JP2003106978A - 光放射圧測定装置 - Google Patents

光放射圧測定装置

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JP2003106978A JP2001303132A JP2001303132A JP2003106978A JP 2003106978 A JP2003106978 A JP 2003106978A JP 2001303132 A JP2001303132 A JP 2001303132A JP 2001303132 A JP2001303132 A JP 2001303132A JP 2003106978 A JP2003106978 A JP 2003106978A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は光放射圧を簡便かつ正確に測
定可能な光放射圧測定装置、共振体の共振周波数を容易
に調整可能な共振周波数調整方法、共振体の微小開口を
評価する開口径検査装置及びそれを備えた近接場光学顕
微鏡を提供することにある。 【解決手段】 共振体に設けられた反射手段64に入射
光18を照射したときの光放射圧Pにより共振体の周波
数特性が変化することを利用した光放射圧測定装置、共
振周波数調整方法、開口径検査装置及びそれを備えた近
接場光学顕微鏡

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光放射圧を利用した
光放射圧測定装置、共振周波数調整方法、開口径検査装
置及びそれを備えた近接場光学顕微鏡、特に光放射圧と
共振体の共振周波数の相関の利用方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に物体に圧力が加わる場合には気
体、液体あるいは固体との接触により該物体に圧力が加
えられる。しかし、光放射によっても物体には圧力が加
わる。すなわち、例えば図1に示すようにビーム光2を
物体4の反射面6に照射すれば物体4はビーム光2によ
る光放射圧Pを受ける。すなわち、光は波としての性質
と共に物質としての性質を備え、運動量を持っており、
物体に力を作用することができる。このような光放射圧
は、原子間力顕微鏡のカンチレバーを用いれば実際に観
測することができる。
【0003】一方、その材質や形状等により決まる周波
数特性を有する共振体、例えば水晶等は様々な分野に用
いられている。そして、例えば同じ材質の共振体の周波
数特性を調整する場合には、その形状を調整することで
所望値を得ている。また、他に共振体の周波数特性を応
用した例としては、例えば近接場光学顕微鏡のプローブ
の周波数特性による位置制御が挙げられる。
【0004】近接場光学顕微鏡は、光波長より小さい空
間分解能を持ち、分光分析測定もできる装置で、近年開
発されたものでありその応用が期待されている。この近
接場光学顕微鏡ではエバネッセント光と呼ばれる、物体
表面から数十nm程度の極近傍領域に分布する光により
試料表面の凹凸や成分を分析する。
【0005】図2には近接場光学顕微鏡の概略図が示さ
れている。同図に示す近接場光学顕微鏡10に設置され
た基板14上には、試料12が配置されている。光源1
6からの入射光18は、ガラスファイバの先端部を加工
して作成したプローブ20の内部を通り、プローブ20
先端部22に達する。先端部22は、図3に示したよう
に先鋭状で、金属膜等のマスク64で被覆され光学遮蔽
されており、その突端部のみ光波長以下の微小開口62
が形成されている。そして光源16からプローブを通し
て導光された入射光18は該開口からエバネッセント光
24として先端部22近傍にしみだしている。
【0006】そして、図2において、このエバネッセン
ト光24がしみだしたプローブ20の先端部22を、エ
バネッセント光の場が試料測定面に進入するまで近づけ
ると、エバネッセント光は散乱し、或いはエバネッセン
ト光により被測定試料12が発光する。この散乱光や発
光などの被測定光を対物レンズ25によって集光し、集
光された光を、分光器等の光学処理装置26や検出器2
8に導入することで試料の情報を検出する。
【0007】また、プローブ20は装置に備えられた加
振器30に接続されており、プローブ20の共振周波数
で振動している。上述のようにエバネッセント光24が
しみだしたプローブ20の先端部22を、エバネッセン
ト光の場が試料測定面に進入するまで近づけた場合、プ
ローブの先端部−試料間でシアフォースと呼ばれる力が
働き、プローブ20の振動が制振される。この制振の割
合とプローブ−試料間の距離の関係には、プローブ、試
料等の条件により定まる一定の相関関係があるので、制
振の割合が一定となるようにプローブの先端部−試料間
の距離を制御しつつ試料表面を走査することで試料表面
の凹凸に関する情報が得られる。
