JP2003055196A - 疎水性ヨード化合物を含むリポソーム及び該リポソームを含むx線造影剤 - Google Patents

疎水性ヨード化合物を含むリポソーム及び該リポソームを含むx線造影剤

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JP2003055196A JP2001249305A JP2001249305A JP2003055196A JP 2003055196 A JP2003055196 A JP 2003055196A JP 2001249305 A JP2001249305 A JP 2001249305A JP 2001249305 A JP2001249305 A JP 2001249305A JP 2003055196 A JP2003055196 A JP 2003055196A
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博司 北口
Kazuhiro Aikawa
和広 相川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 動脈硬化などの血管平滑筋の異常増殖に起因
する血管疾患部位に対して選択的にヨード化合物を集積
させ、血管疾患などの生体内環境をX線造影により鮮明
に画像化する手段を提供する。 【解決手段】 一般式(I):R1−CO2−R2(R1
置換若しくは無置換の2,3,5−トリヨードフェニル基
又は置換若しくは無置換の3,4,5−トリヨードフェニ
ル基を示し;R2は炭素数10以上の炭化水素基を示
す)で表される疎水性ヨード化合物を膜構成成分として
含むリポソーム、及び該リポソームを含み、好ましくは
血管疾患の造影に用いるためのX線造影剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリポソームに関する
ものであり、より具体的には、特定の疎水性ヨード化合
物を含み、該疎水性ヨード化合物を疾患部位に選択的に
集積させ、非疾患部位とコントラストをつけて造影する
方法に利用可能なリポソームに関するものである。
【0002】
【従来の技術】現代社会、特に先進国社会においては、
高カロリー・高脂肪の食事を取る機会が増大している。
そのために、動脈硬化症が原因となる虚血性疾患(心筋
梗塞・狭心症等の心疾患、脳梗塞・脳出血等の脳血管疾
患)の死亡者数が増加しており、この症状を初期の段階
で診断し適切な治療を行うことが求められている。しか
し、上記疾患が発症する以前に動脈硬化の進行を初期の
段階で診断する満足できる方法は存在しない。
【0003】動脈硬化症の診断方法としては、非侵襲的
な方法と、動脈にカテーテル等を挿入する侵襲的な方法
に大別される。このうち非侵襲的方法の主なものはX線
血管造影と超音波であるが、初期の動脈硬化、特に心筋
梗塞や狭心症の原因となる冠状動脈の狭窄を初期の段階
で発症前に検出することはほとんど不可能である。
【0004】非侵襲的な方法としては他にCT、MRIなど
も用いられることがあるが、これらは主として腫瘍の発
見のために開発された方法であり、動脈硬化病巣の解像
度に問題があるばかりでなく、高値で大かがりな装置を
必要とするため、実施できる病院数も限られ一般には利
用されていない。
【0005】一方侵襲的な方法としては、血管内エコ
ー、血管内視鏡等が用いられている。これらの方法によ
ると動脈硬化の病巣を0.1mmの厚さまで測定することが
可能と言われている。しかし、これらの方法は、カテー
テルの先に装着した超音波発振器、内視鏡を動脈内に挿
入する必要がある。これは患者に大きな肉体的精神的な
負担を強いると共に、危険も伴う。従って、心筋梗塞等
の発作をおこした患者の治療や二次予防のために実施さ
れてはいるものの、発症以前の人に動脈硬化の有無もし
くは進行を診断する目的には使用できない。
【0006】これらのうち、動脈の狭窄部位の特定に最
も広く用いられているのはX線血管造影である。これ
は、水溶性のヨード造影剤を投与することにより血液の
流れを造影し、その流れが滞っている箇所をみつける方
法である。しかしこの方法では、通常狭窄が50%以上
進んだ病巣しか検出することができず、虚血性疾患の発
作が発症する前に病巣を検出することは困難である。
【0007】これとは別に、疎水性ヨード造影剤もしく
は親水性造影剤を製剤化し、目的とする疾患部位に選択
的に集積させる試みが報告されている(国際公開WO95/19
186、同WO95/21631、同WO89/00812、英国特許第867650
号、国際公開WO96/00089、同WO94/19025、同WO96/4061
5、同WO95/2295、同 WO98/41239、同WO98/23297、同WO9
9/02193、同 WO97/06132、米国特許第4192859号明細
書、同4567034号明細書、同4925649号明細書、 Pharm.
