JP2003215339A - 偏光板の製造方法、偏光板、および液晶表示装置 - Google Patents

偏光板の製造方法、偏光板、および液晶表示装置

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JP2003215339A
JP2003215339A JP2002012865A JP2002012865A JP2003215339A JP 2003215339 A JP2003215339 A JP 2003215339A JP 2002012865 A JP2002012865 A JP 2002012865A JP 2002012865 A JP2002012865 A JP 2002012865A JP 2003215339 A JP2003215339 A JP 2003215339A
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polarizing plate
film
liquid crystal
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JP2002012865A
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Hatsumi Tanemura
初実 種村
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 視野角が広く、外光の映り込みがない偏光板
あるいは液晶表示装置を低コストで提供すること。 【解決手段】 液晶性化合物から成る光学異方性層、偏
光子、防眩層、および該防眩層上に少なくとも1層の低
屈折率層を有する偏光板であって、該低屈折率層が塗布
法により形成され、該低屈折率層表面の中心線平均粗さ
Ra値が0.6以上1.3以下であり、該防眩層/該低
屈折率層界面の中心線平均粗さをRbとするとき、Ra
/Rb値が0.83以上1.00以下である偏光板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学異方性層を有
する偏光板の製造方法、およびそれにより製造した偏光
板、およびその偏光板を用いた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に液晶表示装置の表示品位上の欠点
は、視野角が狭いこと、および外光の写り込みである。
視野角に関しては、現在主流であるTNモードTFT液
晶表示装置において、特開平8−50206号公報、特
開平7−191217号公報、およびに欧州特許091
1656A2号明細書に記載のように、光学異方性層を
用いた光学補償フィルムを偏光板と液晶セルの間に挿入
し、広視野角の液晶表示装置が実現されている。しか
し、この光学補償フイルムを用いる方法は優れた方法で
あるが、液晶表示装置を用いて、画像を観察しようとす
ると、未だ、視野角が十分でなく、また、外光の映り込
みが生じるため、画像が見にくくなると言う欠点があ
り、液晶表示装置としては、十分な性能ではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、光学
異方性層を用いて偏光板あるいは液晶表示装置を作成し
た際に、視野角がさらに広く、かつ、外光の映り込みが
ないものを低コストで提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意研究の結
果、視野角をさらに改良するためには、光学異方性層を
用いるのみでは十分でなく、さらに、液晶表示装置の観
察者側の最外面、すなわち偏光板の表面に所望の凹凸を
形成することにより光拡散性を持たせた層を設けること
が有効であることを見いだした。外光の映り込みはこの
光拡散性層によっても改良されるが、十分でない。その
ため、さらに光拡散性層(以下、防眩層という)の上に
低屈折率層からなる反射防止層を設けることが効果的で
ある。反射防止層を設ける方法としては、CVD法、気
相蒸着法、あるいは、塗布法が知られているが、生産性
とコストの観点から塗布法が有利である。しかし、凹凸
を持つ防眩層の上に反射防止層を塗布法により設ける
と、好ましく反射率を低減することができないという問
題があることも見いだした。本発明者は、反射防止性が
十分に低減しないのは、反射防止層を防眩層上にオーバ
ーコートする際に、反射防止層がきわめて薄膜層である
ために、凹凸のある防眩層上に所望の凹凸形状で均一に
形成されていないことが原因であることを見いだした。
このような欠点を改良し、視野角依存性がきわめて小さ
く、外光の映り込みが低減した偏光板、および液晶表示
装置は次のようにして提供することができる。
【0005】(1) 液晶性化合物から成る光学異方性
層、偏光子、防眩層、および該防眩層上に少なくとも1
層の低屈折率層を有する偏光板であって、該低屈折率層
が塗布法により形成され、該低屈折率層表面の中心線平
均粗さRa値が0.6以上1.3以下であり、該防眩層
/該低屈折率層界面の中心線平均粗さをRbとすると
き、Ra/Rb値が0.83以上1.00以下であるこ
とを特徴とする偏光板。 (2) 液晶性化合物から成る光学異方性層、偏光子、
防眩層、および該防眩層上に少なくとも1層の低屈折率
層を有する偏光板の製造方法において、該低屈折率層が
塗布法により形成され、その塗布液が1種以上の溶媒を
含有し、該溶媒の50〜100質量%が沸点100℃以
下の溶媒であることを特徴とする偏光板の製造方法。 (3) 形成された低屈折率層表面の中心線平均粗さR
a値が0.6以上1.3以下であり、防眩層/低屈折率
層界面の中心線平均粗さをRbとするとき、Ra/Rb
値が0.83以上1.00以下であることを特徴とする
(2)に記載の偏光板の製造方法。 (4) 塗布液の溶媒の90〜100質量%が沸点10
0℃以下の溶媒であることを特徴とする(2)又は
(3)に記載の偏光板の製造方法。 (5) 塗布液の溶媒がケトン類および/またはエステ
ル類であることを特徴とする(2)〜(4)に記載の偏
光板の製造方法。 (6) 塗布液の溶媒が2−ブタノンであることを特徴
とする(5)に記載の偏光板の製造方法。 (7) 低屈折率層が平均粒径0.001〜0.2μm
の無機微粒子を含有することを特徴とする(2)〜
(6)に記載の偏光板の製造方法。 (8) 透明支持体がトリアセチルセルロース、ポリエ
チレンテレフタレート、またはポリエチレンナフタレー
トであることを特徴とする(2)〜(7)に記載の偏光
板の製造方法。 (9) 該液晶性化合物がディスコティック化合物であ
ることを特徴とする(1)に記載の偏光板、または、
(2)〜(8)に記載の偏光板の製造方法。 (10) (2)〜(9)のいずれか1に記載の製造方
法で製造した偏光板。 (11) (1)または(10)に記載の偏光板をその
光学異方性層側を液晶セル面に配置することを特徴とす
る液晶表示装置。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の偏光板について具体的に
記載する。本発明の好ましい偏光板の構成について図1
に示した。透明基材フィルム5の一方の面(図において
上面)にマット粒子3を含有する透光性樹脂4からなる
防眩層2を積層し、その上に低屈折率層1を設ける。透
明基材フィルム5の反対面(図においては下面)に、偏
光子6、透明基材フィルム7及び光学異方性層8を積層
している。
【0007】本発明の防眩層を形成する透明バインダ組
成物の素材の屈折率は、好ましくは1.50〜2.00
であり、より好ましくは1.51〜1.70である。低
屈折率層を形成する素材の屈折率は好ましくは1.38
〜1.49である。
【0008】防眩層を形成する透明バインダ組成物の屈
折率が小さすぎると反射防止性が低下する。さらにこれ
が大きすぎると、反射光の色味が強くなり好ましくな
い。また、反射防止性は、低屈折率層の屈折率が1.3
8〜1.49の間では低いほど良好であるが、反射光の
色味が強くなる。
【0009】以下に、個別要素について説明する。 (透明基材フイルム)前記透明基材フィルムの素材とし
ては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シート
や透明ガラスがある。
【0010】透明樹脂フィルムとしては、トリアセテー
トセルロース(TAC)フィルム、ポリエチレンテレフ
タレート(PET)フィルム、ジアセチルセルロースフ
ィルム、アセテートブチレートセルロースフィルム、ポ
リエーテルサルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィ
ルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィ
ルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィル
ム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィル
ム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルロ
ニトリルフィルム等が使用できる。又、厚さは通常25
μm〜1000μm程度とする。
【0011】前記透明基材フィルムには、液晶用途とし
ては、複屈折がないTACが、散乱フィルムと偏光素子
との積層を可能(後述)とし、更にその散乱フィルムを
用いて表示品位の優れた表示装置を得ることができるの
で、特に好ましい。
【0012】[セルロースアセテート]本発明では、酢
化度が59.0乃至61.5%であるセルロースアセテ
ートを使用することが好ましい。酢化度とは、セルロー
ス単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、
ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等
の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従
う。セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、
250以上であることが好ましく、290以上であるこ
とがさらに好ましい。また、本発明に使用するセルロー
スエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ーによるMw/Mn(Mwは重量平均分子量、Mnは数
平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体
的なMw/Mnの値としては、1.0乃至1.7である
ことが好ましく、1.3乃至1.65であることがさら
に好ましく、1.4乃至1.6であることが最も好まし
い。
【0013】一般に、セルロースアセテートの2,3,
6の水酸基は全体の置換度の1/3づつに均等に分配さ
れるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾
向がある。本発明ではセルロースアセテートの6位水酸
基の置換度が、2,3位に比べて多いほうが好ましい。
全体の置換度に対して6位の水酸基が32%以上アセチ
ル基で置換されていることが好ましく、更には33%以
上、特に34%以上であることが好ましい。さらにセル
ロースアセテートの6位アセチル基の置換度が0.88
以上であることが好ましい。セルロースアセテートとし
て、公開特許公報 特開平11−5851記載の004
3〜0044の実施例[合成例1]、0048〜004
9の[合成例2]、0051〜0052の[合成例3]
の方法で得られたセルロースアセテートを用いることが
できる。
【0014】[レターデーション上昇剤]セルロースア
セテートフイルムのレターデーションを調整するため、
少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレタ
ーデーション上昇剤として使用することが好ましい。
【0015】芳香族化合物が有する芳香族環の数は、2
乃至20であることが好ましく、2乃至12であること
がより好ましく、2乃至8であることがさらに好まし
く、2乃至6であることが最も好ましい。二つの芳香族
環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)
単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合
する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は
形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれ
でもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水
素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族炭化水
素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが
特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテ
ロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環また
は7員環であることが好ましく、5員環または6員環で
あることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般
に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒
素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子
が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン
環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソ
オキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イ
ミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾー
ル環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジ
