JP2003263852A - 磁気記録装置 - Google Patents

磁気記録装置

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JP2003263852A
JP2003263852A JP2002067073A JP2002067073A JP2003263852A JP 2003263852 A JP2003263852 A JP 2003263852A JP 2002067073 A JP2002067073 A JP 2002067073A JP 2002067073 A JP2002067073 A JP 2002067073A JP 2003263852 A JP2003263852 A JP 2003263852A
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power supply
foil
solid electrolytic
roughened
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JP2002067073A
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Masaaki Kobayashi
正明 小林
Masaru Takayama
勝 高山
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Original Assignee
TDK Corp
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    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B21/00Head arrangements not specific to the method of recording or reproducing
    • G11B21/02Driving or moving of heads
    • G11B21/12Raising and lowering; Back-spacing or forward-spacing along track; Returning to starting position otherwise than during transducing operation

Abstract

(57)【要約】 【課題】 バックアップコンデンサの占有する体積を極
力少なくするか、余剰領域を有効に活用することで、更
に小型、薄型化の可能な磁気記録装置を提供する。 【解決手段】 少なくとも磁気記録媒体51と、この磁
気記録媒体51に磁気データを読み出し/書き込みを行
う磁気ヘッド41と、この磁気ヘッド41を駆動する駆
動手段とを有し、前記駆動手段は、磁気記録装置の電源
が絶たれたことを検出する電源監視手段と、この電源監
視手段により電源断が検出されたときに通常電源から非
常電源に切り替える切り替え手段と、電源断時に前記非
常電源のバックアップコンデンサから供給される電力を
使用してヘッドを所定の退避位置に退避させる制御手段
とを有し、前記バックアップコンデンサが平板状の固体
電解コンデンサであり、少なくとも磁気記録装置を構成
する筐体52に形成可能な凹部46と概ね同一な形状を
なし、かつこの凹部46の深さと同等以下の厚みを有し
て前記凹部46内に収納されている構成の磁気記録装置
とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヘッドにより情報
の記録再生を行う磁気記録装置に関し、特に電源遮断時
にヘッドを所定の退避箇所にリトラクトさせる磁気記録
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録装置、すなわちヘッドにより情
報の記録再生を行う、例えば磁気ディスク装置では、デ
ィスクの回転により与えられるヘッドの浮力を利用して
ヘッドをディスク上に僅かに浮上させて用いるコンタク
ト・スタート・ストップ方式(CSS方式)を適用する
のが主流となっている。
【0003】このCSS方式では、ディスクの回転開始
時や停止時等に、ヘッドがディスク上を直接摺動して、
ディスク上のデータエリアに損傷を与える可能性があ
る。
【0004】そこでCSS方式では、ディスクが回転停
止状態にある期間、ヘッドはディスク上の記録領域とは
異なる箇所、例えば記録領域の内周側に確保された専用
の退避領域(CSSエリア)に置かれる。そして装置へ
の電源が供給された場合、あるいは駆動用のスピンドル
モータ(SPM)の回転がホストシステムより指示され
た場合には、ヘッドをCSSエリアに退避させたままス
ピンドルモータを定常速度まで立ち上げ、ヘッドがディ
スクから浮上した後、ヘッドを記録領域に移動させる。
一方、ヘッドが記録領域に位置している状態でホストシ
ステムからスピンドルモータの停止指示が与えられる
と、ヘッドをCSSエリアにリトラクトし、その後、ス
ピンドルモータの停止処理を行う。
【0005】ヘッドの移動は、VCM駆動回路(VCM
ドライバ)からボイスコイルモータに駆動電流(VCM
電流)を供給し、ボイスコイルモータ(VCM)により
キャリッジを駆動することで行われる。
【0006】しかし、装置の使用中に突然電源の供給が
断たれた場合、装置への電源の供給が断たれていること
から、VCMドライバは動作不能となり、ボイスコイル
モータに駆動電流を供給することができない。このた
め、スピンドルモータが停止する前にヘッドをCSSエ
リアにリトラクトすることができず、ヘッドクラッシュ
の原因となる可能性がある。
【0007】そこで、CSS方式を適用する近年の磁気
ディスク装置では、装置の動作中に装置の電源からバッ
クアップコンデンサに電荷を蓄積し、電源遮断時にはこ
のバックアップコンデンサからボイスコイルモータにV
CM電流を供給することで電源遮断時のヘッドのリトラ
クトを実現している。
【0008】しかし、このようなバックアップコンデン
サは、ボイスコイルモータに退避のために十分なVCM
電流を供給する必要があるため、大容量を必要とする。
このような大容量のコンデンサは、例えば通常電解コン
デンサが用いられているが、立体的なブロック形状であ
り、しかも外形寸法が大きい。一方、セラミックコンデ
ンサは小型、薄型化に対応できるが、数100μFもの
大容量化には不向きであり、一定容量を得るには複数個
を並列接続する必要があり、実装上不利である。このた
め、磁気記録装置を小型化、薄型化する上で大きな障害
となっていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、装置
の有効空間内においてバックアップコンデンサの占有す
る体積を極力少なくし、かつ磁気記録装置の本体(筐
体)に凹部を形成して、この凹部により形成された領域
を有効に活用することで、更に小型、薄型化の可能な磁
気記録装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、上記目的は以
下の本発明の構成により達成される。 (1) 少なくとも磁気記録媒体と、この磁気記録媒体
に磁気データを読み出し/書き込みを行う磁気ヘッド
と、この磁気ヘッドを駆動する駆動手段とを有し、前記
駆動手段は、磁気記録装置の電源が絶たれたことを検出
する電源監視手段と、この電源監視手段により電源断が
検出されたときに通常電源から非常電源に切り替える切
り替え手段と、電源断時に前記非常電源のバックアップ
コンデンサから供給される電力を使用してヘッドを所定
の退避位置に退避させる制御手段とを有し、前記バック
アップコンデンサが平板状の固体電解コンデンサであ
り、少なくとも磁気記録装置を構成する筐体に形成可能
な凹部と概ね同一な形状をなし、かつこの凹部の深さと
同等以下の厚みを有して前記凹部内に収納されている磁
気記録装置。 (2) 前記固体電解コンデンサは、表面が粗面化さ
れ、絶縁性酸化皮膜が形成された弁金属基体の両面に、
少なくとも固体高分子電解質層および導電体層が、順
次、形成されている高分子固体電解コンデンサである上
記(1)の磁気記録装置。 (3) 前記固体電解コンデンサは、表面が粗面化さ
れ、絶縁性酸化皮膜が形成された弁金属基体の一端部近
傍領域に、表面が粗面化されていない弁金属基体の一端
部近傍領域が電気的に接続されるように接合され、この
表面が粗面化されていない弁金属基体の他端部近傍領域
に、導電性金属基体の一端部近傍領域が電気的に接続さ
れるように接合されて陽極電極となっている上記(1)
または(2)の磁気記録装置。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の磁気記録装置は、少なく
とも磁気記録媒体と、この磁気記録媒体に磁気データを
読み出し/書き込みを行う磁気ヘッドと、この磁気ヘッ
