JP2003114304A - 反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置 - Google Patents

反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置

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JP2003114304A
JP2003114304A JP2002177337A JP2002177337A JP2003114304A JP 2003114304 A JP2003114304 A JP 2003114304A JP 2002177337 A JP2002177337 A JP 2002177337A JP 2002177337 A JP2002177337 A JP 2002177337A JP 2003114304 A JP2003114304 A JP 2003114304A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】液晶表示装置の広視野角化、特にパネルの下方
向の階調反転および外光の写り込み防止を高度に実現で
きる耐傷性に優れた反射防止フィルムを提供する。 【解決手段】透明基材上に、少なくとも1層の光拡散層
を有し、その上に少なくとも1層の低屈折率層を有する
反射防止フィルムにおいて、前記光拡散層がヘイズ値4
0%以上であり、前記低屈折率層が熱硬化型または電離
放射線硬化型の含フッ素樹脂の硬化物からなり、5度入
射における鏡面反射率の450nmから650nmまでの波
長領域での平均値が2.5%以下であることを特徴とす
る反射防止フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータ、ワ
ードプロセッサ、テレビジョン等の画像表示に用いる表
示素子に関し、詳しくは表示品位の向上を図る反射防止
フィルム、それを用いた偏光板、及び画像表示装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に液晶表示装置は、偏光板と液晶セ
ルから構成されている。液晶表示装置の表示品位上の欠
点は、視野角と外光の写り込みである。視野角に関して
は、現在主流であるTNモードTFT液晶表示装置にお
いて、特開平8−50206号公報、特開平7−191
217号公報、およびに欧州特許0911656A2号
明細書に記載のように光学補償フィルムを偏光板と液晶
セルの間に挿入し、極めて広視野角の液晶表示装置が実
現されている。ところが、上記液晶表示装置はパナルの
下方向の階調反転が生じるという問題が残っていた。こ
の問題に対して、特許第2822983号には光拡散手
段を、特開2001−33783号公報には光軸変換板
を、および特開2001−56461号公報には出射光
を拡散する光学手段を、視認側表面に設けることで著し
く表示品位が改善されることが提案されている。しかし
ながら、これらに記載の具体的手段は高度に制御された
レンズ構造、あるいは回折構造を有する光拡散手段であ
り、高価、かつ大量生産が非常に困難であった。
【0003】安価、かつ大量生産可能な光拡散フィルム
としては、例えば特開平6−18706号公報、特開平
10−20103号公報等に開示されるように、透明基
材フィルムの表面に、二酸化ケイ素(シリカ)等のフィ
ラーを含む樹脂を塗工して形成したもの、特開平11−
160505号公報、特開平11−305010号公
報、特開平11−326608号公報、特開2000−
121809号公報、特開2000−180611号公
報、および特開2000−338310号公報が挙げら
れる。しかしながら、これら明細書に記載の光拡散フィ
ルムを用いても、表示品位の向上は微々たるものであっ
た。
【0004】一方、外光の写り込みに関しては、反射防
止フィルムが一般に用いられる。反射防止フィルムは、
外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防
止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減す
るディスプレイの最表面に配置される。しかしながら、
従来の反射防止フィルムには上述のような視野角の問題
を解決しうるものではなく、外光の写り込みに優れ、か
つ視野角の問題を解決でき、最表面に配置しても耐傷性
に優れた反射防止フィルムが望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、液晶
表示装置の広視野角化、特にパネルの下方向の階調反転
および外光の写り込み防止を高度に実現でき、最表面に
配置しても耐傷性に優れた反射防止フィルムを提供する
ことにある。また、本発明の目的は、液晶パネルの厚み
を厚くすることなく、視野角(特に下方向視野角)が拡
大し、そして視角変化による、コントラスト低下、階調
または黒白反転、および色相変化等がほとんど発生する
ことのなく、さらに耐傷性が向上した偏光板、およびそ
れを用いた画像表示装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記
(1)〜(8)の反射防止フィルム、下記(9)〜(1
1)の偏光版、および下記(12)の画像表示装置によ
り達成された。
【0007】(1)透明基材上に、少なくとも1層の光
拡散層を有し、その上に少なくとも1層の低屈折率層を
有する反射防止フィルムにおいて、前記光拡散層がヘイ
ズ値40%以上であり、前記低屈折率層が熱硬化型また
は電離放射線硬化型の含フッ素樹脂の硬化物からなり、
5度入射における鏡面反射率の450nmから650nmま
での波長領域での平均値が2.5%以下であることを特
徴とする反射防止フィルム。 (2)前記光拡散層が、少なくとも粒径の異なる2種類
以上の透光性微粒子と、電離放射線により硬化させた化
合物を含む透光性樹脂とを含んでなることを特徴とする
(1)に記載の反射防止フィルム。 (3)前記透光性微粒子と前記透光性樹脂との屈折率の
差が0.02以上、0.15以下であり、前記粒径の異
なる粒子の一方の平均粒径が0.5μm乃至2.0μm
であり、前記粒径の異なるもう一方の粒子の平均粒径が
2.4μm乃至5.0μmであることを特徴とする
(2)に記載の反射防止フィルム。 (4)前記光拡散層が、屈折率が1.51〜2.00で
ある透光性樹脂を含むことを特徴とする(1)〜(3)
のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
【0008】(5)前記光拡散層の透光性樹脂が、高屈
折率を有するモノマー若しくは金属酸化物微粒子と少な
くとも3つの官能基を有する(メタ)アクリレートモノ
マーとの混合物を熱または電離放射線により硬化させた
化合物を含んでなることを特徴とする(1)〜(4)の
いずれか1項に記載の反射防止フィルム。 (6)トリアセチルセルロースあるいはポリエチレンテ
レフタレートのいずれかに対して常温常湿で測定した垂
直剥離帯電量が−200pc(ピコクーロン)/cm2
〜+200pc(ピコクーロン)/cm2であり、かつ
表面抵抗値が1×1011Ω/□以上であることを特徴と
する(1)〜(5)のいずれか1項に記載の反射防止フ
イルム。 (7)前記熱硬化型または電離放射線硬化型の含フッ素
樹脂の屈折率が1.35以上1.45以下であることを
特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の反射
防止フィルム。
【0009】(8)前記含フッ素樹脂の硬化物からなる
低屈折率層の動摩擦係数が0.03〜0.15の範囲に
あり、かつ水に対する接触角が90〜120度の範囲に
あることを特徴とする(7)に記載の反射防止フィル
ム。 (9)偏光層の両面を保護フィルムで挟持した偏光板に
おいて、保護フィルムの一方に上記(1)〜(8)のい
ずれか1項に記載の反射防止フィルムを用いたことを特
徴とする偏光板。 (10)上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の反
射防止フィルム、偏光子、および液晶性化合物から成る
光学異方性層をこの順に積層することを特徴とする偏光
板。 (11)該液晶性化合物がディスコティック化合物であ
る上記(10)に記載の偏光板。 (12)上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の反
射防止フィルムまたは上記(9)〜(11)のいずれか
1項に記載の偏光板をディスプレイの最表層に用いたこ
とを特徴とする画像表示装置。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、ヘイズ値、特に透過光
の拡散に寄与が大きい内部散乱ヘイズと視野角改良効果
に相関にあることを突き止め、特定の低屈折率層を積層
した反射防止フィルムにすることで外光の写り込みと視
野角改良を達成することができたものである。
【0011】すなわち、バックライトから出射された光
が視認側の偏光板表面に設置された光拡散フィルムで拡
散されればされるほど視野角特性が良くなるのである。
しかし、あまり拡散されすぎると、後方散乱が大きくな
り、正面輝度が減少する、あるいは、散乱が大きすぎて
画像鮮明性が劣化する等の問題が生じる。従って、内部
散乱ヘイズとして、30%乃至80%が好ましく、35
%乃至70%が更に好ましく、40%乃至60%が最も
好ましい。内部散乱ヘイズを上昇させる方法としては、
粒径が0.5μm乃至1.5μmである粒子濃度を上げ
る、もしくは膜厚を厚くする、さらには該粒子の屈折率
を上げるなどの方法がある。これとは別に、視認性の観
点から表面凹凸により表面ヘイズを設けることも必要で
あり、該内部散乱ヘイズと表面ヘイズが存在する状態
で、ヘイズ値として40%以上であることで視野角改良
効果が発揮され、40%乃至90%が好ましく、45%
乃至80%が更に好ましく、50%乃至70%が最も好
ましい。
【0012】本発明の反射防止フィルムの好ましい態様
は、トリアセチルセルロース透明支持体上に、少なくと
も一層の光拡散層が設けられ、さらにその上に少なくと
も1層の低屈折率層が設けられる。
【0013】以下、このような本発明の反射防止フィル
ムの基本的な構成を図面を引用しながら説明する。図1
に示す態様は本発明の反射防止フィルムの一例であり、
反射防止フィルム1は、トリアセチルセルロースからな
る透明支持体2、光拡散層3、そして低屈折率層4の順
序の層構成を有する。光拡散層3には、マット粒子5が
分散している。光拡散層3は複数の層から成ってもよ
い。
【0014】光拡散層の透光性樹脂の屈折率は、好まし
くは1.51〜2.00であり、低屈折率層の屈折率
は、好ましくは1.35〜1.45である。透明支持体
として好ましく用いられるトリアセチルセルロースの屈
折率は1.48である。このように光散乱層の屈折率を
高くすることで、低屈折率層の屈折率を1.35〜1.
45の範囲でも反射防止効果に優れる。従って光り散乱
層の屈折率が小さすぎると反射防止性が低下し、大きす
ぎると、反射光の色味が強くなり、好ましくない。
【0015】以下、本発明の反射防止フィルムを構成す
る各層について更に詳細に説明する。 <光拡散層>光拡散層は、上記マット粒子と透光性樹脂
から成る。これにより上述のようにヘイズ値が40%以
上にする。上記マット粒子は、透光性微粒子であること
が好ましく、本発明に適した効果を得るためには、2種
類以上の粒径の透光性微粒子を用いることが好ましい。
この場合、第1の透光性微粒子1は、透光性樹脂、例え
ばシリカ微粒子(平均粒子径1.0μm、屈折率1.4
4)から構成され、第2の透光性微粒子2は、透光性樹
脂、例えば架橋ポリスチレンビーズ(平均粒子径3.5
μm、屈折率1.61)から構成されている。
【0016】透光性微粒子1及び2と光拡散層全体を構
成する透光性樹脂との屈折率の差を0.02以上、0.
