JP2003109863A - 固体電解コンデンサ - Google Patents

固体電解コンデンサ

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JP2003109863A
JP2003109863A JP2001299156A JP2001299156A JP2003109863A JP 2003109863 A JP2003109863 A JP 2003109863A JP 2001299156 A JP2001299156 A JP 2001299156A JP 2001299156 A JP2001299156 A JP 2001299156A JP 2003109863 A JP2003109863 A JP 2003109863A
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electrolytic capacitor
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Masaaki Kobayashi
正明 小林
Yumiko Yokouchi
祐美子 横内
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プリント基板面積を拡大することなく、電解
コンデンサの静電容量の大容量化を図ることができる絶
縁性樹脂内部に収納された固体電解コンデンサを提供す
る。 【解決手段】 表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形
成された弁金属基体と、前記箔状の弁金属基体に、少な
くとも、絶縁性酸化皮膜、固体高分子電解質層および導
電体層が、順次、形成され、前記弁金属基体の一端部近
傍領域に、表面が粗面化されていない弁金属基体の一端
部近傍領域が電気的に接続されるように接合され、その
他端部近傍領域に、導電性金属基体の一端部近傍領域が
電気的に接続されるように接合されて陽極電極となって
いる固体電解コンデンサが、絶縁性樹脂基板内部に収納
された固体電解コンデンサであり、少なくとも前記表面
が粗面化されていない弁金属基体に複数の弁金属基体が
接続されている構成の固体電解コンデンサとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解コンデン
サに関するものであり、さらに詳細には、表面が粗面化
され、絶縁性酸化皮膜が形成された箔状の弁金属基体
と、この弁金属基体に、絶縁性酸化皮膜、固体高分子電
解質層および導電体層が、順次、形成された固体電解コ
ンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】電解コンデンサは、絶縁性酸化皮膜形成
能力を有するアルミニウム、チタン、真鍮、ニッケル、
タンタルなどの金属、いわゆる弁金属を陽極に用い、こ
の弁金属の表面を陽極酸化して、絶縁性酸化皮膜を形成
した後、実質的に陰極として機能する電解質層を形成
し、さらに、グラファイトや銀などの導電層を陰極とし
て設けることによって形成されている。
【0003】一般に、絶縁性酸化皮膜と陰極との間の電
解質層に、電解液を利用する電解コンデンサは、シーリ
ング部分からの液漏れや、電解液の蒸発によって、その
寿命が決定されるという問題を有している。これに対
し、金属酸化物や有機化合物からなる固体電解質を用い
た固体電解コンデンサは、このような液漏れや、蒸発と
いう問題がなく、この点において好ましいものである。
【0004】固体電解コンデンサに用いられる金属酸化
物からなる代表的な固体電解質としては、二酸化マンガ
ンが挙げられる。一方、固体電解コンデンサに用いられ
る有機化合物からなる固体電解質としては、たとえば、
特開昭52−79255号公報や特開昭58−1914
14号公報に開示された7,7,8,8−テトラシアノ
キシジメタン(TCNQ)錯塩が挙げられる。
【0005】近年、電子機器の電源回路の高周波化に伴
い、使用されるコンデンサに対しても、それに対応した
性能が求められるが、二酸化マンガンあるいはTCNQ
錯塩を用いた固体電解コンデンサは、以下のような問題
を有していた。
【0006】二酸化マンガンからなる固体電解質層は、
一般に、硝酸マンガンの熱分解を繰り返すことによって
形成される。このため、熱分解の際に加えられる熱によ
って、あるいは、熱分解の際に発生するNOx ガスの酸
化作用によって、誘電体である絶縁性酸化皮膜が損傷
し、あるいは、劣化して、漏れ電流値が大きくなるな
ど、最終的に得られる固体電解コンデンサの諸特性が低
くなりやすいという問題があった。また、二酸化マンガ
ンを固体電解質として用いると、高周波領域において、
コンデンサのインピーダンスが高くなってしまうという
問題もある。
【0007】一方、TCNQ錯塩は、電導度が、1S/c
m 程度以下であるため、現在の電解コンデンサに対する
低インピーダンス化の要求に対して、十分に応えること
ができないという問題を有していた。さらに、TCNQ
錯塩は、絶縁性酸化皮膜との密着性が低く、また、ハン
ダ固定時の熱的安定性や経時的な熱的安定性が低いなど
の理由から、TCNQ錯塩を固体電解質として用いた固
体電解コンデンサは、十分な信頼性が得られないという
ことが指摘されている。加えて、TCNQ錯塩は高価で
あり、TCNQ錯塩を固体電解質として用いた固体電解
コンデンサはコストが高いという問題も有していた。
【0008】二酸化マンガンあるいはTCNQ錯塩を、
固体電解質として用いる場合のこれらの問題点を解消
し、より優れた特性を有する固体電解コンデンサを得る
ため、製造コストが比較的低く、また、絶縁性酸化皮膜
との付着性が比較的良好で、熱的な安定性にも優れた高
導電性の高分子化合物を固体電解質として利用すること
が提案されている。
【0009】たとえば、特許第2725553号には、
陽極表面の絶縁性酸化皮膜上に、化学酸化重合によっ
て、ポリアニリンを形成した固体電解コンデンサが開示
されている。
【0010】しかし、化学酸化重合法のみによっては、
陽極表面の絶縁性酸化皮膜上に、強度の高い導電性高分
子膜を形成することは困難である。また、陽極表面の絶
縁性酸化皮膜が電気導体であるため、電解重合法によ
り、陽極表面の絶縁性酸化皮膜上に、直接、電解重合膜
を形成することは不可能か、きわめて困難である。この
ため、特公平8−31400号公報では、絶縁性酸化皮
膜上に、金属あるいは二酸化マンガンの薄膜を形成し、
金属あるいは二酸化マンガンの薄膜上に、ポリピロー
ル、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフランなどの
導電性高分子膜を電解重合法によって形成した固体電解
コンデンサが提案されている。
【0011】さらに、特公平4−74853号公報に
は、絶縁性酸化皮膜上に、化学酸化重合によって、ポリ
ピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフラン
などの導電性高分子膜を形成した固体電解コンデンサが
開示されている。
【0012】一方、電子機器の小型化、薄型化の要求に
より、電子部品には、より一層の小型化、高性能化が要
求され、回路基板には、薄層化、多層化による高機能化
が要求されている。ことに、ICカードの厚みは、1mm
以下、携帯型パーソナルコンピュータの厚みは、20mm
以下と、きわめて薄くなりつつある。従って、これらに
搭載される電子部品や、電子部品を実装した配線基板に
も、数mmないし数百ミクロンの厚みで形成することが要
求されるようになっている。
【0013】しかしながら、上述した固体電解コンデン
サは、いずれも、単体の部品として製造され、配線基板
に、ハンダ層を介して、実装されるものであり、電子部
品を十分に高集積化、高密度化することができないとい
う問題があった。
【0014】そこで、特開平2−54510号公報およ
び特許第2950587号では、固体電解コンデンサ
を、配線基板の抵抗機能や導電パターンと同様に、あら
かじめ、基板と一体的に形成し、複数の固体電解コンデ
ンサが1枚の基板上に形成された回路基板によって、電
子部品の高密度化、回路基板の薄型化を図ることが提案
されている。
【0015】すなわち、特開平2−54510号公報
は、絶縁性樹脂基板上に、電気導体および絶縁性酸化皮
膜形成能を有するアルミニウム箔などの箔状の弁金属基
体のパターンを形成し、この弁金属基体のパターンの表
面の1箇所あるいは数箇所に、絶縁性酸化皮膜層、複素
環式化合物の導電性ポリマー層および導電体層を、順次
