JP2003092233A - 固体電解コンデンサの製造方法および固体電解コンデンサ - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法および固体電解コンデンサ

Info

Publication number
JP2003092233A
JP2003092233A JP2002194676A JP2002194676A JP2003092233A JP 2003092233 A JP2003092233 A JP 2003092233A JP 2002194676 A JP2002194676 A JP 2002194676A JP 2002194676 A JP2002194676 A JP 2002194676A JP 2003092233 A JP2003092233 A JP 2003092233A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrolytic capacitor
solid electrolytic
substrate
solid
foil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002194676A
Other languages
English (en)
Inventor
Yumiko Yokouchi
祐美子 横内
Masaaki Kobayashi
正明 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2002194676A priority Critical patent/JP2003092233A/ja
Publication of JP2003092233A publication Critical patent/JP2003092233A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電極である弁金属基体を損傷させることな
く、常温で、かつ、短時間に、ポリエチレンジオキシチ
オフェンを含む固体高分子電解質層を形成することがで
き、かつ、漏れ電流の小さい固体電解コンデンサの製造
方法を提供する。 【解決手段】 表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜9が
形成された弁金属からなる基体2に、エチレンジオキシ
チオフェン溶液を含浸させる第1の工程と、基体2に、
1重量%ないし7重量%の濃度の4価のセリウム塩を含
む酸化剤溶液を接触させる第2の工程とを、第2の工程
を実行する合計時間が、5分未満となるように、複数回
にわたって、繰り返して、基体2の表面上に、固体高分
子電解質層11を形成することを特徴とする固体電解コ
ンデンサの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解コンデン
サおよび固体電解コンデンサの製造方法に関するもので
あり、さらに詳細には、漏れ電流特性が優れた固体電解
コンデンサおよび電極である弁金属基体を損傷させるこ
となく、常温で、かつ、短時間に、ポリエチレンジオキ
シチオフェンを含む固体高分子電解質層を形成すること
ができ、かつ、漏れ電流の小さい固体電解コンデンサの
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電解コンデンサは、絶縁性酸化皮膜形成
能力を有するアルミニウム、チタン、真鍮、ニッケル、
タンタルなどの金属、いわゆる弁金属を陽極に用い、こ
の弁金属の表面を陽極酸化して、絶縁性酸化皮膜を形成
した後、実質的に陰極として機能する電解質層を形成
し、さらに、グラファイトや銀などの導電層を陰極とし
て設けることによって、形成されている。
【0003】たとえば、アルミニウム電解コンデンサ
は、エッチング処理によって、比表面積を増大させた多
孔質アルミニウム箔を陽極とし、この陽極表面に形成し
た酸化アルミニウム層と陰極箔との間に、電解液を含浸
させた隔離紙を設けて、構成されている。
【0004】一般に、絶縁性酸化皮膜と陰極との間の電
解質層に、電解液を利用する電解コンデンサは、シーリ
ング部分からの液漏れや、電解液の蒸発によって、その
寿命が決定されるという問題を有しているのに対し、金
属酸化物や有機化合物を含む固体電解質を用いた固体電
解コンデンサは、かかる問題を有しておらず、好ましい
ものである。
【0005】固体電解コンデンサに用いられる金属酸化
物からなる代表的な固体電解質としては、二酸化マンガ
ンが挙げられ、一方、固体電解コンデンサに用いられる
有機化合物からなる固体電解質としては、たとえば、特
開昭52−79255号公報や特開昭58−19141
4号公報に開示された7,7,8,8−テトラシアノキ
シジメタン(TCNQ)錯塩が挙げられる。
【0006】近年、電子機器の電源回路の高周波化にと
もない、使用されるコンデンサに対しても、それに対応
した性能が求められるようになっているが、二酸化マン
ガンあるいはTCNQ錯塩からなる固体電解質層を用い
た固体電解コンデンサは、以下のような問題を有してい
た。
【0007】二酸化マンガンからなる固体電解質層は、
一般に、硝酸マンガンの熱分解を繰り返すことによって
形成されるが、熱分解の際に加えられる熱によって、あ
るいは、熱分解の際に発生するNOxガスの酸化作用に
よって、誘電体である絶縁性酸化皮膜が損傷し、あるい
は、劣化するため、固体電解質層を二酸化マンガンによ
って形成する場合には,漏れ電流値が大きくなるなど、
最終的に得られる固体電解コンデンサの諸特性が低くな
りやすいという問題があった。
【0008】さらに、二酸化マンガンを固体電解質とし
て用いるときは、高周波領域において、固体電解コンデ
ンサのインピーダンスが高くなってしまうという問題も
あった。
【0009】一方、TCNQ錯塩は、電導度が、1S/
cm程度以下であるため、現在の電解コンデンサに対す
る低インピーダンス化の要求に対して、十分に応えるこ
とができないという問題を有していた。
【0010】さらに、TCNQ錯塩は、絶縁性酸化皮膜
との密着性が低く,また、ハンダ固定時の熱的安定性や
経時的な熱的安定性が低いなどの理由から、TCNQ錯
塩を固体電解質として用いた固体電解コンデンサは、十
分な信頼性が得られないということが指摘されている。
加えて、TCNQ錯塩は高価であり、TCNQ錯塩を固
体電解質として用いた固体電解コンデンサはコストが高
いという問題も有していた。
【0011】二酸化マンガンあるいはTCNQ錯塩を、
固体電解質として用いる場合のこれらの問題点を解消
し、より優れた特性を有する固体電解コンデンサを得る
ため、製造コストが比較的低く、また、絶縁性酸化皮膜
との密着性が比較的良好で、熱的な安定性にも優れた高
導電性の高分子化合物を固体電解質として利用すること
が提案されている。
【0012】たとえば、特許第2725553号には、
陽極表面の絶縁性酸化皮膜上に、化学酸化重合によっ
て、ポリアニリンを形成した固体電解コンデンサが開示
されている。
【0013】また、特公平8−31400号公報は、化
学酸化重合法のみによっては、陽極表面の絶縁性酸化皮
膜上に、強度の高い導電性高分子膜を形成することは困
難であり、また、陽極表面の絶縁性酸化皮膜が電気不導
体であるため、電解重合法により、陽極表面の絶縁性酸
化皮膜上に、直接、電解重合膜を形成することは不可能
か、きわめて困難であるという理由から、絶縁性酸化皮
膜上に、金属あるいは二酸化マンガンの薄膜を形成し、
金属あるいは二酸化マンガンの薄膜上に、ポリピロー
ル、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフランなどの
導電性高分子膜を電解重合法によって形成した固体電解
コンデンサを提案している。
【0014】さらに、特公平4−74853号公報に
は、絶縁性酸化皮膜上に、化学酸化重合によって、ポリ
ピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフラン
などの導電性高分子膜を形成した固体電解コンデンサが
開示されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】現在のところ、固体電
解コンデンサの固体高分子電解質層を形成するためのポ
リマーとしては、ポリピロール、ポリエチレンジオキシ
チオフェンが広く用いられており、このうち、ポリエチ
レンジオキシチオフェンは、熱安定性が高く、固体高分
子電解質層を形成するためのポリマーとして、好ましい
特性を有しているが、電解酸化重合を用いるメリットが
少ないことから、主に化学酸化重合で合成されている。
化学酸化重合によって、ポリエチレンジオキシチオフェ
ンを生成する場合、常温では反応しにくく、また重合速
度が遅いため、50℃ないし70℃程度に加熱して、反
応を促進させる必要があるなどの問題があった。
【0016】また、強酸である酸化剤溶液を用い、か
つ、電極を含む重合反応系を加熱しなければならないた