【0008】そして、プローブの微小振動の振幅を検出
するために、プローブ20に照射するスポットレーザー
等のプローブ光源32と、プローブ20の振動により変
調されたプローブ光源32が発する光の反射光の強度を
検出する検出器34を含む検出部36でプローブ20の
振動の振幅変化を検出し、検出結果に基づいてステージ
38の位置を調整することでプローブ−試料間の距離を
制御している。
【0009】すなわち、コンピュータ46からの信号に
よりステージコントローラ40でXYZステージ38を
制御して、プローブ20の先端部22と試料測定面との
間の上下方向の距離を、検出器34で検出された振幅変
化が一定となるように調節しつつ試料測定面を走査すれ
ば、試料12に非接触でかつ試料12の凹凸を的確に高
分解能で把握することが可能となる。さらに、前述の分
光スペクトルより試料12の被測定面の各測定点におけ
る成分情報を同時に得ることが可能となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た光の放射圧を積極的に応用した技術を開発する場合、
あるいは光の放射圧を定量的に知る必要がある場合等に
十分な程度に光の放射圧を簡便かつ正確に測定すること
ができる技術は存在しなかった。
【0011】また、水晶発振子等の共振体は、形状によ
り決まる一定の周波数特性のみをもち、その周波数を可
変とすることはできなかった。
【0012】また、前述した近接場光学顕微鏡に用いら
れるプローブは消耗品であり、使用するにつれてプロー
ブ突端に設けられた微小開口の開口径が変化する。開口
径の変化は直接測定に影響するので実際の開口径を手軽
に評価することができれば望ましい。しかし、開口径を
評価する場合、近接場プローブを装置系から取り外して
他の場所へ移動して開口径評価を行う必要があり、その
後再びプローブを装置系へ取付けるのはアライメントの
調整等に手間がかかり決して簡易なものではなかった。
【0013】また、このような近接場光学顕微鏡に用い
るプローブの突端部の微小開口に限らず、様々な光学開
口を簡便かつ正確に測定する方法があれば望ましい。本
発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、
その目的は光放射圧を簡便かつ正確に測定可能な光放射
圧測定装置、共振体の共振周波数を容易に調整可能な共
振周波数調整方法、共振体の微小開口を評価する開口径
検査装置及びそれを備えた近接場光学顕微鏡を提供する
ことにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明者らは鋭意検討した結果、光放射圧で共振体の
周波数特性が変化することを見出し本発明を完成するに
至った。すなわち本発明にかかる光放射圧測定装置は、
放射光の光放射圧を測定する光放射圧測定装置におい
て、前記放射光を反射する反射手段を有する共振体から
なる共振部と、前記共振部を加振する、加振周波数可変
の加振部と、前記加振部により加振されている前記共振
部に照射するプローブ光を発するプローブ光源と、前記
共振部の振動により変調されたプローブ光の反射光を検
出することで前記共振部の振動振幅の大きさを検出する
検出手段を備えた検出部と、前記検出部で得た振動振幅
の大きさと前記共振部の振動周波数の関係から前記共振
部の共振周波数を求める共振周波数導出部と、あらかじ
め光放射圧と前記共振部の共振周波数についての検量情
報を記憶している記憶部と、前記共振周波数導出部によ
り求めた共振周波数を、前記記憶部に記憶されている検
量情報に当てはめ、前記放射光の光放射圧を求める比較
部と、を備えたことを特徴とする。また、前記装置にお
いて、前記検出部は圧電材料により前記共振部の振動振
幅の大きさを検出することも好適である。
【0015】また、本発明にかかる共振周波数調整方法
は、放射光の光放射圧を調整可能である光源から発する
放射光を、該放射光を反射する反射手段を有する共振体
からなる共振部の該反射手段へ照射し、光放射圧を調整
することにより前記共振部の共振周波数を所望の値に調
整することを特徴とする。
【0016】また、本発明にかかる開口径検査装置は、
放射光を反射する反射手段を有する共振体の該反射手段
に開けられた光学開口の大きさを検査する開口径検査装
置であって、前記放射光を発する光源部と、前記共振体
を加振する、加振周波数可変の加振部と、前記加振部に
より加振されている前記共振体に照射するプローブ光を
発するプローブ光源と、前記共振体の振動により変調さ
れたプローブ光の反射光を検出することで前記共振体の
振動振幅の大きさを検出する検出手段を備えた検出部
と、前記検出部で得た振動振幅の大きさと前記共振体の
振動周波数の関係から前記共振体の共振周波数を求める
共振周波数導出部と、あらかじめ前記共振体の共振周波
数と前記開口径についての検量情報を記憶している記憶
