JP2000199182A - 合成繊維用紡糸油剤とこの紡糸油剤を用いたポリエステル繊維及びポリエステル仮撚加工糸の製造法 - Google Patents

合成繊維用紡糸油剤とこの紡糸油剤を用いたポリエステル繊維及びポリエステル仮撚加工糸の製造法

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JP2000199182A
JP2000199182A JP11079501A JP7950199A JP2000199182A JP 2000199182 A JP2000199182 A JP 2000199182A JP 11079501 A JP11079501 A JP 11079501A JP 7950199 A JP7950199 A JP 7950199A JP 2000199182 A JP2000199182 A JP 2000199182A
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polyester
spinning oil
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spinning
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Keizo Tsujimoto
啓三 辻本
Takeshi Kitahara
武司 北原
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Chemical Treatment Of Fibers During Manufacturing Processes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリエステル繊維を製造する際、ローラ汚れ
やプレート汚れが少なくて糸切れや毛羽の発生が低下
し、長期間、連続して寸法安定性の良好なポリエステル
繊維の製造が可能となり、また、ポリエステル高配向未
延伸糸を高速で延伸同時仮撚加工する際、糸切れや毛
羽、テール移行時の切断などの発生を低下させ、繊維の
長さ方向に均一な品位の優れたポリエステル仮撚加工糸
を連続的に安定して製造できるようにする合成繊維用紡
糸油剤とポリエステル繊維及び仮撚加工糸の製造法を提
供する。 【解決手段】 油剤中に、 DL-α-Tocopherol (ビタミ
ン−E)を主成分とする酸化防止剤を、油剤の有効成分
100重量部に対し、0.01〜1.0 重量部配合した合成繊維
用紡糸油剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合成繊維用紡糸油
剤と、この油剤を用いた産業資材用に適した高強度で、
熱に対する寸法安定性の優れたポリエステル繊維の製造
法及びポリエステル仮撚加工糸の製造法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート繊維に代表
されるポリエステル繊維は、産業資材用として広く使用
されているが、高性能化への要求の高まりとともに、熱
に対する寸法安定性の良好な繊維が要望されている。
【0003】ポリエステル繊維の熱に対する寸法安定性
を高める方法として、紡糸速度の高速化により、分子配
向度の高い未延伸糸を引取り、熱延伸を施す方法が従来
より知られている(特公昭63-528号公報及び同63-529号
公報)。近年、より高度な性能の要求に対応するため
に、紡糸速度はさらに高速化の方向に進み、紡糸ドラフ
トゾーンで配向結晶化させる方法が提案されている。し
かし、通常、配向結晶化した繊維は破断伸度が低く、高
強度化に必要な高倍率の延伸が非常に困難である。
【0004】また、配向度が低い状態で配向結晶化した
未延伸糸を熱延伸する方法が提案されている(特開平6
−192913号公報)。しかし、この方法では、高温熱延伸
や高温熱処理されるため、熱ローラや熱プレートに紡糸
油剤に使用される脂肪族系エステル化合物や脂肪族系エ
ーテル化合物、及びこれらの化合物を分散、あるいは乳
化させるために用いられる分散剤や乳化剤が付着し、タ
