JP2003119288A - ケイ素化合物 - Google Patents

ケイ素化合物

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JP2003119288A
JP2003119288A JP2001312876A JP2001312876A JP2003119288A JP 2003119288 A JP2003119288 A JP 2003119288A JP 2001312876 A JP2001312876 A JP 2001312876A JP 2001312876 A JP2001312876 A JP 2001312876A JP 2003119288 A JP2003119288 A JP 2003119288A
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branched
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JP2001312876A
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English (en)
Inventor
Mikio Yamahiro
幹夫 山廣
Kazuhiro Yoshida
一浩 吉田
Kenichi Watanabe
健一 渡辺
Nobumasa Otake
伸昌 大竹
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JNC Corp
Original Assignee
Chisso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は有機ポリマー中に均一分散させること
が可能なポリシルセスキオキサンを開発することを目的
とする。 【解決手段】重合性単量体に対して重合開始能を有する
基を導入した、式(1)で示される繰り返し単位を有す
るケイ素化合物により上記の目的が達成される。この式
中のAは単量体に対する重合開始能を有する基であ
り、R〜Rは炭素数1〜18の飽和炭化水素基、炭
素数2〜6の不飽和炭化水素基、または炭素数10以下
のアリール基であり、Rは炭素数1〜4の飽和炭化水
素基、CHCO−、CH=CHCO−、またはCH
=C(CH)CO−であり、mは0または0.05
〜2.0の範囲の値であり、nは、m=0のとき0.1
〜2.0、m≠0のとき0.05〜2.0の範囲の値で
あるが、m+nは0.1〜3.0である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、重合性単量体に対して
重合開始能を有することを特徴とする新規なケイ素化合
物に関する。
【0002】
【従来の技術】ケイ素原子1に対して酸素原子が1.5
となるような割合で構成されるポリオルガノシロキサン
は一般にポリシルセスキオキサンと呼ばれ、その優れた
耐熱性、耐候性を利用し半導体絶縁保護膜や難燃剤、あ
るいは塗料添加剤といった材料としての利用が期待され
ている。これらのポリシルセスキオキサンを有機樹脂中
に組み込む目的で官能基を導入する試みは以前から行わ
れている。特にヒドロシリル基を持つポリシルセスキオ
キサン(以下、ヒドロシリル基含有ポリシルセスキオキ
サンと称することがある。)は、オレフィン類とのヒド
ロシリル化反応により容易に種々の官能基を導入するこ
とができる中間原料として有用である。
【0003】特開昭60―86017号公報には、トリ
クロロシランを加水分解縮合することによるヒドロシリ
ル基を導入したポリシルセスキオキサンの製造方法が開
示されている。この方法ではトリクロロシランを水で飽
和した溶媒中に溶解して、水蒸気を同伴する不活性ガス
をバブリングすることによりヒドロシリル基含有ポリシ
ルセスキオキサンを得ている。しかしながらこの方法に
は、水が系内に過剰に添加されて分離した場合、脱水素
反応を起こしてゲル化すること、および反応時間が長い
ことなど、反応条件についての大きな制約があり、また
H当量のコントロールに関する言及はない。
【0004】EP516144A、EP860463
A、およびEP860464A等には、オルガノトリク
ロロシランの加水分解縮合によりポリシルセスキオキサ
ンを製造し、この分子中に残存するシラノール基をジシ
ラザン、あるいはモノクロロシラン等でシリル化するこ
とにより、ヒドロシリル基を導入する方法が開示されて
いる。しかしながらこのような方法では、シラノール基
自体が非常に不安定であるために、残存するシラノール
基同士の縮合反応が進行して分子量が経時的に変化して
しまう問題があり、また残存するシラノール基を任意に
コントロールすることも実質的に不可能である。従っ
て、これらの公報に開示された方法でH当量をコントロ
ールすることは容易ではない。本発明者らは、これらの
問題を解決するため鋭意研究した結果、原料となるオル
ガノトリクロロシラン、オルガノモノクロロシラン及び
アルコール等の分子内に活性水素を有する化合物の使用
量と、この系中のSi−Cl基を加水分解縮合するのに
必要な水の量を制御することにより、得られるポリシル
セスキオキサンの分子量及びH当量が任意にコントロー
ル可能であることを見出し、その発明をJP2001−
122965Aにおいて開示した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のポリシルセスキオキサンを有機ポリマー中に均一分散
させるための方策として、上記のヒドロシリル基含有ポ
リシルセスキオキサンを原料とし、このポリシルセスキ
オキサン中の末端ヒドロシリル基を利用して、これに重
合性単量体に対して、重合開始能を有する基を導入する
ことである。すなわち本発明における課題は、重合開始
基含有ケイ素化合物およびその製造方法を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、ポリシル
セスキオキサンを有機ポリマー中に均一分散させるため
の方策について検討し、当該シルセスキオキサンに重合
開始剤としての機能を持たせることに想到した。すなわ
ち、重合開始能を有するポリシルセスキオキサン誘導体
であれば、例えばアクリル系モノマーを共存させること
により重合を開始させて、当該ポリシルセスキオキサン
を起点にして有機ポリマーを形成させることが可能であ
る。これにより、ポリシルセスキオキサンの凝集を起こ
させることなく、極めて均質な有機−無機複合材料が得
られることが可能となり、従来法の問題点が解消され
る。また得られるポリシルセスキオキサンは、分子量や
重合開始基の含有量を任意にコントロールすることが可
能であるため、有機ポリマー中における無機成分の含有
量をも容易にコントロールすることができる。さらに重
合開始点がポリシルセスキオキサンに対して強く結合し
ているため、従来とはまったく異なる特性を発現する有
機−無機複合材料が得られることが予想される。従って
本発明は、ポリシルセスキオキサンの諸特性や用途に多
様性をもたらすものと期待される。
【0007】即ち、本発明は下記の構成からなる。 (1)式(1)で示される繰り返し単位を有するケイ素
化合物。 (式中、Aは単量体に対する重合開始能を有する基で
あり、R、RおよびRは、それぞれ独立して炭素
数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状の飽和炭化水素
基、炭素数2〜6の直鎖、分岐もしくは環状の不飽和炭
化水素基、または炭素数10以下のアリール基であり、
は炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐の飽和炭化水素
基、CHCO−、CH=CHCO−、またはCH
=C(CH)CO−であり、mは0または0.05〜
2.0の範囲の値であり、nは、m=0のとき0.1〜
2.0、m≠0のとき0.05〜2.0の範囲の値であ
るが、m+nは0.1〜3.0である。) (2)式(1)において、RおよびRが共にメチル
であることを特徴とする、前記(1)項に記載のケイ素
化合物。 (3)式(1)におけるAがジチオカルバメート基を
有する基であることを特徴とする、前記(1)または
(2)項に記載のケイ素化合物。 (4)ジチオカルバメート基を有する基が、式(2)で
示される基であることを特徴とする、前記(3)項に記
載のケイ素化合物。 (式中、RおよびRはそれぞれ独立してH、炭素数
1〜12の直鎖もしくは分岐のアルキル、炭素数5〜1
0の脂環式基、または炭素数6〜10の芳香族基であ
り、RとRとが結合してNと共に環を形成してもよ
く、Zは炭素数1〜3の直鎖または分岐のアルキレン
