JP2003109877A - 固体電解コンデンサ - Google Patents

固体電解コンデンサ

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JP2003109877A
JP2003109877A JP2001299157A JP2001299157A JP2003109877A JP 2003109877 A JP2003109877 A JP 2003109877A JP 2001299157 A JP2001299157 A JP 2001299157A JP 2001299157 A JP2001299157 A JP 2001299157A JP 2003109877 A JP2003109877 A JP 2003109877A
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electrolytic capacitor
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JP2001299157A
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Masaaki Kobayashi
正明 小林
Noriyoshi Nanba
憲良 南波
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Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固体電解コンデンサが内蔵されたプリント基
板において、基板接着時、あるいは部品実装時に、内蔵
したコンデンサに不要な外力を与えることを抑制し、ダ
メージを受けることのない固体電解コンデンサを提供す
る。 【解決手段】 表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形
成された弁金属基体と、前記箔状の弁金属基体に、少な
くとも、絶縁性酸化皮膜、固体高分子電解質層および導
電体層が、順次、形成され、前記弁金属基体の一端部近
傍領域に、表面が粗面化されていない弁金属基体の一端
部近傍領域が電気的に接続されるように接合され、その
他端部近傍領域に、導電性金属基体の一端部近傍領域が
電気的に接続されるように接合されて陽極電極となって
いる固体電解コンデンサが、絶縁樹脂基板内部に収納さ
れた固体電解コンデンサであり、前記固体電解コンデン
サが収納されている空間内に補強部材が配置されている
構成の固体電解コンデンサとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁性樹脂に内蔵
された固体電解コンデンサに関するものであり、さらに
詳細には、表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成さ
れた箔状の弁金属基体と、この弁金属基体に、絶縁性酸
化皮膜、固体高分子電解質層および導電体層が、順次、
形成された固体電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】電解コンデンサは、絶縁性酸化皮膜形成
能力を有するアルミニウム、チタン、真鍮、ニッケル、
タンタルなどの金属、いわゆる弁金属を陽極に用い、こ
の弁金属の表面を陽極酸化して、絶縁性酸化皮膜を形成
した後、実質的に陰極として機能する電解質層を形成
し、さらに、グラファイトや銀などの導電層を陰極とし
て設けることによって形成されている。
【0003】一般に、絶縁性酸化皮膜と陰極との間の電
解質層に、電解液を利用する電解コンデンサは、シーリ
ング部分からの液漏れや、電解液の蒸発によって、その
寿命が決定されるという問題を有している。これに対
し、金属酸化物や有機化合物からなる固体電解質を用い
た固体電解コンデンサは、このような液漏れや、蒸発と
いう問題がなく、この点において好ましいものである。
【0004】固体電解コンデンサに用いられる金属酸化
物からなる代表的な固体電解質としては、二酸化マンガ
ンが挙げられる。一方、固体電解コンデンサに用いられ
る有機化合物からなる固体電解質としては、たとえば、
特開昭52−79255号公報や特開昭58−1914
14号公報に開示された7,7,8,8−テトラシアノ
キシジメタン(TCNQ)錯塩が挙げられる。
【0005】近年、電子機器の電源回路の高周波化に伴
い、使用されるコンデンサに対しても、それに対応した
性能が求められるが、二酸化マンガンあるいはTCNQ
錯塩を用いた固体電解コンデンサは、以下のような問題
を有していた。
【0006】二酸化マンガンからなる固体電解質層は、
一般に、硝酸マンガンの熱分解を繰り返すことによって
形成される。このため、熱分解の際に加えられる熱によ
って、あるいは、熱分解の際に発生するNOx ガスの酸
化作用によって、誘電体である絶縁性酸化皮膜が損傷
し、あるいは、劣化して、漏れ電流値が大きくなるな
ど、最終的に得られる固体電解コンデンサの諸特性が低
くなりやすいという問題があった。また、二酸化マンガ
ンを固体電解質として用いると、高周波領域において、
コンデンサのインピーダンスが高くなってしまうという
問題もある。
【0007】一方、TCNQ錯塩は、電導度が、1S/c
m 程度以下であるため、現在の電解コンデンサに対する
低インピーダンス化の要求に対して、十分に応えること
ができないという問題を有していた。さらに、TCNQ
錯塩は、絶縁性酸化皮膜との密着性が低く、また、ハン
ダ固定時の熱的安定性や経時的な熱的安定性が低いなど
の理由から、TCNQ錯塩を固体電解質として用いた固
体電解コンデンサは、十分な信頼性が得られないという
ことが指摘されている。加えて、TCNQ錯塩は高価で
あり、TCNQ錯塩を固体電解質として用いた固体電解
コンデンサはコストが高いという問題も有していた。
【0008】二酸化マンガンあるいはTCNQ錯塩を、
固体電解質として用いる場合のこれらの問題点を解消
し、より優れた特性を有する固体電解コンデンサを得る
ため、製造コストが比較的低く、また、絶縁性酸化皮膜
との付着性が比較的良好で、熱的な安定性にも優れた高
導電性の高分子化合物を固体電解質として利用すること
が提案されている。
【0009】たとえば、特許第2725553号には、
陽極表面の絶縁性酸化皮膜上に、化学酸化重合によっ
て、ポリアニリンを形成した固体電解コンデンサが開示
されている。
【0010】しかし、化学酸化重合法のみによっては、
陽極表面の絶縁性酸化皮膜上に、強度の高い導電性高分
子膜を形成することは困難である。また、陽極表面の絶
縁性酸化皮膜が電気導体であるため、電解重合法によ
り、陽極表面の絶縁性酸化皮膜上に、直接、電解重合膜
を形成することは不可能か、きわめて困難である。この
ため、特公平8−31400号公報では、絶縁性酸化皮
膜上に、金属あるいは二酸化マンガンの薄膜を形成し、
金属あるいは二酸化マンガンの薄膜上に、ポリピロー
ル、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフランなどの
導電性高分子膜を電解重合法によって形成した固体電解
コンデンサが提案されている。
【0011】さらに、特公平4−74853号公報に
は、絶縁性酸化皮膜上に、化学酸化重合によって、ポリ
ピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフラン
などの導電性高分子膜を形成した固体電解コンデンサが
開示されている。
【0012】一方、電子機器の小型化、薄型化の要求に
より、電子部品には、より一層の小型化、高性能化が要
求され、回路基板には、薄層化、多層化による高機能化
が要求されている。ことに、ICカードの厚みは、1mm
以下、携帯型パーソナルコンピュータの厚みは、20mm
以下と、きわめて薄くなりつつある。従って、これらに
搭載される電子部品や、電子部品を実装した配線基板に
も、数mmないし数百ミクロンの厚みで形成することが要
求されるようになっている。
【0013】しかしながら、上述した固体電解コンデン
サは、いずれも、単体の部品として製造され、配線基板
に、ハンダ層を介して、実装されるものであり、電子部
品を十分に高集積化、高密度化することができないとい
う問題があった。
【0014】そこで、特開平2−54510号公報およ
び特許第2950587号では、固体電解コンデンサ
を、配線基板の抵抗機能や導電パターンと同様に、あら
かじめ、基板と一体的に形成し、複数の固体電解コンデ
ンサが1枚の基板上に形成された回路基板によって、電
子部品の高密度化、回路基板の薄型化を図ることが提案
されている。
