JP2003123989A - 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法

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JP2003123989A
JP2003123989A JP2001315594A JP2001315594A JP2003123989A JP 2003123989 A JP2003123989 A JP 2003123989A JP 2001315594 A JP2001315594 A JP 2001315594A JP 2001315594 A JP2001315594 A JP 2001315594A JP 2003123989 A JP2003123989 A JP 2003123989A
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Kenji Tsubaki
健治 椿
Junji Kido
淳二 城戸
Yukihiro Kondo
行廣 近藤
Yasuhisa Kishigami
泰久 岸上
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Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 陽極の仕事関数を大きくしてホールの注入効
率を高め、素子駆動電圧の低電圧化を可能とし、さらに
連続駆動時の寿命特性や色度の安定性を改善できると共
に抵抗増大を極力抑えた有機エレクトロルミネッセンス
素子を提供する。 【解決手段】 陽極6と陰極1の間に有機発光層3を備
えて形成される有機エレクトロルミネッセンス素子に関
する。こものにおいて、陽極6はハロゲンによって処理
されている。陽極6をハロゲンで処理することによっ
て、陽極6の仕事関数を大きくすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種ディスプレ
ー、表示装置、液晶用バックライト等に用いられる有機
エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】エレクトロルミネッセンス素子とは、固
体蛍光体物質の電界発光を利用した発光デバイスであ
り、現在、無機系材料を発光体として用いた無機エレク
トロルミネッセンス素子が実用化され、液晶ディスプレ
イのバックライトやフラットパネルディスプレイ等への
応用展開が一部で図られている。しかし、無機エレクト
ロルミネッセンス素子は発光させるための電圧が100
V以上と高く、しかも青色発光が難しいため、RGB3
原色によるフルカラー化が困難である。
【0003】一方、有機材料を用いたエレクトロルミネ
ッセンス素子に関する研究も古くから注目され、様々な
検討が行われてきたが、発光効率が非常に悪いことから
本格的な実用化研究には至らなかった。しかし、198
7年にコダック社のC.W.Tangらにより、有機材
料をホール輸送層と発光層の2層に分けた機能分離型の
積層構造を有する有機エレクトロルミネッセンスが提案
され、このものでは10V以下の低電圧にも関わらず、
1000cd/m2以上の高い発光輝度が得られること
が明らかになった。そしてこれ以降、有機エレクトロル
ミネッセンス素子が注目されはじめ、活発な研究が行わ
れるようになった。
【0004】このような研究開発がなされた結果、有機
エレクトロルミネッセンス素子は、10V程度の低電圧
で100〜100000cd/m2程度の高輝度の面発
光が可能となり、また蛍光物質の種類を選択することに
より青色から赤色までの発光が可能となった。
【0005】しかし、フルカラーディスプレー、照明用
発光素子としての応用展開を考えた場合、素子駆動電圧
の低電圧化を行い、更なる高効率化を図ることが必要で
ある。このような素子駆動電圧の低電圧化を実現するた
めには、陽極からのホール及び陰極からの電子の発光層
への注入効率を高める必要がある。そして陽極からのホ
ール注入効率を高める方法として、陽極の金属の仕事関
数を大きくして、ホール輸送層とのエネルギー障壁を小
さくする方法が挙げられる。
【0006】ここで、一般に陽極金属として用いられる
ITO(インジウムチンオキサイド)の場合、原理的に
は6.0eV程度の仕事関数を示すと考えられるが、通
常行なわれている有機溶剤等による洗浄を行った場合に
は、4.7〜4.8eV程度の仕事関数しか示さない。
これは、陽極の表面に有機溶剤等による残留炭素成分な
どの汚れが残っているためであると考えられている。こ
のため、洗浄工程の後、UV−O3洗浄や、酸素プラズ
マ処理等の処理を行なう場合もある。
