JP2005337952A - 生活習慣病予知因子 - Google Patents

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Hiroshi Yamamoto
博 山本
Hideto Yonekura
秀人 米倉
Takuo Watanabe
琢夫 渡邉
Yasuhiko Yamamoto
靖彦 山本
Shigeru Sakurai
繁 櫻井
Yoshinori Nishizawa
良記 西沢
Hidenori Koyama
英則 小山
Hironori Tamei
弘範 為井
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Abstract

【課題】 2型糖尿病患者は何年間も症状を現わさないことがあるし、インスリンの自己分泌がかなり残っている場合もあるし、インスリン抵抗性になっている場合もあり、その早期発見や進行の予知が課題となっている。また糖尿病合併症や肥満、高血圧、動脈硬化症などの生活習慣病の発症の可能性や、症状の進行の可能性あるいは進行しやすい体質か否かなどが的確に判定できれば、病気を事前に予防したり、適切な治療を施すことができて、予防医学や公衆衛生学的に極めて有用でこの目的に使用できる因子(マーカー)が求められている。
【解決手段】 血液検体中のesRAGEを測定し、得られたesRAGEに関する測定値を生活習慣病発症のリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として利用することで、的確に且つ簡単に生活習慣病発症リスク及び/又は症状進行可能性のリスク検査又は分析を行うことができ、様々な試薬や医薬の開発にも利用可能。
【選択図】 なし

Description

本発明は、糖尿病、肥満、高血圧、動脈硬化症(脳卒中、脳梗塞、心筋梗塞などを含む)などの生活習慣病の危険性を予知するための因子及びその使用法に関する。
近年糖尿病患者数は増加の一途を辿り、平成15年(2003年)の厚生省統計では我が国の推定罹患人口は約740万人、予備軍を含めると約1620万人と報告され、平成10年(1998年)の糖尿病が強く疑われる人(治療中の人を含む)約690万人、糖尿病の可能性を否定できない人を含めた値約1370万人と比較してもその増加傾向は否めない。糖尿病患者の生命予後と quality of life (QOL)を直接左右するのは、一次的なインスリン作用不足ではなく、高血糖の結果二次的に起こる全身各部の血管障害すなわち血管合併症である。したがって、糖尿病合併症の成因を明らかにし、また、如何にこれを克服するかを解明することは緊急な解決を要する国民的研究課題である。
糖尿病合併症発症・進展に関わる因子として、高血糖状態で加速的に形成・蓄積される後期糖化反応生成物(advanced glycation end-products: AGE)と、これに応答する細胞側因子として、AGEを特異的に認識・結合する細胞表面特異レセプター(receptor for AGE: RAGE)が重要な働きをしているとの知見が報告されつつある。
AGEとは、グルコースなどの還元糖とタンパク質のアミノ基とが非酵素的に反応し、可逆性のあるShiff塩基形成、Amadori転移を経て形成される不可逆的な架橋物質の総称である。古典的な概念によれば、AGEは、特有の蛍光、褐色、分子内・分子間の架橋形成といった物理化学的な性状と、マクロファージ等の細胞膜レセプターに認識されるという生物学的な特徴を有するものとされる。最近の研究では、反応性に富むグリセルアルデヒド(glyceraldehyde)やグリコールアルデヒド(glycolaldehyde)、メチルグリオキザール、グリオキサール、3-デオキシグルコソンといった各種中間代謝産物からもAGEは形成されると言われている。またAGE形成は、Amadori転移化合物の酸化的分解やグルコースの自動酸化、さらに脂質の過酸化などによっても生じるとも言われる。生体内には、赤血球膜蛋白、アルブミン、リポプロテイン、アンチトロンビン、トロンボモジュリンなどの血中血漿タンパク質、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカンなどの細胞外基質構成タンパク質など様々なタンパク質や核酸などが存在するが、それらがAGE化することにより機能障害が生ずるものと考えられている。現在までに構造が明らかにされたAGEとしては、例えば、カルボキシメチルリジン(CML)、カルボキシエチルリジン、ペントシジン、ピラリン、クロスリン、メチルグリオキサール(MG)-イミダゾロン、3-デオキシグルコソン(3DG) -イミダゾロン、フルオロリンクなどが知られている。しかし、これらは生体内に存在する全AGEの数%にすぎず、これ以外にも未知の構造体を含めて様々な物質の存在も考えられており、どのようなAGEが糖尿病血管合併症の発症・進展に関わっているのかは未だ明らかではない。AGEは、糖尿状態で非常に加速度的に循環血液中や各種の組織中に蓄積することも知られており、例えば、網膜症、腎症、末梢神経障害といった神経障害などの糖尿病血管合併症のみならず、動脈硬化症、アルツハイマー病、腫瘍の増殖・転移・炎症反応にも関与することが明らになってきている。
従来、糖尿病血管合併症には感受性/抵抗性遺伝要因が存在することが知られているが、その実体については未だ不明である。AGEは、糖尿病や老化に伴った様々な合併症に関与することが指摘され、モノサイト/マクロファージ、ニューロン、平滑筋細胞、内皮細胞などの細胞表面に発現される受容体などの細胞表面受容体と結合することも知られている。AGEはこうした受容体(レセプター)と相互作用し、様々な生理的及び生物学的作用を生体や細胞に及ぼすと考えられている〔非特許文献1〜3〕。AGEは、例えば、内皮細胞に対してはそれを増殖させたり、また透過性や血栓形成を高める。また、モノサイト/マクロファージなどでは、サイトカインの放出を促したり、さらには細胞の増殖、移動、マトリックスの合成に関与する各種ファクターの放出を促したりする。さらに、脈管壁における炎症反応にも関与することも疑われている。
AGEにより誘起される組織の機能障害は、レセプター依存性のメカニズムによると推定される。AGEの細胞表面受容体の一つであるRAGEについて、トランスジェニック動物やアンチセンスDNA、リボザイムなどを使用した研究から、AGE-RAGE系間の相互作用が様々な生理的及び生物学的作用を生体や細胞に及ぼすのに関与しており、その結果、様々な疾患や病気を引き起こしたり、悪化させるのに重要な働きをしているとの証拠が明らかにされつつある〔非特許文献1〜5〕。ヒト血管細胞でのRAGE遺伝子並びにその産物の解析の中で、本発明者の山本は、ヒト血管細胞で発現するRAGE蛋白に分子多様性があること、そして、新しいアイソフォームRAGE蛋白をコードするcDNAはRAGE遺伝子転写産物の選択的スプライシング(alternative splicing)により生成されたmRNAに由来するものであることを明らかにした。そして、当該新規なRAGE蛋白は、膜結合領域を欠くものであって細胞外に分泌される可溶型RAGE蛋白であること、並びに、成熟膜結合型蛋白と同一の細胞外ドメインを持つため、AGEを捕捉しうることを見出し、当該可溶型受容体をesRAGE(endogenous secretory RAGE)と命名し、esRAGEの発現量の差が糖尿病血管合併症罹患感受性に関わっている可能性を指摘した〔非特許文献6〕。
糖尿病とは、インスリン作用の不足による慢性高血糖を主候とし、種々の特徴的な代謝異常を伴う疾患群で、普通、グルコース(ブドウ糖)の血中レベルが異常に高い状態が継続する疾病を指しており、その診断基準としては(1)空腹時の血糖値が≧126mg/dl(7.0mmol/l)である場合、(2)随時(食事や採血の時間に関係なく)の血糖値が≧200mg/dl(11.1mmol/l)である場合、あるいは(3)75g糖負荷試験(oral glucose tolerance test; OGTT)での2時間値が≧200mg/dl(11.1mmol/l)である場合(静脈血漿値)に「糖尿病型」と判定し、その糖尿病型の者につき2回以上の検査で上記血糖値が確認されたり、所定の典型的症状が認められたり、あるいはHbA1c値が≧6.5%である場合などに「糖尿病」と診断される〔非特許文献7〕。
軽度の糖尿病は、ほとんど自覚症状が無く、そのため知らないうちに進行してしまう。そして糖尿病が怖いのは、高血糖の結果全身各部の血管が冒されていく血管合併症が起こったり、神経やその他の器官・組織に損傷を与えて合併症を起こし、それにより死亡率が高くなるばかりでなく、網膜症により視力喪失したり、腎臓の機能低下により透析を必要とするようになったりして、生活の質を著しく低下させるからである。
