JP2003113478A - 無電解酸化亜鉛めっき浴 - Google Patents
無電解酸化亜鉛めっき浴Info
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- JP2003113478A JP2003113478A JP2001312128A JP2001312128A JP2003113478A JP 2003113478 A JP2003113478 A JP 2003113478A JP 2001312128 A JP2001312128 A JP 2001312128A JP 2001312128 A JP2001312128 A JP 2001312128A JP 2003113478 A JP2003113478 A JP 2003113478A
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Abstract
(57)【要約】
【解決手段】 水溶性亜鉛塩とアミンボラン系還元剤と
を主成分とするpH6.0〜6.8の無電解酸化亜鉛め
っき浴において、pH安定化剤として、2−アミノ−2
−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール等の化
合物を添加することを特徴とする無電解酸化亜鉛めっき
浴。 【効果】 本発明の無電解酸化亜鉛めっき浴は、pH管
理が容易であり、まためっき進行中におけるめっき浴の
白濁、生成物の生成を可及的に防止することができる。
を主成分とするpH6.0〜6.8の無電解酸化亜鉛め
っき浴において、pH安定化剤として、2−アミノ−2
−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール等の化
合物を添加することを特徴とする無電解酸化亜鉛めっき
浴。 【効果】 本発明の無電解酸化亜鉛めっき浴は、pH管
理が容易であり、まためっき進行中におけるめっき浴の
白濁、生成物の生成を可及的に防止することができる。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無電解酸化亜鉛め
っき浴に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、酸化亜鉛皮膜を無電解めっきにより形成するめっき
浴として、硝酸亜鉛等の水溶性亜鉛塩とジメチルアミン
ボラン(DMAB)を還元剤として含み、pHを6.0
〜6.8に調整した無電解酸化亜鉛めっき浴が知られて
いる。 【0003】しかし、無電解酸化亜鉛めっき浴は、めっ
き処理において、pHを±0.1の幅で管理すること
が、めっき浴の安定化、めっき皮膜特性の安定化の点で
好ましいが、適正pH管理幅が中性領域でしかも狭いこ
とから、適正pH管理が面倒であった。また、めっきが
進行するにつれてpHが上昇するため、適正pH管理幅
を超えて分解が開始してしまい、めっき浴中に結晶が生
成したり、沈殿物が発生したりし、60分程度で使用で
きなくなる上、めっき皮膜中に当該結晶や沈殿物が共析
し、めっき皮膜特性が悪くなっていた。 【0004】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
pH管理が容易で、まためっき進行中におけるめっき浴
の白濁、沈澱物の生成が可及的に防止された無電解酸化
亜鉛めっき浴を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結
果、無電解酸化亜鉛めっき浴に下記A群から選ばれる化
合物をpH安定化剤として添加することにより、無電解
酸化亜鉛めっき浴がpH6.0〜6.8の範囲において
安定化され、pHコントロールを±0.1の範囲で容易
に行うことができると共に、めっき進行中にみだりにめ
っき浴の白濁が生じ、沈澱物が生成することが防止され
ることを知見し、本発明をなすに至った。 【0006】即ち、本発明は、水溶性亜鉛塩とアミンボ
ラン系還元剤とを主成分とするpH6.0〜6.8の無
電解酸化亜鉛めっき浴において、pH安定化剤として、
下記A群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を添加
することを特徴とする無電解酸化亜鉛めっき浴を提供す
る。 [A群]2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−
プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−
プロパンジオール、2,4,6−トリメチルピリジン、
ジエチルバルビツール酸ナトリウム、2−(N−モルホ
リノ)エタンスルホン酸、ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン、N−2
(アセトアミド)イミノ二酢酸、ピペラジン−N,N’
−ビス(2−エタンスルホン酸)、N−(2−アセトア
ミド)−2−アミノエタンスルホン酸、2−ヒドロキシ
−3−モルホリノプロパンスルホン酸、N,N−ビス
(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン
酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、N−
トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタン
スルホン酸、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン
−N’−2−エタンスルホン酸、3−[N,N−ビス
(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプ
ロパンスルホン酸、3−[N−トリス(ヒドロキシメチ
ル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン
酸、ピペラジン−1,4−ビス(2−ヒドロキシ−3−
プロパンスルホン酸(2水和物))、2−ヒドロキシ−
3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニ
ル]プロパンスルホン酸(1水和物)、4−(2−ヒド
ロキシエチル)−1−ピペラジンプロパンスルホン酸、
N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン、N,
N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、N−トリ
ス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンス
ルホン酸。 【0007】以下、本発明につき更に詳しく説明する。 【0008】本発明の無電解酸化亜鉛めっき浴は、亜鉛
源として水溶性亜鉛源、還元剤としてアミンボラン系還
元剤を使用する。 【0009】ここで、水溶性亜鉛塩としては、硝酸亜
鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛等が用い
られ、0.01〜0.5モル/L、特に0.05〜0.
