JP2003130878A - Dnaチップ - Google Patents

Dnaチップ

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JP2003130878A
JP2003130878A JP2001327569A JP2001327569A JP2003130878A JP 2003130878 A JP2003130878 A JP 2003130878A JP 2001327569 A JP2001327569 A JP 2001327569A JP 2001327569 A JP2001327569 A JP 2001327569A JP 2003130878 A JP2003130878 A JP 2003130878A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】DNAとの吸着効率に優れ、単位面積あたりに
多くのDNAを固定化させることができ、かつ、固定化
されたDNAの運動性が高く、チップに固定されている
DNA断片と相補性を持つDNA断片試料をハイブリダ
イゼーションによってDNAチップ上に固定する際に、
ハイブリダイゼーションを高効率で行ない得るDNAチ
ップを提供する。 【解決手段】 固相担体表面にDNA断片を固定化した
DNAチップであって、該固相担体表面とDNA断片と
が、固相担体表面に結合されたグラフトポリマーを介し
て固定化されていることを特徴とする。このグラフトポ
リマーは、ポリマーの側鎖にDNA断片と結合し得る反
応性官能基を有する。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はDNAチップに関
し、特に、遺伝子の解析などに有用な、DNAとの吸着
効率に優れ、単位面積あたりに多くのDNAを固定化さ
せうるDNAチップに関する。 【0002】 【従来の技術】生物の遺伝子機能を効率的に解析するた
めの手段として、DNAチップが注目されている。DN
Aチップは通常、スライドガラス等の固相担体に多数の
DNA断片を整列固定させた態様を有し、その使用方法
としては、DNAチップに固定されているDNA断片と
相補性を持つDNA断片試料をハイブリダイゼーション
によってDNAチップ上に固定し、検出する方法などが
挙げられる。このようなDNAの固定化技術は、DNA
以外の生体分子にも適用可能であり、創薬研究、疾病の
診断や予防法の開発、エネルギーや環境問題対策等の研
究開発に新しい手段を提供するものとして期待されてい
る。 【0003】固相担体表面にDNA断片を固定化する方
法は従来から種々検討されてきており、代表的な例とし
ては、ガラス基板上にアミノプロピルシランを反応させ
て基板表面にアミノ基を結合させ、このアミノ基を介し
てDNA断片を基板上に結合する方法が挙げられる。具
体的には、例えば、特開2001−178459号公報
にはガラス表面のアミノ基に無水マレイン酸を反応させ
てマレイド被覆ガラススライドとし、これにフルフリル
アミノ基が導入されたDNA断片を反応させることによ
り、ガラス表面とDNAとを共有結合で固定化する技術
が開示されている。また、特開2001−178466
ではガラス表面に固定されたアミノ基にクロロイソシア
ネート、スクシンイミジル(4−ビニルスルホニル)ベ
ンゾエートなどの反応性基を2個有する連結剤の片末端
に基板のアミノ基を反応させ、次いで、残ったもう一方
の末端にアミノ基導入DNAを共有結合で連結させる方
法が開示されている。また、固相担体表面とDNA断片
とは、共有結合以外にも、イオン結合、水素結合、疎水
結合などで結合される例もある。例えば、特開2001
−178458号公報には、ホストゲスト相互作用を用
いて担体表面とDNA断片とを固定化させる方法が記載
されている。 【0004】これらのDNAチップは、検出に必要な量
のDNAを担持できる性能を有しているが、遺伝子解析
などの目的に応じた検出感度向上の観点から、一定面積
に多くのDNA断片を固定化する技術が求められてい
る。すなわち、これら公知のDNA断片の固定化方法に
おいては期待した反応がすべて効率よく進行するわけで
はなく、固相担体の一部は未反応のままでDNAが固定
化されずに残っているのが現状であった。 【0005】また、DNAチップに固定されているDN
A断片と相補性を持つDNA断片試料をハイブリダイゼ
ーションによってDNAチップ上に固定する検出方法を
実施する場合、検出感度の向上の観点からハイブリダイ
ゼーションの効率を高め、担体表面上に固定化された一
定量のDNAに対して、標識されたDNAがより高い効
率でハイブリダイゼーションすることが要望されてい
る。しかしながら、従来の方法で作成されたDNAチッ
プは、担体に対するDNA断片の固定化率のみならず、
このハイブリダイゼーションの効率も必ずしも高いとは