糖尿病はいくつかのタイプがあるが、主に1型糖尿病と2型糖尿病とに大別され、わが国では大部分(95%以上)がこの2型タイプの患者である。2型糖尿病は、インスリン分泌低下とインスリン感受性の低下(インスリン抵抗性)の両者が発症にかかわるとされ、一般的には遺伝的因子(体質)を背景に、環境因子として栄養過多、肥満、運動不足、ストレス、ホルモン分泌状態の変化、ライフスタイルの変化などの生活習慣や食習慣を契機として発症すると考えられており、生活習慣病の一つとされている。2型糖尿病の患者は、何年間も、あるいは数十年間も特に症状を現わさないことがあるし、インスリンの自己分泌がかなり残っている場合もあるし、またインスリン抵抗性になっている場合もあり、その症状は多種多様であって、その病状の経過も様々である。
動脈硬化症、特に粥状硬化症(atherosclerosis)と冠動脈疾患、血清脂質との関係は、多くの疫学調査あるいは大規模臨床試験などを通じて研究され、血清総コレステロールの高値、HDL-コレステロールの低値、LDL-コレステロールの高値は冠動脈疾患発症の危険因子であることが示されている。そして、これら脂質による指標(脂質マーカー)に、耐糖能の異常(糖尿病)、肥満、高血圧などを指標として加え、危険因子群を集積し、複合的に動脈硬化性疾患の危険を把握しようとすることが提唱されるに至っている。
こうした考え方は、例えば、米国National Cholesterol Education Program(NCEP)による「Adult Treatment Panel III(ATP III)」をはじめとして日本動脈硬化学会による「高脂血症治療ガイドライン」などで公表され、実際に、臨床の場においてリスクの評価と患者の管理に使用されている。さらに高脂血症の薬物治療の結果を通じて、脂質マーカーの変動と虚血性脳卒中との関係も明らかになり、脂質マーカーが冠動脈に限らず、脳動脈や末梢動脈も含む全身の動脈硬化の発症や進展の指標としても役立つことが示唆されている。
しかしながら、これらの当該病気の発生の危険性を複合的な手法で把握しようとする試みにもかかわらず、なお、動脈硬化性疾患の病態のすべてを把握することは実際には困難である。事実、心筋梗塞の既往があるか、冠動脈造影により50%の狭窄が認められる患者においても、脂質マーカーの検査値には異常が認められず、さらに糖尿病や高血圧の危険因子も有さない患者が存在するという問題が実際にある。また心筋梗塞には無痛性のものもあり、自覚症状を与えない場合も存在する。
これらのことは、例えば、従来の動脈硬化性疾患の指標、特に脂質マーカーのみでは動脈硬化症の罹患に関する情報を得ることができず、結果としてその発症の危険性を予測したりするのは不可能で、初期診療や健康診断において動脈硬化症が関与する疾患の発症の可能性を見落とすことにつながることを意味する。従って、公知の指標、特に公知の脂質マーカー群とは異なる新規な動脈硬化症の指標が求められている。
J. Biol. Chem., 272, pp8723-8730 (1997) Diabetologia, 41, pp1435-1441 (1998) Biochem. Biophys. Res. Commun., 213, pp681-687 (1995) Ann. N.Y. Acad. Sci., 902, pp163-170 (2000) J. Clin. Invest., 108, pp261-268 (2001) Biochem. J., 370, pp1097-1109 (2003) 糖尿病, 42(5), 385-404 (1999)
2型糖尿病は、多くは中高年で発症するが、最近では生活習慣と社会変化に伴い、子供などの若年者の発症も問題となっている。糖尿病の殆どを占める2型糖尿病に関連して、その発症の潜在的危険性(リスク)を的確に評価することができれば、糖尿病になる前に生活習慣を改善して発病を予防できる。また、2型糖尿病患者並びにその予備軍では、その危険度を予知することはもちろん、病気の初期では検査で糖尿病自体を発見するのも非常に困難であるが、2型糖尿病に対するリスク及びそのリスクの程度を的確に示す指標、さらには 2型糖尿病を正確に示す指標があれば、その病気の予防も可能となるし、さらに病気の早期発見が可能であり、病気の進行・悪化を防ぐのみでなく、その治療の可能性もでてくる。さらに、糖尿病で特に問題となっている合併症についても、発症のリスクを有しているのか否か、もしリスクを有するとしてどのようなリスクがあるかを的確に予知できれば、事前に予防及び治療を施すことができる。かくして、今後、老齢化社会となって課題となる医療費の効率的な配分も可能となるし、社会的且つ経済的な問題の解決に資することとなる。よって、糖尿病のリスク予知(特には2型糖尿病発症のリスク予知)、2型糖尿病に伴う合併症のリスクを的確且つ個々具体的に予測したり、判定するのに使用できる技術の開発が求められている。また、典型的な生活習慣病の一つである高血圧病、動脈硬化症などについてもその発症の潜在的危険性(リスク)を的確に評価する技術、その進行性、感受性、予防能力、さらには種々の治療などの処置の有効性を予知したり、検知したり、評価するための技術の開発が求められている。
本発明者等は、AGE-RAGE系間の相互作用が様々な生理的及び生物学的作用を生体や細胞に及ぼすのに関与し、その結果、様々な疾患や病気を引き起こしたり、悪化させるのに重要な働きをしているとの認識の下に、受容体因子であるRAGEに分子多様性があり、そのバリアントである、膜結合領域を欠くものであって細胞外に分泌される可溶型RAGE蛋白esRAGEを発見したが、該esRAGEは糖尿病血管合併症罹患感受性に関与するのではないかと考え、鋭意研究を進めたところ、血中esRAGE量が様々な生活習慣病の発症や進展(悪化)と相関することを見出し、該血中esRAGE値を指標として使用すれば、生活習慣病発症の可能性の程度、またはリスクの高低あるいは症状進行の可能性の程度に対する個人の傾向を分析することができるし、生活習慣病の病態生理学的状態および/または治療応答性に対する個人の傾向を評価することができることを知見して,本発明を完成することに成功した。かくして本発明では、血液検体中のesRAGEを測定し、得られたesRAGEに関する測定値を生活習慣病発症のリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用して、的確に且つ簡単に生活習慣病発症リスク及び/又は症状進行可能性のリスク検査又は分析を行う方法、そのための試薬などが提供される。
本発明は、以下を提供している。
〔1〕 個人から単離した血液検体中のesRAGEを定量分析することを含むことを特徴とする、生活習慣病発症の可能性の程度、またはリスクの高低あるいは症状進行の可能性の程度に対する個人の傾向を分析する方法。
〔2〕 生活習慣病が、2型糖尿病あるいはインスリン抵抗性であることを特徴とする上記〔1〕記載の方法。
〔3〕 生活習慣病が、肥満症、高血圧症及び動脈硬化症からなる群から選択されたものであることを特徴とする上記〔1〕記載の方法。
〔4〕 個人の血液検体中のesRAGEを定量分析することを含むことを特徴とする、生活習慣病の病態生理学的状態および/または治療応答性に対する個人の傾向を評価する方法。
〔5〕 生活習慣病が、2型糖尿病あるいはインスリン抵抗性であることを特徴とする上記〔4〕記載の方法。
〔6〕 生活習慣病が、肥満症、高血圧症及び動脈硬化症からなる群から選択されたものであることを特徴とする上記〔4〕記載の方法。
〔7〕 血液検体中のesRAGEを測定し、得られたesRAGEに関する測定値を生活習慣病発症のリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用し、該生活習慣病が、2型糖尿病、インスリン抵抗性、肥満症、高血圧症及び動脈硬化症からなる群から選択されたものであることを特徴とする生活習慣病発症リスク及び/又は症状進行可能性のリスク検査又は分析方法。
〔8〕 血液検体中のesRAGEを測定し、次の(1)〜(4):
(1) 得られたesRAGEに関する測定値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性、肥満症、高血圧症及び動脈硬化症の発症に対するリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用し、且つ、血中esRAGE値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性、肥満症、高血圧症及び動脈硬化症のすべてのリスクマーカーとして使用する;
(2) 得られたesRAGEに関する測定値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性、高血圧症及び動脈硬化症の発症に対するリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用し、且つ、血中esRAGE値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性、高血圧症及び動脈硬化症のすべてのリスクマーカーとして使用する;
(3) 得られたesRAGEに関する測定値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性及び高血圧症の発症に対するリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用し、且つ、血中esRAGE値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性及び高血圧症の両者のリスクマーカーとして使用する;