形成して、固体電解コンデンサ内蔵基板を作製する方法
を開示するとともに、絶縁性樹脂基板の両面に、電気導
体および絶縁性酸化皮膜形成能を有する弁金属基体のパ
ターンを形成し、この弁金属基体のパターンの表面の1
箇所あるいは数箇所に、絶縁性酸化皮膜層、複素環式化
合物の導電性ポリマー層および導電体層を、順次形成し
て、固体電解コンデンサ内蔵基板を作製した後、固体電
解コンデンサ内蔵基板を積層して、多層構造とした固体
電解コンデンサ内蔵基板を開示している。特開平2−5
4510号公報によれば、導電性高分子を用いた固体電
解コンデンサを、回路基板の抵抗体層や導電パターンと
同様に、あらかじめ、基板と一体的に形成しておくこと
によって、個々のコンデンサを回路基板上に実装する必
要がなく、電子部品の高密度化が実現されるとともに、
ノイズの低減など、電気的特性をも向上させることがで
きるとされている。
【0016】一方、特許第2950587号は、板状の
陽極体、すなわち、板状の弁金属基体の両面に、誘電体
層、電解質層および導電体層を、順次形成し、各導電体
層を介して、陰極端子を設けて、コンデンサ素子を形成
し、こうして形成したコンデンサ素子の両面に、所望の
配線パターンを備えたプリント基板を、樹脂層を介し
て、接合して、作製した固体電解コンデンサを開示して
いる。特許第2950587号によれば、機械的に脆弱
な固体電解質であっても、両面に配置されるプリント基
板によって保護されるから、信頼性の高い固体電解コン
デンサを得ることが可能になり、また、プリント基板
に、あらかじめ、所望の配線パターンを形成しておくこ
とにより、他の電子部品を、プリント基板に容易に実装
することが可能になるとされている。
【0017】上記固体電解コンデンサは、基板に搭載さ
れるべき他の電子部品と接続するためのリード電極を、
陽極となる絶縁性酸化皮膜形成能を有する弁金属基体に
接続することが必要不可欠である。しかし、箔状の弁金
属基体に、リード電極として、単に、銅などの金属導体
を接続した場合、以下に挙げるような問題を生じてい
た。
【0018】固体電解コンデンサは、大容量の静電容量
を得るために、弁金属基体の表面積が大きくなるよう
に、箔状の弁金属基体を粗面化(拡面化)し、かつ、酸
化アルミニウムなどの絶縁性酸化皮膜を形成したアルミ
ニウムなどの弁金属の箔状シートから所望のサイズの箔
状の弁金属基体を切り出し、粗面化された箔状の弁金属
の絶縁性酸化皮膜上に、陰極となる固体高分子電解質層
を形成し、さらに、陰極となる固体高分子電解質層上
に、カーボンペースト層および銀ペースト層など導電体
層を設け、陰極のリード電極を形成することによって構
成されており、陽極のリード電極を形成するためには、
粗面化された箔状の弁金属基体の表面に形成された絶縁
性酸化皮膜を除去して、銅などの金属導体が、弁金属基
体に、金属間が電気的に接続されて、接合されるよう
に、超音波溶接、コールド・ウェルディング(冷間圧
接)などによって、接続することが必要である。こうし
てリード電極を形成し箔状の弁金属基体は、弁金属のシ
ートから切り出されているため、弁金属基体のエッジ部
分には、絶縁性酸化皮膜が形成されていない。弁金属基
体のエッジ部分に、絶縁性酸化皮膜を形成しないと、弁
金属基体の金属部分が、固体高分子電解質層と接触し、
短絡状態となり、固体電解コンデンサとして機能しなく
なる。このため、陽極酸化によって、箔状の弁金属基体
のエッジ部分に絶縁性酸化皮膜を形成することが必要不
可欠になる。
【0019】通常、シートから切り出された弁金属基体
は、超音波溶接、コールド・ウェルディング(冷間圧
接)などにより、銅などの金属導体を接合して陽極体と
し、これをステンレスビーカーなどの導電性容器に収容
されたアジピン酸アンモニウムなどの化成溶液に浸し
て、銅などの金属導体をプラス極に接続するとともに、
導電性容器をマイナス極に接続して、陽極酸化処理を行
う。この際、金属導体が化成溶液に接触すると、電流が
流れ続け、その結果として、金属導体が腐食され、弁金
属基体のエッジ部分に絶縁性酸化皮膜を形成することが
困難になるという問題があった。一方、表面に粗面化処
理を施した箔状の弁金属基体のみを、化成溶液に浸し
て、陽極酸化をしようとすると、弁金属基体の表面に粗
面化処理が施されているため、化成溶液が毛細管現象に
よって金属導体に達し、同様に、電流が流れ続け、金属
導体が腐食され、弁金属基体のエッジ部分に絶縁性酸化
皮膜を形成することが困難になるという問題があった。
【0020】このような問題は、金属導体を弁金属基体
に接合する前に、弁金属基体の絶縁性酸化皮膜が形成さ
れていないエッジ部分に電極を設け、陽極酸化処理を施
し、弁金属基体のエッジ部分に絶縁性酸化皮膜を形成す
ることにより、理論的には解消することが可能である。
ところが、一般に、アルミニウムなどの弁金属基体の箔
状シートの厚みは、高々数100ミクロンのオーダーで
あり、弁金属基体の絶縁性酸化皮膜が形成されていない
エッジ部分に電極を設け、陽極酸化処理を施すことは、
きわめて困難であり、回路基板に内蔵するのに適した固
体電解コンデンサを得ることが極めて困難であるという
問題があった。
【0021】このような問題に対し、本発明者は、特願
2001−95055号において、新規な構造の固体電
解コンデンサを提案している。すなわち、表面が粗面化
され、絶縁性酸化皮膜が形成された弁金属基体の一端部
近傍領域に、表面が粗面化されていない弁金属基体の一
端部近傍領域を電気的に接続されるように接合し、前記
弁金属基体の他端部近傍領域に、導電性金属基体の一端
部近傍領域を電気的に接続されるように接合して、固体
電解コンデンサの陽極電極を構成した。これにより、上
記問題を解消することが可能になる。
【0022】本発明者の研究によれば、上記のように構
成した陽極電極は、陽極酸化処理により、エッジ部分に
絶縁性酸化皮膜を形成する際に、化成溶液は、表面が粗
面化された弁金属基体の一端部近傍領域と、表面が粗面
化されていない弁金属基体の一端部近傍領域との接合部
を越えて、表面が粗面化されていない弁金属基体に達す
ることがない。したがって、表面が粗面化された箔状の
弁金属基体の一端部近傍領域と、表面が粗面化されてい
ない箔状の弁金属基体の一端部近傍領域との接合部に、
絶縁性酸化皮膜が形成された時点で、電流は流れなくな
り、陽極酸化が完了し、表面が粗面化された箔状の弁金
属基体のエッジ部分に、所望のように、絶縁性酸化皮膜
を形成することが可能になる。
【0023】しかしながら、こうして、陽極酸化によっ
て、表面が粗面化された箔状の弁金属基体のエッジ部分
に、絶縁性酸化皮膜を形成して得た陽極電極を備えた固
体電解コンデンサを、回路基板に内蔵させた場合、表面
が粗面化されていない箔状の弁金属基体の表面に、経時
的に、絶縁性酸化皮膜が形成されるため、回路基板に搭
載される他の電子部品とのコンタクトを、表面が粗面化
されていない箔状の弁金属基体の表面に設けたときに、
絶縁性酸化皮膜の抵抗が大きく、コンデンサのインピー
ダンス特性が悪化するという問題が発生することが見出
された。
【0024】本発明者らは、表面が粗面化され、絶縁性
酸化皮膜が形成された箔状の弁金属基体の一端部近傍領
域に、表面が粗面化されていない弁金属基体の一端部近
傍領域を電気的に接続されるように接合し、その他端部
近傍領域に、導電性金属基体の一端部近傍領域を電気的
に接続されるように接合して、固体電解コンデンサの陽
極電極を構成することによって、上記問題点を解決でき
ることを見いだした。
【0025】ところで、このような固体電解コンデンサ
を用いる電子機器においては、以下のような問題が生じ
ていた。
【0026】電子機器における電子部品の実装効率は、
電子部品自体の外形寸法による制約があるため限界があ
る。例えば、電子部品間もしくは電子部品と筐体との隙
間等の無駄な空間が依然として電子機器の小型化を阻ん
でいる。あるいは、従来無駄であった空間にプリント基
板を配置するなどして、無駄な空間を極力削滅すること
は試みられているものの、静電容量範囲が200μF以
上の比較的容量が大きい電解コンデンサ複数個をプリン
ト基板に実装することが必要とされる場合、少なくとも
高さ寸法が10mmないしそれ以上であり、外形寸法が1
個あたり直径10〜20mmの占有空間が生じてしまう。
そして、この占有空間がさらに無駄な空間を生み、電子
部品の効率的な実装を困難にしているといった問題点が
あった。
【0027】従来の固体電解コンデンサでは、CPUバ
ックアップ用として要求される容量を得るためには、大
容量のタンタル固体電解コンデンサを5〜10個並列に