部と、前記共振周波数導出部により求めた共振周波数
を、前記記憶部に記憶されている検量情報に当てはめ、
前記開口径を求める比較部と、を備えたことを特徴とす
る。また、前記装置において、前記検出部は圧電材料に
より前記共振部の振動振幅の大きさを検出することも好
適である。
【0017】また、前記開口径検査装置において、前記
共振体は近接場光学顕微鏡用プローブであり、前記反射
手段として該プローブ先端にマスクが設けられ、該マス
クに開けられた光学開口の大きさを検査することも可能
である。また、近接場光学顕微鏡がそのような開口径検
査装置を備えることが好適である。
【0018】
【発明の実施の形態】まず、本発明の基礎となる光放射
圧と共振体の周波数特性との相関について説明する。図
4には、近接場光学顕微鏡のプローブに入射光を加えた
場合と加えない場合において測定した、プローブの周波
数特性についてのグラフが示されている。同図より明ら
かなように、入射光を加えない場合に比して、入射光を
加えた場合では、共振周波数に対応する信号(振動振幅
の大きさに比例する)のピークが高周波数側にシフトし
ていることがわかる。
【0019】また、図5には、入射光強度を変えた場合
のプローブの共振周波数(信号のピークにおける周波
数)の変化を測定したグラフが示されている。同図より
明らかなように、入射光強度、すなわち光放射圧の増加
に伴い共振周波数が高周波数側にシフトしていることが
わかる。
【0020】この測定結果は、次の理由によると考えら
れる。すなわち、図6に概略を示した、ガラスファイバ
の先端部を加工して作成したプローブの先端部22に
は、金属膜64が被覆されている。そして、入射光源か
ら入射光18を、該ガラスファイバプローブ内を通して
先端部22まで導光すると、入射光18は金属膜64に
より反射する。
【0021】この反射の際に入射光18は金属膜64に
対して、その金属膜に対する入射方向へ圧力Pを付与す
る。このように金属膜64が圧力を受けている、すなわ
ち共振体であるプローブに力が加わっている状態では、
図4の測定結果のように入射光を照射しない通常の状態
での共振周波数に比して、プローブの共振周波数は高く
なる。また、図5の測定結果のように入射光の強度、す
なわち光放射圧が増加すればプローブが受ける力も大き
くなり共振周波数はさらに高くなる。本発明は、以上説
明した現象に基づくものである。以下、図面に基づき本
発明の実施形態について説明する。
【0022】光放射圧測定装置 図7には、本発明の一実施形態にかかる光放射圧測定装
置の概略が示されている。同図に示す光放射圧測定装置
110は、先端に金属膜112(反射手段)が被覆され
た共振体のガラスファイバ114(共振部)と、加振器
116(加振部)と、プローブ光源118及び光検出器
120(検出部)と、CPU122(共振周波数導出
部、比較部)及びHDD124(記憶部)を備えるコン
ピュータ126を備えている。
【0023】以下、上記装置の作用について、実際に測
定を行う際の動作に基づき説明する。測定対象である、
光放射圧未知の放射光としては、特に限定されず、例え
ばレーザー光の光放射圧が測定可能である。但し、測定
対象の放射光がビーム状でない場合は、共振部の反射手
段に導光する前に適当な光学系でビーム状に補正した後
で該反射手段に導光する必要があり、測定後に光放射圧
を求める際には光学系による補正に対応した演算補正が
必要である。また、ビーム光の光束の直径が各測定で異
なる場合には、光束の直径を各測定間で演算補正する必
要がある。
【0024】また、光放射圧は原則的には光波長に依存
しないので、特に光波長について考慮せずとも、異なる
光波長の放射光でも同じように測定可能である。
【0025】測定対象の放射光128は、共振体のガラ
スファイバ114に導光され、ファイバ先端に被覆され
ている金属膜112で反射される。この際に金属膜11
2は放射光128から前述した光放射圧を受ける。
【0026】本実施形態では共振体としてガラスファイ
バを用いているが、共振体の材質、形状は特に限定され
ず、共振特性等を考慮して適宜選択される。しかし、共
振体が放射光を受ける部分では光放射圧を受けるために
該放射光を反射する必要があり、例えば共振体の材質が
放射光に対して光透過性、光吸収性を有するような場合
には、本実施形態の金属膜のような適当な反射手段を共
振体に備える必要がある。また、放射光と共振体及び反
射手段の間のアライメントは各測定で一致していなけれ
ばならない。
【0027】ガラスファイバ114は適当な位置で加振
器116に接続されている。加振器116は加振周波数
が可変であり、加振器116との接続部分より下側のガ
ラスファイバの振動部分における、共振周波数前後での
周波数掃引が可能である。
【0028】そして、ガラスファイバ114を通して金
属膜112に放射光を照射した状態で加振器116によ
