JP2003128700A - 可溶型rage測定法 - Google Patents
可溶型rage測定法Info
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Abstract
のレセプターとの間の相互作用を調節する因子を解明
し、AGE やRAGEの関与する様々な生物活性・生理現象・
疾病の研究開発を行う。 【解決手段】 RAGE には複数の分子種が存在すること、
そのうちの可溶型RAGEは、AGE と膜貫通型RAGEとの相互
作用を制御する活性が認められるので、この可溶型RAGE
に対する抗体は、該可溶型RAGEの測定だけでなく、AGE
とRAGEとの相互作用が関与する様々な生理現象・生物活
性・疾病などの研究に資するし、有用な医薬の開発研究
に役立つ。
Description
RAGE ポリペプチドに対する抗体、それを用いたスクリ
ーニング、測定検査、診断、治療のための用途に関す
る。
98年の厚生省統計では我が国の推定罹患人口は690 万
人、予備軍を含めると1400万人と報告されている。糖尿
病患者の生命予後と quality of life (QOL)を直接左右
するのは、一次的なインスリン作用不足ではなく、高血
糖の結果二次的に起こる全身各部の血管障害すなわち血
管合併症である。したがって、糖尿病合併症の成因を明
らかにし、また、如何にこれを克服するかを解明するこ
とは緊急な解決を要する国民的研究課題である。発明者
らは、糖尿病合併症の発症・進展に関わる環境因子なら
びに遺伝因子につき探索してきた結果、前者として糖尿
病状態で加速的に形成・蓄積される後期糖化反応生成物
(advanced glycation endproducts, AGE) 、後者として
はAGE を認識・結合する細胞表面特異受容体(receptor
for AGE, RAGE)と下流にあるシグナル分子群・エフェク
ター遺伝子群が重要であることを培養血管細胞を用いた
試験管内実験ならびにトランスジェニック動物を用いた
個体レベルでの実験から明らかにした(J. Biol. Che
m., 272, 8723-8730, 1997; 275, 27781-25790, 2000;
J. Clin. Invest., 108, 261-268, 2001)。
性遺伝要因が存在することが知られているが、その実体
については未だ不明である。AGE は、糖尿病や老化に伴
った様々な合併症に関与することが指摘され、モノサイ
ト/マクロファージ、ニューロン、平滑筋細胞、内皮細
胞などの細胞表面に発現される受容体などの細胞表面受
容体と結合することも知られている。AGE はこうした受
容体(レセプター)と相互作用し、様々な生理的及び生
物学的作用を生体や細胞に及ぼすと考えられている。AG
E は、例えば、内皮細胞に対してはそれを増殖させた
り、また透過性や血栓形成を高める。また、モノサイト
/マクロファージなどでは、サイトカインの放出を促し
たり、さらには細胞の増殖、移動、マトリックスの合成
に関与する各種ファクターの放出を促したりする。さら
に、脈管壁における炎症反応にも関与することも疑われ
ている。
セプター)と相互作用し、様々な生理的及び生物学的作
用を生体や細胞に及ぼし、その結果、様々な疾患や病気
を引き起こしたり、悪化させる働きをしている証拠が明
らかにされつつあるので、AGE と RAGE との間の相互作
用に影響を与える物質を明らかにし、様々な疾患や病気
の原因及びその予防や治療、診断をできるようにするこ
とが求められている。
は、ヒト血管細胞で発現するRAGE蛋白に分子多様性があ
り、これはRAGE遺伝子転写産物のオルタナティブ スプ
ライシングによることを明らかにし(図1参照)、そし
て、主要分子種の一つが可溶型RAGE蛋白で、膜結合領域
を欠くため細胞外に分泌される一方、成熟膜結合型蛋白
と同一の細胞外ドメインをもつため、AGE を捕捉しうる
ことを見出した。実際、組み換えヒト可溶型RAGE蛋白を
精製しAGE リガンドとの結合実験を行うと、高い親和性
で種々のAGE 画分と結合することが立証された。したが
って、もしこの可溶型RAGE蛋白の発現の程度に個人差が
あれば、当該蛋白の血中レベルが高い患者は糖尿病合併
症を起こしにくく、逆に血中レベルが低ければ合併症を
起こしやすいという可能性が想定される。かくして、こ
のヒト可溶型RAGE蛋白に対するモノクローナル抗体を作
製し、これを用いた当該タンパクの測定系を開発し、糖
尿病合併症発症・進展のリスク予知を図ることを目的と
する。本発明は、新規な可溶型RAGEポリペプチドあるい
はその塩に特異的に免疫反応する抗体及びその各種用
途、例えばスクリーニング、診断あるいは治療用途を提
供する。
リペプチド若しくは(B) (i)該可溶型 RAGE のアミノ酸
配列と少なくとも60% の相同性を有し且つ(ii) (a) 可
溶型 RAGE のアミノ酸配列のうちの少なくとも 5〜347
個の連続したアミノ酸残基を有するもの、(b) 膜結合
型RAGEの有している膜貫通ドメインを欠失し且つC 末端
側には配列表の配列番号:2のアミノ酸配列Glu332〜Me
t347のうちの少なくとも 1〜16個の連続したアミノ酸残
基を有するもの、(c) 配列表の配列番号:2のN 末端
側アミノ酸配列Met1〜Val117のうちの少なくとも 1〜11
7 個の連続したアミノ酸残基を有し且つ膜結合型RAGEの
有している膜貫通ドメインを欠失しているもの、(d)
膜結合型RAGEの有しているN 末端側アミノ酸配列の1 〜
117 個の連続したアミノ酸残基のうちの少なくとも 1〜
117 個の連続したアミノ酸残基を有し且つその C末端側
には配列表の配列番号:2のアミノ酸配列Glu332〜Met
347のうちの少なくとも 1〜16個の連続したアミノ酸残
基を有するもの、及び(e) 配列表の配列番号:2のア
ミノ酸配列を有するものあるいはそれと実質的に同等の
生物活性を示すものから成る群から選ばれたポリペプチ
ドまたはその塩、(2) 配列表の配列番号:2で表される
アミノ酸配列のうち、(i) 少なくとも連続した5 〜11
5 個のアミノ酸残基を有するもの、(ii) 少なくとも連
続した116 〜230 個のアミノ酸残基を有するもの、(ii
i) 少なくとも連続した231 〜347 個のアミノ酸残基を
有するもの、(iv) 第1番目〜第117 番目のアミノ酸配
列のうちの少なくとも1個以上の連続したアミノ酸残基
を有するもの、(v) 第332 番目〜第347 番目のアミノ
酸配列のうちの少なくとも1個以上の連続したアミノ酸
残基を有するもの、(vi) 第19番目〜第347 番目のアミ
ノ酸配列を有するもの、(vii) 第1番目〜第347 番目の
アミノ酸配列を有するもの、及び(viii) それらのいず
れか一つと実質的に同等のアミノ酸配列を有するものか
らなる群から選ばれたポリペプチドまたはその塩、(3)
前記(1) 又は(2) のポリペプチドのうち、AGE とその
レセプターの間の相互作用、可溶型RAGEの発現量及び/
又はAGE 捕捉活性の変化に起因した疾患に対して活性を
有するポリペプチドまたはその塩、あるいは(4) 前記
(1) 〜(3) のいずれか一記載のポリペプチドの部分ペプ
チドまたはその塩;
か一記載のポリペプチドまたはその塩と特異的に免疫反
応する抗体を測定試薬として用いることを特徴とする上
記〔1〕の(1) 〜(4) のいずれか一記載のポリペプチド
またはその塩の免疫学的測定方法; 〔3〕 上記〔1〕の(1) 〜(4) のいずれか一記載のポ
リペプチドまたはその塩と特異的に免疫反応する抗体を
含むことを特徴とする組成物; 〔4〕 上記〔1〕の(1) 〜(4) のいずれか一記載のポ
リペプチドまたはその塩と特異的に免疫反応する抗体を
含むことを特徴とする上記〔1〕の(1) 〜(4)のいずれ
か一記載のポリペプチドまたはその塩の免疫学的測定試
薬; 〔5〕 上記〔1〕記載の抗体を含有していることを特
徴とする医薬; 〔6〕 上記〔1〕記載の抗体を含有していることを特
徴とするAGE とそのレセプターの間の相互作用、可溶型
RAGEの発現量及び/又はAGE 捕捉活性の変化に起因した
疾患診断剤; 〔7〕 上記〔1〕記載の抗体を使用した、可溶型RAGE
の産生を亢進し、糖尿病合併症の発症及び/又は進展を
防ぐ化合物のスクリーニング方法又はスクリーニングキ
ット; 〔8〕 上記〔1〕記載の抗体を使用した、体液中の可
溶型RAGEを検出し、糖尿病合併症、老化に付随した各種
疾患、アルツハイマー病、動脈硬化症、生体内タンパク
質のグリケーション化に起因した疾患あるいは病気の発
症及び/又は進展、腫瘍の浸潤又は拡散を予知する方
法;及び
産生をスクリーニングすることにより得られる、可溶型
RAGE産生制御化合物を提供する。
Met347のうちの少なくとも 4〜16個の連続したアミノ酸
残基を有するポリペプチドまたはその塩と特異的に免疫
反応する抗体; 〔11〕 上記〔10〕記載の抗体を測定試薬として用いる
ことを特徴とする上記〔1〕の(1) 〜(4) のいずれか一
記載のポリペプチドまたはその塩の免疫学的測定方法; 〔12〕 上記〔10〕記載の抗体を含むことを特徴とする
組成物; 〔13〕 上記〔10〕記載の抗体を含むことを特徴とする
上記〔1〕の(1) 〜(4) のいずれか一記載のポリペプチ
ドまたはその塩の免疫学的測定試薬; 〔14〕 上記〔10〕記載の抗体を含有していることを特
徴とする医薬; 〔15〕 上記〔10〕記載の抗体を含有していることを特
徴とするAGE とそのレセプターの間の相互作用、可溶型
RAGEの発現量及び/又はAGE 捕捉活性の変化に起因した
疾患診断剤; 〔16〕 固相化された抗体である上記〔1〕又は〔10〕
記載の抗体; 〔17〕 標識化された抗体である上記〔1〕又は〔10〕
記載の抗体; 〔18〕 ヒト化された抗体である上記〔1〕又は〔10〕
記載の抗体; 〔19〕 上記〔1〕、〔10〕又は〔18〕記載の抗体を使
用したAGE とそのレセプターの間の相互作用、可溶型RA
GEの発現量及び/又はAGE 捕捉活性の変化に起因した疾
患の治療及び/又は予防法;
〔17〕又は〔18〕記載の抗体をアフィニティ・クロマト
グラフィーなどのアフィニティプローブとして使用する
こと; 〔21〕 糖尿病合併症、老化に付随した各種疾患、アル
ツハイマー病、腫瘍の浸潤又は拡散、動脈硬化症、生体
内タンパク質のグリケーション化に起因した疾患あるい
は病気の診断あるいは検知のための上記〔2〕又は〔1
1〕記載の測定方法; 〔22〕 糖尿病合併症、老化に付随した各種疾患、アル
ツハイマー病、腫瘍の浸潤又は拡散、動脈硬化症、生体
内タンパク質のグリケーション化に起因した疾患あるい
は病気の診断あるいは検知のための上記〔4〕又は〔1
3〕記載の試薬;及び 〔23〕 糖尿病合併症、老化に付随した各種疾患、アル
ツハイマー病、腫瘍の浸潤又は拡散、動脈硬化症、生体
内タンパク質のグリケーション化に起因した疾患あるい
は病気の治療及び/又は予防用の上記〔5〕又は〔14〕
記載の医薬を提供する。 また、本発明は、新規な可溶型RAGEに特異的に免疫反応
する抗体、それらのスクリーニング、診断あるいは治療
目的の用途を提供する。本発明は、可溶型RAGEに関係し
た遺伝子診断技術を提供し、例えば糖尿病、がん、アル
ツハイマー病などへの罹患抵抗性・感受性決定の一素因
と考えられる新規な可溶型RAGEの発現や多型を遺伝子診
断し、さらに、当該診断結果に基づき関連疾患罹病への
リスクを下げるような遺伝子治療技術を提供する。
その有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明
白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実
施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ま
しい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されて
いるものであることを理解されたい。本明細書に開示し
た本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改
変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明
細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易
に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特
許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているも
ので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに
含めて解釈されるべきものである。本明細書において、
用語「及び/又は」とは、 (1)併合的接続関係と (2)選
択的接続関係の両方が存在することを意味しており、例
えば「治療及び/又は予防」の場合では (1)治療及び予
防並びに (2)治療又は予防の両方を包含する意味で使用
されている。その他においても用語「及び/又は」は同
様に (1)併合的接続関係と (2)選択的接続関係の両方を
包含する意味で使用されている。
とは、糖尿病性合併症と関連の深いReceptorfor advanc
ed glycation endproducts (RAGE)に関連したペプチド
であって、RAGEのスプライシング バリアントで膜貫通
領域を有しない本発明で開示されている新規なペプチド
を指している。該可溶型RAGEは、347 個のアミノ酸残基
からなるペプチドであり、そのC 末端側には特徴的な配
列GluGlyPheAspLysValArgGluAlaGluAspSerProGlnHisMet
を有しており、膜貫通型RAGE(膜型RAGE又は膜結合型RA
GEともいう)に存在する膜貫通ドメインを欠いているこ
とを特徴としている。該可溶型RAGEは、advanced glyca
tion endproducts (AGEs) 結合活性を有するか、あるい
はAGE とそのレセプターの間の相互作用に阻害あるいは
抑制活性を有することが挙げられる。典型的には、本発
明の可溶型RAGEは、生体内に存在する天然型ペプチド
(内在性ペプチドあるいは内因性ペプチド)で、C末端
部分の16個のアミノ酸残基においてRAGE蛋白質と異なっ
ているものである。本発明の代表的な可溶型RAGEとして
は、配列表の配列番号:1のDNA でコードされて産生され
るポリペプチド、例えば配列表の配列番号:2のアミノ酸
配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列を有する
ポリペプチドが挙げられる。また、本発明の代表的な可
溶型RAGEは、配列表の配列番号:2のアミノ酸配列Glu
332〜Met347のうちの少なくとも 1〜16個の連続したア
ミノ酸残基をそのC 末端側に有し且つAGE 結合活性を有
するもの、配列表の配列番号:2のアミノ酸配列Met1〜
Val117のうちの少なくとも 1〜117 個の連続したアミノ
酸残基をN 末端側に有し且つAGE 結合活性を有するも
の、あるいはそれらの特徴を有し且つ配列表の配列番
号:2のアミノ酸配列Tyr118〜Gly331に対し少なくとも
60% の相同性を有するものなどで、新規なものが挙げら
れる。
しては、以下に記載するような如何なるポリペプチドを
指すものであってもよい。ポリペプチドの基本的な構造
は周知であり、当該技術分野において非常に数多くの参
考書及びその他の刊行物に記載がある。こうしたことに
鑑み、本明細書で用いる用語「ポリペプチド」は、ペプ
チド結合又は修飾したペプチド結合により互いに結合し
ているような2個又はそれ以上のアミノ酸を含む任意の
ペプチド又は任意のタンパク質を意味する。本明細書で
用いる用語「ポリペプチド」としては、当該分野におい
て通常、例えばペプチド、オリゴペプチドあるいはペプ
チドオリゴマーとも称せられる短い鎖のもの、及びタン
パク質と一般的に言われ、多くの形態のものが知られて
いる長い鎖のものの両方を意味してよい。ポリペプチド
は、しばしば、通常、20種の天然型アミノ酸(天然に存
在しているアミノ酸: あるいは遺伝子でコードされるア
ミノ酸)と称されるアミノ酸(20個存在している)以外
のアミノ酸を含有していてもよい。ポリペプチドは、ま
た末端アミノ酸残基を含めて、その多くのアミノ酸残基
が翻訳された後にプロセッシング及びその他の改変(あ
るいは修飾)されるといった天然の工程によるのみなら
ず、当業者に周知の化学的改変技術によっても、上記の
ポリペプチドはそれが改変(修飾)できることは理解さ
れよう。該ポリペプチドに加えられる改変(修飾)につ
いては、多くの形態のものが知られており、それらは当
該分野の基礎的な参考書及びさらに詳細な論文並びに多
数の研究文献にも詳しく記載されており、これらは当業
者に周知である。幾つかのとりわけ常套的な改変・修飾
としては、例えばグリコシル化、脂質結合、硫酸化、グ
ルタミン酸残基のγ−カルボキシル化、水酸化及びADP-
リボシル化等が挙げられ、例えばT. E. Creighton, Pro
teins-Structure and Molecular Properties, Second E
dition, W. H. Freeman and Company, New York, (199
3); B.C.Johnson(Ed.), Posttranslational Covalent M
odification of Proteins, Academic Press, New York,
(1983) (Wold, F., "Posttranslational Protein Modi
fications: Perspective and Prospects", pp.1-12); S
eifter et al., "Analysis for Protein Modifications
and nonprotein cofactors", Meth. Enzymol., 182: 6
26-646 (1990); Rattan et al., "Protein Synthesis:
Posttranslational Modification and Aging", Ann. N.
Y. Acad. Sci., 663: p.48-62 (1992)等の記載を参照
できる。
は可溶型RAGE及びその関連ポリペプチドを包含する。該
可溶型RAGE及びその関連ポリペプチドとしては、ヒト由
来のものが挙げられ、可溶性でAGE 結合活性を有するも
のあるいは膜貫通型RAGEに存在する膜貫通ドメインを欠
いているもの、例えば膜貫通領域を有しないAGE 結合活
性を有するものが挙げられ、代表的にはC 末端側に特徴
的な配列GluGlyPheAspLysValArgGluAlaGluAspSerProGln
HisMetを有しているものが挙げられ、より具体的には、
配列表の配列番号:2で表されるアミノ酸配列のうち、
少なくとも第332 位〜第347 位のアミノ酸配列を有する
もの、第1 位〜第117 位のアミノ酸配列を有するもの、
同第19位〜第347 位のアミノ酸配列を有するもの、同第
1位〜第347 位のアミノ酸配列を有するもの、及びそれ
らのいずれか一つと少なくとも60% より高い相同性、好
ましくは70% 以上の相同性、さらに好ましくは80% 以上
の相同性、また好ましくは85% 以上の相同性、もっと好
ましくは90% 以上の相同性、より好ましくは95% 以上の
相同性、特に好ましくは97% 以上の相同性を有し且つAG
E 結合活性、AGE とそのレセプターの間の相互作用に対
する阻害あるいは抑制活性あるいは同等の抗原性などと
いった実質的に同等の生物学的活性を有するアミノ酸配
列を有するものがすべて挙げられる。
合していない遊離のもの、可溶性のAGE 結合活性を有す
るもの、膜貫通型RAGEに存在する膜貫通ドメインを欠い
ているもの、C 末端側にGlu-Gly-Phe-Asp-Lys-Val-Arg-
Glu-Ala-Glu-Asp-Ser-Pro-Gln-His-Met あるいはその一
部を有し、RAGEファミリーのスプライシング バリアン
トの一種であるもので且つ新規なアミノ酸配列を有する
ものであればよい。より好ましくは、本発明のペプチド
としては、RAGEファミリーと少なくとも60% より高い相
同性を持つアミノ酸配列を有するもののうち、膜貫通ド
メインを欠くだけでなく、配列表の配列番号:2のアミ
ノ酸配列Glu332〜Met347のうちの少なくとも 1〜16個の
連続したアミノ酸残基を有するものが挙げられ、特には
配列表の配列番号:2で表されるアミノ酸配列のうち、
少なくとも第332 位〜第347 位のアミノ酸配列部位、第
1 位〜第117 位のアミノ酸配列部位あるいはそれの主要
部位(例えば、該第332 位〜第347 位の全部又は一部を
含む連続したアミノ酸残基、あるいは該第1 位〜第347
位のうちの連続したアミノ酸残基5個以上、好ましくは
10個以上、また好ましくは20個以上、さらに好ましくは
30個以上、より好ましくは40個以上、また好ましくは50
個以上、さらに好ましくは60個以上、もっと好ましくは
70個以上、また好ましくは80個以上、さらに好ましくは
90個以上、もっとも好ましくは100 個以上、また好まし
くは110 個以上) を有するものが挙げられる。代表的に
は、本発明のペプチドは、配列表の配列番号:2で表さ
れるアミノ酸配列のうち、少なくとも第19位〜第347 位
のアミノ酸配列を有するもの、及びそれらのいずれか一
つと実質的に同等のアミノ酸配列を有するものからなる
群から選ばれたものである。さらに本発明のペプチドと
しては、配列表の配列番号:2で表されるアミノ酸配列
の一部または全部を有していてもよい。こうした配列を
有するものはすべて包含されてよい。
ド配列(あるいはアミノ酸配列)又はポリヌクレオチド
配列(あるいは塩基配列)における2本の鎖の間で該鎖
を構成している各アミノ酸残基同志又は各塩基同志の互
いの適合関係において同一であると決定できるようなも
のの量(数)を意味し、二つのポリペプチド配列又は二
つのポリヌクレオチド配列の間の配列相関性の程度を意
味するものである。相同性は容易に算出できる。二つの
ポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列間の相同性
を測定する方法は数多く知られており、「相同性」
(「同一性」とも言われる)なる用語は、当業者には周
知である (例えば、Lesk, A. M. (Ed.), Computational
Molecular Biology, Oxford University Press, New Y
ork, (1988);Smith, D. W. (Ed.), Biocomputing: Info
rmatics and Genome Projects, Academic Press, New Y
ork, (1993); Grifin, A. M. & Grifin, H. G. (Ed.),
Computer Analysis of Sequence Data: Part I, Human
Press, New Jersey, (1994);von Heinje, G., Sequence
Analysis in Molecular Biology, Academic Press,New
York, (1987); Gribskov, M. & Devereux, J. (Ed.),
Sequence Analysis Primer, M-Stockton Press, New Yo
rk, (1991) 等) 。二つの配列の相同性を測定するのに
用いる一般的な方法には、Martin, J. Bishop (Ed.), G
uide to Huge Computers, Academic Press, San Diego,
(1994); Carillo, H. & Lipman, D., SIAM J. Applied
Math., 48: 1073 (1988) 等に開示されているものが挙
げられるが、これらに限定されるものではない。相同性
を測定するための好ましい方法としては、試験する二つ
の配列間の最も大きな適合関係部分を得るように設計し
たものが挙げられる。このような方法は、コンピュータ
ープログラムとして組み立てられているものが挙げられ
る。二つの配列間の相同性を測定するための好ましいコ
ンピュータープログラム法としては、GCG プログラムパ
ッケージ (Devereux, J. et al., Nucleic Acids Resea
rch, 12(1): 387 (1984)) 、BLASTP、BLASTN、FASTA (A
tschul, S. F. et al., J. Molec. Biol., 215: 403 (1
990)) 等が挙げられるが、これらに限定されるものでな
く、当該分野で公知の方法を使用することができる。
代表的には配列表の配列番号:2で表されるペプチド及
びその一部の連続したアミノ酸配列をコードする塩基配
列を含有するもの、例えば、配列表の配列番号:1で表
される塩基配列の少なくとも25-1068 位により構成され
る塩基配列を含有するもの、配列表の配列番号:1で表
される塩基配列の少なくとも136-1065位により構成され
る塩基配列を含有するもの、及び配列表の配列番号:1
で表される塩基配列の25-27 位のATG から1066-1068 位
のTGA より構成される塩基配列を含有するもの(1066-1
068 の終止コドンTGA は、TAA またはTAG であってもよ
い)であることができるし、配列表の配列番号:1で表
される塩基配列の25位から1065位の塩基配列を含有する
もの、塩基配列に開始コドン (Met をコードするコド
ン) 及び終止コドンを付加したもの、また、該塩基配列
がコードするタンパク質と少なくとも80%の相同性を有
するアミノ酸配列を持ち且つ配列表の配列番号:2のア
ミノ酸配列Glu332〜Met347のうちの少なくとも 1〜16個
の連続したアミノ酸残基を有し、尚且つAGE 結合活性、
AGE とそのレセプターの間の相互作用に対する阻害ある
いは抑制活性を有するかあるいは同等の抗原性などのそ
れと実質的に同等の生物学的活性を有するペプチドをコ
ードするといったそれと同効の塩基配列を含有するもの
であれば如何なるものであってもよい。該可溶型RAGEを
コードする核酸は、一本鎖DNA 、二本鎖DNA 、RNA 、DN
A:RNA ハイブリッド、合成DNA などの核酸であり、また
ヒトゲノムDNA 、ヒトゲノミックDNA ライブラリー、ヒ
ト組織・細胞由来のcDNA、合成DNA のいずれであっても
よい。該可溶型RAGEをコードする核酸の塩基配列は、修
飾(例えば、付加、除去、置換など)されることもで
き、そうした修飾されたものも包含されてよい。さらに
は、以下説明するように、本発明の核酸は、本発明のペ
プチドあるいはその一部をコードするものであってよ
く、好ましいものとしてはDNA が挙げられる。また上記
「同効の塩基配列」とは、例えばストリンジェントな条
件で配列表の配列番号:1の塩基配列のうちの連続した
5個以上の塩基配列、好ましくは10個以上の塩基配列、
より好ましくは15個以上の塩基配列、さらに好ましくは
20個以上の塩基配列とハイブリダイズし、該可溶型RAGE
と実質的に同等のアミノ酸配列をコードするものなどが
挙げられる。
またはそれと同効の塩基配列を含有する本発明のDNA
は、例えば以下に示す方法によって取得できる。なお、
遺伝子組換え技術は、例えば J. Sambrook, E. F. Frit
sch & T. Maniatis, "Molecular Cloning: A Laborator
y Manual (2nd edition)", Cold SpringHarbor Laborat
ory Press, Cold Spring Harbor, New York (1989); D.
M. Glover et al. ed., "DNA Cloning", 2nd ed., Vo
l. 1 to 4, (The Practical Approach Series), IRL Pr
ess, Oxford University Press (1995);日本生化学会
編、「続生化学実験講座1、遺伝子研究法II」、東京化
学同人 (1986);日本生化学会編、「新生化学実験講座
2、核酸 III(組換えDNA 技術)」、東京化学同人 (19
92); R. Wu ed., "Methods in Enzymology", Vol. 68
(Recombinant DNA), Academic Press, New York (198
0); R. Wu et al. ed., "Methods in Enzymology",Vol.
100 (Recombinant DNA, Part B) & 101 (Recombinant
DNA, Part C), Academic Press, New York (1983); R.