15以下である事が好ましい。屈折率差が0.02未満
の場合は、両者の屈折率の差が小さすぎて、光拡散効果
を得られず、又屈折率差が0.15よりも大きい場合
は、光拡散性が高すぎて、フィルム全体が白化してしま
うからである。なお、前記屈折率差は、0.03以上、
0.13以下がより好ましく、0.04以上、0.10
以下が最も良い。また、前記透光性微粒子1の粒子径が
0.5μm乃至2.0μmであることが好ましい。そう
したのは、本発明に適した光散乱の角度分布を得るため
である。
【0017】本発明では、表示品位を上げる(下方向視
野角改善)ために、ある程度入射した光を拡散させる事
が必要であり、この拡散効果が大きければ大きい程、視
角特性は向上する。しかし、表示品位という点で正面の
明るさを維持するためには、出来る限り透過率を高める
ことが必要である。前記粒子径を0.5μm未満とした
場合、散乱の効果が大きく、視角特性は飛躍的に向上す
るが、後方散乱が大きくなり明るさの減少が激しい。一
方、2.0μmを越える場合は、散乱効果が小さいくな
り、視角特性の向上は小さくなる。従って、前記粒子径
は、0.6μm乃至1.8μmが好ましく、0.7μm
乃至1.7μmが最も好ましい。
【0018】また、前記透光性微粒子2の粒子径は2.
4μm乃至5.0μmであることが好ましい。そうした
のは、本発明に適した表面散乱を得るためである。本発
明の表示品位を達成するには、外光の写り込みを防止す
る事も必要である。表面のヘイズ値は、低いほど表示の
ボケを小さくして明瞭なディスプレイ表示を得ることが
できるが、ヘイズ値が低すぎると映り込み及び面ギラ
(シンチレーション)と呼ばれるキラキラ光る輝きが発
生する。逆に、高すぎると白っぽくなり(白化;黒濃度
低下)、表面ヘイズ値hsは0.5<hs<30が好まし
く、3≦hs≦20が更に好ましく、7≦hs≦15が最
も好ましい。この表面ヘイズ値を制御するには、微粒子
により樹脂層表面に適度な凹凸を設けることが好ましい
形態として用いられる。ヘイズ値(曇価)は、JIS−
K−7105に準じ村上色彩技術研究所製HR−100
を用いてを測定出来る。
【0019】前記粒子径を2.4μm未満とした場合、
表面凸凹は小さくなり、表面散乱の効果が小さく、外光
による写り込みを十分に抑えることが出来ない。一方、
5.0μmを越える場合は、表面凸凹が大きくなり、写
り込みは抑えられるが、著しく白化し逆に表示品位を落
とすことになる。従って、前記粒子径は、2.5μm乃
至4.7μmが好ましく、2.7μm乃至4.5μmが
最も好ましい。表面凸凹は、表面粗さRaが1.2μm
以下であることが好ましく、0.8μm以下であること
が更に好ましく、最も好ましくは、0.5μm以下であ
る。
【0020】前記透光性微粒子において、2種類以上の
粒子径の異なる透光性微粒子を用い、それら透光性微粒
子の混合を行なうことにより、表示品位に関わる視角特
性と外光の写り込みを各々独自に最適化することがで
き、透光性微粒子の混合比により細かい設定が可能とな
り、1種類の場合よりも制御が可能となり、様々な設計
が容易となる。
【0021】前記透光性微粒子1および2は、単分散の
有機微粒子であっても、無機微粒子であってもよい。粒
径にばらつきがないほど、散乱特性にばらつきが少なく
なり、曇価の設計が容易となる。前記透光性微粒子とし
ては、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が
高く、透光性樹脂との屈折率差が前述のような数値にな
るものが好ましい。プラスチックビーズとしては、ポリ
メチルメタクリレートビーズ(屈折率1.49)、アク
リル−スチレン共重合体ビーズ(屈折率1.55)、メ
ラミンビーズ(屈折率1.57)、ポリカーボネートビ
ーズ(屈折率1.57)、スチレンビーズ(屈折率1.
60)、架橋ポリスチレンビーズ(屈折率1.61)、
ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.60)、ベンゾグア
ナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ(屈折率1.
68)等が用いられる。
【0022】プラスチックビーズの粒径は、前述のよう
に0.5〜5μmのものを適宜選択して用いるとよく、
透光性樹脂100質量部に対して5〜30質量部含有さ
せるとよい。
【0023】上記のような透光性微粒子の場合には、樹
脂組成物(透光性樹脂)中で透光性微粒子が沈降し易い
ので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加
してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、透
光性微粒子の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に
悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm
以下の無機フィラーを、透光性樹脂に対して塗膜の透明
性を損なわない程度に、0.1質量%未満程度含有させ
るとよい。
【0024】透光性樹脂としては、主として紫外線・電
子線によって硬化する樹脂、即ち、電離放射線硬化型樹
脂、電離放射線硬化型樹脂に熱可塑性樹脂と溶剤を混合
したもの、熱硬化型樹脂の3種類が使用される。又、光
拡散層の厚さは通常0.5μm〜50μm程度とし、好
ましくは1μm〜20μm、さらに好ましくは2μm〜
10μm、最も好ましくは3μm乃至7μmとすると良
い。該透光性樹脂の屈折率は、好ましくは1.51〜
2.00であり、より好ましくは1.53〜1.95で
あり、更に好ましくは1.57〜1.90であり、特に
好ましくは1.64〜1.80である。なお、透光性樹
脂の屈折率は、透光性微粒子を含まずに測定した値であ
る。屈折率が小さすぎると反射防止性が低下する。さら
に、これが大きすぎると、反射光の色味が強くなり、好
ましくない。
【0025】該透光性樹脂に用いるバインダーは、飽和
炭化水素またはポリエーテルを主鎖として有するポリマ
ーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有
するポリマーであることがさらに好ましい。また、バイ
ンダーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を
主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマ
ーの重合反応により得ることが好ましい。架橋している
バインダーを得るためには、二個以上のエチレン性不飽
和基を有するモノマーを用いることが好ましい。
【0026】二個以上のエチレン性不飽和基を有するモ
ノマーの例には、多価アルコールと(メタ)アクリル酸
とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペ
ンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペ
ンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリ
スリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリ
スリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリ
スリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,3,5−
シクロヘキサントリオールトリメタクリレート、ポリウ
レタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレー
ト)、ビニルベンゼンの誘導体(例、1,4−ジビニル
ベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチ
ルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビ
ニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミ
ド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリ
ルアミドが含まれる。これらのなかでも、少なくとも3
つの官能基を有するアクリレートもしくはメタアクリレ
ートモノマー、さらには少なくとも5つの官能基を有す
るアクリレートモノマーが、膜硬度、即ち耐傷性の観点
で好ましい。ジペンタエリスリトールペンタアクリレー
トとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合
物が市販されており、特に好ましく用いられる。
【0027】これらのエチレン性不飽和基を有するモノ
マーは、各種の重合開始剤その他添加剤と共に溶剤に溶
解、塗布、乾燥後、電離放射線または熱による重合反応
により硬化することができる。
【0028】二個以上のエチレン性不飽和基を有するモ
ノマーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応に
より、架橋構造をバインダーに導入してもよい。架橋性
官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジ
リジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル
基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基およ
び活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無
水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル
化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキ
シシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入
するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシ
アナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示
す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架
橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、
分解した結果反応性を示すものであってもよい。これら
架橋性官能基を有するバインダーは塗布後、加熱するこ
とによって架橋構造を形成することができる。
【0029】透光性樹脂は、上記バインダポリマーに加
えて、これに高屈折率を有するモノマーおよび/または
高屈折率を有する金属酸化物超微粒子等から形成される
ことが好ましい。高屈折率モノマーの例には、ビス(4
−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナ
フタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロ
キシフェニル−4'−メトキシフェニルチオエーテル等
が含まれる。高屈折率を有する金属酸化物超微粒子の例
には、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウ
ム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくと
も一つの酸化物からなる粒径100nm以下、好ましく
は50nm以下の微粒子を含有することが好ましい。高
屈折率を有する金属酸化物超微粒子としてはAl、Z
r、Zn、Ti、InおよびSnから選ばれる少なくと
も1種の金属の酸化物超微粒子が好ましく、具体例とし
ては、ZrO2、TiO2、Al23、In23、Zn
O、SnO2、Sb23、ITO等が挙げられる。これ
らの中でも、特にZrO2が好ましく用いられる。高屈
折率のモノマーや金属酸化物超微粒子の添加量は、透光
性樹脂の全質量の10〜90質量%であることが好まし
く、20〜80質量%であると更に好ましい。
【0030】透光性樹脂と透明基材フィルムが接する場
合、透光性樹脂を形成するための塗布液の溶剤は、防眩
性の発現および支持体と防眩層間との密着性の両立を図
るために、透明基材フィルム(例えばトリアセチルセル
ロース支持体)を溶解する少なくとも一種類以上の溶剤
と、透明基材フィルムを溶解しない少なくとも一種類以
上の溶剤から構成する。より好ましくは、透明基材フィ
ルムを溶解しない溶剤のうちのすくなくとも一種類が、
透明基材フィルムを溶解する溶剤うちの少なくとも一種
類よりも高沸点であることが好ましい。さらに好ましく
は、透明基材フィルムを溶解しない溶剤のうち最も沸点
の高い溶剤と、透明基材フィルムを溶解する溶剤のう
ち、最も沸点の高い溶剤との沸点温度差が30℃以上で
あることであり、最も好ましくは50℃以上であること
である。
【0031】透明基材フィルム(好ましくはトリアセチ
ルセルロース)を溶解する溶剤として、炭素子数が3〜
12のエーテル類:具体的には、ジブチルエーテル、ジ
メトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタ
ン、プロピレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3
−ジオキソラン、1,3,5−トリオキサン、テトラヒド
ロフラン、アニソールおよびフェネトール等、炭素数が
3〜12のケトン類:具体的には、アセトン、メチルエ
チルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイ
ソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノ
ン、メチルシクロヘキサノン、およびメチルシクロヘキ
サノン等、炭素数が3〜12のエステル類:具体的に
は、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢
酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオ
ン醸エチル、酢酸n−ペンチル、およびγ−プチロラク
トン等、
【0032】2種類以上の官能基を有する有機溶媒:具
体的には、2−メトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸
メチル、2−エトキシ酢酸エチル、2−エトキシプロピ
オン酸エチル、2−メトキシエタノール、2−プロポキ
シエタノール、2−ブトキシエタノール、1,2−ジア
セトキシアセトン、アセチルアセトン、ジアセトンアル
コール、アセト酢酸メチル、およびアセト酢酸エチル等
が挙げられる。これらは1種単独であるいは2種以上を
組み合わせて用いることができる。
【0033】透明基材フィルム(好ましくはトリアセチ
ルセルロース)を溶解しない溶剤として、メタノール、
エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1
−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノー
ル、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、
シクロヘキサノール、酢酸イソブチル、メチルイソブチ
ルケトン、2−オクタノン、2−ペンタノン、2−ヘキ
サノン、2−ヘプタノン、3−ペンタノン、3−ヘプタ
ノン、4−ヘプタノンが挙げられる。これらは1種単独
であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ
る。
【0034】透明基材フィルムを溶解する溶剤の総量
(A)と透明基材フィルムを溶解しない溶剤の総量
(B)の質量割合(A/B)は、5/95〜50/50
が好ましく、より好ましくは10/90〜40/60で
