JP2003106177A - 火花点火式直噴エンジン - Google Patents

火花点火式直噴エンジン

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JP2003106177A
JP2003106177A JP2001302978A JP2001302978A JP2003106177A JP 2003106177 A JP2003106177 A JP 2003106177A JP 2001302978 A JP2001302978 A JP 2001302978A JP 2001302978 A JP2001302978 A JP 2001302978A JP 2003106177 A JP2003106177 A JP 2003106177A
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fuel
combustion
region
intake
combustion chamber
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JP2001302978A
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Hiroyuki Yamashita
洋幸 山下
Motokimi Fujii
幹公 藤井
Kazuaki Umezono
和明 梅園
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Original Assignee
Mazda Motor Corp
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

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  • Supercharger (AREA)
  • Combustion Methods Of Internal-Combustion Engines (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 成層燃焼時にはタンブル流を利用して成層化
を行う一方、均一燃焼領域の特に高速高負荷域で、圧縮
行程における筒内流動の強さを増大させて燃料のミキシ
ング作用を高めることにより燃焼性を向上し、スモーク
を低減する。 【解決手段】 成層燃焼領域でタンブル流を利用して成
層燃焼を行わせ、均一燃焼領域で燃料を燃焼室全体に拡
散させて均一燃焼を行うようにしたものにおいて、燃焼
室6内での横方向旋回成分を増大させるように流動状態
を変化させるバルブリフト量可変手段14等からなるス
ワール生成手段を設け、高速高負荷域でこのスワール生
成手段を作動させるようにしている。また、ターボ過給
機33を設け、高速高負荷域でスワール生成手段の作動
による吸気充填量の低下を補うように過給圧を高めるよ
うにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃焼室内に直接燃
料を噴射する燃料噴射弁を備え、かつ、成層燃焼領域で
は燃焼室内に生成されるタンブル流を利用して点火時期
に点火プラグ周りに可燃混合気を成層化させるようにし
た火花点火式直噴エンジンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、火花点火式エンジンにおい
て、燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を設け、低
速低負荷側の運転領域では、燃費改善のため、空燃比を
リーンとするとともに燃料噴射弁から圧縮行程で燃料を
噴射して成層燃焼を行わせ、高速高負荷側の運転領域で
は、出力確保のため、空燃比を理論空燃比もしくはそれ
よりリッチとするとともに燃料噴射弁から吸気行程で燃
料を噴射して均一燃焼を行わせるようにした火花点火式
直噴エンジンは種々知られている。
【0003】例えば特開2000−104550号公報
に示されたエンジンでは、燃焼室内にタンブル流が生成
されるようにし、成層燃焼時には、圧縮行程で燃料噴射
弁から噴射される燃料とタンブル流とが正面衝突する設
定とすることにより、タンブル流を利用して点火プラグ
周りに可燃混合気を成層化し、均一燃焼時には、吸気行
程で燃料噴射弁から噴射される燃料をタンブルに乗せて
燃焼室内全体に拡散させるようにしている。
【0004】また、特開2000−274278号公報
に示されたエンジンでは、点火プラグと、燃焼室内へ直
接燃料を噴射する燃料噴射弁と、ターボ過給機とを備
え、低速低負荷時には過給を停止して筒内流動(タンブ
ル流)を弱めた状態で成層燃焼を実施し、高速高負荷時
には過給を行なわせることでタンブル流を強めた状態で
均一燃焼を実施するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の特開2000−
104550号公報に示されるようにタンブル流を利用
して成層燃焼時の混合気の成層化及び均一燃焼時の燃料
の拡散を図るようにしたものでは、均一燃焼領域のうち
でも特に高速高負荷の領域で燃料と空気とのミキシング
性能を充分に高めることが難しい。
【0006】すなわち、上記高速高負荷の領域では燃料
噴射量が非常に多く、かつ、エンジン1サイクル分の時
間が短くなるので、クランク角でみた燃料噴射期間は著
しく長くなり、例えば吸気上死点で燃料噴射を開始して
も燃料噴射期間は吸気下死点以後にまで及び、噴射終了
から点火までの時間が短くなるため、その間に充分に燃
料のミキシングを行わせるためには、圧縮行程後期にま
でわたって強い筒内流動が維持されることが要求され