(4) 得られたesRAGEに関する測定値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性及び動脈硬化症の発症に対するリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用し、且つ、血中esRAGE値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性及び動脈硬化症の両者のリスクマーカーとして使用する;
のいずれか一を含むことを特徴とする生活習慣病発症リスク及び/又は症状の進行の可能性のリスク検査又は分析方法。
〔9〕 血液検体中のesRAGEを測定し、得られたesRAGEに関する測定値を2型糖尿病合併症の発症に対するリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用することを特徴とする2型糖尿病合併症発症リスク及び/又は症状の進行の可能性のリスク検査又は分析方法。
〔10〕 2型糖尿病合併症が、肥満、高血圧及び動脈硬化からなる群から選択された症状であることを特徴とする上記〔9〕記載の方法。
〔11〕 血液検体中のesRAGEの存在量とリスクの程度とが負の相関であることを利用することを特徴とする上記〔7〕〜〔10〕のいずれか一記載のリスク検査又は分析方法。
〔12〕 血中esRAGE量を経時的に比較することを含むことを特徴とする上記〔7〕〜〔11〕のいずれか一記載のリスク検査又は分析方法。
〔13〕 血液検体中esRAGE測定が、ELISA法で行われることを特徴とする上記〔7〕〜〔12〕のいずれか一記載のリスク検査又は分析方法。
〔14〕 血液検体が、非糖尿病患者由来のものであるか、あるいは肥満、高血圧及び動脈硬化からなる群から選択された症状を発症していない者由来のものであることを特徴とする上記〔7〕〜〔13〕のいずれか一記載のリスク検査又は分析方法。
〔15〕 血中esRAGE量とその他の臨床データとを使用して解析することを特徴とする上記〔7〕〜〔14〕のいずれか一記載のリスク検査又は分析方法。
〔16〕 esRAGEに特異的に免疫学的反応をする抗体を有効成分とする試薬であって、該試薬でもって血液検体中のesRAGEを測定し、得られたesRAGEに関する測定値を生活習慣病発症のリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用するものであり、且つ、該生活習慣病が、2型糖尿病、インスリン抵抗性、肥満症、高血圧症及び動脈硬化症からなる群から選択されたものであることを特徴とする生活習慣病発症リスク及び/又は症状進行可能性のリスク検査又は分析試薬。
〔17〕 esRAGEに特異的に免疫学的反応をする抗体を有効成分とする試薬であって、該試薬でもって血液検体中のesRAGEを測定し、次の(1)〜(4):
(1) 得られたesRAGEに関する測定値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性、肥満症、高血圧症及び動脈硬化症の発症に対するリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用し、且つ、血中esRAGE値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性、肥満症、高血圧症及び動脈硬化症のすべてのリスクマーカーとして使用する;
(2) 得られたesRAGEに関する測定値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性、高血圧症及び動脈硬化症の発症に対するリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用し、且つ、血中esRAGE値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性、高血圧症及び動脈硬化症のすべてのリスクマーカーとして使用する;
(3) 得られたesRAGEに関する測定値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性及び高血圧症の発症に対するリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用し、且つ、血中esRAGE値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性及び高血圧症の両者のリスクマーカーとして使用する;
(4) 得られたesRAGEに関する測定値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性及び動脈硬化症の発症に対するリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用し、且つ、血中esRAGE値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性及び動脈硬化症の両者のリスクマーカーとして使用する;
のいずれか一を含むものであることを特徴とする生活習慣病発症リスク及び/又は症状進行可能性のリスク検査又は分析試薬。
〔18〕 esRAGEに特異的に免疫学的反応をする抗体を有効成分とする試薬であって、該試薬でもって血液検体中のesRAGEを測定し、得られたesRAGEに関する測定値を2型糖尿病合併症の発症に対するリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用するものであることを特徴とする2型糖尿病合併症発症リスク及び/又は症状進行可能性のリスク検査又は分析試薬。
〔19〕 2型糖尿病合併症が、肥満症、高血圧症及び動脈硬化症からなる群から選択されたものであることを特徴とする上記〔18〕記載の検査又は分析試薬。
本発明によれば、これまで、初期診療や健康診断において、従来の臨床マーカーの検査値に異常がなく、これといった危険因子に基づく所見も認められないため見落とされていた生活習慣病、特には糖尿病、肥満、高血圧、動脈硬化症などやそれに起因する病気発症のリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを検知・予測することができ、予防医学や公衆衛生学的に極めて有用である。本発明を使用して、血液検体中のesRAGEを測定し、得られたesRAGEに関する測定値を生活習慣病発症のリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として有効利用でき、的確に且つ簡単に生活習慣病発症リスク及び/又は症状進行可能性のリスク検査又は分析を行うことができ、様々な試薬や医薬の開発にも利用できる。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
本発明は、血液中のesRAGEに関する測定値(例えば、血中esRAGE量、すなわち血中esRAGEの存在量)が、いつ発症するかの予測の困難な、そしてそれ故その病気の発見の困難な2型糖尿病に有意の相関性を有することに基づいている。本発明は、血液検体中のesRAGEを測定し、得られたesRAGEに関する測定値に基づいて、将来あるいは近い将来に2型糖尿病を発症する危険の可能性が高いのか低いのかを示すことができ、該定量された血中esRAGE値は2型糖尿病発症の可能性の程度、またはリスクの高低を示す指標として有用であり、優れている。該血中esRAGE量は、2型糖尿病発症マーカーとしても使用できて病気の早期発見に利用できる。例えば、血中esRAGE濃度が低い場合には、2型糖尿病発症のリスクが高いとか、血中esRAGE濃度が低下してきていると、2型糖尿病発症のリスクが高くなってきていることを示していると解釈(診断)される。また、ある一定の基準値より、血中esRAGE濃度が低下したり、あるいは低下している状態が続いている場合には、2型糖尿病が発症していることを示していると解釈(診断)されることであってよい。さらに、血中esRAGE濃度は、2型糖尿病の症状進行(症状の悪化)の可能性の程度(例えば、高低)を示していると解釈(診断)されてよい。また、本発明で重要なことには、血液中のesRAGEに関する測定値(例えば、血中esRAGE量、すなわち血中esRAGEの存在量)が、肥満、高血圧、血管の硬化(特には動脈硬化)に有意の相関性を有することに基づいている。糖尿病で特に恐れられる糖尿病合併症、特には糖尿病血管合併症発症の可能性の程度、またはリスクの高低を示す指標として有用であり、優れていることを実際に臨床的に確認できたとすることができる。
