JP2003105699A - 繊維成形体の製造型 - Google Patents

繊維成形体の製造型

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JP2003105699A
JP2003105699A JP2001304268A JP2001304268A JP2003105699A JP 2003105699 A JP2003105699 A JP 2003105699A JP 2001304268 A JP2001304268 A JP 2001304268A JP 2001304268 A JP2001304268 A JP 2001304268A JP 2003105699 A JP2003105699 A JP 2003105699A
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fiber
mold
surface portion
elastic pressing
fiber laminate
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JP2001304268A
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English (en)
Inventor
Atsushi Sato
篤 佐藤
Akira Nonomura
著 野々村
Masayasu Sato
雅安 佐藤
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Kao Corp
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Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 底面部と外周面部との作る角部を含めた成形
体全体に亘って転写性の良好な成形体を製造することが
できる繊維成形体の製造型を提供すること。 【解決手段】 繊維積層体が配される凹状の収容部20
を有する雌型2と、収容部20に配された該繊維積層体
を収容部20の内面に押圧する凸状の弾性押圧部30を
有する雄型3とを備えている。弾性押圧部30における
前記繊維積層体を押圧し始める先端面部300及び先端
面部300に対応する収容部20の底面部200の形態
が、先端面部300が該繊維成形体を押圧するに伴っ
て、該繊維積層体における該底面部200に押圧される
領域が漸次拡がるように形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維成形体、特
に、パルプモールド成形体の製造に用いて好適な繊維成
形体の製造型に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】パルプ
モールド成形体の製造型に関する従来技術としては、例
えば、特開2001−55699号公報に記載のパルプ
モールド成形体製造用抄紙型が知られている。
【0003】この抄紙型は、外部より内部に連通する複
数の流体流通孔を有し且つ弾性変形可能な材料で構成さ
れた所定形状のコアと、該コアの外面を被覆する流体透
過性材料とを有し、該流体透過性材料が、該流体透過性
材料が押圧されて変形した時にも流体の流通路をその厚
み方向に亘って形成し得るようにし、表面平滑性に優
れ、良好な外観を呈する成形体を容易に製造し得るよう
にしたものである。この製造型は、成形体の外形に対応
した形状の凹部を有する雌型の該凹部に、パルプ層が形
成された抄紙型を、パルプ層の底部が前記凹部の底部と
最初に当接するように挿入し、該抄紙型を前記凹部の形
状に追随するように押圧変形させ、前記パルプ層に前記
凹部の形状を転写させると共に該パルプ層に含まれる水
分を前記抄紙型の内部を通じて該抄紙型の外部へ排出し
て成形体となすものである。
【0004】ところで、従来の抄紙型は、コアの底面部
と雌型の凹部の底面部とがフラットに形成されているた
め、形成する成形体の底面部と該底面部から立ち上がる
外周面部とのつくる角部の半径が小さくなると、当該角
部に充分な押圧力が伝わりにくくなり、転写性の良好な
成形体が得られない場合があった。
【0005】従って、本発明は、底面部と外周面部との
作る角部を含めた成形体全体に亘って転写性の良好な成
