JP2003098346A - 偏光板の製造方法、この方法により製造された偏光板、および液晶表示装置 - Google Patents

偏光板の製造方法、この方法により製造された偏光板、および液晶表示装置

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JP2003098346A
JP2003098346A JP2001287111A JP2001287111A JP2003098346A JP 2003098346 A JP2003098346 A JP 2003098346A JP 2001287111 A JP2001287111 A JP 2001287111A JP 2001287111 A JP2001287111 A JP 2001287111A JP 2003098346 A JP2003098346 A JP 2003098346A
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antiglare layer
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Hatsumi Tanemura
初実 種村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光散乱層、偏光子および液晶性化合物からなる
光学異方性層から構成され、視野角が拡大し、十分な防
眩性と反射防止機能を有する偏光板の製造方法、上記特
性に優れた偏光板、および上記特性に優れた偏光板を用
いた液晶表示装置を提供する。 【解決手段】2枚の透明基材、それらに挟持された偏光
子、液晶性化合物からなる光学異方性層、防眩層、およ
び少なくとも1層の低屈折率層を有する偏光板を、表面
エネルギーが25mN・m-1〜70mN・m-1の範囲と
なるように形成された防眩層上に低屈折率層を積層して
製造する方法、この方法により製造された偏光板および
この偏光板を用いた液晶表示装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学異方性層並び
に防眩層とその上に低屈折率層を有する偏光板の製造方
法、およびそれにより製造した偏光板、およびその偏光
板を用いた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に液晶表示装置は、偏光板と液晶セ
ルから構成されている。液晶表示装置の表示品位上の欠
点は、視野角と外光の写り込みである。視野角に関して
は、現在主流であるTNモードTFT液晶表示装置にお
いて、特開平8−50206号公報、特開平7−191
217号公報、およびに欧州特許0911656A2号
明細書に記載のように光学補償フィルムを偏光板と液晶
セルの間に挿入し、極めて広視野角の液晶表示装置が実
現されている。外光の写り込みに関しては、それを防止
する技術が特開平6-18706号、同7-333404号、同11-1605
05号、同11-305010号、同11-326608号、特開2000-12180
9号、同2000-180611号、同2000-338310号、同2001-3378
3号、特許2822983号などに開示されている。特に特開平
7-333404号、同11-160505号、同11-305010号には光拡散
層上に反射防止層を設けることにより、改良できること
が開示されている。しかし、特開平7-333404号、同11-1
60505号ではこの低屈折率層形成について、CVD法による
酸化珪素膜が必須であるため、塗布して膜を形成する方
法と比較して、生産性に劣る欠点があった。特開平11-3
01050号には、低屈折率層を塗布法により形成する方法
が開示されているが、防眩層上に低屈折率層をオーバー
コートして反射防止層をもうけた際に反射防止性能が十
分にならないという問題があることがあることがわかっ
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低屈
折率層、防眩層、偏光子および液晶性化合物からなる光
学異方性層から構成され、視野角が拡大し、十分な防眩
性と反射防止機能を有する偏光板の製造方法を提供する
ことにある。本発明の他の目的は、低屈折率層、防眩
層、偏光子、および液晶性化合物からなる光学異方性層
から構成され、上記諸特性に優れた偏光板を提供するこ
とにある。本発明のさらなる他の目的は、上記諸特性に
優れた偏光板を用いた液晶表示装置を提供することにあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意研究の結
果、反射防止性が十分でないのは、偏光板の製造過程に
おいて、低屈折率層を防眩層上にオーバーコートする際
に、防眩層の表面エネルギーが適当でないと、その上に
コートする低屈折率層を形成するために用いられる塗布
組成物の塗れ性が悪化し、低屈折率層の膜厚に目視では
検出できない微細なムラが生じ、それが反射率防止性を
悪化させているためであることがわかった。また、この
ような点を改良して作成した偏光板を液晶表示装置に使
用すると、外光の映り込みが低減し、その画像はコント
ラストが向上するのみならず、彩度も向上することもわ
かった。本発明はかかる知見に基づきなされたものであ
る。
【0005】本発明の目的は、下記(1)〜(11)に
より達成される。 1.2枚の透明基材、それらに挟持された偏光子、液晶
性化合物からなる光学異方性層、防眩層、および少なく
とも1層の低屈折率層を有する偏光板の製造方法におい
て、上記防眩層を、その表面エネルギーが25mN・m
-1〜70mN・m-1の範囲となるように形成し、形成さ
れた防眩層上に上記低屈折率層を積層することを特徴と
する偏光板の製造方法。 2.防眩層の表面エネルギーが35mN・m-1〜70m
N・m-1の範囲となるように防眩層を形成することを特
徴とする上記1に記載の偏光板の製造方法。 3.形成された防眩層をX線光電子分光法で測定したと
きに、フッ素原子由来のピークと炭素原子由来のピーク
の比であるF/Cが0.40以下であり、かつシリコン
原子由来のピークと炭素原子由来のピークの比であるS
i/Cが0.30以下であることを特徴とする上記1ま
たは2に記載の偏光板の製造方法。 4.防眩層の内部拡散によるヘイズ値が、16〜90%
であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の
偏光板の製造方法。 5.防眩層の表面拡散によるヘイズ値が、1〜30%で
あることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の偏
光板の製造方法。 6.防眩層が、透明バインダ組成物とマット粒子から構
成され、かつ該透明バインダ組成物と該マット粒子の屈
折率差が0.02〜0.2であることを特徴とする上記
1〜5のいずれかに記載の偏光板の製造方法。 7.低屈折率層が熱硬化性または電離放射線硬化性の含
フッ素樹脂の硬化物から主としてなり、かつ低屈折率層
の屈折率が1.49以下であることを特徴とする上記1
〜6のいずれかに記載の偏光板の製造方法。 8.液晶性化合物が、ディスコティック化合物である上
記1〜7のいずれかに記載の偏光板の製造方法。 9.光学異方性層と偏光子の間および偏光子と防眩層の
間にそれぞれ少なくとも1のセルロースアセテートフィ
ルムを有することを特徴とする上記1〜8のいずれかに
記載の偏光板の製造方法。 10.上記1〜9のいずれかに記載の製造方法で製造さ
れた偏光板。 11.上記10に記載の偏光板を光学異方性層側を液晶
セル面に配置することを特徴とする液晶表示装置。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の偏光板の代表的な例につ
いて説明する。図1は、本発明の代表的な偏光板の層構
成を模式的に示す概略断面図である。透明基材フィルム
5の一方の面(図1において上面)にマット粒子3を含
有する透光性樹脂4からなる防眩層2が積層され、その
上に低屈折率層1が設けられている。透明基材フィルム
5の反対面(図1においては下面)に、偏光子6、透明
基材フィルム7および光学異方性層8が積層されてい
る。
【0007】本発明の偏光板の製造方法では、上記で例
示される偏光板を製造する過程において、防眩層の表面
エネルギーが25mN・m-1〜70mN・m-1、好まし
くは35mN・m-1〜70mN・m-1、さらに好ましく
は40mN・m-1〜70mN・m-1の範囲となるように
防眩層を形成し、形成された防眩層上に少なくとも1層
の低屈折率層を積層する。防眩層の詳細、防眩層の表面
エネルギーを上記範囲とする方法の詳細については、後
述する。
【0008】以下に、本発明の方法により製造される偏
光板を構成する各要素について説明する。
【0009】(防眩層)防眩層上に低屈折率層を形成す
るために用いられる塗布組成物の塗れ性が悪化し、微細
なムラの発生を防止するために、防眩層の表面エネルギ
ーを上記した範囲となるように防眩層を形成する。防眩
層の表面エネルギーが25mN・m-1未満であると、該
防眩層上に低屈折率層をコートする際に低屈折率層に目
で見えない微細なムラが発生し、それが反射防止性を悪
化させる。70mN・m-1を越えると、該防眩層自身の
塗布性が悪化し、ムラが生じる。防眩層の表面エネルギ
ーを上記した範囲とするには、フッ素系およびシリコー
ン系のいずれかの界面活性剤、あるいはその両者を防眩
層形成用の塗布組成物中に適切な量を含有させることに
より可能である。このような界面活性剤を配合すること
により、防眩層の塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥などの面
状故障が減少し、防眩層の面状均一性を確保することが
できる利点も生じる。
【0010】上記フッ素系の界面活性剤の好ましい例と
しては、スリーエム社製のフロラードFC−431など
のパーフルオロアルキルスルホン酸アミド基含有ノニオ
ン、大日本インキ社製のメガファックF−171,F−
172,F−173,F−176PFなどのパーフルオ
ロアルキル基含有オリゴマーなどが挙げられる。シリコ
ーン系界面活性剤としては各種置換基で側鎖や主鎖の末
端が変性されたポリジメチルシロキサンなどが挙げられ
る。なかでも、フッ素系界面活性剤メガファックF−1
76PF、シリコーン系界面活性剤シリコーンX−22
−949などの使用が好ましい。
【0011】また、上記のような表面エネルギーを実現
するためには、X線光電子分光法で測定したフッ素原子
由来のピークと炭素原子由来のピークの比であるF/C
が0.40以下であること、およびシリコン原子由来の
ピークと炭素原子由来のピークの比であるSi/Cが
0.30以下であることが好ましい。
【0012】防眩層のヘイズ値は内部散乱に起因するヘ
イズ値が16〜90%であることが好ましく、30〜6
0%であることがさらに好ましい。表面散乱に起因する
ヘイズ値は1〜30%であることが好ましく、1〜20
%であることがさらに好ましい。ここで、内部散乱に起
因するヘイズ値とは、防眩層塗布液から粒子性物質を除
いたものを防眩層表面に塗布、硬化して表面を平滑化し
たときに測定されるヘイズ値である。内部散乱によるヘ
イズ値をコントロールすることは、 防眩層を構成するバインダの屈折率と 表面凹凸を形成するための層厚以上の粒子径を有する
マット粒子および/または表面凹凸には寄与しない層厚
未満の粒子径を有する微粒子の屈折率との、屈折率差を
0.02〜0.2とし、さらにバインダと上記粒子との
比率をコントロールすることで可能である。
【0013】このような内部散乱性を付与することで、
画像形成装置に適用した際に表面凹凸がレンズとして作
用し、画像を拡大することによって発生するいわゆるギ
ラツキを大幅に緩和することができる。また、光学性異
方性層と併せて用いることで、上下、左右すべての方向
で視野角の広がった表示装置を得ることができ特に好ま
しい。内部散乱に起因するヘイズ値が16%未満である
とギラツキ緩和効果が小さく、90%を越えると透過率
が低下する。
【0014】なお、防眩層を構成するマット粒子を除い
た部分の屈折率は、好ましくは1.50〜2.00であ
り、より好ましくは1.51〜1.70である。該部分
の屈折率が小さすぎると反射防止性が低下する。さらに
これが大きすぎると、反射光の色味が強くなり好ましく
ない。
【0015】表面散乱は防眩性を付与するために特定の
周期の表面凹凸を形成することで必然的に発生するのも
のである。表面凹凸を多くすると表面散乱によるヘイズ
値は増加し、表面凹凸を少なくすると表面散乱によるヘ
イズ値は減少する。1%未満では防眩性を付与できず、
30%を越えると後方散乱が大きくなりすぎて、明室に
おいて、フィルムの白化が許容外となる。液晶表示装置
に実装すると1%未満では背景の映り込みが大きく、3
0%を越えるとコントラストの低下を引き起こす。
【0016】防眩層を形成する化合物は、後述のハード
コート層を形成する素材に加えて、高屈折率を有するモ
ノマーまたは高屈折率を有する金属酸化物超微粒子を含
むことが好ましい。高屈折率モノマーの例には、ビス
(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニ
ルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタク
リロキシフェニルー4‘―メトキシフェニルエーテルな
どが含まれる。高屈折率を有する金属酸化物超微粒子と
しては、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジ
ウム、亜鉛、錫、アンチモン、のうちより選ばれる少な
くとも1つの酸化物からなる粒径100nm以下、好ま
しくは50nm以下の微粒子が挙げられる。微粒子の具
体例としては、ZrO2、TiO2、Al23、In
23、ZnO、SnO2、Sb23、ITOなどが挙げ