ドを駆動する駆動手段とを有し、前記駆動手段は、磁気
記録装置の電源が絶たれたことを検出する電源監視手段
と、この電源監視手段により電源断が検出されたときに
通常電源から非常電源に切り替える切り替え手段と、電
源断時に前記非常電源のバックアップコンデンサから供
給される電力を使用してヘッドを所定の退避位置に退避
させる制御手段とを有し、前記バックアップコンデンサ
が平板状の固体電解コンデンサであり、少なくとも磁気
記録装置を構成する筐体に形成可能な凹部と概ね同一な
形状をなし、かつこの凹部の深さと同等以下の厚みを有
して前記凹部内に収納されているものである。
【0012】このように固体電解コンデンサを非常用電
源のバックアップコンデンサとして用いることにより、
制御用プリント基板上のバックアップ用コンデンサの占
める占有体積を減少させることができ、しかも平板型コ
ンデンサであるため、装置の余剰領域に形成された凹部
に効果的に配置することも可能となり、磁気記録装置の
小型、薄型化を図ることができる。しかも、コンデンサ
自体は薄型でも十分な容量が確保できるので、ヘッドの
CSSエリアへの退避動作に支障が生じることもない。
【0013】磁気記録装置本体筐体に形成可能な凹部分
は、磁気記録媒体の駆動装置であるスピンドルモータ
や、磁気ヘッドの駆動機構や、これら駆動系と磁気記録
装置全体を統括して制御する回路のプリント基板とを接
続する電気配線の設置位置を避け、かつ筐体の強度を損
なわないような位置、形状に形成しなくてはならない。
【0014】したがって、凹形状はバックアップコンデ
ンサの形状を優先して、これに合わせて作製することが
できなくなる。このため形成可能な凹部形状は、通常不
定形となり、凹部分の深さは好ましくは1〜2mm程度で
ある。
【0015】一般に、コンデンサの静電容量は一定の耐
電圧のもとで、電極面積に比例する。バックアップコン
デンサの静電容量が凹部分の形状とほぼ同一形状になる
ようにすれば、効率的に最大限の静電容量を得ることが
できる。
【0016】本発明では、電解コンデンサとして用いる
陽極電極は、箔状の弁金属基体、例えばアルミニウム電
極を使用することができる。このアルミニウム電極は箔
状であることから任意の形状に切断・打ち抜き加工をす
ることが容易である。したがって任意の形状に形成され
た凹部分であっても、対応することが可能となる。
【0017】図3、4に示すように、磁気記録装置全体
を統括して制御する制御回路が形成されたプリント基板
71は、スピンドルモータ53の凸部分より低くなるよ
うに設置する。なお、図3,4は本発明装置の概略透過
側面図である。
【0018】凹部分の形状とほぼ同一形状に形成された
固体電解コンデンサは、その部品厚みが、凹部分の深さ
と同等以下であれば、磁気記録装置全体を統括して制御
する回路のプリント基板を押し上げることがなく、磁気
記録装置の薄型化を図ることができる。
【0019】本発明では、電解コンデンサとして用いる
陽極電極を、銅等のハンダ付可能な金属と、拡面化され
ていないアルミニウム電極といった弁金属箔を溶接等の
手投により一体化し、この拡面化されていないアルミニ
ウム箔と、拡面化されかつ、絶縁性酸化皮膜を形成され
たアルミニウム電極箔を一体化した3電極構造とする。
【0020】拡面化されかつ、絶縁性酸化皮膜が形成さ
れたアルミニウム電極箔(陽極電極)上の両面に、固体
高分子電解質層および導電体層を順次形成し、コンデン
サ素子となし、樹脂モールドや、樹脂基板の貼り合わせ
により、外装処理を行った後に、磁気記録装置全体を統
括して制御する制御回路が形成されたプリント基板71
と電気的に接続し、一体化させる。この結果、このコン
デンサを磁気記録装置内部、好ましくは筐体に形成され
た凹部内に収納することができる。
【0021】本発明における固体電解コンデンサは、表
面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成された弁金属基
体と、前記箔状の弁金属基体に、少なくとも、絶縁性酸
化皮膜、固体高分子電解質層および導電体層が、順次、
形成され、前記弁金属基体の一端部近傍領域に、表面が
粗面化されていない弁金属基体の一端部近傍領域が電気
的に接続されるように接合され、その他端部近傍領域
に、導電性金属基体の一端部近傍領域が電気的に接続さ
れるように接合されて陽極電極となっているものであ
る。
【0022】前記固体電解コンデンサは、磁気記録装置
の内部、好ましくは筐体に形成された凹部内に内蔵、収
納されている。
【0023】このコンデンサを磁気記録装置内部、好ま
しくは筐体に形成された凹部内に内蔵させることによ
り、磁気記録装置を薄型かつコンパクトにすることがで
きる。すなわち、従来の大型でブロック状の大容量コン
デンサを、平板状のコンデンサとし、これを磁気記録装
置の適当な位置、好ましくは筐体に形成された凹部内に
内蔵することで、従来バックアップコンデンサが占めて
いた空間が大幅に削減できるか不要となり、磁気記録装
置の小型、薄型化を図ることができる。
【0024】また、用いる固体電解コンデンサは、通常
の電解コンデンサに比べてインピーダンスが低く、高周
波特性に優れているため電源断時の応答性も良好なもの
となる。
【0025】また、好ましくは前記固体電解コンデンサ
は、表面が粗面化されていない弁金属基体に複数の弁金
属基体が接続されている。
【0026】このように、複数の弁金属基体、好ましく
は複数の表面が粗面化されていない弁金属基体を、1つ
のコンデンサユニット内に配置させ、これらを並列接続
させることで、薄型かつコンパクトで大容量のコンデン
サを提供することができる。
【0027】図6は、本発明の好ましい実施態様にかか
る固体電解コンデンサの陽極電極の概略断面図であり、
図7はその平面図であり、そのA−A断面矢視図が図6
に相当する。
【0028】本実施態様においては、絶縁酸化皮膜形成
能を有する弁金属として、アルミニウムが用いられ、図
6および図7に示されるように、本実施態様にかかる固
体電解コンデンサの陽極電極1は、表面が粗面化(拡面
化)され、表面に、絶縁酸化皮膜である酸化アルミニウ
ム皮膜が形成された箔状のアルミニウム基体2と、表面
が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体3と、リ
ード電極を構成する金属導体として、箔状の銅基体4を
備えている。
【0029】図6および図7に示されるように、本実施
態様にかかる陽極電極は、表面が粗面化され、表面に、
酸化アルミニウム皮膜が形成された箔状のアルミニウム
基体2の一端部領域に、表面が粗面化されていない箔状
のアルミニウム基体3の一端部領域が、超音波溶接によ
って、弁金属間が電気的に接続されるように、接合され
ている。さらに、前記表面が粗面化されていない箔状の
アルミニウム基体3の他端部領域には、箔状の銅基体4
の一端部領域が、超音波溶接によって、金属間が電気的
に接続されるように、接合されて、形成されている。
【0030】陽極電極の形成にあたっては、まず、所定
寸法に切断されたリード電極を構成すべき箔状の銅基体
4と、アルミニウム箔シートから、所定寸法に切り出さ
れ、表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体
3が、それぞれ、所定面積の端部領域が互いに重なり合
うように、重ね合わされる。
【0031】次いで、互いに重ね合わされている箔状の
銅基体4の端部領域と、箔状のアルミニウム基体3の端
部領域とが、超音波溶接によって、接合されて、溶接接
合部5が形成される。箔状のアルミニウム基体3の表面
に、酸化アルミニウム皮膜が形成されている場合でも、
超音波溶接によって、接合することによって、酸化アル
ミニウム皮膜が除去され、金属間が電気的に接続される
ように、箔状の銅基体4の端部領域と、箔状のアルミニ
ウム基体3の端部領域とが接合される。ここに、互いに
重なり合う箔状の銅基体4の端部領域および箔状のアル
ミニウム基体3の端部領域の面積は、接合部が、所定の
強度を有するように決定される。
【0032】その後、表面が粗面化され、表面に酸化ア
ルミニウム皮膜が形成されている所定寸法の箔状のアル
ミニウム基体2が、アルミニウム箔シートから切り出さ
れ、箔状の銅基体4と箔状のアルミニウム基体3の接合
体の表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体
3と、それぞれ、所定面積の端部領域が互いに重なり合
うように重ね合わされる。
【0033】次いで、互いに重ね合わされている表面が
粗面化され、表面に酸化アルミニウム皮膜が形成された
箔状のアルミニウム基体2の端部領域と、表面が粗面化
されていない箔状のアルミニウム基体3の端部領域と
が、超音波溶接によって、接合されて、溶接接合部6が
生成される。ここに、超音波溶接によって、接合するこ
とにより、箔状のアルミニウム基体2の表面に形成され