【0015】すなわち、特開平2−54510号公報
は、絶縁性樹脂基板上に、電気導体および絶縁性酸化皮
膜形成能を有するアルミニウム箔などの箔状の弁金属基
体のパターンを形成し、この弁金属基体のパターンの表
面の1箇所あるいは数箇所に、絶縁性酸化皮膜層、複素
環式化合物の導電性ポリマー層および導電体層を、順次
形成して、固体電解コンデンサ内蔵基板を作製する方法
を開示するとともに、絶縁性樹脂基板の両面に、電気導
体および絶縁性酸化皮膜形成能を有する弁金属基体のパ
ターンを形成し、この弁金属基体のパターンの表面の1
箇所あるいは数箇所に、絶縁性酸化皮膜層、複素環式化
合物の導電性ポリマー層および導電体層を、順次形成し
て、固体電解コンデンサ内蔵基板を作製した後、固体電
解コンデンサ内蔵基板を積層して、多層構造とした固体
電解コンデンサ内蔵基板を開示している。特開平2−5
4510号公報によれば、導電性高分子を用いた固体電
解コンデンサを、回路基板の抵抗体層や導電パターンと
同様に、あらかじめ、基板と一体的に形成しておくこと
によって、個々のコンデンサを回路基板上に実装する必
要がなく、電子部品の高密度化が実現されるとともに、
ノイズの低減など、電気的特性をも向上させることがで
きるとされている。
【0016】一方、特許第2950587号は、板状の
陽極体、すなわち、板状の弁金属基体の両面に、誘電体
層、電解質層および導電体層を、順次形成し、各導電体
層を介して、陰極端子を設けて、コンデンサ素子を形成
し、こうして形成したコンデンサ素子の両面に、所望の
配線パターンを備えたプリント基板を、樹脂層を介し
て、接合して、作製した固体電解コンデンサを開示して
いる。特許第2950587号によれば、機械的に脆弱
な固体電解質であっても、両面に配置されるプリント基
板によって保護されるから、信頼性の高い固体電解コン
デンサを得ることが可能になり、また、プリント基板
に、あらかじめ、所望の配線パターンを形成しておくこ
とにより、他の電子部品を、プリント基板に容易に実装
することが可能になるとされている。
【0017】上記固体電解コンデンサは、基板に搭載さ
れるべき他の電子部品と接続するためのリード電極を、
陽極となる絶縁性酸化皮膜形成能を有する弁金属基体に
接続することが必要不可欠である。しかし、箔状の弁金
属基体に、リード電極として、単に、銅などの金属導体
を接続した場合、以下に挙げるような問題を生じてい
た。
【0018】固体電解コンデンサは、大容量の静電容量
を得るために、弁金属基体の表面積が大きくなるよう
に、箔状の弁金属基体を粗面化(拡面化)し、かつ、酸
化アルミニウムなどの絶縁性酸化皮膜を形成したアルミ
ニウムなどの弁金属の箔状シートから所望のサイズの箔
状の弁金属基体を切り出し、粗面化された箔状の弁金属
の絶縁性酸化皮膜上に、陰極となる固体高分子電解質層
を形成し、さらに、陰極となる固体高分子電解質層上
に、カーボンペースト層および銀ペースト層など導電体
層を設け、陰極のリード電極を形成することによって構
成されており、陽極のリード電極を形成するためには、
粗面化された箔状の弁金属基体の表面に形成された絶縁
性酸化皮膜を除去して、銅などの金属導体が、弁金属基
体に、金属間が電気的に接続されて、接合されるよう
に、超音波溶接、コールド・ウェルディング(冷間圧
接)などによって、接続することが必要である。こうし
てリード電極を形成し箔状の弁金属基体は、弁金属のシ
ートから切り出されているため、弁金属基体のエッジ部
分には、絶縁性酸化皮膜が形成されていない。弁金属基
体のエッジ部分に、絶縁性酸化皮膜を形成しないと、弁
金属基体の金属部分が、固体高分子電解質層と接触し、
短絡状態となり、固体電解コンデンサとして機能しなく
なる。このため、陽極酸化によって、箔状の弁金属基体
のエッジ部分に絶縁性酸化皮膜を形成することが必要不
可欠になる。
【0019】通常、シートから切り出された弁金属基体
は、超音波溶接、コールド・ウェルディング(冷間圧
接)などにより、銅などの金属導体を接合して陽極体と
し、これをステンレスビーカーなどの導電性容器に収容
されたアジピン酸アンモニウムなどの化成溶液に浸し
て、銅などの金属導体をプラス極に接続するとともに、
導電性容器をマイナス極に接続して、陽極酸化処理を行
う。この際、金属導体が化成溶液に接触すると、電流が
流れ続け、その結果として、金属導体が腐食され、弁金
属基体のエッジ部分に絶縁性酸化皮膜を形成することが
困難になるという問題があった。一方、表面に粗面化処
理を施した箔状の弁金属基体のみを、化成溶液に浸し
て、陽極酸化をしようとすると、弁金属基体の表面に粗
面化処理が施されているため、化成溶液が毛細管現象に
よって金属導体に達し、同様に、電流が流れ続け、金属
導体が腐食され、弁金属基体のエッジ部分に絶縁性酸化
皮膜を形成することが困難になるという問題があった。
【0020】このような問題は、金属導体を弁金属基体
に接合する前に、弁金属基体の絶縁性酸化皮膜が形成さ
れていないエッジ部分に電極を設け、陽極酸化処理を施
し、弁金属基体のエッジ部分に絶縁性酸化皮膜を形成す
ることにより、理論的には解消することが可能である。
ところが、一般に、アルミニウムなどの弁金属基体の箔
状シートの厚みは、高々数100ミクロンのオーダーで
あり、弁金属基体の絶縁性酸化皮膜が形成されていない
エッジ部分に電極を設け、陽極酸化処理を施すことは、
きわめて困難であり、回路基板に内蔵するのに適した固
体電解コンデンサを得ることが極めて困難であるという
問題があった。
【0021】このような問題に対し、本発明者は、特願
2001−95055号において、新規な構造の固体電
解コンデンサを提案している。すなわち、表面が粗面化
され、絶縁性酸化皮膜が形成された弁金属基体の一端部
近傍領域に、表面が粗面化されていない弁金属基体の一
端部近傍領域を電気的に接続されるように接合し、前記
弁金属基体の他端部近傍領域に、導電性金属基体の一端
部近傍領域を電気的に接続されるように接合して、固体
電解コンデンサの陽極電極を構成した。これにより、上
記問題を解消することが可能になる。
【0022】本発明者の研究によれば、上記のように構
成した陽極電極は、陽極酸化処理により、エッジ部分に
絶縁性酸化皮膜を形成する際に、化成溶液は、表面が粗
面化された弁金属基体の一端部近傍領域と、表面が粗面
化されていない弁金属基体の一端部近傍領域との接合部
を越えて、表面が粗面化されていない弁金属基体に達す
ることがない。したがって、表面が粗面化された箔状の
弁金属基体の一端部近傍領域と、表面が粗面化されてい
ない箔状の弁金属基体の一端部近傍領域との接合部に、
絶縁性酸化皮膜が形成された時点で、電流は流れなくな
り、陽極酸化が完了し、表面が粗面化された箔状の弁金
属基体のエッジ部分に、所望のように、絶縁性酸化皮膜
を形成することが可能になる。
【0023】しかしながら、こうして、陽極酸化によっ
て、表面が粗面化された箔状の弁金属基体のエッジ部分
に、絶縁性酸化皮膜を形成して得た陽極電極を備えた固
体電解コンデンサを、回路基板に内蔵させた場合、表面
が粗面化されていない箔状の弁金属基体の表面に、経時
的に、絶縁性酸化皮膜が形成されるため、回路基板に搭
載される他の電子部品とのコンタクトを、表面が粗面化
されていない箔状の弁金属基体の表面に設けたときに、
絶縁性酸化皮膜の抵抗が大きく、コンデンサのインピー
ダンス特性が悪化するという問題が発生することが見出
された。
【0024】本発明者らは、表面が粗面化され、絶縁性
酸化皮膜が形成された箔状の弁金属基体の一端部近傍領
域に、表面が粗面化されていない弁金属基体の一端部近
傍領域を電気的に接続されるように接合し、その他端部
近傍領域に、導電性金属基体の一端部近傍領域を電気的
に接続されるように接合して、固体電解コンデンサの陽
極電極を構成することによって、上記問題点を解決でき
ることを見いだした。
【0025】ところで、このような固体電気コンデンサ
を基板内に収納し、基板表面には他の実装部品を搭載し
た、固体電解コンデンサ内蔵基板を製造する際に、以下
のような問題が生じていた。
【0026】すなわち、固体電解コンデンサ内蔵基板
は、例えば図9に示すように、下地となる下部基板、つ
まり第1の絶縁性樹脂基板22と、内蔵するコンデンサ
の厚みより厚めに設定された外枠となるスペーサ23と
で形成された収納空間に、前記コンデンサ1を収納し、
その後蓋に相当する上部基板、つまり第2の絶縁性樹脂
基板22を接着して固体電解コンデンサ内蔵基板として
いる。
【0027】しかし、上部基板22は通常、下地となる
下部基板22や、スペーサー23と同様のプリプレグが
用いられ、これを圧着することで接着している。このた
め、圧着の際に固体電解コンデンサ1に余分な力が印加
