JP4344263B2 - 2個のヨードアリール基を有するジエステル化合物 - Google Patents
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また、本発明により、上記のリポソームを含むX線造影剤が提供される。この発明の好ましい態様によれば、血管疾患の造影に用いる上記X線造影剤;泡沫化マクロファージの影響で異常増殖した血管平滑筋細胞の造影に用いる上記X線造影剤;マクロファージが局在化する組織又は疾患部位の造影に用いる上記のX線造影剤;マクロファージが局在化する組織が肝臓、脾臓、肺胞、リンパ節、リンパ管、及び腎臓上皮からなる群から選ばれる上記のX線造影剤が提供される。
さらに、上記X線造影剤の製造のための上記の化合物又はその塩の使用;X線造影法であって、上記の化合物を膜構成成分として含むリポソームを、ヒトを含む哺乳類動物に投与した後にX線を照射する工程を含む方法;血管疾患の病巣の造影方法であって、上記の化合物を膜構成成分として含むリポソームを、ヒトを含む哺乳類動物に投与した後にX線を照射する工程を含む方法が本発明により提供される。
さらに、上記シンチグラフィー造影剤の製造のための上記の化合物又はその塩の使用;シンチグラフィー造影法であって、上記の化合物を膜構成成分として含むリポソームを、ヒトを含む哺乳類動物に投与した後に該リポソームが発生する放射線を検出する工程を含む方法;血管疾患の病巣の造影方法であって、上記の化合物を膜構成成分として含むリポソームを、ヒトを含む哺乳類動物に投与した後に該リポソームが発生する放射線を検出する工程を含む方法も本発明により提供される。
リポソームの他の膜構成成分としては、リポソームの製造に通常用いられている脂質化合物をいずれも用いることが可能である。例えば、Biochim. Biophys. Acta 150(4), 44 (1982)、Adv. In Lipid. Res. 16(1), 1 (1978)、_RESEARCH IN LIPOSOMES_ (P. Machy, L. Leserman著、John Libbey EUROTEXT社)、「リポソーム」(野島、砂本、井上編、南江堂)等に記載されている。脂質化合物としてはリン脂質が好ましく、特に好ましいのはホスファチジルコリン(PC)類である。ホスファチジルコリン類の好ましい例としては、eggPC、ジミリストイルPC(DMPC)、ジパルミトイルPC(DPPC)、ジステアロイルPC(DSPC)、ジオレイルPC(DOPC)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のリポソームにおける別の好ましい態様によると、膜構成成分として、ホスファチジルコリンとホスファチジルセリンを含み、さらにリン酸ジアルキルエステルを含むリポソームが挙げられる。リン酸ジアルキルエステルのジアルキルエステルを構成する2個のアルキル基は同一であることが好ましく、それぞれのアルキル基の炭素数は6以上であり、10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。好ましいリン酸ジアルキルエステルの例としては、ジラウリルフォスフェート、ジミリスチルフォスフェート、ジセチルフォスフェート等が挙げられるが、これに限定されることはない。この態様において、ホスファチジルコリン及びホスファチジルセリンの合計質量に対するリン酸ジアルキルエステルの好ましい使用量は1から50質量%までであり、好ましくは1から30質量%であり、さらに好ましくは1から20質量%である。
本発明のリポソームの構成成分は上記4者に限定されず、他の成分を加えることができる。その例としては、コレステロール、コレステロールエステル、スフィンゴエミリン、FEBS Lett. 223, 42 (1987); Proc. Natl. Acad. Sci., USA 85, 6949 (1988)等に記載のモノシアルガングリオキシドGM1誘導体、Chem. Lett. 2145 (1989); Biochim. Biophys. Acta 1148, 77 (1992)等に記載のグルクロン酸誘導体、Biochim. Biophys. Acta 1029, 91 (1990); FEBS Lett. 268, 235 (1990)等に記載のポリエチレングリコール誘導体が挙げられるが、これに限られるものではない。
例1
12-ブロモドデカン酸4.8gと2,4,6-トリヨードフェノール9.1gをエタノール70mLに加え、還流して溶解させた。水酸化カリウム2.2gを加えてさらに12時間攪拌を続けた。得られた沈殿を濾別、エタノールで洗浄した後、クロロホルムと1規定塩酸を加えて、クロロホルムで2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、除媒し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して12-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)ドデカン酸を7.0g(収率60%)得た。
16-ブロモヘキサデカン酸より、12-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)ドデカン酸の合成法と同様に16-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)ヘキサデカン酸を合成した。
7-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)ヘプタン酸エチル4.0gを95%エタノール30mLに加え、還流して溶解した後、水酸化ナトリウム0.5gを加えてさらに1.5時間還流を続けた。得られた結晶を濾別、エタノールで洗浄した後、ジクロロメタンと1規定塩酸を加えて、ジクロロメタンで2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、除媒し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して7-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)ヘプタン酸を3.4g(収率90%)得た。
