JP2003105752A - 鋼管の接続構造 - Google Patents
鋼管の接続構造Info
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Abstract
接続することができると共に、引き抜き荷重に対する接
続部での抵抗力を十分高くすることができ、かつ接続部
での材料使用量も少なくできる鋼管の接続構造を提供す
る。 【解決手段】 接続すべき一方の鋼管本体の端部に取り
付けた環状部材と接続すべき他方の鋼管本体の端部に取
り付けた環状部材とを互いに抜け止め状態で接続してあ
る鋼管の接続構造であって、2つの環状部材は各環状部
材の厚みがそれぞれの鋼管本体の厚みより厚く形成され
ていると共に、各環状部材の端面上にそれぞれの鋼管本
体の端部が位置するように取り付けてあり、一方の鋼管
本体を他方の鋼管本体の上方に同軸に配置した状態で、
上方の環状部材の下端面および下方の環状部材の上端面
に厚み方向に沿う条溝を互いに対向するように、かつ開
口部の幅より底部の幅が広くなるようにそれぞれ周方向
に複数形成してあり、互いに対向する上下の条溝にそれ
ぞれ跨って嵌め込んだ複数の連結キーにより、2つの環
状部材が互いに抜け止め状態として接続してある。
Description
関するもので、特に、土木、建築等の構造物の基礎杭や
アンカとして使用される鋼管杭の接続構造に関する。
度がある。そこで、たとえば土木、建築等の構造物の基
礎杭として使用される鋼管杭は、現地で地盤に埋設する
際に、所定の深度に到達させるために、2つ以上の鋼管
杭を長さ方向に接続して使用する場合が多い。
示すように、開先を設けた2つの鋼管130 、160 の端部
を突き合わせ、溶接箇所の内面に中子リング140 を配置
して円周溶接し、接続部150 により接続する構造が知ら
れていた。このような円周溶接した接続部150 により鋼
管を接続する場合、現地での溶接に長時間を要し、他の
作業に支障をきたしたり、良好な溶接結果を得るには、
熟練した技術を要するという欠点があった。
杭の接続構造として、一方の杭本体の端部外周面に螺設
された雄ねじ部と、他方の杭本体の端部内周面に螺設さ
れた雌ねじ部とをねじ結合して接続部とする接続構造が
提案されている。例えば、特開平6-193054号公報には、
図4(a)、図4(b)に示すように、鋼管杭130 、16
0 をねじ結合することにより、接続部100 で接続する鋼
管杭の接続構造が提案されている。
続構造は、接続する鋼管が大口径ともなると、鋼管の周
面は径に比例して広くなるが、鋼管の厚みはそれほど厚
くならないのが普通であるので、比較的大きな引き抜き
荷重が作用するような地盤中に埋設した場合、小口径の
鋼管より、接続部での厚み当たりの引き抜き荷重が大き
くなり、雄ねじ部と雌ねじ部との間で山越えが発生する
ことがあり、引き抜き荷重に対する接続部での抵抗力が
不十分であるという問題があった。
は、鋼管が小口径である場合、接続時間はあまり問題に
はならないが、鋼管が大口径で重量物である場合、螺合
中に、雌ねじ部と雄ねじ部の間でこじれが生じやすく、
慎重に接続作業を行うようになるので、接続時間が長く
なるという問題があった。ところで、図5に示すフラン
ジ継手による鋼管の接続構造では、上下のフランジ230
、240 に設けた貫通孔の位置合わせを行って、上下の
フランジ230 、240に設けた貫通孔に締結ボルト250 を
通し、締結ボルト250 を締め付けて継手同士を接続すれ
ばよいので、接続時間をかなり短かくできるようにはな
っている。
接続構造は、軸方向の引き抜き荷重Pが作用した場合、
接続部に曲げモーメントが発生し、面外変形が生じるた
めに、引き抜き荷重に対する抵抗力が弱く、引き抜き荷
重に対する抵抗力を十分なものにするために、フランジ
230 、240 に補強部材260 を取り付けたり、フランジ23
0 、240 の厚みを厚くしなければならず、材料の使用量