Res., 16(3), 420 (1999), J. Pharm. Sci., 72(8),898
(1983), Invest. Radiol., 18(3), 275 (1983))。例え
ばPharm. Res., 16(3), 420 (1999)には、疎水性化合物
であるCholesteryl Iopanoateの油滴分散液を注射する
ことにより、該ヨード化合物が実験動物の動脈硬化部位
に集積することが開示されている。
【0008】また、J. Pharm. Sci. 72(8), 898 (1983)
には、Cholesteryl Iopanoateの油滴分散液を注射する
ことによる肝臓や脾臓のX線造影の例が開示されてい
る。米国特許第4567034号明細書には、diatrizoic acid
のエステル体をリポソームに封入し、肝臓や脾臓の選
択的造影を行う方法が報告されている。国際公開WO96/2
8414、同WO96/00089には血管プールやリンパ系をイメー
ジ化するための造影剤が開示されている。しかしなが
ら、これらの製剤方法は、血管疾患を選択的に造影する
目的のためには、効率および選択性ともに十分でなく、
X線照射により血管疾患を画像化した例も報告されてい
ない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するため
の手段】本発明の課題は、動脈硬化やPTCA後の再狭窄等
の血管平滑筋の異常増殖に起因する血管疾患部位に対し
て選択的にヨード化合物を集積させるための手段を提供
することにある。その手段を用いることにより、血管疾
患などの生体内環境をX線造影により画像化することも
本発明の別の課題である。本発明者らは上記の課題を解
決すべく鋭意研究を行った結果、疎水性ヨード化合物を
膜構成成分の一つとして含むリポソームが、動脈硬化巣
の主構成成分である血管平滑筋及び泡沫化マクロファー
ジに集積することを見出した。本発明は上記の知見を基
に完成されたものである。
【0010】すなわち、本発明は、下記一般式(I): R1−CO2−R2 (式中、R1は置換若しくは無置換の2,3,5−トリヨ
ードフェニル基又は置換若しくは無置換の3,4,5−ト
リヨードフェニル基を示し;R2は炭素数10以上の炭
化水素基を示す)で表される疎水性ヨード化合物を膜構
成成分として含むリポソームを提供するものである。
【0011】本発明の好ましい態様によれば、ホスファ
チジルコリン及びホスファチジルセリンからなる群から
選ばれるリン脂質、好ましくはホスファチジルコリン及
びホスファチジルセリンの組み合わせを膜構成成分とし
て含む上記のリポソーム;炭素数6以上のアルキルのジ
エステルであるリン酸ジアルキルエステルを膜構成成分
として含む上記のリポソーム;炭素数10以上の炭化水
素がコレステロール誘導体の残基である上記のリポソー
ムが提供される。
【0012】また、別の観点からは、上記のリポソーム
を含むX線造影剤が本発明により提供される。この発明
の好ましい態様によれば、血管疾患の造影に用いるため
の上記X線造影剤;及び泡沫化マクロファージの影響で
異常増殖した血管平滑筋細胞、例えば動脈硬化巣やPTCA
後の再狭窄の造影に用いる上記のX線造影剤が提供され
る。
【0013】
【発明の実施の形態】一般式(I)で表されるヨード化
合物は、置換若しくは無置換の2,3,5−トリヨード安
息香酸又は置換若しくは無置換の3,4,5−トリヨード
安息香酸と炭素数10以上の炭化水素基を含むアルコー
ルとから形成されるエステル化合物である。炭素数10
以上の炭化水素基を含むアルコールとしては、ヨード造
影部位であるトリヨード安息香酸残基をリポソームの脂
