JP2003128591A - 疎水性ヨード化合物を含むリポソームの製剤方法とこれを用いたリポソーム製剤 - Google Patents

疎水性ヨード化合物を含むリポソームの製剤方法とこれを用いたリポソーム製剤

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JP2003128591A
JP2003128591A JP2001329245A JP2001329245A JP2003128591A JP 2003128591 A JP2003128591 A JP 2003128591A JP 2001329245 A JP2001329245 A JP 2001329245A JP 2001329245 A JP2001329245 A JP 2001329245A JP 2003128591 A JP2003128591 A JP 2003128591A
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hydrophobic
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JP2001329245A
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Kazuhiro Aikawa
Hirohiko Tsuzuki
和広 相川
博彦 都築
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保存安定性に優れ、血管造影などに適したX
線造影剤を提供する。 【解決手段】 炭素数18以上の置換基を少なくとも1
個有する1,3,5−トリヨードベンゼン誘導体などの
疎水性ヨード化合物を膜構成成分として含み、好ましく
はホスファチジルコリン及びホスファチジルセリンから
なる群から選ばれる1又は2以上の脂質を膜構成成分と
して含む凍結乾燥されたリポソーム、及び該リポソーム
を含むX線造影剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血管疾患などのX
線造影に用いるための安定なリポソーム製剤に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】現代社会、特に先進国社会においては、
高カロリー・高脂肪の食事を取る機会が増大している。
そのために、動脈硬化症が原因となる虚血性疾患(心筋
梗塞・狭心症等の心疾患、脳梗塞・脳出血等の脳血管疾
患)の死亡者数が増加しており、この症状を初期の段階
で診断し適切な治療を行うことが求められている。しか
し、上記疾患が発症する以前に動脈硬化の進行を初期の
段階で診断する満足できる方法は存在しない。
【0003】動脈硬化症の診断方法としては、非侵襲的
な方法と、動脈にカテーテル等を挿入する侵襲的な方法
に大別される。このうち非侵襲的方法の主なものはX線
血管造影と超音波であるが、初期の動脈硬化、特に心筋
梗塞や狭心症の原因となる冠状動脈の狭窄を初期の段階
で発症前に検出することはほとんど不可能である。
【0004】非侵襲的な方法としては他にCT、MRIなど
も用いられることがあるが、これらは主として腫瘍の発
見のために開発された方法であり、動脈硬化病巣の解像
度に問題があるばかりでなく、高値で大かがりな装置を
必要とするため、実施できる病院数も限られ一般には利
用されていない。またラジオアイソトープを用いる方法
も検討されているが、実験の枠を出ていない。
【0005】一方侵襲的な方法としては、血管内エコ
ー、血管内視鏡等が用いられている。これらの方法によ
ると動脈硬化の病巣を0.1 mmの厚さまで測定することが
可能と言われている。しかし、これらの方法は、カテー
テルの先に装着した超音波発振器、内視鏡を動脈内に挿
入する必要がある。これは患者に大きな肉体的精神的な
負担を強いると共に、危険も伴う。従って、心筋梗塞等
の発作をおこした患者の治療や二次予防のために実施さ
れてはいるものの、発症以前の人に動脈硬化の有無もし
くは進行を診断する目的には使用できない。
【0006】これらのうち、動脈の狭窄部位の特定に最
も広く用いられているのはX線血管造影である。これ
は、水溶性のヨード造影剤を投与することにより血液の
流れを造影し、その流れが滞っている箇所をみつける方
法である。しかし、この方法では、通常狭窄が50%以
上進んだ病巣しか検出することができず、虚血性疾患の
発作が発症する前に病巣を検出することは困難である。
【0007】これとは別に、疎水性ヨード造影剤もしく
は親水性造影剤を製剤化し、目的とする疾患部位に選択
的に集積させる試みが報告されている(国際公開WO95/19
186、同WO95/21631、同WO89/00812、英国特許第867650
号、国際公開WO96/00089、同WO94/19025、同WO96/4061
5、同WO95/2295、同 WO98/41239、同WO98/23297、同WO9
9/02193、同 WO97/06132、米国特許第4192859号明細
書、同4567034号明細書、同4925649号明細書、 Pharm.
