JP2003109882A - 高分子固体電解コンデンサアレー - Google Patents

高分子固体電解コンデンサアレー

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JP2003109882A
JP2003109882A JP2001299274A JP2001299274A JP2003109882A JP 2003109882 A JP2003109882 A JP 2003109882A JP 2001299274 A JP2001299274 A JP 2001299274A JP 2001299274 A JP2001299274 A JP 2001299274A JP 2003109882 A JP2003109882 A JP 2003109882A
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foil
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substrate
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Masaaki Kobayashi
正明 小林
Yumiko Yokouchi
祐美子 横内
Noriyoshi Nanba
憲良 南波
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 実装効率の向上が図られるとともに、複数の
高分子固体電解コンデンサを並列接続、単独使用するこ
とにより、多目的に利用することができる高分子固体電
解コンデンサアレーを提供する。 【解決手段】 表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形
成された箔状の弁金属基体の一端部近傍領域に、表面が
粗面化されていない箔状の弁金属基体の一端部近傍領域
が、弁金属間が電気的に接続されるように、接合され、
前記表面が粗面化されていない箔状の弁金属基体の他端
部近傍領域に、箔状の導電性金属基体の一端部近傍領域
が、金属間が電気的に接続されるように、接合されて、
構成された陽極電極を有する複数個の高分子固体電解コ
ンデンサ10が、それぞれ、前記閉空間内の絶縁性樹脂
基板21の前記高分子固体電解コンデンサ10の設置面
に形成された配線パターン24と電気的に接続されてい
る高分子固体電解コンデンサアレー20。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に、基板内蔵型
とされて用いられる高分子固体電解コンデンサアレーに
関する。
【0002】
【従来の技術】電解コンデンサは、絶縁性酸化皮膜形成
能力を有するアルミニウム、チタン、真鍮、ニッケル、
タンタルなどの金属、いわゆる弁金属を陽極に用い、こ
の弁金属の表面を陽極酸化して、絶縁性酸化皮膜を形成
した後、実質的に陰極として機能する電解質層を形成
し、さらに、グラファイトや銀などの導電層を陰極とし
て設けることによって、形成されている。
【0003】例えば、アルミニウム電解コンデンサは、
エッチング処理によって、比表面積を増大させた多孔質
アルミニウム箔を陽極とし、高分子固体電解コンデンサ
の場合は、この陽極表面に形成した酸化アルミニウム層
と陰極箔との間に、固体電解質層を設けている。高分子
固体電解コンデンサとしては、固体電解質として、性能
上の理由などから、導電性ポリマーを用いたものが提案
されている(特許第2725553号、特公平8−31
400号、特公平4−74853号の各公報等)。
【0004】一方、電子機器の小型化、薄型化の要求に
より、電子部品には、より一層の小型化、高性能化が要
求され、回路基板には、薄層化、多層化による高機能化
が要求されている。
【0005】そこで、特開平2−54510号公報およ
び特許第2950587号公報は、高分子固体電解コン
デンサを、配線基板の抵抗機能や導電パターンと同様
に、あらかじめ、基板と一体的に形成し、複数の高分子
固体電解コンデンサが1枚の基板上に形成された回路基
板によって、電子部品の高密度化、回路基板の薄型化を
図ることを提案している。
【0006】また、特許2738590号公報、特開2
000−353875号公報には、具体的に開示される
のは電解コンデンサではないが、基板内部に、複数のフ
ィルムコンデンサを内蔵した基板が開示されている。さ
らに、特開2000−306770号公報には、複数個
のチップ型電解コンデンサが外装ケースに収納されてい
る多連チップ型電解コンデンサが開示されている。
【0007】電子機器における電子部品の実装効率は、
電子部品自体の外形寸法による制約があるため限界があ
り、例えば電子部品間または電子部品と筺体との隙間等
の無駄な空間が依然として電子機器の小型化を阻んでい
る。あるいは、従来無駄であった空間にプリント基板を
配置するなどして、無駄な空間を極力削減することは試
みられているものの、静電容量範囲が200μF以上の
比較的容量が大きい電解コンデンサ複数個をプリント基
板に実装することが必要とされる場合、少なくとも高さ
寸法が10mmないしそれ以上であり、外形寸法が1個あ
たり10〜20mm径の占有空間が生じてしまう。そし
て、この占有空間がさらに無駄な空間を生み、電子部品
の効率的な実装を困難にしているといった問題があっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特
に、基板内蔵型とすることによって、電子部品と筺体と
の隙間等の無駄な空間スペースを効率的に使用すること
ができ、実装効率の向上が図られるとともに、複数のコ
ンデンサを並列接続、単独使用することにより、多目的
に利用することができる高分子固体電解コンデンサアレ
ーを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記の本発
明によって達成される。 (1) 表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成され
た箔状の弁金属基体の一端部近傍領域に、表面が粗面化
されていない箔状の弁金属基体の一端部近傍領域が、弁
金属間が電気的に接続されるように、接合され、前記表
面が粗面化されていない箔状の弁金属基体の他端部近傍
領域に、箔状の導電性金属基体の一端部近傍領域が、金
属間が電気的に接続されるように、接合されて、構成さ
れた陽極電極を有し、前記表面が粗面化され、絶縁性酸
化皮膜が形成された箔状の弁金属基体の絶縁性酸化皮膜
の両面に、少なくとも、固体高分子電解質層および導電
体層が、順次、形成された平板状の高分子固体電解コン
デンサが、絶縁性樹脂で形成された閉空間内に複数個収
納されており、前記複数個の高分子固体電解コンデンサ
が、それぞれ、前記閉空間内の絶縁性樹脂の前記高分子
固体電解コンデンサの設置面に形成された配線パターン
と電気的に接続されている高分子固体電解コンデンサア
レー。 (2) 前記複数個の高分子固体電解コンデンサが収納
されている閉空間が、絶縁性樹脂基板から形成されてい
る上記(1)の高分子固体電解コンデンサアレー。 (3) 前記絶縁性樹脂基板が第一の絶縁性樹脂基板お
よびこれと対向して設けられた第二の絶縁性樹脂基板と
を有し、前記複数個の高分子固体電解コンデンサが、そ
れぞれ、前記第一の絶縁性樹脂基板の一方の面に設置さ
れて固定されるとともに、前記絶縁性樹脂基板の高分子
固体電解コンデンサ設置面に形成された配線パターンと
電気的に接続されており、さらに、前記複数個の高分子
固体電解コンデンサが、前記絶縁性樹脂基板の一方の面
と前記絶縁性樹脂基板の一方の面とで形成された閉空間
内に収納されている上記(2)の高分子固体電解コンデ
ンサアレー。 (4) 前記絶縁性樹脂基板が第一の絶縁性樹脂基板お
よびこれと対向して設けられた2枚の第二の絶縁性樹脂
基板とを有し、前記複数個の高分子固体電解コンデンサ
が、それぞれ、前記絶縁性樹脂基板の両面に設置されて
固定されるとともに、前記第一の絶縁性樹脂基板の高分
子固体電解コンデンサ設置面に形成された配線パターン
と電気的に接続されており、さらに、前記各面のそれぞ
れの複数個の高分子固体電解コンデンサが、前記絶縁性
樹脂基板の一方の面と前記第二の絶縁性樹脂基板の一方
の面とで形成されたそれぞれの閉空間内に収納されてい
る上記(2)の高分子固体電解コンデンサアレー。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の高分子固体電解コンデンサアレーは、複数個の