質二重層に安定に存在させるために、疎水性基の炭化水
素基を含むアルコールであることが好ましい。例えば、
炭素数が18〜40の範囲の炭化水素基を含むアルコー
ルが好ましい(本明細書において「〜」で示される数値
範囲は上限及び下限の数値を含む)。また、該炭化水素
基は酸素原子、窒素原子、又はイオウ原子などのヘテロ
原子を1個以上含んでいてもよい。一般的には、該炭化
水素基に含まれる酸素原子数と窒素原子数の合計が10
以下であるものが好ましい。上記ヘテロ原子は炭化水素
基の主鎖を構成していてもよく、及び/又は側鎖に含ま
れていてもよい。
【0014】該炭化水素基は生体膜脂質構成成分と類似
構造であることがさらに好ましい。こうした条件を満た
す一般式(I)の疎水性ヨード化合物の好ましい例とし
ては、例えば、J. Med. Chem., 25(6), 618 (1982);
J. Med. Chem., 24(1), 5 (1981);Appl. Radial. Iso
t., 37(8), 907 (1986); Steroids, 44(1), 85 (1984);
Steroids, 14(5), 575 (1969) 等に開示されているコ
レステロール誘導体と、2,3,5−トリヨード安息香酸
又は3,4,5−トリヨード安息香酸とから形成されるエ
ステル化合物が挙げられる。コレステロール誘導体とし
ては、上記の刊行物に開示されたものが好ましいが、特
に好ましいのはコレステロールである。コレステロール
が3位水酸基を介して2,3,5−トリヨード安息香酸又
は3,4,5−トリヨード安息香酸とエステル結合を形成
した化合物が好ましい。
【0015】一般式(I)において、2,3,5−トリヨ
ードフェニル基又は3,4,5−トリヨードフェニル基は
環上に1又は2以上の置換基を有していてもよい。置換
基の種類、置換位置、及び個数は特に限定されないが、
例えば、環上の置換基として、置換若しくは無置換のア
ミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基、水酸
基、カルボキシル基等などを挙げることができる。好ま
しい置換基としては、置換若しくは無置換のアミノ基、
又は置換若しくは無置換のアシルアミノ基を挙げること
ができる。上記のアミノ基が置換基を有する場合とし
て、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基などを
挙げることができ、アシルアミノ基が置換基を有する場
合として、トリフルオロアセチルアミノ基、p−クロロ
ベンゾイルアミノ基などを例示することができる。
【0016】以下に一般式(I)で表される化合物の好
ましい例を挙げるが、本発明のリポソームはこれらの化
合物を含むものに限定されることはない。
【0017】
【化1】
【0018】上記一般式(I)で表される疎水性ヨード
化合物はリポソームの膜構成成分として含まれるが、リ
ポソーム中の該化合物の含有量は、リポソームの膜構成
成分の全質量に対して10から90質量%程度、好まし
くは10から80質量%、さらに好ましくは20から8
0質量%である。該疎水性ヨード化合物は膜構成成分と
して1種類を用いてもよいが、2種類以上を組み合わせ
て用いてもよい。
【0019】リポソーム膜を構成する他の成分として
は、リポソームの製造に通常用いられている脂質化合物
をいずれも用いることが可能である。例えば、Biochim.
Biophys. Acta, 150(4), 44 (1982)、Adv. in Lipid.
Res., 16(1) 1 (1978)、"RESEARCH IN LIPOSOMES"(P.