ール状物質や固形物となって熱ローラや熱プレート上に
堆積し、糸切れや毛羽が発生したり、熱ローラや熱プレ
ート上に堆積したタール状物質や固形物により熱ローラ
や熱プレート上を走行する繊維に充分な熱量を供給でき
ず、安定した製品が得られなくなる。そのため、操業を
止めて熱ローラや熱プレートを掃除しなければならない
という問題がある。
【0005】これらの問題を解決するために、油剤が熱
で酸化されるのを防止する方法が種々提案されており、
例えば、特開平7-25277号公報や同4-34088号公報には
特定の油剤と酸化防止剤を使用する方法が、特開昭58-8
1683号公報には特定の乳化剤と酸化防止剤を使用する方
法、特公昭57− 30422号公報には特定の重合物と酸化防
止剤を使用する方法、同61− 46587号公報には低表面張
力の特性を持つ化合物と酸化防止剤を使用する方法が開
示されている。また、特開昭63−182416号公報、特開平
1−111020号公報や同2-91225号公報には、シリコーン
系オイルに酸化防止剤を使用する方法が開示されてい
る。さらに、特開昭60−9971号公報や特公昭61-36115号
公報には、有機系酸化防止剤を配合した紡糸油剤を使用
する方法が開示されている。
【0006】しかし、いずれの方法も、高速製造の場
合、ローラやプレートの加熱温度を上げないと繊維に十
分な熱量を付与できないのでローラやプレートの温度を
高くする必要があり、そのため、ローラやプレートは時
間が経過するとともに汚れ、糸切れや毛羽が発生し、ま
た、得られる繊維は寸法安定性の面で十分に満足できる
ものではなかった。
【0007】一方、ポリエステル仮撚加工糸を製造する
場合、約1500m/分程度以下の低速紡糸速度で巻取り、延
伸した繊維を糸速 200m/分程度でスピンドル式の仮撚加
工を行う方法が採用されていたが、近年生産性の向上を
目的とし、高速度で溶融紡糸した繊維を用い、延伸と仮
撚を同時に行う延伸同時仮撚法が広く採用されるように
なってきた。延伸同時仮撚法としては、スピンドル式と
摩擦式とがあるが、後者の方がより高速仮撚が可能であ
り、仮撚速度は 400m/分から1000m/分と大幅に向上しつ
つあるのが現状である。
【0008】仮撚速度が速くなるにつれ、繊維とガイド
との擦過力、ディスクとの摩擦力が大きくなり、さら
に、単位時間当たりの繊維通過量の増大により、ヒータ
汚れが激しくなる。このため、仮撚加工時の糸切れ、毛
羽の発生、テール移行時の切断等が発生し、操業性の低
下や製品の品質悪化等の問題が生じている。
【0009】これらの問題を解決するために、適切な油
剤を選定使用する方法が種々提案されており、例えば、
特公昭62-54910号公報や同62-25789号公報には、末端ア
ルキル基封鎖のポリエーテル化合物に変性シリコーンを
配合した油剤を使用する方法が、特公昭63-24119号公報
や特開昭60-215873 号公報には、ポリアルキレンオキシ
ド変性シリコーンを添加した油剤を使用する方法が開示
されている。また、特開昭57-161164 号公報には、エス
テル系平滑剤にポリプテンを添加した油剤を使用する方
法が、特開昭62-85077号公報には、ポリアルキレングリ
コールに多価カルボン酸アルカリ金属塩を添加した油剤
を使用する方法や、末端アルコキシ化ポリエーテルと分
岐脂肪酸の塩を特定の割合で配合した油剤を使用する方
法が開示されている。
【0010】しかしながら、いずれの方法も、高速紡糸
や高速延伸同時仮撚加工において、前述した紡糸時の油
剤の付着斑、仮撚加工時の付着斑、仮撚加工時の糸切れ
や毛羽の発生、ヒータ汚れなどの面で,十分に満足でき
るものではなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決し、第1の目的は、製糸工程や加工工程で熱処理
が施されるローラの汚れや、発煙性を低下させ、糸切れ
や毛羽の発生を少なくできる合成繊維用紡糸油剤を提供
しようとするものである。また、第2の目的は、製糸工
程で熱処理が施される熱ローラや熱プレートの汚れや発
煙性が少なく、寸法安定性の良好なポリエステル繊維を
長期間、連続して製造することのできるポリエステル繊
