JP2003106423A - 自動変速機のクラッチ構造 - Google Patents

自動変速機のクラッチ構造

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JP2003106423A JP2001303891A JP2001303891A JP2003106423A JP 2003106423 A JP2003106423 A JP 2003106423A JP 2001303891 A JP2001303891 A JP 2001303891A JP 2001303891 A JP2001303891 A JP 2001303891A JP 2003106423 A JP2003106423 A JP 2003106423A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クラッチドラムに作用するスラスト荷重を受
けることができると共に、クラッチドラムの開放端面側
での開き応力を低減し、さらにクラッチドラムの外周面
及び内周面に形成するスプライン溝の諸元を任意に設定
する。 【解決手段】 クラッチドラム81を被支持部83とフ
ード部84とで構成し、被支持部83は外円筒部83a
とその前端から内方に延長する端板部83bと、スラス
ト軸受65の受け面となる端板部83bとその内周縁か
ら後方に延長し、ブッシュ82を介してスリーブ210
に回転自在に支持される内円筒部83cとでコ字状に形
成され、フード部84はシリンダを構成する小円筒部8
4aと摩擦結合部材86を内装する大円筒部84bとで
構成され、大円筒部84bの後方円筒部84d及びクラ
ッチハブ85間に摩擦結合部材86が配設され、前方円
筒部84eの内側に第1のクラッチ60が内装され、先
端部に厚肉部が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動変速機のクラ
ッチ構造に関し、特に高速段側及び後進時に締結制御さ
れる自動変速機のクラッチ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の自動変速機としては、例えば特
開2000−220704号公報に記載されているもの
が知られている。この自動変速機は、図8に示すよう
に、トランスミッションケース500のトルクコンバー
タ側(入力側)とは反対側の後端壁部501側に入力軸
501と同軸的に形成された固定支持部502に第3の
クラッチC−3が配設され、この第3のクラッチC−3
の前端側に第1のクラッチC−1が配設され、この第1
のクラッチC−1の前端側に減速プラネタリギヤG1が
配設され、この減速プラネタリギヤG1の前端側にサポ
ート壁503に支持されたカウンタギヤ504が配設さ
れ、このカウンタギヤ504の前端側にプラネタリギヤ
Gが配設され、このプラネタリギヤGの前端側に第2の
クラッチC−2が配設された構成を有する。
【0003】ここで、一番後端側に配設された第3のク
ラッチC−3は第3速、第5速及びリバースで締結状態
に制御されて所謂3−5−Rクラッチと称され、第1の
クラッチC−1は第1速乃至第4速で締結状態に制御さ
れる所謂LOWクラッチと称され、第2のクラッチC−
2は第4速乃至第6速で締結状態に制御されて所謂Hi
クラッチと称されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の自動変速機にあっては、一番後端側の3−5−Rク
ラッチCのクラッチドラムについては軸方向スラスト荷
重を受ける構造を有しておらず、この3−5−Rクラッ
チC−3に前端側へのスラスト荷重が作用した場合に
は、クラッチドラム以外の場所すなわちこの3−5−R
クラッチC−3のクラッチドラムに連結されたプラネタ
リギヤG側にスラスト軸受を設けて受けなければなら
ず、スラスト軸受までの経路が長く3−5−Rクラッチ
C−3のスラスト荷重による変位を十分に抑制すること
ができないという未解決の課題がある。
【0005】また、3−5−RクラッチC−3における
クラッチドラムの外周面にブレーキと係合するスプライ
ン溝を形成する場合に、一般的にはスプライン溝をプレ
ス成形するようにしており、このとき、通常はスプライ
ン溝がクラッチドラムの端面まで延長されており、クラ
ッチの回転による遠心力によりクラッチドラムの開放端
面部分に大きな開き応力が発生し、高速回転に対応する
ことができないという未解決の課題がある。さらに、3
−5−RクラッチC−3のクラッチドラムにブレーキ用
のスプライン溝とは反対側の内周面に他のスプライン溝
を形成する場合に外周面側及び内周面側のスプライン溝
形状を単独で設計することができないという未解決の課
題もある。
【0006】そこで、本発明は、上記従来例の未解決の
課題に着目してなされたものであり、クラッチドラムに
作用するスラスト荷重をクラッチドラム自体で受けるこ
とができると共に、クラッチドラムの開放端面側での開
き応力を低減し、さらにクラッチドラムの外周面及び内
周面に形成するスプライン溝の諸元を自由に設定して設
計の自由度を向上させることができる自動変速機のクラ
ッチ構造を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決するため
に、請求項1に係る自動変速機のシリンダ構造は、トラ
ンスミッションケースに配設した固定支持部に回転自在
に支持されたクラッチドラムと、該クラッチドラムの内
周面側に配設されたクラッチハブと、前記クラッチドラ
ム及びクラッチハブの対向面に配設された摩擦結合部材
と、前記クラッチドラムの外周面に前記トランスミッシ
ョンケースの内周面に配設されたブレーキを係合するス
プライン溝が形成された自動変速機のクラッチ構造にお
いて、前記クラッチドラムの前記固定支持部に支持され
る被支持部を、ドラム軸方向に前記スプライン溝側に突
出する円筒部と、該円筒部の端面から内方に延長してス
ラスト軸受との受け面となる端板部と、該端板部の内周
縁から円筒部側に折り返した内筒部とで構成し、前記内
筒部が前記固定支持部に回転自在に支持されていること
を特徴としている。
【0008】この請求項1に係る発明では、クラッチド
ラムのトランスミッションケースの固定支持部に回転自