Res., 16(3), 420 (1999), J. Pharm. Sci., 72(8),898
(1983), Invest. Radiol., 18(3), 275 (1983))。例え
ばPharm. Res., 16(3), 420 (1999)には、疎水性化合物
であるCholesteryl Iopanoateの油滴分散液を注射する
ことにより、該ヨード化合物が実験動物の動脈硬化部位
に集積することが開示されている。
【0008】また、J. Pharm. Sci. 72(8), 898 (1983)
には、Cholesteryl Iopanoateの油滴分散液を注射する
ことによる肝臓や脾臓のX線造影の例が開示されてい
る。米国特許第4567034号明細書には、diatrizoic acid
のエステル体をリポソームに封入し、肝臓や脾臓の選
択的造影を行う方法が報告されている。国際公開WO96/2
8414、同WO96/00089には血管プールやリンパ系をイメー
ジ化するための造影剤が開示されている。しかしなが
ら、これらの製剤方法は、血管疾患を選択的に造影する
目的のためには、効率および選択性ともに十分でなく、
X線照射により血管疾患を画像化した例も報告されてい
ない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、動脈硬
化やPTCA後の再狭窄等の血管平滑筋の異常増殖に起因す
る血管疾患部位に対して選択的にヨード化合物を集積さ
せ、血管疾患などの生体内環境をX線造影により画像化
すべく鋭意研究を行なった。その結果、疎水性ヨード化
合物を膜構成成分の一つとして含むリポソームが、動脈
硬化巣の主構成成分である血管平滑筋及び泡沫化マクロ
ファージに集積すること、及び上記リポソームが特に血
管疾患などのX線造影剤として極めて優れた性質を有す
ることを見出し、上記発明について特許出願した(PCT/
JP01/3629)。本発明者らは、上記のリポソームを含む
造影剤を安定性を高めるべく鋭意研究を行った結果、凍
結乾燥されたリポソーム製剤が高い保存安定性を有して
いることを確認し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、疎水性ヨード化合物
を膜構成成分として含む凍結乾燥されたリポソームを提
供するものである。本発明の好ましい態様では、疎水性
ヨード化合物が、炭素数18以上の置換基を少なくとも
1個有する1,3,5−トリヨードベンゼン誘導体であ
る上記リポソーム;ホスファチジルコリン及びホスファ
チジルセリンからなる群から選ばれる1又は2以上の脂
質、好ましくはホスファチジルコリン及びホスファチジ
ルセリンの組み合わせ膜構成成分として含む上記リポソ
ーム;炭素数6以上のアルキルのジエステルであるリン
酸ジアルキルエステルを膜構成成分として含む上記リポ
ソーム;及び炭素数18以上の置換基がコレステロール
誘導体の残基である上記リポソームが提供される。より
好ましい態様では、上記リポソームは、炭素数18以上
の置換基を少なくとも1個有する1,3,5−トリヨー
ドベンゼン誘導体である疎水性ヨード化合物、ホスファ
チジルコリン、及びホスファチジルセリンを含む。
【0011】別の観点からは、上記の凍結乾燥されたリ
ポソームを含むX線造影剤が提供される。この発明の好
ましい態様によれば、上記X線造影剤は血管疾患の造
影、好ましくは泡沫化マクロファージの影響で異常増殖
した血管平滑筋細胞、例えば動脈硬化巣やPTCA後の再狭
窄の造影に用いることができる。また、血管疾患の造影
方法であって、上記リポソームを用いてX線造影する工
程を含む方法、及び上記X線造影剤の製造のための上記
リポソームの使用が本発明により提供される。
【発明が解決しようとする課題】
【0012】疎水性ヨード化合物の種類は特に限定され
ないが、例えばヨードベンゼン誘導体が好ましく、炭素
数18以上の置換基を少なくとも一個有するトリヨード
ベンゼン誘導体、例えば1,3,5−トリヨードベンゼ
ン誘導体であることがより好ましい。また、炭素数18
以上の置換基を少なくとも一個有する2,3,5−トリ
ヨードベンゼン誘導体又は3,4,5−トリヨードベン
ゼン誘導体も好ましく用いられる。炭素数18以上の置
換基としては、ヨード造影部位であるトリヨードベンゼ
ン残基をリポソームの脂質二重層に安定に存在させるた
めの疎水性基であることが好ましく、例えば、炭素数が
20以上で、酸素原子数と窒素原子数の合計が10以下
であるものがより好ましい。該疎水性置換基は生体膜脂
質構成成分と類似構造であることがさらに好ましい。
【0013】こうした条件を満たす疎水性ヨード化合物
