JPH07102069A - ポリ(シリレンエチニレンフェニレンエチニレン)類、その製造方法及びその硬化物 - Google Patents

ポリ(シリレンエチニレンフェニレンエチニレン)類、その製造方法及びその硬化物

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JPH07102069A
JPH07102069A JP4231094A JP4231094A JPH07102069A JP H07102069 A JPH07102069 A JP H07102069A JP 4231094 A JP4231094 A JP 4231094A JP 4231094 A JP4231094 A JP 4231094A JP H07102069 A JPH07102069 A JP H07102069A
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JP
Japan
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carbon atoms
substituent
hydrogen atom
silanyl
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Application number
JP4231094A
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English (en)
Inventor
Masahiko Mitsuzuka
雅彦 三塚
Tetsuyoshi Uchiumi
哲良 内海
Kenji Iwata
健二 岩田
Koji Inoue
浩二 井上
Masayoshi Ito
正義 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性ポリマーとして有用な、新規な有機ケ
イ素高分子を提供する。 【構成】 構造式 【化1】 (式中、フェニレン基はo、m又はp体のいずれか、R
はハロゲン原子、アルキル基、アルコシキ基、フェノキ
シ基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族基、二置換
アミノ基またはシラニル基でnは0〜4の整数、R’は
水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基ま
たは芳香族基である。)で表される繰り返し単位を有す
るポリ(シリレンエチニレンフェニレンエチニレン)
類、および該化合物を50〜700℃の温度で熱処理す
ることによって得られる含ケイ素硬化物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性ポリマーとし
て、また導電性ポリマー、発光素子材料、非線形素子材
料として有用な、新規な含ケイ素ポリマーとその製造方
法、及びその硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、耐熱性のポリマーに関する研究が
盛んであり、ポリイミドに代表されるような種々の炭素
系ポリマー、あるいはシリコーン、ポリカルボシランな
どのケイ素系ポリマーが研究されてきた。Si−OやS
i−Cのように結合エネルギーが大きい結合や、Si−
ClやSi−Hのように反応性にすぐれた結合が多いの
で分子設計が容易である、というようなケイ素系ポリマ
ーの特性があるにもかかわらず、シリコーンを除くと耐
熱性の含ケイ素ポリマーに関する研究例は少ない。ポリ
カルボシランの例としては、例えば構造式(6)
【0003】
【化15】
【0004】(上式中、R”はメチル基又はフェニル基
であり、Arは二価の芳香族基である。)で表される構
造をもつ有機ケイ素高分子がPd触媒等を用いて合成さ
れている。しかしこのような構造をもつ有機ケイ素高分
子に関しては、利用可能な合成手段及び合成に必要な出
発物質が限られていたため今日まで合成された化合物は
わずかであった(Robert J. P. Corriu et al., Journa
l of polymer Science:Part C: Polymer Letters, Vol.
28, 431-437(1990) 等)。本発明者らは、主鎖にエチ
ニレン基、芳香族基及びシリレン基をもつこれらのポリ
マーは高い耐熱性を発現するものと期待し、注目した。
置換基が異なればポリマーの物性も大きく異なることが
期待されるので、本発明者らはさらに新しい化合物の開
発に注力してきた。特にケイ素上の置換基R”のいずれ
か一方又は両方が水素原子である化合物は、Si−H基
とエチニレン基の間に架橋反応が進行するなどにより特
異な物性の発現が期待できることからその開発に注力し
てきた。しかしながらこれらの化合物はSi−H結合の
特殊な反応性のために、前掲の R. J. P. Corriuらの論
文に記載された方法では合成が困難であった。
【0005】Si−H結合をもつ化合物としては、カナ
ダの J. F. Harrod らが塩化銅とアミン化合物を触媒に
用い、フェニルシランとm−ジエチニルベンゼンとを脱
水素重縮合させることにより、ケイ素上の置換基R”が
フェニル基と水素原子で、芳香族基Arがm−フェニレ
ン基である化合物を合成した(Hua Qin Liu and JohnF.
Harrod, The Canadian Journal of Chemistry, Vol. 6
8, 1100-1105)。しかしこの化合物はエチニレン基部分
での副反応により、ポリマー主鎖に分岐や架橋による構
造欠陥が高密度に存在した。これらの構造欠陥はポリマ
ーの耐熱性、溶媒溶解性及び導電性などポリマーの特性
に好ましからざる影響をあたえることから本発明者らは
新たな製造方法を検討してきた。
【0006】本発明者らは上述のような構造欠陥を含ま
ない化合物の合成方法を鋭意検討した結果、マグネシア
などの固体塩基触媒を用いてフェニルシランとm−ジエ
チニルベンゼンとを脱水素原子重縮合させることによ
り、ケイ素上の置換基R”がフェニル基と水素原子で、
芳香族基Arがm−フェニレン基で、かつ上述のような
構造欠陥を含まないポリマーを製造できることを先に見
いだした(特開平 5−345825)。しかし、この
方法では、R”が両方とも水素原子、あるいはひとつが
水素原子でひとつがメチル基の場合にはガス状のモノマ
ーを使用する必要があり、製造操作が煩雑になるなどの
問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、新規
な、且つ従来のポリマーより高度に耐熱性に優れた構造
の含ケイ素ポリマー、及びその製造方法を提供すること
である。また本発明のその他の課題は、これらの含ケイ
素ポリマーから得られる耐熱性に優れた軽量材料(硬化
物)を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の新規な含
ケイ素ポリマーは、構造式(1A)
【0009】
【化16】
【0010】(上式中、フェニレン基はo体、m体又は
p体のいずれかであり、フェニレン基の置換基Rはハロ
ゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜2
0のアルコキシ基、炭素数6〜20のフェノキシ基、炭
素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキ
ニル基、炭素数6〜20の芳香族基、炭素数2〜20の
二置換アミノ基又はケイ素数1〜10のシラニル基であ
り、置換基Rの炭素に結合している水素原子はその一部
又は全部がハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ
基、二置換アミノ基又はシラニル基で置換されていても
よく、nは0〜4の整数である。シリレン基の置換基
R' は、フェニレン基がo体又はp体の場合には、水素
原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20の
アルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基又は炭素
数6〜20の芳香族基である。フェニレン基がm体でか
つnが0の場合には、置換基R' は水素原子、炭素数1
〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、
炭素数2〜20のアルキニル基又は炭素数7〜20の芳
香族基であり、フェニレン基がm体でかつnが1から4
の場合には、置換基R' は水素原子、炭素数1〜20の
アルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2
〜20のアルキニル基又は炭素数6〜20の芳香族基で
ある。置換基R' の炭素に結合している水素原子はその
一部又は全部がハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキ
シ基、二置換アミノ基又はシラニル基で置換されていて
もよい。)で表される繰り返し単位を有するポリ(シリ
レンエチニレンフェニレンエチニレン)類である。
【0011】また本発明の新規な製造方法は、構造式
(3)
【0012】
【化17】
【0013】(上式中、フェニレン基はo体、m体又は
p体のいずれかであり、フェニレン基の置換基Rはハロ
ゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜2
0のアルコキシ基、炭素数6〜20のフェノキシ基、炭
素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキ
ニル基、炭素数6〜20の芳香族基、炭素数2〜20の
二置換アミノ基又はケイ素数1〜10のシラニル基であ
り、置換基Rの炭素に結合している水素原子はその一部
又は全部がハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ
基、二置換アミノ基又はシラニル基で置換されていても
よく、nは0〜4の整数であり、XはCl、Br又はI
のいずれかの原子である。)で表される有機マグネシウ
ム試薬と構造式(4)
【0014】
【化18】
【0015】(上式中、置換基R' は、水素原子、炭素
数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル
基、炭素数2〜20のアルキニル基又は炭素数6〜20
の芳香族基である。置換基R' の炭素に結合している水
素原子はその一部又は全部がハロゲン原子、アルコキシ
基、フェノキシ基、二置換アミノ基又はシラニル基で置
換されていてもよい。)で表されるジクロロシラン類と
を活性水素原子を有しない溶媒の存在下で反応させるこ
とを特徴とする構造式(1B)
【0016】
【化19】
【0017】(上式中、フェニレン基はo体、m体又は
p体のいずれかであり、フェニレン基の置換基Rはハロ
ゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜2
0のアルコキシ基、炭素数6〜20のフェノキシ基、炭
素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキ
ニル基、炭素数6〜20の芳香族基、炭素数2〜20の
二置換アミノ基又はケイ素数1〜10のシラニル基であ
り、置換基Rの炭素に結合している水素原子はその一部
又は全部がハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ
基、二置換アミノ基又はシラニル基で置換されていても
よく、nは0〜4の整数である。シリレン基の置換基
R' は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素
数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニ
ル基又は炭素数6〜20の芳香族基である。置換基R'
の炭素に結合している水素原子はその一部又は全部がハ
ロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、二置換アミ
ノ基又はシラニル基で置換されていてもよい。)で表さ
れる繰り返し単位を有するポリ(シリレンエチニレンフ
ェニレンエチニレン)類の製造方法である。
【0018】また本発明は、上述のごとく上記構造式
(3)で表される有機マグネシウム試薬と上記構造式
(4)で表されるジクロロシラン類とを活性水素原子を
有しない溶媒の存在下で反応させ、次いで構造式(5)
【0019】
【化20】
【0020】(上式中、R1 〜R3 は水素原子、炭素数
1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル
基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数6〜20の
フェニル基又はケイ素数1〜10のシラニル基のいずれ
かであり、互いに異なっていても同じでもよい。)で表
されるモノクロロシラン類を添加して処理し、その後ポ
リマーの末端を加水分解することを特徴とする上記構造