在に支持される被支持部を、円筒部と端板部と折り返し
た円筒部とで断面コ字状に形成することにより、端板部
でスラスト軸受を受ける受け面を形成し、内側円筒部で
ラジアル方向のセンタリング機能を発揮することがで
き、クラッチドラム自体で軸方向及び径方向の軸受面を
確保することができる。また、内周側の円筒部が端板部
から折り返されて外周側の円筒部にオーバーラップする
ので、クラッチドラムの基部側即ちシリンダ部側の軸方
向長さを短縮することができる。
【0009】また、請求項2に係る自動変速機のクラッ
チ構造は、請求項1に係る発明において、前記クラッチ
ドラムは、摩擦結合部材を内装する小径部と、この小径
部より開放端面側に連接する前記スプライン溝を形成し
た大径部とで構成され、前記大径部内に、前記摩擦結合
部材と同一形状の摩擦結合部材を使用する他のクラッチ
を内装可能に構成されていることを特徴としている。
【0010】この請求項2に係る発明では、クラッチド
ラム内に他のクラッチを配設したときに、両者の摩擦結
合部材が同一形状であるので、互いに共用することがで
きると共に、クラッチドラムに内装される他のクラッチ
については被支持部を除いてシリンダ部を拡張すること
により、クラッチ容量を大きく設定することができ、大
きなクラッチ容量を必要とするクラッチを内装すること
ができる。
【0011】さらに、請求項3に係る自動変速機のクラ
ッチ構造は、請求項1又は2に係る発明において、前記
被支持部における外周側の円筒部が前記シリンダ部の内
周面を構成していることを特徴としている。この請求項
3に係る発明では、被支持部における外周側の円筒部が
シリンダ部の内周面を構成しているので、クラッチドラ
ムの径方向の長さを短縮することができると共に、被支
持部の径方向の長さでクラッチ容量を設定することがで
きる。
【0012】さらにまた、請求項4に係る自動変速機の
クラッチ構造は、請求項1乃至3の何れかに係る発明に
おいて、前記シリンダ部はドラム軸方向に延長する同軸
的な外筒部及び内筒部と、これら外筒部及び内筒部の前
記スプライン溝側とは反対側を閉塞する中央部にピスト
ンに当接するコ字状膨出部が形成された端板部とで構成
されてることを特徴としている。
【0013】この請求項4に係る発明では、シリンダ部
が外筒部及び内筒部とその端部を閉塞する端板部とで構
成され、端板部にピストンが当接するコ字状膨出部が形
成されているので、シリンダ部とピストンとで構成され
る油圧室に作動油を供給したときのピストンの迅速な移
動を確保することができると共に、コ字状膨出部の面積
を変更することにより、クラッチ容量を調整することが
できる。
【0014】なおさらに、請求項5に係る自動変速機の
クラッチ構造は、請求項1乃至4の何れかの発明におい
て、クラッチドラムは、スプライン溝の開放端部側に圧
肉部が形成されていることを特徴としている。この請求
項5に係る発明では、クラッチドラムのスプライン溝の
開放端部側に圧肉部が形成されているので、クラッチド
ラムを高速回転させたときに遠心力によって発生する開
き応力を低減することができる。
【0015】また、請求項6に係る自動変速機のクラッ
チ構造は、請求項5に係る発明において、前記クラッチ
ドラムは、前記スプライン溝がクラッチドラムのプレス
形成後にフローフォーミング成形で形成されていること
を特徴としている。この請求項6に係る発明では、外周
面側のスプライン溝をクラッチドラムのプレス成形後に
フローフォーミング成形で形成するので、このスプライ
ン溝の内側に形成するスプライン溝を形成する場合に、
両者の形状を任意に設定することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
について説明する。この実施の形態は、本発明を、歯車
変速構造を有する自動変速機に適用したものである。図
1は、本発明を適用し得る自動変速機の全体構成を断面
を示す。また、図2は、自動変速機のギヤトレインをス
ケルトンで示す。
【0017】この自動変速機は、図1及び図2に示すよ
うに、いわゆる3軸構成とされ、フロントエンジン・フ
ロントドライブ(FF)車又はリヤエンジン・リヤドラ
イブ(RR)車用の横置式トランスアクスルの形態を有
し、さらに変速機構としては、前進6速・後進1速を実
現するギアトレインを備えている。自動変速機は、トラ
ンスミッションケース180内に、互いに並列的に配置
された第1軸である入力軸50、第2軸であるカウンタ
軸401、第3軸であるドライブシャフト453a,4
53bの各軸上に変速ユニットやギヤ等の各種要素が配
設された構成を有する。
【0018】入力軸50は、図示しないエンジンからト
ルクコンバータ230を介してトルクが入力され、且つ
出力側をトルクコンバータ230側に設けており、ま
た、カウンタ軸401は、入力軸50に平行に配置さ
れ、この入力軸50の出力ギヤと噛み合ったカウンタギ
ヤ400を有し、さらに、ドライブシャフト453a,
453bを支持するデフケース451には、カウンタ軸
401のカウンタギヤ400を介してトルク伝達される
ファイナルギヤ452が設けられている。
【0019】自動変速機は、図1及び図2に示すよう
に、入力軸50の周りに、変速ユニットが設けられてい
る。この変速ユニットは、入力軸50の減速回転と非減
速回転とを入力として複数の変速回転速度を出力するラ
ビニヨ形式の第1の遊星歯車機構10と、入力軸50の
回転を減速させて出力する第2の遊星歯車機構30と、
第2の遊星歯車機構30と第1の遊星歯車機構10の2
つの異なるサンギヤ11,12との間にそれぞれ介挿さ
れた締結及び解放自在の第1及び第3のクラッチ60及
び80と、入力軸50と第1の遊星歯車機構10のキャ
リア14との間に介挿された締結及び解放自在の第2の
クラッチ70と、第1の遊星歯車機構10のサンギヤ1
1及びキャリア13にブレーキ力を作用させる第1及び
第2のブレーキ100及び110と、第2のブレーキ1
10と並列に介挿されたワンウェイクラッチ90とを備
えている。また、自動変速機は、第1,第2及び第3の
クラッチ60,70及び80に対応して配置される第
1,第2及び第3の油圧サーボ機構120,130及び
140と、第1及び第2のブレーキ100及び110に