られる。この中でもZrO2が好ましく用いられる。金
属酸化物超微粒子の添加量は、バインダの全質量の10
〜90質量%であることが好ましく、20〜80%質量
%であるとさらに好ましく、最も好ましくは30〜70
質量%である。この配合比を調節することで、後述する
マット粒子との屈折率差を制御することができる。
【0017】防眩層には、上述の通り、マット粒子が含
まれる。このマット粒子は透明であることが好ましい。
マット粒子の平均粒径は、コールター法による個数平均
粒径で1.0〜5.0μmが好ましく、1.7〜3.5
μmがより好ましい。平均粒径が1.0μm未満である
と防眩性が不足し、5.0μm以上では透過像鮮明性が
悪化する。
【0018】マット粒子としては無機化合物粒子または
樹脂粒子が用いられ、たとえば不定形シリカ粒子、Ti
2粒子、Al23粒子、架橋ポリメチルメタクリレー
ト粒子などの架橋アクリル粒子、架橋スチレン粒子、メ
ラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、架橋シロ
キサン粒子などが好ましく用いられるが、樹脂粒子が好
ましく、特に架橋スチレン粒子が特に好ましい。またマ
ット粒子の形状として、球形、不定形、のいずれも使用
できるが、安定な防眩性を得るためには球形が好まし
い。異なる2種以上の粒子を併用してもよい。マット粒
子は、防眩層を構成するバインダ100質量部に対し
て、好ましくは25〜75質量部含まれる。
【0019】さらに防眩層には防眩性には寄与しない
が、内部散乱を付与するために上記粒子よりも粒子径の
小さい微粒子を同時に含んでもよい。この内部散乱を目
的とした微粒子の粒子径はコールター法による個数平均
粒径で0.1μm以上、2.0μm未満が好ましい。
【0020】(低屈折率層)低屈折率層は、表面エネル
ギーが上記範囲にある防眩層上に少なくとも1層積層さ
れる。低屈折率層の屈折率は、1.38〜1.49が好
ましく、より好ましくは1.40〜1.45である。反
射防止性は、低屈折率層の屈折率が1.38〜1.49
の間では低いほど良好であるが、反射光の色味が強くな
【0021】低屈折率層は、下記数式(1)を満足する
ことが好ましい。 mλ/4×0.7<n11<mλ/4×1.3 …… 数式(1) 式中、mは正の奇数(一般に1)であり、n1は低屈折
率層の屈折率、d1は低屈折率層の膜厚(nm)であ
る。また、λは設定波長であり、500〜550nmの
範囲である。なお、上記数式(1)を満たすとは、上記
波長の範囲において数式(1)を満たすm(正の奇数、
通常1である)が存在することを意味する。
【0022】低屈折率層には熱硬化性または電離放射線
硬化性の含フッ素樹脂の硬化物が好ましく用いられる。
該硬化物の動摩擦係数は好ましくは0.03〜0.1
5、水に対する接触角は好ましくは90〜120度であ
る。該硬化性の含フッ素樹脂として、パーフルオロアル
キル基含有シラン化合物(たとえは、(ヘプタデカフル
オロー1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシ
ラン)等のほか、含フッ素モノマーと架橋性基付与のた
めのモノマー(架橋性モノマー)を構成単位とする含フ
ッ素共重合体が挙げられる。含フッ素モノマーの具体例
としては例えば、フルオロオレフィン類(例えばフルオ
ロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロ
エチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプ
ロピレン、パーフルオロー2,2−ジメチルー1,3−
ジオキソール類など)、(メタ)アクリル酸の部分また
は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えば、ビ
スコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダ
イキン製)など)、完全または部分フッ素化ビニルエー
テル類などである。架橋性モノマーとしては、グリシジ
ルメタクリレートのように分子内にあらかじめ架橋性官
能基を有する(メタ)アクリレートモノマーのほか、カ
ルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸
基等を有する(メタ)アクリレートモノマー(例えば
(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリル
アクリレートなど)が挙げられる。これらの架橋性基付
与のためのモノマーは共重合の後、架橋構造を導入でき
ることが特開平10-25388号公報および特開平10-147739
号公報に記載されている。
【0023】また、上記含フッ素系モノマーのみを構成
単位とするポリマーだけでなく、含フッ素系モノマーと
フッ素原子を含有しない非架橋性モノマーとの共重合体
を用いてもよい。併用可能な非架橋性モノマーには特に
限定はなく、例えば、オレフィン類(エチレン、プロピ
レン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンな
ど)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタ
クリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル
酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジ
メタクリレートなど)、スチレン誘導体(スチレン、ジ
ビニルベンゼン、ビニルトルエン、α―メチルスチレン
など)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテルな
ど)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビ
ニル、桂皮酸ビニルなど)、アクリルアミド類(N−t
ertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアク
リルアミドなど)、メタクリルアミド類、アクリロニト
リル誘導体などを挙げることができる。
【0024】低屈折率層の形成に用いる含フッ素樹脂に
は、耐傷性を付与するために珪素の酸化物超微粒子を添
加して用いるのが好ましい。反射防止性の観点から屈折
率が低いほど好ましいが、含フッ素樹脂の屈折率を下げ
ていくと、耐傷性が悪化する。そこで、含フッ素樹脂の
屈折率と珪素の酸化物超微粒子の添加量を最適化するこ
とにより、耐傷性と低屈折率のバランスのもっともよい
点を見いだすことができる。珪素の酸化物超微粒子とし
ては、市販の有機溶剤に分散されたシリカゾルをそのま
ま塗布組成物に添加しても、市販の各種シリカ粉体を有
機溶剤に分散して使用してもよい。
【0025】低屈折率層用の塗布組成物に用いる塗布溶
剤としては、メチルエチルケトン、アセトンなどのケト
ン系溶剤、酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル系溶
剤、メチルセルソルブなどのエーテルアルコール系溶
剤、エタノール、メタノール等のアルコール系溶剤の中
から、塗布組成物中に含まれる固形物の溶解性の高いも
のが好ましく用いられる。特にメチルエチルケトンが好
ましく用いられる。
【0026】低屈折率層、防眩層などはディップコート
法、エアナイフコート法、カーテンコート法、ローラー
コート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、
マイクログラビアコート法やエクストルーションコート
法(米国特許2681294号)により、塗布により形
成することができる。2層以上の層を同時に塗布しても
よい。同時塗布の方法については米国特許276179
1号、同2941898号、同3508947号、同3
526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティ
ング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載があ
る。
【0027】(ハードコート層)本発明の偏光板では、
ハードコート層を必要に応じて偏光板の耐傷性向上の目
的で透明基材と防眩層の間に設けてもよい。ハードコー
ト層に用いる化合物は、飽和炭化水素またはポリエーテ
ルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、
飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることが
さらに好ましい。バインダーポリマーは架橋しているこ
とが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマ
ーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得る
ことが好ましい。架橋しているバインダーポリマーを得
るためには、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモ
ノマーを用いることが好ましい。
【0028】二個以上のエチレン性不飽和基を有するモ
ノマーの例には、多価アルコールと(メタ)アクリル酸
とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペ
ンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペ
ンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリ
スリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリ
スリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリ
スリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,3,5−
シクロヘキサントリオールトリメタクリレート、ポリウ
レタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレー
ト)、ビニルベンゼンの誘導体(例、1,4−ジビニル
ベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチ
ルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビ
ニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミ
ド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリ
ルアミドが含まれる。これらのなかでも、ジペンタエリ
スリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトー
ルヘキサアクリレートの混合物が市販されており、特に
好ましく用いられる。これらのエチレン性不飽和基を有
するモノマーは、各種の重合開始剤その他添加剤と共に
溶剤に溶解、塗布、乾燥後、電離放射線または熱による
重合反応により硬化させることができる。
【0029】二個以上のエチレン性不飽和基を有するモ
ノマーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応に
より、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよ
い。架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキ
シ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、
カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロ
ール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホ
ン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミ
ン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、
テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架
橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブ
ロックイソシアナート基のように、分解反応の結果とし
て架橋性を示す官能基を用いてもよい。即ち、架橋基と
は、上記化合物に限らず上記官能基が分解した結果反応
性を示すものであってもよい。これら架橋基を有する化
合物は塗布後熱などによって架橋させることができる。
【0030】(透明基材)透明基材の素材としては、透
明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シート、透明ガ
ラスなどが挙げられる。
【0031】透明樹脂フィルムとしては、トリアセテー
トセルロース(TAC)フィルム、ポリエチレンテレフ
タレート(PET)フィルム、ジアセチルセルロースフ
ィルム、アセテートブチレートセルロースフィルム、ポ
リエーテルサルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィ
ルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィ
ルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィル
ム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィル
ム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルロ
ニトリルフィルム等が使用できる。また、厚さは通常2
5μm〜1000μm程度とする。
【0032】液晶用途としては、複屈折がないトリアセ
テートセルロースが防眩層フィルムと偏光素子との積層
を可能(後述)とし、表示品位の優れた表示装置を得る
ことができるので、特に好ましい。以下、トリアセテー
トセルロースを包含するセルロースアセテートについて
詳しく説明する。
【0033】(セルロースアセテート)本発明では、酢
化度が59.0〜61.5%であるセルロースアセテー
トを使用することが好ましい。酢化度とは、セルロース
単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、A
STM:D−817−91(セルロースアセテート等の
試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従
う。セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、
250以上であることが好ましく、290以上であるこ
とがさらに好ましい。また、本発明に使用するセルロー
スエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数
平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体
的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であるこ
とが好ましく、1.3〜1.65であることがさらに好
ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。一
般に、セルロースアセテートの2,3,6の水酸基は全
体の置換度の1/3づつに均等に分配されるわけではな
く、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発
明ではセルロースアセテートの6位水酸基の置換度が、
2,3位に比べて多いほうが好ましい。全体の置換度に
対して6位の水酸基が32%以上アセチル基で置換され
ていることが好ましく、更には33%以上、特に34%
以上であることが好ましい。さらにセルロースアセテー
トの6位アセチル基の置換度が0.88以上であること
が好ましい。セルロースアセテートとして、特開平11
−5851号公報記載の0043〜0044の実施例
[合成例1]、0048〜0049の[合成例2]、0
051〜0052の[合成例3]の方法で得られたセル
ロースアセテートを用いることができる。
【0034】[レターデーション上昇剤]セルロースア
セテートフィルムのレターデーションを調整するため、
少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレタ
ーデーション上昇剤として使用することが好ましい。
【0035】芳香族化合物が有する芳香族環の数は、2
〜20であることが好ましく、2〜12であることがよ
り好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、2〜
6であることが最も好ましい。二つの芳香族環の結合関
係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直
結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に
分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できな
い)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加え
て、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族炭化水素環は、6
員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好まし
い。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環であ
る。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環
であることが好ましく、5員環または6員環であること
がさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の
二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸
素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ま
しい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェ
ン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール
環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール
環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラ
ン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラ
ジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。芳
香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン
環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミ
ダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン
環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ま
しく、ベンゼン環および1,3,5−トリアジン環がさ
らに好ましい。芳香族化合物は、少なくとも一つの1,
3,5−トリアジン環を有することが特に好ましい。こ
のようなレターデーション上昇剤は、セルロースアセテ
ート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範
囲で使用する。セルロースアセテート100質量部に対
して、0.05〜15質量部の範囲で使用することが好
ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがさ
らに好ましい。二種類以上のレターデーション上昇剤を
併用してもよい。レターデーション上昇剤の具体例とし
ては、特開2000−111914号公報、同2000
−275434号公報、PCT/JP00/02619
号明細書に記載の化合物が挙げられる。
【0036】[セルロースアセテートフィルムの製造]
ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフィ
ルムを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法
では、セルロースアセテートを有機溶媒に溶解した溶液
(ドープ)を用いてフィルムを製造する。有機溶媒は、
炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜1
2のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルおよび炭
素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶
媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトンおよびエス
テルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケト
ンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO
−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合
物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒
は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有してい
てもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場
合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合
物の規定範囲内であればよい。
【0037】炭素原子数が3〜12のエーテル類の例に
は、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメ
トキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソ
ラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネト
ールが含まれる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例
には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケト
ン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチ
ルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3〜12
のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホ
ルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エ
チルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エ
トキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよ
び2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン化炭化
水素の炭素原子数は、1または2であることが好まし
く、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素
のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化
炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合
は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜7
0モル%であることがより好ましく、35〜65モル%
であることがさらに好ましく、40〜60モル%である
ことが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハ
ロゲン化炭化水素である。二種類以上の有機溶媒を混合
して用いてもよい。
【0038】一般的な方法でセルロースアセテート溶液
を調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常
温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調
製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調
製方法および装置を用いて実施することができる。な
お、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化
炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ま
しい。セルロースアセテートの量は、得られる溶液中に
10〜40質量%含まれるように調整する。セルロース
アセテートの量は、10〜30質量%であることがさら
に好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意
の添加剤を添加しておいてもよい。溶液は、常温(0〜
40℃)でセルロースアセテートと有機溶媒とを攪拌す
ることにより調製することができる。高濃度の溶液は、
加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、
セルロースアセテートと有機溶媒とを加圧容器に入れて
密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶
媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加
熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜
200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃であ
る。
【0039】各成分は予め粗混合してから容器に入れて
もよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌
できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の
不活性気体を注入して容器を加圧することができる。ま
た、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。
あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加しても
よい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好
ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いる
ことができる。また、容器の外部にプレートヒーターを
設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を
加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、こ
れを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の
壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端に
は、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けるこ
とが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を
設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。
調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるい
は、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0040】冷却溶解法により、溶液を調製することも
できる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させ
ることが困難な有機溶媒中にもセルロースアセテートを
溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセル
ロースアセテートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶
解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果があ
る。冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロ
ースアセテートを撹拌しながら徐々に添加する。セルロ
ースアセテートの量は、この混合物中に10〜40質量
%含まれるように調整することが好ましい。セルロース
アセテートの量は、10〜30質量%であることがさら
に好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加
剤を添加しておいてもよい。
【0041】次に、混合物を−100〜−10℃(好ま
しくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−
20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却す
る。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−
75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30
〜−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、
セルロースアセテートと有機溶媒の混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃
/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上
であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ま
しいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、10
00℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒
が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始
する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却開始から
最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値であ
る。
【0042】さらに、これを0〜200℃(好ましくは
0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好
ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にセル
ロースアセテートが溶解する。昇温は、室温中に放置す
るだけでもよいし、温浴中で加温してもよい。加温速度
は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上
であることがさらに好ましく、12℃/分以上であるこ
とが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、
10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/
秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的
な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の
温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最
終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解
が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返しても
よい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の
外観を観察するだけで判断することができる。
【0043】冷却溶解法においては、冷却時の結露によ
る水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ま
しい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、
加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができ
る。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を
用いることが望ましい。なお、セルロースアセテート
(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷
却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量
%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、3
3℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在
し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、
この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移
温度プラス10℃程度の温度で保する必要がある。ただ
し、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢
化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒に
より異なる。
【0044】調製したセルロースアセテート溶液(ドー
プ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアセ
テートフィルムを製造する。ドープは、ドラムまたはバ
ンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成す
る。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となる
ように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバ
ンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好まし
い。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法
については、米国特許2336310号、同23676
03号、同2492078号、同2492977号、同
2492978号、同2607704号、同27390
69号、同2739070号、英国特許640731
号、同736892号の各明細書、特公昭45−455
4号、同49−5614号、特開昭60−176834
号、同60−203430号、同62−115035
号、特開平7−108547号、公開技報2001−1
745号の各公報に記載がある。ドープは、表面温度が
10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好
ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥すること
が好ましい。得られたフィルムをドラムまたはバンドか
ら剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を
変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもで
きる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記
載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの
時間を短縮することが可能である。この方法を実施する
ためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度にお
いてドープがゲル化することが必要である。
【0045】調製したセルロースアシレート溶液(ドー
プ)を用いて2層以上の流延でフィルム化することも出
来る。この場合、ソルベントキャスト法によりセルロー
スアシレートフィルムを作製することが好ましい。ドー
プは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させ
てフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が
10〜40%となるように濃度を調整することが好まし
い。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げて
おくことが好ましい。
【0046】2層以上の複数のセルロースアシレート液
を流延する場合、複数のセルロースアシレート溶液を流
延することが可能で、基材の進行方向に間隔を置いて設
けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液
をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製し
てもよく、例えば特開昭61−158414号、特開平
1−122419号、特開平11−198285号、な
どに記載の方法が適応できる。また、2つの流延口から
セルロースアシレート溶液を流延することによってもフ
ィルム化することでもよく、例えば特公昭60−275
62号、特開昭61−94724号、特開昭61−94
7245号、特開昭61−104813号、特開昭61
−158413号、特開平6−134933号、に記載
の方法で実施できる。また、特開昭56−162617
号に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低
粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高,
低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出すセル
ロースアシレートフィルム流延方法でもよい。
【0047】或いはまた2個の流延口を用いて、第一の
流延口により基材に成型したフィルムを剥ぎ取り、基材
面に接していた側に第二の流延を行なうことでより、フ
ィルムを作製することでもよく、例えば特公昭44−2
0235号に記載されている方法である。流延するセル
ロースアシレート溶液は同一の溶液でもよいし、異なる
セルロースアシレート溶液でもよく特に限定されない。
複数のセルロースアシレート層に機能を持たせるため
に、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、そ
れぞれの流延口から押出せばよい。さらにセルロースア
シレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料
層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、
偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。
【0048】従来の単層液では、必要なフィルム厚さに
するためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶
液を押出すことが必要であり、その場合セルロースアシ