め、重合反応中に、電極を著しく損傷させてしまうおそ
れが高い。このことから、エージング工程歩留まりの低
下や、電解コンデンサの漏れ電流不良を引き起こすとい
う問題もあった。
【0017】特開平11−238648号公報は、絶縁
性酸化皮膜が形成された弁金属基体を、導電性高分子化
合物を形成するモノマー溶液と、ペルオクソ二硫酸およ
びそのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、硝
酸セリウム(IV)、硝酸セリウム(IV)アンモニウ
ム、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、塩化鉄(I
II)などの水溶液系酸化剤あるいはドデシルベンゼン
スルホン酸鉄(III)、p−トルエンスルホン酸鉄
(III)などの有機溶媒系酸化剤の溶液に、5分ない
し5時間、好ましくは、15分ないし3時間づつ、1な
いし20回、好ましくは、3ないし10回にわたって、
交互に、浸漬して、固体高分子電解質層を形成する方法
を提案している。
【0018】また、特開平11−238649号公報
は、絶縁性酸化皮膜が形成された弁金属基体を、導電性
高分子化合物を形成するモノマー溶液と、ペルオクソ硫
酸およびそのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム
塩、硝酸セリウム(IV)、硝酸セリウム(IV)アン
モニウム、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、塩化
鉄(III)などの水溶液系酸化剤あるいはドデシルベ
ンゼンスルホン酸鉄(III)、p−トルエンスルホン
酸鉄(III)などの有機溶媒系酸化剤の溶液に、5分
ないし5時間、好ましくは、15分ないし3時間づつ、
1ないし20回、好ましくは、3ないし10回にわたっ
て、別々に浸漬して、化学酸化重合を酸化剤溶液中でお
こなわせ、固体高分子電解質層を形成し、あるいは、絶
縁性酸化皮膜が形成された弁金属基体を、導電性高分子
化合物を形成するモノマーと、ペルオクソ二硫酸および
そのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、硝酸
セリウム(IV)、硝酸セリウム(IV)アンモニウ
ム、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、塩化鉄(I
II)などの水溶液系酸化剤あるいはドデシルベンゼン
スルホン酸鉄(III)、p−トルエンスルホン酸鉄
(III)などの有機溶媒系酸化剤の混合溶液に浸漬し
て、化学酸化重合を混合溶液中でおこなわせ、固体高分
子電解質層を形成する方法を提案している。
【0019】さらに、特開平11−251192号公報
は、絶縁性酸化皮膜が形成された弁金属基体を、導電性
高分子化合物を形成するモノマー溶液と、酸が添加され
たペルオクソ二硫酸およびそのナトリウム塩、カリウム
塩、アンモニウム塩、硝酸セリウム(IV)、硝酸セリ
ウム(IV)アンモニウム、硫酸鉄(III)、硝酸鉄
(III)、塩化鉄(III)などの酸化剤水溶液に、
5分ないし5時間、好ましくは、15分ないし3時間づ
つ、1ないし20回、好ましくは、3ないし10回にわ
たって、交互に、浸漬して、化学酸化重合を酸化剤水溶
液中でおこなわせ、固体高分子電解質層を形成する方法
を提案している。
【0020】また、特開平11−251193号公報
は、絶縁性酸化皮膜が形成された弁金属基体を、少なく
ともいずれか一方に、界面活性剤が添加された導電性高
分子化合物を形成するモノマー溶液と、ペルオクソ二硫
酸およびそのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム
塩、硝酸セリウム(IV)、硝酸セリウム(IV)アン
モニウム、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、塩化
鉄(III)などの酸化剤水溶液に、5分ないし5時
間、好ましくは、15分ないし3時間づつ、1ないし2
0回、好ましくは、3ないし10回にわたって、交互
に、浸漬して、化学酸化重合を酸化剤水溶液中でおこな
わせ、固体高分子電解質層を形成する方法を提案してい
る。
【0021】さらに、特開平11−283875号公報
は、絶縁性酸化皮膜が形成された弁金属基体を、少なく
ともいずれか一方に、微粒粉が添加された導電性高分子
化合物を形成するモノマー溶液と、ペルオクソ二硫酸お
よびそのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、
硝酸セリウム(IV)、硝酸セリウム(IV)アンモニ
ウム、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、塩化鉄
(III)などの水溶液系酸化剤あるいはドデシルベン
ゼンスルホン酸鉄(III)、p−トルエンスルホン酸
鉄(III)などの有機溶媒系酸化剤の溶液に、5分な
いし5時間、好ましくは、15分ないし3時間づつ、1
ないし20回、好ましくは、3ないし10回にわたっ
て、交互に、浸漬して、化学酸化重合を混合溶液中でお
こなわせ、固体高分子電解質層を形成する方法を提案し
ている。
【0022】しかしながら、特開平11−238648
号公報、特開平11−238649号公報、特開平11
−251192号公報、特開平11−251193号公
報および特開平11−283875号公報に記載されて
いる酸化剤溶液は、強酸であるため、特開平11−23
8648号公報、特開平11−238649号公報、特
開平11−251192号公報、特開平11−2511
93号公報および特開平11−283875号公報に記
載されているように、高濃度の酸化剤溶液を用いて、長
時間にわたって、繰り返し、弁金属基体を、酸化剤溶液
に浸漬して、化学酸化重合をおこなわせる場合には、重
合反応中に、弁金属基体が著しく損傷されてしまい、エ
ージング工程歩留まりの低下や、電解コンデンサの漏れ
電流不良を引き起こすという問題があった。
【0023】ことに、固体電解コンデンサの場合には、
コンデンサの容量を増大させるために、アルミニウムな
どの弁金属の表面は、粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形
成されている。しかしながら、固体高分子電解質層とし
て用いられる導電性ポリマーは、有機溶媒への溶解性が
著しく低く、また、導電性ポリマーを有機溶媒に溶解し
た溶液の粘性が高いため、電解質となる導電性ポリマー
を、あらかじめ生成しておき、生成した導電性ポリマー
を、含浸、塗布などの手段を用いて、粗面化され、絶縁
性酸化皮膜が形成された弁金属の表面に形成すること
は、一般に困難である。
【0024】したがって、弁金属の表面に、固体高分子
電解質層を形成するに際し、粗面化され、絶縁性酸化皮
膜が形成された弁金属基体の表面に、モノマー溶液ある
いは酸化剤溶液を含浸させ、次いで、弁金属基体の表面
に含浸されたモノマー溶液あるいは酸化剤溶液を、酸化
剤溶液あるいはモノマー溶液に接触させることによっ
て、粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成された弁金属基
体の表面上で、重合反応を生じさせて、導電性ポリマー
よりなる固体高分子電解質層を形成する方法の開発が望
まれていた。
【0025】したがって、本発明は、漏れ電流特性が優
れた固体電解コンデンサおよび電極である弁金属基体を
損傷させることなく、常温で、かつ、短時間に、ポリエ
チレンジオキシチオフェンを含む固体高分子電解質層を
形成することができ、かつ、漏れ電流の小さい固体電解
コンデンサの製造方法を提供することを目的とするもの
である。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明のかかる目的は、
表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成された弁金属
からなる第1の基体の表面上に、固体高分子電解質層を
形成する工程を含む固体電解コンデンサの製造方法であ
って、前記固体高分子電解質層を形成する工程が、前記
第1の基体に、エチレンジオキシチオフェン溶液を含浸
させる第1の工程と、前記第1の基体に、1重量%ない
し7重量%の濃度の4価のセリウム塩を含む酸化剤溶液
を接触させる第2の工程と、前記第1の工程と、前記第
2の工程を、複数回にわたって、繰り返す工程を含み、
前記第2の工程を実行する合計時間が、5分未満である
ことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法によっ
て達成される。
【0027】本発明において、酸化剤溶液として、1重
量%ないし7重量%の濃度の4価のセリウム塩溶液を用
いることを要し、好ましくは、1重量%以上、5重量%
未満の4価のセリウム塩溶液が用いられる。
【0028】4価のセリウム塩溶液の濃度が、1重量%
未満の場合には、ポリエチレンジオキシチオフェンの生