の好ましい例としては、例えば、J. Med. Chem. 25(1
2), 1500 (1982); Steroids 49(6), 531 (1987); Phar
m. Res. 6(12), 1011 (1989); 国際公開WO95/19186; 同
WO96/28414等に開示されているコレステロール誘導体の
残基を置換基として有する1,3,5−トリヨードベン
ゼン誘導体が挙げられる。上記刊行物の開示を参照とし
て本明細書の開示に含める。また、特願2001-249305号
明細書に記載された2,3,5−トリヨードベンゼン誘
導体及び3,4,5−トリヨードベンゼン誘導体も好ま
しい。さらに、二個のヨードフェニル基を有する1,2
−グリセリド化合物(特願2001-253394号明細書)、二
個のヨードフェニル基を有する1,3−グリセリド化合
物(特願2001-253395号明細書)も好ましく用いられ
る。これらの明細書の開示の全てを参照として本明細書
の開示に含める。
【0014】コレステロール誘導体としては、上記の刊
行物に開示されたものが好ましいが、特に好ましいのは
コレステロールである。コレステロールが3位水酸基を
介して疎水性ヨード化合物、例えば1,3,5−トリヨ
ードベンゼンと連結した化合物が好ましい。コレステロ
ールの水酸基と疎水性ヨード化合物、例えば1,3,5
−トリヨードベンゼンとを結合する方法としては、例え
ば、エステル結合、エーテル結合、ウレタン結合、炭酸
エステル結合等の手段を用いることができるが、エステ
ル結合が好ましい。コレステロールと疎水性ヨード化合
物、例えば1,3,5−トリヨードベンゼンとは、上記
の結合を介して直接結合していてもよいし、適当な連結
基を介して結合していてもよい。適当な連結基の例とし
ては、炭素数が5以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレ
ン基が挙げられる。例えば、特願2001-126475号明細
書、特願2001-126476号公報明細書に記載されたコレス
テロールエステル類も好ましく用いられる。上記の各明
細書の開示の全てを参照として本明細書の開示に含め
る。
【0015】疎水性ヨード化合物、好ましくは1,3,
5−トリヨードベンゼン化合物は、上記した炭素数18
の置換基以外に、1又は2以上の置換基を有していても
よい。置換基の種類及び置換位置は特に限定されない
が、例えば、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若し
くは無置換のアシルアミノ基、水酸基、カルボキシル基
等が疎水性ヨード化合物のベンゼン環上に置換している
ことが好ましい。好ましい置換基は置換若しくは無置換
のアミノ基、又は置換若しくは無置換のアシルアミノ基
である。アミノ基が置換基を有する場合として、モノア
ルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基などを挙げること
ができ、アシルアミノ基が置換基を有する場合として、
トリフルオロアセチルアミノ基、p−クロロベンゾイル
アミノ基などを例示することができる。好ましい疎水性
ヨード化合物の具体例として、PCT/JP01/3629号明細書
に具体的に記載された化合物(1)〜(9)を挙げることがで
きるが、本発明のリポソームはこれらを含むものに限定
されることはない。
【0016】疎水性ヨード化合物はリポソームの膜構成
成分として含まれるが、膜構成成分の全質量に対して1
0から90質量%程度、好ましくは10から80質量
%、さらに好ましくは20から80質量%である。疎水
性ヨード化合物は膜構成成分として1種類を用いてもよ
いが、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。疎水性
ヨード化合物は放射性ヨード原子を含むものであっても
よい。このようなリポソームはシンチグラフィー造影剤
のためのリポソームとして有用である。例えば特願2001
-249304号明細書に記載された放射性疎水性ヨード化合
物を含むリポソームなどが好適に利用できる。上記明細
書の開示の全てを参照として本明細書の開示に含める。
【0017】リポソームの他の膜構成成分としては、リ
ポソームの製造に通常用いられている脂質化合物をいず
れも用いることが可能である。例えば、Biochim. Bioph
ys. Acta 150(4), 44 (1982)、Adv. in Lipid. Res. 16
(1) 1 (1978)、"RESEARCH IN LIPOSOMES"(P.Machy, L.