ン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含
まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チ
オフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール
環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピ
リミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン
環が好ましく、ベンゼン環および1,3,5−トリアジ
ン環がさらに好ましい。芳香族化合物は、少なくとも一
つの1,3,5−トリアジン環を有することが特に好ま
しい。このようなレターデーション上昇剤は、セルロー
スアセテート100質量部に対して、0.01乃至20
質量部の範囲で使用する。セルロースアセテート100
質量部に対して、0.05乃至15質量部の範囲で使用
することが好ましく、0.1乃至10質量部の範囲で使
用することがさらに好ましい。二種類以上のレターデー
ション上昇剤を併用してもよい。レターデーション上昇
剤の具体例としては、特開2000−111914号公
報、同2000−275434号公報、PCT/JP0
0/02619号明細書に記載の化合物が挙げられる。
【0016】[セルロースアセテートフイルムの製造]
ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフイ
ルムを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法
では、セルロースアセテートを有機溶媒に溶解した溶液
(ドープ)を用いてフイルムを製造する。有機溶媒は、
炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃
至12のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステルお
よび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素から選
ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトンお
よびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテ
ル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O
−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上
有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。
有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を
有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶
媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有す
る化合物の規定範囲内であればよい。
【0017】炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例
には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジ
メトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキ
ソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネ
トールが含まれる。炭素原子数が3乃至12のケトン類
の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメ
チルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3乃至
12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピ
ルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテー
ト、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含ま
れる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、
2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノー
ルおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン
化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好
ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化
水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲ
ン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている
割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、3
0乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至
65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60
モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリド
が、代表的なハロゲン化炭化水素である。二種類以上の
有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0018】一般的な方法でセルロースアセテート溶液
を調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常
温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調
製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調
製方法および装置を用いて実施することができる。な
お、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化
炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ま
しい。セルロースアセテートの量は、得られる溶液中に
10乃至40質量%含まれるように調整する。セルロー
スアセテートの量は、10乃至30質量%であることが
さらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する
任意の添加剤を添加しておいてもよい。溶液は、常温
(0乃至40℃)でセルロースアセテートと有機溶媒と
を攪拌することにより調製することができる。高濃度の
溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体
的には、セルロースアセテートと有機溶媒とを加圧容器
に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以
上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪
拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好まし
くは60乃至200℃であり、さらに好ましくは80乃
至110℃である。
【0019】各成分は予め粗混合してから容器に入れて
もよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌
できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の
不活性気体を注入して容器を加圧することができる。ま
た、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。
あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加しても
よい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好
ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いる
ことができる。また、容器の外部にプレートヒーターを
設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を
加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、こ
れを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の
壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端に
は、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けるこ
とが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を
設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。
調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるい
は、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0020】冷却溶解法により、溶液を調製することも
できる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させ
ることが困難な有機溶媒中にもセルロースアセテートを
溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセル
ロースアセテートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶
解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果があ
る。冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロ
ースアセテートを撹拌しながら徐々に添加する。セルロ
ースアセテートの量は、この混合物中に10乃至40質
量%含まれるように調整することが好ましい。セルロー
スアセテートの量は、10乃至30質量%であることが
さらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の
添加剤を添加しておいてもよい。
【0021】次に、混合物を−100乃至−10℃(好
ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50
乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に
冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール
浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液
(−30乃至−20℃)中で実施できる。このように冷
却すると、セルロースアセテートと有機溶媒の混合物は
固化する。冷却速度は、4℃/分以上であることが好ま
しく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12
℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速
いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限で
あり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして1
00℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、
冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷
却開始から最終的な冷却温度に達するまでの時間で割っ
た値である。
【0022】さらに、これを0乃至200℃(好ましく
は0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、
最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒
中にセルロースアセテートが溶解する。昇温は、室温中
に放置するだけでもよいし、温浴中で加温してもよい。
加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃
/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上
であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ま
しいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、10
00℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒
が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始
する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始し
てから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値
である。以上のようにして、均一な溶液が得られる。な
お、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り