Wu et al. ed., "Methods in Enzymology",Vol. 153 (R
ecombinant DNA, Part D), 154 (Recombinant DNA, Par
t E) & 155(Recombinant DNA, Part F), Academic Pres
s, New York (1987); J. H. Millered., "Methods in E
nzymology", Vol. 204, Academic Press, New York (19
91); R. Wu et al. ed., "Methods in Enzymology", Vo
l. 218, Academic Press, New York (1993)などに記載
の方法あるいはそこで引用された文献記載の方法あるい
はそれらと実質的に同様な方法や改変法により行うこと
ができる (それらの中にある記載はそれを参照すること
により本明細書の開示に含められる) 。
イブラリー、例えば種々のヒト由来の組織あるいは培養
細胞(特には、ヒトの腎臓、脳、松果体、下垂体後葉、
神経細胞、網膜、網膜血管細胞、網膜神経細胞、胸腺、
血管、内皮細胞、血管平滑筋細胞、血液細胞、マクロフ
ァージ、リンパ球、精巣、卵巣、子宮、腸、心臓、肝
臓、膵臓、小腸、大腸、歯肉関連細胞、皮膚関連細胞、
糸球体細胞、尿細管細胞、結合組織細胞などの組織・細
胞等)cDNAライブラリーから得られたcDNA挿入配列を持
つプラスミドを、適当な検知系によって、AGE 結合活性
あるいはAGE とそのレセプターの間の相互作用に対する
阻害あるいは抑制活性のうちの少なくとも一つの活性を
指標にして選別を行う。この検索手法は、繰り返し行な
うことができる。こうして同定された核酸につき、その
配列決定する。また、同定された配列に基づいて適切な
プライマーを設計・合成し、場合によっては、同定され
た配列のオリジンである動物由来のcDNAライブラリーを
用いるなどし、目的の配列をポリメラーゼ・チェイン・
リアクション(polymerase chain reaction: PCR)増幅す
る。得られたDNA 断片はそれをプローブに種々のヒト組
織あるいは培養細胞等から構築されたヒトゲノミック D
NAライブラリーあるいはヒト由来cDNAライブラリーをス
クリーニングし、プローブにハイブリダイズするクロー
ンを選択し、該クローン中の(c)DNAの挿入配列の塩基配
列を決定し、新規な可溶型RAGE及びそれに関連する塩基
配列を有するDNA 断片を決定・取得することもできる。
必要に応じて該クローン中の DNAの挿入配列はサブクロ
ーニングすることができる。こうして解析された新規な
ポリペプチドをコードしている核酸を有していると考え
られるDNA 配列を基に、該可溶型RAGE及びそれに関連す
る塩基配列をコードする遺伝子を取得することも可能で
ある。また、解析された該新規な可溶型RAGE及びそれに
関連する遺伝子配列(DNA配列) を基にセンスプライマー
とアンチセンスプライマーをデザインし、合成すること
ができる。センスプライマーは、好ましくは解析された
該所望のペプチドと推定されるコード配列の5'端側のエ
キソン部位から選んで合成することができ、アンチセン
スプライマーは、好ましくは解析された該所望のペプチ
ドと推定されるコード配列の3'端側のエキソン部位から
選んで合成することができ、より好ましくは該センスプ
ライマー合成に利用したエキソン部位以外から選ぶこと
ができる。
とを目指してもよいが、解析されたエキソン部位 (複数
のエキソン部位) を利用して、複数のプライマーをデザ
インして合成し、複数のPCR をデザインして行い(必要
に応じて塩基配列決定されたDNA 断片を解析して、当該
cDNAの全塩基配列を決定し、それに基づいてクローニン
グし)、得られたDNA 断片から当該所望のcDNAを得るこ
とができる。プライマーは、好ましくは 5個以上の塩
基、さらに好ましくは10個以上の塩基からなるオリゴヌ
クレオチド、より好ましくは18〜25個の塩基からなるオ
リゴヌクレオチドが挙げられる。プライマーの作製は、
当該分野で知られた方法で行うことができ、代表的には
フォスフォジエステル法、フォスフォトリエステル法、
フォスフォアミダイト法などにより合成でき、例えば自
動DNA 合成装置、例えば、model 381A DNA synthesizer
(Applied Biosystems) などを用いて合成できる。cDNA
ライブラリーと前記のセンスプライマー及びアンチセン
スプライマーを用いてPCR を行い、cDNAを増幅すること
もできる。また、当該核酸の取得には、上記のようにし
て同定されたクローンから特異的なハイブリダイゼーシ
ョンプローブを調製し、ヒト由来DNA ライブラリーをス
クリーニングし、プローブにハイブリダイズするクロー
ンを選択することにより行うことができる。プローブな
どを放射性同位体などによって標識するには、市販の標
識キット、例えばランダムプライム DNAラベリングキッ
ト (Boehringer Mannheim)などを使用して行うことがで
きる。例えば、random-primingキット (Pharmacia LKB,
Uppsala) などを使用して、プローブ用DNA を [α-
32P]dCTP (Amersham)などで標識し、放射活性を持つプ
ローブを得ることができる。
は、市販の種々の組織由来cDNAライブラリーを直接使用
することもでき、例えばStratagene, Invitrogen, Clon
techなどから市販されたcDNAライブラリーを用いること
ができる。典型的な例では、該標識DNA 断片とヒト組織
・細胞から調製した遺伝子ライブラリー、例えばヒトP1
artificial chromosome ゲノミックライブラリー(Hum
an Genome Mapping Resource Center)、ヒト脳cDNAライ
ブラリー (例えば、Clontechなどから入手可能) を用
い、ハイブリダイゼーションを行う。ヒト脳cDNAライブ
ラリーは、例えば、λgt10などのファージ中に構築する
ことができ、それを大腸菌C600hfl 株などの宿主大腸菌
に感染させ、プラークを形成させて得ることができる。
必要に応じて該クローン中のcDNAの挿入配列はサブクロ
ーニングすることができる。決定された塩基配列を基に
して、目的とするDNA を単離することもできる。塩基配
列の決定は、ダイデオキシ法、例えば M13ダイデオキシ
法など、Maxam-Gilbert 法などを用いて行うことができ
るが、市販のシークエンシングキット、例えば Taqダイ
プライマーサイクルシークエンシングキット(Applied
Biosystems)、Sequenase v 2.0 kit などを用いたり、
自動塩基配列決定装置、例えば蛍光DNA シーケンサー装
置 (例えば、Model 373A, Applied Biosystems) などを
用いて行うことが出来る。ダイデオキシ法に用いられる
ポリメラーゼとしては、例えば、DNA ポリメラーゼ Iの
クレノー・フラグメント、AMV 逆転写酵素、Taq DNA ポ
リメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、修飾 T7 DNA ポリメ
ラーゼなどが挙げられる。
リアクション(Polymerase Chain Reaction) 」又は「PC
R 」とは、一般的に、米国特許第 4683195号明細書など
に記載されたような方法を指し、例えば、所望のヌクレ
オチド配列をインビトロで酵素的に増幅するための方法
を指している。一般に、PCR 法は、鋳型核酸と優先的に
ハイブリダイズすることのできる2個のオリゴヌクレオ
チドプライマーを使用して、プライマー伸長合成を行う
ようなサイクルを繰り返し行うことを含むものである。
典型的には、PCR 法で用いられるプライマーは、鋳型内
部の増幅されるべきヌクレオチド配列に対して相補的な
プライマーを使用することができ、例えば、該増幅され
るべきヌクレオチド配列とその両端において相補的であ
るか、あるいは該増幅されるべきヌクレオチド配列に隣
接しているものを好ましく使用され得る。PCR 反応は、
当該分野で公知の方法あるいはそれと実質的に同様な方
法や改変法により行うことができるが、例えば R. Saik
i, et al., Science, 230:1350, 1985; R. Saiki, et a
l., Science, 239: 487, 1988 ; H. A. Erliched., PCR
Technology, Stockton Press, 1989 ; D. M. Glover e
t al. ed.,"DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1, (The Pra
ctical Approach Series), IRLPress, Oxford Universi
ty Press (1995) ; M. A. Innis et al. ed., "PCRProt
ocols: a guide to methods and applications", Acade
mic Press, New York (1990)); M. J. McPherson, P. Q
uirke and G. R. Taylor (Ed.), PCR: a practical app
roach, IRL Press, Oxford (1991); M. A. Frohman et
al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 8998-9002 (19
88) などに記載された方法あるいはそれを修飾したり、
改変した方法に従って行うことができる。また、PCR 法
は、それに適した市販のキットを用いて行うことがで
き、キット製造業者あるいはキット販売業者により明ら
かにされているプロトコルに従って実施することもでき
る。
strand DNAとプライマーとを、10×反応緩衝液 (Taq DN
A ポリメラーゼに添付されている) 、dNTPs ( デオキシ
ヌクレオシド三リン酸dATP, dGTP, dCTP, dTTPの混合
物)、Taq DNA ポリメラーゼ及び脱イオン蒸留水と混合
する。混合物を、例えば、GeneAmp 2400 PCR system, P
erkin-Elmer/Cetus などの自動サーマルサイクラーを用
いて一般的なPCR サイクル条件下にそのサイクルを25〜
60回繰り返すが、増幅のためのサイクル数は適宜目的に
応じて適当な回数とすることができる。PCR サイクル条
件としては、例えば、変性90〜95℃ 5〜100 秒、アニー
リング40〜60℃ 5〜150 秒、伸長65〜75℃30 〜300 秒
のサイクル、好ましくは変性 94 ℃ 15 秒、アニーリン
グ 58 ℃ 15 秒、伸長 72 ℃ 45 秒のサイクルが挙げら
れるが、アニーリングの反応温度及び時間は適宜実験に
よって適当な値を選択できるし、変性反応及び伸長反応
の時間も、予想されるPCR 産物の鎖長に応じて適当な値
を選択できる。アニーリングの反応温度は、通常プライ
マーと鋳型DNA とのハイブリッドのTm値に応じて変える
ことが好ましい。伸長反応の時間は、通常1000bpの鎖長
当たり1 分程度がおおよその目安であるが、より短い時
間を選択することも場合により可能である。
ースゲル電気泳動にかけて、特異なバンドとしてゲルか
ら切り出し、例えば、gene clean kit (Bio 101)などの
市販の抽出キットを用いてDNA を抽出する。抽出された
DNA は適当な制限酵素で切断し、必要に応じ精製処理し
たり、さらには必要に応じ5'末端をT4ポリヌクレオチド
キナーゼなどによりリン酸化した後、pUC18 などのpUC
系ベクターといった適当なプラスミドベクターにライゲ
ーションし、適当なコンピータント細胞を形質転換す
る。クローニングされたPCR 産物はその塩基配列を解析
される。また、当該遺伝子のエキソン部位のうち解析し
た5'端側のエキソン部位の塩基配列に基づいてデザイン
されたプライマーを利用して、当該所望のcDNAの5'端側
のcDNAを取得し、一方当該遺伝子のエキソン部位のうち
解析した3'端側のエキソン部位の塩基配列に基づいてデ
ザインされたプライマーを利用して、当該所望のcDNAの
3'端側のcDNAを取得し、次に必要に応じてこれらプライ
マーや得られた当該遺伝子の5'端側のcDNA並びに3'端側
のcDNAの塩基配列の情報を利用してデザインしたプライ
マーを用い、ヒトの組織、特には、ヒト脳組織などから
単離したmRNAから逆転写酵素により作製された1st stra
nd cDNA を鋳型にしてPCR により増幅して、当該遺伝子
のcDNAを得ることもできる。
開始コドンを含有するか、あるいは該開始コドンを含め
て増幅できるように選択し、また3'端側のプライマーと
しては、少なくともストップコドンを含有するか、ある
いは該ストップコドンを含めて増幅できるように選択す
ることが好ましい。当該遺伝子の全長のcDNAを得るにあ
たり、PCR は上記したようにして行なうことができ、ま
た好ましいPCR サイクル条件としては、例えば、変性92
〜95℃ 10 〜20秒、アニーリング55〜60℃ 10〜30秒、
伸長65〜75℃ 150〜300 秒のサイクル、より好ましくは
変性 94 ℃ 15秒、アニーリング 58 ℃ 15 秒、伸長 68
℃ 4分のサイクルが挙げられる。得られたPCR 産物
は、上記と同様にしてクローニングしてその塩基配列を
解析され決定される。また決定されたDNA の塩基配列を
基にプライマーをデザインし、これらプライマーと各種
の動物細胞由来のcDNAライブラリー(例えば、各種のヒ
ト細胞由来のcDNAライブラリー)を用いて、スクリーニ
ングを行うことにより、同様に目的とするクローンを得
ることができる。またこれらプライマーを用いてPCR 増
幅を行い、目的とするコード配列含有核酸や、新規な遺
伝子、それらの断片などを得ることができる。こうして
可溶型RAGEと相同性を有するが、配列が新規なPCR 産物
を検索することもできる。
は、比較的短い一本鎖又は二本鎖のポリヌクレオチド
で、好ましくはポリデオキシヌクレオチドが挙げられ、
Angew. Chem. Int. Ed. Engl., Vol.28, p.716-734 (19
89) に記載されているような既知の方法、例えば、トリ
エステル法、ホスファイト法、ホスホアミダイト法、ホ
スホネート法などの方法により化学合成されることがで
きる。通常合成は、修飾された固体支持体上で合成を便
利に行うことができることが知られており、例えば、自
動化された合成装置を用いて行うことができ、該装置は
市販されている。該オリゴヌクレオチドは、一つ又はそ
れ以上の修飾された塩基を含有していてよく、例えば、
イノシンなどの天然においては普通でない塩基あるいは
トリチル化された塩基などを含有していてよい。得られ
た PCR産物をクローニングし、得られた PCR産物の塩基
配列を決定し、新規な可溶型RAGE及びそれに関連したコ
ード配列を有する DNA断片を取得することもできる。ま
た、この DNA断片をプローブに同様にして種々のcDNAラ
イブラリーをスクリーニングし、目的とするDNA を単離
することもできる。PCR 産物のクローニングには、例え
ば、p-Direct (Clontech), pCR-ScriptTM SK(+) (Strat
agene), pGEM-T (Promega), pAmpTM (Gibco-BRL)などの
市販のプラスミドベクターを用いることが出来る。
NAを入手する必要があるが、これは、例えば次のように
して得られる。種々のヒトの組織あるいは培養細胞から
mRNAを単離する。mRNAの単離は、当該分野で公知の方法
あるいはそれと実質的に同様な方法や改変法により行う
ことができるが、J. Sambrook et al.,"Molecular Clon
ing", 2nd ed., Chapter 7, Cold Spring Harbor Labor
atory, Cold Spring Harbor, N. Y. (1989) ; D. M. Gl
over et al. ed., "DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1,
(The Practical Approach Series), IRL Press, Oxford
University Press (1995) ; L. Grossman et al. ed.,
"Methods in Enzymology", Vol. 12, Part A & B, Aca
demic Press, New York (1968); S. L. Berger et al.
ed., "Methods in Enzymology", Vol. 152, p.33 & p.2
15, Academic Press, New York (1987);Biochemistry,
18: 5294-5299, 1979などに記載の方法、例えばグアニ
ジン−塩化セシウム法、チオシアン酸グアニジン法、フ
ェノール法などの方法で行うことが出来る。mRNAの単離
に用いられるキットとしては、例えば、Pharmacia, Str
atagene, Gibco-BRLなどから市販されているものが挙げ
られる。必要に応じ、得られた全RNA はオリゴ(dT)−セ
ルロースカラム、スピンカラム、オリゴ(dT)結合磁性ビ
ーズなどを使用して精製してポリ (A)+ mRNAを得ること
が出来る。
リメラーゼ) を用いて、cDNAを作製する。逆転写反応で
は、オリゴ(dT)プライマーを用いることができる。オリ
ゴ(dT)プライマーは、好適には12〜18個のT残基を持つ
ものが使用できる。指向性クローニングを行う場合に
は、12〜18個のT残基の5'側に制限酵素部位を連結した
合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いることも好ま
しい。こうしたプライマーの例としては、Xba I オリゴ
(dT)プライマーアダプターなどが挙げられる。またラン
ダムヘキサマープライマーを用いると、mRNAの5'末端側
が得られる可能性が増大し、このランダムヘキサマープ
ライマーは単独で、あるいはオリゴ(dT)プライマーと混
合して使用できる。逆転写反応では、必要に応じてRNas
e 阻害剤、例えば、RNasin (Boehringer Mannheim)を加
えることができる。mRNA及び逆転写酵素を用いてのcDNA
合成は当該分野で公知の方法あるいはそれと実質的に同
様な方法や改変法により行うことができるが、H. Land
et al., Nucleic Acids Res., 9: 2251, 1981; U. Gub
ler et al., Gene, 25: 263-269, 1983; S. L. Berger
et al. ed., "Methods in Enzymology", Vol. 152, p.3
07, Academic Press,New York (1987) などに記載の方
法が挙げられる。
ベクター、プラスミドベクターを使用するなどしてcDNA
ライブラリーを構築できる。またファージベクターを使
用する以外で、大腸菌などの宿主細胞の形質転換をする
には、例えばカルシウム法、ルビジウム/カルシウム
法、カルシウム/マンガン法、TFB 高効率法、FSB 凍結
コンピテント細胞法、迅速コロニー法、エレクトロポレ
ーションなど当該分野で知られた方法あるいはそれと実
質的に同様な方法で行うことができる(D. Hanahan, J.
Mol. Biol., 166: 557, 1983 など)。目的とするDNA
を単離するためには、逆転写PCR (polymerase chain re
actioncoupled reverse transcription; RT-PCR) 、RAC
E (rapid amplification of cDNA ends) を適用するこ
とが出来る。RACEは、例えば、M. A. Innis et al. e
d., "PCR Protocols" (M. A. Frohman, "a guide to me
thods and applications"), pp.28-38, Academic Pres
s, New York (1990) などに記載された方法に従って行
うことができる。RT-PCR産物はプラスミドベクターにク
ローニングすることができ、それを高効率のコンピータ
ント細胞に導入できる。更に、微量の細胞あるいは組織
からmRNAを単離精製できる方法、例えば、REXkit, Unit
ed States Biochemical; Glass MAX TM RNA spin cartr
idge system,Gibco-BRL などの市販のキットを利用し、
得られたmRNAをオリゴ(dT)プライマーを用いて逆転写し
て、1st strand DNAを合成し、ついで1st strand DNAの
3'末端にホモポリマーテール (例えば、G残基)を付け
た後、あるいは該 DNAにアダプターを付けた後、オリゴ
(dT)プライマーとオリゴ(dC)プライマーあるいはアダプ
タープライマーを用いてcDNAを PCR増幅することもでき
る。これに適した市販のキットとしては、SuperScript
TM pre-amplification system (Gibco-BRL); cDNA Cycl
e TM kit (Invitrogen) などが挙げられる。
A を保持するなどしている微生物により形成されたプラ
ークをナイロンフィルターなどの膜に転写せしめ、必要
に応じ変成処理、固定化処理、洗浄処理などを施した
後、その膜に転写せしめられたものを、必要に応じ変成
させた標識プローブDNA 断片と、ハイブリダイゼーショ
ン用バッファ中で反応させて行われる。ハイブリダイゼ
ーション処理は、普通約35℃〜約80℃、より好適には約
50℃〜約65℃で、約15分〜約36時間、より好適には約1
時間〜約24時間行われるが、適宜最適な条件を選択して
行うことができる。例えば、ハイブリダイゼーション処
理は、約55℃で約18時間行われる。ハイブリダイゼーシ
ョン用バッファとしては、当該分野で普通に使用される
ものの中から選んで用いることができ、例えば、Rapid
hybridization buffer(Amersham)などを用いることが
できる。転写した膜の変成処理としては、アルカリ変性
液を使用する方法が挙げられ、その処理後中和液や緩衝
液で処理するのが好ましい。また膜の固定化処理として
は、普通約40℃〜約 100℃、より好適には約70℃〜約90
℃で、約15分〜約24時間、より好適には約1 時間〜約4
時間ベーキングすることにより行われるが、適宜好まし
い条件を選択して行うことができる。例えば、フィルタ
ーを約80℃で約2 時間ベーキングすることにより固定化
が行われる。転写した膜の洗浄処理としては、当該分野
で普通に使用される洗浄液、例えば1M NaCl 、1mM EDTA
および 0.1% Sodium Dodecyl sulfate (SDS) 含有 50m
M Tris-HC1緩衝液,pH8.0 などで洗うことにより行うこ
とができる。ナイロンフィルターなどの膜としては、当
該分野で普通に使用されるものの中から選んで用いるこ
とができ、例えば、ナイロンフィルター[ハイボンド
(Hybond)-N、Amersham]などを挙げることができる。
ては、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで
用いることができ、アルカリ変性液としては、例えば、
0.5MNaOH および1.5M NaCl を含有する液などを挙げる
ことができ、中和液としては、例えば、1.5M NaCl 含有
0.5M Tris−HCl 緩衝液,pH8.0 などを挙げることがで
き、緩衝液としては、例えば、 2×SSPE(0.36M NaCl、
20mM NaH2PO4および2mM EDTA)などを挙げることができ
る。またハイブリダイゼーション処理に先立ち、非特異
的なハイブリダイゼーション反応を防ぐために、必要に
応じて転写した膜はプレハイブリダイゼーション処理す
ることが好ましい。このプレハイブリダイゼーション処
理は、例えば、プレハイブリダイゼーション溶液[50%
formamide、 5×Denhardt's溶液(0.2 %ウシ血清アル
ブミン、0.2 % polyvinyl pyrrolidone)、 5×SSPE、
0.1 % SDS、100 μg/ml 熱変性サケ精子DNA ]などに
浸し、約35℃〜約50℃、好ましくは約42℃で、約 4〜約
24時間、好ましくは約 6〜約8 時間反応させることによ
り行うことができるが、こうした条件は当業者であれば
適宜実験を繰り返し、より好ましい条件を決めることが
できる。ハイブリダイゼーションに用いる標識プローブ
DNA 断片の変成は、例えば、約70℃〜約100℃、好まし
くは約100 ℃で、約1 分間〜約60分間、好ましくは約 5
分間加熱するなどして行うことができる。なお、ハイブ
リダイゼーションは、それ自体公知の方法あるいはそれ
に準じた方法で行うことができるが、本明細書でストリ
ンジェントな条件とは、例えばナトリウム濃度に関し、
約15〜約50mM、好ましくは約19〜約40mM、より好ましく
は約19〜約20mMで、温度については約35〜約85℃、好ま
しくは約50〜約70℃、より好ましくは約60〜約65℃の条
件を示す。
ーを十分に洗浄処理し、特異的なハイブリダイゼーショ
ン反応をした標識プローブDNA 断片以外の標識プローブ
を取り除く。フィルターの洗浄処理は、当該分野で普通
に使用されるものの中から選んで用いて行うことがで
き、例えば、0.1 % SDS含有 0.5×SSC ( O.15M NaCl、
15mM クエン酸)溶液などで洗うことにより実施でき
る。ハイブリダイズしたプラークは、代表的にはオート
ラジオグラフィーにより検出することができるが、当該
分野で用いられる方法の中から適宜選択してプラーク検
出に用いることもできる。検出したシグナルに相当する
プラークを、適切な緩衝液、例えば、SM溶液( 100mM N
aCl および10mM MgSO4含有50mM Tris-HCl 緩衝液、pH7.
5 )などに懸濁し、ついでこのファージ懸濁液を適度に
希釈して、大腸菌に感染させ、得られた大腸菌を培養し
て、その培養された大腸菌から目的組換え体ファージを
得る。なお、必要に応じて上記プローブDNA を使用し
て、ハイブリダイゼーション処理により遺伝子ライブラ
リーやcDNAライブラリーから目的組換え体ファージをス
クリーニングする処理は、繰り返して行うことができ
る。また目的組換え体ファージは、培養された大腸菌か
ら抽出処理、遠心分離処理などを施して得ることができ
る。
に使用される方法で精製分離することができ、例えば、
グリセロールグラジエント超遠心分離法(Molecular cl
oning, a laboratory manual, ed. T. Maniatis, Cold
Spring Harbor Laboratory,2nd ed. 78, 1989)などに
より精製することができる。ファージ粒子からは、当該
分野で普通に使用される方法でDNA を精製分離すること
ができ、例えば、得られたファージをTM溶液(10mM MgS
O4含有50mM Tris-HCl 緩衝液、pH7.8 )などに懸濁し、
DNase I およびRNase A などで処理後、20mM EDTA 、50
μg/ml Proteinase K 及び0.5 %SDS 混合液などを加
え、約65℃、約1 時間保温した後、これをフェノール抽
出ジエチルエーテル抽出後、エタノール沈殿によりDNA
を沈殿させ、次に得られたDNA を70%エタノールで洗浄
後乾燥し、TE溶液(10mM EDTA 含有10mM Tris-HC1 緩衝
液、pH8.0 )に溶解するなどして得られる。また、目的
としているDNA は、サブクローニングなどにより大量に
得ることも可能であり、例えばサブクローニングは、宿
主として大腸菌を用いプラスミドベクターなどを用いて
行うことができる。こうしたサブクローニングにより得
られたDNA も、上記と同様にして遠心分離、フェノール
抽出、エタノール沈殿などの方法により精製分離でき
る。
を含有するクローン(例えば、組換え体ファージなどと
して)を得ることができる。例えば、このクローン化し
た組換え体ファージより単離されたDNA インサートの配
列決定された塩基配列の全長は1223bpであり、その配列
は配列表の配列番号:1で示されたものが得られている
ことが認められる。同定されたDNA 配列中には、推定34
7 個のアミノ酸をコードするオープンリーディングフレ
ームの存在が認められ、その推定されるアミノ酸配列
は、配列表の配列番号:2で示されるようなものと認め
られる。本配列は、RAGEのスプライシング バリアント
であって、そのC 末端側には特徴的な配列Glu-Gly-Phe-
Asp-Lys-Val-Arg-Glu-Ala-Glu-Asp-Ser-Pro-Gln-His-Me
t を有しており、さらに膜貫通型RAGEに存在する膜貫通
ドメインを欠いたものである。この推定されるタンパク
質は、新規なヒトRAGE類の一つであり、それをここでは
「可溶型RAGE」と呼ぶ。そして、可溶型RAGE遺伝子は、
新規なRAGEファミリーに属するポリペプチドをコードし
ていることは明白であり、可溶型RAGE遺伝子を用いて作
製した組換え体プラスミドは全て新規な組換え体であ
り、そのプラスミドで形質転換あるいはトランスフェク
トされ得られた形質転換体あるいはトランスフェクタン
トも新規なものである。
全部あるいは一部を有する核酸は、化学合成によって得
ることも可能である。その場合断片を化学合成し、それ
らを酵素により結合することによってもよい。また、化
学合成断片を上記したようにして、プライマーあるいは
プローブとして用いて目的とする配列を得ることも可能
である。PCR 法で用いるプライマーとしては、上記の部
位を含むDNA 断片を増幅できるものであれば、特に限定
されない。代表的には、プライマーは (a)配列表の配列
番号:1に示された塩基配列のうちの任意の領域に相当す
る塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び (b)配列表
の配列番号:1に示された塩基配列のうちの任意の領域に
対する相補塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを使用
することができ、より好ましくは(1) 配列表の配列番
号:1に示された塩基配列のうちの5'端側の任意の領域に
相当する塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び (2)
配列表の配列番号:1に示された塩基配列のうちの3'端側
の任意の領域に対する相補塩基配列を有するオリゴヌク
レオチドを使用することができ、例えば、5 個以上の塩
基、より好ましくは10個以上の塩基、さらに好ましくは
15個以上の塩基を有するオリゴヌクレオチドが挙げら
れ、3 〜150 個、好ましくは10〜150 個、より好ましく
は10〜50個、さらに好ましくは15〜35個のヌクレオチド
を含有するものが挙げられる。また、PCR 条件も特に限
定されず、通常行われる公知の条件でよく、例えば、上
記した文献の記載を参考に選択することができる。PCR
においては、DNA 鎖の熱変性、プライマーのアニーリン
グ及びポリメラーゼによる相補鎖の合成からなる一つの
サイクルが、例えば、10〜50回、好ましくは20〜35回、
より好ましくは25〜30回繰り返して行われる。
く説明するような適当なベクター、例えば、プラスミド
pEX 、pMAMneo 、pKG5などのベクターに組込み、下記で
詳しく説明するような適当な宿主細胞、例えば、大腸
菌、酵母、CHO 細胞、COS 細胞などで発現させることが
できる。また、該DNA 断片は、そのままあるいは適当な
制御配列を付加したDNA 断片として、または適当なベク
ターに組込み、そして動物に導入して、可溶型RAGE遺伝
子、例えば、可溶型RAGEを発現するトランスジェニック
動物を作成することができる。動物としては、哺乳動物
が挙げられ、例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモ
ット、ウシなどが挙げられる。好ましくは、マウスなど
の動物の受精卵に該DNA 断片を導入して、トランスジェ
ニック動物を作成することができる。可溶型RAGE遺伝子
産物の確認を、可溶型RAGE遺伝子をトランスフェクショ
ンした、293T細胞、COS-1 細胞などのそれに適した動物
細胞などを用いて行うことができる。この外来遺伝子を
哺乳動物などの動物細胞に導入する方法としては当該分
野で知られた方法あるいはそれと実質的に同様な方法で
行うことができ、例えばリン酸カルシウム法(例えば、
F. L. Graham et al., Virology, 52: 456, 1973な
ど)、DEAE- デキストラン法(例えば、D. Warden et a
l., J. Gen. Virol., 3: 371, 1968など)、エレクトロ
ポレーション法(例えば、E. Neumann et al., EMBO J,
1: 841, 1982 など)、マイクロインジェクション法、
リボソーム法、ウイルス感染法、ファージ粒子法などが
挙げられる。こうして可溶型RAGE遺伝子をトランスフェ
クションされた動物細胞の産生する遺伝子産物は、それ
を解析することもできる。
DNA など)を組込むプラスミドとしては遺伝子工学的に
常用される宿主細胞(例えば、大腸菌、枯草菌等の原核
細胞宿主、酵母、CHO 細胞、COS 細胞等の真核細胞宿
主、Sf21等の昆虫細胞宿主)中で該DNA が発現できるプ
ラスミドであればどのようなプラスミドでもよい。こう
した配列内には、例えば選択した宿主細胞で発現するの
に好適に修飾されたコドンが含まれていることができる
し、制限酵素部位が設けられていることもできるし、目
的とする遺伝子の発現を容易にするための制御配列、促
進配列など、目的とする遺伝子を結合するのに役立つリ
ンカー、アダプターなど、さらには抗生物質耐性などを
制御したり、代謝を制御したりし、選別などに有用な配
列(ハイブリドタンパク質や融合タンパク質をコードす
るものも含む)等を含んでいることができる。好ましく
は、適当なプロモーター、例えば大腸菌を宿主とするプ
ラスミドでは、トリプトファンプロモーター(trp) 、ラ
クトースプロモーター(lac) 、トリプトファン・ラクト
ースプロモーター(tac) 、リポプロテインプロモーター
(lpp)、λファージ PL プロモーター等を、動物細胞を
宿主とするプラスミドでは、SV40レートプロモーター、
MMTV LTRプロモーター、RSV LTR プロモーター、CMV プ
ロモーター、SRαプロモーター等を、酵母を宿主とする
プラスミドでは、GAL1、GAL10 プロモーター等を使用し
得る。
例えばpBR322、pUC18 、pUC19 、pUC118、pUC119、pSP6
4 、pSP65 、pTZ-18R/-18U、pTZ-19R/-19U、pGEM-3、pG
EM-4、pGEM-3Z 、pGEM-4Z 、pGEM-5Zf(-) 、pBluescrip
t KS TM 、(Stratagene)などが挙げられる。大腸菌での
発現に適したプラスミドベクターとしては、pAS 、pKK2
23 (Pharmacia)、pMC1403 、pMC931、pKC30 、pRSET-B
(Invitrogen)なども挙げられる。動物細胞を宿主とする
プラスミドとしては、SV40ベクター、ポリオーマ・ウイ
ルスベクター、ワクシニア・ウイルスベクター、レトロ
ウイルスベクターなどが挙げられ、例えばpcD 、pcD-SR
α、CDM8、pCEV4 、pME18S、pBC12BI 、pSG5 (Stratage
ne) などが挙げられる。酵母を宿主とするプラスミドと
しては、YIp 型ベクター、YEp 型ベクター、YRp 型ベク
ター、YCp 型ベクターなどが挙げられ、例えばpGPD-2な
どが挙げられる。宿主細胞としては、宿主細胞が大腸菌
の場合、例えば大腸菌K12 株に由来するものが挙げら
れ、例えばNM533 、XL1-Blue、C600、DH1 、DH5 、DH11
S 、DH12S 、 DH5α、DH10B 、HB101 、MC1061、JM109
、STBL2 、B834株由来としては、BL21(DE3)pLysSなど
が挙げられる。宿主細胞が動物細胞の場合、例えばアフ
リカミドリザル線維芽細胞由来のCOS-7 細胞、COS-1 細
胞、CV-1細胞、マウス線維芽細胞由来のCOP 細胞、MOP
細胞、WOP細胞、チャイニーズ・ハムスター細胞由来のC
HO 細胞、CHO DHFR- 細胞、ヒトHeLa細胞、マウス細胞
由来C127細胞、マウス細胞由来NIH 3T3 細胞などが挙げ
られる。昆虫細胞としては、カイコ核多角体病ウイルス
(Bombyx mori nuclear polyhedrosis virus) あるいは
それに由来するものをベクターとし、カイコ幼虫あるい
はカイコ培養細胞、例えばBM-N細胞などを用いることが
挙げられる。植物細胞を宿主細胞として使用することも
可能であり、それに適するベクターと共に、それらは当
該分野で広く知られている。
該分野で知られたあるいは汎用されている制限酵素、逆
転写酵素、DNA 断片をクローン化するのに適した構造に
修飾したりあるいは変換するための酵素であるDNA 修飾
・分解酵素、DNA ポリメラーゼ、末端ヌクレオチジルト
ランスフェラーゼ、DNA リガーゼなどを用いることが出
来る。制限酵素としては、例えば、R. J. Roberts, Nuc
leic Acids Res., 13:r165, 1985; S. Linn et al. ed.