され、特に表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成さ
れた弁金属基体2の表面が傷ついたり、ダメージを受け
て、固体電解質と部分的に短絡するなど電気的特性に多
大な悪影響を与えることがあった。また、基板上に部品
を実装する場合にも同様にコンデンサにダメージを与え
ることがあった。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、絶縁
性樹脂に内蔵された固体電解コンデンサにおいて、基板
接着時、あるいは部品実装時に、内蔵したコンデンサに
不要な外力を与えることを抑制し、ダメージを受けるこ
とのない固体電解コンデンサを提供することである。
【0029】
【課題を解決するための手段】すなわち上記目的は、以
下の本発明の構成により達成される。 (1) 表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成され
た弁金属基体と、この弁金属基体に、少なくとも、絶縁
性酸化皮膜、固体高分子電解質層および導電体層が、順
次、形成され、前記弁金属基体の一端部近傍領域に、表
面が粗面化されていない弁金属基体の一端部近傍領域が
電気的に接続されるように接合され、その他端部近傍領
域に、導電性金属基体の一端部近傍領域が電気的に接続
されるように接合されて陽極電極となっている固体電解
コンデンサが、絶縁性樹脂内部に収納された固体電解コ
ンデンサであり、前記固体電解コンデンサが収納されて
いる空間内に補強部材が配置されている固体電解コンデ
ンサ。 (2) 前記絶縁性樹脂は平板状の樹脂基板である上記
(1)の固体電解コンデンサ。 (3) 前記補強部材は、少なくとも高分子電解質層が
形成されている部位以外の位置に形成・配置されている
上記(1)または(2)の固体電解コンデンサ。 (4) 前記補強部材は、表面が粗面化されていない弁
金属基体と対応する位置に形成・配置されている上記
(1)〜(3)のいずれかの固体電解コンデンサ。 (5) 前記固体電解コンデンサを複数収納し、前記補
強部材が固体電解コンデンサ間に形成・配置されている
上記(1)〜(4)のいずれかの固体電解コンデンサ。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明の固体電解コンデンサは、
表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成された弁金属
基体と、前記箔状の弁金属基体に、少なくとも、絶縁性
酸化皮膜、固体高分子電解質層および導電体層が、順
次、形成され、前記弁金属基体の一端部近傍領域に、表
面が粗面化されていない弁金属基体の一端部近傍領域が
電気的に接続されるように接合され、その他端部近傍領
域に、導電性金属基体の一端部近傍領域が電気的に接続
されるように接合されて陽極電極となっている固体電解
コンデンサが、絶縁性樹脂基板内部に収納された固体電
解コンデンサであり、前記固体電解コンデンサが収納さ
れている空間内に補強部材が配置されているものであ
る。
【0031】このように、固体電解コンデンサが収納さ
れている空間内に補強部材を設けることにより、不要な
外力から固体電解コンデンサ、特に固体電解質層形成領
域を保護することができ、不良素子の発生を防止し、絶
縁性樹脂に内蔵された固体電解コンデンサの信頼性を向
上させ、歩留まりを向上させることができる。
【0032】次に、図を参照しつつ本発明の固体電解コ
ンデンサの構成について説明する。図1は本発明の固体
電解コンデンサの基本構成を示す斜視図、図2は、図1
のA−A'断面矢視図である。
【0033】図において、固体電解コンデンサは、下地
となる第1の絶縁性樹脂基板22と、内蔵するコンデン
サ1の厚みより厚めに設定された外枠となるスペーサ2
3とで形成された収納空間に、前記コンデンサ1を収納
し、その後蓋に相当する第2の絶縁性樹脂基板22を接
着して固体電解コンデンサとしている。
【0034】そして、この固体電解コンデンサ1収納空
間内に、補強部材26が形成・配置されている。
【0035】補強部材は、固体電解コンデンサ1収納空
間内で、このような構造物を形成しうるくん間を有する
部位であれば、いずれの場所でも形成・配置することが
できる。しかしながら、上述のように、表面が粗面化さ
れ、絶縁性酸化皮膜が形成された弁金属基体2とその上
に形成された固体電解質層は、外力によるダメージを受
けやすい為、その部分、つまり固体電解質層形成領域は
避けるべきである。つまり、固体電解質形成領域と接
触、干渉するような位置には、補強部材を形成しないこ
とが必要である。
【0036】この場合、前記固体電解質形成領域を避け
た部分、例えば表面が粗面化されていない弁金属基体3
と対応する位置、例えばその上や、導電性金属基体4
上、あるいは導電性金属基体4に接続されたリード線を
有する領域などに形成することができる。また、その他
の余剰領域に形成してもよい。中でも、図示例のよう
に、表面が粗面化されていない弁金属基体3上に形成す
るとよい。図から明らかなように、この部分が最もコン
デンサ上の上部空間が大きく、補強部材を強固に形成す
ることができる。
【0037】ここで、補強部材の幅は0.5〜5mm程
度、厚みは0.1〜2mm程度である。
【0038】補強部材に用いる材料は、所定の強度と絶
縁性を有し、コンデンサに悪影響を及ぼす出ガスなどを
生じない物質であれば特に限定されるものではない。例
えば、基板21,22やスペーサ23と同様なプリプレ
グを用いてもよいし、樹脂製接着剤を用いてもよい。接
着剤を用いる場合、作業性や塗布直後の形状維持性を考
慮するとチクソ性の高いものが好ましく、また硬化後の
収縮や、耐熱性を考慮すると、エポキシ樹脂やポリエス
テル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、シリコン
樹脂等が好ましい。
【0039】また、補強部材に基板材料と同様のプリプ
レグを用いる場合には、基板に補強部材を接着する作業
が必要である。
【0040】固体電解コンデンサ1収納空間内におい
て、固体電解コンデンサ1の補強部材が配置されていな
い部分と、上部基板、つまり第2の絶縁性樹脂基板22
との間に、クリアランスを設けることが好ましい。この
場合、両者の間隙は、通常0.05〜1mm程度である。
【0041】本発明ではさらに、例えば図3に示すよう
に、固体電解コンデンサ1を複数収納した基板にも適用
することができる。ここで、図3は、本発明の他の態様
を示した概略平面図である。
【0042】図において、固体電解コンデンサは、固体
電解コンデンサ1を、概ね同一平面上に所定間隔で複数
収納し、補強部材26が固体電解コンデンサ1間の間隙
に形成・配置されている。なお、図において、上部基
板、つまり第2の絶縁性樹脂基板は省略している。その
他の構成は、図1,2と同様であり、同一構成要素には
同一符号を付して説明を省略する。このように、固体電
解コンデンサを複数収納する場合には、各コンデンサ間
の間の余剰空間に補強部材を形成・配置してもよい。
【0043】本発明の固体電解質コンデンサは、表面が
粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成された弁金属基体の
一端部近傍領域に、表面が粗面化されていない弁金属基
体の一端部近傍領域が電気的に接続されるように接合さ
れ、表面が粗面化されていない弁金属基体の他端部近傍
領域に、さらに、導電性金属基体の一端部近傍領域が電
気的に接続されるように接合されて、陽極電極が構成さ
れている。このため、陽極酸化により、表面が粗面化さ
れた弁金属基体の絶縁性酸化皮膜が形成されていないエ
ッジ部分に絶縁性酸化皮膜を形成しても、化成溶液は、
表面が粗面化された弁金属基体の一端部近傍領域と、表
面が粗面化されていない弁金属基体の一端部近傍領域と
の接合部を越えて、導電性金属基体に達することがな
い。したがって、表面が粗面化された弁金属基体の一端
部近傍領域と、表面が粗面化されていない弁金属基体の
一端部近傍領域との接合部に、絶縁性酸化皮膜が形成さ
れた時点で、電流は流れなくなって、陽極酸化が完了す
る。このため、表面が粗面化された箔状の弁金属基体の
エッジ部分に、所望のように、絶縁性酸化皮膜を形成す
ることができる。さらに、固体電解コンデンサを回路基
板に内蔵させた後に、表面が粗面化されていない箔状の
弁金属基体の表面に、経時的に、絶縁性酸化皮膜が形成
されても、導電性金属に、回路基板に搭載される他の電
子部品とのコンタクトを設けることによって、所望のイ
ンピーダンス特性を有する固体電解コンデンサを、回路
基板に内蔵させることが可能になる。
