ここで、セラミックグリーンシート17に
ついて説明する。セラミックグリーンシート17を構成
するセラミック材料としては、例えば、BaTiO3
MnO−MgO−Y23等の誘電体粉末と焼結助剤が好
適に使用できるがこれに限定されるわけではない。これ
らの誘電体材料のうち、主原料のBaTiO3粉は、固
相法、液相法(シュウ酸塩を経過する方法等)、水熱合
成法等により合成されるが、そのうち粒度分布が狭く、
結晶性が高いという理由から水熱合成法が好適に用いら
れる。そして、BaTiO3粉の比表面積は1.7〜
6.6(m2/g)が好ましい。
【0043】また、このように大きな比表面積を有する
原料粉末を用いてセラミックグリーンシートを形成する
方法として、ドクターブレード法、引き上げ法、リバー
スロールコータ法、グラビアコータ法、スクリーン印刷
法が好適に用いられる。薄層化したセラミックグリーン
シート17を形成するために、特に、ドクターブレード
法が用いられている。
【0044】具体的には、これらの誘電体材料の粉末、
バインダおよび溶媒を含有するセラミックスラリをキャ
リアフィルム上に塗布し、高速でキャスティングし、乾
燥することによって形成される。
【0045】このような工法で形成されたセラミックグ
リーンシート17の厚みは12μm以下であり、特に、
積層型電子部品の小型、大容量化という理由から1.5
〜5μmの範に形成されることが望ましい。
【0046】そして、図3(a)に示すように、形成さ
れた導体パターン13を、その導体パターン13の配置
に合わせて選択的に開口された吸引部21を有する積層
ヘッド23に吸着させる。この場合、積層セラミックコ
ンデンサの内部電極層となる導体パターン13のみを選
択的に吸着させることができることから、余分な金属膜
9を残すことにより、導体パターン13間に有効な間隔
をとることができ、このため積層セラミックコンデンサ
の内部電極層の周縁部にマージン部を容易に形成でき
る。
【0047】次に、導体パターン13が吸着された積層
ヘッド23を上記の製法で形成されたセラミックグリー
ンシート17上に載置し、積層ヘッド23を排気モード
にするとともに、積層ヘッドごと加圧加熱することによ
り、導体パターン13がセラミックグリーンシート17
の上面に転写される。この場合、導体パターン13が転
写される方向はこの導体パターン13の離型層7側がセ
ラミックグリーンシート17側となる。尚、転写された
導体パターン13の上面とセラミックグリーンシート1
7の上面とは実質的に同一平面に成っていることが望ま
しい。
【0048】そして、本発明の製法により作製された導
体パターン13では、エッジ部15の角度が直角に近い
角度に形成されていることからエッチング法により作製
した導体パターン13に比較してセラミックグリーンシ
ート17への食い込みが強く転写強度が高くなる。
【0049】そして、図3(b)に示すように、導体パ
ターン13が形成されたセラミックグリーンシート17
を順次積層し、積層成形体27を形成し、これを焼成す
ることによって積層セラミックコンデンサを得ることが
できる。焼成条件としては、積層成形体27を大気中で
250〜300℃または酸素分圧0.1〜1Paの低酸
素雰囲気中500〜800℃で脱バイした後、非酸化性
雰囲気中、1200〜1300℃で2〜3時間焼成して
電子部品本体素体を得ることができる。
【0050】さらに、所望により、酸素分圧が0.1〜
10-4Pa程度の低酸素分圧下、900〜1100℃で
5〜15時間の再酸化処理を施すことにより、前工程の
非酸化性雰囲気焼成において還元された電子部品本体素
体を酸化することにより、高い静電容量と絶縁特性を有
する電子部品本体を得ることができる。
【0051】このように、本発明の製法により形成され
た導体パターン13を用いて積層セラミックコンデンサ
を形成した場合には、転写された導体パターン13の上
面側のエッジ部15が直角に近い角度を有しており、従
来のエッチング法を用いて形成された導体パターンのよ
うに埋まる側と反対のエッジ19の角度が小さいことか
ら、焼成してもこのエッジ19の端部が丸くならず端部
近傍の空洞の形成が抑えられるため、内部電極層の有効
面積の低下が抑えられ積層セラミックコンデンサの静電
容量の低下およびそのばらつきを抑制できる。
【0052】このように、支持体1の離型層7上に形成
された金属層9を切断手段11により切断して導体パタ
ーン13とすることから、光硬化型レジストを用いて導
体パターン13の加工を行う場合に比較して、安価な製
造コストで簡便に転写用の導体パターン13を形成でき
る。また、これらの導体パターン13をセラミックグリ
ーンシート17上に正方向のそのまま転写させることが
できることから、セラミックグリーンシート17に導電
ペーストを用いて印刷する場合に比べて、導体パターン
13を薄層化して形成することができ、ますます微細
化、高密度化が要求される積層セラミック部品の金属層
の形成を簡易かつ低コストで行うことができる。また、
導体パターン13を転写した後の支持体1もしくは離型
層7を具備する支持体1は、導体パターン13の転写形