【0007】一方、陽極金属の仕事関数を大きくする方
法として、陽極表面を酸処理する方法が特開平4−14
795号公報や、特開平9−120890号公報で試み
られている。すなわち特開平4−14795号公報で
は、陽極の表面を酸処理し、その後有機溶剤で洗浄乾燥
することによって、陽極の仕事関数を酸処理前よりも
0.1〜0.3eV程度大きくし、このように陽極の仕
事関数を大きくすることで素子の駆動電圧の低電圧化を
図っている。また特開平9−120890号公報では、
陽極の表面を研磨処理し、次いで酸処理し、さらに有機
溶剤による洗浄・乾燥を行うことによって、陽極表面の
平坦化、最表面への細孔形成を行い、素子の駆動電圧の
低電圧化及び寿命改善を図っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、陽極には仕事
関数の大きい金属や合金、電気導電性化合物、あるいは
これらの混合物からなる電極材料が、具体的には金など
の金属、CuI、ITO、SnO2、ZnO、IZO等
の導電性透明材料が用いられているが、上記の特開平4
−14795号公報や特開平9−120890号公報の
方法のように陽極を酸処理する場合、酸処理によってこ
れらの材料からなる陽極の表面がエッチングされ、陽極
の表面形状が乱れて、有機エレクトロルミネッセンス素
子の特性や寿命に悪影響を与えるおそれがあるという問
題があった。しかも特開平4−14795号公報や特開
平9−120890号公報に開示されるものでは、陽極
を酸処理した後、有機溶剤等による洗浄を行っているた
め、陽極の表面に有機溶剤等による残留炭素分が残り、
仕事関数の増大効果は不十分なものであった。また、有
機エレクトロルミネッセンス素子を連続駆動した場合、
輝度が減少していき、さらに素子の抵抗が増大するとい
う問題もあった。
【0009】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、陽極の表面形状を乱れさせたり陽極表面に残留炭
素分を生じさせたりすることなく、陽極の仕事関数を大
きくしてホールの注入効率を高め、素子駆動電圧の低電
圧化を可能とし、さらに連続駆動時の寿命特性や色度の
安定性を改善できると共に抵抗増大を極力抑えた有機エ
レクトロルミネッセンス素子及びその製造方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極の間
に有機発光層を備えて形成される有機エレクトロルミネ
ッセンス素子において、陽極はハロゲンによって処理さ
れたものであることを特徴とするものである。
【0011】また請求項2の発明は、請求項1におい
て、陽極はハロゲンによる処理によって、仕事関数が処
理前よりも0.5eV以上大きくなっているものである
ことを特徴とするものである。
【0012】また請求項3の発明は、請求項1又は2に
おいて、陽極の処理に用いるハロゲンが、フッ素、塩
素、臭素、ヨウ素から選ばれるものであることを特徴と
するものである。
【0013】また請求項4の発明は、請求項1乃至3の
いずれかにおいて、陽極の処理が、ハロゲンガス存在下
でのプラズマ処理であることを特徴とするものである。
【0014】本発明の請求項5に係る有機エレクトロル
ミネッセンス素子の製造方法は、陽極に有機発光層を積
層し、この有機発光層に陰極を積層して有機エレクトロ
ルミネッセンス素子を製造するにあたって、陽極の表面
をハロゲンで処理した後に、有機発光層及び陰極を積層
することを特徴とするものである。
【0015】また請求項6の発明は、請求項5におい
て、ハロゲンで処理する前に、陽極をプラズマ処理する
ことを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0017】本発明に係る有機エレクトロルミネッセン
ス素子は、図1に示すように、基板7に、陽極6、ホー
ル輸送層4、有機発光層3、電子輸送層2、陰極1をこ
の順に積層して設けた構造に形成されるものである。そ
して、陽極6に正電圧を、陰極1に負電圧を印加する
と、電子輸送層2を介して有機発光層3に注入された電
子と、ホール輸送層4を介して有機発光層3に注入され
たホールとが、有機発光層3内にて再結合して発光が起
こるものである。
【0018】ここで本発明では、陽極6の表面をハロゲ
ンで処理することによって、陽極6の表面にハロゲンで
処理された層5を形成し、陽極6の仕事関数を大きくす
るようにしたものであり、陽極6からのホール注入効率
を高めて、素子駆動電圧の低電圧化を達成することがで
きるものである。
【0019】このように陽極6をハロゲンで処理して陽
極6の仕事関数を大きくするにあたって、本発明では、
陽極6の表面の仕事関数が処理前の仕事関数よりも0.