平板状の高分子固体電解コンデンサが、それぞれ、絶縁
性樹脂で形成された閉空間内に収納されており、高分子
固体電解コンデンサの前記絶縁性樹脂設置面に形成され
た配線パターンと電気的に接続されている。そして、好
ましくは、高分子固体電解コンデンサが、絶縁性樹脂基
板(第一の絶縁性樹脂基板とする。)の一方または両方
の面に設置されて固定されており、このコンデンサ設置
面に形成された配線パターンと電気的に接続されてい
る。そして、さらに、第二の絶縁性樹脂基板を第一の絶
縁性樹脂基板に対向して配し、第一の絶縁性樹脂基板の
一方の面と第二の絶縁性樹脂基板の一方の面との間に、
複数個の高分子固体電解コンデンサが収納されるよう
に、第二の絶縁性樹脂基板に接合し、閉空間を形成して
いる。また、第一の絶縁性樹脂基板の両面に複数個の高
分子固体電解コンデンサが設置・固定されるときは、2
枚の第二の絶縁性樹脂基板を用意し、これらの間に、そ
れぞれ収納されるようにする。このように、絶縁性樹脂
で形成された閉空間は、絶縁性樹脂で形成された空間を
指し、好ましくは、絶縁性樹脂基板によって形成された
ものであり、例えば筺体の内部空間であり、一部、外部
と通じる箇所や絶縁性樹脂とは異なる材料で形成された
箇所があってもよく、本発明では、これらを含めて閉空
間というものとする。
【0011】この場合収納される高分子固体電解コンデ
ンサは、表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成され
た箔状の弁金属基体の一端部近傍領域に、表面が粗面化
されていない箔状の弁金属基体の一端部近傍領域が、弁
金属間が電気的に接続されるように、接合され、表面が
粗面化されていない箔状の弁金属基体の他端部近傍領域
に、箔状の導電性金属基体の一端部近傍領域が、金属間
が電気的に接続されるように、接合されて、構成された
陽極電極を有し、表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が
形成された箔状の弁金属基体の絶縁性酸化皮膜の両面
に、少なくとも、固体高分子電解質層および導電体層
が、順次、形成された高分子固体電解コンデンサであ
る。このように、本発明の高分子固体電解コンデンサ
は、平板状となる。ただし、接合されたり、一部に層が
形成されたりすることから、厳密には、平面ではない
が、本発明では、このように完全には平面ではない場合
も含めて、平板状という。
【0012】このような高分子固体電解コンデンサは、
その陽極電極構造の特徴から、陽極酸化により、表面が
粗面化された箔状の弁金属基体の絶縁性酸化皮膜が形成
されていないエッジ部分に、絶縁性酸化皮膜を形成して
も、化成溶液は、表面が粗面化された箔状の弁金属基体
の一端部近傍領域と、表面が粗面化されていない箔状の
弁金属基体の一端部近傍領域との接合部を越えて、表面
が粗面化されていない箔状の弁金属基体に達することが
なく、したがって、表面が粗面化された箔状の弁金属基
体の一端部近傍領域と、表面が粗面化されていない箔状
の弁金属基体の一端部近傍領域との接合部に、絶縁性酸
化皮膜が形成された時点で、電流は流れなくなって、陽
極酸化が完了し、表面が粗面化された箔状の弁金属基体
のエッジ部分に、所望のように、絶縁性酸化皮膜を形成
することが可能になる。また、高分子固体電解コンデン
サを、回路基板(すなわち、配線パターンが形成された
絶縁性樹脂基板)に内蔵させた後に、表面が粗面化され
ていない箔状の弁金属基体の表面に、経時的に、絶縁性
酸化皮膜が形成されても、表面が粗面化されていない箔
状の弁金属基体の他端部近傍領域に、さらに、箔状の導
電性金属の一端部近傍領域が、電気的に接続するよう
に、接合されているから、箔状の導電性金属に、回路基
板に搭載される他の電子部品とのコンタクトを設けるこ
とによって、所望のインピーダンス特性を有する高分子
固体電解コンデンサを、回路基板に内蔵させることが可
能になる。また、重合処理時などにおいても、溶液の導
電性金属基体への浸み上がりがなく、これによるショー
トや、コンデンサの漏れ電流を低減できる。このため、
プリント基板内に高分子固体電解コンデンサを内蔵する
場合、実装に際して大面積が利用可能になり、高集積
度、高密度の実装が可能になる。
【0013】このように、本発明では、1個のコンデン
サ、それ自体で、小型・大容量化を図ることができる平
板状の高分子固体電解コンデンサを複数個用い、あらか
じめ、配線パターンを形成した絶縁性樹脂基板に、好ま
しくは、内蔵させているので、省スペース化が図られ、
電子部品の実装効率を向上させることができる。また、
複数存在する高分子固体電解コンデンサの並列接続や単
独使用を適宜選択することにより、多目的に利用するこ
とができる。
【0014】本発明のコンデンサアレーは、例えば図1
〜4に示されるものであり、図1には、コンデンサアレ
ー20として、5個の高分子固体電解コンデンサ10
が、第一の絶縁性樹脂基板21の一方の面に設置されて
いる様子が示されている。図1では、各高分子固体電解
コンデンサ10が、第一の絶縁性樹脂基板21の高分子
固体電解コンデンサ10設置面と同じ側に形成された配
線パターン24と電気的に接続している様子を示してい
て、各高分子固体電解コンデンサ10間に素子補強のた
めに設置される補強部材26を除いて他の構成要素の図
示は省略している。なお、第一の絶縁性樹脂基板21の
端部において、配線パターン24が形成された部分21
aは、後述のように、差し込み部を構成し、この部分の
各配線パターン24同士の間隔は等間隔とされる。
【0015】図2には、図1の第一の絶縁性樹脂基板2
1において、バンク23を形成した第一の絶縁性樹脂基
板21に第二の絶縁性樹脂基板22が接合される様子が
示されている。なお、ここでは、高分子固体電解コンデ
ンサの図示は省略しているが、高分子固体電解コンデン
サは、第一の絶縁性樹脂基板21と第二の絶縁性樹脂基
板22とバンク23とで囲まれた部分に固定して設置さ
れる。
【0016】また、図3は、図1の高分子固体電解コン
デンサアレーを構成する1個の高分子固体電解コンデン
サ10の部分の概略斜視図である。図3に示されるよう
に、高分子固体電解コンデンサ10は、配線パターン2
4が形成された第一の絶縁性樹脂基板21上に設置さ
れ、高分子固体電解コンデンサ10の陽極電極4と陰極
電極14とは、それぞれ、導電性接着剤32によって配
線パターン24と一体化され、電気的に接続される。ま
た、第一の絶縁性樹脂基板21と高分子固体電解コンデ
ンサ10とは、図4に示されるように、接着剤29によ
って固定される。
【0017】図4は、高分子固体電解コンデンサ10の
第一の絶縁性樹脂基板24側面における固定用の接着剤
29と導電性接着剤32とがスポット状に形成された様
子を示している。この場合のスポットの直径は3〜5mm
程度、厚みは10〜1000μm程度であり、通常、併
せて4〜8個程度形成される。また、塗布スポットの合
計面積は、高分子固体電解コンデンサ10の底面積全体
の10〜50%程度である。特に、接着剤29の塗布
は、漏れ電流の低減や静電容量の周波数特性の改善など
の特性向上の上では、スポット状が好ましいが、これに
限定されず、配線パターン24との接続を確保した上
で、全面塗布するような形であってもよい。
【0018】さらに、これらについていうと、第一の絶
縁性樹脂基板21には、互いに対向する2つの側部に沿
って、その高さが、高分子固体電解コンデンサ10の厚
さよりも大きいバンク23が形成されており、高分子固
体電解コンデンサ10は、バンク23の間の第一の絶縁
性樹脂基板21の一面上の所定の位置に位置決めされ、
導電性接着剤32によって配線パターン24と電気的に
接続されるとともに、接着剤29によって固定される。
このとき、導電性接着剤32も、高分子固体電解コンデ
ンサ10の固定する機能を果す。
【0019】バンク23は、第一の絶縁性樹脂基板21
および第二の絶縁性樹脂基板22と同じ材質の基板を、
その周縁部に、所定面積の部分が残されるように打ち抜
き加工して、枠状の基板を形成し、第一の絶縁性樹脂基
板21および第二の絶縁性樹脂基板22と同じ材質の接
着剤(プリプレグ)を用いて、枠状の基板を第一の絶縁
性樹脂基板に固定することによって、形成されている。
【0020】高分子固体電解コンデンサ10が、第一の
絶縁性樹脂基板21上の所定の位置に位置決めされて、
導電性接着剤32によって配線パターン24と電気的に
接続されるとともに、接着剤29および導電性接着剤3
2によって、第一の絶縁性樹脂基板21上に固定される