ている酸化アルミニウム皮膜が除去され、アルミニウム
純金属間が電気的に接続されるように、表面が粗面化さ
れていない箔状のアルミニウム基体3の端部領域と、表
面が粗面化されている箔状のアルミニウム基体2の端部
領域とが接合される。ここに、互いに重なり合う箔状の
アルミニウム基体3の端部領域および箔状のアルミニウ
ム基体2の端部領域の面積は、接合部が、所定の強度を
有するように決定される。
【0034】本発明では、好ましくは少なくとも前記表
面が粗面化されていない弁金属基体に、複数の弁金属基
体が接続されている構成とするとよい。すなわち、図8
に示すように、前記表面が粗面化されていないアルミニ
ウム(弁金属)基体3に複数の、図示例では2つのアル
ミニウム(弁金属)基体2が接続されている。また、こ
の酸化アルミニウム皮膜が形成されたアルミニウム基体
2は、前記表面が粗面化されていないアルミニウム(弁
金属)基体3を丁度挟むようにして、上下に配置されて
いる。
【0035】このように、アルミニウム(弁金属)基体
2が2倍になり、コンデンサとしての有効面積も2倍に
なるので、さらに高容量のコンデンサを得ることができ
る。その他の構成は、図6,7と同様であり、同一構成
要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0036】図9は、本発明の他の実施態様を示した、
固体電解コンデンサの陽極電極の概略断面図である。こ
の例では、2枚の表面が粗面化されていない箔状のアル
ミニウム基体3が、リード電極を構成する金属導体であ
る箔状の銅基体4に、これを挟み込むようにして接続さ
れている。また、表面が粗面化されていないアルミニウ
ム(弁金属)基体3には、図6同様に、2つのアルミニ
ウム(弁金属)基体2が接続されている。このとき、箔
状の銅基体4には、表面が粗面化されていない箔状のア
ルミニウム基体3が2枚、アルミニウム(弁金属)基体
2が4枚接続されることになる。また、表面が粗面化さ
れていない箔状のアルミニウム基体3は、図示例のよう
に、その先に接続されるアルミニウム(弁金属)基体2
同士が干渉しないようにある程度変形させてもよい。
【0037】このように、アルミニウム(弁金属)基体
2が4倍になり、コンデンサとしての有効面積も4倍に
なるので、さらに高容量のコンデンサを得ることができ
る。その他の構成は、図6,7と同様であり、同一構成
要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0038】なお、上記例では、複数の粗面化されてい
ない箔状のアルミニウム基体3、アルミニウム(弁金
属)基体2が、それぞれ箔状の銅基体4、複数の粗面化
されていない箔状のアルミニウム基体3の両面に接続さ
れている状態を例示したが、一方の面にそれぞれが接触
・干渉しないように取り付け部分を屈曲させて接続して
もよいし、一方の面あるいは両面にそのように接続する
ことで、2枚以上を接続するようにしてもよい。この場
合でも、好ましい取り付け枚数は3枚程度である。
【0039】また、各弁金属基体2は、粗面化されてい
ない箔状のアルミニウム基体3、銅基体4を介して電気
的に接続されるため、それぞれの弁金属基体で形成され
るコンデンササブユニットは、電気的、等価回路的に並
列接続された状態となり、見かけ上高容量のコンデンサ
として機能する。しかも、積層コンデンサが並列接続さ
れているため、インピーダンスの上昇もなく、高周波特
性も良好になる。
【0040】複数のアルミニウム(弁金属)基体2同士
は、相互に干渉しない程度に離間されていることが好ま
しい。この場合、2つのアルミニウム(弁金属)基体2
の離間距離は好ましくは50〜200μm 、特に80〜
150μm 程度である。
【0041】図10は、固体電解コンデンサの略断面図
である。なお、この図では、構造の理解を容易にするた
めに弁金属基体2は1枚のみ記載されているが、図8,
9に示すように複数枚存在してもよい。
【0042】図10に示されるように、固体電解コンデ
ンサ10は、陽極電極1の表面が粗面化され、酸化アル
ミニウム皮膜9が形成されている箔状のアルミニウム基
体2の全表面上に、固体高分子電解質層11、グラファ
イトペースト層12および銀ペースト層13からなる陰
極電極14を備えている。
【0043】導電性高分子化合物を含む固体高分子電解
質層11は、陽極電極1の表面が粗面化され、酸化アル
ミニウム皮膜が形成されている箔状のアルミニウム基体
2の全表面上に、化学酸化重合あるいは電解酸化重合に
よって形成され、グラファイトペースト層12および銀
ペースト層13は、固体高分子電解質層11上に、スク
リーン印刷法、スプレー塗布法、あるいはディッピング
法によって形成される。
【0044】こうして形成された固体電解コンデンサ1
0は、適当な保護部材に収納された後、磁気記録装置内
に収納、配置される。保護部材に収納するためには、例
えばコンデンサ素子をインジェクションモールド等とい
った手法で外装すればよい。特に、固体電解コンデンサ
を一対の絶縁性樹脂基板の間に固定して、特願2001
−95055号に記載されているような手法により、基
板に内蔵させ、固体電解コンデンサ内蔵素子とするとよ
い。
【0045】図11は、磁気記録装置に好ましく用いら
れる固体電解コンデンサ内蔵基板の分解斜視図、図12
は、図11のB−B’略断面矢視図の一例を示したもの
である。
【0046】図11,12に示されるように、固体電解
コンデンサ内蔵基板20は、互いに対向する第1の絶縁
性樹脂基板21と第2の絶縁性樹脂基板22を備え、第
1の絶縁性樹脂基板21と第2の絶縁性樹脂基板22と
の間に、固体電解コンデンサ10を備えている。
【0047】第1の絶縁性樹脂基板21、第2の絶縁性
樹脂基板22と、スペーサ23は磁気記録装置本体筐体
に形成された凹部分の形状に対応するように、基板形状
を決め、加工する。図11には凹部分に対応した形状に
加工した一例を示した。
【0048】第1の絶縁性樹脂基板21には、互いに対
向する2つの側部に沿って、その高さが、固体電解コン
デンサ10の厚さよりも大きいバンク、つまりスペーサ
23が形成されており、固体電解コンデンサ10は、ス
ペーサ23の間の第1の絶縁性樹脂基板21の一面上の
所定の位置に位置決めされ、接着剤29によって固定さ
れる。
【0049】本実施態様においては、スペーサ23は、
第1の絶縁性樹脂基板21および第2の絶縁性樹脂基板
22と同じ材質の基板を、その周縁部に、所定面積の部
分が残されるように打ち抜き加工して、枠状の基板を形
成し、第1の絶縁性樹脂基板21および第2の絶縁性樹
脂基板22と同じ材質の接着剤を用いて、枠状の基板を
第1の絶縁性樹脂基板に固定することによって、形成さ
れている。
【0050】第1の絶縁性樹脂基板21の他面には、第
1の絶縁性樹脂基板21には、スルーホール25a,2
5bが形成されている。
【0051】固体電解コンデンサ10が、第1の絶縁性
樹脂基板21上の所定の位置に位置決めされて、接着剤
29によって、第1の絶縁性樹脂基板21上に固定され
ると、第1の絶縁性樹脂基板21に形成されたスペーサ
23に当接するように、平板状の第2の絶縁性樹脂基板
22が被せられ、第1および第2の絶縁性樹脂基板と同
一材質の接着材を用いて第1および第2の絶縁性樹脂基
板とが接着され、固定される。
【0052】第1の絶縁性樹脂基板21は、それぞれ、
固体電解コンデンサ10の陽極電極1の箔状の銅基体4
に対応する位置に、スルーホール25aを備えており、
スルーホール25bを介して、固体電解コンデンサ10
の陰極電極14を目視によって、確認することができる
ように構成されている。
【0053】スルーホール25aを介して、固体電解コ
ンデンサ10の陽極電極1が、第1の絶縁性樹脂基板2
1に形成された配線パターン24aと、電気的に接続さ
れ、固体電解コンデンサ10の陰極電極14が、スルー
ホール25bを介して第1の絶縁性樹脂基板21に形成
された配線パターン24bと、電気的に接続される。
【0054】図12においては、第1の絶縁性樹脂基板
21に形成された配線パターン24aと、固体電解コン
デンサ10の陽極電極1を構成する箔状の銅基体4と
が、スルーホール25aを介して、ハンダ31によっ
て、電気的に接続され、その一方で、第1の絶縁性樹脂
基板21に形成された配線パターン24bと、固体電解
コンデンサ10の陰極電極14が、スルーホール25b
に充填された導電性樹脂32によって、電気的に接続さ
れた例が示されている。配線パターン24a、24b
は、磁気記録装置の全体を統括して制御する制御回路が
形成されたプリント基板71の所定のコンデンサ接続部
(図示せず)とハンダで電気的に接続される。
【0055】このように、本発明によれば、高容量の固
体電解コンデンサを外装すると共に、電源監視手段、制
御手段等、上述したアンロード系の回路を形成したプリ
ント基板の所定の接続位置に電気的に接続する。このた