2モル/Lの量で使用することが好ましい。なお、めっ
き浴には、硝酸イオンが含まれることが好ましく、この
ため硝酸亜鉛以外の亜鉛塩を用いた場合は、硝酸カリウ
ム、硝酸ナトリウム等の硝酸根を0.01〜0.5モル
/L程度添加することが好ましい。 【0010】一方、アミンボラン系還元剤としては、ジ
メチルアミンボラン(DMAB)、トリメチルアミンボ
ラン(TMAB)、トリエチルアミンボラン(TEA
B)等が挙げられ、0.001〜0.1モル/Lの量で
使用することが好ましい。 【0011】本発明は、上記成分に加えて、下記A群か
ら選ばれる1種又は2種以上の化合物をpH安定化剤と
して添加する。 [A群]2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−
プロパンジオール(略称Tris)、2−アミノ−2−
メチル−1,3−プロパンジオール、2,4,6−トリ
メチルピリジン、ジエチルバルビツール酸ナトリウム、
2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(略称ME
S)、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒ
ドロキシメチル)メタン(略称Bis−Tris)、N
−2(アセトアミド)イミノ二酢酸(略称ADA)、ピ
ペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)
(略称PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−
アミノエタンスルホン酸(略称ACES)、2−ヒドロ
キシ−3−モルホリノプロパンスルホン酸(略称MOP
SO)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−
アミノエタンスルホン酸(略称BES)、3−(N−モ
ルホリノ)プロパンスルホン酸(略称MOPS)、N−
トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタン
スルホン酸(略称TES)、N−(2−ヒドロキシエチ
ル)ピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(略称H
EPES)、3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(略
称DIPSO)、3−[N−トリス(ヒドロキシメチ
ル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン
酸(略称TAPSO)、ピペラジン−1,4−ビス(2
−ヒドロキシ−3−プロパンスルホン酸(2水和物))
(略称POPSO)、2−ヒドロキシ−3−[4−(2
−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンス
ルホン酸(1水和物)(略称HEPPSO)、4−(2
−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンプロパンスルホ
ン酸(略称EPPS)、N−トリス(ヒドロキシメチ
ル)メチルグリシン(略称Tricine)、N,N−
ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(略称Bici
ne)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−
アミノプロパンスルホン酸(略称TAPS)。 【0012】上記pH安定化剤の添加量は0.001〜
0.4モル/L、特に0.005〜0.1モル/Lとす
ることが好ましい。 【0013】上記pH安定化剤濃度が、上記範囲0.0
01〜0.4モル/Lよりも低くなると、pHの安定化
作用が十分に発揮できず、上記範囲よりも高くなると、
酸化亜鉛が析出しなくなる場合が生じる。 【0014】さらに、上記pH安定化剤はアミンボラン
系還元剤濃度に対して、モル濃度比[還元剤濃度]/
[pH安定化剤濃度]を0.25〜125とすることが
好ましい。このモル濃度比範囲よりも小さくなると、酸
化亜鉛が析出しなくなるおそれがあり、大きくなると、
pHの安定化作用が十分に発揮できずめっき浴に沈殿が
生成するおそれがある。 【0015】本発明の無電解酸化亜鉛めっき浴は、pH
6.0〜6.8に調整される。この場合、pH調整剤と