いい難く、さらなる検出感度の向上が望まれていた。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術の欠点
を考慮してなされた本発明の目的は、DNAとの吸着効
率に優れ、単位面積あたりに多くのDNAを固定化させ
うるDNAチップを提供することにある。また、本発明
の別の目的は、生物の遺伝子機能の解析などに有用な、
DNAチップに固定されているDNA断片と相補性を持
つDNA断片試料をハイブリダイゼーションによってD
NAチップ上に固定する際に、ハイブリダイゼーション
を高効率で行ない得るDNAチップを提供することにあ
る。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
した結果、固相担体表面からグラフトポリマー鎖を介し
てDNAを固定化することにより高密度でかつ高効率で
DNAを固定化できることを見出し、本発明を完成し
た。即ち、本発明のDNAチップは、固相担体表面にD
NA断片を固定化したDNAチップであって、該固相担
体表面とDNA断片とが、固相担体表面に結合されたグ
ラフトポリマーを介して固定化されていることを特徴と
する。 【0008】本発明の作用は明確ではないが、本発明の
DNAチップにおいては、固相担体表面にDNAの固定
化をグラフトポリマー鎖を介して行なっているが、グラ
フトポリマー鎖は片末端が固相担体表面に強固に結合さ
れると共に、グラフト鎖中には反応性官能基、即ち、D
NA断片との結合に寄与する活性点が固相担持体の単位
面積に対して高密度で存在するため、高密度でDNA断
片を固定化することが可能となり、さらに、反応性官能
基を有するポリマーのグラフト鎖部分が互いに架橋され
ておらず、溶媒中で自由な動きをとることができ、運動
性の高い状態を維持するため、グラフトポリマー鎖にあ
る反応性官能基とDNA断片との反応性が高まり、高効
率でのDNAの固定化が実現できたものと考えられる。
さらに、このような運動性の高いグラフト鎖に固定化さ
れたDNA断片自体も自由な運動性を有し、このような
自由度の高いDNA断片は、それと相補性を持つDNA
断片試料をハイブリダイゼーションによってDNAチッ
プ上に固定する際にも、相補性を持つDNA断片試料に
対して高い反応性を発現するため、ハイブリダイゼーシ
ョンを高効率で行ない得るものと考えられる。 【0009】 【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳細に説
明する。 〔グラフトポリマー〕本発明において、固相担体とDN
A断片との結合に使用されるグラフトポリマーには特に
制限はなく、ポリマーの側鎖にDNA断片と結合し得る
反応性官能基を有するグラフトポリマーであれば、いず
れも使用することできる。このような反応性官能基とし
ては、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、エポキシ
基、酸無水物基、スルホン酸基、イソシアネート基、ト
リアルコキシシリル基、イソシアネート基、チオイソシ
アネート基、リン酸基、ホスホン酸基などを挙げること
ができる。またそれらの官能基から誘導される官能基も
特に有用である。例えば、カルボキシル基から誘導され
るものとしては、酸無水物、および、N−ヒドロキシス
クシンイミド、ベンジルアルコールなどの活性エステ
ル、カルボン酸ハロゲン化物、などが挙げられ、スルホ
ン酸基から誘導されるものとしては、ベンジルアルコー
ルなどの活性エステル、スルホン酸ハロゲン化物などを
例として挙げることができる。 【0010】〔グラフトポリマーを介してDNA断片を
固定化する方法〕グラフトポリマーの側鎖に存在する反
応性官能基を用いて、従来公知の方法を適用してDNA
断片を固定化することができる。たとえば、特開200
1−178460号公報には、カルボキシル基を持つモ
ノマーを構成成分とするポリマーを表面に担持した固相
担体を使用し、DNA断片を固定化する方法が開示され
ている。この方法を使用して、アクリル酸グラフトポリ
マーを担持(結合)してなる固相担体を脱水剤により処
理することで末端を環状の酸無水物とし、これを反応性
官能基として、末端部にアミノ基を有するDNA断片を
有する水性液体を点着することで、この反応性官能基と
DNA断片のアミノ基との相互作用により、DNA断片
を固定化することができる。また、アクリル酸グラフト
ポリマーが結合された固相担体を用いて、水溶性のカル
ボジイミドを使用して、カルボン酸を活性エステルに変
換し、これを反応性官能基として、アミノ基を有するD
NA断片を有する水性液体を点着することでDNAを固
定化することができる。 【0011】本発明の好ましい態様においては、DNA
チップには、塩基性配列が既知であり、末端にアミノ基
を有するDNAを用い、反応性官能基として、該アミノ
基と共有結合を形成するものと選択するのであるが、こ
の際に、より高い反応性を有する官能基を形成するた
め、カルボン酸を酸無水物もしくは活性エステルに変換
