JP4011911B2 - 偏光板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学異方性層を有する偏光板、およびその偏光板を用いた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に液晶表示装置は、偏光板と液晶セルから構成されている。液晶表示装置の表示品位上の欠点は、視野角の狭さと、外光の写り込みである。
現在主流であるTNモードTFT液晶表示装置では、光学補償フイルムを偏光板と液晶セルの間に挿入し、極めて広い視野角が実現されている(特開平7−191217号公報、同8−50206号、および欧州特許0911656A2号明細書に記載)。
外光の写り込みに関しても、それを防止する技術が特開平6−18706号、同7−333404号、同11−160505号、同11−305010号、同11−326608号、特開2000−121809号、同2000−180611号、同2000−338310号、同2001−33783号、特登2822983号の各公報に開示されている。特開平7−333404号、同11−160505号、同11−305010号の各公報に記載の発明では、偏光板に光拡散層を設け、その上に反射防止層を設けることにより、外光の写り込みを防止できることが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
液晶表示装置は、自動車搭載用ディスプレーのように、高温高湿下で使用する場合も多い。液晶表示装置に組み込まれた偏光板は、様々な環境で使用すると、その形状に変形が生じることがあった。
また、偏光板は、偏光膜の両面に保護膜としてセルロースアセテートフイルムを貼り合わせた構成を有する。セルロースアセテートフイルムを偏光膜に貼り合わせる工程において、作業環境によっては、気泡が入る故障も認められた。
本発明の目的は、様々な環境下で使用しても、変形が生じることのない偏光板を提供することである。
別の本発明の目的は、製造工程において気泡が入ることがなく、得率が高く製造ができる偏光板を提供することである。
さらに別の本発明の目的は、視野角が拡大され、外光の写り込みが防止された液晶表示装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(1)〜(11)の偏光板の製造方法を提供する。
(1)液晶性化合物からなる光学異方性層を設けたセルロースアセテートフイルムと防眩層を設けたセルロースアセテートフイルムとの間に偏光膜が設けられている偏光板の製造方法であって、光学異方性層を設けたセルロースアセテートフイルムおよび防眩層を設けたセルロースアセテートフイルムの少なくとも一方に、発生したカールの外側の面に水、塩化メチレン、酢酸メチル、アセトン、あるいは、それらの混合物を蒸発させた蒸気を吹き付けて、温度25℃、相対湿度65%の環境下における最大カールの絶対値が0乃至20/mの範囲となるように調整することを特徴とする偏光板の製造方法。
【0005】
(2)蒸気が、水蒸気である(1)に記載の製造方法。
(3)水蒸気の温度が、100乃至150℃の範囲にある(2)に記載の製造方法。
(4)蒸気の主成分が塩化メチレンおよび酢酸メチルである(1)に記載の製造方法。
(5)さらにアセトンを含む(4)に記載の製造方法。
【0006】
(6)防眩層の内部拡散によるヘイズ値が、16乃至90%である(1)に記載の偏光板の製造方法。
(7)防眩層の表面拡散によるヘイズ値が、1乃至30%である(1)に記載の偏光板の製造方法。
【0007】
(8)防眩層が透明バインダーとマット粒子から構成され、透明バインダーとマット粒子との屈折率の差が0.02乃至0.2である(1)に記載の偏光板の製造方法。
(9)防眩層の上に低屈折率層を有する(1)に記載の偏光板の製造方法。
(10)低屈折率層が熱硬化性含フッ素樹脂の硬化物または電離放射線硬化性の含フッ素樹脂の硬化物を含み、低屈折率層の屈折率が1.49以下である(9)に記載の偏光板の製造方法。
(11)液晶性化合物がディスコティック化合物である(1)に記載の偏光板の製造方法。
【0008】
【発明の効果】
本発明者の研究の結果、セルロースアセテートフイルム上に、液晶性化合物からなる光学異方性層を設けた場合、あるいはまた、セルロースアセテートフイルム上に防眩層を設けた場合、そのフイルムのカール値が増大することが、形状変形や気泡故障の原因であることが判明した。
本発明者は研究を進め、光学異方性層を設けたセルロースアセテートフイルムおよび防眩層を設けたセルロースアセテートフイルムの少なくとも一方のカール値を、様々な環境下で値を小さくすることにより、形状変形や気泡故障を防ぐことに成功した。特に温度25℃、相対湿度65%の環境下でのカール値を一定の値以下に制御することにより、形状変形や気泡故障の問題を解決することができる。
以上の結果、本発明に従う偏光板は、気泡の混入なく製造することができる。従って、偏光板製造時の得率が高い。
また、本発明に従う偏光板を過酷な条件下で使用しても、構成要素(偏光膜、二枚のセルロースアセテートフイルム、光学異方性層、防眩層)の間に剥離や気泡の混入も起こらない。本発明に従う偏光板を搭載した画像表示装置、特に高精細液晶表示装置は、過酷な条件下でも高画質の画像を表示できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
[偏光板の構成]
図1は、本発明に従う偏光板の好ましい態様を示す断面模式図である。
図1に示す偏光板は、低屈折率層(1)、防眩層(2)、セルロースアセテートフイルム(5)、偏光膜(6)、セルロースアセテートフイルム(7)、そして、液晶性化合物からなる光学異方性層(8)の順序の構成を有する。防眩層(2)は、セルロースアセテートフイルム(3)の一方の面に設けられている。光学異方性層(8)は、セルロースアセテートフイルム(7)の一方の面に設けられている。
防眩層(2)では、マット粒子(3)が透光性樹脂(4)中に分散している。
防眩層(2)の透光性樹脂(4)は、1.50乃至2.00の屈折率を有することが好ましく、1.51乃至1.70の屈折率を有することがさらに好ましい。
低屈折率層(1)の表面は、防眩層(2)に含まれるマット粒子(3)により凹凸が形成されている。ただし、低屈折率層(1)の厚さは、表面の凹凸にかかわらず、ほぼ均一である。低屈折率層(1)を形成する素材の屈折率は、1.38乃至1.49であることが好ましい。
【0010】
[セルロースアセテートフイルム]
セルロースアセテートフイルムは、酢化度が59.0乃至61.5%であるセルロースアセテートから形成することが好ましい。酢化度は、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。
また、セルロースアセテートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0乃至1.7であることが好ましく、1.3乃至1.65であることがさらに好ましく、1.4乃至1.6であることが最も好ましい。
セルロースアセテートフイルムの厚さは、25乃至1000μmであることが好ましい。
【0011】
複屈折がないセルロースアセテートフイルムが防眩層フイルムと偏光膜との積層において、表示品位の優れた表示装置を得ることができるので、液晶用途において特に好ましい。
【0012】
一般に、セルロースアセテートの2位、3位および6位の水酸基は全体の置換度の1/3づつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明では、セルロースアセテートの6位水酸基の置換度が、2位および3位に比べて多いほうが好ましい。
2位、3位および6位の置換度の合計に対する6位の置換度の割合は、32%以上であることが好ましく、33%以上であることがさらに好ましく、34%以上であること最も好ましい。セルロースアセテートの6位置換度は、0.88以上であることが好ましい。
6位置換度を調整したセルロースアセテートは、特開平11−5851号公報(0043〜0044の実施例[合成例1]、0048〜0049の[合成例2]、0051〜0052の[合成例3])に記載がある。
【0013】
[レターデーション上昇剤]
セルロースアセテートフイルムのレターデーションを調整するため、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用することが好ましい。
【0014】
芳香族化合物が有する芳香族環の数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至12であることがより好ましく、2乃至8であることがさらに好ましく、2乃至6であることが最も好ましい。