る。しかし、後にも詳述するようにタンブル流は圧縮行
程後半に減衰、崩壊し易い。しかも、燃料噴霧をタンブ
ル流に乗せて流動させるだけではミキシング作用が乏し
い。
【0007】また、特開2000−274278号公報
に示されたエンジンでは高速高負荷時に過給によりタン
ブル流を強めるようにはしているが、このようにしても
タンブル流が圧縮行程後半に減衰、崩壊する傾向を充分
に補うことが難しい。
【0008】そして、このように高速高負荷域で燃料の
ミキシングが不充分であると、燃焼性の悪化によりスモ
ークが発生し易くなる。
【0009】本発明はこのような点に鑑み、成層燃焼時
にはタンブル流を利用して成層化を良好に行うようにす
る一方、均一燃焼領域の特に高速高負荷域で、圧縮行程
における筒内流動の強さを増大させて燃料のミキシング
作用を高めることにより燃焼性を大幅に向上し、スモー
クを低減することができる過給機付火花点火式直噴エン
ジンを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に係る発明は、燃焼室内にタンブル流を生
成するように吸気系を構成するとともに、燃焼室内に直
接燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、低速低負荷側の特
定運転領域である成層燃焼領域では圧縮行程で上記燃料
噴射弁から燃料を噴射させ、かつ上記タンブル流を利用
して点火時期に点火プラグ周りに可燃混合気を偏在させ
ることにより成層燃焼を行わせ、上記成層燃焼領域以外
の特定運転領域である均一燃焼領域では上記燃料噴射弁
から噴射した燃料を燃焼室全体に拡散させるように燃料
噴射を制御することにより均一燃焼を行わせるように構
成された火花点火式直噴エンジンにおいて、燃焼室内に
流入する吸気の流動状態を強制的に変化させて、燃焼室
内での横方向の旋回流成分を増大させるスワール生成手
段と、高速高負荷域では上記スワール生成手段を作動さ
せることにより圧縮行程における燃焼室内の流動の強さ
を増大させるようにしつつ均一燃焼を行わせる制御手段
とを備えたものである。
【0011】この構成によると、成層燃焼領域では、タ
ンブル流が利用されて点火プラグ周りに混合気が成層化
され、成層燃焼が良好に行われる。一方、均一燃焼領域
では、燃料噴射弁から噴射された燃料が燃焼室全体に拡
散して均一燃焼が行われる。
【0012】特に均一燃焼領域内の高速高負荷領域で
は、スワール生成手段によって燃焼室内での横方向の旋
回流成分(スワール)が増大するように吸気の流動状態
が変えられ、このスワールは横断面円形の気筒周壁に沿
って旋回するので、タンブルよりも筒内流動の保存性が
高くて圧縮行程後期にまでわたり強い筒内流動を維持す
ることができるとともに、燃料噴霧に対して略直交する
横方向から衝突するのでミキシング性能が高い。このた
め、燃料噴射量が多く、かつ噴射終了から点火時期まで
の時間が短くなる高速高負荷領域でも、点火時期までの
間に燃料のミキシングが充分に行われ、燃料の気化、霧
化が促進されて燃焼性が向上され、スモークの発生が抑
制される。
【0013】この発明において、上記スワール生成手段
は、1つの燃焼室に対して複数設けられた吸気弁のバル
ブリフト特性を互いに異ならせることによりスワールを
生じさせるものであること(請求項2)が好ましい。こ
のようにすれば、一部の吸気弁のバルブリフトを小さく
することで、他の吸気弁から流入する吸気が燃焼室の周
壁に沿って旋回し、横方向の旋回流成分が増大する。
【0014】また、ターボ過給機と、このターボ過給機
の作動による過給圧が目標過給圧を越えないように規制
する過給圧規制手段とを備え、上記高速高負荷域で、上
記スワール生成手段が燃焼室内への吸気流入部分を絞る
ように作動するとともに、このスワール生成手段の作動
による吸気充填量低下を補うようにターボ過給機の目標
過給圧が調整されるようにすること(請求項3)が好ま
しい。具体的には、上記高速高負荷域以外の領域で予め
設定された第1の目標過給圧を越えないようにターボ過
給機の作動による過給圧を規制するとともに、上記高速
高負荷域で、上記第1の目標過給圧よりも高い第2の目
標過給圧を設定して、この第2の目標過給圧まで過給圧
が上昇することを許容するようにすればよい(請求項
4)。
【0015】このようにすると、高速高負荷域で、ター
ボ過給機の余剰過給能力が利用されて過給圧が高められ
ることにより、スワール生成手段の作動による吸気充填
量低下が補われ、出力が確保されるとともに、スワール
が強化される。
【0016】なお、成層燃焼領域では燃料噴射弁からタ
ンブル流に対向するように燃料を噴射させて、燃焼室内
でタンブル流と燃料噴霧とが略正面衝突するようにすれ
ば(請求項5)、効果的に成層燃焼が行なわれる。
【0017】また、請求項6に係る発明は、燃焼室内に
タンブル流を生成するように吸気系を構成するととも
に、燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、
低速低負荷側の特定運転領域である成層燃焼領域では圧
縮行程で上記燃料噴射弁から燃料を噴射させ、かつ上記
タンブル流を利用して点火時期に点火プラグ周りに可燃
混合気を偏在させることにより成層燃焼を行わせ、上記
成層燃焼領域以外の特定運転領域である均一燃焼領域で
は上記燃料噴射弁から噴射した燃料を燃焼室全体に拡散
させるように燃料噴射を制御することにより均一燃焼を
行わせるように構成された火花点火式直噴エンジンにお
いて、燃焼室内に流入する吸気の流動状態を強制的に変
化させて、燃焼室内での横方向の旋回流成分を増大させ
るスワール生成手段を設けるとともに、少なくとも高速
高負荷域で、吸気弁の閉時期を、燃料噴射終了後であっ
て、吸気ポートへの混合気の吹き返しが生じる程度に遅