レート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障
となったり、平面性が不良であったりして問題となるこ
とが多かった。この解決として、複数のセルロースアシ
レート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の
溶液を同時に基材上に押出すことができ、平面性も良化
し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃
厚なセルロースアシレート溶液を用いることで乾燥負荷
の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高める
ことができる。
【0049】セルロースアセテートフィルムには、機械
的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するため
に、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、
リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられ
る。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェ
ート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TC
P)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル
酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フ
タル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DM
P)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレ
ート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジ
フェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシル
フタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステル
の例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACT
E)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACT
B)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例に
は、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、
セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが
含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DE
P、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用
いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。可塑剤
の添加量は、セルロースエステルの量の0.1〜25質
量%であることが好ましく、1〜20質量%であること
がさらに好ましく、3〜15質量%であることが最も好
ましい。
【0050】セルロースアセテートフィルムには、劣化
防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁
止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加して
もよい。劣化防止剤については、特開平3−19920
1号、同5−1907073号、同5−194789
号、同5−271471号、同6−107854号の各
公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶
液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好まし
く、0.01〜0.2質量%であることがさらに好まし
い。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤
の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を越
えると、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト
(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣
化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン
(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げるこ
とができる。
【0051】[高熱伝導性粒子]セルロースアセテートフ
ィルムの熱伝導性を向上させるために様々な高熱伝導性
粒子を使用する。高熱伝導性粒子としては、窒化アルミ
ニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化マグネシウム、
炭化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜
鉛、酸化マグネシウム、炭素、ダイヤモンド、金属等を
挙げる事ができる。フィルムの透明性を損なわないため
に、透明な粒子を使用することが望ましい。高熱伝導性
粒子のセルロースアセテートフィルムへの配合量は、セ
ルロースアセテート100質量部に対して5〜100質
量のはんいで充填するのがよい。配合量が5質量部未満
であると熱伝導の向上が乏しく、また50質量部を超え
る充填は、生産性の面で困難かつセルロースアセテート
フィルムが脆いものになってしまう。高熱伝導性粒子の
平均粒径は0.05〜80μm、好ましくは0.1〜1
0μmが好ましい。球状の粒子を用いても良いし、針状
の粒子を用いても良い。
【0052】[二軸延伸]本発明のセルロースアセテート
フィルムは、吸湿膨張を低減させるために、延伸処理さ
れることが好ましい。延伸することにより、延伸方向の
吸湿膨張が低減出来るので、面内すべての方向で歪みを
低減するために二軸延伸することが更に好ましい。二軸
延伸には、同時二軸延伸法と逐次二軸延伸法があるが、
連続製造の観点から逐次二軸延伸方法が好ましく、ドー
プを流延した後、バンドもしくはドラムより剥ぎ取り、
幅方向(長手方法)に延伸した後、長手方向(幅方向)
に延伸される。幅方向に延伸する方法は、例えば、特開
昭62−115035号、特開平4−152125号、
同4−284211号、同4−298310号、同11
−48271号などに記載されている。フィルムの延伸
は、常温または加熱条件下で実施する。加熱温度は、フ
ィルムのガラス転移温度以下であることが好ましい。フ
ィルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶
媒が残存する場合は有効である。長手方向の延伸の場
合、例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節し
て、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り
速度の方を速くするとフィルムは延伸される。幅方向の
延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬
送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフ
ィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用
いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一
軸延伸)もできる。フィルムの延伸倍率(元の長さに対
する延伸による増加分の比率)は、5〜50%が好まし
く、さらに好ましくは10〜40%、最も好ましくは1
5〜35%である。
【0053】これら流延から後乾燥までの工程は、空気
雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下
でもよい。本発明のセルロースアシレートフィルムの製
造に係わる巻き取り機は一般的に使用されているもので
よく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンショ
ン法、内部応力一定のプログラムテンションコントロー
ル法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
【0054】吸湿膨張係数の測定方法について以下に示
す。作製したポリマーフィルムから幅5mm、長さ20
mmの試料を切り出し、片方の端を固定して25℃、2
0%RHの雰囲気下にぶら下げる。他方の端に0.5g
の重りをぶら下げて、一定時間放置する。次に、一定温
度のまま、湿度を80%RHにして、長さの変形量を測
定した。測定は同一試料につき10サンプル行い、平均
値を採用する。上記吸湿による寸度変化は、ポリマーフ
ィルム中の自由体積を小さくすればよい事を見出した。
該自由体積を大きく左右するのは、製膜時の残留溶剤量
であり、少ない方が寸度変化は少ない。残留溶剤を減ら
すための一般的手法は、高温かつ長時間で乾燥すること
であるが、あまり長時間であると、当然のことながら生
産性が落ちるため、0.01質量%〜1質量%であるこ
とが好ましく、0.02質量%〜0.07質量%が更に
好ましく、最も好ましいのは、0.03質量%〜0.0
5質量%である。上記残留溶剤量を制御することによ
り、光学補償能を有する偏光板を安価に高い生産性で製
造することが可能となる。また、上記吸湿による寸度変
化を小さくする方法として、疎水性を有する化合物を添
加する事が好ましい。疎水性を有する素材としては、分
子中にアルキル基やフェニル基のような疎水基を有する
素材であれば特に制限はないが、後述の可塑剤や劣化防
止剤の中で該当する素材が特に好ましく用いられる。添
加量は調整する溶液(ドープ)の0.01〜10質量%
が好ましく、0.1〜5質量%がさらに好ましく、1〜
3質量%が最も好ましい。
【0055】[セルロースアセテートフィルムの表面処
理]セルロースアセテートフィルムは、表面処理を施す
ことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処
理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理
または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−
333433号明細書に記載のように、下塗り層を設け
ることも好ましく利用される。フィルムの平面性を保持
する観点から、これら処理においてセルロースアセテー
トフィルムの温度をTg以下、具体的には150℃以下
とすることが好ましい。偏光板の透明保護膜として使用
する場合、偏光膜との接着性の観点から、酸処理または
アルカリ処理、すなわちセルロースアセテートに対する
ケン化処理を実施することが特に好ましい。表面エネル
ギーは55mN/m以上であることが好ましく、60m
N/m以上75mN/m以下であることが更に好まし
い。
【0056】以下、アルカリ鹸化処理を例に、具体的に
説明する。フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、
酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われ
ることが好ましい。アルカリ溶液としては、水酸化カリ
ウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イ
オンの規定濃度は0.1N〜3.0Nであることが好ま
しく、0.5N〜2.0Nであることがさらに好まし
い。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲が好まし
く、40℃〜70℃がさらに好ましい。固体の表面エネ
ルギーは、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社 19
89.12.10発行)に記載のように接触角法、湿潤
熱法、および吸着法により求めることができる。本発明
のセルロースアセテートフィルムの場合、接触角法を用
いることが好ましい。具体的には、表面エネルギーが既
知である2種の溶液をセルロースアセテートフィルムに
滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、
液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含
む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面
エネルギーを算出出来る。
【0057】(光学異方性層および液晶性化合物)本発
明の偏光板の光学異方性層は、液晶性化合物からなる。
液晶性化合物としては、ディスコティック化合物が好ま
しい。ディスコティック化合物の例としては、C.De
stradeらの研究報告、Mol.Cryst.71
巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン
誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.