成量が減少するため、固体電解コンデンサのESR特性
が悪化し、一方、4価のセリウム塩溶液の濃度が、7重
量%を越えると、電極として作用する第1の基体の酸化
剤による損傷が進行するため、固体電解コンデンサの漏
れ電流特性が悪化し、電気的特性に優れた固体電解コン
デンサを作製することができない。
【0029】また、4価のセリウム塩溶液の濃度が、1
重量%以上、5重量%未満の場合には、電極として作用
する第1の基体が、酸化剤によって、損傷されることを
効果的に防止することができ、より優れた漏れ電流特性
を有する固体電解コンデンサを作製することができ、好
ましい。
【0030】本発明において、酸化剤溶液として、1重
量%ないし7重量%の濃度の4価のセリウム塩溶液を用
い、かつ、第1の基体と、酸化剤溶液とを接触させる時
間の総計が、5分未満でなければならない。
【0031】酸化剤溶液として、1重量%ないし7重量
%の濃度の4価のセリウム塩溶液を用いる場合において
も、第1の基体と、酸化剤溶液とを接触させる時間の総
計が、5分以上になると、電極として作用する第1に基
体の酸化剤による損傷が進行して、固体電解コンデンサ
の漏れ電流特性が悪化し、電気的特性に優れた固体電解
コンデンサを作製することができない。
【0032】本発明の前記目的はまた、粗面化され、絶
縁性酸化皮膜が形成された弁金属基体の表面に、ポリエ
チレンジオキシチオフェンを含む固体高分子電解質層が
形成された固体電解コンデンサであって、前記固体高分
子電解質層中に、10μg/cmないし210μg/
cmのセリウムが含まれていることを特徴とする固体
電解コンデンサによって達成される。
【0033】酸化剤溶液として、1重量%ないし7重量
%の濃度の4価のセリウム塩溶液を用いて、ポリエチレ
ンジオキシチオフェンを含む固体高分子電解質層が形成
した場合には、形成された固体高分子電解質層中に、1
0μg/cmないし210μg/cmのセリウムが
含まれていることが確認されており、ポリエチレンジオ
キシチオフェンを含む固体高分子電解質層中に、10μ
g/cmないし210μg/cmのセリウムを含む
固体電解コンデンサは、漏れ電流特性およびESR特性
のみならず、高い静電容量を有していることが確認され
ている。
【0034】本発明において、好ましくは、ポリエチレ
ンジオキシチオフェンを含む固体高分子電解質層中に、
10μg/cm以上、150μg/cm未満のセリ
ウムが含まれている。
【0035】酸化剤溶液として、1重量%以上、5重量
%未満の濃度の4価のセリウム塩溶液を用いて、ポリエ
チレンジオキシチオフェンを含む固体高分子電解質層を
形成した場合には、固体高分子電解質層中に、10μg
/cm以上、150μg/cm未満のセリウムが含
まれていることが確認されており、ポリエチレンジオキ
シチオフェンを含む固体高分子電解質層中に、10μg
/cm以上、150μg/cm未満のセリウムを含
む固体電解コンデンサは、より優れた漏れ電流特性を有
していることが確認されている。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施態様におい
ては、固体電解コンデンサの製造方法は、さらに、少な
くとも1つの金属からなるリード電極金属基体を形成す
る工程と、表面が粗面化された弁金属からなる第1の基
体と、リード電極金属基体とを、第1の基体の一端部近
傍領域とリード電極金属基体の一端部近傍領域とが重な
り合うように、位置させて、第1の基体の一端部近傍領
域とリード電極金属基体の一端部近傍領域とを接合し、
第1の基体とリード電極金属基体の接合体を形成する工
程を含んでいる。
【0037】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、固体電解コンデンサの製造方法は、さらに、固体高
分子電解質層を形成する工程に先立って、接合体を構成
する第1の基体を、化成溶液に浸し、接合体に、電圧を
印加して、陽極酸化処理を施し、第1の基体の少なくと
もエッジ部分に、絶縁性酸化皮膜を形成する工程を含ん
でいる。
【0038】本発明の好ましい実施態様においては、表
面が粗面化された弁金属からなる第1の基体を、酸化剤
溶液に浸漬して、第1の基体の表面上に、固体高分子電
解質層が形成される。
【0039】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、リード電極金属基体を形成する工程が、表面が粗面
化されていない第2の基体と、弁金属以外の金属からな
る第3の基体とを、少なくとも一部が重なり合うよう
に、位置させて、重なり合った部分を接合する工程を含
み、リード電極金属基体と第1の基体との接合体を形成
する工程が、リード電極金属基体を構成する第2の基体
と、第1の基体を接合する工程を含んでいる。
【0040】第1の基体と第3の基体とを、直接、接合
した場合には、化学酸化重合に際して、モノマー溶液や
酸化剤溶液が、毛細管現象によって、表面が粗面化され
た第1の基体に沿って、進行し、リード電極金属基体を
形成している第3の基体に達して、第3の基体を腐食さ
せることがあったが、本発明の好ましい実施態様によれ
ば、表面が粗面化された第1の基体と、リード電極金属
基体の間には、表面が粗面化されていない第2の基体が
介在しているから、化学酸化重合に際し、モノマー溶液
や酸化剤溶液が、表面が粗面化された第1の基体と、表
面が粗面化されていない第2の基体との接合部を越え
て、リード電極金属基体を形成している第3の基体に達
することはなく、したがって、リード電極金属基体を形
成している第3の基体が、モノマー溶液や酸化剤溶液に
よって、腐食されることを確実に防止することが可能に
なる。
【0041】本発明の好ましい実施態様においては、固
体電解コンデンサの製造方法は、さらに、固体高分子電
解質層上に、導電性ペーストを塗布し、乾燥して、導電
体層を形成する工程を含んでいる。
【0042】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成された第
1の基体と、表面が粗面化されていない第2の基体と
を、超音波溶接あるいは冷間圧接によって、接合し、表
面が粗面化されていない第2の基体と、第3の基体と
を、超音波溶接あるいは冷間圧接によって、接合するこ
とによって、第1の基体とリード電極金属基体の接合体
が形成される。
【0043】本発明において、第1の基体は、絶縁酸化
皮膜形成能を有する金属およびその合金よりなる群から
選ばれる金属または合金によって形成される。好ましい
弁金属としては、アルミニウム、タンタル、チタン、ニ
オブおよびジルコニウムよりなる群から選ばれる1種の
金属または2種以上の金属の合金が挙げられ、これらの
中でも、アルミニウムおよびタンタルが、とくに好まし
い。陽極電極は、これらの金属あるいは合金を、箔状に
加工して、形成される。
【0044】本発明において、第3の基体を形成するた
めの材料は、導電性を有する金属または合金であればよ
く、とくに限定されるものではないが、好ましくは、ハ
ンダ接続が可能であり、とくに、銅、真鍮、ニッケル、
亜鉛およびクロムよりなる群から選ばれる1種の金属ま
たは2種以上の金属の合金から選択されることが好まし
く、これらの中では、電気的特性、後工程での加工性、
コストなどの観点から、銅が最も好ましく使用される。
【0045】本発明において、酸化剤としては、硫酸セ
リウム、硝酸二アンモニウムセリウムなどの4価のセリ
ウム塩が用いられ、これらの中では、硫酸セリウム(I
V)が最も好ましく使用される。
【0046】本発明において、酸化剤溶液には、必要に
応じて、ドーパントとなる化合物が添加されていてもよ
い。
【0047】本発明において、必要に応じて、酸化剤に
添加されるドーパントとなる化合物としては、たとえ
ば、LiPF、LiAsF、NaPF、KP
、KAsFなどの陰イオンがヘキサフロロリンア
ニオン、ヘキサフロロ砒素アニオンであり、陽イオンが
リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属カ
チオンである塩、LiBF、NaBF、NHBF
、(CHNBF、(n−CNBF
などの四フッ化ホウ素塩化合物、p−トルエンスルホ
ン酸、p−エチルベンゼンスルホン酸、P−ヒドロキシ
ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、メ
チルスルホン酸、ドデシルスルホン酸、ベンゼンスルホ
ン酸、βーナフタレンスルホン酸などのスルホン酸また
はその誘導体、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウ
ム、2,6−ナフタレンジスルホン酸ナトリウム、トル
エンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸テトラ
ブチルアンモニウムなどのアルキルナフタレン/スルホ
ン酸またはその誘導体の塩、塩化第二鉄、臭化第二鉄、
塩化第二銅、臭化第二銅などの金属ハロゲン化物、塩