式(1B)で表されるポリ(シリレンエチニレンフェニ
レンエチニレン)類の製造方法である。
【0021】本発明の製造方法の特徴は、要約すると、
反応式(7)
【0022】
【化21】
【0023】で表されるように、グリニャール試薬の一
種である有機マグネシウム試薬とジクロロシラン類とを
反応させ、交互に縮合させることによってポリ(シリレ
ンエチニレンフェニレンエチニレン)類を製造すること
にある。本発明に用いられる有機マグネシウム試薬は構
造式(3)
【0024】
【化22】
【0025】で表される化合物、いわゆるグリニャール
試薬の一種である。ベンゼン環に結合する二つのエチニ
レン基の相対位置はo位、m位又はp位のいずれでもよ
い。またベンゼン環の残りの4個の水素原子はその一部
又は全て(即ち、nは0〜4である。)が、グリニャー
ル試薬との反応に不活性な置換基Rで置換されていても
よく、そのような置換基RとしてはF、Cl、Br又は
Iなどのハロゲン原子や、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、シクロヘキシル基などが例として挙げ
られる炭素数1〜20のアルキル基や、メトキシ基、エ
トキシ基、プロポキシ基などが例として挙げられる炭素
数1〜20のアルコキシ基や、フェノキシ(−OC6
5 )基、3,5−ジメチルフェノキシ(−OC63
(Me)2 )基などが例として挙げられる炭素数6〜2
0のフェノキシ基や、ビニル基、アリル基、シクロヘキ
セニル基などが例として挙げられる炭素数2〜20のア
ルケニル基や、エチニル基、プロパルギル基、フェニル
エチニル基などが例として挙げられる炭素数2〜20の
アルキニル基や、フェニル基、トルイル基、メシチル基
などが例として挙げられる炭素数6〜20の芳香族基
や、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチ
ルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などが例として挙
げられる炭素数2〜20の二置換アミノ基や、シリル
(−SiH3 )基、ジシラニル(Si25 )基、ジメ
チルシリル(−SiMe2 H)基、トリメチルシリル
(−SiMe3 )基、テトラメチルジシラニル(−Si
2 Me4 H)基などが例として挙げられるケイ素数1〜
10のシラニル基がある。また置換基Rの炭素に結合し
ている水素原子はその一部又は全部が、F、Cl、Br
又はIなどのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、
プロポキシ基などのアルコキシ基、フェノキシ基、3,
5−ジメチルフェノキシ基などのフェノキシ基、ジメチ
ルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ
基、メチルフェニルアミノ基などの二置換アミノ基、又
はシリル基、ジシラニル基、ジメチルシリル基、トリメ
チルシリル基、テトラメチルジシラニル基などシラニル
基などの、グリニャール試薬との反応に不活性な置換基
で置換されていてもよい。上記の構造式(3)におい
て、XはCl、Br又はIのいずれかの原子である。X
がFであるグリニャール試薬は製造が難しく産業上有用
ではない。
【0026】本発明に用いられる有機マグネシウム試薬
の例を挙げれば、構造式(8)〜構造式(10)
【0027】
【化23】
【0028】などで表されるo−フェニレン基をもつ有
機マグネシウム試薬や、構造式(11)〜構造式(1
3)
【0029】
【化24】
【0030】などで表されるm−フェニレン基をもつ有
機マグネシウム試薬や、構造式(14)〜構造式(1
6)
【0031】
【化25】
【0032】などで表されるp−フェニレン基をもつ有
機マグネシウム試薬が挙げられる。またフェニレン基に
置換基をもつ有機マグネシウム試薬の例としては構造式
(17)〜構造式(20)
【0033】
【化26】
【0034】などで表される有機マグネシウム試薬が挙
げられる。本発明に用いられるジクロロシラン類は構造
式(4)
【0035】
【化27】
【0036】で表され、ここで置換基R’はグリニャー
ル試薬との反応に不活性な置換基であり、そのような置
換基は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、シクロヘキシル基などが例として挙げられる炭
素数1〜20のアルキル基、ビニル基、アリル基、シク
ロヘキセニル基などが例として挙げられる炭素数2〜2
0のアルケニル基や、エチニル基、プロパルギル基、フ
ェニルエチニル基などが例として挙げられる炭素数2〜
20のアルキニル基、フェニル基、トルイル基、メシチ
ル基などが例として挙げられる炭素数6〜20の芳香族
基である。置換基R’が水素原子以外である場合、置換
基R’は炭素と結合した水素原子を有しているが、この
炭素と結合した水素原子の一部又は全部が、F、Cl、
Br又はIなどのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ
基、プロポキシ基などのアルコキシ基、フェノキシ基、
3,5−ジメチルフェノキシ基などのフェノキシ基、ジ
メチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミ
ノ基、メチルフェニルアミノ基などの二置換アミノ基、
又はシリル基、ジシラニル基、ジメチルシリル基、トリ
メチルシリル基、テトラメチルジシラニル基などシラニ
ル基などの、グリニャール試薬との反応に不活性な置換
基で置換されていてもよい。
【0037】ジクロロシラン類の代わりに、対応するジ
フロロシラン類やジブロモシラン類やジヨードシラン類
を用いることもできるが、経済性の点からジクロロシラ
ン類を用いることが好ましい。本発明に用いられるジク
ロロシラン類を以下に例を挙げて説明する:R’が水素
原子であるジクロロシラン類はジクロロシラン(SiC
22 )である。
【0038】R’がアルキル基であるジクロロシラン類
の例としては、ジクロロメチルシラン(MeSiCl2
H)、ジクロロエチルシラン(EtSiCl2 H)、ジ
クロロシクロペンチルシラン(c−C59 SiCl2
H)、ジクロロシクロヘキシルシラン(c−C611
iCl2 H)、ジクロロドデシルシラン(n−C12 25
SiCl2 H)、ジクロロ(クロロメチル)シラン(C
ClH2 SiCl2 H)、ジクロロ(ジクロロメチル)
シラン(CCl2 HSiCl2 H)、ジクロロ(トリク
ロロメチル)シラン(CCl3 SiCl2 H)、ジクロ
ロ(トリフロロメチル)シラン(CF3 SiCl2
H)、ジクロロ(2−トリフロロメチルエチル)シラン
(CF3 (CH22 SiCl2 H)、ジクロロメトキ
シメチルシラン(CH3 OCH2 SiCl2 H)、ジク
ロロ(3−メトキシプロピル)シラン(CH3 O(CH
23 SiCl2 H)、ジクロロ(3−(N、N−ジエ
チルアミノ)プロピル)シラン(Et2 N(CH23
SiCl2 H)などが挙げられる。
【0039】R’がアルケニル基であるジクロロシラン
類の例としては、ジクロロビニルシラン(CH2 =CH
SiCl2 H)、アリルジクロロシラン(CH2 =CH
CH 2 SiCl2 H)、構造式(21)
【0040】
【化28】
【0041】で表されるジクロロ(2−(3−シクロヘ
キセニル)エチル)シランなどが挙げられる。R’がア
ルキニル基であるジクロロシラン類の例としては、ジク
ロロエチニルシラン(CH≡CSiCl2 H)、ジクロ
ロプロパルギルシラン(CH≡CCH 2 SiCl2
H)、ジクロロ(フェニルエチニル)シラン(PhC≡
CSiCl 2 H)などが挙げられる。
【0042】R’が芳香族基であるジクロロシラン類の
例としては、ジクロロフェニルシラン(PhSiCl2
H)、構造式(22)
【0043】
【化29】
【0044】で表されるジクロロ−p−トルイルシラ
ン、構造式(23)
【0045】
【化30】
【0046】で表されるジクロロメシチルシラン、ジク
ロロベンジルシラン(PhCH2 SiCl2 H)、ジク
ロロ(2−フェニルエチル)シラン(Ph(CH22
SiCl2 H)、ジクロロ(3−フェニルプロピル)シ
ラン(Ph(CH23 SiCl2 H)、構造式(2
4)
【0047】
【化31】
【0048】で表されるジクロロ(m−ブロモ)フェニ
ルシラン、構造式(25)
【0049】
【化32】
【0050】で表されるジクロロ(p−クロロメチル)
フェニルシラン、構造式(26)
【0051】
【化33】
【0052】で表されるジクロロ(3−(4−メトキシ
フェニル)プロピル)シランなどが挙げられる。本発明
において後処理に用いられるモノクロロシラン類は構造
式(5)
【0053】
【化34】
【0054】で表され、ここで置換基R1 〜R3 は水素
原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シ
クロヘキシル基などの炭素数1〜20のアルキル基、ビ
ニル基、アリル基、シクロヘキセニル基などの炭素数2
〜20のアルケニル基、エチニル基、プロパルギル基、
フェニルエチニル基などの炭素数2〜20のアルキニル
基、フェニル基、トルイル基、メシチル基などの炭素数
6〜20の芳香族基、シリル基、ジシラニル基、ジメチ
ルシリル基、トリメチルシリル基、テトラメチルジシラ
ニル基などのケイ素数1〜10のシラニル基のいずれか
であり、互いに異なっていても同じでもよい。モノクロ
ロシラン類の例を挙げればクロロトリメチルシラン(M
3 SiCl)、クロロジメチルシラン(Me2 SiC
lH)、クロロメチルシラン(MeSiClH2 )、ク
ロロトリエチルシラン(Et3 SiCl)、クロロジエ
チルシラン(Et2 SiClH)、クロロエチルシラン
(EtSiClH2 )、クロロシクロヘキシルシラン
(c−C611SiClH2 )、クロロオクチルシラン
(C817SiClH2 )、クロロジメチルビニルシラ
ン(Me2 (CH2 =CH)SiCl)、クロロエチニ
ルジメチルシラン(Me 2 (HC≡C)SiCl)、ク
ロロジメチルフェニルシラン(Me2 PhSiCl)、
クロロフェニルシラン(PhSiClH2 )、クロロペ
ンタメチルジシラン((Me3 Si)Me2 SiCl)
等がある。
【0055】本発明の製造方法においては、目的とする
含ケイ素ポリマーの構造に応じて上に挙げたような有機
マグネシウム試薬及びジクロロシラン類から各々の試薬
を選び、反応させることにより製造することができる。
以下に有機マグネシウム試薬とジクロロシラン類との組
合わせ及びその組合わせで生成する含ケイ素ポリマーを
例示して説明するが、本発明により得られる化合物は、
もとより以下の例に限定されるものではない。例えば、
構造式(8)、構造式(9)又は構造式(10)で表さ
れるo−フェニレン基をもつ有機マグネシウム試薬とジ
クロロシラン(SiCl22 )とからは、構造式(2
7)
【0056】
【化35】
【0057】で表されるポリ(シリレンエチニレン−
1,2−フェニレンエチニレン)が合成される。構造式
(11)、構造式(12)又は構造式(13)で表され
るm−フェニレン基をもつ有機マグネシウム試薬とジク
ロロシラン(SiCl22 )とからは、構造式(2)
【0058】
【化36】
【0059】で表されるポリ(シリレンエチニレン−
1,3−フェニレンエチニレン)が合成される。構造式
(14)、構造式(15)又は構造式(16)で表され
るp−フェニレン基をもつ有機マグネシウム試薬とジク
ロロシラン(SiCl22 )とからは、構造式(2
8)
【0060】
【化37】
【0061】で表されるポリ(シリレンエチニレン−
1,4−フェニレンエチニレン)が合成される。また構
造式(8)、構造式(9)又は構造式(10)で表され
るo−フェニレン基をもつ有機マグネシウム試薬とジク
ロロメチルシラン(MeSiCl2 H)とからは、構造
式(29)
【0062】
【化38】
【0063】で表されるポリ(メチルシリレンエチニレ
ン−1,2−フェニレンエチニレン)が合成される。構
造式(11)、構造式(12)又は構造式(13)で表
されるm−フェニレン基をもつ有機マグネシウム試薬と
ジクロロメチルシラン(MeSiCl2 H)とからは、
構造式(30)
【0064】
【化39】
【0065】で表されるポリ(メチルシリレンエチニレ
ン−1,3−フェニレンエチニレン)が合成される。構
造式(14)、構造式(15)又は構造式(16)で表
されるp−フェニレン基をもつ有機マグネシウム試薬と
ジクロロメチルシラン(MeSiCl2 H)とからは、
構造式(31)
【0066】
【化40】
【0067】で表されるポリ(メチルシリレンエチニレ
ン−1,4−フェニレンエチニレン)が合成される。ま
た構造式(8)、構造式(9)又は構造式(10)で表
されるo−フェニレン基をもつ有機マグネシウム試薬と
ジクロロフェニルシラン(PhSiCl2 H)とから
は、構造式(32)
【0068】
【化41】
【0069】で表されるポリ(フェニルシリレンエチニ
レン−1,2−フェニレンエチニレンが合成される。構
造式(11)、構造式(12)又は構造式(13)で表
されるm−フェニレン基をもつ有機マグネシウム試薬と
ジクロロフェニルシラン(PhSiCl2 H)とから
