JP2003115398A - X線装置 - Google Patents

X線装置

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JP2003115398A
JP2003115398A JP2001307635A JP2001307635A JP2003115398A JP 2003115398 A JP2003115398 A JP 2003115398A JP 2001307635 A JP2001307635 A JP 2001307635A JP 2001307635 A JP2001307635 A JP 2001307635A JP 2003115398 A JP2003115398 A JP 2003115398A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 測定直前もしくは測定中に、X線管の陰極寿
命を予測することができるX線装置を提供する。 【解決手段】 予め、寿命係数記憶部15aに過去の実
験や文献からの陰極に関する真空度と陰極温度と点灯時
間等のデータが記憶され、制御ユニット14の真空度計
測部20は真空計12からの信号を取込み、フィラメン
ト温度計測部18はフィラメント1の電圧と電流から抵
抗を算出してフィラメント温度を間接的に推測し、フィ
ラメント通電時間計測部19はフィラメント1の点灯時
間を計測し、PC15は、真空度と陰極温度と点灯時間
のデータを寿命係数記憶部15aの過去のデータと比較
演算して、陰極寿命をモニタ16の寿命指数表示部16
aに表示し、又、フィラメント交換指示器11に陰極交
換の指示を表示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線装置に係わ
り、特に、開放型X線管を搭載した工業用X線検査装置
などに関する。
【0002】
【従来の技術】微細な内部構造を非破壊検査法で観察す
る手法が各分野で要求されている。例えば半導体パッケ
ージングの開発や実装検査・品質保証のために、微小焦
点を有するX線管を使って内部の欠陥などが調べられて
いる。このX線管は開放型構造で、ターゲットに厚さが
薄いタングステンプレートを使用し、収束された電子ビ
ームをこのターゲットに打ち込み、そこで発生するX線
を放射するものである。検査部品の微細な構造を観察す
るため、焦点寸法は微小なものが使われている。このX
線管はマイクロフォーカスX線管と呼ばれ、真空容器内
で熱陰極から出射した電子ビームを、電子レンズにより
収束させてターゲット上の1〜200μmの寸法の微小
領域に打ち込み、そこで生じるX線を利用するものであ
る。マイクロフォーカスX線管のうち、特に焦点寸法が
微小化できるものは、開放型と呼ばれるタイプのもので
ある。開放型のX線管は、真空容器の開閉機構と真空排
気ポンプを具備しており、熱陰極やターゲット材を交換
できるという特徴をもつ。このため、開放型のマイクロ
フォーカスX線管では熱陰極(フィラメント)やターゲ
ットの寿命を犠牲にして陰極のフィラメントの温度を上
げて焦点寸法を微細化し、高管電圧、高管電流の条件で
焦点寸法を微細化することが可能である。開放型のX線
管は、さらに透過型と反射型と呼ばれる2つのタイプに
分類される。透過型では、ターゲット面から見て電子ビ
ームと出力X線が反対側に位置するのに対し、反射型で
は、ターゲット面から見て電子ビームと出力X線が同じ
側に位置する。透過型、反射型とも、電子ビームをター
ゲット上の微小領域に収束してX線の焦点寸法を微細化
する構造は同じである。
【0003】図5に、開放型X線管10を用いたX線装
置の構成を示す。この開放型X線管10は、カソード部
のフィラメント1と、ウェネルト電極2と、真空度を測
定する真空計12aと、電子ビームを加速する陽極3