り共振体を微小振動させ、周波数掃引を行う。このとき
の共振体の振動振幅の大きさを測定し、図5のようなグ
ラフを作成する。ファイバの微小振動の振幅の大きさを
検出するために、スポットレーザー118をファイバの
振動部分に照射し、ファイバの振動により変調された反
射光の強度を検出器120で検出することでファイバの
振動の振幅変化を検出している。また、ファイバの振動
の振幅変化は、ピエゾ素子等の圧電材料により検出する
ことも可能である。
【0029】次に、このようにして測定された図5に示
したような共振体の周波数特性は、図7のコンピュータ
126のCPU122で解析される。すなわち、該周波
数特性から、その振幅の大きさが最大となる周波数を共
振周波数として決定する。
【0030】コンピュータ126のHDD124では、
あらかじめ光放射圧がわかっている参照用の放射光をフ
ァイバを通して金属膜112に照射した場合について、
複数の光放射圧での上述の方法で測定された共振周波数
のデータから作成した光放射圧−共振周波数の検量情報
が記憶されている。
【0031】そして、CPU122で前記において決定
された、光放射圧未知の放射光をファイバを通して金属
膜112に照射した場合の共振周波数を、HDD124
に記憶されている光放射圧−共振周波数の検量情報に当
てはめ、測定対象である放射光の光放射圧が決定され
る。以上説明したように本発明の光放射圧測定装置によ
れば、光放射圧を簡便かつ正確に測定することが可能で
ある。
【0032】共振周波数調整方法 以下、図8に基づいて本発明の共振周波数調整方法につ
いて説明する。前述した通り、共振体に放射光を照射し
圧力を作用させると、その光放射圧の大きさに依存して
共振体の共振周波数が変化する。本発明の共振周波数調
整方法では、放射光の強度が可変である光源を用いて光
放射圧により共振体の共振周波数を制御する。
【0033】図8には本発明の共振周波数調整方法を実
際に行う際の一実施形態の概略が示されている。光源2
02から発する放射光204は、放射光強度が連続的あ
るいは断続的に可変であり、光源としては例えばレーザ
ー光等が用いられる。また、放射光204としてはビー
ム状であることが好ましい。放射光204は、共振体で
ある水晶214に導光され、その一端に被覆されている
金属膜212で反射される。この際に金属膜212は放
射光204から前述した光放射圧を受ける。
【0034】水晶214は、電圧等で一定周波数で発振
している。本実施形態では共振体として水晶を用いてい
るが、共振体としては、他にもガラスファイバ等任意の
材質、形状のものが用いられる。しかし、共振体が放射
光を受ける部分では光放射圧を受けるために該放射光を
反射する必要があり、例えば共振体の材質が放射光に対
して光透過性、光吸収性を有するような場合には、本実
施形態における金属膜212のような適当な反射手段を
共振体に備える必要がある。
【0035】一定周波数で発振していた共振体は放射光
204により反射手段である金属膜212を介して光放
射圧を受け、図5に示したように、光放射圧の大きさに
依存して周波数特性が変化する。同図より明らかなよう
に、光放射圧の掃引による周波数特性の変化は連続的な
ので、光放射圧を制御することにより共振周波数のチュ
ーニングが可能となる。
【0036】以上説明したように本発明の共振周波数調
整方法によれば、従来は形状により決まる一定の共振周
波数しか利用できなかったのに対し、共振体に放射する
光の光放射圧を制御することで共振周波数のチューニン
グが可能となり、容易に可変の共振周波数が利用可能と
なる。
【0037】開口径検査装置およびそれを備えた近接場
光学顕微鏡 以下、本発明の開口径検査装置およびそれを備えた近接
場光学顕微鏡について説明する。図9には本発明の一実
施形態にかかる近接場光学顕微鏡の概略図が示されてい
る。なお、前記図2と対応する部分には符号300を加
えて示し説明を省略する。同図に示す近接場光学顕微鏡
310に設置された基板314上には、試料312が配
置されている。光源316からの入射光318は、ガラ
スファイバの先端部を加工して作成したプローブ320
の内部を通り、プローブ320先端部322に達する。
先端部322は、図10に示したように先鋭状で、金属
膜等のマスク364で被覆され光学遮蔽されており、そ
の突端部のみ光波長以下の微小開口362が形成されて
いる。そして光源からプローブを通して導光された入射
光318は該開口からエバネッセント光324として先
端部322近傍にしみだしている。
【0038】そして、図9において、このエバネッセン
ト光324がしみだしたプローブ320の先端部322
を、エバネッセント光の場が試料測定面に進入するまで
近づけると、エバネッセント光は散乱し、或いはエバネ
ッセント光により被測定試料312が発光する。この散
乱光や発光などの被測定光を対物レンズ324によって