あり、さらに好ましく15/85〜30/70である。
【0035】上記のような電離放射線硬化型樹脂組成物
の硬化方法としては、前記電離放射線硬化型樹脂組成物
の通常の硬化方法、即ち、電子線又は紫外線の照射によ
って硬化することができる。
【0036】例えば、電子線硬化の場合には、コックロ
フワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア
変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各
種電子線加速器から放出される50〜1000KeV、
好ましくは100〜300KeVのエネルギーを有する
電子線等が使用され、紫外線硬化の場合には超高圧水銀
灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノ
ンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫
外線等が利用できる。
【0037】[低屈折率層]低屈折率層は、反射防止能付
与する目的で、支持体上に光拡散層を設けた側の最外層
に反射防止層として設けられる。低屈折率層の屈折率
は、上述のとおり好ましくは1.35〜1.45であ
る。低屈折率層の屈折率は、下記数式(I)を満すこと
が好ましい。 (mλ/4)×0.7<n11<(mλ/4)×1.3 ……数式(I) 式中、mは正の奇数(一般に1)であり、n1は低屈折
率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚
(nm)である。また、λは可視光線の波長であり、4
50〜650(nm)の範囲の値である。なお、上記数
式(I)を満たすとは、上記波長の範囲において数式
(I)を満たすm(正の奇数、通常1である)が存在す
ることを意味している。低屈折率層を設置する方法とし
ては、蒸着、スパッタ、CDDおよび塗布による方法が
好ましく用いられる。塗布法にはゾルーゲル法、および
下記に示す硬化法があげられる。
【0038】本発明の低屈折率層には、熱硬化性または
電離放射線硬化型の架橋性含フッ素化合物が硬化した含
フッ素樹脂が用いられる。これにより、フッ化マグネシ
ウムやフッ化カルシウムを用いた低屈折率層に比べ、最
外層として用いても耐傷性に優れている。熱硬化性また
は電離放射線硬化型の架橋性含フッ素化合物の屈折率と
しては1.35以上1.45以下が好ましい。硬化した
含フッ素樹脂の動摩擦係数は、好ましくは0.03〜
0.15、水に対する接触角は好ましくは90〜120
度である。このような架橋性含フッ素化合物としては、
パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘ
プタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)ト
リエトキシシラン)等の他、含フッ素モノマーと架橋性
基付与のためのモノマーを構成単位とする含フッ素共重
合体が挙げられる。
【0039】含フッ素モノマー単位の具体例としては、
例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレ
ン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレ
ン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレ
ン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキ
ソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ
素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6F
M(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)
等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等であ
る。
【0040】架橋性基付与のためのモノマーとしてはグ
リシジルメタクリレートのように分子内にあらかじめ架
橋性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーの
他、カルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スル
ホン酸基等を有する(メタ)アクリレートモノマー(例
えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレ
ート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリ
ルアクリレート等)が挙げられる。後者は共重合の後、
架橋構造を導入できることが特開平10−25388号
公報および特開平10−147739号公報により開示
されている。
【0041】また、低屈折率層には、上記含フッ素モノ
マーと架橋性基付与のためのモノマーとの共重合体だけ
でなく、これにその他のモノマーが共重合したポリマー
を用いてもよい。共重合してもよいその他のモノマーに
は特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プ
ロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン
等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチ
ルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸
メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エ
チレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導
体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α
−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニ
ルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類
(N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘ
キシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アク
リロ二トリル誘導体等を挙げることができる。
【0042】低屈折率層に用いる含フッ素樹脂には、耐
傷性を付与するために、平均粒径が好ましくは0.1μ
m以下、より好ましくは0.001〜0.05μmのS
iの酸化物超微粒子を添加して用いるのが好ましい。反
射防止性の観点からは屈折率が低いほど好ましいが、含
フッ素樹脂の屈折率を下げていくと耐傷性が悪化する。
そこで、含フッ素樹脂の屈折率とSiの酸化物超微粒子
の添加量を最適化することにより、耐傷性と低屈折率の
バランスの最も良い点を見出すことができる。Siの酸
化物超微粒子としては、市販の有機溶剤に分散されたシ
リカゾルをそのまま塗布液に添加しても、市販の各種シ
リカ紛体を有機溶剤に分散して使用してもよい。
【0043】本発明の反射防止フイルムは、トリアセチ
ルセルロース(TAC)あるいはポリエチレンテレフタ
レート(PET)のいずれかに対して常温常湿で測定し
た垂直剥離帯電が−200pc(ピコクーロン)/cm
2〜+200pc(ピコクーロン)/cm2であることが
好ましい。より好ましくは−100pc/cm〜+10
0pc/cm2であり、さらに好ましくは−50pc/
cm2〜+50pc/cm2であり、最も好ましくは0p
c/cm2である。ここで、単位のpc(ピコクーロ
ン)は、10-12クーロンである。さらに好ましくは、
常温10%RHで測定した垂直剥離帯電が−100pc
/cm2〜+100pc/cm2であり、さらに好ましく
は−50pc/cm2〜+50pc/cm2であり、最も
好ましくは0pc/cm2である。
【0044】垂直剥離帯電の測定方法は以下の通りであ
る。測定サンプルはあらかじめ測定温度湿度の環境下で
2時間以上放置しておく。測定装置は測定サンプルを置
く台と相手のフイルムを保持して測定サンプルに上から
圧着と剥離を繰り返せるヘッドからなり、このヘッドに
帯電量を測定するエレクトロメーターがつながってい
る。測定する防眩性反射防止フイルムを台に乗せ、ヘッ
ドにTACあるいはPETを装着する。測定部分を除電
したのち、ヘッドを測定サンプルに圧着させ剥離させる
ことを繰り返し、1回目の剥離時と5回目の剥離時の帯
電の値を読み、これを平均する。サンプルを変えて3サ
ンプルでこれを繰り返し、全てを平均したものを垂直剥
離帯電とする。
【0045】相手フイルムや測定サンプルの種類によっ
てプラスに帯電する場合とマイナスに帯電する場合があ
るが、問題となるのは絶対値の大きさである。また、一
般的に低湿度の環境下の方が帯電の絶対値は大きくな
る。本発明の防眩性反射防止フィルムはこの絶対値も小
さい。
【0046】本発明の反射防止フィルムは、常温常湿及
び常温10%RHでの垂直剥離帯電の絶対値が小さいの
で防塵性に優れる。垂直剥離帯電の値を上記の範囲とす
るには、反射防止フィルム表面の各種元素の割合を調節
することによって行われる。
【0047】本発明の反射防止フイルムの表面抵抗値
は、1×1011Ω/□以上、好ましくは1×1012Ω/
□以上である。表面抵抗値の測定方法はJISに記載さ
れている円電極法である。即ち、電圧印加後、1分後の
電流値を読み、表面抵抗値(SR)を求める。本発明で
は、表面抵抗値を小さくすること、例えば1×1010Ω
/□以下にすることで防塵性(ゴミ付着防止性)を良く
する方法とは考え方が根本的に異なる。この方法は画像
表示品位が落ちるため採用せず、本発明では上記した方
法で垂直剥離帯電の絶対値を小さくしているので、表面
抵抗値を小さくする必要がなく、表面抵抗値を1×10
11Ω/□以上とすることができ画像表示品位が落ちな
い。
【0048】本発明の反射防止フィルムは、5度入射に
おける鏡面反射率の450nmから650nmまでの波
長領域での平均値が2.5%以下であり、1.5%以下
が好ましく、より好ましくは1.4%以下である。
【0049】上記5度入射における鏡面反射率、および
5度入射におけるについて説明する。5度入射における
鏡面反射率は、サンプルの法線方向+5度から入射した
光に対する法線方向−5度で反射した光の強度の割合で
あり、背景の鏡面反射による映り込みの尺度になる。防
眩性反射防止フィルムに適用する場合には、防眩性付与
のために設けた表面凹凸に起因する散乱光の分だけ、法
線方向−5度で反射した光の強度は弱くなる。従って、
鏡面反射率は防眩性と反射防止性の両方の寄与を反映す
る測定法といえる。
【0050】反射防止フィルムの5度入射における鏡面
反射率の450nmから650nmまでの波長領域での
平均値が2.5%を越えると、背景の映り込みが気にな
り、表示装置の表面フィルムに適用したときの視認性が
低下する。
【0051】本発明の反射防止フィルムは、CIE標準
光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味が、C
IE1976L*a*b*色空間のL*、a*、b*値
で定量化したときに、それぞれL*≦10、0≦a*≦
2、−5≦b*≦2の範囲内に入るように設計されてい
ることが好ましい。これを満たす正反射光の色味はニュ
ートラルな色味である。CIE標準光源D65の5度入
射光に対する正反射光の色味は、5度入射における波長
380nmから780nmの領域における鏡面反射率の
実測値と光源D65の各波長における分光分布の積を算
出して得られた分光反射スペクトルから、CIE197
6L*a*b*色空間のL*値、a*値、b*値をそれ
ぞれ算出することで定量化することができる。L*値が
10より大きいと、反射防止性が十分でない。a*値が
2より大きいと反射光の赤むらさき色が強く、0未満で
は逆に緑色が強くなり好ましくない。また、b*値が−
5未満では青味が強く、2より大きいと黄色が強くなり
好ましくない。
【0052】このようなニュートラルな色味の反射光を
有し、且つ低反射率を有する反射防止フィルムは、低屈
折率層の屈折率と防眩層のバインダ素材の屈折率のバラ
ンスを最適化することで得られる。一般に3層以上の蒸
着、スパッタ等による光学薄膜による反射防止膜は、鏡
面反射率の平均値を0.3%以下まで低減でき、従って
L*値も3以下にまで低減できるが、a*値が10以
上、b*値が−10未満の値となり、反射光の色味が非
常に強いものとなっていたが、本発明の防眩性反射防止
フィルムではこの反射光の色味の点で大幅に改善されて
いる。
【0053】<透明基材>透明基材の素材としては、透
明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガ
ラスがある。透明樹脂フィルムとしては、トリアセチル
セルロース(TAC)フィルム、ポリエチレンテレフタ
レート(PET)フィルム、ジアセチレンセルロースフ
ィルム、アセテートブチレートセルロースフィルム、ポ
リエーテルサルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィ
ルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィ
ルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィル
ム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィル
ム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニ
トリルフィルム等が使用できる。又、厚さは通常25μ
m〜1000μm程度とする。本発明の透明基材として
は、偏光板の最表面に用いるため、偏光板の保護フィル
ムとして一般に用いられているセルロースアセテートフ
ィルムを使用する事が好ましい。以降、透明性が高く、
表面が平滑で本発明の光散乱フィルムの透明基材フィル
ムに特に好ましく使用出来るセルロースアセテートフィ
ルムに関し、説明する。
【0054】<高透明度、高平滑セルロースアセテート
フィルム>本発明では、酢化度が59.0乃至61.5
%であるセルロースアセテートを使用する。酢化度と
は、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味す
る。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロー
スアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定
および計算に従う。セルロースエステルの粘度平均重合
度(DP)は、250以上であることが好ましく、29
0以上であることがさらに好ましい。また、本発明に使
用するセルロースエステルは、ゲルパーミエーションク
ロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは重量平均分
子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが
好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0乃
至1.7であることが好ましく、1.3乃至1.65で
あることがさらに好ましく、1.4乃至1.6であるこ
とが最も好ましい。
【0055】一般に、セルロースアシレートの2,3,
6の水酸基は全体の置換度の1/3づつに均等に分配さ
れるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾
向がある。本発明ではセルロースアシレートの6位水酸
基の置換度が、2,3位に比べて多いほうが好ましい。
全体の置換度に対して6位の水酸基が32%以上アシル