二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。 芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ましく、ベンゼン環および1,3,5−トリアジン環がさらに好ましい。芳香族化合物は、少なくとも一つの1,3,5−トリアジン環を有することが特に好ましい。
このようなレターデーション上昇剤は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.01乃至20質量部の範囲で使用する。セルロースアセテート100質量部に対して、0.05乃至15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1乃至10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。
二種類以上のレターデーション上昇剤を併用してもよい。
レターデーション上昇剤の具体例は、特開2000−111914号公報、同2000−275434号公報、PCT/JP00/02619号明細書に記載がある。
【0015】
[セルロースアセテートフイルムの製造]
ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフイルムを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、セルロースアセテートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフイルムを製造する。
有機溶媒は、炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃至12のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステルおよび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
【0016】
炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3乃至12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3乃至12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、30乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0017】
一般的な方法でセルロースアセテート溶液を調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。
セルロースアセテートの量は、得られる溶液中に10乃至40質量%含まれるように調整する。セルロースアセテートの量は、10乃至30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0乃至40℃)でセルロースアセテートと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースアセテートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60乃至200℃であり、さらに好ましくは80乃至110℃である。
【0018】
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0019】
冷却溶解法により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒中にもセルロースアセテートを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセルロースアセテートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースアセテートを撹拌しながら徐々に添加する。
セルロースアセテートの量は、この混合物中に10乃至40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアセテートの量は、10乃至30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
【0020】
次に、混合物を−100乃至−10℃(好ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス/メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30乃至−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、セルロースアセテートと有機溶媒の混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却開始から最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
【0021】
さらに、これを0乃至200℃(好ましくは0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアセテートが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよいし、温浴中で加温してもよい。
加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
【0022】
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
【0023】
調製したセルロースアセテート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフイルムを製造する。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18乃至35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフイルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
【0024】
調製したセルロースアセテート溶液(ドープ)を用いて2層以上の流延でフイルム化することも出来る。この場合、ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフイルムを作製することが好ましい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
【0025】
2層以上の複数のセルロースアセテート液を流延する場合、複数のセルロースアセテート溶液を流延することが可能で、支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアセテートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフイルムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、特開平11−198285号、などに記載の方法が適応できる。また、2つの流延口からセルロースアセテート溶液を流延することによってもフイルム化することでもよく、例えば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、特開平6−134933号、に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号に記載の高粘度セルロースアセテート溶液の流れを低粘度のセルロースアセテート溶液で包み込み、その高,低粘度のセルロースアセテート溶液を同時に押出すセルロースアセテートフイルム流延方法でもよい。
【0026】
或いはまた2個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成型したフイルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行なうことでより、フイルムを作製することでもよく、例えば特公昭44−20235号に記載されている方法である。
流延するセルロースアセテート溶液は同一の溶液でもよいし、異なるセルロースアセテート溶液でもよく特に限定されない。複数のセルロースアセテート層に機能を持たせるために、その機能に応じたセルロースアセテート溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。
