JP2003027977A - 過給機付火花点火式直噴エンジン - Google Patents

過給機付火花点火式直噴エンジン

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JP2003027977A
JP2003027977A JP2001216464A JP2001216464A JP2003027977A JP 2003027977 A JP2003027977 A JP 2003027977A JP 2001216464 A JP2001216464 A JP 2001216464A JP 2001216464 A JP2001216464 A JP 2001216464A JP 2003027977 A JP2003027977 A JP 2003027977A
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fuel
valve
intake
cylinder
fuel injection
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Hiroyasu Uchida
浩康 内田
Motokimi Fujii
幹公 藤井
Kazuaki Umezono
和明 梅園
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Mazda Motor Corp
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  • Valve Device For Special Equipments (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸気を過給するターボ過給機40と、気筒2
内の燃焼室6に燃料を直接、噴射するインジェクタ18
とを備え、高速高負荷側のλ=1領域(ロ)及びエンリ
ッチ領域(ハ)において燃料を気筒2の吸気行程で噴射
させて、均一燃焼状態とするようにした火花点火式4サ
イクル直噴エンジン1において、特にエンリッチ領域
(ハ)内の特定領域においてエンジン1の最高出力を確
保しかつ排気系の信頼性を担保しながら、排気中のPM
の低減を図る。 【解決手段】 エンジン1がエンリッチ領域(ハ)の高
速側の特定領域にあるときに、気筒2内の混合気の空燃
比A/FをA/F≦13となるように制御するとともに
(SA13)、VVT15により吸気弁12の閉弁時期
ICを遅角側に変更し(SA14)、かつ吸気遅閉じによ
る吸気充填量の低下を補完するように、ターボ過給機4
0のウエストゲート弁42の開度を制御して、最高過給
圧を高める(SA15)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸気を過給する過
給機を備えるとともに、気筒内の燃焼室に直接噴射した
燃料を点火プラグの電極周りに成層化して燃焼させるよ
うにした過給機付火花点火式直噴エンジンに関し、特
に、高速高負荷側の特定の領域における燃焼制御の技術
分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の過給機付火花点火式
直噴エンジンとして、例えば特開平11−173180
号公報に開示されるように、通常、均質燃焼状態となる
比較的低速でかつ中負荷以上の運転領域において、燃料
噴射弁により燃料の一部を気筒の圧縮行程で噴射させる
ことで、排気中のスモークの軽減を図ったものがある。
すなわち、気筒内流動の弱い低速域では吸気行程で噴射
した燃料がピストン冠面のキャビティ内に偏って液膜状
に付着しやすく、このことが排気中のスモーク増大の原
因となるが、前記のように燃料の一部を相対的に気筒内
圧の高い圧縮行程で噴射させることで、燃料噴霧の貫徹
力を低下させるとともに、ピストンの上昇により燃料噴
霧を点火プラグ側に輸送して、ピストン冠面への燃料付
着を抑制することができるのである。
【0003】尚、前記のような気筒の圧縮行程での燃料
噴射は、エンジン回転速度がある程度低く、燃料噴射の
終了時期があまり点火時期に近づかない、という条件下
で行われ、エンジンが高速高負荷の運転状態にあるとき
には、気筒の吸気行程初期から燃料噴射弁により燃料を
一気に噴射させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般に、火
花点火式直噴エンジンでは、燃料噴射量の多くなる高負
荷域において燃料を気筒の点火時点までに十分に気化霧
化させることが難しく、その燃料の一部が蒸し焼き状態
になって、ディーゼルエンジンのような浮遊粒子状物質
(パティキュレートマター、以下、PMという)が排出
されやすいという問題がある。
【0005】特に、エンジンが高速高負荷の運転状態に
あるときには燃料の噴射量が多くなる一方で、それを噴
射可能な時間間隔がエンジン回転速度の上昇に反比例し
て短くなり、自ずと燃料噴射の終了時期が遅角側に移動
することになるから、燃料の噴射から点火までの時間が
一層、短くなって、気化霧化がさらに困難になる。しか
も、気筒の圧縮行程では吸気行程に比べて気筒内流動が
減衰しているので、この圧縮行程で噴射された燃料は吸
気との混合が促進され難く、このことによっても気化霧
化が阻害されることになる。
【0006】また、通常、火花点火式エンジンでは排気
系の信頼性を考慮して、高速ないし高負荷側の特定の領
域において空燃比を理論空燃比よりもリッチになるよう
に制御して、排気温度の上昇を抑えるようにしており、
このことで燃料の噴射供給量がさらに多くなるから、前
記のPMの問題が一層、顕著なものとなる。
【0007】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、過給機を備えた火花
点火式直噴エンジンにおいて、高速高負荷側の特定の領
域における噴射燃料の気化霧化時間の確保に工夫を凝ら
して、エンジンの最高出力と排気系の信頼性とを担保し
ながら、排気中のPMの低減を図ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明の解決手段では、高速高負荷側の特定領域
において、吸気弁の閉弁時期を大幅に遅角側に変更する
こと(いわゆる吸気弁の遅閉じ)により、気筒の圧縮行
程初期に燃焼室から吸気通路に混合気の一部を吹き返さ
せて、次の燃焼サイクルまでの間に十分に気化霧化させ
るようにした。
【0009】具体的に、請求項1の発明では、図1に一
例を示すように、気筒への吸気を過給する過給機Aと、
該気筒内の燃焼室に燃料を直接、噴射供給する燃料噴射
弁Bとを備え、少なくとも高速高負荷側の過給領域にお
いて前記燃料噴射弁Bにより燃料を気筒の吸気行程で噴
射させて均一燃焼状態とするようにした火花点火式4サ
イクル直噴エンジンCを前提とする。そして、前記気筒
の吸気弁の少なくとも閉弁時期を可変とする可変動弁機
構Dと、前記過給機Aによる吸気の過給圧を調整する過
給圧調整手段Eと、前記過給領域内の高速高負荷側に設
定した特定領域において前記燃料噴射弁Bにより燃料を
気筒の吸気行程から圧縮行程初期に亘って噴射させると
ともに、該燃料噴射弁による燃料噴射量を混合気の空燃
比A/FがA/F≦13になるように制御する燃料噴射
制御手段Fと、当該特定領域において気筒の圧縮行程初
期に燃焼室の混合気が吸気通路に吹き返されるよう、前
記可変動弁機構Dの作動により吸気弁の閉弁時期を所定
のクランク角以降に遅角させる動弁時期制御手段Gと、
当該特定領域においてその低速側に隣接する隣接領域に
比べて、過給圧力を一定に抑える目標過給圧が相対的に
高くなるように前記過給圧調整手段Eを制御する過給圧
制御手段Hとを備える構成とする。
【0010】前記の構成により、エンジンCが高速高負
荷側の特定領域にあるときには、まず、空燃比制御手段
FによりエンジンCの気筒内の空燃比がリッチ化され
て、燃焼室に噴射供給される多量の燃料の気化潜熱によ
り排気温度の過度の上昇が抑制される。また、動弁時期
制御手段Gによる可変動弁機構Dの作動が行われて、吸
気弁の閉弁時期が遅角側に変更され、気筒の圧縮行程初
期に燃焼室の混合気が吸気通路に吹き返される。この吹
き返された混合気は次回の燃焼サイクルで再び気筒に吸
入されるまでの間に十分に気化霧化されることになるの
で、前記したように多量の燃料を燃焼室に供給していて
