JP2003113129A - 還元型補酵素q10結晶の製造方法 - Google Patents

還元型補酵素q10結晶の製造方法

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JP2003113129A JP2002114871A JP2002114871A JP2003113129A JP 2003113129 A JP2003113129 A JP 2003113129A JP 2002114871 A JP2002114871 A JP 2002114871A JP 2002114871 A JP2002114871 A JP 2002114871A JP 2003113129 A JP2003113129 A JP 2003113129A
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志郎 北村
Reika Yajima
麗嘉 矢島
Takahisa Kato
隆久 加藤
Yasuyoshi Ueda
恭義 上田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 食品、栄養機能食品、特定保健用食品、栄養
補助剤、栄養剤、動物薬、飲料、飼料、化粧品、医薬
品、治療薬、予防薬等として有用な還元型補酵素Q
10を、工業的規模での生産に適した方法で、高品質且つ
効率的に得る方法の提供。 【解決手段】 酸化型補酵素Q10を、有機溶媒と水との
混合溶媒中、次亜硫酸類を用いて還元するとともに、該
反応系中から、生成した還元型補酵素Q10を晶出させる
還元型補酵素Q10結晶の製造方法。本発明の方法によれ
ば、生成した還元型補酵素Q10の有機相への抽出、濃縮
等の付加的な操作を必要とせず、高品質の還元型補酵素
10結晶を効率よく製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、還元型補酵素Q10
結晶の製造方法に関する。より詳細には、酸化型補酵素
10を還元して還元型補酵素Q10とし、溶剤抽出や濃縮
等の付加的な操作を行うことなく還元反応の反応系中か
ら還元型補酵素Q10を結晶化させる方法に関する。還元
型補酵素Q10は、酸化型補酵素Q10に対して高い経口吸
収性を示し、優れた食品、栄養機能食品、特定保健用食
品、栄養補助剤、栄養剤、動物薬、飲料、飼料、化粧
品、医薬品、治療薬、予防薬等として有用な化合物であ
る。
【0002】
【従来の技術】還元型補酵素Q10は、例えば、合成、発
酵、天然物からの抽出等の従来公知の方法により補酵素
10を得た後、クロマトグラフィーにより流出液中の還
元型補酵素Q10区分を濃縮する方法等により得られるこ
とが知られている(特開平10−109933号公
報)。この場合、さらに上記還元型補酵素Q10中に含ま
れる酸化型補酵素Q10を、水素化ホウ素ナトリウム、亜
ジチオン酸ナトリウム(次亜硫酸ナトリウム)等の一般
的な還元剤を用いて還元した後、クロマトグラフィーに
よる濃縮を行っても良いこと、また、還元型補酵素Q10
は、既存の高純度補酵素Q10(酸化型)に上記還元剤を
作用させる方法によっても得られることが、該特許公報
中に記載されている。
【0003】また、特開昭57−70834公報には、
補酵素Q10をヘキサンに溶解し、これにハイドロサルフ
ァイトソーダ(次亜硫酸ナトリウム)水溶液を加えて攪
拌し、還元型補酵素Q10を合成した例が開示されてい
る。
【0004】しかしながら、このようにして得られる還
元型補酵素Q10は、必ずしも純度が高い状態では取得で
きず、例えば、酸化型補酵素Q10をはじめとする不純物
を含有する低純度結晶、半固体状や油状物として得られ
やすいといった問題がある。
【0005】更に上記の方法では、反応後に還元型補酵
素Q10を分離・精製するにあたっては、有機相の分離、
抽出、濃縮等の操作が必要である。還元型補酵素Q
10は、分子酸素によって酸化型補酵素Q10に酸化されや
すい。この酸化は、結晶化された状態よりも溶解された
状態でより顕著になる傾向がある。ラボスケールでの製
造に比べて操作時間が長くなる工業的規模での製造にお
いては、上記の酸素による副反応は深刻な問題となる。
【0006】還元反応〜還元型補酵素Q10の分離・精製
の一連の工程を、不活性ガス置換下のような脱酸素雰囲
気下で実施することも一つの方法ではあるが、一旦酸素
が混入してしまった場合、酸化型補酵素Q10の副生を抑
制することが難しい。また、工業的規模での製造におい
ては完全な酸素の除去は極めて難しく、有機相の分離、
抽出、濃縮といった付加的な操作を要さず、操作時間を
短くするような製造方法が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、工業的規模での製造に適した、高品質の還元型補酵
素Q10結晶の簡便且つ効率的な製造方法を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究した結果、酸化型補酵素Q10を特
定の条件下に処理することにより、酸化を最小限に抑え
て還元型補酵素Q10を生成させるとともに、生成した還
元型補酵素Q10を有機相への抽出、濃縮等の付加的な操
作を行うことなく、該反応系中から直接、結晶状態へ移
行させうることを見出し、本発明を完成させるに至っ
た。
【0009】即ち、本発明は、酸化型補酵素Q10を、有
機溶媒と水との混合溶媒中、次亜硫酸類を用いて還元
し、生成した還元型補酵素Q10を還元反応後の反応液か
ら晶出させることを特徴とする還元型補酵素Q10結晶の
製造方法である。
【0010】本発明の方法により、酸化型補酵素Q10
還元反応〜還元型補酵素Q10の採取までの一連の工程に
おける酸化型補酵素Q10の副生を最小化して、高品質の
還元型補酵素Q10結晶を、効率よく製造できることがで
きる。さらに、還元型補酵素Q10の有機相への抽出、濃
縮等の付加的な操作を必要としないことから、資材の削