5eV以上大きくなるようにするのが好ましい。陽極6
の仕事関数が0.5eV以上大きくなっていないと、陽
極6の仕事関数を大きくすることによってホールの注入
効率を高める効果が不充分になり、素子駆動電圧の低電
圧化の目的を十分に達成することができない。陽極6の
仕事関数は大きいほど望ましいので、仕事関数を大きく
することの上限は特に設定されないが、ハロゲンによる
処理によって陽極6の仕事関数を大きくすることには限
界があるので、仕事関数を大きくすることの実質的な上
限は1.3eV程度である。
【0020】陽極6の処理に用いるハロゲンとしては、
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができ、これ
らは一種を単独で用いる他に、二種以上を混合して用い
ることもできる。また陽極6をハロゲンで処理する方法
としては、ハロゲンを含有する溶液に陽極6を所定時間
浸漬したり、その蒸気に所定時間さらしたりする方法、
液状のハロゲンに陽極6を所定時間浸漬した後に乾燥す
る方法、ハロゲンガスに陽極6を所定時間曝す方法、ハ
ロゲンガスの存在下で陽極6をプラズマ処理する方法な
どを採用することができる。ハロゲンによる処理時間
は、使用するハロゲンの種類、処理方法などによって異
なるが、通常、1秒から1時間程度である。
【0021】陽極6の仕事関数を大きくするために酸処
理を行なう場合は既述のように、陽極6の表面がエッチ
ングされて陽極6の表面形状が乱れるおそれがあり、有
機エレクトロルミネッセンス素子の特性や寿命に悪影響
を与えることがあるが、本発明のようなハロゲンによる
処理では、陽極6の表面形状に殆ど影響を与えることが
なく、酸でエッチングされ易い材料、例えばIZOなど
を陽極6に用いた場合にも、所望の性能を発揮させるこ
とが容易になるものである。また、陽極6をハロゲンで
処理して陽極6の表面にハロゲンで処理された層5を設
けた状態で、この上に有機発光層3等を形成することが
できるものであり、陽極6をハロゲンで処理した後に水
や有機溶剤によって洗浄を行なう必要はない。従って、
陽極6をハロゲンで処理した後、水や有機溶剤による洗
浄を行なわずに、この上に有機発光層3等を形成する加
工を行なって有機エレクトロルミネッセンス素子を製造
することによって、陽極6の表面に有機溶剤などによる
残留炭素等の汚れが残ることを極小化することができ、
陽極6の仕事関数を大きくする効果を高く得ることがで
きるものである。
【0022】また本発明において、陽極6をハロゲンで
処理するのに先だって、陽極6の表面をプラズマ処理し
ておくのが好ましい。このように陽極6の表面を予めプ
ラズマ処理しておくと、陽極6の表面に対してハロゲン
がより強固に固定されることになり、ハロゲンで処理さ
れた層5を陽極6の表面に強固に設けることができ、陽
極6の仕事関数を大きくする効果を高く得ることができ
るものである。
【0023】次に、本発明の有機エレクトロルミネッセ
ンス素子を構成する有機層及び電極について説明する。
但し、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、
ハロゲンによる処理を行なった陽極6を用いるようにし
た点に特徴を有するものであり、陽極6上に形成する有
機層などの構成に関しては、従来から有機エレクトロル
ミネッセンス素子の作製に使用されている公知のものを
適宜使用することができ、以下のものに限定されないの
はいうまでもない。
【0024】まず、陽極6は上記のように素子中にホー
ルを注入するための電極であり、仕事関数の大きい金
属、合金、電気伝導性化合物、あるいはこれらの混合物
からなる電極材料を用いることが好ましく、仕事関数が
4eV以上のものを用いるのがよい。このような陽極6
の材料として具体的には、金などの金属、CuI、IT
O、SnO2、ZnO、IZO等の導電性透明材料を挙
げることができる。陽極6は、これらの電極材料を、ガ
ラスや透明樹脂等などの透明材料で形成される基板7の
表面に、真空蒸着法やスパッタリング法等の方法により
薄膜に形成することによって作製することができるもの
である。また、有機発光層3における発光を陽極6を透
過させて外部に照射する場合には、陽極6の光透過率を
10%以上の透明電極に形成することが好ましい。さら
に、陽極6のシート抵抗は数百Ω/□以下とすることが
好ましく、特に好ましくは100Ω/□以下とするもの
である。ここで、陽極6の膜厚は、陽極6の光透過率、
シート抵抗等の特性を上記のように制御するために、材
料により異なるが、500nm以下、好ましくは10〜
200nmの範囲に設定するのがよい。
【0025】一方、有機発光層3中に電子を注入するた
めの電極である陰極1は、仕事関数の小さい金属、合
金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物からなる電極
材料を用いることが好ましく、仕事関数が5eV以下の
ものであることが好ましい。このような陰極1の電極材
料としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、
リチウム、マグネシウム、アルミニウム、マグネシウム