さらの本発明のセルロースアセテート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)を同時に
【0027】
従来の単層液では、必要なフイルム厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアセテート溶液を押出すことが必要であり、その場合セルロースアセテート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となることが多かった。この解決として、複数のセルロースアセテート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフイルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアセテート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フイルムの生産スピードを高めることができる。
【0028】
セルロースアセテートフイルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1乃至25質量%であることが好ましく、1乃至20質量%であることがさらに好ましく、3乃至15質量%であることが最も好ましい。
【0029】
セルロースアセテートフイルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01乃至1質量%であることが好ましく、0.01乃至0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を越えると、フイルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
【0030】
[高熱伝導性粒子]
セルロースアセテートフイルムの熱伝導性を向上させるために様々な高熱伝導性粒子を使用する。高熱伝導性粒子としては、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化マグネシウム、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭素、ダイヤモンド、金属等を挙げる事ができる。フイルムの透明性を損なわないために、透明な粒子を使用することが望ましい。
高熱伝導性粒子のセルロースアセテートフイルムへの配合量は、セルロースアセテート100質量部に対して5〜100質量のはんいで充填するのがよい。配合量が5質量部未満であると熱伝導の向上が乏しく、また50質量部を超える充填は、生産性の面で困難かつセルロースアセテートフイルムが脆いものになってしまう。
高熱伝導性粒子の平均粒径は0.05〜80μm、好ましくは0.1〜10μmが好ましい。球状の粒子を用いても良いし、針状の粒子を用いても良い。
【0031】
[二軸延伸]
セルロースアセテートフイルムは、吸湿膨張を低減させるために、延伸処理されることが好ましい。延伸することにより、延伸方向の吸湿膨張が低減出来るので、面内すべての方向で歪みを低減するために二軸延伸することが更に好ましい。
二軸延伸には、同時二軸延伸法と逐次二軸延伸法があるが、連続製造の観点から逐次二軸延伸方法が好ましく、ドープを流延した後、バンドもしくはドラムより剥ぎ取り、幅方向(長手方法)に延伸した後、長手方向(幅方向)に延伸される。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などに記載されている。フイルムの延伸は、常温または加熱条件下で実施する。加熱温度は、フイルムのガラス転移温度以下であることが好ましい。フイルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。長手方向の延伸の場合、例えば、フイルムの搬送ローラーの速度を調節して、フイルムの剥ぎ取り速度よりもフイルムの巻き取り速度の方を速くするとフイルムは延伸される。幅方向の延伸の場合、フイルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフイルムを延伸できる。フイルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。フイルムの延伸倍率(元の長さに対する延伸による増加分の比率)は、5〜50%が好ましく、さらに好ましくは10乃至40%、最も好ましくは15乃至35%である。
【0032】
流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。本発明のセルロースアセテートフイルムの製造に係わる巻き取り機は一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
【0033】
{吸湿膨張係数]
吸湿膨張係数の測定方法について以下に示す。作製したポリマーフイルムから幅5mm、長さ20mmの試料を切り出し、片方の端を固定して25℃、20%RHの雰囲気下にぶら下げた。他方の端に0.5gの重りをぶら下げて、一定時間放置した。次に、一定温度のまま、湿度を80%RHにして、長さの変形量を測定した。測定は同一試料につき10サンプル行い、平均値を採用した。
上記吸湿による寸度変化は、ポリマーフイルム中の自由体積を小さくすればよい事を見出した。該自由体積を大きく左右するのは、製膜時の残留溶剤量であり、少ない方が寸度変化は少ない。
残留溶剤を減らすための一般的手法は、高温かつ長時間で乾燥することであるが、あまり長時間であると、当然のことながら生産性が落ちるため、0.01質量%乃至1質量%であることが好ましく、0.02質量%乃至0.07質量%が更に好ましく、最も好ましいのは、0.03質量%乃至0.05質量%である。
上記残留溶剤量を制御することにより、光学補償能を有する偏光板を安価に高い生産性で製造することが可能となる。
また、上記吸湿による寸度変化を小さくする方法として、疎水性を有する化合物を添加する事が好ましい。疎水性を有する素材としては、分子中にアルキル基やフェニル基のような疎水基を有する素材であれば特に制限はないが、後述の可塑剤や劣化防止剤の中で該当する素材が特に好ましく用いられる。添加量は調整する溶液(ドープ)の0.01乃至10質量%が好ましく、0.1乃至5質量%がさらに好ましく、1乃至3質量%が最も好ましい。
【0034】
[セルロースアセテートフイルムの表面処理]
セルロースアセテートフイルムは、表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号明細書に記載のように、下塗り層を設けることも好ましく利用される。
フイルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアセテートフイルムの温度をTg以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
表面エネルギーは55mN/m以上であることが好ましく、60mN/m以上75mN/m以下であることが更に好ましい。
【0035】
偏光板の透明保護膜として使用する場合、偏光膜との接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロースアセテートに対するケン化処理を実施することが好ましく、アルカリケン化処理が最も好ましい。
アルカリケン化処理では、フイルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。
アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの規定濃度は0.1N乃至3.0Nであることが好ましく、0.5N乃至2.0Nであることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温乃至90℃の範囲が好ましく、40℃乃至70℃がさらに好ましい。
固体の表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社 1989.12.10発行)に記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。本発明のセルロースアセテートフイルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。
具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセルロースアセテートフイルムに滴下し、液滴の表面とフイルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフイルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフイルムの表面エネルギーを算出出来る。