減および製造時間の短縮等、生産性を向上することもで
きる。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明では、酸化型補酵素Q10
溶液又はスラリーを、還元雰囲気下に、還元型補酵素Q
10のスラリーに変化させることができる。本発明に用い
る酸化型補酵素Q10は、前述のように合成、発酵、天然
物からの抽出等により調製したものであってもよく、既
存の高純度補酵素Q10であってもよい。また、酸化型補
酵素Q 10のみを含有するものであってもよく、酸化型補
酵素Q10と還元型補酵素Q10の混合物であってもよい。
【0013】本発明は、有機溶媒と水との混合溶媒中で
実施される。有機溶媒と水との混合溶媒は、例えば、水
と相溶性の低い有機溶媒と水との混合溶媒であっても良
く、又、水と相溶性の高い有機溶媒と水との混合溶媒で
あっても良く、更に、必要に応じて、前者には水と相溶
性の高い有機溶媒を、後者には水と相溶性の低い有機溶
媒を悪影響のない範囲で含ませることができる。最も好
ましくは、水と相溶性の低い溶媒と水との混合溶媒であ
る。言うまでもなく、上記有機溶媒としては、還元反応
等に対して不活性のものが好適に用いられる。
【0014】前記有機溶媒としては、特に制限されない
が、例えば、炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル
類、アルコール類、脂肪酸類、ケトン類、ニトリル類、
ニトリルを除く窒素化合物類、硫黄化合物類等を挙げる
ことができる。
【0015】炭化水素類としては、特に制限されない
が、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲ
ン化炭化水素等を挙げることができる。特に、脂肪族炭
化水素、芳香族炭化水素が好ましく、とりわけ、脂肪族
炭化水素が好ましい。
【0016】脂肪族炭化水素としては、反応の観点から
は、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わ
ず、特に制限されないが、通常、炭素数3〜20、好ま
しくは、炭素数5〜12のものが用いられる。晶析収率
の観点からは、非環状の脂肪族炭化水素が好適に使用さ
れる。
【0017】具体例としては、例えば、プロパン、ブタ
ン、イソブタン、ペンタン、2−メチルブタン、シクロ
ペンタン、2−ペンテン、ヘキサン、2−メチルペンタ
ン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタ
ン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、1−ヘキ
セン、シクロヘキセン、ヘプタン、2−メチルヘキサ
ン、3−メチルヘキサン、2、3−ジメチルペンタン、
2,4−ジメチルペンタン、メチルシクロヘキサン、1
−ヘプテン、オクタン、2,2,3−トリメチルペンタ
ン、イソオクタン、エチルシクロヘキサン、1−オクテ
ン、ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、1−ノ
ネン、デカン、1−デセン、p−メンタン、ウンデカ
ン、ドデカン等を挙げることができる。
【0018】中でも、炭素数5〜8の飽和脂肪族炭化水
素が好ましく、炭素数5のペンタン、2−メチルブタ
ン、シクロペンタン(ペンタン類と称す);炭素数6の
ヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタ
ン、2,3−ジメチルブタン、メチルシクロペンタン、
シクロヘキサン(ヘキサン類と称す);炭素数7のヘプ
タン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,
3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン)、
メチルシクロヘキサン、(ヘプタン類と称す);炭素数
8のオクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソ
オクタン、エチルシクロヘキサン(オクタン類と称
す)、及びこれらの混合物が好ましく用いられる。とり
わけ、上記ヘプタン類は酸化からの防護効果が特に高い
傾向がありさらに好ましく、晶析収率の観点からは、ヘ
プタンが最も好ましい。
【0019】芳香族炭化水素としては、特に制限されな
いが、普通、炭素数6〜20、特に炭素数6〜12、と
りわけ炭素数7〜10のものが好適に用いられる。具体
例としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、
o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベ
ンゼン、クメン、メシチレン、テトラリン、ブチルベン
ゼン、p−シメン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチル
ベンゼン、ペンチルベンゼン、ジペンチルベンゼン、ド
デシルベンゼン、スチレン等を挙げることができる。好
ましくは、トルエン、キシレン、o−キシレン、m−キ
シレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシ
チレン、テトラリン、ブチルベンゼン、p−シメン、シ
クロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベ
ンゼンであり、より好ましくは、トルエン、キシレン、
o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クメン、
テトラリンであり、最も好ましくは、クメンである。
【0020】ハロゲン化炭化水素としては、環状、非環
状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限され