本発明により、生活習慣病の典型的な危険因子である、糖尿病、肥満、高血圧、及び/又は動脈硬化と、血中esRAGE量とが有意の相関性を有することが見出された。かくして、本発明は、血液検体中のesRAGEを測定し、得られたesRAGEに関する測定値に基づいて、将来あるいは近い将来に肥満(あるいは肥満症)となる危険の可能性が高いのか低いのかを示すことができ、該定量された血中esRAGE値は肥満となる可能性の程度、またはリスクの高低を示す指標として有用であり、優れている。該血中esRAGE量は、肥満症発症マーカーとしても使用できて病気の早期発見に利用できる。例えば、血中esRAGE濃度が低い場合には、肥満となるリスクが高いとか、血中esRAGE濃度が低下してきていると、肥満となるリスクが高くなってきていることを示していると解釈(診断)される。また、ある一定の基準値より、血中esRAGE濃度が低下したり、あるいは低下している状態が続いている場合には、肥満状態の悪化を示していると解釈(診断)されることであってよい。さらに、血中esRAGE濃度は、肥満の状態の進行(状態の悪化)の可能性の程度(例えば、高低)を示していると解釈(診断)されてよい。
本発明は、血液中のesRAGEに関する測定値(例えば、血中esRAGE量、すなわち血中esRAGEの存在量)が、いつ起こるのかとかその原因を見出すことが困難な、そしてそれ故その症状の早期発見の困難な高血圧に有意の相関性を有することに基づいている。本発明は、血液検体中のesRAGEを測定し、得られたesRAGEに関する測定値に基づいて、将来あるいは近い将来に高血圧になる可能性が高いのか低いのかを示すことができ、該定量された血中esRAGE値は高血圧症発症の可能性の程度、またはリスクの高低を示す指標として有用であり、優れている。該血中esRAGE量は、高血圧症発症マーカーとしても使用できて病気の早期発見に利用できる。例えば、血中esRAGE濃度が低い場合には、高血圧症発症のリスクが高いとか、血中esRAGE濃度が低下してきているとか、高血圧症発症のリスクが高くなってきていることを示していると解釈(診断)される。また、ある一定の基準値より、血中esRAGE濃度が低下したり、あるいは低下している状態が続いている場合には、高血圧症発症のリスクが高くなってきていることを示していると解釈(診断)されるということであってよい。さらに、血中esRAGE濃度は、高血圧の症状進行(症状の悪化)の可能性の程度(例えば、高低)を示していると解釈(診断)されてよい。
さらに、本発明は、血液中のesRAGEに関する測定値(例えば、血中esRAGE量、すなわち血中esRAGEの存在量)が、動脈硬化症あるいは血管の老化に有意の相関性を有することに基づいている。本発明は、血液検体中のesRAGEを測定し、得られたesRAGEに関する測定値に基づいて、将来あるいは近い将来に動脈硬化などになる可能性が高いのか低いのかを示すことができ、該定量された血中esRAGE値は動脈硬化症発症の可能性の程度、またはリスクの高低を示す指標として有用であり、優れている。該血中esRAGE量は、動脈硬化症発症マーカーとしても使用できて病気の早期発見に利用できる。例えば、血中esRAGE濃度が低い場合には、動脈硬化症発症のリスクが高いとか、血中esRAGE濃度が低下してきていると、動脈硬化症発症のリスクが高くなってきていることを示していると解釈(診断)される。また、ある一定の基準値より、血中esRAGE濃度が低下したり、あるいは低下している状態が続いている場合には、動脈硬化症発症のリスクが高くなってきていることを示していると解釈(診断)されるということであってよい。さらに、血中esRAGE濃度は、動脈硬化の症状進行(症状の悪化)の可能性の程度(例えば、高低)を示していると解釈(診断)されてよい。これら動脈硬化に関しては、血中コレステロール値などの血中脂質マーカーに異常が認められない場合にも上記利用が可能であり、また有効な場合があるのは理解されるべきである。
本発明は、血液中のesRAGEに関する測定値(例えば、血中esRAGE量、すなわち血中esRAGEの存在量)が、同時に、
(1) 2型糖尿病又はインスリン抵抗性、肥満症、高血圧症及び動脈硬化症のすべて
(2) 2型糖尿病又はインスリン抵抗性、高血圧症及び動脈硬化症のすべて
(3) 2型糖尿病又はインスリン抵抗性及び高血圧症の両者
(4) 2型糖尿病又はインスリン抵抗性及び動脈硬化症の両者
のうちのいずれかに有意の相関性を有することに基づいているとすることもできる。本発明は、血液検体中のesRAGEを測定し、得られたesRAGEに関する測定値に基づいて、将来あるいは近い将来に上記(1)〜(4)のうちのいずれか一つなどになる可能性が高いのか低いのかを示すことができ、該定量された血中esRAGE値は上記(1)〜(4)のうちのいずれか一つなどになる可能性の程度、またはリスクの高低を示す指標として有用であり、優れている。該血中esRAGE量は、上記(1)〜(4)のうちのいずれか一つなどになるリスクマーカーとしても使用できて病気の早期発見に利用できる。例えば、血中esRAGE濃度が低い場合には、上記した症状発症のリスクが高いとか、血中esRAGE濃度が低下してきていると、上記した症状発症のリスクが高くなってきていることを示していると解釈(診断)される。また、ある一定の基準値より、血中esRAGE濃度が低下したり、あるいは低下している状態が続いている場合には、上記した症状発症のリスクが高くなってきていることを示していると解釈(診断)されるということであってよい。さらに、血中esRAGE濃度は、上記した症状進行(症状の悪化)の可能性の程度(例えば、高低)を示していると解釈(診断)されてよい。
本明細書において、被検者より採取などにより得られる血液検体としては、全血、血漿、血清のいずれであってもよい。血漿を使用する場合には、抗凝結剤としてクエン酸ナトリウムなどのクエン酸イオン含有化合物、ヘパリン、EDTAなど当該分野で公知のものあるいは汎用されているものなどから選択されて使用することができる。採血後は氷冷下に置くことが好ましい。血漿あるいは血清を得る場合には、氷冷下で遠心分離することができる。
血中esRAGEの測定は、好適には免疫学的測定法を使用して行うことができ、特にはELISA法(サンドイッチELISA法を含む)により簡便に行うことができ、再現性の点でも有利である。esRAGEの測定技術は、特開2003-128700号公報に記載がある他、特開2003-125786号公報などにも記載されており、それらをすべて参照することができ、それらの内容はすべて本明細書で援用され且つその内容を本明細書の内容に含めて解釈することができる。
血中esRAGEの測定は、例えば、A:(1)ヒトの血液から血清を調製する工程、(2)固相にesRAGEに特異的に免疫学的反応をする抗体(抗esRAGE抗体)を固定化する工程、(3)被検血清を固相化抗esRAGE抗体及び抗esRAGE抗体と接触する工程、(4)固相を洗浄する工程、(5)固相に抗esRAGE抗体に特異的に免疫学的反応をする標識抗体を加えるか、あるいは接触せしめる工程、(6)該標識を用いて、esRAGE量を測定する工程からなる方法、B:(1)ヒトの血液から血清を調製する工程、(2)固相に抗esRAGE抗体を固定化する工程、(3)標識でもって抗esRAGE抗体を標識する工程、(4)被検血清を固相化抗esRAGE抗体及び標識抗esRAGE抗体と接触する工程、(5)固相を洗浄する工程、(6)該標識を用いて、esRAGE量を測定する工程からなる方法などが挙げられる。本発明に従った測定では、血中esRAGE濃度を測定すること、又は血中esRAGEを定量分析することであってよく、またそれは好ましい。
esRAGEに特異的に免疫学的反応をする抗体(抗esRAGE抗体)は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体のいずれであってもよく、サンドイッチ型の系ではモノクローナル抗体とポリクローナル抗体の組合せ、モノクローナル抗体とモノクローナル抗体の組合せのいずれであってもよく、さらに、抗ヒトesRAGE C末端ペプチドモノクローナル抗体や抗ヒトesRAGE C末端ペプチドポリクローナル抗体を好適に用いることができる。
固相としては、ガラスまたはプラスチック製のウェル、ポリスチレンビーズやセファロースなどが挙げられるが、特開2003-128700号公報に記載のものを使用できる。標識としては、パーオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼなどの酵素、蛍光物質、アビジン−ビオチン系などが挙げられるが、特開2003-128700号公報に記載のものを使用できる。市販のビオチニル化試薬や架橋剤付のペルオキシダーゼなどのキットを使用して標識抗体を調製することもできる。
本発明の検査・分析は、血液検体中のesRAGEの存在量(濃度)について一定の基準を設定し、測定した血液検体の値を基準と比較、評価することで実施できる。基準の設定の仕方としては、健常者側、患者側のいずれからでも設定することができる。血中esRAGE濃度が、健常人のそれに比して有意に低下していることを以って判断してもよい。具体的には、臨床検査の分野で知られている手法の中から適宜選択して使用できる。具体的には、例えば、臨床検査の分野で用いられる95パーセンタイル値を用いる方法を挙げることができる。ここで95パーセンタイル値とは、母集団のesRAGE値を低い方から並べ、母集団の95%がその値より低くなる値をいう。また、疫学調査などの結果をもとに設定することも可能である。重要なのは所望の情報を効率良く得ることができるよう設定することである。