Nucleases, p. 109, Cold Spring Harbor Lab., Cold
Spring Harbor, New York, 1982; R. J. Roberts, D. M
acelis, Nucleic Acids Res., 19: Suppl. 2077, 1991
などに記載のものが挙げられる。逆転写酵素としては、
例えばマウスモロネイ白血病ウイルス (mouse Moloney
leukemiavirus; MMLV) 由来の逆転写酵素 (reverse tra
nscriptase)、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス (avian mye
loblastosis virus; AMV)由来の逆転写酵素などが挙げ
られる。逆転写酵素は、RNase H 欠損体などは好ましく
用いることができ、特にはRNase H 活性を欠いた修飾MM
LV RT が好ましく使用でき、さらには熱安定性の高いも
のが好ましい。適した逆転写酵素としては、MMLV RT (G
ibco-BRL) 、Superscript RT plus (Life Technologie
s) などが挙げられる。
DNA ポリメラーゼ、その誘導体であるクレノウ・フラグ
メント、大腸菌ファージT4 DNAポリメラーゼ、大腸菌フ
ァージT7 DNAポリメラーゼ、耐熱菌DNA ポリメラーゼな
どが挙げられる。末端ヌクレオチジルトランスフェラー
ゼとしては、例えばR. Wu et al. ed., "Methods inEnz
ymology", Vol. 100, p. 96, Academic Press, New Yor
k (1983) に記載の3'-OH 末端にデオキシヌクレオチド
(dNMP)を付加するTdTaseなどが挙げられる。DNA 修飾・
分解酵素としては、エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレ
アーゼなどが挙げられ、例えばヘビ毒ホスホジエステラ
ーゼ、脾臓ホスホジエステラーゼ、大腸菌DNA エキソヌ
クレアーゼ I、大腸菌DNA エキソヌクレアーゼIII 、大
腸菌DNAエキソヌクレアーゼ VII、λエキソヌクレアー
ゼ、DNase I 、ヌクレアーゼS1、ミクロコッカス (Micr
ococcus) ヌクレアーゼなどが挙げられる。DNA リガー
ゼとしては、例えば大腸菌DNA リガーゼ、T4 DNAリガー
ゼなどが挙げられる。DNA 遺伝子をクローニングしてDN
A ライブラリーを構築するのに適したベクターとして
は、プラスミド、λファージ、コスミド、P1ファージ、
F因子、YAC などが挙げられ、好ましくはλファージ由
来のベクターが挙げられ、例えばCharon4A 、Charon 21
A、λgt10、λgt11、λDASHII、λFIXII 、λEMBL3 、
λZAPII TM (Stratagene) などが挙げられる。
有する発現ベクターで形質転換された形質転換体は、必
要に応じて適当な選択マーカーを用い、繰り返しクロー
ニングを行うことにより、高い発現能を安定して有する
細胞株を得ることができる。例えば、宿主細胞として動
物細胞を用いた形質転換体において、dhfr遺伝子を選択
マーカーとして利用した場合、MTX 濃度を徐々に上げて
培養し、耐性株を選択することにより、本発明のタンパ
ク質をコードするDNA を増幅させ、より高い発現を得ら
れる細胞株を得ることができる。本発明の形質転換体
は、本発明のタンパク質をコードする核酸が発現可能な
条件下で培養し、目的物を生成、蓄積せしめることがで
きる。該形質転換体は、当該分野で汎用されている培地
中で培養することができる。例えば、大腸菌、枯草菌等
の原核細胞宿主、酵母などを宿主としている形質転換体
は、液体培地を好適に使用することができる。培地中に
は、該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機
物その他が含有せしめられる。炭素源としては、たとえ
ばグルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖な
ど、窒素源としては、たとえばアンモニウム塩類、硝酸
塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、
肉エキス、麦芽エキス、大豆粕、バレイショ抽出液など
の無機または有機物質、無機物としては,例えば、塩化
カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウ
ム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。また、酵母、ビ
タミン類、カザミノ酸、生長促進因子などを添加しても
よい。また、必要によりプロモーターを効率よく働かせ
るために、例えば、3β−インドリル アクリル酸のよ
うな薬剤を加えることができる。培地のpHは約5〜8
が望ましい。
℃で約3〜約75時間行い、必要により、通気や攪拌を加
えることもできる。宿主が動物細胞である形質転換体を
培養する際、培地としては、たとえば約5〜約20%の胎
児牛血清を含むMEM 培地、PRMI1640培地、DMEM培地など
が用いられる。pHは約6〜約8であるのが好ましい。培
養は通常約30℃〜約40℃で約15〜約72時間行い、必要に
応じて通気や攪拌を加える。上記培養細胞から抽出する
に際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を
集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチー
ムおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細
胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により粗抽出液を得
る方法などを適宜用いることができる。緩衝液の中には
尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白変性剤や、トリトン X
-100(商品名)、ツウィーン-80(商品名)などの界面
活性剤を加えてあってもよい。培養液中に目的生成物が
分泌される場合には、培養終了後、それ自体公知の方法
で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。
このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に
含まれる目的生成物は、自体公知の分離・精製法を適切
に組み合わせてその精製を行なうことができ、例えば硫
酸アンモニウム沈殿法などの塩析、セファデックスなど
によるゲルろ過法、例えばジエチルアミノエチル基ある
いはカルボキシメチル基などを持つ担体などを用いたイ
オン交換クロマトグラフィー法、例えばブチル基、オク
チル基、フェニル基など疎水性基を持つ担体などを用い
た疎水性クロマトグラフィー法、色素ゲルクロマトグラ
フィー法、電気泳動法、透析、限外ろ過法、アフィニテ
ィ・クロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィ
ー法などにより精製して得ることができる。好ましく
は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、リガンドなどを
固定化したアフィニティー・クロマトグラフィーなどで
処理し精製分離処理できる。例えば、ゼラチン−アガロ
ース・アフィニティー・クロマトグラフィー、ヘパリン
−アガロース・クロマトグラフィーなどが挙げられる。
子塩基配列を基に遺伝子工学的に常用される方法を用い
ることにより、可溶型RAGEのアミノ酸配列中に適宜、1
個ないし複数個以上のアミノ酸の置換、欠失、挿入、転
移あるいは付加したごとき変異を導入した相当するタン
パク質を製造することができる。こうした変異・変換・
修飾法としては、日本生化学会編、「続生化学実験講座
1、遺伝子研究法 II」、p105(広瀬進)、東京化学同
人(1986); 日本生化学会編、「新生化学実験講座2、核
酸 III(組換えDNA 技術)」、p233(広瀬進)、東京化
学同人(1992);R. Wu, L. Grossman, ed., "Methods in
Enzymology", Vol. 154, p. 350 & p.367, Academic Pr
ess, New York (1987); R. Wu, L. Grossman, ed., "Me
thodsin Enzymology", Vol. 100, p. 457 & p. 468, Ac
ademic Press, New York (1983); J. A. Wells et a
l., Gene, 34: 315, 1985; T. Grundstroem et al., Nu
cleic Acids Res., 13: 3305, 1985; J. Taylor et a
l., Nucleic Acids Res., 13: 8765, 1985; R. Wu ed.,
"Methods in Enzymology", Vol. 155, p. 568, Academ
ic Press, New York (1987); A. R. Oliphant et al.,
Gene, 44: 177, 1986 などに記載の方法が挙げられ
る。例えば合成オリゴヌクレオチドなどを利用する位置
指定変異導入法(部位特異的変異導入法) (Zoller et a
l., Nucl. AcidsRes., 10: 6487, 1987; Carter et a
l., Nucl. Acids Res., 13: 4331, 1986),カセット変異
導入法 (cassette mutagenesis: Wells et al., Gene,
34: 315, 1985), 制限部位選択変異導入法 (restrictio
n selection mutagenesis: Wells et al., Philos. Tra
ns. R. Soc. London Ser A, 317: 415, 1986),アラニン
・スキャンニング法 (Cunningham & Wells, Science, 2
44: 1081-1085, 1989), PCR変異導入法, Kunkel法, dN
TP[αS]法(Eckstein),亜硫酸や亜硝酸などを用いる領
域指定変異導入法等の方法が挙げられる。
学的な手法でその含有されるアミノ酸残基を修飾するこ
ともできるし、ペプチダーゼ、例えばペプシン、キモト
リプシン、パパイン、ブロメライン、エンドペプチダー
ゼ、エキソペプチダーゼなどの酵素を用いて修飾した
り、部分分解したりしてその誘導体などにすることがで
きる。本発明のタンパク質は、C 末端が通常カルボキシ
ル基(-COOH) またはカルボキシレート (-COO- ) である
が、C 末端がアミド(-CONH2)またはエステル(-COOR) で
あってもよい。ここでエステルにおけるR としては、例
えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルもし
くはn-ブチルなどのC1-6アルキル基、例えば、シクロペ
ンチル、シクロヘキシルなどのC3-8 シクロアルキル
基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどのC6-12 アリ
ール基、例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル
−C1-2アルキル基もしくはα−ナフチルメチルなどのα
−ナフチル-C1-2 アルキル基などのC7-14 アラルキル基
のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオ
キシメチル基などが用いられる。本発明のタンパク質が
C末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレー
ト)を有している場合、カルボキシル基がアミド化また
はエステル化されているものも本発明のタンパク質に含
まれる。この場合のエステルとしては、例えば上記した
C 末端のエステルなどが用いられる。
たタンパク質において、N 末端のメチオニン残基のアミ
ノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC
1-5アルキル−カルボニル基などのC1-6アシル基など)
で保護されているもの、N 端側が生体内で切断され生成
したグルタミル基がピログルタミル化したもの、分子内
のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば、-OH 、-COOH 、
アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ
基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチ
ル基などのC1-6アシル基など)で保護されているもの、
あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複
合タンパク質なども含まれる。また遺伝子組換え法で製
造する時に融合タンパク質として発現させ、生体内ある
いは生体外で天然の可溶型RAGEと実質的に同等の生物学
的活性を有しているものに変換・加工してもよい。遺伝
子工学的に常用される融合産生法を用いることができる
が、こうした融合タンパク質はその融合部を利用してア
フィニティクロマトグラフィーなどで精製することも可
能である。こうした融合タンパク質としては、ヒスチジ
ンタグに融合せしめられたもの、あるいは、β-ガラク
トシダーゼ(β-gal)、マルトース結合タンパク (MBP),
グルタチオン-S-トランスフェラーゼ (GST)、チオレド
キシン (TRX)又は Cre Recombinaseのアミノ酸配列に融
合せしめられたものなどが挙げられる。同様に、ポリペ
プチドは、ヘテロジーニアスなエピトープのタグを付加
され、該エピトープに特異的に結合する抗体を用いての
イムノアフィニティ・クロマトグラフィーによる精製を
なし得るようにすることもできる。より適した実施態様
においては、該エピトープタグとしては、例えば AU5,c
-Myc, CruzTag 09, CruzTag 22, CruzTag 41, Glu-Glu,
HA, Ha.11, KT3, FLAG(registered trademark, Sigma-
Aldrich), Omni-probe, S-probe, T7, Lex A,V5, VP16,
GAL4, VSV-G などが挙げられる。(Field et al., Mole
cular and Cellular Biology, 8: pp.2159-2165 (198
8); Evan et al., Molecular and Cellular Biology,
5: pp.3610-3616 (1985); Paborsky et al., Protein E
ngineering, 3(6): pp.547-553 (1990); Hopp et al.,
BioTechnology, 6: pp.1204-1210 (1988); Martin et a
l., Science, 255: pp.192-194 (1992); Skinner et a
l., J. Biol. Chem., 266: pp.15163-15166 (1991); Lu
tz-Freyermuth et al., Proc.Natl. Acad. Sci. USA, 8
7: pp.6393-6397 (1990)など) 。酵母を利用した two-h
ybrid 法も利用できる。さらに融合タンパク質として
は、検出可能なタンパク質となるようなマーカーを付さ
れたものであることもできる。より好適な実施態様にお
いては、該検出可能なマーカーは、ビオチン/ストレプ
トアビジン系のBiotin Avi Tag、螢光を発する物質など
であってよい。該螢光を発する物質としては、オワンク
ラゲ (Aequorea victorea)などの発光クラゲ由来の緑色
螢光タンパク質(green fluorescent protein: GFP)、そ
れを改変した変異体(GFPバリアント) 、例えば、EGFP
(Enhanced-humanized GFP), rsGFP (red-shift GFP),
黄色螢光タンパク質 (yellow fluorescent protein: YF
P), 緑色螢光タンパク質 (green fluorescent protein:
GFP),藍色螢光タンパク質 (cyan fluorescent protei
n: CFP), 青色螢光タンパク質 (blue fluorescent prot
ein: BFP), ウミシイタケ(Renilla reniformis) 由来の
GFP などが挙げられる(宮脇敦史編、実験医学別冊ポス
トゲノム時代の実験講座3−GFP とバイオイージング、
羊土社 (2000年))。また、上記融合タグを特異的に認識
する抗体(モノクローナル抗体及びそのフラグメントを
含む)を使用して検出を行うこともできる。
適に実施するのに役立つマーカー配列、例えばヘキサ−
ヒスチジンペプチドを融合したものなどが使用できる。
こうした融合タンパク質の発現及び精製は、それに適し
た市販のキットを用いて行うことができ、キット製造業
者あるいはキット販売業者により明らかにされているプ
ロトコルに従って実施することもできる。タンパク質の
構造の修飾・改変などは、例えば日本生化学会編、「新
生化学実験講座1、タンパク質 VII、タンパク質工
学」、東京化学同人(1993)を参考にし、そこに記載の方
法あるいはそこで引用された文献記載の方法、さらには
それらと実質的に同様な方法で行うことができる。また
下記するようにその生物学的活性のうちには、免疫的に
活性、例えば抗原性を有するということも含まれてよ
い。該修飾・改変のうちには、脱アミノ化、ヒドロキシ
ル化、リン酸化、メチル化、アセチル化、開環、閉環、
含有糖鎖の種類を違うものに変えること、含有糖鎖の数
を増減すること、D-体アミノ酸残基への置換などであっ
てもよい。それらの方法は、当該分野で知られている
(例えば、T. E. Creighton, Proteins: Structure and
Molecular Properties, pp.79-86 W.H. Freeman & C
o., San Francisco, USA (1983) 等) 。
は、1個以上のアミノ酸残基が同一性の点で天然のもの
と異なるもの、1個以上のアミノ酸残基の位置が天然の
ものと異なるものであってもよい。本発明のヒト由来の
タンパク質は、可溶型RAGEに特有なアミノ酸残基が1個
以上(例えば、1〜80個、好ましくは1〜60個、さらに
好ましくは1〜40個、さらに好ましくは1〜20個、特に
は1〜10個など)欠けている欠失類縁体、特有のアミノ
酸残基の1個以上(例えば、1〜80個、好ましくは1〜
60個、さらに好ましくは1〜40個、さらに好ましくは1
〜20個、特には1〜10個など)が他の残基で置換されて
いる置換類縁体、1個以上(例えば、1〜80個、好まし
くは1〜60個、さらに好ましくは1〜40個、さらに好ま
しくは1〜20個、特には1〜10個など)のアミノ酸残基
が付加されている付加類縁体も包含する。天然の可溶型
RAGEの特徴であるドメイン構造あるいはリガンド結合能
が維持されていれば、上記のごとき変異体は、全て本発
明に包含される。また本発明の可溶型RAGEは天然の可溶
型RAGEと実質的に同等の一次構造コンフォメーションあ
るいはその一部を有しているものも含まれてよいと考え
られ、さらに天然の可溶型RAGEと実質的に同等の生物学
的活性を有しているものも含まれてよいと考えられる。
さらに天然に生ずる変異体の一つであることもできる。
本発明のヒト由来のタンパク質は、例えば、配列表の配
列番号:2で表されるアミノ酸配列のうち、(1) 第19位
〜第347 位のアミノ酸配列を有するもの、(2) 同第1 位
〜第347位のアミノ酸配列を有するもの、及び(3) 少な
くとも同第38位〜第117 位のアミノ酸配列を有し且つ同
第332 位〜第347 位のアミノ酸配列を有するものからな
る群から選ばれたアミノ酸配列に対し、60% 、場合によ
っては70% より高い相同性を有しているものが挙げら
れ、より好ましくはそれに対し、80% あるいは90% 以上
の相同アミノ酸配列を有するものが挙げられ、特には膜
貫通ドメインを欠くもの、C 末端側に配列GluGlyPheAsp
LysValArgGluAlaGluAspSerProGlnHisMetあるいはその一
部を有しているものが挙げられる。本発明のヒト由来の
タンパク質の一部のものとは、該ヒト由来のタンパク質
の一部のペプチド(すなわち、該タンパク質の部分ペプ
チド)であって、本発明の可溶型RAGEと実質的に同等な
活性を有するものであればいずれのものであってもよ
い。例えば、該本発明のタンパク質の部分ペプチドは、
本発明の可溶型RAGEの構成アミノ酸配列のうち少なくと
も5個以上、好ましくは20個以上、さらに好ましくは50
個以上、より好ましくは70個以上、もっと好ましくは10
0 個以上、ある場合には200 個以上のアミノ酸配列を有
するペプチドが挙げられ、好ましくはそれらは連続した
アミノ酸残基に対応するものであるか、あるいは、例え
ば、配列表の配列番号:2で示されるアミノ酸配列のう
ち対応する領域に対する相同性に関して、上記と同様の
相同性を有するものが挙げられる。
蛋白質の活性、例えば、阻害活性、生理的な活性、生物
学的な活性が実質的に同じであることを意味する。さら
にまた、その用語の意味の中には、実質的に同質の活性
を有する場合を包含していてよく、該実質的に同質の活
性としては、AGE とRAGEとの間の相互作用に対する活
性、例えば、AGE のいずれか一つに対する結合活性、膜
貫通型RAGEのAGE のいずれか一つに対する結合活性に対
して抑制あるいは阻害する活性などを挙げることができ
る。該実質的に同質の活性とは、それらの活性が性質的
に同質であることを示し、例えば、生理的に、薬理学的
に、あるいは生物学的に同質であることを示す。例え
ば、AGE の膜貫通型RAGEに対する結合を阻害する活性な
どの活性が、同等 (例えば、約 0.001〜約1000倍、好ま
しくは約0.01〜約100 倍、より好ましくは約 0.1〜約20
倍、さらに好ましくは約 0.5〜約2 倍) であることが好
ましいが、これらの活性の程度、タンパク質の分子量な
どの量的な要素は異なっていてもよい。次に、アミノ酸
の置換、欠失、あるいは挿入は、しばしばポリペプチド
の生理的な特性や化学的な特性に大きな変化を生ぜしめ
ないし、こうした場合、その置換、欠失、あるいは挿入
を施されたポリペプチドは、そうした置換、欠失、ある
いは挿入のされていないものと実質的に同一であるとさ
れるであろう。該アミノ酸配列中のアミノ酸の実質的に
同一な置換体としては、そのアミノ酸が属するところの
クラスのうちの他のアミノ酸類から選ぶことができう
る。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラ
ニン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、バ
リン、プロリン、トリプトファン、メチオニンなどが挙
げられ、極性(中性)としては、グリシン、セリン、ス
レオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グル
タミンなどが挙げられ、陽電荷をもつアミノ酸(塩基性
アミノ酸)としては、アルギニン、リジン、ヒスチジン
などが挙げられ、陰電荷をもつアミノ酸(酸性アミノ
酸)としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などが挙
げられる。
ドの合成には、当該ペプチド合成分野で知られた方法、
例えば液相合成法、固相合成法などの化学合成法を使用
することができる。こうした方法では、例えばタンパク
質あるいはペプチド合成用樹脂を用い、適当に保護した
アミノ酸を、それ自体公知の各種縮合方法により所望の
アミノ酸配列に順次該樹脂上で結合させていく。縮合反
応には、好ましくはそれ自体公知の各種活性化試薬を用
いるが、そうした試薬としては、例えばジシクロヘキシ
ルカルボジイミドなどカルボジイミド類を好ましく使用
できる。生成物が保護基を有する場合には、適宜保護基
を除去することにより目的のものを得ることができる。
本発明のタンパク質及びその一部のペプチドは、それが
遊離型のものとして得られた場合には、それ自体公知の
方法あるいはそれに準じた方法で塩に変換することがで
き、またそれらは塩として得られた場合には、それ自体
公知の方法あるいはそれに準じた方法で遊離型のものあ
るいは他の塩に変換することができる。本発明のタンパ
ク質及びその一部のペプチドの塩としては、生理的に許
容されるものあるいは医薬として許容されるものが好ま
しいが、これらに限定されない。こうした塩としては、
例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無
機酸との塩、例えば酢酸、ギ酸、マレイン酸、フマール
酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、安息香
酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼ
ンスルホン酸などの有機酸との塩などが挙げられる。さ
らに該塩としては、アンモニウム塩、例えばエチルアミ
ン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ヒドロキシエ
チルアミンなどの有機塩基との塩なども挙げられる。
体、修飾体、誘導体などは、上記で説明したような分離
・精製処理を施すことができる。本発明では、「断
片」、「誘導体」及び「類縁体」なる用語は、配列番
号:2のポリペプチド、配列番号:1の配列から転写さ
れ且つスプライシングされていないか又は特異的にスプ
ライシングされた hnRNA又はmRNAによりコードされるポ
リペプチド、又はゲノミックDNA によりコードされるポ
リペプチドに関連して、その「断片」、「誘導体」又は
「類縁体」と称した場合、このようなポリペプチドと本
質的に同一の生物学的機能又は活性を有しているポリペ
プチドを意味する。従って、類似体にはプロタンパク質
部分が切断されて活性成熟ポリペプチドを産生するよう
な、活性化できるプロタンパク質等が包含される。本発
明のポリペプチドは組換えポリペプチド、天然ポリペプ
チド又は合成ポリペプチドでよい。特定の好ましい態様
では、これは組換えポリペプチドである。これまで先行
技術に開示されている可溶型RAGEは、膜貫通ドメインを
有するRAGE遺伝子から細胞外部位を遺伝子操作により人
工的に作成したものであるのに対して、本発明の可溶型
RAGEは、生体内に存在する天然型ペプチド(内在性ペプ
チドあるいは内因性ペプチド)で、C末端部分の16個の
アミノ酸残基においてRAGE蛋白質と異なっているもので
ある。先行技術に開示されている、遺伝子操作により人
工的に作成された可溶型RAGEは、それ自体天然に存在す
るフォームでないので、非生理的なものであること、ま
た分離・精製の過程で除去しきれなかった宿主昆虫細胞
由来の夾雑物に対する免疫反応がおこる恐れもあり、さ
らに体外からの投与が必要であるが、それは蛋白である
ため経口で行うことには無理があり、静脈等への注射等
が必要となり、患者に苦痛を強いることになるなど、患
者などへの負担の問題がある。これに対し、本発明の可
溶型RAGEの有利な点としては、内在性に産生される天然
のフォームなので、生理的なものであり、抗体ができる
恐れが少なく、さらに経口剤などを開発して、そうした
医薬により本発明の可溶型RAGEの発現を誘導できるよう
になれば、苦痛を与えることなしに、糖尿病患者を合併
症から守ることなどができる。本発明の可溶型RAGEの変
異体、修飾体、誘導体などは、本発明の可溶型RAGEに由
来することからその可溶型RAGEの有する有利な点と同様
な利点を期待できる。
リペプチドをコードするDNA 配列、そして天然の特性の
全部あるいは一部を有する可溶型RAGEのポリペプチド、
さらにその類縁体あるいは誘導体をコードするDNA 配列
も包含する。本発明のポリヌクレオチドは、アミノ末端
に付加アミノ酸又はカルボキシル末端に付加アミノ酸を
加えた成熟タンパク質、又は成熟タンパク質に内在する
ポリペプチド (例えば、成熟形態で一つ以上のポリペプ
チド鎖を有する場合) のアミノ酸をコードしているもの
であることができる。このような配列は、前駆体から成
熟形態のタンパク質へのプロセッシングにおいても何ら
かの働きをなすものであってよく、例えば、タンパク質
の移動や輸送を促進したり、タンパク質の半減期を延長
もしくは短縮したり、又はタンパク質を操作してその検
出もしくは産生を容易にすることができるものであって
よい。一般的には、例えば、付加アミノ酸は、細胞酵素
によりプロセッシングされ、成熟タンパク質から取り除
かれる。1又はそれ以上のプロ配列と融合した成熟形態
ポリペプチドを有する前駆タンパク質は、不活性形態ポ
リペプチドであることができる。プロ配列が除去される
と、このような不活性前駆体は、通常活性化される。プ
ロ配列のいくつか又は全ては、活性化の前に除去でき
る。通常、このような前駆体はプロタンパク質と称され
る。本発明のポリペプチドは、成熟タンパク質、リーダ
ー配列を付加してある成熟タンパク質 (プレタンパク質
と称することができる) 、プレタンパク質のリーダー配
列ではない1又はそれ以上のプロ配列を有する成熟タン
パク質の前駆体、又はリーダー配列及び1又はそれ以上
のプロ配列を有するプロタンパク質の前駆体であるプレ
プロタンパク質であってよい。また、該プロ配列は通常
活性形態ポリペプチド及び成熟形態ポリペプチドを産み
出すようなプロセッシングの段階で除去され得る。
なかった哺乳動物のタンパク質のアミノ酸配列に関する
情報を提供しているから、こうした情報を利用すること
も本発明に包含される。こうした利用としては、例えば
可溶型RAGE及び関連タンパク質をコードする哺乳動物、
特に好ましくはヒトの、ゲノムDNA 及びcDNAの単離及び
検知のためのプローブの設計などが挙げられる。本発明
のDNA 配列は、例えば可溶型RAGE及び関連タンパク質を
コードする哺乳動物、特に好ましくはマウス、ラットや
ヒトの、ゲノムDNA 及びcDNAの単離及び検知のためのプ
ローブとして有用である。プローブは、必要に応じて、
抗体に関連して挙げられている標識を付与しておくこと
ができる。遺伝子の単離にあたっては、PCR 法、さらに
は逆転写酵素 (RT) を用いたPCR 法 (RT-PCR) を利用す
ることが出来る。可溶型RAGE cDNA 及びその関連DNA
は、クローニングされ、配列決定された可溶型RAGE cDN
A 配列から推定されるアミノ酸配列に基づき特徴的な配
列領域を選び、DNA プライマーをデザインして化学合成
し、得られたDNA プライマーを用いて、PCR 法、RT-PC
R、その他の方法を用いて可溶型RAGE関連遺伝子の単
離、検出などに利用することが出来る。例えば、可溶型
RAGE mRNA のヒト組織中での発現を各種の組織由来poly
(A)+ RNA に対するノーザンブロット分析により検討す
ることができる。本発明のcDNAをプローブとして用いれ
ば、例えばノーザン・ブロティング、サザン・ブロティ
ング、in situ ハイブリダイゼーションなどによりヒト
組織中での可溶型RAGE mRNA の発現や可溶型RAGE遺伝子
自体などを検出・測定でき、ヒト組織における細胞内タ
ンパク質代謝、ホルモン前駆体の活性化、および組織マ
トリックスや骨の改変を含む、多くの正常な細胞のプロ
セスに関与する、AGE とRAGEとの間の相互作用における
役割、アルツハイマー病、糖尿病合併症、動脈硬化症、
高脂血症、アレルギー疾患、炎症性疾患、神経変性疾患
およびがんの浸潤・転移の様な多くの疾患等の研究の発
展に貢献できる。可溶型RAGEに関連した疾患の遺伝子診
断にも利用できる。そうした診断は、当該可溶型RAGE及
び関連タンパク質をコードする核酸の異常、例えば損
傷、突然変異、発現低下、発現過多などを診断するもの
であることができる。
伝子診断法(検出方法)が提供できる。該遺伝子診断法
では、(a) 核酸試料を得る工程、(b) 工程(a) にて得ら
れた核酸試料を、例えばPCR 法、RNA ポリメラーゼを利
用した核酸増幅法、鎖置換増幅法などで遺伝子増幅し、
例えば該可溶型RAGE遺伝子に存在しうる変異部位などを
含む領域が増幅された核酸断片を得る工程、及び(c) 工
程(b) の核酸断片について変異の存在を調べる工程を含
む態様が挙げられる。増幅の対象となる、変異部位を含
む領域としては、本発明の可溶型RAGEの遺伝子の塩基配
列のうち、疾患の原因となる変異を含んでいる領域であ
れば特に限定されず、例えば、配列表の配列番号:1に
示される塩基配列の中の任意の位置の塩基を含む領域が
挙げられる。上記工程(c) においては、当該分野で当業
者に知られている変異の存在に検出方法の中から適切な
方法を選んでそれを適用でき、特には限定されないが、
例えばASPCR (allele-specific PCR) 法により得られた
DNA 断片長を調べることにより検出することができる。
DNA 断片長を調べる方法は、特に限定されるものではな
いが、例えば螢光DNA シークエンサーなどを使用して行
うことができる。本工程で使用される変異検出法として
は、例えば制限酵素断片長多型 (restriction fragment
length polymorphism: RFLP) を検出して調べる方法な
どが挙げられる。また、変異の検出には、例えば変異部