−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミ
ニウム−リチウム合金、Al/Al23混合物、Al/
LiF混合物などを挙げることができる。この陰極1
は、例えばこれらの電極材料を、真空蒸着法やスパッタ
リング法等の方法により、薄膜に形成することによって
作製することができる。また、有機発光層3における発
光を陰極1を透過させて外部に照射する場合には、陰極
1の光透過率を10%以上にすることが好ましい。この
場合の陰極1の膜厚は、陰極1の光透過率等の特性を上
記のように制御するために、材料により異なるが、通常
500nm以下、好ましくは100〜200nmの範囲
とするのがよい。
【0026】そして有機発光層3に使用できる発光材料
またはドーピング材料としては、アントラセン、ナフタ
レン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタ
ロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエ
ン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジア
ゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロ
ペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロ
キシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メ
チル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス
(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯
体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯
体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1
−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導
体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチリルベン
ゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、及び各種蛍
光色素等があるが、これに限定されるものではない。ま
たこれらの化合物のうちから選択される発光材料を90
〜99.5質量部、ドーピング材料を0.5〜10重量
部含むようにすることも好ましい。有機発光層3の厚み
は0.5〜500nm、更に好ましくは0.5〜200
nmとするものである。
【0027】またホール輸送層4を構成するホール輸送
材料としては、ホールを輸送する能力を有し、陽極6か
らのホール注入効果を有するとともに、有機発光層3ま
たは発光材料に対して優れたホール注入効果を有し、ま
た電子のホール輸送層4への移動を防止し、かつ薄膜形
成能力の優れた化合物を挙げることができる。具体的に
はフタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポ
ルフィリン誘導体、N,N’−ビス(3−メチルフェニ
ル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン
(TPD)や4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−
フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)等の芳香
族ジアミン化合物、オキサゾール、オキサジアゾール、
トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、スチルベ
ン誘導体、ピラゾリン誘導体、テトラヒドロイミダゾー
ル、ポリアリールアルカン、ブタジエン、4,4’,
4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニ
ルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、
及びポリビニルカルバゾール、ポリシラン、ポリエチレ
ンジオキサイドチオフェン(PEDOT)等の導電性高
分子等の高分子材料が挙げられるが、これらに限定され
るものではない。
【0028】また電子輸送層2を構成する電子輸送材料
としては、電子を輸送する能力を有し、陰極1からの電
子注入効果を有するとともに、有機発光層3または発光
材料に対して優れた電子注入効果を有し、さらにホール
の電子輸送層2への移動を防止し、かつ薄膜形成能力の
優れた化合物を挙げることができる。具体的には、フル
オレン、バソフェナントロリン、バソクプロイン、アン
トラキノジメタン、ジフェノキノン、オキサゾール、オ
キサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、アント