め、収納空間を大幅に減少させることができ、磁気記録
装置を小型、薄型にできる。
【0056】本発明の固体電解質コンデンサは、表面が
粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成された複数の弁金属
基体の一端部近傍領域に、表面が粗面化されていない弁
金属基体の一端部近傍領域が電気的に接続されるように
接合され、表面が粗面化されていない弁金属基体、好ま
しくは複数の弁金属基体の他端部近傍領域に、さらに、
導電性金属基体の一端部近傍領域が電気的に接続される
ように接合されて、陽極電極が構成されている。
【0057】このため、陽極酸化により、表面が粗面化
された弁金属基体の絶縁性酸化皮膜が形成されていない
エッジ部分に絶縁性酸化皮膜を形成しても、化成溶液
は、表面が粗面化された弁金属基体の一端部近傍領域
と、表面が粗面化されていない弁金属基体の一端部近傍
領域との接合部を越えて、導電性金属基体に達すること
がない。したがって、表面が粗面化された弁金属基体の
一端部近傍領域と、表面が粗面化されていない弁金属基
体の一端部近傍領域との接合部に、絶縁性酸化皮膜が形
成された時点で、電流は流れなくなって、陽極酸化が完
了する。
【0058】このため、表面が粗面化された箔状の弁金
属基体のエッジ部分に、所望のように、絶縁性酸化皮膜
を形成することができる。さらに、固体電解コンデンサ
を回路基板に内蔵させた後に、表面が粗面化されていな
い箔状の弁金属基体の表面に、経時的に、絶縁性酸化皮
膜が形成されても、導電性金属に、回路基板に搭載され
る他の電子部品とのコンタクトを設けることによって、
所望のインピーダンス特性を有する固体電解コンデンサ
を、外装処理させることが可能になる。
【0059】また、表面が粗面化されていない前記弁金
属基体に、絶縁性かつ疎水性の表面領域を形成してもよ
い。
【0060】このように、弁金属基体に、絶縁性かつ疎
水性の表面領域を形成することで、陽極酸化の際に、化
成溶液が、電子部品とのコンタクトを形成する箔状の導
電性金属基体に達することを、より一層確実に防止する
ことができる。また、化学酸化重合によって、固体高分
子電解質層を形成する際に、原料モノマー溶液や酸化剤
溶液が、電子部品とのコンタクトを形成する箔状の導電
性金属基体に達することを確実に防止することが可能に
なる。
【0061】本発明において、弁金属基体は、絶縁酸化
皮膜形成能を有する金属およびその合金よりなる群から
選ばれる金属または合金によって形成される。好ましい
弁金属としては、アルミニウム、タンタル、チタン、ニ
オブおよびジルコニウムよりなる群から選ばれる1種の
金属または2種以上の金属の合金が挙げられ、これらの
中でも、アルミニウムおよびタンタルが、とくに好まし
い。陽極電極は、通常、これらの金属あるいは合金を、
箔状に加工して、形成される。また、磁気記録装置本体
の筐体に形成された凹部の形状に沿って加工される。
【0062】本発明において、導電性金属の材料は、導
電性を有する金属または合金であればよく、とくに限定
されるものではないが、好ましくは、ハンダ接続が可能
であり、とくに、銅、真鍮、ニッケル、亜鉛およびクロ
ムよりなる群から選ばれる1種の金属または2種以上の
金属の合金から選択されることが好ましく、これらの中
では、電気的特性、後工程での加工性、コストなどの観
点から、銅が最も好ましく使用される。
【0063】導電性金属の厚みとしては、所定の強度
と、導電性を確保できる厚みであればよい。具体的には
0.02〜0.2mm、特に0.05〜0.1mm程度であ
る。
【0064】こうして、形成された陽極電極1は、誘電
体を構成する表面が粗面化され、表面に酸化アルミニウ
ム皮膜が形成された箔状のアルミニウム基体2が、アル
ミニウム箔シートから切り出されたものであるため、そ
のエッジ部には、酸化アルミニウム皮膜が形成されては
おらず、固体電解コンデンサの陽極電極として用いるた
めには、表面が粗面化されている箔状のアルミニウム基
体2のエッジ部に、陽極酸化によって、酸化アルミニウ
ム皮膜を形成することが必要である。
【0065】図13は、表面が粗面化されている箔状の
アルミニウム基体2のエッジ部に、酸化アルミニウム皮
膜を形成する陽極酸化方法を示す略断面図である。
【0066】図13に示されるように、ステンレスビー
カー7中に収容されたアジピン酸アンモニウム水溶液よ
りなる化成溶液8中に、表面が粗面化された箔状のアル
ミニウム基体2の全体と、表面が粗面化されていない箔
状のアルミニウム基体3の一部が浸漬されるように、陽
極電極1がセットされ、箔状の銅基体4がプラスに、ス
テンレスビーカー7がマイナスになるように、電圧が印
加される。
【0067】使用電圧は、形成すべき酸化アルミニウム
皮膜の膜厚に応じて、適宜決定することができ、10nm
〜1μmの膜厚を有する酸化アルミニウム皮膜を形成す
るときは、通常、数ボルト〜20ボルト程度に設定され
る。
【0068】その結果、陽極酸化が開始され、化成溶液
8は、箔状のアルミニウム基体2の表面が粗面化されて
いるため、毛細管現象によって、上昇するが、箔状のア
ルミニウム基体3の表面は粗面化されていないため、表
面が粗面化されている箔状のアルミニウム基体2と、表
面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体3の接
合部を越えて、上昇することはなく、したがって、リー
ド電極を構成する箔状の銅基体4に化成溶液8が接触す
ることが確実に防止され、エッジ部を含む表面が粗面化
されている箔状のアルミニウム基体2の全表面および表
面が粗面化されている箔状のアルミニウム基体2に接合
された表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基
体3の領域のみに、酸化アルミニウム皮膜が形成され
る。
【0069】こうして、生成された陽極電極1の表面が
粗面化され、酸化アルミニウム皮膜が形成されている箔
状のアルミニウム基体2の全表面上に、公知の方法で、
陰極電極が形成され、固体電解コンデンサが生成され
る。
【0070】本発明において、固体高分子電解質層は、
導電性高分子化合物を含有し、好ましくは、化学酸化重
合あるいは電解酸化重合によって、表面が粗面化され、
絶縁性酸化皮膜が形成された箔状の弁金属基体上に、形
成される。
【0071】化学酸化重合によって、固体高分子電解質
層を形成する場合、具体的には、固体高分子電解質層
は、たとえば、以下のようにして、表面が粗面化され、
絶縁性酸化皮膜が形成された箔状の弁金属基体上に、形
成される。
【0072】まず、表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜
が形成された箔状の弁金属基体上のみに、0.001な
いし2.0モル/リットルの酸化剤を含む溶液、あるい
は、さらに、ドーパント種を与える化合物を添加した溶
液を、塗布、噴霧などの方法によって、均一に付着させ
る。
【0073】次いで、好ましくは、少なくとも0.01
モル/リットルの導電性高分子化合物の原料モノマーを
含む溶液あるいは導電性高分子化合物の原料モノマー自
体を、箔状の弁金属基体の表面に形成された絶縁性酸化
皮膜に、直接接触させる。これによって、原料モノマー
が重合し、導電性高分子化合物が合成され、箔状の弁金
属基体の表面に形成された絶縁性酸化皮膜上に、導電性
高分子化合物よりなる固体高分子電解質層が形成され
る。
【0074】本発明において、固体高分子電解質層に含
まれる導電性高分子化合物としては、置換または非置換
のπ共役系複素環式化合物、共役系芳香族化合物および
ヘテロ原子含有共役系芳香族化合物よりなる群から選ば
れる化合物を、原料モノマーとするものが好ましく、こ
れらのうちでは、置換または非置換のπ共役系複素環式
化合物を、原料モノマーとする導電性高分子化合物が好
ましく、さらに、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチ
オフェン、ポリフランおよびこれらの誘導体よりなる群
から選ばれる導電性高分子化合物、とくに、ポリアニリ
ン、ポリピロール、ポリエチレンジオキシチオフェンが
好ましく使用される。
【0075】本発明において、固体高分子電解質層に好
ましく使用される導電性高分子化合物の原料モノマーの
具体例としては、未置換アニリン、アルキルアニリン
類、アルコキシアニリン類、ハロアニリン類、o−フェ
ニレンジアミン類、2,6−ジアルキルアニリン類、
2,5−ジアルコキシアニリン類、4,4’−ジアミノ
ジフェニルエーテル、ピロール、3−メチルピロール、
3−エチルピロール、3−プロピルピロール、チオフェ
ン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、
3,4−エチレンジオキシチオフェンなどを挙げること
ができる。