い時期に設定し、かつ、吸気弁閉時期を遅い時期に設定
した運転領域で上記スワール生成手段を作動する制御手
段を備えたものである。
【0018】この構成によると、高速高負荷域で、吸気
弁が遅閉じとされることにより、有効圧縮比が小さくさ
れて排気温度の上昇が抑制されるとともに、噴射期間の
終了付近で噴射された燃料の一部が吸気ポートに吹き返
されて次のサイクルで燃焼室に供給されるため、燃料の
気化、霧化が促進される。さらに、スワールが生成され
ることにより燃料のミキシング作用が高められるととも
に、燃焼のサイクル毎の変動が抑制される。こうして、
スモークの発生が抑制されるとともに、運転性能が確保
される。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。
【0020】図1は、本発明の一実施形態による火花点
火式直噴エンジンの全体的な構成を示す。この図におい
て、エンジン本体1は、複数の気筒2が配設されたシリ
ンダブロック3と、このシリンダブロック3上に配置さ
れたシリンダヘッド4とを有し、各気筒2内にはピスト
ン5が上下方向に往復動可能に嵌挿されていて、そのピ
ストン5とシリンダヘッド4との間に燃焼室6が形成さ
れている。
【0021】上記ピストン5は、シリンダブロック3の
下方部に回転自在に支持されたクランク軸7に、コネク
ティングロッド8を介して連結されている。クランク軸
7の一端側には、クランク角(クランク軸7の回転角
度)を検出する電磁式のクランク角センサ9が配置され
ている。
【0022】各気筒2の燃焼室6は、その天井部が中央
部分からシリンダヘッドの下端まで延びる2つの傾斜面
で構成された所謂ペントルーフ型となっている。この燃
焼室6には複数の吸気ポート10と排気ポート11とが
開口し、当実施形態では天井部を構成する2つの傾斜面
に吸気ポート10及び排気ポート11がそれぞれ2つず
つ開口している。各ポート10,11の開口端には吸気
弁12及び排気弁13が設けられ、これら吸気弁12及
び排気弁13は、シリンダヘッド4の上部に軸支された
2本のカム軸等からなる動弁機構により、それぞれ各気
筒毎に所定のタイミングで開閉作動されるようになって
いる。
【0023】吸気弁12を作動する動弁機構には、2つ
の吸気ポート10にそれぞれ設けられた吸気弁12のう
ち片方の吸気弁12に対してそのバルブリフト量を可変
とするバルブリフト量可変手段14が設けられている。
すなわち、図2に示すように、第1の吸気弁(2つの吸
気弁のうち一方)はバルブリフト量が比較的大きい一定
のバルブリフト特性VLとされるが、第2の吸気弁(2
つの吸気弁のうち他方)は、バルブリフト量可変手段に
より、第1の吸気弁のバルブリフト特性VLと同程度に
バルブリフト量が大きい高リフト特性VL1と、バルブ
リフト量が小さい低リフト特性VL2とに切換可能とさ
れている。なお、上記低リフト特性VL2は、バルブリ
フト量が0(つまり弁停止)であってもよい。
【0024】上記バルブリフト量可変手段14として
は、カムノーズの大きさが異なる2種類の動弁カムを切
換可能としたもの、或いは、カムと吸気弁との間に設け
られるタペットを油圧の給排によって高さ変更可能とし
たもの等を採用することができる。
【0025】また、上記燃焼室6の中央部の上方には、
上記4つの吸排気弁に取り囲まれるように点火プラグ1
6が配置されており、この点火プラグ16の先端が上記
天井部から燃焼室6内に突出している。この点火プラグ
16には点火回路17が接続され、各気筒2毎に所定の
タイミングで点火プラグ16に通電するようになってい
る。さらに、上記燃焼室6の周縁部には、2つの吸気ポ
ート10に挟まれるように燃料噴射弁18が配置され、
この燃料噴射弁18から燃焼室6内に直接燃料が噴射さ
れるようになっている。
【0026】上記エンジン本体1の構造を、図3〜図6
を参照しつつさらに詳しく説明すると、上記両吸気ポー
ト10は、燃焼室6から斜め上方に向かって直線的に延
びていて、エンジン本体1の一側面(図3で左側面)に
開口しており、2つの吸気ポート10は互いに独立して
形成されている。そして、後述のスワール生成時以外
は、これらの吸気ポート10を通って燃焼室6内に流入
する空気により燃焼室6内にタンブル流Tが生成される
ようになっている。図3のように燃焼室6の左側に吸気
ポート10、右側に排気ポート11が位置する断面にお
いては時計方向(図3中の矢印方向)にタンブル流Tが
生成される。
【0027】上記燃料噴射弁18からの燃料噴射方向は
燃焼室6内のタンブル流Tに対向するように設定されて
いる。すなわち、図3に示す断面において燃焼室6の左
側に位置する燃料噴射弁18から斜め右下方に向けて燃
料が噴射されることにより、噴射された燃料がピストン
5の冠面上でタンブル流Tと逆行する方向に向かうよう
になっている。
【0028】上記ピストン5の冠面には、上記断面にお
いてシリンダ軸線Zを挟んで左右両側にわたる所定範囲
に凹部5aが形成されている。そして、図4に示すよう
に燃焼室6の天井部に沿った流れをタンブル順流Ts、
燃焼室6の底部に沿った流れをタンブル正流Tmと定義
すると、上記凹部5a内に、タンブル正流Tmと燃料噴
霧Faとが互いに逆方向から導入されることにより、こ
の凹部5a内で上記タンブル正流Tmと燃料噴霧Faと
がほぼ正面衝突するようになっている。
【0029】さらに図示の例では、上記凹部5aのシリ
ンダ軸線Zよりも左側にオフセットした位置に、タンブ
ル正流Tmを上方に偏向させる段部5bが形成され、こ
の段部5bの上端には、上記凹部21の底面と略平行、
つまり略水平方向に延びる棚部5cが形成されている。
このようにしているのは、燃焼室天井部の傾斜面の角度
が大きくてピストン冠面から点火プラグ16までの距離