と、第一の絶縁性樹脂基板21に形成されたバンク23
に当接するように、平板状の第二の絶縁性樹脂基板22
が被せられる。図示例では、樹脂により形成された補強
部材26が、第一の絶縁性樹脂基板21上のコンデンサ
10間に配せられており、高分子固体電解コンデンサア
レー20の補強が図られる。なお、補強部材は、これに
限られず、例えば高分子固体電解コンデンサの一部分に
樹脂を配して補強する方法などを用いたり、これと併用
することができる。
【0021】このようにして、高分子固体電解コンデン
サ10が、第一の絶縁性樹脂基板21および第二の絶縁
性樹脂基板22と一体化されて、固定され、第一の絶縁
性樹脂基板21および第二の絶縁性樹脂基板22と同じ
材質の接着剤(プリプレグ)を用いて、第一の絶縁性樹
脂基板21と第二の絶縁性樹脂基板22とが接着され
て、高分子固体電解コンデンサアレー20が作製され
る。
【0022】このような本発明の高分子固体電解コンデ
ンサアレーは、ほぼ10mm×20mmサイズであって、表
面が粗面化され、酸化皮膜が形成された箔状のアルミニ
ウム基体を用いた場合、1個あたりのコンデサ容量が耐
電圧DC(直流)6.3〜12Vで80〜150μF程度
の静電容量を確保できる。また、その外形の大きさは、
基板の長さが131〜143mm、幅が37〜46mm、第
一の絶縁性樹脂基板の厚みが0.5〜1.0mm、第二の
絶縁性樹脂基板の厚みが0.2〜0.5mm、バンクの厚
みが0.4〜0.6mm程度であり、省スペース化に有効
である。このような高分子固体電解コンデンサアレー
は、配線パターン24を変更することにより、種々の使
用方法が可能である。図1では、個々の高分子固体電解
コンデンサ10を単独使用する場合の配線パターン24
が示されているが、図5のような配線パターン24とす
れば、5個の高分子固体電解コンデンサ10が並列接続
されたものとなる。また、図6のような配線パターン2
4とすれば、3個の高分子固体電解コンデンサ10が並
列接続され、2個が単独使用されるものとなる。
【0023】また、以上では、第一の絶縁性樹脂基板2
1の同一面に高分子固体電解コンデンサ10を並べて設
置するものとしたが、第一の絶縁性樹脂基板21の両面
に高分子固体電解コンデンサ10を設置する、いわゆる
積層型アレーとしてもよい。このようなタイプの高分子
固体電解コンデンサアレーの一例が、図7、8に示され
ている。図7は、第一の絶縁性樹脂基板21の両面に高
分子固体電解コンデンサ10が設置された様子を示す概
略断面図である。図8は、第二の絶縁性樹脂基板22を
はずして、高分子固体電解コンデンサ10部分を上から
みた概略平面図である。符号は前記と同様としており、
配線パターンは陰極電極用のものを24a、陽極電極用
のものを24bとしている。このような積層型アレーと
することにより、単層型よりも、より多くの高分子固体
電解コンデンサを搭載していることになるので、並列回
路的に接続すれば、大容量化に対応でき、電子回路上で
使用される様々な静電容量やその個数に対応させること
が可能になる。
【0024】図9には、本発明の高分子固体電解コンデ
ンサアレーの使用方法が示されている。図9に示される
ように、例えば、高分子固体電解コンデンサアレー20
は、配線パターン24が露出した差し込み部21aを介
して、各種機器、装置の基板(例えばパソコンのマザー
ボード、DC−DCコンバータ基板)60に配置された
コネクタソケット50に接続されることによって、基板
60と電気的に接続される。
【0025】次に、高分子固体電解コンデンサアレーを
構成する高分子固体電解コンデンサについて、図面を用
いて説明する。図10は、高分子固体電解コンデンサの
陽極電極の一例を示す概略平面図であり、図11は、図
10のA−A線に沿った概略断面図である。
【0026】ここでは、絶縁酸化皮膜形成能を有する弁
金属として、アルミニウムが用いられ、図10および図
11に示されるように、高分子固体電解コンデンサの陽
極電極1は、表面が粗面化(拡面化)され、表面に、絶
縁酸化皮膜である酸化アルミニウム皮膜が形成された箔
状のアルミニウム基体2と、表面が粗面化されていない
箔状のアルミニウム基体3と、リード電極を構成する金
属導体として、箔状の銅基体4を備えている。
【0027】図10および図11に示されるように、陽
極電極1は、表面が粗面化され、表面に、酸化アルミニ
ウム皮膜が形成された箔状のアルミニウム基体2の一端
部領域には、表面が粗面化されていない箔状のアルミニ
ウム基体3の一端部領域が、超音波溶接によって、弁金
属間が電気的に接続されるように、接合され、さらに、
表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体3の
他端部領域には、箔状の銅基体4の一端部領域が、超音
波溶接によって、金属間が電気的に接続されるように、
接合されて、形成されている。なお、図示例では、アル
ミニウム基体3と銅基体4とは端部同士が接合されてい
るが、アルミニウム基体3が単独で存在する部分があれ
ば、銅基体4全体がアルミニウム基体3と重ね合わされ
ていてもよい。
【0028】図示例の陽極電極の形成にあたっては、ま
ず、所定寸法に切断されたリード電極を構成すべき箔状
の銅基体4と、アルミニウム箔シートから、所定寸法に
切り出され、表面が粗面化されていない箔状のアルミニ
ウム基体3が、それぞれ、所定面積の端部領域が互いに
重なり合うように、重ね合わされる。
【0029】次いで、互いに重ね合わされている箔状の
銅基体4の端部領域と、箔状のアルミニウム基体3の端
部領域とが、超音波溶接によって、接合されて、溶接接
合部5が形成される。箔状のアルミニウム基体3の表面
に、酸化アルミニウム皮膜が形成されている場合でも、
超音波溶接によって、接合することによって、酸化アル
ミニウム皮膜が除去され、金属間が電気的に接続される
ように、箔状の銅基体4の端部領域と、箔状のアルミニ
ウム基体3の端部領域とが接合される。ここに、互いに
重なり合う箔状の銅基体4の端部領域および箔状のアル
ミニウム基体3の端部領域の面積は、接合部が、所定の
強度を有するように決定される。
【0030】その後、表面が粗面化され、表面に酸化ア
ルミニウム皮膜が形成されている所定寸法の箔状のアル
ミニウム基体2が、アルミニウム箔シートから切り出さ
れ、箔状の銅基体4と箔状のアルミニウム基体3の接合
体の表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体
3と、それぞれ、所定面積の端部領域が互いに重なり合
うように、重ね合わされる。
【0031】次いで、互いに重ね合わされている表面が
粗面化され、表面に酸化アルミニウム皮膜が形成された
箔状のアルミニウム基体2の端部領域と、表面が粗面化
されていない箔状のアルミニウム基体3の端部領域と
が、超音波溶接によって、接合されて、溶接接合部6が
生成される。ここに、超音波溶接によって、接合するこ
とによって、箔状のアルミニウム基体2の表面に形成さ
れている酸化アルミニウム皮膜が除去され、アルミニウ
ム純金属間が電気的に接続されるように、表面が粗面化
されていない箔状のアルミニウム基体3の端部領域と、
表面が粗面化されている箔状のアルミニウム基体2の端
部領域とが接合される。ここに、互いに重なり合う箔状
のアルミニウム基体3の端部領域および箔状のアルミニ
ウム基体2の端部領域の面積は、接合部が、所定の強度
を有するように決定される。
【0032】こうして、形成された陽極電極1は、誘電
体を構成する表面が粗面化され、表面に酸化アルミニウ
ム皮膜が形成された箔状のアルミニウム基体2が、アル
ミニウム箔シートから切り出されたものであるため、そ
のエッジ部には、酸化アルミニウム皮膜が形成されては
おらず、高分子固体電解コンデンサの陽極電極として用
いるためには、表面が粗面化されている箔状のアルミニ
ウム基体2のエッジ部に、陽極酸化によって、酸化アル
ミニウム皮膜を形成することが必要である。
【0033】図12は、表面が粗面化されている箔状の
アルミニウム基体2のエッジ部に、酸化アルミニウム皮
膜を形成する陽極酸化方法を示す概略構成図である。
【0034】図12に示されるように、ステンレスビー
カー7中に収容されたアジピン酸アンモニウム水溶液よ
りなる化成溶液8中に、表面が粗面化された箔状のアル
ミニウム基体2の全体と、表面が粗面化されていない箔
状のアルミニウム基体3の一部が浸漬されるように、陽
極電極1がセットされ、箔状の銅基体4がプラスに、ス
テンレスビーカー7がマイナスになるように、電圧が印
加される。