は、構造式(33)
【0070】
【化42】
【0071】で表されるからはポリ(フェニルシリレン
エチニレン−1,3−フェニレンエチニレン)が合成さ
れる。構造式(14)、構造式(15)又は構造式(1
6)で表されるp−フェニレン基をもつ有機マグネシウ
ム試薬とジクロロフェニルシラン(PhSiCl2 H)
とからは、構造式(34)
【0072】
【化43】
【0073】で表されるポリ(フェニルシリレンエチニ
レン−1,4−フェニレンエチニレン)が製造される。
上記した以外の含ケイ素ポリマーについても、上記で例
示したと同様に、各々のポリマーに対応する有機マグネ
シウム試薬とジクロロシラン類とを用いることにより合
成することができる。いくつかの例を以下に挙げる。シ
リレン基の置換基R’がアルキル基である化合物の例と
しては、構造式(35)
【0074】
【化44】
【0075】で表されるポリ(シクロヘキシルシリレン
エチニレン−1,3−フェニレンエチニレン)、構造式
(36)
【0076】
【化45】
【0077】で表されるポリ(ドデシルシリレンエチニ
レン−1,4−フェニレンエチニレン)などが挙げられ
る。シリレン基の置換基R’がアルケニル基である化合
物の例としては、構造式(37)
【0078】
【化46】
【0079】で表されるポリ(ビニルシリレンエチニレ
ン−1,3−フェニレンチニレン)、構造式(38)
【0080】
【化47】
【0081】で表されるポリ(アリルシリレンエチニレ
ン−1,4−フェニレンエチニレン)などが挙げられ
る。シリレン基の置換基R’がアルキニル基である化合
物の例としては、構造式(39)
【0082】
【化48】
【0083】で表されるポリ(エチニルシリレンエチニ
レン−1,3−フェニレンエチニレン)、構造式(4
0)
【0084】
【化49】
【0085】で表されるポリ(フェニルエチニルシリレ
ンエチニレン−1,4−フェニレンエチニレン)などが
挙げられる。シリレン基の置換基R’が芳香族基である
化合物の例としては、構造式(41)
【0086】
【化50】
【0087】で表されるポリ(p−トルイルシリレンエ
チニレン−1,3−フェニレンエチニレン)、構造式
(42)
【0088】
【化51】
【0089】で表されるポリ(フェネチルシリレンエチ
ニレン−1,4−フェニレンエチニレン)などが挙げら
れる。またフェニレン基の水素原子が置換基Rで置換し
た化合物の例としては、構造式(43)
【0090】
【化52】
【0091】で表されるポリ(メチルシリレンエチニレ
ン−1,4−(2,5−ジメチルフェニレン)エチニレ
ン)、構造式(44)
【0092】
【化53】
【0093】で表されるポリ(フェニルシリレンエチニ
レン−1,4−(2,5−ジメトキシフェニレン)エチ
ニレン)、構造式(45)
【0094】
【化54】
【0095】で表されるポリ(シリレンエチニレン−
1,4−(2,5−ジメトキシ−3,6−ジブロモフェ
ニレン)エチニレン)、構造式(46)
【0096】
【化55】
【0097】で表されるポリ(フェニルシリレンエチニ
レン−1,3−(5−メチルフェニレン)エチニレン)
などが挙げられる。またシリレン基の置換基R’の水素
原子はさらにハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ
基、二置換アミノ基、シラニル基などで置換されていて
もよく、例としては、構造式(47)
【0098】
【化56】
【0099】で表されるポリ(3,3,3−トリフロロ
プロピルシリレンエチニレン−1,2−フェニレンエチ
ニレン)などが挙げられる。本発明におけるポリ(シリ
レンエチニレンフェニレンエチニレン)類の製造方法を
さらに具体的に説明する。反応装置は、例えば原料の貯
蔵容器、原料の流量を制御しつつ反応容器に供給する部
分、溶媒を反応容器に供給する部分、反応容器、反応容
器の内圧を一定の圧力に保つ装置、反応容器内から蒸発
して出てきた溶媒を冷却し反応容器内へ還流させる装
置、反応容器内部の撹拌装置、反応容器の温度を測定し
制御する装置などからなる。
【0100】操作は、上述の反応容器内に乾燥した溶媒
と、原料である有機マグネシウム試薬かジクロロシラン
類の何れか一方を満たし、反応容器内容物の温度を反応
温度に制御し且つ反応容器内容物を十分に撹拌しつつ、
もう一方の原料を反応温度が上昇し過ぎない様に流量を
制御しつつ導入する。もしくは、上述の反応容器内に乾
燥した溶媒を満たし、反応容器内容物の温度を反応温度
に制御し且つ反応容器内容物を十分に撹拌しつつ、原料
である有機マグネシウム試薬及びジクロロシラン類の各
々を、反応温度が上昇し過ぎない様に流量を制御しつつ
反応容器内に導入する。原料としてジクロロシラン(S
iCl22 )を用いる場合には、ジクロロシランは常
温常圧では気体なので、反応容器内への導入方法は導入
管の開口部を溶媒の液面下に設置し、導入されたジクロ
ロシランが溶媒と充分に接触しうるようにすることが操
作上必須ではないが好ましい。両原料の混合が終了した
ら、反応容器内容物の温度を後反応温度に制御しつつさ
らに撹拌を続ける。所定の反応時間後、反応液に所定の
後処理を施た後、反応生成物と副成物、溶媒等とを分
離、精製する。
【0101】原料として用いる有機マグネシウム試薬は
アセチレン化合物のグリニャール試薬として一般に広く
知られており、その合成方法も通常のグリニャール反応
に用いる場合と同様であり、特に限定するものではな
い。原料として用いる有機マグネシウム試薬とジクロロ
シラン類との比率は、有機マグネシウム試薬1molに
対してジクロロシラン類0.5〜2mol、より好まし
くは0.7〜1.3molが適当である。
【0102】溶媒としては、グリニャール反応に通常用
いられるような、テトラヒドロフラン(以後THFと略
称する)、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒド
ロピラン、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル
などが例として挙げられるエーテル系溶媒や、n−ペン
タン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタンな
どが例として挙げられる飽和炭化水素系溶媒や、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、メシチレンなどが例として挙
げられる芳香族系炭化水素系溶媒などの、グリニャール
試薬と反応しうる活性水素原子を有していない溶媒が有
効に用いられる。なかでも反応の操作の容易さや反応の
活性の高さなどからエーテル系溶剤がより好ましい。ま
た溶媒中の水分は反応を阻害するので、反応に用いる溶
媒は予め脱水し、蒸留したものを用いることが好まし
い。脱水方法は特に限定されるものではないが、例えば
金属水素化物などの乾燥剤を用いるなどの常用手段によ
り脱水乾燥される。
【0103】溶媒の量は原料のジクロロシラン類1gに
対して5〜500ml、より好ましくは5〜100ml
が適当である。反応温度は、反応容器への原料の導入時
には−80〜120℃、より好ましくは−30〜40℃
が適当である。後反応時には−80〜120℃、より好
ましくは0〜80℃が適当である。
【0104】反応圧力は、減圧、常圧、加圧いずれでも
良いが、常圧が好ましい。反応時間は仕込んだ原料や溶
媒の量、後反応温度などにより異なるが、0.5〜10
0時間が適当である。後処理について説明する。後処理
の方法は、通常のグリニャール反応における生成物の後
処理と同様な方法で行うことができる。いくつかの例を
挙げる。後反応の終了した反応液中には若干の未反応の
ジクロロシラン類が残存している。また生成したポリマ
ーの末端にもまだ加水分解性の高いクロロ基が残ってい
る。そこで加水分解処理に先だって、メタノールなどの
アルコール類やメチルリチウム等の有機金属試薬をキャ
ップ剤として少量加えて−30℃〜室温で数分〜数時間
反応させ、しかる後に塩化アンモニウム水溶液や塩酸水
溶液などを用いての通常のグリニャール反応後の加水分
解処理を行うことが一般に知られている(参考文献:J.
L. Brefort et al., Organometallics, Vol.11, 2500
(1992) 等)。また上記のような後処理を実施する前の
反応液に、モノクロロシラン類を添加した後に、飽和塩
化アンモニウム水溶液や酸性水溶液を用いての加水分解
処理を行うこともポリマーを安定化させる効果があるこ
とを本発明者らは見いだした。添加するモノクロロシラ
ンの量は原料のジクロロシラン類1mol当たり0.0
1〜100mol程度、より好ましくは0.1〜10m
ol程度が適当である。酸性水溶液の種類は特に限定さ
れるものではないが、塩酸、硫酸や酢酸などの0.01
〜10規定程度、より好ましくは0.1〜1規定程度の
濃度の酸性水溶液が有効に用いられる。加水分解に用い
る水溶液の量は、特に限定されるものではないが、反応
液の1リットル当たり0.1〜100リットル程度、よ
り好ましくは0.2〜10リットル程度が適当である。
キャップ剤等を用いずに後反応後すぐに加水分解するこ
とももちろん可能である。ただしその場合はシロキサン
を含むポリマーが得られることがある。
【0105】反応生成物の分離、精製方法は特に限定さ
れるものではなく、通常のグリニャール反応による生成
物の分離、精製と同様な方法で行うことができる(上記
の参考文献等)。一例をあげて説明する。後処理後の反
応液は有機相と水相とに相分離するので、有機相を分別
するのは容易である。相分離が不十分の場合は、反応液
にベンゼンやn−ヘキサンなどの極性の低い有機溶剤を
混合することにより相分離をさらに容易にすることがで
きる。分別した有機相に対して硫酸ナトリウムなどの中
性ないし弱酸性の乾燥剤による脱水等の通常の乾燥処理
を施した後、乾燥剤を濾過などにより除去し、溶媒を減
圧留去などの手段により分離して粗ポリマーを得る。こ
の粗ポリマーは貧溶媒に分散、沈澱させることにより精
製することができる。
【0106】製造されたポリマーの分子量は、原料の比
率、溶媒の量、溶媒の種類、反応温度などにもよるが、
ゲル透過クロマトグラフィー(以下GPCと略称す
る。)による重量平均分子量としてポリスチレンを基準
にして一般的に約500〜1,000,000の範囲に
あった。また、本発明の新規なポリ(シリレンエチニレ
ンフェニレンエチニレン)類は前記の構造式(3)で表
される有機マグネシウム試薬と前記の構造式(4)で表
されるジクロロシラン類とを活性水素原子を有しない溶
媒の存在下で反応させることによって得られた構造式
(1B)で表される繰り返し単位を有し、ポリマー主鎖
に分岐や架橋による構造欠陥の存在していないポリ(シ
リレンエチニレンフェニレンエチニレン)類である。具
体的には、上記において例示した構造式(2)、構造式
(27)、構造式(28)、構造式(29)、構造式
(30)、構造式(31)、構造式(32)、構造式
(33)、構造式(34)、構造式(35)、構造式
(36)、構造式(37)、構造式(38)、構造式
(39)、構造式(40)、構造式(41)、構造式
(42)、構造式(43)、構造式(44)、構造式
(45)、構造式(46)又は構造式(47)、構造式
(48)
【0107】
【化57】
【0108】構造式(49)
【0109】
【化58】
【0110】構造式(50)
【0111】
【化59】
【0112】で表される繰り返し単位を有するポリ(シ
リレンエチニレンフェニレンエチニレン)類が挙げられ
る。本発明におけるポリ(シリレンエチニレンフェニレ
ンエチニレン)類はこれらの構造式で表される繰り返し
単位を主成分とするもので、具体的には分子鎖の半分以
上、好ましくは2/3以上を占めるもので、部分的に他
の繰り返し単位を含んでいても良い。
【0113】次に本発明における硬化物について説明す
る:本発明の硬化物は、前記の構造式(1B)で表され
る繰り返し単位を有するポリ(シリレンエチニレンフェ
ニレンエチニレン)類を50ないし700℃の温度で熱
処理することによって得られる硬化物である。ポリ(シ
リレンエチニレンフェニレンエチニレン)類の重量平均
分子量は、特には制限はないが、好ましくは、500な
いし1,000,000である。また、構造式(2)で
表される繰り返し単位を有するポリ(シリレンエチニレ
ン−1,3−フェニレンエチニレン)を、50ないし7
00℃の温度で熱処理することによって得られる硬化物
は、耐熱性が特に高いので好ましい。
【0114】硬化物の製造法を具体的に説明する:本発
明の硬化物は、前記の構造式(1B)で表される繰り返
し単位を有するポリ(シリレンエチニレンフェニレンエ
チニレン)類を、空気、窒素又は不活性ガス雰囲気中で
熱処理することにより得られる。ここで用いるポリ(シ
リレンエチニレンフェニレンエチニレン)類は、構造式
(1B)で表される繰り返し単位を主成分とするもので
あり、少なくともこの繰り返し単位を1/2以上含むも
のである。実用的には、構造式(1B)で表される繰り
返し単位を有するポリ(シリレンエチニレンフェニレン
エチニレン)類を単独で用いることが望ましいが、他の
種々の高分子化合物と共存させて用いることも可能であ
る。
【0115】前記の構造式(1B)で表される繰り返し
単位を有するポリ(シリレンエチニレンフェニレンエチ