ないが、一般に、非環状のものが好ましく用いられる。
普通、塩素化炭化水素、フッ素化炭化水素が好ましく、
特に塩素化炭化水素が好ましい。炭素数1〜6、特に炭
素数1〜4、とりわけ炭素数1〜2のものが好適に用い
られる。
【0021】具体例としては、例えば、ジクロロメタ
ン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタ
ン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロ
エタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,
2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロ
ロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、
1,1−ジクロロエチレン、1,2−ジクロロエチレ
ン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,
2−ジクロロプロパン、1,2,3−トリクロロプロパ
ン、クロロベンゼン、1,1,1,2−テトラフルオロ
エタン等を挙げることができる。
【0022】好ましくは、ジクロロメタン、クロロホル
ム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジ
クロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,
1,2−トリクロロエタン、1,1−ジクロロエチレ
ン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、
クロロベンゼン、1,1,1,2−テトラフルオロエタ
ンであり、より好ましくは、ジクロロメタン、クロロホ
ルム、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレ
ン、クロロベンゼン、1,1,1,2−テトラフルオロ
エタンである。
【0023】脂肪酸エステル類としては、特に制限され
ないが、例えば、プロピオン酸エステル、酢酸エステ
ル、ギ酸エステル等を挙げることができる。特に、酢酸
エステル、ギ酸エステルが好ましく、とりわけ、酢酸エ
ステルが好ましい。特に制限されないが、一般に、エス
テル基としては、炭素数1〜8のアルキルエステル又は
アラルキルエステル、好ましくは炭素数1〜6のアルキ
ルエステル、より好ましくは炭素数1〜4のアルキルエ
ステルが好ましく用いられる。
【0024】プロピオン酸エステルとしては、例えば、
プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン
酸ブチル、プロピオン酸イソペンチルを挙げることがで
きる。
【0025】酢酸エステルとしては、例えば、酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢
酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸
ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸sec−ヘキシル、
酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル等を挙げることがで
きる。好ましくは、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロ
ピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチ
ル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペン
チル、酢酸sec−ヘキシル、酢酸シクロヘキシルであ
り、より好ましくは、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プ
ロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチ
ルであり、最も好ましくは、酢酸エチルである。
【0026】ギ酸エステルとしては、例えば、ギ酸メチ
ル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ
酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸sec−ブチル、ギ酸
ペンチル等を挙げることができる。好ましくは、ギ酸メ
チル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イ
ソブチル、ギ酸ペンチルであり、最も好ましくは、ギ酸
エチルである。
【0027】エーテル類としては、環状、非環状を問わ
ず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、
一般に、飽和のものが好ましく用いられる。普通、炭素
数3〜20、特に炭素数4〜12、とりわけ炭素数4〜
8のものが好適に用いられる。
【0028】具体例としては、例えば、ジエチルエーテ
ル、メチルtert−ブチルエーテル、ジプロピルエー
テル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジ
ヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニ
ルエーテル、アニソール、フェネトール、ブチルフェニ
ルエーテル、メトキシトルエン、ジオキサン、フラン、
2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロ
ピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレ
ングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ
ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレン
グリコールジブチルエーテル等を挙げることができる。
【0029】好ましくは、ジエチルエーテル、メチルt
ert−ブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソ
プロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエー
テル、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエー
テル、メトキシトルエン、ジオキサン、2−メチルフラ
ン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレ
ングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジ
エチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテ
ル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテルであり、より好ましく
は、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテ
ル、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エ
チレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコ
ールモノエチルエーテルであり、さらに好ましくは、ジ
エチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ア
ニソール等であり、最も好ましくは、メチルtert−
ブチルエーテルである。
【0030】アルコール類としては、環状、非環状を問
わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されない
が、一般に、飽和のものが好ましく用いられる。普通、
炭素数1〜20、特に炭素数1〜12、とりわけ炭素数
1〜6、なかでも炭素数1〜5の1価アルコールが好ま
しく、又、炭素数2〜5の2価アルコールが好ましく、
又、炭素数3の3価アルコールが好ましい。
【0031】1価のアルコールとしては、例えば、メタ
ノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノ
ール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルア
ルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノ
ール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチ
ル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、ter
t−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノー
ル、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−
メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノ
ール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノー
ル、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタ
ノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノ
ール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカ
ノール、1−ドデカノール、アリルアルコール、プロパ
ルギルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサ
ノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシ
クロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4
−メチルシクロヘキサノール等を挙げることができる。
【0032】好ましくは、メタノール、エタノール、1
−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、
2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブ
チルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノー
ル、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、
イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコー
ル、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコ
ール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノー
ル、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−
ブタノール、シクロヘキサノールであり、より好ましく
は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−
プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソ
ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−
ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、
2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコー
ル、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−
ブタノール、ネオペンチルアルコールであり、さらに好
ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノー
ル、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノー
ル、イソブチルアルコール、2−メチル−1−ブタノー
ル、イソペンチルアルコールであり、最も好ましくは、
エタノールである。
【0033】2価のアルコールとしては、1,2−エタ
ンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロ
パンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタ
ンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタン
ジオール、1,5−ペンタンジオール等を挙げることが
できる。好ましくは、1,2−エタンジオール、1,2
−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールであ
り、最も好ましくは、1,2−エタンジオールである。
【0034】3価のアルコールとしてはグリセリン等を
好適に用いることができる。
【0035】ケトン類としては、特に制限されず、普通
炭素数3〜6のものが好適に用いられる。具体例として
は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブ
チルケトン、メチルイソブチルケトン等を挙げることが
でき、好ましくは、アセトン、メチルエチルケトンであ
り、最も好ましくは、アセトンである。
【0036】ニトリル類としては、環状、非環状を問わ
ず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、
一般に飽和のものが好ましく用いられる。普通、炭素数
2〜20、特に炭素数2〜12、とりわけ炭素数2〜8
のものが好適に用いられる。
【0037】具体例としては、例えば、アセトニトリ
ル、プロピオニトリル、マロノニトリル、ブチロニトリ
ル、イソブチロニトリル、スクシノニトリル、バレロニ
トリル、グルタロニトリル、ヘキサンニトリル、ヘプチ
ルシアニド、オクチルシアニド、ウンデカンニトリル、
ドデカンニトリル、トリデカンニトリル、ペンタデカン
ニトリル、ステアロニトリル、クロロアセトニトリル、
ブロモアセトニトリル、クロロプロピオニトリル、ブロ
モプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、シアノ
酢酸メチル、シアノ酢酸エチル、トルニトリル、ベンゾ
ニトリル、クロロベンゾニトリル、ブロモベンゾニトリ
ル、シアノ安息香酸、ニトロベンゾニトリル、アニソニ
トリル、フタロニトリル、ブロモトルニトリル、メチル
シアノベンゾエート、メトキシベンゾニトリル、アセチ
ルベンゾニトリル、ナフトニトリル、ビフェニルカルボ
ニトリル、フェニルプロピオニトリル、フェニルブチロ
ニトリル、メチルフェニルアセトニトリル、ジフェニル
アセトニトリル、ナフチルアセトニトリル、ニトロフェ
ニルアセトニトリル、クロロベンジルシアニド、シクロ
プロパンカルボニトリル、シクロヘキサンカルボニトリ
ル、シクロヘプタンカルボニトリル、フェニルシクロヘ
キサンカルボニトリル、トリルシクロヘキサンカルボニ
トリル等を挙げることができる。
【0038】好ましくは、アセトニトリル、プロピオニ
トリル、スクシノニトリル、ブチロニトリル、イソブチ
ロニトリル、バレロニトリル、シアノ酢酸メチル、シア
ノ酢酸エチル、ベンゾニトリル、トルニトリル、クロロ
プロピオニトリルであり、より好ましくは、アセトニト
リル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロ
ニトリルであり、最も好ましくは、アセトニトリルであ
る。
【0039】ニトリル類を除く窒素化合物類としては、
例えば、ニトロメタン、トリエチルアミン、ピリジン、
ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメ
チルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N
−メチルピロリドン等を挙げることができる。
【0040】硫黄化合物類としては、例えば、ジメチル
スルホキシド、スルホラン等を挙げることができる。
【0041】脂肪酸類としては、例えば、ギ酸、酢酸、
プロピオン酸等を挙げることができる。好ましくは、ギ
酸、酢酸であり、最も好ましくは酢酸である。
【0042】上記溶媒のうち、炭化水素類、脂肪酸エス
テル類、エーテル類、アルコール類或いはニトリル類の
うちの少なくとも一種を用いるのが好ましい。
【0043】上記の炭化水素類、脂肪酸エステル類、エ
ーテル類やニトリル類は、分子酸素による還元型補酵素
10から酸化型補酵素Q10への酸化を抑制して、高品質
の還元型補酵素Q10を取得、製造するために、上記酸化
からの防護効果の高い有機溶媒でもある。
【0044】還元型補酵素Q10は高濃度の溶液ほど酸化
されにくい傾向にある。上記溶媒に対して還元型補酵素
10は高い溶解性を示し、上記溶媒はこの点でも酸化防
護に好適である。還元型補酵素Q10の酸化を防護するた
めに好ましい濃度は、溶媒の種類などにより一律に規定
