JP2003126905A - 圧延機の制御装置、方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 - Google Patents

圧延機の制御装置、方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体

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JP2003126905A
JP2003126905A JP2001318425A JP2001318425A JP2003126905A JP 2003126905 A JP2003126905 A JP 2003126905A JP 2001318425 A JP2001318425 A JP 2001318425A JP 2001318425 A JP2001318425 A JP 2001318425A JP 2003126905 A JP2003126905 A JP 2003126905A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高周波数帯域に存在するノイズを助長するこ
となく、応答性を向上させるとともに、安定性を確保す
る。 【解決手段】 制御装置8のPI制御部8aでは、測定
されたスタンド2、3間の鋼板1の単位張力実績値T
(i)の目標値Taimに対する単位張力偏差ΔT(i)を入
力とし、この単位張力偏差ΔT(i)を実質的に零とする
ためのi+1スタンド3の圧下指令値ΔSRef(i+1)
を求める。このとき、位相遅れ補償部8bでは、位相遅
れ補償を行い、位相進み補償部8cでは、位相遅れ補償
部8bでの位相遅れ補償の後に位相進み補償を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のスタンドを
具備するタンデム圧延機により鋼板等の圧延を実施する
際に、圧下による張力制御を行うものに用いて好適な圧
延機の制御装置、方法、コンピュータプログラム、及び
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼材の熱間圧延や冷間圧延における製品
の評価基準の1つに板厚があり、圧延機における自動板
厚制御(Auto Gauge Control:AGC)が行われてい
る。本願出願人は、上記AGCに関して、特開平4−3
61809号公報、特開平5−261418号公報、特
開2000−33410号公報等に、圧下による張力制
御について開示している。
【0003】圧下による張力制御の基本的な原理につい
て説明する。熱間圧延プロセスにおいて出側板厚偏差を
生じさせる外乱としては、スキッドマーク外乱、ロール
偏芯外乱といったものがある。スキッドマーク外乱と
は、被圧延材を載せるスキッドに起因して当該被圧延材
の長手方向の温度ムラにより生ずる外乱であり、被圧延
材に板厚偏差がない場合でも、温度の高低により変形抵
抗が変動して出側板厚偏差の要因となる。また、ロール
偏芯外乱とは、ワークロールに接するバックアップロー
ルの幾何学中心と質量中心とのずれに起因してロールが
上下運動し、ロールギャップ(圧下位置)が変動するこ
とによって生じる外乱である。
【0004】圧下による張力制御では、上記スキッドマ
ーク外乱やロール偏芯外乱の出側板厚への影響を検出す
る物理量として、スタンド間(iスタンド及びi+1ス
タンドの間)の被圧延材の単位張力に着目し、圧下によ
る張力制御を行うことにより、スキッドマーク外乱及び
ロール偏芯外乱に起因して発生する出側板厚偏差を抑制
するようにしている。
【0005】いま、i+1スタンドにおいて、入側板厚
H(i+1)と出側速度v(i+1)が一定のときに、スキ
ッドマーク外乱或いはロール偏芯外乱の影響で出側板厚
h(i+1)に目標値h0(i+1)からの出側板厚偏差Δ
h(i+1)を生じたとする。
【0006】いかなる場合にも、i+1スタンドに単位
時間に入り込む体積と出ていく体積とは同じであるか