酸、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、リン酸、硝酸あるい
はこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩もしく
はアンモニウム塩、過塩素酸、過塩素酸ナトリウムなど
の過ハロゲン酸もしくはその塩などのハロゲン化水素
酸、無機酸またはその塩、酢酸、シュウ酸、蟻酸、酪
酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、フタル酸、マレイン
酸、安息香酸、サリチル酸、ニコチン酸などのモノもし
くはジカルボン酸、芳香族複素環式カルボン酸、トリフ
ルオロ酢酸などのハロゲン化されたカルボン酸およびこ
れらの塩などのカルボン酸類を挙げることができる。
【0048】本発明において、これらのドーパントとな
る化合物は、水や有機溶媒などに溶解させた適当な溶液
の形で使用される。溶媒は、単独で使用しても、2種以
上を混合して、使用してもよい。混合溶媒は、ドーパン
トとなる化合物の溶解度を高める上でも有効である。混
合溶媒としては、溶媒間に相溶性を有するものおよび酸
化剤およびドーパントとなる化合物と相溶性を有するも
のが好ましい。溶媒の具体例としては、有機アミド類、
含硫化合物、エステル類、アルコール類が挙げられる。
【0049】本発明において、化学酸化重合時に、特開
2000−100665号公報に開示されるように、超
音波を照射しつつ、導電性高分子化合物を重合すること
もできる。超音波を照射しつつ、導電性高分子化合物を
重合する場合には、得られる固体高分子電解質層の膜質
を改善することが可能になる。
【0050】本発明において、固体高分子電解質層の最
大厚さは、エッチングなどによって形成された陽極電極
表面の凹凸を完全に埋めることができるような厚さであ
ればよく、とくに限定されないが、一般に、5ないし1
00μm程度である。
【0051】本発明において、固体電解コンデンサは、
さらに、固体高分子電解質層上に、陰極として機能する
導電体層を備えており、導電体層としては、グラファイ
トペースト層および銀ペースト層を設けることができ、
グラファイトペースト層および銀ペースト層は、スクリ
ーン印刷法、スプレー塗布法などによって形成すること
ができる。 銀ペースト層のみによって、固体電解コン
デンサの陰極を形成することもできるが、グラファイト
ペースト層を形成する場合には、銀ペースト層のみによ
って、固体電解コンデンサの陰極を形成する場合に比し
て、銀のマイグレーションを防止することができる。
【0052】陰極として、グラファイトペースト層およ
び銀ペースト層を形成するにあたっては、絶縁酸化皮膜
が形成された弁金属基体に対応する部分にのみ、グラフ
ァイトペースト層および銀ペースト層が形成される。
【0053】本発明において、固体電解コンデンサは、
一方の面に、少なくとも1つの配線パターンが形成され
た1つの絶縁基板の他方の面側に固定され、あるいは、
それぞれ、一方の面に、少なくとも1つの配線パターン
が形成された互いに対向する一対の絶縁基板の他方の面
の間に固定される。
【0054】本発明において、絶縁基板の材料は、とく
に限定されないが、樹脂として、接着性や耐溶剤性など
が良好なフェノール樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹
脂、ポリエステル樹脂などによって形成することがで
き、さらに、有機材料系に限らず、無機材料によって、
絶縁基板を形成してもよく、アルミナ基板などの金属酸
化物系の基板も、本発明の絶縁基板として、使用するこ
とができる。
【0055】本発明において、固体電解コンデンサは、
導電性金属からなるリードフレーム上に、配置されて、
接合され、樹脂によって、モールドされる。
【0056】本発明において用いられるリードフレーム
は、導電性金属によって形成されていればよく、リード
フレームを形成するための材料は、とくに限定されるも
のではないが、銅、燐青銅、真鍮などが好ましく使用さ
れる。
【0057】本発明において、樹脂によって、モールド
する方法としては、トランスファーモールド法、インジ
ェクションモールド法が、好ましく使用される。
【0058】本発明において、モールドに用いられる樹
脂材料は、とくに限定されるものではなく、たとえば、
エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ABS樹脂、不飽和ポリエステル、ジアリールフタ
レート、フェノール樹脂、シリコン樹脂などを用いるこ
とができる。
【0059】以下、添付図面に基づいて、本発明の好ま
しい実施態様につき、詳細に説明を加える。
【0060】図1は、本発明の好ましい実施態様にかか
る固体電解コンデンサの陽極電極の略平面図であり、図
2は、A−A線に沿った略断面図である。
【0061】本実施態様においては、絶縁酸化皮膜形成
能を有する弁金属として、アルミニウムが用いられ、図
1および図2に示されるように、本実施態様にかかる固
体電解コンデンサの陽極電極1は、表面が粗面化され、
表面に、絶縁酸化皮膜である酸化アルミニウム皮膜が形
成された箔状のアルミニウム基体2と、表面が粗面化さ
れていない箔状のアルミニウム基体3と、リード電極を
構成する金属導体として、箔状の銅基体4を備えてい
る。
【0062】図1および図2に示されるように、本実施
態様にかかる陽極電極は、表面が粗面化され、表面に、
酸化アルミニウム皮膜が形成された箔状のアルミニウム
基体2の一端部領域には、表面が粗面化されていない箔
状のアルミニウム基体3の一端部領域が、超音波溶接に
よって、弁金属間が電気的に接続されるように、接合さ
れ、さらに、表面が粗面化されていない箔状のアルミニ
ウム基体3の他端部領域には、箔状の銅基体4の一端部
領域が、超音波溶接によって、金属間が電気的に接続さ
れるように、接合されて、形成されている。
【0063】陽極電極の形成にあたっては、まず、所定
寸法に切断されたリード電極を構成すべき箔状の銅基体
4と、アルミニウム箔シートから、所定寸法に切り出さ
れ、表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体
3が、それぞれ、所定面積の端部領域が互いに重なり合
うように、重ね合わされる。
【0064】次いで、互いに重ね合わされている箔状の
銅基体4の端部領域と、箔状のアルミニウム基体3の端
部領域とが、超音波溶接によって、接合されて、溶接接
合部5が形成される。箔状のアルミニウム基体3の表面
に、酸化アルミニウム皮膜が形成されている場合でも、
超音波溶接によって、接合することによって、酸化アル
ミニウム皮膜が除去され、箔状の銅基体4の端部領域
と、箔状のアルミニウム基体3の端部領域とが電気的に
接続される。ここに、互いに重なり合う箔状の銅基体4
の端部領域および箔状のアルミニウム基体3の端部領域
の面積は、接合部が、所定の強度を有するように決定さ
れる。
【0065】その後、表面が粗面化され、表面に酸化ア
ルミニウム皮膜が形成されている所定寸法の箔状のアル
ミニウム基体2が、アルミニウム箔シートから切り出さ
れ、箔状の銅基体4と箔状のアルミニウム基体3の接合
体の表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体
3と、それぞれ、所定面積の端部領域が互いに重なり合
うように、重ね合わされる。
【0066】次いで、互いに重ね合わされている表面が
粗面化され、表面に酸化アルミニウム皮膜が形成された
箔状のアルミニウム基体2の端部領域と、表面が粗面化
されていない箔状のアルミニウム基体3の端部領域と
が、超音波溶接によって、接合されて、溶接接合部6が
生成される。ここに、超音波溶接によって、接合するこ
とによって、箔状のアルミニウム基体2の表面に形成さ
れている酸化アルミニウム皮膜が除去され、表面が粗面
化されていない箔状のアルミニウム基体3の端部領域
と、表面が粗面化されている箔状のアルミニウム基体2
の端部領域の金属間が電気的に接続される。ここに、互
いに重なり合う箔状のアルミニウム基体3の端部領域お
よび箔状のアルミニウム基体2の端部領域の面積は、接
合部が、所定の強度を有するように決定される。
【0067】こうして、形成された陽極電極1は、誘電
体を構成する表面が粗面化され、表面に酸化アルミニウ
ム皮膜が形成された箔状のアルミニウム基体2が、アル
ミニウム箔シートから切り出されたものであるため、そ
のエッジ部には、酸化アルミニウム皮膜が形成されては
おらず、固体電解コンデンサの陽極電極として用いるた
めには、表面が粗面化されている箔状のアルミニウム基
体2のエッジ部に、陽極酸化によって、酸化アルミニウ
ム皮膜を形成することが必要である。
【0068】図3は、表面が粗面化されている箔状のア
ルミニウム基体2のエッジ部に、酸化アルミニウム皮膜
を形成する陽極酸化方法を示す略断面図である。
【0069】図3に示されるように、ステンレスビーカ
ー7中に収容されたアジピン酸アンモニウム水溶液より
なる化成溶液8中に、表面が粗面化された箔状のアルミ