【0036】
[ハードコート層]
防眩性反射防止フイルムでは、ハードコート層を必要に応じてフイルムの耐傷性向上の目的で透明支持体と防眩層の間に塗工してもよい。
ハードコート層に用いる化合物は、飽和炭化水素またはポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。バインダーポリマーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーポリマーを得るためには、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。
【0037】
二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例には、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,3,5−シクロヘキサントリオールトリメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンの誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが含まれる。これらのなかでも、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物が市販されており、特に好ましく用いられる。
エチレン性不飽和基を有するモノマーは、各種の重合開始剤その他添加剤と共に溶剤に溶解、塗布、乾燥後、電離放射線または熱による重合反応により硬化させる必要がある。
【0038】
二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。即ち、架橋基とは、上記化合物に限らず上記官能基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋基を有する化合物は塗布後熱などによって架橋させる必要がある。
【0039】
[防眩層]
防眩層のヘイズ値は内部散乱に起因するヘイズ値が16〜90%であることが好ましく、30〜60%であることがさらに好ましい。表面散乱に起因するヘイズ値は1〜30%であることが好ましく、1〜20%であることがさらに好ましい。ここで内部散乱に起因するヘイズとは該防眩層を形成する透明バインダ組成物をオーバーコートして表面を平滑化したときに測定されるヘイズ値である。
内部散乱によるヘイズ値をコントロールすることは、▲1▼防眩層を形成する透明バインダ組成物の屈折率と▲2▼面凹凸を形成するための層厚以上の粒子径を有するマット粒子及び/または表面凹凸には寄与しない層厚未満の粒子径を有する微粒子の屈折率との屈折率差を0.02〜0.2とし、さらに透明バインダ組成物と上記粒子との比率をコントロールすることで可能である。
【0040】
このような内部散乱性を付与することで、画像形成装置に適用した際に表面凹凸がレンズとして作用し、画像を拡大することによって発生するいわゆるギラツキを大幅に緩和することができる。また、光学性異方性層と併せて用いることで、上下、左右すべての方向で視野角の広がった表示装置を得ることができ特に好ましい。
内部散乱に起因するヘイズ値が16%未満であるとギラツキ緩和効果が小さく、90%を越えると透過率が低下する。
【0041】
表面散乱は防眩性を付与するために特定の周期の表面凹凸を形成することで必然的に発生するのものである。表面凹凸を多くすると表面散乱によるヘイズ値は増加し、表面凹凸を少なくすると表面散乱によるヘイズ値は減少する。1%未満では防眩性を付与できず、30%を越えると後方散乱が大きくなりすぎて、明室において、フイルムの白化が許容外となる。液晶表示装置に実装すると1%未満では背景の映り込みが大きく、30%を越えるとコントラストの低下を引き起こす。
【0042】
防眩層を形成する化合物は高屈折率を有するモノマーまたは高屈折率を有する金属酸化物超微粒子を含む。
高屈折率モノマーの例には、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルエーテルが含まれる。
高屈折率を有する金属酸化物超微粒子としては、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモン、のうちより選ばれる少なくとも1つの酸化物からなる粒径100nm以下、好ましくは50nm以下の微粒子が挙げられる。微粒子の具体例としては、ZrO2 、TiO2 、Al2 O3 、In2 O3 、ZnO、SnO2 、Sb2 O3 、ITOが挙げられる。この中でもZrO2が好ましく用いられる。
金属酸化物超微粒子の添加量は、透明バインダ組成物の全質量の10〜90質量%であることが好ましく、20〜80%質量%であるとさらに好ましく、最も好ましくは30〜70質量%である。この配合比を調節することで、後述するマット粒子との屈折率差を自由に制御することができる。
【0043】
防眩層には、マット粒子が含まれる。このマット粒子は透明であることが好ましい。マット粒子の平均粒径はコールター法による個数平均粒径で1.0〜5.0μmが好ましく、1.7〜3.5μmがより好ましい。平均粒径が1.0μm未満であると防眩性が不足し、5.0μm以上では透過像鮮明性が悪化する。
【0044】
マット粒子としては無機化合物粒子または樹脂粒子が用いられ、たとえば不定形シリカ粒子、TiO2粒子、Al2O3粒子、架橋ポリメチルメタクリレート粒子などの架橋アクリル粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、架橋シロキサン粒子などが好ましく用いられるが、樹脂粒子が好ましく、特に架橋スチレン粒子が特に好ましい。
【0045】
マット粒子の形状は不定形でも良いが、安定な防眩性を得るためには球形が好ましい。異なる2種以上の粒子を併用してもよい。
【0046】
さらに防眩層には防眩性には寄与しないが、内部散乱を付与するために上記粒子よりも粒子径の小さい微粒子を同時に含んでもよい。この内部散乱を目的とした微粒子の粒子径はコールター法による個数平均粒径で0.1μm以上、2.0μm未満が好ましい。
【0047】
本発明の防眩層は特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥などの面状均一性を確保するためにフッ素系、シリコーン系のいずれかの界面活性剤、あるいはその両者を塗布組成物中に含有してもよい。特にフッ素系の界面活性剤は、本発明の防眩層の塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥などの面状故障を改良する効果が大のため、好ましく用いられる。
【0048】
フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、スリーエム社製のフロラードFC−431などのパーフルオロアルキルスルホン酸アミド基含有ノニオン、大日本インキ社製のメガファックF−171,F−172,F−173,F−176PFなどのパーフルオロアルキル基含有オリゴマーなどが挙げられる。シリコーン系界面活性剤としては各種置換基で側鎖や主鎖の末端が変性されたポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。しかし、該散乱層上にオーバーコートする低屈折率層の微細なムラを防止するために、上記界面活性剤の構造と添加量を調整することにより、散乱層の表面エネルギーを25mN・m-1〜70mN・m-1とすることが好ましい。25mN・m-1以下となると、該防眩層上に低屈折率層をコートする際に低屈折率層に目で見えない微細なムラが発生し、それが反射防止性を悪化させる。70mN・m-1以上となると、該防眩層自身の塗布性が悪化し、ムラが生じる。さらに好ましくは35mN・m-1〜70mN・m-1、最も好ましくは40mN・m-1〜70mN・m-1とする。
【0049】
また、上記のような表面エネルギーを実現するためには、X線光電子分光法で測定したフッ素原子由来のピークと炭素原子由来のピークの比であるF/Cが0.40以下であること、およびシリコン原子由来のピークと炭素原子由来のピークの比であるSi/Cが0.30以下であることが好ましい。
【0050】
(低屈折率層)
防眩層の上に低屈折率層を設けることもできる。低屈折率層は、下記数式(1)を満足することが好ましい。
(1)mλ/4×0.7 < n1d1 < mλ/4×1.3
式中、mは正の奇数(一般に1)であり、n1は低屈折率層の屈折率、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは設定波長であり、500〜550nmの範囲である。