ら、下式(1)が成立する。 h(i+1)・v(i+1)・b(i+1)=H(i+1)・V(i+1)・B(i+1) ・・・ (1) ただし、h(i+1):i+1スタンド出側板厚[mm] v(i+1):i+1スタンド出側速度[mm/s] b(i+1):i+1スタンド出側板幅[mm] H(i+1):i+1スタンド入側板厚[mm] V(i+1):i+1スタンド入側速度[mm/s] B(i+1):i+1スタンド入側板幅[mm]
【0007】また、板幅変動が生じない場合は、B(i
+1)=b(i+1)が成立するので、下式(2)が導か
れ、出側板厚偏差Δh(i+1)は、i+1スタンド入側
速度V(i+1)に対応する。 h(i+1)・v(i+1)=H(i+1)・V(i+1) ・・・(2)
【0008】さらに、スタンド間の被圧延材の単位張力
T(i)は、i+1スタンド入側速度V(i+1)とiスタ
ンド出側速度v(i)を用いて、下式(3)に示すよう
に、その差の積分(スタンド間を被圧延材が通過する時
間内の総和)よって決まる量である。したがって、i+
1スタンド入側速度V(i+1)が変動すると、スタンド
間の被圧延材の単位張力T(i)が変化する。 T(i)=(E/L)∫{V(i+1)−v(i)}dt ・・・(3) ただし、E:ヤング率 L:スタンド間距離
【0009】以上のことより、スタンド間のルーパによ
る影響を考えないとすると、スキッドマーク外乱或いは
ロール偏芯外乱の影響による出側板厚偏差Δh(i+1)
とスタンド間の被圧延材の単位張力偏差ΔT(i)とは一
対一に対応する。すなわち、張力を一定にすべく圧下位
置を操作することは、板圧偏差Δh(i+1)を除去する
ことになる。また、i+1スタンドの油膜厚変動やロー
ル膨張率の影響により、ロールバイト直下で出側板厚偏
差Δh(i+1)が生じようとしても、同様の原理で完全
に除去される。
【0010】具体的な制御としては、iスタンドとi+
1スタンドとの間の被圧延材の単位張力実績値T(i)を
計測して、目標値Taimに対する単位張力偏差ΔT(i)
を制御部に対する入力とし、この単位張力偏差ΔT(i)
を抑える(実質的に零とする)ためのi+1スタンド3
の圧下指令値ΔSRef(i+1)を、所定の伝達関数F
(s)を用いて下式(4)により求める。 ΔSRef(i+1)=F(ΔT(i)) ・・・(4)
【0011】そして、上記算出された圧下指令値ΔS
Ref(i+1)に基づいて、i+1スタンドの圧下装置を
制御して圧下位置を修正する。その結果、スタンド間の
被圧延材の張力を一定にすべく圧下位置が操作されるの
で、板圧偏差Δh(i+1)を除去することができる。
【0012】図10には、以上説明した圧下による張力
制御系を表現したブロック線図を示す。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らが鋭意研究
を重ねた結果、上記圧下による張力制御を行う場合に、
スタンド間の被圧延材の張力には、圧延機の制御におい
ては比較的高周波である30〜50[rad/s]あたり
の周波数帯域にノイズ(図10に示すTnoise(i))
(以下、「張力ノイズ」と称する)が含まれる場合があ
ることが判明した。
【0014】図11には、図10に示したブロック線図
で表される張力制御系での周波数特性をシステム同定に
より確認した結果を示す。ここでは、同図に示すよう
に、42[rad/s]あたりの周波数帯域に張力ノイズ
が生じていることが分かる。また、少なくとも8[ra
d/s]程度の応答が得られていることが確認される。
【0015】ところで、制御においては、応答性等の特
性を調整する場合に、ゲイン調整が比較的容易に行える
理由から一般的によく用いられる。
【0016】上記圧力による張力制御においても、スキ
ッドマーク外乱やロール偏芯外乱の影響を十分に打ち消
すには、応答性を向上させることが要求される。
【0017】しかしながら、上記圧下による張力制御の
ように張力ノイズが含まれている場合に、応答性を向上
させるためにゲイン調整を行う(ゲインを大きくする)
だけでは、当該張力ノイズが助長されてしまう。その結
果、スキッドマーク外乱或いはロール偏芯外乱の影響を
十分に打ち消すことができても、助長された張力ノイズ
により板厚精度を劣化させることになり、応答性の向上
にあたり大きな障害となっていた。
【0018】本発明は、上記のような点に鑑みてなされ