位を含む適当なDNA 片をプローブに用いるハイブリダイ
ゼーション法や、SSCP法(単鎖高次構造多型)のような
公知の変異検出法を使用してよい。本発明の遺伝子診断
に従い、本発明の可溶型RAGEに関係した遺伝子診断が可
能であり、例えば糖尿病、がん、アルツハイマー病など
への罹患抵抗性・感受性決定の一素因と考えられる本発
明の可溶型RAGEの発現や多型を遺伝子診断し、さらに、
当該診断結果に基づき関連疾患罹病へのリスクを下げる
ような遺伝子治療を行うことが可能となる。
に関連したタンパク質、そのフラグメント、さらにはDN
A を含めた核酸(mRNA やオリゴヌクレオチドを含む)
は、それらを単独あるいは有機的に使用し、更には以下
で説明する技術(アンチセンス法、モノクローナル抗体
を含めた抗体、トランスジェニク動物など)とも適宜組
合わせて、ゲノミックス及びプロテオミックス技術に応
用できる。例えば、可溶性RAGE変異体は、ドミナントネ
ガティブ効果を利用した機能解析にも利用可能である。
また、二本鎖RNA (dsRNA) を使用してのRNAi (RNA inte
rference) 技術への応用の途もある。かくして、一塩基
多型(SNP; single nucleotide polymorphisms)を中心と
した遺伝子多型解析、核酸アレイ、タンパク質アレイを
使用した遺伝子発現解析、遺伝子機能解析、タンパク質
間相互作用解析、関連疾患解析、疾患治療薬解析をする
ことが可能となる。例えば、核酸アレイ技術では、cDNA
ライブラリーを使用したり、PCR 技術で得たDNA を基板
上にスポッティング装置で高密度に配置して、ハイブリ
ダイゼーションを利用して試料の解析が行われる。該ア
レイ化は、針あるいはピンを使用して、あるいはインク
ジェトプリンティング技術などでもって、スライドガラ
ス、シリコン板、プラスチックプレートなどの基板のそ
れぞれ固有の位置にDNA が付着せしめられることにより
それを実施することができる。該核酸アレイ上でのハイ
ブリダイゼーションの結果得られるシグナルを観察して
データを取得する。該シグナルは、螢光色素などの標識
(例えば、Cy3, Cy5, BODIPY, FITC, Alexa Fluor dyes
(商品名), Texas red(商品名)など) より得られるも
のであってよい。検知にはレーザースキャナーなどを利
用することもでき、得られたデータは適当なアルゴリズ
ムに従ったプログラムを備えたコンピューターシステム
で処理されてよい。また、タンパク質アレイ技術では、
タグを付された組換え発現タンパク質産物を利用してよ
く、二次元電気泳動(2-DE)、酵素消化フラグメントを含
めての質量分析 (MS)(これにはエレクトロスプレーイオ
ン化法(electrospray ionization: ESI), マトリックス
支援レーザー脱離イオン化法(matrix-assisted laser d
esorption/ionization: MALDI)などの技術が含まれ、MA
LDI-TOF 分析計、ESI-3 連四重極分析計、ESI-イオント
ラップ分析計などを使用してよい) 、染色技術、同位体
標識及び解析、画像処理技術などが利用されることがで
きる。したがって、本発明には上記で得られるあるいは
利用できる可溶性RAGE及びそれに対する抗体に関連した
ソフトウエア、データベースなども含まれてよい。
GEをコードするDNA )を対象動物に転移させるにあたっ
ては、それをDNA 断片としてあるいは該DNA を動物細胞
で発現させうるプロモーターの下流に結合して用いるの
が一般に有利である。たとえば、マウスに可溶型RAGE D
NAを導入する場合、これと相同性が高い動物由来の可溶
型RAGE DNAを動物細胞で発現させうる各種プロモーター
の下流に結合した遺伝子コンストラクトを、対象動物の
受精卵、たとえばマウス受精卵へマイクロインジェクシ
ョンすることによって可溶型RAGEを高産生する遺伝子導
入(トランスジェニック)マウスを作出できる。マウス
としては、特に純系のマウスに限定されないが、例え
ば、C57BL/6 、Balb/C、C3H 、(C57BL/6×DBA/2)F1(BDF
1)などが挙げられる。このプロモーターとしては、例え
ばウイルス由来プロモーター、メタロチオネイン等のユ
ビキタスな発現プロモーターなどが好ましく使用しう
る。また該可溶型RAGE DNAを導入する場合、組換えレト
ロウイルスに組み換えて、それを用いて行うこともでき
る。好適には対象DNA を導入されたマウス受精卵は、例
えば、ICR のような仮親のマウスを使用して生育せしめ
ることができる。受精卵細胞段階における本発明で得ら
れたDNA (例えば、可溶型RAGEをコードするDNA )の転
移は、対象動物の胚芽細胞および体細胞の全てに存在す
るように確保される。DNA 転移後の作出動物の胚芽細胞
において可溶型RAGEをコードするDNA が存在すること
は、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の
全てに該可溶型RAGEをコードするDNA を有することを意
味する。遺伝子を受け継いだこの種の動物の子孫はその
胚芽細胞および体細胞の全てにおいて、該可溶型RAGEを
発現できる可能性を有している。
遺伝子を安定に保持することを確認して、該DNA 保有動
物として通常の飼育環境で飼育継代を行うことができ
る。さらに、目的DNA を保有する雌雄の動物を交配する
ことにより、導入遺伝子を相同染色体の両方に持つホモ
ザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配するこ
とによりすべての子孫が該DNA を有するように繁殖継代
することができる。該可溶型RAGE DNAが導入された動物
は、該可溶型RAGEタンパク質が高発現させられているの
で、該可溶型RAGEタンパク質に対する阻害剤(インヒビ
ター)のスクリーニング用の動物などとして有用であ
る。また可溶型RAGE遺伝子の発現を阻害することのでき
るアンチセンス オリゴヌクレオチド、例えば、アンチ
センスDNA などのスクリーニング用の動物などとして有
用である。この遺伝子導入動物を、組織培養のための細
胞源として使用することもできる。例えば、遺伝子導入
マウスの組織中のDNA もしくはRNA を直接分析するかあ
るいは遺伝子により発現されたタンパク質・組織を分析
することにより、AGE とRAGEとの間の相互作用に関連し
たタンパク質について分析することができる。該可溶型
RAGEを産生する組織の細胞を標準組織培養技術により培
養し、これらを使用して、たとえば脳、胸腺、血管内皮
細胞などの血管細胞、血液細胞、精巣、脳、腸、腎臓や
その他の組織由来の細胞についてその機能を研究するこ
とができる。また、その細胞を用いることにより、たと
えば各種組織の機能を高めるような医薬開発に資するこ
とも可能である。また、高発現細胞株があれば、そこか
ら、可溶型RAGEを単離精製することも可能である。トラ
ンスジェニック マウスなどに関連した技術は、例え
ば、Brinster, R. L., et al.,; Proc. Natl. Acad. Sc
i.USA, 82: 4438, 1985; Costantini, F. & Jaenisch,
R. (eds): Genetic manipulation of the early mammal
ian embryo, Cold Spring Harbor Laboratory, 1985な
どの文献に記載の方法あるいはそこに引用された文献に
記載の方法、さらにはそれらの改変法により行うことが
できる。
RAGEに相当するマウス可溶型RAGEをコードするDNA)に変
異をもち、マウス可溶型RAGEを全く発現しない変異マウ
ス(ノックアウトマウス)を作出することができる。た
とえば、該遺伝子の翻訳開始コドンの前後4kb を含むお
よそ8kb のゲノムDNA の中央近傍に位置し翻訳開始コド
ンに近いエキソンにneo 耐性遺伝子-polyA付加シグナル
からなる遺伝子カセットを挿入した変異遺伝子を持つタ
ーゲティングベクターを構築することができる。挿入す
る遺伝子カセットはneo 耐性遺伝子カセット以外にDT-A
カセット、tkカセット、lacZカセットなどが挙げられ
る。ターゲティングベクターを直鎖状に開き、樹立した
マウス胚性幹細胞(embryonic stem cells: ES細胞)に
エレクトロポレーションで導入、さらに培養してneo 耐
性を獲得したES細胞を選別する。ES細胞は129 、C57BL/
6 、F1(C57BL/6×CBA)マウスなどのマウス系統から選択
して調製することができる。neo 耐性を獲得したES細胞
は、マウス可溶型RAGE遺伝子領域において遺伝子カセッ
トを挿入したターゲティングベクターと相同組換えを起
こしていると想定され、少なくともマウス可溶型RAGE遺
伝子アレルのうち一つは破壊され、マウス可溶型RAGEを
正常に発現できなくなる。選別には挿入した遺伝子カセ
ットによりそれぞれ適当な方法が選択され、また、変異
の導入はPCR 、サザンハイブリダイゼーションあるいは
ノーザンハイブリダイゼーションなどの方法を用いて確
認することができる。
/c、ICR マウスなどから取り出した8細胞期胚に注入、
1日培養し胚盤胞に発生したものをICR のような仮親に
移植することで個体まで生育させることができる。生ま
れる子マウスは変異をもつES細胞と正常な宿主胚に由来
するキメラマウスで、ES細胞に由来する細胞がどの程度
含まれるかは個体の毛色で判断する。従って、ES細胞と
宿主胚は毛色の異なった系統の組合わせが望ましい。得
られたキメラマウスの変異はヘテロであり、これらを適
宜交配することでホモ変異マウスを得ることができる。
このようにして得られたホモ変異マウスは生殖細胞およ
び体細胞の全てにおいて、マウス可溶型RAGE遺伝子のみ
が破壊され、マウス可溶型RAGEを全く発現せず、繁殖継
代される子孫もまた同様の表現系をもつ。このノックア
ウトマウスは正常マウスとの比較において、発生、成
長、生殖、老化および死など個体のライフサイクルにお
ける可溶型RAGEの役割や各臓器、組織における可溶型RA
GEの機能を解析するのに有用である。また、AGE とRAGE
との間の相互作用に関連した医薬品開発にも応用でき
る。ノックアウトマウスはこれらモデル動物としてだけ
ではなく、組織培養のための細胞源として使用すること
もでき、細胞レベルでの可溶型RAGEの機能解析などに供
することができる。ノックアウトマウス等に関連した技
術は、例えば、Mansour, S. L., et al.,; Nature, 33
6: 348-352, 1988; Joyner, A. L., ed.; Gene targeti
ng, IRL Press, 1993; 相沢慎一, ジーンターゲティン
グES細胞を用いた変異マウスの作成,羊土社,1995など
の文献に記載の方法あるいはそこに引用された文献に記
載の方法、さらにはそれらの改変法により行うことがで
きる。
を阻害することのできるアンチセンス・オリゴヌクレオ
チド(核酸)を、クローン化したあるいは決定された可
溶型RAGEをコードするDNA の塩基配列情報に基づき設計
し、合成しうる。そうしたオリゴヌクレオチド(核酸)
は、可溶型RAGE遺伝子のmRNAとハイブリダイズすること
ができ、該mRNAの機能を阻害することができるか、ある
いは可溶型RAGE関連mRNAとの相互作用などを介して可溶
型RAGE遺伝子の発現を調節・制御することができる。可
溶型RAGE関連遺伝子の選択された配列に相補的なオリゴ
ヌクレオチド、及び可溶型RAGE関連遺伝子と特異的にハ
イブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドは、
生体内及び生体外で可溶型RAGE遺伝子の発現を調節・制
御するのに有用であり、またそれに関連した病気などの
治療又は診断に有用である。用語「対応する」とは、遺
伝子を含めたヌクレオチド、塩基配列又は核酸の特定の
配列に相同性を有するあるいは相補的であることを意味
する。ヌクレオチド、塩基配列又は核酸とペプチド(タ
ンパク質)との間で「対応する」とは、ヌクレオチド
(核酸)の配列又はその相補体から誘導される指令にあ
るペプチド(タンパク質)のアミノ酸を通常指してい
る。当該遺伝子の5'端ヘアピンループ、5'端6-ベースペ
ア・リピート、5'端非翻訳領域、ポリペプチド翻訳開始
コドン、タンパク質コード領域、ORF 翻訳開始コドン、
3'端非翻訳領域、3'端パリンドローム領域、及び3'端ヘ
アピンループは、好ましい対象領域として選択しうる
が、当該遺伝子内の如何なる領域も対象として選択しう
る。
相補的なオリゴヌクレオチドとの関係は、対象物とハイ
ブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドとの関
係を意味し、それは、「アンチセンス」であるというこ
とができる。アンチセンス・オリゴヌクレオチドは、2-
デオキシ-D- リボースを含有しているポリデオキシヌク
レオチド、D-リボースを含有しているポリデオキシヌク
レオチド、プリン又はピリミジン塩基のN-グリコシドで
あるその他のタイプのポリヌクレオチド、あるいは非ヌ
クレオチド骨格を有するその他のポリマー(例えば、市
販のタンパク質核酸及び合成配列特異的な核酸ポリマ
ー)又は特殊な結合を含有するその他のポリマー(但
し、該ポリマーはDNA やRNA 中に見出されるような塩基
のペアリングや塩基の付着を許容する配置をもつヌクレ
オチドを含有する)などが挙げられる。それらは、2本
鎖DNA,1本鎖DNA,2本鎖RNA,1本鎖RNA,さらにDNA:RNA
ハイブリッドであることができ、さらに非修飾ポリヌク
レオチド又は非修飾オリゴヌクレオチド、さらには公知
の修飾の付加されたもの、例えば当該分野で知られた標
識のあるもの、キャップの付いたもの、メチル化された
もの、1個以上の天然のヌクレオチドを類縁物で置換し
たもの、分子内ヌクレオチド修飾のされたもの、例えば
非荷電結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリ
エステル、ホスホルアミデート、カルバメートなど)を
持つもの、電荷を有する結合又は硫黄含有結合(例え
ば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)
を持つもの、例えばタンパク質(ヌクレアーゼ、ヌクレ
アーゼ・インヒビター、トキシン、抗体、シグナルペプ
チド、ポリ-L- リジンなど)や糖(例えば、モノサッカ
ライドなど)などの側鎖基を有しているもの、インター
カレント化合物(例えば、アクリジン、プソラレンな
ど)を持つもの、キレート化合物(例えば、金属、放射
活性をもつ金属、ホウ素、酸化性の金属など)を含有す
るもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾された結合
を持つもの(例えば、αアノマー型の核酸など)であっ
てもよい。ここで「ヌクレオシド」、「ヌクレオチド」
及び「核酸」とは、公知のプリン及びピリミジン塩基を
含有するのみでなく、修飾されたその他の複素環型塩基
をもつようなものを含んでいて良い。こうした修飾物
は、メチル化されたプリン及びピリミジン、アシル化さ
れたプリン及びピリミジン、あるいはその他の複素環を
含むものであってよい。修飾されたヌクレオシド及び修
飾されたヌクレオチドはまた糖部分が修飾されていてよ
く、例えば1個以上の水酸基がハロゲンとか、脂肪族基
などで置換されていたり、あるいはエーテル、アミンな
どの官能基に変換されていてよい。
、あるいは修飾された核酸である。修飾された核酸の
具体例としては核酸の硫黄誘導体やチオホスフェート誘
導体、そしてポリヌクレオシドアミドやオリゴヌクレオ
シドアミドの分解に抵抗性のものが挙げられるが、それ
に限定されるものではない。本発明のアンチセンス核酸
は次のような方針で好ましく設計されうる。すなわち、
細胞内でのアンチセンス核酸をより安定なものにする、
アンチセンス核酸の細胞透過性をより高める、目標とす
るセンス鎖に対する親和性をより大きなものにする、そ
してもし毒性があるならアンチセンス核酸の毒性をより
小さなものにする。こうした修飾は当該分野で数多く知
られており、例えばJ. Kawakami et al.,Pharm Tech Ja
pan, 8: 247, 1992; 8: 395, 1992; S. T. Crooke et a
l. ed.,Antisense Research and Applications, CRC Pr
ess, 1993などに開示がある。本発明のアンチセンス核
酸は、変化せしめられたり、修飾された糖、塩基、結合
を含有していて良く、リポゾーム、ミクロスフェアのよ
うな特殊な形態で供与されたり、遺伝子治療により適用
されたり、付加された形態で与えられることができう
る。こうした付加形態で用いられるものとしては、リン
酸基骨格の電荷を中和するように働くポリリジンのよう
なポリカチオン体、細胞膜との相互作用を高めたり、核
酸の取込みを増大せしめるような脂質(例えば、ホスホ
リピッド、コレステロールなど)といった疎水性のもの
が挙げられる。付加するに好ましい脂質としては、コレ
ステロールやその誘導体(例えば、コレステリルクロロ
ホルメート、コール酸など)が挙げられる。こうしたも
のは、核酸の3’端あるいは5’端に付着させることが
でき、塩基、糖、分子内ヌクレオシド結合を介して付着
させることができうる。その他の基としては、核酸の
3’端あるいは5’端に特異的に配置されたキャップ用
の基で、エキソヌクレアーゼ、RNase などのヌクレアー
ゼによる分解を阻止するためのものが挙げられる。こう
したキャップ用の基としては、ポリエチレングリコー
ル、テトラエチレングリコールなどのグリコールをはじ
めとした当該分野で知られた水酸基の保護基が挙げられ
るが、それに限定されるものではない。
形質転換体、本発明の生体内や生体外の遺伝子発現系、
あるいは可溶型RAGEの生体内や生体外の翻訳系を用いて
調べることができる。該核酸それ自体公知の各種の方法
で細胞に適用できる。以上述べた、本発明者らの研究成
果により可溶型RAGEの遺伝子及び組換えDNA分子を宿主
に移入し、可溶型RAGEを発現させ、目的とする可溶型RA
GEを得る方法が提供される。こうして本発明によれば、
可溶型RAGEの遺伝子を実質的に発現する組換え体あるい
はトランスフェクタント及びその製造法、さらにはその
用途も提供される。別の面では、本発明はRAGEファミリ
ーに属する天然型(ネイティブ)可溶型RAGE(特には、
内在性(endogenous)可溶型RAGE) に関し、AGE とRAGEと
の相互作用に対して活性を有する(例えば、AGE の膜結
合型RAGEへの結合抑制あるいは阻害活性を有するなど)
し且つC 末端側には配列表の配列番号:2のアミノ酸配
列Glu332〜Met347のうちの少なくとも 1〜16個の連続し
たアミノ酸残基を有するポリペプチドの一種であり且つ
天然のヒト可溶型RAGEと実質的に同等な活性を有する
ことを特徴とするタンパク質またはその塩、より好まし
くは可溶型RAGEまたはその塩と、実質的に同等な活性を
有するか、あるいは実質的に同等の一次構造コンフォメ
ーションを持つ該タンパク質の少なくとも一部あるいは
全部を有するポリペプチドを、大腸菌などの原核生物あ
るいは哺乳動物細胞などの真核生物で発現させることを
可能にするDNA やRNA などの核酸に関するとすることが
できる。またこうした核酸、特にはDNA は、(a) 配列表
の配列番号:2で表されるアミノ酸配列をコードできる
配列あるいはそれと相補的な配列、(b) 該(a) のDNA 配
列またはその断片とハイブリダイズすることのできる配
列、及び(c) 該(a) 又は(b) の配列にハイブリダイズす
ることのできる縮重コードを持った配列であることがで
きる。ここでハイブリダイズの条件としては、ストリン
ジェントな条件であることができる。こうした核酸で形
質転換され、本発明の該ポリペプチドを発現できる大腸
菌などの原核生物あるいは哺乳動物細胞などの真核生物
も本発明の特徴をなす。
型RAGE遺伝子、それから誘導されたプローブを用い、あ
るいはさらに必要に応じ、可溶型RAGEに対する阻害物質
を用い、被検試料中の可溶型RAGEあるいはその遺伝子、
さらには産生細胞を検知・分別定量する優れた方法及び
その為の試薬キットを提供することにある。本発明はこ
うした可溶型RAGEあるいはその遺伝子、さらには産生細
胞を検知・分別定量することのできる試薬キットのうち
の各試薬をすべてその実施態様のうちに含むと理解され
る。さらに本発明の目的は、上記方法を用いて可溶型RA
GEあるいはその遺伝子、さらには産生細胞を検知・分別
定量することにより、細胞内タンパク質代謝、ホルモン
前駆体の活性化、および組織マトリックスあるいは骨の
改変など、多くの正常な細胞のプロセスに関与するAGE
とRAGEとの相互作用の役割、糖尿病合併症、動脈硬化
症、血栓症、高脂血症、アルツハイマー病、アレルギー
疾患、炎症性疾患、骨粗鬆症、神経変性疾患およびがん
の浸潤・転移の様な多くの疾患などをモニターし得る方
法並びに試薬あるいは診断剤を提供することにある。し
たがって、医学的・生理学的分野における上記試薬の各
種利用、AGE とRAGEとの相互作用に起因する応答・症状
・疾患の研究・解析・測定、診断、予防、治療などの目
的で上記試薬を使用することは、すべて本発明のその実
施態様のうちに含まれると理解される。
E とRAGEとの相互作用に対して活性を有し、例えばAGE
と膜貫通型RAGEとの結合を抑制あるいは阻害する活性を
有し、例えば生体防御・老化・成人病性血管障害・がん
などにおいて重要な働きを有する因子であると考えられ
る。そして、該タンパク質は可溶型RAGE無形成症、可溶
型RAGE発現不全症、可溶型RAGE遺伝子欠損症など病状を
呈する可溶型RAGE関連機能不全疾患の治療に有用である
と考えられる。すなわち、可溶型RAGE、変異体、修飾
体、誘導体を含有する医薬を用いれば、可溶型RAGEによ
る活性が不充分であることに起因する疾患患者を健常な
状態にすることが可能である。本発明のポリペプチド
は、AGE 活性阻害剤の一つであり、該タンパク質の発現
量やAGE 活性阻害活性が減少している場合に生ずる種々
の疾患の治療及び/又は予防剤などの医薬として有用で
ある。また本発明のポリペプチドは、AGE 活性が亢進し
ている場合に生ずる種々の疾患の治療及び/又は予防剤
などの医薬として有用である。例えば、生体内において
可溶型RAGEが減少あるいは欠損しているために、細胞に
おける当該生物学的活性が十分に得られていないか、あ
るいは正常でない症状の患者の場合には、(A) 本発明の
タンパク質等を該患者に投与することによるか、(B) 本
発明のDNA などの核酸を該患者に投与して、生体内で本
発明のタンパク質等を発現させることによるか、(C) 本
発明のDNA などの核酸を発現可能に導入した細胞を該患
者に移植することによって、生体内に本発明のタンパク
質等を補充する等して、該患者における当該症状を改善
したりする。
機能(例えば、AGE と膜貫通型RAGEとの結合を抑制ある
いは阻害する活性など)を促進する化合物(アゴニス
ト、あるいは促進剤)又はその塩は、可溶型RAGE機能不
全症状、糖尿病合併症、動脈硬化症、血栓症、高脂血
症、アルツハイマー病、神経変性疾患、リウマチ性関節
炎およびがんの浸潤・転移などの各種の疾病の治療及び
/又は予防剤として有用な医薬として使用できる。一
方、本発明の可溶型RAGEの生物学的活性などの機能(例
えば、AGE と膜貫通型RAGEとの結合を抑制あるいは阻害
する活性など)を阻害する化合物(アンタゴニスト、あ
るいは阻害剤)又はその塩は、過可溶型RAGE機能症、AG
E とRAGEとの相互作用に起因した疾患や病気、がんなど
の各種の疾病の治療及び/又は予防剤などの医薬として
使用できる。例えば可溶型RAGEは、AGEの生理作用ある
いは生物活性を抑制あるいは阻害する作用を有し、AGE
過多にに起因する疾患の治療用医薬として有用である。
ペプチド等は、本発明の可溶型RAGEなどのポリペプチド
等の、生物学的活性などの機能(例えば、AGE と膜貫通
型RAGEとの結合を抑制あるいは阻害する活性など)を促
進する化合物(アゴニスト)や阻害する化合物(アンタ
ゴニスト)又はそれらの塩をスクリーニングするための
試薬として有用である。かくして、本発明の可溶型RAGE
などのポリペプチド、その一部のペプチド又はそれらの
塩を用いた、本発明の可溶型RAGEといったタンパク質、
その一部のペプチド又はそれらの塩などの生物学的活性
などの機能(例えば、AGE の生理作用あるいは生物活性
を抑制あるいは阻害する活性など)を促進する化合物
(アゴニスト)や阻害する化合物(アンタゴニスト)又
はそれらの塩のスクリーニング方法も提供される。該ス
クリーニングでは、例えば(i) 本発明のタンパク質、そ
の一部のペプチド又はそれらの塩(該タンパク質を発現
する形質転換体を含んでいてもよい、以下同様)などに
AGE などの基質を接触させた場合と、(ii)本発明のタン
パク質、その一部のペプチド又はそれらの塩などに基質
及び試験試料を接触させた場合との比較を行う。具体的
には、上記スクリーニングでは、当該生物学的活性(例
えば、AGE とRAGEとの相互作用に関連した活性など)を
測定して、比較する。また、該スクリーニングは、膜結
合型RAGE存在下にそれを行ってよい。基質としては、AG
E 等の基質となることのできるものであれば何れのもの
であってよい。例えば、AGE とRAGEとの相互作用を測定
する目的で使用されるもの中から選んで用いることがで
きるが、好ましくは合成されたAGE などを使用できる。
基質は、そのまま使用できるが、好ましくはフルオレッ
セインなどの蛍光、酵素や放射性物質で標識したものを
使用できる。
プチド、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産
物、植物抽出物、動物などの組織抽出物、細胞抽出物な
どが挙げられる。試験試料に使用される試験化合物の例
には、好ましくは抗AGE 抗体、抗RAGE抗体、AGE とRAGE
との結合阻害剤、タンパク質の糖化反応に対するインヒ
ビター活性を有する化合物、特には合成化合物などを含
んでいてよい。これら化合物は、新規な化合物であって
もよいし、公知の化合物であってもよい。該スクリーニ
ングは、通常の結合活性の測定法に準じて実施すること
ができ、例えば当該分野で公知の方法などを参考にして
行うことができる。また、各種標識、緩衝液系その他適
当な試薬等を使用したり、そこで説明した操作等に準じ
て行うことができる。使用ペプチドなどは、活性化剤で
処理したり、その前駆体あるいは潜在型のものを活性型
のものに予め変換しておくこともできる。測定は通常ト
リス塩酸緩衝液、リン酸塩緩衝液などの反応に悪影響を
与えないような緩衝液等の中で、例えば、pH約4〜約10
(好ましくは、pH約6〜約8)において行うことができ
る。これら個々のスクリーニングにあたっては、それぞ
れの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の
技術的配慮を加えて、本発明の可溶型RAGEあるいはそれ
と実質的に同等な活性を有するポリペプチドあるいはペ
プチドに関連した測定系を構築すればよい。これらの一
般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参
照することができる〔例えば、Methods in Enzymology,
Academic Press 社 (USA)発行) など参照〕。
ニングキットを用いて得られる化合物又はその塩は、上
記した試験化合物、例えば、ペプチド、タンパク質、非
ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出
液、植物抽出液、動物組織抽出液などから選ばれた化合
物であり、本発明のタンパク質等の機能を促進あるいは
阻害する化合物である。該化合物の塩としては、例え
ば、薬学的に許容される塩などが挙げられる。例えば、
無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機
酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げ
られる。無機塩基との塩の好適な例としては、例えば、
ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カル
シウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、
並びにアルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられ
る。有機塩基との塩の好適な例としては、例えば、トリ
メチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリ
ン、2,6-ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、
ジシクロヘキシルアミン、N,N'- ジベンジルエチレンジ
アミンなどとの塩が挙げられる。無機酸との塩の好適な
例としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸
などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例とし
ては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、
シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、
リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安
息香酸などとの塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩
の好適な例としては、例えば、アルギニン、リジン、オ
ルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の
好適な例としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミ
ン酸などとの塩が挙げられる。
意味で使用されるものであってよく、所望の可溶型RAGE
ポリペプチド及び関連ペプチド断片に対するモノクロー
ナル抗体の単一のものや各種エピトープに対する特異性
を持つ抗体組成物であってよく、また1価抗体または多
価抗体並びにポリクローナル抗体及びモノクローナル抗
体を含むものであり、さらに天然型(intact)分子並びに
それらのフラグメント及び誘導体も表すものであり、F
(ab')2, Fab' 及びFab といったフラグメントを包含
し、さらに少なくとも二つの抗原又はエピトープ (epit
ope)結合部位を有するキメラ抗体若しくは雑種抗体、又
は、例えば、クワドローム(quadrome), トリオーム(tri
ome)などの二重特異性組換え抗体、種間雑種抗体、抗イ
ディオタイプ抗体、さらには化学的に修飾あるいは加工
などされてこれらの誘導体と考えられるもの、公知の細
胞融合又はハイブリドーマ技術や抗体工学を適用した
り、合成あるいは半合成技術を使用して得られた抗体、
抗体生成の観点から公知である従来技術を適用したり、
DNA 組換え技術を用いて調製される抗体、本明細書で記
載し且つ定義する標的抗原物質あるいは標的エピトープ
に関して中和特性を有したりする抗体又は結合特性を有
する抗体を包含していてよい。特に好ましい本発明の抗
体は、天然型の可溶型RAGEポリペプチドを特異的に識別
できるものであり、例えば、全長型RAGEポリペプチドや
全長型RAGEポリペプチドからそのN 末端側あるいはその
C 末端側を開裂せしめて生成せしめた公知の可溶化型RA
GEポリペプチドとは区別してそれを認識できるものであ
る。
ル抗体は、培養中の一連のセルラインにより抗体分子の
産生を提供することのできる任意の方法を用いて産生さ
れる。修飾語「モノクローナル」とは、実質上均質な抗
体の集団から得られているというその抗体の性格を示す
ものであって、何らかの特定の方法によりその抗体が産
生される必要があるとみなしてはならない。個々のモノ
クローナル抗体は、自然に生ずるかもしれない変異体が
僅かな量だけ存在しているかもしれないという以外は、
同一であるような抗体の集団を含んでいるものである。
モノクローナル抗体は、高い特異性を持ち、それは単一
の抗原性をもつサイトに対して向けられているものであ
る。異なった抗原決定基(エピトープ) に対して向けら
れた種々の抗体を典型的には含んでいる通常の(ポリク
ローナル)抗体調製物と対比すると、それぞれのモノク
ローナル抗体は当該抗原上の単一の抗原決定基に対して
向けられているものである。その特異性に加えて、モノ
クローナル抗体は、ハイブリドーマ培養により合成さ
れ、他のイムノグロブリン類の夾雑がないあるいは少な
い点でも優れている。モノクローナル抗体は、ハイブリ
ッド抗体及びリコンビナント抗体を含むものである。そ
れらは、所望の生物活性を示す限り、その由来やイムノ
グロブリンクラスやサブクラスの種別に関わりなく、可
変領域ドメインを定常領域ドメインで置き換えたり(例
えば、ヒト化抗体) 、あるいは軽鎖を重鎖で置き換えた
り、ある種の鎖を別の種の鎖でもって置き換えたり、あ
るいはヘテロジーニアスなタンパク質と融合せしめたり
して得ることができる(例えば、米国特許第4816567
号; Monoclonal Antibody Production Techniques and
Applications, pp.79-97, Marcel Dekker, Inc., New Y
ork, 1987 など) 。モノクローナル抗体を製造する好適
な方法の例には、ハイブリドーマ法 (G. Kohler and C.