することが好ましい。ここでカルボン酸を酸無水物もし
くは活性エステルに変換する際に用いられる試薬として
は、公知の試薬を使用することができる。具体的には、
酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸など)、酸ハロ
ゲン化物(メタンスルホニルクロリド、クロロ炭酸イソ
ブチルなど)、カルボジイミド類(ジシクロヘキシルカ
ルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ
プロピル)カルボジイミド塩酸塩など)、2−ハロピリ
ジニウム化合物(ヨウ化−2−フルオロ−1−メチルピ
リジニウムなど)、2位に離脱基を有する1,1,3,
3−テトラアルキルアミジニウム化合物(O−(ベンゾ
トリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テト
ラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、塩化2−
クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムなど)、活
性エステルおよび活性アミド類(酢酸1−スクシンイミ
ジル、カルボニルジイミダゾールなど)などが好ましく
用いられる。 【0012】以下に、このようなグラフトポリマーを固
相担体表面に導入する方法について説明する。本発明に
おける固相担体は、その表面にグラフトポリマー鎖が結
合されていることを特徴とする。これはグラフトポリマ
ー鎖が直接固相担体の表面に結合しているものでもよ
く、また、固相担体表面にグラフトポリマーが結合しや
すい中間層を設けてその層の上に末端に反応性の官能基
を有するポリマーがグラフトされているものでもよい。
さらに、本発明における固相担体表面には、グラフトポ
リマー鎖が幹高分子化合物に結合したポリマー、若しく
は、グラフトポリマー鎖が幹高分子化合物に結合し、か
つ、架橋しうる官能基が導入されたポリマーを用いて、
塗布或いは塗布架橋により固相担体表面上に配置された
ものや、ポリマー末端に架橋性基を有する親水性ポリマ
ーと架橋剤とを含む組成物を用いて、塗布或いは塗布架
橋により固相担体表面上に配置されたものも包含され
る。 【0013】本発明に用いられるグラフトポリマーの特
徴は、ポリマーの末端が固相担体表面若しくは固相担体
表面層に結合しており、且つ、DNA断片と相互作用を
形成する反応性官能基が存在するグラフト部分が実質的
に架橋されていない構造を有することにある。この構造
によりDNAと結合を形成し得る反応性官能基を有する
ポリマー部分の運動性が制限されたり、強固な架橋構造
内に埋没されることがなく、高い運動性を保持できる特
徴を有する。このため、通常の架橋構造を有し、且つ、
反応性官能基を分子内に有する親水性ポリマーに比較し
て、優れたDNAとの結合性が発現されるものと考えら
れる。このようなグラフトポリマー鎖の分子量は、Mw
500〜500万の範囲であり、好ましい分子量はMw
1000〜100万の範囲であり、さらに好ましくはM
w2000〜50万の範囲である。 【0014】本発明においては、(a)グラフトポリマ
ー鎖が直接固相担体表面若しくは固相担体表面上に設け
た中間層の上に結合しているものを「表面グラフト」と
称し、(b)グラフトポリマー鎖がポリマー架橋膜構造
の中に導入されているものを用いる場合は「グラフト鎖
導入架橋層」と称する。また、本発明では固相担体若し
くは固相担体上に中間層を設けた材料を「基材」と称す
る。 【0015】〔(a)表面グラフトの作製方法〕基材上
にグラフトポリマーからなる反応性官能基を有する表面
を作製する方法としては、基材とグラフトポリマーとを
化学結合にて付着させる方法と、基材を基点として重合
可能な2重結合を有する化合物を重合させグラフトポリ
マーとする2つの方法がある。 【0016】まず、基材とグラフトポリマーとを化学結
合にて付着させる方法について説明する。この方法にお
いては、ポリマーの末端若しくは側鎖に基材と反応する
官能基を有するポリマーを使用し、この官能基と、基材
表面の官能基とを化学反応させることでグラフトさせる
ことができる。基材と反応する官能基としては、基材表
面の官能基と反応し得るものであれば特に限定はない
が、例えば、アルコキシシランのようなシランカップリ
ング基、イソシアネート基、アミノ基、水酸基、カルボ
キシル基、スルホン酸基、リン酸基、エポキシ基、アリ
ル基、メタクリロイル基、アクリロイル基等を挙げるこ
とができる。ポリマーの末端若しくは側鎖に反応性官能
基を有するポリマーとして特に有用な化合物は、トリア
ルコキシシリル基をポリマー末端に有するポリマー、ア
ミノ基をポリマー末端に有するポリマー、カルボキシル
基をポリマー末端に有するポリマー、エポキシ基をポリ
マー末端に有するポリマー、イソシアネート基をポリマ
ー末端に有するポリマーである。また、この時に使用さ