と、電子ビームの方向を偏向する偏向コイル4と、偏向
された電子ビームを集束する集束コイル5と、X線透過
窓上に設けられたターゲット6とから構成されている。
そして、各部はO−リング(図示せず)で互いに真空気
密に連結されており、ターボ分子ポンプとロータリーポ
ンプ(図示せず)による2段引きがされたX線管容器を
形成している。陰極側に高圧ケーブルが挿し込まれ、高
電圧電源13から陰極のフィラメント1に負の高電圧が
印加される。陽極3側のターゲット6及びX線管容器の
外装は接地電位に保たれている。高圧ケーブルを介して
陰極のフィラメント1に、フィラメント電流設定部14
cで設定された電流値で、フィラメント電流供給部13
aから電圧が印加され電流が流れ加熱されると熱電子が
放出され、陽極3に向かって加速され、電子ビームを形
成する。電子ビームはウェネルト電極2を通り、加速さ
れて陽極3の中央に設けられた円筒部に入り、制御ユニ
ット14bにより制御される偏向コイル4により電子ビ
ームの進行方向が調整される。そして、制御ユニット1
4bにより制御される集束コイル5によって、微小な径
の電子ビームに収束され、ターゲット6に突入する。ア
ルミニウムの厚みT=0.5mm程度のX線出力窓上の
内側に、ターゲット6がマウントされている。ターゲッ
ト6は、例えば、厚さが50μm程度のタングステンが
使われたり、ターゲット材をX線透過窓に直接成膜した
りしている。このターゲット6に電子ビームが突入する
とそこでX線を放射する。放射されるX線のうちX線透
過窓を透過する方向のX線ビームが試料台7に載せられ
た試料8に照射されて、その透過X線がX線像検出装置
9に入射し、その出力信号がPC15bに入力されて信
号処理され、モニタ16bにX線画像として表示され
る。マイクロフォーカスX線管のX線条件は、管電圧が
5〜225kV、管電流が〜2mA程度で、焦点寸法は
1〜200μm程度のものが使われ、フィラメント通電
時間が制御ユニット14bのフィラメント通電時間表示
部14dに表示されている。そして、開放型X線管10
と試料8がセットされる試料台7とX線像検出装置9
は、散乱X線防護のためにX線防護ボックス17a内に
格納されている。上記は熱陰極にタングステン材のフィ
ラメント1を用いたものであるが、熱陰極として、高温
度でより高密度の電子放射を可能にした6ほう化ランタ
ン(LaB)熱陰極や6ほう化セリウム(CeB
熱陰極のチップが用いられたものがある。これらはタン
グステンのフィラメント1の熱陰極に比べて10倍の輝
度が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のX線装置は以上
のように構成されているが、このX線装置の電子銃の陰
極のフィラメント1は、点灯時間経過とともにタングス
テンが蒸発し、線径が徐々に細くなって切断される。フ
ィラメント1の寿命は、残留ガス分子の衝突と、高温で
の蒸発によって定まると言われているが、切れたフィラ
メント1を観察すると、図6(上田良二、1982年発
行、電子顕微鏡、共立出版株式会社から引用)(a)に
示すように、主に蒸発による場合は一箇所に集中して切
断しているが、残留ガスが主原因のときは、(b)に示
すように、フィラメント1のかなりの部分が細くなって
いるのがわかる。切断されるまでの時間を寿命とする
と、その寿命は真空度と陰極のフィラメント温度により
決定されるが、真空度が10−5Torrより高真空の
場合は、(a)の温度による蒸発によって寿命が決まる
といわれている。また、高密度電子放射を得るために用
いられる6ほう化ランタン(LaB)熱陰極や6ほう
化セリウム(CeB)熱陰極の場合は、切れることは
ないものの、タングステン材のフィラメント1の陰極と
同様に、真空度と陰極温度に依存してチップが消耗する
ことが確かめられている。しかし、運転中にフィラメン
ト1の温度を測定することは実際上難しい。フィラメン