対応して配置される第4及び第5の油圧サーボ機構15
0及び160とを備えている。
【0020】第1,第2及び第3のクラッチ60,70
及び80並びに第1及び第2のブレーキ100及び11
0は、摩擦部材による多板構成とされており、第1のク
ラッチ60は、第2の遊星歯車機構30の外周側近傍に
配置され、その後方近傍に第3のクラッチ80が配置さ
れ、第2のクラッチ70は、トランスミッションケース
180の前端部に配置され、第1のブレーキ100は、
第1のクラッチ60とトランスミッションケース180
の内周面との間に配置され、第2のブレーキ110は、
第1の遊星歯車機構10とトランスミッションケース1
80の内周面との間に配置されている。また、ワンウェ
イクラッチ90は、第1のブレーキ100と第2のブレ
ーキ110との間に配置されている。
【0021】また、第1,第2,第3,第4及び第5の
油圧サーボ機構120,130,140,150及び1
60は、各第1,第2及び第3のクラッチ60,70及
び80並びに第1及び第2のブレーキ100及び110
を、コントロールバルブからの油圧により制御されるピ
ストンにより締結及び解放を行うように構成されてい
る。
【0022】第1の遊星歯車機構10は、図1に示すよ
うに、カウンタドライブギヤ170の後方近傍に配置さ
れており、図2に示すように、大径のサンギヤ11、小
径のサンギヤ12、キャリア13,14及びリングギヤ
17の4つの変速要素からなる。第1の遊星歯車機構1
0は、ロングピニオン15が大径のサンギヤ11に噛合
し、ショートピニオン16が小径のサンギヤ12に噛合
し、ロングピニオン15がリングギヤ17の内歯と噛合
するラビニヨ式で構成されている。
【0023】大径のサンギヤ11及び小径のサンギヤ1
2は、第2の遊星歯車機構30を介して入力軸50から
の入力がなされる減速回転の入力要素をなす。すなわ
ち、小径のサンギヤ12は、第1のクラッチ60に連結
されて、第2の遊星歯車機構30からの入力がなされ、
また、大径のサンギヤ11は、第3のクラッチ80に連
結されて、第2の遊星歯車機構30からの入力がなされ
る。また、大径のサンギヤ11は、第1のブレーキ10
0によりトランスミッションケース180に固定可能と
されている。
【0024】キャリア13,14は、互いに噛合するロ
ングピニオン15とショートピニオン16とを支持して
おり、入力軸50からの入力が直接なされる非減速回転
の入力要素をなす。キャリア14は、第2のクラッチ7
0を介して入力軸50に連結され、キャリア13は、第
2のブレーキ110によりトランスミッションケース1
80に固定可能とされるとともに、ワンウェイクラッチ
90によりトランスミッションケース180に一方向の
回転のみが可能とされている。
【0025】ここで、ワンウェイクラッチ90は、係合
方向が第1速時の反力トルク支持方向に設定されて第2
のブレーキ110の機能を発揮するものである。また、
リングギヤ17は出力要素をなし、カウンタドライブギ
ヤ170に連結されており、カウンタドライブギヤ17
0は、第1の遊星歯車機構10と第2のクラッチ70と
の間に位置しており、後述するように、入力軸50とは
切離された中間隔壁195に回転自在に支持されてい
る。
【0026】第2の遊星歯車機構30は、図1に示すよ
うに、第1の遊星歯車機構10の後方近傍に配置されて
おり、図2に示すように、サンギヤ31、リングギヤ3
2及びキャリア33の3つの変速要素からなる。第2の
遊星歯車機構30は、サンギヤ31が後述するトランス
ミッションケース180のサイドカバー200に形成さ
れたスリーブ部材210に固定され、リングギヤ32が
入力要素として入力軸50に連結され、キャリア33が
出力要素として第1及び第2のクラッチ60及び70を
介して、第1の遊星歯車機構10に接続されている。
【0027】カウンタギヤ400は、入力軸50と平行
でこの入力軸50に比較して短尺なカウンタ軸401の
後端側に固定された入力軸50のカウンタドライブギヤ
170に噛合する大径のカウンタドリブンギヤ402
と、カウンタ軸401においてカウンタドリブンギヤ4
02より前端側に固定された出力要素としての小径のリ
ダクションギヤ403とを備えている。ここで、カウン
タ軸401は、両端が第1及び第2の軸受404a,4
04bにより回転自在に支持されている。このカウンタ
ギヤ400は、カウンタドリブンギヤ402及びリダク
ションギヤ403により、入力軸50からの出力を減速
するとともに、反転させてディファレンシャル装置45
0に伝達することで、適宜の減速比を得るようにしてい
る。
【0028】ディファレンシャル装置450は、デフケ
ース451に固定されたファイナルギヤ452をカウン
タギヤ400のリダクションギヤ403に噛合させ、デ
フケース451内に配置された差動歯車の差動回転が左
右のドライブシャフト453a,453bに出力される
構成とされている。このディファレンシャル装置450
は、トランスミッションケース180及びその前端に取
付けられたコンバータハウジング231に支持されてい
る。
【0029】トランスミッションケース180は、入力
軸50及びこれに取付けられている各要素、カウンタギ
ヤ400並びにディファレンシャル装置450を収納可
能な形状に形成されている。トランスミッションケース
180は、大別して、ケース本体190とその後端を覆
うサイドカバー200とから構成されている。ケース本
体190は、各軸上の各要素を収納するように最適形状
に形成された周壁により筒状に構成されている。すなわ
ち、ケース本体190は、入力軸50の外周側を覆って
入力軸50を収納する円筒状の第1軸収納部191と、
第1軸収納部191の右上部に連接して設けられ、カウ
ンタ軸401の外周側を覆うと共に、カウンタ軸401
の後端面を覆ってカウンタ軸401を収納する第2軸収
納部192と、第1軸収納部191の右下部に設けら
れ、一方のドライブシャフト453aの外周側を覆うよ
うにして収納する第3軸収納部193とを備えている。
【0030】第1軸収納部191には、第1及び第2の
遊星歯車機構10及び30、第1,第2及び第3のクラ
ッチ60,70及び80、並びに第1及び第2のブレー
キ100及び110等で構成される変速ユニットが収納