できないが、上記溶媒に対する還元型補酵素Q10の濃度
として、普通1w/w%以上、好ましくは2w/w%以
上である。上限は、特に制限されないが、実際的な操作
性という観点から、400w/w%、好ましくは200
w/w%、より好ましくは100w/w%、とりわけ5
0w/w%である。
【0045】さらに、上記溶媒に対する還元型補酵素Q
10の溶解度は高い温度依存性を示す。このため、上記溶
媒の使用は、還元型補酵素Q10の溶解量を好適に減じ
て、結晶状態へ移行させる上でも好適である。
【0046】炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル
類、ニトリル類のうちでは、上述の如く、炭化水素類が
好ましく、脂肪族炭化水素類がより好ましく、ヘプタン
類が最も好ましい。
【0047】炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル
類といった水との相溶性の低い有機溶媒の使用は、後述
する還元反応で用いる還元剤や還元剤に由来する不純物
を水相に溶解・除去し、還元型補酵素Q10を効率的に精
製、取得するのを助成する。
【0048】また、アルコール類、ニトリル類や一部の
エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、アセトニトリル等)といった水との相溶性の高い有
機溶媒の使用は、還元型補酵素Q10の晶析収率やスラリ
ーの流動性を改善するのを助成しうる。
【0049】アルコール類、ニトリル類、一部のエーテ
ル類のうちでは、ニトリル類及びエーテル類が好まし
く、アセトニトリルやテトラヒドロフラン等がより好ま
しい。
【0050】以上の溶媒の中でも、沸点、粘性等の性質
(例えば、溶解度を高めるための適度な加温ができ、且
つ、湿体からの溶剤の乾燥除去や晶析濾液等からの溶剤
回収の行いやすい沸点(1気圧下、約30〜150
℃)、室温での取り扱い時及び室温以下に冷却した時も
固化しにくい融点(約20℃以下、好ましくは約10℃
以下、より好ましくは約0℃以下)を持ち、粘性が低い
(20℃において約10cp以下等))を考慮して選定
するのが好ましい。工業的な作業上の観点から、常温で
揮発し難いものが好ましく、一般に、例えば、沸点約7
0℃以上、好ましくは約80℃以上、より好ましくは約
90℃以上のものが使用される。
【0051】上記の有機溶媒や水は、反応前、反応途
中、晶析途中、或いは、晶出量の安定化後に、その2種
以上を適宜添加、又は追加して良い。
【0052】本発明においては、還元剤として次亜硫酸
類を用いる。次亜硫酸類としては、特に制限されず、普
通、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウ
ム塩等が用いられるが、好ましくはリチウム塩、ナトリ
ウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩であり、より好
ましくはナトリウム塩である。
【0053】本発明は、収率等の観点から、普通pH7
以下、好ましくはpH3〜7、より好ましくはpH3〜
6で実施される。上記pHは、塩酸や硫酸等の鉱酸等の
酸や水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物等の塩
基を用いて、調整することができる。
【0054】上記次亜硫酸類の使用量は、特に制限され
ないが、普通、酸化型補酵素Q10の仕込み重量に対し
て、約1/5重量以上、好ましくは約2/5重量以上、
より好ましくは約3/5重量以上である。多くても特に
支障はないが、経済的に不利であるため、普通、約2倍
重量以下、好ましくは約同重量以下で用いられる。普
通、約2/5重量〜約同重量の範囲で好適に実施でき
る。
【0055】本発明は、溶媒重量に対する反応後の還元
型補酵素Q10重量として、例えば、普通約1w/w%以
上、好ましくは約3w/w%以上、より好ましくは約5
w/w%以上、とりわけ約10w/w%以上で実施され
る。上限は、特に制限されないが、普通約60w/w
%、好ましくは約50w/w%、より好ましくは約40
w/w%、とりわけ約30w/w%である。
【0056】本発明における水の使用量は、例えば、反
応に用いる酸化型補酵素Q10や還元剤(上記次亜硫酸
類)を適度に溶解させるとともに、晶出した還元型補酵
素Q10のスラリー濃度やスラリー性状を好適な範囲に調
整・維持するために、適宜増減できる。
【0057】上記水の使用量は、特に制限されないが、
上記次亜硫酸類の水に対する重量が、普通、30w/w
%以下、好ましくは20w/w%以下、より好ましくは
15w/w%以下であり、また、晶出した還元型補酵素
10のスラリー濃度が、全溶媒の重量に対して、15w
/w%以下、好ましくは13w/w%以下、より好まし
くは10w/w%以下になるように調整するのが良い。
還元型補酵素Q10の晶析に際しては、水量は多くても支
障はないが、生産性を考慮して、晶出した還元型補酵素
10のスラリー濃度が、全溶媒の重量に対して、普通1
w/w%以上、好ましくは2w/w%以上となる量であ
るのが良い。
【0058】本発明は、特に制限されないが、普通10
0℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは60
℃以下で実施される。下限は、系の固化温度である。通
常、0〜100℃程度、好ましくは0〜80℃程度、よ
り好ましくは0〜60℃程度で好適に実施できる。
【0059】しかしながら、還元型補酵素Q10の好適な
晶出のためには、系中の還元型補酵素Q10濃度と晶析温
度をより厳密に設定するのが好ましい。これらの好まし
い条件は、用いる溶媒の種類やその比率によって一律に
規定することは難しいので、通常、事前に溶解度測定を
行って、還元型補酵素Q10の大半が最終的に晶出するよ
うに調整するのがよい。通常、生成した還元型補酵素Q