Milstein, Nature, 256, pp.495-497 (1975)); ヒトB
細胞ハイブリドーマ法 (Kozbor et al., Immunology To
day, 4, pp.72-79 (1983); Kozbor,J. Immunol., 133,
pp.3001 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibod
y Production Techniques and Applications, pp.51-6
3, Marcel Dekker, Inc., New York (1987);トリオーマ
法; EBV-ハイブリドーマ法 (Cole et al., Monoclonal
Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc.,
pp.77-96 (1985))(ヒトモノクローナル抗体を産生する
ための方法);米国特許第4946778 号 (単鎖抗体の産生の
ための技術) が挙げられる他、抗体に関して以下の文献
が挙げられる:
8 (1990); R.E. Bird et al., Science, 242, pp.423-4
26 (1988); M.A. Boss et al., Nucl. Acids Res., 12,
pp.3791-3806 (1984); J. Bukovsky et al., Hybridom
a, 6, pp.219-228 (1987); M.DAINO et al., Anal. Bio
chem., 166, pp.223-229 (1987); J.S. Huston et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, pp.5879-5883 (198
8); P.T. Jones et al., Nature, 321, pp.522-525 (19
86); J.J. Langone et al. (ed.), "Methods inEnzymol
ogy", Vol. 121 (Immunochemical Techniques, Part I:
Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies),
Academic Press, New York (1986); S.Morrison et a
l., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, pp.6851-6855
(1984); V.T. Oi et al., BioTechniques, 4, pp.214-2
21 (1986); L. Riechmann et al.,Nature, 332, pp.323
-327 (1988); A. Tramontano et al., Proc. Natl. Aca
d.Sci. USA, 83, pp.6736-6740 (1986); C. Wood et a
l., Nature, 314, pp.446-449 (1985); Nature, 314, p
p.452-454 (1985) あるいはそこで引用された文献(そ
れらの中にある記載はそれを参照することにより本明細
書の開示に含められる) 。
らが所望の生物活性を示す限り、重鎖及び/又は軽鎖の
一部が特定の種から誘導される又は特定の抗体クラス若
しくはサブクラスに属する抗体の対応配列と同一又はホ
モローガスであるが、一方、鎖の残部は、別の種から誘
導される又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属す
る抗体の対応配列と同一又はホモローガスである、「キ
メラ」抗体(免疫グロブリン) を特に包含する(米国特
許第4816567 号明細書; Morrison et al., Proc. Natl.
Acad. Sci. USA, 81, pp.6851-6855 (1984)) 。以下、
モノクローナル抗体を例に挙げて、抗体の作製につき詳
しく説明する。本発明のモノクローナル抗体は、ミエロ
ーマ細胞を用いての細胞融合技術を利用して得られたモ
ノクローナル抗体であってよく、例えば次のような工程
で作製できる。 1.免疫原性抗原の調製 2.免疫原性抗原による動物の免疫 3.ミエローマ細胞(骨髄腫細胞)の調製 4.抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合 5.ハイブリドーマ(融合細胞)の選択及びモノクロー
ン化 6.モノクローナル抗体の製造
ポリペプチド又はそれから誘導された断片を単離したも
のを用いることもできるが、決定された可溶型RAGEのア
ミノ酸配列情報を基に、適当なオリゴペプチドを化学合
成しそれを抗原として利用することができる。代表的に
は配列表の配列番号:2の (1) 少なくとも第332 位〜第347 位のアミノ酸配列; (2) 第1 位〜第117 位のアミノ酸配列; (3) 第19位〜第347 位のアミノ酸配列; 及び (4) 第1位〜第347 位のアミノ酸配列から成る群から選
ばれた領域に存在するアミノ酸残基のうちの連続した少
なくとも5個のアミノ酸を有するペプチドが挙げられ
る。抗原は、そのまま適当なアジュバントと混合して動
物を免疫するのに使用できるが、免疫原性コンジュゲー
トなどにしてもよい。例えば、免疫原として用いる抗原
は、可溶型RAGEを断片化したもの、あるいはそのアミノ
酸配列に基づき特徴的な配列領域を選び、ポリペプチド
をデザインして化学合成して得られた合成ポリペプチド
断片であってもよい。また、その断片を適当な縮合剤を
介して種々の担体タンパク質類と結合させてハプテン−
タンパク質の如き免疫原性コンジュゲートとし、これを
用いて特定の配列のみと反応できる(あるいは特定の配
列のみを認識できる)モノクローナル抗体をデザインす
るのに用いることもできる。デザインされるポリペプチ
ドには予めシステイン残基などを付加し、免疫原性コン
ジュゲートの調製を容易にできるようにしておくことが
できる。担体タンパク質類と結合させるにあたっては、
担体タンパク質類はまず活性化されることができる。こ
うした活性化にあたり活性化結合基を導入することが挙
げられる。活性化結合基としては、(1) 活性化エステル
あるいは活性化カルボキシル基、例えばニトロフェニル
エステル基、ペンタフルオロフェニルエステル基、1-ベ
ンゾトリアゾールエステル基、N-スクシンイミドエステ
ル基など、(2) 活性化ジチオ基、例えば2-ピリジルジチ
オ基などが挙げられる。担体タンパク質類としては、キ
ーホール・リンペット・ヘモシアニン (KLH)、牛血清ア
ルブミン (BSA)、卵白アルブミン、グロブリン、ポリリ
ジンなどのポリペプタイド、細菌菌体成分、例えばBCG
などが挙げられる。
例えば村松繁、他編、実験生物学講座 14 、免疫生物
学、丸善株式会社、昭和60年、日本生化学会編、続生化
学実験講座5、免疫生化学研究法、東京化学同人、1986
年、日本生化学会編、新生化学実験講座 12 、分子免疫
学 III、抗原・抗体・補体、東京化学同人、1992年など
に記載の方法に準じて行うことができる。免疫化剤を
(必要に応じアジバントと共に)一回又はそれ以上の回
数哺乳動物に注射することにより免疫化される。代表的
には、該免疫化剤及び/又はアジバントを哺乳動物に複
数回皮下注射あるいは腹腔内注射することによりなされ
る。免疫化剤は、上記抗原ペプチドあるいはその関連ペ
プチド断片を含むものが挙げられる。免疫化剤は、免疫
処理される哺乳動物において免疫原性であることの知ら
れているタンパク質(例えば上記担体タンパク質類な
ど)とコンジュゲートを形成せしめて使用してもよい。
アジュバントとしては、例えばフロイント完全アジュバ
ント、リビ(Ribi)アジュバント、百日咳ワクチン、BCG
、リピッドA、リポソーム、水酸化アルミニウム、シ
リカなどが挙げられる。免疫は、例えばBALB/cなどのマ
ウス、ハムスター、その他の適当な動物を使用して行わ
れる。抗原の投与量は、例えばマウスに対して約1〜40
0 μg/動物で、一般には宿主動物の腹腔内や皮下に注
射し、以後1〜4週間おきに、好ましくは1〜2週間ご
とに腹腔内、皮下、静脈内あるいは筋肉内に追加免疫を
2〜10回程度反復して行う。免疫用のマウスとしてはBA
LB/c系マウスの他、BALB/c系マウスと他系マウスとのF1
マウスなどを用いることもできる。必要に応じ、抗体価
測定系を調製し、抗体価を測定して動物免疫の程度を確
認できる。本発明の抗体は、こうして得られ免疫された
動物から得られたものであってよく、例えば、抗血清、
ポリクローナル抗体等を包含する。
しては免疫グロブリンを産生しない細胞株から選ぶこと
ができ、例えば P3-NS-1-Ag4-1 (NS-1, Eur.J. Immuno
l., 6: 511-519, 1976)、SP-2/0-Ag14 (SP-2, Nature,
276: 269 〜270,1978 )、マウスミエローマ MOPC-21セ
ルライン由来のP3-X63-Ag8-U1 (P3U1, Curr. topics Mi
crobiol. Immunol., 81: 1-7, 1978 )、P3-X63-Ag8 (X6
3, Nature, 256: 495-497, 1975 ) 、P3-X63-Ag8-653
(653, J. Immunol., 123: 1548-1550, 1979) などを用
いることができる。8-アザグアニン耐性のマウスミエロ
ーマ細胞株はダルベッコMEM 培地 (DMEM培地) 、RPMI-1
640 培地などの細胞培地に、例えばペニシリン、アミカ
シンなどの抗生物質、牛胎児血清(FCS) などを加え、さ
らに8−アザグアニン(例えば5〜45μg/ml) を加えた
培地で継代されるが、細胞融合の2〜5日前に正常培地
で継代して所要数の細胞株を用意することができる。ま
た使用細胞株は、凍結保存株を約37℃で完全に解凍した
のち RPMI-1640培地などの正常培地で3回以上洗浄後、
正常培地で培養して所要数の細胞株を用意したものであ
ってもよい。
胞融合 上記2.の工程に従い免疫された動物、例えばマウスは
最終免疫後、2〜5日後にその脾臓が摘出され、それか
ら脾細胞懸濁液を得る。脾細胞の他、生体各所のリンパ
節細胞を得て、それを細胞融合に使用することもでき
る。こうして得られた脾細胞懸濁液と上記3.の工程に
従い得られたミエローマ細胞株を、例えば最小必須培地
(MEM培地) 、DMEM培地、RPMI-1640 培地などの細胞培地
中に置き、細胞融合剤、例えばポリエチレングリコール
を添加する。細胞融合剤としては、この他各種当該分野
で知られたものを用いることができ、この様なものとし
ては不活性化したセンダイウイルス(HVJ: Hemagglutina
ting Virus of Japan)なども挙げられる。好ましくは、
例えば30〜60%のポリエチレングリコールを 0.5〜2ml
加えることができ、分子量が 1,000〜8,000 のポリエチ
レングリコールを用いることができ、さらに分子量が
1,000〜4,000 のポリエチレングリコールがより好まし
く使用できる。融合培地中でのポリエチレングリコール
の濃度は、例えば30〜60%となるようにすることが好ま
しい。必要に応じ、例えばジメチルスルホキシドなどを
少量加え、融合を促進することもできる。融合に使用す
る脾細胞(リンパ球): ミエローマ細胞株の割合は、例
えば 1:1〜20:1とすることが挙げられるが、より好まし
くは 4:1〜7:1 とすることができる。融合反応を1〜10
分間行い、次にRPMI-1640 培地などの細胞培地を加え
る。融合反応処理は複数回行うこともできる。融合反応
処理後、遠心などにより細胞を分離した後選択用培地に
移す。
びモノクローン化 選択用培地としては、例えばヒポキサンチン、アミノプ
テリン及びチミジンを含む、FCS 含有MEM 培地、RPMI-1
640 培地などの培地、所謂 HAT培地が挙げられる。選択
培地交換の方法は、一般的には培養プレートに分注した
容量と等容量を翌日加え、その後1〜3日ごとに HAT培
地で半量ずつ交換するというように処理することができ
るが、適宜これに変更を加えて行うこともできる。また
融合後8〜16日目には、アミノプテリンを除いた、所謂
HT培地で1〜4日ごとに培地交換をすることができる。
フィーダーとして、例えばマウス胸腺細胞を使用するこ
ともでき、それが好ましい場合がある。ハイブリドーマ
の増殖のさかんな培養ウェルの培養上清を、例えば放射
免疫分析(RIA) 、酵素免疫分析(ELISA) 、蛍光免疫分析
(FIA) などの測定系、あるいは蛍光惹起細胞分離装置(F
ACS)などで、所定の断片ペプチドを抗原として用いた
り、あるいは標識抗マウス抗体を用いて目的抗体を測定
するなどして、スクリーニングしたりする。目的抗体を
産生しているハイブリドーマをクローニングする。クロ
ーニングは、寒天培地中でコロニーをピック・アップす
るか、あるいは限界希釈法によりなされうる。限界希釈
法でより好ましく行うことができる。クローニングは複
数回行うことが好ましい。
-1640 培地などの適当な増殖用培地中で培養し、その培
地上清から所望のモノクローナル抗体を得ることが出来
る。大量の抗体を得るためには、ハイブリドーマを腹水
化することが挙げられる。この場合ミエローマ細胞由来
の動物と同系の組織適合性動物の腹腔内に各ハイブリド
ーマを移植し、増殖させるか、あるいは例えばヌード・
マウスなどに各ハイブリドーマを移植し、増殖させ、該
動物の腹水中に産生されたモノクローナル抗体を回収し
て得ることが出来る。動物はハイブリドーマの移植に先
立ち、プリスタン(2,6,10,14-テトラメチルペンタデカ
ン)などの鉱物油を腹腔内投与しておくことができ、そ
の処理後、ハイブリドーマを増殖させ、腹水を採取する
こともできる。腹水液はそのまま、あるいは従来公知の
方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿法などの塩析、セフ
ァデックスなどによるゲルろ過法、イオン交換クロマト
グラフィー法、電気泳動法、透析、限外ろ過法、アフィ
ニティ・クロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラ
フィー法などにより精製してモノクローナル抗体として
用いることができる。好ましくは、モノクローナル抗体
を含有する腹水は、硫安分画した後、DEAE−セファロー
スの如き、陰イオン交換ゲル及びプロテインAカラムの
如きアフィニティ・カラムなどで処理し精製分離処理で
きる。特に好ましくは抗原又は抗原断片(例えば合成ペ
プチド、組換え抗原タンパク質あるいはペプチド、抗体
が特異的に認識する部位など)を固定化したアフィニテ
ィ・クロマトグラフィー、プロテインAを固定化したア
フィニティ・クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイ
ト・クロマトグラフィーなどが挙げられる。
他の生物、例えば、その他の哺乳動物は、本発明の免疫
原ポリペプチド産物に対するヒト化抗体等の抗体を発現
するのに用いることができる。またこうして大量に得ら
れた抗体の配列を決定したり、ハイブリドーマ株から得
られた抗体をコードする核酸配列を利用して、遺伝子組
換え技術により抗体を作製することも可能である。当該
モノクローナル抗体をコードする核酸は、例えばマウス
抗体の重鎖や軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結
合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用するなどの
慣用の手法で単離し配列決定することができる。一旦単
離されたDNA は、上記したようにして発現ベクターに入
れ、CHO,COSなどの宿主細胞に入れることができる。該D
NA は、例えばホモジーニアスなマウスの配列に代え
て、ヒトの重鎖や軽鎖の定常領域ドメインをコードする
配列に置換するなどして修飾することが可能である (Mo
rrison et al., Proc. Natl.Acad. Sci. USA, 81: 658
1, 1984)。かくして所望の結合特異性を有するキメラ抗
体やハイブリッド抗体も調製することが可能である。ま
た、抗体は、下記するような縮合剤を用いることを含め
た化学的なタンパク合成技術を適用して、キメラ抗体や
ハイブリッド抗体を調製するなどの修飾をすることも可
能である。ヒト化抗体は、当該分野で知られた技術によ
り行うことが可能である(例えば、Jones et al., Natu
re, 321: pp.522-525 (1986); Riechmann et al., Natu
re, 332: pp.323-327 (1988); Verhoeyen et al., Scie
nce, 239: pp.1534-1536 (1988))。ヒトモノクローナル
抗体も、当該分野で知られた技術により行うことが可能
で、ヒトモノクローナル抗体を生産するためのヒトミエ
ローマ細胞やヒト・マウスヘテロミエローマ細胞は当該
分野で知られている (Kozbor, J. Immunol.,133, pp.30
01 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Pro
duction Techniques and Applications, pp.51-63, Mar
cel Dekker, Inc., New York (1987)) 。バイスペシフ
ィックな抗体を製造する方法も当該分野で知られている
(Millstein et al., Nature, 305: pp.537-539 (198
3); WO93/08829; Traunecker etal., EMBO J., 10: pp.