たものであり、高周波数帯域に存在するノイズを助長す
ることなく、応答性を向上させるとともに、安定性を確
保することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
本発明の圧延機の制御装置は、タンデム圧延機のiスタ
ンドとi+1スタンドとの間の被圧延材の単位張力偏差
を実質上零とするための上記i+1スタンドに対する圧
下指令値を求める圧延機の制御装置であって、上記圧下
指令値を求めるときに位相遅れ補償を行う位相遅れ補償
手段と、上記位相遅れ補償手段による位相遅れ補償の後
に位相進み補償を行う位相進み補償手段とを備えた点に
特徴を有する。
【0020】本発明の圧延機の制御方法は、タンデム圧
延機のiスタンドとi+1スタンドとの間の被圧延材の
単位張力偏差を実質上零とするための上記i+1スタン
ドに対する圧下指令値を求める圧延機の制御方法であっ
て、上記圧下指令値を求めるときに位相遅れ補償を行う
手順と、上記位相遅れ補償の後に位相進み補償を行う手
順とを有する点に特徴を有する。
【0021】本発明のコンピュータプログラムは、タン
デム圧延機のiスタンドとi+1スタンドとの間の被圧
延材の単位張力偏差を実質上零とするための上記i+1
スタンドに対する圧下指令値を求める処理をコンピュー
タに実行させるコンピュータプログラムであって、上記
圧下指令値を求めるときに位相遅れ補償を行う処理と、
上記位相遅れ補償の後に位相進み補償を行う処理とを実
行させる点に特徴を有する。
【0022】本発明のコンピュータ読み取り可能な記憶
媒体は、上記コンピュータプログラムを格納した点に特
徴を有する。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
圧延機の制御装置、方法、コンピュータプログラム、及
びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の実施の形態に
ついて説明する。
【0024】図1には、本実施の形態における圧延機の
制御のための構成を示す。ここでは、熱間圧延プロセス
におけるタンデム圧延機について説明する。通常、タン
デム圧延機は6〜7個のスタンドを有するが、同図には
iスタンドとi+1スタンドとのみを示す(i=1〜
n)。
【0025】図1において、1は被圧延材である鋼板で
ある。2はiスタンド、3はi+1スタンドであり、こ
れらスタンド2、3は、バックアップロール及びワーク
ロールからなる圧延ロール5と、所定の板厚を得るため
に必要な圧延圧力を圧延ロール5に与える圧下装置6と
を備える。
【0026】4はスタンド2、3間のマスフローをコン
トロールするためのルーパである。7はスタンド2、3
間の鋼板1の単位張力T(i)を測定する張力測定装置で
ある。
【0027】8は制御装置であり、上記張力測定装置7
により測定されたスタンド2、3間の鋼板1の単位張力
T(i)に基づいて、圧下装置6を介してi+1スタンド
3のロールの圧下位置を制御することにより、スタンド
2、3間の鋼板1の張力を制御する。
【0028】制御装置8について詳細に説明すると、制
御装置8のPI制御部8aでは、張力測定装置7により
測定されたスタンド2、3間の鋼板1の単位張力実績値
T(i)の目標値Taimに対する単位張力偏差ΔT(i)を
入力とし、この単位張力偏差ΔT(i)を抑える(実質的
に零とする)ためのi+1スタンド3の圧下指令値ΔS
Ref(i+1)を上式(4)により求める。かかるPI制
御部8aにおける制御にはPI動作(比例積分動作)が
用いられる。すなわち、制御偏差たる単位張力偏差ΔT
(i)を累積し、操作量たる圧下指令値ΔSRef(i+1)
を出力するもので、これによりP動作で生じる定常偏差
を解消することができる。
【0029】また、制御装置8の位相遅れ補償部8bで
は、位相遅れ補償を行う。位相遅れ補償は、一般的な古
典制御理論の文献においては、「高周波数域でのゲイン
を低下させることのできる要素であり、低周波数域では
ゲインにほとんど影響を与えない。その結果、低周波数
での一巡伝達関数のゲインを大きくとることができるの
で、定常偏差を小さくすることができる。」と記載され
ているが、これは、駆動系のように、制御系の一巡伝達