ト加熱電流の測定によって、温度を推定することがしば
しば行なわれるが、一定の電流でも周辺の温度変化に伴
って、フィラメント1の温度はかなり大きく変化する。
図7(上田良二、1982年発行、電子顕微鏡、共立出
版株式会社から引用)に、V字形フィラメントについ
て、Bloomerによるフィラメント温度と寿命およ
び軸上輝度の測定結果を示す。横軸にフィラメント温
度、縦軸に寿命及び軸上の測定輝度/理論輝度を示す。
フィラメント温度が2600Kから2900Kにわたっ
て温度上昇すると、急激に寿命が低下する。このように
寿命になるとフィラメント1の交換が必要となる。交換
時にはX線管容器の内部を大気圧状態にし、陰極部の電
子銃のフィラメント1の部分を外部に取出し、フィラメ
ント1を新しいものに交換する。そして再び、X線管容
器にフィラメント1を取付け、内部を真空に排気する。
しかし、タングステン材のフィラメント1の場合、線材
が蒸発して線径が細くなっても、極端に装置の性能が低
下することがないため、X線装置の画像からフィラメン
ト寿命を推測することは難しい。また、装置にはフィラ
メント通電時間(点灯時間)が制御ユニット14bのフ
ィラメント通電時間表示部14dに表示されているが、
同じ真空度、同じ陰極温度でフィラメント1を点灯する
場合には、寿命の目安となるが、例えば、低真空状態で
点灯してしまった場合や、低温度で点灯しておこなった
場合等、通常と異なる条件で動作させた場合には、陰極
寿命の推測は難しくなる。寿命が近いのにそのまま使用
した場合には、測定直前もしくは測定中にフィラメント
1が切れたりすると、X線装置の検査ラインがストップ
することになり、検査に支障をきたすという問題があ
る。また、6ほう化ランタン(LaB)熱陰極や6ほ
う化セリウム(CeB)熱陰極の場合は、切れること
がなく、一般的にタングステン材のフィラメント1より
寿命が長い。しかし、蒸発による陰極チップ形状の大幅
な変形が、電子源特性の低下を招き、電子ビームのスポ
ット径が大きくなり、装置の分解能の低下を招くという
問題がある。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、フィラメントの寿命が近いのにそのま
ま使用することがないように、また、蒸発による陰極チ
ップ形状の変形により、装置の分解能の低下を招くこと
がないように、測定直前もしくは測定中に陰極寿命を予
測することができるX線装置を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明のX線装置は、真空中で通電加熱され熱電子
を放出する陰極を備え、その陰極の交換が可能な開放型
X線管を搭載したX線装置において、真空度を測定する
手段、あるいは、陰極温度を直接的または間接的に測定
する手段と、陰極通電時間を計測する手段と、真空度あ
るいは陰極温度と陰極通電時間のファクタによる過去の
陰極寿命のデータを記憶した寿命係数記憶部と、前記真
空度あるいは陰極温度のいずれかもしくはその両方と前
記陰極通電時間を組合せて前記寿命係数記憶部のデータ
から陰極の寿命を演算するコンピュータと、演算された
寿命をモニタ上に指数として表示する寿命指数表示部も
しくは装置上にその陰極を交換指示する陰極交換指示器
とを備えるものである。
【0007】また、請求項2に記載された発明のX線装
置は、熱電子を放出する陰極の材質がタングステンから
なるフィラメントであることを特徴とする。
【0008】また、請求項3に記載された発明のX線装
置は、熱電子を放出する陰極の材質が6ほう化ランタン
もしくは6ほう化セリウムであることを特徴とする。
【0009】本発明のX線装置は上記のように構成され
ており、開放型X線管に熱陰極のタングステン材からな
るフィラメント、または、6ほう化ランタンもしくは6