れるポリマーとしては、反応性官能基を有するものであ
れば特に限定はないが、具体的には、ポリアクリル酸、
ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリ−2
−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び
それらの塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセトア
ミドなどを挙げることができる。その他、以下の表面グ
ラフト重合で使用される反応性官能基を有するモノマー
の重合体、若しくはそのようなノマーを含む共重合体を
有利に使用することができる。 【0017】基材を基点として重合可能な2重結合を有
する化合物を重合させ、グラフトポリマーを形成させる
方法は、一般的には表面グラフト重合と呼ばれる。表面
グラフト重合法とは、プラズマ照射、光照射、加熱など
の方法で基材表面上に活性種を与え、基材と接するよう
に配置された重合可能な2重結合を有する化合物を重合
によって基材と結合させる方法を指す。 【0018】本発明を実施するための表面グラフト重合
法としては、文献記載の公知の方法をいずれも使用する
ことができる。例えば、新高分子実験学10、高分子学
会編、1994年、共立出版(株)発行、P135に
は、表面グラフト重合法として光グラフト重合法、プラ
ズマ照射グラフト重合法が記載されている。また、吸着
技術便覧、NTS(株)、竹内監修、1999.2発
行、p203、p695には、γ線、電子線等の放射線
照射グラフト重合法が記載されている。光グラフト重合
法の具体的方法としては、特開昭63−92658号公
報、特開平10−296895号公報及び特開平11−
119413号公報に記載の方法を使用することができ
る。プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射グラフト
重合法においては、上記記載の文献、及びY.Ikad
a et al, Macromolecules v
ol. 19、 page 1804(1986)など
に記載の方法を適用することができる。具体的には、P
ETなどの高分子表面を、プラズマ、若しくは、電子線
にて処理して表面にラジカルを発生させ、その後、その
活性表面と親水性官能基を有するモノマーとを反応させ
ることによりグラフトポリマーが結合された表面層を得
ることができる。光グラフト重合は、上記記載の文献の
ほかに、特開昭53−17407号公報(関西ペイン
ト)や、特開2000−212313号公報(大日本イ
ンキ)に記載されるように、フィルム基材の表面に光重
合性組成物を塗布し、その後、水性ラジカル重合化合物
とを接触させて光を照射することによっても実施するこ
とができる。 【0019】(表面グラフト重合するのに有用な重合可
能な2重結合を有する化合物)グラフトポリマー鎖を形
成するのに有用な化合物は、重合可能な2重結合を有し
ており、かつ、分子内に反応性官能基を有するという、
2つの特性を兼ね備えていることが必要である。これら
の化合物としては、分子内に2重結合を有していれば、
反応性官能基を有するポリマー、オリゴマー、モノマー
のいずれの化合物をも用いることができる。特に有用な
化合物は反応性官能基を有するモノマーである。本発明
で有用な反応性官能基を有するモノマーとは、アンモニ
ウム、ホスホニウムなどの正の荷電を有するモノマー、
若しくは、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、
ホスホン酸基などの負の荷電を有するか負の荷電に解離
し得る酸性基を有するモノマーが挙げられるが、その他
にも、例えば、水酸基、アミド基、スルホンアミド基、
アルコキシ基、シアノ基、などの非イオン性の基を有す
るモノマーを用いることもできる。 【0020】本発明において、特に有用な反応性官能基
を有するモノマーの具体例としては、次のモノマーを挙
げることができる。例えば、(メタ)アクリル酸若しく
はそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しく
はそのアルカリ金属塩及びアミン酸塩、アリルアミン若
しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン
酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルス
ルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ス
チレンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミ
ン塩、2−スルホエチレン(メタ)アクリレート、3−
スルホプロピレン(メタ)アクリレート若しくはそのア
ルカリ金属塩及びアミン塩、2−アクリルアミド−2−
メチルプロパンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩
及びアミン塩、アシッドホスホオキシポリオキシエチレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート若しくはそれら
の塩、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート
若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−トリメチルアン
モニウムプロピル(メタ)アクリレート、3−トリメチ
ルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミド、N,
N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−メタ
クリロイルオキシプロピル)アンモニウムクロライド、
などを使用することができる。また、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、
N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメ
チロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリド
ン、N−ビニルアセトアミド、ポリオキシエチレングリ
コールモノ(メタ)アクリレートなども有用である。 【0021】〔(b)グラフト鎖導入架橋層の作製方
法〕本発明に係るグラフト鎖が導入された架橋層は、一
般的にグラフト重合体の合成法として公知の方法を用い
てグラフトポリマーを作製し、それを架橋することで作
製することができる。具体的には、グラフト重合体の合
成は“グラフト重合とその応用”井手文雄著、昭和52
年発行、高分子刊行会、及び“新高分子実験学2、高分
子の合成・反応”高分子学会編、共立出版(株)(19
95)に記載されている。 【0022】グラフト重合体の合成は、基本的に、1.
幹高分子から枝モノマーを重合させる、2.幹高分子に
枝高分子を結合させる、3.幹高分子に枝高分子を共重
合させる(マクロマー法)、の3つの方法に分けられ
る。これらの3つの方法のうち、いずれを使用しても本
発明に係るグラフトポリマーを結合した固相担体を作製
することができるが、特に、製造適性、膜構造の制御と
いう観点からは「3.マクロマー法」が優れている。マ
クロマーを使用したグラフトポリマーの合成は前記の
“新高分子実験学2、高分子の合成・反応”高分子学会
編、共立出版(株)1995に記載されている。また山
下雄他著“マクロモノマーの化学と工業”アイピーシ
ー、1989にも詳しく記載されている。具体的には、
アクリル酸、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2
−メチルプロパンスルホン酸、N−ビニルアセトアミド
など、上記の有機架橋層として具体的に記載した反応性
官能基を有するモノマー使用して文献記載の方法に従い
このような官能基を有するマクロマーを合成することが
できる。 【0023】本発明で使用される反応性官能基を有する
マクロマーのうち特に有用なものは、アクリル酸、メタ
クリル酸等のカルボキシル基含有のモノマーから誘導さ
れるマクロマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロ
パンスルホン酸、スチレンスルホン酸、及びその塩のモ
ノマーから誘導されるスルホン酸系マクロマー、アクリ
ルアミド、メタクリルアミド等のアミド系マクロマー、
N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド等の
N−ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるア
ミド系マクロマー、ヒドロキシエチルメタクリレート、
ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタ
クリレート等の水酸基含有モノマーから誘導されるマク
ロマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエ
チレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコー
ルアクリレート等のアルコキシ基若しくはエチレンオキ
シド基含有モノマーから誘導されるマクロマーである。
また、ポリエチレングリコール鎖若しくはポリプロピレ
ングリコール鎖を有するモノマーも本発明のマクロマー
として有用に使用することができる。これらのマクロマ
ーのうち有用な分子量は、400〜10万の範囲、好ま
しい範囲は1000〜5万、特に好ましい範囲は150
0〜2万の範囲である。分子量が400以下では効果を
発揮できず、また10万以上では主鎖を形成する共重合