であり、ZはZ−Cまたは炭素数2〜10の
直鎖もしくは分岐のアルキレンであって、このアルキレ
ン中のCHの1個はOで置き換えられてもよく、Z
は単結合または炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐のアル
キレンであって、このアルキレン中のCHの1個はO
で置き換えられてもよく、Rは炭素数1〜3の直鎖ま
たは分岐のアルキルであり、pは0〜2の整数であり、
またベンゼン環へのZの結合位置は、Zの結合位置
に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置は
およびZの結合位置を除く任意の位置である。) (5)式(2)において、ZがZ−Cである
ことを特徴とする、前記(4)項に記載のケイ素化合
物。 (6)式(1)において、Rがn−プロピルであり、
およびRが共にメチルであり、mが0であり、n
が0.1〜2.0であり、式(2)において、R およ
びRが共にエチルであり、p=0であることを特徴と
する、前記(4)または(5)項に記載のケイ素化合
物。 (7)式(1)において、Rがn−プロピルであり、
およびRが共にメチルであり、mが0.05〜
2.0であり、nが0.05〜2.0であり、式(2)
において、RおよびRが共にエチルであり、p=0
であることを特徴とする、前記(4)または(5)項に
記載のケイ素化合物。 (8)式(2)においてZがCHであり、Z
1,2−エタンジイルであることを特徴とする、前記
(6)項に記載のケイ素化合物。 (9)式(2)においてZがCHであり、Z
1,2−エタンジイルであることを特徴とする、前記
(7)項に記載のケイ素化合物。 (10)下記(a)の工程についで(b)の工程を実施
することを特徴とする、式(3)で示されるケイ素化合
物の製造方法。 (式(3)において、Aは下記式(4)で示される基
であり、R、RおよびRは、それぞれ独立して炭
素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状の飽和炭化水素
基、炭素数2〜6の直鎖、分岐もしくは環状の不飽和炭
化水素基、または炭素数10以下のアリール基であり、
は炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐の飽和炭化水素
基、CHCO−、CH=CHCO−、またはCH
=C(CH )CO−であり、mは0または0.05〜
2.0の範囲の値であり、nは、m=0のとき0.1〜
2.0、m≠0のとき0.05〜2.0の範囲の値であ
るが、m+nは0.1〜3.0である。) (式(4)において、RおよびRはそれぞれ独立し
てH、炭素数1〜12の直鎖もしくは分岐のアルキル、
炭素数5〜10の脂環式基、または炭素数6〜10の芳
香族基であり、RとRが結合してNと共に環を形成
してもよく、Zは炭素数1〜3の直鎖または分岐のア
ルキレンであり、Zは単結合または炭素数1〜8のア
ルキレンであって、このアルキレン中の任意の1個のC
はOと置き換えられてもよく、Rは炭素数1〜3
の直鎖または分岐のアルキルであり、pは0〜2の整数
であり、またベンゼン環へのZの結合位置は、Z
結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結
合位置はZおよびZの結合位置を除く任意の位置で
ある。) (a)遷移金属系触媒の存在下、式(5)で示される化
合物に式(6)で示される化合物を反応させることによ
って、式(7)で示される化合物を得る工程。 (式(5)中のR、R、R、R、mおよびn
は、式(3)における場合と同じ意味である。) (式(6)において、Xはハロゲン原子であり、Z
、Rおよびpの意味、およびベンゼン環へのZ
およびRの結合位置は、式(4)における場合と同じ
である。) (式(7)において、R、R、R、R、mおよ
びnは、式(3)における場合と同じ意味であり、X、
、Z、Rおよびpの意味、およびベンゼン環へ
のZおよびRの結合位置は、式(6)における場合
と同じである。) (b)式(7)で示される化合物と式(8)で示される
化合物とを反応させて式(3)で示されるケイ素化合物
を得る工程。 (式(8)中のRおよびRは式(4)における場合
と同じ意味であり、Mは周期律表第1族または第2族の
金属元素であり、qはMの原子価である。) (11)下記(c)の工程についで(d)の工程を実施
することを特徴とする、式(3)で示されるケイ素化合
物の製造方法。 (式(3)において、Aは下記の式(4)で示される
基であり、R、RおよびRは、それぞれ独立して
炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状の飽和炭化水
素基、炭素数2〜6の直鎖、分岐もしくは環状の不飽和
炭化水素基、または炭素数10以下のアリール基であ
り、Rは炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐の飽和炭化
水素基、CHCO−、CH=CHCO−、またはC
=C(CH)CO−であり、mは0または0.0
5〜2.0の範囲の値であり、nは、m=0のとき0.
1〜2.0、m≠0のとき0.05〜2.0の範囲の値
であるが、m+nは0.1〜3.0である。) (式(4)において、RおよびRはそれぞれ独立し
てH、炭素数1〜12の直鎖もしくは分岐のアルキル、
炭素数5〜10の脂環式基、または炭素数6〜10の芳
香族基であり、RとRが結合してNと共に環を形成
してもよく、Zは炭素数1〜3の直鎖または分岐のア
ルキレンであり、Zは単結合または炭素数1〜8のア
ルキレンであって、このアルキレン中の任意の1個のC
はOと置き換えられてもよく、Rは炭素数1〜3
の直鎖または分岐のアルキルであり、pは0〜2の整数
であり、またベンゼン環へのZの結合位置は、Z
結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結
合位置はZおよびZの結合位置を除く任意の位置で
ある。) (c)式(6)で示される化合物と式(8)で示される
化合物とを反応させて式(9)で示される化合物を得る
工程。 (式(6)において、Xはハロゲン原子であり、Z
、Rおよびpの意味、およびベンゼン環へのZ
およびRの結合位置は、式(4)における場合と同じ
である。) (式(8)中のRおよびRは式(4)における場合
と同じ意味であり、Mは周期律表第1族または第2族の
金属元素であり、qはMの原子価である。) (式(9)中のR〜R、Z、Zおよびpのそれ
ぞれの意味、およびZおよびRのそれぞれの結合位
置は、式(4)における場合と同じである。) (d)遷移金属系触媒の存在下、式(5)で示される化
合物に式(9)で示される化合物を反応させることによ
って、式(3)で示されるケイ素化合物を得る工程。 (式(5)中のR〜R、m、およびnは、式(3)
における場合と同じ意味である。)
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のケイ素化合物は下記の式
(1)で示される。
【0009】この式中のR、RおよびRは、それ
ぞれ独立して炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状
の飽和炭化水素基、炭素数2〜6の直鎖、分岐もしくは
環状の不飽和炭化水素基、または炭素数10以下のアリ
ール基である。そしてこれらの基は、炭素数1〜8の直
鎖もしくは分岐のアルキル、フェニルまたはシクロヘキ
シルであることが好ましい。その具体例として、メチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブ
チル、ペンチル、2−メチルブチル、ヘキシル、2−メ
チルペンチル、ヘプチル、2−メチルヘキシル、オクチ
ル、2−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、フェニ
ルおよびシクロヘキシル等を挙げることができ、このう
ちRにおいてはプロピルが最も好ましく、Rおよび
においてはメチルが最も好ましい。
【0010】この式中のAは単量体に対する重合開始
能を有する基であり、ハロアルキルフェニルを有する
基、MgBr基を有する基およびジチオカルバメート基
を有する基などを挙げることができる。ハロアルキルフ
ェニルを有する基は、塩化銅/アミン錯体の共存下でラ
ジカルを発生し、過塩素酸銀の共存下ではカチオン重合
の開始剤となる。MgBr基は、ハロアルキルフェニル
を有する基にエーテル溶媒中で金属マグネシウムを反応
させることによって導入することができる。またこの基
は次のようにしても導入することができる。即ち、まず
