JP2003129375A - カチオン染料可染ポリエステルフィラメント - Google Patents

カチオン染料可染ポリエステルフィラメント

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JP2003129375A
JP2003129375A JP2001326424A JP2001326424A JP2003129375A JP 2003129375 A JP2003129375 A JP 2003129375A JP 2001326424 A JP2001326424 A JP 2001326424A JP 2001326424 A JP2001326424 A JP 2001326424A JP 2003129375 A JP2003129375 A JP 2003129375A
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Makoto Ito
伊藤  誠
Hiroshi Ishida
石田  央
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Nippon Ester Co Ltd
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  • Chemical Treatment Of Fibers During Manufacturing Processes (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紡糸後、延伸等の後加工工程においてトラブ
ルが少なく、品位の高いフィラメントを得ることができ
るカチオン染料可染ポリエステルフィラメントを提供す
る。 【解決手段】 酸成分に対し、スルホン酸の金属塩を0.
5モル%以上共重合したポリエチレンテレフタレートを溶
融紡糸し、2000m/分未満の速度で捲き取った後、延伸
工程に供する未延伸糸であって、溶融紡糸工程におい
て、主成分とノニオン系界面活性剤を含有する紡糸油剤
を、繊維質量に対して0.3〜1.2質量%付着させたもので
あり、紡糸油剤は、主成分として、鉱物油を0〜30質量
%、脂肪酸エステルを20〜75質量%含有し、ノニオン系
界面活性剤として、2種以上の成分を有し、各成分の親
水親油バランス(HLB値)が15以下で、全成分の平均の
親水親油バランス(HLB値)が10以下のものを15〜25質
量%含有している。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、スルホン酸の金属
塩を共重合しているカチオン染料可染ポリエステルフィ
ラメントであって、溶融紡糸工程において特定成分を含
有する紡糸油剤が付与されているカチオン染料可染ポリ
エステルフィラメントに関するものである。 【0002】 【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート(以下、P
ETという)に代表されるポリエステル系繊維は物理的
性質、耐光性、耐薬品性、ウォッシュアンドウェアー性
に優れ、幅広く用いられている。また、このポリエステ
ル繊維にカチオン染料によって高発色性を付与するため
に、スルホン酸の金属塩を共重合したり、さらに常圧可
染性を付与するために、1,4-ブタンジオールやポリアル
キレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバ
シン酸等の脂肪族ジカルボン酸を共重合する方法も各種
用いられている。 【0003】これらの共重合ポリエステルは、優れた染
色性を有しているが、溶融紡糸工程においてPETと同
様の紡糸油剤を付与した場合、紡糸後の延伸、整経、製
織、仮撚等の後加工時に、ヒータの汚れやガイド等との
擦過によって、糸切れが起こりやすかったり、毛羽の発
生、白粉の発生等のトラブルが発生するという問題があ
った。 【0004】このような問題は、共重合ポリエステルか
らなる繊維の分子構造がルーズなものになっているた
め、紡糸油剤により繊維の内部構造が侵されるために生
じるものだと思われるが、これらの共重合ポリエステル
に付与する紡糸油剤については充分研究が進んでおら
ず、紡糸後、延伸等の後加工工程においてトラブルの少
ないカチオン染料可染ポリエステルフィラメントは得ら
れていない。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点を解決するものであって、紡糸後、延伸等の後
加工工程においてトラブルが少なく、品位の高いフィラ
メントを得ることができるカチオン染料可染ポリエステ
ルフィラメントを提供することを技術的な課題とするも
のである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決するために検討した結果、高発色性を付与するため
にスルホン酸の金属塩を共重合したポリエステルは、乳
化を目的として添加するノニオン系界面活性剤の親水親
油バランス(HLB値)が低いもの、すなわち、親水性が
小さい紡糸油剤を付与すると、繊維内部を侵すことな
く、トラブルが減少する傾向にあることを見い出し、本
発明に到達した。 【0007】すなわち、本発明は、酸成分に対し、スル
ホン酸の金属塩を0.5モル%以上共重合したポリエチレン
テレフタレートを溶融紡糸し、2000m/分未満の速度で
捲き取った後、延伸工程に供する未延伸糸であって、溶
融紡糸工程において、主成分とノニオン系界面活性剤を
含有する紡糸油剤を、繊維質量に対して0.3〜1.2質量%
付着させたものであり、紡糸油剤は、主成分として、鉱
物油を0〜30質量%、脂肪酸エステルを20〜75質量%含
有し、ノニオン系界面活性剤として、2種以上の成分を
有し、各成分の親水親油バランス(HLB値)が15以下
で、全成分の平均の親水親油バランス(HLB値)が10以
下のものを15〜25質量%含有しているものであることを
特徴とするカチオン染料可染ポリエステルフィラメント
を要旨とするものである。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明でいうカチオン染料可染ポリエステルフィ
ラメントとは、酸成分に対し、スルホン酸の金属塩を0.