関数が0[dB]と交差するいわゆる交差周波数が50〜
100[rad/s]程度の高い周波数にある場合におい
て表面上得られる特性である。しかし、実際には、位相
遅れ補償は、高周波数域でのゲインを低下させるという
よりは、低周波数でのゲインを上げる利点と、当該低周
波数での位相を遅らせる機能を有する補償器と考えるの
が自然法則を客観的に理解した記述である。したがっ
て、位相遅れ補償を用いると、低周波数域のゲインが上
がり、結果として閉ループを構成した場合に、定常偏差
を少なくすることができるのである。
【0030】本発明は、対象となる交差周波数が10
[rad/s]程度と低い周波数域にある点と、位相遅れ
補償が低周波数域のゲインを上げるため、30〜50
[rad/s]に存在する張力ノイズを抑制する点に着目
し、まず位相遅れ補償により低周波数域のゲインを上
げ、結果として、補償以前には5〜6[rad/s]程度
であった交差周波数を10[rad/s]程度に向上させ
る。
【0031】また、制御装置8の位相進み補償部8cで
は、上記位相遅れ補償部8bでの位相遅れ補償の後に位
相進み補償を行う。一般的な古典制御理論の文献におい
ては、「位相進み補償は、低周波数域でゲインが低下す
るものの、高い周波数での位相を進める作用があり、応
答を速める性質を持っている。」と記載されているが、
位相進み補償は、客観的には、高周波数域にゲインを上
げ、かつ、高周波数域の位相を進ませる機能を有する補
償器である。
【0032】本発明は、上記の位相遅れ補償により交差
周波数は向上したものの、位相が遅れた系に対して、当
該交差周波数において位相を進めることで、安定性を確
保しようとする技術的思想に根ざして構成されたもので
ある。この場合に、既に位相遅れ補償において張力ノイ
ズを抑制しているので、位相進み補償を用いることで張
力ノイズの周波数域のゲインが上がっても、問題が生じ
にくくなっているのが重要な特徴である。
【0033】図2には、位相遅れ補償、位相進み補償を
行う場合のゲイン[dB]の変化の一例を示す。また、図
3は、位相遅れ補償、位相進み補償を行う場合の位相
[deg]の変化の一例を示す。なお、図中「+」は加え
合わせを、矢印はその結果を示す。
【0034】位相遅れ補償を加えると、図2に示すよう
に、低周波数域でのゲインが上がり、補償以前には5〜
6[rad/s]程度であった交差周波数が10[rad
/s]程度に向上していることがわかる。また、図3に
示すように、低周波数域での位相が遅れていることがわ
かる。
【0035】さらに位相進み補償を加えると、図2に示
すように、高周波数域でのゲインが上がっていることが
わかる。また、図3に示すように、低周波数域での位相
が進み、交差周波数の位相を進めることで、位相余裕が
確保され、安定性が確保されていることがわかる。
【0036】なお、回復すべき位相に応じて、位相進み
補償は1回だけ行ってもよいし、適宜複数回繰り返して
行ってもよい。
【0037】また、図3に示すように、位相進み補償に
より位相を進めることで、ロール偏芯外乱のような10
[rad/s]以上の周波数外乱があった場合にも、当該
周波数域にて、位相進み補償の効果により、当該外乱の
周波数域での一巡伝達関数の位相遅れが少なければ少な
いほど、当該外乱の影響を助長することなく制御を実施
することができると考えるのも本発明の技術的思想の一
つである。なぜなら、位相遅れが−180[deg]を超
えれば超えただけ逆方向に制御系が動作し、かえって悪
化させるからである。
【0038】また、本発明は、PI制御の後段に位相遅
れ補償、さらに後段に位相進み補償を直列に配置すると
ころに特徴があり、微分要素Dをも含むPID制御は行
わない。なぜなら、微分動作により張力ノイズ成分が助
長されることになる場合が多いからである。
【0039】次に、圧下による張力制御を行う場合の動
作を説明する。図1に示すように、鋼板1は、iスタン
ド2、i+1スタンド3にて順に圧延される。
【0040】制御装置8においては、例えば、圧延実施
開始後に測定されたスタンド2、3間の鋼板1の単位張
力実績値の代表値(或いは移動平均値)を、スタンド
2、3間の単位張力目標値Taimとする。
【0041】その後、制御装置8において、スタンド