Machy, L. Leserman著、John Libbey EUROTEXT社)、
「リポソーム」(野島、砂本、井上編、南江堂)等に記
載されている。脂質化合物としてはリン脂質が好まし
く、特に好ましいのはホスファチルジルコリン(PC)類で
ある。ホスファチジルコリン類の好ましい例としては、
eggPC、ジミリストリルPC(DMPC)、ジパルミトイルPC
(DPPC)、ジステアロイルPC(DSPC)、ジオレイルPC
(DOPC)等が挙げられるが、これらに限定されるもので
はない。
【0020】本発明の好ましい態様では、リポソームの
膜構成成分として、ホスファチジルコリン及びホスファ
チジルセリン(PS)からなる群から選ばれるリン脂質を用
いることができ、より好ましい態様では両者を組み合わ
せて用いることができる。ホスファチジルセリンとして
は、ホスファチジルコリンの好ましい例として挙げたリ
ン脂質と同様の脂質部位を有する化合物が挙げられる。
ホスファチジルコリンとホスファチジルセリンとを組み
合わせて用いる場合、PCとPSの好ましい使用モル比はP
C:PS=90:10から10:90の間であり、さらに
好ましくは、30:70から70:30の間である。
【0021】本発明のリポソームの別の好ましい態様に
よると、膜構成成分として、ホスファチジルコリンとホ
スファチジルセリンとを含み、さらにリン酸ジアルキル
エステルを含むリポソームが挙げられる。リン酸ジアル
キルエステルのジアルキルエステルを構成する2個のア
ルキル基は同一であることが好ましく、それぞれのアル
キル基の炭素数は6以上であり、10以上が好ましく、
12以上がさらに好ましい。アルキル基の炭素数の上限
は特に限定されないが、一般的には24個以下である。
好ましいリン酸ジアルキルエステルの例としては、ジラ
ウリルフォスフェート、ジミリスチルフォスフェート、
ジセチルフォスフェート等が挙げられるが、これに限定
されることはない。この態様において、ホスファチジル
コリン及びホスファチジルセリンの合計質量に対するリ
ン酸ジアルキルエステルの好ましい使用量は1から50
質量%までであり、好ましくは1から30質量%であ
り、さらに好ましくは1から20質量%である。
【0022】ホスファチジルコリン、ホスファチジルセ
リン、リン酸ジアルキルエステル、及び上記一般式
(I)で表される疎水性ヨード化合物を膜構成成分とし
て含むリポソームにおいて、上記成分の好ましい質量比
はPC:PS:リン酸ジアルキルエステル:一般式
(I)で表される疎水性ヨード化合物が5〜40質量
%:5〜40質量%:1〜10質量%:15〜80質量
%の間で選択することができる。
【0023】本発明のリポソームの構成成分は上記4者
に限定されず、他の成分を加えることができる。その例
としては、コレステロール、コレステロールエステル、
スフィンゴミエリン、FEBS Lett. 223, 42 (1987); Pro
c. Natl. Acad. Sci., USA, 85, 6949 (1988)等に記載
のモノシアルガングリオシドGM1誘導体、Chem. Lett.,
2145 (1989); Biochim. Biophys. Acta, 1148, 77 (199
2)等に記載のグルクロン酸誘導体、Biochim. Biophys.
Acta, 1029, 91 (1990); FEBS Lett., 268, 235(1990)
等に記載のポリエチレングリコール誘導体が挙げられる
が、これに限られるものではない。
【0024】本発明の造影剤に含まれるリポソームは、
当該分野で公知のいかなる方法でもっても作成できる。
作成法の例としては、先に挙げたリポソームの総説成書
類の他、Ann. Rev. Biophys. Bioeng., 9, 467 (1980)
、"Liopsomes"(M.J. Ostro編,MARCELL DEKKER, IN
C.)等に記載されている。具体例としては、超音波処理
法、エタノール注入法、フレンチプレス法、エーテル注
入法、コール酸法、カルシウム融合法、凍結融解法、逆
相蒸発法等が挙げられるが、これに限られるものではな
い。リポソームのサイズは、上記の方法で作成できるサ
イズのいずれであっても構わないが、通常は平均が400
nm以下であり、200 nm以下が好ましい。リポソームの構