5モル%以上共重合したPETからなるものであり、スル
ホン酸の金属塩としては、5-ナトリウムスルホイソフタ
ル酸や5-カリウムスルホイソフタル酸、5-リチウムスル
ホイソフタル酸等が挙げられる。中でも5ーナトリウムス
ルホイソフタル酸が好ましい。スルホン酸の金属塩の共
重合量が0.5モル%未満であると、カチオン染料可染性
のフィラメントとはならない。共重合量の上限は特に限
定するものではないが、カチオン染料可染性フィラメン
トとしては4.0モル%以下とすることが好ましい。 【0009】また、PET中にはスルホン酸の金属塩の
ほか、染色性を増すための第二成分を共重合していても
よい。第二成分の種類としては、酸成分としてアジピン
酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、イソフタル
酸、フタル酸に代表される芳香族ジカルボン酸、アルコ
ール成分として、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジ
オール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。 【0010】そして、本発明のフィラメントは、このよ
うな共重合PETを溶融紡糸し、2000m/分未満の紡糸
速度で捲き取った未延伸糸のことである。2000m/分以
上で巻き取ったものでは、未延伸糸は高配向のものとな
り、前記したような油剤により繊維内部が侵されるとい
う問題が生じにくい。 【0011】次に、本発明の最も重要な要件である紡糸
油剤について述べる。紡糸油剤は主成分とノニオン系界
面活性剤を含有するものである。ノニオン系界面活性剤
とは、主に乳化を目的として用いられるものであり、主
成分と水を分散させやすくするものである。 【0012】主成分としては鉱物油と脂肪酸エステルを
含有する。鉱物油は特に限定されるものではないが、レ
ッドウッド(RW)秒が60〜150秒程度のものが用
いられる。脂肪酸エステルは、オクチルステアレート、
オクチルパルミテート、オレイルラウレート、オレイル
オレエート、イソトリデシルステアレート等が挙げられ
る。なお、これらの物質は一般にHLB値が低いので、後
述するようなノニオン系界面活性剤のように繊維に対す
る影響が少なく、考慮する必要はない。 【0013】ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレン(以下POEと略す)が付加したアルキルエー
テルやアルキルフェニルエーテル、ソルビタンエステル
等が挙げられ、これらのノニオン系界面活性剤の親水親
油バランス(HLB値)を特定のものとする。 【0014】ノニオン系界面活性剤としては、上記のよ
うな成分を2種以上併用するものであり、それぞれの成
分のHLB値を15以下とし、全成分の平均のHLB値を10以下
とする。 【0015】HLB値は次のようにして求めるものであ
る。 ノニオン系界面活性剤のHLB値=〔(親水基部分の分子
量)/(界面活性剤の全分子量)〕×(100/5) 例えば、ポリオキシエチレン(重合度4)ラウリルエー
テルの場合、全分子量が362、親水基の分子量が177(ポ
リオキシエチレンの部分)であり、(177/362)×20=
9.7となる。 【0016】平均HLB値は以下のようにして求めるもの
である。 平均HLB値(AV)=(HLB(1)×W1+HLB(2)×W2+HLB(3)
×W3・・)/(W1+W2+W3・・) ただし HLB(1):ノニオン系界面活性剤1のHLB値 W1:ノニオン系界面活性剤1の質量 HLB(2):ノニオン系界面活性剤2のHLB値 W2:ノニオン系界面活性剤2の質量 HLB(3):ノニオン系界面活性剤3のHLB値 W3:ノニオン系界面活性剤3の質量 【0017】HLB値が高いと繊維を侵しやすくなるた
め、ノニオン系界面活性剤中の各成分のHLB値は15以下
にする必要がある。15を超えたものを使用すると、繊維
が侵されやすく、延伸や後加工時に白粉が発生したり、