が比較的大きい場合に、燃料噴霧Faとタンブル正流T
mとの衝突により生成された混合気を、上記段部5bで
上方に偏向された気流(タンブル流の一部)により上方
に巻き上げて、点火プラグ周りに漂わせるようにするた
めである。
【0030】図5に示すように平面視において、上記凹
部5aは、燃料の噴射方向を長軸とし、これと直交する
方向を短軸とする略楕円状に形成されている。上記凹部
5aの設置部を除いたピストン5の冠面の外周部分5d
は、これに対向する燃焼室6の天井部の傾斜面に略沿う
ように形成され、気筒2の圧縮上死点前の所定期間、例
えばBTDC40°CA〜TDCの期間においてピスト
ン5の冠面の外周部分5dと、燃焼室6の天井部とによ
り挟まれる隙間がスキッシュエリアとなるように構成さ
れている。なお、TDCは上死点、BTDCは上死点
前、CAはクランク角を意味する。
【0031】このようなエンジン本体1の構造により、
両吸気ポート10に設けられた吸気弁12のバルブリフ
ト特性が同じであるときは両吸気ポート10から流入す
る吸気によってタンブルTが生成される。一方、バルブ
リフト量可変手段14によって第2の吸気弁が低リフト
のバルブリフト特性VL2(図2参照)とされたとき
は、図6に示すように、第2の吸気弁が設けられた吸気
ポート(同図で下側の吸気ポート)からの吸気流入が制
限され、第1の吸気弁が設けられた吸気ポート(同図で
上側の吸気ポート)から主に吸気が流入することとなる
ので、燃焼室内での横方向の旋回流成分が増大して、ス
ワールSが生成される。従って当実施形態では、上記バ
ルブリフト量可変手段14によりスワール生成手段が構
成されている。
【0032】また、上記燃料噴射弁18に対する燃料供
給系20の具体例を図7によって説明すると、燃料噴射
弁18の基端部には全気筒2に共通の燃料分配管19が
接続されていて、燃料供給系20から供給される高圧の
燃料を各気筒に分配するようになっており、この燃料供
給系20には、分配管19と燃料タンク21とを連通さ
せる燃料通路22の上流側から下流側に向かって、低圧
ポンプ23、低圧レギュレータ24、燃料フィルタ25
および高圧ポンプ26が順に配設されている。そして、
上記低圧ポンプ23により燃料タンク21から吸い上げ
られた燃料が、低圧レギュレータ24により調圧された
後、燃料フィルタ25により濾過された状態で高圧ポン
プ26に圧送されるようになっている。
【0033】上記高圧ポンプ26は、燃料の吐出量を広
い範囲に亘って調節可能な電磁ポンプ等からなり、燃料
分配管19への燃料の吐出量を調節することにより、燃
圧(燃料噴射弁からの燃料の噴射圧力)を適正値(例え
ば略3MPa〜略13MPa、好ましくは4MPa〜7
MPa程度)に制御するように構成されている。なお、
上記高圧ポンプ26によって昇圧された燃料の一部を、
リターン通路から燃料タンク21に戻すことにより、上
記燃料分配管19に供給される燃料の圧力状態を適正値
に調節する高圧レギュレータを設けた構成としてもよ
い。
【0034】図1に戻って、上記エンジン本体1の一側
面には、各気筒の吸気ポート10に連通する吸気通路3
1が接続され、一方、エンジン本体1の他側面には、各
気筒の排気ポート11に連通する排気通路32が接続さ
れている。さらにエンジンにはターボ過給機33が設け
られている。
【0035】上記吸気通路31は、エンジン本体1の各
気筒2の燃焼室6に対し図外のエアクリーナで濾過した
空気を供給するものであり、その上流側から順に、吸気
量を検出するエアフローセンサ(図示せず)と、ターボ
過給機33のコンプレッサ33aと、過給された吸気を
冷却するインタークーラ34と、電動式モータ36によ
り駆動されて開閉する電気式スロットル弁35と、サー
ジタンク37とが配設されている。また、サージタンク
37よりも下流の吸気通路31は、各気筒2毎に分岐す
る独立吸気通路とされており、各独立吸気通路の下流端
部はさらに2つに分岐して、2つの吸気ポート10にそ
れぞれ連通している。
【0036】上記各吸気ポート10の上流側には、燃焼
室6内におけるタンブル流の強度を調節するタンブル調
節弁38が配設され、このタンブル調節弁38が、例え
ばステッピングモータからなるアクチュエータ39によ
り開閉駆動されるようになっている。上記タンブル調節
弁38は、円形のバタフライ弁の一部、例えば弁軸より
も下側の部分を切り欠くことによって形成され、タンブ
ル調節弁38が閉じられているときに、上記切欠き部分
を介して吸気を下流側に流動させることにより、燃焼室
6内にタンブル流を形成し、上記タンブル調節弁38が
開かれるのに応じてタンブル流を徐々に弱めるように構
成されている。
【0037】なお、上記吸気ポート10やタンブル調節
弁38の形状は、上記形状に限定されるものではなく、
例えば吸気ポート10を、上流側で一つに合流する所謂
コモンポートタイプに構成してもよい。この場合、上記
タンブル調節弁38は、コモンポートの断面形状に対応
する形状のものをベースとして、その一部分を切り欠い
た形状とすればよい。
【0038】一方、上記排気通路32は、燃焼室6から
既燃ガスを排出するものであり、その上流端側には各気
筒2の排気ポート11に連通する排気マニフォールド3
2aを備えている。この排気マニフォールド32aの集
合部には排気中の酸素濃度を検出するリニアO2センサ
40が配設されている。このリニアO2センサ40は排
気中の酸素濃度に基づいて空燃比を検出するために用い
られるもので、理論空燃比を含む所定の空燃比範囲にお
いて酸素濃度に対しリニアな出力が得られるようになっ
ている。
【0039】排気マニフォールド32aの集合部には排
気管32bの上流端が接続され、この排気管32bに
は、ターボ過給機33のタービン33bが設けられると