も、それらを十分に気化霧化させて良好に燃焼させるこ
とができ、もって、排気中のPMを低減できる。
【0011】特に、圧縮行程の初期に吸気通路に吹き返
される混合気には、燃料噴射弁から最後に噴射された比
較的、粒の粗い燃料液滴が多く含まれており、この燃料
を十分に気化霧化できることがPMの低減のためには極
めて有効なものとなる。
【0012】さらに、前記のように気筒の圧縮行程初期
に燃焼室の混合気が吸気通路に吹き返されると、そのこ
とによって気筒の吸気充填量が低下することになるが、
一方で、過給圧制御手段Hにより過給圧調整手段Eの制
御が行われて、過給圧が高められているので、吹き返し
に起因する充填量の低下が抑制されて、エンジンCの最
高出力は確保される。
【0013】請求項2の発明では、燃料噴射制御手段
を、特定領域において燃料噴射弁による燃料の噴射作動
を気筒の吸気行程における所定のクランク角以降で開始
させるものとする。こうすることで、燃料噴射弁による
燃料の噴射作動を例えば、吸気上死点後40°CA(A
TDC40°CA)以降とすれば、燃料噴射弁から噴射
された燃料噴霧は下降するピストンを追って燃焼室に拡
散しながら、該ピストンに追いつくことがなく、従っ
て、ピストン冠面への燃料の付着を防止できる。
【0014】次に、請求項3の発明は、前記請求項1の
発明と同様の火花点火式4サイクル直噴エンジンCを前
提とし(図1参照)、このものにおいて、気筒の吸気弁
の少なくとも閉弁時期を可変とする可変動弁機構Dと、
過給機Aによる吸気の過給圧を調整する過給圧調整手段
Eと、過給領域内の高速高負荷側に設定した特定領域に
おいて燃料噴射弁Bによる燃料の噴射作動を気筒の吸気
上死点付近で開始させるとともに、該燃料噴射弁Bによ
る燃料噴射量を混合気の空燃比A/FがA/F≦13に
なるように制御する燃料噴射制御手段Fと、該燃料噴射
制御手段Fにより制御される燃料噴射弁Bの噴射作動が
気筒の圧縮行程で終了するときに、当該気筒の吸気弁の
閉弁時期が燃料噴射作動の終了時期よりも遅角側になる
ように前記可変動弁機構Dを制御する動弁時期制御手段
Gと、前記特定領域において該特定領域の低速側に隣接
する隣接領域に比べて、過給圧力を一定に抑える目標過
給圧が相対的に高くなるように前記過給圧調整手段Eを
制御する過給圧制御手段Hとを備える構成とする。
【0015】この構成では、前記請求項1の発明と同様
に、エンジンCが高速高負荷側の特定領域にあるとき
に、空燃比制御手段FによりエンジンCの気筒内の空燃
比がリッチ化され、燃料噴射弁Bから噴射供給される多
量の燃料の気化潜熱により、排気温度の過度の上昇が抑
制される。この際、そのように多量の燃料をできるだけ
吸気行程で噴射するために、燃料噴射弁Bによる燃料の
噴射作動が気筒の吸気上死点付近で開始されるが、それ
でも尚、該燃料噴射弁Bの噴射作動の終了時期が気筒の
圧縮行程まで遅角した場合には、動弁時期制御手段Gに
よる可変動弁機構Dの作動が行われて、吸気弁の閉弁時
期が前記燃料噴射終了時期よりも遅角側に変更される。
【0016】このことで、前記請求項1の発明と同様
に、噴射直後の粗い燃料液滴を含む混合気の一部を吸気
通路に吹き返して、十分に気化霧化させた上で次回の燃
焼サイクルにおいて良好に燃焼させることができ、これ
により排気中のPMを低減できる。また、過給圧制御手
段Hによる過給圧調整手段Eの制御によって吸気の過給
圧が高められることで、前記した吹き返しに起因する充
填量の低下を抑制して、エンジンCの最高出力を確保す
ることができる。
【0017】一方、エンジンが前記特定領域にあって
も、相対的に低速ないし低負荷であれば、燃料噴射弁B
による燃料噴射終了時期が圧縮行程まで遅角することは
なく、この場合には前記した吸気弁の遅閉じ等の制御は
行われない。すなわち、燃料噴射弁Bからの噴射燃料が
次回の燃焼サイクルに持ち越されることがなくなり、こ
のことで、燃料噴射の制御性が向上して、エンジンの運
転状態が急変したときにも優れた追従性が得られる。
【0018】請求項4の発明では、請求項3の発明にお
ける燃料噴射制御手段を、特定領域において燃料噴射弁
による燃料の噴射作動を排気弁の閉弁時期よりも進角側
で開始させるものとする。
【0019】こうすることで、燃料噴射弁による燃料の
噴射を可及的に早期に開始し、その燃料噴射をできるだ
け早期に終了するようにして、前記請求項3の発明の作
用効果を十分に得ることができる。また、燃料の噴射終
了からそのときの燃焼サイクルにおける点火時点までの
間に、燃料の気化霧化のために最大限に長い時間を確保
できる。尚、排気弁の閉弁時期よりも進角側というの
は、燃料噴射弁からの燃料噴霧が排気通路に流出するこ
とのないように、そのときのエンジン回転速度、気筒内
流動の強さ、燃料噴霧貫徹力等に応じて設定したクラン
ク角だけ進角側とするのが好ましく、このようにすれ
ば、噴射した燃料が無駄になることがない。
【0020】請求項5の発明では、請求項1又は請求項
3のいずれかの発明における過給圧制御手段を、動弁時
期制御手段による可変動弁機構の制御が行われて気筒の
吸気弁の閉弁時期が遅角されたとき、このことによる吸
気充填量の低下を補完するように過給圧を高めるものと
する。
【0021】このことで、エンジンが高速高負荷側の特
定領域にあって、可変動弁機構により吸気弁の閉弁時期
が遅角側に変更されても、そのことによる気筒の吸気充
填量の低下が過給量の増大により補完され、これによ
り、エンジンの最高出力を確実に維持できるとともに、
エンジンの運転状態が前記特定領域とそれ以外の領域と
の間で遷移するときの出力の変動を抑制できる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基いて説明する。
【0023】図2は、本発明の実施形態に係る筒内噴射
式エンジン1の全体的な構成を示す。このエンジン1
は、複数の気筒2,2,…(1つのみ図示する)が直列
に並ぶように設けられたシリンダブロック3を有し、こ
のシリンダブロック3上にシリンダヘッド4が配置され
るとともに、各気筒2内にはピストン5が上下方向に往
復動可能に嵌挿されていて、そのピストン5の冠面とシ
リンダヘッド4の下面との間の気筒2内に燃焼室6が区
画形成されている。また、前記気筒2,2,…を囲むシ
リンダブロック3の側壁部には、図示しないがウオータ
ジャケットが形成されており、さらに、該シリンダブロ
ック3の下側部分には、気筒2,2,…に連通するよう
にクランク室7が形成され、ここにクランク軸8が収容
されている。このクランク軸8の一端側にはその回転角
度を検出するための電磁式のクランク角センサ9が配設
されている。
【0024】前記各気筒2について図3に拡大して示す
ように、燃焼室6の天井部には互いに差し掛けられた屋
根のような形状をなす2つの傾斜面が形成されており、
その2つの傾斜面にそれぞれ吸気ポート10及び排気ポ
ート11が2つずつ開口していて、その各開口端に吸気
及び排気弁12,12,13,13が配置されている。
前記2つの吸気ポート10,10はそれぞれ燃焼室6か
ら斜め上方に向かって直線的に延びていて、エンジン1
の一側面(図2の右側面)に互いに独立して開口してお
り、一方、前記2つの排気ポート11,11は途中で1
つに合流して略水平に延び、エンジン1の他側面(図2
の左側面)に開口している。
【0025】前記吸気弁12及び排気弁13は、それぞ
れ、シリンダヘッド4に配設された2本のカム軸14,
14(図2に示す)がタイミングベルトを介して前記ク
ランク軸8により回転駆動されることで、各気筒2毎に
所定のタイミングで開閉作動されるようになっている。
また、吸気側のカム軸14には、クランク軸8に対する
回転位相を所定の角度範囲において連続的に変化させる
公知の可変動弁機構15(Valiable Valve Timing:以
下、VVTと略称する)が付設されていて、このVVT
15の作動により前記吸気弁12の開閉作動時期が変更
されるようになっている。
【0026】前記VVT15は、その概略構造を図4に
示すように、カム軸14の端部に固定されたロータ15
aと、このロータ15bを覆うように配置されてスプロ
ケット15bに固定されたケーシング15cとからな
る。前記ロータ15aの外周には外方に向かって放射状
に突出する4つのベーンが設けられ、一方、ケーシング
15cの内周には内方に向かって延びる4つの区画壁が
設けられている。そして、それらのベーンと区画壁との
の間に複数の油圧作動室15d,15e,…が形成さ