しては、硝酸、硫酸、塩酸、酢酸、乳酸等の酸や、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを使用し得
る。 【0016】ここで、酸化亜鉛めっき浴の特徴として
は、次のようなことが挙げられる。 酸化亜鉛めっき浴に添加される基本成分の内、水溶
性亜鉛塩(硝酸亜鉛など)はpHを下げる方向に、還元
剤(DMABなど)はpHを上げる方向に作用する。 酸化亜鉛めっき浴のpHは、pH6.0〜6.8の
中性領域内とする必要があり、めっき浴中の亜鉛イオン
濃度に応じて、上記範囲の中で適正なpH(以下、適正
pHという。)が決まる。 めっき処理において、上記適正pHは±0.1(以
下、適正pH管理幅という。)とすることが好ましい。 特に、適正pH管理幅から高くなっている場合、め
っき浴中に、酸化亜鉛の結晶が浮遊したり、白色の沈殿
物が生成し、これら生成物が核となりめっき浴の分解が
促進されたり、めっき皮膜中に共析して導電性や透明性
などのめっき皮膜特性が悪くなる。 めっき処理が進行するにつれて、pHは徐々に高く
なる傾向がある。 【0017】これに対し、上記pH安定化剤を添加する
ことにより、以下の効果を得ることができる。 i.建浴時のpH調整が容易にできる。 ii.長時間連続使用しても、pHを±0.1に保つこ
とができ、析出速度を一定化でき、まためっき浴が分解
してめっき浴中に酸化亜鉛の結晶が生成したり、白色沈
殿物が発生することを抑制でき、導電性や透明性などの
めっき皮膜特性を安定化できる。 iii.当該pH安定化剤は、亜鉛イオンとの錯化合物
を形成しないため、めっきが析出しなくなることもな
い。また、亜鉛との化合物も形成せず、沈殿物が生成せ
ず、めっき皮膜特性を安定化できる。 【0018】本発明の無電解酸化亜鉛めっき浴は、特に
透明導電膜用ZnO、電磁波シールド用ZnO、光触媒
用ZnO、紫外線吸収用ZnOの目的に使用されるが、
これに制限されるものではない。被めっき物の材質はガ
ラス、セラミック、PETなどのプラスチック等とする
ことができ、これらの材質に応じた公知の前処理を行っ
た後、本発明のめっき浴に浸漬する。例えば、被めっき
物が非導電材料の場合、センシタイジング−アクチベー
ティング法、キャタライジング−アクセレレーティング
法等により表面に金属パラジウムの触媒核を付着した
後、めっき浴に浸漬するものである。 【0019】この場合、めっき温度は40〜90℃、特
に70〜80℃とすることが好ましく、めっき時間は所
望する膜厚に応じて適宜選定される。なお、本発明のめ
っき浴のめっき速度は、通常、75℃において0.2〜
0.4μm/hである。 【0020】 【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるも
のではない。 【0021】[実施例1〜12、比較例1〜3]公知の方
法で脱脂、表面調整、触媒付与したコーニングガラス基
板(コーニング社製)を、下記酸化亜鉛めっき浴に浸漬
して、DMABの補給を行わずに80℃でめっき処理を
行った。60分処理した後のめっき浴の状態(目視によ
り観察)及びpH、並びに得られた酸化亜鉛皮膜特性に
ついての結果を併せて表1に示す。酸化亜鉛めっき浴 硝酸亜鉛 表1に示す量。 DMAB 表1に示す量。 添加剤 表1に示す量。 硝酸(60%) pHがZnイオン濃度によって決め
られたpHになる量 【0022】 【表1】 【0023】優:透過率85%以上・無色、良:透過率
85%未満〜70%以上・無色、不可:透過率70%未
満・白色 ※ADA、PIPES、POPSOはあらかじめ0.1
モル/L水酸化ナトリウム溶液に溶解させたものを用い
た。 【0024】 【発明の効果】本発明の無電解酸化亜鉛めっき浴は、p
H管理が容易であり、まためっき進行中におけるめっき
浴の白濁、生成物の生成を可及的に防止することができ
る。
っき浴に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、酸化亜鉛皮膜を無電解めっきにより形成するめっき
浴として、硝酸亜鉛等の水溶性亜鉛塩とジメチルアミン
ボラン(DMAB)を還元剤として含み、pHを6.0
〜6.8に調整した無電解酸化亜鉛めっき浴が知られて
いる。 【0003】しかし、無電解酸化亜鉛めっき浴は、めっ
き処理において、pHを±0.1の幅で管理すること
が、めっき浴の安定化、めっき皮膜特性の安定化の点で