【0076】本発明において、化学酸化重合に使用され
る酸化剤は、とくに限定されるものではないが、たとえ
ば、ヨウ素、臭素、ヨウ化臭素などのハロゲン化物、五
フッ化珪素、五フッ化アンチモン、四フッ化珪素、五塩
化リン、五フッ化リン、塩化アルミニウム、塩化モリブ
デンなどの金属ハロゲン化物、硫酸、硝酸、フルオロ硫
酸、トリフルオロメタン硫酸、クロロ硫酸などのプロト
ン酸、三酸化イオウ、二酸化窒素などの酸素化合物、過
硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム
などの過硫酸塩、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、
過酢酸、ジフルオロスルホニルパーオキサイドなどの過
酸化物が、酸化剤として使用される。
【0077】本発明において、必要に応じて、酸化剤に
添加されるドーパント種を与える化合物としては、たと
えば、LiPF6 、LiAsF6 、NaPF6 、KPF
6 、KAsF6 などの陰イオンがヘキサフロロリンアニ
オン、ヘキサフロロ砒素アニオンであり、陽イオンがリ
チウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属カチ
オンである塩、LiBF4 、NaBF4 、NH4BF
4 、(CH34NBF4、(n−C494NBF4 など
の四フッ過ホウ素塩化合物、p−トルエンスルホン酸、
p−エチルベンゼンスルホン酸、P−ヒドロキシベンゼ
ンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、メチルス
ルホン酸、ドデシルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、
βーナフタレンスルホン酸などのスルホン酸またはその
誘導体、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、2,
6−ナフタレンジスルホン酸ナトリウム、トルエンスル
ホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸テトラブチルア
ンモニウムなどのスルホン酸またはその誘導体の塩、塩
化第二鉄、臭化第二鉄、塩化第二銅、集荷第二銅などの
金属ハロゲン化物、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、硫
酸、リン酸、硝酸あるいはこれらのアルカリ金属塩、ア
ルカリ土類金属塩もしくはアンモニウム塩、過塩素酸、
過塩素酸ナトリウムなどの過ハロゲン酸もしくはその塩
などのハロゲン化水素酸、無機酸またはその塩、酢酸、
シュウ酸、蟻酸、酪酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、フ
タル酸、マレイン酸、安息香酸、サリチル酸、ニコチン
酸などのモノもしくはジカルボン酸、芳香族複素環式カ
ルボン酸、トリフルオロ酢酸などのハロゲン化されたカ
ルボン酸およびこれらの塩などのカルボン酸類を挙げる
ことができる。
【0078】本発明において、これらの酸化剤およびド
ーパント種を与えることのできる化合物は、水や有機溶
媒などに溶解させた適当な溶液の形で使用される。溶媒
は、単独で使用しても、2種以上を混合して、使用して
もよい。混合溶媒は、ドーパント種を与える化合物の溶
解度を高める上でも有効である。混合溶媒としては、溶
媒間に相溶性を有するものおよび酸化剤およびドーパン
ト種を与えることのできる化合物と相溶性を有するもの
が好ましい。溶媒の具体例としては、有機アミド類、含
硫化合物、エステル類、アルコール類が挙げられる。
【0079】一方、電解酸化重合によって、固体高分子
電解質層を、表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成
された弁金属基体上に形成する場合には、公知のよう
に、導電性下地層を作用極として、対向電極とともに、
導電性高分子化合物の原料モノマーと支持電解質を含ん
だ電解液中に浸漬し、電流を供給することによって、固
体高分子電解質層が形成される。
【0080】具体的には、表面が粗面化され、絶縁性酸
化皮膜が形成された箔状の弁金属基体上に、好ましく
は、化学酸化重合によって、まず、薄層の導電性下地層
が形成される。導電性下地層の厚さは、一定の重合条件
のもとで、重合回数を制御することによって、制御され
る。重合回数は、原料モノマーの種類によって決定され
る。
【0081】導電性下地層は、金属、導電性を有する金
属酸化物、導電性高分子化合物のいずれから構成しても
よいが、導電性高分子化合物から構成することが好まし
い。導電性下地層を構成するための原料モノマーとして
は、化学酸化重合に用いられる原料モノマーを用いるこ
とができ、導電性下地層に含まれる導電性高分子化合物
は、化学酸化重合によって形成される固体高分子電解質
層に含まれる導電性高分子化合物と同様である。
【0082】導電性下地層を構成するための原料モノマ
ーとして、エチレンジオキシチオフェン、ピロールを用
いる場合は、化学酸化重合のみで高分子固体電解質層を
形成する場合に生成される導電性高分子の全量の10%
〜30%(質量比)程度の導電性高分子が生成する条件
になるように重合回数を換算して、導電性下地層が形成
すればよい。
【0083】その後、導電性下地層を作用極として、対
向電極とともに、導電性高分子化合物の原料モノマーと
支持電解質を含んだ電解液中に浸漬し、電流を供給する
ことによって、導電性下地層上に、固体高分子電解質層
が形成される。
【0084】電解液には、必要に応じて、導電性高分子
化合物の原料モノマーおよび支持電解質に加えて、種々
の添加剤を添加することができる。
【0085】固体高分子電解質層に使用することのでき
る導電性高分子化合物は、導電性下地層に使用される導
電性高分子化合物、したがって、化学酸化重合に用いら
れる導電性高分子化合物と同様であり、置換または非置
換のπ共役系複素環式化合物、共役系芳香族化合物およ
びヘテロ原子含有共役系芳香族化合物よりなる群から選
ばれる化合物を、原料モノマーとする導電性高分子化合
物が好ましく、これらのうちでは、置換または非置換の
π共役系複素環式化合物を、原料モノマーとする導電性
高分子化合物が好ましく、さらに、ポリアニリン、ポリ
ピロール、ポリチオフェン、ポリフランおよびこれらの
誘導体よりなる群から選ばれる導電性高分子化合物、と
くに、ポリアニリン、ポリピロール、ポリエチレンジオ
キシチオフェンが好ましく使用される。
【0086】支持電解質は、組み合わせるモノマーおよ
び溶媒に応じて、選択されるが、支持電解質の具体例と
しては、たとえば、塩基性の化合物としては、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸
ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが、酸性の化合物
としては、硫酸、塩酸、硝酸、臭化水素、過塩素酸、ト
リフルオロ酢酸、スルホン酸などが、塩としては、塩化
ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化カリウム、塩化カ
リウム、硝酸カリウム、過ヨウ酸ナトリウム、過塩素酸
ナトリウム、過塩素酸リチウム、ヨウ化アンモニウム、
塩化アンモニウム、四フッ化ホウ素塩化合物、テトラメ
チルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウ
ムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、
テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルア
ンモニウムパークロライド、テトラブチルアンモニウム
パークロライド、テトラメチルアンモニウム、D−トル
エンスルホン酸クロライド、ポリジサリチル酸トリエチ
ルアミン、10−カンファースルホン酸ナトリウムなど
が、それぞれ、挙げられる。
【0087】本発明において、支持電解質の溶解濃度
は、所望の電流密度が得られるように設定すればよく、
とくに限定されないが、一般的には、0.05ないし
1.0モル/リットルの範囲内に設定される。
【0088】本発明において、電解酸化重合で用いられ
る溶媒は、とくに限定されるものではなく、たとえば、
水、プロトン性溶媒、非プロトン性溶媒またはこれらの
溶媒を2種以上を混合した混合溶媒から、適宜選択する
ことができる。混合溶媒としては、溶媒間に相溶性を有
するものならびにモノマーおよび支持電解質と相溶性を
有するものが好ましく使用できる。
【0089】本発明において使用されるプロトン性溶媒
の具体例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、メタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、tert−ブチルアルコール、メチルセロソルブ、