ニレン)類は、その製造方法については特に限定される
ものではなく、本発明の製造方法である前記の反応式
(7)による前記構造式(3)で表される有機マグネシ
ウム試薬と前記構造式(4)で表されるジクロロシラン
類との反応によって得られたものであっても、または、
反応式(51)
【0116】
【化60】
【0117】で示されるように、塩基性金属酸化物を用
いたヒドロシラン類とジエチニル化合物との脱水素重縮
合反応によって得られたものであってもよい。塩基性金
属酸化物は、単一の金属原子からなる塩基性酸化物とそ
の塩基性酸化物を含む複合酸化物とに大別できる。塩基
性酸化物の具体例としては、アルカリ金属酸化物(Li
2 O、Na2 O、K2 O、Rb2 O、Cs2 O)、アル
カリ土類金属酸化物(BeO、MgO、CaO、Sr
O、BaO、RaO)、ランタノイド酸化物(La2
3 、CeO2 、Pr23 、Nd23 、Sm23
Eu23 、Gd23 、Tb23 、Dy23 、H
23 、Er23 、Tm23 、Yb23 、Lu
23 )、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化
トリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニ
ウム、酸化銅、酸化亜鉛、酸化カドミウムなどがある。
【0118】塩基性酸化物を含む複合酸化物の具体例と
しては、シリカとの複合酸化物としては、Li2 O−S
iO2 、Na2 O−SiO2 、K2 O−SiO2 、Rb
2 O−SiO2 、Cs2 O−SiO2 、BeO−SiO
2 、MgO−SiO2 、CaO−SiO2 、SrO−S
iO2 、BaO−SiO2 、RaO−SiO2 、La 2
3 −SiO2 、Sc23 −SiO2 、Y23 −S
iO2 、Th2 O−SiO2 、ZnO−SiO2 などが
あり、アルミナとの複合酸化物としては、Li 2 O−A
23 、Na2 O−Al23 、K2 O−Al2
3 、Rb2 O−Al23 、Cs2 O−Al23 、B
eO−Al23 、MgO−Al23 、CaO−Al
23 、SrO−Al23 、BaO−Al23 、T
iO2 −Al23 、RaO−Al23 、La23
−Al23 、Sc23 −Al23 、Y23 −A
23 、Th2 O−Al23 、Zr2 O−Al2
3 、ZnO−Al23 などがある。
【0119】またマグネシアとの複合酸化物としては、
Li2 O−MgO、Na2 O−MgO、K2 O−Mg
O、Rb2 O−MgO、Cs2 O−MgO、BeO−M
gO、CaO−MgO、SrO−MgO、BaO−Mg
O、RaO−MgO、La2 3 −MgO、、Sc2
3 −MgO、Y23 −MgO、Th2 O−MgO、T
iO2 −MgO、Zr2 O−MgO、ZnO−MgOな
どがあり、シリカ−アルミナとの複合酸化物としては、
Li2 O−SiO2 −Al23 、Na2 O−SiO2
−Al23 、K2 O−SiO2 −Al23 、Rb2
O−SiO2 −Al23 、Cs2 O−SiO2 −Al
23 、BeO−SiO2 −Al23 、MgO−Si
2 −Al23 、CaO−SiO2 −Al23 、S
rO−SiO2 −Al23 、BaO−SiO2 −Al
23 、RaO−SiO2 −Al23 、La23
SiO2 −Al23 、Sc23 −SiO2 −Al2
3、Y23 −SiO2 −Al23 、Th2 O−S
iO2 −Al23 、Zr2O−SiO2 −Al2
3 、ZnO−SiO2 −Al23 などがあり、シリカ
−マグネシアとの複合酸化物としては、Li2 O−Si
2 −MgO、Na2 O−SiO2 −MgO、K2 O−
SiO2 −MgO、Rb2 O−SiO2 −MgO、Cs
2 O−SiO2 −MgO、BeO−SiO2 −MgO、
CaO−SiO2−MgO、SrO−SiO2 −Mg
O、BaO−SiO2 −MgO、RaO−SiO2 −M
gO、La23 −SiO2 −MgO、Sc23 −S
iO2 −MgO、Y23 −SiO2 −MgO、Th2
O−SiO2 −MgO、Zr2 O−SiO2 −MgO、
ZnO−SiO2 −MgOなどがある。
【0120】またマグネシア−アルミナとの複合酸化物
としては、Li2 O−MgO−Al 23 、Na2 O−
MgO−Al23 、K2 O−MgO−Al23 、R
2O−MgO−Al23 、Cs2 O−MgO−Al2
3 、BeO−MgO−Al23 、CaO−MgO
−Al23 、SrO−MgO−Al23 、BaO−
MgO−Al23 、RaO−MgO−Al23 、L
23 −MgO−Al23 、Sc23 −MgO−
Al23 、Y23 −MgO−Al23 、Th2
−MgO−Al23 、Zr2 O−MgO−Al2
3 、ZnO−MgO−Al23 などがある。
【0121】通常これらの金属酸化物は、使用前に活性
化処理される。例えば100〜800℃の温度範囲で、
空気中、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス中又
は減圧下にて、好ましくは1〜5時間熱処理した後に使
用される。また目的とする金属酸化物は、相当する金属
の硝酸塩、炭酸塩、蓚酸塩又は水酸化物等を上述の条件
で熱分解することによっても製造される。
【0122】本発明の硬化物を製造する際には、ポリ
(シリレンエチニレンフェニレンエチニレン)類を溶融
した後にあるいは溶媒に溶解させた後に、種々の形状物
(成型体、フィルム、繊維等)に成形し、空気、窒素又
はアルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気中にて加熱
する。加熱温度は50〜700℃、好ましくは100〜
400℃、さらに好ましくは150〜350℃である。
加熱時間については特に制限はないが、一般的には1分
〜100時間である。温度や時間は、含ケイ素高分子化
合物の種類、形状、形態及び硬化物の使用目的によって
異なる。また含ケイ素高分子化合物とポリイミド、ポリ
アミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテル
エステルケトン、ポリスルホン、ポリオキサジアゾール
などの種々の高分子化合物を共存させて行うこともでき
る。
【0123】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明する: 実施例1 ポリ(シリレンエチニレン−1,4−フェニレンエチニ
レン)の製造例:まず有機マグネシウム試薬の合成につ
いて述べる。300mlの四口フラスコにフレーク状の
マグネシウム金属1.21g(49.8mmol)を入
れ、乾燥窒素でフラスコ内を置換した。水素化リチウム
アルミニウムで乾燥し単蒸留したTHFの20mlを同
フラスコ内に仕込み、沃素の小片を一個加えて撹拌しマ
グネシウムを活性化した。これに臭化エチル4.91g
(45.1mmol)のTHF(20ml)溶液を室温
でゆっくり(約20分間かけて)滴下し、さらに加熱し
リフラックス状態で2時間反応させてエチル臭化マグネ
シウムを得た。これに、撹拌しながら室温で、p−ジエ
チニルベンゼン2.77g(22.0mmol)のTH
F(30ml)溶液を20分間かけて滴下し、さらに加
熱しリフラックス状態で1時間反応させて目的の有機マ
グネシウム試薬(22.0mmol)を得た。
【0124】次にポリマーの合成について述べる。反応
は上述の有機マグネシウム試薬の合成に引き続き行っ
た。上述の有機マグネシウム試薬の入ったフラスコに、
室温で撹拌しながら、ジクロロシラン2.22g(2
2.0mmol)を20分間かけてバブリングした。バ
ブリングの終了直前に有機マグネシウム試薬の白色沈澱
が消失し、液はほぼ透明になった。さらに加熱しリフラ
ックス状態で1時間反応させた。続いて後処理を行っ
た。トリメチルシリルクロライド(Me3 SiCl)
5.45g(50mmol)を反応液に加えてさらに1
時間、リフラックスさせながら撹拌した。フラスコを室
温に戻した。別の500mlフラスコに0.5規定の塩
酸水溶液300mlを満たし氷冷した。500mlフラ
スコに滴下ロートを装着し、300mlフラスコ内の反
応液をこの滴下ロートに移し、塩酸水溶液を撹拌しなが
らこれに滴下ロート内の反応液をゆっくり(30分間か
けて)滴下した。油相を分液ロートを用いて分取し、硫
酸ナトリウムを加えて一晩放置して乾燥させた。ガラス
フィルターで溶液を濾過し乾燥剤を除いた。溶液からエ
バポレーターを用いて溶媒を留去すると粘稠なオイル状
の粗生成物を得た。これに乾燥したn−ヘキサン(50
ml)を加え撹拌した。目的のポリマーはn−ヘキサン
に不溶なので沈澱した。この沈澱を濾過、乾燥して収量
1.52g(収率45%)で目的のポリマーを得た。ポ
リマーは淡黄色の固体で、GPCによる重量平均分子量
は5,900、数平均分子量は2,400であった。
【0125】以下に製造されたポリマーの分析値を記
す。 (1) 元素分析(C10H6Si):C:77.81%(理論値77.87%)、
H:3.95%(理論値3.92%)、Si:18.12% (理論値18.21%)。 (2) IR(試料はSiウエハ上のキャストフィルム)cm
-1:3294(w)、 2957(w)、2926(w)、 2189(m)、 2166(s、 Si-
H)、 14 96(m)、 1237(m)、 1222(m)、 934(m)、 847(s、 Si-
H)、 824(m)、 620(m) (図1)。 (3) 1H-NMR(500MHz、 CDCl3) δ:7.49(s、 4H、 フェニレ
ン基の水素原子)、 4.57(s、 2H、 Si-H)。 (4) 13C-NMR(500MHz、 CDCl3)δ:132.1、 122.9、 107.5、
85.2 。132.1、 122.9ppm はベンゼン環の炭素、107.5、
85.2ppmはエチニレン基の炭素である。 (5) 29Si-NMR(500MHz,CDCl3)δ:-84.0(t、 JSi-H=230H
z) 。 29Si-NMR のプロトン−ノンデカップリング測定
によると、29Si-NMRのシグナルは三重項に分裂してお
り、シリレン基(-Si(H)2-) であることが解る。
【0126】実施例2 ポリ(メチルシリレンエチニレン−1,4−フェニレン
エチニレン)の製造例:まず有機マグネシウム試薬の合
成について述べる。200mlの四口フラスコにフレー
ク状のマグネシウム金属1.21g(49.8mmo
l)を入れ、乾燥窒素でフラスコ内を置換した。水素化
リチウムアルミニウムで乾燥し単蒸留したTHFの20
mlを同フラスコ内に仕込み、沃素の小片を一個加えて
撹拌しマグネシウムを活性化した。これに臭化エチル
5.25g(48.2mmol)のTHF(20ml)
溶液を室温でゆっくり(約20分間かけて)滴下し、さ
らに加熱しリフラックス状態で2時間反応させてエチル
臭化マグネシウムを得た。これに、撹拌しながら室温
で、p−ジエチニルベンゼン3.03g(24.0mm
ol)のTHF(20ml)溶液を20分間かけて滴下
し、さらに加熱しリフラックス状態で1.5時間反応さ
せて目的の有機マグネシウム試薬(24.0mmol)
を得た。
【0127】次にポリマーの合成について述べる。反応
は上述の有機マグネシウム試薬の合成に引き続き行っ
た。上述の有機マグネシウム試薬の入ったフラスコに、
室温で撹拌しながら、ジクロロメチルシラン2.76g
(23.8mmol)のTHF(20ml)溶液を30
分間かけて滴下し、さらに加熱しリフラックス状態で2
時間反応させた。続いて後処理を行った。まずフラスコ
を氷冷し、撹拌しながら反応液を10℃以下に保つよう
にゆっくりとメタノール1mlを滴下した。滴下後反応
液を室温まで戻しながらさらに30分間撹拌した。再び
フラスコを氷冷し、飽和塩化アンモニウム水溶液を約5
0ml加えて加水分解した。油相を分液ロートで分取
し、硫酸ナトリウムを加えて一晩放置し乾燥させた。ガ
ラスフィルターで溶液を濾過し乾燥剤を除いた。溶液か
らエバポレーターを用いて溶媒を留去すると粘稠なオイ
ル状の粗生成物を得た。これを25mlのTHFに溶か
し、メタノール中に分散し、沈澱させた。沈澱を濾過、
乾燥して収量2.76g(収率68%)で目的のポリマ
ーを得た。ポリマーは淡黄色の固体で、GPCによる重
量平均分子量は28,000、数平均分子量は6,30
0であった。
【0128】以下に製造されたポリマーの分析値を記
す。 (1) 元素分析(C11H8Si):C:78.12%(理論値78.52%)、
H:4.74%(理論値4.79%)、Si:16.59% (理論値16.69%)。 (2) IR(試料はSiウエハ上のキャストフィルム)cm
-1:3297(w)、 2970(w)、2164(s、 Si-H)、 1497(m)、 1254
(m)、 1223(m)、 1103(m)、 880(m)、 839(s、 Si-H)、806
(m)、 741(m) (図2)。 (3) 1H-NMR(500MHz、 CDCl3) δ:7.47(s、 4H、 フェニレ
ン基の水素原子)、 4.62(q、 1H、 Si-H)、 0.54(d、 3H、 CH
3)。 (4) 13C-NMR(500MHz、 CDCl3) δ:132.0、 123.0、 106.