集光し、集光された光を、分光器等の光学処理装置32
6や検出器328に導入することで試料の情報を検出す
る。
【0039】また、プローブ320は装置に備えられた
加振器330に接続されており、プローブ320の共振
周波数で振動している。上述のようにエバネッセント光
324がしみだしたプローブ320の先端部322を、
エバネッセント光の場が試料測定面に進入するまで近づ
けた場合、プローブの先端部−試料間でシアフォースと
呼ばれる力が働き、プローブ320の振動が制振され
る。この制振の割合とプローブ−試料間の距離の関係に
は、プローブ、試料等の条件により定まる一定の相関関
係があるので、制振の割合が一定となるようにプローブ
の先端部−試料間の距離を制御しつつ試料表面を走査す
ることで試料表面の凹凸に関する情報が得られる。
【0040】そして、プローブの微小振動の振幅を検出
するために、プローブ320に照射するスポットレーザ
ー等のプローブ光源332と、プローブ320の振動に
より変調されたプローブ光源332が発する光の反射光
の強度を検出する検出器334を含む検出部336でプ
ローブ320の振動の振幅変化を検出し、検出結果に基
づいてステージ338の位置を調整することでプローブ
−試料間の距離を制御している。
【0041】すなわち、コンピュータ346からの信号
によりステージコントローラ340でXYZステージ3
38を制御して、プローブ320の先端部322と試料
測定面との間の上下方向の距離を、検出器334で検出
された振幅変化が一定となるように調節しつつ試料測定
面を走査すれば、試料312に非接触でかつ試料312
の凹凸を的確に高分解能で把握することが可能となる。
さらに、前述の分光スペクトルより試料312の被測定
面の各測定点における成分情報を同時に得ることが可能
となる。
【0042】ところで、前述したように近接場光学顕微
鏡のプローブ突端の微小開口の開口径は使用しているう
ちに変わってしまう場合がある。しかしながら、従来は
これを簡易に検査する手段が存在しなかった。さらに、
プローブを顕微鏡から取外した後検査を行なう必要があ
り、検査後プローブを再び取り付けた後、プローブの振
動振幅等を制御する光学系との光軸調整等が再度必要と
なり、非常に手間のかかる作業を要した。
【0043】そこで、本発明では近接場光学顕微鏡に付
属して、装置から取り外しせずに開口径が検査可能な開
口径検査装置を備えている。図11には本発明の一実施
形態にかかる開口径検査装置の概略が示されている。本
実施形態にかかる開口径検査装置410は近接場光学顕
微鏡に付属しており、光源416と、加振器430(加
振部)と、プローブ光源432及び検出器434(検出
部)と、コンピュータ446のCPU442(共振周波
数導出部、比較部)と、HDD444(記憶部)を備え
る。
【0044】ここで、本実施形態にかかる開口径検査装
置の各構成要素を、近接場光学顕微鏡の構成要素として
も用いている。開口径検査時にはまずZ軸方向の駆動機
構であるステージコントローラ440でXYZステージ
438を駆動し試料測定面とプローブ420先端部を十
分に引き離しておく。
【0045】ガラスファイバは適当な位置で加振器43
0に接続されており、そこから下がプローブを形成し加
振器430により加振される。加振器430は加振周波
数が可変であり、プローブの共振周波数前後での周波数
掃引が可能である。
【0046】そして、プローブ420を通して先端部に
被覆された金属膜へ一定強度の放射光を照射した状態で
加振器430によりプローブ420を微小振動させ、周
波数掃引を行う。このときのプローブ420の振動振幅
の大きさを測定すると、図4のような周波数特性が得ら
れる。プローブ420の微小振動の振幅の大きさを検出
するために、スポットレーザー432を微小振動してい
るプローブ420に照射し、プローブ420の振動によ
り変調された反射光の強度を検出器434で検出するこ
とでプローブ420の振動の振幅変化を検出している。
また、プローブの振動の振幅変化は、ピエゾ素子等の圧
電材料により検出することも可能である。
【0047】次に、このようにして得られたプローブ4
20の周波数特性は、図11のコンピュータ446のC
PU442で解析される。すなわち、該周波数特性か
ら、その振幅の大きさが最大となる周波数を共振周波数
として決定する。
【0048】コンピュータ446のHDD444では、
あらかじめ複数の開口径での参照用プローブについて、
前記一定強度の放射光を該プローブを通して先端部のマ
スクに照射した場合の各開口径における共振周波数デー
タから作成した開口径−共振周波数の検量情報が記憶さ
れている。
【0049】そして、CPU442で前記において決定
された開口径未知のプローブの光照射時の共振周波数
を、HDD444に記憶されている開口径−共振周波数
の検量情報に当てはめ、測定対象であるプローブの開口
径が決定される。