Leserman著、John Libbey EUROTEXT社)、「リポソー
ム」(野島、砂本、井上編、南江堂)等に記載されてい
る。脂質化合物としてはリン脂質が好ましく、特に好ま
しいのはホスファチルジルコリン(PC)類である。ホスフ
ァチジルコリン類の好ましい例としては、eggPC、ジミ
リストリルPC(DMPC)、ジパルミトイルPC(DPPC)、ジ
ステアロイルPC(DSPC)、ジオレイルPC(DOPC)等が挙
げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】本発明の好ましい態様では、リポソームの
膜構成成分として、ホスファチジルコリンとホスファチ
ジルセリン(PS)を組み合わせて用いることができる。ホ
スファチジルセリンとしては、ホスファチジルコリンの
好ましい例として挙げたリン脂質と同様の脂質部位を有
する化合物が挙げられる。ホスファチジルコリンとホス
ファチジルセリンを組み合わせて用いる場合、PCとPSの
好ましい使用モル比はPC:PS=90:10から10:9
0の間であり、さらに好ましくは、30:70から7
0:30の間である。
【0019】本発明のリポソームの別の好ましい態様に
よると、膜構成成分として、ホスファチジルコリンとホ
スファチジルセリンを含み、さらにリン酸ジアルキルエ
ステルを含むリポソームが挙げられる。リン酸ジアルキ
ルエステルのジアルキルエステルを構成する2個のアル
キル基は同一であることが好ましく、それぞれのアルキ
ル基の炭素数は6以上であり、10以上が好ましく、1
2以上がさらに好ましい。好ましいリン酸ジアルキルエ
ステルの例としては、ジラウリルフォスフェート、ジミ
リスチルフォスフェート、ジセチルフォスフェート等が
挙げられるが、これに限定されることはない。この態様
において、ホスファチジルコリン及びホスファチジルセ
リンの合計質量に対するリン酸ジアルキルエステルの好
ましい使用量は1から50質量%までであり、好ましく
は1から30質量%であり、さらに好ましくは1から2
0質量%である。
【0020】ホスファチジルコリン、ホスファチジルセ
リン、リン酸ジアルキルエステル、及び疎水性ヨード化
合物を膜構成成分として含むリポソームにおいて、上記
成分の好ましい質量比はPC:PS:リン酸ジアルキル
エステル:疎水性ヨード化合物が5〜40質量%:5〜
40質量%:1〜10質量%:15〜80質量%の間で
選択することができる。
【0021】本発明のリポソームの構成成分は上記4者
に限定されず、他の成分を加えることができる。その例
としては、コレステロール、コレステロールエステル、
スフィンゴミエリン、FEBS Lett. 223, 42 (1987); Pro
c. Natl. Acad. Sci., USA, 85, 6949 (1988)等に記載
のモノシアルガングリオシドGM1誘導体、Chem. Lett.,
2145 (1989); Biochim. Biophys. Acta, 1148, 77 (199
2)等に記載のグルクロン酸誘導体、Biochim. Biophys.