4、 89.5、 -2.7 。132.0、123.0ppm はベンゼン環の炭
素、106.4、 89.5ppmはエチニレン基の炭素、-2.7ppmは
メチル基の炭素である。 (5) 29Si-NMR(500MHz、 CDCl3) δ:-60.6 。プロトンデ
カップリング法(非NOEモード)を用いて測定。モデ
ル化合物であるジ(フェニルエチニル)メチルシラン
((PhC≡C)2 MeSiH)の29Si-NMRは-60.6ppm
であることからポリマー主鎖のケイ素と同定できる(図
3)。
【0129】実施例3 ポリ(フェニルシリレンエチニレン−1,4−フェニレ
ンエチニレン)の製造例:まず有機マグネシウム試薬の
合成について述べる。200mlの四口フラスコにフレ
ーク状のマグネシウム金属1.22g(50.2mmo
l)を入れ、乾燥窒素でフラスコ内を置換した。水素化
リチウムアルミニウムで乾燥し単蒸留したTHFの20
mlを同フラスコ内に仕込み、沃素の小片を一個加えて
撹拌しマグネシウムを活性化した。これに臭化エチル
4.95g(45.4mmol)のTHF(20ml)
溶液を室温でゆっくり(約20分間かけて)滴下し、さ
らに加熱しリフラックス状態で2時間反応させてエチル
臭化マグネシウムを得た。これに、撹拌しながら室温
で、p−ジエチニルベンゼン2.69g(21.3mm
ol)のTHF(20ml)溶液を20分間かけて滴下
し、さらに加熱しリフラックス状態で1時間反応させて
目的の有機マグネシウム試薬(21.3mmol)を得
た。
【0130】次にポリマーの合成について述べる。反応
は上述の有機マグネシウム試薬の合成に引き続き行っ
た。上述の有機マグネシウム試薬の入ったフラスコに、
室温で撹拌しながら、ジクロロフェニルシラン3.81
g(21.5mmol)のTHF(20ml)溶液を2
5分間かけて滴下し、さらに加熱しリフラックス状態で
2時間反応させた。続いて後処理を行った。まずフラス
コを氷冷し、撹拌しながら反応液を10℃以下に保つよ
うにゆっくりとメタノール1mlを滴下した。滴下後反
応液を室温まで戻しながらさらに40分間撹拌した。再
びフラスコを氷冷し、飽和塩化アンモニウム水溶液を約
50ml加えて加水分解した。油相を分液ロートで分取
し、硫酸ナトリウムを加えて一晩放置し乾燥させた。ガ
ラスフィルターで溶液を濾過し乾燥剤を除いた。溶液か
らエバポレーターを用いて溶媒を留去すると粘稠なオイ
ル状の粗生成物を得た。これを40mlのTHFに溶か
し、メタノール中に分散し、沈澱させた。沈澱を濾過、
乾燥して収量3.59g(収率73%)で目的のポリマ
ーを得た。ポリマーは淡黄色の固体で、GPCによる重
量平均分子量は33,000、数平均分子量は4,90
0であった。
【0131】以下に製造されたポリマーの分析値を記
す。 (1) 元素分析(C16H10Si):C:83.02%(理論値83.43%)、
H:4.40%(理論値4.38%)、Si:12.08% (理論値12.19%)。 (2) IR(試料はSiウエハ上のキャストフィルム)cm
-1:3071-2962(w)、 2163(s、 Si-H)、 1497(m)、 1430(m)、
1237(m)、 1117(m)、 822(s、 Si-H)、 756(m)、 697(m)
(図4)。 (3) 1H-NMR(500MHz、 CDCl3) δ:7.80-7.45 (m、 9H、 ベ
ンゼン環の水素原子)、5.12(s、 1H、 Si-H) 。 (4) 13C-NMR(500MHz、 CDCl3)δ:134.8、 132.1、 130.7、
129.9、 128.3、 123.0、107.7、 88.0 。134.8、 130.7、 1
29.9、 128.3ppm はフェニル基の炭素、132.1、 123.0ppm
はフェニレン基の炭素、107.7、 88.0ppmはエチニレン
基の炭素である。 (5) 29Si-NMR(500MHz、 CDCl3) δ:-63.5 。プロトンデ
カップリング法(非NOEモード)を用いて測定。モデ
ル化合物であるジ(フェニルエチニル)フェニルシラン
((PhC≡C)2 PhSiH)の29Si-NMRは-63.6ppm
であることからポリマー主鎖のケイ素と同定できる(図
5)。
【0132】実施例4 ポリ(シリレンエチニレン−1,3−フェニレンエチニ
レン)の製造例:まず有機マグネシウム試薬の合成につ
いて述べる。300mlの四口フラスコにフレーク状の
マグネシウム金属1.22g(50.2mmol)を入
れ、乾燥窒素でフラスコ内を置換した。水素化リチウム
アルミニウムで乾燥し単蒸留したTHFの20mlを同
フラスコ内に仕込み、沃素の小片を一個加えて撹拌しマ
グネシウムを活性化した。これに臭化エチル4.91g
(45.1mmol)のTHF(20ml)溶液を室温
でゆっくり(約20分間かけて)滴下し、さらに加熱し
リフラックス状態で2時間反応させてエチル臭化マグネ
シウムを得た。これに、撹拌しながら室温で、m−ジエ
チニルベンゼン2.78g(22.0mmol)のTH
F(30ml)溶液を20分間かけて滴下し、さらに加
熱しリフラックス状態で1時間反応させて目的の有機マ
グネシウム試薬(22.0mmol)を得た。
【0133】次にポリマーの合成について述べる。反応
は上述の有機マグネシウム試薬の合成に引き続き行っ
た。上述の有機マグネシウム試薬の入ったフラスコに、
室温で撹拌しながら、ジクロロシラン2.18g(2
1.6mmol)を20分間かけてバブリングした。バ
ブリング終了直前に有機マグネシウム試薬の白色沈澱が
消失し、液はほぼ透明になった。さらに加熱しリフラッ
クス状態で1時間反応させた。続いて後処理を行った。
トリメチルシリルクロライド(Me3 SiCl)0.6
7g(6.2mmol)を反応液に加えてさらに1時
間、リフラックスさせながら撹拌した。フラスコを室温
に戻した。別の500mlフラスコに0.1規定の塩酸
水溶液200mlを満たし氷冷した。500mlフラス
コに滴下ロートを装着し、300mlフラスコ内の反応
液をこの滴下ロートに移し、塩酸水溶液を撹拌しながら
これに滴下ロート内の反応液をゆっくり(30分間かけ
て)滴下した。油相を分液ロートを用いて分取し、硫酸
ナトリウムを加えて一晩放置し乾燥させた。ガラスフィ
ルターで溶液を濾過し乾燥剤を除いた。溶液からエバポ
レーターを用いて溶媒を留去すると粘稠なオイル状の粗
生成物を得た。これを40mlのTHFに溶かし、メタ
ノール中に分散し、沈澱させた。沈澱を濾過、乾燥して
収量1.15g(収率34%)で目的のポリマーを得
た。ポリマーは淡黄色の固体で、GPCによる重量平均
分子量は9,800、数平均分子量は3,100であっ
た。
【0134】以下に製造されたポリマーの分析値を記
す。 (1) 元素分析(C10H6Si):C:77.91%(理論値77.87%)、
H:3.96%(理論値3.92%)、Si:18.10% (理論値18.21%)。 (2) IR(試料はSiウエハ上のキャストフィルム)cm
-1:3299(w)、 3065(w)、2963(w)、 2160(s、 Si-H)、 1593
(m)、 1476(m)、 1262(m)、 1169(m)、 952(m)、 933(m)、 91
9(m)、 850(s、 Si-H)、 811(m)、 683(m)、 619(m)(図
6)。 (3) 1H-NMR(500MHz、 CDCl3) δ:7.68(s、 1H)、 7.48(d、
2H)、 7.28(d、 1H)、 4.55(s、 2H)。7.68-7.28ppmはベン
ゼン環の水素原子、4.55ppm はSi-Hの水素原子である。 (4) 13C-NMR(500MHz、 CDCl3)δ:135.8、 132.9、 128.5、
122.4、 107.0、 83.8 。135.8-122.4ppmはベンゼン環の
炭素、107.0、 83.8ppmはエチニレン基の炭素である。 (5) 29Si-NMR(500MHz、 CDCl3) δ:-83.9(t,JSi-H=234H
z)。 29Si-NMR のプロトン−ノンデカップリング測定に
よると、29Si-NMRのシグナルは三重項に分裂しており、
シリレン基(-Si(H)2-) であることが解る。
【0135】実施例5 ポリ(メチルシリレンエチニレン−1,3−フェニレン
エチニレン)の製造例:まず有機マグネシウム試薬の合
成について述べる。200mlの四口フラスコにフレー
ク状のマグネシウム金属1.22g(50.2mmo
l)を入れ、乾燥窒素でフラスコ内を置換した。水素化
リチウムアルミニウムで乾燥し単蒸留したTHFの20
mlを同フラスコ内に仕込み、沃素の小片を一個加えて
撹拌しマグネシウムを活性化した。これに臭化エチル
5.26g(48.3mmol)のTHF(20ml)
溶液を室温でゆっくり(約25分間かけて)滴下し、さ
らに加熱しリフラックス状態で1時間反応させてエチル
臭化マグネシウムを得た。これに、撹拌しながら室温
で、m−ジエチニルベンゼン3.03g(24.0mm
ol)のTHF(20ml)溶液を20分間かけて滴下
し、さらに加熱しリフラックス状態で1時間反応させて
目的の有機マグネシウム試薬(24.0mmol)を得
た。
【0136】次にポリマーの合成について述べる。反応
は上述の有機マグネシウム試薬の合成に引き続き行っ
た。上述の有機マグネシウム試薬の入ったフラスコに、
室温で撹拌しながら、ジクロロメチルシラン2.76g
(23.8mmol)のTHF(20ml)溶液を20
分間かけて滴下し、さらに加熱しリフラックス状態で1
時間反応させた。続いて後処理を行った。まずフラスコ
を氷冷し、撹拌しながら反応液を10℃以下に保つよう
にゆっくりとメタノール1mlを滴下した。滴下後反応
液を室温まで戻しながらさらに50分間撹拌した。再び
フラスコを氷冷し、飽和塩化アンモニウム水溶液を約5
0ml加えて加水分解した。油相を分液ロートで分取
し、硫酸ナトリウムを加えて一晩放置し乾燥させた。ガ
ラスフィルターで溶液を濾過し乾燥剤を除いた。溶液か
らエバポレーターを用いて溶媒を留去すると粘稠なオイ
ル状の粗生成物(粗収率68%)を得た。これを40m
lのTHFに溶かし、メタノール中に分散し、沈澱させ
た。沈澱を濾過、乾燥して収量1.82g(収率45
%)で目的のポリマーを得た。ポリマーは淡黄色の固体
で、GPCによる重量平均分子量は17,400、数平
均分子量は7,300であった。
【0137】以下に製造されたポリマーの分析値を記
す。 (1) 元素分析(C11H8Si):C:78.12%(理論値78.52%)、
H:4.81%(理論値4.79%)、Si:16.53% (理論値16.69%)。 (2) IR(試料はSiウエハ上のキャストフィルム)cm
-1:3293(w)、 3064(w)、2969(w)、 2159(s、 Si-H)、 1592
(m)、 1476(m)、 1254(m)、 1167(m)、 950(m)、 881(m)、 83
9(s、 Si-H)、 793(m)、 741(m)、 684(m)(図7)。 (3) 1H-NMR(500MHz、 CDCl3) δ:7.68(s、 1H)、 7.48(d、
2H)、 7.28(d、 1H)、 4.59(q、 1H)、 0.53(d、 3H) 。7.68
-7.28ppmはベンゼン環の水素、4.59ppm はSi-Hの水素、
0.53ppm はメチル基の水素である。 (4) 13C-NMR(500MHz、 CDCl3)δ: 135.7、 132.6、 128.