糸切れ、毛羽が多発するようになる。 【0018】また、平均のHLB値は10以下にする必要が
ある。10を超えると、前記したようなトラブルが発生す
るようになる。この時、平均のHLB値が10以下であって
も、HLB値が15を超えるノニオン系界面活性剤を少量で
も添加すると、繊維を膨潤させ、上記のようなトラブル
が生じることとなる。 【0019】次に、紡糸油剤中の主成分とノニオン系界
面活性剤の含有量について述べる。まず、ノニオン系界
面活性剤の量を油剤質量の15〜25質量%とする。15質量
%未満であると、界面活性剤の効果が少なく、水エマル
ション液にした後、水と油剤が分離したり、混合状態が
不均一となるので好ましくない。一方、25質量%を超え
ると、繊維を膨潤させ、後加工等でトラブル発生の原因
となる。 【0020】主成分である鉱物油や脂肪酸エステルの量
であるが、これらは用途によって、量を適宜調整する必
要があり、鉱物油については0〜30質量%とする。鉱物
油の効果としては、平滑性の付与のほか、サイジング性
の付与であるが、サイジング性を考慮に入れる必要がな
い場合、鉱物油は使用する必要はなく、脂肪酸エステル
のみを用いればよい。油剤中の鉱物油の含有量は好まし
くは15〜25質量%であり、30質量%を超えると延伸工程
で発煙が激しくなり、作業環境が悪化するので好ましく
ない。 【0021】油剤中の脂肪酸エステルの含有量は20〜75
質量%、好ましくは30〜70質量%とする。脂肪酸エステ
ルの量が20質量%未満であると平滑性が劣るようにな
り、後加工での糸切れや毛羽の発生の要因となる。一
方、75質量%超えると、延伸時にヒータが汚れ、熱効率
が悪くなり、得られた糸の品質がばらついたり、過剰の
脂肪酸エステルが分解し、延伸時の発煙の要因となるの
で好ましくない。 【0022】また、紡糸油剤中には上記したような主成
分とノニオン系界面活性剤の他にも、効果を損なわない
範囲内でその他の成分を有していてもよい。例えば、制
電性を付与するために、アルキルスルホネートやラウリ
ルホスフェートの金属塩、石鹸類等のアニオン系界面活
性剤を添加したり、pHを調整するためにオレイン酸
(または、ならびにオレイン酸の金属塩)を添加しても
よい。 【0023】上記のような紡糸油剤の繊維に対する付着
量は、0.3〜1.2質量%とする。付着量が0.3質量%未満
であると、平滑性が劣るようになったり、静電気が発生
しやすくなり、トラブルの原因となる。一方、1.2質量
%を超えると、延伸時の発煙が激しくなったり、ヒータ
汚れにより、熱効率が悪くなり、品質にバラツキが生じ
るようになるので好ましくない。 【0024】なお、紡糸油剤は水エマルジョン油剤とし
て付与することが好ましく、油剤濃度5〜25質量%の
エマルジョン油剤とすることが好ましい。 【0025】次に、本発明のフィラメントの製造方法に
ついて説明する。スルホン酸の金属塩を共重合したPE
Tを溶融紡糸し、糸条が冷却固化された後、紡糸油剤と
して前記したような成分を含有する油剤を付与し、延伸
することなく、2000m/分未満の捲き取り速度で巻き取
るものである。紡糸油剤を付与する手段は特に限定され
るものではなく、オイリングローラを用いる方法やスリ
ットガイドを用いる方法等が挙げられる。 【0026】 【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。なお、実施例における各特性値の測定、評価は次
の通りに行った。 1)油剤付着量 糸を約2gサンプリングして精秤し(W0)、エタノール
で油剤を抽出し、エタノールを蒸発乾固させて重量(W
1)を測定し、次式によって算出した。 油剤付着量 OPU(%)=(W1/W0)×100 2)延伸時のヒータ汚れ、ローラ汚れ、糸切れ回数 得られた未延伸糸を図1に示す工程図に従い延伸を行っ
た。まず、得られた未延伸糸Yを供給ローラ1に導き、
フリーローラ5を有する熱ローラ2に引き取り、フリー
ローラ6を有する延伸ローラ4との間にヒータ3を設け
て熱延伸を行った。その後、フィラメントをパーン7に