され、且つ出力ギヤとなるカウンタドライブギヤ170
が前面側に配設されており、第2軸収納部192には、
カウンタドライブギヤ170に噛合するカウンタドリブ
ンギヤ402及びその前面側に配置されたリダクション
ギヤ403で構成されるカウンタギヤ400のみが設け
られていることにより、第1軸収納部191の後端側が
第2軸収納部192の後端側より大きく後方に突出され
ている。また、第1軸収納部191の後端開口面に、略
皿形状のサイドカバー200が複数のボルト221によ
り取付けられている。
【0031】第2軸収納部192は、カウンタ軸401
の後端面を覆う部分の内側面に取付けられた第1の軸受
404aにより、カウンタ軸401の一端を回転自在に
支持している。第3軸収納部193は、第2軸収納部1
92におけるカウンタ軸401の後端面を覆う部分に連
接された部分に、ドライブシャフト453aを外部に出
すための開口部が形成されている。
【0032】また、サイドカバー200には、その内側
面に、入力軸50を回転自在に支持すると共に、第1及
び第3のクラッチ60及び80と第2の遊星歯車機構3
0を支持するスリーブ部材210が取付けられている。
以上のような構成を有する自動変速機は、図示しない電
子制御装置と油圧制御装置とによる制御で、運転者によ
り選択されたレンジに応じた変速段の範囲で車両負荷に
基づき、前進6速(1ST〜6TH)、後進1速(RE
V)の変速を行う。前進6速、後進1速を行う際の動作
については以下のようになる。なお、図3は各クラッチ
及びブレーキの係合及び解放(○印で係合、無印で解放
を表す)で達成される変速段を図表化して示す。
【0033】第1速(1ST)は、第1のクラッチ60
とワンウェイクラッチ90の締結により達成される。こ
の場合、第1速では、入力軸50から第2の遊星歯車機
構30を経て減速された回転が第1のクラッチ60経由
で小径のサンギヤ12に入力され、ワンウェイクラッチ
90の締結によりトランスミッションケース180に係
止されたキャリア14に反力を取って、リングギヤ17
の最大減速比の減速回転がカウンタドライブギヤ170
に出力される。なお、エンジンコースト時には、キャリ
ア13にかかる反力トルクが逆転するので、図3で括弧
付きの○で示すように、第2のブレーキ110を締結さ
せる。
【0034】また、第2速(2ND)は、第1のクラッ
チ60と第1のブレーキ100の締結により達成され
る。この場合、入力軸50から第2の遊星歯車機構30
を経て減速された回転が第1のクラッチ60経由で小径
のサンギヤ12に入力され、第1のブレーキ100の締
結によりトランスミッションケース180に固定された
大径のサンギヤ11に反力を取って、リングギヤ17の
減速回転がカウンタドライブギヤ170に出力される。
このときの減速比は、第1速(1ST)より小さくな
る。
【0035】また、第3速(3RD)は、第1のクラッ
チ60と第3のクラッチ80との同時締結により達成さ
れる。この場合、入力軸50から第2の遊星歯車機構3
0を経て減速された回転が第3のクラッチ80と第1の
クラッチ60経由で同時に大径のサンギヤ11と小径の
サンギヤ12に入力され、第1の遊星歯車機構10が直
結状態となるため、両サンギヤ11,12への入力回転
と同じリングギヤ17の回転が、入力軸50の回転に対
しては減速された回転として、カウンタドライブギヤ1
70に出力される。
【0036】また、第4速(4TH)は、第1のクラッ
チ60と第2のクラッチ70との同時締結により達成さ
れる。この場合、一方で入力軸50から第2の遊星歯車
機構30を経て減速された回転が第1のクラッチ60経
由で小径のサンギヤ12に入力され、他方で入力軸50
から第2のクラッチ70経由で入力された非減速回転が
キャリア14に入力され、2つの入力回転の中間の回転
が、入力軸50の回転に対しては僅かに減速されたリン
グギヤ17の回転としてカウンタドライブギヤ170に
出力される。
【0037】また、第5速(5TH)は、第2のクラッ
チ70と第3のクラッチ80との同時締結により達成さ
れる。この場合、一方で入力軸50から第2の遊星歯車
機構30を経て減速された回転が第3のクラッチ80経
由で大径のサンギヤ11に入力され、他方で入力軸50
から第2のクラッチ70経由で入力された非減速回転が
キャリア14に入力され、リングギヤ17の入力軸50
の回転より僅かに増速された回転がカウンタドライブギ
ヤ170に出力される。
【0038】また、第6速(6TH)は、第2のクラッ
チ70と第1のブレーキ100の締結により達成され
る。この場合、入力軸50から第2のクラッチ70経由
で非減速回転がキャリア14にのみ入力され、第1のブ
レーキ100の締結によりトランスミッションケース1
80に固定されたサンギヤ11に反力を取るリングギヤ
17の更に増速された回転がカウンタドライブギヤ17
0に出力される。
【0039】また、後進(REV)は、第3のクラッチ
80と第2のブレーキ110の締結により達成される。
この場合、入力軸50から第2の遊星歯車機構30を経
て減速された回転が第3のクラッチ80経由でサンギヤ
11に入力され、第2のブレーキ110の締結によりト
ランスミッションケース180に固定されたキャリア1
4に反力を取るリングギヤ17の逆転がカウンタドライ
ブギヤ170に出力される。
【0040】以上が本発明を適用し得る自動変速機の概
略構成であるが、本発明では、図4に示すように、トラ
ンスミッションケース180の第1軸収納部191にお
ける後方側に第1のクラッチ60及び第3のクラッチ8
0が、第3のクラッチ80を後端側とする関係で隣接さ
れて配設されている。すなわち、ケース本体190の後
端側に取付けられたサイドカバー200の中心位置に入
力軸50を回転自在に支持するスリーブ210がボルト
止めされている。このスリーブ210は、前端面側から
入力軸50の後端部を回転自在に支持する中心開口21
0aが形成されていると共に、先端側から順に小外径部
210b、中外径部210c及び大外径部径210dが
形成されて段付円筒状に形成されている。
【0041】そして、このスリーブ210の小外径部2
10bに前述した第2の遊星歯車機構30のサンギヤ3
1がスプライン結合され、中外径部210cに前述した
第1のクラッチ60のクラッチドラム61が回動自在に