4、 122.7、 105.9、 88.1、-2.7。135.7-122.7ppmはベンゼ
ン環の炭素、105.9 ,88.1ppmはエチニレン基の炭素、-
2.7ppm はメチル基の炭素である。 (5) 29Si-NMR(500MHz、 CDCl3) δ:-60.6ppm。プロトン
デカップリング法(非NOEモード)を用いて測定。モ
デル化合物(ジ(フェニルエチニル)メチルシラン)の
29Si-NMR は-60.6ppmであることからポリマー主鎖のケ
イ素と同定できる(図8)。
【0138】実施例6 ポリ(フェニルシリレンエチニレン−1,2−フェニレ
ンエチニレン)の製造例:まず有機マグネシウム試薬の
合成について述べる。200mlの四口フラスコにフレ
ーク状のマグネシウム金属0.535g(22.0mm
ol)を入れ、乾燥窒素でフラスコ内を置換した。水素
化リチウムアルミニウムで乾燥し単蒸留したTHFの1
0mlを同フラスコ内に仕込み、沃素の小片を一個加え
て撹拌しマグネシウムを活性化した。これに臭化エチル
2.19g(20.1mmol)のTHF(15ml)
溶液を室温でゆっくり(約15分間かけて)滴下し、さ
らに加熱しリフラックス状態で2時間反応させてエチル
臭化マグネシウムを得た。これに、撹拌しながら室温
で、o−ジエチニルベンゼン1.27g(10.1mm
ol)のTHF(10ml)溶液を20分間かけて滴下
し、さらに加熱しリフラックス状態で1時間反応させて
目的の有機マグネシウム試薬(10.1mmol)を得
た。
【0139】次にポリマーの合成について述べる。反応
は上述の有機マグネシウム試薬の合成に引き続き行っ
た。上述の有機マグネシウム試薬の入ったフラスコに、
室温で撹拌しながら、ジクロロフェニルシラン1.77
g(10.0mmol)のTHF(10ml)溶液を1
0分間かけて滴下し、さらに加熱しリフラックス状態で
1時間反応させた。続いて後処理を行った。トリメチル
シリルクロライド(Me 3 SiCl)2.17g(2
0.0mmol)を反応液に加えてさらに1時間、リフ
ラックスさせながら撹拌した。フラスコを室温に戻し
た。別の500mlフラスコに0.5規定の塩酸水溶液
150mlを満たし氷冷した。500mlフラスコに滴
下ロートを装着し、200mlフラスコ内の反応液をこ
の滴下ロートに移し、塩酸水溶液を撹拌しながらこれに
滴下ロート内の反応液をゆっくり(30分間かけて)滴
下した。固形物が生じたのでベンゼンを50ml加えた
ところ固形物は溶解した。油相を分液ロートを用いて分
取し、硫酸ナトリウムを加えて一晩放置し乾燥させた。
ガラスフィルターで溶液を濾過し乾燥剤を除いた。溶液
からエバポレーターを用いて溶媒を留去すると粘稠なオ
イル状の粗生成物(粗収率98%)を得た。これを20
mlのTHFに溶かし、メタノール中に分散し、沈澱さ
せた。沈澱を濾過、乾燥して収量1.01g(収率44
%)で目的のポリマーを得た。ポリマーは淡黄色の固体
で、GPCによる重量平均分子量は3,200、数平均
分子量は1,700であった。
【0140】以下に製造されたポリマーの分析値を記
す。 (1) 元素分析(C16H10Si):C:83.12%(理論値83.43%)、
H:4.48%(理論値4.38%)、Si:12.02% (理論値12.19%)。 (2) IR(試料はSiウエハ上のキャストフィルム)cm
-1:3289(w)、 3071-2962(w)、 2170(s、 Si-H)、 1475(m)、
1430(m)、 1115(m)、 871(m)、 820(s、 Si-H)、 759(m)、 73
6(m)、 699(m)(図9)。 (3) 1H-NMR(500MHz、 CDCl3) δ:7.87-7.20 (m、 9H、 ベ
ンゼン環の水素)、 5.15(s、 1H、 Si-H)。 (4) 13C-NMR(500MHz、 CDCl3)δ:134.9、 132.7、 130.4、
129.7、 128.8、 128.3、125.3、 106.3、 90.4。134.9、 13
0.4、129.7、 128.3ppm はフェニル基の炭素、132.7、 12
8.8、125.3ppmはフェニレン基の炭素、106.3、 90.4ppm
はエチニレン基の炭素である。 (5) 29Si-NMR(500MHz、 CDCl3) δ:-62.9 。プロトンデ
カップリング法(非NOEモード)を用いて測定。モデ
ル化合物(ジ(フェニルエチニル)フェニルシラン)の
29Si-NMR は-63.6ppmであることからポリマー主鎖のケ
イ素と同定できる(図10)。
【0141】実施例1〜6では有機マグネシウム試薬と
して二臭素化物(BrMgC≡CC 64 C≡CMgB
r)を用いているが、二臭素化物の代りに二塩素化物
(ClMgC≡CC64 C≡CMgCl)や二沃素化
物(IMgC≡CC64 C≡CMgI)を用いても目
的のポリマーを得ることができる。次にその一例を挙げ
る。
【0142】実施例7 ポリ(シリレンエチニレン−1,3−フェニレンエチニ
レン)の製造例:二臭素化物の有機マグネシウム試薬
(BrMgC≡C(m−C64 )C≡CMgBr)の
代りに二塩素化物の有機マグネシウム試薬(ClMgC
≡C(m−C64 )C≡CMgCl)を用いたことを
除けば実施例4と同様の操作によりポリ(シリレンエチ
ニレン−1,3−フェニレンエチニレン)を合成した。
有機マグネシウム試薬は臭化エチルの代りに2−クロロ
プロパンを用いて合成した。得られたポリマーは淡黄色
の固体で、GPCによる重量平均分子量は8,500、
数平均分子量は2,500、収率は28%であった。
【0143】以下に製造されたポリマーの分析値を記
す。 (1) 元素分析(C10H6Si):C:77.75%(理論値77.87%)、
H:3.98%(理論値3.92%)、Si:18.06% (理論値18.21%)。 IR、 1H−NMR、13C−NMR、29Si−NMRの
測定結果は実施例4と同じであった。
【0144】後処理方法の差異によって、得られたポリ
マーの分子量や収率が異なる場合があった。後処理方法
としては、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液に滴下
する方法(方法1)、反応液を塩酸水溶液に滴下する方
法(方法2)、反応液にメタノールを加えた後に、飽和
塩化アンモニウム水溶液をこれに加える方法(方法
3)、反応液にメチルリチウムを加えた後に、この反応
液を塩酸水溶液に加える方法(方法4)、反応液にモノ
クロロシランを加えた後に、この反応液に飽和塩化アン
モニウム水溶液を滴下する方法(方法5)、反応液にモ
ノクロロシランを加えた後に、この反応液を塩酸水溶液
に加える方法(方法6)などを試みた。その結果、一般
的に見て方法5および方法6の後処理方法を用いた場合
に最も高収率でポリマーを得ることができた。例を挙げ
る。実施例3では後処理方法として、方法3(反応液に
メタノールを加えた後に、飽和塩化アンモニウム水溶液
をこれに加える方法。)を用いたが、次に示す実施例8
では後処理方法として方法5(反応液にモノクロロシラ
ンを加えた後に、この反応液に飽和塩化アンモニウム水
溶液を滴下する方法。)を用いた。
【0145】実施例8 ポリ(フェニルシリレンエチニレン−1,4−フェニレ
ンエチニレン)の製造例:有機マグネシウム試薬の合成
までは実施例3と同様に行った。この有機マグネシウム
試薬(21.5mmol)の入ったフラスコに、室温で
撹拌しながら、ジクロロフェニルシラン3.81g(2
1.5mmol)のTHF(20ml)溶液を25分間
かけて滴下し、さらに加熱しリフラックス状態で2時間
反応させた。続いて後処理を行った。トリメチルシリル
クロライド(Me3 SiCl)2.17g(20.0m
mol)を反応液に加えてさらに1時間、リフラックス
させながら撹拌した。フラスコを氷冷し、飽和塩化アン
モニウム水溶液を約50ml加えて加水分解した。油相
を分液ロートを用いて分取し、硫酸ナトリウムを加えて
一晩放置し乾燥させた。ガラスフィルターで溶液を濾過
し乾燥剤を除いた。溶液からエバポレーターを用いて溶
媒を留去すると粘稠なオイル状の粗生成物を得た。これ
を40mlのTHFに溶かし、メタノール中に分散し、
沈澱させた。沈澱を濾過、乾燥して収量4.21g(収
率85%)で目的のポリマーを得た。ポリマーは淡黄色
の固体で、GPCによる重量平均分子量は20,00
0、数平均分子量は4,500であった。
【0146】以下に製造されたポリマーの分析値を記
す。 (1) 元素分析(C16H10Si):C:83.25%(理論値83.43%)、
H:4.48%(理論値4.38%)、Si:12.12% (理論値12.19%)。 IR、 1H−NMR、13C−NMR、29Si−NMRの
測定結果は実施例3と同じであった。
【0147】実施例3と比較して、実施例8では収率が
向上している。また実施例5では後処理方法として、方
法3(反応液にメタノールを加えた後に、飽和塩化アン
モニウム水溶液をこれに加える方法。)を用いたが、次
に示す実施例9では後処理方法として方法6(反応液に
モノクロロシランを加えた後に、この反応液を塩酸水溶
液に加える方法。)を用いた。
【0148】実施例9 ポリ(メチルシリレンエチニレン−1,3−フェニレン
エチニレン)の製造例:有機マグネシウム試薬の合成ま
では実施例5と同様に行った。この有機マグネシウム試
薬(21.5mmol)の入ったフラスコに、室温で撹
拌しながら、ジクロロメチルシラン2.48g(21.