捲き取った。このとき、延伸速度(延伸ローラ速度)、
延伸倍率、熱ローラ2の温度、ヒータ3の温度はそれぞ
れの例において種々変更して行い、捲き量は3kgとし
た。この条件で10時間連続して延伸を行い、このとき
のヒータ汚れ、ローラ汚れ(白粉発生の状態)目視にて
判断し、下記の基準で3段階評価した。なお、糸切れ回
数は延伸中の糸切れ回数をカウントするものとし、糸切
れが発生した場合はただちに糸かけを行った。 a)ヒータ汚れ(ヒータ3の汚れ) ○:汚れなし △:やや汚れあり ×:汚れが激しい b)ローラ汚れ(フリーローラ5、6の汚れ:白粉発生状
態) ○:白粉の発生なし △:白粉の発生ややあり ×:白粉の発生多い 3)毛羽数の測定 上記2)の条件で得られた延伸糸を用い、整経機を用いて
毛羽数を測定した。なお、測定長は3×106mとし、
毛羽数が2.0個/106m以下を合格とした。 4)延伸時の発煙状況 上記2)の条件で延伸を行っている間、ヒータ3を目視で
観察し、ヒータ3上の発煙状況を発煙の多いものを×、
発煙の少ないものを○とし、2段階で評価した。 【0027】実施例1〜3、比較例1〜3 5ーナトリウムスルホイソフタル酸を酸成分に対し、2.0
モル%共重合したPETを用い、36ホールの丸断面ノズ
ルを用い、紡糸温度295℃、吐出量35g/分、紡糸速度15
00m/分で溶融紡糸を行った。この時、溶融紡糸後冷却
したフィラメントに、ローラ給油方式で表1及び表2に
示した油剤の10質量%水エマルションを付着させ、油剤
付着量0.70質量%の未延伸糸を得た。捲き量は3Kg捲、1
0スプールとした。得られた未延伸糸は、繊度240dtex、
強度1.2cN/dtex、伸度295%であった。この未延伸糸を
用いて図1の工程図に従って延伸を行った。このとき、
延伸速度(延伸ローラ速度)650m/分、延伸倍率
2.95、熱ローラ2の温度85℃、ヒータ3の温度1
70℃とした。ヒータ汚れ、ローラ汚れ、糸切れ回数の
評価結果及び毛羽数、延伸時の発煙状況の結果を表3、
4に示した。 【0028】 【表1】【0029】 【表2】 【0030】 【表3】 【0031】 【表4】【0032】表3、4から明らかなように、実施例1〜
3の未延伸糸は、延伸時のヒータ及びローラ汚れもほと
んどなく、さらに糸切れや整経試験での毛羽の発生も少
なく、物性、品位の高い延伸糸を得ることができた。一
方、比較例1の未延伸糸は、油剤中のノニオン系界面活
性剤の平均HLB値が高かったため、比較例2の未延伸糸
は、油剤中のノニオン系界面活性剤にHLB値が高い成分
が含まれていたため、比較例3の未延伸糸は、油剤中の
ノニオン系界面活性剤の量が多すぎたため、延伸時にヒ
ータ汚れ、フリーローラの汚れが発生し、糸切れも多
く、整経時の毛羽の発生も多いものであった。 【0033】実施例4〜5、比較例4〜6 5ーナトリウムスルホイソフタル酸を酸成分に対して2.0
モル%、全成分に対して分子量1000のポリエチレングリ
コールを5質量%共重合したPETを用い、36ホールの
丸断面ノズルを用い、紡糸温度290℃、吐出量34g/分、
紡糸速度1400m/分で溶融紡糸を行った。この時、溶融
紡糸後冷却したフィラメントに、ローラ給油方式で表1
及び表2に示した油剤の10質量%水エマルションを付着
させ、油剤付着量0.70質量%の未延伸糸を得た。捲き量
は3Kg捲、10スプールとした。得られた未延伸糸は、繊
度240dtex、強度1.2cN/dtex、伸度295%であった。こ
の未延伸糸を用いて図1の工程図に従って延伸を行っ
た。このとき、延伸速度(延伸ローラ速度)650m/
分、延伸倍率2.93、熱ローラ2の温度80℃、ヒー
タ3の温度180℃とした。ヒータ汚れ、ローラ汚れ、
糸切れ回数の評価結果及び毛羽数、延伸時の発煙状況の
結果を表3、4に示した。 【0034】表3、4から明らかなように、実施例4、
5の未延伸糸は、延伸時のヒータ及びローラ汚れもほと
んどなく、さらに糸切れや整経試験での毛羽の発生も少
なく、物性、品位の高い延伸糸を得ることができた。一