スチリル基あるいはビニル基などの二重結合を有するシ
ルセスキオキサン誘導体を調製したのち、この二重結合
部位をボラン−ジメチルサルファイド錯体を用いてヒド
ロホウ素化を行う。次いでこの反応によって得られたホ
ウ素を有するシルセスキオキサン誘導体に、ペンタン−
1,5−ジイル−ジ(マグネシウムブロマイド)を反応
させることによって、MgBr基を導入することができ
る。得られたグリニヤータイプのシルセスキオキサン誘
導体は、スチレンやメチルメタクリレートのアニオン重
合開始剤として利用することが可能である。
【0011】そしてこのAは、ジチオカルバメート基
を有する基であることが好ましい。ジチオカルバメート
基が光によりラジカル解離し、優れた重合開始能、増感
能を有することはよく知られているところである。ま
た、この光重合がラジカル重合であり、しかも結果的に
リビング重合的であることもよく知られているところで
ある。従って、ジチオカルバメート基を有する本発明の
ケイ素化合物は、光照射されているかぎり、重合開始能
を維持し続けることが可能であり、あらゆるラジカル重
合性単量体に対して光重合開始能力を有する。なお、ジ
チオカルバメート基は、その光開始剤としての特性の
他、耐放射線性、除草効果等の薬理活性、錯体形成能、
および親水性等を活用することも可能である。
【0012】このようなジチオカルバメート基を有する
基として、式(1)中のAは下記の式(2)で示され
る基であることが好ましい。 式(2)中のRおよびRはそれぞれ独立してH、炭
素数1〜12の直鎖もしくは分岐のアルキル、炭素数5
〜10の脂環式基、または炭素数6〜10の芳香族基で
あり、RとRとが結合してNと共に環を形成しても
よい。このような基の例として、メチル、エチル、プロ
ピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、
2−メチルブチル、ヘキシル、2−メチルペンチル、ヘ
プチル、2−メチルヘキシル、オクチル、2−メチルヘ
プチル、2−エチルヘキシル、デシル、フェニル、シク
ロペンチルおよびシクロヘキシル等を挙げることができ
る。RおよびRのどちらもがこれらの基の1種であ
ってもよいし、片方がこれらの基の1種であり、もう一
方がHであってもよい。
【0013】またRとRとが結合してNと共に環を
形成している場合のジチオカルバメート基の例として、
N−シクロトリメチレンジチオカルバメート基、N−シ
クロテトラメチレンジチオカルバメート基、N−シクロ
ペンタメチレンジチオカルバメート基、N−シクロヘキ
サメチレンジチオカルバメート基、N−シクロヘプタメ
チレンジチオカルバメート基、N−シクロオクタメチレ
ンジチオカルバメート基等を挙げることができる。そし
て、ジチオカルバメート基の好ましい例として、N,N
−ジメチルジチオカルバメート基、N,N−ジエチルジ
チオカルバメート基、N−メチルジチオカルバメート
基、N−エチルジチオカルバメート基などを挙げること
ができ、N,N−ジエチルジチオカルバメート基が最も
好ましい。
【0014】式(2)中のZは、炭素数1〜3の直鎖
もしくは分岐のアルキレンであるが、CHであること
が好ましい。ZはZ−Cまたは炭素数2〜1
0の直鎖もしくは分岐のアルキレンであって、このアル
キレン中のCHの1個はOで置き換えられてもよく、
は単結合または炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐の
アルキレンであって、このアルキレン中のCHの1個
はOで置き換えられてもよい。またRは、炭素数1〜
3の直鎖もしくは分岐のアルキルであり、具体的にはメ
チルが好ましい。その個数pは2以下であり、ベンゼン
環に対する結合位置については限定されず、Zおよび
の結合位置を除くどこであってもよい。またベンゼ
ン環へのZの結合位置は、Zの結合位置に対してメ
タ位またはパラ位である。
【0015】Siに有機基を結合させるには種々の方法
を適用できるが、加水分解されない誘導体を得るための
代表的な方法は、Si−Hに対して脂肪族不飽和結合を
有する化合物を反応させる、いわゆるヒドロシリル化反
応と、Si−ハロゲンに対してグリニヤー試薬を反応さ
せる方法である。そして本発明においては、原料の入手
しやすさの点で、ヒドロシリル化反応の方が適用しやす
い。即ち、本発明においては、式(5)で示されるSi
−H官能のシルセスキオキサン誘導体に、末端に不飽和
結合を有する化合物をヒドロシリル化反応によって結合
させる方法が、このシルセスキオキサン誘導体に官能基
を導入する方法として好ましい。 (式中のR〜R、mおよびnの意味は、前記の式
(1)における場合と同じである。)
【0016】従って、式(2)におけるZは、Z
であることが好ましく、このときZは単結合
または炭素数1〜8のアルキレンであって、このアルキ
レン中の任意の1個のCHはOと置き換えられてもよ
い。即ち、式(2)中のZの好ましい具体例として、
−C−、−C−、−OC−、−OC
−、−CHOC−、−CHOC
−、−COC−、−COC
などを挙げることができる。もちろん、Zの選択範囲
がこれらに限定されるわけではない。
【0017】式(1)中のmは0または0.05〜2.
0の範囲の値であり、nは、m=0のとき0.1〜2.
0、m≠0のとき0.05〜2.0の範囲の値である
が、m+nは0.1〜3.0の範囲の値であることが好
ましい。m≠0であるとき、R は炭素数1〜4の直鎖
もしくは分岐の飽和炭化水素基、CHCO−、CH
=CHCO−、またはCH=C(CH)CO−であ
る。この飽和炭化水素基は、具体的にはメチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s
ec−ブチルおよびt−ブチルである。そして、R
してはエチルが最も好ましい。
【0018】次に、本発明のケイ素化合物の製造方法に
ついて詳しく説明する。本発明の重合開始基含有ケイ素
化合物の原料は、式(5)で表されるヒドロシリル基含
有ポリシルセスキオキサンである。 (式中のR〜R、mおよびnの意味は、前記の通り
である。)そして、このヒドロシリル基含有ポリシルセ
スキオキサンを合成するには、JP2001−1229
65Aに記載の方法を利用することができる。この方法
では、まず下記の式(10)で示されるオルガノトリク
ロロシランと、これのn倍モル量の下記の式(11)で
示されるジオルガノモノクロロシランを混合する。この
とき、nは0.1〜2.0の範囲内とすることが好まし
い。 RSiCl3 (10) RHSiCl (11) (これらの式中のR〜Rの意味は、前記の式(1)
における場合と同じである。)
【0019】式(10)のオルガノトリクロロシランの
具体例としては、メチルトリクロロシラン、エチルトリ
クロロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、n−ブ
チルトリクロロシラン、i−ブチルトリクロロシラン、
t−ブチルトリクロロシラン、ペンチルトリクロロシラ
ン、ヘキシルトリクロロシラン、n−ヘプチルトリクロ
ロシラン、n−オクチルトリクロロシラン、i−オクチ
ルトリクロロシラン、ノニルトリクロロシラン、n−デ
シルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、アリ
ルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、シク
ロヘキシルトリクロロシラン等が示される。また、式
(11)のジオルガノモノクロロシランの具体例として
は、ジメチルクロロシラン、ジエチルクロロシラン、エ
チルメチルクロロシラン、ジイソプロピルクロロシラ
ン、ジフェニルクロロシラン等が示される。
【0020】上記のクロロシラン混合物は溶媒で希釈し
てもよい。使用できる溶媒としては、クロロシランに対
して不活性なものであれば任意に選択でき、通常はトル
エン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン等
の脂肪族炭化水素系溶媒、またはジエチルエーテル、テ
トラヒドロフランなどのエーテル類等が用いられる。そ
して、このクロロシランの混合物に対して所定量の水を
添加し、加水分解縮合反応を行う。添加する水の量を、
Si−Cl基を加水分解縮合するために必要かつ十分な
量である、オルガノトリクロロシランに対するモル比で
(3+n)/2倍とすることにより、下記の代表的な反
応式に示すようなポリシルセスキオキサンが得られる。
【0021】
【0022】もちろん、上記の式は模式的なものであ
り、実際に得られるポリシルセスキオキサンは、下記の
3種の式のそれぞれで示される構造単位の1種以上の結