好ましいが、適正pH管理幅が中性領域でしかも狭いこ
とから、適正pH管理が面倒であった。また、めっきが
進行するにつれてpHが上昇するため、適正pH管理幅
を超えて分解が開始してしまい、めっき浴中に結晶が生
成したり、沈殿物が発生したりし、60分程度で使用で
きなくなる上、めっき皮膜中に当該結晶や沈殿物が共析
し、めっき皮膜特性が悪くなっていた。 【0004】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
pH管理が容易で、まためっき進行中におけるめっき浴
の白濁、沈澱物の生成が可及的に防止された無電解酸化
亜鉛めっき浴を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結
果、無電解酸化亜鉛めっき浴に下記A群から選ばれる化
合物をpH安定化剤として添加することにより、無電解
酸化亜鉛めっき浴がpH6.0〜6.8の範囲において
安定化され、pHコントロールを±0.1の範囲で容易
に行うことができると共に、めっき進行中にみだりにめ
っき浴の白濁が生じ、沈澱物が生成することが防止され
ることを知見し、本発明をなすに至った。 【0006】即ち、本発明は、水溶性亜鉛塩とアミンボ
ラン系還元剤とを主成分とするpH6.0〜6.8の無
電解酸化亜鉛めっき浴において、pH安定化剤として、
下記A群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を添加
することを特徴とする無電解酸化亜鉛めっき浴を提供す
る。 [A群]2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−
プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−
プロパンジオール、2,4,6−トリメチルピリジン、
ジエチルバルビツール酸ナトリウム、2−(N−モルホ
リノ)エタンスルホン酸、ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン、N−2
(アセトアミド)イミノ二酢酸、ピペラジン−N,N’
−ビス(2−エタンスルホン酸)、N−(2−アセトア
ミド)−2−アミノエタンスルホン酸、2−ヒドロキシ
−3−モルホリノプロパンスルホン酸、N,N−ビス
(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン
酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、N−
トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタン
スルホン酸、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン
−N’−2−エタンスルホン酸、3−[N,N−ビス
(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプ
ロパンスルホン酸、3−[N−トリス(ヒドロキシメチ
ル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン
酸、ピペラジン−1,4−ビス(2−ヒドロキシ−3−
プロパンスルホン酸(2水和物))、2−ヒドロキシ−
3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニ
ル]プロパンスルホン酸(1水和物)、4−(2−ヒド
ロキシエチル)−1−ピペラジンプロパンスルホン酸、
N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン、N,
N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、N−トリ
ス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンス
ルホン酸。 【0007】以下、本発明につき更に詳しく説明する。 【0008】本発明の無電解酸化亜鉛めっき浴は、亜鉛
源として水溶性亜鉛源、還元剤としてアミンボラン系還
元剤を使用する。 【0009】ここで、水溶性亜鉛塩としては、硝酸亜
鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛等が用い
られ、0.01〜0.5モル/L、特に0.05〜0.