【0050】以上、本発明の開口径検査装置を用いて近
接場顕微鏡用プローブの突端開口径を検査する実施形態
について説明したが、本発明の開口径検査装置はこのよ
うな用途に限らず様々な場合において開口径検査が可能
である。図12には本発明の開口径検査装置の概略が示
されている。該開口径検査装置510は光源516と、
加振器530(加振部)と、プローブ光源532及び検
出器534(検出部)と、コンピュータ556のCPU
552(共振周波数導出部、比較部)とHDD554
(記憶部)とを備える。
【0051】また、測定対象としては、例えば図13
(A)に示すように入射光528の反射面564に、光
学開口562が形成された測定物560であればよい。
また、このような測定物自体に加振器を取付けることが
困難な場合や、共振特性等を考慮する場合には図13
(B)に示すように、ガラスファイバや水晶のような光
透過性の共振体520に、該測定物560を取り付けた
ものでもよい。
【0052】図12において、光透過性の共振体520
は適当な位置で加振器530に接続されており、図13
(B)のように測定物560が取付けられた共振体52
0は加振器530により加振される。加振器530は加
振周波数が可変であり、周波数掃引が可能である。
【0053】そして、測定物560の反射面564の、
光学開口562を含む範囲へ一定強度の放射光を照射し
た状態で加振器530により共振体520を微小振動さ
せ、周波数掃引を行う。このときの共振体520の振動
振幅の大きさを測定し、図4のような周波数特性を得
る。共振体520の微小振動の振幅の大きさを検出する
ために、スポットレーザー532を微小振動している共
振体520に照射し、共振体520の振動により変調さ
れた反射光の強度を検出器534で検出することで共振
体520の振動の振幅変化を検出している。また、共振
体の振動の振幅変化は、ピエゾ素子等の圧電材料により
検出することも可能である。
【0054】次に、このようにして測定された共振体5
20及び測定物560の結合体の周波数特性は、図12
のコンピュータ546のCPU542で解析される。す
なわち、該周波数特性から、その振幅の大きさが最大と
なる周波数を共振周波数として決定する。
【0055】コンピュータ546のHDD544では、
あらかじめ測定物と同一形状、同一材質のものについ
て、異なる開口径の光学開口を作成したいくつかの参照
物について、前記一定強度の放射光を照射した場合の前
記共振周波数データから作成した開口径−共振周波数の
検量情報が記憶されている。
【0056】そして、CPU542で前記において決定
された、共振体520及び開口径未知の測定物560の
結合体についての光照射時の共振周波数を、HDD54
4に記憶されている開口径−共振周波数の検量情報に当
てはめ、測定物の開口径が決定される。
【0057】なお、前記近接場顕微鏡において、例えば
以下の測定方法が可能である。 <試料ステージの回転>従来ピエゾ素子によりステージ
を駆動するX−Yピエゾステージ上に試料を設置して、
ソフトウェアにより指定された各座標点についてスキャ
ンを行うマッピング測定が、原子間力顕微鏡や顕微分光
装置等様々な装置で汎用されている。このマッピング測
定において、試料中の任意の選択範囲における回転像、
すなわち図14に示すような、異なる角度からの各測定
像を得ようとする場合には、ステージの原点(ステージ
の機械的回転の中心点)を中心軸として実際に試料(ス
テージ)を回転させる等の操作を行なっていた。
【0058】しかし、このような従来の方法では該選択
範囲中の回転中心とステージの原点を合わせるために試
料を動かさなければならなかった。
【0059】そこで、従来のように試料を回転するので
はなく、スキャン方向を回転すれば試料を動かすことな
く試料中の任意の選択範囲について前記したような試料
の回転像が得られる。
【0060】すなわち、図15に示すように試料中の測
定したい選択範囲内の適当な位置、例えば該範囲の中心
位置を中心軸として、近接場光学顕微鏡の場合であれば
近接場プローブによるスキャン方向を所望の角度に設定
してスキャンを行えば、試料中の任意の選択範囲におけ
る回転像を得ることが可能である。なお、スキャン方向
を所望の角度に設定する際の、測定点の座標算出はソフ
トウェア的に容易に可能である。
【0061】また、この場合において、例えば前記回転
の角度をコンピュータで指定する際に、指定した角度に
て回転した場合の画像の変化を、ダミーの画像を用いて
表示したり、或いは前回測定した画像を読み込み表示す
るようにすることもソフトウェアで設定可能である。
【0062】<近接場光学顕微鏡による露光>従来の近
接場光学顕微鏡による露光を行う際の方法は、マニュア
ルで1点ごとに露光条件及び露光位置を指定して露光す
るものであった。
【0063】しかしこのような従来の方法では操作が煩