れ、ここに作動油として供給されるエンジンオイルの油
圧がオイルコントロールバルブ15f(以下、OCVと
いう)によって調整されることにより、前記ロータ15
aとケーシング15c、即ちカム軸14とスプロケット
15aとが相対的に回動されて、該カム軸14のクラン
ク軸8に対する回転位相が連続的に変更される。
【0027】より詳しくは、前記VVT15の油圧作動
室は、周方向に交互に配置された進角側及び遅角側の油
圧作動室15d,15e,…からなり、その進角側の油
圧作動室15d,15d,…の油圧力が増大すると、ロ
ータ15aはケーシング15cに対しカム軸14の回転
する向き(図に矢印で示す)に回動され、これにより、
前記図5に破線で示すように、吸気弁12の開弁時期IO
及び閉弁時期ICが進角側にシフトされる。また、反対
に、前記遅角側の油圧作動室15e,15e,…の油圧
力が増大すると、ロータ15aはケーシング15cに対
しカム軸14の回転する向きとは反対に回動され、これ
により、図5に仮想線で示すように、吸気弁12の開弁
時期IO及び閉弁時期ICが遅角側にシフトされる。
【0028】尚、前記図5において、例えば吸気弁12
について開弁時期IO、閉弁時期ICというのは、それぞれ
図示の如く緩衝部を除いた弁揚程曲線の始端及び終端の
ことである。そして、この実施形態では、開弁時期IO及
び閉弁時期ICが進角側又は遅角側にそれぞれ約20°C
Aずつ、合計、約40°CAに亘って連続的に変更され
るようになっている。
【0029】また、前記図2、3に示すように、各気筒
2毎の燃焼室6の上方には、4つの吸排気弁12,13
に取り囲まれるように、点火プラグ16が配設されてい
る。この点火プラグ16の先端の電極は、エンジン1が
成層燃焼状態のときに燃焼室6の略中央位置に滞留する
混合気に対して確実に点火できるよう、該燃焼室6の天
井部から所定距離だけ突出した位置にある(図14参
照)。一方、該点火プラグ16の基端部には点火回路1
7(図2にのみ示す)が接続されていて、各気筒2毎に
所定の点火タイミングで点火プラグ16に通電するよう
になっている。
【0030】一方、前記燃焼室6の底部に相当するピス
トン5の冠面には、その略中央部において吸気側の周縁
部から排気側の周縁部に亘ってレモン型の凹部5aが形
成されており、詳しくは後述するが、気筒2の吸気行程
で生成されたタンブル流Tが該凹部5aに沿ってスムー
ズに流れ、当該気筒2の圧縮行程中期まで保持されると
ともに、インジェクタ18からの燃料噴霧を包み込むよ
うに該インジェクタ18に向かって安定して流れるよう
になる(図13参照)。
【0031】また、前記燃焼室6の吸気側の周縁部に
は、2つの吸気ポート10,10の下方においてそれら
に挟まれるようにインジェクタ(燃料噴射弁)18が配
設されている。このインジェクタ18は、先端部の噴孔
から燃料を旋回流として噴出させて、インジェクタ18
の軸心の方向に沿うようにホローコーン状に噴射する公
知のスワールインジェクタであり、気筒2の燃料噴射時
点においてピストン5冠面の凹部5aに沿って流れるタ
ンブル流Tに対し、燃料噴霧を略正対させて衝突させる
ような向きに配置されている(図13参照)。
【0032】前記した点火プラグ16やインジェクタ1
8の配置構成により、エンジン1が低速低負荷の運転状
態のときには、各気筒2の圧縮行程でインジェクタ18
から噴射される燃料噴霧の挙動をタンブル流Tにより制
御して、点火プラグ16の電極近傍に適切に成層化さ
せ、良好な成層燃焼状態とすることができる。つまり、
このエンジン1は、燃料噴霧を気筒内流動により成層化
させるようにしたいわゆるエアーガイド方式の直噴エン
ジンである。
【0033】前記の如く各気筒2毎に配設されたインジ
ェクタ18,18,…は、全ての気筒2,2,…に共通
の燃料分配管19に接続されていて、燃料供給系20か
ら供給される高圧の燃料が該燃料分配管19により各気
筒2に分配されるようになっている。この燃料供給系2
0は、図示しないが、燃料ポンプや燃圧レギュレータ等
を備え、燃料タンクからの燃料を前記燃料分配管19に
供給するとともに、その燃料の圧力状態(燃圧)をエン
ジン1の運転状態に応じて調整するようになっている。
また、前記燃料分配管19にはその内部の燃圧を検出す
るための燃圧センサ21が配設されている。
【0034】前記図2に示すように、エンジン1の一側
面には、各気筒2の吸気ポート10,10にそれぞれ連
通する吸気通路23が接続されている。この吸気通路2
3は、エンジン1の燃焼室6に対し図外のエアクリーナ
で濾過した吸気を供給するものであり、その上流側から
下流側に向かって順に、エンジン1に吸入される空気の
流量を検出するホットワイヤ式エアフローセンサ24
と、後述のタービン37により駆動されて吸気を圧縮す
るコンプレッサ25と、このコンプレッサ25により圧
縮した吸気を冷却するインタークーラ26と、バタフラ
イバルブからなり、吸気通路23を絞る電気式スロット
ル弁27と、サージタンク28とがそれぞれ配設されて
いる。前記電気式スロットル弁27は、図外のアクセル
ペダルに対し機械的には連結されておらず、図示しない
電動モータにより駆動されて、アクセプペダルの操作量
(アクセル開度)に対応する適切な開度となるように開
閉される。
【0035】また、前記サージタンク28よりも下流側
の吸気通路23は、各気筒2毎に分岐する独立通路とさ
れ、これらの各独立通路の下流端部がさらに2つに分岐
してそれぞれ吸気ポート10,10に連通している。こ
の2つの吸気ポート10,10の双方の上流側には、前
記図3にも示すように燃焼室6のタンブル流Tやスワー
ルの強さを調節するための開閉弁30,30(Tumble S
wirl Controk Valve:以下、TSCVと略称する)が配
設され、例えばステッピングモータ31等のアクチュエ
ータによって開閉作動されるようになっている。このT
SCV30は、円形のバタフライバルブの弁軸30aよ
りも下側の部分を切り欠いており、全閉状態でも吸気が
前記切り欠き部分から流通して、燃焼室6に強いタンブ
ル流Tを生成する。一方、TSCV30が開かれると、
吸気は切り欠き部分以外からも流通するようになり、タ
ンブル流Tの強さは徐々に低下する。
【0036】尚、前記吸気ポート10やTSCV30の
形状は上述したものに限られず、例えば、バタフライバ
ルブの弁軸よりも上側の部分を切り欠いたものでもよ
い。また、吸気ポートは、上流側で1つに合流されたい
わゆるコモンポートであってもよく、この場合には、T
SCVとして、コモンポートの断面形状に対応する形状
のバタフライバルブの一部分を切り欠いたものとすれば
よい。
【0037】前記図2に示すように、エンジン1の他側
面には、燃焼室6から既燃ガス(排気)を排出する排気
通路33が接続されている。この排気通路33の上流端
は、各気筒2毎に分岐して排気ポート11に連通する排
気マニホルド34により構成され、該排気マニホルド3
4の集合部には排気中の酸素濃度を検出するリニアO2
センサ35が配設されている。このリニアO2センサ3
5は排気中の酸素濃度に基づいて空燃比を検出するため
に用いられるもので、理論空燃比を含む所定の空燃比範
囲において酸素濃度に対しリニアな出力が得られるもの
である。
【0038】また、前記排気マニホルド34の集合部よ
りも下流側の排気通路33には、排気流を受けて回転さ
れるタービン37と、排気管36とが接続されていて、
この排気管36の上流側から下流側に向かって順に、略
理論空燃比近傍の排気中のHC、CO、NOxを浄化す
る三元触媒38と、理論空燃比よりもリーンな排気中の
NOxを浄化可能ないわゆるリーンNOx触媒39とが
配設されている。
【0039】前記タービン37は、吸気通路23のコン
プレッサ25と共にターボ過給機40を構成するもので
あり、排気流によりタービン37が回転されると、この
タービン37と一体に回転するコンプレッサ25が吸気
を圧縮して過給する。また、このターボ過給機40に
は、前記タービン37をバイパスして排気管36の上流
側から下流側へ排気を流通させるウエストゲート通路4
1と、このウエストゲート通路41を流通する排気の流
量を調整するウエストゲート弁42とが設けられてい
る。ウエストゲート弁42は、図示しないが、吸気通路
23からパイロット通路により導かれる過給圧とコイル
バネの付勢力と電磁ソレノイドの発生する駆動力とのバ
ランスによりスプールの開度が調整されて、吸気通路2