なお、上記数式(1)を満たすとは、上記波長の範囲において数式(1)を満たすm(正の奇数、通常1である)が存在することを意味する。
【0051】
低屈折率層には熱硬化性または電離放射線硬化性の含フッ素樹脂の硬化物が好ましく用いられる。該硬化物の動摩擦係数は好ましくは0.03〜0.15、水に対する接触角は好ましくは90〜120度である。
硬化性の含フッ素樹脂として、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(たとえは、(ヘプタデカフルオロー1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)等のほか、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーを構成単位とする含フッ素共重合体が挙げられる。
含フッ素モノマーの具体例としては例えば、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロー2,2−ジメチルー1,3−ジオキソール類など)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えば、ビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)など)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類などである。
【0052】
架橋性基付与のためのモノマーとしてはグリシジルメタクリレートのように分子内にあらかじめ架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーのほか、カルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有する(メタ)アクリレートモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレートなど)が挙げられる。後者は共重合の後、架橋構造を導入できることが特開平10−25388号および同10−147739号の各公報に記載されている。
【0053】
また、上記含フッ素系モノマーを構成単位とするポリマーだけでなく、フッ素原子を含有しないモノマーとの共重合体を用いてもよい。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えば、オレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレートなど)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなど)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテルなど)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニルなど)、アクリルアミド類(N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミドなど)、メタクリルアミド類、アクリロニトリル誘導体などを挙げることができる。
【0054】
低屈折率層の形成に用いる含フッ素樹脂には、耐傷性を付与するために珪素の酸化物超微粒子を添加して用いるのが好ましい。反射防止性の観点から屈折率が低いほど好ましいが、含フッ素樹脂の屈折率を下げていくと、耐傷性が悪化する。そこで、含フッ素樹脂の屈折率と珪素の酸化物超微粒子の添加量を最適化することにより、耐傷性と低屈折率のバランスのもっともよい点を見いだすことができる。
珪素の酸化物超微粒子としては、市販の有機溶剤に分散されたシリカゾルをそのまま塗布組成物に添加しても、市販の各種シリカ粉体を有機溶剤に分散して使用してもよい。
【0055】
低屈折率層用の塗布組成物に用いる塗布溶剤としてはメチルエチルケトン、アセトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル系溶剤、メチルセルソルブなどのエーテルアルコール系溶剤、エタノール、メタノール等のアルコール系溶剤の中から、塗布組成物中に含まれる固形物の溶解性の高いものが好ましく用いられる。特にメチルエチルケトンが好ましく用いられる。
【0056】
低屈折率層、防眩層などはディップコート法、エアナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法やエクストルーションコート法(米国特許2681294号)により、塗布により形成することができる。2層以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書及び原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
【0057】
[液晶性化合物からなる光学異方層]
光学異方性層に含まれる液晶性化合物には、棒状液晶性化合物、あるいはディスコチック液晶性化合物が含まれる。棒状液晶性化合物は、棒状液晶性分子を配向させて、その配向状態を固定してなる。ディスコティック液晶性化合物は、ディスコティック液晶性分子を配向させて、その配向状態を固定してなる。
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
棒状液晶性分子の複屈折率は、0.001乃至0.7であることが好ましい。棒状液晶性分子は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基の例は、後述ディスコティック化合物の重合性基の例と同様である。
棒状液晶性分子は、短軸方向に対してほぼ対称となる分子構造を有することが好ましい。そのためには、棒状分子構造の両端に重合性基を有することが好ましい。
【0058】
光学異方性層は、負の一軸性を有し傾斜配向したディスコティック化合物を含む層であることが好ましい。ディスコティック化合物は、ディスコティック化合物の円盤面と透明支持体面とのなす角が、光学異方性層の深さ方向において変化している(ハイブリッド配向している)ことが好ましい。ディスコティック化合物の光軸は、円盤面の法線方向に存在する。ディスコティック化合物は、光軸方向の屈折率よりも円盤面方向の屈折率が大きな複屈折性を有する。
光学異方性層は、後述する配向膜によってディスコティック化合物を配向させ、その配向状態のディスコティック化合物を固定することによって形成することが好ましい。ディスコティック化合物は、重合反応により固定することが好ましい。
なお、光学異方性層には、レターデーション値が0となる方向が存在しない。
言い換えると、光学異方性層のレターデーションの最小値は、0を越える値である。
【0059】
ディスコティック化合物の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。上記ディスコティック化合物は、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射線状に置換された構造であり、液晶性を示す。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を付与できるものであれば上記記載に限定されるものではない。また、本発明において、液晶性化合物から形成したとは、最終的にできた物が液晶性である必要はなく、例えば、前記低分子ディスコティツク化合物が熱、光等で反応する基を有しており、結果的に熱、光等で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失ったものも含まれる。上記ディスコティック化合物の好ましい例は特開平8−50206号公報に記載されている。
【0060】
光学異方層は、ディスコティック構造単位を有する化合物からなる負の複屈折を有する層であって、そしてディスコティック構造単位の面が、透明支持体面に対して傾き、且つ該ディスコティック構造単位の面と透明支持体面とのなす角度が、光学異方層の深さ方向に変化していることが好ましい。
【0061】
上記ディスコティック構造単位の面の角度(傾斜角)は、一般に、光学異方層の深さ方向でかつ光学異方層の底面からの距離の増加と共に増加または減少している。上記傾斜角は、距離の増加と共に増加することが好ましい。更に、傾斜角の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、及び増加及び減少を含む間欠的変化等を挙げることができる。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。傾斜角は、変化しない領域を含んでいても、全体として増加または減少していることが好ましい。更に、傾斜角は全体として増加していることが好ましく、特に連続的に変化することが好ましい。