【0035】使用電圧は、形成すべき酸化アルミニウム
皮膜の膜厚に応じて、適宜決定することができ、10nm
ないし1μmの膜厚を有する酸化アルミニウム皮膜を形
成するときは、通常、数ボルトないし20ボルト程度に
設定される。
【0036】その結果、陽極酸化が開始され、化成溶液
8は、箔状のアルミニウム基体2の表面が粗面化されて
いるため、毛細管現象によって、上昇するが、箔状のア
ルミニウム基体3の表面は粗面化されていないため、表
面が粗面化されている箔状のアルミニウム基体2と、表
面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体3の接
合部を越えて、上昇することはなく、したがって、リー
ド電極を構成する箔状の銅基体4に化成溶液8が接触す
ることが確実に防止され、エッジ部を含む表面が粗面化
されている箔状のアルミニウム基体2の全表面および表
面が粗面化されている箔状のアルミニウム基体2に接合
された表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基
体3の領域のみに、酸化アルミニウム皮膜が形成され
る。
【0037】こうして、得られた陽極電極1の表面が粗
面化され、酸化アルミニウム皮膜が形成されている箔状
のアルミニウム基体2の全表面上に、公知の方法で、陰
極電極が形成され、高分子固体電解コンデンサが作製さ
れる。
【0038】なお、表面が粗面化されていない箔状のア
ルミニウム基体3の溶接接合部6の近傍には、全周にわ
たって、絶縁性を有し、疎水性を有する領域が形成して
もよく、絶縁性を有し、疎水性を有する領域は、アモル
ファス系フッ素樹脂などを塗布して、形成できる。絶縁
性を有し、疎水性を有する領域は、陽極酸化前に、形成
されれば、何時、形成されてもよい。また、陽極電極の
銅基体等の形態は、図示例に限定されるものではなく、
陽極電極の全体大きさを変えずに、表面が粗面化され、
酸化皮膜が形成された箔状のアルミニウム基体の大きさ
を大きくするために、例えば、銅基体と表面が粗面化さ
れていない箔状のアルミニウム基体との部分を三角形と
し、それに対応する切欠部を設けた表面が粗面化され、
酸化皮膜が形成された箔状のアルミニウム基体を得、そ
れに接合したものとしてもよい。
【0039】図13は、高分子固体電解コンデンサの概
略断面図である。
【0040】図13に示されるように、高分子固体電解
コンデンサ10は、陽極電極1の表面が粗面化され、酸
化アルミニウム皮膜9が形成されている箔状のアルミニ
ウム基体2の全表面上に、固体高分子電解質層11、グ
ラファイトペースト層12および銀ペースト層13から
なる陰極電極14を備えている。
【0041】導電性高分子化合物を含む固体高分子電解
質層11は、陽極電極1の表面が粗面化され、酸化アル
ミニウム皮膜が形成されている箔状のアルミニウム基体
2の全表面上に、化学酸化重合あるいは電解酸化重合に
よって形成され、グラファイトペースト層12および銀
ペースト層13は、固体高分子電解質層11上に、スク
リーン印刷法あるいはスプレー塗布法によって形成され
る。
【0042】こうして作製された高分子固体電解コンデ
ンサ10は、図1〜図8に示されるように、絶縁性樹脂
基板の間に、固定されて、基板に内蔵され、本発明のコ
ンデンサアレー20とされる。
【0043】本発明においては、高分子固体電解コンデ
ンサの陽極電極1は、表面が粗面化され、表面に、絶縁
酸化皮膜である酸化アルミニウム皮膜が形成された箔状
のアルミニウム基体2と、表面が粗面化されていない箔
状のアルミニウム基体3と、金属導体として、箔状の銅
基体4を備え、表面が粗面化され、表面に、酸化アルミ
ニウム皮膜が形成された箔状のアルミニウム基体2の一
端部領域と、表面が粗面化されていない箔状のアルミニ
ウム基体3の一端部領域が、超音波溶接によって、弁金
属間が電気的に接続されるように、接合され、さらに、
表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体3の
他端部領域と、箔状の銅基体4の一端部領域が、超音波
溶接によって、金属間が電気的に接続されるように、接
合されており、表面が粗面化されている箔状のアルミニ
ウム基体2のエッジ部に、陽極酸化によって、酸化アル
ミニウム皮膜を形成するときは、化成溶液8内に、表面
が粗面化された箔状のアルミニウム基体2の全体と、表
面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体3の一
部が浸漬されるように、陽極電極1がセットされて、箔
状の銅基体4がプラスに、ステンレスビーカー7がマイ
ナスになるように、電圧が印加される。
【0044】その結果、化成溶液8は、箔状のアルミニ
ウム基体2の表面が粗面化されているため、毛細管現象
によって、上昇するが、箔状のアルミニウム基体3の表
面は粗面化されていないため、表面が粗面化されている
箔状のアルミニウム基体2と、表面が粗面化されていな
い箔状のアルミニウム基体3の接合部を越えて、上昇す
ることはなく、したがって、リード電極を構成する箔状
の銅基体4に化成溶液8が接触することが確実に防止さ
れ、エッジ部を含む表面が粗面化されている箔状のアル
ミニウム基体2の全表面および表面が粗面化されている
箔状のアルミニウム基体2に接合された表面が粗面化さ
れていない箔状のアルミニウム基体3の領域のみに、酸
化アルミニウム皮膜が形成される。
【0045】また、溶接接合部近傍の表面が粗面化され
ていない箔状のアルミニウム基体に、全周にわたって、
絶縁性を有し、疎水性を有する領域を形成する場合に
は、さらに、箔状の銅基体との間に介在する箔状のアル
ミニウム基体の表面が粗面化されていないこととあいま
って、化成溶液が、絶縁性を有し、疎水性を有する領域
を越えて、上昇することはなく、したがって、リード電
極を構成する箔状の銅基体に化成溶液が接触することを
より一層確実に防止することができ、エッジ部を含む表
面が粗面化されている箔状のアルミニウム基体の全表面
のみに、酸化アルミニウム皮膜を形成することができ
る。このため、リード電極を構成する箔状の銅基体に、
回路基板に搭載される他の電子部品とのコンタクトを設
けることによって、所望の電気的特性を有する高分子固
体電解コンデンサを、回路基板に内蔵させることが可能
になる。
【0046】加えて、固体高分子電解質層を、化学酸化
結合によって形成する際に、毛細管現象によって、粗面
化された酸化アルミニウム皮膜に沿って、表面が粗面化
されていない箔状のアルミニウム基体に向けて、進行す
る原料モノマー溶液や酸化剤溶液は、溶接接合部近傍の
箔状のアルミニウム基体の全周にわたって形成された絶
縁性を有し、疎水性を有する領域によって、その進行が
妨げられるから、原料モノマー溶液や酸化剤溶液が、絶
縁性を有し、疎水性を有する領域を越えて、進み、箔状
の銅箔に達することを確実に防止することが可能にな
る。
【0047】したがって、箔状の銅基体4よりなるリー
ド電極を備え、表面が粗面化された箔状のアルミニウム
基体2の表面が酸化アルミニウム皮膜で覆われた陽極電
極1を有する電気的特性に優れた高分子固体電解コンデ
ンサ10を得ることができ、こうして得られた高分子固
体電解コンデンサ10は、その厚さを十分に薄くするこ
とができるから、回路基板に内蔵するのに適し、所望の
ように、高分子固体電解コンデンサが基板に内蔵された
高分子固体電解コンデンサアレー20を作製することが
可能になる。
【0048】また、第一の絶縁性樹脂基板22には、バ
ンク23が設けられ、高分子固体電解コンデンサアレー
20の作製にあたり、高分子固体電解コンデンサ10
は、第一の絶縁性樹脂基板21、バンク23および第二
の絶縁性樹脂基板22によって形成される閉空間内に収
納されているから、第二の絶縁性樹脂基板22を、高分
子固体電解コンデンサ10および第一の絶縁性樹脂基板
21と一体化させる際に、高分子固体電解コンデンサに
過度な圧力が加わることがなく、したがって、箔状のア
ルミニウム基体2の表面に形成された酸化アルミニウム
皮膜が破壊されて、陽極として作用するアルミニウムと
固体高分子電解質層11とが接触し、通電時に、ショー
トが発生することを確実に防止することが可能になる。
上記においては、弁金属基体としてアルミニウムを用
い、導電性金属基体として銅を用いる例について述べた
が、以下、これについてさらに説明する。
【0049】本発明において、弁金属基体は、絶縁酸化
皮膜形成能を有する金属およびその合金よりなる群から
選ばれる金属または合金によって形成される。好ましい
弁金属としては、アルミニウム、タンタル、チタン、ニ