ほう化セリウムからなるチップが用いられ、装置の制御
ユニットに、真空度を測定する真空度計測部、あるい
は、陰極温度を直接的または間接的に測定するフィラメ
ント温度計測部、例えばフィラメント抵抗を計測して温
度を推測する計測部と、陰極通電による点灯時間を計測
するフィラメント通電時間計測部とを設け、陰極寿命デ
ータ、例えば、あらかじめ実験したデータ、文献などか
ら取得した真空度、陰極温度、陰極通電時間及び陰極材
の物理的な特性等による関連データなどをコンピュータ
の寿命係数記憶部に記憶して、コンピュータが、測定さ
れた真空度と、陰極温度(間接的にフィラメント抵抗測
定によって算出した温度)のいずれか、もしくはその両
方と陰極通電時間を組合せて、寿命係数記憶部に記憶さ
れたデータを参照して陰極の寿命を演算する。そして演
算された寿命をモニタ上に指数として寿命指数表示部に
表示し、もしくは装置上に設けられた陰極交換指示器
に、寿命が近づくと陰極を交換するように指示表示す
る。そのため、X線装置の開放型X線管をさまざまな真
空度と陰極温度で陰極を点灯させた場合でも、その条件
に合せた寿命の推測がおこなわれ、演算された寿命がモ
ニタ上の寿命指数表示部に表示され、もしくは装置の陰
極交換指示器に陰極交換の指示表示がでるので、それを
見て使用者は測定前に陰極を新しいものに交換すること
ができ、測定中にフィラメントが切れたりすることがな
くなり、X線装置の検査ラインを正常に運用することが
できる。また、蒸発による陰極チップ形状の大幅な変形
がなくなり、正常な分解能で検査することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のX線装置の一実施例を図
1を参照しながら説明する。図1は本発明のX線装置の
構成を示す図である。本X線装置は、熱電子を放出する
陰極(フィラメント1)を備え交換が可能な開放型X線
管10と、制御ユニット14に設けられ真空計12で真
空度を測定する真空度計測部20と、フィラメント1の
温度を直接的または間接的に測定するフィラメント温度
計測部18と、フィラメント1の点灯時間を計測するフ
ィラメント通電時間計測部19と、PC15に設けられ
真空度とフィラメント1の温度と点灯時間のファクタに
よる過去のフィラメント1の寿命のデータを記憶した寿
命係数記憶部15aと、測定された前記真空度とフィラ
メント1の温度のいずれかもしくはその両方と前記フィ
ラメント1の点灯時間を組合せて前記寿命係数記憶部1
5aのデータを参照しフィラメント1の寿命を演算する
PC15と、X線画像を表示するモニタ16上に演算さ
れた寿命を指数として表示する寿命指数表示部16a、
もしくは装置上にそのフィラメント1を交換指示するフ
ィラメント交換指示器11と、開放型X線管10のフィ
ラメント1に供給する電流がフィラメント電流設定部1
4aで設定されフィラメント1に負の高電圧とフィラメ
ント電流を供給する高電圧電源13とフィラメント電流
供給部13aと、X線が試料台7に載せられた試料8を
透過し試料のX線透過像を検出するX線像検出装置9と
から構成されている。
【0011】本X線装置と従来のX線装置と異なるとこ
ろは、本X線装置には、開放型X線管10のフィラメン
ト1の寿命予測値(ここでは寿命指数と表現)が、モニ
タ16のX線画像上に寿命指数表示部16aとして表示
され、さらに、寿命が近づくとX線防護ボックス17側
に「フィラメントを交換してください」という指示がフ
ィラメント交換指示器11に表示される点にある。本X
線装置のPC15は、寿命係数記憶部15aに、過去の
フィラメント1の寿命の関連データ、例えば、文献や実
験などで得られた真空度と陰極温度と寿命のデータや、
陰極温度と真空度と材料損失率のデータや、陰極温度と
輝度と寿命のデータが記憶され、制御ユニット14に設
けられた真空度計測部20からの真空度のデータと、フ