10の60%以上、好ましくは70%以上、さらに好まし
くは80%以上が晶出するように設定するのが好まし
い。
【0060】有機溶媒と水との混合溶媒が、水との相溶
性の低い有機溶媒と水との混合溶媒である場合には、有
機溶媒相と水相が混和せずに2相を形成すること、又、
酸化型補酵素Q10や還元型補酵素Q10は基本的に水相に
難溶(有機溶媒相に可溶)であり、一方、還元剤や還元
剤の分解物は水相に可溶(有機溶媒相に難溶)であるこ
とから、基本的に、有機溶媒並びに水の各々の純粋な系
における諸データに基づき、上記条件をある程度規定す
ることが可能である。有機溶媒と水との混合溶媒が、水
との相溶性の低い有機溶媒と水との混合溶媒である場合
には、還元型補酵素Q10を好適に晶出させるためには、
一般に、晶出温度は、約10℃以下が好ましく、約5℃
以下がより好ましい。
【0061】好適な還元型補酵素Q10濃度と晶析温度の
関係をより具体的に例示すると、例えば、晶析温度をX
軸、有機溶媒に対する反応後の還元型補酵素Q10濃度を
Y軸(対数目盛)とする片対数プロット上において、
(15℃,15w/w%)、(13℃,10w/w
%)、(9℃,5w/w%)および(6℃,3w/w
%)の各点を通る直線上、または、直線より上部に位置
するような関係であるのが好ましい。上記関係は、有機
溶媒が例えば、ヘキサンやヘプタン等の脂肪族炭化水素
類である場合に最も適合する。
【0062】本発明においては、必要に応じ、冷却晶析
操作、濃縮晶析操作を併用することもできる。一般に、
冷却晶析操作を組み合わせて好適に実施できる。冷却晶
析操作を併用する場合の冷却速度としては、特に制限さ
れないが、普通、約40℃/時間以下であり、好ましく
は約30℃/時間以下であり、より好ましくは約20℃
/時間以下である。
【0063】本発明は、強制流動下に実施するのが好ま
しい。単位容積当たりの撹拌所要動力として、通常約
0.01kW/m3以上、好ましくは約0.1kW/m3
以上、より好ましくは約0.3kW/m3以上の流動が
好ましい。上記の強制流動は、通常、撹拌翼の回転によ
り与えられるが、上記流動が得られれば必ずしも撹拌翼
を用いる必要はなく、例えば、液の循環による方法など
を利用しても良い。
【0064】本発明は、通常、24時間以内、好ましく
は10時間以内、より好ましくは5時間以内に完了させ
ることができる。尚、言うまでもなく、上記の諸条件に
より、還元型補酵素Q10の核化開始や結晶成長の時間や
速度は変化しうる。
【0065】このようにして得られる還元型補酵素Q10
の結晶は、好ましくは、例えば、遠心分離、加圧濾過、
減圧濾過等による固液分離、更に、ケーキ洗浄を行い、
湿体として採取される。
【0066】ケーキ洗浄は、一般に、水、前記アルコー
ル類(最も好ましくは、メタノール、エタノール、1−
プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2
−ブタノール、イソブチルアルコール、2−メチル−1
−ブタノール、イソペンチルアルコール等であり、なか
でも、エタノールが好ましい。)や前記の水と相溶性の
低い有機溶媒、好ましくは炭化水素類、特に脂肪族炭化
水素類、とりわけヘプタン類を用いて、必要に応じ、1
0℃以下、好ましくは5℃以下に冷却して行われる。得
られた湿体は、更に、内部を不活性ガスに置換した減圧
乾燥器(真空乾燥器)に湿体を仕込、減圧下、乾燥し、
乾体として取得することができるし、乾体として取得す
るのが好ましい。
【0067】本発明は、脱酸素雰囲気下にて実施するこ
とにより、更に、酸化防護効果を高めるのみならず、還
元収率向上や還元剤量の低減にも大きく寄与する。脱酸
素雰囲気は、不活性ガスによる置換、減圧、沸騰やこれ
らを組み合わせることにより達成できる。少なくとも、
不活性ガスによる置換、即ち、不活性ガス雰囲気を用い
るのが好適である。上記不活性ガスとしては、例えば、
窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、水素ガス、炭
酸ガス等を挙げることができ、好ましくは窒素ガスであ
る。
【0068】本発明により、望ましくない酸素の副反応
は、還元反応による還元型補酵素Q 10の合成〜還元型補
酵素Q10の晶析といった一連の工程を通じて最小化さ
れ、一方、還元型補酵素Q10は晶出し、採取される。得
られる還元型補酵素Q10結晶は高品質であり、還元型補
酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は、96/4以
上、好ましくは98/2以上、より好ましくは99/1
以上が期待できる。
【0069】
【実施例】以下に実施例を揚げて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるも
のではない。また、実施例中の還元型補酵素Q10の純
度、還元型補酵素Q10と酸化型補酵素Q10との重量比は
下記HPLC分析により求めたが、得られた還元型補酵
素Q10の純度は本発明における純度の限界値を規定する
ものではなく、また、同様に、還元型補酵素Q10と酸化
型補酵素Q10との重量比も、その上限値を規定するもの
ではない。 (HPLC分析条件) カラム:SYMMETRY C18(Waters製)
250mm(長さ)4.6mm(内径)、移動相;C2
5OH:CH3OH=4:3(v:v)、検出波長;2
10nm、流速;1ml/min、還元型補酵素Q10
保持時間;9.1min、酸化型補酵素Q10の保持時
間;13.3min。
【0070】(実施例1)100gの酸化型補酵素Q10
(純度99.4%)を25℃で1000gのヘプタンに
溶解させた。攪拌(攪拌所要動力0.3kW/m3)し
ながら、還元剤として次亜硫酸ナトリウム(純度75%
以上)100gに1000mlの水を加えて溶解させた
水溶液を、徐々に添加し、25℃、pH4〜6で還元反
応を行った。2時間の反応後,攪拌(攪拌所要動力0.