維の製造法を提供しようとするものである。さらに、第
3の目的は、ポリエステル高配向未延伸糸(POY)を
高速で延伸同時仮撚加工する際、糸切れや毛羽の発生、
ヒータ汚れがなく、かつ、得られる加工糸の品質が繊維
の長さ方向に均一で品位の優れたものとなるポリエステ
ル仮撚加工糸の製造法を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、次のような
知見を得た。 (1) 製糸工程での毛羽や糸切れは、ローラ汚れと関係
し、毛羽や糸切れを防ぐにはローラ汚れを極力抑える必
要がある。ローラ汚れを少なくする方法としては、従来
のように特定物質を添加したり、油剤の熱分解率を高く
するのみでは解決できず、油剤の酸化防止と油剤付着量
を調整することによって達成できる。すなわち、油剤の
熱分解が大きいとローラ上に付着した油剤が熱分解によ
って飛散し、ローラ上に残る油剤が少なくなるため、一
般にローラ汚れは少ないといわれているが、この場合
も、油剤が100 %分解するのは事実上不可能であり、残
った油剤が酸化反応をして固形化したタールとなり、徐
々に蓄積されて行く。一方、熱分解性の小さい場合はロ
ーラ上に残った油剤の固形化が遅くなり、液状の油剤面
を走行する繊維が運び去り、ローラが常に一定の状態に
保たれるが、熱分解性があまりにも小さいと、走行する
繊維で運び去ることのできる量以上の油剤がローラ上に
付着し、ローラ汚れが徐々に蓄積され、問題となる。し
たがって、ローラ汚れを小さくするには、油剤の熱安定
性と酸化分解に対する安定性を大きくし、かつ、油剤付
着量を適正な量に調整する必要がある。
【0013】(2) 寸法安定性の指標とする乾熱収縮率
は、ローラ汚れやプレート汚れと関係し、乾熱収縮率を
一定に保つにはローラ汚れやプレート汚れを極力抑える
必要がある。また、仮撚加工時における糸切れの中で最
も多く発生するノットの移行時の糸切れもヒータ汚れと
密接な関係があり、ヒータ汚れを極力抑える必要があ
る。ヒータ汚れを小さくするには、製糸工程でのローラ
汚れを小さくする場合と同様に油剤の熱安定性と酸化に
対する安定性を大きくし、かつ、油剤付着量を適正な量
に調整する必要がある。
【0014】本発明は、このような知見に基づいてなさ
れたものであり、その要旨は次の通りである。 (1) 油剤中に、 DL-α-Tocopherol (ビタミン−E)を
主成分とする酸化防止剤を、油剤の有効成分 100重量部
に対し、0.01〜1.0 重量部配合したことを特徴とする合
成繊維用紡糸油剤。 (2) 油剤の主成分として、脂肪族アルコールと脂肪族カ
ルボン酸を反応して得られる脂肪族系ポリエステル化合
物を含有する上記(1) 記載の合成繊維用紡糸油剤。 (3) 溶融紡出された未延伸繊維に、上記(1) 又は(2) 記
載の紡糸油剤を繊維 100重量部に対し0.1 〜1.0 重量部
付与することを特徴とするポリエステル繊維の製造法。 (4) 溶融紡出された複屈折率(Δn)が0.020 〜0.070
のポリエステル高配向未延伸糸に、上記(1) 又は(2) 記
載の合成繊維用紡糸油剤をポリエステル高配向未延伸糸
100重量部に対し、 0.2〜 0.6重量部付与した後、延伸
同時仮撚加工を施すことを特徴とするポリエステル仮撚
加工糸の製造法。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の合成繊維用紡糸油剤において、主成分は
特に限定されるものではなく、目的に応じて脂肪族アル
コールと脂肪族カルボン酸を反応して得られる脂肪族系
ポリエステル化合物や、脂肪族アルコールとプロピレン
オキサイド、エチレンオキサイド、ポリオキシエチレン
とを反応して得られる脂肪族系ポリエーテル化合物、さ
らには鉱物油、ポリオキシエチレン化(POE)変性シ
リコーン化合物などを、単独又は複数で使用することが
できる。また、紡糸油剤には、分散剤、乳化剤、静電防
止剤、耐熱剤などを配合してもよい。
【0016】本発明の合成繊維用紡糸油剤の特徴は、 D
L-α-Tocopherol (ビタミン−E)を主成分とする酸化
防止剤を、油剤の有効成分 100重量部に対し、0.01〜1.