形体を製造することができる繊維成形体の製造型を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、繊維積層体が
配される凹状の収容部を有する雌型と、該収容部に配さ
れた該繊維積層体を該収容部の内面に押圧する凸状の弾
性押圧部を有する雄型とを備えた繊維成形体の製造型に
おいて、前記弾性押圧部における前記繊維積層体を押圧
し始める先端面部及び該先端面部に対応する前記収容部
の底面部の形態は、該先端面部が該繊維積層体を押圧す
るに伴って該繊維積層体が該底面部に押圧される領域が
漸次拡がるように形成されていることを特徴とする繊維
成形体の製造型を提供することにより、前記目的を達成
したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下本発明を、その好ましい実施
形態に基づき図面を参照しながら説明する。
【0008】図1は、本発明の繊維成形体の製造型を、
底部に向けて漸次縮径する有底筒状の飲食品用のパルプ
モールド製容器の製造型に適用した、第1実施形態を模
式的に示すものである。図1において、符号1は製造型
を示している。
【0009】図1に示すように、製造型1は、繊維積層
体が配される凹状の収容部20を有する雌型2と、収容
部20に配された該繊維積層体を収容部20の内面に押
圧する凸状の弾性押圧部30を有する雄型3とを備えて
いる。
【0010】弾性押圧部30における前記繊維積層体を
押圧し始める先端面部300及び先端面部300に対応
する収容部20の底面部200の形態は、先端面部30
0が該繊維積層体を押圧するに伴って該繊維積層体にお
ける底面部200に押圧される領域が漸次拡がるように
形成されている。
【0011】前記先端面部300及び前記底面部200
が曲面状に形成されており、先端面部300の曲率(1
/R3)及び底面部200の曲率(1/R2)が、 (1/R3)−(1/R2)>0 (式1) となるように形成されている。即ち、図1に示す状態
で、下に凸を+(正)、上に凸を−(負)とすれば、図
1では、半径の大きさに関わらず、上記式1が満たされ
る。
【0012】底面部200の半径R2の絶対値は、10
0〜300mmとすることが好ましく、150〜250
mmとすることがより好ましい。100mm未満である
と、収容部20の底面部200の上げ底が大きくなり、
最初に収容部20の底面部200と押圧部30の先端面
部300とが当接したときに、角部202と角部202
に当接する押圧部30の先端面部300との距離が長く
なるので、押圧部30の圧力が十分に伝わらず、角部2
02の転写性が悪くなる。300mmを超えると、収容
部20の底面部200がほとんど平らとなるので、押圧
部30で押圧するに伴って、繊維積層体における底面部
200に押圧される領域が漸次広がる効果が小さくな
り、押圧部30の先端面部300における半径R3方向
の変形も小さくなるので、繊維積層体への角部202の
転写効果が得られなくなる。
【0013】先端面部300の半径R3は、100〜3
00mmとすることが好ましく、150〜250mmと
することがより好ましい。100mm未満であると、角
部202と該角部202に当接する押圧部30の先端面
部300との距離が長くなり、押圧部の圧力が充分に伝
わらず、繊維積層体への角部202の転写性が悪くな
る。角部のと収容部の凹部底コーナーとなる場合があ
り、300mmを超えると、押圧部30の先端面部30
0がほとんど平らになるので、押圧部30で押圧するに
伴って、繊維積層体における底面部200に押圧される
領域が漸次広がる効果が小さくなり、押圧部30の先端
面部300における半径R3方向の変形も小さくなるの
で、繊維積層体への角部202の転写効果が得られなく
なる。
【0014】また、収容部20における底面部200と
周面部201との作る角部202の半径R22は、成形性
の点で1〜10mmとすることが好ましく、さらに成形
体の強度の点で2〜6mmとすることがより好ましい。
1mm未満であると、角部202への転写性が不十分と
なり、表面性、強度が悪くなる場合があり、10mmを
超えると、角部202が大きくなり、転倒しやすくなる
ほか、印刷面が小さくなり、また容器の容量が小さくな
る問題が生じる。
【0015】前記雌型2は、アルミニウム等の金属材料
(剛性材料)から構成されており、収容部20の内面形
状は、成形する繊維成形体の外形形状に対応した形状と