2モル/Lの量で使用することが好ましい。なお、めっ
き浴には、硝酸イオンが含まれることが好ましく、この
ため硝酸亜鉛以外の亜鉛塩を用いた場合は、硝酸カリウ
ム、硝酸ナトリウム等の硝酸根を0.01〜0.5モル
/L程度添加することが好ましい。 【0010】一方、アミンボラン系還元剤としては、ジ
メチルアミンボラン(DMAB)、トリメチルアミンボ
ラン(TMAB)、トリエチルアミンボラン(TEA
B)等が挙げられ、0.001〜0.1モル/Lの量で
使用することが好ましい。 【0011】本発明は、上記成分に加えて、下記A群か
ら選ばれる1種又は2種以上の化合物をpH安定化剤と
して添加する。 [A群]2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−
プロパンジオール(略称Tris)、2−アミノ−2−
メチル−1,3−プロパンジオール、2,4,6−トリ
メチルピリジン、ジエチルバルビツール酸ナトリウム、
2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(略称ME
S)、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒ
ドロキシメチル)メタン(略称Bis−Tris)、N
−2(アセトアミド)イミノ二酢酸(略称ADA)、ピ
ペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)
(略称PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−
アミノエタンスルホン酸(略称ACES)、2−ヒドロ
キシ−3−モルホリノプロパンスルホン酸(略称MOP
SO)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−
アミノエタンスルホン酸(略称BES)、3−(N−モ
ルホリノ)プロパンスルホン酸(略称MOPS)、N−
トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタン
スルホン酸(略称TES)、N−(2−ヒドロキシエチ
ル)ピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(略称H
EPES)、3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(略
称DIPSO)、3−[N−トリス(ヒドロキシメチ
ル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン
酸(略称TAPSO)、ピペラジン−1,4−ビス(2
−ヒドロキシ−3−プロパンスルホン酸(2水和物))
(略称POPSO)、2−ヒドロキシ−3−[4−(2
−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンス
ルホン酸(1水和物)(略称HEPPSO)、4−(2
−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンプロパンスルホ
ン酸(略称EPPS)、N−トリス(ヒドロキシメチ
ル)メチルグリシン(略称Tricine)、N,N−
ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(略称Bici
ne)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−
アミノプロパンスルホン酸(略称TAPS)。 【0012】上記pH安定化剤の添加量は0.001〜
0.4モル/L、特に0.005〜0.1モル/Lとす
ることが好ましい。 【0013】上記pH安定化剤濃度が、上記範囲0.0
01〜0.4モル/Lよりも低くなると、pHの安定化
作用が十分に発揮できず、上記範囲よりも高くなると、
酸化亜鉛が析出しなくなる場合が生じる。 【0014】さらに、上記pH安定化剤はアミンボラン
系還元剤濃度に対して、モル濃度比[還元剤濃度]/
[pH安定化剤濃度]を0.25〜125とすることが
好ましい。このモル濃度比範囲よりも小さくなると、酸
化亜鉛が析出しなくなるおそれがあり、大きくなると、
pHの安定化作用が十分に発揮できずめっき浴に沈殿が
生成するおそれがある。 【0015】本発明の無電解酸化亜鉛めっき浴は、pH
6.0〜6.8に調整される。この場合、pH調整剤と
しては、硝酸、硫酸、塩酸、酢酸、乳酸等の酸や、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを使用し得
る。 【0016】ここで、酸化亜鉛めっき浴の特徴として
は、次のようなことが挙げられる。 酸化亜鉛めっき浴に添加される基本成分の内、水溶
性亜鉛塩(硝酸亜鉛など)はpHを下げる方向に、還元
剤(DMABなど)はpHを上げる方向に作用する。 酸化亜鉛めっき浴のpHは、pH6.0〜6.8の
中性領域内とする必要があり、めっき浴中の亜鉛イオン
濃度に応じて、上記範囲の中で適正なpH(以下、適正
pHという。)が決まる。 めっき処理において、上記適正pHは±0.1(以
下、適正pH管理幅という。)とすることが好ましい。 特に、適正pH管理幅から高くなっている場合、め
っき浴中に、酸化亜鉛の結晶が浮遊したり、白色の沈殿
物が生成し、これら生成物が核となりめっき浴の分解が
促進されたり、めっき皮膜中に共析して導電性や透明性
などのめっき皮膜特性が悪くなる。 めっき処理が進行するにつれて、pHは徐々に高く
なる傾向がある。 【0017】これに対し、上記pH安定化剤を添加する
ことにより、以下の効果を得ることができる。 i.建浴時のpH調整が容易にできる。 ii.長時間連続使用しても、pHを±0.1に保つこ
とができ、析出速度を一定化でき、まためっき浴が分解
してめっき浴中に酸化亜鉛の結晶が生成したり、白色沈
殿物が発生することを抑制でき、導電性や透明性などの
めっき皮膜特性を安定化できる。 iii.当該pH安定化剤は、亜鉛イオンとの錯化合物
を形成しないため、めっきが析出しなくなることもな