オブおよびジルコニウムよりなる群から選ばれる1種の
金属または2種以上の金属の合金が挙げられ、これらの
中でも、アルミニウムおよびタンタルが、とくに好まし
い。陽極電極は、これらの金属あるいは合金を、箔状に
加工して、形成される。
【0050】本発明において、導電性金属の材料は、導
電性を有する金属または合金であればよく、とくに限定
されるものではないが、好ましくは、ハンダや導電性接
着剤による接続が可能であり、とくに、銅、真鍮、ニッ
ケル、亜鉛およびクロムよりなる群から選ばれる1種の
金属または2種以上の金属の合金から選択されることが
好ましく、これらの中では、電気的特性、後工程での加
工性、コストなどの観点から、銅が最も好ましく使用さ
れる。
【0051】本発明において、固体高分子電解質層は、
導電性高分子化合物を含有し、好ましくは、化学酸化重
合あるいは電解酸化重合によって、表面が粗面化され、
絶縁性酸化皮膜が形成された箔状の弁金属基体上に、形
成される。
【0052】化学酸化重合によって、固体高分子電解質
層を形成する場合、具体的には、固体高分子電解質層
は、たとえば、以下のようにして、表面が粗面化され、
絶縁性酸化皮膜が形成された箔状の弁金属基体上に、形
成される。
【0053】まず、表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜
が形成された箔状の弁金属基体上のみに、0.001な
いし2.0モル/リットルの酸化剤を含む溶液、あるい
は、さらに、ドーパント種を与える化合物を添加した溶
液を、塗布、噴霧などの方法によって、均一に付着させ
る。
【0054】次いで、好ましくは、少なくとも0.01
モル/リットルの導電性高分子化合物の原料モノマーを
含む溶液あるいは導電性高分子化合物の原料モノマー自
体を、箔状の弁金属基体の表面に形成された絶縁性酸化
皮膜に、直接接触させる。これによって、原料モノマー
が重合し、導電性高分子化合物が合成され、箔状の弁金
属基体の表面に形成された絶縁性酸化皮膜上に、導電性
高分子化合物よりなる固体高分子電解質層が形成され
る。
【0055】本発明において、固体高分子電解質層に含
まれる導電性高分子化合物としては、置換または非置換
のπ共役系複素環式化合物、共役系芳香族化合物および
ヘテロ原子含有共役系芳香族化合物よりなる群から選ば
れる化合物を、原料モノマーとするものが好ましく、こ
れらのうちでは、置換または非置換のπ共役系複素環式
化合物を、原料モノマーとする導電性高分子化合物が好
ましく、さらに、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチ
オフェン、ポリフランおよびこれらの誘導体よりなる群
から選ばれる導電性高分子化合物、とくに、ポリアニリ
ン、ポリピロール、ポリエチレンジオキシチオフェンが
好ましく使用される。
【0056】本発明において、固体高分子電解質層に好
ましく使用される導電性高分子化合物の原料モノマーの
具体例としては、未置換アニリン、アルキルアニリン
類、アルコキシアニリン類、ハロアニリン類、o−フェ
ニレンジアミン類、2,6−ジアルキルアニリン類、
2,5−ジアルコキシアニリン類、4,4’−ジアミノ
ジフェニルエーテル、ピロール、3−メチルピロール、
3−エチルピロール、3−プロピルピロール、チオフェ
ン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、
3,4−エチレンジオキシチオフェンなどを挙げること
ができる。
【0057】本発明において、化学酸化重合に使用され
る酸化剤は、とくに限定されるものではないが、たとえ
ば、ヨウ素、臭素、ヨウ化臭素などのハロゲン化物、五
フッ化珪素、五フッ化アンチモン、四フッ化珪素、五塩
化リン、五フッ化リン、塩化アルミニウム、塩化モリブ
デンなどの金属ハロゲン化物、硫酸、硝酸、フルオロ硫
酸、トリフルオロメタン硫酸、クロロ硫酸などのプロト
ン酸、三酸化イオウ、二酸化窒素などの酸素化合物、過
硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム
などの過硫酸塩、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、
過酢酸、ジフルオロスルホニルパーオキサイドなどの過
酸化物が、酸化剤として使用される。
【0058】本発明において、必要に応じて、酸化剤に
添加されるドーパント種を与える化合物としては、たと
えば、LiPF6、LiAsF6、NaPF6、KPF6
KAsF6などの陰イオンがヘキサフロロリンアニオ
ン、ヘキサフロロ砒素アニオンであり、陽イオンがリチ
ウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属カチオ
ンである塩、LiBF4、NaBF4、NH4BF4、(C
34NBF4、(n−C494NBF4などの四フッ
過ホウ素塩化合物、p−トルエンスルホン酸、p−エチ
ルベンゼンスルホン酸、p−ヒドロキシベンゼンスルホ
ン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、メチルスルホン
酸、ドデシルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、βーナ
フタレンスルホン酸などのスルホン酸またはその誘導
体、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、2,6−
ナフタレンジスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン
酸ナトリウム、トルエンスルホン酸テトラブチルアンモ
ニウムなどのスルホン酸またはその誘導体の塩、塩化第
二鉄、臭化第二鉄、塩化第二銅、臭化第二銅などの金属
ハロゲン化物、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、リ
ン酸、硝酸あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ
土類金属塩もしくはアンモニウム塩、過塩素酸、過塩素
酸ナトリウムなどの過ハロゲン酸もしくはその塩などの
ハロゲン化水素酸、無機酸またはその塩、酢酸、シュウ
酸、蟻酸、酪酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、フタル
酸、マレイン酸、安息香酸、サリチル酸、ニコチン酸な
どのモノもしくはジカルボン酸、芳香族複素環式カルボ
ン酸、トリフルオロ酢酸などのハロゲン化されたカルボ
ン酸およびこれらの塩などのカルボン酸類を挙げること
ができる。
【0059】本発明において、これらの酸化剤およびド
ーパント種を与えることのできる化合物は、水や有機溶
媒などに溶解させた適当な溶液の形で使用される。溶媒
は、単独で使用しても、2種以上を混合して、使用して
もよい。混合溶媒は、ドーパント種を与える化合物の溶
解度を高める上でも有効である。混合溶媒としては、溶
媒間に相溶性を有するものおよび酸化剤およびドーパン
ト種を与えることのできる化合物と相溶性を有するもの
が好ましい。溶媒の具体例としては、有機アミド類、含
硫化合物、エステル類、アルコール類が挙げられる。
【0060】一方、電解酸化重合によって、固体高分子
電解質層を、表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成
された箔状の弁金属基体上に形成する場合には、公知の
ように、導電性下地層を作用極として、対向電極ととも
に、導電性高分子化合物の原料モノマーと支持電解質を
含んだ電解液中に浸漬し、電流を供給することによっ
て、固体高分子電解質層が形成される。
【0061】具体的には、表面が粗面化され、絶縁性酸
化皮膜が形成された箔状の弁金属基体上に、好ましく
は、化学酸化重合によって、まず、薄層の導電性下地層
が形成される。導電性下地層の厚さは、一定の重合条件
のもとで、重合回数を制御することによって、制御され
る。重合回数は、原料モノマーの種類によって決定され
る。
【0062】導電性下地層は、金属、導電性を有する金
属酸化物、導電性高分子化合物のいずれから構成しても
よいが、導電性高分子化合物から構成することが好まし
い。導電性下地層を構成するための原料モノマーとして
は、化学酸化重合に用いられる原料モノマーを用いるこ
とができ、導電性下地層に含まれる導電性高分子化合物
は、化学酸化重合によって形成される固体高分子電解質
層に含まれる導電性高分子化合物と同様である。導電性