配設され、大外径部210dに前述した第3のクラッチ
80のクラッチドラム81が回動自在に配設されてい
る。
【0042】第1のクラッチ60は、スリーブ210の
中外径部210cにブッシュ62を介して回転自在に配
設されたクラッチドラム61を有する。このクラッチド
ラム61は、スリーブ210の中外径部210cに回転
自在に支持された円筒状の被支持部61aと、この円筒
状基部61aの後端面に溶接された前方側に向かって順
に小円筒部61b、中円筒部61c及び大円筒部61d
が形成されたフード部61eとで構成され、フード部6
1bの内周面にスプライン溝61fが形成されている。
【0043】また、第1のクラッチ60は、クラッチド
ラム61の大円筒部61dの内周面側に所定間隔を保っ
て配設された円筒状のクラッチハブ63を有する。この
クラッチハブ63は、大円筒部61dと対向する外円筒
部63aと、その前端面から内方に延長するトルク伝達
部材63bと、このトルク伝達部材63bの内周縁から
入力軸50に所定間隔を保って対向するスリーブ部63
cとで構成され、外円筒部63aの外周面にスプライン
溝63dが形成されていると共に、スリーブ部63cの
内周面がブッシュ63eを介して入力軸50に回転自在
に支持されている。
【0044】さらに、第1のクラッチ60は、クラッチ
ドラム61の大外径部61dとクラッチハブ63の外円
筒部63aとの間に介挿された摩擦結合部材64を有す
る。この摩擦結合部材64は、クラッチドラム61の大
外径部61dに形成されたスプライン溝61fに係合す
るドリブンプレート64aと、クラッチハブ63の外円
筒部63aに形成されたスプライン63dに係合するド
ライブプレート64bとが交互に配設された構成を有
し、前端側のドリブンプレート64aが大外径部61d
の内周面に配設されたスナップリング61gで前方への
抜け出しが阻止され、後端側のドリブンプレート64a
がディッシュプレート64cを介して後述するピストン
の押圧部に当接している。
【0045】さらにまた、第1のクラッチ60のクラッ
チドラム61の内周部側に第1の油圧サーボ機構110
が配設されている。この第1の油圧サーボ機構110
は、クラッチドラム61の被支持部61aと小円筒部6
1bとその内周面に形成した断面L字状の隔壁部61h
とで構成されるシリンダ111と、このシリンダ部11
1内に摺動自在に配設されたピストン112と、被支持
部61aに外方に延長して形成された支持板部113と
ピストン112との間に介挿されたリターンスプリング
114とで構成され、ピストン112にクラッチドラム
61の中円筒部61cの内周面に沿って外方に延長して
前記ディシュプレート64cに当接する押圧部115が
形成されている。
【0046】また、第3のクラッチ80は、上述した第
1のクラッチ60を内装するクラッチドラム81を有す
る。このクラッチドラム81は、スリーブ210の中円
筒部210cの後端側の僅かに外径が大きい基部にブッ
シュ82を介して回転自在に支持された被支持部83
と、この被支持部83の後端側から外方に延長するフー
ド部84とで構成されている。
【0047】ここで、被支持部83は、スリーブ210
の大円筒部210dに摺接する外円筒部83aと、この
外円筒部83aの前端側から内方に延長する端板部83
bと、この端板部83bの内周縁から後方に折り返した
内円筒部83cとを有し、外円筒部83aの後端面がサ
イドカバー200のスリーブ210の外周側に形成され
た摺接板211と近接対向し、端板部83bの前端面が
前述した第1のクラッチ60におけるクラッチドラム6
1の被支持部61aの後端面に配設されたスラスト軸受
65を受ける軸受受け面とされ、内円筒部83cがスリ
ーブ210の中円筒部210cの基部にブッシュ82を
介して回転自在に支持されている。
【0048】また、フード部84は、図5〜図7に示す
ように、被支持部83の後端部に例えば溶接によって固
定された小円筒部84aと、この小円筒部84aの前端
縁から外方に延長する大円筒部84bとで構成されてい
る。小円筒部84aは、その後端面に前方側に突出する
形成されたコ字状部84cを有する。また、大円筒部8
4bは、前述した第1のクラッチ60におけるクラッチ
ドラム61の大外径部61eの内径と同一内径に形成さ
れた後方円筒部84dと、この後方円筒部84dの前端
に連接された第1のクラッチ60におけるクラッチドラ
ム61の大外径部61eの外径より大きい内径を有し、
大外径部61eを内装する前方円筒部84eとで構成さ
れている。
【0049】ここで、後方円筒部84dの内周面にスプ
ライン溝84fが形成されていると共に、前方円筒部8
4e外周面における前端から所定長さL1だけ後方側位
置から後方に向かってスプライン溝84gが形成され、
内周面に前端から見てスプライン溝84gと重なるよう
に前端から後方に図5で拡大図示するようにスプライン
溝84gとの間に傾斜隔壁84hを形成するように延長
するスプライン溝84iが形成され、スプライン溝84
gに第1のブレーキ100を構成するドリブンプレート
100aが係合され、スプライン味噌84iに第1の遊
星歯車機構10の大径サンギヤ11に連結されたトルク
伝達部材18が係合されている。
【0050】したがって、前方円筒部84eの前端面
は、図7で拡大図示するように、スプライン溝84iが
存在する位置では厚みが薄くなるが、スプライン溝84
i間では厚みが厚い圧肉部84jとなり、クラッチドラ
ム81が高速回転された場合でも前方円筒部84eのが
外方に開く開き応力を低減することができる。そして、
フード部84は前方円筒部84eの外周面に形成するス
プライン溝84gを除いてプレス加工によって成形さ
れ、このプレス加工によって成形された後のフード部8
4に対してフローフォーミング成形を行ってスプライン
溝84gを形成する。このように、スプライン溝84g
をフード部84をプレス成形した後にフローフォーミン
グ成形によって形成するので、このスプライン溝84g
とその内周面側のスプライン溝84iとのスプライン諸
元を任意に設定することができ、これらスプライン溝8
4g及び84iの設計自由度を向上させることができ
る。
【0051】また、第3のクラッチ80は、クラッチド