ニウム基体2の全体と、表面が粗面化されていない箔状
のアルミニウム基体3の一部が浸漬されるように、陽極
電極1がセットされ、箔状の銅基体4がプラスに、ステ
ンレスビーカー7がマイナスになるように、電圧が印加
される。
【0070】印加電圧は、形成すべき酸化アルミニウム
皮膜の膜厚に応じて、適宜決定することができ、10n
mないし1μmの膜厚を有する酸化アルミニウム皮膜を
形成するときは、通常、数ボルトないし20ボルト程度
に設定される。
【0071】その結果、陽極酸化が開始される。陽極酸
化に際して、化成溶液8は、箔状のアルミニウム基体2
の表面が粗面化されているため、毛細管現象によって、
上昇するが、箔状のアルミニウム基体3の表面は粗面化
されていないため、表面が粗面化されている箔状のアル
ミニウム基体2と、表面が粗面化されていない箔状のア
ルミニウム基体3の接合部を越えて、上昇することはな
く、したがって、リード電極を構成する箔状の銅基体4
に、化成溶液8が接触することが確実に防止され、エッ
ジ部を含む表面が粗面化されている箔状のアルミニウム
基体2および表面が粗面化されている箔状のアルミニウ
ム基体2に接合された表面が粗面化されていない箔状の
アルミニウム基体3の領域のみに、酸化アルミニウム皮
膜が形成される。
【0072】次いで、こうして生成された陽極電極1の
表面が粗面化され、酸化アルミニウム皮膜が形成されて
いる箔状のアルミニウム基体2の表面上に、化学酸化重
合によって、ポリエチレンジオキシチオフェンよりなる
固体高分子電解質層が形成される。
【0073】すなわち、まず、エチレンジオキシチオフ
ェンを含むモノマー溶液中に、表面が粗面化され、酸化
アルミニウム皮膜が形成されている箔状のアルミニウム
基体2が、数十秒間にわたって、浸漬され、取り出され
た後、常温で、溶媒のみが除去される。
【0074】次いで、硫酸セリウム(IV)四水和物
を、水に溶解して、調製した1ないし7重量%の濃度の
硫酸セリウム溶液中に、表面が粗面化されている箔状の
アルミニウム基体2が、数十秒間にわたって、浸漬さ
れ、取り出された後、水または有機溶媒で、洗浄され、
乾燥される。
【0075】このステップが、酸化剤溶液である硫酸セ
リウム溶液に、アルミニウム基体2が浸漬されている時
間の総計が、5分未満となるように、複数回にわたっ
て、繰り返された後、水または有機溶媒によって、洗浄
され、乾燥されて、表面が粗面化され、酸化アルミニウ
ム皮膜が形成されている箔状のアルミニウム基体2の表
面に、ポリエチレンジオキシチオフェンよりなる固体高
分子電解質層が形成される。
【0076】次いで、固体高分子電解質層の表面に、グ
ラファイトペースト層および銀ペースト層が、スクリー
ン印刷法あるいはスプレー塗布法によって形成されて、
陰極電極が形成される。
【0077】図4は、こうして作製された固体電解コン
デンサの略断面図である。
【0078】図4に示されるように、固体電解コンデン
サ10は、箔状のアルミニウム基体2ならびに箔状のア
ルミニウム基体3および箔状の銅基体4からなるリード
電極を備えた陽極電極1と、ポリエチレンジオキシチオ
フェンよりなる固体高分子電解質層11、グラファイト
ペースト層12および銀ペースト層13が積層された陰
極電極14を備えている。
【0079】本実施態様によれば、表面が粗面化され、
酸化アルミニウム皮膜が形成されている箔状のアルミニ
ウム基体2を、エチレンジオキシチオフェンを含むモノ
マー溶液中に、数十秒間にわたって、浸漬し、取り出し
た後、常温で、溶媒のみを除去し、次いで、1ないし7
重量%の濃度の硫酸セリウム溶液中に、数十秒間にわた
って、浸漬し、取り出した後、水または有機溶媒で、洗
浄し、乾燥するという工程が、酸化剤溶液である硫酸セ
リウム溶液に、アルミニウム基体2が浸漬されている時
間の総計が、5分未満となるように、複数回にわたっ
て、繰り返され、常温で、かつ、短時間に、ポリエチレ
ンジオキシチオフェンよりなる固体高分子電解質層が形
成されているから、電極である弁金属基体を損傷するお
それを生じさせることなく、ポリエチレンジオキシチオ
フェンよりなる固体高分子電解質層を形成することが可
能になり、したがって、良好な漏れ電流特性を有する固
体電解コンデンサを得ることができ、この固体電解コン
デンサを、高温高湿環境下に放置しても、電極である弁
金属基体を侵すことがないので、良好な耐環境特性を得
ることが可能になる。
【0080】また、本実施態様によれば、固体電解コン
デンサの陽極電極1は、表面が粗面化され、その表面
に、絶縁酸化皮膜である酸化アルミニウム皮膜が形成さ
れた箔状のアルミニウム基体2と、表面が粗面化されて
いない箔状のアルミニウム基体3と、金属導体として、
箔状の銅基体4を備え、表面が粗面化され、表面に、酸
化アルミニウム皮膜が形成された箔状のアルミニウム基
体2の一端部領域と、表面が粗面化されていない箔状の
アルミニウム基体3の一端部領域が、超音波溶接によっ
て、接合され、さらに、表面が粗面化されていない箔状
のアルミニウム基体3の他端部領域と、箔状の銅基体4
の一端部領域が、超音波溶接によって、接合されている
から、表面が粗面化されている箔状のアルミニウム基体
2の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェンよりなる
固体高分子電解質層を形成する際に、モノマー溶液や酸
化剤溶液が、毛細管現象によって、表面が粗面化されて
いる箔状のアルミニウム基体2に沿って、進行しても、
表面が粗面化されている箔状のアルミニウム基体2と、
表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体3の
接合部を越えて、上昇することはなく、したがって、リ
ード電極を構成する箔状の銅基体4に、モノマー溶液や
酸化剤溶液が接触することが確実に防止され、したがっ
て、リード電極を構成する箔状の銅基体4が、モノマー
溶液や酸化剤溶液によって腐食されることを確実に防止
することが可能になる。
【0081】
【実施例】以下、本発明の効果をより一層明らかなもの
とするため、実施例および比較例を掲げる。
【0082】実施例1 固体高分子電解質層を有する固体電解コンデンサを、以
下のようにして、作製した。
【0083】銅箔シートから、0.5cm×1cmの寸
法で切り出された厚さ60μmの銅箔と、アルミニウム
箔シートから、1cm×1cmの寸法で切り出された粗
面化処理が施されていない厚さ60μmのアルミニウム
箔を、それぞれの一端部領域が3mmだけ重なり合うよ
うに、重ね合わせ、重ね合わせた部分を、日本エマソン
株式会社ブランソン事業本部製の40kHz−超音波溶
接機によって、接合して、銅箔と粗面化処理が施されて
いないアルミニウム箔の接合体を形成した。銅箔と粗面
化処理が施されていないアルミニウム箔とを溶接によっ
て、接合したため、電気的に接続することができた。
【0084】次いで、酸化アルミニウム皮膜が形成さ
れ、粗面化処理が施されている厚さ100μmのアルミ
ニウム箔シートから、2cm×1.5cmの寸法で、ア
ルミニウム箔を切り出し、その端部領域が、粗面化処理
が施されていないアルミニウム箔の他端部領域と3mm
だけ重なり合うように、銅箔と粗面化処理が施されてい
ないアルミニウム箔の接合体に重ね合わせ、それぞれの
端部領域が重なり合った部分を、日本エマソン株式会社
ブランソン事業本部製の40kHz−超音波溶接機によ
って、接合して、銅箔、粗面化処理が施されていないア
ルミニウム箔および粗面化処理が施されているアルミニ
ウム箔の接合体を形成した。ここでも、粗面化処理が施
されているアルミニウム箔と粗面化処理が施されていな
いアルミニウム箔とを、溶接によって、接合したため、
電気的に接続することができた。
【0085】さらに、7重量%の濃度で、pHが6.8
に調整された80℃のアジピン酸アンモニウム水溶液中
に、酸化アルミニウム皮膜が形成され、粗面化処理が施
されているアルミニウム箔が完全に浸漬されるように、
接合体をセットした。この際、粗面化処理が施されてい
ないアルミニウム箔の一部も、アジピン酸アンモニウム
水溶液中に浸されたが、銅箔は、アジピン酸アンモニウ
ム水溶液と接触させなかった。
【0086】接合体側を陽極とし、化成電流密度が50
ないし100mA/cm、化成電圧が22ボルトの条
件下で、アジピン酸アンモニウム水溶液中に浸漬されて
いるアルミニウム箔の表面を酸化させ、酸化アルミニウ
ム皮膜を形成して、陽極電極を作製した。
【0087】次いで、こうして作製された陽極電極をア
ジピン酸アンモニウム水溶液から引き上げ、陽極電極の
粗面化処理が施されているアルミニウム箔の表面上に、
化学酸化重合により、以下のようにして、ポリエチレン
ジオキシチオフェンを主成分として含む固体高分子電解
質層を形成した。
【0088】13.4グラムのエタノール中に、下記の
溶質1および溶質2を混合し、攪拌して、モノマー溶液
を調製した。
【0089】溶質1:3,4−エチレンジオキシチオフ
ェン 0.56g 溶質2:アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム水溶