下地層を構成するための原料モノマーとして、エチレン
ジオキシチオフェン、ピロールを用いる場合は、化学酸
化重合のみで高分子固体電解質層を形成する場合に生成
される導電性高分子の全量の10%〜30%(質量百分
率)程度の導電性高分子が生成する条件になるように重
合回数を換算して、導電性下地層を形成すればよい。
【0063】その後、導電性下地層を作用極として、対
向電極とともに、導電性高分子化合物の原料モノマーと
支持電解質を含んだ電解液中に浸漬し、電流を供給する
ことによって、導電性下地層上に、固体高分子電解質層
が形成される。
【0064】電解液には、必要に応じて、導電性高分子
化合物の原料モノマーおよび支持電解質に加えて、種々
の添加剤を添加することができる。
【0065】固体高分子電解質層に使用することのでき
る導電性高分子化合物は、導電性下地層に使用される導
電性高分子化合物、したがって、化学酸化重合に用いら
れる導電性高分子化合物と同様であり、置換または非置
換のπ共役系複素環式化合物、共役系芳香族化合物およ
びヘテロ原子含有共役系芳香族化合物よりなる群から選
ばれる化合物を、原料モノマーとする導電性高分子化合
物が好ましく、これらのうちでは、置換または非置換の
π共役系複素環式化合物を、原料モノマーとする導電性
高分子化合物が好ましく、さらに、ポリアニリン、ポリ
ピロール、ポリチオフェン、ポリフランおよびこれらの
誘導体よりなる群から選ばれる導電性高分子化合物、と
くに、ポリアニリン、ポリピロール、ポリエチレンジオ
キシチオフェンが好ましく使用される。
【0066】支持電解質は、組み合わせるモノマーおよ
び溶媒に応じて、選択されるが、支持電解質の具体例と
しては、たとえば、塩基性の化合物としては、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸
ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが、酸性の化合物
としては、硫酸、塩酸、硝酸、臭化水素、過塩素酸、ト
リフルオロ酢酸、スルホン酸などが、塩としては、塩化
ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化カリウム、塩化カ
リウム、硝酸カリウム、過ヨウ酸ナトリウム、過塩素酸
ナトリウム、過塩素酸リチウム、ヨウ化アンモニウム、
塩化アンモニウム、四フッ化ホウ素塩化合物、テトラメ
チルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウ
ムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、
テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルア
ンモニウムパークロライド、テトラブチルアンモニウム
パークロライド、テトラメチルアンモニウム、D−トル
エンスルホン酸クロライド、ポリジサリチル酸トリエチ
ルアミン、10−カンファースルホン酸ナトリウムなど
が、それぞれ、挙げられる。
【0067】本発明において、支持電解質の溶解濃度
は、所望の電流密度が得られるように設定すればよく、
とくに限定されないが、一般的には、0.05ないし
1.0モル/リットルの範囲内に設定される。
【0068】本発明において、電解酸化重合で用いられ
る溶媒は、とくに限定されるものではなく、たとえば、
水、プロトン性溶媒、非プロトン性溶媒またはこれらの
溶媒を2種以上を混合した混合溶媒から、適宜選択する
ことができる。混合溶媒としては、溶媒間に相溶性を有
するものならびにモノマーおよび支持電解質と相溶性を
有するものが好ましく使用できる。
【0069】本発明において使用されるプロトン性溶媒
の具体例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、メタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、tert−ブチルアルコール、メチルセロソルブ、
ジエチルアミン、エチレンジアミンなどを挙げることが
できる。
【0070】また、非プロトン性溶媒の具体例として
は、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、二硫化炭
素、アセトニトリル、アセトン、プロピレンカーボネー
ト、ニトロメタン、ニトロベンゼン、酢酸エチル、ジエ
チルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタ
ン、ジオキサン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,
N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、ジメチルスルホ
キシドなどが挙げられる。
【0071】本発明において、電解酸化重合によって、
固体高分子電解質層を形成する場合には、定電圧法、定
電流法、電位掃引法のいずれを用いてもよい。また、電
解酸化重合の過程で、定電圧法と定電流法を組み合わせ
て、導電性高分子化合物を重合することもできる。電流
密度は、とくに限定されないが、最大で、500mA/
cm2程度である。
【0072】本発明において、化学酸化重合時あるいは
電解酸化重合時に、特開2000−100665号公報
に開示されるように、超音波を照射しつつ、導電性高分
子化合物を重合することもできる。超音波を照射しつ
つ、導電性高分子化合物を重合する場合には、得られる
固体高分子電解質層の膜質を改善することが可能にな
る。
【0073】本発明において、固体高分子電解質層の最
大厚さは、エッチングなどによって形成された陽極電極
表面の凹凸を完全に埋めることができるような厚さであ
ればよく、とくに限定されないが、一般に、5ないし1
00μm程度である。
【0074】本発明において、高分子固体電解コンデン
サは、さらに、固体高分子電解質層上に、陰極として機
能する導電体層を備えており、導電体層としては、グラ
ファイトペースト層および銀ペースト層を設けることが
でき、グラファイトペースト層および銀ペースト層は、
スクリーン印刷法、スプレー塗布法などによって形成す
ることができる。 銀ペースト層のみによって、高分子
固体電解コンデンサの陰極を形成することもできるが、
グラファイトペースト層を形成する場合には、銀ペース
ト層のみによって、高分子固体電解コンデンサの陰極を
形成する場合に比して、銀のマイグレーションを防止す
ることができる。
【0075】陰極として、グラファイトペースト層およ
び銀ペースト層を形成するにあたっては、メタルマスク
などによって、粗面化処理が施され、絶縁酸化皮膜が形
成された箔状の弁金属基体に対応する部分を除いた部分
がマスクされ、粗面化処理が施され、絶縁酸化皮膜が形
成された箔状の弁金属基体に対応する部分にのみ、グラ
ファイトペースト層および銀ペースト層が形成される。
【0076】本発明において、絶縁性樹脂基板の材料
は、とくに限定されないが、樹脂として、接着性や耐溶
剤性などが良好なフェノール樹脂、ポリイミド樹脂、エ
ポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などによって形成するこ
とができる。
【0077】本発明において、素子の補強のために、絶
縁性樹脂基板上に形成される補強部材としては、樹脂な
いし接着剤をスクリーン印刷等で塗布形成したものであ
ってよく、このような樹脂(接着剤)としては、作業性
や、塗布直後の形状維持性を考慮するとチクソ性の高い
ものが望ましく、また硬化後の収縮や耐熱性を考慮する
と、エポキシ樹脂やポリエステル樹脂、ポリフェニレン
サルファイド樹脂、シリコーン樹脂が好ましい。また、
絶縁性樹脂基板やバンクなどにおいてプリプレグを用い
る場合は、プリプレグ同士の接着が可能である。
【0078】導電性接着剤は、樹脂材料として、ポリエ
ステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド
樹脂等の接着剤材料が用いられ、金、銀、銅、パラジウ
ム等の金属やカーボンなどの導電性材料を分散・混合し
たものを用いることができる。導電性接着剤の導電率は
100S・cm以上(上限は通常10000S・cm程度)で
ある。
【0079】
【実施例】以下、本発明の効果をより一層明らかなもの
とするため、実施例を掲げる。
【0080】実施例1 固体高分子電解質層を有する高分子固体電解コンデンサ
を、以下のようにして、作製した。