接続して実装する必要があり、このために実装に必要な
占有面積(体積)が広くなり、セットの小型化に限界が
生じるといった問題点があった。
【0028】一方、上記固体電解コンデンサを単体で用
いるとすると、上記のような要請を満足するだけの容量
を確保することが困難であった。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、プリ
ント基板面積を拡大することなく、電解コンデンサの静
電容量の大容量化を図ることができる固体電解コンデン
サ内蔵基板を提供することである。
【0030】
【課題を解決するための手段】すなわち上記目的は、以
下の本発明の構成により達成される。 (1) 表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成され
た弁金属基体と、前記箔状の弁金属基体に、少なくと
も、絶縁性酸化皮膜、固体高分子電解質層および導電体
層が、順次、形成され、前記弁金属基体の一端部近傍領
域に、表面が粗面化されていない弁金属基体の一端部近
傍領域が電気的に接続されるように接合され、この表面
が粗面化されていない弁金属基体の他端部近傍領域に、
導電性金属基体の一端部近傍領域が電気的に接続される
ように接合されて陽極電極となっている固体電解コンデ
ンサが、絶縁性樹脂内部に収納された固体電解コンデン
サであり、少なくとも前記表面が粗面化されていない弁
金属基体に複数の表面が粗面化され絶縁性皮膜が形成さ
れた弁金属基体が接続されている固体電解コンデンサ。 (2) 前記導電性金属基体に、複数の表面が粗面化さ
れていない弁金属基体が接続されている上記(1)の固
体電解コンデンサ。 (3) 少なくとも前記表面が粗面化され絶縁性被膜が
形成されている弁金属基体は、表面が粗面化されていな
い弁金属基体の両面に接続されている上記(1)または
(2)の固体電解コンデンサ。 (4) 前記高分子電解質を有する弁金属基体からなる
電極が、厚さ方向に複数積層されている上記(1)〜
(3)のいずれかの固体電解コンデンサ。 (5) 前記絶縁性樹脂は、平板状の樹脂基板である上
記(1)〜(4)のいずれかの固体電解コンデンサ。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の固体電解コンデンサは、
表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成された弁金属
基体と、前記箔状の弁金属基体に、少なくとも、絶縁性
酸化皮膜、固体高分子電解質層および導電体層が、順
次、形成され、前記弁金属基体の一端部近傍領域に、表
面が粗面化されていない弁金属基体の一端部近傍領域が
電気的に接続されるように接合され、その他端部近傍領
域に、導電性金属基体の一端部近傍領域が電気的に接続
されるように接合されて陽極電極となっている固体電解
コンデンサが、絶縁性樹脂基板内部に収納された固体電
解コンデンサであり、少なくとも前記表面が粗面化され
ていない弁金属基体に複数の弁金属基体が接続されてい
るものである。
【0032】また、好ましくは前記導電性金属基体に、
複数の表面が粗面化されていない弁金属基体が接続され
ているものである。
【0033】このように、複数の弁金属基体、好ましく
は複数の表面が粗面化されていない弁金属基体を、1つ
のコンデンサユニット内に配置させ、これらを並列接続
させることで、薄型かつコンパクトで大容量のコンデン
サを提供することができる。特に、このコンデンサを基
板内部に内蔵させることにより、電子機器を薄型かつコ
ンパクトにすることができる。
【0034】図1は、本発明の好ましい実施態様にかか
る固体電解コンデンサの陽極電極の概略断面図であり、
図2はその平面図であり、そのA−A断面矢視図が図1
に相当する。
【0035】本実施態様においては、絶縁酸化皮膜形成
能を有する弁金属として、アルミニウムが用いられ、図
1および図2に示されるように、本実施態様にかかる固
体電解コンデンサの陽極電極1は、表面が粗面化(拡面
化)され、表面に、絶縁酸化皮膜である酸化アルミニウ
ム皮膜が形成された箔状のアルミニウム基体2と、表面
が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体3と、リ
ード電極を構成する金属導体として、箔状の銅基体4を
備えている。
【0036】そして、少なくとも前記表面が粗面化され
ていないアルミニウム(弁金属)基体3に複数の、図示
例では2つのアルミニウム(弁金属)基体2が接続され
ている。また、この酸化アルミニウム皮膜が形成された
アルミニウム基体2は、前記表面が粗面化されていない
アルミニウム(弁金属)基体3を丁度挟むようにして、
上下に配置されている。
【0037】図1および図2に示されるように、本実施
態様にかかる陽極電極は、表面が粗面化され、表面に、
酸化アルミニウム皮膜が形成された2つの箔状のアルミ
ニウム基体2の一端部領域に、表面が粗面化されていな
い箔状のアルミニウム基体3の一端部領域が、超音波溶
接によって、弁金属間が電気的に接続されるように、接
合されている。さらに、前記表面が粗面化されていない
箔状のアルミニウム基体3の他端部領域には、箔状の銅
基体4の一端部領域が、超音波溶接によって、金属間が
電気的に接続されるように、接合されて、形成されてい
る。
【0038】陽極電極の形成にあたっては、まず、所定
寸法に切断されたリード電極を構成すべき箔状の銅基体
4と、アルミニウム箔シートから、所定寸法に切り出さ
れ、表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体
3が、それぞれ、所定面積の端部領域が互いに重なり合
うように、重ね合わされる。
【0039】次いで、互いに重ね合わされている箔状の
銅基体4の端部領域と、箔状のアルミニウム基体3の端
部領域とが、超音波溶接によって、接合されて、溶接接
合部5が形成される。箔状のアルミニウム基体3の表面
に、酸化アルミニウム皮膜が形成されている場合でも、
超音波溶接によって、接合することによって、酸化アル
ミニウム皮膜が除去され、金属間が電気的に接続される
ように、箔状の銅基体4の端部領域と、箔状のアルミニ
ウム基体3の端部領域とが接合される。ここに、互いに
重なり合う箔状の銅基体4の端部領域および箔状のアル
ミニウム基体3の端部領域の面積は、接合部が、所定の
強度を有するように決定される。
【0040】その後、表面が粗面化され、表面に酸化ア
ルミニウム皮膜が形成されている所定寸法の箔状のアル
ミニウム基体2が、アルミニウム箔シートから切り出さ
れ、箔状の銅基体4と箔状のアルミニウム基体3の接合
体の表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体
3と、それぞれ、所定面積の端部領域が互いに重なり合
うように、このアルミニウム基体3を挟むようにして上
下に2枚重ね合わされる。
【0041】次いで、互いに重ね合わされている表面が
粗面化され、表面に酸化アルミニウム皮膜が形成された
2枚の箔状のアルミニウム基体2の端部領域と、表面が
粗面化されていない箔状のアルミニウム基体3の端部領
域とが、超音波溶接によって、接合されて、溶接接合部
6が生成される。ここに、超音波溶接によって、接合す
ることにより、箔状のアルミニウム基体2の表面に形成
されている酸化アルミニウム皮膜が除去され、アルミニ
ウム純金属間が電気的に接続されるように、表面が粗面
化されていない箔状のアルミニウム基体3の端部領域
と、表面が粗面化されている箔状のアルミニウム基体2
の端部領域とが接合される。ここに、互いに重なり合う
箔状のアルミニウム基体3の端部領域および箔状のアル
ミニウム基体2の端部領域の面積は、接合部が、所定の
強度を有するように決定される。
【0042】また、アルミニウム基体3に、表面に酸化
アルミニウム皮膜が形成された2枚の箔状のアルミニウ
ム基体2が同時に接合されるので、工程が増加すること
もない。
【0043】図3は、本発明の他の実施態様を示した、
固体電解コンデンサの陽極電極の概略断面図である。こ
の例では、2枚の表面が粗面化されていない箔状のアル
ミニウム基体3が、リード電極を構成する金属導体であ
る箔状の銅基体4に、これを挟み込むようにして接続さ
れている。また、表面が粗面化されていないアルミニウ
ム(弁金属)基体3には、図1同様に、2つのアルミニ
ウム(弁金属)基体2が接続されている。このとき、箔
状の銅基体4には、表面が粗面化されていない箔状のア
ルミニウム基体3が2枚、アルミニウム(弁金属)基体