3655-3659 (1991); Suresh et al., "Methods in Enzym
ology", Vol. 121, pp.210 (1986)) 。
ン、ペプシンなどの酵素により処理して、場合により還
元して得られるFab 、Fab'、F(ab')2 といった抗体フラ
グメントにして使用してもよい。抗体は、既知の任意の
検定法、例えば競合的結合検定、直接及び間接サンドイ
ッチ検定、及び免疫沈降検定に使用することができる
(Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniq
ues, pp.147-158 (CRC Press, Inc., 1987) 。抗体を検
出可能な原子団にそれぞれコンジュゲートするには、当
分野で知られる任意の方法を使用することができ、例え
ば、David et al., Biochemistry, 13巻, 1014-1021 頁
(1974); Pain et al, J. Immunol. Meth., 40: pp.219
-231 (1981);及び "Methods in Enzymology", Vol. 18
4, pp.138-163 (1990) により記載の方法が挙げられ
る。標識物を付与する抗体としては、IgG 画分、更には
ペプシン消化後還元して得られる特異的結合部Fab'を用
いることができる。これらの場合の標識物の例として
は、下記するように酵素(ペルオキシダーゼ、アルカリ
ホスファターゼあるいはβ-D- ガラクトシダーゼな
ど)、化学物質、蛍光物質あるいは放射性同位元素など
がある。
えば組織あるいは細胞染色、イムノアッセイ、例えば競
合型イムノアッセイまたは非競合型イムノアッセイで行
うことができ、ラジオイムノアッセイ、ELISA などを用
いることができ、B−F分離を行ってもよいし、あるい
は行わないでその測定を行うことができる。好ましくは
放射免疫測定法や酵素免疫測定法であり、さらにサンド
イッチ型アッセイが挙げられる。例えばサンドイッチ型
アッセイでは、一方を本発明の可溶型RAGE及びその関連
ペプチド断片に対する抗体とし、他方を可溶型RAGEのC
末端側残基に対する抗体とし、そして一方を検出可能に
標識化する。同じ抗原を認識できる他の抗体を固相に固
定化する。検体と標識化抗体及び固相化抗体を必要に応
じ順次反応させるためインキュベーション処理し、ここ
で非結合抗体を分離後、標識物を測定する。測定された
標識の量は抗原、すなわち可溶型RAGEポリペプチド断片
抗原の量と比例する。このアッセイでは、不溶化抗体
や、標識化抗体の添加の順序に応じて同時サンドイッチ
型アッセイ、フォワード(forward)サンドイッチ型アッ
セイあるいは逆サンドイッチ型アッセイなどと呼ばれ
る。例えば洗浄、撹拌、震盪、ろ過あるいは抗原の予備
抽出等は、特定の状況のもとでそれら測定工程の中で適
宜採用される。特定の試薬、緩衝液等の濃度、温度ある
いはインキュベーション処理時間などのその他の測定条
件は、検体中の抗原の濃度、検体試料の性質等の要素に
従い変えることができる。当業者は通常の実験法を用い
ながら各測定に対して有効な最適の条件を適宜選定して
測定を行うことが出来る。
体が知られており、本発明ではそれらから適宜選んで用
いることができる。担体としては、抗原抗体反応などに
使用されるものが種々知られており、本発明においても
勿論これらの公知のものの中から選んで使用できる。特
に好適に使用されるものとしては、例えばガラス、例え
ば活性化ガラス、多孔質ガラス、シリカゲル、シリカ−
アルミナ、アルミナ、磁化鉄、磁化合金などの無機材
料、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ポリフッ化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリ
レート、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合
体、ポリアクリルアミド、架橋ポリアクリルアミド、ス
チレン−メタクリレート共重合体、ポリグリシジルメタ
クリレート、アクロレイン−エチレングリコールジメタ
クリレート共重合体など、架橋化アルブミン、コラーゲ
ン、ゼラチン、デキストラン、アガロース、架橋アガロ
ース、セルロース、微結晶セルロース、カルボキシメチ
ルセルロース、セルロースアセテートなどの天然または
変成セルロース、架橋デキストラン、ナイロンなどのポ
リアミド、ポリウレタン、ポリエポキシ樹脂などの有機
高分子物質、さらにそれらを乳化重合して得られたも
の、細胞、赤血球などで、必要に応じ、シランカップリ
ング剤などで官能性基を導入してあるものが挙げられ
る。さらに、ろ紙、ビーズ、試験容器の内壁、例えば試
験管、タイタープレート、タイターウェル、ガラスセ
ル、合成樹脂製セルなどの合成材料からなるセル、ガラ
ス棒、合成材料からなる棒、末端を太くしたりあるいは
細くしたりした棒、末端に丸い突起をつけたりあるいは
偏平な突起をつけた棒、薄板状にした棒などの固体物質
(物体)の表面などが挙げられる。
でき、好ましくは本発明で得られる抗原に対し特異的に
反応するモノクローナル抗体を結合させることができ
る。担体とこれら抗原抗体反応に関与するものとの結合
は、吸着などの物理的な手法、あるいは縮合剤などを用
いたり、活性化されたものなどを用いたりする化学的な
方法、さらには相互の化学的な結合反応を利用した手法
などにより行うことが出来る。標識としては、酵素、酵
素基質、酵素インヒビター、補欠分子類、補酵素、酵素
前駆体、アポ酵素、蛍光物質、色素物質、化学ルミネッ
センス化合物、発光物質、発色物質、磁気物質、金属粒
子、例えば金コロイドなど、放射性物質などを挙げるこ
とができる。酵素としては、脱水素酵素、還元酵素、酸
化酵素などの酸化還元酵素、例えばアミノ基、カルボキ
シル基、メチル基、アシル基、リン酸基などを転移する
のを触媒する転移酵素、例えばエステル結合、グリコシ
ド結合、エーテル結合、ペプチド結合などを加水分解す
る加水分解酵素、リアーゼ、イソメラーゼ、リガーゼな
どを挙げることができる。酵素は複数の酵素を複合的に
用いて検知に利用することもできる。例えば酵素的サイ
クリングを利用することもできる。
しては、[32P], [125I], [131I],[3H],[14 C],[35S] な
どが挙げられる。代表的な酵素標識としては、西洋ワサ
ビペルオキシダーゼなどのペルオキシダーゼ、大腸菌β
-D- ガラクトシダーゼなどのガラクトシダーゼ、マレエ
ート・デヒドロゲナーゼ、グルコース-6- フォスフェー
ト・デヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、グル
コアミラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、カタラー
ゼ、ウシ小腸アルカリホスファターゼ、大腸菌アルカリ
ホスファターゼなどのアルカリフォスファターゼなどが
挙げられる。アルカリホスファターゼを用いた場合、4-
メチルウンベリフェリルフォスフェートなどのウンベリ
フェロン誘導体、ニトロフェニルホスフェートなどのリ
ン酸化フェノール誘導体、NADPを利用した酵素的サイク
リング系、ルシフェリン誘導体、ジオキセタン誘導体な
どの基質を使用したりして、生ずる蛍光、発光などによ
り測定できる。ルシフェリン、ルシフェラーゼ系を利用
したりすることもできる。カタラーゼを用いた場合、過
酸化水素と反応して酸素を生成するので、その酸素を電
極などで検知することもできる。電極としてはガラス電
極、難溶性塩膜を用いるイオン電極、液膜型電極、高分
子膜電極などであることもできる。酵素標識は、ビオチ
ン標識体と酵素標識アビジン(ストレプトアビジン)に
置き換えることも可能である。標識は、複数の異なった
種類の標識を使用することもできる。こうした場合、複
数の測定を連続的に、あるいは非連続的に、そして同時
にあるいは別々に行うことを可能にすることもできる。
キシフェニル酢酸、1,2-フェニレンジアミン、テトラメ
チルベンジジンなどと西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ、
ウンベリフェリルガラクトシド、ニトロフェニルガラク
トシドなどとβ-D- ガラクトシダーゼ、グルコース-6-
リン酸・デヒドロゲナーゼなどの酵素試薬の組合わせも
利用でき、ヒドロキノン、ヒドロキシベンゾキノン、ヒ
ドロキシアントラキノンなどのキノール化合物、リポ
酸、グルタチオンなどのチオール化合物、フェノール誘
導体、フェロセン誘導体などを酵素などの働きで形成し
うるものが使用できる。蛍光物質あるいは化学ルミネッ
センス化合物としては、フルオレセインイソチオシアネ
ート、例えばローダミンBイソチオシアネート、テトラ
メチルローダミンイソチオシアネートなどのローダミン
誘導体、ダンシルクロリド、ダンシルフルオリド、フル
オレスカミン、フィコビリプロテイン、アクリジニウム
塩、ルミフェリン、ルシフェラーゼ、エクォリンなどの
ルミノール、イミダゾール、シュウ酸エステル、希土類
キレート化合物、クマリン誘導体などが挙げられる。標
識するには、チオール基とマレイミド基の反応、ピリジ
ルジスルフィド基とチオール基の反応、アミノ基とアル
デヒド基の反応などを利用して行うことができ、公知の
方法あるいは当該分野の当業者が容易になしうる方法、
さらにはそれらを修飾した方法の中から適宜選択して適
用できる。また上記免疫原性複合体作製に使用されるこ
とのできる縮合剤、担体との結合に使用されることので
きる縮合剤などを用いることができる。
ド、グルタルアルデヒド、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、ヘキサメチレンジイソチオシアネート、N,N'- ポ
リメチレンビスヨードアセトアミド、N,N'- エチレンビ
スマレイミド、エチレングリコールビススクシニミジル
スクシネート、ビスジアゾベンジジン、1-エチル-3-(3-
ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、スクシンイ
ミジル 3-(2- ピリジルジチオ)プロピオネート(SPD
P)、N-スクシンイミジル 4-(N- マレイミドメチル)シ
クロヘキサン-1- カルボキシレート(SMCC)、N-スルホス
クシンイミジル 4-(N- マレイミドメチル)シクロヘキ
サン-1- カルボキシレート、N-スクシンイミジル (4-
ヨードアセチル)アミノベンゾエート、N-スクシンイミ
ジル 4-(1-マレイミドフェニル)ブチレート、 N-(ε
−マレイミドカプロイルオキシ)コハク酸イミド(EMC
S), イミノチオラン、S-アセチルメルカプトコハク酸無
水物、メチル-3-(4'- ジチオピリジル)プロピオンイミ
デート、メチル-4- メルカプトブチリルイミデート、メ
チル-3- メルカプトプロピオンイミデート、N-スクシン
イミジル-S- アセチルメルカプトアセテートなどが挙げ
られる。
を酵素などで標識したモノクローナル抗体などの標識抗
体試薬と、担体に結合された抗体とを順次反応させるこ
とができるし、同時に反応させることもできる。試薬を
加える順序は選ばれた担体系の型により異なる。感作さ
れたプラスチックなどのビーズを用いた場合には、酵素
などで標識したモノクローナル抗体などの標識抗体試薬
を測定すべき物質を含む検体試料と共に最初適当な試験
管中に一緒に入れ、その後該感作されたプラスチックな
どのビーズを加えることにより測定を行うことができ
る。本発明の定量法においては、免疫学的測定法が用い
られるが、その際の固相担体としては、抗体などタンパ
ク質を良く吸着するポリスチレン製、ポリカーボネイト
製、ポリプロピレン製あるいはポリビニル製のボール、
マイクロプレート、スティック、微粒子あるいは試験管
などの種々の材料および形態を任意に選択し、使用する
ことができる。測定にあたっては至適pH、例えばpH約4
〜約9に保つように適当な緩衝液系中で行うことができ
る。特に適切な緩衝剤としては、例えばアセテート緩衝
剤、クエン酸塩緩衝剤、フォスフェート緩衝剤、トリス
緩衝剤、トリエタノールアミン緩衝剤、ボレート緩衝
剤、グリシン緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、トリス−塩酸緩衝
剤などが挙げられる。緩衝剤は互いに任意の割合で混合
して用いることができる。抗原抗体反応は約0℃〜約60
℃の間の温度で行うことが好ましい。酵素などで標識さ
れたモノクローナル抗体などの抗体試薬及び担体に結合
せしめられた抗体試薬、さらには測定すべき物質のイン
キュベーション処理は、平衡に達するまで行うことがで
きるが、抗原抗体反応の平衡が達成されるよりもずっと
早い時点で固相と液相とを分離して限定されたインキュ
ベーション処理の後に反応を止めることができ、液相又
は固相のいずれかにおける酵素などの標識の存在の程度
を測ることができる。測定操作は、自動化された測定装
置を用いて行うことが可能であり、ルミネセンス・ディ
テクター、ホト・ディテクターなどを使用して基質が酵
素の作用で変換されて生ずる表示シグナルを検知して測
定することもできる。
れる試薬、測定すべき物質、さらには酵素などの標識を
安定化したり、抗原抗体反応自体を安定化するように適
切な手段を講ずることができる。さらに、非特異的な反
応を除去し、阻害的に働く影響を減らしたり、あるいは
測定反応を活性化したりするため、タンパク質、安定化
剤、界面活性化剤、キレート化剤などをインキュベーシ
ョン溶液中に加えることもできる。キレート化剤として
は、エチレンジアミン四酢酸塩 (EDTA) がより好まし
い。当該分野で普通に採用されていたりあるいは当業者
に知られた非特異的結合反応を防ぐためのブロッキング
処理を施してもよく、例えば、哺乳動物などの正常血清
タンパク質、アルブミン、スキムミルク、乳発酵物質、
コラーゲン、ゼラチンなどで処理することができる。非
特異的結合反応を防ぐ目的である限り、それらの方法は
特に限定されず用いることが出来る。本発明の測定方法
で測定される試料としては、あらゆる形態の溶液やコロ
イド溶液、非流体試料などが使用しうるが、好ましくは
生物由来の試料、例えば胸腺、睾丸、腸、腎臓、脳、乳
癌、卵巣癌、結腸・直腸癌、血液、血清、血漿、関節
液、脳脊髄液、膵液、胆汁液、唾液、羊水、尿、その他
の体液、細胞培養液、組織培養液、組織ホモジュネー
ト、生検試料、組織、細胞などが挙げられる。これら個
々の免疫学的測定法を含めた各種の分析・定量法を本発
明の測定方法に適用するにあたっては、特別の条件、操
作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における
通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加え
て、本発明の当該対象物質あるいはそれと実質的に同等
な活性を有する物質に関連した測定系を構築すればよ
い。
は、総説、成書などを参照することができる〔例えば、
入江 寛編,「ラジオイムノアッセイ」,講談社,昭和
49年発行;入江 寛編,「続ラジオイムノアッセイ」,
講談社,昭和54年発行;石川栄治ら編,「酵素免疫測定
法」,医学書院,昭和53年発行;石川栄治ら編,「酵素
免疫測定法」(第2版),医学書院,昭和57年発行;石
川栄治ら編,「酵素免疫測定法」(第3版),医学書
院,昭和62年発行;H. V. Vunakis et al. (ed.), "Met
hods in Enzymology", Vol. 70 (Immunochemical Techn
iques, Part A),Academic Press, New York (1980); J.
J. Langone et al. (ed.), "Methods inEnzymology",
Vol. 73 (Immunochemical Techniques, Part B), Acade
mic Press, New York (1981); J. J. Langone et al.
(ed.), "Methods in Enzymology",Vol. 74 (Immunochem
ical Techniques, Part C), Academic Press, New York
(1981); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods in E
nzymology", Vol. 84 (Immunochemical Techniques, Pa
rt D: Selected Immunoassays), Academic Press,New Y
ork (1982); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods i
n Enzymology", Vol. 92 (Immunochemical Techniques,
Part E: Monoclonal Antibodies and General Immunoa
ssay Methods), Academic Press, New York (1983); J.
J. Langoneet al. (ed.), "Methods in Enzymology",
Vol. 121 (Immunochemical Techniques, Part I: Hybri
doma Technology and Monoclonal Antibodies), Academ
ic Press, New York (1986); J. J. Langone et al. (e
d.), "Methods in Enzymology", Vol. 178 (Antibodie
s, Antigens, and Molecular Mimicry), Academic Pres
s, New York (1989); M. Wilchek et al. (ed.), "Meth
ods in Enzymology", Vol. 184 (Avidin-Biotin Techno
logy), Academic Press, New York (1990); J.J. Lango
ne et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 203
(Molecular Design and Modeling: Concepts and Appl
ications, Part B: Anibodies and Antigens, Nucleic
Acids, Polysaccharides, and Drugs), Academic Pres
s, New York (1991) などあるいはそこで引用された文
献 (それらの中にある記載はそれを参照することにより
本明細書の開示に含められる) 〕。
ーナル抗体を用いて、エピトープマッピングを行うこと
もでき、各エピトープを認識する抗体を用いれば可溶型
RAGE及びその関連ペプチド断片などの検知・測定を行う
ことができる。可溶型RAGE及びその関連ペプチド断片に
対する抗体は、可溶型RAGEによるAGEと膜結合型RAGE受
容体との相互作用の抑制あるいは阻害などの現象の検出
及び/又は測定、さらにはAGE の過剰により生ずる各種
の生理活性物質あるいは生理現象又は生物現象の検出及
び/又は測定、また、可溶型RAGE産生を制御する因子や
機構の研究・開発などに有用である。該抗体、特にモノ
クローナル抗体は、(i)AGE とRAGEとの間での相互作用
に起因する組織あるいは細胞が関連する障害、異常及び
/又は疾患を検出したり、(ii) AGEとRAGEとの間での相
互作用に起因する細胞の腫瘍化、細胞の移動、浸潤、遊
走及び/又は転移あるいはその可能性を検出したり、(i
ii) タンパク質の糖化反応に関連して生ずる障害、異常
及び/又は疾患あるいはその可能性を検出したり、(iv)
可溶型RAGEの発現量を測定したり、(v) AGE 捕捉活性の
変化を検出及び/又は測定したり、(vi)可溶型RAGE産生
を制御する化合物などの探索をしたり、及び/又は(vi
i) 該可溶型RAGE産生を制御する化合物の活性の検知及
び/又は測定をしたりなどするのに有用である。糖尿病
合併症、組織の異常、がんの移動性、浸潤性、走化性及
び/又は転移性の程度を知るのに使用できると期待され
る。本発明にしたがえば、可溶型RAGEによるAGE の膜結
合型RAGEとの相互作用の抑制あるいは阻害活性を検出及
び/又は測定し、糖尿病治療剤、糖尿病合併症予防・治
療剤、組織の疾患予防・治療剤、抗炎症剤、抗がん剤、
がん転移阻害剤、動脈硬化症治療剤、アルツハイマー治
療剤、関節破壊治療剤、抗アレルギー剤及び/又は免疫
抑制剤の効果判定モニターとして使用することが可能と
なる。また、本発明では、AGE による組織・細胞あるい
はタンパク質の異常化現象の検出及び/又は測定方法や
そのための試薬が提供できる。
GEポリペプチド、その一部のペプチドまたはそれらの
塩、それに関連するペプチド等、(b) 該可溶型RAGEある
いは可溶型RAGEポリペプチドをコードするDNA などの核
酸等、(c) 本発明の抗体、その一部断片(モノクローナ
ル抗体を包含する) またはその誘導体、(d) 可溶型RAGE
によるAGE と膜貫通型RAGEとの間の相互作用を抑制ある
いは阻害するなどの現象あるいは組織あるいはタンパク
質の変質・過剰生産あるいは分解現象といった生物学的
活性を抑制及び/又は阻害する化合物またはその塩、可
溶型RAGE産生を制御する化合物またはその塩、(e) 本発
明のDNA などの核酸に対するアンチセンス・オリゴヌク
レオチドなど、(f) 本発明を使用して見出された活性物
質など〕を医薬として用いる場合、例えばAGE とRAGEと
の間の相互作用阻害剤またはそれらの塩等は、通常単独
或いは薬理的に許容される各種製剤補助剤と混合して、
医薬組成物又は医薬調製物などとして投与することがで
きる。好ましくは、経口投与、局所投与、または非経口
投与等の使用に適した製剤調製物の形態で投与され、目
的に応じていずれの投与形態(吸入法、あるいは直腸投
与も包含される)によってもよい。また、本発明の活性
成分は、糖尿病合併症用剤、動脈硬化症用剤、抗高脂血
症剤、抗腫瘍剤(抗がん剤)、腫瘍移転阻害剤、血栓形
成阻害剤、アルツハイマー治療剤、関節破壊治療剤、消
炎剤及び/又は免疫抑制剤と配合して使用することもで
き、それらは、有利な働きを持つものであれば制限なく
使用でき、例えば当該分野で知られたものの中から選択
することができる。
所、経皮、静脈内、筋肉内、皮下、皮内もしくは腹腔内
投与を包含し得るが、患部への直接投与も可能であり、
またある場合には好適でもある。好ましくはヒトを含む
哺乳動物に経口的に、あるいは非経口的(例、細胞内、
組織内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、胸腔
内、脊髄腔内、点滴法、注腸、経直腸、点耳、点眼や点
鼻、歯、皮膚や粘膜への塗布など)に投与することがで
きる。具体的な製剤調製物の形態としては、溶液製剤、
分散製剤、半固形製剤、粉粒体製剤、成型製剤、浸出製
剤などが挙げられ、例えば、錠剤、被覆錠剤、糖衣を施
した剤、丸剤、トローチ剤、硬カプセル剤、軟カプセル
剤、マイクロカプセル剤、埋込剤、粉末剤、散剤、顆粒
剤、細粒剤、注射剤、液剤、エリキシル剤、エマルジョ
ン剤、灌注剤、シロップ剤、水剤、乳剤、懸濁剤、リニ
メント剤、ローション剤、エアゾール剤、スプレー剤、
吸入剤、噴霧剤、軟膏製剤、硬膏製剤、貼付剤、パスタ
剤、パップ剤、クリーム剤、油剤、坐剤(例えば、直腸
坐剤)、チンキ剤、皮膚用水剤、点眼剤、点鼻剤、点耳
剤、塗布剤、輸液剤、注射用液剤などのための粉末剤、
凍結乾燥製剤、ゲル調製品等が挙げられる。医薬用の組
成物は通常の方法に従って製剤化することができる。例
えば、適宜必要に応じて、生理学的に認められる担体、
医薬として許容される担体、アジュバント剤、賦形剤、
補形剤、希釈剤、香味剤、香料、甘味剤、ベヒクル、防
腐剤、安定化剤、結合剤、pH調節剤、緩衝剤、界面活
性剤、基剤、溶剤、充填剤、増量剤、溶解補助剤、可溶
化剤、等張化剤、乳化剤、懸濁化剤、分散剤、増粘剤、
ゲル化剤、硬化剤、吸収剤、粘着剤、弾性剤、可塑剤、
崩壊剤、噴射剤、保存剤、抗酸化剤、遮光剤、保湿剤、
緩和剤、帯電防止剤、無痛化剤などを単独もしくは組合
わせて用い、それとともに本発明のタンパク質等を混和
することによって、一般に認められた製剤実施に要求さ
れる単位用量形態にして製造することができる。非経口
的使用に適した製剤としては、活性成分と、水もしくは
それ以外の薬学的に許容し得る媒体との無菌性溶液、ま
たは懸濁液剤など、例えば注射剤等が挙げられる。一般
的には、水、食塩水、デキストロース水溶液、その他関
連した糖の溶液、エタノール、プロピレングリコール、
ポリエチレングリコールなどのグリコール類が好ましい
注射剤用液体担体として挙げられる。注射剤を調製する
際は、蒸留水、リンゲル液、生理食塩液のような担体、
適当な分散化剤または湿化剤及び懸濁化剤などを使用し
て当該分野で知られた方法で、溶液、懸濁液、エマルジ
ョンのごとき注射しうる形に調製する。
液、ブドウ糖やその他の補助薬(例えば、D-ソルビトー
ル、D-マンニトール、塩化ナトリウムなど)を含む等張
液などが挙げられ、薬理的に許容される適当な溶解補助
剤、たとえばアルコール(たとえばエタノールなど)、
ポリアルコール(たとえばプロピレングリコール、ポリ
エチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(た
とえばポリソルベート80 TM, HCO-50など)などと併用
してもよい。油性液としてはゴマ油、大豆油などが挙げ
られ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルア
ルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例え
ば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液など)又は
浸透圧調節のための試薬、無痛化剤(例えば、塩化ベン
ザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例え
ば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールな
ど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノー
ルなど)、アスコルビン酸などの酸化防止剤、吸収促進
剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適
当なアンプルに充填される。
薬学的に許容される助剤を加えるか、あるいは加えず
に、水、エタノール又は油のような無菌の薬学的に許容
される液体中の溶液あるいは懸濁液の形態に製剤化され
る。製剤に使用される油性ベヒクルあるいは溶剤として
は、天然あるいは合成あるいは半合成のモノあるいはジ
あるいはトリグリセリド類、天然、半合成あるいは合成
の油脂類あるいは脂肪酸類が挙げられ、例えばピーナッ
ツ油、トウモロコシ油、大豆油、ゴマ油などの植物油が
挙げられる。例えば、この注射剤は、通常本発明化合物
を0.1 〜10重量%程度含有するように調製されることが
できる。局所的、例えば口腔、又は直腸的使用に適した
製剤としては、例えば洗口剤、歯磨き剤、口腔噴霧剤、
吸入剤、軟膏剤、歯科充填剤、歯科コーティング剤、歯
科ペースト剤、坐剤等が挙げられる。洗口剤、その他歯
科用剤としては、薬理的に許容される担体を用いて慣用
の方法により調製される。口腔噴霧剤、吸入剤として
は、本発明化合物自体又は薬理的に許容される不活性担
体とともにエアゾール又はネブライザー用の溶液に溶解
させるかあるいは、吸入用微粉末として歯などへ投与で
きる。軟膏剤は、通常使用される基剤、例えば、軟膏基
剤(白色ワセリン、パラフィン、オリーブ油、マクロゴ
ール400 、マクロゴール軟膏など)等を添加し、慣用の
方法により調製される。
殺菌した水または非水賦形剤の溶液または懸濁液に調剤
することができる。添加剤としては、例えば亜硫酸水素
ナトリウムまたはエデト酸二ナトリウムのような緩衝
剤;酢酸または硝酸フェニル水銀、塩化ベンザルコニウ
ムまたはクロロヘキシジンのような殺菌および抗真菌剤
を含む防腐剤およびヒプロメルローズのような濃厚剤が
挙げられる。坐剤は、当該分野において周知の担体、好
ましくは非刺激性の適当な補形剤、例えばポリエチレン
グリコール類、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセ
ライド等の、好ましくは常温では固体であるが腸管の温
度では液体で直腸内で融解し薬物を放出するものなどを
使用して、慣用の方法により調製されるが、通常本発明
化合物を0.1 〜95重量%程度含有するように調製され
る。使用する賦形剤および濃度によって薬品は、賦形剤
に懸濁させるかまたは溶解させることができる。局部麻
酔剤、防腐剤および緩衝剤のような補助薬は、賦形剤に
溶解可能である。経口的使用に適した製剤としては、例
えば錠剤、丸剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、トロー
チのような固形組成物や、液剤、シロップ剤、懸濁剤の
ような液状組成物等が挙げられる。製剤調製する際は、
当該分野で知られた製剤補助剤などを用いる。錠剤及び
丸剤はさらにエンテリックコーティングされて製造され
ることもできる。調剤単位形態がカプセルである場合に
は、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を
含有することができる。
たような治療及び/又は予防剤として用いる場合、該核
酸はそれを単独で用いることもできるし、あるいは上記
したような遺伝子組換え技術で使用される適当なベクタ
ー、例えばレトロウイルス由来ベクターなどウイルス由
来のベクターなどに結合させるなどして用いることがで
きる。本発明のDNA などの核酸は通常の知られた方法で
投与でき、そのままで、あるいは、例えば細胞内への摂
取が促進されるように、適当な補助剤あるいは生理的に
許容される担体などと共に、製剤化されて用いることが
でき、上記したような、医薬組成物又は医薬調製物など
として投与することができる。また遺伝子治療として知
られた方法を適用することもできる。本発明の活性成分
は、その投与量を広範囲にわたって選択して投与できる
が、その投与量及び投与回数などは、処置患者の性別、
年齢、体重、一般的健康状態、食事、投与時間、投与方
法、排泄速度、薬物の組み合わせ、患者のその時に治療
を行なっている病状の程度に応じ、それらあるいはその
他の要因を考慮して決められる。
調製法などは、例えば日本薬局方解説書編集委員会編、
第十四改正 日本薬局方解説書、平成13年6月27日発
行、株式会社廣川書店;一番ヶ瀬 尚 他編 医薬品の
開発12巻(製剤素剤〔I〕)、平成2年10月15日発行、
株式会社廣川書店;同、医薬品の開発12巻(製剤素材
〔II〕)平成2年10月28日発行、株式会社廣川書店など
の記載を参考にしてそれらのうちから必要に応じて適宜
選択して適用することができる。本発明の活性成分は、
AGE の活性、特にはAGE とRAGEとの間の相互作用を抑制
あるいは阻害するといった生物学的活性をもつものであ
れば特に限定されないが、好ましくは有利な作用を持つ
ものが挙げられる。本発明の活性成分は、例えば、(a)
可溶型RAGE、その変異体ポリペプチド、その一部のペプ
チドまたはそれらの塩等、(b) 該可溶型RAGEをコードす
るDNA 、可溶型RAGE変異体ポリペプチドをコードするDN
A などの核酸等、(c) 本発明の抗体、その一部断片(モ
ノクローナル抗体を包含する) またはその誘導体、(d)
可溶型RAGEによるAGE とRAGEとの間の相互作用を抑制あ
るいは阻害するといった生物学的活性に有利な作用をも
つ化合物またはその塩などが包含される。
相互作用に起因する各種組織あるいは細胞における変化
を抑制あるいは阻害するのに有用と期待される。また、
該活性成分は、AGE の活性発現の抑制に有用であり、AG
E とRAGEとの間の相互作用に起因する障害、異常及び/
又は疾患の予防あるいは治療に有用である。また、AGE
とRAGEとの間の相互作用が関与する腫瘍細胞などの移
動、浸潤、遊走及び/又は転移の制御、例えば抑制に有
用であると期待される。可溶型RAGE及びその関連ペプチ
ドは、悪性腫瘍、すなわち、がんの移動、浸潤及び/又
は転移の阻止及び/又は抑制するのに有用で、血管形成
・新生阻害剤、抗腫瘍剤及び/又はがん転移抑制剤とし
て期待できる。また、血液系細胞の、AGE が関与した障
害、異常及び/又は疾患の予防あるいは治療にも有用
で、糖尿病合併症治療・予防剤、動脈硬化症治療・予防
剤、血栓症治療・予防剤、消炎剤及び/又は免疫抑制剤
としても期待できる。さらに、アルツハイマー治療剤、
関節破壊治療剤などとしても期待できる。
ミノ酸配列中、第1 番目のアミノ酸残基〜第347 番目の
アミノ酸残基の範囲の配列:(b) 可溶型RAGEのアミノ酸
配列中、第1 番目のアミノ酸残基〜第117 番目のアミノ
酸残基の範囲の配列: 及び(c) 可溶型RAGEのアミノ酸配
列中、第332 番目のアミノ酸残基〜第347 番目のアミノ
酸残基の範囲の配列から成る群から選ばれたものに基づ
いて分子設計を施して、AGE とRAGEとの間の相互作用を
抑制あるいは阻害する活性を有する物質を得るのに使用
できる。こうして得られる物質も本発明の思想の範囲内
のものであるし、本発明の活性成分として扱うことがで
きる。該配列から特定の特徴部分を選択し、(i) そのう
ちの薬理作用団をイソスターで置き換えることによりな
されるか、(ii) 構成アミノ酸残基の少なくとも1個を
D体のアミノ酸残基に置き換えるか、(iii) アミノ酸残
基の側鎖を修飾するか、(iv) 該配列に存在するアミノ
酸残基とは異なるアミノ酸残基を配置して連結するか、
(v) 立体構造を解析してmimic 体をデザインすることな
ど、当該分野で採用される技術を駆使して行うことがで
きる(例えば、首藤 紘一 編 医薬品の開発7巻(分
子設計)、平成2年6月25日発行、株式会社廣川書店及
びそこで引用している文献や論文など) 。そうした技術
の一部は、上記で説明したものを含んでいる。明細書及
び図面において、用語は、IUPAC-IUB Commission on Bi
ochemical Nomenclatureによるか、あるいは当該分野に
おいて慣用的に使用される用語の意味に基づくものであ
る。後述の実施例2(g)に記載の抗可溶型RAGEモノクロー
ナル抗体を産生するハイブリドーマ:269-9C2は、平成13
年2月22日から茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第
6(旧住所表記:茨城県つくば市東1丁目1番3号)
(郵便番号 305-8566)の独立行政法人産業技術総合研究
所特許生物寄託センター(National Institute of Adva
nced Industrial Science and Technology, Internatio
nal Patent Organism Depositary: IPOD)(旧名称:経
済産業省産業技術総合研究所生命工学工業技術研究所
(NIBH))に寄託されて保管されている(受託番号 FER
M P-18218)。
するが、本発明はこれら実施例に限定されず、本明細書
の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解
されるべきである。全ての実施例は、他に詳細に記載す
るもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又
は実施することのできるものであり、これは当業者にと
り周知で慣用的なものである。なお、以下の実施例にお
いて、特に指摘が無い場合には、具体的な操作並びに処
理条件などは、DNA クローニングでは J. Sambrook, E.