11-ブロモウンデカン酸メチルより、7-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)ヘプタン酸と同様の手法で11-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)ウンデカン酸を得た。
9-(メタンスルホニルオキシ)ノナン酸メチルを用いて、7-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)ヘプタン酸と同様の手法で9-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)ノナン酸を得た。
15-ヒドロキシペンタデカン酸メチルを用いて、9-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)ノナン酸と同様の手法で15-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)ペンタデカン酸を得た。
トリデカン二酸を用いて、Synth. Commun., 17, 1339 (1987)に記載の方法に準拠して、トリデカン二酸モノメチルを得た。さらに、トリデカン二酸モノメチルを用いて、Aust. J. Chem., 48, 1893 (1995)に記載の方法に準拠して、13-ヒドロキシトリデカン酸メチルを得た。
13-ヒドロキシトリデカン酸メチルを用いて、9-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)ノナン酸と同様の手法で13-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)トリデカン酸を得た。
テトラデカン二酸を用いて、13-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)トリデカン酸と同様の手法で14-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)テトラデカン酸を得た。
15-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)ペンタデカン酸とマロン酸ジエチルを用いて、Arch. Pharm. (Weinheim) 328, 271 (1995)の手法に準拠して2炭素増炭し、17-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)ヘプタデカン酸を得た。
17-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)ヘプタデカン酸を用いて、17-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)ヘプタデカン酸と同様の手法で、19-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)ナノデカン酸を得た。
19-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)ナノデカン酸を用いて、17-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)ヘプタデカン酸と同様の手法で、21-(2,4,6-トリヨードフェノキシ)ヘンエイコサン酸を得た。
化合物2−3:
1H-NMR (300MHz, CDCl3)・: 8.05 (4H, s) 4.28 (4H, s) 3.92 (4H, t, J=6.4Hz) 2.32 (4H, t, J = 6.4Hz) 1.89 (4H, quin, J = 6.4Hz) 1.64 (4H, quin, J = 6.4Hz) 1.58-1.48 (4H, m) 1.43-1.25 (20H, m)
化合物3−3:
1H-NMR (300MHz, CDCl3)・: 8.05 (4H, s) 4.26 (4H, t, J=6.4Hz ) 3.93 (4H, t, J=6.4Hz) 2.30 (4H, t, J = 6.4Hz) 1.97 (2H, quin, J = 6.4Hz) 1.88 (4H, quin, J = 6.4Hz) 1.67-1.48 (8H, m) 1.43-1.25 (20H, m).
化合物4−3:
1H-NMR (300MHz, CDCl3)・: 8.05 (4H, s) 4.15-4.05 (4H, m) 3.93 (4H, t, J=6.4Hz) 2.30 (4H, t, J = 6.4Hz) 1.90 (4H, quin, J = 6.4Hz) 1.75-1.48 (12H, m) 1.43-1.25 (20H, m).
化合物5−3:
1H-NMR (300MHz, CDCl3)・: 8.05 (4H, s) 5.76-5.72 (2H, m) 4.72-4.64 (4H, m) 3.93 (4H, t, J=6.4Hz) 2.31 (4H, t, J = 6.4Hz) 1.89 (4H, quin, J = 6.4Hz) 1.66-1.48 (8H, m) 1.43-1.25 (20H, m).
化合物3−4:
1H-NMR (300MHz, CDCl3)・: 8.05 (4H, s) 4.16 (4H, t, J=6.4Hz ) 3.93 (4H, t, J=6.4Hz) 2.30 (4H, t, J = 6.4Hz) 1.97 (2H, quin, J = 6.4Hz) 1.89 (4H, quin, J = 6.4Hz) 1.67-1.48 (8H, m) 1.43-1.25 (24H, m).