い。また、亜鉛との化合物も形成せず、沈殿物が生成せ
ず、めっき皮膜特性を安定化できる。 【0018】本発明の無電解酸化亜鉛めっき浴は、特に
透明導電膜用ZnO、電磁波シールド用ZnO、光触媒
用ZnO、紫外線吸収用ZnOの目的に使用されるが、
これに制限されるものではない。被めっき物の材質はガ
ラス、セラミック、PETなどのプラスチック等とする
ことができ、これらの材質に応じた公知の前処理を行っ
た後、本発明のめっき浴に浸漬する。例えば、被めっき
物が非導電材料の場合、センシタイジング−アクチベー
ティング法、キャタライジング−アクセレレーティング
法等により表面に金属パラジウムの触媒核を付着した
後、めっき浴に浸漬するものである。 【0019】この場合、めっき温度は40〜90℃、特
に70〜80℃とすることが好ましく、めっき時間は所
望する膜厚に応じて適宜選定される。なお、本発明のめ
っき浴のめっき速度は、通常、75℃において0.2〜
0.4μm/hである。 【0020】 【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるも
のではない。 【0021】[実施例1〜12、比較例1〜3]公知の方
法で脱脂、表面調整、触媒付与したコーニングガラス基
板(コーニング社製)を、下記酸化亜鉛めっき浴に浸漬
して、DMABの補給を行わずに80℃でめっき処理を
行った。60分処理した後のめっき浴の状態(目視によ
り観察)及びpH、並びに得られた酸化亜鉛皮膜特性に
ついての結果を併せて表1に示す。酸化亜鉛めっき浴 硝酸亜鉛 表1に示す量。 DMAB 表1に示す量。 添加剤 表1に示す量。 硝酸(60%) pHがZnイオン濃度によって決め
られたpHになる量 【0022】 【表1】 【0023】優:透過率85%以上・無色、良:透過率
85%未満〜70%以上・無色、不可:透過率70%未
満・白色 ※ADA、PIPES、POPSOはあらかじめ0.1
モル/L水酸化ナトリウム溶液に溶解させたものを用い
た。 【0024】 【発明の効果】本発明の無電解酸化亜鉛めっき浴は、p
H管理が容易であり、まためっき進行中におけるめっき
浴の白濁、生成物の生成を可及的に防止することができ
る。
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(72)発明者 村上 透
大阪府枚方市出口1丁目5番1号 上村工
業株式会社中央研究所内
Fターム(参考) 4K022 AA03 AA04 AA13 AA16 BA15
BA25 BA31 BA33 DA01 DB01
DB03 DB04 DB07 DB08
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 水溶性亜鉛塩とアミンボラン系還元剤と
を主成分とするpH6.0〜6.8の無電解酸化亜鉛め
っき浴において、pH安定化剤として、下記A群から選
ばれる1種又は2種以上の化合物を添加することを特徴
とする無電解酸化亜鉛めっき浴。 [A群]2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−
プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−
プロパンジオール、2,4,6−トリメチルピリジン、
ジエチルバルビツール酸ナトリウム、2−(N−モルホ
リノ)エタンスルホン酸、ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン、N−2
(アセトアミド)イミノ二酢酸、ピペラジン−N,N’
−ビス(2−エタンスルホン酸)、N−(2−アセトア
ミド)−2−アミノエタンスルホン酸、2−ヒドロキシ
−3−モルホリノプロパンスルホン酸、N,N−ビス
(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン
酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、N−
トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタン
スルホン酸、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン
−N’−2−エタンスルホン酸、3−[N,N−ビス
(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプ
ロパンスルホン酸、3−[N−トリス(ヒドロキシメチ
ル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン
酸、ピペラジン−1,4−ビス(2−ヒドロキシ−3−
プロパンスルホン酸(2水和物))、2−ヒドロキシ−
3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニ
ル]プロパンスルホン酸(1水和物)、4−(2−ヒド
ロキシエチル)−1−ピペラジンプロパンスルホン酸、
N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン、N,
N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、N−トリ
ス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンス
ルホン酸。
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JP2001312128A JP2003113478A (ja) | 2001-10-10 | 2001-10-10 | 無電解酸化亜鉛めっき浴 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2001
- 2001-10-10 JP JP2001312128A patent/JP2003113478A/ja active Pending
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