基で置換されていることが好ましく、更には33%以
上、特に34%以上であることが好ましい。さらにセル
ロースアシレートの6位アシル基の置換度が0.88以
上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以
外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブ
チロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイ
ル基などで置換されていてもよい。各位置の置換度の測
定は、NMRによって求める事ができる。本発明のセル
ロースアシレートとして、公開特許公報 特開平11−
5851記載の「0043」〜「0044」「実施例」
[合成例1]、「0048」〜「0049」[合成例
2]、「0051」〜「0052」[合成例3]の方法
で得られたセルロースアセテートを用いることができ
る。
【0056】[セルロースアセテートフイルムの製造]
セルロースアセテートフイルムはソルベントキャスト法
により製造することが好ましい。ソルベントキャスト法
では、セルロースアセテートを有機溶媒に溶解した溶液
(ドープ)を用いてフイルムを製造する。有機溶媒は、
炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃
至12のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステルお
よび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素から選
ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトンお
よびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテ
ル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O
−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上
有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。
有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を
有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶
媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有す
る化合物の規定範囲内であればよい。
【0057】炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例
には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジ
メトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキ
ソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネ
トールが含まれる。炭素原子数が3乃至12のケトン類
の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメ
チルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3乃至
12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピ
ルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテー
ト、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含ま
れる。
【0058】二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例
には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエ
タノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。ハ
ロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であるこ
とが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン
化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。
ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換され
ている割合は、25乃至75モル%であることが好まし
く、30乃至70モル%であることがより好ましく、3
5乃至65モル%であることがさらに好ましく、40乃
至60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロ
リドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。二種類以
上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0059】一般的な方法でセルロースアセテート溶液
を調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常
温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調
製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調
製方法および装置を用いて実施することができる。な
お、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化
炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ま
しい。セルロースアセテートの量は、得られる溶液中に
10乃至40質量%含まれるように調整する。セルロー
スアセテートの量は、10乃至30質量%であることが
さらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する
任意の添加剤を添加しておいてもよい。溶液は、常温
(0乃至40℃)でセルロースアセテートと有機溶媒と
を攪拌することにより調製することができる。高濃度の
溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体
的には、セルロースアセテートと有機溶媒とを加圧容器
に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以
上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪
拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好まし
くは60乃至200℃であり、さらに好ましくは80乃
至110℃である。
【0060】各成分は予め粗混合してから容器に入れて
もよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌
できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の
不活性気体を注入して容器を加圧することができる。ま
た、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。
あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加しても
よい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好
ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いる
ことができる。また、容器の外部にプレートヒーターを
設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を
加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、こ
れを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の
壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端に
は、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けるこ
とが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を
設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。
調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるい
は、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0061】冷却溶解法により、溶液を調製することも
できる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させ
ることが困難な有機溶媒中にもセルロースアセテートを
溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセル
ロースアセテートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶
解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果があ
る。冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロ
ースアセテートを撹拌しながら徐々に添加する。セルロ
ースアセテートの量は、この混合物中に10乃至40質
量%含まれるように調整することが好ましい。セルロー
スアセテートの量は、10乃至30質量%であることが
さらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の
添加剤を添加しておいてもよい。
【0062】次に、混合物を−100乃至−10℃(好
ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50
乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に
冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール
浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液
(−30乃至−20℃)中で実施できる。このように冷
却すると、セルロースアセテートと有機溶媒の混合物は
固化する。冷却速度は、4℃/分以上であることが好ま
しく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12
℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速
いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限で
あり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして1
00℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、
冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷
却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間
で割った値である。
【0063】さらに、これを0乃至200℃(好ましく
は0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、
最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒
中にセルロースアセテートが溶解する。昇温は、室温中
に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。加
温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/
分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上で
あることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好まし
いが、10000℃/秒が理論的な上限であり、100
0℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が
実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始す
る時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始して
から最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値で
ある。以上のようにして、均一な溶液が得られる。な
お、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り
返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視によ
り溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
【0064】冷却溶解法においては、冷却時の結露によ
る水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ま
しい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、
加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができ
る。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を
用いることが望ましい。なお、セルロースアセテート
(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷
却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量
%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、3
3℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在
し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、
この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移
温度プラス10℃程度の温度で保する必要がある。ただ
し、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢
化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒に
より異なる。
【0065】調製したセルロースアセテート溶液(ドー
プ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアセ
テートフイルムを製造する。ドープは、ドラムまたはバ
ンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成す
る。流延前のドープは、固形分量が18乃至35%とな
るように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたは
バンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好まし
い。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法
については、米国特許2336310号、同23676
03号、同2492078号、同2492977号、同
2492978号、同2607704号、同27390
69号、同2739070号、英国特許640731
号、同736892号の各明細書、特公昭45−455
4号、同49−5614号、特開昭60−176834
号、同60−203430号、同62−115035号
の各公報に記載がある。ドープは、表面温度が10℃以
下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。
流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好まし
い。得られたフイルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取
り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高
温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以
上の方法は、特公平5−17844号公報に記載があ
る。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を
短縮することが可能である。この方法を実施するために
は、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてド
ープがゲル化することが必要である。
【0066】調製したセルロースアシレート溶液(ドー
プ)を用いて2層以上の流延でフィルム化することも出
来る。この場合、ソルベントキャスト法によりセルロー
スアシレートフイルムを作製することが好ましい。ドー
プは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させ
てフイルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が
10〜40%となるように濃度を調整することが好まし
い。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げて
おくことが好ましい。
【0067】2層以上の複数のセルロースアシレート液
を流延する場合、複数のセルロースアシレート溶液を流
延することが可能で、支持体の進行方向に間隔を置いて
設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶
液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製
してもよく、例えば特開昭61−158414号、特開
平1−122419号、特開平11−198285号、
などに記載の方法が適応できる。また、2つの流延口か
らセルロースアシレート溶液を流延することによっても
フィルム化することでもよく、例えば特公昭60−27
562号、特開昭61−94724号、特開昭61−9
47245号、特開昭61−104813号、特開昭6
1−158413号、特開平6−134933号、に記
載の方法で実施できる。また、特開昭56−16261
7号に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを
低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その
高,低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出す
セルロースアシレートフィルム流延方法でもよい。
【0068】或いはまた2個の流延口を用いて、第一の
流延口により支持体に成型したフィルムを剥ぎ取り、支
持体面に接していた側に第二の流延を行なうことでよ
り、フィルムを作製することでもよく、例えば特公昭4
4−20235号に記載されている方法である。流延す
るセルロースアシレート溶液は同一の溶液でもよいし、
異なるセルロースアシレート溶液でもよく特に限定され
ない。複数のセルロースアシレート層に機能を持たせる
ために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液
を、それぞれの流延口から押出せばよい。さらにセルロ
ースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、
染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収
層、偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。
【0069】単層液では、必要なフィルム厚さにするた
めには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶液を押
出すことが必要であり、その場合セルロースアシレート
溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となっ
たり、平面性が不良であったりして問題となることが多
い。この解決として、複数のセルロースアシレート溶液
を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時
に支持体上に押出すことができ、平面性も良化し優れた
面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセル
ロースアシレート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化
が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることがで
きる。
【0070】セルロースアセテートフイルムには、機械
的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するため
に、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、
リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられ
る。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェ
ート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TC
P)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル
酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フ
タル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DM
P)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレ
ート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジ
フェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシル
フタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステル
の例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACT
E)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACT
B)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例に
は、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、
セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが
含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DE
P、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用
いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。可塑剤
の添加量は、セルロースエステルの量の0.1乃至25
質量%であることが好ましく、1乃至20質量%である
ことがさらに好ましく、3乃至15質量%であることが
最も好ましい。
【0071】セルロースアセテートフイルムには、劣化
防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁
止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加して
もよい。劣化防止剤については、特開平3−19920
1号、同5−1907073号、同5−194789
号、同5−271471号、同6−107854号の各
公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶
液(ドープ)の0.01乃至1質量%であることが好ま
しく、0.01乃至0.2質量%であることがさらに好
ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防
止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%
を越えると、フイルム表面への劣化防止剤のブリードア
ウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好まし
い劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエ
ン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げる
ことができる。
【0072】[セルロースアセテートフイルムの表面処
理]セルロースアセテートフイルムは、表面処理を施す
ことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処
理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理
または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−
333433号明細書に記載のように、下塗り層を設け
ることも好ましく利用される。フィルムの平面性を保持
する観点から、これら処理においてセルロースアセテー
トフイルムの温度をTg以下、具体的には150℃以下
とすることが好ましい。偏光板の透明保護膜として使用
する場合、偏光膜との接着性の観点から、酸処理または
アルカリ処理、すなわちセルロースアセテートに対する
ケン化処理を実施することが特に好ましい。表面エネル
ギーは55mN/m以上であることが好ましく、60m
N/m以上75mN/m以下であることが更に好まし
い。
【0073】以下、アルカリ鹸化処理を例に、具体的に
説明する。フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、
酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われ
ることが好ましい。アルカリ溶液としては、水酸化カリ
ウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イ
オンの規定濃度は0.1N乃至3.0Nであることが好
ましく、0.5N乃至2.0Nであることがさらに好ま
しい。アルカリ溶液温度は、室温乃至90℃の範囲が好
ましく、40℃乃至70℃がさらに好ましい。生産性の
観点から、アルカリ液を塗布し、鹸化処理後に水洗によ
りフィルム表面よりアルカリ除去する事が好ましい。濡
れ性の観点から、塗布溶媒としてはIPA、n−ブタノ
ール、メタノール、エタノール等のアルコール類が好ま
しく、アルカリ溶解の助剤として水、プロピレングリコ
ール、エチレングリコール、等を加える事が好ましく用
いられる。固体の表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応
用」(リアライズ社 1989.12.10発行)に記
載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求
めることができる。本発明のセルロースアセテートフィ
ルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。具体的
には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセルロ
ースアセテートフィルムに滴下し、液滴の表面とフィル
ム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム
表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、
計算によりフィルムの表面エネルギーを算出出来る。
【0074】<液晶化合物からなる光学異方性層> [液晶性化合物]本発明に用いられる液晶化合物は、棒状
液晶でも、ディスコティック液晶でも良く、またそれら
が高分子液晶、もしくは低分子液晶、さらには、低分子
液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含む。本
発明の液晶性化合物として最も好ましいのは、ディスコ
ティック液晶である。
【0075】棒状液晶の好ましい例としては、特開20
00−304932号公報に記載のものがあげられる。
本発明のディスコティック液晶の例としては、C.De
stradeらの研究報告、Mol.Cryst.71
巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン
誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.
Cryst.122巻、141頁(1985年)、Ph
ysics lett,A,78巻、82頁(199
0)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohn
eらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70
頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及
びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Co
mmun.,1794頁(1985年)、J.Zhan
gらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116
巻、2655頁(1994年)に記載されているアザク
ラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを
挙げることができる。上記ディスコティック液晶は、一
般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基
やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖
として放射線状に置換された構造であり、液晶性を示