合からなる連鎖構造を有するものであろうと推測され
る。
【0023】水の量がオルガノトリクロロシランの(3
+n)/2倍モルよりも少ない場合は、得られるポリシ
ルセスキオキサン中にSiCl基が残留し、腐食性の塩
酸ガスを生成する原因となり、多い場合は得られるポリ
シルセスキオキサン中にシラノール基が多く生成して、
保存安定性が不良となる。なお、添加する水は溶媒を用
いて任意に希釈することもできる。この際に使用できる
溶媒はクロロシランに対して不活性なものであれば任意
に選択できるが、クロロシラン、水の両者に親和性のあ
る溶媒が好ましく、テトラヒドロフラン、ジオキサン等
のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケト
ン類が好適に用いることができる。その中でもテトラヒ
ドロフランがより好ましい。
【0024】水の添加は、急激な加水分解反応による大
量の塩酸の発生を防止し、系内への水の拡散が律速とな
らないように行うことが好ましく、添加量に合わせて、
0.5〜4時間程度で添加するのが好ましい。また同様
に、急激な塩酸の発生を防止する目的から反応温度は1
5℃以下とするのが好ましい。添加終了後は、加水分解
縮合反応を終結させるために1時間程度熟成を行なうこ
とが好ましく、この際には反応温度を上げて加水分解縮
合反応を促進することも可能である。
【0025】また、クロロシラン混合物に対して水を添
加する前に、分子内に活性水素を有する化合物を反応さ
せることで、加水分解性の置換基を導入することも可能
である。すなわち、式(10)で示されるオルガノトリ
クロロシランと、これのn倍モル量の式(11)で示さ
れるジオルガノモノクロロシランとの混合物に、式(1
2)で示される化合物の少なくとも1種を、オルガノト
リクロロシランのm倍モル量反応させた後、オルガノト
リクロロシランの(3+n−m)/2倍モル量の水を添
加して加水分解縮合することによって、下記の代表的な
反応式で示すように、目的の構造式を有するポリシルセ
スキオキサンを得ることができる。 ROH (12) このとき、nおよびmはそれぞれ0.05〜2.0の範
囲内とし、n+mを0.1〜3.0の範囲内とすること
が好ましい。
【0026】 (ここで、YはRHSiまたはRであり、その
比率はRHSi:R=n:mである。)
【0027】分子内に活性水素を有する化合物の縮合反
応および水による加水分解縮合反応は、任意の温度で速
やかに進行するため反応温度に対しては特に配慮する必
要はない。しかしながら、急激な塩酸の発生を防止する
目的から、安全性を考慮して10℃以下とするのが好ま
しい。R−OHまたは水の添加速度についても、反応
速度の点からは特別な配慮を必要としないが、上記の理
由から、反応のスケール、反応器の形状、反応温度など
に適合した添加速度とするよう配慮すべきである。R
−OHを反応させることによって導入された加水分解性
基は、水を加えて加水分解する際に、加水分解速度の違
いにより分子中に保持される。そして、水に対する反応
性のより高いSi−Cl基が選択的に加水分解される。
【0028】前記の式(12)におけるRの具体例は
前述の通りであるが、R−OHの具体例として、メタ
ノール、エタノール、1―プロパノール、2―プロパノ
ール、1―ブタノール等のアルコール類、あるいは酢
酸、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸類が挙げ
られ、アルコール類を反応させることでアルコキシシリ
ル基を、カルボン酸類を反応させることでカルボキシシ
リル基を導入することができる。
【0029】熟成後塩基性化合物を添加して、加水分解
及び縮合反応を促進するとともに、系中に存在する塩化
水素を捕捉することが好ましい。塩基性化合物は、アン
モニア、1〜3級アミン、金属水酸化物などであり、具
体例としてはアンモニアの他にメチルアミン、エチルア
ミン、エチレンジアミン、ジメチルアミン、ジエチルア
ミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、水酸化リ
チウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カ
ルシウム、水酸化バリウム等が挙げられる。更に塩基性
化合物を添加した後に水、あるいは分子内に活性水素を
有する化合物を添加することにより、系中に残存する痕
跡量のSi−Cl基を反応させて除去することが好まし
い。
【0030】塩基性化合物の添加により発生する塩酸塩
は、水洗によって除去することが好ましい。また、この
とき、反応系中に残存する過剰の塩基性化合物を除去す
る目的で酸性化合物の希薄水溶液を用いることが好まし
い。用いる酸性化合物はシロキサン化合物の加水分解性
基の加水分解を抑えるために弱酸性であることが好まし
く、この観点から酢酸、ぎ酸等のカルボン酸の希薄水溶
液が好適である。
【0031】合成したヒドロシリル基含有ポリシルセス
キオキサンの分子量はサイズ排除クロマトグラフィーに
よるポリスチレン換算値として求めることができるが、
この場合の数平均分子量Mnと下記の計算式によって得
られる理論分子量Mとが直線相関の関係にあることが、
またアルカリ分解法によるH当量についても、下記の計
算式により求められる理論H当量との間に直線相関の関
係があることが、前記のJP2001−122965A
において明らかにされた。即ち、これらの式を用いるこ
とによって、必要な分子量、H当量を得るための仕込み
比率を予め求めることができるのである。 M=[n/(n+m)×(R2+R3+29.1)+m/(n+m)×R4]×4+32.0+(10
4.2+2×R1)×2/(n+m) 理論H当量=(n+m)/n×M/4 (但し、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ
、R、RおよびRの式量を表す。)
【0032】本発明の原料であるSi−H基を有するポ
リシルセスキオキサンは、nおよびmを任意に設定する
ことにより分子量のコントロールが可能であるが、数平
均分子量を500〜5000とすることが好ましい。数
平均分子量が500以下ではポリシロキサン成分に由来
する耐熱性、耐候性といった性能を発揮しにくくなり、
5000以上では分子量の制御に問題が生じやすくな
る。
【0033】前述のように、本発明のケイ素化合物を製
造するにあたっては、式(5)の化合物を原料として用
い、ヒドロシリル化反応を利用することが好ましい。本
発明の製造法は、生成物を精製する工程を別にすると、
ヒドロシリル化反応を行う工程と、ジチオカルバミン酸
金属塩とハロアルキル基との反応を行う工程とからな
り、どちらを先に実施してもよい。そして、ヒドロシリ
ル化反応を先に実施する場合には、まず式(5)で示さ
れる化合物と式(6)で示される化合物とを遷移金属触
媒の存在下で反応させる。 これらの式中のR〜R、n、m、Z、Z、R
およびpの意味は前記の通りである。またXはハロゲン
原子であり、ClまたはBrが好ましい。そして、Z
は前述のように単結合または炭素数1〜8のアルキレン
であって、このアルキレン中の任意の1個のCHはO
と置き換えられてもよい。即ち、Zの具体例として単
結合、−CH−、−O−、−OCH−、−CH
−、−CH OCH−、−CO−、−C
OCH−などを挙げることができ、単結合であること
が最も好ましい。
【0034】用いられる遷移金属触媒としては、白金、
ロジウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、モリ
ブデンおよびマンガンなどを例示することができ、白金
触媒がより好ましい。これらの触媒の使用にあっては、
溶媒に溶解させる均一系触媒の形態や、カーボン、シリ
カなどに担持させた固体触媒の形態や、ホスフィンやア
ミン、酢酸カリウムなどを共存させた形態のいずれをも
採用することができる。また遷移金属触媒の使用量は、
式(5)の化合物中のSi−H基1モルに対して、遷移
金属触媒原子として1×10−6〜1×10−2モルで
あることが好ましい。
【0035】また式(6)で示される化合物の使用量
は、式(5)で示される化合物中のSi−H基に対する
当量比で1〜5倍であることが好ましい。ヒドロシリル
化反応は、ほぼ定量的に進む反応であるから、この当量
比を大きくする意味はあまりない。しかしながら、反応
時間を短くする効果は期待できるし、式(6)で示され
る化合物を多量に用いることによる悪影響は費用効率だ
けである。
【0036】このヒドロシリル化反応の反応温度は特に
限定されないが、用いる溶媒の沸点以下であることが好
ましい。また、式(6)で示される化合物は重合性の不