下記に示した割合でジ・パルミトイル PC(フナコシ社製、No.1201-41-0225)、ジ・パルミトイル PS(フナコシ社製、No.1201-42-0237)をJ. Med. Chem., 25(12), 1500 (1982)記載の方法で、本発明のヨード化合物とナス型フラスコ内でクロロホルムに溶解して均一溶液とした後、溶媒を減圧で留去してフラスコ底面に薄膜を形成した。この薄膜を真空で乾燥後、0.9%生理食塩水(光製薬社製、No512)を適当量加え、超音波照射(Branson社製、No.3542プローブ型発振器、0.1mW)を氷冷下5分実施することにより、均一なリポソーム分散液を得た。得られた分散液の粒径をWBCアナライザー(日本光電社製、A-1042)で測定した結果、粒子径は40から65nmであった。この方法により調製した下記リポソーム製剤を日本国特許、特願2001−018573記載の血管平滑筋細胞とマクロファージとの混合培養系に添加し、37℃5%CO2で24時間培養した後、血管平滑筋細胞に取り込まれたヨード化合物を定量した。このように本発明の化合物は効率よく血管平滑筋細胞に取り込ませることができ、X線造影剤のためのリポソームの構成脂質として優れた性質を有することが明らかである。
取り込み量(トリヨードフェニル基換算)
PC 50nmol + PS 50nmol + 化合物2−3 59 nmol/mg protein
PC 50nmol + PS 50nmol + 化合物3−3 58 nmol/mg protein
PC 50nmol + PS 50nmol + 化合物3−4 59 nmol/mg protein
PC 50nmol + PS 50nmol + 比較化合物1 64 nmol/mg protein
SDラット雄6週齢(日本チャールスリバー社製)を購入し1週間馴化した。1週間馴化後、体重を測定し、断頭放血した。肝臓を摘出し、冷却した0.15M KClで3回洗浄した。洗浄後、肝臓の湿重量を測定し、その重量の3倍の冷却した0.15M KClを加え、ホモジナイザーに移した。氷冷中でホモジネイトし、その後、ホモジネイトを9000gで10分間冷却遠心した。この上清をS9と呼び、−80℃以下で保存した。
保存してあるS9を、流水中で溶解した。溶解したS9 0.1mlに、0.4M MgCl2 0.02ml、1.65M KCl 0.02ml、0.2M Naりん酸緩衝液(pH 7.4) 0.5mlを加え、グルコース6りん酸(オリエンタル酵母社製)、NADPH(オリエンタル酵母社製)、NADH(オリエンタル酵母社製)を4・になる様に添加し蒸留水を加え、全量を1mlとした(これをS9Mixと呼ぶ)。S9Mix 1mlに被験物質を5μg/mlになる様添加し、37℃で往復振盪した。S9Mix中の被験物質量(未変化体)を経時でHPLCを用い測定した。なお、被験物質はDMSO(和光純薬社製)にて予め溶解した。結果には、S9Mixに添加直後の未変化体量を100とし、30分後の未変化体量をその百分率に直して表記した。既知である比較化合物1〜3がS9分解試験において分解が全く認められないのに対し、本発明の化合物は効率的に分解されることが明らかであり、X線造影剤のためのリポソームの構成脂質として優れた性質を有することが明らかである。
化合物2−3:34% 化合物3−3:42% 化合物3−4:38%
化合物4−3:42% 化合物5−3:44% 比較化合物1:100%
ICRマウス雄6週齢(日本チャールスリバー)を購入し、1週間の検疫期間の後、クリーン動物舎内(空調:へパフィルター クラス1000、室温:20℃〜24℃ 湿度:35%〜60%)で1週間馴化した。その後、MTD値を求めるため、尾静脈よりリポソーム製剤を投与した。リポソーム製剤は、生理食塩水(光製薬社製)又はグルコース溶液(大塚製薬社製)のいずれかを溶媒として投与した。次に求められたMTD値をもとに、その1/2量を3日間、尾静脈より3日間連続で投与した(n=3匹とする)。症状観察は各投与後6時間までとし、神経毒性を観察後、剖検を行ない、主要臓器について所見を取った。本発明の化合物は、既知である比較化合物2〜3とMTD値は同等でありながら、神経毒性を示さないことが明らかであり、X線造影剤のためのリポソームの構成脂質として優れた性質を有することが明らかである。
化合物:MTD(mg/kg);神経毒性
化合物2−3:200mg/kg;− 化合物3−3:400mg/kg;−
化合物3−4:400mg/kg;− 化合物4−3:400mg/kg;−
化合物5−3:400mg/kg;−
比較化合物2:200mg/kg;+ 比較化合物3:400mg/kg;+
Claims (16)
- Ar1及びAr2がそれぞれ独立に少なくとも3個のヨウ素原子を置換基として有するフェニル基である請求項1に記載の化合物又はその塩。
- 請求項1又は2のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を膜構成成分として含むリポソーム。
- ホスファチジルコリン及びホスファチジルセリンを膜構成成分として含む請求項3に記載のリポソーム。
- 請求項3又は4に記載のリポソームを含むX線造影剤。
- 血管疾患の造影に用いるための請求項5に記載のX線造影剤。
- 泡沫化マクロファージの影響で異常増殖した血管平滑筋細胞の造影に用いる請求項5に記載のX線造影剤。
- マクロファージが局在化する組織又は疾患部位の造影のための請求項5に記載のX線造影剤。
- マクロファージが局在化する組織が肝臓、脾臓、肺胞、リンパ節、リンパ管、及び腎臓上皮からなる群から選ばれる請求項5に記載のX線造影剤。
- マクロファージが局在化する疾患部位が腫瘍、炎症部位、及び感染部位からなる群から選ばれる請求項5に記載のX線造影剤。
- 少なくとも1つのヨード原子が放射性同位体である請求項1又は2のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を膜構成成分として含むリポソーム。
- 請求項11に記載のリポソームを含むシンチグラフィー造影剤。
- 泡沫化マクロファージの影響で異常増殖した血管平滑筋細胞の造影に用いる請求項12に記載のシンチグラフィー造影剤。
- マクロファージが局在化している組織又は疾患部位の造影に用いるための請求項12に記載のシンチグラフィー造影剤。
- 対象とする組織が血管、肝臓、脾臓、肺胞、リンパ節、リンパ管、及び腎臓上皮からなる群から選ばれる請求項12に記載のシンチグラフィー造影剤。
- 腫瘍、動脈硬化、炎症、及び感染からなる群から選ばれる疾患部位の造影に用いるための請求項12に記載のシンチグラフィー造影剤。
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