す。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向
を付与できるものであれば上記記載に限定されるもので
はない。また、本発明において、円盤状化合物から形成
したとは、最終的にできた物が前記化合物である必要は
なく、例えば、前記低分子ディスコティツク液晶が熱、
光等で反応する基を有しており、結果的に熱、光等で反
応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失っ
たものも含まれる。上記ディスコティック液晶の好まし
い例は特開平8−50206号公報に記載されている。
【0076】本発明において光学異方層は、ディスコテ
ィック構造単位を有する化合物からなる負の複屈折を有
する層であって、そしてディスコティック構造単位の面
が、透明支持体面に対して傾き、且つ該ディスコティッ
ク構造単位の面と透明支持体面とのなす角度が、光学異
方層の深さ方向に変化していることが好ましい。
【0077】上記ディスコティック構造単位の面の角度
(傾斜角)は、一般に、光学異方層の深さ方向でかつ光
学異方層の底面からの距離の増加と共に増加または減少
している。上記傾斜角は、距離の増加と共に増加するこ
とが好ましい。更に、傾斜角の変化としては、連続的増
加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加
と連続的減少を含む変化、及び増加及び減少を含む間欠
的変化等を挙げることができる。間欠的変化は、厚さ方
向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。傾斜
角は、変化しない領域を含んでいても、全体として増加
または減少していることが好ましい。更に、傾斜角は全
体として増加していることが好ましく、特に連続的に変
化することが好ましい。
【0078】上記光学異方層は、一般にディスコティッ
ク化合物及び他の化合物を溶剤に溶解した溶液を配向膜
上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチッ
ク相形成温度まで加熱し、その後配向状態(ディスコテ
ィックネマチック相)を維持して冷却することにより得
られる。あるいは、上記光学異方層は、ディスコティッ
ク化合物及び他の化合物(更に、例えば重合性モノマ
ー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に
塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相
形成温度まで加熱したのち重合させ(UV光の照射等に
より)、さらに冷却することにより得られる。本発明に
用いるディスコティック液晶性化合物のディスコティッ
クネマティック液晶相−固相転移温度としては、70〜
300℃が好ましく、特に70〜170℃が好ましい。
【0079】例えば、支持体側のディスコティック単位
の傾斜角は、一般にディスコティック化合物あるいは配
向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理
方法の選択することにより、調整することができる。ま
た、表面側(空気側)のディスコティック単位の傾斜角
は、一般にディスコティック化合物あるいはディスコテ
ィック化合物とともに使用する他の化合物(例、可塑
剤、界面活性剤、重合性モノマー及びポリマー)を選択
することにより調整することができる。更に、傾斜角の
変化の程度も上記選択により調整することができる。
【0080】上記可塑剤、界面活性剤及び重合性モノマ
ーとしては、ディスコティック化合物と相溶性を有し、
液晶性ディスコティック化合物の傾斜角の変化を与えら
れるか、あるいは配向を阻害しない限り、どのような化
合物も使用することができる。これらの中で、重合性モ
ノマー(例、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル
基及びメタクリロイル基を有する化合物)が好ましい。
上記化合物は、ディスコティック化合物に対して一般に
1〜50質量%(好ましくは5〜30質量%)の量にて
使用される。更に、好ましい重合性モノマーの例として
は、多官能アクリレートが挙げられる。官能基の数は3
官能以上が好ましく、4官能以上が更に好ましい。最も
好ましいのは6官能モノマーである。6官能モノマーの
好ましい例としては、ジペンタエリストリトールヘキサ
アクリレートが挙げられる。また、これら官能基数の異
なる多官能モノマーを混合して使用することも可能であ
る。
【0081】上記ポリマーとしては、ディスコティック
化合物と相溶性を有し、液晶性ディスコティック化合物
に傾斜角の変化を与えられる限り、どのようなポリマー
でも使用することができる。ポリマー例としては、セル
ロースエステルを挙げることができる。セルロースエス
テルの好ましい例としては、セルロースアセテート、セ
ルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピ
ルセルロース及びセルロースアセテートブチレートを挙
げることができる。上記ポリマーは、液晶性ディスコテ
ィック化合物の配向を阻害しないように、ディスコティ
ック化合物に対して一般に0.1〜10質量%(好まし
くは0.1〜8質量%、特に0.1〜5質量%)の量に
て使用される。本発明では、セルロースアセテートフィ
ルム、その上に設けられた配向膜及び配向膜上に形成さ
れたディスコティック液晶からなり、配向膜が架橋され
たポリマーからなるラビング処理された膜であることが
好ましい。
【0082】[配向膜]本発明の配向膜は、架橋された2
種のポリマーからなる層である。少なくとも1種のポリ
マーが、それ自体架橋可能なポリマーであっても、架橋
剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することが
できる。上記配向膜は、官能基を有するポリマーあるい
はポリマーに官能基を導入したものを、光、熱、PH変
化等により、ポリマー間で反応させて形成するか;ある
いは、反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてポリ
マー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、ポリマー
間を架橋することにより形成することができる。
【0083】このような架橋は、通常上記ポリマーまた
はポリマーと架橋剤の混合物を含む塗布液を、透明支持
体上に塗布したのち、加熱等を行なうことにより実施さ
れるが、最終商品の段階で耐久性が確保できれば良いの
で、配向膜を透明支持体上に塗設した後から、最終の光
学補償シートを得るまでのいずれの段階で架橋させる処
理を行なっても良い。配向膜上に形成される円盤状構造
を有する化合物(光学異方層)の配向性を考えると、円
盤状構造を有する化合物の配向させたのちに、充分架橋
を行なうことも好ましい。すなわち、透明支持体上に、
ポリマー及び該ポリマーを架橋することができる架橋剤
を含む塗布液を塗布した場合、加熱乾燥した後(一般に
架橋が行なわれるが、加熱温度が低い場合にはディスコ
ティックネマチック相形成温度に加熱された時に更に架
橋が進む)、ラビング処理を行なって配向膜を形成し、
次いでこの配向膜上に円盤状構造単位を有する化合物を
含む塗布液を塗布し、ディスコティックネマチック相形
成温度以上に加熱した後、冷却して光学異方層を形成す
る。
【0084】本発明の配向膜に使用されるポリマーは、
それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋
されるポリマーのいずれも使用することができる。勿論
両方可能なポリマーもある。上記ポリマーの例として
は、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリ
ル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポ
リビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール、ポ
リ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニ
ルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、
ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフ
ィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビ
ニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボ
キシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン
及びポリカーボネート等のポリマー及びシランカップリ
ング剤等の化合物を挙げることができる。好ましいポリ
マーの例としては、ポリ(N−メチロールアクリルアミ
ド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビ
ルアルコール及び変性ポリビニルアルコール等の水溶性
ポリマーであり、さらにゼラチン、ポリビルアルコール
及び変性ポリビニルアルコールが好ましく、特にポリビ
ルアルコール及び変性ポリビニルアルコールを挙げるこ
とができる。
【0085】上記ポリマーの中で、ポリビニルアルコー
ル又は変性ポリビニルアルコールが好ましく、重合度の
異なるポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコ
ールを2種類併用することが最も好ましい。ポリビニル
アルコールとしては、例えば鹸化度70〜100%のも
のであり、一般に鹸化度80〜100%のものであり、
より好ましくは鹸化度85乃至95%のものである。重
合度としては、100〜3000のも範囲が好ましい。
変性ポリビニルアルコールとしては、共重合変性したも
の(変性基として、例えば、COONa、Si(OX)
3 、N(CH33 ・Cl、C9 、H19COO、SO
3 、Na、C1225等が導入される)、連鎖移動により
変性したもの(変性基として、例えば、COONa、S
H、C1225等が導入されている)、ブロック重合によ
る変性をしたもの(変性基として、例えば、COOH、
CONH2、COOR、C65等が導入される)等のポ
リビニルアルコールの変性物を挙げることができる。こ
れらの中で、鹸化度80〜100%の未変性乃至変性ポ
リビニルアルコールであり、より好ましくは鹸化度85
乃至95%の未変性ないしアルキルチオ変性ポリビニル
アルコールである。これら変性ポリマーの合成方法、可
視吸収スペクトル測定、および導入率yの決定方法等
は、特開平8−338913号公報に詳しく記載があ
る。
【0086】上記ポリビニルアルコール等のポリマーと
共に使用される架橋剤の具体例として、下記のものを挙
げることができるが、これらは上記水溶性ポリマー、特
にポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール
(上記特定の変性物も含む)、と併用する場合に好まし
い。例えば、アルデヒド類(例、ホルムアルデヒド、グ
リオキザール及びグルタルアルデヒド)、N−メチロー
ル化合物(例、ジメチロール尿素及びメチロールジメチ
ルヒダントイン)、ジオキサン誘導体(例、2,3−ジ
ヒドロキシジオキサン)、カルボキシル基を活性化する
ことにより作用する化合物(例、カルベニウム、2−ナ
フタレンスルホナート、1,1−ビスピロリジノ−1−
クロロピリジニウム及び1−モルホリノカルボニル−3
−(スルホナトアミノメチル))、活性ビニル化合物
(例、1、3、5−トリアクロイル−ヘキサヒドロ−s
−トリアジン、ビス(ビニルスルホン)メタン及びN,
N'−メチレンビス−[βー(ビニルスルホニル)プロ
ピオンアミド])、活性ハロゲン化合物(例、2,4−
ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジン)、イソオ
キサゾール類、及びジアルデヒド澱粉、などを上げるこ
とができる。これらは、単独または組合せて用いること
ができる。生産性を考慮した場合、反応活性の高いアル
デヒド類、とりわけグルタルアルデヒドの使用が好まし
い。
【0087】架橋剤としては、特に限定はなく、添加量
は、耐湿性に関しては、多く添加した方が良化傾向にあ
る。しかし、配向膜としての配向能が、ポリマーに対し
て50質量%以上添加した場合に低下することから、
0.1〜20質量%が好ましく、特に0.5〜15質量
%が好ましい。本発明の配向膜は、架橋反応が終了した
後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいる
が、その架橋剤の量は、配向膜中に1.0質量%以下で
あることが好ましく、特に0.5質量%以下であること
が好ましい。配向膜中に1.0質量を超える量で架橋剤
が含まれていると、充分な耐久性が得られない。即ち、
液晶表示装置に使用した場合、長期使用、あるいは高温
高湿の雰囲気下に長期間放置した場合に、レチキュレー
ションが発生することがある。
【0088】配向膜は、基本的に、配向膜形成材料であ
る、上記ポリマー、架橋剤を含む透明支持体上に塗布し
た後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理すること
により形成することができ、架橋反応は、前記のよう
に、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なって
も良い。そして、前記のポリビニルアルコール等の水溶
性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗
布液は消泡作用のあるメタノール等の有機溶媒と水の混
合溶媒とすることが好ましく、その比率は質量比で水:
メタノールが0:100〜99:1が一般的であり、
0:100〜91:9であることが好ましい。これによ
り、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方層の
層表面の欠陥が著しく減少する。塗布方法としては、ス
ピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテ
ンコーティング法、エクストルージョンコーティング
法、バーコーティング法及びE型塗布法を挙げることが
できる。特にE型塗布法が好ましい。また、膜厚は0.
1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は20℃ないし11
0℃で行なうことができる。充分な架橋を形成させるた
めには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜10
0℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうこ
とができる。好ましくは5分間乃至30分間である。p
Hも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ま
しく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.
5〜5.5で、特に5が好ましい。
【0089】配向膜は、透明支持体上又は上記下塗層上
に設けられる。配向膜は、上記のようにポリマー層を架
橋したのち、表面をラビング処理することにより得るこ
とができる。配向膜は、その上に設けられる液晶性ディ
スコティック化合物の配向方向を規定するように機能す
る。
【0090】前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処
理工程として広く採用されている処理方法を利用するこ
とができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェ
ルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを
用いて一定方向に擦ることにより配向を得る方法を用い
ることができる。一般的には、長さ及び太さが均一な繊
維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビング
を行うことにより実施される。
【0091】<液晶化合物からなる光学異方性層を塗設
する透明支持体>該透明支持体は、高透過率なプラステ
ィックフィルムであれば特に制限はないが、偏光板の保
護フィルムであるセルロースアセテートを用いることが
好ましい。光学的に1軸性でも二軸性であってもよい。
光学異方性層を塗設する透明支持体は、それ自身が光学
的に重要な役割を果たすため、本発明の透明支持体のR
eレターデーション値を0乃至200nmであり、そし
て、Rthレターデーション値が70乃至400nmに調
節される事が好ましい。液晶表示装置に二枚の光学的異
方性セルロースアセテートフイルムを使用する場合、フ
イルムのRthレターデーション値は70乃至250nm
であることが好ましい。液晶表示装置に一枚の光学的異
方性セルロースアセテートフイルムを使用する場合、フ
イルムのRthレターデーション値は150乃至400n
mであることが好ましい。なお、セルロースアセテート
フイルムの複屈折率(Δn:nx−ny)は、0.00
乃至0.002であることが好ましい。また、セルロー
スアセテートフイルムの厚み方向の複屈折率{(nx+
ny)/2−nz}は、0.001乃至0.04である
ことが好ましい。レターデーション値(Re)は、下記
式に従って算出する。 レターデーション値(Re)=(nx−ny)×d 式中、nxは、位相差板の面内の遅相軸方向の屈折率
(面内の最大屈折率)であり;nyは、位相差板の面内
の遅相軸に垂直な方向の屈折率である。 (II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d 式(II)には、フイルム面内の遅相軸方向(屈折率が最
大となる方向)の屈折率である。nyは、フイルム面内
の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率であ
る。nzは、フイルムの厚み方向の屈折率である。d
は、単位をnmとするフイルムの厚さである。
【0092】[偏光板]偏光板は、偏光膜およびその両
側に配置された二枚の透明保護膜からなる。一方の保護
膜として、上記の反射防止フイルムを用いることができ
る。他方の保護膜は、通常のセルロースアセテートフイ
ルムを用いてもよい。本発明の反射防止フィルムを偏光
膜の片側の保護フィルムとして使用し、更に液晶性化合
物からなる光学異方性層をこの順で積層した偏光板も好
ましい。液晶性化合物からなる光学異方性層は透明支持
体上に設け、その透明支持体を偏光膜側に用いることが
好ましい。反射防止フィルムと偏光膜、偏光膜と光学異
方性層支持体の積層に際しては周知の粘着剤、接着剤
(例えばポリビニルアルコール系)を用いたり、その前
にケン化処理等を行ってもよい。偏光膜には、ヨウ素系
偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系
偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、
一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて製造す
る。
【0093】本発明の反射防止フイルムの遅相軸と偏光
膜の透過軸とは、実質的に平行になるように配置する。
偏光板の生産性には保護フィルムの透湿性が重要であ
る。偏光膜と保護フィルム(反射防止フィルムを含む。
以下同じ)は水系接着剤で貼り合わせられており、この
接着剤溶剤は保護フィルム中を拡散することで、乾燥さ
れる。保護フィルムの透湿性が高ければ、高いほど乾燥
は早くなり、生産性は向上するが、高くなりすぎると、
液晶表示装置の使用環境(高湿下)により、水分が偏光
膜中に入ることで偏光能が低下する。
【0094】偏光板の透湿性は、保護フィルム(および
重合性液晶化合物)の厚み、自由体積、親疎水性、等に
より決定される。偏光板の保護フィルムとして用いる場
合、透湿性は100乃至1000g/m2・24hrsである事
が好ましく、300乃至700g/m2・24hrsである事が
更に好ましい。保護フィルムの厚みは、製膜の場合、リ
ップ流量とラインスピード、あるいは、延伸、圧縮によ
り調整する事が出来る。使用する主素材により透湿性が
異なるので、厚み調整により好ましい範囲にすることが
可能である。保護フィルムの自由体積は、製膜の場合、
乾燥温度と時間により調整することが出来る。この場合
もまた、使用する主素材により透湿性が異なるので、自
由体積調整により好ましい範囲にすることが可能であ
る。
【0095】保護フィルムの親疎水性は、添加剤により
調整することが出来る。上記自由体積中に親水的添加剤
を添加することで透湿性は高くなり、逆に疎水性添加剤
を添加することで透湿性を低くすることが出来る。上記
透湿性を独立に制御することにより、偏光板を安価に高
い生産性で製造することが可能となる。
【0096】[液晶表示装置]上記の反射防止フィル
ム、または偏光板は、液晶表示装置のディスプレイにお
いて特に最表層(面)として有利に用いられる。TN、
MVA、およびOCBモードの液晶表示装置は、液晶セ
ルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなる。
液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持してい
る。光学補償フィルムは液晶セルと一方の偏光板との間
に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板
との間に二枚配置すればよい。OCBモードの液晶表示
装置の場合、光学補償フィルムは、ポリマーフィルム上
に円盤状化合物、もしくは棒状液晶化合物を含む光学異
方性層を有していても良い。光学異方性層は、円盤状化
合物(もしくは棒状液晶化合物)を配向させ、その配向
状態を固定することにより形成する。円盤状化合物は、
一般に大きな複屈折率を有する。また、円盤状化合物に
は、多様な配向形態がある。従って、円盤状化合物を用
いることで、従来の延伸複屈折フイルムでは得ることが
できない光学的性質を有する光学補償シートを製造する
ことができる。円盤状化合物を用いた光学補償シートに
ついては、特開平6−214116号公報、米国特許5
583679号、同5646703号、西独特許公報3
911620A1号の各明細書に記載がある。
【0097】偏光板では、液晶セルと偏光膜との間に配
置される透明保護フィルムの一方に、本発明の反射防止
フィルムを用いることができる。好ましくは偏光板の液
晶セルとは反対面の透明保護フィルムとして本発明の反
射防止フィルムを用いることが好ましい。液晶セルは、
VAモード、OCBモード、まTNモード、ECBモー
ド、IPSモードであることが好ましい。VAモードの
液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的
に垂直に配向している。
【0098】VAモードの液晶セルには、(1)棒状液
晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電
圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモード
の液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加
えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチド
メイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID9
7、Digest of tech. Papers(予稿集)28(199
7)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加
時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチ
ドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶
セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)
記載)、(4)SURVAIVALモードの液晶セル
(LCDインターナショナル98で発表)および(5)C
PAモードの液晶セル(SID01で発表)が含まれる。
【0099】OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分
子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対
称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用い
た液晶表示装置であり、米国特許4583825号、同
5410422号の各明細書に開示されている。棒状液
晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向して
いるため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補
償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB
(Optically Compensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれ
る。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速
いとの利点がある。
【0100】TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時
に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60乃
至120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セ
ルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用さ
れており、多数の文献に記載がある。本発明の反射防止
フィルムは液晶表示装置に限られず、画像表示装置、例
えば、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた画像
表示装置、CRT画像表示装置等の最表面に用いること
ができる。
【0101】
【実施例】以下本発明の実施例について、比較例と対照
して説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。 (光拡散層Aの調製)光拡散層を構成する透光性樹脂
は、紫外線硬化型樹脂(日本化薬製DPHA、屈折率
1.51)を50質量部、ビス(4−メタクリロイルチ
オフェニル)スルフィド(MPSMA、住友精化(株)
製)を50質量部、硬化開始剤(チバガイギー社製、イ
ルガキュアー184)を5質量部加えた液を塗布、紫外
線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.60であった。
この溶液に透光性微粒子として、スチレンビーズ(総研
化学製、粒径1.3μm、屈折率1.61)を17質量
部、スチレンビーズ(総研化学製、粒径3.5μm、屈
折率1.61)を7質量部、これらを混合してメチルエ
チルケトン/メチルイソブチルケトン(3/7質量比)
により固形分24%になるように調整したものを、トリ
アセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製、TD
−80U)上に、乾燥膜厚6.0μmになるように塗
工、溶剤乾燥後、160W/cmの空冷メタルハライド
ランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度
400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線
を照射して塗布層を硬化させ光拡散フィルム(HKF−
01)を作製した。
【0102】JIS−K−7105に準じ村上色彩技術
研究所製HR−100を用いて、HKF−01のヘイズ
(曇価)を測定したところ、67%であり適度なヘイズ
となった。
【0103】(光拡散層Bの調製)光拡散層を構成する
透光性樹脂は、酸化ジルコニウム分散物含有ハードコー
ト塗布液(デソライトKZ−7114A、JSR(株)
製)を100部、硬化開始剤(チバガイギー社製、イル
ガキュアー184)を5質量部、これらをエアディスパ
で攪拌しながら混合してメチルエチルケトン/メチルイ
ソブチルケトン(3/7質量比)溶液に溶解した後、塗
布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.61で
あった。この溶液に透光性微粒子として、ベンゾグアナ
ミン・メラミンホルムアルデヒド系ビーズ(日本触媒
製、粒径1.0μm、屈折率1.68)を21質量部、
およびベンゾグアナミン・メラミンホルムアルデヒド系
ビーズ(総研化学製、粒径2.5μm、屈折率1.6
8)を9質量部、これらを混合してメチルエチルケトン
/メチルイソブチルケトン(3/7質量比)により固形
分30%になるように調整したものを、トリアセチルセ
ルロースフィルム(富士フィルム社製、TD−80U)
上に、乾燥膜厚4.0μmになるように塗工、溶剤乾燥
後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイ
グラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/
cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗
布層を硬化させ光拡散フィルム(HKF−02)を作製
した。
【0104】JIS−K−7105に準じ村上色彩技術
研究所製HR−100を用いて、HKF−02のヘイズ
(曇価)を測定したところ、53%であり適度なヘイズ
となった。 (光拡散層Cの調製)光拡散層を構成する透光性樹脂
は、酸化ジルコニウム分散物含有ハードコート塗布液
(デソライトKZ−7114A、JSR(株)製)を1
00質量部、透光性樹脂(日本化薬(株)製、DPH
A)を43質量部、および硬化開始剤(チバガイギー社
製、イルガキュアー184)を5質量部、これらをエア
ディスパで攪拌しながら混合してメチルエチルケトン/
メチルイソブチルケトン(20/80質量比)溶液に溶
解した後、塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率
は1.64であった。この溶液に透光性微粒子として、
ポリメチルメタクリレート系ビーズ(総研化学製、MX
150、粒径1.5μm、屈折率1.49)を21質量
部、およびポリメチルメタクリレート系ビーズ(総研化
学製、MX300、粒径3.0μm、屈折率1.49)
を8.5質量部、これらを混合してメチルエチルケトン
/メチルイソブチルケトン(20/80質量比)により
固形分53%になるように調整したものを、トリアセチ
ルセルロースフィルム(富士写真フィルム(株)製、T
D−80U)上に、乾燥膜厚4.0μmになるように塗
工、溶剤乾燥後、160W/cmの空冷メタルハライド
ランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度
400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線
を照射して塗布層を硬化させ光拡散フィルム(HKF−
03)を作製した。
【0105】JIS−K−7105に準じ、ヘイズメー
ターMODEL 1001DP(日本電色工業(株)
製)を用いて、HKF−03のヘイズ(曇価)を測定し
たところ、63%であり適度なヘイズとなった。
【0106】(低屈折率層用塗布液の調製)屈折率1.