ラム81のフード部84における後方円筒部84dと内
側から対向する円筒状のクラッチハブ85を有する。こ
のクラッチハブ85は、前述した第1のクラッチ60の
クラッチドラム61におけるフード部61eの中円筒部
61cの外周面に例えば溶接によって固定されている。
【0052】さらに、第3のクラッチ80は、クラッチ
ドラム81のフード部84における後方円筒部84dと
クラッチハブ85との間に摩擦結合部材86が配設され
ている。この摩擦結合部材86は、クラッチドラム81
の後方円筒部84dに形成されたスプライン溝84fに
係合するドリブンプレート86aと、クラッチハブ85
の外周面に形成されたスプライン85aに係合するドラ
イブプレート86bとが交互に配設された構成を有し、
前端側のドリブンプレート86aが後方円筒部84dの
内周面に配設されたスナップリング84kで前方への抜
け出しが阻止され、後端側のドリブンプレート86aが
ディッシュプレート86cを介して後述するピストンの
押圧部に当接している。
【0053】さらにまた、第3のクラッチ80のクラッ
チドラム81の内周部側に第3の油圧サーボ機構130
が配設されている。この第3の油圧サーボ機構130
は、クラッチドラム81の被支持部83とフード部84
の小円筒部84aとで構成されるシリンダ131と、こ
のシリンダ131内に摺動自在に配設されたピストン1
32と、被支持部83の外円筒部83aの前端側にに外
方に延長して形成された支持板部133とピストン13
2との間に介挿されたリターンスプリング134とで構
成されている。
【0054】ここで、ピストン132は、被支持部83
の外円筒部83aの外周面及びフード部84の小円筒部
84aの内周面に摺接する断面逆コ字状に形成され、そ
の外周端縁に前方に支持板部133の上端まで延長して
から折り返すU字状部132aとこのU字状部132a
の後端部から外方に延長して前記ディシュプレート86
cに当接する当接部132bとから構成される押圧部1
32cが形成されている。
【0055】そして、シリンダ131及びピストン13
2間の油圧室が被支持部83の外円筒部83aに形成し
た作動油路87a、サイドカバー200に固定したスリ
ーブ210の大円筒部210dに半径方向に延長して形
成した作動油路87b、軸方向に延長して形成した作動
油路87cからサイドカバー200の外部に配設したパ
イプ状油路87dを通じて図示しないコントロールバル
ブに連通され、このコントロールバルブで作動油が給排
制御される。
【0056】また、フード部84の大外径部84bにお
ける前方円筒部84eの外周面に第1のブレーキ100
が配設されている。この第1のブレーキ100は、図4
に示すように、フード部84の大外径部84bにおける
前方円筒部84eに形成されたスプライン溝84gに係
合する回転側摩擦部材としてのドリブンプレート100
aと、ケース本体190の内周面に形成されたスプライ
ン溝101に係合する固定側摩擦部材としてのドライブ
プレート100bとが交互に配設された構成を有し、前
端側のドライブプレート100bが前方に隣接するワン
ウェイクラッチ90を固定するスナップリング102で
前方への移動が規制されたストッパー103に当接し、
後方側のドライブプレート100bが第4の油圧サーボ
機構140のピストン142に形成した押圧部143に
僅かな距離を挟んで対向している。
【0057】第4の油圧サーボ機構140は、サイドカ
バー200の内周面に形成されたシリンダ141内にピ
ストン142が配設され、このピストン142に後方に
延長する押圧部143が形成された構成を有し、押圧部
143の回りに形成されたスプリングシート144と、
サイドカバー200に形成された外周円筒部220の内
周面に配設されたスナップリング221で支持されたス
プリングシート145との間にリターンスプリング14
6が介挿されている。
【0058】本実施形態は以上のように構成されている
ので、今車両が図示しないセレクト機構でパーキングレ
ンジPが選択されて停車しているものとすると、各クラ
ッチ60、70及び80と各ブレーキ100及び110
とワンウェイクラッチ90が非作動状態となっている。
この状態からセレクト機構でリバースレンジRを選択す
ると、第3及び第5の油圧サーボ機構130及び150
に所定圧の作動油が供給される。このため、第3の油圧
サーボ機構130のシリンダ131とピストン132と
の間の油圧室に作動油が供給されることにより、ピスト
ン132がリターンスプリング134に抗して前方に摺
動し、ピストン132の押圧部133で第3のクラッチ
80における摩擦結合部材86のディッシュプレート8
6cを前方に押圧することにより、摩擦結合部材86の
ドリブンプレート86a及びドライブプレート86bと
が挟圧状態となり、クラッチドラム81とクラッチハブ
85とが連結されて、第3のクラッチ80が締結状態と
なる。
【0059】このとき、入力軸50から第2の遊星歯車
機構30を経て減速された回転力が第1のクラッチ60
のクラッチドラム61から第3のクラッチ80のクラッ
チハブ85に伝達され、摩擦係合部材86及びクラッチ
ドラム81を介し、さらにトルク伝達部材18を介して
第1の遊星歯車機構10のサンギヤ11に入力され、第
2のブレーキ110の締結によりトランスミッションケ
ース180に固定されたキャリア13に反力を取るリン
グギヤ17の逆回転力がカウンタドライブギヤ170に
出力される。この逆回転力がカウンタギヤ200を介し
てディファレンシャルギヤ450に伝達されて、ドライ
ブシャフト453a及び453bが逆回転されて車両が
後進駆動される。
【0060】また、セレクト機構でドライブレンジDを
選択することにより、車両を前進させることができ、こ
の状態で、第3速状態及び第5速状態となると、前述し
たと同様に第3の油圧サーボ機構130に所定圧の作動
油が供給されて、第3のクラッチ80が締結状態に制御
される。このとき、第3速では同時に第1のクラッチ6
0が締結状態となるため、第2の遊星歯車機構30から
伝達される入力軸50の回転力がクラッチドラム81、
第1のクラッチ60のクラッチドラム61、クラッチハ
ブ63aを介して第1の遊星歯車機構10の小径サンギ
ヤ12に伝達されて、第3速状態が得られ、第5速では