液(40重量%)3.2g 次いで、酸化剤溶液として、硫酸セリウム(IV)四水
和物を、水に溶解して、3重量%の濃度の硫酸セリウム
水溶液を調製した。
【0090】陽極電極を、30秒間にわたり、モノマー
溶液中に浸漬した後、取り出して、常温で、乾燥させ
た。
【0091】次いで、陽極電極を、酸化剤溶液中に、1
5秒間にわたって、浸漬して、重合反応させた後、取り
出して、水およびメタノールを用いて、洗浄し、常温
で、乾燥させ、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフ
ェン)を生成した。
【0092】陽極電極のモノマー溶液への浸漬、乾燥、
酸化剤溶液への浸漬、洗浄および乾燥のステップを、1
0回にわたって、繰り返し、ポリ(3,4−エチレンジ
オキシチオフェン)を主成分として含む厚さ50μmの
固体高分子電解質層を形成した。
【0093】こうして得られた固体高分子電解質層の表
面に、カーボンペーストを塗布し、さらに、カーボンペ
ーストの表面に、銀ペーストを塗布して、陰極電極を形
成し、銀−エポキシ系接着剤を用いて、リード線を取り
付けた。
【0094】その後、周知の方法で、陽極リード端子お
よび陰極リード端子に、一定の電圧を印加して、エージ
ング処理をおこない、漏れ電流を十分に低下させて、固
体電解コンデンササンプル#1を作製した。同一の条件
下で、合計10個の固体電解コンデンササンプル#1を
作製した。
【0095】また、陽極電極の1回あたりの酸化剤溶液
への浸漬時間を25秒に変更した以外は、固体電解コン
デンササンプル#1を作製したのと同様にして、固体電
解コンデンササンプル#2を作製した。同一の条件下
で、合計10個の固体電解コンデンササンプル#2を作
製した。
【0096】さらに、陽極電極の1回あたりの酸化剤溶
液への浸漬時間を1分に変更した以外は、固体電解コン
デンササンプル#1を作製したのと同様にして、固体電
解コンデンササンプル#3を作製した。同一の条件下
で、合計10個の固体電解コンデンササンプル#3を作
製した。
【0097】また、陽極電極の1回あたりの酸化剤溶液
への浸漬時間を5分に変更した以外は、固体電解コンデ
ンササンプル#1を作製したのと同様にして、固体電解
コンデンササンプル#4を作製した。同一の条件下で、
合計10個の固体電解コンデンササンプル#4を作製し
た。
【0098】さらに、陽極電極の1回あたりの酸化剤溶
液への浸漬時間を10分に変更した以外は、固体電解コ
ンデンササンプル#1を作製したのと同様にして、固体
電解コンデンササンプル#5を作製した。同一の条件下
で、合計10個の固体電解コンデンササンプル#5を作
製した。
【0099】こうして作製された固体電解コンデンササ
ンプル#1ないし#5の電気的特性を、アジレントテク
ノロジー社製インピーダンスアナライザー4294Aを
用いて、評価した。特性値として、120Hzにおける
静電容量および100kHzにおけるESRを測定し、
また、漏れ電流は、固体電解コンデンササンプル#1な
いし#5のそれぞれを、所定の回路に接続し、6.3V
の電圧を印加してから、5分経過後の電流値を計測する
ことによって求め、漏れ電流の上限規格値は、63μA
(0.05CV)以下とした。
【0100】固体電解コンデンササンプル#1ないし#
5の電気的特性を評価した結果は、表1に示されてい
る。表1に示されている数値は、それぞれ、10個の固
体電解コンデンササンプルの電気的特性の平均値であ
る。
【0101】
【表1】 表1に示されるように、こうして作成された固体電解コ
ンデンササンプル#1ないし#5は、いずれも、良好な
静電容量およびESRを有していたが、陽極電極と酸化
剤溶液との合計接触時間が、5分未満の固体電解コンデ
ンササンプル#1および#2は、良好な漏れ電流値を有
していたのに対し、陽極電極と酸化剤溶液との合計接触
時間が、5分以上の固体電解コンデンササンプル#3な
いし#5においては、漏れ電流値が著しく上昇してお
り、漏れ電流特性の悪化が認められた。
【0102】したがって、酸化剤溶液として、3重量%
の濃度の硫酸セリウム(IV)水溶液を用いる場合に
は、陽極電極の酸化剤溶液への合計浸漬時間を、5分未
満にすることが、良好な漏れ電流特性を有する固体電解
コンデンサを作製するために、必要不可欠であることが
判明した。
【0103】実施例2 硫酸セリウム(IV)水溶液の濃度を、1重量%とした
以外は、実施例1と全く同様にして、それぞれ、10個
づつの固体電解コンデンササンプル#6ないし#10を
作製した。
【0104】ここに、固体電解コンデンササンプル#6
ないし#10を作製する際の陽極電極の1回あたりの酸
化剤溶液への浸漬時間は、それぞれ、15秒、25秒、
1分、5分、10分とした。
【0105】こうして作製された固体電解コンデンササ
ンプル#6ないし#10の電気的特性を、実施例1と同
様にして、評価した。
【0106】固体電解コンデンササンプル#6ないし#
10の電気的特性を評価した結果は、表2に示されてい
る。表2に示されている数値は、それぞれ、10個の固
体電解コンデンササンプルの電気的特性の平均値であ
る。
【0107】
【表2】 表2に示されるように、陽極電極と酸化剤溶液との合計
接触時間が、5分未満の固体電解コンデンササンプル#
6および#7は、良好な漏れ電流値を有していたのに対
し、陽極電極と酸化剤溶液との合計接触時間が、5分以
上の固体電解コンデンササンプル#8ないし#10にお
いては、漏れ電流値が著しく上昇しており、漏れ電流特
性の悪化が認められた。
【0108】したがって、酸化剤溶液として、1重量%
の濃度の硫酸セリウム(IV)水溶液を用いる場合に
も、陽極電極の酸化剤溶液への合計浸漬時間を、5分未
満にすることが、良好な漏れ電流特性を有する固体電解
コンデンサを作製するために、必要不可欠であることが
判明した。
【0109】また、固体電解コンデンササンプル#6な
いし#10の静電容量は、実施例1の対応する固体電解
コンデンササンプル#1ないし#5に比して、低下し、
ESR値は、上昇していた。これは、酸化剤溶液である
硫酸セリウム(IV)水溶液の濃度が、実施例1に比し
て、低いため、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフ
ェン)の生成量が減少したことに起因するものと推測さ
れる。
【0110】したがって、酸化剤溶液である硫酸セリウ
ム(IV)水溶液の濃度が、1重量%未満の場合には、
ESR値がさらに上昇し、良好なESR特性を有する固
体電解コンデンサを作製することができないことが判明
した。
【0111】実施例3 硫酸セリウム(IV)水溶液の濃度を、5重量%とした
以外は、実施例1と全く同様にして、それぞれ、10個
づつの固体電解コンデンササンプル#11ないし#15
を作製した。
【0112】ここに、固体電解コンデンササンプル#1
1ないし#15を作製する際の陽極電極の1回あたりの
酸化剤溶液への浸漬時間は、それぞれ、15秒、25
秒、1分、5分、10分とした。
【0113】こうして作製された固体電解コンデンササ
ンプル#11ないし#15の電気的特性を、実施例1と
同様にして、評価した。
【0114】固体電解コンデンササンプル#11ないし
#15の電気的特性を評価した結果は、表3に示されて
いる。表3に示されている数値は、それぞれ、10個の
固体電解コンデンササンプルの電気的特性の平均値であ
る。
【0115】
【表3】 表3に示されるように、陽極電極と酸化剤溶液との合計
接触時間が、5分未満の固体電解コンデンササンプル#
11および#12は、良好な漏れ電流値を有していたの
に対し、陽極電極と酸化剤溶液との合計接触時間が、5
分以上の固体電解コンデンササンプル#13ないし#1
5においては、漏れ電流値が著しく上昇しており、漏れ
電流特性の悪化が認められた。
【0116】また、表3に示されるように、陽極電極と
酸化剤溶液との合計接触時間が、5分未満の固体電解コ
ンデンササンプル#11および#12においても、実施
例1の対応する固体電解コンデンササンプル#1および
#2に比して、漏れ電流値が増大していた。これは、酸
化剤溶液として、実施例1よりも濃度が高い硫酸セリウ
ム(IV)水溶液を用いたため、陽極電極の損傷が増大
したことに起因するものと推測される。
【0117】さらに、表3に示されるように、固体電解
コンデンササンプル#11ないし#15のESR値は、
実施例1の対応する固体電解コンデンササンプル#1な
いし#5のESR値よりも若干増大していた。これは、
モノマー溶液濃度を同じ濃度に保持しつつ、酸化剤溶液
である硫酸セリウム(IV)水溶液の濃度を、実施例1
に比して、高くしたため、生成されたポリ(3,4−エ
チレンジオキシチオフェン)の導電率が若干増大したこ
とに起因すると推測される。
【0118】したがって、酸化剤溶液として、5重量%
の濃度の硫酸セリウム(IV)水溶液を用いる場合に
も、陽極電極の酸化剤溶液への合計浸漬時間を、5分未
満にすることが、良好な漏れ電流特性を有する固体電解