モノマーとの重合性が悪くなる。 【0024】これらのマクロマーを合成後、グラフト鎖
が導入された架橋層を作製する一つの方法は、上記の反
応性官能基を有するマクロマーと反応性官能基を有する
他のモノマーと共重合させ、グラフト共重合ポリマーを
合成しその後、合成したグラフト共重合ポリマーとポリ
マーの反応性官能基と反応する架橋剤とを固相担体上に
塗布し、熱により反応させて架橋させ作製する方法であ
る。また、他の方法としては、反応性官能基を有するマ
クロマーと光架橋性基、若しくは重合性基を有するグラ
フトポリマーを合成し、それを固相担体上に塗布して光
照射により反応させて架橋させ作製する方法が挙げられ
る。 【0025】このようにして、基材上にグラフトポリマ
ー鎖が存在する表面を設けることができる。架橋層の膜
厚は目的により選択できるが、一般的には0.001μ
m〜10μmの範囲が好ましく、0.01μm〜5μm
の範囲がさらに好ましく、0.1μm〜2μmの範囲が
最も好ましい。膜厚が薄すぎると耐キズ性が低下する傾
向があり、厚すぎる場合には固定化反応の進行速度が低
下する傾向がある。 【0026】〔固相担体〕DNAチップを形成する固相
担体としては、特に制限はなく、目的に応じて選択して
使用することができるが、DNA断片を所望の部位に選
択的に固定化するという観点からは、表面疎水性の担
体、或いは親水性の低い担体を用いることが好ましい。
固相担体は、表面が平滑なものであってもよく、また、
凹凸を有する平面性の低いものであっても好ましく用い
ることができる。固相担体の材質としては、ガラス、セ
メント、セラミックス、ニューセラミックスなどの無機
非晶質材料、Si基板などにも用いられるシリコン、或
いは、活性炭などの無機材料、金などの導電性材料等の
無機材料が挙げられる。また、担体の形状は、固相の板
状物が一般的であるが、これに限定されず、多孔質ガラ
ス、多孔質セラミックス、多孔質シリコン、多孔質活性
炭、メンブレンフィルター等の多孔質物質であってもよ
く、また、前記したような材料を原料とする長繊維或い
は短繊維を用いて形成された織布、編物、不織布などの
形態をとるものであってもよい。固相担体として、表面
に微細な凹凸を有するものや多孔質物質を用いること
で、表面積を大きくとることができる。そのような場合
に用いる多孔質物質の細孔の大きさは、2〜1000n
mの範囲にあることが好ましく、2〜500nmの範囲
にあることが特に好ましい。 【0027】これらのなかでも、固相担体の材質として
は、表面処理の容易さや電気化学的方法による解析の容
易さの観点から、ガラスもしくはシリコンであることが
特に好ましい。また、固相担体の厚さは、DNAチップ
の使用目的にもよるが、一般的には100μm〜200
0μmの範囲にあることが好ましい。 【0028】 【実施例】以下、実施例により、本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 〔実施例1〕 [固相担体へのグラフトポリマーの導入]スライドガラ
ス〔スライド(A):25mm×75mm〕の上に、下
記の光重合性組成物をロッドバー17番で塗布し80℃
で2分間乾燥させた。次にこの塗布されたフィルムを、
400W高圧水銀灯(UVL−400P、理工科学産業
(株)製)を使用し、10分間照射し、予備硬化させ
た。 【0029】 (光重合性組成物) ・アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 4g (モル比率80/20、分子量10万) ・エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート 4g (東亞合成(株)M210) ・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 1.6g ・1−メトキシ−2−プロパノール 16g 【0030】次に、このスライドガラス(A)をアクリ
ル酸:10質量%及び次亜塩素酸ナトリウム:0.01
質量%を含む水溶液に浸漬し、アルゴン雰囲気下で40
0W高圧水銀灯を使用し30分間光照射した。光照射後
得られたスライドガラスをイオン交換水で良く洗浄し、
アクリル酸がグラフトされた表面を有する固相担体〔ス
ライド(B)〕をを得た。 【0031】[アクリル酸の活性エステルへの変更]グ
ラフト鎖にアクリル酸が導入されたスライド(B)にお
いて、アクリル酸末端のカルボン酸基を活性エステルに
変換する目的で、4質量%の1−エチル−3−(3−ジ
メチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(東京化
成社製)および10質量%のN−ヒドロキシスクシンイ
ミドのアセトニトリル(50mL)溶液に2時間浸し、
アセトニトリルで洗浄し、1時間減圧下に乾燥し、スク
シンイミド基が導入されたスライド(C)を得た。 【0032】[DNA断片の点着と蛍光強度の測定]
5’末端および3’末端がそれぞれアミノ基であり、蛍