なしてある。本実施形態では、前記底面部200が前記
先端面部300に対向するように凸状に形成されてい
る。
【0016】雌型2は、加熱ヒーター等の加熱手段(図
示せず)を備えている。雌型2は、脱水時間、乾燥時間
の短縮を望む場合には、収容部20の内面において開口
し、収容部20と外部とを連通する流体流通孔を形成す
ることが好ましく、また、該流体流通孔を通じた排水・
排気がスムーズに行われるように通水・通気溝を形成す
ることが好ましい。雌型2は、取り扱い性の点からは一
体的に形成されているものを用いることが好ましいが、
収容部20の形状が複雑となる場合には、一組の割型が
組み合わされて構成されるものを用いることが好まし
い。
【0017】前記雄型3は、前記弾性押圧部30の外表
面に前記繊維積層体を湿式により形成する湿式の抄造型
である。雄型3は、弾性押圧部30を固定する基台31
と、弾性押圧部30の外表面を覆う流体透過性材料32
とを具備している。
【0018】前記基台31は、剛性材料から構成されて
いる。基台31には、後述の中空室301に通じる連通
路310が形成されている。また、基台31の側面部に
は、ハンドリングロボット等で雄型3の移動、回転(反
転)などを行う際に利用される係合部が形成されてい
る。
【0019】弾性押圧部30は、弾性変形可能な材料か
ら構成されている。弾性押圧部30には、弾性変形可能
な材質のものを特に制限なく用いることができるが、耐
久・耐熱性等の点から、天然ゴム、ウレタンゴム、フッ
素系ゴム、シリコーン系ゴム又はエラストマー等の合成
ゴムからなる弾性材で構成されたものを用いることが好
ましい。
【0020】弾性押圧部30は、弾性押圧部30は、先
端に進むについれて胴部が次第に先細る形態に形成され
ている。弾性押圧部30には、その内部から上方に向け
て開口し、基台31の連通孔310に通じる中空室30
1が形成されている。弾性押圧部30は、外部からこの
中空室301に直線的に通じる多数の流体流通孔302
を有している。雄型3の使用時、中空室301は、基台
31の連通孔310を介して真空ポンプ又はコンプレッ
サーに通じる管路(図示せず)に接続される。
【0021】流体流通孔302は、中空室301の周部
からは水平方向に伸びるように形成され、中空室301
の底部からは放射状に拡がるように形成されている。弾
性押圧部の表面には、流体流通孔302を結ぶように排
水・排気用の溝を格子状に形成することもできる。
【0022】流体流通孔302の全容積は、雌型2の収
容部20と弾性押圧部30との間で繊維積層体を脱水成
形(押圧成形)したときの当該弾性押圧部30の体積変
化(弾性収縮量)よりも大きくなるように形成されてお
り、上述の流体流通孔302の形態と相まって、弾性押
圧部30の押圧状態における排水経路が十分に確保され
るようになしてある。
【0023】流体流通孔302の断面積は、繊維積層体
の抄造時におけるスラリーの吸引効率、脱水時における
脱水効率、脱水時に押圧体で繊維積層体を押圧するとき
の強度の点から7.8×10-3〜0.2cm2であるこ
とが好ましく、0.03〜0.1cm2であることがよ
り好ましい。流体流通孔302は、同様の点から、弾性
押圧部30の外面において開口部が4cm2当たり1〜
20個、特に5〜10個形成されるように設けることが
好ましい。
【0024】弾性押圧部30は、成形する容器の外形よ
りもやや小さな外形をしており、その高さが成形する食
品容器の高さ(深さ)よりも大きくなるように形成され
ている。なお、押圧体30の周面の上方にはフランジ部
303が形成されている。
【0025】図1に示すように、流体透過性材料32
は、弾性押圧部30を収容する袋状の形態を有してお
り、弾性押圧部30をその外面において密着被覆してい
る。流体透過性材料32は、さらに後述の被覆部材33
を被覆している。流体透過性材料32は、これを弾性押
圧部30の外面に密着被覆させた状態での平均開孔面積
率が10〜80%、特に20〜40%であることが吸水
性、通気性及び強度の点から好ましい。
【0026】流体透過性材料32は、弾性押圧部30の
外面を被覆した状態における延伸性(伸長性)が、5〜
50%、特に10〜30%であることが好ましい。さら
に、流体透過性材料32は、当該流体透過性材料32に
対する繊維スラリー中の固形成分の通過や目詰まりを抑
えつつ確実に繊維積層体の抄造を行う上で、平均最大開
孔幅が0.1〜1.5mmであるものが好ましく、0.