【0062】
上記光学異方層は、一般にディスコティック化合物及び他の化合物を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱し、その後配向状態(ディスコティックネマチック相)を維持して冷却することにより得られる。あるいは、上記光学異方層は、ディスコティック化合物及び他の化合物(更に、例えば重合性モノマー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱したのち重合させ(UV光の照射等により)、さらに冷却することにより得られる。本発明に用いるディスコティック液晶性化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度としては、70〜300℃が好ましく、特に70〜170℃が好ましい。
【0063】
例えば、支持体側のディスコティック単位の傾斜角は、一般にディスコティック化合物あるいは配向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理方法の選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)のディスコティック単位の傾斜角は、一般にディスコティック化合物あるいはディスコティック化合物とともに使用する他の化合物(例、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー及びポリマー)を選択することにより調整することができる。更に、傾斜角の変化の程度も上記選択により調整することができる。
【0064】
上記可塑剤、界面活性剤及び重合性モノマーとしては、ディスコティック化合物と相溶性を有し、液晶性ディスコティック化合物の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しない限り、どのような化合物も使用することができる。これらの中で、重合性モノマー(例、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基及びメタクリロイル基を有する化合物)が好ましい。上記化合物は、ディスコティック化合物に対して一般に1〜50質量%(好ましくは5〜30質量%)の量にて使用される。
【0065】
上記ポリマーとしては、ディスコティック化合物と相溶性を有し、液晶性ディスコティック化合物に傾斜角の変化を与えられる限り、どのようなポリマーでも使用することができる。ポリマー例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。上記ポリマーは、液晶性ディスコティック化合物の配向を阻害しないように、ディスコティック化合物に対して一般に0.1〜10質量%(好ましくは0.1〜8質量%、特に0.1〜5質量%)の量にて使用される。
液晶性化合物からなる光学異方性層は、セルロースアセテートフイルム、その上に設けられた配向膜及び配向膜上に形成されたディスコティック液晶からなる層であって、配向膜が架橋されたポリマーからなるラビング処理された膜である。
配向膜を構成する好ましい化合物については、特開平9−152509ご宇高方に記載がある。
【0066】
[カール]
本発明では、光学異方性層を設けたセルロースアセテートフイルム(以下、光学異方性フイルムということあり)を防眩性層を設けたセルロースアセテートフイルム(以下、防眩性フイルムということあり)の少なくとも一方が温度25℃、相対湿度65&の環境下における最大カールの絶対値が0乃至20/mの範囲にある。
フイルムのカール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASC PH1.29−1985、Method−A)に従い測定できる。
具体的には、フイルムを、幅方向に35mm、長手方向に2mmの大きさに切り取った後、カール板に設置する。これを温度25℃、相対湿度65%の環境下に1時間調湿後カール値を読みとる。そして同様に、フイルムを、幅方向に2mm、長手方向に35mmの大きさに切り取った後、カール板に設置する。これを温度25℃、相対湿度65%の環境下に1時間調湿後カール値を読みとる。
一般にカールは、幅方向、長手方向の二方向で測定するが、本明細書中、カール値とは、両者のうちの大きい値を意味する。
カール値は、曲率半径(m)の逆数で表す。フイルムの光学的異方性層を有する面が内巻きになるカールを+(プラス)、外巻きになるカールを−(マイナス)で表示する。また、フイルムの防眩層を有する面が内巻きになるカールを+(プラス)、外巻きになるカールを−(マイナス)で表示する。
フイルムの最大カール値の絶対値は、0乃至20/mの範囲にあることが必要であり、0乃至10/mの範囲にあることがさらに好ましい。
【0067】
[フイルムのカールコントロール処理]
フイルムのカールをコントロールしたい表面に、蒸気を吹き付けることで所望のカール値を得ることができる。具体的は、発生したカールの外側の面に蒸気を吹き付ければよい。
吹き付ける蒸気としては、水、塩化メチレン、酢酸メチル、アセトン、あるいは、それらの混合物を蒸発させた蒸気であることが好ましい。蒸気として水蒸気を用いる場合の水蒸気の温度は、100乃至150℃の範囲にあることが好ましい。
好ましい蒸気の一例として、蒸気の主成分を塩化メチレンおよび酢酸メチルとする蒸気を挙げることができる。この場合、塩化メチレンと酢酸メチルの合計が蒸気全体に対して、100〜50質量%の範囲含み、さらに、アセトンを0乃至50質量%の範囲含む蒸気であることがさらに好ましい。
【0068】
[偏光板]
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。 セルロースアセテートフイルムの遅相軸と偏光膜の透過軸とは、実質的に平行になるように配置する。
偏光板の生産性には透明基材フイルムの透湿性が重要である。 偏光膜と透明基材フイルムは水系接着剤で貼り合わせられており、この接着剤溶剤は透明基材フイルム中を拡散することで、乾燥される。 透明基材フイルムの透湿性が高ければ、高いほど乾燥は早くなり、生産性は向上するが、高くなりすぎると、液晶表示装置の使用環境(高湿下)により、水分が偏光膜中に入ることで偏光能が低下する。
透明基材フイルムの透湿性は、ポリマーフイルム(および重合性液晶化合物)の厚み、自由体積、親疎水性、等により決定される。透湿性は100乃至1000g/m2 ・24hrsである事が好ましく、300乃至700g/m2 ・24hrsである事が更に好ましい。厚みは、製膜の場合、リップ流量とラインスピード、あるいは、延伸、圧縮により調整する事が出来る。使用する主素材により透湿性が異なるので、厚み調整により好ましい範囲にすることが可能である。自由体積は、製膜の場合、乾燥温度と時間により調整することが出来る。この場合もまた、使用する主素材により透湿性が異なるので、自由体積調整により好ましい範囲にすることが可能である。透明基材フイルムの親疎水性は、添加剤により調整することが出来る。上記自由体積中に親水的添加剤を添加することで透湿性は高くなり、逆に疎水性添加剤を添加することで透湿性を低くすることが出来る。
上記透湿性を独立に制御することにより、高品質の偏光板を安価に高い生産性で製造することが可能となる。
【0069】
[液晶表示装置]
本発明の偏光板は、液晶表示装置、特に透過型液晶表示装置に有利に用いられる。
透過型液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。
本発明の偏光板はその光学異方性層を液晶セル面側に配置して使用することが好ましい。
【0070】
液晶セルには種々のモードが存在する。
STNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに180°乃至270°にねじれ配向している。また、TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60乃至120゜にねじれ配向している。
STNモード、およびTNモードの液晶セルは、黒白、およびカラー液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
【0071】
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)、(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)、および(5)CPAモードの液晶セル(SID2001、Digest of tech. Papers(予稿集)41(2001)1090記載)が含まれる。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置であり、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