2、3間の鋼板1の単位張力実績値T(i)の目標値T
aimに対する単位張力偏差ΔT(i)を入力とし、この単
位張力偏差ΔT(i)を抑える(実質的に零とする)ため
のi+1スタンド3の圧下指令値ΔSRef(i+1)を上
式(4)により求める。
【0042】このとき、上述したように、位相遅れ補償
部8bにおいて位相遅れ補償を行い、その後に位相進み
補償部8cにおいて位相進み補償を行う。
【0043】そして、算出された圧下指令値ΔS
Ref(i+1)に基づいて、i+1スタンド3の圧下装置6を
制御する。既述したように、スタンド2、3間のルーパ
4による影響を考えないとすると、スキッドマーク外乱
或いはロール偏芯外乱の影響による出側板厚偏差Δh
(i+1)とスタンド2、3間の鋼板1の単位張力偏差Δ
T(i)とは一対一に対応するので、単位張力偏差ΔT
(i)を実質的に零とするためのi+1スタンド3の圧下
指令値ΔSRef(i+1)を算出し、その圧下指令値ΔS
Ref(i+1)に基づいてi+1スタンド3の圧下装置6
を制御することにより、出側板圧偏差Δh(i+1)を除
去することが可能となる。
【0044】以上述べた実施の形態では、位相遅れ補償
部8bにおける位相遅れ補償により低周波数域でのゲイ
ンを上げて、上述したように定常偏差を小さくすること
ができるだけでなく、交差周波数を向上させることがで
きる。したがって、応答性を向上させることができる。
【0045】そして、その後に、位相進み補償部8cに
おける位相進み補償を加えることにより、上記位相遅れ
補償により位相が遅れた系に対して交差周波数において
位相を進めることで、安定性を確保することができる。
この場合に、既に位相遅れ補償において張力ノイズを抑
制しているので、位相進み補償を用いることで張力ノイ
ズの周波数域のゲインが上がっても、問題が生じにくく
なっている。
【0046】したがって、張力ノイズを助長することな
く、応答性を向上させるとともに、安定性を確保するこ
とができる。
【0047】ここで、図4〜6には、PI動作のみを行
った場合のボード線図を示す。図4は、一巡伝達関数の
周波数特性を表現したボード線図(同図(A)はゲイン
線図で、(B)は位相線図)であり、交差周波数は5〜
6[rad/s]と低いが、ゲイン余裕Gm13.6[d
B]、位相余裕Pm70.5[deg]を有しているの
で、安定な系となっている。
【0048】また、図5は、圧下指令値ΔSRef(i+
1)→スタンド2、3間の鋼板1の単位張力実績値T
(i)という閉ループにおける周波数特性を表現したボー
ド線図(同図(A)はゲイン線図で、(B)は位相線
図)である。0[dB]を切る周波数が1.8[rad/
s]であるから、圧下にロール偏芯外乱が混入した場
合、1.8[rad/s]以上の周波数の外乱により影響
を受けることを示している。
【0049】また、図6は、張力ノイズTnoise(i)→
スタンド2、3間の鋼板1の単位張力実績値T(i)とい
う閉ループにおける周波数特性を表現したボード線図
(同図(A)はゲイン線図で、(B)は位相線図)であ
る。同図に示すように、圧延機の制御においては比較的
高周波である30〜50[rad/s]あたりの周波数帯
域に張力ノイズTnoise(i)による影響が確認される。
張力ノイズの周波数域(42[rad/s]近傍)が4
[dB]であり、当該張力ノイズを助長することを示して
いる。
【0050】次に、図7〜9には、PI動作に加えて、
位相進み補償その後に位相遅れ補償を行った場合のボー
ド線図を示す。図7は、一巡伝達関数の周波数特性を表
現したボード線図(同図(A)はゲイン線図で、(B)
は位相線図)であり、交差周波数が10[rad/s]程
度に上がり、ゲイン余裕Gm9.9[dB]、位相余裕P
m36.8[deg]を確保している。さらに、張力ノイ
ズ42[rad/s]近傍では−250[deg]程度に抑
えられている。
【0051】図8は、圧下指令値ΔSRef(i+1)→ス
タンド2、3間の鋼板1の単位張力実績値T(i)という
閉ループにおける周波数特性を表現したボード線図(同
図(A)はゲイン線図で、(B)は位相線図)である。
当該図8と上記図5とを比較しても分かるように、位相
進み補償により、高い周波数での位相が進んでいること