3〜1.0mmであるものがより好ましい。
【0027】雄型3においては、流体透過性材料32
は、繊維積層体を形成する際の抄紙ネットとして機能す
る。従って流体透過性材料32は、繊維スラリー中の水
分は通過させるが繊維は通過させない程度の網目を有す
る。この網目の大きさは20〜100メッシュ、特に4
0〜60メッシュであることが、繊維積層体の成形性及
び繊維の目詰まり防止の点から好ましい。
【0028】以上の点を総合的に勘案すると、流体透過
性材料32は、弾性押圧部30の弾性変形に対応した充
分な延伸性(収縮性)、通水性、通気性、繊維の抄造性
を備えたものであれば、その形態、材質には特に限定さ
れないが、編物、織布及び不織布等の形態を有し、天然
繊維、合成繊維素材、金属素材等の材質のものが挙げら
れ、特に延伸性(伸縮性)の点から、合成樹脂繊維製の
編物を用いることが好ましい。
【0029】弾性押圧部30は、前記フランジ部303
を覆うように金属製のリング状の押さえ部材34を配設
し、押さえ部材34を前記基台31の下面の所定位置に
ボルトで固定することで、当該基台31に固定されてい
る。押さえ部材34は、シリコーン樹脂製の被覆部材3
3で被覆されている。
【0030】雄型3が組み立てられた状態においては、
前記連通孔310、中空室301、流体流通孔302、
及び流体透過性材料32が連通して、雄型3の外部より
内部へ連通する流体流通路が形成される。雄型3におい
ては、流体透過性材料32における被覆部材33を覆う
部分にも吸引力が働いて繊維層は抄造されるようになっ
ている。そして、この繊維層が、流体透過性材料32に
おける弾性押圧部30の外面を覆う部分に抄造される繊
維層に連なり、全体としてフランジ部を有するカップ状
の繊維積層体が抄造されるようになっている。
【0031】製造型1は、従来からこの種のパルプモー
ルド成形体(繊維成形体)の製造に用いられている通常
の湿式の製造装置、例えば、レシプロタイプやロータリ
ータイプの湿式の製造装置に装着されて使用される。
【0032】次に、製造型1による繊維成形体の製造方
法について説明する。先ず、スラリーを湛えたプール内
に前記雄型3を浸漬した後、前記流体流通路を通じて該
スラリーを吸引し、前記流体透過性材料32にスラリー
中の固形分を堆積させることによって、流体透過性材料
32の外表面に湿潤状態の繊維積層体を形成する。
【0033】スラリーは、パルプ繊維と水のみからなる
ものが好ましく用いられる。また、パルプ繊維と水に加
え、タルクやカオリナイト等の無機物、ガラス繊維やカ
ーボン繊維等の無機繊維、ポリオレフィン等の熱可塑性
合成樹脂の粉末又は繊維、非木材又は植物質繊維、多糖
類等の成分を含有していてもよい。これらの成分の配合
量は、パルプ繊維及び該成分の合計量に対して1〜70
重量%、特に5〜50重量%であることが好ましい。パ
ルプ繊維は、針葉樹または広葉樹等の木材パルプや竹、
わら等の非木材パルプであるのが好ましい。また、パル
プ繊維の長さと太さは、それぞれ0.1mm以上10m
m以下、0.01mm以上0.05mm以下であるのが
好ましい。
【0034】スラリーには、パルプ繊維の分散剤、成形
助剤、着色料、着色助剤、サイズ剤、定着剤等の従来か
らこの種の繊維成形体に用いられている通常の添加剤を
適宜添加することができる。
【0035】雄型3における液体透過性材料32に所定
の繊維積層体が抄造されたところで、雄型3をスラリー
から引き上げる。そして、前記流体流通路を通じて引き
続き繊維積層体の水分を吸引脱水して所定の含水率とし
た後、雄型3と雌型2と突き合わせる。雌型2と雄型3
とを突き合わせる際には、繊維積層体の底部が、雌型2
の収容部20の底部と最初に当接するよう突き合わせ
る。弾性押圧部30による繊維積層体の押圧は、雄型3
の前記基台31を所定の押圧手段で押し付けて行われ
る。前述の通り、弾性押圧部30は弾性変形可能な材料
から構成されており、また、前記底面部200と先端面
部300とが所定の曲率の曲面で互いに対向するように
形成されているので、雄型3の先端面部300が該繊維
積層体の底面部を押圧する伴って、該繊維積層体の底面
部における底面部300に向けて押圧される領域が漸次
外周に拡がる。これにより、従来のように弾性押圧部の
先端面部及び収容部の底面部の形態を何れもフラットに
した場合に比べて、繊維積層体における底面部と外周面
部とが作る角部にまで弾性押圧部30の押圧力が略均一
に作用し、当該角部の転写性が向上する。
【0036】そして、さらなる押圧により、弾性押圧部
30は、雌型2の収容部20の形状に追随するように変
形して収容部20の空間を完全に埋める。その結果、雄
型3の表面に形成された繊維積層体が更に加圧脱水さ
れ、且つ繊維積層体に収容部20の内面形状が転写され
る。また、前記被覆部材33の下面側に形成された繊維
層は、該下面と雌型2の上面とに挟まれて押圧され、こ
の部分が、得られる繊維成形体のフランジ部となる。
【0037】上述の雄型3による押圧状態を保ちつつ、
雄型3における前記流体流通孔302を通じて繊維積層
体の水分を吸引する。弾性押圧部30の押圧状態下にお
いては、弾性押圧部30の外面における前記流体流通孔
302の開口部及び弾性押圧部30の外面を被覆する流
体透過性材料32は潰れることなく流体を流通させ得る
ので、この吸引によって繊維積層体に含まれている水分
は流体透過性材料32及び弾性押圧部30の内部(即ち
弾性押圧部30に形成された流体流通孔302及び中空
室301)を通じて雄型3の外へ排出される。繊維積層
体の乾燥によって発生した水蒸気も、同様の経路を通じ
て雄型3の外へ排出される。
【0038】繊維積層体の脱水・乾燥時における押圧力
は、脱水・乾燥効率を高めて高密度化を図る観点から、
0.2〜3MPaであることが好ましく、0.3〜1.