Acta, 1029, 91 (1990); FEBS Lett., 268, 235(1990)
等に記載のポリエチレングリコール誘導体が挙げられる
が、これに限られるものではない。
【0022】本発明のリポソームは、当該分野で公知の
いかなる方法でもっても作成できる。作成法の例として
は、先に挙げたリポソームの総説成書類の他、Ann. Re
v. Biophys. Bioeng., 9, 467 (1980) 、"Liopsomes"
(M.J.Ostro編、MARCELL DEKKER,INC.)等に記載されて
いる。具体例としては、超音波処理法、エタノール注入
法、フレンチプレス法、エーテル注入法、コール酸法、
カルシウム融合法、凍結融解法、逆相蒸発法等が挙げら
れるが、これに限られるものではない。本発明のリポソ
ームのサイズは、上記の方法で作成できるサイズのいず
れであっても構わないが、通常は平均が400 nm以下であ
り、200 nm以下が好ましい。リポソームの構造は特に限
定されず、例えばユニラメラ又はマルチラメラのいずれ
でもよい。また、リポソームの内部に適宜の薬物や他の
造影剤の1種又は2種以上を配合することも可能であ
る。リポソーム懸濁液を製造するための溶媒の種類は特
に限定されないが、水、生理食塩水のほか、リン酸緩衝
生理食塩水などの緩衝液などが好ましい。
【0023】本発明のリポソームは、上記のようにして
製造されたリポソーム懸濁液を凍結乾燥することにより
製造することができる。凍結乾燥の方法は特に限定され
ず、当業者が利用可能な方法であればいかなるものを採
用してもよい。 例えば、冷媒直膨方法、重複冷凍方
法、熱媒循環方法、三重熱交換方法、間接加熱凍結方法
が挙げられるが、好ましくは冷媒直膨方法、間接加熱凍
結方法、より好ましくは間接加熱凍結方法を用いるのが
よい。いずれの方法においても、予備凍結を行なった後
に凍結乾燥を行なうことが好ましい。予備凍結の条件は
特に限定されないが、凍結乾燥を行なう試料がまんべん
なく凍結されている必要がある。
【0024】間接加熱凍結方法の装置としては、小型凍
結乾燥機、FTS凍結乾燥機、LYOVAC凍結乾燥
機、実験用凍結乾燥機、研究用凍結乾燥機、三重熱交換
真空凍結乾燥機、モノクーリング式凍結乾燥機、HUL
L凍結乾燥機が挙げられるが、好ましくは小型凍結乾燥
機、実験用凍結乾燥機、研究用凍結乾燥機、モノクーリ
ング式凍結乾燥機、より好ましくは小型凍結乾燥機、モ
ノクーリング式凍結乾燥機を用いるのがよい。
【0025】凍結乾燥の温度は特に限定されないが、例
えば−190〜−4℃、好ましくは−120〜−20
℃、より好ましくは−80〜−60℃程度である。凍結
乾燥の圧力も特に限定されず、当業者が適宜選択可能で
あるが、例えば、0.1〜35Pa、好ましくは1〜1
5Pa、さらに好ましくは、5〜10Pa程度で行なう
のがよい。凍結乾燥時間は、例えば2〜48時間、好ま
しくは6〜36時間、より好ましくは16〜26時間程
度である。もっとも、これらの条件は当業者に適宜選択
可能である。凍結乾燥方法については、例えば、製剤機
械技術ハンドブック:製剤機械技術研究会編、地人書
館、p.120-129 (2000年9月);真空ハンドブック:日本
真空技術株式会社編、オーム社、p.328-331 (1992年);
凍結及び乾燥研究会会誌:伊藤孝治他、No.15、p.82 (1
965)などを参照することができる。
【0026】本発明のリポソームを造影剤として用いる
場合には、好ましくは非経口的に投与することができ、
より好ましくは静脈内投与することができる。例えば、
凍結乾燥形態の粉末状組成物として提供される本発明の
造影剤を、用時に水又は他の適当な媒体(例えば生理食
塩水、ブドウ糖輸液、緩衝液など)に溶解ないし再懸濁
して注射剤や点滴剤などの形態の製剤として用いること
ができる。本発明のリポソームを造影剤として用いる場
合、投与量はリポソームのヨード含有量が、従来の疎水
性ヨード造影剤のヨード含有量と同程度になるように適
宜決定することが可能である。
【0027】いかなる特定の理論に拘泥するわけではな
いが、動脈硬化、もしくはPTCA後の再狭窄等の血管疾患
においては、血管の中膜を形成する血管平滑筋細胞が異
常増殖をおこすと同時に内膜に遊走し、血流路を狭くす
ることが知られている。正常の血管平滑筋細胞が異常増
殖を始めるトリガーはまだ完全に明らかにされていない
が、マクロファージの内膜への遊走と泡沫化が重要な要
因であることが知られており、その後に血管平滑細胞が
フェノタイプ変換(収縮型から合成型)をおこすことが
報告されている。
【0028】本発明のリポソームを用いると、泡沫化マ
クロファージの影響で異常増殖した血管平滑筋に対して
疎水性ヨード化合物を選択的に取りこませることができ
る。その結果、病巣と非疾患部位とをコントラストをつ