3の過給圧を予め設定した最高過給圧(インターセプト
点:図11参照)以下に維持するとともに、その電磁ソ
レノイドの駆動力を変更することで、最高過給圧をリニ
アに変更調整可能なものである。前記ウエストゲート通
路41及びウエストゲート弁42により、ターボ過給機
40による吸気の過給圧を調整する過給圧調整手段が構
成されている。
【0040】尚、図2に示す符号43は、三元触媒38
の劣化状態を判定するためにその下流側に配設されたラ
ムダO2センサである。また、図示は省略するが、前記
排気通路33におけるタービン37よりも上流側の部位
には、排気の一部を吸気側に還流させるEGR通路のの
上流端が分岐接続されている。このEGR通路の下流端
は前記サージタンク28に接続され、その近傍には開度
調節可能な電気式のEGR弁が配設されていて、EGR
通路による排気の還流量を調節できるようになってい
る。
【0041】(エンジンの燃焼状態の制御)前記VVT
15、点火回路17、インジェクタ18、燃料供給系2
0、電気式スロットル弁27、TSCV30等は、いず
れもエンジンコントロールユニット50(以下、ECU
という)によって作動制御される。一方、このECU5
0には、少なくとも、前記クランク角センサ9、燃圧セ
ンサ21、エアフローセンサ24等からの各出力信号が
入力されるとともに、シリンダブロック3のウオータジ
ャケットに臨んで冷却水の温度(エンジン水温)を検出
する水温センサ47からの出力信号が入力され、さら
に、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ48か
らの出力信号と、エンジン1の回転速度(クランク軸8
の回転速度)を検出する回転速度センサ49からの出力
信号とが入力されるようになっている。
【0042】すなわち、前記ECU50は、各センサか
ら入力される信号に基づいて、吸排気弁12,13の開
閉作動時期、点火プラグ16による点火時期、インジェ
クタ18による燃料噴射量、噴射時期及び噴射圧力、ス
ロットル弁27により調節される吸入空気量、TSCV
30により調節されるタンブル流Tの強さ等をそれぞれ
エンジン1の運転状態に応じて制御する。
【0043】具体的には、例えば図6に一例を示すよう
に、温間のエンジン1では低速低負荷側の所定領域
(イ)が成層燃焼領域とされていて、この成層燃焼領域
(イ)において図7(a)に模式的に示すように、インジ
ェクタ18により気筒2の圧縮行程で燃料を噴射させ
て、点火プラグ16の電極付近に混合気が層状に偏在す
る状態で燃焼させる成層燃焼状態となる。また、この領
域(イ)ではエンジン1のポンプ損失を低減するため
に、スロットル弁27の開度を相対的に大きくするよう
にしており、このときの燃焼室6の平均的な空燃比は理
論空燃比(A/F≒14.7)よりも大幅にリーンな状
態になる。
【0044】一方、前記成層燃料領域(イ)以外はいわ
ゆる均一燃焼領域であり、図7(b)に模式的に示すよう
に、インジェクタ18により気筒2の吸気行程で燃料を
噴射させて、燃焼室6に均一な混合気を形成した上で燃
焼させる状態になる。この均一燃焼領域の大部分はλ=
1領域(ロ)であり、このλ=1領域(ロ)において
は、気筒2の混合気の空燃比が略理論空燃比になるよう
に燃料噴射量やスロットル開度等を制御する。また、低
速全負荷ないし高速高負荷のエンリッチ領域(ハ)で
は、空燃比をいわゆるパワー空燃比(A/F≒13)か
それよりもリッチな状態にして、高負荷に対応した大出
力を得られるようにしている。
【0045】特に、前記エンリッチ領域(ハ)における
高速側(例えば4000rpm以上)の特定領域では、
本発明の特徴部分であるが、高速側ないし高負荷側にな
るほど、混合気の空燃比をリッチ化させて、余剰の燃料
の気化潜熱によって排気温度の上昇を抑えるようにして
いる(図9参照)。また、この特定領域では、そのよう
に多量に噴射供給する燃料を良好に燃焼させるべく、後
述の如くターボ過給機40の最高過給圧を高めるととも
に、吸気弁12の閉弁時期を遅角させること(いわゆる
吸気遅閉じ)により、燃焼室6の混合気の一部を吸気ポ
ート10に吹き返させ、次回の燃焼サイクルまでに該吸
気ポート10内で十分に気化霧化させるようにしてい
る。
【0046】尚、前記成層燃焼領域(イ)の高負荷側
(例えば1500rpm以上)からλ=1領域(ロ)及
びエンリッチ領域(ハ)にかけては、排気流量がある程
度以上、多くなってターボ過給機40により実質的に吸
気の過給が行われる過給領域となっている。
【0047】以下、前記ECU50による制御の手順を
具体的に説明すると、図8のフローチャート図に示すよ
うに、まず、スタート後のステップSA1では、クラン
ク角センサ9、エアフローセンサ24、水温センサ4
7、アクセル開度センサ48、回転速度センサ49等か
らの出力信号を入力する。続いて、ステップSA2にお
いて、回転速度センサ52により検出されたエンジン回
転速度neとアクセル開度センサ51により検出されたア
クセル開度とに基づいて、エンジン1の目標負荷Peを演
算し、この演算した目標負荷Peとエンジン回転速度neと
に基づいて、前記図4に示すような制御マップからエン
ジン1の運転モードを読み出すことにより、運転モード
を演算する。
【0048】尚、前記目標負荷Peは、アクセル開度とエ
ンジン回転速度neとに対応する最適値が予め実験的に求
められてマップとして記録されており、このマップをE
CU50のメモリに電子的に格納しておいて、現在のア
クセル開度とエンジン回転速度neとに対応する値を該マ
ップから読み出すようにすればよい。
【0049】続いて、ステップSA3以降の各ステップ
において、前記ステップSA2において設定した運転モ
ード別に制御パラメータを演算し、この演算結果に基づ
いてVVT15、点火回路17、インジェクタ18、ス
ロットル弁27、TSCV30等の作動制御を行う。す
なわち、ステップSA3においてエンジン1が成層燃焼
モードにないNOと判定すれば、後述のステップSA7
に進む一方、成層燃焼モードにあるYESと判定すれ
ば、このときにはステップSA4〜SA6に進んで、成
層燃焼モードの制御を行う。
【0050】詳しくは、成層燃焼モードの場合、まずス
テップSA4において、前記ステップSA2で求めた目
標負荷Peとエンジン回転速度neとに基づいて、エンジン
1の目標空燃比A/Fを演算する。すなわち、目標空燃比A
/Fの値は、目標負荷Peとエンジン回転速度neとに対応す
る最適値が予め実験的に求められて、図9に一例を示す
ような空燃比マップとして記録されており、このマップ
がECU50のメモリに電子的に格納されている。そし
て、現在の目標負荷Peとエンジン回転速度neとに基づい
て、前記空燃比マップから現在の目標負荷Peとエンジン
回転速度neとに対応する値を読み出す。
【0051】続いて、ステップSA5において、エンジ
ン1が成層燃焼状態となるように、インジェクタ18や
スロットル弁27等を制御する。すなわち、前記ステッ
プSA4で求めた目標空燃比A/Fと吸気充填効率ceとに
基づいて、目標燃料噴射量を演算し、この目標燃料噴射
量と現在の燃圧とに基づいて、インジェクタ18の開弁
時間間隔(パルス幅)を演算する。ここで、吸気充填効
率ceは、例えばエアフローセンサ24からの出力とエン
ジン回転速度neとに基づいて演算すればよい。
【0052】また、目標負荷Peとエンジン回転速度neと
に基づいて、インジェクタ18の開弁開始タイミング
(燃料噴射時期)や点火プラグ13による点火のタイミ
ング(点火時期)、或いはTSCV30の目標開度(T
SCV開度)等を演算し、さらに、前記目標空燃比A/F
とエンジン回転速度neとに基づいてスロットル弁27の
目標開度を演算し、エンジン回転速度neに基づいて目標
燃圧を演算する。そして、ECU50から点火回路1
7、インジェクタ18、燃料供給系20、スロットル弁
27等にそれぞれ作動指令となる信号を出力する。
【0053】尚、前記各制御パラメータの演算には、目
標負荷Pe、目標空燃比A/F、回転速度ne等、エンジン1
の運転状態を表すパラメータに対応付けて、各制御パラ
メータの最適値を実験的に設定して記録したマップを予
め作成し、このマップをECU50のメモリに電子的に
格納しておいて、このマップから現在のエンジン1の運
転状態に対応する各制御パラメータの値を読み出すよう
にすればよい。例えば、目標燃圧については、燃焼室6