2が4枚接続されることになる。また、表面が粗面化さ
れていない箔状のアルミニウム基体3は、図示例のよう
に、その先に接続されるアルミニウム(弁金属)基体2
同士が干渉しないようにある程度変形させてもよい。
【0044】このように、アルミニウム(弁金属)基体
2が4倍になり、コンデンサとしての有効面積も4倍に
なるので、さらに高容量のコンデンサを得ることができ
る。その他の構成は、図1,2と同様であり、同一構成
要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0045】なお、上記例では、複数の粗面化されてい
ない箔状のアルミニウム基体3、アルミニウム(弁金
属)基体2が、それぞれ箔状の銅基体4、複数の粗面化
されていない箔状のアルミニウム基体3の両面に接続さ
れている状態を例示したが、一方の面にそれぞれが接触
・干渉しないように取り付け部分を屈曲させて接続して
もよいし、一方の面あるいは両面にそのように接続する
ことで、2枚以上を接続するようにしてもよい。この場
合でも、好ましい取り付け枚数は3枚程度である。
【0046】また、各弁金属基体2は、粗面化されてい
ない箔状のアルミニウム基体3、銅基体4を介して電気
的に接続されるため、それぞれの弁金属基体で形成され
るコンデンササブユニットは、電気的、等価回路的に並
列接続された状態となり、見かけ上高容量のコンデンサ
として機能する。しかも、積層コンデンサが並列接続さ
れているため、インピーダンスの上昇もなく、高周波特
性も良好になる。
【0047】複数のアルミニウム(弁金属)基体2同士
は、相互に干渉しない程度に離間されていることが好ま
しい。この場合、2つのアルミニウム(弁金属)基体2
の離間距離は好ましくは50〜200μm 、特に80〜
150μm 程度である。
【0048】図4は、固体電解コンデンサの略断面図で
ある。なお、この図では、構造の理解を容易にするため
に弁金属基体2は1枚のみ記載されているが、実際には
図1〜3に示すように複数枚存在する。
【0049】図4に示されるように、固体電解コンデン
サ10は、陽極電極1の表面が粗面化され、酸化アルミ
ニウム皮膜9が形成されている箔状のアルミニウム基体
2の全表面上に、固体高分子電解質層11、グラファイ
トペースト層12および銀ペースト層13からなる陰極
電極14を備えている。
【0050】導電性高分子化合物を含む固体高分子電解
質層11は、陽極電極1の表面が粗面化され、酸化アル
ミニウム皮膜が形成されている箔状のアルミニウム基体
2の全表面上に、化学酸化重合あるいは電解酸化重合に
よって形成され、グラファイトペースト層12および銀
ペースト層13は、固体高分子電解質層11上に、スク
リーン印刷法、スプレー塗布法、あるいはディッピング
法によって形成される。
【0051】こうして生成された固体電解コンデンサ1
0は、一対の絶縁性樹脂基板の間に、固定されて、特願
2001−95055号に記載されているような手法に
より、基板に内蔵され、固体電解コンデンサ内蔵基板と
される。
【0052】図5は、固体電解コンデンサ内蔵基板の分
解斜視図、図6は、図5のB−B’略断面矢視図であ
る。
【0053】図5,6に示されるように、固体電解コン
デンサ内蔵基板20は、互いに対向する第1の絶縁性樹
脂基板21と第2の絶縁性樹脂基板22を備え、第1の
絶縁性樹脂基板21と第2の絶縁性樹脂基板22との間
に、固体電解コンデンサ10を備えている。
【0054】第1の絶縁性樹脂基板21には、互いに対
向する2つの側部に沿って、その高さが、固体電解コン
デンサ10の厚さよりも大きいバンク、つまりスペーサ
23が形成されており、固体電解コンデンサ10は、ス
ペーサ23の間の第1の絶縁性樹脂基板21の一面上の
所定の位置に位置決めされ、接着剤29によって固定さ
れる。
【0055】本実施態様においては、スペーサ23は、
第1の絶縁性樹脂基板21および第2の絶縁性樹脂基板
22と同じ材質の基板を、その周縁部に、所定面積の部
分が残されるように打ち抜き加工して、枠状の基板を形
成し、第1の絶縁性樹脂基板21および第2の絶縁性樹
脂基板22と同じ材質の接着剤を用いて、枠状の基板を
第1の絶縁性樹脂基板に固定することによって、形成さ
れている。
【0056】第1の絶縁性樹脂基板21の他面には、配
線パターン24が形成されており、第1の絶縁性樹脂基
板21には、複数のスルーホール25が形成されてい
る。
【0057】固体電解コンデンサ10が、第1の絶縁性
樹脂基板21上の所定の位置に位置決めされて、接着剤
29によって、第1の絶縁性樹脂基板21上に固定され
ると、補強部材26が組み込まれ、第1の絶縁性樹脂基
板21に形成されたスペーサ23に当接するように、平
板状の第2の絶縁性樹脂基板22が被せられ、第1およ
び第2の絶縁性樹脂基板と同一材質の接着材を用いて第
1および第2の絶縁性樹脂基板とが接着され、固定され
る。
【0058】第2の絶縁性樹脂基板22の上面には、配
線パターン27が形成され、第2の絶縁性樹脂基板22
にも、複数のスルーホール28が形成されている。第1
の樹脂基板21と、第2の樹脂基板22を一体化する
と、それぞれの樹脂基板に形成されたそれぞれのスルー
ホールが位置的に対応するようになっている。
【0059】樹脂33は、第1の基板に形成された複数
のスルーホール25、および第2の基板に形成された複
数のスルーホール28の部分に、一端塞ぐように注入さ
れ、硬化される。樹脂33が硬化した後、スルーホール
25aと、スルーホール28とが貫通するように加工さ
れる。その結果、固体電解コンデンサ内蔵基板20が生
成される。
【0060】さらに、第1の絶縁性樹脂基板21の下面
および第2の絶縁性樹脂基板22の上面には、電子部品
30が搭載され、そのコンタクトが、配線パターン2
4、27に電気的に接続される。
【0061】第1の絶縁性樹脂基板21は、それぞれ、
固体電解コンデンサ10の陽極電極1の箔状の銅基体4
に対応する位置に、スルーホール25bを備えており、
スルーホール25cを介して、固体電解コンデンサ10
の陰極電極14を目視によって、確認することができる
ように構成されている。
【0062】スルーホール25bを介して、固体電解コ
ンデンサ10の陽極電極1が、第1の絶縁性樹脂基板2
1に形成された配線パターン24あるいは第2の絶縁性
樹脂基板22に形成された配線パターン27と、電気的
に接続され、固体電解コンデンサ10の陰極電極14
が、スルーホール25cを介して第1の絶縁性樹脂基板
21に形成された配線パターン24と、電気的に接続さ
れる。
【0063】図6においては、第1の絶縁性樹脂基板2
1に形成された配線パターン24と、固体電解コンデン
サ10の陽極電極1を構成する箔状の銅基体4とが、ス
ルーホール25bを介して、ハンダ31によって、電気
的に接続され、その一方で、第1の絶縁性樹脂基板21
に形成された配線パターン24と、固体電解コンデンサ
10の陰極電極14が、スルーホール25cに充填され
た導電性樹脂32によって、電気的に接続された例が示
されている。
【0064】このように、本発明によれば、基板内部に
高容量の固体電解コンデンサを収納することができ、従
来、基板上に搭載されていた大容量のコンデンサに置き
換えることができるので、このような大容量コンデンサ
が必要としていた収納空間を大幅に減少させることがで
き、その分電子機器を小型、薄型にできる。
【0065】本発明の固体電解質コンデンサは、表面が
粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成された複数の弁金属
基体の一端部近傍領域に、表面が粗面化されていない弁
金属基体の一端部近傍領域が電気的に接続されるように
接合され、表面が粗面化されていない弁金属基体、好ま
しくは複数の弁金属基体の他端部近傍領域に、さらに、
導電性金属基体の一端部近傍領域が電気的に接続される
ように接合されて、陽極電極が構成されている。
【0066】このため、陽極酸化により、表面が粗面化
された弁金属基体の絶縁性酸化皮膜が形成されていない
エッジ部分に絶縁性酸化皮膜を形成しても、化成溶液
は、表面が粗面化された弁金属基体の一端部近傍領域
と、表面が粗面化されていない弁金属基体の一端部近傍
領域との接合部を越えて、導電性金属基体に達すること
がない。したがって、表面が粗面化された弁金属基体の
一端部近傍領域と、表面が粗面化されていない弁金属基
体の一端部近傍領域との接合部に、絶縁性酸化皮膜が形
成された時点で、電流は流れなくなって、陽極酸化が完
了する。
【0067】このため、表面が粗面化された箔状の弁金