成に繰り返し用いることができ、製造コストの低廉化を
計ることができる。
【0053】
【実施例】積層型電子部品の一つである積層セラミック
コンデンサを以下のようにして作製した。先ず、BaT
iO399.5モル%とMnO0.5モル%とからなる
組成物100モル%に対して、Y、Mgの各酸化物を所
定量配合し、ZrO2ボールを用いたボールミルにて湿
式粉砕した。次に、ポリビニルブチラール系の有機粘結
剤、フタル酸エステル系の可塑剤、分散剤、およびトル
エン溶媒を所定量混合し、振動ミルを用いて、粉砕、混
練し、スラリーを調製した後、ダイコーターにより、ポ
リエステルよりなるキャリアフィルム上に厚み2.4μ
mの誘電体グリーンシートを作製した。
【0054】次に、別途PETフィルム上に金属Tiを
電子ビーム蒸着法を用いて下地金属層を厚さ300μm
に形成した。
【0055】次に、大気中150℃で所定時間の熱処理
を行い、Ti金属から成る下地金属層の表面に金属酸化
膜を100nmに設定して形成した。尚、キャリアフィ
ルムからなる支持体、下地金属膜および金属酸化膜のそ
れぞれの表面粗さRaf、RamおよびRaoはいずれも
20nmとした。
【0056】次に、スルファミン酸メッキ浴を用いて、
電気メッキ法によりPETフィルム上に形成した下地金
属層と金属酸化膜からなる離型層の表面に、Niメッキ
膜を析出させた。厚さは約0.5μmとした。
【0057】次に、このメッキ膜を回転刃およびレーザ
加工機を用いて所定の寸法で格子状に切断した。
【0058】次に、マスク処理を行った真空吸引型の積
層ヘッドを用いて導体パターンに該当する部分のNiメ
ッキ膜を吸引剥離し、これをセラミックグリーンシート
上に転写し導体パターンを形成した。転写条件は、温度
80℃、圧力10MPaの条件で行った。
【0059】次に、転写した試料の小片を樹脂に埋め込
んで研磨した後、実体顕微鏡で観察して角度を測定する
ことにより切断面のエッジ部の角度を測定した。
【0060】また、支持体上の金属膜の接着強度および
セラミックグリーンシートへの導体パターンの転写強度
は、表面積5×5mm2の試料を基材に接着させた後オ
ートグラフを用いて測定した。また、転写した導体パタ
ーンのうち2000個について転写性(歩留まり)評価
した。
【0061】次に、導体パターンを形成したセラミック
グリーンシートを400層積層して仮積層成形体を形成
した。このとき1層ごとに導体パターンの位置をずらし
て、切断した際に端面に導体パターンが交互に露出する
ように形成した。
【0062】この条件で作製した仮積層成形体は、次の
第2回目の積層プレス時に充分な脱気ができるだけの隙
間を残しておいた。
【0063】次に、この仮積層成形体を温度100℃、
圧力20MPaで2回目の積層プレスを行い完全に密着
させて積層成形体を得た。
【0064】次に、この積層成形体を格子状に切断して
電子部品本体を得た。この積層成形体の側面には、内部
電極層の導体パターンの一端が交互に露出し、厚み方向
に重畳して積層された内部電極層の導体パターンは、位
置ずれもなく形成されていた。
【0065】次に、この電子部品本体成形体を大気中3
00℃または酸素分圧0.1〜1Paの低酸素雰囲気中
500℃で脱バイした後、酸素分圧10-7Paの非酸化
性雰囲気中1300℃で2時間焼成し、さらに、酸素分
圧が0.01Paの低酸素分圧下1000℃で10時間
の再酸化処理を施し、電子部品本体を得た。
【0066】最後に、このようにして得られた電子部品
本体に対し、内部電極層が露出した各端面に外部電極ペ
ーストを塗布し、窒素雰囲気中、900℃で焼き付けを
行った。その後、Niメッキ層およびSnメッキ層を形
成し、内部電極層と電気的に接続された外部電極を形成
して積層セラミックコンデンサを作製した。
【0067】ここで用いた外部電極ペーストは、平均粒
径1μmのCu粗粉末と平均粒径が約0.2μmのCu
微粉末とを所定量混合し、さらに、これらの金属粉末に
対し、ガラス成分や有機樹脂および溶剤を加えて調製し
た。目標とする静電容量は10±1μFとした。
【0068】このようにして得られた積層セラミックコ
ンデンサの外形寸法は、幅1.25mm、長さ2.0m
m、厚さ1.25mmであり、内部電極層間に介在する
誘電体層の厚みは2μmであった。
【0069】次に、得られた積層セラミックコンデンサ
各100個について、静電容量とそのばらつきを測定し
た。測定条件は基準温度25℃で行い、静電容量は周波
数1kHz、測定電圧1Vrmsの条件で測定した。
【0070】比較例として、キャリアフィルム上に形成
したメッキ膜を光硬化型レジストを用いてパターン加工
した試料について本発明と同じく、レジスト加工後のメ
ッキ膜端面の角度、剥離強度、転写後の転写強度、およ
び、この導体パターンを用いて作製した積層セラミック
コンデンサの静電容量とそのばらつきの評価を行った。
【0071】
【表1】
【0072】表1の結果から明らかなように、支持体の
離型層上に形成された金属膜を回転刃およびレーザー加
工により切断して導体パターンを形成した試料No.