【0044】また、表面が粗面化されていない前記弁金
属基体に、絶縁性かつ疎水性の表面領域を形成してもよ
い。
【0045】このように、弁金属基体に、絶縁性かつ疎
水性の表面領域を形成することで、陽極酸化の際に、化
成溶液が、電子部品とのコンタクトを形成する箔状の導
電性金属基体に達することを、より一層確実に防止する
ことができる。また、化学酸化重合によって、固体高分
子電解質層を形成する際に、原料モノマー溶液や酸化剤
溶液が、電子部品とのコンタクトを形成する箔状の導電
性金属基体に達することを確実に防止することが可能に
なる。
【0046】本発明において、弁金属基体は、絶縁酸化
皮膜形成能を有する金属およびその合金よりなる群から
選ばれる金属または合金によって形成される。好ましい
弁金属としては、アルミニウム、タンタル、チタン、ニ
オブおよびジルコニウムよりなる群から選ばれる1種の
金属または2種以上の金属の合金が挙げられ、これらの
中でも、アルミニウムおよびタンタルが、とくに好まし
い。陽極電極は、通常、これらの金属あるいは合金を、
箔状に加工して、形成される。
【0047】本発明において、導電性金属の材料は、導
電性を有する金属または合金であればよく、とくに限定
されるものではないが、好ましくは、ハンダ接続が可能
であり、とくに、銅、真鍮、ニッケル、亜鉛およびクロ
ムよりなる群から選ばれる1種の金属または2種以上の
金属の合金から選択されることが好ましく、これらの中
では、電気的特性、後工程での加工性、コストなどの観
点から、銅が最も好ましく使用される。
【0048】弁金属基体、導電性金属の厚みとしては、
所定の強度と、導電性を確保できる厚みであればよい。
具体的には0.03〜0.2mm、特に0.05〜0.1
mm程度である。
【0049】本発明において、固体高分子電解質層は、
導電性高分子化合物を含有し、好ましくは、化学酸化重
合あるいは電解酸化重合によって、表面が粗面化され、
絶縁性酸化皮膜が形成された箔状の弁金属基体上に、形
成される。
【0050】化学酸化重合によって、固体高分子電解質
層を形成する場合、具体的には、固体高分子電解質層
は、たとえば、以下のようにして、表面が粗面化され、
絶縁性酸化皮膜が形成された箔状の弁金属基体上に、形
成される。
【0051】まず、表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜
が形成された箔状の弁金属基体上のみに、0.001な
いし2.0モル/リットルの酸化剤を含む溶液、あるい
は、さらに、ドーパント種を与える化合物を添加した溶
液を、塗布、噴霧などの方法によって、均一に付着させ
る。
【0052】次いで、好ましくは、少なくとも0.01
モル/リットルの導電性高分子化合物の原料モノマーを
含む溶液あるいは導電性高分子化合物の原料モノマー自
体を、箔状の弁金属基体の表面に形成された絶縁性酸化
皮膜に、直接接触させる。これによって、原料モノマー
が重合し、導電性高分子化合物が合成され、箔状の弁金
属基体の表面に形成された絶縁性酸化皮膜上に、導電性
高分子化合物よりなる固体高分子電解質層が形成され
る。
【0053】本発明において、固体高分子電解質層に含
まれる導電性高分子化合物としては、置換または非置換
のπ共役系複素環式化合物、共役系芳香族化合物および
ヘテロ原子含有共役系芳香族化合物よりなる群から選ば
れる化合物を、原料モノマーとするものが好ましく、こ
れらのうちでは、置換または非置換のπ共役系複素環式
化合物を、原料モノマーとする導電性高分子化合物が好
ましく、さらに、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチ
オフェン、ポリフランおよびこれらの誘導体よりなる群
から選ばれる導電性高分子化合物、とくに、ポリアニリ
ン、ポリピロール、ポリエチレンジオキシチオフェンが
好ましく使用される。
【0054】本発明において、固体高分子電解質層に好
ましく使用される導電性高分子化合物の原料モノマーの
具体例としては、未置換アニリン、アルキルアニリン
類、アルコキシアニリン類、ハロアニリン類、o−フェ
ニレンジアミン類、2,6−ジアルキルアニリン類、
2,5−ジアルコキシアニリン類、4,4'−ジアミノ
ジフェニルエーテル、ピロール、3−メチルピロール、
3−エチルピロール、3−プロピルピロール、チオフェ
ン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、
3,4−エチレンジオキシチオフェンなどを挙げること
ができる。
【0055】本発明において、化学酸化重合に使用され
る酸化剤は、とくに限定されるものではないが、たとえ
ば、ヨウ素、臭素、ヨウ化臭素などのハロゲン化物、五
フッ化珪素、五フッ化アンチモン、四フッ化珪素、五塩
化リン、五フッ化リン、塩化アルミニウム、塩化モリブ
デンなどの金属ハロゲン化物、硫酸、硝酸、フルオロ硫
酸、トリフルオロメタン硫酸、クロロ硫酸などのプロト
ン酸、三酸化イオウ、二酸化窒素などの酸素化合物、過
硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム
などの過硫酸塩、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、
過酢酸、ジフルオロスルホニルパーオキサイドなどの過
酸化物が、酸化剤として使用される。
【0056】本発明において、必要に応じて、酸化剤に
添加されるドーパント種を与える化合物としては、たと
えば、LiPF6、LiAsF6、NaPF6、KPF6
KAsF6などの陰イオンがヘキサフロロリンアニオ
ン、ヘキサフロロ砒素アニオンであり、陽イオンがリチ
ウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属カチオ
ンである塩、LiBF4、NaBF4、NH4BF4、(C
34NBF4、(n−C494NBF4などの四フッ
過ホウ素塩化合物、p−トルエンスルホン酸、p−エチ
ルベンゼンスルホン酸、P−ヒドロキシベンゼンスルホ
ン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、メチルスルホン
酸、ドデシルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、βーナ
フタレンスルホン酸などのスルホン酸またはその誘導
体、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、2,6−
ナフタレンジスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン
酸ナトリウム、トルエンスルホン酸テトラブチルアンモ
ニウムなどのスルホン酸またはその誘導体の塩、塩化第
二鉄、臭化第二鉄、塩化第二銅、集荷第二銅などの金属
ハロゲン化物、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、リ
ン酸、硝酸あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ
土類金属塩もしくはアンモニウム塩、過塩素酸、過塩素
酸ナトリウムなどの過ハロゲン酸もしくはその塩などの
ハロゲン化水素酸、無機酸またはその塩、酢酸、シュウ
酸、蟻酸、酪酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、フタル
酸、マレイン酸、安息香酸、サリチル酸、ニコチン酸な
どのモノもしくはジカルボン酸、芳香族複素環式カルボ
ン酸、トリフルオロ酢酸などのハロゲン化されたカルボ
ン酸およびこれらの塩などのカルボン酸類を挙げること
ができる。
【0057】本発明において、これらの酸化剤およびド
ーパント種を与えることのできる化合物は、水や有機溶
媒などに溶解させた適当な溶液の形で使用される。溶媒
は、単独で使用しても、2種以上を混合して、使用して
もよい。混合溶媒は、ドーパント種を与える化合物の溶
解度を高める上でも有効である。混合溶媒としては、溶
媒間に相溶性を有するものおよび酸化剤およびドーパン
ト種を与えることのできる化合物と相溶性を有するもの
が好ましい。溶媒の具体例としては、有機アミド類、含
硫化合物、エステル類、アルコール類が挙げられる。
【0058】一方、電解酸化重合によって、固体高分子
電解質層を、表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成
された弁金属基体上に形成する場合には、公知のよう
に、導電性下地層を作用極として、対向電極とともに、
導電性高分子化合物の原料モノマーと支持電解質を含ん