0 重量部配合したことである。DL- α-Tocopherol を主
成分とする酸化防止剤は、上記脂肪族系ポリエーテル化
合物や脂肪族系ポリエステル化合物が、加熱されたロー
ラやヒータで酸化分解されるのを低下させる作用をする
ものである。
【0017】DL-α-Tocopherol を主成分とする酸化防
止剤は、紡糸油剤の有効成分100 重量部に対し0.01〜1.
0 重量部含有されることが必要であり、 DL-α-Tocophe
rolを主成分とする酸化防止剤が0.01重量部未満では、
製糸工程での熱処理時や仮撚時のローラ、プレート及び
ヒータ汚れや、ローラ、プレート及びヒータ上での発煙
が激しくなる。また、DL- α-Tocopherol を主成分とす
る酸化防止剤が1.0 重量部を超えると、上記のヒータ等
の汚れや発煙は少ないものの、コストが高くなるので好
ましくない。なお、DL- α-Tocopherol としては、例え
ばUvinul 2000AO(ビーエーエスエフジャパン株式会社
商標)が挙げられる。
【0018】また、 DL-α-Tocopherol 以外の酸化防止
剤としては、「IRGANOX 245 」、「IRGANOX 259 」、
「IRGANOX 565 」、「IRGANOX 1010」、「IRGANOX 1010
FP」、「IRGANOX 1035FF」、「IRGANOX 1076」、「IRGA
NOX 1081」、「IRGANOX 1098」、「IRGANOX 1222」、
「IRGANOX 1330」などのヒンダードフェノール系酸化防
止剤や、「IRGAFOS 168 」などのリン系加工安定剤(い
ずれも、日本チバガイギ株式会社商標)があり、これら
を DL-α-Tocopherol と併用してもよい。
【0019】前述したように、本発明の合成繊維用紡糸
油剤において、主成分は特に限定されるものではない
が、脂肪族系ポリエーテル化合物を用いれば、油剤の粘
性を上げ、摩擦係数を高くしてディスクでの撚り効率を
上げることができ、さらに製糸工程での繊維の集束性を
高めることができる。脂肪族系ポリエーテル化合物とし
ては、モノアルコールにプロピレンオキシド(PO)と
エチレンオキシド(EO)をランダムに付加したものが
好ましく用いられる。この理由は、トリオールなどの多
価アルコールを用いると、POとEOの鎖りが多方向に
延び、分子同士が微妙に絡み合ってポリエーテル化合物
としての粘性が高くなり過ぎ、繊維と繊維との摩擦係数
や繊維とガイドなどとの摩擦係数が大きくなり、製糸工
程や仮撚加工時に毛羽や糸切れが多発するようになるか
らである。特にPOYを巻取ったスプール内層におい
て、繊維と繊維との摩擦係数が高くなり、糸離れが悪く
なってノット移行時の切断が多くなるので好ましくな
い。
【0020】また、脂肪族系ポリエーテル化合物は、平
均分子量が1500〜6000のものが好ましい。平均分子量が
6000を超えると油剤の粘性が高くなるため、繊維と繊
維、繊維とガイドとの摩擦係数が高くなり、製糸工程や
仮撚加工時に毛羽や糸切れが多くなる。逆に平均分子量
が1500未満になると粘性が低くなり過ぎ、糸とディスク
との摩擦係数が低くなり、ディスク上で糸が滑って糸に
撚りが十分入らなくなったり、撚り斑が発生したりし
て、嵩高性が乏しく、品位の悪い加工糸しか得られなく
なる。脂肪族系ポリエーテル化合物の平均分子量は、最
終的な分子量が1500〜6000となればよく、2種以上の混
合物を用いる場合、個々のポリエーテル化合物の分子量
が1000〜10000 であっても、平均分子量が1500〜6000と
なるものであればよい。
【0021】本発明の合成繊維用紡糸油剤において、主
成分として脂肪族系ポリエステル化合物を用いれば、製
糸工程での繊維の平滑性が高まり、製糸工程や仮撚加工
工程時での繊維の集束性を高めることができる。原料で
ある脂肪族アルコールや脂肪族カルボン酸としては、炭
素数6〜22のものが好ましい。炭素数が6未満になると
集束性が小さく、製糸工程においてローラ上での糸バラ
ケなどにより毛羽や糸切れが多くなる。また、炭素数が