雑で複雑な図形を露光するには多大な時間を要してい
た。
【0064】そこで、露光を制御し測定を自動化するた
めにの以下に説明するようなシステムを用いれば、近接
場光学顕微鏡による露光を簡易に行うことが可能とな
る。すなわち、露光画像をビットマップ画像データとし
て入力し、露光位置および露光時間或いは強度として出
力するシステムを用いる。
【0065】ここで、露光位置としては、画像データ中
の各ドットの位置指定及び実際の露光像のスケール指定
により決定される。また、各点の露光指定時間或いは露
光強度は画像データ中の各ドットに割り振られた色によ
り決定することができる。例えば色のコントラストを露
光時間あるいは強度に割り振る方法が挙げられ、白色:
露光時間0秒、黒色:露光時間10秒、のように各色を
露光時間に割り振り、中間色のグラデーションでさらに
細かく露光時間等を指定することも可能である。
【0066】画像データ中の各ドットに対応する各露光
位置は、ラスタースキャン或いはベクトルスキャンによ
り露光される。
【0067】また、前記露光時間の指定方法としては、
光源のシャッタをオン・オフする方法、或いはプロー
ブ、試料相互間における近接場領域への挿入・除去によ
る方法が挙げられる。
【0068】また、前記露光強度の指定方法としては、
光路に挿入された光学フィルタの自動切換えによる方法
が挙げられる。
【0069】また、実際の露光操作実行中に、その進行
度合がわかるように、あらかじめ与えられている露光像
の画像データを露光の進行度に合わせてディスプレイに
書き出してゆくようにしてもよい。以上説明した近接場
光学顕微鏡による露光システムは、例えばDRAMのパ
ターニングの補修、ナノファブリケーション、高密度記
録などに応用され得る。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光放射圧
測定装置によれば、光放射圧で共振体の周波数特性が変
化することを利用したので、光放射圧を簡便かつ正確に
測定可能である。また、本発明の共振周波数調整方法に
よれば、光放射圧で共振体の周波数特性が変化すること
を利用したので、共振体の共振周波数を容易に調整可能
である。また、本発明の開口径検査装置によれば、光放
射圧で共振体の周波数特性が変化することを利用したの
で、微小開口の検査が可能である。特に、それを近接場
光学顕微鏡に備えた場合にはプローブ突端部の微小開口
の検査が簡易に可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】光放射圧の概念説明図である。
【図2】近接場光学顕微鏡の概略説明図である。
【図3】近接場光学顕微鏡のプローブ先端部の概略説明
図である。
【図4】近接場光学顕微鏡のプローブへの光照射前後に
おけるプローブの周波数特性の概略説明図である。
【図5】近接場光学顕微鏡のプローブへの入射光強度と
プローブの共振周波数の関係を示したグラフである。
【図6】近接場光学顕微鏡のプローブ先端部での光放射
圧の作用の概念説明図である。
【図7】本発明の光放射圧測定装置の一実施形態にかか
る概略説明図である。
【図8】本発明の共振周波数調整方法の一実施形態にか
かる概略説明図である。
【図9】本発明の開口径検査装置を備えた近接場光学顕
微鏡の概略説明図である。
【図10】近接場光学顕微鏡のプローブ先端部の概略説
明図である。
【図11】本発明の開口径検査装置の一実施形態にかか
る概略説明図である。
【図12】本発明の開口径検査装置の一実施形態にかか
る概略説明図である。
【図13】本発明の開口径検査装置により開口径を測定
する測定物の概略説明図である。
【図14】従来のマッピング測定における回転像の測定
方法の概略説明図である。
【図15】マッピング測定においてスキャンを回転する
方法による回転像の測定方法の概略説明図である。
【符号の説明】
2:ビーム光、4:物体、6:反射面、10:近接場光
学顕微鏡、12:試料、14:基板、16:光源、1
8:入射光、20:プローブ、22:先端部、24:エ
バネッセント光、25:対物レンズ、26:光学処理装
置、28:検出器、30:加振器、32:プローブ光
源、34:検出器、36:検出部、38:ステージ、4
0:ステージコントローラ、46:コンピュータ、6
2:開口、64:金属膜、110:放射圧測定装置、1
12:金属膜、114:ガラスファイバ、116:加振
器、118:プローブ光源、120:光検出器、12
2:CPU、124:HDD、126:コンピュータ、
128:放射光、202:光源、204:放射光、21
2:金属膜、214:水晶、316(416):光源、
318(418):入射光、320(420):プロー
ブ、322(422):先端部、324(424):エ
バネッセント光、325(425):対物レンズ、32
6(426):光学処理装置、328(428):検出
器、330(430):加振器、332(432):プ