Cryst.122巻、141頁(1985年)、Ph
ysics lett,A,78巻、82頁(199
0)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohn
eらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70
頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体お
よびJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.C
ommun.,1794頁(1985年)、J.Zha
ngらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.11
6巻、2655頁(1994年)に記載されているアザ
クラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなど
を挙げることができる。上記ディスコティック化合物
は、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアル
キル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がそ
の直鎖として放射線状に置換された構造であり、液晶性
を示す。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の
配向を付与できるものであれば上記記載に限定されるも
のではない。上記ディスコティック化合物の好ましい例
は特開平8−50206号公報に記載されている。
【0058】また、光学異方性層を構成する液晶性化合
物は、光学異方性層において液晶性である必要はなく、
光学的に異方性を有していればよい。例えば、前記低分
子ディスコティツク化合物が熱、光等で反応する基を有
しており、結果的に熱、光等で反応により重合または架
橋し、高分子量化し液晶性を失ってはいるが、光学的に
異方性を有していれば、そのようなものも含まれる。本
発明において、「液晶性化合物からなる光学異方性層」
は、上記した態様を包含している。
【0059】本発明の光学異方性層は、ディスコティッ
ク構造単位を有する化合物からなる負の複屈折を有する
層であって、そしてディスコティック構造単位の面が、
透明基材面に対して傾き、かつ該ディスコティック構造
単位の面と透明基材面とのなす角度が、光学異方性層の
深さ方向に変化していることが好ましい。
【0060】上記ディスコティック構造単位の面の角度
(傾斜角)は、一般に、光学異方性層の深さ方向でかつ
光学異方性層の底面からの距離の増加と共に増加または
減少している。上記傾斜角は、距離の増加と共に増加す
ることが好ましい。更に、傾斜角の変化としては、連続
的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的
増加と連続的減少を含む変化、および増加および減少を
含む間欠的変化等を挙げることができる。間欠的変化
は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んで
いる。傾斜角は、変化しない領域を含んでいても、全体
として増加または減少していることが好ましい。更に、
傾斜角は全体として増加していることが好ましく、特に
連続的に変化することが好ましい。
【0061】上記光学異方性層は、一般にディスコティ
ック化合物および他の化合物を溶剤に溶解した溶液を配
向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマ
チック相形成温度まで加熱し、その後配向状態(ディス
コティックネマチック相)を維持して冷却することによ
り得られる。あるいは、上記光学異方性層は、ディスコ
ティック化合物および他の化合物(更に、例えば重合性
モノマー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向
膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチ
ック相形成温度まで加熱したのち重合させ(UV光の照
射等により)、さらに冷却することにより得られる。本
発明に用いるディスコティック液晶性化合物のディスコ
ティックネマティック液晶相−固相転移温度としては、
70〜300℃が好ましく、特に70〜170℃が好ま
しい。
【0062】例えば、基材側のディスコティック単位の
傾斜角は、一般にディスコティック化合物あるいは配向
膜の材料を選択することにより、またはラビング処理方
法の選択することにより、調整することができる。ま
た、表面側(空気側)のディスコティック単位の傾斜角
は、一般にディスコティック化合物あるいはディスコテ
ィック化合物とともに使用する他の化合物(例、可塑
剤、界面活性剤、重合性モノマーおよびポリマー)を選
択することにより調整することができる。更に、傾斜角
の変化の程度も上記選択により調整することができる。
【0063】上記可塑剤、界面活性剤および重合性モノ
マーとしては、ディスコティック化合物と相溶性を有
し、液晶性ディスコティック化合物の傾斜角の変化を与
えられるか、あるいは配向を阻害しない限り、どのよう
な化合物も使用することができる。これらの中で、重合
性モノマー(例、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロ
イル基およびメタクリロイル基を有する化合物)が好ま
しい。上記化合物は、ディスコティック化合物に対して
一般に1〜50質量%、好ましくは5〜30質量%の量
にて使用される。
【0064】上記ポリマーとしては、ディスコティック
化合物と相溶性を有し、液晶性ディスコティック化合物
に傾斜角の変化を与えられる限り、どのようなポリマー
でも使用することができる。ポリマー例としては、セル
ロースエステルを挙げることができる。セルロースエス
テルの好ましい例としては、セルロースアセテート、セ
ルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピ
ルセルロースおよびセルロースアセテートブチレートを
挙げることができる。上記ポリマーは、液晶性ディスコ
ティック化合物の配向を阻害しないように、ディスコテ
ィック化合物に対して一般に0.1〜10質量%、好ま
しくは0.1〜8質量%、特に0.1〜5質量%の量に
て使用される。本発明で用いられる液晶性化合物からな
る好ましい光学異方性層は、透明基材としてのセルロー
スアセテートフィルム上に、架橋されたポリマーからな
り、かつラビング処理された配向膜が設けられ、該配向
膜上に形成されたディスコティック液晶からなる層であ
る。本発明で用いられる配向膜の好ましい例としては特
開平9−152509号公報に記載の化合物が挙げられ
る。
【0065】(偏光子)偏光子には、ヨウ素系偏光子、
二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子が
ある。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子は、一般にポ
リビニルアルコール系フィルムを用いて製造することが
できる。偏光子の透過軸と透明基材セルロースアセテー
トフィルムの遅相軸軸とは、実質的に平行になるように
配置される。
【0066】(偏光板の製造)偏光板の製造には、透明
基材の透湿性が重要である。偏光子と透明基材は水系接
着剤で貼り合わせられており、この接着剤溶剤は透明基
材フィルム中を拡散することで、乾燥される。透明基材
の透湿性が高ければ、高いほど乾燥は早くなり、生産性
は向上するが、高くなりすぎると、液晶表示装置の使用
環境(高湿下)により、水分が偏光子中に入ることで偏
光能が低下する。透明基材の透湿性は、ポリマーフィル
ムの厚み、自由体積、親疎水性、等により決定される。
透明基材の透湿性は、100〜1000g/m2・24
hrsであることが好ましく、300〜700g/m2
・24hrsであることが更に好ましい。厚みは、製膜
の場合、リップ流量とラインスピード、あるいは、延
伸、圧縮により調整する事が出来る。使用する主素材に
より透湿性が異なるので、厚み調整により好ましい範囲
にすることが可能である。自由体積は、製膜の場合、乾
燥温度と時間により調整することが出来る。この場合も
また、使用する主素材により透湿性が異なるので、自由
体積調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明基材の親疎水性は、添加剤により調整することが出
来る。上記自由体積中に親水的添加剤を添加することで
透湿性は高くなり、逆に疎水性添加剤を添加することで
透湿性を低くすることが出来る。上記透湿性を独立に制
御することにより、高品質の偏光板を安価に高い生産性
で製造することが可能となる。
【0067】本発明の偏光板は、下記の工程により製造
することができる。透明基材の片面に接着剤を塗布した
後、偏光子の両面に接着する。この際に、一方の透明基
材の前記接着剤塗布面とは反対の面にあらかじめ光学異
方性層を設けておいてもよい。また、別の透明基材の前
記接着剤塗布面とは反対の面にあらかじめ本発明に従っ
た防眩層と低屈折率層を設けておいてもよい。
【0068】(液晶表示装置)本発明の偏光板は、液晶
表示装置、特に透過型液晶表示装置に有利に用いられ
る。透過型液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に
配置された二枚の偏光板からなる。液晶セルは、二枚の
電極基板の間に液晶を担持している。本発明の偏光板は
その光学異方性層を液晶セル面側に配置して使用するこ
とが好ましい。
【0069】液晶表示装置の液晶セルには種々のモード
が存在する。STNモードの液晶セルでは、電圧無印加
時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに18
0°〜270°にねじれ配向している。また、TNモー
ドの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実
質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向
している。STNモードおよびTNモードの液晶セル
は、黒白、およびカラー液晶表示装置として最も多く利
用されており、多数の文献に記載がある。VAモードの
液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的
に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、
(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に
配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義
のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公
報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモー
ドをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル
(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28
(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電
圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじ
れマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモー
ド)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59
(1998)記載)および(4)SURVAIVALモ
ードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発