ジエチルアミン、エチレンジアミンなどを挙げることが
できる。
【0090】また、非プロトン性溶媒の具体例として
は、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、二硫化炭
素、アセトニトリル、アセトン、プロピレンカーボネー
ト、ニトロメタン、ニトロベンゼン、酢酸エチル、ジエ
チルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタ
ン、ジオキサン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,
N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、ジメチルスルホ
キシドなどが挙げられる。
【0091】本発明において、電解酸化重合によって、
固体高分子電解質層を形成する場合には、定電圧法、定
電流法、電位掃引法のいずれを用いてもよい。また、電
解酸化重合の過程で、定電圧法と定電流法を組み合わせ
て、導電性高分子化合物を重合することもできる。電流
密度は、とくに限定されないが、最大で、500mA/cm
2 程度である。
【0092】本発明において、化学酸化重合時あるいは
電解酸化重合時に、特開2000−100665号公報
に開示されるように、超音波を照射しつつ、導電性高分
子化合物を重合することもできる。超音波を照射しつ
つ、導電性高分子化合物を重合する場合には、得られる
固体高分子電解質層の膜質を改善することが可能にな
る。
【0093】本発明において、固体高分子電解質層の最
大厚さは、エッチングなどによって形成された陽極電極
表面の凹凸を完全に埋めることができるような厚さであ
ればよく、とくに限定されないが、一般に、5〜100
μm 程度である。
【0094】本発明において、固体電解コンデンサは、
さらに、固体高分子電解質層上に、陰極として機能する
導電体層を備えており、導電体層としては、グラファイ
トペースト層および銀ペースト層を設けることができ、
グラファイトペースト層および銀ペースト層は、スクリ
ーン印刷法、スプレー塗布法、ディッピング法などによ
って形成することができる。銀ペースト層のみによっ
て、固体電解コンデンサの陰極を形成することもできる
が、グラファイトペースト層を形成する場合には、銀ペ
ースト層のみによって、固体電解コンデンサの陰極を形
成する場合に比して、銀のマイグレーションを防止する
ことができる。
【0095】陰極として、グラファイトペースト層およ
び銀ペースト層を形成するにあたっては、メタルマスク
などによって、粗面化処理が施され、絶縁酸化皮膜が形
成された箔状の弁金属基体に対応する部分を除いた部分
がマスクされ、粗面化処理が施され、絶縁酸化皮膜が形
成された箔状の弁金属基体に対応する部分にのみ、グラ
ファイトペースト層および銀ペースト層が形成される。
【0096】本発明において、固体電解コンデンサは、
好ましくは一方の面に、少なくとも1つの配線パターン
が形成された1つの絶縁性樹脂基板の他方の面側に固定
され、あるいは、それぞれ、一方の面に、少なくとも1
つの配線パターンが形成された互いに対向する一対の絶
縁性樹脂基板の他方の面の間に固定される。
【0097】本発明において、絶縁性樹脂基板の材料
は、とくに限定されないが、樹脂として、接着性や耐溶
剤性などが良好なフェノール樹脂、ポリイミド樹脂、エ
ポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などによって形成するこ
とができる。
【0098】本発明において、固体電解コンデンサは、
磁気記録装置の筐体に形成された凹部内に収納、配置さ
れる。好ましくは前記固体電解コンデンサは、少なくと
も前記磁気記録媒体を駆動する駆動装置の周囲に形成さ
れている凹部か、磁気ヘッド駆動部材の周囲に形成され
ている凹部内に配置されている。
【0099】以下、図を参照しつつ、本発明の磁気記録
装置についてより具体的に説明する。
【0100】図1、2は、本発明の好ましい実施態様で
あるハードディスク装置50の平面図および底面図であ
る。また、図3は図1,2の概略透過側面図に相当す
る。図中、ディスク51は、ベース(筐体)52に配設
されたスピンドルモータ53のハブ54に一体的に保持
され、スピンドルモータ53により回転駆動される。H
Gアッセンブリ41は、コイルサポート部55と一体的
に形成され、筐体52に植立する回動軸56によって回
動自在に保持されている。
【0101】このコイルサポート部55は、回動軸56
に対してHGアッセンブリ41と反対側においてコイル
58を保持している。このコイル58は、筐体52に固
定された上側マグネット保持板57にコイル58の上側
で固定されたマグネット(図示せず)と共にボイスコイ
ルモータ(VCM)を構成し、HGアッセンブリ41を
矢印A、又は矢印B方向に回動する。
【0102】なお、上側マグネット保持板57は、図1
においては、その上側主要部が便宜上切り欠いて図示さ
れており、その外形が破線で示されている。また、コイ
ル58の下側にもVCMを構成するマグネットをコイル
58に対接する位置に保持するための下側マグネット保
持板(図示せず)が配設されている。
【0103】HGアッセンブリ41の先端部にはスライ
ダ42が保持され、このスライダ42の所定位置には信
号読出し用と書込み用の各ヘッドが配設されている。H
Gアッセンブリ41が矢印A方向に回動して回転中のハ
ードディスク51の記録面上に移動したとき、スライダ
42がディスク51の記録面上を飛行して、ヘッドが所
定の間隔を保って記録面と対向するように構成されてい
る。
【0104】筐体52に配置されたランプ59は、HG
アッセンブリ41がアンロードしてホームポジションに
あるとき、HGアッセンブリ41の先端部のタブ43を
載置する。
【0105】また上記の説明では、簡単のためにディス
ク51が一枚構成で、片面記録のものを想定して説明し
たが、両面記録のときは各記録面を走査するヘッドを保
持するHGアッセンブリをもう1つ用意し、図1のHG
アッセンブリ41と所定の間隔をおいて重なる位置でコ
イルサポート部55に固定する。
【0106】さらに複数枚のハードディスクを両面記録
する場合には、ハブ54によってスピンドルモータ53
の回転軸方向に所定の間隔で複数枚のハードディスクを
一体的に保持する。そして、それぞれ各記録面を走査す
るヘッドを保持するHGアッセンブリを記録面の数だけ
用意し、図1のHGアッセンブリ41と所定の間隔をお
いて重なる位置でコイルサポート部55に固定するが、
これらのような態様にすること自体は何れも公知技術の
ため、詳細な説明は省略する。
【0107】このような構成のハードディスク装置にお
いて、本発明の固体電解コンデンサ45は磁気記録装置
本体の筐体52に形成された凹部46内に収納される。
また、前記磁気記録ヘッド、及びその駆動系や、磁気デ
ィスク基板、スピンドルモータは、磁気記録装置本体の
筐体52に装着される。
【0108】磁気記録装置本体筐体52は、通常アルミ
ニウム合金といった軽量化が可能でしかもある程度の強
度を有する材質が用いられ、ダイキャスト製法等によ
り、所定の形状に加工される。
【0109】図4に示すように、磁気記録媒体の駆動装
置であるスピンドルモータや、磁気ヘッドの駆動機構
や、これら駆動系と磁気記録装置全体を統括して制御す
る回路のプリント基板71とを接続する電気配線の設置
位置を避け、かつ筐体の強度を損なわないように磁気記
録装置本体筐体52に凹部46を筐体作製時に形成する
とよい。
【0110】本発明の固体電解コンデンサ45は、この
凹部46に収納される。好ましくは、凹部46の形状と
ほぼ同一形状に形成し、その部品厚みが、凹部46の深
さと同等以下となるようにするとよい。
【0111】本発明の固体電解コンデンサ45は、前記
磁気記録ヘッド及び、磁気ディスク基板が磁気記録装置
本体筐体52に実装されている実装面とは反対側に装着
されることになる。この表面には、電源監視手段、制御
手段、通常電源手段、非常電源手段(アンロード系回
路)を形成したプリント基板が実装され、本発明の固体
電解コンデンサは前記プリント基板のアンロード系回路
に電気的に接続される。
【0112】このような筐体に形成された凹部に固体電
解コンデンサを配置することにより、装置内のスペース
を有効に活用することができると共に、コンデンサを配
置するためのスペースを新たに用意することがないか、
僅かにすることができ、磁気記録装置の小型化、薄型化
に寄与することができる。しかも、固体電解質コンデン
サは、平面形状を比較的自由に設計することができるの
で、凹部内領域の形状に即した形にすることができ、筐
体の占める領域を有効に活用することができる。
【0113】本発明の固体電解コンデンサは、上記のよ