飽和結合を有する化合物であるため、ヒドロシリル化反
応中に自発的に重合しやすいといった問題点があり、反
応温度を20〜80℃の範囲内とすることが必要であ
る。また、この重合反応を抑制する目的で、フェノール
誘導体、フェノチアジン誘導体またはN−ニトロソフェ
ニルアミン塩誘導体などを重合禁止剤として用いてもよ
い。重合禁止剤としては、4−tert−ブチルピロカ
テコ−ルが最も好ましく、その使用量を反応液に対し1
〜100,000ppm(重量換算)とすることが好ま
しい。そしてこの使用量の更に好ましい範囲は、100
〜20,000ppmである。
【0037】このヒドロシリル化反応に用いられる有機
溶媒は、原料をこれと反応することなく容易に溶解する
ものであれば特に制限はなく、ヘキサン、ヘプタンなど
の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族
炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環
状エーテル類が好ましい。そして、式(5)のシルセス
キオキサンの溶解性を考慮するとトルエンが好適である
が、反応系内の極性をコントロールする目的で、2−プ
ロパノールなどのアルコール類を添加してもよい。
【0038】未反応の不飽和結合含有化合物や溶媒(以
下、併せて「不純物」と称することがある。)を除去
し、式(7)で示される化合物(以下、「目的物」と称
することがある。)を精製する方法としては、まず常圧
または減圧条件下での蒸留法が挙げられる、しかしなが
ら、前記未反応物を完全に除去するためには、高温条件
下で長時間保持する必要があり、未反応物の自発的な重
合によって目的物の純度が低下する恐れがある。これら
の問題点を考慮すると、目的物の純度を損ねることな
く、不純物を効率的に除去するためには、再沈殿精製法
の利用が好ましい。再沈殿精製法は、目的物および未反
応物を溶媒に溶解させた後、目的物を溶解せず、不純物
のみを溶解するような沈殿剤中に、この溶液を加えるこ
とによって行われる。精製効率をあげるためには、溶媒
としては溶解力が大きく、しかも沸点の比較的低いもの
が適当であり、また沈殿剤としては溶媒と自由に混合
し、且つ目的物をまったく溶解せずに不純物のみを溶解
し、沸点も比較的低いものがよい。また再沈殿の回数を
増やすことで、さらに精製度をあげることも可能であ
る。
【0039】このとき用いる沈殿剤としては、溶媒と自
由に混合し且つ目的物をまったく溶解しないものであれ
ば特に制限はないが、アセトニトリルが最も好ましい。
目的物の溶液濃度については、見かけ上、完全に溶解し
ていれば特に制限はないが、1〜15%溶液として、溶
媒に対して20倍〜50倍量の沈殿剤を用いて精製を行
うことが好ましい。
【0040】上記のヒドロシリル化反応工程で得られた
式(7)で示される化合物に、式(8)で示されるジチ
オカルバミン酸金属塩を反応させることにより、本発明
のケイ素化合物のうち、式(3)で示されるケイ素化合
物を得ることができる。 この式(8)中のRおよびRの意味は前述の通りで
あり、Mは周期律表第1族または第2族の金属元素であ
り、qはMの原子価である。即ち、Mの具体例として、
Li、Na、K、Cu、Mg、Ca、Znなどを挙げる
ことができ、このうちNaおよびKが好ましい。 (式(3)において、Aは下記式(4)で示される基
であり、R〜R、mおよびnの意味は前述の通りで
ある。) (式(4)において、R〜R、Z、Zおよびp
の意味は、前述の通りである。)
【0041】式(7)で示される化合物と式(8)で示
されるジチオカルバミン酸塩との反応は、定量的な求核
置換反応であり、副反応を併発することはない。しかし
ながら、式(7)の化合物中のハロゲン含有量に対する
当量比で、1〜5倍のジチオカルバミン酸塩を用いるこ
とが好ましく、この塩を多く用いることにより反応時間
を短くすることができる。反応は、通常、窒素ガスのよ
うな不活性気体雰囲気中、原料に対して不活性な乾燥し
た有機溶媒中で行う。溶媒としては、例えばメタノール
などの低級アルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン等の環式エーテル類、トルエン、キシレン等の芳香
族炭化水素類が使用できるが、ジチオカルバミン酸塩の
溶解性、ジチオカルバメートの求核性などを考慮すると
テトラヒドロフランやメタノールが好適である。反応温
度は、ジチオカルバメートが熱分解する可能性を考慮
し、120℃以下、好ましくは100℃以下であること
が望ましい。反応時間には特に制限はないが、通常1〜
10時間で目的のケイ素化合物を得ることができる。ま
た、必要に応じてベンジルトリメチルアンモニウムクロ
ライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラ
ブチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルアンモニ
ウムクロライド、ジオクチルメチルアンモニウムクロラ
イド、トリエチルアミンまたはジメチルアニリンなどの
相間移動触媒を反応に用いることができる。
【0042】得られたジチオカルバメート基含有ケイ素
化合物は、前記の再沈殿精製法により精製および単離さ
れる。また、ジチオカルバミン酸塩と式(7)の化合物
との反応、および目的物の精製および単離は、紫外線が
カットされた蛍光灯、および紫外線カットフィルムが装
着されたドラフト内で行う必要がある。そして、単離さ
れたジチオカルバメート基含有ケイ素化合物は、光増感
基であるジチオカルバメートを有しているため、非水環
境下、窒素やアルゴンなどの不活性気体を封入した遮光
容器内で冷暗所にて保存する必要がある。
【0043】次に、チオカルバミン酸金属塩とハロアル
キル基との反応工程を先に実施する製造法について説明
する。この製造法は、前記の式(6)の化合物と式
(8)の化合物とをまず反応させて、式(9)で示され
る化合物とする方法である。 (式中のR〜R、Z、Zおよびpの意味、およ
びZおよびRの結合位置は前記の通りである。)
【0044】この反応自体は、基本的に前記の式(7)
の化合物と式(8)の化合物との反応と同じであり、こ
の反応の場合と同様にして実施できるが、重合性の基を
有する化合物を取り扱う点で、前記の製造法での式
(5)の化合物と式(6)の化合物との反応における場
合と同様の注意が必要である。即ち、反応温度をかなり
低く20〜80℃くらいにする必要があるし、また重合
禁止剤の使用も必要である。そしてまた、反応および精
製工程のみならず、生成物の保管に際してもできるだけ
紫外線を遮断しなければならない。
【0045】次に、上記の工程で得られた式(9)の化
合物を、遷移金属系触媒の存在下でヒドロシリル化反応
によって式(5)の化合物に結合させ、式(3)で示さ
れるケイ素化合物とする。この反応は、前記の式(5)
の化合物と式(6)の化合物との反応と同様にして実施
することができる。しかしながら、反応原料に式(9)
の化合物を使用するため、重合禁止および紫外線の遮断
について厳重な対策が必要である。
【0046】
【実施例】以下に実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、これらの実施例は本発明を限定するものでは
ない。実施例における分析は以下の方法によった。 1)ポリシルセスキオキサン化合物の同定 <赤外吸収スペクトル(IR)法> 日本分光(株)製 FT/IR―7000、液膜法 <1H−NMR法> 日本電子工業(株)製 GSX−400、溶媒CDCl
3 2)ポリスチレン換算数平均分子量 <サイズ排除クロマトグラフィー法> カラム:東ソー製 TSK guard Column HXL-L、TSKgel G
2000HXL、およびTSKgel G1000HXLの3本をこの順序に接
続して使用 カラム温度:40℃ 溶離液:テトラヒドロフラン 流量:1ml/min 検出器:日本分光(株)製RI−1530およびUV−
1570 3)アルカリ分解法によるH等量 ヘッドスペースボトルに2%ポリシルセスキオキサント
ルエン溶液及び1/2N−KOHエタノール溶液1ml
を加えて70℃にて30分反応させ、室温に冷却後、ガ
スクロマトグラフィーにて発生した水素と酸素のガス分
析を行い、次式にて算出した。 H当量=サンプル量/(18.554×(水素発生量/酸素発生
量)+0.9235)×10
【0047】参考例1 <Si−H基含有ポリシルセスキオキサンの合成1>窒
素気流下で十分に乾燥した2L−四つ口フラスコに、攪
拌機、滴下漏斗/サンプリング管、冷却管、温度計を取
り付け、n-プロピルトリクロロシラン532g(3.