表)が含まれる。OCBモードの液晶セルは、棒状液晶
性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に
(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを
用いた液晶表示装置であり、米国特許4583825
号、同5410422号の各明細書に開示されている。
棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配
向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己
光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、
OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードとも
呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速
度が速いとの利点がある。本発明の偏光板は、これらい
ずれのモードにも適応することができる。
【0070】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明
するが、本発明は実施例に限定されて解釈されることは
ない。
【0071】(セルロースアセテート溶液の調製)下記
の成分をミキシングタンクに投入し、加熱しながら撹拌
して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調
製した。 セルロースアセテート溶液組成 ・酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部 ・トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部 ・ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部 ・メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部 ・メタノール(第2溶媒) 54質量部 ・1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
【0072】別のミキシングタンクに、レターデーショ
ン上昇剤(スミソルブTM165−F 住友化学製)1
6質量部、メチレンクロライド80質量部およびメタノ
ール20質量部を投入し、加熱しながら撹拌して、レタ
ーデーション上昇剤溶液を調製した。
【0073】セルロースアセテート溶液475質量部に
上記レターデーション上昇剤溶液25質量部を混合し、
充分に撹拌してドープを調製した。レターデーション上
昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に
対して、3.0質量部であった。調製したドープを、金
属ドラム上に吐出させて流延した後、流延膜をドラムか
ら剥ぎ取り、乾燥して厚さ80μmのセルロースアセテ
ートフィルム(CAF−01)を作製した。
【0074】作製したセルロースアセテートフィルム
(CAF−01)について、エリプソメーター(M−1
50、日本分光(株)製)を用いて、波長633nmに
おけるReレターデーション値およびRthレターデー
ション値を測定した。Reは10nmで、Rthは81
nmであった。
【0075】(下塗り層の作製)作製したセルロースア
セテートフィルム(CAF−01)に下記組成の塗布液
を28ml/m2塗布乾燥し、0.1μmの下塗り層を
塗設した。 下塗り層用塗布液の組成 ・ゼラチン 0.542質量部 ・ホルムアルデヒド 0.136質量部 ・サリチル酸 0.160質量部 ・アセトン 39.1質量部 ・メタノール 15.8質量部 ・メチレンクロライド 40.6質量部 ・水 1.2質量部
【0076】さらにその上に下記組成の塗布液を7ml
/m2塗布乾燥した。 ・アニオン性下記共重合体(x:y:z=50/25/25) 0.079質量部 ・クエン酸モノエチルエステル 1.01質量部 ・アセトン 20質量部 ・メタノール 87.7質量部 ・水 4.05質量部
【0077】
【化1】
【0078】さらに上記と反対側の層に下記組成の塗布
液を25ml/m2塗布乾燥し、バック層を設けた。 バック層塗布液組成物 ・セルロースジアセテート(酢化度55%) 0.656質量部 ・シリカ系マット剤(平均粒径1μm) 0.065質量部 ・アセトン 67.9質量部 ・メタノール 10.4質量部
【0079】(配向膜層の作製)このセルロースアセテ
ートフィルム(CAF−01)の下塗り層上に、下記組
成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28ml
/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃
の温風で150秒乾燥した。次に、セルロースアセテー
トフィルム(CAF−01)の長手方向に、形成した膜
にラビング処理を実施した。
【0080】 配向膜塗布液組成 ・下記構造の変性ポリビニルアルコール 8質量部 ・PVA217(クラレ製) 2質量部 ・水 371質量部 ・メタノール 119質量部 ・グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
【0081】
【化2】
【0082】(光学異方性層の形成)配向膜上に、下記
構造のディスコティック化合物41.01g、エチレン
オキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレー
ト(V#360、大阪有機化学(株)製)2.03g、
ジペンタエリストールアクリレート(KYARADDP
HA 日本化薬製)2.03g、セルロースアセテート
ブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミ
カル社製)0.90g、セルロースアセテートブチレー
ト(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)
0.23g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チ
バガイギー社製)1.35g、増感剤(カヤキュアーD
ETX、日本化薬(株)製)0.45gを、102gの
メチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#4のワイヤ
ーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、13
0℃の恒温槽中で2分間加熱し、円盤状化合物を配向さ
せた。次に、80℃の雰囲気下のもと、膜面温度が約1
00℃の状態で120W/cm高圧水銀灯を用いて、
0.4秒間UV照射しディスコティック化合物を重合さ
せた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光
学異方性層を形成した。波長633nmで測定した光学
異方性層のReレターデーション値は48nmであっ
た。また、円盤面と第1透明基材面との間の角度(傾斜
角)は平均で42゜であった。
【0083】
【化3】
【0084】(偏光板(Pol−A)の作製)延伸した
ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏
光膜を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用い
て、偏光膜の片面に上記で作成した液晶性化合物からな
る光学異方性層を設けたセルロースアセテートフィルム
のバック層側を貼り合わせ、偏光膜のもう一方の面には
市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタック
TD80UF、富士写真フイルム(株)製)のケン化処
理を行った面を貼り合わせ、80℃で10分間乾燥させ
た。偏光膜の透過軸と上記で作製した光学異方性層の遅
相軸とは平行になるように配置した。偏光膜の透過軸と
市販のセルローストリアセテートフィルムの遅相軸と
は、直交するように配置した。このようにして偏光板
(Pol−A)を作製した。
【0085】 (防眩層用塗布液Aの調製) ・ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサ アクリレートの混合物(KAYARAD DPHA、日本化薬(株)製) 3.0g ・表面修飾シリカ混合物(製品名Z7526、JSR(株)製) 44.0g ・MIBK 39.0g ・スチレンビーズペースト(製品名SX130H、架橋PSt1.3μm粒子、 総研化学(株)製) 11.1g ・スチレンビーズペースト(製品名SX350H、架橋PSt3.5μm粒子、 総研化学(株)製) 2.6g ここでMIBKは溶剤メチルイソブチルケトンを表す。
上記成分を混合し、防眩層用塗布液Aを調製した。
【0086】 (防眩層用塗布液Bの調製) ・ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサ アクリレートの混合物(KAYARAD DPHA、日本化薬(株)製) 18.7g ・表面修飾ジルコニア混合物(製品名KZ7114A,JSR(株)製) 38.7g ・MEK 11.8g ・MIBK 23.5g ・PMMAビーズペースト(製品名MX150、PMMA1.5μm粒子、総研 化学(株)製) 5.3g ・PMMAビーズペースト(製品名MX300、PMMA3.0μm粒子、総研 化学(株)製) 3.3g ここでMEKは溶剤メチルエチルケトンを表し、PMM
Aはポリメチルメタクリレートを表す。上記成分を混合
し、防眩層用塗布液Bを調製した。
【0087】(防眩層用塗布液Cの調製)20質量%の
含フッ素オリゴマーのMEK溶液からなるフッ素系界面
活性剤(メガファックF−176PF、大日本インキ
(株)製)0.037gを追加添加したこと以外は防眩
層用塗布液Aと同様にして防眩層用塗布液Cを調製し
た。
【0088】(防眩層用塗布液Dの調製)フッ素系界面
活性剤の量を0.093gとしたこと以外は防眩層用塗
布液Cと同様にして防眩層用塗布液Dを調製した。
【0089】(防眩層用塗布液Eの調製)フッ素系界面
活性剤の量を0.148gとしたこと以外は防眩層用塗
布液Cと同様にして防眩層用塗布液Eを調製した。
【0090】(防眩層用塗布液Fの調製)フッ素系界面
活性剤をシリコーン系界面活性剤(シリコーンX−22
−945、信越化学(株)製)に同量で置き換えたこと
以外は防眩層用塗布液Cと同様にして防眩層用塗布液F
を調製した。
【0091】 (低屈折率層用塗布液Aの調製) ・熱架橋性含フッ素ポリマーの6質量%のMEK溶液(JN7228、JSR( 株)製)(屈折率1.42) 53.9g ・平均粒径10〜20nm、固形分濃度30質量%のSiO2ゾルのMEK分散 物(MEK−ST、日産化学(株)製) 4.63g ・MEK 38.6g ・シクロヘキサノン 2.88g 上記成分からなる低屈折率層用塗布液Aを調製した。
【0092】〔実施例1〕セルローストリアセテート
(TD80UD)の面上に、上記防眩層用塗布液Aをバ
ーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥の後、16
0W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィ
ックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2
照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を
硬化させ、厚さ約3.5μmの防眩層を形成した。この
ようにして形成した防眩層の表面エネルギーを、純水お
よびジヨードメタンの接触角を測定してOwensの表
面エネルギーの式に代入して算出したところ、41mN
・m-1であった。その上に、上記低屈折率層用塗布液A
をバーコーターを用いて塗布し、80℃で乾燥の後、さ
らに120℃で8分間熱架橋し、厚さ0.096μmの
低屈折率層を形成した。この低屈折率層の屈折率は1.