ともに、その下流側に排気を浄化するための触媒41が
設けられている。
【0040】上記タービン33bと吸気通路31内のコ
ンプレッサ33aとはタービンシャフト33cを介して
連結され、タービン33bが排気ガス流により駆動され
て回転するとそれに連動してコンプレッサ33aが回転
し、吸気を過給するようになっている。
【0041】上記ターボ過給機33に対し、過給圧が目
標過給圧を越えないように規制する過給圧規制手段とし
て、タービン33bをバイパスするウエストゲート通路
42と後記ECU51からの制御信号に応じて上記ウエ
ストゲート通路42を開閉するウエストゲートバルブ4
3とが設けられ、過給圧が目標過給圧を越えたときにウ
エストゲートバルブ43が開かれて排気ガスの一部がウ
エストゲート通路42に逃がされることにより、過給機
駆動力(タービン33bに与えられる排気エネルギー)
が減少するようになっている。
【0042】また、排気管32bのタービン33bより
上流側には、排気通路32を流れる排気の一部を吸気通
路31に還流させるEGR通路44の上流端が接続され
ている。このEGR通路44の下流端は吸気通路31の
上記スロットル弁35より下流、例えばサージタンク3
7に接続されている。EGR通路44の途中には開度調
節可能な電気式のEGR弁45が配設されていて、EG
R通路44による排気の還流量を調節できるようになっ
ている。
【0043】上記バルブリフト量可変手段14、点火回
路17、燃料噴射弁18、燃料供給系20、スロットル
弁35を駆動するモータ36、タンブル調節弁38のア
クチュエータ39、ウエストゲートバルブ43、電気式
EGR弁45等は、エンジンコントロールユニット50
(以下、ECUという)によって制御されるようになっ
ている。このECU50には、上記クランク角センサ
9、エアフローセンサ、リニアO2センサ40等からの
信号が入力され、さらに、アクセル開度(アクセルペダ
ルの操作量)を検出するアクセル開度センサ47からの
検出信号、エンジンの回転速度を検出する回転速度セン
サ48からの検出信号等も入力されるようになってい
る。
【0044】上記ECU50は、燃料噴射制御手段5
1、流動状態制御手段52、過給制御手段53を含んで
いる。
【0045】上記燃料噴射制御手段51は、燃料噴射弁
18からの燃料噴射の時期及び噴射量の制御を行う。具
体的には、例えば図8に示すように、エンジンの低負荷
かつ低回転の運転領域(イ)を成層燃焼領域、それ以外
の領域(ロ)を均一燃焼領域と設定し、成層燃焼領域
(イ)では、燃料噴射弁18から圧縮行程の所定時期
(例えば圧縮上死点前(BTDC)40°〜140°の
範囲)に燃料を噴射して成層燃焼を行わせるようにす
る。このとき、空燃比はリーン(例えばA/F>25)
とするように吸入空気量及び燃料噴射量を制御する。一
方、均一燃焼領域(ロ)では、燃料噴射弁18から吸気
行程で燃料を噴射して均一燃焼を行わせるようにする。
このとき、空燃比は略理論空燃比(A/F=14.7)
とするように吸入空気量及び燃料噴射量を制御する。な
お、特に全負荷運転域及びそれに近い高負荷運転域では
空燃比を理論空燃比よりもリッチとしてもよい。
【0046】上記流動状態制御手段52は、バルブリフ
ト量可変手段14の制御及びタンブル調節弁38の制御
を行うことにより、燃焼室6内の吸気の流動状態を制御
する。具体的には、例えば上記成層燃焼領域(イ)では
タンブル調節弁38を閉じ、もしくは小開度とすること
によりタンブル流を強化し、均一燃焼領域(ロ)ではタ
ンブル調節弁38を開くように制御する。
【0047】さらに、均一燃焼領域(ロ)のうちでも特
に高速高負荷領域(ハ)では、バルブリフト量可変手段
14を制御して第2の吸気弁を低リフト特性VL2(図
2参照)とすることにより、燃焼室6内にスワールSを
生成させるようにする(図6参照)。高速高負荷領域
(ハ)以外の均一燃焼領域(ロ)及び成層燃焼領域
(イ)では、第2の吸気弁を高リフト特性VL1(図2
参照)とするようにバルブリフト量可変手段14を制御
する。
【0048】また、過給制御手段53は、上記高速高負
荷領域(ハ)で、第2の吸気弁が低リフト特性VL2と
されて燃焼室6への吸気流入部分(吸気ポート開口部)
が絞られることによる吸気充填効率の低下を補うように
目標過給圧を調整する。具体的には、例えば図9に示す
ように、上記高速高負荷領域(ハ)以外の運転領域で
は、予め定められた第1の目標過給圧P1を設定し、過
給圧がこの第1の目標過給圧P1を越えないようにウエ
ストゲートバルブ43を制御する。この第1の目標過給
圧P1は、吸気流入部分が絞られていない状態でのエン
ジンの信頼性の面から定められた基本的な目標過給圧で
ある。
【0049】一方、上記高速高負荷領域(ハ)では、上
記第1の目標過給圧P1よりも高い第2の目標過給圧P
2を設定して、この第2の目標過給圧P2まで過給圧が
上昇することを許容し、つまり過給圧が第2の目標過給
圧P2に達するまではウエストゲートバルブ43を閉
じ、第2の目標過給圧P2を越えるとウエストゲートバ
ルブ43を開くように制御する。この第2の目標過給圧
P2と第1の目標過給圧P1との差は、上記第2の吸気
弁が低リフトのバルブリフト特性VL2とされることに
よる吸気充填量低下分を補う程度とされる。
【0050】以上のような当実施形態の装置によると、
成層燃焼領域(イ)では、空燃比がリーンとされつつ、
圧縮行程で燃料噴射弁18から燃料が噴射され、かつ、
燃焼室6内にタンブル流Tが生成されて、このタンブル
流Tに対向するように燃料が噴射されることにより、燃
焼室6内でタンブル流Tと燃料噴霧Faとが互いに衝突
し、燃料の気化、霧化が促進されつつ、点火時期に点火
プラグ16付近に可燃混合気が生成され、成層燃焼が行
われる。