4mmol)のTHF(20ml)溶液を20分間かけ
て滴下し、さらに加熱してリフラックス状態で1時間反
応させた。続いて後処理を行った。トリメチルシリルク
ロライド(Me3 SiCl)2.18g(20.1mm
ol)を反応液に加えてさらに1時間、リフラックスさ
せながら撹拌した。フラスコを室温に戻した。別の50
0mlフラスコに0.5規定の塩酸水溶液300mlを
満たし氷冷した。500mlフラスコに滴下ロートを装
着し、反応液をこの滴下ロートに移し、塩酸水溶液を撹
拌しながらこれに滴下ロート内の反応液をゆっくり(3
0分間かけて)滴下した。固形物が生じたのでベンゼン
を50ml加えたところ固形物は溶解した。油相を分液
ロートを用いて分取し、硫酸ナトリウムを加えて一晩放
置して乾燥させた。ガラスフィルターで溶液を濾過し乾
燥剤を除いた。溶液からエバポレーターを用いて溶媒を
留去すると粘稠なオイル状の粗生成物(粗収率98%)
を得た。これを40mlのTHFに溶かし、メタノール
中に分散し、沈澱させた。沈澱を濾過、乾燥して収量
2.32g(収率64%)で目的のポリマーを得た。ポ
リマーは淡黄色の固体で、GPCによる重量平均分子量
は11,000、数平均分子量は5,200であった。
【0149】以下に製造されたポリマーの分析値を記
す。 (1) 元素分析(C11H8Si):C:78.17%(理論値78.52%)、
H:4.85%(理論値4.79%)、Si:16.58% (理論値16.69%)。 IR、 1H−NMR、13C−NMR、29Si−NMRの
測定結果は実施例5と同じであった。
【0150】実施例5と比較して、実施例9では収率が
向上している。更に両者を粗生成物の収率で比較する
と、実施例5の合成では粗収率が68%だったのに対し
て、実施例9の合成では粗収率は98%であった。実施
例5では原料のおよそ30%が溶媒に不溶となり、粗生
成物として回収されなかったのに対して、実施例9では
原料のほぼ全てが粗生成物として回収された。粗生成物
の収率と精製後の収率の差は主に、精製の工程において
メタノールに可溶な低分子量成分が除去された結果であ
った。
【0151】後処理方法の違いにより収率が異なる理由
の一つは、加水分解処理により生成物の一部が架橋する
のを抑制するのに、方法5および方法6の後処理方法が
最も効果的であるためと考えられる。実際、シリル基の
置換基R’が水素であるポリマーを合成した場合には、
方法1〜4の後処理方法では溶媒に可溶なポリマーは殆
ど得られず、生成物の大部分は溶媒に不溶のポリマーで
あった。例えば、実施例1と実施例4では後処理方法に
方法6を用いたが、方法1〜4の後処理方法を用いてこ
れらのポリマーを合成した場合には、溶媒に可溶なポリ
マーの収率は10%以下と極端に低かった。これらの結
果から、Si−H基の反応性の高いポリマーほど、合成
の際の後処理方法が収率に大きな影響を及ぼすと推定で
きる。
【0152】実施例10 ポリ(フェニルシリレンエチニレン−1,3−フェニレ
ンエチニレン)の製造例:まず有機マグネシウム試薬の
合成について述べる。300mlの四口フラスコにフレ
ーク状のマグネシウム金属1.21g(49.8mmo
l)を入れ、乾燥窒素でフラスコ内を置換した。水素化
リチウムアルミニウムで乾燥し単蒸留したTHFの20
mlを同フラスコ内に仕込み、沃素の小片を一個加えて
撹拌しマグネシウムを活性化した。これに臭化エチル
4.91g(45.1mmol)のTHF(20ml)
溶液を室温でゆっくり(約20分間かけて)滴下し、さ
らに加熱しリフラックス状態で2時間反応させてエチル
臭化マグネシウムを得た。これに、撹拌しながら室温
で、m−ジエチニルベンゼン2.72g(21.6mm
ol)のTHF(30ml)溶液を20分間かけて滴下
し、さらに加熱しリフラックス状態で1時間反応させて
目的の有機マグネシウム試薬(21.6mmol)を得
た。
【0153】次にポリマーの合成について述べる。反応
は上述の有機マグネシウム試薬の合成に引き続き行っ
た。上述の有機マグネシウム試薬の入ったフラスコに、
室温で撹拌しながら、ジクロロフェニルシラン3.82
g(21.6mmol)のTHF(20ml)溶液を2
0分間かけて滴下した。滴下終了直前に有機マグネシウ
ム試薬の白色沈澱が消失し、液はほぼ透明になった。さ
らに加熱しリフラックス状態で1時間反応させた。続い
て後処理を行った。トリメチルシリルクロライド(Me
3 SiCl)2.17g(20.0mmol)を反応液
に加えた。別の500mlフラスコに0.1規定の塩酸
水溶液300mlを満たし氷冷した。500mlフラス
コに滴下ロートを装着し、300mlフラスコ内の反応
液をこの滴下ロートに移し、塩酸水溶液を撹拌しながら
これに滴下ロート内の反応液をゆっくり(30分間かけ
て)滴下した。ベンゼン(50ml)を加え、油相を分
液ロートを用いて分取した。これに硫酸ナトリウムを加
えて一晩放置し乾燥させた。ガラスフィルターで溶液を
濾過し乾燥剤を除いた。溶液からエバポレーターを用い
て溶媒を留去すると粘稠なオイル状の粗生成物(粗収率
98%)を得た。これを40mlのTHFに溶かし、n
−ヘキサン中に分散し、沈澱させた。沈澱を濾過、乾燥
して収量3.97g(収率80%)で目的のポリマーを
得た。ポリマーは淡黄色の固体で、GPCによる重量平
均分子量は8,000、数平均分子量は3,700であ
った。
【0154】以下に製造されたポリマーの分析値を記
す。 (1) 元素分析(C16H10Si):C:83.18%(理論値83.43%)、
H:4.42%(理論値4.38%)、Si:12.08% (理論値12.19%)。 (2) IR(フィルム)cm-1:3070(w)、 2162(s,Si-H)、 1
591(w)、 1476(m)、 1430(m)、 1167(m)、 1115(m)、 950
(m)、 812(s、 Si-H)、 735(m)、 697(m)、 684(m)。 (3) 1H-NMR(500MHz、 CDCl3) δ:7.9-7.3 (m、 9H、 ベン
ゼン環の水素)、 5.11(s、1H、 Si-H)。 (4) 13C-NMR(500MHz、 CDCl3)δ:135.9、 134.8、 132.9、
130.7、 129.9、 128.4、128.3、 122.6、 107.2、 86.6 。1
34.8、 130.7、 129.9、 128.3ppm はフェニル基の炭素、1
35.9、 132.9、 122.6、 128.4ppm はフェニレン基の炭
素、107.2、 86.6ppmはエチニレン基の炭素である。 (5) 29Si-NMR(500MHz、 CDCl3) δ:-63.5ppm(図1
1)。プロトンデカップリング法(非NOEモード)を
用いて測定。
【0155】実施例11 硬化物の製造例 まず、ポリ(フェニルシリレンエチニレン−1,3−フ
ェニレンエチニレン)を合成した。200mlのガラス
製反応容器に、Mg(OH)2 を500℃にて3時間排
気焼成したMgOを16.5g 、フェニルシランを6.
42g 、m−ジエチニルベンゼンを7.50g 、および
溶媒としてベンゼンを120ml仕込んだ。次にアルゴ
ン雰囲気中にて室温で8時間、50℃で8時間、さらに
80℃で2時間、合計18時間反応させた。反応終了後
ガラスフィルターで反応液を濾過してMgOを分離除去
した。濾過した反応液中の溶媒を減圧留去し、9.9g
(収率71%)のポリマーを得た。ポリマーは黄色の固
体で、その構造をIR、NMRスペクトルにより確認し
た。重量平均分子量は4800、数平均分子量は251
0(GPCによるポリスチレン換算分子量)であった。
【0156】硬化物の製造 得られたポリマーをアルゴン雰囲気中、300℃にて1
時間熱処理を行い目的とする橙色の固い硬化物を得た。
硬化物のIRスペクトルを図12に示す。次にこの硬化
物の熱物性をTGA−DTAにより測定した。アルゴン
雰囲気中では重量減少が殆ど認められず1000℃での
重量残が94%、またTd5(5%重量減少温度)は86
0℃であった。一方空気中における1000℃での重量
残は28%、Td5は580℃であった。その結果は表1
にまとめてある。これらの値は、ポリイミド(キャプト
ン)のアルゴン雰囲気中における1000℃での重量残
55%、Td5586℃、空気中における1000℃での
重量残4%、Td5568℃に比較するといずれも大き
く、本発明における硬化物が耐熱性に極めて優れている
ことを示している。
【0157】実施例12 実施例11において含ケイ素ポリマーの熱処理温度を4
00℃とした以外は実施例11と同様にして硬化物の熱
物性を測定した。その結果を表1に示す。 実施例13 実施例8において得られたポリマーをアルゴン雰囲気
中、300℃で1時間熱処理を行い、目的とする橙色の
固い硬化物を得た。次にこの硬化物の熱物性をTGA−
DTAにより測定した。アルゴン雰囲気中では重量減少
が殆ど認められず1000℃での重量残は90%、Td5
は577℃、一方空気中における1000℃での重量残
は27%、Td5は476℃で高い耐熱性を有することが
わかった。その結果は表1にまとめてある。
【0158】実施例14〜16 実施例11に準じて製造した種々の含ケイ素ポリマーを
所定の温度で1時間熱処理して目的とする硬化物を得
た。これら硬化物の熱物性をTGA−DTAにより測定
した。その結果を表1に示す。 比較例1〜3 表1に記載の、繰り返し単位中にSi−H結合のみ、ま
たはC≡C結合のみを有する3種類の類似構造の含ケイ
素高分子化合物、即ち、構造式(52)
【0159】
【化61】
【0160】構造式(53)
【0161】
【化62】
【0162】及び構造式(54)
【0163】
【化63】
【0164】で表される繰り返し単位を有するポリマー
の硬化物の熱物性評価を行った。その結果を表1に示
す。表1より本発明におけるSi−HとC≡Cの両結合
を有する含ケイ素高分子化合物から得られた硬化物が高
い耐熱性を有することは明かである。
【0165】
【表1】
【0166】
【発明の効果】有機マグネシウム試薬とジクロロシラン
類とから耐熱性及び耐燃焼性ポリマー等として有用な新
規な高分子化合物を得る製造方法が確立された。また本
発明により、耐熱性に優れた硬化物を提供することがで
きた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1より製造されたポリマーのIRスペク
トル。
【図2】実施例2より製造されたポリマーのIRスペク
トル。
【図3】実施例2より製造されたポリマーの29Si−N
MRスペクトル。
【図4】実施例3より製造されたポリマーのIRスペク
トル。
【図5】実施例3より製造されたポリマーの29Si−N
MRスペクトル。
【図6】実施例4より製造されたポリマーのIRスペク
トル。
【図7】実施例5より製造されたポリマーのIRスペク
トル。
【図8】実施例5より製造されたポリマーの29Si−N
MRスペクトル。
【図9】実施例6より製造されたポリマーのIRスペク
トル。
【図10】実施例6より製造されたポリマーの29Si−
NMRスペクトル。
【図11】実施例10より製造されたポリマーの29Si
−NMRスペクトル。
【図12】実施例11で製造された硬化物のIRスペク
トル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平5−176421 (32)優先日 平5(1993)7月16日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平5−201399 (32)優先日 平5(1993)8月13日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 井上 浩二 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 伊藤 正義 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造式(1A) 【化1】 (上式中、フェニレン基はo体、m体又はp体のいずれ
    かであり、フェニレン基の置換基Rはハロゲン原子、炭
    素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキ
    シ基、炭素数6〜20のフェノキシ基、炭素数2〜20
    のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素
    数6〜20の芳香族基、炭素数2〜20の二置換アミノ
    基又はケイ素数1〜10のシラニル基であり、置換基R
    の炭素に結合している水素原子はその一部又は全部がハ
    ロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、二置換アミ
    ノ基又はシラニル基で置換されていてもよく、nは0〜
    4の整数である。また、シリレン基の置換基R' は、フ
    ェニレン基がo体又はp体の場合には、水素原子、炭素
    数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル
    基、炭素数2〜20のアルキニル基又は炭素数6〜20
    の芳香族基である。フェニレン基がm体でかつnが0の
    場合には、置換基R' は水素原子、炭素数1〜20のア
    ルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜
    20のアルキニル基又は炭素数7〜20の芳香族基であ
    り、フェニレン基がm体でかつnが1から4の場合に
    は、置換基R' は水素原子、炭素数1〜20のアルキル
    基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20の
    アルキニル基又は炭素数6〜20の芳香族基である。置
    換基R' の炭素に結合している水素原子はその一部又は
    全部がハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、二
    置換アミノ基又はシラニル基で置換されていてもよ
    い。)で表される繰り返し単位を有するポリ(シリレン
    エチニレンフェニレンエチニレン)類。
  2. 【請求項2】 構造式(2) 【化2】 で表される繰り返し単位を有するポリ(シリレンエチニ
    レン-1,3- フェニレンエチニレン)。
  3. 【請求項3】 構造式(3) 【化3】 (上式中、フェニレン基はo体、m体又はp体のいずれ