属基体のエッジ部分に、所望のように、絶縁性酸化皮膜
を形成することができる。さらに、固体電解コンデンサ
を回路基板に内蔵させた後に、表面が粗面化されていな
い箔状の弁金属基体の表面に、経時的に、絶縁性酸化皮
膜が形成されても、導電性金属に、回路基板に搭載され
る他の電子部品とのコンタクトを設けることによって、
所望のインピーダンス特性を有する固体電解コンデンサ
を、回路基板に内蔵させることが可能になる。
【0068】また、表面が粗面化されていない前記弁金
属基体に、絶縁性かつ疎水性の表面領域を形成してもよ
い。
【0069】このように、弁金属基体に、絶縁性かつ疎
水性の表面領域を形成することで、陽極酸化の際に、化
成溶液が、電子部品とのコンタクトを形成する箔状の導
電性金属基体に達することを、より一層確実に防止する
ことができる。また、化学酸化重合によって、固体高分
子電解質層を形成する際に、原料モノマー溶液や酸化剤
溶液が、電子部品とのコンタクトを形成する箔状の導電
性金属基体に達することを確実に防止することが可能に
なる。
【0070】本発明において、弁金属基体は、絶縁酸化
皮膜形成能を有する金属およびその合金よりなる群から
選ばれる金属または合金によって形成される。好ましい
弁金属としては、アルミニウム、タンタル、チタン、ニ
オブおよびジルコニウムよりなる群から選ばれる1種の
金属または2種以上の金属の合金が挙げられ、これらの
中でも、アルミニウムおよびタンタルが、とくに好まし
い。陽極電極は、通常、これらの金属あるいは合金を、
箔状に加工して、形成される。
【0071】本発明において、導電性金属の材料は、導
電性を有する金属または合金であればよく、とくに限定
されるものではないが、好ましくは、ハンダ接続が可能
であり、とくに、銅、真鍮、ニッケル、亜鉛およびクロ
ムよりなる群から選ばれる1種の金属または2種以上の
金属の合金から選択されることが好ましく、これらの中
では、電気的特性、後工程での加工性、コストなどの観
点から、銅が最も好ましく使用される。
【0072】導電性金属の厚みとしては、所定の強度
と、導電性を確保できる厚みであればよい。具体的には
0.02〜0.2mm、特に0.05〜0.1mm程度であ
る。
【0073】こうして、形成された陽極電極1は、誘電
体を構成する表面が粗面化され、表面に酸化アルミニウ
ム皮膜が形成された箔状のアルミニウム基体2が、アル
ミニウム箔シートから切り出されたものであるため、そ
のエッジ部には、酸化アルミニウム皮膜が形成されては
おらず、固体電解コンデンサの陽極電極として用いるた
めには、表面が粗面化されている箔状のアルミニウム基
体2のエッジ部に、陽極酸化によって、酸化アルミニウ
ム皮膜を形成することが必要である。
【0074】図7は、表面が粗面化されている箔状のア
ルミニウム基体2のエッジ部に、酸化アルミニウム皮膜
を形成する陽極酸化方法を示す略断面図である。
【0075】図7に示されるように、ステンレスビーカ
ー7中に収容されたアジピン酸アンモニウム水溶液より
なる化成溶液8中に、表面が粗面化された箔状のアルミ
ニウム基体2の全体と、表面が粗面化されていない箔状
のアルミニウム基体3の一部が浸漬されるように、陽極
電極1がセットされ、箔状の銅基体4がプラスに、ステ
ンレスビーカー7がマイナスになるように、電圧が印加
される。
【0076】使用電圧は、形成すべき酸化アルミニウム
皮膜の膜厚に応じて、適宜決定することができ、10nm
〜1μmの膜厚を有する酸化アルミニウム皮膜を形成す
るときは、通常、数ボルト〜20ボルト程度に設定され
る。
【0077】その結果、陽極酸化が開始され、化成溶液
8は、箔状のアルミニウム基体2の表面が粗面化されて
いるため、毛細管現象によって、上昇するが、箔状のア
ルミニウム基体3の表面は粗面化されていないため、表
面が粗面化されている箔状のアルミニウム基体2と、表
面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体3の接
合部を越えて、上昇することはなく、したがって、リー
ド電極を構成する箔状の銅基体4に化成溶液8が接触す
ることが確実に防止され、エッジ部を含む表面が粗面化
されている箔状のアルミニウム基体2の全表面および表
面が粗面化されている箔状のアルミニウム基体2に接合
された表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基
体3の領域のみに、酸化アルミニウム皮膜が形成され
る。
【0078】こうして、生成された陽極電極1の表面が
粗面化され、酸化アルミニウム皮膜が形成されている箔
状のアルミニウム基体2の全表面上に、公知の方法で、
陰極電極が形成され、固体電解コンデンサが生成され
る。
【0079】本発明において、固体高分子電解質層は、
導電性高分子化合物を含有し、好ましくは、化学酸化重
合あるいは電解酸化重合によって、表面が粗面化され、
絶縁性酸化皮膜が形成された箔状の弁金属基体上に、形
成される。
【0080】化学酸化重合によって、固体高分子電解質
層を形成する場合、具体的には、固体高分子電解質層
は、たとえば、以下のようにして、表面が粗面化され、
絶縁性酸化皮膜が形成された箔状の弁金属基体上に、形
成される。
【0081】まず、表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜
が形成された箔状の弁金属基体上のみに、0.001な
いし2.0モル/リットルの酸化剤を含む溶液、あるい
は、さらに、ドーパント種を与える化合物を添加した溶
液を、塗布、噴霧などの方法によって、均一に付着させ
る。
【0082】次いで、好ましくは、少なくとも0.01
モル/リットルの導電性高分子化合物の原料モノマーを
含む溶液あるいは導電性高分子化合物の原料モノマー自
体を、箔状の弁金属基体の表面に形成された絶縁性酸化
皮膜に、直接接触させる。これによって、原料モノマー
が重合し、導電性高分子化合物が合成され、箔状の弁金
属基体の表面に形成された絶縁性酸化皮膜上に、導電性
高分子化合物よりなる固体高分子電解質層が形成され
る。
【0083】本発明において、固体高分子電解質層に含
まれる導電性高分子化合物としては、置換または非置換
のπ共役系複素環式化合物、共役系芳香族化合物および
ヘテロ原子含有共役系芳香族化合物よりなる群から選ば
れる化合物を、原料モノマーとするものが好ましく、こ
れらのうちでは、置換または非置換のπ共役系複素環式
化合物を、原料モノマーとする導電性高分子化合物が好
ましく、さらに、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチ
オフェン、ポリフランおよびこれらの誘導体よりなる群
から選ばれる導電性高分子化合物、とくに、ポリアニリ
ン、ポリピロール、ポリエチレンジオキシチオフェンが
好ましく使用される。
【0084】本発明において、固体高分子電解質層に好
ましく使用される導電性高分子化合物の原料モノマーの
具体例としては、未置換アニリン、アルキルアニリン
類、アルコキシアニリン類、ハロアニリン類、o−フェ
ニレンジアミン類、2,6−ジアルキルアニリン類、
2,5−ジアルコキシアニリン類、4,4’−ジアミノ
ジフェニルエーテル、ピロール、3−メチルピロール、
3−エチルピロール、3−プロピルピロール、チオフェ
ン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、
3,4−エチレンジオキシチオフェンなどを挙げること
ができる。
【0085】本発明において、化学酸化重合に使用され
る酸化剤は、とくに限定されるものではないが、たとえ
ば、ヨウ素、臭素、ヨウ化臭素などのハロゲン化物、五
フッ化珪素、五フッ化アンチモン、四フッ化珪素、五塩
化リン、五フッ化リン、塩化アルミニウム、塩化モリブ
デンなどの金属ハロゲン化物、硫酸、硝酸、フルオロ硫
酸、トリフルオロメタン硫酸、クロロ硫酸などのプロト
ン酸、三酸化イオウ、二酸化窒素などの酸素化合物、過
硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム
などの過硫酸塩、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、
過酢酸、ジフルオロスルホニルパーオキサイドなどの過
酸化物が、酸化剤として使用される。
【0086】本発明において、必要に応じて、酸化剤に
添加されるドーパント種を与える化合物としては、たと
えば、LiPF6 、LiAsF6 、NaPF6 、KPF
6 、KAsF6 などの陰イオンがヘキサフロロリンアニ