00mol)、ジメチルクロロシラン86g(0.90
mol)、トルエン138gを混合し、系内を十分に窒
素置換した。この混合液を攪拌しながら氷浴上で5℃以
下に保ち、滴下漏斗よりTHF189gと水35.1g
(1.95mol)の混合液を約4時間かけて滴下し
た。滴下終了後、オイルバスで80℃まで加熱し2時間
熟成した。トリエチルアミン60.7gを添加し反応液
を塩基性として、80℃で1時間加熱撹拌後、痕跡量の
Si−Cl基を除去するために水13.5gを加えて、
更に80℃で2時間熟成した。得られたスラリーから濾
過によりトリエチルアミン塩酸塩を除去した。得られた
濾液を酢酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、純
水の順で洗浄したのち、無水硫酸マグネシウムを用いて
乾燥した。ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、
370gの無色透明の液体を得た。この液体の分子量を
サイズ排除クロマトグラフィー分析により求めたとこ
ろ、ポリスチレン換算で数平均分子量1300、重量平
均分子量2200の値が得られた。そして、H−NM
RおよびIRの結果から目的とするSi−H基含有ポリ
シルセスキオキサンが生成していることが判った。ま
た、アルカリ分解法によって求めたH当量は322であ
った。以下にH−NMRおよびIRのデータを示す。 IR:ν=2130cm−1(Si-H), 1260cm−1(Si-C
H3), 1050cm−1(Si-O-Si)1 H NMR (CDCl3, CDCl3標準:δ=7.3 ppm):δ=4.7〜4.8
(-Si-[H]), 1.4〜1.6 (-Si-CH2-[CH2]-CH3), 0.9〜1.0
(-Si-CH2-CH2-[CH3]), 0.5〜0.7 (-Si-[CH2]-CH 2-C
H3), 0.1〜0.3 (-Si-([CH3])2-) ppm
【0048】参考例2 <Si−H基含有ポリシルセスキオキサンの合成2>窒
素気流下で十分に乾燥した2L−四つ口フラスコに、攪
拌機、滴下漏斗/サンプリング管、冷却管、温度計を取
り付け、n−プロピルトリクロロシラン532g(3.
00mol)、ジメチルクロロシラン43g(0.45
mol)、トルエン138gを混合し、系内を十分に窒
素置換した。この混合液を攪拌しながら氷浴上で5℃以
下に保ち、滴下漏斗よりEtOH20.7g(0.45
mol)を30分かけて滴下した。更に滴下漏斗よりT
HF189gと水35.1g(1.95mol)の混合
液を約4時間かけて滴下した。滴下終了後、オイルバス
で80℃まで加熱し2時間熟成した。トリエチルアミン
60.7gを添加し反応液を塩基性として、80℃で1
時間加熱撹拌後、痕跡量のSi−Cl基を除去するため
に水13.5gを加えて、更に80℃で2時間熟成し
た。得られたスラリーから濾過によりトリエチルアミン
塩酸塩を除去した。得られた濾液を酢酸水溶液、飽和炭
酸水素ナトリウム水溶液、純水の順で洗浄したのち、無
水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。ロータリーエバ
ポレーターで溶媒を留去し、420gの無色透明の液体
を得た。この液体の分子量をサイズ排除クロマトグラフ
ィー分析により求めたところ、ポリスチレン換算で数平
均分子量1300、重量平均分子量2200の値が得ら
れた。そして、H−NMRおよびIRの結果から目的
とするSi−H基含有ポリシルセスキオキサンが生成し
ていることが判った。また、アルカリ分解法によって求
めたH等量は639であった。以下にH−NMRおよ
びIRのデータを示す。 IR:ν=2130cm−1(Si-H), 1260cm−1(Si-C
H3), 1050cm−1(Si-O-Si)1 H NMR (CDCl3, CDCl3標準:δ=7.3 ppm):δ=4.7〜4.8
(-Si-[H]), 3.7〜3.9 (Si-O-[CH2]-CH3), 1.4〜1.6 (-
Si-CH2-[CH2]-CH3), 1.2〜1.3 (Si-O-CH2-[CH3]), 0.9
〜1.1 (-Si-CH2-CH2-[CH3]), 0.5〜0.8 (-Si-[CH2]-CH2
-CH3), 0.1〜0.3 (-Si-([CH3])2-) ppm
【0049】実施例1 <(クロロメチル)フェニルエチル基含有ポリシルセス
キオキサンの合成>撹拌器、環流冷却器、温度計および
滴下ロートを備えた100ml−ガラスフラスコに、参
考例1で合成したSi−H基含有ポリシルセスキオキサ
ン11.0g(Si−H:34.2×10−3mol)、
クロロメチルスチレン6.5g(42.6×10−3
ol)、4−tert−ブチルピロカテコール12.5
mg、およびトルエン20.5gを仕込んだ。窒素ガス
雰囲気下で撹拌しながら、オイルバスにて60℃まで昇
温した。その後、白金触媒65μLをシリンジを用いて
加え、ヒドロシリル化反応を行った。IRを用いて反応
追跡を行った結果、1時間経過後、Si−Hに基づく吸
収(ν=2130cm−1)の消失を確認し、反応終点と
した。1000ml−ガラスビーカーにアセトニトリル
500gを入れ、撹拌しながら前記反応液を徐々に滴下
した後、−32℃の冷凍庫内にて一晩静置した。その
後、デカンテーションによる溶媒除去を行った後、アセ
トニトリル洗浄を2回行った。沈殿物を回収した後、テ
トラヒドロフランに再溶解させ、加圧濾過を行った後、
ロータリーエバポレータにて溶媒除去を行ない、半透明
な粘ちょう性液体10.8gを得た(収率:66.3
%)。下記に示すIRおよびNMRの結果から、この化
合物が(クロロメチル)フェニルエチル基含有ポリシル
セスキオキサンであることが確認された。また、この液
体の分子量をサイズ排除クロマトグラフィー分析により
求めたところ、ポリスチレン換算で数平均分子量240
0、重量平均分子量3600の値が得られた。そして、
H−NMR解析により、このポリシルセスキオキサン
中のクロロメチル基含有量が1.84mmol/gであ
ることが分かった。 IR:ν= 710 (C-Cl), 1170-1000 (Si-O-Si)cm-1 1 H NMR (CDCl3, CDCl3標準:δ=7.3 ppm):δ=7.0〜7.4
(-C6H4-), 4.5〜4.7 (-C6H4-[CH2]-Cl), 2.6〜2.8 (-
Si-CH2-[CH2]-C6H4-), 2.2〜2.4 (-Si-[CH]-CH3-C6H
4-), 1.2〜1.6 (-Si-CH2-[CH2]-CH3), 1.2〜1.6 (-Si-C
H-[CH3]-C6H4-), 0.9〜1.0 (-Si-CH2-CH2-[CH3]), 0.9
〜1.0 (-Si-[CH2]-CH2-C6H4-) , 0.4〜0.8 (-Si-[CH2]-
CH2-CH3), 0.0〜0.3 (-Si-([CH3])2-) ppm
【0050】実施例2 <(N,N−ジエチルジチオカルバモイルメチル)フェ
ニルエチル基含有ポリシルセスキオキサンの合成>撹拌
機、サンプル採取管および温度計を備えた100ml−
ガラスフラスコに、乾燥窒素ガス雰囲気下で、実施例1
で得られた(クロロメチル)フェニルエチル基含有ポリ
シルセスキオキサン5.0g(クロロメチル基含量:
9.2mmol)、N,N−ジエチルジチオカルバミン
酸ナトリウム・3水和物2.5g(11.1mmo
l)、およびテトラヒドロフラン125mlを仕込み、
攪拌しながら反応させた。反応は発熱を伴って進行し、
塩化ナトリウムが沈殿した。反応終了後(反応時間:5
時間)、反応液に過剰量の水を投入し、有機層をトルエ
ンにて抽出した。その後、有機層を分離・回収し、ロー
タリーエバポレータにて溶媒除去を行った。得られた回
収物をテトラヒドロフランに再溶解させ、加圧濾過を行
った後、ロータリーエバポレータにて溶媒除去を行い、
淡黄色の粘ちょう性液体5.9gを得た(収率:96.
9%)。下記に示すIRおよびNMRの結果から、この
化合物が(N,N−ジエチルジチオカルバモイルメチ
ル)フェニルエチル基含有ポリシルセスキオキサンであ
ることが確認された。また、この液体の分子量をサイズ
排除クロマトグラフィー分析により求めたところ、ポリ
スチレン換算で数平均分子量2700、重量平均分子量
3700の値が得られた。 IR:ν= 920(C-S), 1210(C-S), 1300([C-N]-C=S), 1480
([N-C]=S)cm-1 1 H NMR(CDCl3):δ= 7.0〜7.4 (-C6H4-), 4.4〜4.6 (-
C6H4-[CH2]-S-),4.0〜4.2, 3.6〜3.8 (-N([CH2]CH3)2),
2.6〜2.8(-Si-CH2-[CH2]-C6H4-), 2.2〜2.3 (-Si-[CH]
-CH3-C6H4-), 1.4〜1.6 (-Si-CH2-[CH2]-CH3), 1.3〜1.