うな磁気記録装置において、主電源断時の補助電源とし
て用いられることが好ましい。
【0114】図5は本発明の磁気記録装置の電源断時の
バックアップ回路部分を含む駆動手段を示すブロック図
である。図において、電源ラインVCCは切替手段10
2を介して、制御手段103およびVCMドライバ10
4が接続されている。つまり、通常状態では電源ライン
VCCから制御手段103およびVCMドライバ104
に電源を供給する。また、切替手段102には、バック
アップコンデンサC1が接続され、通常状態において、
電源ラインVCCと接続されて充電されるようになって
いる。
【0115】切替手段102はトランジスタ、FET等
の半導体で構成され、通常状態(主電源の投入状態)に
おいては電源ラインVCCがそのまま制御手段103お
よびVCMドライバ104と接続され(ON状態)、電
源遮断時に(OFF状態)には、主電源VCC側が切り
離され、バックアップコンデンサC1側にのみ接続され
るようになっている。なお、電源ラインVCCには、制
御手段103およびVCMドライバ104等のアンロー
ド制御回路系以外の回路、例えばSPMドライバ、ヘッ
ドアンプ回路、リード/ライト回路などの他の回路等が
接続されている。
【0116】バックアップコンデンサC1は、通常状態
では電源ラインVCC側に接続され、電源電圧により電
荷が蓄積される。このコンデンサC1は、アンロード制
御回路系に対してのみの補助電源として機能する。
【0117】また、電源監視手段101も電源ラインV
CCと接続され、電源ラインVCCの電圧を監視し、電
源断などの異常状態を検出できるようになっている。電
圧監視手段は、トランジスタ、FET、ツェナーダイオ
ード等の半導体を組み合わせたり、OPアンプ、コンパ
レータ等を用いた公知の電圧監視回路を用いてもよい
し、市販の電源監視用ICを用いてもよい。また、A/
Dコンバータ等と制御手段とを組み合わせて電源監視手
段としてもよい。
【0118】制御手段103は、VCMドライバ104
等のアンロード系の制御を行う。制御手段はCPUを用
いた公知の制御装置を用いて構成することができる。ま
た、VCMドライバ104は、制御手段103からの指
示に従いVCMを駆動する。
【0119】次に、この装置の電源切り替え動作につい
て説明する。まず、装置の主電源が投入されている通常
状態では、電源ラインVCCから切替手段102を介し
て装置内の各回路に電源電圧が印加される。ここで主電
源が遮断されると、電源監視手段101により検出さ
れ、電源監視手段101は、切替手段102により主電
源VCC側を遮断し、補助電源C1のみをアンロード系
の電源に接続する。また、電源断状態は、制御手段10
3に伝達され、制御手段103は、補助電源C1により
ヘッドをCSSエリアに退避させるようにVCMドライ
バ104を制御し、VCMドライバ104は、補助電源
C1によりVCMを駆動してヘッドをCSSエリアに退
避させる。
【0120】このような補助電源C1としては、上記の
ような制御手段103およびVCMドライバ104等の
アンロード系の電源として十分な電流を供給するだけの
容量が要求される。このため、本発明の固体電解質コン
デンサを用いることで、十分な容量を確保することがで
き、しかも省スペースにも寄与することができる。
【0121】
【実施例】以下、本発明の効果をより一層明らかなもの
とするため、実施例を掲げて説明する。
【0122】固体高分子電解質層を有する固体電解コン
デンサを、以下のようにして、作製した。
【0123】銅箔シートから、所定の寸法で切り出され
た厚さ60μmの銅箔と、アルミニウム箔シートから、
所定の寸法で切り出された粗面化処理が施されていない
厚さ60μm のアルミニウム箔を、それぞれの一端部領
域が2mmだけ重なり合うように、重ね合わせ、それぞれ
の一端部領域が重なり合った部分を、日本エマソン株式
会社ブランソン事業本部製の40kHz −超音波溶接機に
よって、接合するとともに、電気的に接続して、銅箔と
粗面化処理が施されていないアルミニウム箔の接合体を
形成した。
【0124】次いで、酸化アルミニウム皮膜が形成さ
れ、粗面化処理が施されている厚さ100μmのアルミ
ニウム箔シートから、所定の寸法で、アルミニウム箔を
切り出し、その端部領域が、粗面化処理が施されていな
いアルミニウム箔の他端部領域と2mmだけ重なり合うよ
うに、図6のように粗面化処理が施されていないアルミ
ニウム箔の接合体に重ね合わせた。このとき、弁金属基
体同士の離間距離が、100μm となるように調整し
た。次いで、それぞれの端部領域が重なり合った部分
を、日本エマソン株式会社ブランソン事業本部製の40
kHz−超音波溶接機によって、接合するとともに、電
気的に接続して、銅箔、粗面化処理が施されていないア
ルミニウム箔および粗面化処理が施されているアルミニ
ウム箔の接合体を形成した。
【0125】作製した接合体を、図7に示すように、a
=2mm、b=10mm、c=1.5mm、d=2mmの形状
に、図の斜線で示す領域を除去すべく、ハンドプレスに
より打ち抜き加工した。
【0126】さらに、7重量%の濃度で、6.0のpHに
調整されたアジピン酸アンモニウム水溶液中に、酸化ア
ルミニウム皮膜が形成され、粗面化処理が施されている
アルミニウム箔が完全に浸漬されるように、こうして得
られた接合体を、アジピン酸アンモニウム水溶液中にセ
ットした。この際、粗面化処理が施されていないアルミ
ニウム箔の一部も、アジピン酸アンモニウム水溶液中に
浸されたが、銅箔は、アジピン酸アンモニウム水溶液と
接触させなかった。
【0127】接合体側を陽極とし、化成電流密度が50
ないし100mA/cm2、化成電圧が25ボルトの条件下
で、アジピン酸アンモニウム水溶液中に浸漬されている
アルミニウム箔の表面を酸化させ、酸化アルミニウム皮
膜を形成して、陽極電極を作製した。得られた陽電極
を、図7に示すような寸法に加工し、図2の凹部領域4
6aに収納可能な形状となるように整えた。
【0128】次いで、作製された陽極電極をアジピン酸
アンモニウム水溶液から引き上げ、陽極電極の粗面化処
理が施されているアルミニウム箔の表面上に、化学酸化
重合によって、ポリピロールからなる固体高分子電解質
層を形成した。
【0129】ここに、ポリピロールからなる固体高分子
電解質層は、蒸留精製した0.1モル/リットルのピロ
ールモノマー、0.1モル/リットルのアルキルナフタ
レンスルホン酸ナトリウムおよび0.05モル/リット
ルの硫酸鉄(III)を含むエタノール水混合溶液セル中
に、粗面化処理が施され、酸化アルミニウム皮膜が形成
されたアルミニウム箔のみが浸漬されるように、陽極電
極をセットし、30分間にわたって、攪拌し、化学酸化
重合を進行させ、同じ操作を3回にわたって、繰り返し
て、生成した。その結果、最大厚さが、約50μm の固
体高分子電解質層が形成された。
【0130】さらに、こうして得られた固体高分子電解
質層の表面に、カーボンペーストを塗布し、さらに、カ
ーボンペーストの表面に、銀ペーストを塗布して、陰極
電極を形成し、固体電解コンデンサを作製した。
【0131】また、図2に示すようなm=13.5mm、
n=13.5mm、o=5.5mm、p=3.5mmの形状の
凹部46aが形成された筐体をアルミダイキャスト製法
により用意し、本発明装置の筐体とした。
【0132】一方、厚さ18μm の銅箔が、両面に貼り
合わされた厚さ0.2mmで、上記陽電極より大きめのサ
イズを有する2枚のガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁
性基板を、図2に示す凹部46aの寸法に沿うように、
図11に示すようなe=12.5mm、f=12.5mm、
g=2mm、h=4.5mmの形状に加工して、準備した。
【0133】ただし、固体電解コンデンサが固定される
べき側の基板面の銅箔はすべて、化学的にエッチングし
て、除去した。
【0134】さらに、内蔵されるべき固体電解コンデン
サの陽極電極および陰極電極に対応するガラスクロス含
有エポキシ樹脂絶縁性基板の位置に、それぞれ、スルー
ホールを形成し、スルーホールと、エッチングされた銅
箔パターン上に、無電解メッキによって、3μmのニッ
ケルメッキを施し、さらに、その上に、0.08μmの
金メッキを施した。
【0135】一方、2枚の基板と同じガラスクロス含有
エポキシ樹脂よりなる厚さ500μm の基板を、上記基
板の形状と同様の寸法に加工し、加工した基板の周囲に
幅1mmの領域を残して、内側部分を、打ち抜き加工によ
り、除去して、バンク形成用基板を作製した。
【0136】さらに、2枚の基板と同じガラスクロス含
有エポキシ樹脂よりなる厚み50μm の2枚のエポキシ
プリプレグを、上記基板と同様の形状、寸法に加工し、
加工した基板の周囲に幅1mmの領域を残して、内側部分
を、打ち抜き加工によって、除去した。
【0137】打ち抜き加工され、内側部分が除去された