光標織試薬(FluoroLink Cy5dCT
P、アマシャム・ファルマシア・バイオテック社製)で
修飾されたDNA断片〔(5’末端→3’末端):CA
GGCATACACTGAAGTGAAAACTG〕を
0.1M炭酸緩衝液(pH9.8)に分散してなる水性
液(1×10-6M、1μL)を、上記で得たスライド
(C)に点着した。点着後のスライドを40℃、湿度9
0%にて1時間放置した後、このスライドを0.1質量
%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)と2×SSC〔標
準食塩−クエン酸緩衝液(20×SSC:3.0M N
aCl 及び 0.3M クエン酸ナトリウム含有)の
原液を10倍に希釈した溶液)との混合溶液で2回、
0.2×SSC水溶液〔標準食塩−クエン酸緩衝液(2
0×SSC)の原液を100倍に希釈した溶液〕で1回
順次洗浄した。次いで、室温で乾燥させ、DNA断片が
固定されたスライド(D1)、即ち、本発明のDNAチ
ップを得た。このスライド(D1)表面の蛍光強度を蛍
光スキャニング装置で測定したところ、1500であっ
た。本発明の固定化方法により、DNA断片が効率よく
スライドガラスに固定されたことが確認された。 【0033】〔実施例1〕 [ハイブリダイゼーションの評価]蛍光標織試薬(Fl
uoroLink Cy5dCTP、アマシャム・フ
ァルマシア・バイオテック社製)で修飾されていないD
NA断片を用いた他は、実施例1と同様にして、DNA
断片が固定されたスライド(D’1)(DNAチップ)
を得た。5’末端にCy5が結合した22merの標的
オリゴヌクレオチド(CTAGTCTGTGAAGTT
CCAGATC−5’)をハイブリダイゼーション用溶
液(4×SSCおよび10質量%のSDSの混合溶液)
(20μL)に分散させたものを、上記(1)で得たス
ライド(D’1)に点着し、表面を顕微鏡用カバーガラ
スで保護した後、モイスチャーチャンバー内にて60℃
で20時間インキュベートした。次いで、このものを
0.1質量%SDSと2×SSCとの混合溶液、0.1
質量%SDSと0.2×SSCとの混合溶液、および
0.2×SSC水溶液で順次洗浄した後、600rpm
で20秒間遠心し、室温で乾燥した。スライドガラス表
面の蛍光強度を蛍光スキャニング装置で測定したとこ
ろ、1200であり、バックグランドの蛍光強度より大
きく増加した。従って、本発明のDNAチップを用いる
ことによって、DNAチップに固定されているDNA断
片と相補性を有する試料DNA断片を効率的に検出でき
ることが分かる。 【0034】 【発明の効果】本発明のDNAチップは、DNAとの吸
着効率に優れ、単位面積あたりに多くのDNAを固定化
させることができ、生物の遺伝子機能の解析などに有用
である。さらに、このDNAチップを用いると、DNA
チップに固定されているDNA断片と相補性を持つDN
A断片試料をハイブリダイゼーションによって固定する
際に、高効率でハイブリダイゼーションを行ない得ると
いう効果を奏する。 【0035】 【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Fuji Photo Film Co.Ltd. <120> A uncleic acid-immobilized electrode and its use <130> A11375MA <160> 10 【0036】 <210> 1 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 1 caggcataca ctgaagtgaa aactg
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 美紀 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 4B024 AA20 CA04 HA19

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 固相担体表面にDNA断片を固定化した
    DNAチップであって、該固相担体表面とDNA断片と
    が、固相担体表面に結合されたグラフトポリマーを介し
    て固定化されていることを特徴とするDNAチップ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1826564A1 (en) 2006-02-27 2007-08-29 Fujifilm Corporation A method for producing a biosensor
JP2008082977A (ja) * 2006-09-28 2008-04-10 Sumitomo Bakelite Co Ltd 生理活性物質の固定化方法

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