4 (-Si-CH-[CH3]-C6H4-), 1.2〜1.3 (-Si-CH2-N(CH2[CH
3])2), 0.8〜1.1 (-Si-CH2-CH2-[CH3]), 0.8〜1.1 (-Si
-[CH2]-CH2-C6H4-), 0.4〜0.8 (-Si-[CH2]-CH2-CH3),
0.0〜0.3 (-Si-([CH3])2-) ppm
【0051】実施例3 <(クロロメチル)フェニルエチル基含有ポリシルセス
キオキサンの合成>撹拌器、環流冷却器、温度計および
滴下ロートを備えた100ml−ガラスフラスコに、参
考例2で合成したSi−H基含有ポリシルセスキオキサ
ン11.0g(Si−H:17.2×10−3mol)、
クロロメチルスチレン3.2g(20.9×10−3
ol)、4−tert−ブチルピロカテコール6.3m
g、およびトルエン10.3gを仕込んだ。窒素ガス雰
囲気下で撹拌しながら、オイルバスにて60℃まで昇温
した。その後、白金触媒55μLをシリンジを用いて加
え、ヒドロシリル化反応を行った。IRを用いて反応追
跡を行った結果、1時間経過後、Si−Hに基づく吸収
(ν=2130cm−1)の消失を確認し、反応終点とし
た。1000ml−ガラスビーカーにアセトニトリル5
00gを入れ、撹拌しながら前記反応液を徐々に滴下し
た後、−32℃の冷凍庫内にて一晩静置した。その後、
デカンテーションによる溶媒除去を行った後、アセトニ
トリル洗浄を2回行った。沈殿物を回収した後、テトラ
ヒドロフランに再溶解させ、加圧濾過を行った後、ロー
タリーエバポレータにて溶媒除去を行ない、半透明な粘
ちょう性液体9.8gを得た(収率:72.4%)。下
記に示すIRおよびNMRの結果から、この化合物が
(クロロメチル)フェニルエチル基含有ポリシルセスキ
オキサンであることが確認された。また、この液体の分
子量をサイズ排除クロマトグラフィー分析により求めた
ところ、ポリスチレン換算で数平均分子量2200、重
量平均分子量3800の値が得られた。なお、H−N
MR解析により、このポリシルセスキオキサン中のクロ
ロメチル基含有量が1.2mmol/gであることが分
かった。 IR:ν= 710 (C-Cl), 1170-1000 (Si-O-Si)cm-1 1 H NMR (CDCl3, CDCl3標準:δ=7.3 ppm):δ=7.0〜7.4
(-C6H4-), 4.5〜4.6 (-C6H4-[CH2]-Cl), 3.7〜3.9 (S
i-O-[CH2]-CH3), 2.6〜2.8 (-Si-CH2-[CH2]-C6H4-), 2.
2〜2.3 (-Si-[CH]-CH3-C6H4-), 1.3〜1.5 (-Si-CH2-[CH
2]-CH3), 1.3〜1.5 (-Si-CH-[CH3]-C6H4-), 1.1〜1.3
(Si-O-CH2-[CH3]), 0.8〜1.1 (-Si-CH2-CH2-[CH3]), 0.
8〜1.1 (-Si-[CH2]-CH2-C6H4-) , 0.4〜0.8 (-Si-[CH2]
-CH2-CH3),0.0〜0.3 (-Si-([CH3])2-) ppm
【0052】実施例4 <(N,N−ジエチルジチオカルバモイルメチル)フェ
ニルエチル基含有ポリシルセスキオキサンの合成>撹拌
機、サンプル採取管および温度計を備えた100ml−
ガラスフラスコに、乾燥窒素ガス雰囲気下で、実施例3
で得られた(クロロメチル)フェニルエチル基含有ポリ
シルセスキオキサン5.0g(クロロメチル基含量:
6.0mmol)、N,N−ジエチルジチオカルバミン
酸ナトリウム・3水和物1.6g(7.1mmol)、
およびテトラヒドロフラン125mlを仕込み、攪拌し
ながら反応させた。反応は発熱を伴って進行し、塩化ナ
トリウムが沈殿した。反応終了後(反応時間:5時間)
反応液に過剰量の水を投入し、有機層をトルエンにて抽
出した。その後、有機層を分離・回収し、ロータリーエ
バポレータにて溶媒除去を行った。得られた回収物をテ
トラヒドロフランに再溶解させ、加圧濾過を行った後、
ロータリーエバポレータにて溶媒除去を行い、淡黄色の
粘ちょう性液体5.5gを得た(収率:98.8%)。
下記に示すIRおよびNMRの結果から、この化合物が
(N,N−ジエチルジチオカルバモイルメチル)フェニ
ルエチル基含有ポリシルセスキオキサンであることが確
認された。また、この液体の分子量をサイズ排除クロマ
トグラフィー分析により求めたところ、ポリスチレン換
算で数平均分子量2200、重量平均分子量3300の
値が得られた。 IR:ν= 920(C-S), 1200(C-S), 1300([C-N]-C=S), 1480
([N-C]=S)cm-1 1 H NMR(CDCl3):δ= 7.0〜7.4 (-C6H4-), 4.4〜4.6 (-
C6H4-[CH2]-S-), 4.0〜4.2, 3.6〜3.8 (-N([CH2]C
H3)2), 3.8〜3.9 (Si-O-[CH2]-CH3), 2.6〜2.8(-Si-CH 2
-[CH2]-C6H4-), 2.2〜2.3 (-Si-[CH]-CH3-C6H4-), 1.4
〜1.6 (-Si-CH2-[CH2]-CH3), 1.4〜1.6 (-Si-CH-[CH3]-
C6H4-), 1.3〜1.4 (-Si-CH2-N(CH2[CH3])2), 1.1〜1.3
(Si-O-CH2-[CH3]), 0.8〜1.1 (-Si-CH2-CH2-[CH3]), 0.