ィラメント温度計測部18でフィラメント電圧と電流か
ら抵抗が算出され過去のデータから推測されたフィラメ
ント1の温度データと、フィラメント通電時間計測部1
9からのフィラメント1が点灯された点灯時間データと
を取込んで、寿命係数記憶部15aのデータを参照し、
寿命指数を算出し、モニタ16上の寿命指数表示部16
aに表示する。そして、X線防護ボックス17側に「フ
ィラメントを交換してください」という指示をフィラメ
ント交換指示器11に表示する。
【0012】次に、本X線装置の動作について説明す
る。開放型X線管10は、従来型のX線装置に用いられ
ているものと同じ構造であり、各部はO−リング(図示
せず)で互いに真空気密に連結されており、ターボ分子
ポンプとロータリーポンプ(図示せず)による2段引き
で高真空にされる。制御ユニット14に設けられた真空
度計測部20は、その真空度を真空計12によって計測
し記憶する。高電圧電源13から陰極のフィラメント1
に負の高電圧が印加され、制御ユニット14のフィラメ
ント電流設定部14aで設定された電流で、フィラメン
ト電流供給部13aからフィラメント1に電流が供給さ
れ、陽極3側のターゲット6及びX線管容器の外装は接
地電位に保たれている。フィラメント1が加熱されると
熱電子が放出され、陽極3に向かって加速され、電子ビ
ームはウェネルト電極2を通り、加速されて陽極3の中
央に設けられた円筒部に入り、偏向コイル4により電子
ビームの進行方向が調整され、集束コイル5によって、
微小な径の電子ビームに収束され、ターゲット6に突入
する。制御ユニット14のフィラメント通電時間計測部
19は、フィラメント1に電流が流されている間の点灯
時間を計測し記憶する。同時に、フィラメント温度計測
部18は、フィラメント1の電流と電圧からフィラメン
ト1の動作抵抗を算出し、寿命係数記憶部15aに記憶
された過去のデータを参照してフィラメント1の温度を
推測し記憶する。ターゲット6はアルミニウムのX線出
力窓上の内側にマウントされ、電子ビームが突入すると
そこでX線を放射する。放射されるX線のうちX線透過
窓を透過する方向のX線ビームが試料台7に載せられた
試料8に照射されて、そのX線透過像がX線像検出装置
9に入力され、その出力信号がPC15に入力されて信
号処理され、モニタ16にX線画像として表示される。
X線像検出装置9は、イメージインテンシファイア
(I.I.)とCCDカメラを組合せたX線像検出装置
である。イメージインテンシファイア(I.I.)の出
力像をCCDカメラで撮像するもので、その出力はX線
の画像信号として取出すことができる。また、これを半
導体フラットパネルの撮像装置に置き換えて構成しても
良い。PC15は、制御ユニット14の真空度計測部2
0からの真空度データ、フィラメント温度計測部18か
らのフィラメント1の温度データ、フィラメント通電時
間計測部19からのフィラメント1の点灯時間データを
取込み、寿命係数記憶部15aに記憶された過去のデー
タを参照し、寿命指数、例えば、寿命に関するパラメー
タを0〜100で表示し、これを寿命指数として、PC
15はこの寿命指数を算出し、モニタ16上の寿命指数
表示部16aに表示する。そして、寿命が近づくと、制
御ユニット14を介してX線防護ボックス17側に「フ
ィラメントを交換してください」という指示をフィラメ
ント交換指示器11に表示する。通常、開放型X線管1
0のX線条件は、管電圧が5〜225kV、管電流が〜
2mA程度で、焦点寸法は1〜200μm程度のものが
使われる。そして、開放型X線管10と、試料8がセッ
トされる試料台7と、X線像検出装置9は、散乱X線防
護のためにX線防護ボックス17内に格納される。
【0013】図2(a)(B.N.Bloomer e
t al;The lives of electro
n microscope filaments、B.