ラキノジメタン等やそれらの化合物、金属錯体化合物も
しくは含窒素五員環誘導体である。具体的には、金属錯
体化合物としては、トリス(8−ヒドロキシキノリナー
ト)アルミニウム、トリ(2−メチル−8−ヒドロキシ
キノリナート)アルミニウム、トリス(8−ヒドロキシ
キノリナート)ガリウム、ビス(10−ヒドロキシベン
ゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10−ヒド
ロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2−メ
チル−8−キノリナート)(o−クレゾラート)ガリウ
ム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(1−ナフ
トラート)アルミニウム等があるが、これらに限定され
るものではない。また含窒素五員環誘導体としては、オ
キサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジア
ゾールもしくはトリアゾール誘導体が好ましい。具体的
には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オ
キサゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,
4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,
3,4−オキサジアゾール、2−(4’−tert−ブ
チルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)1,3,4
−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−
1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−
(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2,5−
ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、3
−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−(4−
t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等が
あるが、これらに限定されるものではない。さらに、ポ
リマー有機エレクトロルミネッセンス素子に使用される
ポリマー材料も使用することができる。例えば、ポリパ
ラフェニレン及びその誘導体、フルオレン及びその誘導
体等である。
【0029】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0030】(実施例1)厚み0.7mmのガラス基板
7上に、ITO(インジウム−スズ酸化物)をスパッタ
リングしてシート抵抗7Ω/□の陽極6を形成したIT
Oガラス基板(三容真空社製)を用いた。まず、これを
アセトン、純水、イソプロピルアルコールでそれぞれ1
5分間超音波洗浄したのち乾燥させた。
【0031】そして、このITOガラス基板を臭素水
(関東化学(株)製、濃度1.0%)の蒸気に室温で1
0分間さらすことによって、陽極6の表面を臭素で処理
した。
【0032】次に、この臭素による処理をしたITOガ
ラス基板を洗浄することなく真空蒸着装置にセットし、
133.322×10-6Pa(1×10-6Torr)の
真空条件下、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−
フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)((株)
同仁化学研究所製)を、1〜2Å/sの蒸着速度で蒸着
し、厚み400Åのホール輸送層4を形成した。
【0033】次に、トリス(8−ヒドロキシキノリナー
ト)アルミニウム錯体((株)同仁化学研究所製「Al
q3」)を1〜2Å/sの蒸着速度で蒸着し、厚み40
0Åの有機発光層3兼電子輸送層2を形成した。
【0034】この後、まずLiFを0.5〜1.0Åの
蒸着速度で厚み5Å蒸着し、続いて、Alを10Å/s
の蒸着速度で厚み1500Å蒸着することによって、陰
極1を形成した。
【0035】次に、この各層を形成したITOガラス基
板を露点−76℃以下のドライ窒素雰囲気のグローブボ
ックスに入れて、大気に暴露することなく搬送した。一
方、通気性を有する袋に吸水剤として酸化バリウムの粉
末を入れ、これをガラス製の封止板に接着剤で貼り付け
ておくと共に、封止板の外周部には予め紫外線硬化樹脂
製のシール剤を塗布しておき、グローブボックス内にお
いて上記の各層1〜6を形成したITOガラス基板7に
封止板をシール剤で張り合わせ、UV照射でシール剤を
硬化させることによって、有機エレクトロルミネッセン
ス素子を得た。
【0036】(実施例2)ITOガラス基板を塩素水
(関東化学(株)製、濃度0.3%)の蒸気に室温で1
0分間さらすことによって、陽極6の表面を塩素で処理
するようにした他は、実施例1と同様にして有機エレク