5MPaであることがより好ましい。また、金型温度
(雌型2の温度)は、押圧乾燥による焦げ防止、乾燥効
率等の点において、150〜230℃であることが好ま
しく、170〜220℃であることがより好ましい。
【0039】所望の含水率の繊維積層体が得られたとこ
ろで雄型3の押圧を停止すると、弾性押圧部30が押圧
前の形状に弾性復帰すると共に成形された繊維成形体は
液体透過性材料32の表面からスムーズに離脱し、雌型
2の収容部20内に留まる。
【0040】繊維成形体が雄型3から雌型2へ移った
後、雄型3は退避させ、再び抄造工程に移送して繰り返
し使用される。
【0041】得られた繊維成形体は、必要に応じて、樹
脂フィルム等にる内層形成、トリミング、塗装、印刷等
を施して製造が完了される。
【0042】このように、本実施形態の製造型では、剛
性の収容部20の前記底面部200と弾性押圧部30の
先端面部300とを所定の曲率の曲面で互いに対向する
ように形成し、雄型3の先端面部300が該繊維積層体
の底面部を押圧するに伴って、該繊維積層体の底面部に
おける底面部300に向けて押圧される領域が漸次外周
に拡がるようにしたので、得られる繊維成形体の底面部
と外周面部との作る角部を含めた成形体全体に亘って転
写性の良好な成形体を製造することができる。
【0043】本発明は、前記実施形態に限定されるもの
ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜
変更することができる。
【0044】本発明は、前記第1実施形態の製造型1に
おけるように、雌型2の収容部20の底面部200と雄
型3の弾性押圧部30の先端面部30とが互いに対向す
る方向に凸状の所定曲率の曲面に形成されていることが
特に好ましいが、雄型の弾性押圧部の先端面部が繊維積
層体の押圧に伴って、該繊維積層体が雌型の収容部の底
面部に押圧される領域が漸次拡がるように形成される形
態であれば、収容部の底面部と弾性押圧部の先端面部の
形態は特に限定されるものではない。
【0045】例えば、図2に示す第2実施形態の製造型
1’におけるように、前記第1実施形態の製造型1にお
ける雌型2の収容部20の底面部200をフラットな形
態とすることもできる。図2においても、押圧部30の
先端面部300の半径に関わらず、上記式(1)が満た
される。これにより、雄型3の弾性押圧部30の先端面
部300が繊維積層体を押圧するに伴って、該繊維積層
体が底面部200に押圧される領域が漸次拡がるように
し、先端面部300の半径R3方向の変形が大きくなる
ので、得られる繊維成形体の底面部と外周面部との作る
角部を含めた成形体全体に亘って転写性の良好な成形体
を製造することができる。
【0046】また、図3に示す第3実施形態の製造型
1’におけるように、前記第1実施形態の製造型1にお
ける雄型3の弾性押圧部30の先端面部300をフラッ
トな形態とすることもできる。図3においても、収容部
20の底面部200の半径R2に関わらず、上記式
(1)が満たされる。これにより、雄型3の弾性押圧部
30の先端面部300が繊維積層体を押圧するに伴っ
て、該繊維積層体が底面部200に押圧される領域が漸
次拡がるようにし、得られる繊維成形体の底面部と外周
面部との作る角部を含めた成形体全体に亘って転写性の
良好な成形体を製造することができる。
【0047】また、図4に示す第4実施形態の製造型
1’におけるように、前記第1実施形態の製造型1にお
ける雄型3の弾性押圧部30の先端面部300を前記半
径R3を満たす凹面状の形態とすることもできる。これ
により、雄型3の弾性押圧部30の先端面部300が繊
維積層体を押圧するに伴って、該繊維積層体が底面部2
00に押圧される領域が漸次拡がるようにし、得られる
繊維成形体の底面部と外周面部との作る角部を含めた成
形体全体に亘って転写性の良好な成形体を製造すること
ができる。図4において、上記(式1)を満たさない場
合、即ち、半径R3がR2より小さい(R3、R2共に負)
場合には、収容部20の底面部200と押圧部30の先
端面部とが漸次当接する形態とはならないので、繊維積
層体への角部202の良好な転写性は得られない。ま
た、以上の説明から、上記(式1)の規定を満たす場合
とは、押圧部30の先端面部300が収容部20の底面