22を超えると、糸条への付着斑が起こり、結果として撚
り斑が発生したりして、嵩高性が乏しく、品位の悪い加
工糸しか得られない。また、耐熱性を上げるために、硫
黄原子やリン原子などを導入したものでもよい。具体例
としては、ジオレイルアジペート、オレイルオレエー
ト、ラウリルオレエート、イソステアリルオレエート、
イソトリデシルパルミテート、ジグリセリンジオレエー
ト、ジオレイルチオアジペート、ジオレイルチオジプロ
ピオネートなどが挙げられる。脂肪族系ポリエステル化
合物は、加熱されたローラやヒータで特に酸化分解され
やすいため、脂肪族系ポリエステル化合物を主成分とし
て含有する油剤において、本発明の効果は大きい。
【0022】また、本発明の合成繊維用紡糸油剤にPO
E変性シリコーン化合物を配合すれば、製糸工程でのロ
ーラやプレート汚れ、仮撚加工時のヒータ汚れをさらに
低減させることができる。POE変性シリコーンの分子
量は2500以上にすることが好ましい。分子量が2500未満
になると、脂肪族系ポリエーテル化合物や脂肪族系ポリ
エルテル化合物と粘性が異なって相溶性が悪くなり、結
果として、繊維への油剤の付着斑が起こって糸切れや毛
羽が発生し、また、仮撚加工では撚り斑が発生して、嵩
高性が乏しく、品位の悪い加工糸しか得られない。
【0023】紡糸油剤の各成分の割合いは特に限定され
るものではないが、平滑剤30〜80重量部、集束剤3〜30
重量部、乳化剤20〜70重量部、その他の添加剤適量で 1
00重量部になるような組み合わせとし、これにDL−α−
Tocopherol(ビタミン−E)を0.01〜1.0 重量部配合す
ることが好ましい。この範囲であれば、紡糸油剤本来の
平滑性、集束性の機能を失うことなく、目的とする長期
間の連続製造が可能となる。
【0024】次に、本発明のポリエルテル繊維の製造法
について説明する。本発明においては、溶融紡出した未
延伸繊維を冷却固化した後、まず、前記した紡糸油剤を
付与する。紡糸油剤は、通常のローラ式給油法や、ノズ
ル式給油法により溶融紡出された繊維に付与されるが、
その付与量は繊維 100重量部に対し0.1 〜1.0 重量部、
好ましくは0.2 〜0.7 重量部とすることが必要である。
付与量が0.1 重量部より少ないと油剤本来の集束性や平
滑性がなく、製糸が困難である。また、1.0 重量部より
多いと、ローラやプレートに付着した油剤を走行する繊
維が運び去りきれなかったり、コスト高になるので好ま
しくない。紡糸油剤は、通常、低粘度鉱物油等で希釈し
たストレート油剤の形で付与されるが、水性エマルジョ
ンの形で付与してもよい。
【0025】紡糸油剤が付与された繊維は、常法によっ
て熱延伸され、弛緩処理された後、そのまま巻取るか、
さらに仕上げ油剤を付与してから巻取られる。
【0026】次に、本発明のポリエルテル仮撚加工糸の
製造法について説明する。まず、本発明における供給糸
であるPOYは、複屈折率が0.020 〜0.070 であること
が必要である。複屈折率がこの範囲のPOYは、延伸同
時仮撚加工、特に高速延伸同時摩擦仮撚加工に適してお
り、このPOYは、ポリエチレンテレフタレートの場
合、紡糸速度2500〜4500m/分程度で得られるものであ
る。複屈折率が0.020 未満になると、ヒータ上での糸条
同士の融着が発生し、高速摩擦仮撚加工が不可能なり、
逆に複屈折率が0.070 を超えると、高配向で繊維構造が
ほとんど決定されているので、高速摩擦仮撚加工はでき
るが、風合い的には全く品位の乏しいものとなる。
【0027】本発明では、上記の供給糸であるPOY
に、POY 100重量部に対し、本発明の合成繊維用紡糸
油剤を有効成分として0.2〜0.6重量部付与した後、延
伸同時仮撚加工を施して目的とするすポリエルテル仮撚
加工糸を得るものである。上記のように、油剤付着量は
0.2 〜0.6 重量部、好ましくは 0.3〜 0.4重量部とする
ことが必要であり、0.2 重量部未満になると、仮撚加工
時に毛羽や糸切れを多発する。また、付着量が 0.6重量