F. Fritsch & T.Maniatis, "Molecular Cloning", 2nd
ed., Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Ha
rbor, N. Y. (1989) 及び D. M. Glover et al. ed.,
"DNACloning", 2nd ed., Vol. 1 to 4, (The Practica
l Approach Series), IRLPress, Oxford University Pr
ess (1995) ; 特にPCR 法では、H. A. Erliched., PCR
Technology, Stockton Press, 1989 ; D. M. Glover et
al. ed.,"DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1, (The Prac
tical Approach Series), IRLPress, Oxford Universit
y Press (1995) 及び M. A. Innis et al. ed.,"PCR
Protocols", Academic Press, New York (1990)に記載
の方法に準じて行っているし、また市販の試薬あるいは
キットを用いている場合はそれらに添付の指示書(proto
cols) や添付の薬品等を使用している。なお、試薬とし
て、 Tween 20 : Bio-Rad スキムミルク(skim milk):森永乳業 Trizma base : Sigma エタノールアミン(ethanolamine): Sigma を使用する他、その他の試薬は和光純薬から購入した。
e Biologics, Inc. (Portland,OR) より入手し、 poly
(A)+ RNA 精製には継代数 5-10 の細胞を使用した。 〔ポリソ−ム由来 poly(A)+ RNA の分離〕組織培養用フ
ラスコで培養したヒト皮膚微小血管内皮細胞を氷冷リン
酸緩衝生理食塩水で洗浄後、セルスクレイパーで細胞を
掻きとった。細胞懸濁液を遠心して細胞を沈澱として回
収し、0.25M KCl, 10mM MgCl2, 1mM EDTA, 0.25M sucro
se(RNase free), 0.1mM DTT, 2mM 4-(2-aminoethyl)-be
nzenesulfonyl fluoride,1,000u/ml RNase inhibitor
(Ambion, Inc., Austin, TX) を含む10mM Tris-HCl 緩
衝液 (pH7.6)で懸濁後、ダウンス型ホモジナイザ−で破
砕した。細胞核とミトコンドリアを除去するため細胞破
砕液を12,000 x g、15分間遠心し上清を回収した。得ら
れた上清を100,000 x g で 60 分間遠心し、ポリソ−ム
画分を沈澱として回収した。得られたポリソ−ム画分よ
り、Quickprep micro mRNA isolationkit (Amersham Ph
armacia Biotech) を用いて、 poly(A)+ RNA を精製し
た。
血管内皮細胞ポリソ−ム由来 poly(A)+ RNA を鋳型にol
igo(dT)プライマーと AMV由来逆転写酵素を用いてcDNA
を合成し、RAGE遺伝子のエキソン1とエキソン11(図1
参照)に対応するプライマー (配列表の配列番号: 3,
5'-GCCAGGACCCTGGAAGGAAGCA-3'; 配列表の配列番号:
4, 5'-CTGATGGATGGGATCTGTCTGTG-3') とTaKaRa La Taq
ポリメラ−ゼを用いてRAGE cDNA を増幅した。増幅され
たRAGE cDNA はpCR2.1 (Invitrogen) に挿入して大腸菌
XL1-Blueを形質転換した。得られた組換え大腸菌コロニ
ー32クローンよりプラスミドDNA を精製し、ABI377シー
ケンサ−(Aplied Biosystems Inc) を用いて塩基配列決
定を行ない、可溶型RAGEをコードするcDNAを得た。配列
決定された可溶型RAGEをコードするcDNAの塩基配列及び
該配列のオープン・リーディング・フレームでコードさ
れるアミノ酸配列を、配列表の配列番号:1に示す。ま
た、配列表の配列番号:2には可溶型RAGEのアミノ酸配
列を示す。図2〜4には、膜貫通型RAGE(fullRAGE)及び
膜貫通ドメインを有するRAGE cDNA より人工的に作製さ
れた組換え可溶化型RAGEとよばれるもの(US5864018) と
比較しての本発明の可溶型RAGEをコードする核酸(solub
leRAGE) の塩基配列を示す。 また、図5には、fullRA
GE及びUS5864018 と比較しての本発明の可溶型RAGE(sol
ubleRAGE) のアミノ酸配列を示す。本発明の可溶型RAGE
(solubleRAGE) は天然型(native)内在性(endogenous)で
あり、fullRAGEとはC 末端部分の16個のアミノ酸(配列
番号:2のうちの配列Glu332〜Met347) が異なっている。
RAGEをコードするcDNAを鋳型として、EcoRI 認識配列を
有する5'- プライマー (配列表の配列番号: 5, 5'-GAGA
ATTCGCCAGGACCCTGGAAGGAAGCA-3')と XbaI 認識配列を有
する3'- プライマー (配列表の配列番号: 6, 5'-GATCTA
GAGATTGTTGACCATCCCCCCAG-3') を用いて増幅した。増幅
されたDNA を精製後、EcoRI とXbaIで消化し、動物細胞
発現ベクターpCI-neo vector (Stratagen)の EcoRIとXb
aIサイトに挿入した。発現ベクターDNA はQIAGEN社 (Va
lencia, CA) のプラスミド精製キットにて精製し、塩基
配列はABI377シーケンサ−(Aplied Biosystems Inc) を
用いて確認した。
の導入とstable transformant の分離〕可溶型RAGE発現
ベクターは、Tfx-20 reagent (Promega Corp., Madiso
n, WI)を用いてCOS 7 細胞へ導入した。発現ベクター導
入48時間後に、細胞培養培地にG418(Geneticin) を添加
し、2週間後に複数のG418耐性コロニーを得た。得られ
たクローンは別々に培養し、細胞抽出物および培養培地
を抗ヒトRAGE抗体を用いたウエスタンブロットで分析
し、可溶型RAGEを高発現しているクローンを選択した。 〔Transformantの培養〕組織培養用150 mmディッシュを
用い、可溶型RAGE過剰発現COS7細胞を5%牛胎児血清及び
500μg/ml G418 含有ダルベッコ変法イーグル培地中
で、37℃、5%CO2の条件下コンフルエントまで培養後、
細胞層をPBS (Ca2+/Mg2+-free)で2回洗浄し、培地を完
全に取り除いた。続いて無血清ダルベッコ変法イーグル
培地中で48時間培養した。その後、培養培地を回収し、
10,000 rpmで20分間遠心した上清を0.22μm メンブレン
フィルターで濾過し、得られた処理培地から以下の方法
に従い可溶型RAGEを精製した。
20 mM Tris-HCl (pH7.4)で平衡化したHiTrap Heparin
(カラム体積 3×5 ml、Amersham Pharmacia)に流速3
ml/minでアプライし、75 ml の0.15 M NaCl 含有20 mM
Tris-HCl (pH7.4)を用いて流速2 ml/minでカラムを洗浄
した。続いて段階的に75 ml の0.3 M, 0.5 M及び1 M Na
Cl含有20 mM Tris-HCl pH7.4でカラムに結合したhepari
n 結合性物質を流速2 ml/minで順次溶出させ、5 mlずつ
分画した。溶出された可溶型RAGE画分はWestern blotti
ngにより同定した。次いで50 mM 酢酸ナトリウム緩衝液
(pH4.5) で平衡化したRESOURCE S 1 ml カラム (Amersh
am Pharmacia) に50 mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)
で5倍に希釈した可溶型RAGE画分を流速1 ml/minでアプ
ライし、3 mlの0.2 M NaCl含有50 mM 酢酸ナトリウム緩
衝液を用い、流速 1 ml/min でカラムを洗浄した。次に
5 mlの50 mM 酢酸ナトリウム緩衝液を用い、流速1 ml/m
inで0.2 M から1.0 M まで直線的なNaClによる濃度勾配
をかけ、カラムに結合した陰イオン物質を順次溶出さ
せ、0.5 mlずつ分画した。可溶型RAGE画分はWestern bl
ottingにより決定した。得られた可溶型RAGE画分を2 ml
ずつPBS (Ca2+/Mg2+-free)で平衡化したHiTrap Desalti
ngカラム(カラム体積 2×5 ml、Amersham Pharmacia)
にアプライし、PBS (Ca2+/Mg2+-free)を用いて流速0.5
ml/minでゲル濾過し、高分子量画分を回収した。その
後、必要に応じCentricon YM-3(MILLIPORE) を用いた限
外濾過により可溶型RAGE(sRAGE) 濃縮溶液を調製した。
精製sRAGE タンパクの純度は100 ngタンパク相当を10%S
DS-PAGE により分離後、ゲルの銀染色により評価した。
その結果を、図6に示す。図6中、1は細胞培養上清の
銀染色像、そして2は精製蛋白の銀染色像を示す。な
お、上記のクロマトグラフは
nm, 280 nmおよび300 nmにおける吸光度を測定してモニ
ターした。
合試験〕可溶型RAGEのAGE 結合能を表面プラズモン共鳴
法によりBIACORE(Biacore, Sweden)を用いて確認した。
Sensor chip CM5 (Biacore) にアミノカップリング法を
用いて精製可溶型RAGE蛋白を固定化した。グルコースと
ウシ血清アルブミン(BSA) を無菌的に37℃で12週間イン
キュベートして調製したAGE-BSA をBIACORE のマイクロ
流路系にアナライトとして500 μg/mlの濃度で添加し
た。その結果、インラインレファランス(コントロール
チップ)やイムノグロブリンを固定したチップには全く
反応せず、可溶型RAGEを固定したセンサーチップとのみ
特異的な結合を示した。
表の配列番号:2のアミノ酸配列を基にデザインされた合
成ペプチドを使用することができる。さらに、免疫に用
いる抗原は、得られたcDNAを動物細胞発現ベクターに連
結し、これをCHO 細胞、COS 細胞などで発現させて得ら
れる組換え可溶型RAGEを使用することも可能である。こ
れらの抗原タンパク質は、イオン交換、ゲル濾過または
それ以外の各種クロマトグラフィーによって精製でき
る。精製した免疫用抗原を一般的な方法で免疫し、抗体
産生細胞を誘導、細胞融合によりハイブリドーマとして
抗体産生細胞を得ることができる。さらに精製した免疫
用抗原に対する反応性に基づいてクローニング、モノク
ローナル抗体産生ハイブリドーマとして株化できる。ま
た、可溶型RAGE特異的モノクローナル抗体を得るための
免疫源としては、可溶型RAGEに特徴的なアミノ酸配列を
持つハプテン化合成ペプチドが使用できる。例えば、C
末端にはGlu-Gly-Phe-Asp-Lys-Val-Arg-Glu-Ala-Glu-As
p-Ser-Pro-Gln-His-Met から選択された連続した少なく
とも3個以上、好ましくは5個以上の連続したペプチド
配列を含むことが特に好ましい。具体的にはCys-Glu-Gl
y-Phe-Asp-Lys-Val-Arg-Glu-Ala-Glu-Asp-Ser-Pro-Gln-
His-Met (CEGFDKVREAEDSPQHM) などが免疫源として好適
である。
より特徴的な配列を選択し、合成する。ペプチドはペプ
チド合成機(ペプチドシンセサイザー9600、MilliGen/B
iosearch) を使用して、Fmoc-bop法で合成する。ポリペ
プチドのN 末端にはシステインを導入する。合成したペ
プチドはμBondasphere, C18カラム(Waters) を用いた
高速液体クロマトグラフィーなどにより精製する。Cys-
Glu-Gly-Phe-Asp-Lys-Val-Arg-Glu-Ala-Glu-Asp-Ser-Pr
o-Gln-His-Met 〔配列番号:7〕を合成し、以下の実験
で使用した。 (c) ポリペプチドとBSA の複合体の調製 システイン残基を介してウシ血清アルブミン(BSA)と結
合させ、抗原コンジュゲートとした。10.1mgのBSA を1m
L の0.1Mリン酸緩衝液、pH7.0 に溶解したものと1.14mg
のEMCS(N-(ε-maleimidecaproyloxy)-succinimide)を2
4.9μL のジメチルホルムアミドに溶解したものと混合
し、30℃、30分間反応させ、ついで、上記の混合液を0.
1Mリン酸緩衝液、pH7.0 で平衡化したSephadex G-25
(Pharmacia)ゲルカラム( 直径13mm、長さ120mm)でゲル
ろ過する。前記(b)で合成したポリペプチドを0.1Mリン
酸緩衝液、pH7.0 に溶解し、マレイミド結合BSA に対し
おおよそ50倍モル量を混合する。すなわち、ポリペプチ
ドに対しマレイミド結合BSA を混合し、4 ℃、20時間イ
ンキュベートし、BSA-ポリペプチド複合体を調製する。
得られるBSA-ポリペプチド複合体を0.1Mリン酸緩衝液、
pH7.0 で希釈した後、150 μL ずつに分注して-30 ℃で
凍結保存する。
インドアジュバントと共に6 週令Balb/c雌マウスに腹腔
内投与し、初回免疫した。おおよそ18日目に0.1Mリン酸
緩衝液、pH7.5 に溶解したBSA-ポリペプチド複合体を初
回免疫したマウスに腹腔内投与し、追加免疫する。さら
におおよそ52日目に0.1Mリン酸緩衝液、pH7.5 に溶解し
たBSA-ポリペプチド複合体を静脈内投与し、最終免疫と
する。その4 日後に脾臓を摘出し、脾細胞懸濁液を調製
する。 (e) 細胞融合 細胞融合には、以下の材料および方法を用いる。RPMI-1
640 培地:RPMI-1640(Flow Lab.)に重炭酸ナトリウム
(24mM) 、ピルビン酸ナトリウム(1mM)、ペニシリンG
カリウム(50U/ml) 、硫酸アミカシン(100 μg/ml) を
加え、ドライアイスでpHを7.2 にし、0.2 μm 東洋メン
ブレンフィルターで除菌ろ過する。NS-1培地:上記RPMI
-1640 培地に除菌ろ過したウシ胎児血清(FCS, M.A. Bi
oproducts)を15%(v/v)の濃度になるように加える。PE
G-4000溶液:RPMI-1640 培地にポリエチレングリコール
-4000 (PEG-4000, Merk&Co.)を50%(w/w)になるよう
に加えた無血清培地を調製する。8-アザグアニン耐性ミ
エローマ細胞SP2 (SP2/0-Ag14) との融合は、Selected
Method in culture immunology p351〜372 (ed. B. B.
Mishell and S. N. Shiigi), W. H. Freeman and Compa
ny (1980)に記載のOiらの方法を若干改変して行う。
100 %) とミエローマ細胞(生細胞率100 %) とをおお
よそ5:1 〜10:1の比率で以下の手順で融合する。ポリペ
プチド免疫脾細胞懸濁液とミエローマ細胞をそれぞれRP
MI1640培地で洗浄する。次に同じ培地に懸濁し、融合さ
せるために有核脾細胞とミエローマ細胞を混合する。す
なわち、おおよそ4.0 ×108 個の有核脾細胞に対しおお
よそ8.0 ×107 個のミエローマ細胞を混合する。次に、
それぞれの細胞混合液を遠心分離により細胞を沈殿さ
せ、上清を完全に吸引除去する。沈殿した細胞に37℃に
加温した50%PEG-4000 含有RPMI-1640 培地(ミエローマ
細胞がおおよそ3 ×107 個/mL となるよう体積を決定す
る) を滴下し、撹拌し、細胞を再懸濁、分散させる。次
に添加した50%PEG-4000 含有RPMI-1640 培地の2 倍体積
の37℃に加温したRPMI-1640 培地を滴下する。さらに添
加した50%PEG-4000 含有RPMI-1640 培地の7 倍体積のRP
MI-1640 培地を常に撹拌しながら滴下し、細胞を分散さ
せる。これを遠心分離し、上清を完全に吸引除去する。
次に、ミエローマ細胞がおおよそ3 ×106 個/mL となる
ように37℃に加温したNS-1培地を沈殿した細胞に速やか
に加え、大きい細胞塊を注意深くピペッティングで分散
する。さらに同培地を加えて希釈し、ポリスチレン製96
穴マイクロウエルにウエル当りミエローマ細胞がおおよ
そ6.0 ×105 個となるように接種する。それぞれの細胞
を加えた上記マイクロウエルを7 %炭酸ガス/93 %空気
中で温度37℃、湿度100 %で培養する。
的増殖 (1)使用した培地は以下の通りである。 HAT 培地:前記(e) 項で述べたNS-1培地に更にヒポキサ
ンチン(100 μM)、アミノプテリン(0.4 μM)およびチ
ミジン(16μM)を加える。 HT培地:アミノプテリンを除去した以外は上記HAT 培地
と同一組成のものである。 (2)前記(e) 項の培養開始後翌日(1 日目) 、細胞にパ
スツールピペットでHAT培地2 滴(約0.1 ml) を加え
る。2 、3 、5 、8 日目に培地の半分(約0.1 ml)を新
しいHAT 培地で置き換え、10日目に培地の半分を新しい
HT培地で置き換える。ハイブリドーマの生育が肉眼にて
認められた全ウエルについて固相- 抗体結合テスト法
(ELISA)により陽性ウエルを調べる。まず、20mM炭酸緩
衝液(pH9.6) で希釈した抗原ポリペプチドでポリスチレ
ン製96穴プレートをコート(100ng/ ウエル) し、次に0.
05% Tween20含有PBS を用いて洗浄して未吸着のペプチ
ドを除く。各ウエルにハイブリドーマの生育が確認され
たウエルの培養上清0.1 mlを添加し、室温で約1 時間静
置する。洗浄後、2 次抗体として西洋わさびペルオキシ
ダーゼ(HRP)標識ヤギ抗マウス免疫グロブリン(Cappe
l) を加え、さらに室温で約1 時間静置する。洗浄後、
基質である過酸化水素と3,3',5,5'-テトラメチルベンジ
ジン(TMB) を加え発色させる。各ウエルに2N硫酸を加え
発色反応を停止し、発色の程度をマイクロプレート用吸
光度測定機(MRP-A4、東ソー) を用いて450nmの吸光度
で測定する。
中のハイブリドーマを、限界希釈法を用いてモノクロー
ン化する。すなわち、NS-1培地1 ml当りフィーダーとし
ておおよそ107 個のマウス胸腺細胞を含むクローニング
培地を調製し、96穴マイクロウエルにハイブリドーマを
ウエル当り5 個、1 個、0.5 個になるように希釈し、そ
れぞれ36穴、36穴、24穴に加える。5 日目、12日目に全
ウエルに約0.1 mlのNS-1培地を追加する。クローニング
開始後肉眼的に十分なハイブリドーマの生育を認めたも
の、コロニー形成陰性ウエルが50%以上である群につい
て(f)項に記載したELISA を行う。調べた全ウエルが陽
性でない場合、抗体陽性ウエル中のコロニー数が1 個の
ウエルを4 〜6 個選択し、再クローニングを行う。最終
的にそれぞれのポリペプチドに対するモノクローナル抗
体を産生するハイブリドーマを得る。モノクローナル抗
体4種類を得た。 (h) モノクローナル抗体のクラス、サブクラスの決定 前述したELISA に従い、それぞれのポリペプチドをコー
トしたポリスチレン製96穴プレートに、前記(g) 項で得
られたハイブリドーマの上清を加える。次にPBS で洗浄
後、アイソタイプ特異的ウサギ抗マウスIgG 抗体(Zyme
d Lab.) を加える。PBS により洗浄後、西洋わさびペル
オキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギIgG (H+L)を加え、基
質として過酸化水素および2,2'- アジノ- ジ(3-エチル
ベンゾチアゾリン酸) を用いてクラス、サブクラスを決
定する。
ル抗体の精製 得られたハイブリドーマ細胞をNS-1培地で培養し、その
上清からモノクローナル抗体を得ることができる。ま
た、得られたハイブリドーマ107 個を予め1 週間前にプ
リスタンを腹腔内投与したマウス(Balb/c系、雌、6 週
齢) に同じく腹腔内投与し、1 〜2 週間後、腹水中から
も4 〜7mg/mlのモノクローナル抗体を含む腹水を得るこ
とができる。得られた腹水を40%飽和硫酸アンモニウム
で塩析後、IgG クラスの抗体をプロテインA アフィゲル
(Bio-Rad)に吸着させ、0.1Mクエン酸緩衝液、pH5.0 で
溶出することにより精製する。
精製組換えヒト全長型成熟RAGE(膜型RAGE) 750 ngおよ
びヒト肺抽出蛋白150 ngを還元条件下、10% SDS-PAGEで
分離後、polyvinylidene difluoride (PVDF)膜(MILLIP
ORE )に転写した。続いて1% BSA,5% スキムミルクお
よび0.1% Tween 20 含有PBS (ブロッキングバッファ
ー)を用いて室温で1時間ブロッキングした後、ヒト可
溶型RAGE特異抗体を発現するハイブリドーマ細胞株269-
1D10, 269-4C9, 269-6B12 あるいは269-9C2 の培養上清
中、25℃で1 時間インキュベートした。それぞれの膜を
0.1%Tween 20 含有PBS (0.1%PBS-T)で4 回洗浄し、結
合した抗体をブロッキングバッファーで1:1,000 に希釈
したHRP 結合ヒツジ抗マウスイムノグロブリン抗体(Ame
rsham Pharmacia)と25℃、1 時間反応させた。反応後、
膜を0.1% PBS-Tで4 回洗浄し、結合した抗体をEnhanced
chemiluminescence (ECL, Amersham Pharmacia)により
検出した。また陽性コントロールは、ヒト可溶型RAGE蛋
白発現COS7細胞培養上清、ヒト組換え全長型成熟RAGE蛋
白およびヒト肺抽出蛋白をそれぞれ3 μl 、250ng およ
び50ng用い、ブロッキングバッファーで1:500 に希釈し
たウサギ抗ヒトRAGE抗血清およびブロッキングバッファ
ーで1:2,000 に希釈したHRP 結合ヤギ抗ウサギIgG(H+L)
抗体 (Zymed)により同様に処理し、ECL で検出した。結
果を図7に示す。 M :分子量マーカー 1, 4, 7, 10, 16:組換え膜型RAGE 2, 5, 8, 11, 17:組換え可溶型RAGE 3, 6, 9, 12, 18:ヒト肺抽質物(膜型RAGEを多く含む) 結果 各モノクローナル抗体は組換え膜型RAGEおよびヒト肺抽
質物中膜型RAGEとは交差反応せず、可溶型RAGEと反応し
た。
抗体から少なくとも1種を選択し、抗RAGE抗体の2 種の
適当な組み合わせによってヒト可溶型RAGEを特異的に検
出・測定するサンドイッチEIA 系が構成できる。EIA 系
は1 ステップ法、2 ステップ法のいずれも可能であり、
標識抗体はFab'-HRPに限定されない。各反応緩衝液の組
成や反応条件は測定の目的に応じて、短縮、延長など調
整できる。また、標準品となるヒト可溶型RAGEは、組織
培養上清、細胞培養上清または実施例2記載あるいはそ
れ以外の方法で発現した組換え体から精製することがで
きる。精製にはイオン交換、ゲルろ過、抗ヒト可溶型RA
GEモノクローナル抗体を用いたアフィニティークロマト
グラフィーまたそれ以外の各種アフィニティークロマト
グラフィーの組み合わせによって達成される。 (a) 標識抗体の調製 抗ヒト可溶型RAGEモノクローナル抗体を0.1M NaCl を含
む0.1M酢酸緩衝液、pH4.2 に抗体量の2%(W/W) のペプシ
ンを加え、37℃、24時間消化する。消化物に3MTris-HCl
、pH7.5 を添加し、反応を停止する。0.1Mリン酸緩衝
液、pH7.0 で平衡化したウルトロゲルAcA54 カラムによ
るゲルろ過でF(ab')2 画分を分取する。このF(ab')2 画
分に最終濃度0.01M となるようにシステアミン塩酸塩を
添加し、37℃、1.5 時間還元し、5mM EDTA含有0.1Mリン
酸緩衝液、pH6.0 で平衡化したウルトロゲルAcA54 カラ
ムによるゲルろ過でFab'画分を分取する。上記の操作と
は別にHRP を0.1Mリン酸緩衝液、pH7.0 に溶解、HRP の
25倍モル量のEMCSをDMF 溶液として加え、30℃、30分間
反応させる。これを0.1Mリン酸緩衝液、pH6.0 で平衡化
したNICK-5カラム(Pharmacia)でゲルろ過しマレイミド
標識HRP 画分を分取する。Fab'画分とマレイミド標識HR
P を等モルとなるように両画分を混合し 4℃、20時間反
応させた後、Fab'の10倍モル量のN-エチルマレイミドで
未反応のチオール基をブロックする。これを0.1Mリン酸
緩衝液、pH6.5 で平衡化したウルトロゲルAcA54 カラム
でゲルろ過し、Fab'-HRP標識抗体を分取する。これに0.
1% BSAおよび0.001%クロルヘキシジンを添加して 4℃で
保存する。
液、pH7.5 に溶解し、50μg/mLの濃度に調製する。この
モノクローナル抗体溶液を96穴マイクロプレートにウエ
ルあたり100 μL ずつ加え、 4℃、18時間静置する。モ
ノクローナル抗体溶液を除去し、生理食塩液で1 回、0.
05% Tween20 、0.1M NaCl 、5mM CaCl2含有Tris-HCl緩
衝液、pH8.0 で3回洗浄後、1% BSA、0.1M NaCl 、5mM
CaCl2 含有Tris-HCl緩衝液、pH8.0 を加えブロッキング
する。 (c)1ステップサンドイッチEIA 法 精製したヒト可溶型RAGE画分を標準抗原としてヒト可溶
型RAGE定量用標準曲線を作成する。1% BSA、0.05% Brij
35、0.05% Tween20 、0.1M NaCl 、5mM CaCl2含有Tris-
HCl緩衝液、pH8.0 で段階希釈した標準ヒト可溶型RAGE
を60μL ずつ分注、それぞれに1% BSA、0.05% Brij35、
0.05% Tween 20、0.1M NaCl 、5mM CaCl 2 含有Tris-HCl
緩衝液、pH8.0 で100ng/50μL に調製した標識抗体Fab'
-HRPを60μL ずつ添加し十分混和する。調製した抗体結
合マイクロプレートを0.05% Tween20 、0.1M NaCl 、5m
M CaCl2 含有Tris-HCl緩衝液、pH8.0 で3回洗浄し、標
準抗原と標識抗体混合液を100 μL/ウエルずつ添加す
る。室温で1 時間反応した後0.05% Tween20 、0.1M NaC
l 、5mM CaCl2 含有Tris-HCl緩衝液、pH8.0 で3回洗浄
する。次に、6%ジメチルホルムアミド、0.005%過酸化水
素含有0.1 M 酢酸緩衝液(pH5.5)に溶解した0.01% 3,
3',5,5'-テトラメチルベンジジンをウエルあたり100 μ
L 添加し、室温で20分間反応後、2N硫酸を100 μL 添加
し反応を停止する。この反応混液の450 nmをマイクロプ
レートリーダーを用いて測定し、標準曲線を求める。測
定検体は、ヒト血清、脊髄液、血漿、関節液、尿および
唾液などヒトに由来する体液成分、各種ヒト組織の抽出
液、ヒト由来あるいは組換え体など各種培養細胞の細胞
抽出液、培養上清などから調製される。それぞれの測定
検体は、標準ヒト可溶型RAGEにかえて上記の1 ステップ
サンドイッチEIA に供し、標準ヒト可溶型RAGEと同時に
反応を進行させる。測定検体から得られた吸光度を標準
曲線にあてはめ、測定検体に含まれるヒト可溶型RAGEの
量を算出する。
抗体の検定 ウエスターン ブロッティング (Western blotting) ヒト成熟型RAGEタンパク過剰発現GEN-T 細胞抽出物(75
0 ngタンパク相当) 、ヒト可溶型RAGEタンパク過剰発現
COS 7 細胞の培養上清 3μl 、ヒト肺抽出物(150 ngタ
ンパク相当) およびRainbow Marker (ミオシン(myosi
n), フォスフォリラーゼ b (phosphorylase b), ウシ血
清アルブミン(bovine serum albumin), 卵白アルブミン
(ovalbumin), カルボニック アンヒドラーゼ(carboni
c anhydrase), トリプシン インヒビター(trypsin inh
ibitor), リゾチーム(lysozyme)各 3μg) (Amersham P
harmacia) を還元条件下、10% SDS-PAGEにより分離後、
Immobilon transmembrane (MILLIPORE) に転写し、膜を
PBS/0.1% Tween 20/5% スキムミルク(skim milk) 溶液
中、室温で1時間緩やかに振とうした。次に膜をクロー
ン番号(clone No.) 269-1D10, -4C9, -6B12 および-9C2
の培養上清中、室温で1時間反応後、0.1% Tween 20/PB
S 溶液で15分間、4回洗浄した。続いてPBS/0.1% Tween
20/ 5% スキムミルク(skim milk) 溶液で1,000 倍に希
釈した抗マウスIg (Anti-mouse Ig), horseradish pero
xidase linked whole antibody (fromsheep) (Amersham
Pharmacia)中、室温で1時間反応させ、PBS/0.1% Twee
n 20溶液で15分間、4回洗浄した。その後、膜をECL We
stern Blotting Detection System (Amersham Pharmaci
a)で処理し、シグナルをX線フィルムで検出した。結果
を図8に示す。図8中、M:分子量マーカー(各 3μg)、
R:ヒト成熟型RAGE-Hisタグ タンパク、CM: COS 7 細胞
過剰発現ヒト可溶型RAGEタンパク、及びL:ヒト肺抽出物
を示す。いずれのモノクローナル抗体もヒト成熟型RAGE
およびヒト肺抽出物と反応せず、ヒト可溶型RAGEのみと
反応した。
00×g で1分間遠心し、上清を取り除いた後にTSA を加
え同様の操作で3回樹脂を洗浄した。次に10,000回転で
20分間遠心したヒト可溶型RAGE過剰発現COS 7 細胞の培
養上清600 μlを加え室温で2時間穏やかに撹拌、 200
×g で1分間遠心した上清を以下に用いた。上記同様TS
A で洗浄した樹脂50μl に 100μl のPBS に溶解した可
溶型RAGEモノクローナル抗体269-1D10, 269-9C2 あるい
は正常マウスイムノグロブリンをそれぞれ50μg ずつ加
え、ときどき撹拌しながら4℃で2時間放置した。次に
200×g で1分間遠心し、上清を捨てた後に上記培養上
清を 150μl ずつ分注し、ときどき撹拌しながら4℃で
2時間放置した。その後 200×g で1分間遠心し、上清
を捨てたのち、 500μl のTSA を加え同様の操作で3回
樹脂を洗浄した。最後に 500μl のTris-HCl pH 6.8 を
加えて樹脂を洗浄した後、 200×g で1分間遠心し上清
を捨てた。これにサンプルバッファー(sample buffer;
0.05 M Tris-HCl, pH 6.8/ 2% SDS/0.6% 2- メルカプト
エタノール(2-mercaptoethanol)/10%グリセロール(glyc
erol)/0.005% ブロモフェノール ブルー(bromophenol
blue)) 50μl を加え、100 ℃で3分間加熱し、 200×g
で1分間遠心した上清のうち20μl を10% SDS-PAGEに
より分離した。分離後、Immobilon transmembrane (MIL
LIPORE) に転写し、膜をPBS/0.1% Tween 20/5% スキム
ミルク(skim milk) 溶液中、室温で1時間緩やかに振と
うした。次に膜を5μg/mlウサギ抗ヒト可溶型RAGEポリ
クローナル抗体/PBS/0.1% Tween 20/5% スキムミルク(s
kim milk) 溶液中室温で1時間反応後、0.1% Tween 20/
PBS 溶液で15分間、4回洗浄した。続いてPBS/0.1% Twe
en 20/5% スキムミルク(skim milk) 溶液で1,000 倍に
希釈した抗マウスIg (Anti-mouse Ig), horseradish pe
roxidase linked whole antibody (from sheep) (Amers
ham Pharmacia)中、室温で1時間反応させ、PBS/0.1% T
ween20 溶液で15分間、4回洗浄した。その後、膜をECL
Western Blotting Detection System (Amersham Pharm
acia)で処理し、シグナルをX線フィルムで検出した。
結果を図9に示す。図9中、1:モノクローナル抗体269-
1D10、2:モノクローナル抗体269-9C2 及び3:正常マウス
イムノグロブリンを示す。抗可溶型RAGEモノクローナル
抗体結合アフィニティーカラムはヒト可溶型RAGEをトラ
ップした。なお、対照に用いたマウス正常イムノグロブ
リン結合アフィニティーカラムにおいてはヒト可溶型RA
GEをトラップすることは出来なかった。
ティーカラムの作製 ディスポーザブル(disposable) PD-10カラム (Amersham
Pharmacia) を用いてヒト可溶型RAGEモノクローナル抗
体269-1D10の溶媒をカップリングバッファー(coupling
buffer; 0.2 M NaHCO3, 0.5 M NaCl, pH 8.3) に交換し
た。氷冷した1mM塩酸6 mlで洗浄したHiTrap NHS-activa
ted 1ml (Amersham Pharmacia) に上記ヒト可溶型RAGE
モノクローナル抗体溶液1 mlを注入し、室温で30分間反
応させた。その後3 mlのcoupling buffer をカラムに注
入し、溶出液に1 mlの2M Glycine-HCl, pH2.0 を加え、
A280を測定しカップリング効率を算出した。カラムは6
mlのBuffer A (0.5 M ethanolamine, 0.5 M NaCl, pH8.