部200に漸次当接する場合であることがわかる。
【0048】また、本発明の製造型は、前記第1〜第4
実施形態の製造型のように、収容部の底面部又は弾性押
圧部の先端面部が曲面状に形成されていることが好まし
いが、収容部の底面が錐状(例えば四角錐等の多角錐
状、円錐、楕円錐状)に突出する形態とすることもでき
る。また、前記第1〜第4実施形態の製造型のように、
収容部の底面部又は弾性押圧部の先端面部の最も突出又
は窪んだ点が該底面部又は該先端面部の中心に位置する
ことが好ましいが、該最も突出又は窪んだ点が部分的に
偏倚した形態とすることもできる。
【0049】また、本発明の製造型は、前記第1〜第4
実施形態の製造型のように、一軸回転対称体となる成形
体の製造に特に好ましいが、成形体の形状は一軸回転対
称体に限定されるものではなく、底面部及び該底面部か
ら立ち上がる周面部との間に角部を有する形態の繊維成
形体で、一軸回転対称体以外の形態の繊維成形体の製造
型にも適用することができる。また、前記実施形態で
は、飲食品用のカップに適用したが、飲食品用のカップ
に限定しなければ、前記(式1)を満たし、押圧部30
の先端面部300が漸次当接するようにしてあれば、収
容部20の底面部200が突出する形態となっても角部
202の転写性は良好となる。
【0050】また、本発明の製造型は、前記実施形態に
おけるように、雌型2に加熱手段を備えたものを用いる
ことが好ましいが、繊維積層体の脱水後における乾燥を
雌型2から離型して別の乾燥装置で乾燥を行う場合に
は、雌型は加熱手段を備えていなくてもよい。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、繊維成形体の底面部と
外周面部との作る角部を含めた成形体全体に亘って転写
性の良好な成形体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造型の第1実施形態を模式的に示す
断面図である。
【図2】本発明の製造型の第2実施形態を模式的に示す
断面図である。
【図3】本発明の製造型の第3実施形態を模式的に示す
断面図である。
【図4】本発明の製造型の第4実施形態を模式的に示す
断面図である。
【符号の説明】
1 製造型 2 雌型 20 収容部 200 底面部 3 雄型 30 弾性押圧部 300 先端面部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 雅安 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内 Fターム(参考) 4L055 CJ06 EA15 FA30 GA05 GA50

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維積層体が配される凹状の収容部を有
    する雌型と、該収容部に配された該繊維積層体を該収容
    部の内面に押圧する凸状の弾性押圧部を有する雄型とを
    備えた繊維成形体の製造型において、 前記弾性押圧部における前記繊維積層体を押圧し始める
    先端面部及び該先端面部に対応する前記収容部の底面部
    の形態は、該先端面部が該繊維積層体を押圧するに伴っ
    て該繊維積層体が該底面部に押圧される領域が漸次拡が
    るように形成されていることを特徴とする繊維成形体の
    製造型。
  2. 【請求項2】 前記底面部及び前記先端面部が曲面状に
    形成されており、且つ該底面部の曲率(1/R2)及び
    該先端面部の曲率(1/R3)が、 (1/R3)−(1/R2)>0 となるように形成されている請求項1記載の繊維成形体
    の製造型。
  3. 【請求項3】 前記底面部が前記先端面部に対向するよ
    うに凸状に形成されている請求項1又は2記載の繊維成
    形体の製造型。
  4. 【請求項4】 前記雄型が、前記弾性押圧部の外表面に
    前記繊維積層体を湿式抄造により形成する抄造型である
    請求項1〜3の何れかに記載の繊維成形体の製造型。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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