また前記評価を、esRAGEの測定値単独で行う方法、esRAGEの測定値とそれ以外の指標、例えば公知の臨床マーカーの測定値を関連付けて行う方法が挙げられる。ここで、関連付ける臨床マーカーとしては、HbA1c、IRI、BMIなどを挙げることができる。なお本明細書において、存在量と存在量を関係付けるとは、計算式を使用してesRAGE単独では得ることができなかった情報を得ることをいう。なお、esRAGEは、現在、臨床上の意義、生理的役割についての知見の蓄積が行われているところであり、本出願の時点で、国際的な標準物質が存在せず、また統一された値付け方法も確立していない。従って本出願の後、国際的な標準物質や値付けの方法が提唱されることが考えられるが、その場合においても、本明細書に記載された標準物質を適宜換算することにより、支障なく本発明を実施することができることはいうまでもない。
「生活習慣病」(Life-style related diseases)とは、食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群を指しており、一般的には、例えば、2型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)、肥満、高血圧症、動脈硬化症、高脂血症(家族性を除く)、高尿酸血症、循環器疾患(先天性を除く)、大腸癌(家族性を除く)、肺扁平上皮癌、慢性気管支炎、肺気腫、アルコール性肝障害、歯周病、腎機能障害、肝機能障害などが含まれるとされている。本明細書において「生活習慣病」とは、特には、2型糖尿病又はインスリン抵抗性、肥満、高血圧及び動脈硬化に関連して発症あるいはその症状が進行する病的な状態のすべてを包含する意味であってよい。より具体的には、該生活習慣病としては、糖尿病合併症として知られた病的な状態、下記で説明してある、肥満、高血圧又は動脈硬化に関連して現れる症状、病気、病的な状態のすべてを指すものであってもよいし、あるいはその中の特定の一つを指すものであってよい。
本明細書において「肥満症」とは、医学的に見て減量治療の必要な肥満症状を指しているが、肥満とは一般的には脂肪組織が過剰に蓄積された状態あるいは体の脂肪組織及び種々の臓器に異常な脂肪が沈着した状態を言っており、肥満であるか否かは身長当りの体格指数(body mass index; BMI)(BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m))を基に判定されており、例えば、1997年に世界保健機構(WHO)はInternational Obesity Task Force (IOTF)の協力により「肥満の予防と治療に関する勧告」を出版し、さらに1998年にはNational Institute of Health, USA (NIH)が「肥満についてのガイドライン」を発表している(両者はほぼ同一の内容である)のであって、日本肥満学会ではこれらを勘案して「新しい肥満の判定と肥満症の診断基準」(肥満研究、6巻1号)を出している。
該日本肥満学会による肥満の判定基準では、1)標準体重はBMI 22の体重とし、2)普通体重はBMI 18.5≦〜<25の体重としている。3)肥満の判定は4段階にわかれ、肥満1度はBMI 25≦〜<30の体重、肥満2度はBMI 30≦〜<35の体重、肥満3度はBMI 35≦〜<40の体重、肥満4度はBMI 40≦の体重とされている。4)肥満症の診断は、BMI 25以上のもののなかで、肥満に起因ないし関連する健康障害(2型糖尿病、脂質代謝異常、高血圧を含む10項目)を合併するか、その合併が予測され、医学的に減量を必要とする病態、並びにBMI 25以上のもののなかで、上半身肥満が疑われ、臍部CT検査で確定診断された内蔵脂肪型肥満となっている場合である。最近の研究では、肥満者の合併症発症の危険性はBMIよりも体脂肪の分布の仕方により強い関連性があることが明らかになりつつある。そして内蔵脂肪型肥満の場合に生活習慣病などの合併症発症の危険性が最も高いといわれてきている。代表的な肥満の合併症としては、糖尿病(特に2型糖尿病)、高血圧、高脂血症、動脈硬化(心筋梗塞、脳血管障害を含む)、通風、睡眠障害などが挙げられる。
本明細書において「高血圧症」とは、WHO/国際高血圧学会(ISH)などが発表しているガイドライン(図4)で示されているような判定基準に従って診断されている症状を指しており、一般的には繰り返し血圧を測定してみると高い血圧を示す状態を指しているが、その診断は明らかに血圧の高い人を除いて、血圧自体の変動が大きいこと、家庭で測定した場合には幾分か低く出るなどするので容易ではない。日本高血圧学会では日本人の実態に即した高血圧治療ガイドラインを200年7月に発表しているが、そこでは上記図4に加えて健常な場合の値も示されており、至適血圧の分類では最大(収縮期)血圧: 120 mmHg未満且つ最小(拡張期)血圧: 80 mmHg未満、そして正常血圧の分類では最大(収縮期)血圧: 130 mmHg未満且つ最小(拡張期)血圧: 85 mmHg未満とされている。高血圧となっても自覚症状が現れないことが多く、また現れた症状も他の病気で表れる症状と区別をつけるのが困難である場合が多い。高血圧症で見られる症状としては、肩凝り、脳障害からくる症状として頭重感、頭痛、めまい、耳鳴り、のぼせ、吐き気、嘔吐(おうと)などであり、さらに、高血圧症が高度になると手足の脱力感、しびれ、舌のもつれ、意識喪失、言語障害など、また、心臓障害からくる症状として動悸、息切れ、脈の乱れなども見られる。さらに、重度の高血圧症では、呼吸困難、手足のむくみ、白い泡沫状の痰を伴う咳なども見られ、腎臓障害を起こしたり、目の障害として視力低下などが起こる。
高血圧症は、原因により本態性高血圧症と2次性高血圧症の二つに分類されており、本態性高血圧症とは原因の特定できない高血圧症を"本態性高血圧症"と呼ぶものであって、高血圧症患者の90〜95%が、この範疇に入っている。本態性高血圧症の原因は不明であって、遺伝(的)因子と生活習慣(環境因子)が複雑に絡み合って発病すると考えられている。本態性高血圧症は生活習慣病の代表といってもよい病気で、高血圧症を発病させる悪い生活習慣(環境因子)としては、塩分の過剰摂取、肥満、運動不足、過度の飲酒、喫煙、ストレスなどがあるとされている。本態性高血圧患者では、血圧が高くないグループに比べ、糖尿病を合併する頻度が2倍ほど高いことが知られており、また、逆に、糖尿病患者では糖尿病でない者に比べ、高血圧を合併する頻度がやはり2倍程度高い。
これらのことから、本態性高血圧の遺伝的素因と糖尿病の遺伝的素因は一部では共通していると考えられるようになってきており、また、これらの素因は高脂血症・脂質代謝異常および肥満の素因とも共通している可能性が指摘されている。さらに、運動不足などの日常生活上の不摂生はこれらの成人病のいずれも引き起こす可能性がある。これらの成人病をいくつか合併している患者では、高血圧、糖尿病、高脂血症などそれぞれの成人病の程度はあまりひどくないのがふつうであるため、健康診断などでも「要注意」に止まり、必ずしも「要医療」と指摘されないこともある。しかし、軽症でもこれらの成人病を複数併せ持つことは大変危険で、心筋梗塞や脳卒中の危険性が何倍も高まっているのであり、このため、これらの成人病を併せ持つ場合「X症候群」や「死の四重奏」と呼ばれ大変恐れられている。2次性高血圧症とは、他に病気を伴って起こる原因が明らかな高血圧で、高血圧症患者の5〜10%がこの範疇に入る。2次性高血圧症の原因としては腎臓、内分泌、心血管、神経の病気、また妊娠中毒などがある。高血圧が長引くと、動脈硬化が進展し、脳出血、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、腎不全などといった生命にかかわる重大な病気を発症することが知られている。
本明細書において「動脈硬化症(arteriosclerosis)」とは、動脈壁の肥厚、弾力性の低下、内腔の狭窄を呈する動脈の疾患を指している。また、動脈硬化症は、心筋梗塞などの冠動脈疾患における器質的狭窄を作る原因とされている。「動脈硬化」とは、動脈などの血管の弾力性が失われて硬くなったり、内部に様々な物質が沈着して血管の通り道が狭くなったり(狭窄)、詰ったり(閉塞)、あるいは動脈壁が部分的に瘤のように拡張(動脈瘤)したり、動脈全体が拡張したり(拡張症)、内膜に亀裂が入って血管を構成する中膜が裂けたり(解離)、破裂する(出血する)ことで、組織や臓器全体に血行障害を起こす病気を総称して動脈硬化性疾患と呼ばれている。動脈硬化は、主に3つのタイプに分類され、それはアテローム(粥状)硬化、細動脈硬化、そしてメンケルベルグ型(中膜)硬化である。