におけるタンブル流Tの強さがエンジン回転速度neに応
じて変化することを考慮して、エンジン回転速度neの上
昇に伴うタンブル流速の増大に見合うように、その回転
速度neに応じて燃圧を高め、燃料噴霧の貫徹力を増大さ
せるようにしている。また、吸気流量が少なくてもある
程度のタンブル流T強さを確保できるよう、TSCV3
0は全閉とされている。
【0054】続いて、ステップSA6において、目標負
荷Peとエンジン回転速度neとに基づいて、吸気弁12の
目標動弁時期、即ち開弁時期IO及び閉弁時期ICを演算す
る。この動弁時期についても、目標負荷Peとエンジン回
転速度neとに対応する最適値が予め実験的に求められ
て、図10に一例を示すようなVVTマップとして記録
されていて、このマップがECU50のメモリに電子的
に格納されており、現在の目標負荷Peとエンジン回転速
度neとに対応する値をマップから読み出すようにする。
このVVTマップによれば、成層燃焼領域(イ)におい
ては、基本的には開弁時期IO=BTDC1°CAかつ閉
弁時期IC=ABDC45°CAとし、そこから、例えば
アイドリング状態ではやや遅角側に、また負荷の大きい
ときにはやや進角側にというように、きめ細かな動弁時
期の設定がなされている。そして、ECU50からVV
T15のOCV15fへ作動指令となる信号を出力し
て、しかる後にリターンする。
【0055】以上、要するに、成層燃焼モードでは、ま
ず、要求される出力が得られるような仮の燃料噴射量を
決定し、これに対して空燃比を決定し、この空燃比にな
るようにスロットル開度を制御して必要な吸入空気量を
得るとともに、実際の吸入空気量に応じて最終的に燃料
噴射量を制御するようにしている。これにより、排気状
態の悪化を招くことなく、優れたドライバビリティと燃
費性能を得ることができる。
【0056】これに対し、前記ステップSA3において
成層燃焼モードでないNOと判定して進んだステップS
A7では、今度はエンリッチモードかどうか判定し、こ
の判定がYESであれば、後述のステップSA11に進
む一方、判定がNOならばλ=1モードであるから、ス
テップSA8に進み、エンジン1の目標空燃比A/Fを理
論空燃比とする。続いて、ステップSA9において前記
ステップSA5と同様に目標燃料噴射量とインジェクタ
18のパルス幅とを演算し、また、エンジン回転速度ne
に基づいて目標燃圧を演算するとともに、吸気充填効率
ceとエンジン回転速度neとに基づいて燃料噴射時期及び
点火時期を演算し、さらに、アクセル開度に基づいてス
ロットル弁27の目標開度を演算する。そして、ECU
50から点火回路17、インジェクタ18、燃料供給系
20、スロットル弁27等にそれぞれ作動指令となる信
号を出力する。
【0057】続いて、ステップSA10において、前記
ステップSA6と同様に、目標負荷Peとエンジン回転速
度neとに基づいて、VVTマップから目標動弁時期を読
み込んで、作動指令となる信号をVVT15のOCV1
5fに出力し、その後、リターンする。前記のVVTマ
ップによれば、λ=1領域(ロ)においても、前記成層
燃焼領域(イ)と同様に、IO=BTDC1°CA、IC=
ABDC45°CAを基本として、そこから、例えば低
速側では動弁時期が進角するように設定されている。
【0058】以上、要するに、λ=1モードでは、混合
気を略理論空燃比とすることを前提とし、要求される出
力、即ち混合気の量が得られるようにスロットル開度を
制御するとともに、実際の吸入空気量に応じて燃料噴射
量を制御するようにしており、これにより、十分な出力
と優れたドライバビリティを得ながら、三元触媒38に
より排気を略完全に浄化することができる。
【0059】そして、本願発明の特徴は、以下に述べる
ようなエンリッチモードでの制御にある。すなわち、前
記ステップSA7においてエンリッチモードであるYE
Sと判定してステップSA11に進んだ場合、まず、こ
のステップSA11において、前記ステップSA4と同
様に、目標負荷Peとエンジン回転速度neとに基づいて、
空燃比マップからエンジン1の目標空燃比A/Fを読み込
む。ここで、該空燃比マップによれば、エンリッチ領域
(ハ)の低速側(図例では4000rpm以下)では、
目標空燃比A/Fは、均一燃焼の場合に最も高い出力の得
られるいわゆるパワー空燃比(A/F≒13)とされて
いる。
【0060】一方、エンリッチ領域(ハ)の高速側の特
定領域(図例では4000rpmよりも高い領域)にお
いては、目標空燃比A/Fは、A/F≒10〜13の範囲
で高速側ないし高負荷側ほどリッチな値になるように設
定されている。このことで、エンジン1が前記特定領域
にあるときには、各気筒2内の混合気の空燃比A/Fは
A/F≦13とされて、高負荷に対応する十分な高出力
が得られるとともに、その中でも高速側ないし高負荷側
になるほど空燃比が徐々にリッチ側に変更されて、吸入
空気量に対する燃料噴射量の割合が多くなり、そのよう
に多量に噴射供給される燃料の気化潜熱によって、排気
温度の上昇が抑制されることになる。
【0061】続いて、ステップSA12において、前記
目標空燃比A/Fと吸気充填効率ceとに基づいて目標燃料
噴射量を演算し、この目標燃料噴射量と現在の燃圧とに
基づいてインジェクタ18のパルス幅を演算する。ま
た、エンジン回転速度neに基づいて目標燃圧を演算する
とともに、吸気充填効率ceとエンジン回転速度neとに基
づいて燃料噴射時期及び点火時期を演算し、さらに、ア
クセル開度に基づいてスロットル弁27の目標開度を演
算する。そして、ECU50から点火回路17、インジ
ェクタ18、燃料供給系20、スロットル弁27等にそ
れぞれ作動指令となる信号を出力する。ここで、インジ
ェクタ18による燃料噴射時期、即ちインジェクタ18
の噴射作動の開始時期は、気筒2の吸気行程でインジェ
クタ18により噴射した燃料がピストン5冠面に付着す
ることを防止するために、その吸気行程における所定の
クランク角(例えば、ATDC40°CA)以降とされ
ている。
【0062】続いて、ステップSA13において、前記
ステップSA6,SA10と同様に、目標負荷Peとエン
ジン回転速度neとに基づいて、図10のVVTマップか
ら目標動弁時期を読み込んで、作動指令となる信号をV
VT15のOCV15fに出力する。このVVTマップ
によれば、エンリッチ領域(ハ)の低速側では吸気弁1
2の動弁時期はλ=1領域(ロ)よりもやや遅角側に設
定されている一方、エンリッチ領域(ハ)の高速側(特
定領域)においては、吸気弁12の閉弁時期ICが、気筒
2の圧縮行程初期に燃焼室6の混合気が吸気ポート10
に吹き返されるような所定のクランク角(例えばABD
C50°CA)以降となるように遅角側に設定されてい
る。詳しくは、前記特定領域における目標動弁時期は、
前記所定のクランク角よりも遅角側のABDC50°〜
65°CAの範囲で、目標負荷Peとエンジン回転速度ne
とに応じて、エンジン1の高速側ないし高負荷側ほど徐
々に遅角側の値となるように設定されている。
【0063】続いて、ステップSA14において、ター
ボ過給機40の最高過給圧の設定値を高くなるように変
更する。すなわち、図11に一例を示すように、ECU
50には、吸気弁12の目標動弁時期に対応して最進角
側から最遅角側までに亘って、遅角側ほど最高過給圧が
徐々に高くなるようにウエストゲート弁42の開度を設
定した過給圧テーブルが電子的に格納されている。言い
換えると、該過給圧テーブルでは、吸気弁12の閉弁時
期が遅角側にずれて、混合気が吸気ポート10へ吹き返
す割合が大きくなっても、そのことによる気筒2への充
填量の低下を相殺するように過給圧を高めるべく、その
ような最高過給圧の得られるウエストゲート弁42の開
度が実験的に求められて設定されている。
【0064】そして、前記ステップSA13で求めた目
標動弁時期に基づいて、前記過給圧テーブルから目標と
なる最高過給圧を読み込み、この最高過給圧に対応する
開度となるようにウエストゲート弁42の電磁ソレノイ
ドに制御信号を出力して、しかる後にリターンする。
【0065】このことで、前記特定領域では、その低速
側に隣接するλ=1領域(隣接領域)に比べて、ターボ
過給機40による吸気の最高過給圧が高くなる。また、
エンジン1の運転状態が前記特定領域とそれ以外の領域
との間で遷移するときには、TSCV30やターボ過給
機40のウエストゲート弁42の制御がなされるが、そ