が理解される。0[dB]を切る周波数が13.6[ra
d/s]であるから、圧下にロール偏芯外乱が混入した
場合、13.6[rad/s]以上の周波数の外乱により
影響を受けることを示している。したがって、ロール偏
芯外乱除去性能が単にPI制御を実施した場合よりも向
上している。
【0052】ところが、位相進み補償を行うと、高い周
波数での位相が進む結果、高周波帯域でのゲインが上が
ってしまう。そのため、圧延機の制御においては比較的
高周波である30〜50[rad/s]あたりの周波数帯
域に張力ノイズが助長されることになる。そして、位相
進み補償を行った後に位相遅れ補償を行ったとしても、
高周波帯域に存在する張力ノイズを除去することはでき
ない。図9は、張力ノイズTnoise(i)→スタンド2、
3間の鋼板1の単位張力実績値T(i)という閉ループに
おける周波数特性を表現したボード線図(同図(A)は
ゲイン線図で、(B)は位相線図)であるが、同図に示
すように、圧延機の制御においては比較的高周波である
30〜50[rad/s]あたりの周波数帯域に張力ノイ
ズTnois e(i)による影響が残ったままである。張力ノ
イズ42[rad/s]の近傍では1[dB]程度に抑えら
れているため、PI制御単体による制御に比べて、張力
ノイズの影響を受けにくくなっている。
【0053】それに対して、本実施の形態では、まず位
相遅れ補償を行うことにより、定常偏差を小さくするこ
とができるだけでなく、交差周波数を向上させることが
でき、応答性を向上させることができる。そして、その
後に位相進み補償を加えることにより、上記位相遅れ補
償により位相が遅れた系に対して交差周波数において位
相を進めることで、安定性を確保することができる。こ
の場合に、既に位相遅れ補償において張力ノイズを抑制
しているので、位相進み補償を用いることで張力ノイズ
の周波数域のゲインが上がっても、問題が生じにくくな
っている。
【0054】(他の実施の形態)上述した実施の形態の
制御装置8の機能を実現するべく各種のデバイスを動作
させるように、該各種デバイスと接続された装置或いは
システム内のコンピュータに対し、上記実施の形態の機
能を実現するためのコンピュータプログラムを供給し、
そのシステム或いは装置のコンピュータ(CPU或いは
MPU)に格納されたプログラムに従って上記各種デバ
イスを動作させることによって実施したものも、本発明
の範疇に含まれる。
【0055】また、この場合、上記コンピュータプログ
ラム自体が上述した実施の形態の機能を実現することに
なり、本発明を構成する。そのコンピュータプログラム
の伝送媒体としては,プログラム情報を搬送波として伝
搬させて供給するためのコンピュータネットワーク(L
AN、インターネット等のWAN、無線通信ネットワー
ク等)システムにおける通信媒体(光ファイバ等の有線
回線や無線回線等)を用いることができる。
【0056】さらに、上記コンピュータプログラムをコ
ンピュータに供給するための手段、例えばかかるコンピ
ュータプログラムを格納した記憶媒体は本発明を構成す
る。かかる記憶媒体としては、例えばフレキシブルディ
スク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、
CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、
ROM等を用いることができる。
【0057】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、張力
ノイズを助長することなく、応答性を向上させるととも
に、安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態における圧延機の制御のための構
成を示す模式図である。
【図2】位相遅れ補償、位相進み補償を行う場合のゲイ
ンの変化の一例を示す図である。
【図3】位相遅れ補償、位相進み補償を行う場合の位相
の変化の一例を示す図である。
【図4】PI動作のみを行った場合における一巡伝達関
数の周波数特性を表現したボード線図である。
【図5】PI動作のみを行った場合における圧下指令値
ΔSRef(i+1)→スタンド2、3間の鋼板1の単位張