部を超えると、仮撚時のヒータ汚れや、ディスクとの接
触により過剰の油剤が脱落し、ディスク付近に飛散して
作業環境等を悪化させるので好ましくない。
【0028】POYに油剤を付与する方法としては、通
常、水性エマルジョンとして、ローラ給油法、スリット
給油法が採用される。また、均一付着を図るために、2
段給油法を用いればなお効果が上がる。しかし、糸に付
着するときの水エマルジョン液の粘度を調整することが
重要であり、粘度は1〜10cps が適当である。1cps未満
になると、糸に付着した油剤がガイドとの擦過により飛
散し、作業環境を悪化させたり、付着ロスが多くなる。
さらに、水分量が多くなり、糸に付着する水分が多くな
ることによって、糸と糸とが滑り難くなり、綾落ちが発
生し、解舒不良による糸切れの原因となるので好ましく
ない。また、粘度が10cps を超えると、油剤付与時の抵
抗が大きくなり、油剤の付着斑が生じ、仮撚加工時の張
力変動の原因となって、高品位の加工糸が得られないの
で好ましくない。次に、仮撚加工の加工条件は,通常の
条件でよいが、本発明の方法は、特に400m/分以上の延
伸同時摩擦仮撚加工において有効である。
【0029】本発明におけるポリエステルとしては、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
トを始め、これらを主成分とし、イソフタル酸、5-ナト
リウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸な
どのジカルボン酸、ジエチレングリコール、ネオペンチ
ルグリコールなどのジオールを少量(5モル%程度以
下)共重合した共重合ポリエステルが挙げられる。ま
た、ポリエステル繊維やポリエステル仮撚加工糸は、上
記したポリエステルからなるマルチフィラメントであ
り、その分子量、繊度、フィラメント数、断面形状、糸
質物性、微細構造、添加剤含有の有無、ポリマー性状
(末端カルボキシル基濃度)は何ら限定されるものでは
ない。
【0030】
【作用】本発明に用いられる紡糸油剤は、DL−α−Toco
pherolを主成分とする酸化防止剤を含有しているので、
この紡糸油剤は、熱延伸や熱処理の条件下においても空
気中の酸素と酸化分解を起こして、粘性のあるタール状
物質になることが抑制される。このため、ローラやプレ
ートに付着した油剤はそのほとんどが走行する繊維に持
ち去られ、ローラやプレートが常に一定の状態に保たれ
ため、糸切れや毛羽の発生が起こらず、ローラやプレー
トを掃除することなく、連続して高品質なポリエステル
繊維を得ることができる。また、延伸同時仮撚加工にお
いても、ローラやヒータに付着した油剤はローラやヒー
タ上に残ることなく走行する繊維に持ち去られ、ローラ
やヒータが常に一定の状態に保たれため、糸切れや仮撚
加工斑が起こらず、高品位の仮撚加工糸を得ることがで
きる。
【0031】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。なお、実施例中の物性の測定や評価は,次の方法
で行った。 (イ)油剤付着量 試料重量の10倍量の60℃精練水(界面活性剤サンモール
LF:2g/l)で20分間強制撹拌をした後、試料をよく水洗
して油剤を除去し、精練前と精練後の試料重量を測定し
て算出した。 (ロ)水エマルジョン液の粘度 東京計器製作所製B型粘度計を用い、温度30℃で測定し
た。 (ハ)製糸性 延伸ローラと熱処理ローラに油剤の固形物が堆積し、毛
羽が発生したりして延伸が困難になり、清掃を行なうこ
とが必要になるまでの時間により、次の3段階で評価し
た。 ○:5日以上、△:2日〜4日、×:2日未満 (ニ)強力 島津製作所製オートグラフS−100 を用い、試料長25c
m、引張速度30cm/分の条件で測定した。 (ホ)乾熱収縮率 JIS L −1017に準じ、試料を 180℃で30分間無張力下で
熱処理して測定した。 (ヘ)複屈折率(Δn) ニコン社製 POH顕微鏡を用い、白色光で測定した。 (ト)染色斑 仮撚加工糸 500m を筒編みし、下記の条件で染色し、染