の際に気筒2の吸気充填量が急変することがないので、
エンジン出力の変動は十分に抑制される。
【0066】以上、要するに、エンジン1がエンリッチ
領域(ハ)にあるときには、空燃比をいわゆるパワー空
燃比として高出力を得ながら、基本的には前記λ=1モ
ードと同様の燃焼制御が行われるのであるが、特に高速
高負荷側の特定領域においては空燃比をさらにリッチ化
して、排気温度の上昇を抑制するとともに、このために
噴射される極めて多くの燃料を十分に気化霧化させて良
好に燃焼させるよう、吸気弁12の遅閉じによって混合
気の一部を吸気ポート10に吹き返し、そこで十分に気
化霧化させるようにしている。
【0067】尚、前記フローのステップSA14では、
図11に示すようにターボ過給機40の最高過給圧を吸
気弁12の目標動弁時期に対応付けて設定するようにし
ているが、これに限らず、同図のような特性が得られる
ように、最高過給圧を例えば目標負荷Peやエンジン回転
速度ne等に対応するマップとして設定記録しておき、こ
のマップに基づいてウエストゲート弁42の開度を制御
するようにしてもよい。また、必ずしも吸気弁12の動
弁時期変化に応じて、吸気充填量を維持するように最高
過給圧を変更する必要はなく、単に特定領域において最
高過給圧を高めるようにするだけでもよい。
【0068】前記図8に示すフローチャート図におい
て、ステップSA11,SA12により、エンジン1が
高速高負荷側のエンリッチ領域(ハ)に設定された特定
領域にあるときに、インジェクタ18により燃料を気筒
2の吸気行程から圧縮行程初期に亘って噴射させるとと
もに、該インジェクタ18による燃料噴射量を、混合気
の空燃比A/FがA/F≦13になるよう吸入空気量に
応じて制御する燃料噴射制御手段50aが構成されてい
る。
【0069】また、ステップSA13により、前記特定
領域において、気筒2の圧縮行程初期に燃焼室6の混合
気が吸気ポート10に吹き返されるよう、VVT15の
作動により吸気弁12の閉弁時期を所定のクランク角以
降に遅角させる動弁時期制御手段50bが構成されてい
る。
【0070】さらに、ステップSA14により、前記特
定領域において、VVT15の作動により吸気弁12の
閉弁時期が遅角されたときに、このことによる吸気充填
量の低下を補完するように過給圧を高める過給圧制御手
段50cが構成されている。
【0071】(エンジン1の運転動作)以下、この実施
形態に係るエンジン1の運転動作について詳細に説明す
る。
【0072】まず、エンジン1が成層燃焼領域(イ)に
あるとき、図12に示すように、気筒2の吸気行程にお
いて吸気ポート10,10から燃焼室6に流入する吸気
により、タンブル流Tが生成される。このタンブル流T
は、図13に示すように、当該気筒2の圧縮行程中期以
降まで保存され、ピストン5冠面の凹部5aに沿ってイ
ンジェクタ18に向かって流れるようになる。この際、
圧縮行程におけるピストン5の上昇に伴いタンブル流T
は徐々に潰されてコンパクトになり、その流速も低下す
ることになるが、ペントルーフ型燃焼室6の天井部とピ
ストン5冠面の凹部5aとの間に適切な形状の空間が残
されているため、タンブル流Tは当該気筒2の圧縮行程
中期以降まで崩壊することがない。
【0073】そして、同図に示すように、インジェクタ
18により燃料が噴射されると、この燃料噴霧の大部分
は、ピストン5冠面の凹部5aに沿って流れるタンブル
流Tの流れの強いところに略正対するように衝突する。
これにより、燃料液滴の気化霧化や周囲の空気との混合
が促進されるとともに、その燃料噴霧がタンブル流Tを
押し退けるように進みながら、徐々に減速されて、図1
4に示す当該気筒2の点火時期において同図に斜線を入
れて示すように可燃混合気となって、点火プラグ16の
電極付近に滞留するようになる。この状態で該点火プラ
グ16に通電されることよって、可燃混合気層に点火さ
れる。
【0074】つまり、低速低負荷側の成層燃焼領域
(イ)では、インジェクタ18による燃料噴霧の貫徹力
を対向するタンブル流Tの流速に対応するように調節
し、かつ気筒2の点火時期から逆算した所定のタイミン
グで燃料を噴射させることにより、燃料噴霧貫徹力とタ
ンブル流速とをバランスさせて、点火プラグ16の電極
周りに混合気を適切にかつ安定的に成層化させることが
でき、もって、良好な成層燃焼を実現できる。
【0075】一方、エンジン1がλ=1領域(ロ)又は
エンリッチ領域(ハ)にあるときには、図15に示すよ
うに、気筒2の吸気行程においてピストン3の下降移動
により、燃焼室6に空気が吸入されて、タンブル流Tが
生成されるとともに、インジェクタ18により燃料が噴
射され、その噴射噴霧が圧縮行程に比べて低圧の燃焼室
6内において相対的に大きく拡がるとともに、ピストン
5の下降移動に伴う燃焼室6の容積の増大によって拡散
する。そして、燃焼室6のタンブル流Tによって燃料噴
霧と吸気との混合が促進され、かつ燃料の気化霧化が十
分に促進されて、燃焼室6全体に略均一な可燃混合気が
形成されて、その後の点火時期において点火プラグ16
の電極に通電されると、その近傍にて生成された火炎核
が急速に成長して、良好な均一燃焼状態となる。
【0076】ここで、特に前記エンリッチ領域(ハ)に
おける高速側の特定領域においては、まず、各気筒2の
混合気の空燃比A/FがA/F≦13になるように、イ
ンジェクタ18による燃料の噴射供給量が増大される一
方、エンジン回転速度neが高いことから、図16に示す
ように、該インジェクタ18の開弁期間(クランク角期
間)が長くなる。また、このときには燃料噴射時期、即
ちインジェクタ18の噴射作動の開始時期が例えばAT
DC40°CA以降とされており、このことで、インジ
ェクタ18からの燃料噴霧が下降するピストン5の冠面
に殆ど付着しないようになる。
【0077】一方、そのようにインジェクタ18による
燃料噴射作動の開始時期が比較的遅角側に設定され、か
つその開弁期間が長くなる結果、前記図16に示すよう
に、燃料は気筒2の吸気行程から圧縮行程初期に亘って
噴射されることになり、特に圧縮行程で噴射された燃料
の気化霧化が難しいものとなる。しかし、この特定領域
においてはエンジン1の負荷状態及び回転速度neに基づ
いてVVT15により、図16に示すように吸気弁12
の動弁時期が遅角側に変更され(吸気の遅閉じ)、該吸
気弁12の閉弁時期ICがABDC50°CA以降とされ
る。こうなると、図17にクロスハッチを入れて示すよ
うに、気筒2の圧縮行程で燃焼室6の混合気及び燃料噴
霧の一部が吸気ポート10に吹き返されることになり、
この混合気及び燃料噴霧は、吸気弁12が閉じてから当
該気筒2の圧縮行程、膨張行程及び排気行程が経過する
までの間に吸気ポート10内で十分に気化霧化される。
【0078】そして、そのようにして十分に気化霧化さ
れた燃焼性の高い混合気は次回の燃焼サイクルの吸気行
程において吸気ポート10から再び燃焼室6に吸入され
て、インジェクタ18から新たに噴射される燃料噴霧
(図13参照)と共に燃焼室6内に拡がって均一な混合
気を形成し、その後、点火プラグ16により点火されて
良好に燃焼される。つまり、エンジン1が高速かつ高負
荷の特定領域にあって、インジェクタ18により多量の
燃料が噴射供給されていても、それらを十分に気化霧化
させて良好に燃焼させることができ、もって排気中のP
Mを十分に低減できる。
【0079】特に、前記のようにインジェクタ18の燃
料噴射作動が気筒2の圧縮行程で終了するようになる
と、相対的に気筒内流動の弱い圧縮行程では燃料と吸気
との混合が悪くなり、気化霧化も促進され難い上に、イ
ンジェクタ18から最後に噴射された燃料の液滴は比較
的、粒の粗いものとなるので、このような燃料液滴を一
旦、吸気ポート10に吹き返して次回の燃焼サイクルま
での間に十分に気化霧化できることは、排気中のPMを
低減する上で極めて有効である。
【0080】また、前記のように燃焼室6の混合気等が
吸気ポート10に吹き返されると、そのことによって気
筒2の充填量が低下することになるが、一方で、この実
施形態ではウエストゲート弁42の開度の制御によっ
て、ちょうど混合気の吹き返しに起因する充填量の低下
を補完するように、ターボ過給機40の最高過給圧が高
められているので、エンジン1の最高出力は確保でき
る。
【0081】図18は、この実施形態のような過給機付
直噴エンジンを用いて、高速高負荷側の特定領域におい
て従来までのように単に混合気の空燃比をリッチ化させ