だ電解液中に浸漬し、電流を供給することによって、固
体高分子電解質層が形成される。
【0059】具体的には、表面が粗面化され、絶縁性酸
化皮膜が形成された箔状の弁金属基体上に、好ましく
は、化学酸化重合によって、まず、薄層の導電性下地層
が形成される。導電性下地層の厚さは、一定の重合条件
のもとで、重合回数を制御することによって、制御され
る。重合回数は、原料モノマーの種類によって決定され
る。
【0060】導電性下地層は、金属、導電性を有する金
属酸化物、導電性高分子化合物のいずれから構成しても
よいが、導電性高分子化合物から構成することが好まし
い。導電性下地層を構成するための原料モノマーとして
は、化学酸化重合に用いられる原料モノマーを用いるこ
とができ、導電性下地層に含まれる導電性高分子化合物
は、化学酸化重合によって形成される固体高分子電解質
層に含まれる導電性高分子化合物と同様である。
【0061】導電性下地層を構成するための原料モノマ
ーとして、エチレンジオキシチオフェン、ピロールを用
いる場合は、化学酸化重合のみで高分子固体電解質層を
形成する場合に生成される導電性高分子の全量の10%
〜30%(質量比)程度の導電性高分子が生成する条件
になるように重合回数を換算して、導電性下地層が形成
すればよい。
【0062】その後、導電性下地層を作用極として、対
向電極とともに、導電性高分子化合物の原料モノマーと
支持電解質を含んだ電解液中に浸漬し、電流を供給する
ことによって、導電性下地層上に、固体高分子電解質層
が形成される。
【0063】電解液には、必要に応じて、導電性高分子
化合物の原料モノマーおよび支持電解質に加えて、種々
の添加剤を添加することができる。
【0064】固体高分子電解質層に使用することのでき
る導電性高分子化合物は、導電性下地層に使用される導
電性高分子化合物、したがって、化学酸化重合に用いら
れる導電性高分子化合物と同様であり、置換または非置
換のπ共役系複素環式化合物、共役系芳香族化合物およ
びヘテロ原子含有共役系芳香族化合物よりなる群から選
ばれる化合物を、原料モノマーとする導電性高分子化合
物が好ましく、これらのうちでは、置換または非置換の
π共役系複素環式化合物を、原料モノマーとする導電性
高分子化合物が好ましく、さらに、ポリアニリン、ポリ
ピロール、ポリチオフェン、ポリフランおよびこれらの
誘導体よりなる群から選ばれる導電性高分子化合物、と
くに、ポリアニリン、ポリピロール、ポリエチレンジオ
キシチオフェンが好ましく使用される。
【0065】支持電解質は、組み合わせるモノマーおよ
び溶媒に応じて、選択されるが、支持電解質の具体例と
しては、たとえば、塩基性の化合物としては、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸
ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが、酸性の化合物
としては、硫酸、塩酸、硝酸、臭化水素、過塩素酸、ト
リフルオロ酢酸、スルホン酸などが、塩としては、塩化
ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化カリウム、塩化カ
リウム、硝酸カリウム、過ヨウ酸ナトリウム、過塩素酸
ナトリウム、過塩素酸リチウム、ヨウ化アンモニウム、
塩化アンモニウム、四フッ化ホウ素塩化合物、テトラメ
チルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウ
ムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、
テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルア
ンモニウムパークロライド、テトラブチルアンモニウム
パークロライド、テトラメチルアンモニウム、D−トル
エンスルホン酸クロライド、ポリジサリチル酸トリエチ
ルアミン、10−カンファースルホン酸ナトリウムなど
が、それぞれ、挙げられる。
【0066】本発明において、支持電解質の溶解濃度
は、所望の電流密度が得られるように設定すればよく、
とくに限定されないが、一般的には、0.05ないし
1.0モル/リットルの範囲内に設定される。
【0067】本発明において、電解酸化重合で用いられ
る溶媒は、とくに限定されるものではなく、たとえば、
水、プロトン性溶媒、非プロトン性溶媒またはこれらの
溶媒を2種以上を混合した混合溶媒から、適宜選択する
ことができる。混合溶媒としては、溶媒間に相溶性を有
するものならびにモノマーおよび支持電解質と相溶性を
有するものが好ましく使用できる。
【0068】本発明において使用されるプロトン性溶媒
の具体例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、メタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、tert−ブチルアルコール、メチルセロソルブ、
ジエチルアミン、エチレンジアミンなどを挙げることが
できる。
【0069】また、非プロトン性溶媒の具体例として
は、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、二硫化炭
素、アセトニトリル、アセトン、プロピレンカーボネー
ト、ニトロメタン、ニトロベンゼン、酢酸エチル、ジエ
チルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタ
ン、ジオキサン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,
N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、ジメチルスルホ
キシドなどが挙げられる。
【0070】本発明において、電解酸化重合によって、
固体高分子電解質層を形成する場合には、定電圧法、定
電流法、電位掃引法のいずれを用いてもよい。また、電
解酸化重合の過程で、定電圧法と定電流法を組み合わせ
て、導電性高分子化合物を重合することもできる。電流
密度は、とくに限定されないが、最大で、500mA/
cm2程度である。
【0071】本発明において、化学酸化重合時あるいは
電解酸化重合時に、特開2000−100665号公報
に開示されるように、超音波を照射しつつ、導電性高分
子化合物を重合することもできる。超音波を照射しつ
つ、導電性高分子化合物を重合する場合には、得られる
固体高分子電解質層の膜質を改善することが可能にな
る。
【0072】本発明において、固体高分子電解質層の最
大厚さは、エッチングなどによって形成された陽極電極
表面の凹凸を完全に埋めることができるような厚さであ
ればよく、とくに限定されないが、一般に、5〜100
μm程度である。
【0073】本発明において、固体電解コンデンサは、
さらに、固体高分子電解質層上に、陰極として機能する
導電体層を備えており、導電体層としては、グラファイ
トペースト層および銀ペースト層を設けることができ、
グラファイトペースト層および銀ペースト層は、スクリ
ーン印刷法、スプレー塗布法などによって形成すること
ができる。 銀ペースト層のみによって、固体電解コン
デンサの陰極を形成することもできるが、グラファイト
ペースト層を形成する場合には、銀ペースト層のみによ
って、固体電解コンデンサの陰極を形成する場合に比し
て、銀のマイグレーションを防止することができる。
【0074】陰極として、グラファイトペースト層およ
び銀ペースト層を形成するにあたっては、メタルマスク
などによって、粗面化処理が施され、絶縁酸化皮膜が形
成された箔状の弁金属基体に対応する部分を除いた部分
がマスクされ、粗面化処理が施され、絶縁酸化皮膜が形
成された箔状の弁金属基体に対応する部分にのみ、グラ
ファイトペースト層および銀ペースト層が形成される。
【0075】本発明において、固体電解コンデンサは、
一方の面に、少なくとも1つの配線パターンが形成され
た1つの絶縁性樹脂基板の他方の面側に固定され、ある
いは、それぞれ、一方の面に、少なくとも1つの配線パ
ターンが形成された互いに対向する一対の絶縁性樹脂基
板の他方の面の間に固定される。
【0076】本発明において、絶縁性樹脂基板の材料
は、とくに限定されないが、樹脂として、接着性や耐溶
剤性などが良好なフェノール樹脂、ポリイミド樹脂、エ
ポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などによって形成するこ
とができる。
【0077】図4は、本発明の好ましい実施態様にかか
る固体電解コンデンサの陽極電極の略平面図であり、図
5は、図4のB−B断面矢視図である。