【0081】銅箔シートから、20mm×5mmの寸法で切
り出された厚さ60μmの銅箔と、アルミニウム箔シー
トから、20mm×8mmの寸法で切り出された粗面化処理
が施されていない厚さ70μmのアルミニウム箔を、そ
れぞれの一端部領域が3mmだけ重なり合うように、重ね
合わせ、それぞれの一端部領域が重なり合った部分を、
日本エマソン株式会社ブランソン事業本部製の40kHz
−超音波溶接機によって、接合するとともに、電気的に
接続して、銅箔と粗面化処理が施されていないアルミニ
ウム箔の接合体を形成した。
【0082】次いで、酸化アルミニウム皮膜が形成さ
れ、粗面化処理が施されている厚さ100μmのアルミ
ニウム箔シートから、20mm×13mmの寸法で、アルミ
ニウム箔を切り出し、その端部領域が、粗面化処理が施
されていないアルミニウム箔の他端部領域と3mmだけ重
なり合うように、銅箔と粗面化処理が施されていないア
ルミニウム箔の接合体に重ね合わせ、それぞれの端部領
域が重なり合った部分を、日本エマソン株式会社ブラン
ソン事業本部製の40kHz−超音波溶接機によって、接
合するとともに、電気的に接続して、銅箔、粗面化処理
が施されていないアルミニウム箔および粗面化処理が施
されているアルミニウム箔の接合体を形成した。
【0083】さらに、7%(質量百分率)の濃度で、
6.0のpHに調整されたアジピン酸アンモニウム水溶液
中に、酸化アルミニウム皮膜が形成され、粗面化処理が
施されているアルミニウム箔が完全に浸漬されるよう
に、こうして得られた接合体を、アジピン酸アンモニウ
ム水溶液中にセットした。この際、粗面化処理が施され
ていないアルミニウム箔の一部も、アジピン酸アンモニ
ウム水溶液中に浸されたが、銅箔は、アジピン酸アンモ
ニウム水溶液と接触させなかった。
【0084】接合体側を陽極とし、化成電流密度が50
ないし100mA/cm2、化成電圧が35ボルトの条件下
で、アジピン酸アンモニウム水溶液中に浸漬されている
アルミニウム箔の表面を酸化させ、酸化アルミニウム皮
膜を形成して、陽極電極を作製した。
【0085】次いで、作製された陽極電極をアジピン酸
アンモニウム水溶液から引き上げ、陽極電極の粗面化処
理が施されているアルミニウム箔の表面上に、化学酸化
重合によって、ポリピロールからなる固体高分子電解質
層を形成した。
【0086】ここに、ポリピロールからなる固体高分子
電解質層は、蒸留精製した0.1モル/リットルのピロ
ールモノマー、0.1モル/リットルのアルキルナフタ
レンスルホン酸ナトリウムおよび0.05モル/リット
ルの硫酸鉄(III)を含むエタノール水混合溶液セル中
に、粗面化処理が施され、酸化アルミニウム皮膜が形成
されたアルミニウム箔のみが浸漬されるように、陽極電
極をセットし、30分間にわたって、攪拌し、化学酸化
重合を進行させ、同じ操作を3回にわたって、繰り返し
て、生成した。その結果、最大厚さが、約50μmの固
体高分子電解質層が形成された。
【0087】さらに、こうして得られた固体高分子電解
質層の表面に、カーボンペーストを塗布し、さらに、カ
ーボンペーストの表面に、銀ペーストを塗布して、陰極
電極を形成し、高分子固体電解コンデンサを作製した。
【0088】一方、厚さ18μmの銅箔が、両面に貼り
合わされた厚さ1mmで、143mm×46mm、143mm×
31mmの各サイズを有する2枚のガラスクロス含有エポ
キシ樹脂絶縁性基板(順に、絶縁性樹脂基板No.1、
2とする。)を、以下のようにして、準備した。
【0089】いずれの絶縁性樹脂基板も、片面は全面の
銅箔を化学的にエッチングして除去した。もう一方の片
面は、絶縁性樹脂基板No.1については、銅箔の不要
部分を化学的にエッチングし、図1の所定のリード配線
パターンを形成した。絶縁性樹脂基板No.2について
は、全面の銅箔はすべて、化学的にエッチングして、除
去した。
【0090】搭載される各種電子部品のためのスルーホ
ールを、さらに、ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性
基板に形成した。
【0091】一方、2枚の基板と同じガラスクロス含有
エポキシ樹脂よりなる厚さ0.6mmの基板を、143mm
×31mmの寸法に加工し、加工した基板の周囲に幅3mm
の領域を残して、内側部分を、打ち抜き加工により、除
去して、バンク形成用基板を作製した。
【0092】さらに、2枚の基板と同じガラスクロス含
有エポキシ樹脂よりなる厚み0.1mmの2枚のエポキシ
プリプレグを、143mm×31mmの寸法に加工し、加工
した基板の周囲に幅3mmの領域を残して、内側部分を、
打ち抜き加工によって、除去した。
【0093】絶縁性樹脂基板No.1の図1の所定の位
置(リード配線パターン形成面側)に、スクリーン印刷
法を用いて、幅3mm、厚さ0.6mmとなるように、エポ
キシ樹脂を塗布し、塗布後、150℃で1時間硬化さ
せ、4箇所に補強部材を形成した。その後、補強部材が
形成された絶縁性樹脂基板No.1上の所定の位置に、
上記のプリプレグを1枚設置し、さらにその上に上記の
バンク形成用基板を設置して密着させ、真空ホットプレ
ス装置を用いて、加圧および減圧下において、40分間
にわたって、175℃に保持し、エポキシプリプレグを
硬化させて、ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板
と、内側部分が除去された基板とを固定し、凹部空間を
備えた絶縁性樹脂基板を得た。
【0094】絶縁性樹脂基板No.1のリード配線形成
面側に、高分子固体電解コンデンサをシリコーン系接着
剤を用いて固定した。また、高分子固体電解コンデンサ
の陽極電極および陰極電極は、リード配線と銀−エポキ
シ系導電性接着剤で、接続・固定した。シリコーン系接
着剤は、図4に示すように、スポット状に塗布し、スポ
ットの直径は3mm、厚さは0.1mmとし、陽極電極のと
ころに2個、陰極のところに4個形成した。導電性接着
剤の2個のスポットの直径、厚さも、これと同様とし
た。高分子固体電解コンデンサの底面積に占める接着剤
および導電性接着剤の塗布面積の割合は14%程度であ
る。このようにして、バンク部材と補強部材で囲まれた
5つの部屋にそれぞれ高分子固体電解コンデンサを同様
に設置した。
【0095】次いで、絶縁性樹脂基板No.2(凹部空
間の形成なし)を、厚さ0.1mmのもう一枚のプリプレ
グを介して、上記の絶縁性樹脂基板No.1上に重ね合
わせ固定し、一体化した。
【0096】こうして、密着された2枚の絶縁性樹脂基
板を、真空ホットプレス装置を用いて、加圧および減圧
下で、40分間にわたり、175℃に保持し、エポキシ
プリプレグを硬化させて、2枚のガラスクロス含有エポ
キシ樹脂絶縁性基板の間を固定した。
【0097】こうして作製された高分子固体電解コンデ
ンサアレーの5個のコンデンサそれぞれの電気的特性
を、アジレントテクノロジー社製インピーダンスアナラ
イザー4294Aを用いて、評価した。120Hzでの静
電容量、100kHzでのESR(等価直列抵抗)、常温
で、10ボルトの電圧を印加した際の漏れ電流(5分
値)について表1、2に示す。表1は作製直後のもので
あり、表2は125℃の恒温条件下で1000時間にわ
たって放置したものである。コンデンサのNo.は図1
に従う。
【0098】
【表1】
【0099】
【表2】
【0100】次に、絶縁性樹脂基板No.1のリード配
線パターンを図5のように変更し、同様に高分子固体電
解コンデンサアレーを作製し、5個のコンデンサを並列
に接続した状態について上記と同様に評価した。
【0101】その結果、120Hzでの静電容量は694
μFであり、100kHzでのESR(等価直列抵抗)は40
mΩであった。また、常温で、10ボルトの電圧を印加
した際の漏れ電流(5分値)は、0.6μAであった。
【0102】また、上記の高分子固体電解コンデンサア
レーのサンプルを、125℃の恒温条件下で、1000
時間にわたって、放置し、全く同様にして、電気的特性
を評価した結果は、120Hzでの静電容量が690μ
F、100kHzでのESRが45mΩであった。さらに、
常温で、10ボルトの電圧を印加した際の漏れ電流(5
分値)は、0.65μAであった。
【0103】さらに、図6に示されるように、3個のコ
ンデンサを並列に接続したパターンと2個を単独パター
ンとしたリード配線パターンに変更し、同様に高分子固
体電解コンデンサを設置した場合の電気的特性も、上記
と同様にして評価した。図6に従い、3個並列にしたも
のをNo.1、個々に設置したものをNo.2、No.