返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視によ
り溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
【0023】冷却溶解法においては、冷却時の結露によ
る水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ま
しい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、
加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができ
る。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を
用いることが望ましい。なお、セルロースアセテート
(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷
却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量
%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、3
3℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在
し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、
この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移
温度プラス10℃程度の温度で保する必要がある。ただ
し、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢
化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒に
より異なる。
【0024】調製したセルロースアセテート溶液(ドー
プ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアセ
テートフイルムを製造する。ドープは、ドラムまたはバ
ンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成す
る。流延前のドープは、固形分量が18乃至35%とな
るように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたは
バンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好まし
い。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法
については、米国特許2336310号、同23676
03号、同2492078号、同2492977号、同
2492978号、同2607704号、同27390
69号、同2739070号、英国特許640731
号、同736892号の各明細書、特公昭45−455
4号、同49−5614号、特開昭60−176834
号、同60−203430号、同62−115035号
の各公報に記載がある。ドープは、表面温度が10℃以
下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。
流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好まし
い。得られたフイルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取
り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高
温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以
上の方法は、特公平5−17844号公報に記載があ
る。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を
短縮することが可能である。この方法を実施するために
は、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてド
ープがゲル化することが必要である。
【0025】調製したセルロースアシレート溶液(ドー
プ)を用いて2層以上の流延でフィルム化することも出
来る。この場合、ソルベントキャスト法によりセルロー
スアシレートフイルムを作製することが好ましい。ドー
プは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させ
てフイルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が
10〜40%となるように濃度を調整することが好まし
い。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げて
おくことが好ましい。
【0026】2層以上の複数のセルロースアシレート液
を流延する場合、複数のセルロースアシレート溶液を流
延することが可能で、支持体の進行方向に間隔を置いて
設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶
液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製
してもよく、例えば特開昭61−158414号、特開
平1−122419号、特開平11−198285号、
などに記載の方法が適応できる。また、2つの流延口か
らセルロースアシレート溶液を流延することによっても
フィルム化することでもよく、例えば特公昭60−27
562号、特開昭61−94724号、特開昭61−9
47245号、特開昭61−104813号、特開昭6
1−158413号、特開平6−134933号、に記
載の方法で実施できる。また、特開昭56−16261
7号に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを
低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その
高,低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出す
セルロースアシレートフィルム流延方法でもよい。
【0027】或いはまた2個の流延口を用いて、第一の
流延口により支持体に成型したフィルムを剥ぎ取り、支
持体面に接していた側に第二の流延を行なうことでよ
り、フィルムを作製することでもよく、例えば特公昭4
4−20235号に記載されている方法である。流延す
るセルロースアシレート溶液は同一の溶液でもよいし、
異なるセルロースアシレート溶液でもよく特に限定され
ない。複数のセルロースアシレート層に機能を持たせる
ために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液
を、それぞれの流延口から押出せばよい。さらの本発明
のセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、
接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、
UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施
しうる。
【0028】従来の単層液では、必要なフィルム厚さに
するためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶
液を押出すことが必要であり、その場合セルロースアシ
レート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障
となったり、平面性が不良であったりして問題となるこ
とが多かった。この解決として、複数のセルロースアシ
レート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の
溶液を同時に支持体上に押出すことができ、平面性も良
化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、
濃厚なセルロースアシレート溶液を用いることで乾燥負
荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高め
ることができる。
【0029】セルロースアセテートフイルムには、機械
的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するため
に、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、
リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられ
る。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェ
ート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TC
P)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル
酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フ
タル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DM
P)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレ
ート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジ
フェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシル
フタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステル
の例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACT
E)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACT
B)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例に
は、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、
セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが
含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DE
P、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用
いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。可塑剤
の添加量は、セルロースエステルの量の0.1乃至25
質量%であることが好ましく、1乃至20質量%である
ことがさらに好ましく、3乃至15質量%であることが
最も好ましい。
【0030】セルロースアセテートフイルムには、劣化
防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁
止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加して
もよい。劣化防止剤については、特開平3−19920
1号、同5−1907073号、同5−194789
号、同5−271471号、同6−107854号の各
公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶
液(ドープ)の0.01乃至1質量%であることが好ま
しく、0.01乃至0.2質量%であることがさらに好
ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防
止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%
を越えると、フイルム表面への劣化防止剤のブリードア
ウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好まし
い劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエ
ン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げる
ことができる。
【0031】[高熱伝導性粒子]セルロースアセテート
フィルムの熱伝導性を向上させるために様々な高熱伝導
性粒子を使用する。高熱伝導性粒子としては、窒化アル
ミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化マグネシウ
ム、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化
亜鉛、酸化マグネシウム、炭素、ダイヤモンド、金属等
を挙げる事ができる。フィルムの透明性を損なわないた
めに、透明な粒子を使用することが望ましい。 高熱伝
導性粒子のセルロースアセテートフィルムへの配合量
は、セルロースアセテート100質量部に対して5〜1
00質量のはんいで充填するのがよい。配合量が5質量
部未満であると熱伝導の向上が乏しく、また50質量部
を超える充填は、生産性の面で困難かつセルロースアセ
テートフィルムが脆いものになってしまう。高熱伝導性
粒子の平均粒径は0.05〜80μm、好ましくは0.
1〜10μmが好ましい。球状の粒子を用いても良い
し、針状の粒子を用いても良い。
【0032】[二軸延伸]本発明のセルロースアセテー
トフィルムは、吸湿膨張を低減させるために、延伸処理
されることが好ましい。延伸することにより、延伸方向
の吸湿膨張が低減出来るので、面内すべての方向で歪み
を低減するために二軸延伸することが更に好ましい。二
軸延伸には、同時二軸延伸法と逐次二軸延伸法がある
が、連続製造の観点から逐次二軸延伸方法が好ましく、
ドープを流延した後、バンドもしくはドラムより剥ぎ取