アテローム(粥状)硬化とは、大動脈や脳動脈、冠動脈などの比較的太い動脈に起こるものを指しており、血管(動脈など)の内膜にコレステロールなどの脂肪からなるドロドロの粥状物質が溜まってアテロームプラーク(粥状硬化斑)が形成されていて、次第に血管壁が肥厚して、その結果動脈の内腔を狭めているような状態を指している。細動脈硬化とは、血管壁の老化などに伴って動脈血管の弾力性がなくなり硬くなっている状態で、例えば、高血圧による変化で、脳や腎臓などの中の細い動脈に起きやすい症状で、そうした細い動脈が詰ったり(梗塞)、血管の壁全体が破裂して出血したりする状態を指している。メンケルベルグ型(中膜)硬化とは、動脈の中膜にカルシウムなどが溜まって硬くなり、中膜が脆くなり、血管の壁が破れやすくなったり、あるいは破れているような状態を指しており、一般に、大動脈や下肢の動脈、頚部の動脈などに起こりやすいものである。動脈硬化性疾患としては、例えば、脳動脈では脳梗塞、脳血栓及びそれに伴う脳卒中、脳出血など、冠動脈では心筋梗塞、狭心症などの虚血性心疾患(冠動脈の閉塞や狭窄などにより心筋への血流が阻害され、心臓に障害が起きる疾患の総称)など、大動脈では大動脈瘤、大動脈解離など、腎動脈では腎硬化症やそれによる腎不全など、末梢動脈では閉塞性動脈硬化症などが挙げられる。
閉塞性動脈硬化症は、一般的には、特には腹部から下肢の動脈、すなわち大動脈下部から大腿動脈の範囲によく見られる血行障害であって、典型的には腹部大動脈および下肢動脈の動脈硬化のために血液の流れが悪くなり、慢性の血流障害を起こした病態を指している。閉塞性動脈硬化症では、下肢の血液が流れにくくなるために、特に足先の冷たい感じやしびれがおこり、歩行が困難になり、放置しておくと足先が壊死を起こし、下肢切断に至ることもある。また、動脈硬化からおこる合併症として、狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患や脳梗塞などの脳血管障害をきたすこともある。閉塞性動脈硬化症は進行性の病気であり、症状の進行はフォンテイン(Fontaine)分類(I度〜IV度)によって4段階に分けられており、I度は下肢の冷感、しびれ、II度は間歇性跛行(一定距離の歩行によって筋肉痛が起こり、休息後再び歩行可能になる)、III度は安静時の下肢の疼痛、IV度は下肢の皮膚潰瘍、下肢壊疽に分類される。
I度の閉塞性動脈硬化症では、動脈硬化が原因で足の血行が悪くなり、急激な運動や連続歩行の直後などにしびれ、冷感がみられるが、しかしこの段階では血行不全はそれほどひどくなく、多くの場合症状もすぐ消失し、通常は無症状であり、また皮膚変化としては皮膚の、皮下脂肪の委縮、脱毛などがみられるといったものである。II度の閉塞性動脈硬化症では、下肢血行不全の特徴的症状を呈しており、間歇的跛行といって一定の距離を歩行した後、特定の筋肉に痛みや硬直を起こし、歩行不能になり、しばらく休むと再び歩けるようになるといった症状をきたしており、安静時にはかろうじて血流が保たれている一方で、歩行時には足へ十分な血液(酸素)が供給できなくなってそうした症状を起こしている。III度の閉塞性動脈硬化症では、もっと血行が悪くなっており、安静時にも血液(酸素)供給が不足し、疼痛が起こっている状態で、足を少しでも下げると痛みが軽くなるため、ベットから足を下げて寝るような姿勢をとる患者もいる様な状態で、こうした状態になると足の潰瘍、壊死が起こりやすくなっている。IV度の閉塞性動脈硬化症では、小さな傷や圧迫を受けやすい場所、たとえば足趾(そくし)の先端部などの血流の悪いところから皮膚の壊死(えし)、潰瘍が生じ、血流が悪いために治りが悪く、患部はどんどん広がり、下手をすると、足の切断にもなりかねない状態である。閉塞性動脈硬化症の患者では、虚血性心疾患、脳血管障害などの合併症を起こす危険もある。
本発明に従い、血中esRAGE測定値(血中esRAGE濃度を含む)は、糖尿病、肥満、高血圧、動脈硬化などの生活習慣病などの危険性を予知するための因子あるいはリスクマーカーとして有用であるから、該糖尿病、肥満、高血圧、動脈硬化に起因する疾患あるいは病的な状態のリスク予知やその進行(進展・悪化)のリスクを決定するのにも使用できる。つまり、上記した様々な症状や病気、例えば、肥満、高血圧、動脈硬化などにより派生する症状や病気、あるいは様々な問題となる身体的並びに精神的な状態に関する、各種の判定・予知・診断などに利用できると理解される。
また、本発明に従い、診断又は判定に利用されて便利なキットも提供される。該キットは、2型糖尿病、インスリン抵抗性、肥満症、高血圧症及び動脈硬化症などの生活習慣病発症リスク及び/又は症状進行可能性のリスク検査又は分析試薬として機能するものであり、例えば、固相化抗esRAGE抗体や標識抗esRAGE抗体などの抗esRAGE抗体試薬、希釈や洗浄用緩衝液、標準抗原、判定基準を示すパンフレット、場合により抗esRAGE抗体に特異的に免疫学的反応をする標識抗体、発色又は蛍光を得るための基質などがセットになったものが挙げられる。該キットにおける各試薬などの組み合わせは、所要の診断又は判定に便利なように任意に適切な形態にできる。特には、該キットとしては、生活習慣病発症リスク及び/又は症状進行可能性のリスク検査又は分析に便利なような形態が挙げられる。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。
全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
成人病患者(2型糖尿病、高血圧、高脂血症を含む)を対象に各種臨床データを測定した。得られた結果(臨床データ)を表1に示す。なお、血糖及びHbA1cは、糖尿病マーカーとして知られている。
表1の対象患者についてヒト血漿esRAGEの測定を行った。ヒト血漿esRAGEの測定は、下記の参考例1の測定系Aを用いた。ヒト血漿esRAGEと臨床データの関連性を統計学的に解析処理した。統計解析は、例えば、木船義久及び佐久間昭(訳)「医学研究における実用統計学」、(株)サイエンティスト社、1999年(ISBN:4-914903-68-7 C3047)(Douglas G. Altman, Practical Statistics for Medical Research, Capman & Hall, 1991(ISBN: 0-412-27630-5))にしたがって行うことができる。例えば、木船義久及び佐久間昭(訳)「医学研究における実用統計学」、227〜285頁、(株)サイエンティスト社、1999年によって、ヒト血漿esRAGEと臨床データの関連性を統計学的に解析処理した。解析処理はプログラム: StatViewTM V (SAS Institute)を使用し、コンピューター: OS, MS Windows(登録商標) 98, Endeavor (エプソンダイレクト)で行った。得られた結果(ヒト血漿esRAGEと臨床データの関連性)を表2に示す。表2中、血糖は、空腹時に測定した値であり、IRI: immunoreactive insulinである。
単回帰分析ではesRAGE値とbody mass index(BMI)、血圧(収縮期、拡張期とも)、中性脂肪、血糖、HbA1c、HOMA指数と有意な負の相関を示し(p値が<0.05の場合、有意な相関性があることを示し、そしてr値が−の場合、負の相関性があることを示している)、血清クレアチニン値とは有意な正の相関を示した。なお、HOMA指数はインスリン抵抗性が増すとその値は高くなる。図2には血中esRAGE値と体格指数(body mass index;BMI)並びにインスリン抵抗性(HOMA指数)との関係が示されているが、特に図2を見てわかるように、esRAGE値とBMI、HOMA指数(インスリン抵抗性を反映する: Masanori Emoto et al., Diabetes Care, Vol.22, No.5, pp818-922 (1999))とは有意な負の相関を示している。つまり、esRAGE値が低いと肥満になりやすい、インスリン抵抗性になりやすいこと、あるいは肥満、インスリン抵抗性の上昇に伴ってesRAGE値が低下するということが考えられた。
つぎに、代表的な生活習慣病とesRAGE値との関係を解析した。図1には、代表的な生活習慣病とesRAGE値との関係を解析した結果が示されている。糖尿病、高血圧の存在によってesRAGE値は有意に低下していた。つまり、esRAGE値が低いと糖尿病、高血圧になりやすい(図1中+の群は当該疾患の患者であり、−の群は当該疾患以外の患者を示す)、あるいは糖尿病、高血圧の存在によってesRAGE値が低下するという可能性が考えられた。
さらに、超音波診断装置を用いて動脈硬化の指標(頸動脈、大腿動脈の内膜中膜複合体の厚さ)を測定し、得られた結果とesRAGE値との間の関係につき解析した。図3には血管超音波法を用いて得られた動脈壁肥厚度(頸動脈、大腿動脈の内膜中膜複合体の厚さ)とesRAGE値との関係が示されている。厚さの測定は、ミリ単位で行った。図3より明らかなごとく、動脈硬化の指標(頸動脈、大腿動脈の内膜中膜複合体の厚さ)はesRAGE値と有意な負の相関を示した。
また、動脈硬化とesRAGE値との関連についてロジスティック回帰分析を行った。例えば、木船義久及び佐久間昭(訳)「医学研究における実用統計学」、284〜289頁、(株)サイエンティスト社、1999年に従って、ヒト血漿esRAGEとの関連性を統計学的に解析処理した。解析処理はプログラム: StatViewTM V (SAS Institute)を使用し、コンピューター: OS, MS Windows(登録商標)98, Endeavor (エプソンダイレクト)で行った。得られた結果を表3に示す。