バンク形成用基板と、ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶
縁性基板の一方の銅箔が除去された表面とを、上述のよ
うに加工された厚さ50μmのエポキシプリプレグの一
方を介して、密着させ、真空ホットプレス装置を用い
て、加圧および減圧下において、40分間にわたって、
175℃に保持し、エポキシプリプレグを硬化させて、
ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板と、内側部分
が除去された基板とを固定し、凹部空間を備えた絶縁性
基板を得た。
【0138】2枚のガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁
性基板の他方の銅箔が除去された表面に、固体電解コン
デンサの陽極電極および陰極電極が、絶縁性基板に形成
されたスルーホールに対応する位置に位置するように、
シリコーン系接着剤を用いて、固体電解コンデンサを固
定した。
【0139】次いで、固体電解コンデンサが固定された
ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板上に、一方の
面に、凹部空間が形成されたガラスクロス含有エポキシ
樹脂絶縁性基板を、上述のように加工された厚さ50μ
mの他方のエポキシプリプレグを介して、固体電解コン
デンサが、凹部空間内に収容されるように、重ね合わ
せ、密着させた。
【0140】こうして、密着された2枚の絶縁性基板
を、真空ホットプレス装置を用いて、加圧および減圧下
で、40分間にわたり、175℃に保持し、エポキシプ
リプレグを硬化させて、2枚のガラスクロス含有エポキ
シ樹脂絶縁性基板の間を固定した。
【0141】ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板
の冷却後、ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板の
それぞれに形成されたスルーホールを介して、ガラスク
ロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板の表面に形成されてい
る配線パターン24と、内蔵化された固体電解コンデン
サの陽極電極の銅箔よりなるリード電極および陰極電極
とを、ハンダおよび導電性接着剤によって、電気的に接
続して、固体電解コンデンサを得た。
【0142】得られた固体電解コンデンサを、電源監視
回路、アンロード系の回路、VCMドライバを構成する
ための回路素子が実装されたプリント基板とハンダ付け
にて電気的に接続した。
【0143】こうして作製されたプリント基板内の固体
電解コンデンサの電気的特性を、アジレントテクノロジ
ー社製インピーダンスアナライザー4294Aを用い
て、評価した。
【0144】その結果、120Hzでの静電容量は98
μFであり、100kHzでのESRは25mΩであっ
た。また、常温で、10ボルトの電圧を印加した際の漏
れ電流(5分値)は、0.09μAであった。得られた
静電容量値は、比較サンプルと略等しいものであった。
【0145】また、外装処理された固体電解コンデンサ
全体の厚みが約1.1mmであり、筐体に形成された凹部
深さが1.5mmであり、制御回路のプリント基板と干渉
したりこれを押し上げるようなことがなく、容易に筐体
の領域内に収納できた。また、制御基板と合わせてもス
ピンドルモータ54の高さより低くなり、装置内に効果
的二収納できることがわかった。
【0146】次いで、図1に示すようなハードディスク
装置の発明サンプルを動作させたところ、電源断時にも
CSSエリアへの退避動作が問題なく行えることが確認
できた。
【0147】以上のように、ハードディスク装置に外装
処理された単一または複数の固体電解コンデンサを収納
することにより、ハードディスク構成部品、例えば筐体
の占める空間スペースを効率的に使用することができ
る。
【0148】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、バックア
ップコンデンサの占有する体積を極力少なくするか、余
剰領域を有効に活用することで、更に小型、薄型化の可
能な磁気記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施態様であるハードディス
ク装置の平面図である。
【図2】本発明の好ましい実施態様であるハードディス
ク装置の底面図である。
【図3】本発明の好ましい実施態様であるハードディス
ク装置の概略透過側面図である。
【図4】本発明の好ましい実施態様であるハードディス
ク装置の制御基板を搭載した状態を示す概略透過側面図
である。
【図5】固体電解コンデンサをバックアップ電源とし
た、ハードディスク装置のアンロード系のブロック構成
図である。
【図6】本発明の好ましい実施態様である固体電解コン
デンサの陽極電極の概略断面図である。
【図7】本発明の好ましい実施態様である固体電解コン
デンサの陽極電極の概略平面図である。
【図8】本発明の他の好ましい実施態様である固体電解
コンデンサの陽極電極の概略断面図である。
【図9】本発明の他の好ましい実施態様である固体電解
コンデンサの陽極電極の概略断面図である。
【図10】固体電解コンデンサの略断面図である。
【図11】本発明の固体電解コンデンサ内蔵基板の基本
構成を示す分解斜視図である。
【図12】固体電解コンデンサ内蔵プリント基板の略断
面図である。
【図13】弁金属基体のエッジ部に、酸化アルミニウム
皮膜を形成する陽極酸化方法を示す略断面図である。
【符号の説明】
1 陽極電極 2 表面が粗面化され、酸化皮膜が形成された箔状の
アルミニウム基体 3 表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基
体 4 箔状の銅基体 5 溶接接合部 6 溶接接合部 7 ステンレスビーカー 8 化成溶液 9 酸化アルミニウム皮膜 10 固体電解コンデンサ 11 固体高分子電解質層 12 グラファイトペースト層 13 銀ペースト層 14 陰極電極 20 固体電解コンデンサ内蔵プリント基板 21 第1の絶縁性樹脂基板 22 第2の絶縁性樹脂基板 23 第1の絶縁性樹脂基板のバンク 24a,b 配線パターン 25a,b スルーホール 41 HGアッセンブリ 42 スライダ 45a,b,c 固体電解コンデンサ 46a,b,c 凹部 50 ハードディスク装置 51 ディスク 52 筐体 53 スピンドルモータ 54 ハブ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも磁気記録媒体と、この磁気記
    録媒体に磁気データを読み出し/書き込みを行う磁気ヘ
    ッドと、この磁気ヘッドを駆動する駆動手段とを有し、 前記駆動手段は、磁気記録装置の電源が絶たれたことを
    検出する電源監視手段と、この電源監視手段により電源
    断が検出されたときに通常電源から非常電源に切り替え
    る切り替え手段と、電源断時に前記非常電源のバックア
    ップコンデンサから供給される電力を使用してヘッドを
    所定の退避位置に退避させる制御手段とを有し、 前記バックアップコンデンサが平板状の固体電解コンデ
    ンサであり、少なくとも磁気記録装置を構成する筐体に
    形成可能な凹部と概ね同一な形状をなし、かつこの凹部
    の深さと同等以下の厚みを有して前記凹部内に収納され
    ている磁気記録装置。
  2. 【請求項2】 前記固体電解コンデンサは、表面が粗面
    化され、絶縁性酸化皮膜が形成された弁金属基体の両面
    に、少なくとも固体高分子電解質層および導電体層が、
    順次、形成されている高分子固体電解コンデンサである
    請求項1の磁気記録装置。
  3. 【請求項3】 前記固体電解コンデンサは、表面が粗面
    化され、絶縁性酸化皮膜が形成された弁金属基体の一端
    部近傍領域に、表面が粗面化されていない弁金属基体の
    一端部近傍領域が電気的に接続されるように接合され、
    この表面が粗面化されていない弁金属基体の他端部近傍
    領域に、導電性金属基体の一端部近傍領域が電気的に接
    続されるように接合されて陽極電極となっている請求項
    1または2の磁気記録装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017120676A (ja) * 2015-12-28 2017-07-06 日本電産株式会社 ベースユニット、およびディスク駆動装置
JP2019054588A (ja) * 2017-09-13 2019-04-04 株式会社バッファロー 電子機器

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