コンデンサを作製するために、必要不可欠であり、良好
な漏れ電流特性およびESR特性を有する固体電解コン
デンサを作製するためには、5重量%未満の濃度の硫酸
セリウム(IV)水溶液を用いることが望ましいことが
判明した。
【0119】実施例4 硫酸セリウム(IV)水溶液の濃度を、15重量%とし
た以外は、実施例1と全く同様にして、それぞれ、10
個づつの固体電解コンデンササンプル#16ないし#2
0を作製した。
【0120】ここに、固体電解コンデンササンプル#1
6ないし#20を作製する際の陽極電極の1回あたりの
酸化剤溶液への浸漬時間は、それぞれ、15秒、25
秒、1分、5分、10分とした。
【0121】こうして作製された固体電解コンデンササ
ンプル#16ないし#20の電気的特性を、実施例1と
同様にして、評価した。
【0122】固体電解コンデンササンプル#16ないし
#20の電気的特性を評価した結果は、表4に示されて
いる。表4に示されている数値は、それぞれ、10個の
固体電解コンデンササンプルの電気的特性の平均値であ
る。
【0123】
【表4】 表4に示されるように、固体電解コンデンササンプル#
16ないし#20における漏れ電流値は、いずれも高
く、漏れ電流特性の悪化が認められた。これは、酸化剤
溶液として、実施例1よりも濃度が高い15重量%の濃
度の硫酸セリウム(IV)水溶液を用いたため、陽極電
極の損傷が進行したことに起因するものと推測される。
【0124】したがって、酸化剤溶液として、15重量
%の濃度の硫酸セリウム(IV)水溶液を用いる場合に
は、陽極電極の酸化剤溶液への合計浸漬時間を、5分未
満にしても、漏れ電流の少ない固体電解コンデンサを作
製することができないことが判明した。
【0125】実施例5 固体電解コンデンササンプル#1、#2、#6および#
12の固体電解質層を形成しているポリ(3,4−エチ
レンジオキシチオフェン)中に含まれる元素を、蛍光X
線分析法によって解析した。蛍光X線分析装置として
は、株式会社リガク製3270を用い、50kV‐50
mA、15mmφの条件で測定した。
【0126】測定の結果、セリウムの存在が確認され、
セリウムの含有量は、表5のとおりであった。
【0127】
【表5】 表5から、固体電解質層のセリウム含有量が、10μg
/cmないし150μg/cmである固体電解コン
デンサが、優れた電気的特性を有していることが判明し
た。
【0128】本発明は、以上の実施態様および実施例に
限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明
の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の
範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0129】たとえば、前記実施態様および前記実施例
においては、陽極電極を、酸化剤溶液中に浸漬している
が、陽極電極に、酸化剤溶液が接触されればよく、陽極
電極を、酸化剤溶液中に浸漬することは必ずしも必要で
なく、スプレー塗布などによって、酸化剤溶液を、陽極
電極に噴霧して、陽極電極に、酸化剤溶液を接触させて
もよい。
【0130】また、前記実施態様および前記実施例おい
ては、表面が粗面化され、表面に、酸化アルミニウム皮
膜が形成された箔状のアルミニウム基体2の一端部領域
に、表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体
3の一端部領域を接合して、電気的に接続し、さらに、
表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体3の
他端部領域に、箔状の銅基体4の一端部領域を接合し
て、電気的に接続して、陽極電極を形成した後に、酸化
アルミニウム皮膜が形成されている箔状のアルミニウム
基体2の表面上に、化学酸化重合によって、ポリエチレ
ンジオキシチオフェンよりなる固体高分子電解質層を形
成するように構成されているが、酸化アルミニウム皮膜
が形成されている箔状のアルミニウム基体2の表面上
に、化学酸化重合によって、ポリエチレンジオキシチオ
フェンよりなる固体高分子電解質層を形成した後に、箔
状のアルミニウム基体2の一端部領域に、表面が粗面化
されていない箔状のアルミニウム基体3の一端部領域を
接合して、電気的に接続し、さらに、表面が粗面化され
ていない箔状のアルミニウム基体3の他端部領域に、箔
状の銅基体4の一端部領域を接合して、電気的に接続し
て、陽極電極を形成するようにしてもよい。
【0131】さらに、前記実施態様においては、弁金属
基体2、3として、アルミニウムが用いられているが、
アルミニウムに代えて、アルミニウム合金、または、タ
ンタル、チタン、ニオブ、ジルコニウムもしくはこれら
の合金などによって、弁金属基体2、3を形成すること
もできる。
【0132】また、前記実施態様においては、リード電
極を構成すべき金属導体として、箔状の銅が用いられて
いるが、銅に代えて、銅合金、または、真鍮、ニッケ
ル、亜鉛、クロムもしくはこれらの合金によって、金属
導体を形成することもできる。
【0133】さらに、前記実施態様においては、表面が
粗面化された箔状のアルミニウム基体2と、表面が粗面
化されていないアルミニウム基体3とを、超音波溶接に
よって、接合するとともに、表面が粗面化されていない
アルミニウム基体3と、箔状の銅基体4とを、超音波溶
接によって、接合しているが、これらの接合部の双方
を、あるいは、一方を、超音波溶接に代えて、コールド
ウェルディング(冷間圧接)によって、接合し、接合部
を形成するようにしてもよい。
【0134】また、前記実施態様においては、表面が粗
面化され、酸化アルミニウム皮膜が形成された箔状のア
ルミニウム基体2と、表面が粗面化されていない箔状の
アルミニウム基体3と、箔状の銅基体4が接合されて、
形成された陽極電極1を備えた固体電解コンデンサ10
を用いているが、酸化アルミニウム皮膜が形成され、表
面が粗面化された箔状のアルミニウム基体2と箔状の導
電体金属基体よりなる陽極電極など、異なる構造の陽極
電極を備えた固体電解コンデンサを用いることもでき
る。
【0135】
【発明の効果】本発明によれば、漏れ電流特性が優れた
固体電解コンデンサおよび電極である弁金属基体を損傷
させることなく、常温で、かつ、短時間に、ポリエチレ
ンジオキシチオフェンを含む固体高分子電解質層を形成
することができ、かつ、漏れ電流の小さい固体電解コン
デンサの製造方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる固
体電解コンデンサの陽極電極の略平面図である。
【図2】図2は、図1のA−A線に沿った略断面図であ
る。
【図3】図3は、表面が粗面化された箔状のアルミニウ
ム基体のエッジ部に、酸化アルミニウム皮膜を形成する
陽極酸化方法を示す略断面図である。
【図4】図4は、固体電解コンデンサの略断面図であ
る。
【符号の説明】
1 陽極電極 2 表面が粗面化され、酸化皮膜が形成された箔状のア
ルミニウム基体 3 表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体 4 箔状の銅基体 5 溶接接合部 6 溶接接合部 7 ステンレスビーカー 8 化成溶液 9 酸化アルミニウム皮膜 10 固体電解コンデンサ 11 固体高分子電解質層 12 グラファイトペースト層 13 銀ペースト層 14 陰極電極

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形
    成された弁金属からなる第1の基体の表面上に、固体高
    分子電解質層を形成する工程を含む固体電解コンデンサ
    の製造方法であって、 前記固体高分子電解質層を形成する工程が、 前記第1の基体に、エチレンジオキシチオフェン溶液を
    含浸させる第1の工程と、 前記第1の基体に、1重量%ないし7重量%の濃度の4
    価のセリウム塩を含む酸化剤溶液を接触させる第2の工
    程と、 前記第1の工程と、前記第2の工程を、複数回にわたっ
    て、繰り返す工程を含み、 前記第2の工程を実行する合計時間が、5分未満である
    ことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 【請求項2】 さらに、少なくとも1つの金属からなる
    リード電極金属基体を形成する工程と、 表面が粗面化された弁金属からなる第1の基体と、前記
    リード電極金属基体とを、前記第1の基体の一端部近傍
    領域と前記リード電極金属基体の一端部近傍領域とが重
    なり合うように、位置させて、前記第1の基体の一端部
    近傍領域と前記リード電極金属基体の一端部近傍領域と
    を接合し、前記第1の基体と前記リード電極金属基体の
    接合体を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1