ローブ光源、334(434):検出器、336(43
6):検出部、338(438):ステージ、340
(440):ステージコントローラ、342(44
2):CPU、344(444):HDD、346(4
46):コンピュータ、362:開口、364:金属
膜、410:開口径検査装置、510:開口径検査装
置、516:光源、520:プローブ、530:加振
器、532:プローブ光源、534:検出器、542:
CPU、544:HDD、546:コンピュータ、56
0:測定物、562:開口、564:反射面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 文則 東京都八王子市石川町2967番地の5 日本 分光株式会社内 (72)発明者 坂巻 徹 東京都八王子市石川町2967番地の5 日本 分光株式会社内 Fターム(参考) 2G059 AA05 BB08 DD13 EE02 FF03 GG01 GG06 JJ11 JJ17 KK01 MM10 MM14 2G065 AB09 AB22 AB26 BA01 BB02 BC33 BC35 BD01 DA01 DA20

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射光の光放射圧を測定する光放射圧測
    定装置において、 前記放射光を反射する反射手段を有する共振体からなる
    共振部と、 前記共振部を加振する、加振周波数可変の加振部と、 前記加振部により加振されている前記共振部に照射する
    プローブ光を発するプローブ光源と、前記共振部の振動
    により変調されたプローブ光の反射光を検出することで
    前記共振部の振動振幅の大きさを検出する検出手段を備
    えた検出部と、 前記検出部で得た振動振幅の大きさと前記共振部の振動
    周波数の関係から前記共振部の共振周波数を求める共振
    周波数導出部と、 あらかじめ光放射圧と前記共振部の共振周波数について
    の検量情報を記憶している記憶部と、 前記共振周波数導出部により求めた共振周波数を、前記
    記憶部に記憶されている検量情報に当てはめ、前記放射
    光の光放射圧を求める比較部と、を備えたことを特徴と
    する光放射圧測定装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の装置において、前記検出
    部は圧電材料により前記共振部の振動振幅の大きさを検
    出することを特徴とする光放射圧測定装置。
  3. 【請求項3】 共振周波数の調整方法であって、 放射光の光放射圧を調整可能である光源から発する放射
    光を、該放射光を反射する反射手段を有する共振体から
    なる共振部の該反射手段へ照射し、 光放射圧を調整することにより前記共振部の共振周波数
    を所望の値に調整することを特徴とする共振周波数調整
    方法。
  4. 【請求項4】 放射光を反射する反射手段を有する共振
    体の該反射手段に開けられた光学開口の大きさを検査す
    る開口径検査装置であって、 前記放射光を発する光源部と、 前記共振体を加振する、加振周波数可変の加振部と、 前記加振部により加振されている前記共振体に照射する
    プローブ光を発するプローブ光源と、前記共振体の振動
    により変調されたプローブ光の反射光を検出することで
    前記共振体の振動振幅の大きさを検出する検出手段を備
    えた検出部と、 前記検出部で得た振動振幅の大きさと前記共振体の振動
    周波数の関係から前記共振体の共振周波数を求める共振
    周波数導出部と、 あらかじめ前記共振体の共振周波数と前記開口径につい
    ての検量情報を記憶している記憶部と、 前記共振周波数導出部により求めた共振周波数を、前記
    記憶部に記憶されている検量情報に当てはめ、前記開口
    径を求める比較部と、を備えたことを特徴とする開口径
    検査装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の装置において、前記検出
    部は圧電材料により前記共振部の振動振幅の大きさを検
    出することを特徴とする光放射圧測定装置。
  6. 【請求項6】 請求項4または5記載の装置において、
    前記共振体は近接場光学顕微鏡用プローブであり、前記
    反射手段として該プローブ先端にマスクが設けられ、該
    マスクに開けられた光学開口の大きさを検査することを
    特徴とする開口径検査装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の装置を備えたことを特徴
    とする近接場光学顕微鏡。
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