トロルミネッセンス素子を得た。
【0037】(実施例3)ITOガラス基板を液状の臭
素に室温で30秒間浸漬した後に乾燥することによっ
て、陽極6の表面を臭素で処理するようにした他は、実
施例1と同様にして有機エレクトロルミネッセンス素子
を得た。
【0038】(実施例4)ヨウ素を入れたガラス容器内
にITOガラス基板を入れ、室温で30分間放置するこ
とによって、陽極6の表面をヨウ素で処理するようにし
た他は、実施例1と同様にして有機エレクトロルミネッ
センス素子を得た。
【0039】(実施例5)Ar:O2=3:1(体積
比)の混合ガスに臭素ガスを1体積%存在させたガス雰
囲気下、2Pa、パワーRF=50Wの条件でプラズマ
を発生させ、ITOガラス基板をこのプラズマで10分
間処理することによって、陽極6の表面を臭素で処理す
るようにした他は、実施例1と同様にして有機エレクト
ロルミネッセンス素子を得た。
【0040】(実施例6)実施例3の臭素による処理を
行なう前に、Ar:O2=3:1(体積比)の混合ガス
雰囲気下、2Pa、パワーRF=50Wの条件で発生さ
せた酸素プラズマでITOガラス基板を10分間処理す
ることによって、ITOガラス基板の陽極6の表面をプ
ラズマ処理するようにした他は、実施例3と同様にして
有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。
【0041】(実施例7)発光層を次のように形成する
ようにした他は、実施例1と同様にして白色発光有機エ
レクトロルミネッセンス素子を得た。すなわち、ITO
ガラス基板に上記α−NPDを1〜2Å/sの蒸着速度
で蒸着し、厚み300Åのホール輸送層4を形成した。
そして黄色発光層として、α−NPDにルブレン(アク
ロス社製)を1質量%ドープしたものを100Åの厚み
で積層し、次に青色発光層として、ジスチリルビフェニ
ル誘導体(DPVBi:出光興産製)に末端にカルバゾ
リル基を有するDSA誘導体(BCzVBi:出光興産
製)を12質量%ドープしたものを500Åの厚みで積
層して有機発光層3を形成した。この後、バソフェナン
トロリン((株)同仁化学研究所製)とCsをモル比
1:1で200Åの厚みに共蒸着して電子輸送層2を形
成し、続いて、Alを10Å/sの蒸着速度で厚み15
00Å蒸着することによって陰極1を形成した。
【0042】(比較例1)実施例1において、ITOガ
ラス基板を臭素処理しなかったこと以外、実施例1と同
様にして有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。
【0043】(比較例2)実施例7において、ITOガ
ラス基板を臭素処理しなかったこと以外、実施例7と同
様にして有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。
【0044】上記の実施例1〜実施例7及び比較例1〜
比較例2で作製した有機エレクトロルミネッセンス素子
を電源(KEYTHLEY236モデル)に接続し、素
子の輝度を輝度計(ミノルタ(株)製「LS−11
0」)で測定した。このとき、輝度が1cd/m2にな
る電圧を発光開始電圧として測定し、6V印加時の輝度
を測定すると共に、6V電流密度を測定した。また陽極
のITOの仕事関数を紫外線光電子分析装置(理研計器
(株)製「AC−1」)で測定した。さらに、作製した
素子を10mA/cm2の定電流で連続駆動させて寿命
試験を行ない、輝度が半減するまでの半減寿命を測定
し、また半減寿命後の駆動電圧の変化を測定した。これ
らの結果及び、陽極をハロゲンで処理した後の仕事関数
の増加値を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】表1にみられるように、各実施例のもので
は陽極の仕事関数がハロゲンによる処理によって0.5
eV以上大きくなっており、また各比較例のものより
も、発光開始電圧が低く、輝度が高くなっており、さら
に半減寿命が長く、抵抗増大が小さいことが確認され
る。
【0047】また、実施例7及び比較例2の白色発光有
機エレクトロルミネッセンス素子について、寿命試験前
後の100cd/m2での色度座標を浜松ホトニクス社
製「マルチチャンネルアナライザーPMA−10」で測
定した。結果を表2に示す
【0048】
【表2】
【0049】表2にみられるように、実施例7のものは
比較例2のものよりも色度の安定性が高いことが確認さ
れる。
【0050】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係る有
機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極の間に
有機発光層を備えて形成される有機エレクトロルミネッ
センス素子において、陽極はハロゲンによって処理され
たものであるので、ハロゲンによる処理で陽極の仕事関
数を大きくすることができ、陽極からのホールの注入効
率を高めて、素子駆動電圧の低電圧化を可能にすること
ができるものであり、さらに連続駆動時の寿命特性や色
度の安定性を改善できると共に抵抗増大を極力抑えるこ
とができるものである。しかも、陽極を酸で処理する場