第2のクラッチ70が同時に締結状態となるため、入力
軸50から第2の遊星歯車機構30を経て減速された回
転力が第3のクラッチ80経由で大径のサンギヤ11に
入力され、他方で入力軸50から第2のクラッチ70経
由で入力された非減速回転がキャリア14に入力され、
リングギヤ17の入力軸50の回転速度より僅かに増速
された回転力がカウンタドライブギヤ170に出力され
て、第5速状態が得られる。
【0061】また、第1のブレーキ100が締結状態と
なる第2速及び第6速状態では、クラッチドラム81が
固定状態となり、この状態では、第3のクラッチ80は
非締結状態であるので、クラッチドラム81にはスラス
ト荷重が作用することはないが、第1のブレーキ100
が非締結状態では、クラッチドラム81が高速回転され
ている。このとき、被支持部83の内円筒部83cがサ
イドカバー200に固定されたスリーブ210の中円筒
部210cにブッシュ82を介して回転自在に支持され
ているので、ラジアル荷重を受けて正確なセンタリング
機能を発揮することができる。一方、クラッチドラム8
1に前方へのスラスト荷重が作用した場合には、被支持
部83の端板部83bが第1のクラッチ60の被支持部
61aの後端部との間に介挿されたスラスト軸受65に
当接しているので、このスラスト軸受65でクラッチド
ラム81の前方へのスラスト荷重を受けることがきる。
【0062】このように、被支持部83が、ラジアル荷
重とスラスト荷重を受けるために、外円筒部83aとそ
の前端に設けた端板部83bとこの端板部83bの内周
端から後方に折り返す内円筒部83cとでコ字状に形成
されているので、被支持部83の軸方向長さを短くする
ことができ、第1のクラッチ60を余裕を持って内装す
ることができる。
【0063】しかも、被支持部83がコ字状に形成され
ているので、第3の油圧サーボ機構130のピストン1
32の受圧面積が同軸上に配設されている第1の油圧サ
ーボ機構110のピストン112の受圧面積に比較して
小さくなるが、この第3の油圧サーボ機構130で駆動
する第3のクラッチ80が締結状態となるのは、リバー
ス状態、第3速状態及び第5速状態であり、このうちリ
バース状態では、第2の遊星歯車機構30のキャリア3
3から出力される減速された回転力が第3のクラッチ8
0、トルク伝達部材18を介して第1の遊星歯車機構1
0の大径サンギヤ11に伝達され、この大径サンギヤ1
1の回転力がピニオンで逆転されてリングギヤ17に伝
達されるので、第3のクラッチ80に大きな伝達トルク
が作用することなく、第3速状態及び第4速状態でも大
きな伝達トルクが作用することはないので、第1速及び
第2速の大きな伝達トルク力を必要とする際に締結状態
となる第1のクラッチ60に比較して低い押圧力で済む
ことから、第1の油圧サーボ機構110の受圧面積に比
較して第3の油圧サーボ機構130の受圧面積は小さく
て済み、被支持部83をコ字状に形成する場合の影響を
受けることがない。
【0064】そして、第3の油圧サーボ機構130の受
圧面積を大きくしたい場合には、クラッチドラム81の
フード部84における小円筒部84aの内径を大きくす
ればよく、この小円筒部84aの内径を調整することに
より、第3の油圧サーボ機構130の受圧面積を変更し
て、クラッチ容量を調整することができる。さらに、第
3のクラッチ80のクラッチドラム81内に第1のクラ
ッチ60を内装し、第1のクラッチ60の摩擦結合部材
64と第3のクラッチ80の摩擦結合部材86とが同一
形状に構成したので、両クラッチ60及び80で摩擦結
合部材を共用することができる。
【0065】なお、上記実施形態においては、第3のク
ラッチ80のクラッチドラム81におけるフード部84
の大外径部84bを内径の異なる後方円筒部84d及び
前方円筒部84eとで構成した場合について説明した
が、これに限定されるものではなく、大外径部84bを
外径が前端に行くに従い徐々に大きくなるラッパ状に形
成し、その内周面にスプライン84bを形成する内円筒
部及びスプライン84gを形成する外円筒部を形成する
ようにしてもよく、大外径部84bを単一の円筒状に形
成して、第1のクラッチ60のクラッチドラム61を小
径化するようにしてもよい。
【0066】また、上記実施形態においては、スプライ
ン84gをフローフォーミング成形する場合について説
明したが、これに限定されるものではなく、転造によっ
て形成するようにしてもよい。さらに、上記実施形態に
おいては、フード部84の大円筒部84bにおける前方
円筒部84eの外周面及び内周面に形成したスプライン
溝84g及び84iが前方からみて重なるように形成し
た場合について説明したが、これに限定されるものでは
なく、スプライン溝84gの溝部間にスプライン溝84
iの溝部が配置されるように円周方向に位相をずらして
形成するようにしてもよい。
【0067】さらにまた、上記実施形態においては、第
3のクラッチ80のクラッチドラム81におけるフード
部84の前方円筒部84eに第1のブレーキ110を構
成するドライブプレート100bが形成するスプライン
84gを形成した場合について説明したが、これに限定
されるものではなく、第1のブレーキ100と第4の油
圧サーボ機構140とを軸方向で逆に配置して、第1の
ブレーキ100を構成するドライブプレート100bを
後方円筒部84dの外周面に形成するようにしてもよ
い。
【0068】なおさらに、上記実施形態においては、自
動変速機を前進6速を実現するギヤトレインで構成して
いるが、これに限定されるものではなく、前進5速以下
又は7速以上の自動変速機にも本発明を適用することが
できる。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発
明によれば、クラッチドラムのトランスミッションケー
スの固定支持部に回転自在に支持される被支持部を、円
筒部と端板部と折り返した円筒部とで断面コ字状に形成
することにより、端板部でスラスト軸受を受ける受け面
を形成し、内側円筒部でラジアル方向のセンタリング機
能を発揮することができ、クラッチドラム自体で軸方向
及び径方向の軸受面を確保することができると共に、内
周側の円筒部が端板部から折り返されて外周側の円筒部
にオーバーラップするので、クラッチドラムの基部側即