が増えるという問題があった。
は、上記従来技術の鋼管の接続構造における問題点を解
消することにあり、大口径の鋼管の場合でも、鋼管同士
を簡単に接続することができると共に、引き抜き荷重に
対する接続部での抵抗力を十分高くすることができ、か
つ接続部での材料使用量も少なくできる鋼管の接続構造
を提供することにある。
し、2つの環状部材を連結すべき鋼管本体にそれぞれ取
り付け、この環状部材同士を特殊形状の連結キーを介し
て互いに接続することによって、上記課題を解決できる
との知見を得て本発明を完成させた。本発明は、接続す
べき一方の鋼管本体の端部に取り付けた環状部材と接続
すべき他方の鋼管本体の端部に取り付けた環状部材とを
互いに抜け止め状態で接続してある鋼管の接続構造であ
って、前記2つの環状部材は各環状部材の厚みがそれぞ
れの鋼管本体の厚みより厚く形成されていると共に、各
環状部材の端面上にそれぞれの鋼管本体の端部が位置す
るように取り付けてあり、前記一方の鋼管本体を前記他
方の鋼管本体の上方に同軸に配置した状態で、前記上方
の環状部材の下端面および前記下方の環状部材の上端面
に厚み方向に沿う条溝を互いに対向するように、かつ開
口部の幅より底部の幅が広くなるようにそれぞれ周方向
に複数形成してあり、互いに対向する上下の条溝にそれ
ぞれ跨って嵌め込んだ複数の連結キーにより、前記2つ
の環状部材が互いに抜け止め状態として接続してあるこ
とを特徴とする鋼管の接続構造である。
環状部材の端面上の厚み方向中央に位置するようにそれ
ぞれ取り付けてあり、さらに、前記条溝を前記環状部材
の外周面から内周面に到達するように形成し、前記連結
キーを前記環状部材の外周面から内周面に到達するよう
に嵌め込んであることが、鋼管本体の厚み中央の面を延
長した面を外れずに、力を伝達できるために、より大き
な引き抜き荷重に対抗できるので好ましい。
に向かい合う端面の周方向にそれぞれ等間隔に少なくと
も3つ設けてなることが、少なくとの3つ連結キーによ
り、ほぼ均等に引き抜き荷重を負担できるので、より効
果的に引き抜き荷重に対抗することができるので好まし
い。そのうえさらに、本発明は、上記の連結キーは、連
結キーのそれぞれの最小断面積とせん断降伏応力の積と
の総和を前記2つの鋼管本体の、どちらか一方の小さい
ほうの軸方向引っ張り強度よりも小さくしてあること
が、軸方向引っ張り強度の低い鋼管本体よりも、先に連
結キー部が破壊するので、接続部分が過剰な軸方向強度
を有するようなことがなく、無駄がないので好ましい。
鋼管の接続構造について、図を用いて説明する。図1
(a)、図1(b)は実施の形態に係る鋼管の接続構造
を示す分解斜視図、図1(c)は組立斜視図である。
部での作用を説明する要部断面図である。図1、図2に
は、接続すべき一方の鋼管本体を図面上部に、接続すべ
き他方の鋼管本体を図面下部に同軸に配置して示してあ
る。本発明の鋼管の継手構造は、図1、図2に示すよう
に、接続すべき上方の鋼管本体1の端部には環状部材2
が取り付けてあり、また、接続すべき下方の鋼管本体3
の端部には環状部材4が取り付けてある。上記の2つの
環状部材2、4は、図2に示すように、環状部材の厚み
tが鋼管本体の厚みt0 より厚く形成されていると共
に、環状部材2、4の端面上に鋼管本体1,3の端部が
位置するように取り付けてある。また、鋼管本体1、3
の外径、厚みおよび環状部材2、4の外径、厚みは同じ
とされている。
と環状部材2との取り付け、および下方の鋼管本体3の
端部と環状部材4との取り付けは、周面溶接による溶接
部6で行っているが、本発明では鋼管本体と環状部材と
の取り付けは溶接に限定されない。本発明では、上方の
環状部材2の下端面および下方の環状部材4の上端面に
は、図1(a)に示すように、環状部材の厚み方向に沿
う上下の条溝2A、4Aが互いに対向するように、かつ開口
部の幅W2 、W4 より底部の幅が広くなるように、それ