男性、年令、喫煙指数、non-HDLコレステロール(HDLコレステロール以外のコレステロール)、HbA1cが動脈硬化と関連していた(モデル1)。そこにesRAGE値を一因子挿入して解析するとesRAGE値が動脈硬化と関連するとともにHbA1cの関連性が消失した(モデル2)。つまり、糖尿病と動脈硬化の関連が血中esRAGEを介する可能性が考えられた。
実施例1の検査対象患者の中より一つの典型例に関して、その臨床データの経時的変化を解析した。登録時(2000年9月7日)の血中esRAGEが著明に低値を示していた症例の経過を表4に示す。症例者:67歳男性の糖尿病・高脂血症患者。糖尿病罹病歴1年。ボグリボース0.6mg、アトルバスタチン10mg服用。登録時(2000年9月7日)esRAGE 0.040 ng/ml。
BMI、血糖コントロール、インスリン抵抗性、動脈硬化、糖尿病性腎症のいずれもが2年半の間に悪化を示した。特に動脈硬化の悪化が著明である。
かくして、血中esRAGE濃度が、症状の進行(悪化)を予知するための指標として有用であることは明らかである。
〔参考例1〕
ヒトesRAGEを特異的に測定するサンドイッチアッセイ(測定系A)
(a) モノクローナル抗体結合担体の調製
抗ヒトesRAGEモノクローナル抗体278-13F11を0.1Mリン酸緩衝液、pH7.5に溶解し、25μg/mLの濃度に調製する。このモノクローナル抗体溶液を96穴マイクロプレートにウェルあたり100μLずつ加え、4℃、16〜24時間静置する。モノクローナル抗体溶液を除去し、洗浄液A(30mM NaCl、0.01% Tween 20含有5mMリン酸緩衝液、pH7.0)で1回洗浄後、1% BSA、0.15M NaCl、0.001%クロロヘキシジン含有 10mMリン酸緩衝液、pH7.0を300 μLずつ加え4℃、24時間以上静置しブロッキングする。
(b) ポリクローナル抗体の調製
合成ペプチド[Cys Glu Gly Phe Asp Lys Val Arg Glu Ala Glu Asp Ser Pro Gln His Met]をMBS 法によりKLHにコンジュゲートし、ウサギに免疫し抗血清を得る。同合成ペプチドをカップリングしたアフィニティーカラムで抗血清を精製した。
(c) ポリクローナル抗体を用いたサンドイッチEIA法
調製したモノクローナル抗体結合担体を300μLの洗浄液Aで1回洗浄する。該抗体結合プレートに、1% BSA、0.1M NaCl、15%ブロックエース(大日本製薬)、35μg/mL HAMA試薬含有10mMリン酸緩衝液、pH7.0(緩衝液A)で1.7μg/mLに調製したウサギ抗ヒトesRAGE C末端ペプチドポリクローナル抗体を160μLずつ加える。さらに、調製した標準液または測定検体を40μLずつ加え、マイクロプレートミキサーで十分に混合後、反応液の蒸発を防ぐためにシールを貼り4℃、16〜24時間静置する。洗浄液Aでウェルあたり300μLで4回洗浄し、緩衝液Aで5000倍希釈した抗ウサギIgGペルオキシダーゼ標識抗体(Amersham Pharmacia)を100μL加え、25℃、2時間静置する。洗浄液Aでウェルあたり300μLで4回洗浄し、0.1mg/mL 3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン、0.0075% 過酸化水素, 1%DMF含有0.1Mクエン酸緩衝液, pH4.0を100μLずつ加え、25℃、30分間静置する。2N硫酸を100μLずつ添加し反応を停止し、この反応混液を波長450nmで測定し、標準曲線より検体の測定値を求める。標準曲線は精製したヒトesRAGE画分を標準抗原として作製する。
〔参考例2〕
ヒトesRAGEを特異的に測定するサンドイッチアッセイ(測定系B)
(a) モノクローナル抗体結合担体の調製
抗ヒトesRAGE C末端ペプチドモノクローナル抗体269-1D10を0.1Mリン酸緩衝液、pH7.5 に溶解し、25μg/mLの濃度に調製する。このモノクローナル抗体溶液を96穴マイクロプレートにウェルあたり 100μL ずつ加え、4℃、16〜24時間静置する。モノクローナル抗体溶液を除去し、洗浄液Aで1回洗浄後、1% BSA、0.15M NaCl、0.001%クロロヘキシジン含有 10mM リン酸緩衝液、pH7.0 を 300μLずつ加え4℃、24時間以上静置しブロッキングする。
(b) モノクローナル抗体を用いたサンドイッチEIA法
調製したモノクローナル抗体結合担体を300μLの洗浄液Aで1回洗浄する。該抗体結合プレートに、緩衝液Aで1μg/mLに調製した酵素標識抗体液(278-3A6、IgG-HRP)を160μLずつ加える。さらに、調製した標準液または測定検体を40μL ずつ加え、マイクロプレートミキサーで十分に混合後、反応液の蒸発を防ぐためにシールを貼り4℃、16〜24時間静置する。洗浄液Aでウェルあたり300μLで4回洗浄し、0.1mg/mL 3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン、0.0075% 過酸化水素, 1% DMF含有0.1Mクエン酸緩衝液, pH4.0 を100μLずつ加え、25℃、30分間静置する。 2N 硫酸を 100μL ずつ添加し反応を停止し、この反応混液を波長450nm で測定し、標準曲線より検体の測定値を求める。標準曲線は、精製したヒトesRAGE画分を標準抗原として作製する。
〔参考例3〕
〔ヒト可溶型及び膜型RAGEを特異的に測定するサンドイッチアッセイ(測定系C)〕
(a) モノクローナル抗体結合担体の調製
抗ヒトesRAGEモノクローナル抗体278-13F11を0.1Mリン酸緩衝液、pH7.5に溶解し、25μg/mLの濃度に調製する。このモノクローナル抗体溶液を96穴マイクロプレートにウェルあたり100μLずつ加え、4℃、16〜24時間静置する。モノクローナル抗体溶液を除去し、洗浄液Aで1回洗浄後、1% BSA、0.15M NaCl、0.001%クロロヘキシジン含有10mMリン酸緩衝液、pH7.0を300μLずつ加え4℃、24時間以上静置しブロッキングする。
(b) モノクローナル抗体を用いたサンドイッチEIA法
調製したモノクローナル抗体結合担体を300μLの洗浄液Aで1回洗浄する。該抗体結合プレートに、緩衝液Aで 1μg/mLに調製した酵素標識抗体液 (278-3A6、IgG-HRP)を100μLずつ加え、さらに、調製した標準液または測定検体を20μLずつ加え、マイクロプレートミキサーで十分に混合後、25℃、1〜2時間静置する。洗浄液Aでウェルあたり300μLで4回洗浄し、0.1mg/mL 3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン、0.0075% 過酸化水素, 1% DMF含有0.1Mクエン酸緩衝液,pH4.0 を100μLずつ加え、25℃、30分間静置する。 2N 硫酸を100μLずつ添加し反応を停止し、この反応混液を波長450nm で測定し、標準曲線より検体の測定値を求める。標準曲線は、精製したヒトesRAGE画分を標準抗原として作製する。
〔各測定系の特異性〕
測定系Cは可溶型および膜型両方のRAGEを認識し、測定系AおよびBはesRAGEのみ認識することが確認されている。測定系A、B、CいずれもヒトesRAGEを標準物質として0.1 〜6.4ng/mLの範囲で良好な標準曲線を描くことができる。
上記各測定方法並びに測定系、それに使用したポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体については、特開2003-128700号公報に記載があり、同様にRAGEタンパク質については特開2003-125786号公報を参照することができ、それらの内容はすべて本明細書で援用されることができる。
本発明により、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化症(脳卒中、脳梗塞、心筋梗塞などを含む)などの生活習慣病の危険性を予知する技術が提供される。血中esRAGE濃度などを指標として2型糖尿病、インスリン抵抗性、糖尿病合併症、肥満症、高血圧症、動脈硬化症などの生活習慣病発症の可能性の程度、またはリスクの高低あるいは症状進行の可能性の程度を検査・分析できるので、病気の早期発見、将来の悪化の危険性などを的確に判定・診断することが可能となり、予防並びに治療の上で有望な技術である。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
生活習慣病における血中esRAGE濃度との関係を示す。図の左側の数字は、血中esRAGE濃度を示す。各病気と血中esRAGEとの間のp値も示す。 血中esRAGE濃度と体格指数(body mass index)並びにインスリン抵抗性(HOMA指数)との間の関係を示す。 血中esRAGE濃度と動脈壁肥厚度との間の関係を示す。図の左側の数字は、厚みを示す。 WHO/ISHが発表している高血圧症診断のガイドラインを示す。

Claims (19)