【0078】本実施態様においては、絶縁酸化皮膜形成
能を有する弁金属として、アルミニウムが用いられ、図
4および図5に示されるように、本実施態様にかかる固
体電解コンデンサの陽極電極1は、表面が粗面化(拡面
化)され、表面に、絶縁酸化皮膜である酸化アルミニウ
ム皮膜が形成された箔状のアルミニウム基体2と、表面
が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体3と、リ
ード電極を構成する金属導体として、箔状の銅基体4を
備えている。
【0079】図4および図5に示されるように、本実施
態様にかかる陽極電極は、表面が粗面化され、表面に、
酸化アルミニウム皮膜が形成された箔状のアルミニウム
基体2の一端部領域には、表面が粗面化されていない箔
状のアルミニウム基体3の一端部領域が、超音波溶接に
よって、弁金属間が電気的に接続されるように、接合さ
れ、さらに、表面が粗面化されていない箔状のアルミニ
ウム基体3の他端部領域には、箔状の銅基体4の一端部
領域が、超音波溶接によって、金属間が電気的に接続さ
れるように、接合されて、形成されている。
【0080】陽極電極の形成にあたっては、まず、所定
寸法に切断されたリード電極を構成すべき箔状の銅基体
4と、アルミニウム箔シートから、所定寸法に切り出さ
れ、表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体
3が、それぞれ、所定面積の端部領域が互いに重なり合
うように、重ね合わされる。
【0081】次いで、互いに重ね合わされている箔状の
銅基体4の端部領域と、箔状のアルミニウム基体3の端
部領域とが、超音波溶接によって、接合されて、溶接接
合部5が形成される。箔状のアルミニウム基体3の表面
に、酸化アルミニウム皮膜が形成されている場合でも、
超音波溶接によって、接合することによって、酸化アル
ミニウム皮膜が除去され、金属間が電気的に接続される
ように、箔状の銅基体4の端部領域と、箔状のアルミニ
ウム基体3の端部領域とが接合される。ここに、互いに
重なり合う箔状の銅基体4の端部領域および箔状のアル
ミニウム基体3の端部領域の面積は、接合部が、所定の
強度を有するように決定される。
【0082】その後、表面が粗面化され、表面に酸化ア
ルミニウム皮膜が形成されている所定寸法の箔状のアル
ミニウム基体2が、アルミニウム箔シートから切り出さ
れ、箔状の銅基体4と箔状のアルミニウム基体3の接合
体の表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体
3と、それぞれ、所定面積の端部領域が互いに重なり合
うように、重ね合わされる。
【0083】次いで、互いに重ね合わされている表面が
粗面化され、表面に酸化アルミニウム皮膜が形成された
箔状のアルミニウム基体2の端部領域と、表面が粗面化
されていない箔状のアルミニウム基体3の端部領域と
が、超音波溶接によって、接合されて、溶接接合部6が
生成される。ここに、超音波溶接によって、接合するこ
とにより、箔状のアルミニウム基体2の表面に形成され
ている酸化アルミニウム皮膜が除去され、アルミニウム
純金属間が電気的に接続されるように、表面が粗面化さ
れていない箔状のアルミニウム基体3の端部領域と、表
面が粗面化されている箔状のアルミニウム基体2の端部
領域とが接合される。ここに、互いに重なり合う箔状の
アルミニウム基体3の端部領域および箔状のアルミニウ
ム基体2の端部領域の面積は、接合部が、所定の強度を
有するように決定される。
【0084】こうして、形成された陽極電極1は、誘電
体を構成する表面が粗面化され、表面に酸化アルミニウ
ム皮膜が形成された箔状のアルミニウム基体2が、アル
ミニウム箔シートから切り出されたものであるため、そ
のエッジ部には、酸化アルミニウム皮膜が形成されては
おらず、固体電解コンデンサの陽極電極として用いるた
めには、表面が粗面化されている箔状のアルミニウム基
体2のエッジ部に、陽極酸化によって、酸化アルミニウ
ム皮膜を形成することが必要である。
【0085】図6は、表面が粗面化されている箔状のア
ルミニウム基体2のエッジ部に、酸化アルミニウム皮膜
を形成する陽極酸化方法を示す略断面図である。
【0086】図6に示されるように、ステンレスビーカ
ー7中に収容されたアジピン酸アンモニウム水溶液より
なる化成溶液8中に、表面が粗面化された箔状のアルミ
ニウム基体2の全体と、表面が粗面化されていない箔状
のアルミニウム基体3の一部が浸漬されるように、陽極
電極1がセットされ、箔状の銅基体4がプラスに、ステ
ンレスビーカー7がマイナスになるように、電圧が印加
される。
【0087】使用電圧は、形成すべき酸化アルミニウム
皮膜の膜厚に応じて、適宜決定することができ、10n
m〜1μmの膜厚を有する酸化アルミニウム皮膜を形成
するときは、通常、数ボルト〜20ボルト程度に設定さ
れる。
【0088】その結果、陽極酸化が開始され、化成溶液
8は、箔状のアルミニウム基体2の表面が粗面化されて
いるため、毛細管現象によって、上昇するが、箔状のア
ルミニウム基体3の表面は粗面化されていないため、表
面が粗面化されている箔状のアルミニウム基体2と、表
面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体3の接
合部を越えて、上昇することはなく、したがって、リー
ド電極を構成する箔状の銅基体4に化成溶液8が接触す
ることが確実に防止され、エッジ部を含む表面が粗面化
されている箔状のアルミニウム基体2の全表面および表
面が粗面化されている箔状のアルミニウム基体2に接合
された表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基
体3の領域のみに、酸化アルミニウム皮膜が形成され
る。
【0089】こうして、生成された陽極電極1の表面が
粗面化され、酸化アルミニウム皮膜が形成されている箔
状のアルミニウム基体2の全表面上に、公知の方法で、
陰極電極が形成され、固体電解コンデンサが生成され
る。
【0090】図7は、固体電解コンデンサの略断面図で
ある。
【0091】図7に示されるように、固体電解コンデン
サ10は、陽極電極1の表面が粗面化され、酸化アルミ
ニウム皮膜9が形成されている箔状のアルミニウム基体
2の全表面上に、固体高分子電解質層11、グラファイ
トペースト層12および銀ペースト層13からなる陰極
電極14を備えている。
【0092】導電性高分子化合物を含む固体高分子電解
質層11は、陽極電極1の表面が粗面化され、酸化アル
ミニウム皮膜が形成されている箔状のアルミニウム基体
2の全表面上に、化学酸化重合あるいは電解酸化重合に
よって形成され、グラファイトペースト層12および銀
ペースト層13は、固体高分子電解質層11上に、スク
リーン印刷法あるいはスプレー塗布法によって形成され
る。
【0093】こうして生成された固体電解コンデンサ1
0は、一対の絶縁性樹脂基板の間に、固定されて、基板
に内蔵され、基板内蔵型の固体電解コンデンサとされ
る。
【0094】図8は、基板に内蔵された固体電解コンデ
ンサ略断面図である。
【0095】図8に示されるように、基板内蔵固体電解
コンデンサ20は、互いに対向する第1の絶縁性樹脂基
板21と第2の絶縁性樹脂基板22を備え、第1の絶縁
性樹脂基板21と第2の絶縁性樹脂基板22との間に、
固体電解コンデンサ10を備えている。
【0096】第1の絶縁性樹脂基板21には、互いに対
向する2つの側部に沿って、その高さが、固体電解コン
デンサ10の厚さよりも大きいバンク、つまりスペーサ
23が形成されており、固体電解コンデンサ10は、ス
ペーサ23の間の第1の絶縁性樹脂基板21の一面上の
所定の位置に位置決めされ、接着剤29によって固定さ
れる。
【0097】本実施態様においては、スペーサ23は、
第1の絶縁性樹脂基板21および第2の絶縁性樹脂基板
22と同じ材質の基板を、その周縁部に、所定面積の部
分が残されるように打ち抜き加工して、枠状の基板を形
成し、第1の絶縁性樹脂基板21および第2の絶縁性樹
脂基板22と同じ材質の接着剤を用いて、枠状の基板を
第1の絶縁性樹脂基板に固定することによって、形成さ
れている。
【0098】第1の絶縁性樹脂基板21の他面には、配
線パターン24が形成されており、第1の絶縁性樹脂基
板21には、複数のスルーホール25が形成されてい
る。
【0099】固体電解コンデンサ10が、第1の絶縁性
樹脂基板21上の所定の位置に位置決めされて、接着剤
29によって、第1の絶縁性樹脂基板21上に固定され
ると、補強部材26が、印刷、塗布等の手法により形成
され、第1の絶縁性樹脂基板21上に形成されたスペー