色後の染色斑の有無を目視によって判断した。 染料 Resol in Blue GRL (バイエル社製) 2% owf 分散剤 Disper VG (明成化学社製) 2% owf 浴比 1:50 染色温度×時間 130℃×60分
【0032】実施例1及び比較例1、2 (a) 紡糸油剤の調整 低粘度鉱物油50部を40℃に加温し、表1に示す組成
(部)の油剤組成物の50℃に加温した混合液50部をゆっ
くり添加しながら攪拌した後、室温に冷却した。なお、
POE はポリエチレン化を意味し、かっこ内の数値はエチ
レンオキシドの付加モル数を示す。
【0033】
【表1】
【0034】(b) ポリエステル繊維の製造 固有粘度(フェノールとテトラクロロエタンとの等重量
混合物を溶媒とし、温度20℃で測定)が0.97のポリエチ
レンテレフタレートチップを用い、溶融紡糸法により下
記要領で1665dtex/192f のヤーンを得た。紡糸口金より
紡出され、冷却固化した未延伸糸に、上記の方法で調整
した紡糸油剤を繊維 100部に対して油剤付着分 0.3部と
なるようにローラ給油法で付与した後、70℃の第1ロー
ラで引取り、第1ローラと 120℃の第2ローラとの間で
3.5 倍に第1段延伸し、さらに、第2ローラと 245℃の
第3ローラの間で合計延伸倍率が 6.1倍になるように第
2段延伸し、引き続き第3ローラと 180℃の第4ローラ
との間で 8%のリラックスを与え、 2760m/分の速度で
巻取った。製糸性及び得られた繊維の物性を表2に示
す。
【0035】
【表2】
【0036】表2から明らかなように、DL−α−Tocoph
erolを主成分とする酸化防止剤を配合した紡糸油剤を用
いて製造した実施例1では、DL−α−Tocopherolを主成
分とする酸化防止剤を配合しない紡糸油剤を用いた比較
例1〜2に比べて、10日間連続製造しても糸切れや毛
羽の発生、ローラ汚れが少なく、得られた繊維は寸法安
定性がよいものであった。
【0037】比較例3 比較例1の油剤に、酸化防止剤の「IRGANOX 1010」を1
重量部添加し、実施例1、比較例1と同一条件で試験を
繰り返した。比較例1に比べて発煙性は少なくなったも
のの、5日目には糸切れや毛羽が発生し、ローラの清掃
を必要とした。
【0038】実施例2、比較例4 通常の高速紡糸装置を用い、ポリエチレンテレフタレー
トを紡糸速度3500m/分で溶融紡糸し、紡出繊維に表3に
示した組成の油剤の8%水性エマルジョン液をローラを
用いた2段オイリング方式で付与した。この時の水性エ
マルジョン液の粘度を表4に示す。なお、油剤の付着量
はPOY 100重量部に対して有効成分が0.35〜0.45重量
部となるようにオイリングローラの回転数を変えて油剤
を付与し、120d/36fのPOYを得た。得られた
POYは、複屈折率が0.053 であった。また、油剤の付
着量は表4に示すとおりであった。このPOYをそれぞ
れ2Kg巻き、 100スプールずつ採取したが、いずれも製
糸性は良好であり、毛羽や糸切れもなかった。
【0039】
【表3】
【0040】上記で得られたPOYを、帝人製機社製S
DS−8型仮撚機を用い、仮撚加工速度800m/分、
延伸倍率 1.625、D/Y(ディスクの周速/糸条の速
度)1.709 、ヒータ温度215℃の条件でそれぞれ50
0時間連続して仮撚加工を行った。この場合、POYを
巻いたスプールの切り替えはノット方式とし、仮撚加工
時の糸切れ回数(ノット移行時、その他)、全量のチー
ズに発生している毛羽の個数、ヒータ汚れの状況、白粉
発生状況について調べた。これらの評価結果を併せて表
4に示す。
【0041】
【表4】
【0042】表4から明らかなように、 DL-α- Tocoph
erolを主成分とする酸化防止剤を配合した紡糸油剤を用
いた実施例2は、 DL-α-Tocopherol を主成分とする酸
化紡糸剤を配合しない紡糸油剤を用いた比較例4に比べ
て、仮撚加工時の糸切れや毛羽の発生、ヒータ汚れが少
なく、得られた仮撚加工糸も染色性の斑が少ないもので
あった。
【0043】