合のように表面形状が乱れるようなことがなくなると共
に、有機溶剤等による洗浄が不要であって陽極表面に残
留炭素分を生じさせたりすることがなくなり、有機エレ
クトロルミネッセンス素子の特性や寿命に悪影響を与え
ることなく、陽極の仕事関数を大きくする効果を高く得
ることができるものである。
【0051】また請求項2の発明は、陽極はハロゲンに
よる処理によって、仕事関数が処理前よりも0.5eV
以上大きくなっているものであるので、陽極からのホー
ルの注入効率を高める効果を高く得ることができるもの
である。
【0052】また請求項3の発明は、陽極の処理に用い
るハロゲンが、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選ばれ
るものであるので、陽極の仕事関数を大きくする効果を
高く得ることができるものである。
【0053】また請求項4の発明は、陽極の処理が、ハ
ロゲンガス存在下でのプラズマ処理であるので、陽極の
仕事関数を大きくする効果を高く得ることができるもの
である。
【0054】本発明の請求項5に係る有機エレクトロル
ミネッセンス素子の製造方法は、陽極に有機発光層を積
層し、この有機発光層に陰極を積層して有機エレクトロ
ルミネッセンス素子を製造するにあたって、陽極の表面
をハロゲンで処理した後に、有機発光層及び陰極を積層
するようにしたので、ハロゲンによる処理で陽極の仕事
関数を大きくすることができ、陽極からのホールの注入
効率を高めて、素子駆動電圧の低電圧化を可能にするこ
とができるものであり、さらに連続駆動時の寿命特性や
色度の安定性を改善できると共に抵抗増大を極力抑える
ことができるものである。しかも、陽極を酸で処理する
場合のように表面形状が乱れるようなことがなくなると
共に、有機溶剤等による洗浄が不要であって陽極表面に
残留炭素分を生じさせたりすることがなくなり、有機エ
レクトロルミネッセンス素子の特性や寿命に悪影響を与
えることなく、陽極の仕事関数を大きくする効果を高く
得ることができるものである。
【0055】また請求項6の発明は、ハロゲンで処理す
る前に、陽極をプラズマ処理するようにしたので、陽極
の表面に対してハロゲンをより強固に固定することがで
き、陽極の仕事関数を大きくする効果を高く得ることが
できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す概略図であ
る。
【符号の説明】
1 陰極 2 電子輸送層 3 有機発光層 4 ホール輸送層 5 ハロゲンで処理された層 6 陽極 7 基板
フロントページの続き (72)発明者 城戸 淳二 山形県米沢市中央2丁目6番6号 サンロ ード米沢中央408 (72)発明者 近藤 行廣 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 (72)発明者 岸上 泰久 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 Fターム(参考) 3K007 AB02 AB03 AB04 AB06 AB11 AB18 CA01 CB01 CC00 DA01 DB03 EB00 FA01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極と陰極の間に有機発光層を備えて形
    成される有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    陽極はハロゲンによって処理されたものであることを特
    徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 【請求項2】 陽極はハロゲンによる処理によって、仕
    事関数が処理前よりも0.5eV以上大きくなっている
    ものであることを特徴とする請求項1に記載の有機エレ
    クトロルミネッセンス素子。
  3. 【請求項3】 陽極の処理に用いるハロゲンが、フッ
    素、塩素、臭素、ヨウ素から選ばれるものであることを
    特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミ
    ネッセンス素子。
  4. 【請求項4】 陽極の処理が、ハロゲンガス存在下での
    プラズマ処理であることを特徴とする請求項1乃至3の
    いずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 【請求項5】 陽極に有機発光層を積層し、この有機発
    光層に陰極を積層して有機エレクトロルミネッセンス素
    子を製造するにあたって、陽極の表面をハロゲンで処理
    した後に、有機発光層及び陰極を積層することを特徴と
    する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 ハロゲンで処理する前に、陽極をプラズ
    マ処理することを特徴とする請求項5に記載の有機エレ
    クトロルミネッセンス素子の製造方法。
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