オン、ヘキサフロロ砒素アニオンであり、陽イオンがリ
チウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属カチ
オンである塩、LiBF4 、NaBF4 、NH4BF
4 、(CH34NBF4、(n−C494NBF4 など
の四フッ過ホウ素塩化合物、p−トルエンスルホン酸、
p−エチルベンゼンスルホン酸、P−ヒドロキシベンゼ
ンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、メチルス
ルホン酸、ドデシルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、
βーナフタレンスルホン酸などのスルホン酸またはその
誘導体、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、2,
6−ナフタレンジスルホン酸ナトリウム、トルエンスル
ホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸テトラブチルア
ンモニウムなどのスルホン酸またはその誘導体の塩、塩
化第二鉄、臭化第二鉄、塩化第二銅、集荷第二銅などの
金属ハロゲン化物、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、硫
酸、リン酸、硝酸あるいはこれらのアルカリ金属塩、ア
ルカリ土類金属塩もしくはアンモニウム塩、過塩素酸、
過塩素酸ナトリウムなどの過ハロゲン酸もしくはその塩
などのハロゲン化水素酸、無機酸またはその塩、酢酸、
シュウ酸、蟻酸、酪酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、フ
タル酸、マレイン酸、安息香酸、サリチル酸、ニコチン
酸などのモノもしくはジカルボン酸、芳香族複素環式カ
ルボン酸、トリフルオロ酢酸などのハロゲン化されたカ
ルボン酸およびこれらの塩などのカルボン酸類を挙げる
ことができる。
【0087】本発明において、これらの酸化剤およびド
ーパント種を与えることのできる化合物は、水や有機溶
媒などに溶解させた適当な溶液の形で使用される。溶媒
は、単独で使用しても、2種以上を混合して、使用して
もよい。混合溶媒は、ドーパント種を与える化合物の溶
解度を高める上でも有効である。混合溶媒としては、溶
媒間に相溶性を有するものおよび酸化剤およびドーパン
ト種を与えることのできる化合物と相溶性を有するもの
が好ましい。溶媒の具体例としては、有機アミド類、含
硫化合物、エステル類、アルコール類が挙げられる。
【0088】一方、電解酸化重合によって、固体高分子
電解質層を、表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成
された弁金属基体上に形成する場合には、公知のよう
に、導電性下地層を作用極として、対向電極とともに、
導電性高分子化合物の原料モノマーと支持電解質を含ん
だ電解液中に浸漬し、電流を供給することによって、固
体高分子電解質層が形成される。
【0089】具体的には、表面が粗面化され、絶縁性酸
化皮膜が形成された箔状の弁金属基体上に、好ましく
は、化学酸化重合によって、まず、薄層の導電性下地層
が形成される。導電性下地層の厚さは、一定の重合条件
のもとで、重合回数を制御することによって、制御され
る。重合回数は、原料モノマーの種類によって決定され
る。
【0090】導電性下地層は、金属、導電性を有する金
属酸化物、導電性高分子化合物のいずれから構成しても
よいが、導電性高分子化合物から構成することが好まし
い。導電性下地層を構成するための原料モノマーとして
は、化学酸化重合に用いられる原料モノマーを用いるこ
とができ、導電性下地層に含まれる導電性高分子化合物
は、化学酸化重合によって形成される固体高分子電解質
層に含まれる導電性高分子化合物と同様である。
【0091】導電性下地層を構成するための原料モノマ
ーとして、エチレンジオキシチオフェン、ピロールを用
いる場合は、化学酸化重合のみで高分子固体電解質層を
形成する場合に生成される導電性高分子の全量の10%
〜30%(質量比)程度の導電性高分子が生成する条件
になるように重合回数を換算して、導電性下地層が形成
すればよい。
【0092】その後、導電性下地層を作用極として、対
向電極とともに、導電性高分子化合物の原料モノマーと
支持電解質を含んだ電解液中に浸漬し、電流を供給する
ことによって、導電性下地層上に、固体高分子電解質層
が形成される。
【0093】電解液には、必要に応じて、導電性高分子
化合物の原料モノマーおよび支持電解質に加えて、種々
の添加剤を添加することができる。
【0094】固体高分子電解質層に使用することのでき
る導電性高分子化合物は、導電性下地層に使用される導
電性高分子化合物、したがって、化学酸化重合に用いら
れる導電性高分子化合物と同様であり、置換または非置
換のπ共役系複素環式化合物、共役系芳香族化合物およ
びヘテロ原子含有共役系芳香族化合物よりなる群から選
ばれる化合物を、原料モノマーとする導電性高分子化合
物が好ましく、これらのうちでは、置換または非置換の
π共役系複素環式化合物を、原料モノマーとする導電性
高分子化合物が好ましく、さらに、ポリアニリン、ポリ
ピロール、ポリチオフェン、ポリフランおよびこれらの
誘導体よりなる群から選ばれる導電性高分子化合物、と
くに、ポリアニリン、ポリピロール、ポリエチレンジオ
キシチオフェンが好ましく使用される。
【0095】支持電解質は、組み合わせるモノマーおよ
び溶媒に応じて、選択されるが、支持電解質の具体例と
しては、たとえば、塩基性の化合物としては、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸
ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが、酸性の化合物
としては、硫酸、塩酸、硝酸、臭化水素、過塩素酸、ト
リフルオロ酢酸、スルホン酸などが、塩としては、塩化
ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化カリウム、塩化カ
リウム、硝酸カリウム、過ヨウ酸ナトリウム、過塩素酸
ナトリウム、過塩素酸リチウム、ヨウ化アンモニウム、
塩化アンモニウム、四フッ化ホウ素塩化合物、テトラメ
チルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウ
ムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、
テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルア
ンモニウムパークロライド、テトラブチルアンモニウム
パークロライド、テトラメチルアンモニウム、D−トル
エンスルホン酸クロライド、ポリジサリチル酸トリエチ
ルアミン、10−カンファースルホン酸ナトリウムなど
が、それぞれ、挙げられる。
【0096】本発明において、支持電解質の溶解濃度
は、所望の電流密度が得られるように設定すればよく、
とくに限定されないが、一般的には、0.05ないし
1.0モル/リットルの範囲内に設定される。
【0097】本発明において、電解酸化重合で用いられ
る溶媒は、とくに限定されるものではなく、たとえば、
水、プロトン性溶媒、非プロトン性溶媒またはこれらの
溶媒を2種以上を混合した混合溶媒から、適宜選択する
ことができる。混合溶媒としては、溶媒間に相溶性を有
するものならびにモノマーおよび支持電解質と相溶性を
有するものが好ましく使用できる。
【0098】本発明において使用されるプロトン性溶媒
の具体例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、メタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、tert−ブチルアルコール、メチルセロソルブ、
ジエチルアミン、エチレンジアミンなどを挙げることが
できる。
【0099】また、非プロトン性溶媒の具体例として
は、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、二硫化炭
素、アセトニトリル、アセトン、プロピレンカーボネー
ト、ニトロメタン、ニトロベンゼン、酢酸エチル、ジエ
チルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタ
ン、ジオキサン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,
N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、ジメチルスルホ
キシドなどが挙げられる。
【0100】本発明において、電解酸化重合によって、
固体高分子電解質層を形成する場合には、定電圧法、定
電流法、電位掃引法のいずれを用いてもよい。また、電
解酸化重合の過程で、定電圧法と定電流法を組み合わせ
て、導電性高分子化合物を重合することもできる。電流
密度は、とくに限定されないが、最大で、500mA/cm
2 程度である。
【0101】本発明において、化学酸化重合時あるいは
電解酸化重合時に、特開2000−100665号公報
に開示されるように、超音波を照射しつつ、導電性高分
子化合物を重合することもできる。超音波を照射しつ
つ、導電性高分子化合物を重合する場合には、得られる
固体高分子電解質層の膜質を改善することが可能にな
る。
【0102】本発明において、固体高分子電解質層の最
大厚さは、エッチングなどによって形成された陽極電極
表面の凹凸を完全に埋めることができるような厚さであ
ればよく、とくに限定されないが、一般に、5〜100
μm 程度である。
【0103】本発明において、固体電解コンデンサは、
さらに、固体高分子電解質層上に、陰極として機能する
導電体層を備えており、導電体層としては、グラファイ
トペースト層および銀ペースト層を設けることができ、
グラファイトペースト層および銀ペースト層は、スクリ
ーン印刷法、スプレー塗布法、ディッピング法などによ
って形成することができる。銀ペースト層のみによっ
て、固体電解コンデンサの陰極を形成することもできる
が、グラファイトペースト層を形成する場合には、銀ペ
ースト層のみによって、固体電解コンデンサの陰極を形
成する場合に比して、銀のマイグレーションを防止する
ことができる。
【0104】陰極として、グラファイトペースト層およ
び銀ペースト層を形成するにあたっては、メタルマスク
などによって、粗面化処理が施され、絶縁酸化皮膜が形
成された箔状の弁金属基体に対応する部分を除いた部分
がマスクされ、粗面化処理が施され、絶縁酸化皮膜が形
成された箔状の弁金属基体に対応する部分にのみ、グラ
ファイトペースト層および銀ペースト層が形成される。
【0105】本発明において、固体電解コンデンサは、
好ましくは一方の面に、少なくとも1つの配線パターン
が形成された1つの絶縁性樹脂基板の他方の面側に固定
され、あるいは、それぞれ、一方の面に、少なくとも1
つの配線パターンが形成された互いに対向する一対の絶
縁性樹脂基板の他方の面の間に固定される。
【0106】本発明において、絶縁性樹脂基板の材料
は、とくに限定されないが、樹脂として、接着性や耐溶
剤性などが良好なフェノール樹脂、ポリイミド樹脂、エ
ポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などによって形成するこ
とができる。
【0107】
【実施例】以下、本発明の効果をより一層明らかなもの
とするため、実施例および比較例を掲げる。
【0108】〔実施例1〕固体高分子電解質層を有する
固体電解コンデンサを、以下のようにして、作製した。
【0109】銅箔シートから、0.5cm×2cmの寸法で
切り出された厚さ60μmの銅箔と、アルミニウム箔シ
ートから、0.8cm×2cmの寸法で切り出された粗面化
処理が施されていない厚さ60μm のアルミニウム箔
を、それぞれの一端部領域が3mmだけ重なり合うよう
に、重ね合わせ、それぞれの一端部領域が重なり合った
部分を、日本エマソン株式会社ブランソン事業本部製の
40kHz −超音波溶接機によって、接合するとともに、
電気的に接続して、銅箔と粗面化処理が施されていない
アルミニウム箔の接合体を形成した。
【0110】次いで、酸化アルミニウム皮膜が形成さ
れ、粗面化処理が施されている厚さ100μmのアルミ
ニウム箔シートから、1.3cm×2cmの寸法で、アルミ
ニウム箔を切り出し、その端部領域が、粗面化処理が施
されていないアルミニウム箔の他端部領域と3mmだけ重
なり合うように、銅箔の両面に、粗面化処理が施されて
いないアルミニウム箔の接合体に2枚重ね合わせた。こ
のとき、2枚の弁金属基体同士の離間距離が、100μ
m となるように調整した。次いで、それぞれの端部領域
が重なり合った部分を、日本エマソン株式会社ブランソ
ン事業本部製の40kHz−超音波溶接機によって、接
合するとともに、電気的に接続して、銅箔、粗面化処理
が施されていないアルミニウム箔および粗面化処理が施
されているアルミニウム箔の接合体を形成した。
【0111】さらに、7重量%の濃度で、6.0のpHに
調整されたアジピン酸アンモニウム水溶液中に、酸化ア
ルミニウム皮膜が形成され、粗面化処理が施されている
アルミニウム箔が完全に浸漬されるように、こうして得
られた接合体を、アジピン酸アンモニウム水溶液中にセ
ットした。この際、粗面化処理が施されていないアルミ
ニウム箔の一部も、アジピン酸アンモニウム水溶液中に
浸されたが、銅箔は、アジピン酸アンモニウム水溶液と
接触させなかった。
【0112】接合体側を陽極とし、化成電流密度が50
ないし100mA/cm2、化成電圧が25ボルトの条件下
で、アジピン酸アンモニウム水溶液中に浸漬されている
アルミニウム箔の表面を酸化させ、酸化アルミニウム皮
膜を形成して、陽極電極を作製した。
【0113】次いで、作製された陽極電極をアジピン酸
アンモニウム水溶液から引き上げ、陽極電極の粗面化処
理が施されているアルミニウム箔の表面上に、化学酸化
重合によって、ポリピロールからなる固体高分子電解質
層を形成した。
【0114】ここに、ポリピロールからなる固体高分子
電解質層は、蒸留精製した0.1モル/リットルのピロ
ールモノマー、0.1モル/リットルのアルキルナフタ
レンスルホン酸ナトリウムおよび0.05モル/リット
ルの硫酸鉄(III)を含むエタノール水混合溶液セル中
に、粗面化処理が施され、酸化アルミニウム皮膜が形成
されたアルミニウム箔のみが浸漬されるように、陽極電
極をセットし、30分間にわたって、攪拌し、化学酸化
重合を進行させ、同じ操作を3回にわたって、繰り返し
て、生成した。その結果、最大厚さが、約50μm の固
体高分子電解質層が形成された。
【0115】さらに、こうして得られた固体高分子電解
質層の表面に、カーボンペーストを塗布し、さらに、カ
ーボンペーストの表面に、銀ペーストを塗布して、陰極
電極を形成し、固体電解コンデンサを作製した。
【0116】一方、厚さ18μm の銅箔が、両面に貼り
合わされた厚さ0.5mmで、3cm×4.5cmのサイズを
有する2枚のガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板
を、以下のようにして、準備した。
【0117】銅箔面には、電気回路を形成するために、
銅箔の不要部分を化学的にエッチングし、所定の配線パ
ターンを形成した。ただし、固体電解コンデンサが固定
されるべき側の基板面の銅箔はすべて、化学的にエッチ
ングして、除去した。
【0118】さらに、内蔵されるべき固体電解コンデン
サの陽極電極および陰極電極に対応するガラスクロス含
有エポキシ樹脂絶縁性基板の位置に、それぞれ、スルー
ホールを形成し、スルーホールと、エッチングされた銅
箔パターン上に、無電解メッキによって、3μmのニッ
ケルメッキを施し、さらに、その上に、0.08μmの
金メッキを施した。
【0119】搭載される各種電子部品のためのスルーホ
ールを、さらに、ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性
基板に形成した。
【0120】一方、2枚の基板と同じガラスクロス含有
エポキシ樹脂よりなる厚さ600μm の基板を、3cm×
4.5cmの寸法に加工し、加工した基板の周囲に幅3mm
の領域を残して、内側部分を、打ち抜き加工により、除
去して、バンク形成用基板を作製した。
【0121】さらに、2枚の基板と同じガラスクロス含
有エポキシ樹脂よりなる厚み50μm の2枚のエポキシ
プリプレグを、3cm×4.5cmの寸法に加工し、加工し
た基板の周囲に幅3mmの領域を残して、内側部分を、打
ち抜き加工によって、除去した。
【0122】打ち抜き加工され、内側部分が除去された
バンク形成用基板と、ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶
縁性基板の一方の銅箔が除去された表面とを、上述のよ
うに加工された厚さ50μmのエポキシプリプレグの一