3kW/m3)を続け、2℃まで冷却し,白色のスラリ
ーを得た。なお,以上すべての操作は窒素雰囲気下で実
施した。得られたスラリーを減圧ろ過し、湿結晶を冷ヘ
プタン、冷エタノール、冷水、冷エタノール、冷ヘプタ
ンで順に洗浄し(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)、
湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)
することにより、白色の乾燥結晶94gを得た(有姿収
率94モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸
化型補酵素Q10の重量比は99.7/0.3、還元型補
酵素Q10の純度は99.4%であった。
【0071】(実施例2)100gの酸化型補酵素Q10
(純度99.4%)を25℃で1500gのテトラヒド
ロフランおよび1500gのエタノールに溶解させた。
攪拌(攪拌所要動力0.3kW/m3)しながら、還元
剤として次亜硫酸ナトリウム(純度75%以上)100
gに1000mlの水を加えて溶解させた水溶液を、徐
々に添加し、25℃、pH4〜6で還元反応を行った。
2時間の反応後,攪拌(攪拌所要動力0.3kW/
3)を続け、2℃まで冷却し,白色のスラリーを得
た。なお、以上すべての操作は窒素雰囲気下で実施し
た。得られたスラリーを減圧ろ過し、湿結晶を冷エタノ
ール、冷水、冷エタノールで順に洗浄し(洗浄に用いた
冷溶媒の温度は2℃)、湿結晶を減圧乾燥(20〜40
℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結
晶84gを得た(有姿収率84モル%)。得られた結晶
の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は9
9.4/0.6、還元型補酵素Q10の純度は99.1%
であった。
【0072】(参考例1)実施例1で得られた1gの還
元型補酵素Q10を、25℃下で表1に示す各種溶媒20
gに溶解した。大気中、25℃で24時間の攪拌後、液
中の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比を測
定した結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】(参考例2)実施例1で得られた1gの還
元型補酵素Q10を、35℃下で表2に示す各種溶媒10
0gに溶解した。大気中、35℃で24時間の攪拌後、
液中の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比を
測定した結果を表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】(実施例3)還元剤として次亜硫酸ナトリ
ウム(純度75%以上)40gに1000mlの水を加
えて溶解させた水溶液を用いること以外はすべて実施例
1と同様に行い、白色の乾燥結晶94gを得た(有姿収
率94モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸
化型補酵素Q10の重量比は99.4/0.6、還元型補
酵素Q10の純度は99.1%であった。
【0077】
【発明の効果】本発明は、上述の構成よりなるので、工
業的規模で、高品質の還元型補酵素Q 10を簡便且つ効率
的に製造することができる。
フロントページの続き (72)発明者 上田 恭義 兵庫県姫路市網干区和久140−15 Fターム(参考) 4B018 MD23 ME06 ME10 MF10 4C206 AA04 CB25 MA01 MA04 ZC21 4H006 AA02 AC42 AD15 BB11 BB14 BB15 BB21 BB31 BB61 BC50 BC51 BE90 GP03

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化型補酵素Q10を、有機溶媒と水との混
    合溶媒中、次亜硫酸類を用いて還元し、該反応系から、
    生成した還元型補酵素Q10を晶出させることを特徴とす
    る還元型補酵素Q10結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】有機溶媒と水との混合溶媒が、水との相溶
    性の高い有機溶媒と水との混合溶媒である請求項1記載
    の製造方法。
  3. 【請求項3】水との相溶性の高い有機溶媒が、アルコー
    ル類、エーテル類及びニトリル類のうちの少なくとも一
    種である請求項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】有機溶媒と水との混合溶媒が、水との相溶
    性の低い有機溶媒と水との混合溶媒である請求項1記載
    の製造方法。
  5. 【請求項5】水との相溶性の低い有機溶媒が、炭化水素
    類、脂肪酸エステル類及びエーテル類のうちの少なくと
    も一種である請求項4記載の製造方法。
  6. 【請求項6】水との相溶性の低い有機溶媒が、炭化水素
    類である請求項5記載の製造方法。
  7. 【請求項7】炭化水素類が、脂肪族炭化水素である請求
    項6記載の製造方法。
  8. 【請求項8】脂肪族炭化水素が、炭素数3〜20の脂肪
    族炭化水素である請求項7記載の製造方法。
  9. 【請求項9】炭素数3〜20の脂肪族炭化水素は、ペン
    タン類、ヘキサン類、又は、ヘプタン類である請求項8
    記載の製造方法。
  10. 【請求項10】炭素数3〜20の脂肪族炭化水素は、ヘ
    キサン、又は、ヘプタンである請求項8記載の製造方
    法。
  11. 【請求項11】生成した還元型補酵素Q10の60%以上
    を晶出させる請求項1から10のいずれかに記載の製造
    方法。
  12. 【請求項12】還元型補酵素Q10の晶出を10℃以下で
    行う請求項11記載の製造方法。
  13. 【請求項13】晶析温度と有機溶媒に対する反応後の還
    元型補酵素Q10濃度が、晶析温度をX軸、還元型補酵素
    10濃度をY軸(片対数目盛)とする片対数プロット上
    にて、(15℃,15w/w%)、(13℃,10w/
    w%)、(9℃,5w/w%)及び(6℃,3w/w
    %)の各点を通る直線上、又は、直線より上部に位置す
    るような条件で実施される請求項1〜12のいずれかに
    記載の製造方法。
  14. 【請求項14】冷却晶析を組み合わせて行う請求項1〜
    13のいずれかに記載の製造方法。
  15. 【請求項15】pH3〜7で実施する請求項1〜14の
    いずれかに記載の製造方法。
  16. 【請求項16】脱酸素雰囲気下で実施する請求項1〜1
    5のいずれかに記載の製造方法。
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