3)、6 mlのBuffer B (0.1M acetate, 0.5 M NaCl, pH
4.0)で順次洗浄した後、6 mlのBuffer Aを注入し、室温
で30分間放置した。再び6 mlのBuffer B、6 mlのBuffer
Aで順次カラムを洗浄し、最後に6 mlのBuffer Aで洗浄
した。カラムは2 mlの保存溶液(0.05 M Na2HPO4, 0.1%
NaN3, pH7.0)を注入後4℃で保存した。上記操作はすべ
て流速 200μl/min で行った。
パクの分離 上記の方法に従って作製した可溶型RAGEイムノアフィニ
ティーカラムをSMARTsystemに取り付け、5 mlのスター
トバッファ(start buffer: 50 mM Tris-HCl, 150 mM Na
Cl, pH8.0)、5 mlの溶出バッファ(elution buffer: 100
mM グリシン(glycine)-HCl, 150 mM NaCl, pH2.5)で順
次洗浄後、10 ml のスタートバッファ(start buffer)で
カラムを平衡化した。次にMILLEX-GV 0.22μm Filter U
nit (MILLIPORE) で濾過したヒト血清 2 ml にスタート
バッファ(start buffer) 8 ml を加え、流速 100μl/mi
n でカラムに供し、10 ml のスタートバッファ(start b
uffer)で洗浄した。続いて溶出液を 230 nm, 280 nm お
よび 300 nm の紫外吸収によりモニターしながら 3 ml
の溶出バッファ(elution buffer)で結合物を溶出させ 1
00μl ずつ分画した。得られたピーク画分に 0.9倍量の
トリクロロ酢酸を加えて氷中で30分間放置後、15,000 r
pmで20分間遠心、その後上清を捨てエタノール 750μl
を加えて再び15,000 rpmで5 分間遠心した後、上清を捨
て風乾した。得られた沈殿物を還元条件下、10% SDS-PA
GEにより展開後、Immobilon transmembrane (MILLIPOR
E) に転写し、膜をPBS/0.1% Tween20/5% スキムミルク
(skim milk) 溶液中、室温で1時間緩やかに振とうし
た。次に膜を 5μg/mlウサギ抗ヒト可溶型RAGEポリクロ
ーナル抗体/PBS/0.1% Tween 20/5% スキムミルク(skim
milk) 溶液中、室温で1時間反応後、PBS/0.1% Tween 2
0 溶液で15分間、4回洗浄した。続いて膜を 1.5μg/ml
anti-ウサギ IgG(H+L) HRP コンジュゲート (Zymed)/P
BS/0.1% Tween20/5% スキムミルク(skim milk) 溶液に
より室温で1時間反応し、PBS/0.1% Tween 20 溶液で15
分間、4回洗浄した。その後 ECL Western Blotting De
tection System (Amersham Pharmacia) で膜を処理し、
シグナルをX線フィルムで検出した。結果を図10に示
す。抗可溶型RAGEモノクローナル抗体結合アフィニティ
ーカラムでヒト血清中の可溶型RAGEをトラップし、その
トラップされたタンパクがヒトRAGEであることをウエス
ターン ブロット(western blot)により確認した。この
ことより、ヒト血清中にRAGEタンパクの C末端が欠如し
た可溶型RAGEが存在することを確認した。
討 (AGE 誘導性VEGF発現亢進への可溶性RAGEの影響)実験
には 25 cm2 フラスコでサブコンフルエント(subconflu
ent)まで培養した初代培養ヒト皮膚微小血管内皮細胞
(Cascade Biologics, Inc., Portland, OR、クラボウ,
大阪より購入) を用いた。細胞は新しい5% ウシ胎児
血清(fetal bovine serum), 5 ng/ml 塩基性線維芽細胞
成長因子(basic fibroblast growth factor), 10μg/ml
ヘパリン(heparin) 含有 Hu-Media MV2 培地(medium)(a
ssay medium)で洗浄後、(1) 未添加、(2) 10μg/ml AGE
2-BSA 添加、(3) 10μg/ml AGE2-BSA および25μg/ml精
製可溶性RAGE添加、のassay mediumに置換し、37℃、4
時間保温した。処理後、細胞より poly(A)+ RNA をQuic
kprep micro mRNA isolation kit (Amersham Pharmacia
Biotech) により分離し、SuperScript One-StepRT-PCR
キット (GIBCO BRL)を用いて、VEGF mRNA の検出を行
った。 VEGF mRNA増幅に用いた poly(A)+ RNA 量は30 n
g 、PCR サイクル数は30サイクルである。内部コントロ
ールとして、β−アクチンを用いた (30ng、20サイク
ル) 。RT-PCR産物を、3%アガロースゲル電気泳動にて分
離後、ナイロン膜へアルカリトランスファーし、32P-標
識したVEGF特異的オリゴヌクレオチドプローブでハイブ
リダイゼーションを行った。VEGF mRNA 増幅用プライマ
ーおよびプローブは Nomura etal., J. Biol. Chem. 19
95 と同一である。結果を図11に示す。初代培養ヒト
皮膚微小血管内皮細胞におけるVEGF mRNA発現レベルはA
GE 添加により約2倍亢進するが、AGE と可溶型RAGEが
共存すると、可溶型RAGEがドミナントネガティブに作用
し、AGE によるVEGF mRNA レベルの亢進が防止された。
するサンドイッチアッセイ (測定系A) (a) モノクローナル抗体結合担体の調製 抗ヒト可溶型RAGEモノクローナル抗体278-13F11 を0.1M
リン酸緩衝液、pH7.5に溶解し、25μg/mLの濃度に調製
した。このモノクローナル抗体溶液を96穴マイクロプレ
ートにウェルあたり100 μL ずつ加え、4℃、16〜24時
間静置した。モノクローナル抗体溶液を除去し、精製水
で1回洗浄後、1% BSA、0.15M NaCl、0.001%クロロヘキ
シジン含有 10mM リン酸緩衝液、pH7.0 を300 μL ずつ
加え4℃、24時間以上静置しブロッキングした。 (b) ポリクローナル抗体の調製 合成ペプチド [配列番号:7]をMBS 法によりKLH にコン
ジュゲートし、ウサギに免疫し抗血清を得た。同合成ペ
プチドをカップリングしたアフィニティーカラムで抗血
清を精製した。
ッチEIA 法 精製したヒト可溶型RAGE画分を標準抗原として標準曲線
を作製した(図12)。調製したモノクローナル抗体結合
担体を 300μL の30mM NaCl 、0.01% Tween 20含有 5mM
リン酸緩衝液、pH7.0 (洗浄液 A)で1回洗浄した。
1% BSA、0.1M NaCl 、15% ブロックエース(大日本製
薬)、35μg/mL HAMA 試薬含有 10mM リン酸緩衝液、pH
7.0 (緩衝液 A)で1.7 μg/mLに調製したウサギ抗ヒト
可溶型RAGEC末端ペプチドポリクローナル抗体を160 μL
ずつ抗体結合プレートに加えた。さらに、調製した標
準液または測定検体を40μL ずつ加え、マイクロプレー
トミキサーで十分に混合後、反応液の蒸発を防ぐために
シールを貼り4℃、16〜24時間静置した。洗浄液A でウ
ェルあたり 300μL で4回洗浄し、緩衝液A で5000倍希
釈した抗ウサギIgG ペルオキシダーゼ標識抗体(Amersh
am Pharmacia)を100μL 加え、25℃、2時間静置し
た。洗浄液A でウェルあたり 300μL で4回洗浄し、0.
1mg/mL 3, 3', 5, 5'-テトラメチルベンジジン、0.0075
% 過酸化水素, 1%DMF含有 0.1M クエン酸緩衝液, pH4.0
を 100μL ずつ加え、25℃、30分間静置した。2N硫酸
を 100μL ずつ添加し反応を停止し、この反応混液を波
長450nm で測定し、標準曲線より検体の測定値を求め
た。
するサンドイッチアッセイ (測定系B) (a) モノクローナル抗体結合担体の調製 抗ヒト可溶型RAGE C末端ペプチドモノクローナル抗体26
9-1D10を0.1Mリン酸緩衝液、pH7.5 に溶解し、25μg/mL
の濃度に調製した。このモノクローナル抗体溶液を96穴
マイクロプレートにウェルあたり 100μL ずつ加え、4
℃、16〜24時間静置する。モノクローナル抗体溶液を除
去し、精製水で1回洗浄後、1% BSA、0.15M NaCl、0.00
1%クロロヘキシジン含有 10mM リン酸緩衝液、pH7.0 を
300μLずつ加え4℃、24時間以上静置しブロッキング
した。 (b) モノクローナル抗体を用いたサンドイッチEIA 法 精製したヒト可溶型RAGE画分を標準抗原として標準曲線
を作製した(図13)。調製したモノクローナル抗体結合
担体を 300μL の洗浄液A で1回洗浄した。緩衝液A で
1μg/mLに調製した酵素標識抗体液(278-3A6、IgG-HRP)
を 160μL ずつ抗体結合プレートに加えた。さらに、調
製した標準液または測定検体を40μL ずつ加え、マイク
ロプレートミキサーで十分に混合後、反応液の蒸発を防
ぐためにシールを貼り4℃、16〜24時間静置した。洗浄
液A でウェルあたり 300μL で4回洗浄し、0.1mg/mL
3, 3', 5, 5'-テトラメチルベンジジン、0.0075% 過酸
化水素, 1% DMF含有0.1Mクエン酸緩衝液, pH4.0 を 100
μL ずつ加え、25℃、30分間静置する。 2N 硫酸を 100
μL ずつ添加し反応を停止し、この反応混液を波長450n
m で測定し、標準曲線より検体の測定値を求めた。
的に測定するサンドイッチアッセイ (測定系C) (a) モノクローナル抗体結合担体の調製 抗ヒト可溶型RAGEモノクローナル抗体278-13F11 を0.1M
リン酸緩衝液、pH7.5に溶解し、25μg/mLの濃度に調製
した。このモノクローナル抗体溶液を96穴マイクロプレ
ートにウェルあたり 100μL ずつ加え、4℃、16〜24時
間静置する。モノクローナル抗体溶液を除去し、精製水
で1回洗浄後、1% BSA、0.15M NaCl、0.001%クロロヘキ
シジン含有 10mM リン酸緩衝液、pH7.0 を 300μL ずつ
加え4℃、24時間以上静置しブロッキングした。 (b) モノクローナル抗体を用いたサンドイッチEIA 法 精製したヒト可溶型RAGE画分を標準抗原として標準曲線
を作製した(図14)。調製したモノクローナル抗体結合
担体を 300μL の洗浄液A で1回洗浄した。緩衝液A で
1μg/mLに調製した酵素標識抗体液 (278-3A6 、IgG-HR
P)を 100μL ずつ抗体結合プレートに加えた。さらに、
調製した標準液または測定検体を20μLずつ加え、マイ
クロプレートミキサーで十分に混合後、25℃、1〜2時
間静置した。洗浄液A でウェルあたり 300μL で4回洗
浄し、0.1mg/mL 3, 3', 5, 5'-テトラメチルベンジジ
ン、0.0075% 過酸化水素, 1% DMF含有0.1Mクエン酸緩衝
液,pH4.0 を 100μL ずつ加え、25℃、30分間静置し
た。 2N 硫酸を 100μL ずつ添加し反応を停止し、この
反応混液を波長450nm で測定し、標準曲線より検体の測
定値を求めた。
ずれもヒト可溶型RAGEを標準物質として0.1 〜6.4ng/mL
の範囲で良好な標準曲線を描くことができた。膜型RAGE
過剰発現COS-7 細胞をコンフルエントまで培養後、培地
を抜き取り、PBS で細胞層を洗浄した。その後、1% n-O
ctylglucoside, 0.1 M NaCl, 1 mM PMSF含有20 mM Tris
-HCl, pH 7.4で細胞をlysis し、遠心した上清につい
て、可溶型RAGEを標準物質としてA、B、Cそれぞれの
測定系で測定した。測定系Cでの測定値は48ng/mL であ
ったが、測定系AおよびBではそれぞれ0ng/mL、2.7ng/
mLであった(図15)。これらのことから、測定系Cは可
溶型および膜型両方のRAGEを認識し、測定系AおよびB
は可溶型RAGEのみ認識することが確認された。
測定〕糖尿病罹病期間 7.8〜17.3年(平均12.5±2.6
年)、インスリン皮下自己注射療法のみで治療を受けて
いるI型糖尿病患者血清及び血漿について、ヒト可溶型
RAGEを特異的に測定する測定系Aで測定した。網膜症の
進展程度は眼底所見をもとに、正常、単純網膜症に分類
した。腎症については糖尿病腎症病期分類厚生省改定案
に準じ、随時尿による尿中アルブミン・クレアチニン比
30mg/g未満を腎症前期、30〜299 mg/gを早期腎症と判定
した。なお、病期が前増殖性網膜症、増殖性網膜症およ
び顕性腎症以上の患者試料と血清クレアチニン値2mg/dL
以上の腎不全期の患者試料は除外した。網膜症、腎症と
もに発症していない患者群(合併症未発症群)と腎症を
発症していない単純網膜症患者群(単純網膜症患者群)
および網膜症を発症していない早期腎症患者群(早期腎
症患者群)間で測定系Aを利用して血中可溶型RAGE量を
測定し、統計的に解析した。その結果、合併症未発症群
(糖尿病罹病期間12.1±2.3 年)の可溶型RAGE量は単純
網膜症患者群(糖尿病罹病期間13.1±2.6 年)、早期腎
症発症患者群(糖尿病罹病期間11.7±2.5 年)と比較し
てそれぞれ有意(p<0.005, p<0.05) に高値を示した(図
16)。糖尿病合併症発症には個人差があり、とくに腎症
では約30% が罹患感受性を示すことが知られている。今
回の検討では、合併症未発症群の血中可溶型RAGE量が単
純網膜症患者群、早期腎症患者群と比較して有意に高い
値を示した。このことから糖尿病合併症発症時期におけ
る個体間の可溶型RAGE発現量の遺伝的差異が糖尿病合併
症罹患感受性/抵抗性の決定因子の一つであると推察さ
れ、可溶型RAGEが糖尿病合併症の発生に対して保護的に
機能している可能性が考えられた。すなわち、可溶型RA
GEを定量することによる、糖尿病合併症罹患感受性、抵
抗性の予測可能性が示唆された。
能であり、AGE とRAGEの間の相互作用に起因する疾患の
診断、糖尿病合併症の原因究明、診断・リスク予知など
に有用である。ヒト可溶型RAGE蛋白に対するモノクロー
ナル抗体を始めとした抗体などの活性物質を作製し、こ
れを用いた当該タンパクの測定系を開発することが可能
で、糖尿病合併症発症・進展のリスク予知などに役立
つ。また、可溶型RAGEの産生を制御する化合物の開発も
可能となるし、がんの転移、浸潤の診断などにも有用で
ある。本発明の可溶型RAGEは、生体内に存在する天然型
ペプチド(内在性ペプチドあるいは内因性ペプチド)
で、C末端部分の16個のアミノ酸残基においてRAGE蛋白
質と異なっているものである。本発明の可溶型RAGEは、
内在性に産生される天然のフォームなので、生理的なも
のであり、抗体ができる恐れが少なく、さらに経口可能
な可溶型RAGE産生制御化合物及び薬剤などを開発して、
そうした医薬により本発明の可溶型RAGEの発現を誘導で
きるようになれば、苦痛を与えることなしに、糖尿病患
者を合併症から守ることなどができる。本発明により、
内因性可溶型RAGEポリペプチド若しくはその塩、さらに
はそれを基礎とした変異体、修飾体、誘導体などをデザ
インして得ることが可能となり、またそれらをコードす
る核酸、該核酸を有するベクター、該ベクターで形質転
換された宿主細胞が提供でき、内因性可溶型RAGEに関連
した疾患、例えば糖尿病合併症、老化に付随した各種疾
患、アルツハイマー病、動脈硬化症、生体内タンパク質
のグリケーション化に起因した疾患あるいは病気の発症
及び/又は進展、及び腫瘍の浸潤又は拡散などの病的な
状態あるいは症状の研究に役立つし、医薬品、診断薬、
さらには遺伝子診断や遺伝子治療の途を開くと期待でき
る。本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以
外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑
みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従っ
てそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものであ
る。
物のオルタナティブスプライシングによって生成される
RAGE 蛋白の分子多様性を示す。 C端欠失可溶型が、本
発明の可溶型RAGEに相当するものである。
を有するfullRAGE遺伝子より人工的に作製された可溶化
型RAGEとよばれるもの(US5864018) と比較しての本発明
の可溶型RAGEをコードする核酸(solubleRAGE) の塩基配
列を示す。
bleRAGE の塩基配列を示す。
bleRAGE の塩基配列を示す。
の可溶型RAGE(solubleRAGE) のアミノ酸配列を示す。
泳動写真を示す。1は細胞培養上清の銀染色像、2は精
製蛋白の銀染色像を示す。
使用してのウエスタンブロッティングの結果を示す。
ブロッティング (western blotting) の結果の電気泳
動写真を示す。成熟型RAGE(R) 、可溶型RAGE過剰発現 C
OS 7細胞培養上清(CM)、ヒト肺抽出タンパク(L) および
7種のタンパクを含む分子量マーカー(M) をSDS-PAGEで
分離後、抗可溶型RAGEモノクローナル抗体産生ハイブリ
ドーマ培養上清を用いウエスターン ブロッティングを
行った。
沈降の結果の電気泳動写真を示す。可溶型RAGEモノクロ
ーナル抗体269-1D10 (1), 269-9C2 (2) 或いは正常マウ
スイムノグロブリン(3) を結合させたprotein G Sephar
ose を用いて可溶型RAGE過剰発現 COS 7細胞培養上清か
ら当該タンパクを免疫沈降後、SDS-PAGEで分離し、ウエ
スターン ブロッティング (western blotting) により
可溶型RAGEを検出した。
の検出のため、抗ヒト可溶型RAGEモノクローナル抗体を
使用したイムノアフィニティーカラムクロマトグラフィ
ーを行った結果の溶出パターンとそのピーク画分より得
られた沈殿物の電気泳動写真を示す。2.5 mgのヒト可溶
型RAGEモノクローナル抗体269-1D10が結合したイムノア
フィニティーカラムにヒト血清2 mlをアプライし、カラ
ムクロマトグラフィーを行った。ピーク画分 (fraction
no. 16 〜18) はTCA で処理し、沈殿物をSDS-PAGEによ
り展開、ウサギ抗ヒト可溶型RAGEポリクローナル抗体を
用いてウエスターンブロッティング (western blottin
g) を行った。
を示す。初代培養ヒト皮膚微小血管内皮細胞を(1) 未添
加、(2) 10μg/ml AGE2-BSA 添加、(3) 10μg/ml AGE2-
BSA および25μg/ml精製可溶性RAGE添加培養液中で処理
後、細胞より poly(A)+ RNA を分離しVEGF mRNA の検出
を行った。
型RAGE測定サンドイッチアッセイ系(測定系A)で得ら
れた可溶型RAGE画分(標準抗原)の標準曲線を示す。
型RAGE測定サンドイッチアッセイ系(測定系B)で得ら
れた可溶型RAGE画分(標準抗原)の標準曲線を示す。
型及び膜型RAGE特異的測定サンドイッチアッセイ系(測
定系C)で得られた可溶型RAGE画分(標準抗原)の標準
曲線を示す。
(上清)を測定系A、B及びCで測定した結果を示す。
可溶型RAGEを標準物質として使用した。
RAGEを測定系Aで測定した結果を示す。
Claims (9)
- 【請求項1】 次のものに対する抗体: (1)(A)可溶型 Receptor for advanced glycation endpr
oducts (RAGE) ポリペプチド若しくは(B) (i) 該可溶型
RAGE のアミノ酸配列と少なくとも60% の相同性を有し
且つ(ii) (a) 可溶型 RAGE のアミノ酸配列のうちの少
なくとも 5〜347 個の連続したアミノ酸残基を有するも
の、 (b) 膜結合型RAGEの有している膜貫通ドメインを欠失
し且つC 末端側には配列表の配列番号:2のアミノ酸配
列Glu332〜Met347のうちの少なくとも 1〜16個の連続し
たアミノ酸残基を有するもの、 (c) 配列表の配列番号:2のN 末端側アミノ酸配列Met
1〜Val117のうちの少なくとも 1〜117 個の連続したア
ミノ酸残基を有し且つ膜結合型RAGEの有している膜貫通
ドメインを欠失しているもの、 (d) 膜結合型RAGEの有しているN 末端側アミノ酸配列
の1 〜117 個の連続したアミノ酸残基のうちの少なくと
も 1〜117 個の連続したアミノ酸残基を有し且つその C
末端側には配列表の配列番号:2のアミノ酸配列Glu332
〜Met347のうちの少なくとも 1〜16個の連続したアミノ
酸残基を有するもの、及び(e) 配列表の配列番号:2
のアミノ酸配列を有するものあるいはそれと実質的に同
等の生物活性を示すものから成る群から選ばれたポリペ
プチドまたはその塩、(2) 配列表の配列番号:2で表さ
れるアミノ酸配列のうち、(i) 少なくとも連続した5
〜115 個のアミノ酸残基を有するもの、(ii) 少なくと
も連続した116 〜230 個のアミノ酸残基を有するもの、
(iii) 少なくとも連続した231 〜347 個のアミノ酸残基
を有するもの、(iv) 第1番目〜第117 番目のアミノ酸
配列のうちの少なくとも1個以上の連続したアミノ酸残
基を有するもの、(v) 第332 番目〜第347 番目のアミ
ノ酸配列のうちの少なくとも1個以上の連続したアミノ
酸残基を有するもの、(vi) 第19番目〜第347 番目のア
ミノ酸配列を有するもの、(vii) 第1番目〜第347 番目
のアミノ酸配列を有するもの、及び(viii) それらのい
ずれか一つと実質的に同等のアミノ酸配列を有するもの
からなる群から選ばれたポリペプチドまたはその塩、
(3) 前記(1) 又は(2) のポリペプチドのうち、Advanc
ed glycation endproducts (AGE)とそのレセプターの間
の相互作用、可溶型RAGEの発現量及び/又はAGE捕捉活
性の変化に起因した疾患に対して活性を有するポリペプ
チドまたはその塩、あるいは(4) 前記(1) 〜(3) のい
ずれか一記載のポリペプチドの部分ペプチドまたはその
塩。 - 【請求項2】 請求項1の(1) 〜(4) のいずれか一記載
のポリペプチドまたはその塩と特異的に免疫反応する抗
体を測定試薬として用いることを特徴とする請求項1の
(1) 〜(4) のいずれか一記載のポリペプチドまたはその
塩の免疫学的測定方法。 - 【請求項3】 請求項1の(1) 〜(4) のいずれか一記載
のポリペプチドまたはその塩と特異的に免疫反応する抗
体を含むことを特徴とする組成物。 - 【請求項4】 請求項1の(1) 〜(4) のいずれか一記載
のポリペプチドまたはその塩と特異的に免疫反応する抗
体を含むことを特徴とする請求項1の(1) 〜(4) のいず
れか一記載のポリペプチドまたはその塩の免疫学的測定
試薬。 - 【請求項5】 請求項1記載の抗体を含有していること
を特徴とする医薬。 - 【請求項6】 請求項1記載の抗体を含有していること
を特徴とするAGE とそのレセプターの間の相互作用、可
溶型RAGEの発現量及び/又はAGE 捕捉活性の変化に起因
した疾患診断剤。 - 【請求項7】 請求項1記載の抗体を使用した、可溶型
RAGEの産生を亢進し、糖尿病合併症の発症及び/又は進
展を防ぐ化合物のスクリーニング方法又はスクリーニン
グキット。 - 【請求項8】 請求項1記載の抗体を使用した、体液中
の可溶型RAGEを検出し、糖尿病合併症、老化に付随した
各種疾患、アルツハイマー病、動脈硬化症、生体内タン
パク質のグリケーション化に起因した疾患あるいは病気
の発症及び/又は進展、腫瘍の浸潤又は拡散を予知する
方法。 - 【請求項9】 請求項1記載の抗体を使用し、可溶型RA
GEの産生をスクリーニングすることにより得られる、可
溶型RAGE産生制御化合物。
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JP2005337952A (ja) * | 2004-05-28 | 2005-12-08 | Kanazawa Univ Tlo Inc | 生活習慣病予知因子 |
JP2007163407A (ja) * | 2005-12-16 | 2007-06-28 | Tohoku Univ | 早期肺癌の術後予後検査方法 |
JP2007319127A (ja) * | 2006-06-02 | 2007-12-13 | Kanazawa Univ | アルツハイマー病の診断方法 |
JP2009529920A (ja) * | 2006-03-21 | 2009-08-27 | ワイス | Rageの拮抗作用のための方法および組成物 |
JP2016114573A (ja) * | 2014-12-18 | 2016-06-23 | 国立大学法人金沢大学 | オキシトシン検出のためのサンプルの前処理方法 |
-
2002
- 2002-02-25 JP JP2002048096A patent/JP4171228B2/ja not_active Expired - Lifetime
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