【0051】一方、均一燃焼領域(ロ)では、空燃比が
理論空燃比もしくはそれよりリッチとされつつ、吸気行
程で燃料噴射弁18から燃料が噴射され、その燃料が点
火時期までに燃焼室全体に拡散して、均一燃焼が行われ
る。
【0052】ところで、特に高速高負荷領域(ハ)で
は、燃料噴射量が増大するとともに、エンジン1サイク
ル分の時間が短くなる。一方、燃料噴射量が少ない領域
での燃料制御の精度を確保するため燃料噴射弁の噴射率
(単位時間当りの噴射量)はあまり大きくするわけには
いかない。そのため、この領域(ハ)ではクランク角で
みた燃料噴射期間が著しく長くなり、例えば図10に示
すように吸気上死点(TDC)で燃料噴射を開始しても
噴射終了は吸気下死点(BDC)より後となる。
【0053】このように噴射期間が長いと、噴射期間の
初期の吸気上死点付近で噴射された燃料はピストンに多
く付着するため、また、噴射期間の後期に噴射された燃
料は点火までの時間が短いため、それぞれ気化、霧化が
悪化しやすい。
【0054】これに対し、高速高負荷領域(ハ)で第2
の吸気弁が高リフトVL2(図2参照)とされることに
より燃焼室内にスワールSが生成されるため、燃料の気
化、霧化が促進される。
【0055】すなわち、タンブルTは縦断面で非円形の
壁に囲われた空間を旋回する(図3、図4参照)ので、
圧縮行程後半に減衰、崩壊が生じ易いが、スワールSは
横断面円形の気筒周壁に沿って旋回する(図6参照)の
で、減衰しにくく、圧縮行程にまでわたって強い筒内流
動を維持することができる。しかも、スワールSは燃料
噴霧Faに対して略直交する横方向から衝突するので、
ミキシング性能が高い。
【0056】従って、高速高負荷領域(ハ)で上記のよ
うにスワールを生成することにより、燃料噴射量が多く
ても燃料が噴射されてから点火時期までの間に燃料のミ
キシングが充分に行われ、燃料の気化、霧化が促進され
る。
【0057】しかも、この領域(ハ)では、基本的な目
標過給圧(第1の目標過給圧P1)よりも高い第2の目
標過給圧P2が設定されて、スワール生成のために吸気
流入部分が絞られることに伴う吸気充填量を補うように
過給圧が高められる。つまり、従来では目標過給圧の規
制により高速高負荷域では捨てられていた余剰の過給能
力が利用されて過給圧が高められることにより、吸気充
填量が補われて高速高負荷域の出力が確保されるととも
に、スワールが強化される。
【0058】このようにして、均一燃焼が良好に行われ
ることにより、図11にも示すように、従来と比べ、高
速高負荷領域でのスモークの発生が大幅に抑制される。
この図11に示すデータを説明すると、この図の中で
「従来例」というのは、火花点火式直噴エンジンで、タ
ーボ過給機を備えているが、高速高負荷領域でスワール
を生成させる手段を有せず、かつ、ターボ過給機の目標
過給圧を高速高負荷領域で高めるようにしていないもの
を意味し、「本発明」とは当実施形態によるものを意味
する。そして、「従来例」及び「本発明」とも、エンジ
ン回転数が6000rpmの全負荷時において空燃比を
A/F=10に制御した場合の吸気圧力及びスモーク発
生量を調べたものである。
【0059】この図のように、吸気圧力(過給圧)は
「従来例」より「本発明」の方が高いが、その差ΔPは
スワール生成のために吸気流入部分が絞られることに伴
う吸気充填量を補うものであるので、吸気充填量及び燃
料噴射量は「従来例」と略同じである。それに対し、ス
モーク発生量は従来と比べて大幅に減少(ΔS分減少)
している。
【0060】なお、本発明のエンジンの具体的構成は上
記実施形態に限定されず、種々変更可能であり、その数
例を以下に説明する。
【0061】スワール生成手段として、上記実施形態
ではバルブリフト可変手段14を用いたが、これに替え
て、一方の吸気ポート中にこの吸気ポートを絞るスワー
ル調節弁を設けるようにしてもよい。
【0062】また、複数の吸気ポートの途中にそれぞれ
絞り弁を設け、成層燃焼領域においてはこれら絞り弁の
全てを閉じることによりタンブルを強化し、均一燃焼領
域内の高速高負荷域においては一方の吸気ポートの絞り
弁を積極的に閉じ、かつ他方の吸気ポートの絞り弁を開
くことにより、スワールを生成させるようにしてもよ
い。
【0063】過給圧規制手段として、上記実施形態で
はウエストゲート通路42及びウエストゲートバルブ4
3を用いたが、これらに替えて、吸気通路におけるター
ボ過給機のコンプレッサの下流から過給気をリリーフす
る通路及び弁を設けるようにしてもよい。
【0064】高速高負荷時に燃料の気化、霧化を向上
するための別の実施形態として、少なくとも高速高負荷
域で、図12に示すように、吸気弁の閉時期を、燃料噴
射終了後であって、吸気ポートへの混合気の吹き返しが
生じる程度に遅い時期に設定するとともに、このように
吸気弁を遅閉じに設定した運転領域でスワール生成手段
を作動させるように構成してもよい。
【0065】この場合、例えば2つの吸気弁のうち一方
に対し、図12に示すような遅閉じのバルブタイミング
と通常のバルブタイミングとに切換可能なバルブタイミ
ング可変手段を設けるとともに、他方の吸気弁に対して
前述の図2中に示したようにバルブリフト量を変更可能
とするバルブリフト量可変手段を設け、高速高負荷域で
一方の吸気弁を遅閉じタイミングとするとともに、他方
の吸気弁を低リフト特性とすればよい。エンジン本体の
構造は前記実施形態と同様(図3〜図6)とすればよ
い。
【0066】この実施形態によると、高速高負荷域で、
バルブタイミングが遅閉じとされることにより、有効圧
縮比が小さくなることで排気温度の上昇が抑制されて信
頼性が高められるとともに、噴射期間の終了付近で噴射
された燃料(点火時期までの時間が短いため気化が悪く