力実績値T(i)という閉ループにおける周波数特性を表
現したボード線図である。
【図6】PI動作のみを行った場合における張力ノイズ
noise(i)→スタンド2、3間の鋼板1の単位張力実
績値T(i)という閉ループにおける周波数特性を表現し
たボード線図である。
【図7】PI動作に加えて、位相進み補償その後に位相
遅れ補償を行った場合における一巡伝達関数の周波数特
性を表現したボード線図である。
【図8】PI動作に加えて、位相進み補償その後に位相
遅れ補償を行った場合における圧下指令値ΔSRef(i+
1)→スタンド2、3間の鋼板1の単位張力実績値T
(i)という閉ループにおける周波数特性を表現したボー
ド線図である。
【図9】PI動作に加えて、位相進み補償その後に位相
遅れ補償を行った場合における張力ノイズTnoise(i)
→スタンド2、3間の鋼板1の単位張力実績値T(i)と
いう閉ループにおける周波数特性を表現したボード線図
である。
【図10】圧下による張力制御系を表現したブロック線
図である。
【図11】張力制御系での周波数特性をシステム同定に
より確認した結果を示す図である。
【符号の説明】
1 鋼板 2 iスタンド 3 i+1スタンド 4 ルーパ 5 圧延ロール 6 圧下装置 7 張力測定装置 8 制御装置 8a PI制御部 8b 位相遅れ補償部 8c 位相進み補償部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンデム圧延機のiスタンドとi+1ス
    タンドとの間の被圧延材の単位張力偏差を実質上零とす
    るための上記i+1スタンドに対する圧下指令値を求め
    る圧延機の制御装置であって、 上記圧下指令値を求めるときに位相遅れ補償を行う位相
    遅れ補償手段と、 上記位相遅れ補償手段による位相遅れ補償の後に位相進
    み補償を行う位相進み補償手段とを備えたことを特徴と
    する圧延機の制御装置。
  2. 【請求項2】 上記圧下指令値を求めるために比例積分
    動作を行う比例積分手段を備えたことを特徴とする請求
    項1に記載の圧延機の制御装置。
  3. 【請求項3】 タンデム圧延機のiスタンドとi+1ス
    タンドとの間の被圧延材の単位張力偏差を実質上零とす
    るための上記i+1スタンドに対する圧下指令値を求め
    る圧延機の制御方法であって、 上記圧下指令値を求めるときに位相遅れ補償を行う手順
    と、 上記位相遅れ補償の後に位相進み補償を行う手順とを有
    することを特徴とする圧延機の制御方法。
  4. 【請求項4】 上記圧下指令値を求めるために比例積分
    動作を行うことを特徴とする請求項3に記載の圧延機の
    制御方法。
  5. 【請求項5】 タンデム圧延機のiスタンドとi+1ス
    タンドとの間の被圧延材の単位張力偏差を実質上零とす
    るための上記i+1スタンドに対する圧下指令値を求め
    る処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログ
    ラムであって、 上記圧下指令値を求めるときに位相遅れ補償を行う処理
    と、 上記位相遅れ補償の後に位相進み補償を行う処理とを実
    行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  6. 【請求項6】 上記圧下指令値を求めるために比例積分
    動作を行うことを特徴とする請求項5に記載のコンピュ
    ータプログラム。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6に記載のコンピュータプ
    ログラムを格納したことを特徴とするコンピュータ読み
    取り可能な記憶媒体。
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JP2017124428A (ja) * 2016-01-14 2017-07-20 株式会社日立製作所 圧延機制御装置、圧延機制御方法およびプログラム

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