造は特に限定されず、ユニラメラ又はマルチラメラのい
ずれでもよい。また、リポソームの内部に適宜の薬物や
他の造影剤の1種又は2種以上を配合することも可能で
ある。
【0025】本発明の造影剤はヨード造影剤としてX線
造影に用いることができる。本発明の造影剤は、好まし
くは非経口的に投与することができ、より好ましくは静
脈内投与することができる。例えば、注射剤や点滴剤な
どの形態の製剤を凍結乾燥形態の粉末状組成物として提
供し、用時に水又は他の適当な媒体(例えば生理食塩
水、ブドウ糖輸液、緩衝液など)に溶解ないし再懸濁し
て用いることができる。本発明のリポソームをヨード造
影剤として用いる場合、投与量はリポソームの含有量が
従来のヨード造影剤のヨード含有量と同程度になるよう
に適宜決定することが可能である。
【0026】いかなる特定の理論に拘泥するわけではな
いが、動脈硬化、もしくはPTCA後の再狭窄等の血管疾患
においては、血管の中膜を形成する血管平滑筋細胞が異
常増殖をおこすと同時に内膜に遊走し、血流路を狭くす
ることが知られている。正常の血管平滑筋細胞が異常増
殖を始めるトリガーはまだ完全に明らかにされていない
が、マクロファージの内膜への遊走と泡沫化が重要な要
因であることが知られており、その後に血管平滑細胞が
フェノタイプ変換(収縮型から合成型)をおこすことが
報告されている。
【0027】本発明のリポソームを用いると、泡沫化マ
クロファージの影響で異常増殖した血管平滑筋細胞に対
して一般式(I)で表される疎水性ヨード化合物を選択
的に取りこませることができる。その結果、本発明のリ
ポソ-ムを用いると、病巣と非疾患部位の血管平滑筋細
胞との間でコントラストの高いX線造影が可能である。
従って、本発明の造影剤は、特に血管疾患の造影に好適
に使用でき、例えば、動脈硬化巣やPTCA後の再狭窄等の
造影を行うことができる。造影の方法は特に限定され
ず、例えば、X線照射による通常の方法により造影を行
うことが可能である。
【0028】また、例えばJ. Biol. Chem., 265, 5226
(1990)に記載されているように、リン脂質よりなるリポ
ソーム、特にPCとPSから形成されるリポソームが、スカ
ベンジャーレセプターを介してマクロファージに集積し
やすいことが知られている。従って本発明のリポソーム
を使用することにより、一般式(I)で表される疎水性
ヨード化合物をマクロファージが局在化している組織又
は疾患部位に集積させることができる。本発明のリポソ
ームを用いると、公知技術であるサスペンジョン又はオ
イルエマルジョンを用いる場合に比べて、より多くのヨ
ード化合物をマクロファージに集積させることが可能で
ある。
【0029】マクロファージの局在化が認められ、本発
明の方法で好適に造影可能な組織としては、例えば、血
管、肝臓、肺胞、リンパ節、リンパ管、腎臓上皮を挙げ
ることができる。また、ある種の疾患においては、疾患
部位にはマクロファージが集積していることが知られて
いる。こうした疾患としては、腫瘍、動脈硬化、炎症、
感染等を挙げることができる。従って、本発明のリポソ
ームを用いることにより、これらの疾患部位を特定する
ことができる。特に、アテローム性動脈硬化病変の初期
過程において、スカベンジャーレセプターを介して変性
LDLを大量に取り込んだ泡沫化マクロファージが集積し
ていることが知られており(Am. J. Pathol., 103, 181
(1981)、Annu. Rev. Biochem., 52, 223(1983))、この
マクロファージに本発明のリポソームを集積化させてX
線造影をすることにより、他の手段では困難な動脈硬化
初期病変の位置を特定することが可能である。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定される
ことはない。実施例中の化合物番号は、上記の好ましい
化合物として示した化合物の番号に対応させてある。 例1:泡沫化マクロファージにより増殖活性化する血管
平滑筋培養系の作成 マウス大動脈内皮より、血管平滑筋細胞を分離した(組
織培養法改定第10版、講談社、1998年、日本組織培養学
会編集)。分離した血管平滑筋細胞を10%FBSイーグルME
M培地(GIBCO社製 No.11095-080)に懸濁し、12穴マイ
クロプレート(FALCON社製、No.3503)に播種した。こ