り、幅方向(長手方法)に延伸した後、長手方向(幅方
向)に延伸される。幅方向に延伸する方法は、例えば、
特開昭62−115035号、特開平4−152125
号、同4−284211号、同4−298310号、同
11−48271号などに記載されている。フイルムの
延伸は、常温または加熱条件下で実施する。加熱温度
は、フイルムのガラス転移温度以下であることが好まし
い。フイルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、
特に溶媒が残存する場合は有効である。長手方向の延伸
の場合、例えば、フイルムの搬送ローラーの速度を調節
して、フイルムの剥ぎ取り速度よりもフイルムの巻き取
り速度の方を速くするとフイルムは延伸される。幅方向
の延伸の場合、フイルムの巾をテンターで保持しながら
搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによっても
フイルムを延伸できる。フイルムの乾燥後に、延伸機を
用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる
一軸延伸)もできる。フイルムの延伸倍率(元の長さに
対する延伸による増加分の比率)は、5〜50%が好ま
しく、さらに好ましくは10乃至40%、最も好ましく
は15乃至35%である。
【0033】これら流延から後乾燥までの工程は、空気
雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下
でもよい。本発明のセルロースアシレートフィルムの製
造に係わる巻き取り機は一般的に使用されているもので
よく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンショ
ン法、内部応力一定のプログラムテンションコントロー
ル法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。 [吸湿膨張係数]吸湿膨張係数の測定方法について以下
に示す。作製したポリマーフィルムから幅5mm、長さ
20mmの試料を切り出し、片方の端を固定して25
℃、20%RHの雰囲気下にぶら下げた。他方の端に
0.5gの重りをぶら下げて、一定時間放置した。次
に、一定温度のまま、湿度を80%RHにして、長さの
変形量を測定した。測定は同一試料につき10サンプル
行い、平均値を採用した。上記吸湿による寸度変化は、
ポリマーフィルム中の自由体積を小さくすればよい事を
見出した。該自由体積を大きく左右するのは、製膜時の
残留溶剤量であり、少ない方が寸度変化は少ない。残留
溶剤を減らすための一般的手法は、高温かつ長時間で乾
燥することであるが、あまり長時間であると、当然のこ
とながら生産性が落ちるため、0.01質量%乃至1質
量%であることが好ましく、0.02質量%乃至0.0
7質量%が更に好ましく、最も好ましいのは、0.03
質量%乃至0.05質量%である。上記残留溶剤量を制
御することにより、光学補償能を有する偏光板を安価に
高い生産性で製造することが可能となる。また、上記吸
湿による寸度変化を小さくする方法として、疎水性を有
する化合物を添加する事が好ましい。疎水性を有する素
材としては、分子中にアルキル基やフェニル基のような
疎水基を有する素材であれば特に制限はないが、後述の
可塑剤や劣化防止剤の中で該当する素材が特に好ましく
用いられる。添加量は調整する溶液(ドープ)の0.0
1乃至10質量%が好ましく、0.1乃至5質量%がさ
らに好ましく、1乃至3質量%が最も好ましい。
【0034】[セルロースアセテートフイルムの表面処
理]セルロースアセテートフイルムは、表面処理を施す
ことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処
理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理
または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−
333433号明細書に記載のように、下塗り層を設け
ることも好ましく利用される。フィルムの平面性を保持
する観点から、これら処理においてセルロースアセテー
トフイルムの温度をTg以下、具体的には150℃以下
とすることが好ましい。偏光板の透明保護膜として使用
する場合、偏光膜との接着性の観点から、酸処理または
アルカリ処理、すなわちセルロースアセテートに対する
ケン化処理を実施することが特に好ましい。表面エネル
ギーは55mN/m以上であることが好ましく、60m
N/m以上75mN/m以下であることが更に好まし
い。以下、アルカリ鹸化処理を例に、具体的に説明す
る。フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶
液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われること
が好ましい。アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶
液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの
規定濃度は0.1N乃至3.0Nであることが好まし
く、0.5N乃至2.0Nであることがさらに好まし
い。アルカリ溶液温度は、室温乃至90℃の範囲が好ま
しく、40℃乃至70℃がさらに好ましい。固体の表面
エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社
1989.12.10発行)に記載のように接触角法、
湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。本
発明のセルロースアセテートフィルムの場合、接触角法
を用いることが好ましい。具体的には、表面エネルギー
が既知である2種の溶液をセルロースアセテートフィル
ムに滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点におい
て、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴
を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの
表面エネルギーを算出出来る。
【0035】(ハードコート層)本発明の防眩性反射防
止フィルムでは、ハードコート層を必要に応じてフィル
ムの耐傷性向上の目的で透明支持体と防眩層の間に塗工
してもよい。ハードコート層に用いる化合物は、飽和炭
化水素またはポリエーテルを主鎖として有するポリマー
であることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有す
るポリマーであることがさらに好ましい。バインダーポ
リマーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を
主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマ
ーの重合反応により得ることが好ましい。架橋している
バインダーポリマーを得るためには、二以上のエチレン
性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。
二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例に
は、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル
(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリス
リトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリス
リトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプ
ロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタ
ントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール
テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール
ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール
ヘキサ(メタ)アクリレート、1,3,5−シクロヘキ
サントリオールトリメタクリレート、ポリウレタンポリ
アクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニ
ルベンゼンの誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、
4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステ
ル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスル
ホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、
メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミド
が含まれる。これらのなかでも、ジペンタエリスリトー
ルペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサ
アクリレートの混合物が市販されており、特に好ましく
用いられる。
【0036】これらのエチレン性不飽和基を有するモノ
マーは、各種の重合開始剤その他添加剤と共に溶剤に溶
解、塗布、乾燥後、電離放射線または熱による重合反応
により硬化させる必要がある。
【0037】二以上のエチレン性不飽和基を有するモノ
マーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応によ
り、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ
基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カ
ルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロー
ル基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン
酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、
エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テト
ラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構
造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロッ
クイソシアナート基のように、分解反応の結果として架
橋性を示す官能基を用いてもよい。即ち、架橋基とは、
上記化合物に限らず上記官能基が分解した結果反応性を
示すものであってもよい。これら架橋基を有する化合物
は塗布後熱などによって架橋させる必要がある。
【0038】(防眩層)本発明の防眩層のヘイズ値は内
部散乱に起因するヘイズ値が16〜90%であることが
好ましく、30〜60%であることがさらに好ましい。
表面散乱に起因するヘイズ値は1〜30%であることが
好ましく、1〜20%であることがさらに好ましい。こ
こで内部散乱に起因するヘイズとは該防眩層を形成する
透明バインダ組成物をオーバーコートして表面を平滑化
したときに測定されるヘイズ値である。内部散乱による
ヘイズ値をコントロールすることは(1) 防眩層を形
成する透明バインダ組成物の屈折率と(2) 表面凹凸
を形成するための層厚以上の粒子径を有するマット粒子
及び/または表面凹凸には寄与しない層厚未満の粒子径
を有する微粒子の屈折率との、屈折率差を0.02〜
0.2とし、さらに透明バインダ組成物と上記粒子との
比率をコントロールすることで可能である。
【0039】このような内部散乱性を付与することで、
画像形成装置に適用した際に表面凹凸がレンズとして作
用し、画像を拡大することによって発生するいわゆるギ
ラツキを大幅に緩和することができる。また、光学異方
性層と併せて用いることで、上下、左右すべての方向で
視野角の広がった表示装置を得ることができ特に好まし
い。内部散乱に起因するヘイズ値が16%未満であると
ギラツキ緩和効果が小さく、90%を越えると透過率が
低下する。
【0040】表面散乱は防眩性を付与するために特定の
周期の表面凹凸を形成することで必然的に発生するもの
である。表面凹凸を多くすると表面散乱によるヘイズ値
は増加し、表面凹凸を少なくすると表面散乱によるヘイ
ズ値は減少する。1%未満では防眩性を付与できず、3
0%を越えると後方散乱が大きくなりすぎて、明室にお
いて、フィルムの白化が許容外となる。液晶表示装置に
実装すると1%未満では背景の映り込みが大きく、30
%を越えるとコントラストの低下を引き起こす。
【0041】防眩層を形成する化合物は高屈折率を有す
るモノマーまたは高屈折率を有する金属酸化物超微粒子
を含む。高屈折率モノマーの例には、ビス(4−メタク
リロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレ
ン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフ
ェニル−4‘−メトキシフェニルエーテルなどが含まれ
る。高屈折率を有する金属酸化物超微粒子としては、ジ
ルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜
鉛、錫、アンチモン、のうちより選ばれる少なくとも1
つの酸化物からなる粒径100nm以下、好ましくは5
0nm以下の微粒子が挙げられる。微粒子の具体例とし
ては、ZrO2 、TiO2 、Al23 、In23 、Z
nO、SnO2 、Sb23 、ITOなどが挙げられ
る。この中でもZrO2 が好ましく用いられる。金属酸
化物超微粒子の添加量は、透明バインダ組成物の全質量
の10〜90質量%であることが好ましく、20〜80
%質量%であるとさらに好ましく、最も好ましくは30