    に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 【請求項3】 さらに、前記固体高分子電解質層を形成
    する工程に先立って、前記接合体を構成する前記第1の
    基体を、化成溶液に浸し、前記接合体に、電圧を印加し
    て、陽極酸化処理を施し、前記第1の基体の少なくとも
    エッジ部分に、絶縁性酸化皮膜を形成する工程を含むこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の固体電解コン
    デンサの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記酸化剤溶液が、1重量%以上、5重
    量%未満の濃度の4価のセリウム塩を含むことを特徴と
    する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の固体電解
    コンデンサの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第1の工程が、前記第1の基体を、
    前記酸化剤溶液に浸漬させて、前記第1の基体に、前記
    酸化剤溶液を接触させるように構成されたことを特徴と
    する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の固体電解
    コンデンサの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記リード電極金属基体を形成する工程
    が、表面が粗面化されていない第2の基体と、弁金属以
    外の金属からなる第3の基体とを、少なくとも一部が重
    なり合うように、位置させて、重なり合った部分を接合
    する工程を含み、 前記接合体を形成する工程が、前記リード電極金属基体
    を構成する前記第2の基体と、前記第1の基体を接合す
    る工程を含むことを特徴とする請求項2ないし5のいず
    れか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 【請求項7】 さらに、前記固体高分子電解質層上に、
    導電性ペーストを塗布し、乾燥して、導電体層を形成す
    る工程を含むことを特徴とする請求項1ないし6のいず
    れか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  8. 【請求項8】 粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成され
    た弁金属基体の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェ
    ンを含む固体高分子電解質層が形成された固体電解コン
    デンサであって、 前記固体高分子電解質層中に、10μg/cmないし
    210μg/cmのセリウムが含まれていることを特
    徴とする固体電解コンデンサ。
  9. 【請求項9】 前記固体高分子電解質層中に、10μg
    /cm以上、150μg/cm未満のセリウムが含
    まれていることを特徴とする請求項8に記載の固体電解
    コンデンサ。
  10. 【請求項10】 前記固体高分子電解質層上に、導電体
    層が形成されたことを特徴とする請求項8または9に記
    載の固体電解コンデンサ。
JP2002194676A 2001-07-11 2002-07-03 固体電解コンデンサの製造方法および固体電解コンデンサ Pending JP2003092233A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002194676A JP2003092233A (ja) 2001-07-11 2002-07-03 固体電解コンデンサの製造方法および固体電解コンデンサ

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001210218 2001-07-11
JP2001-210218 2001-07-11
JP2002194676A JP2003092233A (ja) 2001-07-11 2002-07-03 固体電解コンデンサの製造方法および固体電解コンデンサ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003092233A true JP2003092233A (ja) 2003-03-28

Family

ID=26618496

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002194676A Pending JP2003092233A (ja) 2001-07-11 2002-07-03 固体電解コンデンサの製造方法および固体電解コンデンサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003092233A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4208831B2 (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP4208833B2 (ja) 固体電解コンデンサおよび固体電解コンデンサ内蔵基板ならびにそれらの製造方法
JP4208832B2 (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
US6999303B2 (en) Solid electrolytic capacitor and process for its fabrication
EP1215691B1 (en) Solid electrolytic capacitor and method of manufacture thereof
US6731497B2 (en) Solid electrolytic capacitor and method for manufacturing the same
JPH1187177A (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JPH10247612A (ja) 固体電解コンデンサ
JP2004296611A (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP4248756B2 (ja) 固体電解コンデンサ内蔵基板およびその製造方法
JP2003092233A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法および固体電解コンデンサ
JP3469756B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP2003109877A (ja) 固体電解コンデンサ
JP3943783B2 (ja) 固体電解コンデンサ内蔵基板およびその製造方法
JP2002359160A (ja) 固体電解コンデンサおよび固体電解コンデンサ内蔵基板ならびに固体電解コンデンサ内蔵基板の製造方法
JP2002359161A (ja) 固体電解コンデンサ内蔵基板およびその製造方法
JP2002359162A (ja) 固体電解コンデンサ内蔵基板およびその製造方法
JP2006156903A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP2003109876A (ja) 高分子固体電解コンデンサとその製造方法
JP2003109878A (ja) 高分子固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP2003109863A (ja) 固体電解コンデンサ
JP2002359477A (ja) 固体電解コンデンサ内蔵基板およびその製造方法
JP2003109864A (ja) 高分子固体電解コンデンサ用電極およびそれを用いた高分子固体電解コンデンサ
JP2000150309A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP2002359157A (ja) 固体電解コンデンサ内蔵基板およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050607

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060808

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060905

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061101

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070821