の時の各wellの細胞数は10,000個に調整した。37℃、5
%CO2の条件で3日間培養した。
【0031】次に、Biochimica Biophysica Acta誌、12
13巻、127-134頁(1994)記載の方法により、泡沫化した
マウス腹腔マクロファージを調製した。この泡沫化マク
ロファージ200,000個を分離し、上記底面に血管平滑筋
細胞を培養したマイクロプレートの各wellの上部にイン
サートセル(FALCON社製、No.3180)に播種した。37
℃、5%CO2の条件で5日間培養した。図1に上記実験に
おける血管平滑筋細胞の細胞数を示す。培養開始当初の
増殖は緩やかであるが、3日後に泡沫化マクロファージ
を加えた後、約1日の誘導期を経て活発な増殖を示し
た。マクロファージを加えない場合の血管平滑筋細胞の
増殖曲線を図2に示す。図1との比較により泡沫マクロ
ファージによる増殖活性化効果は明らかである
【0032】例2:血管平滑筋上のスカベンジャーレセ
プター発現の確認 動脈硬化病巣における血管平滑筋細胞は、表面にスカベ
ンジャーレセプターを発現して酸化LDLを取りこむこと
が知られている。(Biochem. Pharmacol., 1999,15; 57
(4) 383-6: Exp. Mol. Pathol. 1997 64(3) 127-45)
図1の培養系における血管平滑筋細胞に対して、マウス
スカベンジャーレセプター抗体を使用して免疫染色を行
った結果、播種3日目の血管平滑筋細胞には発現を認め
なかったが、播種6日目では明瞭な染色が確認された。
なお、セル・フィルター上の泡沫化させたマクロファー
ジを同様に免疫染色したところ、やはり明瞭な染色が認
められた。
【0033】例3:血管平滑筋細胞による酸化LDLの取
りこみ 図1の培養系において、播種3日目および6日目におい
て血管平滑筋細胞の培地に125Iで標識した酸化LDLを添
加し、24時間後に細胞に取り込まれた125Iをカウント
した結果を表1に示す。3日目と6日目では、明らかな
取りこみ量の差が認められた。
【0034】
【表1】
【0035】以上の結果より、上記細胞培養系により培
養された血管平滑筋細胞が、動脈硬化または再狭窄等の
病巣の平滑筋細胞と同様の性質を有していることが示さ
れた。なお、図1の培養系で培養された血管平滑筋細胞
は、播種3日目までは健康な血管の、播種7日目以降は
動脈硬化病巣の平滑筋細胞の性質を有しているため、こ
の両者に対する影響を比較することで、病巣に選択的な
薬剤のスクリーニングを行うことができる。特に、病巣
に選択的な薬剤送達系の探索、病巣細胞に選択的毒性を
示す薬剤の探索、病巣細胞の細胞周期を選択的に停止さ
せる薬剤の開発等に使用できる。
【0036】例4:リポソームの調製 下記に示した割合でegg PC (フナコシ社製、No.1201-41
-0214)、egg PS (フナコシ社製、No.1201-42-0226)、ジ
セチルフォスフェート (DCP、フナコシ社製、No.1354-1
4-8165)、J. Med. Chem., 24(1), 5(1981)記載の方法で
合成した疎水性ヨード化合物1をそれぞれナス型フラス
コ内で塩化メチレンに溶解して均一溶液とした後、溶媒
を減圧で留去してフラスコ底面に薄膜を形成した。この
薄膜を真空で乾燥後、0.9% 生理食塩水 (光製薬社製、N
o.512)を1.5 ml加え、超音波照射(Branson社製、No.35
42プローブ型発振器、0.1 mW)を氷冷下5分実施するこ
とにより、均一なリポソーム分散液を得た。得られた分
散液の粒径をWBCアナライザー(日本光電社製、A-104
2)で測定した結果、粒子径は40から65 nmであった。
【0037】
【表2】
【0038】例5:血管平滑筋細胞によるリポソーム製
剤の選択的取り込み 例4で調製した3種類のリポソームを例1の図1または
2で示される平滑筋細胞培養系に下記、、又はの
タイミングで添加し、培養を継続した。 図2に示される泡沫化マクロファージを加えない培養
系において、3日後にリポソーム製剤を加えて1日間培
養した。 図1に示される泡沫化マクロファージを加える培養系
において、5日後にリポソーム製剤を加えて1日間培養
した。 図1に示される泡沫化マクロファージを加える培養系
において、7日後にリポソーム製剤を加えて1日間培養