〜70質量%である。この配合比を調節することで、後
述するマット粒子との屈折率差を自由に制御することが
できる。
【0042】防眩層には、上述の通り、マット粒子が含
まれる。このマット粒子は透明であることが好ましい。
マット粒子の平均粒径はコールター法による個数平均粒
径で1.0〜5.0μmが好ましく、1.7〜3.5μ
mがより好ましい。平均粒径が1.0μm未満であると
防眩性が不足し、5.0μm以上では透過像鮮明性が悪
化する。
【0043】マット粒子としては無機化合物粒子または
樹脂粒子が用いられ、たとえば不定形シリカ粒子、Ti
2 粒子、Al23 粒子、架橋ポリメチルメタクリレ
ート粒子などの架橋アクリル粒子、架橋スチレン粒子、
メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、架橋シ
ロキサン粒子などが好ましく用いられるが、樹脂粒子が
好ましく、特に架橋スチレン粒子が特に好ましい。
【0044】またマット粒子の形状として、球形、不定
形、のいずれも使用できるが、安定な防眩性を得るため
には球形が好ましい。異なる2種以上の粒子を併用して
もよい。
【0045】さらに防眩層には防眩性には寄与しない
が、内部散乱を付与するために上記粒子よりも粒子径の
小さい微粒子を同時に含んでもよい。この内部散乱を目
的とした微粒子の粒子径はコールター法による個数平均
粒径で0.1μm以上、2.0μm未満が好ましい。
【0046】防眩層は特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥
などの面状均一性を確保するためにフッ素系、シリコー
ン系のいずれかの界面活性剤、あるいはその両者を塗布
組成物中に含有してもよい。特にフッ素系の界面活性剤
は、本発明の散乱性層の塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥な
どの面状故障を改良する効果が大のため、好ましく用い
られる。
【0047】フッ素系の界面活性剤の好ましい例として
は、スリーエム社製のフロラードFC−431などのパ
ーフルオロアルキルスルホン酸アミド基含有ノニオン、
大日本インキ社製のメガファックF−171、F−17
2、F−173、F−176PFなどのパーフルオロア
ルキル基含有オリゴマーなどが挙げられる。シリコーン
系界面活性剤としては各種置換基で側鎖や主鎖の末端が
変性されたポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
防眩層上にオーバーコートする低屈折率層の微細なムラ
を防止するために、上記界面活性剤の構造と添加量を調
整することにより、防眩層の表面エネルギーを25mN
・m-1〜70mN・m-1とすることが好ましい。25m
N・m-1以下となると、該防眩層上に低屈折率層をコー
トする際に低屈折率層に目で見えない微細なムラが発生
し、それが反射防止性を悪化させる。70mN・m-1
上となると、該防眩層自身の塗布性が悪化し、ムラが生
じる。さらに好ましくは35mN・m-1〜70mN・m
-1、最も好ましくは40mN・m-1〜70mN・m-1
する。
【0048】また、上記のような表面エネルギーを実現
するためには、X線光電子分光法で測定したフッ素原子
由来のピークと炭素原子由来のピークの比であるF/C
が0.40以下であること、およびシリコン原子由来の
ピークと炭素原子由来のピークの比であるSi/Cが
0.30以下であることが好ましい。
【0049】(低屈折率層)本発明の低屈折率層は、下
記数式(1)を満足することが好ましい。 mλ/4×0.7 < n1 1 < mλ/4×1.3 数式(1) 式中、mは正の奇数(一般に1)であり、n1 は低屈折
率層の屈折率、d1 は低屈折率層の膜厚(nm)であ
る。また、λは設定波長であり、500〜550nmの
範囲である。なお、上記数式(1)を満たすとは、上記
波長の範囲において数式(1)を満たすm(正の奇数、
通常1である)が存在することを意味する。
【0050】低屈折率層には熱硬化性または電離放射線
硬化性の含フッ素樹脂の硬化物が好ましく用いられる。
該硬化物の動摩擦係数は好ましくは0.03〜0.1
5、水に対する接触角は好ましくは90〜120度であ
る。該硬化性の含フッ素樹脂として、パーフルオロアル
キル基含有シラン化合物(たとえは、(ヘプタデカフル
オロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシ
ラン)等のほか、含フッ素モノマーと架橋性基付与のた
めのモノマーを構成単位とする含フッ素共重合体が挙げ
られる。含フッ素モノマーの具体例としては例えば、フ
ルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリ
デンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフ
ルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフル
オロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール類な
ど)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化ア
ルキルエステル誘導体類(例えば、ビスコート6FM
(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)な
ど)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類などで
ある。架橋性基付与のためのモノマーとしてはグリシジ
ルメタクリレートのように分子内にあらかじめ架橋性官
能基を有する(メタ)アクリレートモノマーのほか、カ
ルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸
基等を有する(メタ)アクリレートモノマー(例えば
(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリル
アクリレートなど)が挙げられる。後者は共重合の後、
架橋構造を導入できることが特開平10−25388、
及び特開平10−147739に記載されている。
【0051】また、上記含フッ素系モノマーを構成単位
とするポリマーだけでなく、フッ素原子を含有しないモ
ノマーとの共重合体を用いてもよい。併用可能なモノマ
ー単位には特に限定はなく、例えば、オレフィン類(エ
チレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビ
ニリデンなど)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレング
リコールジメタクリレートなど)、スチレン誘導体(ス
チレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチ
ルスチレンなど)、ビニルエーテル類(メチルビニルエ
ーテルなど)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピ
オン酸ビニル、桂皮酸ビニルなど)、アクリルアミド類
(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキ
シルアクリルアミドなど)、メタクリルアミド類、アク
リロニトリル誘導体などを挙げることができる。
【0052】低屈折率層の形成に用いる含フッ素樹脂に
は、耐傷性を付与するために、無機微粒子を含有させる
ことが好ましい。そのサイズとしては0.001〜0.
2μmであることが好ましい。無機微粒子としては珪素
の酸化物超微粒子を添加して用いるのが好ましい。反射
防止性の観点から屈折率が低いほど好ましいが、含フッ
素樹脂の屈折率を下げていくと、耐傷性が悪化する。そ
こで、含フッ素樹脂の屈折率と珪素の酸化物超微粒子の
添加量を最適化することにより、耐傷性と低屈折率のバ
ランスのもっともよい点を見いだすことができる。珪素
の酸化物超微粒子としては、市販の有機溶剤に分散され
たシリカゾルをそのまま塗布組成物に添加しても、市販
の各種シリカ粉体を有機溶剤に分散して使用してもよ
い。 (中心線平均粗さ)中心線平均粗さは、JIS B06
01−1982で定義される数値である。この指標は高
精細性モニターに対応する防眩性偏光板を開発する際に
重要であり、本発明の偏光板では、低屈折率層表面の中
心線平均粗さ(Ra)は0.06以上0.13以下が必
要であり、好ましくは0.08以上0.12以下であ
る。この中心線平均粗さを調整することは、防眩層の厚
み、マット性粒子の大きさ、マット性粒子の頻度(塗設
量、含量)、粒子の分散度、粒子とバインダとの親和
性、低屈折率層の塗布液処方、厚さなどを制御すること
により行うことができる。本発明の偏光板で、防眩層/
低屈折率層界面の中心線平均粗さをRbとすると、Ra
/Rb値は0.85以上1.00以下であり、好ましく
は0.93以上1.00以下である。Ra/Rb値が1
に近いほど、防眩層の凹凸の上に低屈折率層が均一に塗
布されていることを意味している。Rbは低屈折率層塗
布前の防眩層表面の粗さを計ることにより求めることが
できる。また、低屈折率層形成後においては、その資料
の断面写真を撮影することにより、その低屈折率層表面
の形状、および、低屈折率層/防眩層界面の形状よりR
a、Rbを求めることができる。低屈折率層を均一に塗
布するためには、その塗布組成物に用いる塗布溶剤が重
要な要因である。
【0053】低屈折率層用の塗布組成物に用いる塗布溶
剤について説明する。本発明では低屈折率層を形成する
ために用いられる塗布液の溶媒の沸点と組成に特徴があ
る。溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併
用してもよい。溶媒1種単独使用の時にはその溶媒の沸
点は100℃以下であり、好ましくは50〜95℃の範
囲にある。溶媒2種以上を併用するときには、沸点が1
00℃以下、好ましくは50〜95℃の範囲にある溶媒
が全溶媒の50〜100質量%を占め、好ましくは80
〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%を
占める。溶媒1種単独使用の時にその溶媒の沸点が10
0℃を超えるときあるいは溶媒2種以上併用の時に沸点
が100℃以下の溶媒が占める割合が50質量%未満で
ある場合、乾燥速度が遅く、レベリングが十分に進むた
め、塗布面状が悪化し、塗布膜厚にムラが生じるため、
反射率などの光学特性が悪化する。沸点が100℃以下
の溶媒としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7
℃)、ヘプタン(沸点98.4℃)、シクロヘキサン
(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水
素類、ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム
(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−
ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン
(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチル
エーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(6
8.5℃)、ジプロピルエーテル(90.5℃)、テト
ラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類、ギ酸エチ
ル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エ
チル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)など
のエステル類、アセトン(56.1℃)、2−ブタノン
(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケト
ン類、メタノール(64.5℃)、エタノール(78.
3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパ
ノール(97.2℃)などのアルコール類、アセトニト
リル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)
などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2℃)など
がある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特
にケトン類が好ましい。ケトン類の中では2−ブタノン
が特に好ましい。沸点が100℃以上の溶媒としては例
えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.
6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン
(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、
ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(14
2.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキ
サノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン
(MIBKと同じ、115.9℃)、1−ブタノール
(117.7℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(1
53℃)、N、N−ジメチルアセトアミド(166
℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。
好ましくはシクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタ
ノンである。低屈折率層成分を前述の組成の溶媒で希釈
することにより本発明の低屈折率層用塗布液は調製され
る。塗布液濃度は塗布液の粘度、低屈折率層素材の比重
などを考慮して適宜調節されることが好ましいが、0.
1〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質
量%である。
【0054】低屈折率層、防眩層などはディップコート
法、エアナイフコート法、カーテンコート法、ローラー
コート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、
マイクログラビアコート法やエクストルーションコート
法(米国特許2681294号)により、塗布により形
成することができる。2層以上の層を同時に塗布しても
よい。同時塗布の方法については米国特許276179
1号、同2941898号、同3508947号、同3
526528号の各明細書及び原崎勇次著、コーティン
グ工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載があ
る。
【0055】(光学異方性層、液晶性化合物)光学異方
性層に含まれる液晶性化合物には、棒状液晶性化合物、
あるいはディスコティック液晶性化合物が含まれる。棒
状液晶性化合物は、棒状液晶性分子を配向させて、その
配向状態を固定してなる。ディスコティック液晶性化合
物は、ディスコティック液晶性分子を配向させて、その
配向状態を固定してなる。棒状液晶性分子としては、ア
ゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノ
フェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキ
サンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシ
クロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、ア
ルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサ
ン類、トラン類、およびアルケニルシクロヘキシルベン
ゾニトリル類が好ましく用いられる。棒状液晶性分子の
複屈折率は、0.001乃至0.7であることが好まし
い。棒状液晶性分子は、その配向状態を固定するため
に、重合性基を有することが好ましい。重合性基の例
は、後述ディスコティック化合物の重合性基の例と同様
である。棒状液晶性分子は、短軸方向に対してほぼ対称
となる分子構造を有することが好ましい。そのために
は、棒状分子構造の両端に重合性基を有することが好ま
しい。
【0056】光学異方性層は、負の一軸性を有し傾斜配
向したディスコティック化合物を含む層であることが好
ましい。ディスコティック化合物は、ディスコティック
化合物の円盤面と透明支持体面とのなす角が、光学異方
性層の深さ方向において変化している(ハイブリッド配
向している)ことが好ましい。ディスコティック化合物
の光軸は、円盤面の法線方向に存在する。ディスコティ
ック化合物は、光軸方向の屈折率よりも円盤面方向の屈
折率が大きな複屈折性を有する。光学異方性層は、後述
する配向膜によってディスコティック化合物を配向さ
せ、その配向状態のディスコティック化合物を固定する
ことによって形成することが好ましい。ディスコティッ
ク化合物は、重合反応により固定することが好ましい。
なお、光学異方性層には、レターデーション値が0とな
る方向が存在しない。言い換えると、光学異方性層のレ
ターデーションの最小値は、0を越える値である。 [ディスコティック化合物]本発明のディスコティック
化合物の例としては、C.Destradeらの研究報
告、Mol.Cryst.,71巻、111頁(198
1年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Dest
radeらの研究報告、Mol.Cryst.,122
巻、141頁(1985年)、Physics let
t.,A,78巻、82頁(1990)に記載されてい
るトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、A
ngew.Chem.,96巻、70頁(1984年)
に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Leh
nらの研究報告、J.Chem.Commun.,17
94頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、
J.Am.Chem.Soc.,116巻、2655頁
(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェ
ニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることがで
きる。上記ディスコティック化合物は、一般的にこれら
を分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ
基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射線
状に置換された構造であり、液晶性を示す。ただし、分
子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を付与できるも
のであれば上記記載に限定されるものではない。
【0057】また、本発明において、液晶性化合物から
形成したとは、最終的にできた物が液晶性である必要は
なく、例えば、前記低分子ディスコティツク化合物が
熱、光等で反応する基を有しており、結果的に熱、光等
で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を
失ったものも含まれる。上記ディスコティック化合物の
好ましい例は特開平8−50206号公報に記載されて
いる。
【0058】本発明の光学異方性層は、ディスコティッ
ク構造単位を有する化合物からなる負の複屈折を有する
層であって、そしてディスコティック構造単位の面が、
透明支持体面に対して傾き、且つ該ディスコティック構
造単位の面と透明支持体面とのなす角度が、光学異方性
層の深さ方向に変化していることが好ましい。
【0059】上記ディスコティック構造単位の面の角度
(傾斜角)は、一般に、光学異方性層の深さ方向でかつ
光学異方性層の底面からの距離の増加と共に増加または
減少している。上記傾斜角は、距離の増加と共に増加す
ることが好ましい。更に、傾斜角の変化としては、連続
的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的
増加と連続的減少を含む変化、及び増加及び減少を含む
間欠的変化等を挙げることができる。間欠的変化は、厚
さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。
傾斜角は、変化しない領域を含んでいても、全体として
増加または減少していることが好ましい。更に、傾斜角
は全体として増加していることが好ましく、特に連続的
に変化することが好ましい。
【0060】上記光学異方性層は、一般にディスコティ
ック化合物及び他の化合物を溶剤に溶解した溶液を配向
膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチ
ック相形成温度まで加熱し、その後配向状態(ディスコ
ティックネマチック相)を維持して冷却することにより
得られる。あるいは、上記光学異方性層は、ディスコテ
ィック化合物及び他の化合物(更に、例えば重合性モノ
マー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上
に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック
相形成温度まで加熱したのち重合させ(UV光の照射等
により)、さらに冷却することにより得られる。本発明
に用いるディスコティック液晶性化合物のディスコティ
ックネマティック液晶相−固相転移温度としては、70
〜300℃が好ましく、特に70〜170℃が好まし
い。
【0061】例えば、支持体側のディスコティック単位
の傾斜角は、一般にディスコティック化合物あるいは配
向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理
方法の選択することにより、調整することができる。ま
た、表面側(空気側)のディスコティック単位の傾斜角
は、一般にディスコティック化合物あるいはディスコテ
ィック化合物とともに使用する他の化合物(例、可塑
剤、界面活性剤、重合性モノマー及びポリマー)を選択
することにより調整することができる。更に、傾斜角の
変化の程度も上記選択により調整することができる。
【0062】上記可塑剤、界面活性剤及び重合性モノマ
ーとしては、ディスコティック化合物と相溶性を有し、
液晶性ディスコティック化合物の傾斜角の変化を与えら
れるか、あるいは配向を阻害しない限り、どのような化
合物も使用することができる。これらの中で、重合性モ
ノマー(例、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル
基及びメタクリロイル基を有する化合物)が好ましい。
上記化合物は、ディスコティック化合物に対して一般に
1〜50質量%(好ましくは5〜30質量%)の量にて
使用される。
【0063】上記ポリマーとしては、ディスコティック
化合物と相溶性を有し、液晶性ディスコティック化合物
に傾斜角の変化を与えられる限り、どのようなポリマー
でも使用することができる。ポリマー例としては、セル
ロースエステルを挙げることができる。セルロースエス
テルの好ましい例としては、セルロースアセテート、セ
ルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピ
ルセルロース及びセルロースアセテートブチレートを挙
げることができる。上記ポリマーは、液晶性ディスコテ
ィック化合物の配向を阻害しないように、ディスコティ
ック化合物に対して一般に0.1〜10質量%(好まし
くは0.1〜8質量%、特に0.1〜5質量%)の量に
て使用される。本発明で用いられる液晶性化合物からな
る光学異方性層は、セルロースアセテートフィルム、そ
の上に設けられた配向膜及び配向膜上に形成されたディ
スコティック液晶からなる層であって、配向膜が架橋さ
れたポリマーからなるラビング処理された膜である。本
発明で用いられる配向膜の好ましい例としては特開平9
−152509に記載の化合物が挙げられる。
【0064】[偏光板]偏光子には、ヨウ素系偏光子、
二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子が
ある。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子は、一般にポ
リビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。セル
ロースアセテートフイルムの遅相軸と偏光子の透過軸と
は、実質的に平行になるように配置する。偏光板の生産
性には透明基材フィルムの透湿性が重要であることがわ
かった。偏光子と透明基材フィルムは水系接着剤で貼り
合わせられており、この接着剤溶剤は透明基材フィルム
中を拡散することで、乾燥される。透明基材フィルムの
透湿性が高ければ、高いほど乾燥は早くなり、生産性は
向上するが、高くなりすぎると、液晶表示装置の使用環
境(高湿下)により、水分が偏光子中に入ることで偏光
能が低下する。透明基材フィルムの透湿性は、ポリマー
フィルム(および重合性液晶化合物)の厚み、自由体
積、親疎水性、等により決定される。透湿性は100乃
至1000g/m2 ・24hrsである事が好ましく、
300乃至700g/m2 ・24hrsである事が更に
好ましい。厚みは、製膜の場合、リップ流量とラインス
ピード、あるいは、延伸、圧縮により調整する事が出来
る。使用する主素材により透湿性が異なるので、厚み調
整により好ましい範囲にすることが可能である。自由体
積は、製膜の場合、乾燥温度と時間により調整すること
が出来る。この場合もまた、使用する主素材により透湿
性が異なるので、自由体積調整により好ましい範囲にす
ることが可能である。透明基材フィルムの親疎水性は、
添加剤により調整することが出来る。上記自由体積中に
親水的添加剤を添加することで透湿性は高くなり、逆に
疎水性添加剤を添加することで透湿性を低くすることが
出来る。上記透湿性を独立に制御することにより、高品
質の偏光板を安価に高い生産性で製造することが可能と
なる。
【0065】[液晶表示装置]本発明の偏光板は、液晶
表示装置、特に透過型液晶表示装置に有利に用いられ
る。透過型液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に
配置された二枚の偏光板からなる。液晶セルは、二枚の
電極基板の間に液晶を担持している。本発明の偏光板は
その光学異方性層を液晶セル面側に配置して使用するこ
とが好ましい。
【0066】液晶セルには種々のモードが存在する。S
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性
分子が実質的に水平配向し、さらに180°乃至270
°にねじれ配向している。また、TNモードの液晶セル
では、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配
向し、さらに60乃至120゜にねじれ配向している。