    かであり、フェニレン基の置換基Rはハロゲン原子、炭
    素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキ
    シ基、炭素数6〜20のフェノキシ基、炭素数2〜20
    のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素
    数6〜20の芳香族基、炭素数2〜20の二置換アミノ
    基又はケイ素数1〜10のシラニル基であり、置換基R
    の炭素に結合している水素原子はその一部又は全部がハ
    ロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、二置換アミ
    ノ基又はシラニル基で置換されていてもよく、nは0〜
    4の整数であり、XはCl、Br又はIのいずれかの原
    子である。)で表される有機マグネシウム試薬と構造式
    (4) 【化4】 (上式中、置換基R' は、水素原子、炭素数1〜20の
    アルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2
    〜20のアルキニル基又は炭素数6〜20の芳香族基で
    ある。置換基R' の炭素に結合している水素原子はその
    一部又は全部がハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキ
    シ基、二置換アミノ基又はシラニル基で置換されていて
    もよい。)で表されるジクロロシラン類とを活性水素原
    子を有しない溶媒の存在下で反応させることを特徴とす
    る、構造式(1B) 【化5】 (上式中、フェニレン基はo体、m体又はp体のいずれ
    かであり、フェニレン基の置換基Rはハロゲン原子、炭
    素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキ
    シ基、炭素数6〜20のフェノキシ基、炭素数2〜20
    のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素
    数6〜20の芳香族基、炭素数2〜20の二置換アミノ
    基又はケイ素数1〜10のシラニル基であり、置換基R
    の炭素に結合している水素原子はその一部又は全部がハ
    ロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、二置換アミ
    ノ基又はシラニル基で置換されていてもよく、nは0〜
    4の整数である。シリレン基の置換基R' は、水素原
    子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のア
    ルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基又は炭素数
    6〜20の芳香族基である。置換基R' の炭素に結合し
    ている水素原子はその一部又は全部がハロゲン原子、ア
    ルコキシ基、フェノキシ基、二置換アミノ基又はシラニ
    ル基で置換されていてもよい。)で表される繰り返し単
    位を有するポリ(シリレンエチニレンフェニレンエチニ
    レン)類の製造方法。
  4. 【請求項4】 構造式(3) 【化6】 (上式中、フェニレン基はo体、m体又はp体のいずれ
    かであり、フェニレン基の置換基Rはハロゲン原子、炭
    素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキ
    シ基、炭素数6〜20のフェノキシ基、炭素数2〜20
    のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素
    数6〜20の芳香族基、炭素数2〜20の二置換アミノ
    基又はケイ素数1〜10のシラニル基であり、置換基R
    の炭素に結合している水素原子はその一部又は全部がハ
    ロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、二置換アミ
    ノ基又はシラニル基で置換されていてもよく、nは0〜
    4の整数であり、XはCl、Br又はIのいずれかの原
    子である。)で表される有機マグネシウム試薬と構造式
    (4) 【化7】 (上式中、置換基R' は、水素原子、炭素数1〜20の
    アルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2
    〜20のアルキニル基又は炭素数6〜20の芳香族基で
    ある。置換基R' の炭素に結合している水素原子はその
    一部又は全部がハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキ
    シ基、二置換アミノ基又はシラニル基で置換されていて
    もよい。)で表されるジクロロシラン類とを活性水素原
    子を有しない溶媒の存在下で反応させ、次いで構造式
    (5) 【化8】 (上式中、R1 〜R3 は水素原子、炭素数が1〜20の
    アルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2
    〜20のアルキニル基、炭素数6〜20のフェニル基又
    はケイ素数1〜10のシラニル基のいずれかであり、互
    いに異なっていても同じでもよい。)で表されるモノク
    ロロシラン類を添加して処理し、その後加水分解するこ
    とを特徴とする、構造式(1B) 【化9】 (上式中、フェニレン基はo体、m体又はp体のいずれ
    かであり、フェニレン基の置換基Rはハロゲン原子、炭
    素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキ
    シ基、炭素数6〜20のフェノキシ基、炭素数2〜20
    のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素
    数6〜20の芳香族基、炭素数2〜20の二置換アミノ
    基又はケイ素数1〜10のシラニル基であり、置換基R
    の炭素に結合している水素原子はその一部又は全部がハ
    ロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、二置換アミ
    ノ基又はシラニル基で置換されていてもよく、nは0〜
    4の整数である。シリレン基の置換基R' は、水素原
    子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のア
    ルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基又は炭素数
    6〜20の芳香族基である。置換基R' の炭素に結合し
    ている水素原子はその一部又は全部がハロゲン原子、ア
    ルコキシ基、フェノキシ基、二置換アミノ基又はシラニ
    ル基で置換されていてもよい。)で表される繰り返し単
    位を有するポリ(シリレンエチニレンフェニレンエチニ
    レン)類の製造方法。
  5. 【請求項5】 活性水素原子を有しない溶媒がエーテル
    系溶媒である請求項3又は4記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 構造式(3) 【化10】 (上式中、フェニレン基はo体、m体又はp体のいずれ
    かであり、フェニレン基の置換基Rはハロゲン原子、炭
    素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキ
    シ基、炭素数6〜20のフェノキシ基、炭素数2〜20
    のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素
    数6〜20の芳香族基、炭素数2〜20の二置換アミノ
    基又はケイ素数1〜10のシラニル基であり、置換基R
    の炭素に結合している水素原子はその一部又は全部がハ
    ロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、二置換アミ
    ノ基又はシラニル基で置換されていてもよく、nは0〜
    4の整数であり、XはCl、Br又はIのいずれかの原
    子である。)で表される有機マグネシウム試薬と構造式
    (4) 【化11】 (上式中、置換基R' は、水素原子、炭素数1〜20の
    アルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2
    〜20のアルキニル基又は炭素数6〜20の芳香族基で
    ある。置換基R' の炭素に結合している水素原子はその
    一部又は全部がハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキ
    シ基、二置換アミノ基又はシラニル基で置換されていて
    もよい。)で表されるジクロロシラン類とを活性水素原
    子を有しない溶媒の存在下で反応させることによって得
    られた、構造式(1B) 【化12】 (上式中、フェニレン基はo体、m体又はp体のいずれ
    かであり、フェニレン基の置換基Rはハロゲン原子、炭
    素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキ
    シ基、炭素数6〜20のフェノキシ基、炭素数2〜20
    のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素
    数6〜20の芳香族基、炭素数2〜20の二置換アミノ
    基又はケイ素数1〜10のシラニル基であり、置換基R
    の炭素に結合している水素原子はその一部又は全部がハ
    ロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、二置換アミ
    ノ基又はシラニル基で置換されていてもよく、nは0〜
    4の整数である。シリレン基の置換基R' は、水素原
    子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のア
    ルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基又は炭素数
    6〜20の芳香族基である。置換基R' の炭素に結合し
    ている水素原子はその一部又は全部がハロゲン原子、ア
    ルコキシ基、フェノキシ基、二置換アミノ基又はシラニ
    ル基で置換されていてもよい。)で表される繰り返し単
    位を有し、ポリマー主鎖に分岐や架橋による構造欠陥の
    存在していないポリ(シリレンエチニレンフェニレンエ
    チニレン)類。
  7. 【請求項7】 構造式(1B) 【化13】 (上式中、フェニレン基はo体、m体又はp体のいずれ
    かであり、フェニレン基の置換基Rはハロゲン原子、炭
    素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキ
    シ基、炭素数6〜20のフェノキシ基、炭素数2〜20
    のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素
    数6〜20の芳香族基、炭素数2〜20の二置換アミノ
    基又はケイ素数1〜10のシラニル基であり、置換基R
    の炭素に結合している水素原子はその一部又は全部がハ
    ロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、二置換アミ
    ノ基又はシラニル基で置換されていてもよく、nは0〜
    4の整数である。シリレン基の置換基R' は、水素原
    子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のア
    ルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基又は炭素数
    6〜20の芳香族基である。置換基R' の炭素に結合し
    ている水素原子はその一部又は全部がハロゲン原子、ア
    ルコキシ基、フェノキシ基、二置換アミノ基又はシラニ
    ル基で置換されていてもよい。)で表される繰り返し単
    位を有するポリ(シリレンエチニレンフェニレンエチニ
    レン)類を、50ないし700℃の温度で熱処理するこ
    とによって得られる硬化物。
  8. 【請求項8】 ポリ(シリレンエチニレンフェニレンエ
    チニレン)類が構造式(2) 【化14】 で表される繰り返し単位を有するポリ(シリレンエチニ
    レン−1,3−フェニレンエチニレン)である請求項7
    記載の硬化物。
  9. 【請求項9】 ポリ(シリレンエチニレンフェニレンエ
    チニレン)類が重量平均分子量500〜1,000,0
    00のものである請求項7又は8記載の硬化物。
  10. 【請求項10】 熱処理を100ないし400℃の温度
    で行うことによって得られる請求項7〜9の何れかに記
    載の硬化物。
  11. 【請求項11】 熱処理を空気、窒素又は不活性ガス雰
    囲気中で行うことによって得られる請求項7〜10の何
    れかに記載の硬化物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003509557A (ja) * 1999-09-16 2003-03-11 コミツサリア タ レネルジー アトミーク ポリ(エチニレン−フェニレン−エチニレン−シリレン)およびその調製方法
US7189651B2 (en) 2002-12-06 2007-03-13 Jsr Corporation Stopper for chemical mechanical planarization, method for manufacturing same, and chemical mechanical planarization method
US7297360B2 (en) 2002-12-06 2007-11-20 Jsr Corporation Insulation film

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