けて造影することが可能である。従って、本発明の造影
剤は、特に血管疾患のX線造影に好適に使用でき、例え
ば、動脈硬化巣やPTCA後の再狭窄等の造影を行うことが
できる。造影の方法は特に限定されない。例えば、X線
照射による方法、又はヨードの放射線ラベル体を用いる
核医学的方法などが挙げられるが、これらに限定される
ことはない。なお、疎水性ヨード化合物を膜構成成分と
して含むリポソームの製造方法及びX線造影剤としての
該リポソームの使用方法についてはPCT/JP01/3629号明
細書に具体的な説明があるので、該明細書の開示の全て
を参照として本明細書の開示に含める。当業者は上記明
細書の開示を参照することにより、本発明のリポソーム
をX線造影剤として容易に使用することができる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定される
ことはない。 例1:リポソームの調製 egg ホスファチジルコリン(PC、50 nmol、フナコシ社
製、No.1201-41-0214)、eggホスファチジルセリン(P
S、50 nmol、フナコシ社製、No.1201-42-0226)、ジセ
チルフォスフェート(DCP、10 nmol、フナコシ社製、N
o.1354-14-8165)、J. Med. Chem. 25(12), 1500(1982)
記載の方法で合成したCholesteryl Iopanoate(150 nmo
l)をそれぞれナス型フラスコ内で塩化メチレンに溶解し
て均一溶液とした後、溶媒を減圧で留去してフラスコ底
面に薄膜を形成した。この薄膜を真空で乾燥後、一方に
は0.9%生理食塩水(光製薬社製、No.512)を1.5ml加
え、超音波照射(Branson社製、No.3542プローブ型発振
器、0.1mW)を氷冷下5分実施することにより、均一な
リポソーム分散液を得た(A液)。もう一方には、注射
用水(光製薬社製、No.513)を1.5ml加え、超音波照射
(Branson社製、No.3542プローブ型発振器、0.1W)を氷
冷下5分実施することにより、均一なリポソーム分散液
を得た。
【0030】このリポソーム分散液を凍結乾燥に先立っ
て液体チッソを用いて予備凍結した。この時、表面積を
なるべく大きくするため、ナス型フラスコの内壁に薄い
膜が出来る様に凍結した。この凍結物をフリーズ・ドラ
イヤー(タイテック社製:VD400F)にて24時間凍
結乾燥した。凍結乾燥温度は-80℃であり、減圧度7 Pa
であった。得られた凍結乾燥粉末を回収し、褐色びんに
移して室温・暗所にて60日間保存した。保存後の凍結乾
燥粉末に0.9%生理食塩水を加えてリポソームを再水和し
たところ、均一なリポソーム懸濁液が得られ、白濁や沈
殿は認められなかった。一方、A液を室温に放置して経
時的に外観を観察したところ、リポソーム調製14日目か
ら白濁の沈殿を認めた。従って、凍結乾燥された本発明
のリポソームは懸濁液状態で保存する場合に比べて室温
で4倍以上安定である。
【0031】
【発明の効果】凍結乾燥状態で提供される本発明のリポ
ソーム及び該リポソームを含むX線造影剤は通常の保存
条件下で安定であり、流通や貯蔵時の経時的な品質変化
が少ない。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疎水性ヨード化合物を膜構成成分として
    含む凍結乾燥されたリポソーム。
  2. 【請求項2】 疎水性ヨード化合物が、炭素数18以上
    の置換基を少なくとも1個有する1,3,5−トリヨー
    ドベンゼン誘導体である上記リポソーム。
  3. 【請求項3】 ホスファチジルコリン及びホスファチジ
    ルセリンからなる群から選ばれる1又は2以上の脂質を
    膜構成成分として含む請求項1又は2に記載のリポソー
    ム。
  4. 【請求項4】 ホスファチジルコリン及びホスファチジ
    ルセリンの組み合わせを膜構成成分として含む請求項1
    又は2に記載のリポソーム。
  5. 【請求項5】 炭素数6以上のアルキルのジエステルで
    あるリン酸ジアルキルエステルを膜構成成分として含む
    請求項1ないし4のいずれか1項に記載のリポソーム。
  6. 【請求項6】 炭素数18以上の置換基がコレステロー
    ル誘導体の残基である請求項2ないし5のいずれか1項
    に記載のリポソーム。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項に記載
    の凍結乾燥されたリポソームを含むX線造影剤。
  8. 【請求項8】 血管疾患の造影に用いる請求項7に記載
    のX線造影剤。
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