たものと(従来例)、上述したように、吸気弁12を遅
閉じとしかつ最高過給圧を高めたものと(実施例)を対
比して、それぞれ、体積効率の変化と排気中のPM排出
量の変化との相関関係を実験により求めた結果を示すも
のである。尚、エンジン回転速度は約6000rpmと
し、実施例のものでは従来例と比較して吸気弁の閉弁時
期を約20°CA遅角させている。
【0082】同図によれば、従来例のものでは、実質的
に過給の行われない状態では(体積効率90%くらいま
で)、PMの排出量も少ないが、過給により体積効率が
高められると、その体積効率の上昇に略比例してPMの
排出量が増大するようになる。つまり、従来例のもので
は、エンジンの最高出力を確保しようとすれば、PMの
排出を十分に抑制することはできない。
【0083】これに対し、本願発明の実施例では、上述
したように、吸気弁12の遅閉じによって混合気の一部
を吸気ポート10に吹き返し、そこで十分に気化霧化さ
せるようにしているので、過給により体積効率を十分に
向上させながら、即ち十分に高い最高出力を確保しなが
ら、図示の如くPMの排出量を圧倒的に少なくすること
ができるものである。
【0084】したがって、この実施形態に係る過給機付
火花点火式直噴エンジン1によると、エンジン1が高速
高負荷側の特定領域にあるときに、気筒2の混合気の空
燃比を高速側ないし高負荷側ほどリッチにさせて、燃料
の気化潜熱により排気温度の上昇を抑制し、もって排気
系の信頼性を確保することができる。
【0085】その際、いわゆる吸気弁12の遅閉じによ
り、気筒2の圧縮行程初期に燃焼室6の混合気等を吸気
ポート10に吹き返させ、次回の燃焼サイクルまでの間
に十分に気化霧化させるようにしているので、燃焼状態
の改善により排気中のPMを低減できる。しかも、その
ような混合気等の吹き返しに起因する気筒2の充填量の
低下を過給圧の増大によって補完し、エンジン1の最高
出力も確保している。
【0086】さらに、この実施形態では、前記特定領域
においてインジェクタ18による燃料の噴射作動を所定
のクランク角以降で開始させるようにしており、このこ
とで、ピストン5冠面への燃料付着に起因する排気中の
HCの増大やスモークの発生をも抑制できる。加えて、
この実施形態のエンジン1では、元々、全運転領域にお
ける燃焼性の改善のためにVVT15を設けており、こ
のVVT15を用いて前記のような作用が得られるもの
であるから、新たなハードウエアを追加する必要もな
く、コストの増大や構成の複雑化を回避できる。
【0087】(他の実施形態)本願発明の構成は、前記
実施形態のものに限定されることはなく、その他の種々
の構成を包含するものである。すなわち、前記実施形態
では、吸気弁12の少なくとも閉弁時期を可変とする可
変動弁機構として、吸気側のカム軸14に配設した連続
位相可変式のVVT15を用いているが、これに限ら
ず、例えば、ロッカーアーム切換式の可変動弁機構を用
いて、吸気弁12の閉弁時期を変更するようにしてもよ
い。
【0088】また、前記実施形態では、エンジン1が特
定領域にあるときにインジェクタ18による燃料噴射を
気筒2の吸気行程における所定クランク角(例えばAT
DC40°CA)以降に開始させるようにしているが、
これに限らず、例えば、インジェクタ18による燃料噴
射を気筒2の吸気上死点近傍で開始させるようにしても
よい。
【0089】そして、その場合には、前記インジェクタ
18による燃料噴射の終了時期が気筒2の圧縮行程にま
で遅角したときに、そのインジェクタ18の噴射作動の
終了時期よりも遅角側になるように吸気弁12の閉弁時
期ICを設定し、かつ、ターボ過給機40の最高過給圧を
変更するようにすればよい。
【0090】そのようにすれば、エンジン1が特定領域
にあっても相対的に低速ないし低負荷の状態であって、
仮にインジェクタ18の燃料噴射終了時期が圧縮行程に
まで遅角しない場合には、吸気弁12の遅閉じは行われ
ず、噴射燃料が次回の燃焼サイクルに持ち越されること
がなくなるから、燃料噴射量の制御性が向上し、エンジ
ン1の運転状態が急変したときにも優れた追従性が得ら
れる。また、インジェクタ18の燃料噴射終了時期が圧
縮行程にまで遅角した場合ても、吸気弁12の閉弁時期
ICの遅角量は必要最小限のものとなり、吸気ポート10
に吹き返される混合気の量も必要最小限のものとなる。
このことで、次回の燃焼サイクルに持ち越される混合気
の割合が少なくなって、その分、燃料制御性の向上が図
られる。
【0091】さらに、そうした場合には、インジェクタ
18の噴射開始時期を排気弁13の閉弁時期EXCよりも
進角側で開始させるようにしてもよく、そうすれば、燃
料の噴射を可及的に早期に終了することができるので、
そのときの燃焼サイクルにおける点火時点までの間に燃
料の気化霧化のために最大限に長い時間を確保できる。
尚、排気弁13の閉弁時期EXCよりも進角側というの
は、インジェクタ18からの燃料噴霧が排気ポート11
に流出することのないように、そのときのエンジン回転
速度ne、気筒内流動の強さ、燃料噴霧貫徹力等に応じて
設定したクランク角だけ進角側とするのが好ましい。
【0092】さらにまた、前記実施形態では、ターボ過
給機40の最高過給圧を調整するウエストゲート通路4
1及びウエストゲート弁42により、過給圧調整手段を
構成しているが、これに限るものではなく、例えば、タ
ービンへの排気を絞ってその流速を変更することによ
り、過給効率を可変とした可変ターボ過給機を用いるよ
うにしてもよい。
【0093】また、過給機としてターボ過給機に限ら
ず、例えば、エンジン1のクランク軸8や電動モータに
より駆動する機械式過給機を用いるようにしてもよく、
この場合には、過給圧を逃がすリリーフ弁や過給機の駆
動力を調整する調整機構によって、過給圧調整手段を構
成すればよい。
【0094】また、前記実施形態では、本願発明をいわ
ゆるエアーガイド方式の直噴エンジンに適用している
が、これに限らず、インジェクタにより燃焼室内に直接
噴射した燃料をピストン冠面の凹部内壁により案内して
点火プラグの電極周りに成層化させるようにした、いわ
ゆるウオールガイド方式の直噴エンジンにも同様に適用
することができる。
【0095】
【発明の効果】以上、説明したように、請求項1の発明
に係る過給機付火花点火式直噴エンジンによると、少な
くとも高速高負荷側の過給領域において燃料噴射弁によ
り燃料を気筒の吸気行程で噴射させて、均一燃焼状態と
する場合に、その高速高負荷側の特定領域において、空
燃比制御手段により気筒内の空燃比をリッチ化させて、
燃焼室に噴射供給する多量の燃料の気化潜熱により排気
温度の過度の上昇を抑制するとともに、動弁時期制御手
段により可変動弁機構を作動させ、いわゆる吸気弁の遅
閉じにより燃焼室から吸気通路に混合気の一部を吹き返
させて、次の燃焼サイクルまでの間に十分に気化霧化さ
せるようにしたので、前記の如く多量の燃料を噴射供給
していても、それらを十分に気化霧化させて、良好に均
一燃焼させることができ、もって、排気中のPMを十分
に低減できる。しかも、過給圧制御手段により過給圧調
整手段を制御して過給圧を高めるようにしているので、
混合気の吹き返しに起因する充填効率の低下を抑制し
て、エンジンの最高出力を十分に確保することができ
る。
【0096】請求項2の発明によると、エンジンが特定
領域にあるときに、燃料噴射弁による燃料の噴射作動を
気筒の吸気行程における所定のクランク角以降で開始さ
せることで、噴射燃料のピストン冠面への付着を防止で
きる。
【0097】また、請求項3の発明に係る過給機付火花
点火式直噴エンジンによると、前記請求項1の発明と同
様に、エンジンが高速高負荷の特定領域にあるときに
も、排気温度の上昇を抑えながら十分な出力を確保し、
尚かつ排気中のPMを低減できるとともに、吸気弁の遅
閉じによって次回の燃焼サイクルに持ち越される混合気
の割合をできるだけ少なくして、燃料噴射の制御性を向
上できる。これにより、エンジンの運転状態が急変した
ときにも優れた追従性が得られる。
【0098】請求項4の発明によると、エンジンが特定
領域にあるときに、燃料噴射弁による燃料の噴射作動を
排気弁の閉弁時期よりも進角側で開始させることで、そ
の燃料噴射を可及的に早期に終了するようにして、前記
請求項3の発明の効果を十分に得ることができる。
【0099】請求項5の発明によると、請求項1又は請
求項3の発明において、可変動弁機構によりいわゆる吸