1、2では、導体パターンのエッジ部の角度を89°お
よび81°と直角に近い角度にでき、離型層側に導体パ
ターンの裾引きが少なく、導体パターンの接着面積が小
さくなり、このため支持体(離型層)からの剥離強度と
そのばらつきが小さかった。また、このような導体パタ
ーンをセラミックグリーンシート上に転写した際には食
い込みが大きくなり、そのため転写強度が大きく、しか
も、ばらつきが小さく転写不良が無かった。
【0073】そして、このような導体パターンを用いて
作製した積層セラミックコンデンサは導体パターンの形
状精度および転写性向上により静電容量が大きくかつそ
のばらつきが小さくなった。
【0074】一方、金属膜をエッチングして導体パター
ンを形成した試料No.3では、導体パターンのエッジ
部の角度が45°となり断面形状が裾引き状に形成され
たことにより、離型層に対して導体パターンの接着面積
が大きくなりこのため剥離強度が大きくなった。そし
て、導体パターンがセラミックグリーンシートに対して
逆台形状に転写されたため転写強度が低くかつそのばら
つきも大きくなり2000個中18個もの転写不良が発
生した。そして、このような導体パターンを用いて形成
した積層セラミックコンデンサの静電容量は本発明品に
比較して小さく、ばらつきが大きかった。
【0075】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
支持体の離型層上に金属膜を形成し、この金属膜を回転
刃、レーザー加工および放電加工のうちいずれかの切断
手段により切断して導体パターンを形成するため、従来
の光硬化型のレジストを用いてエッチングによりパター
ン加工したものに比較して金属膜と離型層との接着強度
を低く設定でき、このためセラミックグリーンシートへ
の転写性を向上できる。
【0076】また、本発明の製法によれば、導体パター
ンのエッジ部が直角に近い角度に形成されることから、
セラミックグリーンシートへのくい込みが強くなり剥が
れにくくなることから導体パターンの転写強度を容易に
高めることができる。
【0077】さらに、本発明の積層型電子部品の製法で
は、上記の工法により形成された導体パターンのうち不
要部分を残したまま必要な導体パターンのみを支持体上
から吸引剥離して転写に用いることができることから、
金属膜をエッチングによりパターン加工する従来の製法
に比較して、レジスト加工やエッチング等の不要な工程
をなくし製造コストを容易に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型電子部品に用いる導体パターン
の作製方法の一例を説明するための概略工程図である。
【図2】(a)は本発明の製法により形成された導体パ
ターンの転写工程を説明するための概略工程図、(b)
は従来の製法であるエッチングにより形成された導体パ
ターンの転写工程を説明するための概略工程図である。
【図3】(a)は積層ヘッドを用いて導体パターンの転
写工程を説明するための概略工程図、(b)は導体パタ
ーンが転写されたセラミックグリーンシートを積層する
工程を説明するための概略工程図である。
【符号の説明】
1 支持体 3 下地金属層 5 金属酸化膜 7 離型層 9 金属膜 11 切断手段 13 導体パターン 17 セラミックグリーンシート

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体の離型層上に金属膜を形成する工程
    と、該金属膜を回転刃、レーザー加工および放電加工の
    うちいずれかの切断手段により切断して導体パターンを
    形成する工程と、該導体パターンを支持体上の前記離型
    層から剥離し、セラミックグリーンシート上に転写する
    工程と、前記導体パターンが形成された前記セラミック
    グリーンシートを積層する工程と、を具備することを特
    徴とする積層型電子部品の製法。
  2. 【請求項2】セラミックグリーンシート上に転写された
    導体パターンのエッジ部のなす角度θが80〜95°で
    あることを特徴とする請求項1に記載の積層型電子部品
    の製法。
  3. 【請求項3】切断手段による切断幅が300μm以下で
    あることを特徴とする請求項1または2に記載の積層型
    電子部品の製法。
  4. 【請求項4】離型層が、支持体上に形成された下地金属
    層と、該下地金属層上に形成された金属酸化膜により構
    成されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちい
    ずれか記載の積層型電子部品の製法。
  5. 【請求項5】金属膜がメッキ膜であることを特徴とする
    請求項1乃至4のうちいずれか記載の積層型電子部品の
    製法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005281041A (ja) * 2004-03-29 2005-10-13 Nikko Materials Co Ltd 耐ペスト性に優れたMoSi2を主成分とするヒーター及びその製造方法
JP2006135131A (ja) * 2004-11-08 2006-05-25 Toppan Printing Co Ltd 抵抗キャパシタ複合素子

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