した。
【0039】からの条件でリポソームの添加と後培
養が終了後、上清を除きハンクスバッファー液(日水製
薬社製、code05906、pH7.2)で3回洗浄した後、1.5%SD
S溶液(和光純薬社製、199-07141)を加えて、37℃で30
分インキュベートして細胞を溶解し、細胞内に取りこま
れた化合物1の量をHPLCで定量した。その結果を図3に
示す。本発明のリポソームにより血管平滑筋細胞に取り
こまれる疎水性ヨード化合物の量は、泡沫化マクロファ
ージの影響により増殖を開始する前と後では明瞭な差が
認めらた。
【0040】例6:比較例 Pharm. Res., 6(12) 1011 (1989) に記載の方法に従
い、化合物1の油滴懸濁液を調製した。化合物1の含有
量を同じにして例3と同様の条件(、、及び)で
細胞培養系に加え、血管平滑筋に取りこまれた化合物1
の量をHPLCで定量した。その結果を図4に示す。図3と
図4を比較すると、本発明のリポソームを用いた場合に
は、公知の油滴懸濁剤と比べて、泡沫化マクロファージ
の影響により異常増殖する血管平滑筋細胞に対して高効
率かつ高選択的にヨード造影剤を集積させることができ
ることが明らかである。
【0041】
【発明の効果】本発明のリポソームは、泡沫化マクロフ
ァージの影響により異常増殖する血管平滑筋細胞に対し
て一般式(I)で表される疎水性ヨード化合物を集積さ
せることができ、血管平滑筋の異常増殖に起因する血管
疾患の病巣を選択的に造影するためのX線造影剤として
有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 マウス泡沫化マクロファージの存在下でマウ
ス血管平滑筋細胞の増殖が誘導される結果を示した図で
ある。
【図2】 マウス泡沫化マクロファージを加えない場合
のマウス血管平滑筋細胞の増殖曲線を示した図である。
【図3】 マウス血管平滑筋細胞によるリポソームの取
り込みを示した図である。は図2に示されるマウス泡
沫化マクロファージを加えない培養系において、3日後
にリポソーム製剤を加えて1日間培養した結果を示し;
は図1に示されるマウス泡沫化マクロファージを加え
る培養系において、5日後にリポソーム製剤を加えて1
日間培養した結果を示し;は図1に示されるマウス泡
沫化マクロファージを加える培養系において、7日後に
リポソーム製剤を加えて1日間培養した結果を示す。
【図4】 本発明のリポソームに替えて油滴懸濁剤を用
いた場合の結果を示した図である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4C076 AA19 BB14 CC37 DD23 DD45 DD63 FF70 4C085 HH05 JJ05 KB39 KB42 LL01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I): R1−CO2−R2 (式中、R1は置換若しくは無置換の2,3,5−トリヨ
    ードフェニル基又は置換若しくは無置換の3,4,5−ト
    リヨードフェニル基を示し;R2は炭素数10以上の炭
    化水素基を示す)で表される疎水性ヨード化合物を膜構
    成成分として含むリポソーム。
  2. 【請求項2】 ホスファチジルコリン及びホスファチジ
    ルセリンの組み合わせを膜構成成分として含む請求項1
    に記載のリポソーム。
  3. 【請求項3】 炭素数6以上のアルキルのジエステルで
    あるリン酸ジアルキルエステルを膜構成成分として含む
    請求項1又は2に記載のリポソーム。
  4. 【請求項4】 炭素数10以上の炭化水素がコレステロ
    ール誘導体の残基である請求項1ないし3の1項に記載
    のリポソーム。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項に記載
    のリポソームを含むX線造影剤。
  6. 【請求項6】 血管疾患の造影に用いるための請求項5
    に記載のX線造影剤。
  7. 【請求項7】 泡沫化マクロファージの影響で異常増殖
    した血管平滑筋細胞の造影に用いる請求項5に記載のX
    線造影剤。
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