気弁の遅閉じを行うときに、このことによる気筒の充填
量の低下を補完するように過給圧を高めることで、エン
ジンの最高出力を維持できるとともに、エンジン出力の
変動をも抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の過給機付火花点火式直噴エンジンの概
略構成を示す模式図である。
【図2】実施形態に係るエンジンの全体構成図である。
【図3】ピストン冠面、吸気ポート、点火プラグ及びイ
ンジェクタの配置構成を示す斜視図である。
【図4】VVT(可変動弁機構)の概略構成を示す部分
切り欠き斜視図である。
【図5】VVTによる動弁時期の変更を模式的に示すタ
イムチャート図である。
【図6】エンジンの運転モードを設定した制御マップの
一例を示す図である。
【図7】インジェクタによる燃料噴射時期を模式的に示
すタイムチャート図である。
【図8】エンジンの基本的な制御手順を示すフローチャ
ート図である。
【図9】目標負荷及びエンジン回転速度に対応する適切
な目標空燃比の値を設定して記録した空燃比マップの一
例を示す図である。
【図10】目標負荷及びエンジン回転速度に対応する適
切な動弁時期を設定して記録したVVTマップの一例を
示す図である。
【図11】目標動弁時期に対応する適切な最高過給圧を
設定したテーブルの一例を示す図である。
【図12】成層燃焼状態のときに気筒の吸気行程で燃焼
室に生成されるタンブル流の様子を示す図である。
【図13】成層燃焼状態のときにタンブル流に衝突する
ように噴射される燃料噴霧の様子を示す図である。
【図14】成層燃焼状態のときに気筒の点火時期におい
て点火プラグの電極付近に滞留する混合気の様子を示す
説明図である。
【図15】均一燃焼状態のときに気筒の吸気行程で燃焼
室に生成されるタンブル流やインジェクタからの燃料噴
霧の様子を示す図である。
【図16】特定領域における吸気弁の開弁及び閉弁時期
とインジェクタの噴射作動のタイミングとを対比して示
す図である。
【図17】特定領域において気筒の圧縮行程初期に混合
気が燃焼室から吸気ポートに吹き返される様子を示す説
明図である。
【図18】気筒への吸気充填量と排気中のPM排出量と
の相関関係を従来例と対比して示す実験結果のグラフ図
である。
【符号の説明】
1 過給機付火花点火式直噴エンジン 2 気筒 6 燃焼室 10 吸気ポート(吸気通路) 12 吸気弁 15 VVT(可変動弁機構) 16 点火プラグ 18 インジェクタ(燃料噴射弁) 40 ターボ過給機(過給機) 41 ウエストゲート通路(過給圧調整手段) 42 ウエストゲート弁(過給圧調整手段) 50 ECU 50a 燃料噴射制御手段 50b 動弁時期制御手段 50c 過給圧制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 13/02 F02D 13/02 J 23/02 23/02 H 41/02 301 41/02 301A 301D 301F 41/04 305 41/04 305D 320 320 335 335D 43/00 301 43/00 301E 301F 301R 301Z (72)発明者 梅園 和明 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 3G018 AB17 BA33 CA20 DA82 EA04 EA14 EA26 EA31 EA32 FA01 FA07 GA06 GA09 3G084 AA00 AA04 BA08 BA09 BA15 CA04 CA09 DA01 DA10 FA08 FA10 FA20 FA29 FA38 3G092 AA01 AA06 AA09 AA10 AA11 AA18 AB02 BA07 BB06 DA01 DA08 DB03 DE03S EA01 EA03 EA04 EA05 EC09 FA01 FA18 GA06 GA18 HA01Z HD05Z HE03Z HE08Z HF08Z 3G301 HA01 HA04 HA11 HA16 HA17 HA19 JA01 JA24 KA09 KA25 LA00 LA03 LA07 LB04 LC04 MA01 MA19 NC02 NE01 NE11 NE12 NE13 PA04Z PD04Z PE03Z PE08Z PF03Z

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気筒への吸気を過給する過給機と、該気
    筒内の燃焼室に燃料を直接、噴射供給する燃料噴射弁と
    を備え、少なくとも高速高負荷側の過給領域において前
    記燃料噴射弁により燃料を気筒の吸気行程で噴射させて
    均一燃焼状態とするようにした火花点火式4サイクル直
    噴エンジンにおいて、 前記気筒の吸気弁の少なくとも閉弁時期を可変とする可
    変動弁機構と、 前記過給機による吸気の過給圧を調整する過給圧調整手
    段と、 前記過給領域内の高速高負荷側に設定した特定領域にお
    いて、前記燃料噴射弁により燃料を気筒の吸気行程から
    圧縮行程初期に亘って噴射させるとともに、該燃料噴射
    弁による燃料噴射量を混合気の空燃比A/FがA/F≦
    13になるように制御する燃料噴射制御手段と、 前記特定領域において、気筒の圧縮行程初期に燃焼室の
    混合気が吸気通路に吹き返されるよう、前記可変動弁機
    構の作動により吸気弁の閉弁時期を所定のクランク角以
    降に遅角させる動弁時期制御手段と、 前記特定領域において、該特定領域の低速側に隣接する
    隣接領域に比べて、過給圧力を一定に抑える目標過給圧
    が相対的に高くなるように前記過給圧調整手段を制御す
    る過給圧制御手段とを備えることを特徴とする過給機付
    火花点火式直噴エンジン。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 燃料噴射制御手段は、特定領域において、燃料噴射弁に
    よる燃料の噴射作動を気筒の吸気行程における所定のク
    ランク角以降で開始させるように構成されていることを
    特徴とする過給機付火花点火式直噴エンジン。
  3. 【請求項3】 気筒への吸気を過給する過給機と、該気
    筒内の燃焼室に燃料を直接、噴射供給する燃料噴射弁と
    を備え、少なくとも高速高負荷側の過給領域において前
    記燃料噴射弁により燃料を気筒の吸気行程で噴射させて
    均一燃焼状態とするようにした火花点火式4サイクル直
    噴エンジンにおいて、 前記気筒の吸気弁の少なくとも閉弁時期を可変とする可
    変動弁機構と、 前記過給機による吸気の過給圧を調整する過給圧調整手
    段と、 前記過給領域内の高速高負荷側に設定した特定領域にお
    いて、前記燃料噴射弁による燃料の噴射作動を気筒の吸
    気上死点付近で開始させるとともに、該燃料噴射弁によ
    る燃料噴射量を混合気の空燃比A/FがA/F≦13に
    なるように制御する燃料噴射制御手段と、 前記燃料噴射制御手段により制御される燃料噴射弁の噴
    射作動が気筒の圧縮行程で終了するときに、当該気筒の
    吸気弁の閉弁時期が燃料噴射作動の終了時期よりも遅角
    側になるように前記可変動弁機構を制御する動弁時期制
    御手段と、 前記特定領域において、該特定領域の低速側に隣接する
    隣接領域に比べて、過給圧力を一定に抑える目標過給圧
    が相対的に高くなるように前記過給圧調整手段を制御す
    る過給圧制御手段とを備えることを特徴とする過給機付
    火花点火式直噴エンジン。
  4. 【請求項4】 請求項3において、 燃料噴射制御手段は、特定領域において、燃料噴射弁に
    よる燃料の噴射作動を排気弁の閉弁時期よりも進角側で
    開始させるように構成されていることを特徴とする過給
    機付火花点火式直噴エンジン。
  5. 【請求項5】 請求項1又は請求項3のいずれかにおい
    て、 過給圧制御手段は、動弁時期制御手段による可変動弁機
    構の制御が行われて、気筒の吸気弁の閉弁時期が遅角さ
    れたとき、このことによる吸気充填量の低下を補完する
    ように過給圧を高めるように構成されていることを特徴
    とする過給機付火花点火式直噴エンジン。
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