ぞれ周方向に複数形成してある。
せ、互いに向かい合う端面を重ね合わせた状態で、図1
(c)に示すように、互いに対向する上下の条溝2A、4A
に跨って嵌め込んだ複数の連結キー5により上記の2つ
の環状部材2、4が互いに抜け止め状態として接続して
ある。ここで、連結キー5は、図1(b)に示すよう
に、高さ方向の上下部の幅W5が中央部の幅W5 ’より
広くなるように形成してあって、上述したように、互い
に対向する上下の条溝2A、4Aに跨って嵌め込んであるか
ら、2つの環状部材2、4が互いに抜け止め状態として
接続できるのである。図1(b)には、1つの連結キー
5を示したが、その他の連結キーも同じ形状である。H
5 は連結キー5の高さ、t5 は連結キー5の厚みであ
る。
に加工するようにしてもよく、また、環状部材2、4の
材料は特に限定されないが、鋼材とするのが、強度およ
びコストの点で望ましい。連結キー5の材料は、環状部
材2、4の材料と同じとしても、異なっていてもよい
が、鋼材とするのが同じ理由で望ましい。本発明はこの
ような鋼管の接続構造であるから、例えば、鋼管を鋼管
杭とした場合、鋼管杭を地盤に埋設する前に、予め、接
続すべき一方の鋼管本体の端部に環状部材を取り付ける
と共に、接続すべき他方の鋼管本体の端部に環状部材を
取り付けておく。そして、鋼管杭を地盤に埋設する時
に、環状部材2と環状部材4とを同軸に配置し、上下の
条溝2A、4Aを互いに対向させて、互いに向かい合う端面
を重ね合わせ、連結キー5を上下の条溝2A、4Aに跨って
それぞれ嵌め込むだけで、上記の2つの環状部材2、4
を互いに抜け止め状態として接続できるから、従来の円
周溶接による鋼管の接続、あるいは大口径の鋼管同士の
ねじ結合による接続のように、接続に長時間を要するこ
とも、熟練した技術を要するということもなく、簡単
に、短時間で接続できる。
状部材の端面に形成する条溝の数を増やすことにより、
引き抜き荷重に対する接続部での抵抗力を高くすること
ができるので、大口径の鋼管の場合でも十分な接続部で
の抵抗力を有する接続構造とすることができる。そのう
えに、本発明の鋼管の接続構造では、図2に示すよう
に、環状部材2、4の厚みtを鋼管本体の厚みt0 以上
とし、鋼管本体1,3の端部が環状部材2、4の端面上
に位置するように取り付けてある。このために、軸方向
の引き抜き荷重Pに対して、図2に示す鋼管本体の厚み
t0 中央の周面の延長上にある接触面10、11で力を伝達
できるようになるから、余分な力が接続部に作用せず、
面外変形が生じ難く、より大きな引き抜き荷重に対抗で
きるのである。
結キー5の上下部の傾斜した側面5A、5Bと上下の環状部
材に形成した条溝2A、4Aの側壁面とが接触して、引き抜
き荷重に対する抵抗力を発生している面である。なお、
図2では、鋼管本体1,3の端部が環状部材2、4の端
面の厚み方向中央より内側の端面上に位置しているが、
本発明では、鋼管本体1、3の端部が各環状部材2、4
の端面上の厚み方向中央に位置するようにそれぞれ取り
付けて、さらに、上記の条溝2A、4Aを環状部材2、4の
外周面から内周面に到達するように形成し、上記の連結
キー5を環状部材2、4の外周面から内周面に到達する
ように嵌め込んであることが、鋼管本体1、3の厚み中
央の周面を軸方向に延長した接続部の位置で力を伝達で
きるようになり、鋼管本体の厚み中央の面を延長した面
を外れずに、力を伝達できるために、より大きな引き抜
き荷重に対抗できるので好ましい。
手による鋼管の接続構造では、軸方向の引き抜き荷重P
が作用した場合、鋼管本体の厚み中央の面を延長した面
から外れた面外にある、フランジ230 、240 と締結ボル
ト250 との接触面で面外変形が発生してしまうために、
フランジに補強部材260 を取り付けたり、フランジ厚み
を厚くして、接続部の剛性を高めなければならず、接続
部の材料が増える欠点があったのである。