【0072】
【実施例】
[実施例1]
(セルロースアセテート溶液の調製)
下記の成分をミキシングタンクに投入し、加熱しながら撹拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
【0073】
────────────────────────────────────
セルロースアセテート溶液組成
────────────────────────────────────
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
────────────────────────────────────
【0074】
別のミキシングタンクに、レターデーション上昇剤(スミソルブTM165−F、住友化学製)16質量部、メチレンクロライド80質量部およびメタノール20質量部を投入し、加熱しながら撹拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
【0075】
セルロースアセテート溶液475質量部に上記レターデーション上昇剤溶液25質量部を混合し、充分に撹拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、3.0質量部であった。
【0076】
作製したセルロースアセテートフィルムについて、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長633nmにおけるReレターデーション値およびRthレターデーション値を測定した。Reは10nmで、Rthは81nmであった。
【0077】
(下塗り層の形成)
作製したセルロースアセテートフィルムに下記組成の塗布液を28cc/m2 塗布乾燥し、0.1μmの下塗り層を塗設した。
【0078】
────────────────────────────────────
下塗り層塗布液組成
────────────────────────────────────
ゼラチン 0.542質量部
ホルムアルデヒド 0.136質量部
サリチル酸 0.160質量部
アセトン 39.1質量部
メタノール 15.8質量部
メチレンクロライド 40.6質量部
水 1.2質量部
────────────────────────────────────
【0079】
さらにその上に下記組成の塗布液を7cc/m2 塗布し、乾燥した。
【0080】
【0081】
【化1】
【0082】
さらに上記と反対側の層に下記組成の塗布液を25cc/m2 塗布、乾燥し、バック層を設けた。
【0083】
────────────────────────────────────
バック層塗布液組成物
────────────────────────────────────
セルロースジアセテート(酢化度:55%) 0.656質量部
シリカ系マット剤(平均粒径:1μm) 0.065質量部
アセトン 67.9質量部
メタノール 10.4質量部
────────────────────────────────────
【0084】
(配向膜層の作製)
このセルロースアセテートフィルムのゼラチン層上に、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28ml/m2 塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
次に、セルロースアセテートフィルムの長手方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
【0085】
────────────────────────────────────
配向膜塗布液組成
────────────────────────────────────
下記の変性ポリビニルアルコール 8質量部
PVA217(クラレ製) 2質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
────────────────────────────────────
【0086】
【化2】
【0087】
(光学異方性層の形成)
配向膜上に、下記構造のディスコティック化合物41.01g、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)2.03g、ジペンタエリストールペンタアクリレートとジペンタエリストールヘキサアクリレートとの混合物(KYARAD DPHA 日本化薬製)2.03g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.90g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.23g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.35g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.45gを、102gのメチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#4のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、130℃の恒温槽中で2分間加熱し、円盤状化合物を配向させた。次に、80℃の雰囲気下のもと、膜面温度が約100℃の状態で120W/cm高圧水銀灯を用いて、0.4秒間UV照射しディスコティック化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層を形成した。
波長633nmで測定した光学異方性層のReレターデーション値は48nmであった。また、円盤面と第1透明支持体面との間の角度(傾斜角)は平均で42゜であった。
【0088】
【化3】
【0089】
(光学異方性フイルム1の作製)
作製したフイルムにはカールが発生した。発生したカールの外側の面に対して、125℃の水蒸気を吹き付けた。このときのフイルムの温度は90℃で、吹き付ける水蒸気量は5kg/時間、吹き付け時間は5秒であった。このようにして得られたフイルムを光学異方性フイルム1とする。
【0090】
(光学異方性フイルム2の作製)
光学異方性フイルム1において、カールコントロールの方法として、塩化メチレンガスを用い、フイルムの温度を40℃、吹き付ける蒸気量を5kg/時間、吹き付け時間を5秒にしたこと以外は光学異方性フイルム1と同様に調製して、光学異方性フイルム2を作製した。
【0091】
(光学異方性フイルム3の作製)
カールコントロールを行わなかったこと以外は光学異方性フイルム1と同様にして、光学異方性フイルム3を調製した。
【0092】
得られた光学異方性フイルム1、2、3について、温度25℃、相対湿度65%でカール値を測定した。結果を第1表に示す。
【0093】
【表1】
第1表
────────────────────────────────────
光学異方性フイルム カール処理 カール値
────────────────────────────────────
光学異方性フイルム1 水蒸気を使用 7
光学異方性フイルム2 塩化メチレンを使用 6
光学異方性フイルム3 処理なし 24
────────────────────────────────────
【0094】
(防眩層用塗布液Aの調製)
下記の成分を混合し、防眩層用塗布液Aを調製した。
【0095】
【0096】
(防眩層用塗布液Bの調製)
下記の成分を混合し、防眩層用塗布液Bを調製した。
【0097】
【0098】
(低屈折率層用塗布液Aの調製)
下記の成分を混合し、低屈折率層用塗布液Aを調製した。
【0099】
【0100】
(防眩フイルム1の作製)
セルローストリアセテート(TD80UD)の面上に、上記防眩層用塗布液Aをバーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥の後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2 、照射量300mJ/cm2 の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ約3.5μmの防眩層を形成した。
その上に、上記低屈折率層用塗布液Aをバーコーターを用いて塗布し、80℃で乾燥の後、さらに120℃で8分間熱架橋し、厚さ0.096μmの低屈折率層を形成した。この低屈折率層の屈折率は1.43であった。