J.of Applied Physics、vol
8、pp83‐85、1956、8/20から引用)
に、タングステン材のフィラメント1における真空度と
寿命の関係を、図2(b)(B.N.Bloomer
et al;The lives of electr
on microscope filaments、
B.J.of Applied Physics、vo
l8、pp83‐85、1956、8/20から引用)
に、2900Kの寿命を1とした場合の各温度での係数
を示す。例えば、フィラメント1の線径0.006(i
n)、フィラメント1の温度2900K、真空度0.2
(μHg)を基準とすると、図2(a)からフィラメン
ト寿命は30時間である。寿命に関するパラメータを0
〜100で表示し、これを寿命指数:仮にLと定義し、
Lが0からスタートして100になれば寿命となるよう
にする。この点灯条件の場合には、寿命は30時間なの
で、これを対応させると、1時間点灯に付、寿命指数L
が約3.3ずつ、カウントアップすることになる。仮に
途中で真空度0.6(μHg)で3時間動作させてしま
ったとすると、図2(a)から寿命は基準条件の1/3
になるので、この期間の寿命指数Lは、1時間点灯する
毎に10(≒3.3×3)ずつ、カウントアップするこ
とになる。フィラメント1の点灯の時間経過と共に、寿
命指数Lが100に近づいていき、例えば、「97」に
なった場合にはあと「3」、上記基準条件では1時間以
内に寿命になる、という計算になる。次回のX線装置の
検査時間が5時間あるとすれば、あらかじめフィラメン
ト1を交換しておいたほうが良い、という判断が可能で
ある。このときはフィラメント交換指示器11に「フィ
ラメントを交換してください」という指示が表示され
る。上記は真空度が基準状態から変わった場合の例であ
るが、フィラメント1の温度が変わった場合において
も、同様に、図2(b)記載の係数をかけて寿命を算出
すればよい。実際には、真空度やフィラメント1の温度
が基準状態から変わった場合の寿命のデータは、図2に
示すデータを参照しても良く、また、X線装置ごとに実
験的に求めても良い。いずれにしても、あらかじめX線
装置内もしくはこれに接続されているPC15内の寿命
係数記憶部15aに各条件毎の寿命に関するデータ(係
数など)をテーブルとして記憶しておき、装置の設定
値、実測値から寿命が推測できるパラメータを算出し
て、寿命指数表示部16aに数値化表示、もしくはフィ
ラメント交換指示器11などに指示して可視化表示する
ことが本X線装置の特徴である。
【0014】図3(「LaB6CATHODE」、電気
化学工業株式会社、カタログから引用)は、6ほう化ラ
ンタンもしくは6ほう化セリウムからなるチップが陰極
に用いられた場合の陰極温度と真空度と材料損失率の関
係を示す図である。陰極温度の上昇と共に、同時に、真
空度の低下と共に、陰極材料の損失率が高くなることが
分る。これらの各陰極材料メーカが公表しているデータ
シートを参照して、チップの消耗度を算出し、あらかじ
め計測した、チップが消耗した場合のX線装置の画像分
解能の低下のデータと照合して寿命を推測し、表示させ
ることができる。
【0015】図4(「LaB6CATHODE」、電気
化学工業株式会社、カタログから引用)は、タングステ
ン材のフィラメント1と、6ほう化ランタンを陰極に用
いた場合の動作温度による輝度と寿命との関係を示すデ
ータである。タングステンのフィラメント1に比べて6
ほう化ランタンを陰極にした場合は、10倍の輝度が得
られ、長寿命であるが、いずれも温度を高くして高輝度
で使用すると、寿命が短くなる。これらのデータを寿命
係数記憶部15aに記憶させておき、参照データとして
用いることができる。
【0016】上記の実施例では、寿命指数Lを0〜10
0の数値でカウントアップして表示したが、カウントダ
ウンして表示してもよい。また、寿命指数を定義せずに
実際の時間表示にしてもよい。また、フィラメント温度
計測部18では間接的にフィラメント1の電圧、電流か
らフィラメント1の動作抵抗を算出し、過去のデータを
参照してフィラメント1の温度を推測したが、オプティ