互いに向かい合う端面の周方向にそれぞれ等間隔に少な
くとも3つ設けてなることが、引き抜き荷重の方向が軸
方向からずれた場合でも、等間隔に少なくとも3つ設け
てなる互いに対向する上下の条溝に跨って嵌め込んだ少
なくとの3つ連結キーにより、ほぼ均等に荷重を負担で
きるので、より効果的に引き抜き荷重に対する接続部で
の抵抗力を高くすることができるので好ましい。
ー5は、連結キー5のそれぞれの最小断面積Si とせん
断降伏応力τの積との総和Σ(Si ・τi )を上記の2
つの鋼管本体1、3の、どちらか一方の小さいほうの軸
方向引っ張り強度Smin よりも小さくしてあることが、
どちらか一方の軸方向引っ張り強度よりも高い引き抜き
荷重が作用した場合、軸方向引っ張り強度の低い鋼管本
体よりも先に連結キーの最小断面積の部分が破壊するの
で、接続部分が過剰な軸方向強度を有するようなことが
なく、無駄がないので好ましい。この意味から、0.7 S
min ≦Σ(Si・τi )<Smin 程度の関係が好まし
い。
m、鋼管本体の厚みt0 が6〜25mmの鋼管を基礎杭と
して用いる場合には、環状部材の厚みtをt0 +30〜
t0 +50mmとし、溝の数を8〜12個とし、各条溝の
溝底の幅は開口部の幅よりも、1.2〜1.5倍と大き
くするのが、引き抜き荷重に十分対抗できる経済的な接
続構造とすることができるので望ましい。
も、鋼管同士を簡単に接続することができると共に、引
き抜き荷重に対する接続部での抵抗力を十分高くするこ
とがでる。この結果、現地における鋼管同士の接続作業
が容易となり、接続時間を短くすることができ、さらに
引き抜き荷重に対する接続部での抵抗力が十分高いの
で、接続部での材料使用量を少なくできるという産業上
有益な効果を奏する。
構造を示す分解斜視図、(c)は組立斜視図である。
する要部断面図である。
ある。
部分断面図、(b)は要部断面図である。
斜視図、(b)は要部部分断面図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 接続すべき一方の鋼管本体の端部に取り
付けた環状部材と接続すべき他方の鋼管本体の端部に取
り付けた環状部材とを互いに抜け止め状態で接続してあ
る鋼管の接続構造であって、前記2つの環状部材は各環
状部材の厚みがそれぞれの鋼管本体の厚みより厚く形成
されていると共に、各環状部材の端面上にそれぞれの鋼
管本体の端部が位置するように取り付けてあり、前記一
方の鋼管本体を前記他方の鋼管本体の上方に同軸に配置
した状態で、前記上方の環状部材の下端面および前記下
方の環状部材の上端面に厚み方向に沿う条溝を互いに対
向するように、かつ開口部の幅より底部の幅が広くなる
ようにそれぞれ周方向に複数形成してあり、互いに対向
する上下の条溝にそれぞれ跨って嵌め込んだ複数の連結
キーにより、前記2つの環状部材が互いに抜け止め状態
として接続してあることを特徴とする鋼管の接続構造。 - 【請求項2】 前記鋼管本体の端部が各環状部材の端面
上の厚み方向中央に位置するようにそれぞれ取り付けて
あり、さらに、前記条溝を前記環状部材の外周面から内
周面に到達するように形成し、前記連結キーを前記環状
部材の外周面から内周面に到達するように嵌め込んであ
ることを特徴とする請求項1に記載の鋼管の接続構造。 - 【請求項3】 前記条溝を互いに向かい合う端面の周方
向に等間隔にそれぞれの少なくとも3つ設けてなること
を特徴とする請求項1または2に記載の鋼管の接続構
造。 - 【請求項4】 前記連結キーは、連結キーのそれぞれの
最小断面積とせん断降伏応力の積との総和を前記上方の
鋼管本体の軸方向引っ張り強度と前記下方の鋼管本体の
軸方向引っ張り強度のどちらか一方の小さいほうの軸方
向引っ張り強度よりも小さくしてあることを特徴とする
請求項1〜3のいずれかに記載の鋼管の接続構造。
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