このようにして作製したフイルムにはカールが発生した。発生したカールの外側の面に対して、125℃の水蒸気を吹き付けた。このときのフイルムの温度は90℃で、吹き付ける水蒸気量は5kg/時間、吹き付け時間は5秒であった。このようにして防眩フイルム1を作製した。
【0101】
(防眩フイルム2の作製)
防眩フイルム1において、防眩層用塗布液Aを防眩層用塗布液Bに置き換えてこと以外は防眩フイルム1と同様にして防眩フイルム2を作製した。
【0102】
(防眩フイルム3の作製)
防眩フイルム1において、カールコントロールの方法として、塩化メチレンガスを用い、フイルムの温度を40℃、吹き付ける蒸気量を5kg/時間、吹き付け時間を5秒にしたこと以外は防眩フイルム1と同様に調製して、防眩フイルム3を作製した。
【0103】
(防眩フイルム4の作製)
防眩フイルム1において、カールコントロールを行わなかったこと以外は防眩フイルム1と同様にして、防眩フイルム4を調製した。
【0104】
得られた防眩フイルム1〜4について、カールを測定した。結果を第2表に示す。
【0105】
【表2】
第2表
────────────────────────────────────
防眩フイルム カール処理 カール値
────────────────────────────────────
防眩フイルム1 水蒸気を使用 5
防眩フイルム2 水蒸気を使用 5
防眩フイルム3 塩化メチレンを使用 4
防眩フイルム4 処理なし 23
────────────────────────────────────
【0106】
(偏光板POL−Aの作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記で作製した光学異方性フイルム1の光学異方性層の設けられていない側を偏光膜の片側に、もう一方には市販のセルローストリアセテートフイルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)の貼合する側にケン化処理を行い、張り合わせ、80℃で10分間乾燥させた。
偏光膜の透過軸と前記で作製した光学異方性層の遅相軸とは平行になるように配置した。偏光膜の透過軸と市販のセルローストリアセテートフィルムの遅相軸とは、直交するように配置した。
このようにして偏光板POL−A作製した。
【0107】
(偏光板1の作製)
POL−Aの作製において、市販のセルローストリアセテートフイルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)の代わりに、防眩フイルム1のセルロースアセテートフイルム側にケン化処理を行い、貼り合わせた。その他はPOL−Aと同様にして、偏光板1を作製した。
【0108】
(偏光板2の作製)
偏光板1の作製において、光学異方性フイルム1の代わりに、光学異方性フイルム2を使用したこと以外は同様にして、偏光板2を作製した。
【0109】
(偏光板3の作製)
偏光板1の作製において、光学異方性フイルム1の代わりに、光学異方性フイルム3を使用したこと以外は同様にして、偏光板3を作製した。
【0110】
(偏光板4の作製)
偏光板2において、防眩フイルム1を防眩フイルム2に置き換えたこと以外は偏光板2と同様にして偏光板4を作製した。
【0111】
(偏光板5の作製)
偏光板2において、防眩フイルム1を防眩フイルム3に置き換えたこと以外は偏光板2と同様にして偏光板5を作製した。
【0112】
(偏光板6の作製)
偏光板2において、防眩フイルム1を防眩フイルム4に置き換えたこと以外は偏光板2と同様にして偏光板6を作製した。
【0113】
(偏光板7の作製)
偏光板3において、防眩フイルム1を防眩フイルム4に置き換えたこと以外は偏光板3と同様にして偏光板7を作製した。
【0114】
(偏光板の評価)
得られた偏光板について、以下の項目の評価を行った。
【0115】
(1)鏡面反射率
分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターARV−474を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5度の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価した。
結果を第3表に示す。
【0116】
(2)ヘイズ値
得られたフィルムのヘイズをヘイズメーターMODEL 1001DP(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。内部ヘイズは、防眩層までを形成したフィルムに、該防眩層に含まれるバインダ成分のみをオーバーコートして、表面粗さRaが0.01未満になったもののヘイズ値とし、外部ヘイズは、低屈折率層までを形成したフィルムのヘイズ値から、前記内部ヘイズ値を引いて算出した。
結果を第3表に示す。
【0117】
(3)防眩性評価
作製した防眩性フィルムにルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m2)を映し、その反射像のボケの程度を評価した。
その結果、偏光板1〜7では、いずれも、良好な防眩性が認められた。
【0118】
(4)ギラツキ
解像度110ppiのLCDパネルを有するメビウスPC−PJ2−X4(シャープ(株)製)のLCD表面に実装し、緑色のベタ表示におけるギラツキの程度を目視評価した。
その結果、偏光板1〜7では、いずれも、ギラツキは認められなかった。
【0119】
(5)偏光板中の気泡の確認
偏光板中の気泡の有無を目視で調べ、下記3段階で評価した。
A:全くなし
B:わずかにあるが問題なし
C:あり
結果を第3表に示す。
【0120】
(6)偏光板の耐久性評価(剥離および気泡)
作製した偏光板をアクリル系接着剤を用いてガラス板に貼り付け、エイジングした後、90℃の恒温槽に入れ、1000時間放置した。そして、光学異方性層を設けたセルロースアセテートフイルムと偏光膜の剥離の有無、および気泡の発生の有無、また、防眩層を設けたセルロースアセテートフイルムと偏光膜の剥離の有無、および気泡の発生を目視で調べ、下記3段階で評価した。
A:全くなし
B:わずかにあるが問題なし
C:あり
結果を第3表に示す。
【0121】
【表3】
【0122】
偏光板1〜6では、偏光板7に比べて、偏光板の気泡、耐久性評価での剥離、気泡ともにきわめて少なく、好ましい結果が得られた。
【0123】
(液晶表示装置の作製)
シャープ(株)製のTFT型液晶カラーテレビ6E−C3の偏光板をはがして、液晶セルを挟むようにして偏光板1とPOL−Aを、光学異方性層が液晶セル側になるように、かつ偏光軸が互いに直交するように貼り付け、カラー液晶表示装置1を作製した。
偏光板1に変えて、偏光板7を使用したこと以外は、カラー液晶表示装置1と同様にしてカラー液晶表示装置2を作製した。
両者とも、防眩性は良好であり、ギラツキは見られず、かつ、上下左右の視野角が広く視認性に優れた液晶表示装置が得られた。
ただし、偏光板7を用いた液晶表示装置2では偏光板7に含まれる気泡により、画質が劣化が認められたのに対し、偏光板1を用いた液晶表示装置1では画質劣化なく、好ましい結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う偏光板の好ましい態様を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1 低屈折率層
2 防眩層
3 マット粒子
4 透光性樹脂
5、7 セルロースアセテートフイルム
6 偏光膜
8 液晶性化合物からなる光学異方性層
Claims (5)
- 液晶性化合物からなる光学異方性層を設けたセルロースアセテートフイルムと防眩層を設けたセルロースアセテートフイルムとの間に偏光膜が設けられている偏光板の製造方法であって、光学異方性層を設けたセルロースアセテートフイルムおよび防眩層を設けたセルロースアセテートフイルムの少なくとも一方に、発生したカールの外側の面に水、塩化メチレン、酢酸メチル、アセトン、あるいは、それらの混合物を蒸発させた蒸気を吹き付けて、温度25℃、相対湿度65%の環境下における最大カールの絶対値が0乃至20/mの範囲となるように調整することを特徴とする偏光板の製造方法。
- 蒸気が、水蒸気である請求項1に記載の製造方法。
- 水蒸気の温度が、100乃至150℃の範囲にある請求項2に記載の製造方法。
- 蒸気の主成分が塩化メチレンおよび酢酸メチルである請求項1に記載の製造方法。
- さらにアセトンを含む請求項4に記載の製造方法。
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