【発明の効果】本発明の合成繊維用紡糸油剤を紡出繊維
に付与すれば、ポリエステル繊維の製造工程における延
伸ローラ、熱処理ローラやプレートの汚れが著しく少な
くなって、ポリエステル繊維の長期間、連続した安定製
造が可能となり、しかも得られるポリエステル繊維は寸
法安定性においても良好であり、大きな実用効果をもた
らすものである。また、本発明の合成繊維用紡糸油剤を
付与したPOYを使用すれば、高速で延伸同時仮撚加工
する際、糸切れや毛羽の発生、ヒータ汚れがなく、繊維
の長さ方向に均一で品位の優れたポリエステル仮撚加工
糸を連続的に安定して製造することが可能となる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4L033 AA04 AA07 AB01 AC01 AC05 AC15 BA11 CA45 4L036 MA05 MA26 PA05 PA15 PA26 UA21 4L038 AA17 AB07 BA15 BA16 BB07 DA20

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油剤中に、 DL-α-Tocopherol (ビタミ
    ン−E)を主成分とする酸化防止剤を、油剤の有効成分
    100重量部に対し、0.01〜1.0 重量部配合したことを特
    徴とする合成繊維用紡糸油剤。
  2. 【請求項2】 油剤の主成分として、脂肪族アルコール
    と脂肪族カルボン酸を反応して得られる脂肪族系ポリエ
    ステル化合物を含有する請求項1記載の合成繊維用紡糸
    油剤。
  3. 【請求項3】 溶融紡出された未延伸繊維に、請求項1
    又は2記載の紡糸油剤を繊維 100重量部に対し0.1 〜1.
    0 重量部付与することを特徴とするポリエステル繊維の
    製造法。
  4. 【請求項4】 溶融紡出された複屈折率(Δn)が0.02
    0 〜0.070 のポリエステル高配向未延伸糸に、請求項1
    又は2記載の合成繊維用紡糸油剤をポリエステル高配向
    未延伸糸 100重量部に対し、 0.2〜 0.6重量部付与した
    後、延伸同時仮撚加工を施すことを特徴とするポリエス
    テル仮撚加工糸の製造法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002212839A (ja) * 2001-01-16 2002-07-31 Toray Ind Inc ポリエステル繊維
WO2004033784A1 (de) * 2002-10-09 2004-04-22 Textilma Ag Garne, vorzugsweise polyestergarn für die verarbeitung in textilmaschinen, insbesondere webmaschinen, sowie ein verfahren zur herstellung des garns und ein mit dem garn hergestelltes textilerzeugnis

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JP2002212839A (ja) * 2001-01-16 2002-07-31 Toray Ind Inc ポリエステル繊維
WO2004033784A1 (de) * 2002-10-09 2004-04-22 Textilma Ag Garne, vorzugsweise polyestergarn für die verarbeitung in textilmaschinen, insbesondere webmaschinen, sowie ein verfahren zur herstellung des garns und ein mit dem garn hergestelltes textilerzeugnis

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