43であった。これを防眩フィルム1とする。偏光板P
ol−Aの作成において、市販のセルローストリアセテ
ートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイ
ルム(株)製)の代わりに、上記の防眩フィルム1をそ
のセルローストリアセテート側にケン化処理を行った
後、その面を偏光板側に張り合わせて、偏光板1を作成
した。
【0093】〔実施例2〕実施例1において、防眩層用
塗布液AをBに置き換えたこと以外は実施例1と同様に
して偏光板2を作成した。表面エネルギーは42mN・
-1であった。
【0094】〔実施例3〕上記防眩層用塗布液Aを防眩
性塗布液Cに置き換えた以外は実施例1と同様にして偏
光板3を作成した。防眩層の表面エネルギーは40mN
・m-1であった。防眩層表面の炭素原子に対するフッ素
原子の比を示すF/Cを、X線光電子分光法で測定した
フッ素原子由来のピーク面積を炭素原子由来のピーク面
積で割った値として算出したところ、0.28であっ
た。
【0095】〔実施例4〕上記防眩層用塗布液Aを防眩
性塗布液Dに置き換えた以外は実施例1と同様にして偏
光板4を作成した。防眩層の表面エネルギーおよびF/
Cを測定したところ、それぞれ30mN・m-1、0.3
8であった。
【0096】〔実施例5〕上記防眩層用塗布液Aを防眩
性塗布液Fに置き換えた以外は実施例1と同様にして偏
光板5を作成した。防眩層の表面エネルギーは40mN
・m-1であった。防眩層表面の炭素原子に対するSi原
子の比を示すSi/Cを、X線光電子分光法で測定した
Si原子由来のピーク面積を炭素原子由来のピーク面積
で割った値として算出したところ、0.12であった。
【0097】〔比較例1〕上記防眩層用塗布液Aを防眩
層用塗布液Eに置き換えたこと以外は実施例1と同様に
して比較例とする偏光板6を作成した。防眩層の表面エ
ネルギーおよびF/Cは、各々22mN・m-1、0.5
3であった。
【0098】(防眩性反射防止膜の評価)得られた偏光
板について、以下の項目の評価を行った。評価結果を表
1に示す。 (1)鏡面反射率 分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプタ
ーARV−474を装着して、380〜780nmの波
長領域において、入射角5°における出射角−5度の鏡
面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を
算出し、反射防止性を評価した。 (2)積分反射率 分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプタ
ーILV−471を装着して、380〜780nmの波
長領域において、出射角−5度に標準白色板を装着した
状態で入射角5°におけるあらゆる出射角での反射率の
積分値(積分反射率と称する)を測定し、450〜65
0nmの平均反射率を算出した。 (3)ヘイズ値 得られたフィルムのヘイズをヘイズメーターMODEL
1001DP(日本電色工業(株)製)を用いて測定
した。内部ヘイズは、防眩層までを形成したフィルム
に、該防眩層に含まれるバインダ成分のみをオーバーコ
ートして、表面粗さRaが0.01未満になったものの
ヘイズ値とし、外部ヘイズは、低屈折率層までを形成し
たフィルムのヘイズ値から、前記内部ヘイズ値を引いて
算出した。 (4)防眩性評価 作成した防眩性フィルムにルーバーなしのむき出し蛍光
灯(8000cd/m 2)を映し、その反射像のボケの
程度を評価した。 (5)ギラツキ 解像度110ppiのLCDパネルを有するメビウスP
C−PJ2−X4(シャープ(株)製)のLCD表面に
実装し、緑色のベタ表示におけるギラツキの程度を目視
評価した。
【0099】
【表1】
【0100】表1に示される評価結果から、以下のこと
が明らかである。本発明の偏光板1〜5(実施例1〜
5)では、鏡面反射率、積分反射率ともに低く、良好な
結果が得られた。比較例1の偏光板6では本発明のサン
プルに比べて、高い反射率となり外光の映り込みが見ら
れ、好ましくない結果が得られた。
【0101】また、シャープ(株)製のTFT型液晶カ
ラーテレビ6E−C3の偏光板をはがして、液晶セルを
挟むようにして偏光板1とPol−Aを、光学異方性層
が液晶セル側になるように、かつ偏光軸が互いに直交す
るように貼り付け、カラー液晶表示装置1を作製した。
さらに、偏光板1に変えて、偏光板6を使用したこと以
外は、カラー液晶表示装置1と同様にしてカラー液晶表
示装置2を作製した。両者とも、防眩性は良好であり、
ギラツキは見られず、かつ、上下左右の視野角が広く視
認性に優れた液晶表示装置が得られた。ただ、明室で画
像を観察すると本発明の偏光板1を用いた液晶表示装置
1では高いコントラストと彩度が認められたのに対し
て、比較の偏光板6を用いた液晶表示装置2では画像の
コントラストと彩度が低く、製品として満足できるもの
ではなかった。
【0102】
【発明の効果】本発明の方法で製造された偏光板は、画
像表示装置、特に高精細液晶表示装置に搭載したときの
反射防止性、防眩性、ギラツキ防止性能などの特性に優
れる。また、視野角が拡大し、視角変化による、コント
ラスト低下、階調または黒白反転、および色相変化等が
ほとんど発生することがなく、高い彩度が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な偏光板の層構成を模式的に示
す概略断面図である。
【符号の説明】
1 低屈折率層 2 防眩層 3 マット粒子 4 透光性樹脂 5 透明基材フィルム 6 偏光子 7 透明基材フィルム 8 光学異方性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H042 BA02 BA03 BA12 BA15 BA20 2H049 BA02 BA06 BA27 BA42 BB03 BB33 BB43 BB63 BB65 BC04 BC22 2H091 FA08X FA08Z FA11X FA11Z FA37X FD06 GA13 HA07 KA10 LA17 LA19

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2枚の透明基材、それらに挟持された偏
    光子、液晶性化合物からなる光学異方性層、防眩層、お
    よび少なくとも1層の低屈折率層を有する偏光板の製造
    方法において、 上記防眩層を、その表面エネルギーが25mN・m-1
    70mN・m-1の範囲となるように形成し、形成された
    防眩層上に上記低屈折率層を積層することを特徴とする
    偏光板の製造方法。
  2. 【請求項2】 防眩層の表面エネルギーが35mN・m
    -1〜70mN・m-1の範囲となるように防眩層を形成す
    ることを特徴とする請求項1に記載の偏光板の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 形成された防眩層をX線光電子分光法で
    測定したときに、フッ素原子由来のピークと炭素原子由
    来のピークの比であるF/Cが0.40以下であり、か
    つシリコン原子由来のピークと炭素原子由来のピークの
    比であるSi/Cが0.30以下であることを特徴とす
    る請求項1または2に記載の偏光板の製造方法。
  4. 【請求項4】 防眩層の内部拡散によるヘイズ値が、1
    6〜90%であることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載の偏光板の製造方法。
  5. 【請求項5】 防眩層の表面拡散によるヘイズ値が、1
    〜30%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    かに記載の偏光板の製造方法。
  6. 【請求項6】 防眩層が、透明バインダ組成物とマット
    粒子から構成され、かつ該透明バインダ組成物と該マッ
    ト粒子の屈折率差が0.02〜0.2であることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれかに記載の偏光板の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 低屈折率層が熱硬化性または電離放射線
    硬化性の含フッ素樹脂の硬化物から主としてなり、かつ
    低屈折率層の屈折率が1.49以下であることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれかに記載の偏光板の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 液晶性化合物が、ディスコティック化合
    物である請求項1〜7のいずれかに記載の偏光板の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 光学異方性層と偏光子の間および偏光子
    と防眩層の間にそれぞれ少なくとも1のセルロースアセ
    テートフィルムを有することを特徴とする請求項1〜8
    のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
  10. 【請求項10】請求項1〜9のいずれかに記載の製造方
    法で製造された偏光板。
  11. 【請求項11】請求項10に記載の偏光板を光学異方性
    層側を液晶セル面に配置することを特徴とする液晶表示
    装置。
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