STNモード、およびTNモードの液晶セルは、黒白、
およびカラー液晶表示装置として最も多く利用されてお
り、多数の文献に記載がある。VAモードの液晶セルで
は、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配
向している。VAモードの液晶セルには、(1)棒状液
晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電
圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモード
の液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加
えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチド
メイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID9
7、Digest of tech.Papers(予
稿集),28(1997),845記載)、(3)棒状
液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電
圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n
−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集
58〜59(1998)記載)、(4)SURVAIV
ALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98
で発表)、および(5)CPAモードの液晶セル(SI
D2001、Digest oftech.Paper
s(予稿集),41(2001),1090記載)が含
まれる。OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を
液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的
に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液
晶表示装置であり、米国特許4583825号、同54
10422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性
分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向している
ため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機
能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(O
ptically Compensatory Ben
d)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶
表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
【0067】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明
するが、本発明は実施例に限定されて解釈されることは
ない。
【0068】(セルロースアセテート溶液の調製)下記
の成分をミキシングタンクに投入し、加熱しながら撹拌
して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調
製した。
【0069】 セルロースアセテート溶液組成 ・酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部 ・トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部 ・ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部 ・メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部 ・メタノール(第2溶媒) 54質量部 ・1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
【0070】別のミキシングタンクに、レターデーショ
ン上昇剤(スミソルブTM165−F 住友化学製)1
6質量部、メチレンクロライド80質量部およびメタノ
ール20質量部を投入し、加熱しながら撹拌して、レタ
ーデーション上昇剤溶液を調製した。セルロースアセテ
ート溶液475質量部に上記レターデーション上昇剤溶
液25質量部を混合し、充分に撹拌してドープを調製し
た。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースア
セテート100質量部に対して、3.0質量部であっ
た。作製したセルロースアセテートフィルム(CAF−
01)について、エリプソメーター(M−150、日本
分光(株)製)を用いて、波長633nmにおけるRe
レターデーション値およびRthレターデーション値を
測定した。Reは10nmで、Rthは81nmであっ
た。
【0071】(下塗り層の作製)前記で作製したセルロ
ースアセテートフィルム(CAF−01)に下記組成の
塗布液を28ml/m2 塗布乾燥し、0.1μmの下塗
り層を塗設した。 ・ゼラチン 0.542質量部 ・ホルムアルデヒド 0.136質量部 ・サリチル酸 0.160質量部 ・アセトン 39.1質量部 ・メタノール 15.8質量部 ・メチレンクロライド 40.6質量部 ・水 1.2質量部
【0072】さらにその上に下記組成の塗布液を7ml
/m2 塗布乾燥した。 ・アニオン性下記共重合体(x:y:z=50/25/25) 0.079質量部 ・クエン酸モノエチルエステル 1.01質量部 ・アセトン 20質量部 ・メタノール 87.7質量部 ・水 4.05質量部
【0073】
【化1】
【0074】さらに上記と反対側の層に下記組成の塗布
液を25ml/m2 塗布乾燥し、バック層を設けた。
【0075】 バック層塗布液組成物 ・セルロースジアセテート(酢化度55%) 0.656質量部 ・シリカ系マット剤(平均粒径1μm) 0.065質量部 ・アセトン 67.9質量部 ・メタノール 10.4質量部
【0076】(配向膜層の作製)このセルロースアセテ
ートフィルム(CAF−01)のゼラチン層上に、下記
の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28
ml/m2 塗布した。60℃の温風で60秒、さらに9
0℃の温風で150秒乾燥した。次に、セルロースアセ
テートフィルム(CAF−01)の長手方向に、形成し
た膜にラビング処理を実施した。
【0077】 配向膜塗布液組成 ・下記構造の変性ポリビニルアルコール 8質量部 ・PVA217(クラレ製) 2質量部 ・水 371質量部 ・メタノール 119質量部 ・グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
【0078】
【化2】
【0079】(光学異方性層の形成)配向膜上に、下記
構造のディスコティック化合物41.01g、エチレン
オキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレー
ト(V#360、大阪有機化学(株)製)2.03g、
ジペンタエリストールアクリレート(KYARADDP
HA 日本化薬製)2.03g、セルロースアセテート
ブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミ
カル社製)0.90g、セルロースアセテートブチレー
ト(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)
0.23g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チ
バガイギー社製)1.35g、増感剤(カヤキュアーD
ETX、日本化薬(株)製)0.45gを、102gの
メチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#4のワイヤ
ーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、13
0℃の恒温槽中で2分間加熱し、円盤状化合物を配向さ
せた。
【0080】次に、80℃の雰囲気下のもと、膜面温度
が約100℃の状態で120W/cm高圧水銀灯を用い
て、0.4秒間UV照射し下記ディスコティック液晶性
化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。この
ようにして、光学異方性層を形成した。波長633nm
で測定した光学異方性層のReレターデーション値は4
8nmであった。また、円盤面と第1透明支持体面との
間の角度(傾斜角)は平均で42゜であった。
【0081】
【化3】
【0082】(偏光板(Pol−A)の作製)延伸した
ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏
光膜を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用い
て、上記で作成した液晶性化合物からなる光学異方性層
のセルロースアセテートフィルム側を偏光膜の片側に、
もう一方には市販のセルローストリアセテートフィルム
(フジタックTD80UF、富士写真フィルム(株)
製)の貼合する側にケン化処理を行い、貼り合わせ、8
0℃で10分間乾燥させた。
【0083】偏光膜の透過軸と前記で作製した光学異方
性層の遅相軸とは平行になるように配置した。偏光膜の
透過軸と市販のセルローストリアセテートフィルムの遅
相軸とは、直交するように配置した。このようにして偏
光板(Pol−A)を作製した。
【0084】 (防眩層用塗布液Aの調製) ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサア クリレートの混合物 (KAYARAD DPHA、日本化薬(株)製) 3.0g 表面修飾シリカ混合物(製品名Z7526、JSR(株)製) 44.0g 2−メチルー4−ペンタノン(MIBKと同じ) 39.0g スチレンビーズペースト(製品名SX130H、架橋PSt1.3μm粒子、総 研化学(株)製) 11.1g スチレンビーズペースト(製品名SX350H、架橋PSt3.5μm粒子、総 研化学(株)製) 2.6g ここでMIBKは溶剤メチルイソブチルケトンを表す。
上記のように混合し、防眩層用塗布液Aを調製した。
【0085】 (防眩層用塗布液Bの調製) ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサア クリレートの混合物 (KAYARAD DPHA、日本化薬(株)製) 18.7g 表面修飾ジルコニア混合物(製品名KZ7114A,JSR(株)製) 38.7g 2−ブタノン(MEKと同じ) 11.8g 2−メチルー4−ペンタノン 23.5g PMMAビーズペースト(製品名MX150、PMMA1.5μm粒子、総研化 学(株)製) 5.3g PMMAビーズペースト(製品名MX300、PMMA3.0μm粒子、総研化 学(株)製) 3.3g ここでMEKは溶剤メチルエチルケトンを表し、PMM
Aはポリメチルメタクリレートを表す。上記のように混
合し、防眩層用塗布液Bを調製した。
【0086】 (低屈折率層用塗布液Aの調製) 熱架橋性含フッ素ポリマーの6質量%の2−ブタノン溶液(JN7228、JS R(株)製)(屈折率1.42) 53.9g 平均粒径10〜20nm、固形分濃度30質量%のSiO2 ゾルの2−ブタノン 分散物(MEK−ST、日産化学(株)製) 4.63g 2−ブタノン 38.6g シクロヘキサノン 2.88g 上記からなる低屈折率層用塗布液Aを調製した。ここに
おいて、上記処方中の2−ブタノン(沸点79.6℃)
92.5g、シクロヘキサノン(沸点155.7℃)
2.88gであり、全溶媒中に沸点100℃以下の溶媒
の占める質量%は97%である。
【0087】(低屈折率層用塗布液Bの調製)低屈折率
層用塗布液Aにおいて、添加した2−ブタノン量を3
8.6gから22.4gに、さらにシクロヘキサノン量
を2.88gから19.1gに変更したこと以外は、低
屈折率層用塗布液Aと同様にして、低屈折率層用塗布液
Bを調製した。ここにおいて、上記処方中の2−ブタノ
ン(沸点79.6℃)76.3g、シクロヘキサノン
(沸点155.7℃)19.1gであり、全溶媒中に沸
点100℃以下の溶媒の占める質量%は80%である。 (低屈折率層用塗布液Cの調製)低屈折率層用塗布液A
において、添加した2−ブタノン量を38.6gから0
gに、さらにシクロヘキサノン量を2.88gから4
4.1gに変更したこと以外は、低屈折率層用塗布液A
と同様にして、低屈折率層用塗布液Cを調製した。ここ
において、上記処方中の2−ブタノン(沸点79.6
℃)53.9g、シクロヘキサノン(沸点155.7
℃)44.1gであり、全溶媒中に沸点100℃以下の
溶媒の占める質量%は55%である。
【0088】(低屈折率層用塗布液Dの調製)低屈折率
層用塗布液Aにおいて、添加した2−ブタノン量を3
8.6gから0gに、さらにシクロヘキサノン量を2.