カル・パイロメータ等を装置に装備したもので直接フィ
ラメント1の温度を計測することもできる。また、本X
線装置では寿命指数表示部16aとフィラメント交換指
示器11を設けた例で説明したが、最も簡素化したシス
テムのX線装置では「寿命」つまり陰極交換の指示ラン
プをX線装置内もしくは接続されたモニタ16の画面内
に設けてもよい。
【0017】
【発明の効果】本発明のX線装置は上記のように構成さ
れており、開放型X線管の熱陰極にタングステン材から
なるフィラメント、または、6ほう化ランタンもしくは
6ほう化セリウムからなるチップが用いられ、真空度が
真空計から計測され、陰極温度が間接的に陰極抵抗測定
等によって算出され、陰極通電による点灯時間が計測さ
れ、一方、予め実験データ、文献などにより取得した真
空度、陰極温度、陰極通電時間などの過去のデータがコ
ンピュータの寿命係数記憶部に記憶され、コンピュータ
が、測定された真空度と、陰極温度のいずれか、もしく
はその両方と陰極通電時間を組合せて、記憶された過去
のデータと参照し、陰極の寿命を演算する。そしてモニ
タ上に寿命指数が表示され、もしくは、陰極を交換する
ように指示表示されるので、使用者は測定前に陰極を新
しいものに交換することができる。そのため、測定中に
フィラメントが切れたり、蒸発による陰極チップ形状の
大幅な変形がなくなり、X線装置の検査ラインを正常に
運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のX線装置の一実施例を示す図であ
る。
【図2】 本発明のX線装置のタングステンフィラメン
トの寿命データを示す図である。
【図3】 本発明のX線装置の6ほう化ランタン熱陰極
の真空度に対する温度と材料損失の関係を示す図であ
る。
【図4】 本発明のX線装置の6ほう化ランタン熱陰極
及びタングステンフィラメントの温度に対する寿命と輝
度の関係を示す図である。
【図5】 従来のX線装置を示す図である。
【図6】 切れたフィラメントの先端の状態を示す図で
ある。
【図7】 V字型フィラメントの温度と寿命及び軸上輝
度の関係を示す図である。
【符号の説明】
1…フィラメント 2…ウェネルト電極 3…陽極 4…偏向コイル 5…集束コイル 6…ターゲット 7…試料台 8…試料 9…X線像検出装置 10…開放型X線管 11…フィラメント交換指示器 12、12a…真空計 13…高電圧電源 13a…フィラメント電流供給部 14、14b…制御ユニット 14a、14c…フィラメント電流設定部 15、15b…PC 15a…寿命係数記憶部 16、16b…モニタ 16a…寿命指数表示部 17、17a…X線防護ボックス 18…フィラメント温度計測部 19…フィラメント通電時間計測部 20…真空度計測部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空中で通電加熱され熱電子を放出する陰
    極を備え、その陰極の交換が可能な開放型X線管を搭載
    したX線装置において、真空度を測定する手段、あるい
    は、陰極温度を直接的または間接的に測定する手段と、
    陰極通電時間を計測する手段と、真空度あるいは陰極温
    度と陰極通電時間のファクタによる過去の陰極寿命のデ
    ータを記憶した寿命係数記憶部と、前記真空度あるいは
    陰極温度のいずれかもしくはその両方と前記陰極通電時
    間を組合せて前記寿命係数記憶部のデータから陰極の寿
    命を演算するコンピュータと、演算された寿命をモニタ
    上に指数として表示する寿命指数表示部もしくは装置上
    にその陰極を交換指示する陰極交換指示器とを備えるこ
    とを特徴とするX線装置。
  2. 【請求項2】熱電子を放出する陰極の材質がタングステ
    ンからなるフィラメントであることを特徴とする請求項
    1記載のX線装置。
  3. 【請求項3】熱電子を放出する陰極の材質が6ほう化ラ
    ンタンもしくは6ほう化セリウムであることを特徴とす
    る請求項1記載のX線装置。
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