方、比較例4の未延伸糸は、油剤付着量が多すぎたた
め、延伸時にヒータ汚れ、フリーローラの汚れが発生
し、糸切れも多く、整経時の毛羽の発生も多いものとな
った。比較例5の未延伸糸は、油剤付着量が少なすぎた
ため、延伸時の糸切れ、整経時の毛羽の発生の多いもの
となった。比較例6の未延伸糸は、油剤中のノニオン系
界面活性剤の量が少なすぎたため、油剤の水エマルショ
ンの分離が発生し、油剤の付着斑が発生し、紡糸時には
問題は発生せず、捲取可能であったものの、延伸時に糸
切れが発生したり、整経での毛羽が多発するものとなっ
た。 【0035】実施例6、比較例7〜9 表2に示した油剤の10質量%水エマルションを付着さ
せ、油剤付着量0.80質量%の未延伸糸を得た以外は、実
施例4と同様に行った。なお、得られた未延伸糸は、繊
度240dtex、強度1.3cN/dtex、伸度290%であった。ま
た、この未延伸糸を用い、実施例4と同じ条件で延伸試
験を行なった。ヒータ汚れ、ローラ汚れ、糸切れ回数の
評価結果及び毛羽数、延伸時の発煙状況の結果を表3、
4に示した。 【0036】表3、4から明らかなように、実施例6の
未延伸糸は、延伸時のヒータ及びローラ汚れもほとんど
なく、さらに糸切れや整経試験での毛羽の発生も少な
く、物性、品位の高い延伸糸を得ることができた。一
方、比較例7の未延伸糸は、油剤中の鉱物油の量が多す
ぎたため、延伸時にヒータ汚れ、フリーローラの汚れ、
糸切れ、整経時の毛羽については問題は生じなかった
が、発煙が多かった。また、比較例8の未延伸糸は、油
剤中の脂肪酸エステルの量が少なかったため、平滑性が
劣り、延伸時の糸切れ及び整経時の毛羽の発生が多かっ
た。比較例9の未延伸糸は、油剤中の脂肪酸エステルの
量が多すぎたため、延伸時にヒータ汚れ、フリーローラ
の汚れが発生し、糸切れや毛羽の発生も多かった。 【0037】 【発明の効果】本発明のカチオン染料可染ポリエステル
フィラメントは、繊維内部を侵すことのない適性な成分
を有する油剤を付与したものであるので、延伸等の後加
工工程においてトラブルが少なく、品位の高いフィラメ
ントを得ることができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明のカチオン染料可染ポリエステルフィラ
メントの延伸工程の一実施態様を示す工程図である。 【符号の説明】 Y 未延伸糸 1 供給ローラ 2 熱ローラ 3 ヒータ 4 延伸ローラ 5、6 フリーローラ 7 パーン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L033 AA07 AC07 AC09 AC15 BA01 BA21 4L035 BB33 BB60 BB61 BB77 BB89 BB91 EE20 4L038 AA17 AB07 BA13 BA15 BB10 DA06 DA09 DA20

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 酸成分に対し、スルホン酸の金属塩を0.
    5モル%以上共重合したポリエチレンテレフタレートを溶
    融紡糸し、2000m/分未満の速度で捲き取った後、延伸
    工程に供する未延伸糸であって、溶融紡糸工程におい
    て、主成分とノニオン系界面活性剤を含有する紡糸油剤
    を、繊維質量に対して0.3〜1.2質量%付着させたもので
    あり、紡糸油剤は、主成分として、鉱物油を0〜30質量
    %、脂肪酸エステルを20〜75質量%含有し、ノニオン系
    界面活性剤として、2種以上の成分を有し、各成分の親
    水親油バランス(HLB値)が15以下で、全成分の平均の
    親水親油バランス(HLB値)が10以下のものを15〜25質
    量%含有しているものであることを特徴とするカチオン
    染料可染ポリエステルフィラメント。
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