なり易い燃料)の一部が吸気ポートに吹き返されて次の
サイクルで燃焼室に供給されることにより、燃料の気
化、霧化が向上される。
【0067】また、このように燃料が吹き返されると、
燃料供給量の制御精度が悪くなって燃焼のサイクル毎の
変動が生じ易くなるが、スワールが生成されることによ
り、燃料のミキシング作用が高められるとともに、燃焼
のサイクル毎の変動が抑制される。
【0068】高速高負荷時に燃料の気化、霧化を向上
するための別の手法として、燃料噴射弁に、ピエゾ素子
等を用いて噴射率(単位時間当りの噴射量)を変更可能
とする噴射率可変手段を設け、この噴射率可変手段によ
り、図13に示すように、噴射率を、吸気弁のリフト特
性に対応させて吸気上死点付近及び吸気下死点付近で低
く、吸気行程途中で高くなるように制御してもよい。
【0069】このようにすれば、気化が悪くなり易い噴
射開始側及び噴射終了側で噴射量が少なくて、吸気流量
及び吸気流速が高い吸気行程途中で燃料が多く噴射され
るので、気化、霧化の促進に有利となる。
【0070】成層燃焼領域でタンブル流を利用して成
層化を図る構造として、前記実施形態では燃料噴霧とタ
ンブル流とを略正面衝突させるようにしているが、ピス
トン冠面に燃料噴霧とタンブル流とをそれぞれガイドす
る湾曲面を設けて、燃焼室中央部付近で燃料噴霧がタン
ブル流と合流して点火プラグ方向に輸送されるようにし
た構造等も採用することができる。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のエンジン
は、成層燃焼領域でタンブル流を利用して成層燃焼を行
わせ、均一燃焼領域で燃料を燃焼室全体に拡散させて均
一燃焼を行うようにしたものにおいて、燃焼室内での横
方向旋回成分を増大させるように流動状態を変化させる
スワール生成手段を設け、高速高負荷域でこのスワール
生成手段を作動させるようにしているため、高速高負荷
領域ではスワールにより圧縮行程までにわたり燃焼室内
の流動を強化することができる。そして、スワールはタ
ンブルよりも筒内流動の保存性が高くて圧縮行程後期に
までわたり強い筒内流動を維持することができるととも
に、燃料噴霧に対して略直交する横方向から衝突するの
でミキシング性能が高いため、燃料噴射量が多く、かつ
噴射終了から点火時期までの時間が短くなる高速高負荷
領域でも、点火時期までの間に燃料のミキシングを充分
に行い、気化、霧化を促進して燃焼性を向上し、スモー
クの発生を抑制することができる。
【0072】この発明において、ターボ過給機と、この
ターボ過給機の作動による過給圧が目標過給圧を越えな
いように規制する過給圧規制手段とを備え、高速高負荷
域で、目標過給圧を調整することでターボ過給機の余剰
過給能力を利用して過給圧を高めることにより、スワー
ル生成手段の作動による吸気充填量低下を補うようにす
れば、高速高負荷域で要求される出力を確保しつつ、ス
モークの発生を効果的に抑制することができる。
【0073】また、成層燃焼領域でタンブル流を利用し
て成層燃焼を行わせ、均一燃焼領域で燃料を燃焼室全体
に拡散させて均一燃焼を行うようにしたものにおいて、
燃焼室内での横方向旋回成分を増大させるように流動状
態を変化させるスワール生成手段を設けるとともに、少
なくとも高速高負荷域で、吸気弁の閉時期を、燃料噴射
終了後であって、吸気ポートへの混合気の吹き返しが生
じる程度に遅い時期に設定し、かつ、スワール生成手段
を作動させるようにした構成によると、高速高負荷域
で、排気温度の上昇を抑制するとともに、吸気ポートへ
の混合気の吹き返しが生じる程度に吸気弁を遅閉じとし
たことによる燃料の気化、霧化の促進及びスワールによ
るミキシング向上により燃焼性を良くし、スモークの発
生を抑制することができる。しかも、吸気ポートへの混
合気の吹き返しにより燃焼のサイクル毎の変動が生じ易
くなる傾向をスワールによるミキシング向上により抑制
し、運転性能を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による火花点火式直噴エン
ジンの全体構造の一例を示す概略図である。
【図2】吸気弁のバルブリフト特性を示す図である。
【図3】エンジン本体の断面図である。
【図4】ピストンの具体的形状を示す断面図である。
【図5】ピストン、吸気ポート、燃料噴射弁等の配置及
び燃料の噴射状態並びにタンブル生成状態を示す平面図
である。
【図6】ピストン、吸気ポート、燃料噴射弁等の配置及
び燃料の噴射状態並びにスワール生成状態を示す平面図
である。
【図7】燃料供給系を示すブロック図である。
【図8】成層燃焼領域、均一燃焼領域等を設定した制御
マップの一例を示す図である。
【図9】エンジン回転数と過給圧との関係を示す図であ
る。
【図10】高速高負荷時の燃料噴射時期及び噴射期間を
示す図である。
【図11】従来例と本発明とにつき、吸気圧力及びスモ
ーク発生量を比較して示すグラフである。
【図12】本発明の別の実施形態による吸気弁の開弁期
間を示す図である。
【図13】本発明のさらに別の実施形態による燃料噴射
弁からの燃料の噴射率の制御特性を示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン本体 6 燃焼室 10 吸気ポート 12 吸気弁 14 バルブリフト量可変手段 16 点火プラグ 18 燃料噴射弁 33 ターボ過給機 38 タンブル調節弁 50 ECU 51 燃料噴射制御手段 52 流動状態制御手段 53 過給制御手段