42の熱架橋性含フッ素ポリマー(JN−7228、J
SR(株)製)93gにMEK−ST(平均粒径10〜
20nm、固形分濃度30質量%のSiO2ゾルのメチ
ルエチルケトン(MEK)分散物、日産化学(株)製)
8g、およびメチルエチルケトン100gを添加、攪拌
の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過
して、低屈折率層用塗布液を調製した。
【0107】[実施例1]光拡散層A上に、上記低屈折
率層用塗布液をバーコーターを用いて塗布し、80℃で
乾燥の後、さらに120℃で10分間熱架橋し、厚さ
0.096μmの低屈折率層を形成し、反射防止フィル
ム(HKHB−01)を作製した。
【0108】[実施例2]光拡散層B上に、上記低屈折
率層用塗布液をバーコーターを用いて塗布し、80℃で
乾燥の後、さらに120℃で10分間熱架橋し、厚さ
0.096μmの低屈折率層を形成し、反射防止フィル
ム(HKHB−02)を作製した。
【0109】[実施例3]光拡散層C上に、上記低屈折
率層用塗布液をバーコーターを用いて塗布し、80℃で
乾燥の後、さらに120℃で10分間熱架橋し、厚さ
0.096μmの低屈折率層を形成し、反射防止フィル
ム(HKHB−03)を作製した。 [比較例1]光拡散層Bをそのまま、反射防止フィルム
(HKHB−H1)として用いた。
【0110】(反射防止膜の評価)得られたフィルムに
ついて、以下の項目の評価を行った。 (1)鏡面反射率および色味 分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプタ
ーARV−474を装着して、380〜780nmの波
長領域において、入射角5°における出射角−5度の鏡
面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を
算出し、反射防止性を評価した。
【0111】(2)ヘイズ 得られたフィルムのヘイズをヘイズメーターMODEL
1001DP(日本電色工業(株)製)を用いて測定
した。
【0112】(3)鉛筆硬度評価 耐傷性の指標としてJIS K 5400に記載の鉛筆
硬度評価を行った。反射防止膜を温度25℃、湿度60
%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規
定する3Hの試験用鉛筆を用いて、1kgの荷重にて n=5の評価において傷が全く認められない :○ n=5の評価において傷が1または2つ :△ n=5の評価において傷が3つ以上 :×
【0113】(4)接触角測定 表面の耐汚染性(指紋付着性)の指標として、光学材料
を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、水
に対する接触角を測定した。
【0114】(5)動摩擦係数測定 表面滑り性の指標として動摩擦係数にて評価した。動摩
擦係数は試料を25℃、相対湿度60%で2時間調湿し
た後、HEIDON−14動摩擦測定機により5mmφ
ステンレス鋼球、荷重100g、速度60cm/min
にて測定した値を用いた。
【0115】(6)防眩性評価 作成した防眩性フィルムにルーバーなしのむき出し蛍光
灯(8000cd/m 2)を映し、その反射像のボケの
程度を以下の基準で評価した。 蛍光灯の輪郭が全くわからない :◎ 蛍光灯の輪郭がわずかにわかる :○ 蛍光灯はぼけているが、輪郭は識別できる :△ 蛍光灯がほとんどぼけない :×
【0116】(7)表面抵抗値 全てのサンプルについて表面抵抗値を円電極法で測定
し、1×1012Ω/□以上であることを確認した。
【0117】(8)垂直剥離帯電 得られたフイルムをTACに対して、垂直剥離帯電を測
定した。測定方法は本文中に記載した通りである。
【0118】(9)ゴミ付着防止性(防塵性) 測定フイルムを硝子板に貼り、除電した後、東レ(株)
のトレシーを用いて往復10回擦り、その後微細な発泡
スチロールの粉を擬似ゴミとし、フイルム全体にかけた
後フイルムを立て、疑似ゴミの落下の様子を観察し、下
記の4段階評価を行った。 ◎:擬似ゴミがほとんど全て落下する。 ○:擬似ゴミが80%以上落下する。 △:擬似ゴミが50%以上落下する。 ×:擬似ゴミが50%以上フイルム表面に残存してい
る。
【0119】表1に実施例および比較例の結果を示す。
表1に示された結果から以下のことが明らかである。実
施例1、2、3のいずれの防眩性反射防止フィルムも、
防眩性、反射防止性に優れ、また鉛筆硬度(実施例はい
ずれも○)、指紋付着性(実施例はいずれも接触角が大
きく○)、表面滑り性(実施例はいずれも動摩擦係数が
小さく○)等の膜物性を反映する評価の結果も良好であ
った。また実施例は色味についても弱いものであった。
一方、比較例1は、低屈折率層がないため、十分な反射
防止性が得られなかった。
【0120】
【表1】
【0121】次に、上記実施例のフィルムを用いて偏光
板を作成し、液晶表示装置での評価を実施した。
【0122】<視認側偏光板 SHB−01の作製>延
伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素を吸着さ
せて偏光膜を作製した。HKHB−01に鹸化処理を行
い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、HKHB
−01の透明基材フィルム(トリアセチルセルロース)
が偏光膜側となるように偏光膜の片側に貼り付けた。ま
た、透明フィルム支持体上に液晶性化合物からなる光学
異方性層を有する光学補償フィルムWVSA12B(富
士写真フィルム製)にケン化処理を行い、ポリビニルア
ルコール系接着剤を用いて、WVSA12Bの透明フィ
ルム支持体が偏光膜側となるように反対側に貼り付け
た。このようにして視認側偏光板(SHB−01)を作
製した。
【0123】<視認側偏光板 SHB−02の作製>延
伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素を吸着さ
せて偏光膜を作製した。HKHB−02に鹸化処理を行
い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、HKHB
−02の透明基材フィルム(トリアセチルセルロース)
が偏光膜側となるように偏光膜の片側に貼り付けた。ま
た、透明フィルム支持体上に液晶性化合物からなる光学
異方性層を有する光学補償フィルムWVSA12B(富
士写真フィルム製)にケン化処理を行い、ポリビニルア
ルコール系接着剤を用いて、WVSA12Bの透明フィ
ルム支持体が偏光膜側となるように反対側に貼り付け
た。このようにして視認側偏光板(SHB−02)を作
製した。
【0124】<バックライト側偏光板 BHB−01の
作製>延伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素
を吸着させて偏光膜を作製した。市販のトリアセチルセ
ルロースフィルム(富士フィルム製 フジタックTD8
0)に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤
を用いて、偏光膜の片側に貼り付けた。また、透明フィ
ルム支持体上に液晶性化合物からなる光学異方性層を有
する光学補償フィルムWVSA12B(富士写真フィル
ム製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接
着剤を用いて、WVSA12Bの透明フィルム支持体が
偏光膜側となるように反対側に貼り付けた。このように
してバックライト側偏光板(BHB−01)を作製し
た。
【0125】[実施例4]TN型液晶セルを使用した液
晶表示装置(6E−A3、シャープ(株)製)に設けら
れている一対の偏光板を剥がし、代わりに偏光板(SH
B−01)を、光学補償フィルムが液晶セル側となるよ
うに粘着剤を介して、観察者側に貼り付けた。またバッ
クライト側には、光学異方性層側が液晶セル側となるよ
うに粘着剤を介してバックライト側偏光板(BHB−0
1)を貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸と、バッ
クライト側の偏光板の透過軸とは、Oモードとなるよう
に配置した。作製した液晶表示装置について、測定機
(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用い
て、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で
視野角、および中間調(L3)での色味変化を測定し
た。結果を第2表に示す。
【0126】[実施例5]TN型液晶セルを使用した液
晶表示装置(6E−A3、シャープ(株)製)に設けら
れている一対の偏光板を剥がし、代わりに偏光板(SH
B−02)を、光学補償フィルムが液晶セル側となるよ
うに粘着剤を介して、観察者側に貼り付けた。またバッ
クライト側には、光学異方性層側が液晶セル側となるよ
うに粘着剤を介してバックライト側偏光板(BHB−0
1)を貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸と、バッ
クライト側の偏光板の透過軸とは、Oモードとなるよう
に配置した。作製した液晶表示装置について、測定機
(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用い
て、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で
視野角、および中間調(L3)での色味変化を測定し
た。結果を第2表に示す。
【0127】[比較例2]TN型液晶セルを使用した液
晶表示装置(6E−A3、シャープ(株)製)に設けら
れている一対の偏光板を剥がし、代わりに市販の偏光板
(サンリッツ製LL−82−12WNA)を貼り付け
た。観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏
光板の透過軸とは、Oモードとなるように配置した。作
製した液晶表示装置について、測定機(EZ−Contrast
160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)
から白表示(L8)までの8段階で視野角、および中間
調(L3)での色味変化を測定した。結果を第2表に示
す。
【0128】
【表2】
【0129】このように本発明の反射防止フィルム、偏
光板、液晶表示装置においては優れた視野角特性を示し
ている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の反射防止フィルムの構成を示す断面
図である。
【符号の説明】
2 透明支持体 3 光拡散層 4 低屈折率層 5 マット粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 BA02 BA42 BB23 BB33 BB65 BC22 2H091 FA08 FA31 FC30 FD06 LA02 LA03 LA11 LA12 LA18 2K009 AA04 AA12 CC09 CC24 CC26 CC34 CC38 4F100 AA17B AK01B AK17C AK25B AL05B AR00B AR00C AT00A BA03 BA07 BA10A BA10C DE01B GB41 JA20C JB13B JB13C JB14B JB14C JG10 JK09 JN01A JN01B JN06 JN18B JN18C JN30B

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基材上に、少なくとも1層の光拡散
    層を有し、その上に少なくとも1層の低屈折率層を有す
    る反射防止フィルムにおいて、前記光拡散層がヘイズ値
    40%以上であり、前記低屈折率層が熱硬化型または電
    離放射線硬化型の含フッ素樹脂の硬化物からなり、5度
    入射における鏡面反射率の450nmから650nmまでの
    波長領域での平均値が2.5%以下であることを特徴と
    する反射防止フィルム。
  2. 【請求項2】 前記光拡散層が、少なくとも粒径の異な
    る2種類以上の透光性微粒子と、電離放射線により硬化
    させた化合物を含む透光性樹脂とを含んでなることを特
    徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  3. 【請求項3】 前記透光性微粒子と前記透光性樹脂との
    屈折率の差が0.02以上、0.15以下であり、前記
    粒径の異なる粒子の一方の平均粒径が0.5μm乃至
    2.0μmであり、前記粒径の異なるもう一方の粒子の
    平均粒径が2.4μm乃至5.0μmであることを特徴
    とする請求項2に記載の反射防止フィルム。
  4. 【請求項4】 前記光拡散層が、屈折率が1.51〜
    2.00である透光性樹脂を含むことを特徴とする請求
    項1〜3のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
  5. 【請求項5】 前記光拡散層の透光性樹脂が、高屈折率
    を有するモノマー若しくは金属酸化物微粒子と少なくと
    も3つの官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー
    との混合物を熱または電離放射線により硬化させた化合
    物を含んでなることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載の反射防止フィルム。
  6. 【請求項6】 トリアセチルセルロースあるいはポリエ
    チレンテレフタレートのいずれかに対して常温常湿で測
    定した垂直剥離帯電量が−200pc(ピコクーロン)
    /cm2〜+200pc(ピコクーロン)/cm2であ
    り、かつ表面抵抗値が1×1011Ω/□以上であること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の反射
    防止フイルム。
  7. 【請求項7】 前記熱硬化型または電離放射線硬化型の
    含フッ素樹脂の屈折率が1.35以上1.45以下であ
    ることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載
    の反射防止フィルム。
  8. 【請求項8】 前記含フッ素樹脂の硬化物からなる低屈
    折率層の動摩擦係数が0.03〜0.15の範囲にあ
    り、かつ水に対する接触角が90〜120度の範囲にあ
    ることを特徴とする請求項7に記載の反射防止フィル
    ム。
  9. 【請求項9】 偏光層の両面を保護フィルムで挟持した
    偏光板において、保護フィルムの一方に請求項1〜8の
    いずれか1項に記載の反射防止フィルムを用いたことを
    特徴とする偏光板。
  10. 【請求項10】 請求項1〜8のいずれか1項に記載の
    反射防止フィルム、偏光子、および液晶性化合物から成
    る光学異方性層をこの順に積層することを特徴とする偏
    光板。
  11. 【請求項11】 前記液晶性化合物がディスコティック
    化合物である請求項10に記載の偏光板。
  12. 【請求項12】 請求項1〜8のいずれか1項に記載の
    反射防止フィルムまたは請求項9〜11のいずれか1項
    に記載の偏光板をディスプレイの最表層に用いたことを
    特徴とする画像表示装置。
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