3として表3、4に示す。
【0104】
【表3】
【0105】
【表4】
【0106】このように、本発明のコンデンサアレー
は、小型で大容量化を図ることができるとともに、目的
に応じた使用が可能である。
【0107】実施例2 実施例1において、絶縁性樹脂基板1の両面にリード配
線パターンを形成し、10個の高分子固体電解コンデン
サを設置するほかは、同様にして、積層型高分子固体電
解コンデンサアレーを作製した(図7、8参照)。配線
パターンは図1に準じ、コンデンサ10個の単独設置パ
ターンとした。実施例1と同様に評価した結果を表3、
4に示す。ここで、コンデンサNo.6〜10は、N
o.1の裏面にNo.6のように、それぞれ、コンデン
サNo.1〜5の裏面に設置されたものである(図8参
照)。
【0108】
【表5】
【0109】
【表6】
【0110】
【発明の効果】本発明によれば、電子部品と筺体との隙
間等の無駄な空間スペースを効率的に使用することがで
き、実装効率の向上が図られるとともに、好ましくは内
蔵されている複数の高分子固体電解コンデンサを並列接
続、単独使用することにより、多目的に利用することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高分子固体電解コンデンサアレーの主
要部を模式的に示す概略平面図である。
【図2】本発明の高分子固体電解コンデンサアレーにお
いて、基板の接合関係を示す概略断面図である。
【図3】本発明の高分子固体電解コンデンサアレーを構
成する1個の高分子固体電解コンデンサ部分の概略斜視
図である。
【図4】本発明の高分子固体電解コンデンサアレーにお
いて、高分子固体電解コンデンサが絶縁性樹脂基板に固
定される様子を示す概略構成図である。
【図5】本発明の高分子固体電解コンデンサアレーにお
ける高分子固体電解コンデンサの配線パターンを示す概
略構成図である。
【図6】本発明の高分子固体電解コンデンサアレーにお
ける高分子固体電解コンデンサの配線パターンを示す概
略構成図である。
【図7】本発明の高分子固体電解コンデンサアレーを示
す概略断面図である。
【図8】本発明の高分子固体電解コンデンサアレーの配
線パターンの関係を示す概略構成図である。
【図9】本発明の高分子固体電解コンデンサアレーの使
用方法を示す概略斜視図である。
【図10】本発明に用いる高分子固体電解コンデンサの
陽極電極の概略平面図である。
【図11】図10のA−A線に沿った概略断面図であ
る。
【図12】表面が粗面化された箔状のアルミニウム基体
のエッジ部に、酸化アルミニウム皮膜を形成する陽極酸
化方法を示す概略構成図である。
【図13】本発明に用いる高分子固体電解コンデンサの
概略断面図である。
【符号の説明】
1 陽極電極 2 表面が粗面化され、酸化皮膜が形成された箔状のア
ルミニウム基体 3 表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体 4 箔状の銅基体 5 溶接接合部 6 溶接接合部 7 ステンレスビーカー 8 化成溶液 9 酸化アルミニウム皮膜 10 高分子固体電解コンデンサ 11 固体高分子電解質層 12 グラファイトペースト層 13 銀ペースト層 14 陰極電極 20 高分子固体電解コンデンサアレー 21 第一の絶縁性樹脂基板 21a 差し込み部 22 第二の絶縁性樹脂基板 23 第一の絶縁性樹脂基板のバンク 24 配線パターン 24a 陰極電極用配線パターン 24b 陽極電極用配線パターン 26 補強部材 29 接着剤 32 導電性接着剤 50 コネクタソケット 60 基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 南波 憲良 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形
    成された箔状の弁金属基体の一端部近傍領域に、表面が
    粗面化されていない箔状の弁金属基体の一端部近傍領域
    が、弁金属間が電気的に接続されるように、接合され、
    前記表面が粗面化されていない箔状の弁金属基体の他端
    部近傍領域に、箔状の導電性金属基体の一端部近傍領域
    が、金属間が電気的に接続されるように、接合されて、
    構成された陽極電極を有し、 前記表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成された箔
    状の弁金属基体の絶縁性酸化皮膜の両面に、少なくと
    も、固体高分子電解質層および導電体層が、順次、形成
    された平板状の高分子固体電解コンデンサが、絶縁性樹
    脂で形成された閉空間内に複数個収納されており、前記
    複数個の高分子固体電解コンデンサが、それぞれ、前記
    閉空間内の絶縁性樹脂の前記高分子固体電解コンデンサ
    の設置面に形成された配線パターンと電気的に接続され
    ている高分子固体電解コンデンサアレー。
  2. 【請求項2】 前記複数個の高分子固体電解コンデンサ
    が収納されている閉空間が、絶縁性樹脂基板から形成さ
    れている請求項1の高分子固体電解コンデンサアレー。
  3. 【請求項3】 前記絶縁性樹脂基板が第一の絶縁性樹脂
    基板およびこれと対向して設けられた第二の絶縁性樹脂
    基板とを有し、前記複数個の高分子固体電解コンデンサ
    が、それぞれ、前記第一の絶縁性樹脂基板の一方の面に
    設置されて固定されるとともに、前記絶縁性樹脂基板の
    高分子固体電解コンデンサ設置面に形成された配線パタ
    ーンと電気的に接続されており、 さらに、前記複数個の高分子固体電解コンデンサが、前
    記絶縁性樹脂基板の一方の面と前記絶縁性樹脂基板の一
    方の面とで形成された閉空間内に収納されている請求項
    2の高分子固体電解コンデンサアレー。
  4. 【請求項4】 前記絶縁性樹脂基板が第一の絶縁性樹脂
    基板およびこれと対向して設けられた2枚の第二の絶縁
    性樹脂基板とを有し、前記複数個の高分子固体電解コン
    デンサが、それぞれ、前記絶縁性樹脂基板の両面に設置
    されて固定されるとともに、前記第一の絶縁性樹脂基板
    の高分子固体電解コンデンサ設置面に形成された配線パ
    ターンと電気的に接続されており、 さらに、前記各面のそれぞれの複数個の高分子固体電解
    コンデンサが、前記絶縁性樹脂基板の一方の面と前記第
    二の絶縁性樹脂基板の一方の面とで形成されたそれぞれ
    の閉空間内に収納されている請求項2の高分子固体電解
    コンデンサアレー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008118137A (ja) * 2006-10-31 2008-05-22 Avx Corp 薄型固体電解コンデンサアセンブリ

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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