  1. 個人から単離した血液検体中のesRAGEを定量分析することを含むことを特徴とする、生活習慣病発症の可能性の程度、またはリスクの高低あるいは症状進行の可能性の程度に対する個人の傾向を分析する方法。
  2. 生活習慣病が、2型糖尿病あるいはインスリン抵抗性であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 生活習慣病が、肥満症、高血圧症及び動脈硬化症からなる群から選択されたものであることを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 個人の血液検体中のesRAGEを定量分析することを含むことを特徴とする、生活習慣病の病態生理学的状態および/または治療応答性に対する個人の傾向を評価する方法。
  5. 生活習慣病が、2型糖尿病あるいはインスリン抵抗性であることを特徴とする請求項4記載の方法。
  6. 生活習慣病が、肥満症、高血圧症及び動脈硬化症からなる群から選択されたものであることを特徴とする請求項4記載の方法。
  7. 血液検体中のesRAGEを測定し、得られたesRAGEに関する測定値を生活習慣病発症のリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用し、該生活習慣病が、2型糖尿病、インスリン抵抗性、肥満症、高血圧症及び動脈硬化症からなる群から選択されたものであることを特徴とする生活習慣病発症リスク及び/又は症状進行可能性のリスク検査又は分析方法。
  8. 血液検体中のesRAGEを測定し、次の(1)〜(4):
    (1) 得られたesRAGEに関する測定値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性、肥満症、高血圧症及び動脈硬化症の発症に対するリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用し、且つ、血中esRAGE値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性、肥満症、高血圧症及び動脈硬化症のすべてのリスクマーカーとして使用する;
    (2) 得られたesRAGEに関する測定値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性、高血圧症及び動脈硬化症の発症に対するリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用し、且つ、血中esRAGE値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性、高血圧症及び動脈硬化症のすべてのリスクマーカーとして使用する;
    (3) 得られたesRAGEに関する測定値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性及び高血圧症の発症に対するリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用し、且つ、血中esRAGE値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性及び高血圧症の両者のリスクマーカーとして使用する;
    (4) 得られたesRAGEに関する測定値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性及び動脈硬化症の発症に対するリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用し、且つ、血中esRAGE値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性及び動脈硬化症の両者のリスクマーカーとして使用する;
    のいずれか一を含むことを特徴とする生活習慣病発症リスク及び/又は症状の進行の可能性のリスク検査又は分析方法。
  9. 血液検体中のesRAGEを測定し、得られたesRAGEに関する測定値を2型糖尿病合併症の発症に対するリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用することを特徴とする2型糖尿病合併症発症リスク及び/又は症状の進行の可能性のリスク検査又は分析方法。
  10. 2型糖尿病合併症が、肥満、高血圧及び動脈硬化からなる群から選択された症状であることを特徴とする請求項9記載の方法。
  11. 血液検体中のesRAGEの存在量とリスクの程度とが負の相関であることを利用することを特徴とする請求項7〜10のいずれか一記載のリスク検査又は分析方法。
  12. 血中esRAGE量を経時的に比較することを含むことを特徴とする請求項7〜11のいずれか一記載のリスク検査又は分析方法。
  13. 血液検体中esRAGE測定が、ELISA法で行われることを特徴とする請求項7〜12のいずれか一記載のリスク検査又は分析方法。
  14. 血液検体が、非糖尿病患者由来のものであるか、あるいは肥満、高血圧及び動脈硬化からなる群から選択された症状を発症していない者由来のものであることを特徴とする請求項7〜13のいずれか一記載のリスク検査又は分析方法。
  15. 血中esRAGE量とその他の臨床データとを使用して解析することを特徴とする請求項7〜14のいずれか一記載のリスク検査又は分析方法。
  16. esRAGEに特異的に免疫学的反応をする抗体を有効成分とする試薬であって、該試薬でもって血液検体中のesRAGEを測定し、得られたesRAGEに関する測定値を生活習慣病発症のリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用するものであり、且つ、該生活習慣病が、2型糖尿病、インスリン抵抗性、肥満症、高血圧症及び動脈硬化症からなる群から選択されたものであることを特徴とする生活習慣病発症リスク及び/又は症状進行可能性のリスク検査又は分析試薬。
  17. esRAGEに特異的に免疫学的反応をする抗体を有効成分とする試薬であって、該試薬でもって血液検体中のesRAGEを測定し、次の(1)〜(4):
    (1) 得られたesRAGEに関する測定値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性、肥満症、高血圧症及び動脈硬化症の発症に対するリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用し、且つ、血中esRAGE値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性、肥満症、高血圧症及び動脈硬化症のすべてのリスクマーカーとして使用する;
    (2) 得られたesRAGEに関する測定値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性、高血圧症及び動脈硬化症の発症に対するリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用し、且つ、血中esRAGE値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性、高血圧症及び動脈硬化症のすべてのリスクマーカーとして使用する;
    (3) 得られたesRAGEに関する測定値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性及び高血圧症の発症に対するリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用し、且つ、血中esRAGE値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性及び高血圧症の両者のリスクマーカーとして使用する;
    (4) 得られたesRAGEに関する測定値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性及び動脈硬化症の発症に対するリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用し、且つ、血中esRAGE値を2型糖尿病又はインスリン抵抗性及び動脈硬化症の両者のリスクマーカーとして使用する;
    のいずれか一を含むものであることを特徴とする生活習慣病発症リスク及び/又は症状進行可能性のリスク検査又は分析試薬。
  18. esRAGEに特異的に免疫学的反応をする抗体を有効成分とする試薬であって、該試薬でもって血液検体中のesRAGEを測定し、得られたesRAGEに関する測定値を2型糖尿病合併症の発症に対するリスク及び/又は症状の進行の可能性のリスクを示す指標として使用するものであることを特徴とする2型糖尿病合併症発症リスク及び/又は症状進行可能性のリスク検査又は分析試薬。
  19. 2型糖尿病合併症が、肥満症、高血圧症及び動脈硬化症からなる群から選択されたものであることを特徴とする請求項18記載の検査又は分析試薬。
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