方を介して、密着させ、真空ホットプレス装置を用い
て、加圧および減圧下において、40分間にわたって、
175℃に保持し、エポキシプリプレグを硬化させて、
ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板と、内側部分
が除去された基板とを固定し、凹部空間を備えた絶縁性
基板を得た。
【0123】2枚のガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁
性基板の他方の銅箔が除去された表面に、固体電解コン
デンサの陽極電極および陰極電極が、絶縁性基板に形成
されたスルーホールに対応する位置に位置するように、
シリコーン系接着剤を用いて、固体電解コンデンサを固
定した。
【0124】次いで、固体電解コンデンサが固定された
ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板上に、一方の
面に、凹部空間が形成されたガラスクロス含有エポキシ
樹脂絶縁性基板を、上述のように加工された厚さ50μ
mの他方のエポキシプリプレグを介して、固体電解コン
デンサが、凹部空間内に収容されるように、重ね合わ
せ、密着させた。
【0125】こうして、密着された2枚の絶縁性基板
を、真空ホットプレス装置を用いて、加圧および減圧下
で、40分間にわたり、175℃に保持し、エポキシプ
リプレグを硬化させて、2枚のガラスクロス含有エポキ
シ樹脂絶縁性基板の間を固定した。
【0126】ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板
の冷却後、ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板の
それぞれに形成されたスルーホールを介して、ガラスク
ロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板の表面に形成されてい
る配線パターンと、内蔵化された固体電解コンデンサの
陽極電極の銅箔よりなるリード電極および陰極電極と
を、ハンダおよび導電性接着剤によって、電気的に接続
して、固体電解コンデンサ内蔵プリント基板を得た。
【0127】また、上記弁金属基体を1枚のみ接続した
比較サンプルも同様に作製した。
【0128】こうして作製された固体電解コンデンサ内
蔵プリント基板の電気的特性を、アジレントテクノロジ
ー社製インピーダンスアナライザー4294Aを用い
て、評価した。
【0129】その結果、120Hzでの静電容量は14
4μFであり、100kHzでのESRは25mΩであっ
た。また、常温で、10ボルトの電圧を印加した際の漏
れ電流(5分値)は、0.09μAであった。得られた
静電容量値は、比較サンプルの略倍の値であった。
【0130】さらに、固体電解コンデンサが内蔵された
プリント基板サンプルを、125℃の恒温条件下で、1
000時間にわたって、放置し、全く同様にして、電気
的特性を評価したところ、120Hzでの静電容量は1
40μFであり、100kHzでのESRは26.5m
Ωであった。さらに、常温で、10ボルトの電圧を印加
した際の漏れ電流(5分値)は、0.10μAであっ
た。
【0131】〔実施例2〕実施例1において、0.5cm
×2cmの寸法で切り出された厚さ60μmの銅箔の両面
に、アルミニウム箔シートから、0.8cm×2cmの寸法
で切り出された粗面化処理が施されていない厚さ60μ
m のアルミニウム箔を2枚、実施例1と同様にして接続
した。その他は実施例1と同様にして固体電解質コンデ
ンサを得た。なお、この場合にもそれぞれの弁金属基体
同士の離間距離が100μm 程度となるように調整し
た。
【0132】得られたサンプルについて、実施例1と同
様に評価した。その結果、120Hzでの静電容量値は
289μFであり、100kHzでのESRは30mΩで
あった。また、常温で10Vの電圧を印加した際の漏れ
電流(5分値)は、0.15μAであった。得られた静
電容量値は、比較サンプルの略4倍の値であることがわ
かった。
【0133】さらに、固体電解コンデンサが内蔵された
プリント基板サンプルを、125℃の恒温条件下で、1
000時間にわたって放置し、その後上記と同様にして
評価した。その結果、120Hzでの静電容量値は28
9μFであり、100kHzでのESRは30mΩであっ
た。また、常温で10Vの電圧を印加した際の漏れ電流
(5分値)は、0.15μAであった。
【0134】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、固体電解
コンデンサが内蔵されたプリント基板において、電極の
平面面積を拡大することなく、表面が粗面化され、絶縁
性酸化膜が形成された箔状の弁金属基体を積層すること
ができるので、プリント基板面積を拡大することなく、
電解コンデンサの静電容量の大容量化を図ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施態様である固体電解コン
デンサの陽極電極の概略断面図である。
【図2】本発明の好ましい実施態様である固体電解コン
デンサの陽極電極の概略平面図である。
【図3】本発明の他の好ましい実施態様である固体電解
コンデンサの陽極電極の概略断面図である。
【図4】固体電解コンデンサの略断面図である。
【図5】本発明の固体電解コンデンサ内蔵基板の基本構
成を示す分解斜視図である。
【図6】固体電解コンデンサ内蔵プリント基板の略断面
図である。
【図7】弁金属基体のエッジ部に、酸化アルミニウム皮
膜を形成する陽極酸化方法を示す略断面図である。
【符号の説明】
1 陽極電極 2 表面が粗面化され、酸化皮膜が形成された箔状の
アルミニウム基体 3 表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基
体 4 箔状の銅基体 5 溶接接合部 6 溶接接合部 7 ステンレスビーカー 8 化成溶液 9 酸化アルミニウム皮膜 10 固体電解コンデンサ 11 固体高分子電解質層 12 グラファイトペースト層 13 銀ペースト層 14 陰極電極 20 固体電解コンデンサ内蔵プリント基板 21 第1の絶縁性樹脂基板 22 第2の絶縁性樹脂基板 23 第1の絶縁性樹脂基板のバンク 24 配線パターン 25 スルーホール 26 樹脂 27 配線パターン 28 スルーホール 29 接着剤 30 電子部品 31 ハンダ 32 導電性樹脂 33 樹脂

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形
    成された弁金属基体と、この弁金属基体に、少なくと
    も、絶縁性酸化皮膜、固体高分子電解質層および導電体
    層が、順次、形成され、 前記弁金属基体の一端部近傍領域に、表面が粗面化され
    ていない弁金属基体の一端部近傍領域が電気的に接続さ
    れるように接合され、この表面が粗面化されていない弁
    金属基体の他端部近傍領域に、導電性金属基体の一端部
    近傍領域が電気的に接続されるように接合されて陽極電
    極となっている固体電解コンデンサが、絶縁性樹脂内部
    に収納された固体電解コンデンサであり、 少なくとも前記表面が粗面化されていない弁金属基体に
    複数の表面が粗面化され絶縁性皮膜が形成された弁金属
    基体が接続されている固体電解コンデンサ。
  2. 【請求項2】 前記導電性金属基体に、複数の表面が粗
    面化されていない弁金属基体が接続されている請求項1
    の固体電解コンデンサ。
  3. 【請求項3】 少なくとも前記表面が粗面化され絶縁性
    被膜が形成されている弁金属基体は、表面が粗面化され
    ていない弁金属基体の両面に接続されている請求項1ま
    たは2の固体電解コンデンサ。
  4. 【請求項4】 前記高分子電解質を有する弁金属基体か
    らなる電極が、厚さ方向に複数積層されている請求項1
    〜3のいずれかの固体電解コンデンサ。
  5. 【請求項5】 前記絶縁性樹脂は、平板状の樹脂基板で
    ある請求項1〜4のいずれかの固体電解コンデンサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012519944A (ja) * 2009-03-09 2012-08-30 メルク パテント ゲーエムベーハー 有機エレクトロルミネセンス素子

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