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02B 31/00 301 F02B 31/00 301F 31/02 31/02 L 37/12 302 37/12 302Z F02D 23/00 F02D 23/00 K 41/02 301 41/02 301A 41/04 305 41/04 305D 320 320 43/00 301 43/00 301R 301U 301Z (72)発明者 梅園 和明 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 3G005 EA04 EA16 FA37 GA02 GB28 GE01 GE09 HA08 HA09 HA12 HA19 JA02 JA23 JA39 3G023 AA07 AA18 AB03 AC05 AD07 AD12 AD14 AF03 AG01 AG03 3G084 AA04 BA08 BA09 BA15 BA20 BA21 BA23 CA03 CA04 CA09 DA10 FA07 FA10 FA29 FA33 FA38 3G092 AA06 AA10 AA11 AA17 BA04 BA06 BB06 DA03 DB03 DG08 DG09 EA05 EA07 FA18 GA05 GA06 GA17 GA18 HA01Z HA13X HA15X HB02Z HD05Z HD07X HE01Z HE03Z HF08Z 3G301 HA04 HA11 HA13 HA16 HA17 HA19 JA24 KA08 KA09 KB03 KB04 LA07 LB04 LC03 MA01 MA19 NE13 NE15 PA01Z PB05Z PD04Z PE01Z PE03Z PF03Z

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃焼室内にタンブル流を生成するように
    吸気系を構成するとともに、燃焼室内に直接燃料を噴射
    する燃料噴射弁を備え、低速低負荷側の特定運転領域で
    ある成層燃焼領域では圧縮行程で上記燃料噴射弁から燃
    料を噴射させ、かつ上記タンブル流を利用して点火時期
    に点火プラグ周りに可燃混合気を偏在させることにより
    成層燃焼を行わせ、上記成層燃焼領域以外の特定運転領
    域である均一燃焼領域では上記燃料噴射弁から噴射した
    燃料を燃焼室全体に拡散させるように燃料噴射を制御す
    ることにより均一燃焼を行わせるように構成された火花
    点火式直噴エンジンにおいて、 燃焼室内に流入する吸気の流動状態を強制的に変化させ
    て、燃焼室内での横方向の旋回流成分を増大させるスワ
    ール生成手段と、高速高負荷域では上記スワール生成手
    段を作動させることにより圧縮行程における燃焼室内の
    流動の強さを増大させるようにしつつ均一燃焼を行わせ
    る制御手段とを備えたことを特徴とする火花点火式直噴
    エンジン。
  2. 【請求項2】 上記スワール生成手段は、1つの燃焼室
    に対して複数設けられた吸気弁のバルブリフト特性を互
    いに異ならせることによりスワールを生じさせるもので
    あることを特徴とする請求項1記載の火花点火式直噴エ
    ンジン。
  3. 【請求項3】 ターボ過給機と、このターボ過給機の作
    動による過給圧が目標過給圧を越えないように規制する
    過給圧規制手段とを備え、上記高速高負荷域で、上記ス
    ワール生成手段が燃焼室内への吸気流入部分を絞るよう
    に作動するとともに、このスワール生成手段の作動によ
    る吸気充填量低下を補うようにターボ過給機の目標過給
    圧が調整されることを特徴とする請求項1又は2記載の
    火花点火式直噴エンジン。
  4. 【請求項4】 上記高速高負荷域以外の領域で予め設定
    された第1の目標過給圧を越えないようにターボ過給機
    の作動による過給圧を規制するとともに、上記高速高負
    荷域で、上記第1の目標過給圧よりも高い第2の目標過
    給圧を設定して、この第2の目標過給圧まで過給圧が上
    昇することを許容するようにしたことを特徴とする請求
    項3記載の火花点火式直噴エンジン。
  5. 【請求項5】 成層燃焼領域では燃料噴射弁からタンブ
    ル流に対向するように燃料を噴射させて、燃焼室内でタ
    ンブル流と燃料噴霧とが略正面衝突するようにしたこと
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の火花点
    火式直噴エンジン。
  6. 【請求項6】 燃焼室内にタンブル流を生成するように
    吸気系を構成するとともに、燃焼室内に直接燃料を噴射
    する燃料噴射弁を備え、低速低負荷側の特定運転領域で
    ある成層燃焼領域では圧縮行程で上記燃料噴射弁から燃
    料を噴射させ、かつ上記タンブル流を利用して点火時期
    に点火プラグ周りに可燃混合気を偏在させることにより
    成層燃焼を行わせ、上記成層燃焼領域以外の特定運転領
    域である均一燃焼領域では上記燃料噴射弁から噴射した
    燃料を燃焼室全体に拡散させるように燃料噴射を制御す
    ることにより均一燃焼を行わせるように構成された火花
    点火式直噴エンジンにおいて、 燃焼室内に流入する吸気の流動状態を強制的に変化させ
    て、燃焼室内での横方向の旋回流成分を増大させるスワ
    ール生成手段を設けるとともに、少なくとも高速高負荷
    域で、吸気弁の閉時期を、燃料噴射終了後であって、吸
    気ポートへの混合気の吹き返しが生じる程度に遅い時期
    に設定し、かつ、吸気弁閉時期を遅い時期に設定した運
    転領域で上記スワール生成手段を作動する制御手段を備
    えたことを特徴とする火花点火式直噴エンジン。
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