サ23に当接するように、第2の絶縁性樹脂基板22が
被せられ、第1および第2の絶縁性基板と同一材質の接
着剤を用いて第1および第2の絶縁性基板とが接着され
て固定される。
【0100】第2の絶縁性樹脂基板22の上面には、配
線パターン27や、複数のスルーホール28が形成され
ている。第1の絶縁性樹脂基板21と、第2の絶縁性樹
脂基板22を一体化すると、それぞれの絶縁性樹脂基板
に作製したそれぞれのスルーホールは位置的に対応する
ようになる。
【0101】樹脂33は、第1の絶縁性樹脂基板21に
形成された複数のスルーホール25および第2の絶縁性
樹脂基板22に形成された複数のスルーホール28の部
分に、一端塞ぐように注入され、硬化される。樹脂33
が硬化した後、スルーホール25Aと28が貫通するよ
うに加工される。その結果、基板内蔵固体電解コンデン
サ20が生成される。
【0102】さらに、第1の絶縁性樹脂基板21の下面
および第2の絶縁性樹脂基板22の上面には、電子部品
30が搭載され、そのコンタクトが、配線パターン2
4、27に電気的に接続される。
【0103】第1の絶縁性樹脂基板21は、それぞれ、
固体電解コンデンサ10の陽極電極1の箔状の銅基体4
に対応する位置に、スルーホール25Bを備えており、
また、スルーホール25Cを介して、固体電解コンデン
サ10の陰極電極14を目視によって、確認することが
できるように構成されている。
【0104】スルーホール25Bを介して、固体電解コ
ンデンサ10の陽極電極1が、第1の絶縁性樹脂基板2
1に形成された配線パターン24あるいは第2の絶縁性
樹脂基板22に形成された配線パターン27と、電気的
に接続され、固体電解コンデンサ10の陰極電極14
が、スルーホール25Cを介して、第1の絶縁性樹脂基
板21に形成された配線パターン24あるいは第2の絶
縁性樹脂基板22に形成された配線パターン27と、電
気的に接続される。
【0105】図8においては、第1の絶縁性樹脂基板2
1に形成された配線パターン24と、固体電解コンデン
サ10の陽極電極1を構成する箔状の銅基体4とが、ス
ルーホール25Bを介して、ハンダ31によって、電気
的に接続され、その一方で、第1の絶縁性樹脂基板21
に形成された配線パターン24と、固体電解コンデンサ
10の陰極電極14が、スルーホール25Cに充填され
た導電性樹脂32によって、電気的に接続された例が示
されている。
【0106】
【実施例】以下、本発明の効果をより一層明らかなもの
とするため、実施例および比較例を掲げる。
【0107】実施例1 固体高分子電解質層を有する固体電解コンデンサを、以
下のようにして、作製した。
【0108】銅箔シートから、0.5cm×1cmの寸
法で切り出された厚さ60μmの銅箔と、アルミニウム
箔シートから、1cm×1cmの寸法で切り出された粗
面化処理が施されていない厚さ60μmのアルミニウム
箔を、それぞれの一端部領域が3mmだけ重なり合うよ
うに、重ね合わせ、それぞれの一端部領域が重なり合っ
た部分を、日本エマソン株式会社ブランソン事業本部製
の40kHz−超音波溶接機によって、接合するととも
に、電気的に接続して、銅箔と粗面化処理が施されてい
ないアルミニウム箔の接合体を形成した。
【0109】次いで、酸化アルミニウム皮膜が形成さ
れ、粗面化処理が施されている厚さ100μmのアルミ
ニウム箔シートから、1cm×1.5cmの寸法で、ア
ルミニウム箔を切り出し、その端部領域が、粗面化処理
が施されていないアルミニウム箔の他端部領域と3mm
だけ重なり合うように、銅箔と粗面化処理が施されてい
ないアルミニウム箔の接合体に重ね合わせ、それぞれの
端部領域が重なり合った部分を、日本エマソン株式会社
ブランソン事業本部製の40kHz−超音波溶接機によ
って、接合するとともに、電気的に接続して、銅箔、粗
面化処理が施されていないアルミニウム箔および粗面化
処理が施されているアルミニウム箔の接合体を形成し
た。
【0110】さらに、7重量%の濃度で、6.0のpH
に調整されたアジピン酸アンモニウム水溶液中に、酸化
アルミニウム皮膜が形成され、粗面化処理が施されてい
るアルミニウム箔が完全に浸漬されるように、こうして
得られた接合体を、アジピン酸アンモニウム水溶液中に
セットした。この際、粗面化処理が施されていないアル
ミニウム箔の一部も、アジピン酸アンモニウム水溶液中
に浸されたが、銅箔は、アジピン酸アンモニウム水溶液
と接触させなかった。
【0111】接合体側を陽極とし、化成電流密度が50
ないし100mA/cm2、化成電圧が25ボルトの条件下
で、アジピン酸アンモニウム水溶液中に浸漬されている
アルミニウム箔の表面を酸化させ、酸化アルミニウム皮
膜を形成して、陽極電極を作製した。
【0112】次いで、作製された陽極電極をアジピン酸
アンモニウム水溶液から引き上げ、陽極電極の粗面化処
理が施されているアルミニウム箔の表面上に、化学酸化
重合によって、ポリピロールからなる固体高分子電解質
層を形成した。
【0113】ここに、ポリピロールからなる固体高分子
電解質層は、蒸留精製した0.1モル/リットルのピロ
ールモノマー、0.1モル/リットルのアルキルナフタ
レンスルホン酸ナトリウムおよび0.05モル/リット
ルの硫酸鉄(III)を含むエタノール水混合溶液セル中
に、粗面化処理が施され、酸化アルミニウム皮膜が形成
されたアルミニウム箔のみが浸漬されるように、陽極電
極をセットし、30分間にわたって、攪拌し、化学酸化
重合を進行させ、同じ操作を3回にわたって、繰り返し
て、生成した。その結果、最大厚さが、約50μmの固
体高分子電解質層が形成された。
【0114】さらに、こうして得られた固体高分子電解
質層の表面に、カーボンペーストを塗布し、さらに、カ
ーボンペーストの表面に、銀ペーストを塗布して、陰極
電極を形成し、固体電解コンデンサを作製した。
【0115】一方、厚さ18μmの銅箔が、両面に貼り
合わされた厚さ0.5mmで、2cm×4.5cmのサイズを
有する2枚のガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板
を、以下のようにして、準備した。
【0116】銅箔面には、電気回路を形成するために、
銅箔の不要部分を化学的にエッチングし、所定の配線パ
ターンを形成した。ただし、固体電解コンデンサが固定
されるべき側の基板面の銅箔はすべて、化学的にエッチ
ングして、除去した。
【0117】さらに、内蔵されるべき固体電解コンデン
サの陽極電極および陰極電極に対応するガラスクロス含
有エポキシ樹脂絶縁性基板の位置に、それぞれ、スルー
ホールを形成し、スルーホールと、エッチングされた銅
箔パターン上に、無電解メッキによって、3μmのニッ
ケルメッキを施し、さらに、その上に、0.08μmの
金メッキを施した。
【0118】搭載される各種電子部品のためのスルーホ
ールを、さらに、ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性
基板に形成した。
【0119】一方、2枚の基板と同じガラスクロス含有
エポキシ樹脂よりなる厚さ600μmの基板を、2cm×
4.5cmの寸法に加工し、加工した基板の周囲に幅3mm
の領域を残して、内側部分を、打ち抜き加工により、除
去して、バンク形成用基板を作製した。
【0120】さらに、2枚の基板と同じガラスクロス含
有エポキシ樹脂よりなる厚み50μmの2枚のエポキシ
プリプレグを、2cm×4.5cmの寸法に加工し、加工し
た基板の周囲に幅3mmの領域を残して、内側部分を、打
ち抜き加工によって、除去した。
【0121】打ち抜き加工され、内側部分が除去された
バンク形成用基板と、ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶
縁性基板の一方の銅箔が除去された表面とを、上述のよ
うに加工された厚さ50μmのエポキシプリプレグの一
方を介して、密着させ、真空ホットプレス装置を用い
て、加圧および減圧下において、40分間にわたって、
175℃に保持し、エポキシプリプレグを硬化させて、
ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板と、内側部分
が除去された基板とを固定し、凹部空間を備えた絶縁性
基板を得た。
【0122】2枚のガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁
性基板の他方の銅箔が除去された表面に、固体電解コン
デンサの陽極電極および陰極電極が、絶縁性基板に形成
されたスルーホールに対応する位置に位置するように、
シリコーン系接着剤を用いて、固体電解コンデンサを固
定した。
【0123】次いで、固体電解コンデンサが固定された
ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板上に、一方の
面に、凹部空間が形成されたガラスクロス含有エポキシ
樹脂絶縁性基板を、上述のように加工された厚さ50μ
mの他方のエポキシプリプレグを介して、固体電解コン
デンサが、凹部空間内に収容されるように、重ね合わ
せ、密着させた。このとき補強部材として、幅2mm、厚
さ0.45mmとなるように、固体電解コンデンサの表面
が拡面化されていない弁金属基体上にスクリーン印刷に
てシリコン樹脂を塗布し、絶縁性基板との間に丁度隙間
無く位置するようにして配置した。
【0124】こうして、密着された2枚の絶縁性基板
を、真空ホットプレス装置を用いて、加圧および減圧下
で、40分間にわたり、175℃に保持し、エポキシプ
リプレグを硬化させて、2枚のガラスクロス含有エポキ
シ樹脂絶縁性基板の間を固定した。
【0125】ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板
の冷却後、ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板の
それぞれに形成されたスルーホールを介して、ガラスク
ロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板の表面に形成されてい
る配線パターンと、内蔵化された固体電解コンデンサの
陽極電極の銅箔よりなるリード電極および陰極電極と
を、ハンダおよび導電性接着剤によって、電気的に接続
して、固体電解コンデンサ内蔵プリント基板を得た。同
様の操作により、固体電解コンデンサ内蔵プリント基板
を50サンプル作製した。
【0126】また、補強部材を設けない以外は上記と同
様にして作製した比較サンプルも同様に50サンプル作
製した。
【0127】こうして作製された固体電解コンデンサ内
蔵プリント基板の電気的特性を、アジレントテクノロジ
ー社製インピーダンスアナライザー4294Aを用い
て、評価した。
【0128】その結果、良品中の平均値で、120Hz
での静電容量は80.0μFであり、100kHzでのE
SRは35mΩであった。また、常温で、10ボルトの
電圧を印加した際の漏れ電流(5分値)は、0.09μ
Aであった。
【0129】さらに、固体電解コンデンサ内蔵プリント
基板サンプルを、125℃の恒温条件下で、1000時
間にわたって、放置し、全く同様にして、電気的特性を
評価したところ、120Hzでの静電容量は79.5μ
Fであり、100KHzでのESRは34.5mΩであっ
た。さらに、常温で、10ボルトの電圧を印加した際の
漏れ電流(5分値)は、0.10μAであった。
【0130】また、製造時において、熱履歴による樹脂
の収縮やストレスによる漏れ電流不良の生じたサンプル
は、発明サンプルでは2/50であったのに対し、比較
サンプルでは24/50となった。さらに、これらの基
板に回路部品を実装した後同様に評価したところ、漏れ
電流不良の生じたサンプルは、発明サンプルでは3/5
0であったのに対し、比較サンプルでは27/50とな
った。
【0131】〔実施例2〕実施例1と同様にして作製し
た固体電解質コンデンサを、図3に示すように4サンプ
ルを並列に並べ、これを実施例1と同様の手法により絶
縁性樹脂基板内に収納した。その際、コンデンサ間の空
間部分に、実施例1と同様な補強部材を配置した。ま
た、比較例として補強部材を配置しないサンプルも作製
した。
【0132】また、製造時において、熱履歴による樹脂
の収縮やストレスによる漏れ電流不良の生じたサンプル
は、発明サンプルでは2/50であったのに対し、比較
サンプルでは24/50となった。さらに、これらの基
板に回路部品を実装した後同様に評価したところ、漏れ
電流不良の生じたサンプルは、発明サンプルでは3/5
0であったのに対し、比較サンプルでは27/50とな
った。
【0133】これらの各サンプル50個について、実施
例1と同様に評価したところ、製造時において、熱履歴
による樹脂の収縮やストレスによる漏れ電流不良の生じ
たサンプルは、発明サンプルでは1/50であったのに
対し、比較サンプルでは38/50となった。さらに、
これらの基板に回路部品を実装した後同様に評価したと
ころ、漏れ電流不良の生じたサンプルは、発明サンプル
では0/50であったのに対し、比較サンプルでは45
/50となった。
【0134】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、固体電解
コンデンサが内蔵されたプリント基板において、基板接
着時、あるいは部品実装時に、内蔵したコンデンサに不
要な外力を与えることを抑制し、ダメージを受けること
のない固体電解コンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の固体電解コンデンサの基本構成を示す
分解斜視図である。
【図2】図1のA−A'断面矢視図である。
【図3】本発明の他の実施形態を示す概略平面図であ
る。
【図4】図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる固
体電解コンデンサの陽極電極の略平面図である。
【図5】図4のB−B'断面矢視図である。
【図6】弁金属基体のエッジ部に、酸化アルミニウム皮
膜を形成する陽極酸化方法を示す略断面図である。
【図7】固体電解コンデンサの略断面図である。
【図8】固体電解コンデンサが内蔵されたプリント基板
の略断面図である。
【図9】従来の固体電解コンデンサの基本構成を示す分
解斜視図である。
【符号の説明】
1 陽極電極 2 表面が粗面化され、酸化皮膜が形成された箔状の
アルミニウム基体 3 表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基
体 4 箔状の銅基体 5 溶接接合部 6 溶接接合部 7 ステンレスビーカー 8 化成溶液 9 酸化アルミニウム皮膜 10 固体電解コンデンサ 11 固体高分子電解質層 12 グラファイトペースト層 13 銀ペースト層 14 陰極電極 20 固体電解コンデンサ内蔵プリント基板 21 第1の絶縁性樹脂基板 22 第2の絶縁性樹脂基板 23 第1の絶縁性樹脂基板のバンク 24 配線パターン 25 スルーホール 26 補強部材 27 配線パターン 28 スルーホール 29 接着剤 30 電子部品 31 ハンダ 32 導電性樹脂 33 樹脂

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形
    成された弁金属基体と、この弁金属基体に、少なくと
    も、絶縁性酸化皮膜、固体高分子電解質層および導電体
    層が、順次、形成され、 前記弁金属基体の一端部近傍領域に、表面が粗面化され
    ていない弁金属基体の一端部近傍領域が電気的に接続さ
    れるように接合され、その他端部近傍領域に、導電性金
    属基体の一端部近傍領域が電気的に接続されるように接
    合されて陽極電極となっている固体電解コンデンサが、
    絶縁性樹脂内部に収納された固体電解コンデンサであ
    り、 前記固体電解コンデンサが収納されている空間内に補強
    部材が配置されている固体電解コンデンサ。
  2. 【請求項2】 前記絶縁性樹脂は平板状の樹脂基板であ
    る請求項1の固体電解コンデンサ。
  3. 【請求項3】 前記補強部材は、少なくとも高分子電解
    質層が形成されている部位以外の位置に形成・配置され
    ている請求項1または2の固体電解コンデンサ。
  4. 【請求項4】 前記補強部材は、表面が粗面化されてい
    ない弁金属基体と対応する位置に形成・配置されている
    請求項1〜3のいずれかの固体電解コンデンサ。
  5. 【請求項5】 前記固体電解コンデンサを複数収納し、
    前記補強部材が固体電解コンデンサ間に形成・配置され
    ている請求項1〜4のいずれかの固体電解コンデンサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20120115173A (ko) * 2011-04-07 2012-10-17 에이브이엑스 코포레이션 밀폐하여 실링된 기계적 안정성이 향상된 전해질 커패시터
US10658123B2 (en) 2011-04-07 2020-05-19 Avx Corporation Multi-anode solid electrolytic capacitor assembly

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