8〜1.1 (-Si-[CH2]-CH2-C6H4-),0.0〜0.3 (-Si-([CH3])
2-) ppm
【0053】
【発明の効果】本発明が提供するケイ素化合物は、ラジ
カル重合性単量体に対し光重合開始能を有するシルセス
キオキサン誘導体であり、従来のポリシルセスキオキサ
ンとは全く異なる特性を発現することが期待される。す
なわち、重合開始能を有するポリシルセスキオキサン誘
導体であれば、例えばアクリル系モノマーを共存させる
ことにより重合を開始させて、当該ポリシルセスキオキ
サンを起点にして有機ポリマーを形成させることが可能
である。これにより、ポリシルセスキオキサンの凝集を
起こさせることなく、極めて均質な有機−無機複合材料
が得られることが可能となる。また得られるポリシルセ
スキオキサンは、分子量や重合開始基の含有量を任意に
コントロールすることが可能であるため、有機ポリマー
中における無機成分の含有量をも容易にコントロールす
ることができる。さらに重合開始点がポリシルセスキオ
キサンに対して強く結合しているため、従来とはまった
く異なる特性を発現する有機−無機複合材料が得られる
ことが予想される。本発明のケイ素化合物については、
重合開始剤としての機能以外の諸特性、例えば耐放射線
性、除草効果等の薬理活性、錯体形成能、親水性等を活
用することも可能である。従って、本発明は、シルセス
キオキサンの諸特性や用途に多様性をもたらすものと期
待される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大竹 伸昌 神奈川県横浜市金沢区大川5丁目1番地 チッソ株式会社横浜研究所内 Fターム(参考) 4J035 BA01 BA11 CA04 CA061 CA072 CA191 CA26N CA261 EA01 EB10 LA02 LB01 LB15

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(1)で示される繰り返し単位を有する
    ケイ素化合物。 (式中、Aは単量体に対する重合開始能を有する基で
    あり、R、RおよびRは、それぞれ独立して炭素
    数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状の飽和炭化水素
    基、炭素数2〜6の直鎖、分岐もしくは環状の不飽和炭
    化水素基、または炭素数10以下のアリール基であり、
    は炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐の飽和炭化水素
    基、CHCO−、CH=CHCO−、またはCH
    =C(CH)CO−であり、mは0または0.05〜
    2.0の範囲の値であり、nは、m=0のとき0.1〜
    2.0、m≠0のとき0.05〜2.0の範囲の値であ
    るが、m+nは0.1〜3.0である。)
  2. 【請求項2】式(1)において、RおよびRが共に
    メチルであることを特徴とする、請求項1に記載のケイ
    素化合物。
  3. 【請求項3】式(1)におけるAがジチオカルバメー
    ト基を有する基であることを特徴とする、請求項1また
    は2に記載のケイ素化合物。
  4. 【請求項4】ジチオカルバメート基を有する基が、式
    (2)で示される基であることを特徴とする、請求項3
    に記載のケイ素化合物。 (式中、RおよびRはそれぞれ独立してH、炭素数
    1〜12の直鎖もしくは分岐のアルキル、炭素数5〜1
    0の脂環式基、または炭素数6〜10の芳香族基であ
    り、RとRとが結合してNと共に環を形成してもよ
    く、Zは炭素数1〜3の直鎖または分岐のアルキレン
    であり、ZはZ−Cまたは炭素数2〜10の
    直鎖もしくは分岐のアルキレンであって、このアルキレ
    ン中のCHの1個はOで置き換えられてもよく、Z
    は単結合または炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐のアル
    キレンであって、このアルキレン中のCHの1個はO
    で置き換えられてもよく、Rは炭素数1〜3の直鎖ま
    たは分岐のアルキルであり、pは0〜2の整数であり、
    またベンゼン環へのZの結合位置は、Zの結合位置
    に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結合位置は
    およびZの結合位置を除く任意の位置である。)
  5. 【請求項5】式(2)において、ZがZ−C
    であることを特徴とする、請求項4に記載のケイ素化合
    物。
  6. 【請求項6】式(1)において、Rがn−プロピルで
    あり、RおよびR が共にメチルであり、mが0であ
    り、nが0.1〜2.0であり、式(2)において、R
    およびRが共にエチルであり、p=0であることを
    特徴とする、請求項4または5に記載のケイ素化合物。
  7. 【請求項7】式(1)において、Rがn−プロピルで
    あり、RおよびR が共にメチルであり、mが0.0
    5〜2.0であり、nが0.05〜2.0であり、式
    (2)において、RおよびRが共にエチルであり、
    p=0であることを特徴とする、請求項4または5に記
    載のケイ素化合物。
  8. 【請求項8】式(2)においてZがCHであり、Z
    が1,2−エタンジイルであることを特徴とする、請
    求項6に記載のケイ素化合物。
  9. 【請求項9】式(2)においてZがCHであり、Z
    が1,2−エタンジイルであることを特徴とする、請
    求項7に記載のケイ素化合物。
  10. 【請求項10】下記(a)の工程についで(b)の工程
    を実施することを特徴とする、式(3)で示されるケイ
    素化合物の製造方法。 (式(3)において、Aは下記式(4)で示される基
    であり、R、RおよびRは、それぞれ独立して炭
    素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状の飽和炭化水素
    基、炭素数2〜6の直鎖、分岐もしくは環状の不飽和炭
    化水素基、または炭素数10以下のアリール基であり、
    は炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐の飽和炭化水素
    基、CHCO−、CH=CHCO−、またはCH
    =C(CH )CO−であり、mは0または0.05〜
    2.0の範囲の値であり、nは、m=0のとき0.1〜
    2.0、m≠0のとき0.05〜2.0の範囲の値であ
    るが、m+nは0.1〜3.0である。) (式(4)において、RおよびRはそれぞれ独立し
    てH、炭素数1〜12の直鎖もしくは分岐のアルキル、
    炭素数5〜10の脂環式基、または炭素数6〜10の芳
    香族基であり、RとRが結合してNと共に環を形成
    してもよく、Zは炭素数1〜3の直鎖または分岐のア
    ルキレンであり、Zは単結合または炭素数1〜8のア
    ルキレンであって、このアルキレン中の任意の1個のC
    はOと置き換えられてもよく、Rは炭素数1〜3
    の直鎖または分岐のアルキルであり、pは0〜2の整数
    であり、またベンゼン環へのZの結合位置は、Z
    結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結
    合位置はZおよびZの結合位置を除く任意の位置で
    ある。) (a)遷移金属系触媒の存在下、式(5)で示される化
    合物に式(6)で示される化合物を反応させることによ
    って、式(7)で示される化合物を得る工程。 (式(5)中のR、R、R、R、mおよびn
    は、式(3)における場合と同じ意味である。) (式(6)において、Xはハロゲン原子であり、Z
    、Rおよびpの意味、およびベンゼン環へのZ
    およびRの結合位置は、式(4)における場合と同じ
    である。) (式(7)において、R、R、R、R、mおよ
    びnは、式(3)における場合と同じ意味であり、X、
    、Z、Rおよびpの意味、およびベンゼン環へ
    のZおよびRの結合位置は、式(6)における場合
    と同じである。) (b)式(7)で示される化合物と式(8)で示される
    化合物とを反応させて式(3)で示されるケイ素化合物
    を得る工程。 (式中のRおよびRは式(4)における場合と同じ
    意味であり、Mは周期律表第1族または第2族の金属元
    素であり、qはMの原子価である。)
  11. 【請求項11】下記(c)の工程についで(d)の工程
    を実施することを特徴とする、式(3)で示されるケイ
    素化合物の製造方法。 (式(3)において、Aは下記の式(4)で示される
    基であり、R、RおよびRは、それぞれ独立して
    炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状の飽和炭化水
    素基、炭素数2〜6の直鎖、分岐もしくは環状の不飽和
    炭化水素基、または炭素数10以下のアリール基であ
    り、Rは炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐の飽和炭化
    水素基、CHCO−、CH=CHCO−、またはC
    =C(CH)CO−であり、mは0または0.0
    5〜2.0の範囲の値であり、nは、m=0のとき0.
    1〜2.0、m≠0のとき0.05〜2.0の範囲の値
    であるが、m+nは0.1〜3.0である。) (式(4)において、RおよびRはそれぞれ独立し
    てH、炭素数1〜12の直鎖もしくは分岐のアルキル、
    炭素数5〜10の脂環式基、または炭素数6〜10の芳
    香族基であり、RとRが結合してNと共に環を形成
    してもよく、Zは炭素数1〜3の直鎖または分岐のア
    ルキレンであり、Zは単結合または炭素数1〜8のア
    ルキレンであって、このアルキレン中の任意の1個のC
    はOと置き換えられてもよく、Rは炭素数1〜3
    の直鎖または分岐のアルキルであり、pは0〜2の整数
    であり、またベンゼン環へのZの結合位置は、Z
    結合位置に対してメタ位またはパラ位であり、Rの結
    合位置はZおよびZの結合位置を除く任意の位置で
    ある。) (c)式(6)で示される化合物と式(8)で示される
    化合物とを反応させて式(9)で示される化合物を得る
    工程。 (式(6)において、Xはハロゲン原子であり、Z
    、Rおよびpの意味、およびベンゼン環へのZ
    およびRの結合位置は、式(4)における場合と同じ
    である。) (式(8)中のRおよびRは式(4)における場合
    と同じ意味であり、Mは周期律表第1族または第2族の
    金属元素であり、qはMの原子価である。) (式(9)中のR〜R、Z、Zおよびpのそれ
    ぞれの意味、およびZおよびRのそれぞれの結合位
    置は、式(4)における場合と同じである。) (d)遷移金属系触媒の存在下、式(5)で示される化
    合物に式(9)で示される化合物を反応させることによ
    って、式(3)で示されるケイ素化合物を得る工程。 (式中のR〜R、m、およびnの意味は、式(3)
    における場合と同じである。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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