88gから56.1gに変更したこと以外は、低屈折率
層用塗布液Aと同様にして、低屈折率層用塗布液Dを調
製した。ここにおいて、上記処方中の2−ブタノン(沸
点79.6℃)53.9g、シクロヘキサノン(沸点1
55.7℃)56.1gであり、全溶媒中に沸点100
℃以下の溶媒の占める質量%は49%である。
【0089】(偏光板1の作成)セルローストリアセテ
ート(TD80UD)の面上に、上記防眩層用塗布液A
をバーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥の後、
160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラ
フィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm
2 、照射量300mJ/cm2 の紫外線を照射して塗布
層を硬化させ、厚さ約3.5μmの防眩層を形成した。
その表面の中心線表面粗さを小坂研究所(株)製、表面
粗さ計AY22を用いて測定し、Rb値とした。その上
に、上記低屈折率層用塗布液Aをバーコーターを用いて
塗布し、80℃で乾燥の後、さらに120℃で8分間熱
架橋し、厚さ0.096μmの低屈折率層を形成した。
これを防眩フイルム1とする。偏光板Pol−Aの作成
において、市販のセルローストリアセテートフイルム
(フジタックTD80UF、富士写真フィルム(株)
製)の代わりに、上記の防眩フイルム1をそのセルロー
ストリアセテート側にケン化処理を行った後、その面を
偏光板側に張り合わせて、偏光板1を作成した。
【0090】〔偏光板2の作成〕防眩層用塗布液AをB
に置き換えたこと以外は偏光板1と同様にして偏光板2
を作成した。
【0091】〔偏光板3の作成〕低屈折率層塗布液Aを
Bに置き換えたこと以外は偏光板1と同様にして偏光板
3を作成した。
【0092】〔偏光板4の作成〕低屈折率層塗布液Aを
Cに置き換えたこと以外は偏光板1と同様にして偏光板
4を作成した。 〔偏光板5の作成〕低屈折率層塗布液AをDに置き換え
たこと以外は偏光板1と同様にして偏光板5を作成し
た。
【0093】〔実施例1〕TN型液晶セルを用いた液晶
表示装置(6E−A3、シャープ(株)製)に設けられ
ている一対の偏光板をはがして、代わりに液晶セルを挟
むようにして偏光板1を観察者側に、Pol−Aをバッ
クライト側に、光学異方性層が液晶セル側になるよう
に、粘着剤を介して貼り付けた。観察者側の偏光板の透
過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とはoモード
となるように配置した。これを液晶表示装置1とした。
【0094】(実施例2)偏光板1に変えて、偏光板2
を使用したこと以外は、液晶表示装置1と同様にして液
晶表示装置2を作成した。
【0095】(実施例3)偏光板1に変えて、偏光板3
を使用したこと以外は、液晶表示装置1と同様にして液
晶表示装置3を作成した。 (実施例4)偏光板1に変えて、偏光板4を使用したこ
と以外は、液晶表示装置1と同様にして液晶表示装置4
を作成した。
【0096】(比較例1)偏光板1に変えて、偏光板5
を使用したこと以外は、液晶表示装置1と同様にして液
晶表示装置5を作成した。
【0097】(比較例2)偏光板1に変えて、Pol−
Aを使用したこと以外は、液晶表示装置1と同様にして
液晶表示装置6を作成した。
【0098】評価方法 (1)視野角;作成した液晶表示装置について、測定機
(EZ−Contrast160D、ELMID社製)
を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8
段階で視野角を測定した。 (2)外光の映り込み;液晶表示装置の電源を切った状
態で、裸の蛍光灯が画像表示装置の上に反射し、映る状
況を確認した。 ◎;蛍光灯の輪郭が全くわからない。 ○;蛍光灯の輪郭がわずかにわかる。 △;蛍光灯はぼけているが輪郭は識別できる。 ×;蛍光灯はほとんどぼけない。 これらのサンプルの評価結果を表1に示す。
【0099】
【表1】
【0100】実施例1〜3では上下左右の視野角が広
く、かつ外光の映り込みが少なく、視認性に優れた液晶
表示装置が得られた。それに対して、比較例1では視野
角は許容範囲内であるものの、外光映り込みがあり、比
較例2では視野角が狭く不十分であり、外光映り込みが
大きく、実用上好ましいものではなかった。
【0101】
【発明の効果】本発明の偏光板は画像表示装置、特に高
精細液晶表示装置に搭載したときの視野角依存性が小さ
く、外光の映り込みが少なく好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の偏光板の層構成を模式的に示す概略
断面図である。
【符号の説明】
1 低屈折率層 2 防眩層 3 マット粒子 4 透光性樹脂 5 透明基材フィルム 6 偏光子 7 透明基材フィルム 8 光学異方性層
フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 BA02 BA06 BA42 BB33 BB44 BB49 BB63 BC03 BC22 2H091 FA08X FA08Z FA11X FA11Z FA37X FB02 FD06 LA16 LA19 2K009 AA02 AA12 AA15 BB24 BB28 CC03 CC09 CC24 CC26 CC47 DD02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶性化合物から成る光学異方性層、偏
    光子、防眩層、および該防眩層上に少なくとも1層の低
    屈折率層を有する偏光板であって、該低屈折率層が塗布
    法により形成され、該低屈折率層表面の中心線平均粗さ
    Ra値が0.6以上1.3以下であり、該防眩層/該低
    屈折率層界面の中心線平均粗さをRbとするとき、Ra
    /Rb値が0.83以上1.00以下であることを特徴
    とする偏光板。
  2. 【請求項2】 液晶性化合物から成る光学異方性層、偏
    光子、防眩層、および該防眩層上に少なくとも1層の低
    屈折率層を有する偏光板の製造方法において、該低屈折
    率層が塗布法により形成され、その塗布液が1種以上の
    溶媒を含有し、該溶媒の50〜100質量%が沸点10
    0℃以下の溶媒であることを特徴とする偏光板の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の製造方法で製造したこ
    とを特徴とする偏光板。
  4. 【請求項4】 請求項1又は3に記載の偏光板をその光
    学異方性層側を液晶セル面に配置することを特徴とする
    液晶表示装置。
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