ちシリンダ部側の軸方向長さを短縮することができると
いう効果が得られる。
【0070】また、請求項2に係る発明によれば、クラ
ッチドラム内に他のクラッチを配設したときに、両者の
摩擦結合部材が同一形状であるので、互いに共用するこ
とができると共に、クラッチドラムに内装される他のク
ラッチについては被支持部を除いてシリンダ部を拡張す
ることにより、クラッチ容量を大きく設定することがで
き、大きなクラッチ容量を必要とするクラッチを内装す
ることができるという効果が得られる。
【0071】さらに、請求項3に係る発明によれば、被
支持部における外周側の円筒部がシリンダ部の内周面を
構成しているので、クラッチドラムの径方向の長さを短
縮することができると共に、被支持部の径方向の長さで
クラッチ容量を設定することができるという効果が得ら
れる。さらにまた、請求項4に係る発明によれば、シリ
ンダ部が外筒部及び内筒部とその端部を閉塞する端板部
とで構成され、端板部にピストンが当接するコ字状膨出
部が形成されているので、シリンダ部とピストンとで構
成される油圧室に作動油を供給したときのピストンの迅
速な移動を確保することができると共に、コ字状膨出部
の面積を変更することにより、クラッチ容量を調整する
ことができるという効果が得られる。
【0072】なおさらに、請求項5に係る発明によれ
ば、クラッチドラムのスプライン溝の開放端部側に圧肉
部が形成されているので、クラッチドラムを高速回転さ
せたときに遠心力によって発生する開き応力を低減する
ことができるという効果が得られる。また、請求項6に
係る発明によれば、外周面側のスプライン溝をクラッチ
ドラムのプレス成形後にフローフォーミング成形で形成
するので、このスプライン溝の内側に形成するスプライ
ン溝を形成する場合に、両者の形状を任意に設定するこ
とができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された自動変速機の構成を示す断
面図である。
【図2】上記自動変速機を示すスケルトン図である。
【図3】上記自動変速機の作動を示す図である。
【図4】本発明の要部を示す拡大断面図である。
【図5】第3のクラッチにおけるクラッチドラムのフー
ド部を一部を拡大して示す断面図である。
【図6】図5の側面図である。
【図7】図6のV部の拡大図である。
【図8】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
60 第1のクラッチ 80 第3のクラッチ 81 クラッチドラム 83 被支持部 83a 外円筒部 83b 端板部 83c 内円筒部 84 フード部 84a 小円筒部 84b 大円筒部 84d 後方円筒部 84e 前方円筒部 84f,84g,84i スプライン溝 85 クラッチハブ 86 摩擦結合部材 100 第1のブレーキ 130 第3の油圧サーボ機構 131 シリンダ 132ピストン 150 第5の油圧サーボ機構 180 トランスミッションケース 190 ケース本体 200 サイドカバー 210 スリーブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J057 AA05 BB04 CA01 DA18 GA11 GA64 HH01 JJ04 3J063 AA01 AB02 AB12 AB53 AB62 AC04 BA03 BA04 BB41 CA01 CD13 CD14 CD17 CD25 CD26 CD33 CD41 CD63 XA25

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トランスミッションケースに配設した固
    定支持部に回転自在に支持されたクラッチドラムと、該
    クラッチドラムの内周面側に配設されたクラッチハブ
    と、前記クラッチドラム及びクラッチハブの対向面に配
    設された摩擦結合部材と、前記クラッチドラムの外周面
    に、前記トランスミッションケースの内周面に配設され
    たブレーキを係合するスプライン溝が形成された自動変
    速機のクラッチ構造において、 前記クラッチドラムの前記固定支持部に支持される被支
    持部を、ドラム軸方向に前記スプライン溝側に突出する
    円筒部と、該円筒部の端面から内方に延長してスラスト
    軸受との受け面となる端板部と、該端板部の内周縁から
    円筒部側に折り返した内筒部とで構成し、前記内筒部が
    前記固定支持部に回転自在に支持されていることを特徴
    とする自動変速機のクラッチ構造。
  2. 【請求項2】 前記クラッチドラムは、摩擦結合部材を
    内装する小径部と、この小径部より開放端面側に連接す
    る前記スプライン溝を形成した大径部とで構成され、前
    記大径部内に、前記摩擦結合部材と同一形状の摩擦結合
    部材を使用する他のクラッチを内装可能に構成されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の自動変速機のクラッ
    チ構造。
  3. 【請求項3】 前記被支持部における円筒部は前記シリ
    ンダ部の内周面を構成していることを特徴とする請求項
    1又は2に記載の自動変速機のクラッチ構造。
  4. 【請求項4】 前記シリンダ部はドラム軸方向に延長す
    る同軸的な外筒部及び内筒部と、これら外筒部及び内筒
    部の前記スプライン溝側とは反対側を閉塞する中央部に
    ピストンに当接するコ字状膨出部が形成された端板部と
    で構成されてることを特徴とする請求項1乃至3の何れ
    かに記載の自動変速機のクラッチ構造。
  5. 【請求項5】 前記クラッチドラムは、スプライン溝の
    開放端部側に圧肉部が形成されていることを特徴とする
    請求項1乃至4の何れかに記載の自動変速機のクラッチ
    構造。
  6. 【請求項6】 前記クラッチドラムは、前記スプライン
    溝がクラッチドラムのプレス形成後にフローフォーミン
    グ成形で形成されていることを特徴とする請求項5記載
    の自動変速機のクラッチ構造。
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